JP7136025B2 - ステアリング制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ステアリング制御装置に関する。
従来、ステアバイワイヤシステムの反力装置において、舵角エンドを超えた操舵を抑制するように反力を制御する技術が知られている。
例えば特許文献1に開示された車両用操舵装置は、舵角エンド付近で反力装置の制御をフィードバック制御からオープンループ制御に切り替えることで、舵角エンドを超えた操舵を抑制する。また、特許文献2に開示された車両用操舵装置は、舵角エンド付近で操舵角をフィードバックし、舵角エンドを超えた操舵を抑制する。
特開第4941723号公報 特許第3883980号公報
ステアバイワイヤシステムの反力装置においてトルクセンサの検出値が目標値に追従するようにフィードバック制御する制御構成を想定する。この構成で、ドライバが所定の角度以上ステアリングを操作できないように反力装置のトルクを増やすと、フィードバック制御が働き、舵角エンド提示のためのトルクが打ち消されてしまうという課題がある。
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、トルクセンサの検出値が目標値に追従するようにフィードバック制御する制御構成のステアバイワイヤシステムの反力装置において、自然な舵角エンドをドライバに提示するステアリング制御装置を提供することにある。
本発明のステアリング制御装置は、反力装置(70)と、転舵装置(80)と、トルクセンサ(94)と、を備えるステアバイワイヤシステム(90)において、反力装置及び転舵装置を制御するステアリング制御装置である。
反力装置は、反力用回転電機(78)、及び、反力用回転電機を駆動する反力用電力変換器(77)を含み、ステアリングホイール(91)と接続される。転舵装置は、転舵用回転電機(88)、及び、転舵用回転電機を駆動する転舵用電力変換器(87)を含み、車輪(99)を転舵する。トルクセンサ(94)はドライバの操舵入力を検出する。
このステアリング制御装置は、反力制御部(510)と、ステアリングホイールトルク制御部(620)と、エンド制御部(580)と、反力装置電流制御部(680)と、を有する。反力制御部は、転舵装置の出力トルクに相当する物理量(Tt、T*t、It、I*t)に基づいてステアリングトルク指令値(T*st)を算出する。ステアリングホイールトルク制御部は、トルクセンサの検出値(T_sns)がステアリングトルク指令値に基づく目標値(T**st)に追従するよう、反力トルク指令値の基本値である基本反力トルク指令値(T*r_b)を算出する。
エンド制御部は、反力装置もしくは転舵装置の角度の絶対値(|θr|、|θt|)が所定の限界角度値(θ_lim)以上のとき、ドライバが限界角度値以上にステアリングホイールを操舵不能とするように反力装置のエンド提示指令値を算出する。反力装置電流制御部は、基本反力トルク指令値及びエンド提示指令値に基づき反力用回転電機に流す電流を制御する。なお、転舵装置の角度及び反力装置の角度は、限界角度値と比較可能なように、適宜、換算係数を乗除した値が用いられることを前提とする。
エンド制御部は、反力装置もしくは転舵装置の角度の絶対値が限界角度値以上であり、且つ、転舵装置の出力トルクに相当する物理量及びトルクセンサの検出値が限界角度値に近づく方向の値であるとき、ステアリングホイールトルク制御部の制御を停止する。一方、転舵装置の出力トルクに相当する物理量又はトルクセンサの検出値が限界角度値から離れる方向の値であるとき、エンド制御部は、制御の停止を解除する。
例えばステアリングホイールトルク制御部が最終段に積分演算器(626)を有する構成において、エンド制御部は、ステアリングホイールトルク制御部の制御を停止するとき、積分演算器による積分演算を停止する。
このように本発明では、トルクセンサの検出値が目標値に追従するようにフィードバック制御する制御構成において、エンド制御によりステアリングホイールトルク制御部の制御の停止又は実行を切り替える。フィードバック制御を停止することで、反力装置のトルクを増やしたとき、舵角エンド提示のためのトルクがフィードバック制御により打ち消されることが防止される。よって、自然な舵角エンドをドライバに提示することができる。
