JP3777946B2 - 車両のエンジン制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両の一時的な停車時などエンジンを自動的に停止して、発進する際などエンジンを自動的に再始動するエンジン制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両のエンジン自動停止再始動する制御装置(アイドルストップ装置)が、例えば特開平8−291725号公報、特開平11−107799号公報、特開平11−336581号公報などに開示されている。
【0003】
走行中にブレーキが踏まれたまま、車速がゼロになったときなど、エンジンが自動的に停止し、この状態からアクセルが踏み込まれたり、ブレーキが解除されたりすると、エンジンが自動的に再始動される。
【0004】
エンジンを再始動するときの条件としては、アクセルペダルの踏み込みを検出したときのように、即座に発進が要求されるときと、アクセルペダルは踏み込まれなくても、ブレーキペダルを離したときのように、即座に発進を必要としない場合とがある。
【0005】
急発進が必要とされないときのエンジン再始動時に、急激なトルクの立ち上がりがあると不必要に振動が大きくなってしまう。そこで、急発進が要求されていないときなど、モータによる起動がおこなわれてから、所定の回転数までエンジン回転数が上昇し、ブーストが落ち着くまで燃料噴射を待つようにすることにより再始動時の振動を抑制することが可能となる。
【0006】
例えば、ブレーキの解除後に直ぐにブーストの無い状態(吸気管内が大気圧)から燃料が供給されると、実空気量が大きいためにトルクの立ち上がりが急になったりするのである。このような現象をエンジンの起動回転数が上がり、ブーストが十分発達してから燃料を噴射することで、回避できるのである。
【0007】
ただし、いきなりアクセルが大きく踏み込まれたときなど急発進が要求される場合は、即座に燃料噴射を行うことで、発進に必要なエンジントルクを確保し、発進がもたつかないようにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようにエンジン回転数が所定の状態になるまで待つ制御を行う場合、エンジンの摩擦抵抗が大きいときなど、モータによる起動時にエンジン回転数がなかなか上昇せず、このためエンジントルクの立ち上がりが大きく遅れることがある。エンジンの温度が比較的低温のときや、エンジンオイルの劣化により摩擦抵抗が大きくなったときなどにこのような傾向が強まる。
【0009】
また、このような自動停止再始動装置のモータは、通常のエンジンを始動するクランキングモータに比較して大容量に設定してあり、モータトルクによる車両の駆動力も発生する。このため、再始動時に自動変速機のギヤ位置がドライブレンジにあれば、直ちにクリープ力が発生するが、なかなかエンジントルクが発生しないと、クリープ力もそれだけ小さくなり、ドライバーに違和感を与えることもある。
【0010】
本発明はこのような問題を解決するもので、再始動時にエンジン回転数が速やかに上昇しないときでも、エンジントルクの立ち上がりの遅れを防ぎ、クリープ力不足や発進特性のもたつきを回避することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、エンジンと、エンジンを起動するモータとを備え、所定の停車条件において自動的にエンジンを停止し、かつ停止条件解除時にモータによりエンジンを起動し、エンジン回転数が所定値に達してから燃料の供給を開始して再始動する車両のエンジン制御装置において、前記停止条件解除後のエンジン再始動時に一回の始動動作でエンジン回転数が所定値まで上昇しなくても所定の期間が経過したときに、燃料の供給を開始する制御手段を備える。
【0012】
第2の発明は、第1の発明において、前記制御手段は、エンジンの所定のクランク角度ごとに回転数を検出し、この回転数が所定値に満たない回数をカウントし、このカウント数が所定数に達したときに燃料の供給を開始する。
【0013】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記制御手段は、アクセルを踏み込んでの停止条件解除時には、即時に燃料供給を開始させる。
【0014】
【作用、効果】