各実施形態のステアリング制御装置が適用されるステアバイワイヤシステムの全体構成図。 二系統の反力装置及び転舵装置の概略構成図。 転舵装置制御部の基本構成を示すブロック図。 反力装置制御部の基本構成を示すブロック図。 第1実施形態のステアリング制御装置のブロック図。 (a)限界角度絶対値マップ、(b)限界角度補正値マップ。 反力装置の角度の上下限ガードマップ。 (a)正側をガードするエンド提示指令値マップ、(b)負側をガードするエンド提示指令値マップ。 ステアリングホイールトルク制御部のPID制御器の制御ブロック図。 制御停止判定演算のフローチャート。 比較例1(制御停止無し)によるエンド制御のタイムチャート。 比較例2(制御停止有り)によるエンド制御のタイムチャート。 本実施形態によるエンド制御のタイムチャート。 第2実施形態のステアリング制御装置のブロック図。
本明細書において「実施形態」とは本発明の実施形態を意味する。以下、本発明のステアリング制御装置の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。このステアリング制御装置は、ステアバイワイヤシステムにおいて反力装置及び転舵装置を制御する装置である。複数の実施形態で実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。以下の第1、第2実施形態を包括して「本実施形態」という。
図1に、操舵機構と転舵機構とが機械的に分離されたステアバイワイヤシステム90の全体構成を示す。図1において、車輪99は片側のみを図示し、反対側の車輪の図示を省略する。ステアバイワイヤシステム90は、反力装置70、転舵装置80、及び、トルクセンサ94を備える。
反力装置70は、反力用回転電機78と、反力用回転電機78を駆動する反力用電力変換器77と、反力用回転電機78の出力を減速する反力用減速機79とを含み、ステアリングシャフト92を介してステアリングホイール91と接続される。ステアバイワイヤシステム90では、ドライバは操舵に対する反力を直接感知することができない。そこで、反力回転電機78は、操舵に対する反力を付与するようにステアリングホイール91を回転させ、ドライバに適切な操舵フィーリングを与える。
転舵装置80は、転舵用回転電機88と、転舵用回転電機88を駆動する転舵用電力変換器87と、転舵用回転電機88の出力を減速する転舵用減速機89とを含む。転舵用回転電機88の回転は、転舵用減速機89からピニオンギア96、ラック軸97、タイロッド98、ナックルアーム985を介して車輪99に伝達される。詳しくは、ピニオンギア96の回転運動はラック軸97の直線運動に変換され、ラック軸97の両端に設けられたタイロッド98がナックルアーム99を往復移動させることで、車輪99が転舵される。
トルクセンサ94は、トーションバーの捩れ変位に基づき、ステアリングシャフト92に加わるドライバの操舵入力を検出する。トルクセンサ94の検出値T_snsはステアリング制御装置200に入力される。
ステアリングホイール91の操舵角は、ステアリングホイール91の中立位置に対する回転方向に応じて、例えば図1のCW方向が正、CCW方向が負と定義される。これに対応して車輪99の転舵角の正負が定義される。角速度は、角度と同じ符号で定義される。また、ドライバがステアリングホイール91をCW方向に回すときのトルクセンサ94の検出値T_snsは正である。
さらに、反力装置70でステアリングホイール91をCW方向に回すときの反力装置70の出力トルクも正である。反力装置70の出力トルクがCW方向に作用しているとき、ドライバがステアリングホイール91を保舵すると、ドライバはCCW方向にトルクを加えるため、トルクセンサ94の検出値T_snsは負となる。
ステアリング制御装置200は、マイコン等を主体として構成され、内部にはいずれも図示しないCPU、ROM、RAM、I/O、及び、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。ステアリング制御装置200の各処理は、ROM等の実体的なメモリ装置(すなわち、読み出し可能非一時的有形記録媒体)に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。
図1に示すように、本実施形態では、反力装置制御部270と転舵装置制御部280とが物理的に離れた状態で設けられている。二つの制御部270、280は、CAN通信等の車両ネットワークや専用の通信ラインを経由して互いに情報を通信することで、協働してステアリング制御装置200として機能する。