第1の発明によれば、アイドルストップの解除後にモータによりエンジンを起動し、エンジン回転数が所定の回転数まで上昇し、ブーストが十分に発生したときに燃料の供給が再開されるので、エンジンのトルクの急激な立ち上がりが防止できる。
【0015】
また、エンジンオイルの劣化時やエンジン冷却水温の比較的低温時などエンジンフリクションの大きいとき、あるいはエンジンを起動するモータへの供給電力が不十分でモータトルクが不足し、これらによりエンジン回転数の上昇が遅れる場合、エンジン起動後に所定の期間が経過したときには、エンジン回転数が所定値に達しなくても燃料供給が再開されるので、エンジン出力の立ち上がりの遅れを回避し、クリープ力不足や発進性能のもたつきを防止することができる。
【0016】
第2の発明では、エンジン回転数上昇の遅れ具合に応じて燃料噴射を開始させるので、エンジンフリクションの状態によってエンジン燃焼を開始させるタイミングが変化し、より少ない遅れ時間のうちにエンジン出力を立ち上げることができる。
【0017】
第3の発明では、アクセルを踏み込んでの発進時などは、直ちに燃料の供給が行われ、遅れのない発進が可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1に示すように、エンジン1と無段自動変速機3との間に発電機および電動機の両機能を併せ持つモータジェネレータ2が配設される。モータジェネレータ2は、エンジン1の図示しないクランクシャフトに直結され、エンジン1と同期回転する。無段自動変速機3は、トルクコンバータ4と、前後進切替えクラッチ5と、ベルト式の無段変速機6とから構成され、エンジン1の駆動トルクをこれらを介してドライブシャフト7およびタイヤ8に伝える。
【0020】
なお、モータジェネレータ2はエンジン1のクランクシャフトにベルトやチェーンを介して連結しても機能的には同等である。また、無段自動変速機3の代わりに有段自動変速機を用いても良い。また、トルクコンバータ4の代わりにエンジン1の再始動時にエンジン1側のトルクを伝える発進クラッチを備えたものでも良い。
【0021】
電力コントロールユニット12により、モータジェネレータ2を出力回転させたり、発電させたりする制御が行われ、電力はバッテリ13から供給され、また発生電力によりバッテリ13が充電される。車両の一時的な停車時などエンジン1のアイドルストップを行い、かつ発進時になどに自動的に再始動を行うために始動制御コントロールユニット10が備えられる。始動制御コントロールユニット10は、以下の各種のセンサからの信号ならびに後述するエンジンコントロールユニット20(図2参照)からの信号に基づき、電力コントロールユニット12にモータジェネレータ2の目標トルク、目標回転数を出力して、電力コントロールユニット12を介して、モータジェネレータ2の制御を行う。
【0022】
9はエンジン1ならびにモータジェネレータ2の回転数、およびエンジン1のクランク角を検出する回転数センサ、11は車両のブレーキペダル16(図2参照)の踏み込み量を検出するブレーキセンサ、15はアクセルペダル17(図2参照)の操作量を検出するアクセルセンサを示す。
【0023】
なお、始動制御コントロールユニット10は、エンジンコントロールユニット20内に設けられるが、車両のパワートレイン全体の制御を統括する統合コントローラ(図示しない)内に設けても良い。
【0024】
図2は、エンジンの制御システムを示しており、エンジンコントロールユニット20は、以下のセンサの検出信号に基づいて、エンジン1の停止(自動停止)および始動(再始動)を制御する。
【0025】
ここで、11はブレーキセンサ、15はアクセルセンサ、9は回転数センサ、21はエンジンの冷却水温を検出する水温センサ、22は自動変速機3のセレクトレバーの位置を検出するセレクト位置センサ、23は車速を検出する車速センサを示す。
【0026】
また、エンジンコントロールユニット20は、エアフローメータ24で計測されるエンジン1の吸入空気量と回転数センサ9で計測されるエンジン回転数およびエンジン回転の位相(クランク角)とに基づいて、吸入空気量に見合った燃料量とエンジン負荷およびエンジン回転数に見合った点火時期とを演算し、この演算した燃料量を供給すべく各気筒の吸気ポートに設けた燃料インジェクタ25を駆動すると共に、演算した点火時期に合わせて各気筒の点火プラグ26の点火を制御する。
【0027】
なお、エンジン1は、各気筒の吸気ポートに燃料インジェクタを設けて燃料を噴射する、いわゆるMPI方式のものであるが、各気筒に直接燃料を噴射する、いわゆる直噴方式のエンジンであっても良い。
【0028】
また、吸気系には開度を電子制御可能な電制スロットルバルブ27が備えられ、図示しない統合コントローラから入力される目標エンジントルクに応じてエンジン1の吸入空気量を制御する。
【0029】
なお、エンジン1はガソリンエンジンを示すが、ディーゼルエンジンを用いても良い。ディーゼルエンジンの場合、燃料噴射量を制御することによりトルクを制御することができる。
【0030】
次に、エンジンの自動停止および再始動制御の内容を、図3〜図5のフローチャートに基づいて説明する。
【0031】
図3に示すように、ステップ1〜5では、暖機運転が終了していること、ブレーキペダル16が踏み込まれている(オン)こと、車速がほぼ0km/hであること、アクセルペダル17が踏み込まれていない(オフ)こと、エンジン1の回転数がアイドル回転数(例えば、700rpm)以下であることを判断する。
【0032】
ステップ6では、これらの条件が全て成立したのが初めて(フラグFCOND=0)かどうかを判別し、初めてであれば、ステップ7でディレイ時間およびフラグFCOND=1を設定する。初めてで無いときはこのステップ7をとばす。
【0033】
ステップ8では、セレクトレバーの位置を見る。リバースレンジにないときは、エンジン自動停止のためにステップ9以降に進む。
【0034】
リバースレンジのときは、エンジン1の自動停止を行わず、エンジン1が停止中にある場合、ステップ29〜32へと進む(後述する)。
【0035】
リバースレンジにないとき、つまりドライブレンジもしくはニュートラルレンジもしくはパーキングレンジのときは、ステップ9にてリバースレンジにないことを示すフラグFRFST=0をセットし、ステップ10にてエンジン1が停止中かどうかを見る。
【0036】
エンジン1が停止中でなければ、ステップ11からステップ7で設定したディレイ時間が経過したときに、ステップ12〜17のエンジン停止モードに入る。
【0037】
ステップ12〜14では、エンジン1を一時停止し、モータジェネレータ2のモータトルク=0とし、エンジン1の燃料噴射を禁止する。ステップ15〜17では、エンジン停止シーケンスが初めて(フラグFISTPFST=0)かどうかを判別し、初めてであれば、アイドルストップ(I/S)許可時間およびフラグFISTPFST=1の設定後、エンジン1の停止を示すフラグFENGSTRT=0をセットする。
【0038】
このように、車両を一時停止したときにエンジン1を自動的に停止する。なお、このエンジン1の自動停止はドライブレンジにあるときにのみ行うようにしても良い。
【0039】
一方、ステップ1〜4の条件が外れた場合、即ちエンジンが自動停止中にある場合、ブレーキペダル16が解放される(オフ)と、あるいはアクセルペダル17が踏み込まれる(オン)と、ステップ18にてフラグFCONDをクリア(=0)し、ステップ19よりステップ22以降のエンジン再始動モードに入る。
【0040】
ステップ22〜24では、始動制御コントロールユニット10に目標起動トルクを与え、モータジェネレータ2の駆動を開始すると共に、初めに、吸気管負圧(ブースト)の発達時間に相当するディレイ時間Rおよびエンジン1の始動を示すフラグFENGSTRT=1を設定する。
【0041】
ブーストの発達時間に相当するディレイ時間Rは、エンジン1の起動(大気圧状態)からアクセルをオフのままブーストが−500mmHg相当になるまでの時間で、例えば1.5秒程度に設定している。
【0042】
ステップ25では、アクセルペダル17が踏み込まれているかどうかを判定する。
【0043】
アクセルペダル17が踏み込まれていない始動時は、まずステップ26でアイドル回転数を目標回転数に設定してモータジェネレータ2の回転数を制御し、ステップ27の始動燃料制御に移行する。ここでは、エンジンを起動し、実際のエンジン回転数が所定値(例えば600rpm)に達するか、所定期間がたっても回転数が上昇しないとき、またはステップ24で設定したブーストの発達時間に相当するディレイ時間Rが経過したときに、燃料噴射を開始する。
【0044】
これを図4により詳しく説明する。まずステップ51でフラグFCONDの前回値が1であるかどうか判断し、そうでないときは、今回初めて始動制御に移行したものとして、ステップ52でカウンタNlow=0にリセットする。