例えば二点鎖線で示すように、反力装置70は、反力装置制御部270と反力用電力変換器77と反力用回転電機78とが一体に構成される。同様に転舵装置80は、転舵装置制御部280と転舵用電力変換器87と転舵用回転電機88とが一体に構成される。このような、いわゆる「機電一体式」のモータ構造は、電動パワーステアリング装置の分野において周知である。
次に図2を参照し、反力装置70及び転舵装置80における電力変換器77、87及び回転電機78、88の具体的な構成形態について説明する。反力装置70と転舵装置80とは同様の構成であるため、図中の符号を併記する。以下の説明では、「反力用」、「転舵用」の記載を省略しつつ、代表として反力装置70の構成要素の符号を用いて説明する。転舵装置80については、符号を読み替えて解釈するものとする。
本実施形態の回転電機78は二系統の三相ブラシレスモータであり、電力変換器77は二系統の三相インバータである。回転電機78は、二系統の巻線として第1系統巻線781及び第2系統巻線782を有する。二系統の巻線781、782は、例えば位相を電気角30[deg]ずらして配置されている。回転電機78が出力するトルクTmは、第1系統巻線781への通電により生成される第1系統トルクTm1と、第2系統巻線782への通電により生成される第2系統トルクTm2との合算値となる。
電力変換器77は、第1系統巻線781に通電する第1系統電力変換器771、及び、第2系統巻線782に通電する第2系統電力変換器772を含む。図2の例では、二系統の電力変換器771、772は、共通のバッテリ11から供給された直流電力をそれぞれ三相交流電力に変換する。他の例では、各電力変換器771、772は、個別のバッテリに接続されてもよい。
次に図3、図4を参照し、反力装置制御部270及び転舵装置制御部280の基本構成を説明する。この基本構成の説明では、図5、図14に示す第1、第2実施形態の特有の制御構成の説明に先立ち、ステアバイワイヤシステム90における反力装置70及び転舵装置80の概略的な制御の理解を目的とする。反力装置70の出力に関するパラメータの記号には「r」、転舵装置80の出力に関するパラメータの記号には「t」を付す。以下、反力装置70及び転舵装置80の符号「70」、「80」の記載を適宜省略する。
図3、図4において、反力装置の角度θr及び角速度ωr、転舵装置の角度θt等の値は、回転電機78、88の回転角度に減速機79、89の減速比を乗除した換算後の値とする。まず図3に転舵装置制御部280の基本構成を示す。反力装置の角度θrはバンドパスフィルタ(図中「BPF」)31を介して角度比制御部320に入力される。角度比制御部320では、角度θrや車速Vに応じた反力装置70と転舵装置80との角度比が演算される。
角度制御部360の偏差算出部361は、反力装置の角度θrに角度比を乗じた値と転舵装置の角度θtとの角度偏差Δθr-tを算出する。PID制御器362は、角度偏差Δθr-tを0に近づけるように、転舵トルク指令値T*t、又は、転舵トルク指令値T*tに対応する転舵用回転電機88の電流指令値I*tを演算する。転舵装置電流制御部380は偏差算出器381とPI制御器382とを含み、転舵トルクTt又は電流Itのフィードバック制御により、転舵用回転電機88に流す電流を制御する。
ところで、偏差算出部361で算出される角度偏差Δθは、正確には「反力装置の角度θrに角度比を乗じた値」と転舵装置の角度θtとの差分である。ただし本明細書では、「反力装置の角度θrに角度比を乗じた値」を「反力装置の角度θr」とみなし、「反力装置の角度θrと転舵装置の角度θtとの偏差」を「角度偏差Δθr-t」と記す。
図4に反力装置制御部270の基本構成を示す。ステアリングホイールトルク制御部620は、反力制御部510、粘性制御部520、慣性制御部530、戻し制御部540でそれぞれ算出されたトルク指令値に基づき、反力トルク指令値の基本値である基本反力トルク指令値T*r_bを算出する。
反力制御部510は、「転舵装置の出力トルクに相当する物理量」に基づく反力制御により反力装置の反力指令値を算出し、さらに、車速Vに応じた車速ゲインを反力指令値に乗じてステアリングトルク指令値T*stを算出する。「転舵装置の出力トルクに相当する物理量」には、転舵トルクTt、転舵トルク指令値T*t、転舵用回転電機88に流れる電流It又は電流指令値I*t等が該当する。以下、「転舵装置の出力トルクに相当する物理量」を略して「転舵トルク相当量」とも記す。