【0045】
ついで、ステップ53で一定時間(例えば0.25sec)が経過したかどうかみて、経過したならばステップ54で各気筒のTDCでのエンジン回転数NEが所定値よりも小さいかどうか判断し、大きいときはステップ58で燃料噴射を許可するが、小さいときはステップ55でカウンタ値を、Nlow+1にインクリメントする。
【0046】
そして、ステップ56でカウンタ値Nlowを所定値mNLCと比較し、もしmNLCよりも大きいときは、エンジン回転数が目標値に達しなくても所定の期間が経過したものと判断し、ステップ58に進んで燃料噴射を許可する。
【0047】
このような制御の状態を示すのが図6であり、所定のクランク角度毎、つまり各気筒の上死点でのエンジン回転数を見て、このエンジン回転数が所定値に満たない回数をカウントしていき、このカウント数が所定数に達したときは、エンジン回転数が目標回転数よりも低くても燃料噴射を開始するのである。
【0048】
また、前記ステップ56でカウンタ値がmNCLよりも小さいときは、ステップ57で前記したディレイ時間Rが経過したかどうか判断し、経過してないときはステップ59で燃料噴射を禁止する。これに対してディレイ時間Rが経過したときには、ステップ58に進んで燃料噴射を許可する。
【0049】
次いで図3に戻り、ステップ28で燃料噴射が許可または禁止されているか判断し、許可されているときはステップ37に進んで燃料噴射を行い、禁止のときは燃料噴射を行わずに最初に戻る。
【0050】
このようにして、燃料の供給再開は始動後エンジン回転数が所定値に達したか、あるいはカウンタ値が所定数に達したか、あるいは始動後所定時間が経過したときのいずれかが満たされたときに行われ、これにより燃料供給再開時におけるブーストの発達を待ち、エンジントルクの急激な立ち上がりを防ぐ一方で、エンジン冷却水温の比較的低いときや、エンジンオイルの劣化時など摩擦が大きく、エンジン回転数の上昇が遅れがちのときには、あるいはモータジェネレータ2の駆動トルクが小さく、エンジン回転数の上昇が遅れるときは、速やかにエンジントルクを立ち上げ、クリープ力の発生遅れなどを回避できる。
【0051】
他方、前記した前記ステップ25でアクセルペダル17が踏み込まれているときは直ちに燃料噴射に移行し、同時にエンジン完爆に伴う過大なトルクの発生を抑制するために、モータジェネレータ2による回転数制御を行うもので、ステップ33〜35において始動制御コントロールユニット10にアイドル回転数を目標回転数に設定し、モータジェネレータ2による回転数制御に移行する。エンジン1が完爆すれば、後述の回生トルクリミッタの解除と共に、ステップ36にてモータジェネレータ2のトルク=0のトルク制御に入り、再始動制御を終了する。
【0052】
このエンジン1の再始動時に再始動制御に並行して、モータジェネレータ2の回生トルクを制限する回生トルクリミッタ制御(回生トルクリミッタの設定)を行う。
【0053】
これを図5のフローチャートによって説明すると、ステップ101では、フラグFCYLBRNを見て、次に点火タイミングがくる気筒が燃焼するかどうかを判定する。これは、後述するフラグがセットされないうちは、フラグFCYLBRN=0によりステップ109に進む。
【0054】
ステップ109では、エンジン1のクランク角を基に、現在のクランク角位置がどの気筒の圧縮行程にあるかを示すフラグCYLCSと、その気筒に燃料が噴射されたかどうかを示すフラグFHINJEX(CYLCS)とにより、次に点火タイミングがくる気筒に燃料が噴射された(フラグFHINJEX(CYLCS)=1)かどうかを判定する。
【0055】
燃料が噴射されていないときは、ステップ110にて所定のディレイ時間TFCBNDECを設定すると共に、フローの実行周期(10ms)毎に、ステップ111にて回生トルクリミッタTRQLMTSTの初期値の演算(更新)を繰り返す。
【0056】
燃料が噴射されると、ステップ102にて次に点火タイミングがくる気筒が燃焼すると推定するフラグFCYLBRNをセット(=1)する。以降は、ステップ101からも同じルーチンを進む。
【0057】
ステップ103では、ステップ110で設定したディレイ時間TFCBNDECが0になったかどうかを見て、0でない場合は、フローの実行周期(10ms)毎に、ステップ112にて回生トルクリミッタTRQLMTSTの初期値の演算(更新)を繰り返し、ステップ113にてディレイ時間TFCBNDECを減算する。
【0058】
回生トルクリミッタTRQLMTSTの初期値は、エンジンの停止時間(燃料カット開始からの時間)TISTPONと、エンジンの起動後経過時間TISTPOFとの関数で与え、これらを基に、図7のような特性に設定したマップを検索して求める。図8はマップの例を示す。
【0059】
エンジンの起動直後は、ブーストが発達しておらず、余剰空気を吸い込む分、発生するエンジントルクが大きくなり、時間が経過するのにしたがいブーストが発達して余剰空気がなくなる。また、エンジンの停止後、起動するまでの時間が長いと停止前のブーストはなくなり大気圧になるが、短いほどブーストは残る。したがって、エンジンの停止時間TISTPONが長く、エンジンの起動後経過時間TISTPOFが短かいときほど、回生トルクリミッタTRQLMTSTの初期値は、大きな余剰空気に相当する分のトルクを吸収するように大きな値に設定し、エンジンの停止時間TISTPONが短く、エンジンの起動後経過時間TISTPOFが長くなるほど、回生トルクリミッタTRQLMTSTの初期値を小さくするように設定している。
【0060】
図9にエンジンの起動とほぼ同時にアクセルを踏み込んだとき(エンジンの起動後経過時間TISTPOFがほぼ0秒)と、エンジンの起動後、例えば0.8秒経過してからアクセルを踏み込んだときの、アクセル踏み込み時点からの余剰空気と、吸収すべきトルク要求値の特性を示す。エンジンの起動とほぼ同時にアクセルを踏み込んだときは余剰空気が大きい分、吸収すべきトルクは大きく、時間の経過と共に余剰空気が減少して、例えば0.7秒後(エンジン負荷による)はトルクの吸収は不要となる。また、エンジンの起動後、例えば0.8秒経過してからアクセルを踏み込んだときは、余剰空気はほとんどなく、吸収すべきトルクは極めて小さくなる。ただし、図9は起動時の吸気管圧力を大気圧としている。
【0061】
なお、回生トルクリミッタTRQLMTSTの初期値は、エンジンの起動後経過時間TISTPOFのみの関数として与えても良い。
【0062】
ステップ103でステップ110で設定したディレイ時間TFCBNDECが0になったことが判定されると、ステップ104以降に入る。
【0063】
ディレイ時間TFCBNDECは、次に圧縮行程がくる気筒の、その圧縮行程から点火タイミングまでの時間に設定している。したがって、エンジンが燃焼トルクを発生したときにステップ104以降に入る。このディレイ時間TFCBNDECは、燃焼のピークに合うように、点火タイミングより所定時間長くしても良い。
【0064】
ステップ104では、モータジェネレータ2のトルク(回生トルク)が所定値以下(0もしくは0近傍)の状態を所定時間継続したかどうかを判定する。
【0065】
モータジェネレータ2の回生トルクが所定値以下になっていないとき(吸収すべきトルクが大きいとき)は、ステップ106にて回生トルクリミッタTRQLMTST(初期値)の減算を行う。これは、フローの実行周期(10ms)毎に、前回値から所定値DTTRQLMTを、目標値TGTRQLMT(0もしくは0近傍)を下回らない範囲において、減算する。
【0066】
モータジェネレータ2の回生トルクが所定値以下(0もしくは0近傍)の状態を所定時間継続すると、エンジンの完爆と判定して、ステップ107にてフラグfKANBAKU=1をセットすると共に、ステップ108にて回生トルクリミッタTRQLMTSTの加算(解除)を行う。これは、フローの実行周期(10ms)毎に、前回値に所定値DLTLMTPを、最大値TGTRQMAXを上回らない範囲において、加算する。
【0067】
即ち、図10のように、エンジンの起動と同時に回生トルクリミッタTRQLMTSTの初期値の演算を始め、エンジンが燃焼トルクを発生するタイミングを起点に、その回生トルクリミッタTRQLMTSTを所定の傾き(所定値DLTLMTP/10ms)で0もしくは0近傍に減算していく。完爆後は、回生トルクリミッタTRQLMTSTを解除するように加算する。
【0068】
ステップ111,112での回生トルクリミッタTRQLMTSTの初期値の演算値およびステップ106,108での回生トルクリミッタTRQLMTSTの減算値、加算値は、その演算毎に、アクセルペダル17が踏み込まれているときにのみ、始動制御コントロールユニット10に送信する。