粘性制御部520は、「反力装置の回転角速度ωrに相当する物理量」に基づく粘性制御により反力装置の粘性指令値Tviscを算出する。図には、「反力装置の回転角速度ωrに相当する物理量」の代表として「ωr」の記号のみを記す。明細書中「回転角速度ωr」を単に「角速度ωr」とも記す。
慣性制御部530は、回転角速度ωrの変化率から回転角加速度αrを算出する疑似微分部531、及び、回転角加速度αrに基づく慣性指令値算出部532を含む。慣性制御部530は、「反力装置の回転角加速度αrに相当する物理量」に基づく慣性制御により反力装置の慣性指令値Tinertを算出する。図には、「反力装置の回転角加速度αrに相当する物理量」の代表として「αr」の記号のみを記す。
戻し制御部540は、反力装置の角度θr、角速度ωr、車速V、トルクセンサ94の検出値T_snsに基づき、ステアリングホイール91を中立位置に戻す方向に作用する戻し指令値Tretを算出する。
加算器552、553、554では、ステアリングトルク指令値T*stの符号反転値(-T*st)に対し、粘性指令値Tvisc、慣性指令値Tinert及び戻し指令値Tretが順に加算される。加算器554による加算後の値が「ステアリングトルク指令値T*stに基づく目標値T**st」としてステアリングホイールトルク制御部620に入力される。
ステアリングホイールトルク制御部620の偏差算出部621は、目標値T**stとトルクセンサ94の検出値T_snsとのトルク偏差ΔTを算出する。PID制御器622は、トルク偏差ΔTを0に近づけるようにPID制御する。こうしてステアリングホイールトルク制御部620は、トルクセンサ94の検出値T_snsが目標値T**stに追従するよう、サーボ制御(すなわちフィードバック制御)により基本反力トルク指令値T*r_bを算出する。
エンド制御部580は、反力装置の角度θr及び角速度ωrに基づき、エンド提示指令値Tendを算出する。エンド制御部580は、反力装置の角度の絶対値|θr|、もしくは転舵装置の角度の絶対値|θt|が所定の限界角度値θ_lim以上のとき、ドライバが限界角度値θ_lim以上にステアリングホイール91を操舵不能とするように反力装置のエンド提示指令値Tendを算出する。
上述の角度制御部360の説明にも記載した通り、反力装置の角度θr及び転舵装置の角度θtは、適宜、換算係数を乗除した値を用いて対比可能である。本実施形態では、むしろ限界角度値θ_limとの比較において反力装置の角度θr及び転舵装置の角度θtは、適宜、換算係数を乗除した値が用いられることを前提とする。本明細書中、反力用減速機79や転舵用減速機89の具体的な減速比等にかかわらず、「反力装置の角度θr」及び「転舵装置の角度θt」は、必要に応じて換算された値を指すものとして解釈する。また、「反力装置の角度θr」と「転舵装置の角度θt」とを同列に扱い、「反力装置もしくは転舵装置の角度θr、θt」というように記す。
エンド提示指令値Tendは、加算器64で基本反力トルク指令値T*r_bに加算される。また、エンド提示指令値Tendは、ステアリングホイールトルク制御部620のPID制御器622に対し、制御停止を指令する信号として通知される。この点について詳しくは後述する。
反力装置電流制御部680は偏差算出器681とPI制御器682とを含む。反力装置電流制御部680は、反力トルクTr又は電流Irのフィードバック制御により、基本反力トルク指令値T*r_b及びエンド提示指令値Tendに基づき、反力用回転電機78に流す電流を制御する。
(第1実施形態)
続いて各実施形態の説明に移る。第1、第2実施形態のステアリング制御装置の符号を、それぞれ「201」、「202」とする。まず図5~図10を参照し、第1実施形態のステアリング制御装置201の制御構成について説明する。図5には、図4に記した反力装置制御部270の基本構成のうち、特にエンド制御部580の構成を詳しく示す。反力制御部510、粘性制御部520、慣性制御部530及び戻し制御部540については図示を省略する。図6~図8には、図5の構成で用いられるマップの具体例を示す。図9には、ステアリングホイールトルク制御部620の制御停止に関する具体的構成を示す。図10には制御停止判定演算のフローチャートを示す。