【0069】
なお、これらの演算は簡単のため正の値で行っているが、回生トルクはマイナスの値であるため、回生トルクリミッタTRQLMTSTはマイナス値に変換して送信する。
【0070】
次に全体的な作用について説明する。
【0071】
エンジン1が自動停止している状態からブレーキペダル16を解放した場合(アクセルペダル17は踏み込んでいない場合)、モータジェネレータ2が駆動され、エンジン1が再始動される。
【0072】
アイドル回転数を目標回転数としてモータジェネレータ2の回転数制御が行われ、所定のアイドル回転数に到達するか、または、ブーストの発達時間に相当するディレイ時間が経過しなくても、エンジン回転数の上昇が遅く、所定のエンジンクランク角度毎に検出した回転数が所定値に達しない回数をカウントし、このカウント値が所定回数に達したときには、燃料噴射し、燃焼を開始させる。
【0073】
これによりエンジン回転数が所定の回転数まで上昇し、ブーストが十分に発生したときに燃料の供給が再開されるので、エンジンのトルクの急激な立ち上がりが防止できる。また、エンジンオイルの劣化時やエンジン冷却水温の比較的低温時などエンジンフリクションによりエンジン回転数の上昇が遅れる場合、あるいはモータジェネレータ2への供給電力が不十分で、モータ回転数が十分に高まらない場合は、エンジン起動後に所定の期間が経過したときには、エンジン回転数が所定値に達しなくても燃料供給が再開されるので、エンジンの起動期間が不必要に長引くことがなく、エンジン出力の立ち上がりの遅れが回避できる。
【0074】
なお、エンジン回転数が所定値に達しない回数をカウントして燃料供給を再開する場合は、エンジンフリクションの状態によってエンジン燃焼を開始させるタイミングが変化し、フリクションの小さいときには、より少ない遅れ時間のうちにエンジン出力を立ち上げることが可能となる。
【0075】
ただし、このようにブーストが十分に発達していない場合にエンジントルクが発生しても、回転数制御によるモータジェネレータ2のトルクの減少、回生が行われるため、図11のようにエンジン回転数はスムーズに立ち上げられ、過大なトルクが発生することなく、アイドル回転数に維持される。
【0076】
モータジェネレータ2のトルクが所定値以下の状態が所定時間続くと完爆と判定され、再始動が終了されるが、くすぶり、失火等でエンジントルクが出ない場合は、回転数制御によりモータジェネレータ2が駆動される。したがって、エンジントルクの発生が遅れても、エンストに陥ることはなく、クリープトルクは確実に維持される。
【0077】
また、エンジン1が自動停止している状態からブレーキペダル16を解放してアクセルペダル17を踏み込んだ場合、モータジェネレータ2が駆動され、アイドル回転数を目標回転数としてモータジェネレータ2の回転数制御が行われ、アクセルペダル17の踏み込みと同時に燃料噴射が開始されると共に、モータジェネレータ2の回生トルクリミッタが設定される。
【0078】
この回生トルクリミッタは、エンジンの停止時間とエンジンの起動後経過時間とを基にして、停止時間が長く、起動後経過時間が短かいときほど、過剰に発生するエンジントルクを吸収するように、初期値が演算設定される。停止時間が長く、起動後経過時間が短かいつまりブレーキペダル16を解放してすぐにアクセルペダル17を踏み込んだときほどブーストが発達しておらず、余剰空気が大きく、過剰にエンジントルクが発生するのであるが、その過剰なエンジントルクを吸収するように初期値が演算設定される。
【0079】
即ち、アクセルペダル17の踏み込みにより燃料噴射が開始され、エンジンが燃焼トルクを発生すると、アイドル回転数を目標回転数とするモータジェネレータ2の回転数制御によって、図12のようにモータジェネレータ2が駆動側から回生側に動作を変化してトルクを吸収すると共に、その回生トルクリミッタによって設定値(初期値)にトルクの吸収が制限される。
【0080】
この場合、エンジンが燃焼トルクを発生する前は、モータジェネレータ2はトルクが回生トルクリミッタに張り付くことなく力行駆動されるが、エンジンが燃焼トルクを発生すると、モータジェネレータ2はトルクが回生トルクリミッタに張り付き(モータジェネレータ2の回生トルクが回生トルクリミッタに一致する)回生動作される。
【0081】