エンド制御部580の限界角度絶対値マップ581では車速V、すなわち車両の速度に応じて限界角度値θ_limの絶対値が可変に設定される。例えば図6(a)に示すように、車速V1以下の低速域では比較的大きな絶対値θ_lim1が設定され、車速V2以上の高速域では比較的小さな絶対値θ_lim2が設定される。車速V1からV2までの領域では絶対値θ_lim1から絶対値θ_lim2に徐変する。また、最大の限界角度絶対値θ_lim1は、転舵装置80の機械的な限界角度を換算した角度θ_lim_mechよりも小さい値に設定される。
限界角度補正値マップ582では車速Vに応じて限界角度値θ_limの補正値が可変に設定される。例えば図6(b)に示すように、車速V3以下の低速域では比較的大きな補正値θ_lim3が設定され、車速V4以上の高速域では比較的小さな補正値θ_lim4が設定される。車速V3からV4までの領域では補正値θ_lim3から補正値θ_lim4に徐変する。車速V3、V4は限界角度絶対値マップ581の車速V1、V2と一致してもよい。また、補正値θ_lim3と補正値θ_lim4との差は、限界角度絶対値マップ581の絶対値θ_lim1と絶対値θ_lim2との差に一致してもよい。
限界角度絶対値から限界角度補正値を差し引いた差分は、補正後限界角度θ_lim#として、転舵装置制御部280の上下限ガードマップ33に入力される。図7に示すように、上下限ガードマップ33では、反力装置の角度θrについての上下限ガード値を補正後限界角度θ_lim#に応じて変更する。
以下、限界角度絶対値マップ581で設定された限界角度値そのもののを「正の限界角度値θ_lim」といい、限界角度絶対値マップ581で設定された限界角度値の符号反転値を「負の限界角度値(-θ_lim)」という。また、反力装置もしくは転舵装置の角度θr、θtの符号、すなわち、中立位置に対する舵角の方向に応じて適宜選択される「正の限界角度値θ_lim」及び「負の限界角度値(-θ_lim)」を合わせて「限界角度調整値(±θ_lim)」という。限界角度調整値は、「中立位置に対する舵角の方向に応じて符号が調整された限界角度値」と定義される。
差分算出器584Nでは、反力装置もしくは転舵装置の角度θr、θtに正の限界角度値θ_limが加算され、エンド角度θend_Nが算出される。ここで、最終的にはエンド提示指令値マップ586Nのガードにより負の角度θr、θtに対応するエンド提示指令値Tend_Nのみが有効に用いられる。つまり、最終的なエンド提示指令値Tendの視点から、負の角度θr、θtと正の限界角度値θ_limとが加算される。そのため、形式的には加算器として図示されているが、実質的には「差分算出器584N」として解釈する。
演算器585Nでは、エンド角度θend_Nに「K1+D1s」が乗算され、ガード前エンド提示指令値Tend_Nが算出される。ここで、K1は比例項係数、D1は微分項係数、sは微分演算子である。演算器585Nでは、角度の差分に比例項係数K1を乗じた値と、反力装置もしくは転舵装置の角速度ωr、ωtに微分項係数D1を乗じた値とが加算される。
図8(a)に示すように、エンド提示指令値マップ586Nでは、ガード前エンド提示指令値Tend_Nのうち正の値を0でガードし、負の値のみを残す。これにより、反力装置もしくは転舵装置の負の角度θr、θtに対応する負のガード後エンド提示指令値Tend_Nが算出される。なお、エンド提示指令値マップの横軸及び縦軸はトルク又は電流である。エンド提示指令値はトルク値で設定されてもよく、或いは、電電流値で設定され、他のトルク値と比較される場合や加減算される場合にトルク値に変換されてもよい。
同様に差分算出器584Pでは、反力装置もしくは転舵装置の角度θr、θtに負の限界角度値(-θ_lim)が加算され、エンド角度θend_Pが算出される。ここで、最終的にはエンド提示指令値マップ586Pのガードにより正の角度θr、θtに対応するエンド提示指令値Tend_Pのみが有効に用いられる。つまり、最終的なエンド提示指令値Tendの視点から、正の角度θr、θtと負の限界角度値(-θ_lim)とが加算される。そのため、形式的には加算器として図示されているが、実質的には「差分算出器584P」として解釈する。
演算器585Pでは、エンド角度θend_Pに「K1+D1s」が乗算され、ガード前エンド提示指令値Tend_Pが算出される。図8(b)に示すように、エンド提示指令値マップ586Pでは、ガード前エンド提示指令値Tend_Pのうち負の値を0でガードし、正の値のみを残す。これにより、反力装置もしくは転舵装置の正の角度θr、θtに対応する正のガード後エンド提示指令値Tend_Pが算出される。
加算器587では、正負のガード後エンド提示指令値Tend_P、Tend_Nが加算され、エンド提示指令値Tendとして出力される。エンド提示指令値Tendは、加算器64で基本反力トルク指令値T*r_bに加算される。また、エンド提示指令値Tendは制御停止判定部588に通知される。
制御停止判定部588は、転舵トルクTt相当量、トルクセンサ94の検出値T_sns、及びエンド提示指令値Tendを取得し、これらの情報に基づき、図10に示す判定演算によりステアリングホイールトルク制御部620の制御停止を判定する。
図9を参照し、制御停止に関する具体的構成について補足する。図9に、ステアリングホイールトルク制御部620のPID制御器622の構成例を示す。この構成は、特許第6299087号公報の図4、段落[0034]、[0035]に開示されたアシストコントローラの構成を応用したものである。PID制御器622は、微分演算器623、比例制御器624P、積分制御器624I、微分制御器624D、加算器625、及び、積分演算器626を有し、反力装置70の出力トルクをフィードバック制御する。
微分演算器623は入力されたトルク偏差ΔTを微分する。比例制御器624Pは比例ゲインKpを用いてP制御を行う、積分制御器624Iは積分ゲインKiを用いてI制御を行う。微分制御器624Dは微分ゲインKdを用いてD制御を行う。加算器625はP制御、I制御、D制御の出力を加算する。
積分演算器626は、ステアリングホイールトルク制御部620の最終段に設けられ、加算器625による加算値を積分して出力する。この構成においてステアリングホイールトルク制御部620の制御が停止されるとき、積分演算器626による積分演算が停止される。積分演算の停止中も、各制御器624P、624I、624Dによるフィードバック制御演算は継続される。
図5に戻る。反力トルク指令値T*rの演算過程に反力装置電流制限部67が設けられる。反力装置電流制限部67は、反力装置70の過熱保護、電力制限、電源低下防止等のため、反力装置電流Irを電流制限値以下に制限する。反力装置電流制限部67による制限前の反力トルク指令値をT*r、反力装置電流指令値をI*rと記し、制限後の反力トルク指令値をT*r#、反力装置電流指令値をI*r#と記す。制限前の反力装置電流指令値の絶対値|I*r|が電流制限値を上回る場合、反力装置70の出力が制限される。反力装置電流制限部67で電流制限が実施されると、ステアリングホイールトルク制御部620のPID制御器622にも通知され、制御(積分)が停止される。
次に図10のフローチャートを参照し、エンド制御部580の制御停止判定部588による制御停止判定演算について説明する。フローチャートの説明で記号「S」はステップを示す。S11では、エンド提示指令値Tendが0より小さいか、すなわち負の値であるか判断される。S11でYESの場合、ステアリングホイール91を右方向に切った状態に相当する。
この状態において転舵トルク相当量が0以下、且つ、トルクセンサ94の検出値T_snsが0以上の場合、すなわち、右側のエンドに近づく方向の値である場合、S12でYES、S13でYESと判断され、S14に移行する。S14でエンド制御部580は、ステアリングホイールトルク制御部620の制御、詳しくは積分を停止する。S12又はS13でNOの場合、すなわち、右側のエンドから離れる方向の値である場合には制御を継続、或いは制御の停止を解除する。
S11でNOの場合、S15では、エンド提示指令値Tendが0より大きいか判断される。S15でYESの場合、ステアリングホイール91を左方向に切った状態に相当する。S15でNOの場合、中間又は保舵状態であり、処理を終了する。
この状態において転舵トルク相当量が0以上、且つ、トルクセンサ94の検出値T_snsが0以下の場合、すなわち、左側のエンドに近づく方向の値である場合、S16でYES、S17でYESと判断され、S18に移行する。S18でエンド制御部580は、ステアリングホイールトルク制御部620の制御、詳しくは積分を停止する。S16又はS17でNOの場合、すなわち、左側のエンドから離れる方向の値である場合には制御を継続、或いは制御の停止を解除する。