そして、この初期値の設定後、回生トルクリミッタは所定の傾きでゼロもしくはゼロ近傍に減算、即ち、図12のようにモータジェネレータ2によるトルクの吸収を減少させるように制御される。
【0082】
回生トルクリミッタがない場合は、モータジェネレータ2がアイドル回転数維持分の燃焼トルク以外の全てのトルクを吸収するように動作してしまうが、その回生トルクリミッタの初期設定および減算設定によって過剰分のトルクのみが吸収される。
【0083】
モータジェネレータ2のトルクは回生トルクリミッタに張り付いたままとなり、したがってアイドル回転数を目標回転数とするモータジェネレータ2の回転数制御のまま、エンジン回転数はアイドル回転数から目標となる回転数にスムーズに上昇される。もちろん、そのモータジェネレータ2の回転数制御によってくすぶり、失火等でエンジントルクの発生が遅れても、エンストに陥ることは防止される。
【0084】
そして、モータジェネレータ2のトルクが所定値以下(ゼロもしくはゼロ近傍)の状態が所定時間続くと、完爆と判定され、再始動が終了される。ただし、図11では表していないが、完爆後、回生トルクリミッタは解除されると共に、モータジェネレータ2の回転数制御からトルク制御に移行される。
【0085】
このように、ブーストの発達状態を基に、過剰なエンジントルクを吸収するべく回生トルクリミッタを設定するので、ブレーキペダル16を解放して、アクセルペダル17を踏み込んだ場合に、オーバーシュートトルクを的確に吸収でき、車両発進時の駆動力をスムーズに立ち上がらせることができる。
【0086】
したがって、エンジンが停止されないアイドル状態から発進する場合と、エンジン停止状態からエンジンを始動して発進する場合とで、同等の加速力、加速感を得ることができ、運転性を向上できる。
【0087】
また、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内での種々の変更がなしうることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態を示す構成図である。
【図2】エンジンの制御システムを示す構成図である。
【図3】制御内容を示すフローチャートである。
【図4】制御内容を示すフローチャートである。
【図5】制御内容を示すフローチャートである。
【図6】エンジン再始動時の燃料供給開始時期を示すタイミングチャートである。
【図7】回生トルクリミッタの初期値の特性図である。
【図8】回生トルクリミッタのマップ図である。
【図9】アクセル踏み込み時点からの余剰空気と吸収すべきトルク要求値の特性図である。
【図10】回生トルクリミッタのタイミングチャートである。
【図11】エンジン再始動時(アクセルオフ)のタイミングチャートである。
【図12】エンジン再始動時(アクセルオン)のタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 エンジン
2 モータジェネレータ
3 無段自動変速機
4 トルクコンバータ
9 回転数センサ
10 始動制御コントロールユニット
11 ブレーキセンサ
12 電力コントロールユニット
13 バッテリ
15 アクセルセンサ
20 エンジンコントロールユニット
21 水温センサ
22 セレクト位置センサ
23 車速センサ
24 エアフローメータ
25 燃料インジェクタ
26 点火プラグ
27 電制スロットルバルブ
Claims (3)
- エンジンと、エンジンを起動するモータとを備え、所定の停車条件において自動的にエンジンを停止し、かつ停止条件解除時にモータによりエンジンを起動し、エンジン回転数が所定値に達してから燃料の供給を開始して再始動する車両のエンジン制御装置において、前記停止条件解除後のエンジン再始動時に一回の始動動作でエンジン回転数が所定値まで上昇しなくても所定の期間が経過したときに、燃料の供給を開始する制御手段を備えることを特徴とする車両のエンジン制御制御装置。
- 前記制御手段は、エンジンの所定のクランク角度ごとに回転数を検出し、この回転数が所定値に満たない回数をカウントし、このカウント数が所定数に達したときに燃料の供給を開始する請求項1に記載の車両のエンジン制御装置。
- 前記制御手段は、アクセルを踏み込んでの停止条件解除時には、即時に燃料供給を開始させる請求項1または2に記載の車両のエンジン制御装置。
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