ここで、S11又はS15でYESと判定された場合、すなわち、舵角の方向に応じた符号のエンド提示指令値Tendが出力されている場合、反力装置もしくは転舵装置の角度の絶対値|θr|、|θt|が限界角度値θ_lim以上であることを意味する。
次に図11~図13のタイムチャートを参照し、比較例及び本実施形態によるエンド到達時の挙動について説明する。各図には、上から順に、反力装置もしくは転舵装置の角度θr、θt、ステアリングホイールトルク制御部620の出力である基本反力トルク指令値T*r_b、エンド当て判定信号、トルクセンサ94の検出値T_sns、及び、エンド提示指令値Tendの変化を示す。説明中の角度の記号は「θr」を用いる。なお、各量の正負の符号は図に準じて記載する。逆方向の操舵の場合には各符号を逆に読み替えて解釈すればよい。
各図において角度θrは初期から増加し、時刻t1に限界角度値θ_lim、すなわちエンドに到達する。この時、エンド当て判定信号がOFFからONに切り替わる。また、トルクセンサ94の検出値T_snsは0から上限値まで上昇し、エンド提示指令値Tendは0から負側へ減少し始める。その後、時刻t2に角度θrは最大値に到達する。
以下の説明中、「制御停止」とは、エンド到達時におけるステアリングホイールトルク制御部620のフィードバック制御の停止、詳しくは積分演算の停止を意味する。図11に示す比較例1では、エンド到達時においても「制御停止」を実施しない。時刻t1後、負のエンド提示指令値Tendが生成される。しかし、ステアリングホイールトルク制御部620のフィードバック制御により、エンド提示指令値Tendを打ち消すように基本反力トルク指令値T*r_bが出力される。角度θrは最大値で一定となり、エンド当て判定信号はONのまま維持される。トルクセンサ94の検出値T_snsは、基本反力トルク指令値T*r_bがエンド提示指令値Tendで打ち消された成り行きの値となる。
図12に示す比較例2、及び、図13に示す本実施形態では、エンド到達時に「制御停止」を実施することで、時刻t1以後、ステアリングホイールトルク制御部620の出力T*r_bは増加せず、一定値に保たれる。また、時刻t2から時刻t3まで角度θrがドライバの入力トルクに応じた最大値で略一定となる。その期間、負のエンド提示指令値の絶対値|Tend|は最大となり、トルクセンサ94の検出値T_snsは上限値で一定となる。
時刻t3に切り戻しが開始されて角度θrが減少し始めると、トルクセンサ94の検出値T_snsは0となり、エンド提示指令値の絶対値|Tend|は減少し始める。時刻t4に角度θrが限界角度値θ_lim以下になると、エンド当て判定信号がONからOFFに切り替わる。比較例2と本実施形態とでは、ステアリングホイールトルク制御部620の制御停止が解除され、出力T*r_bが切り込み方向の値から切り戻し方向の値に反転し始めるタイミングが異なる。
比較例2では、時刻t4にエンド当て判定信号がONからOFFに切り替わるタイミングで制御停止が解除される。ステアリングホイールトルク制御部620の出力T*r_bは正の値からゼロクロスし、負の値に移行する。0と負の値との差分は、ギヤの摩擦などのロストルクの補償分に相当する。比較例2では、時刻t3から時刻t4までの期間τ、トルクセンサ94の検出値T_snsが負の値になる。つまり、エンドからの切り戻しを開始した直後、ステアリングホイール91が重くなり、ドライバは、ステアリングホイール91がエンドに吸着されるように感じる。
一方、本実施形態では、時刻t3に切り戻しを開始すると同時に制御停止が解除され、トルクセンサ94の検出値T_snsは、時刻t3以後、0に維持される。したがって、ドライバは、エンドからの切り戻しを開始した直後にもステアリングホイール91が重いと感じることなく、自然に操舵可能である。
(第2実施形態)
次に図14を参照し、第2実施形態のステアリング制御装置202の制御構成について説明する。第2実施形態は、第1実施形態の構成に加え、エンドに接近していることをドライバに提示するためにステアリングの手応えを大きくするエンド接近提示制御部590をさらに備える。それ以外の点で、第2実施形態のステアリング制御装置202の構成は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
エンド接近提示制御部590は、反力装置もしくは転舵装置の角度θr、θtに応じてエンド接近提示指令値TendAを算出する。算出されたエンド接近提示指令値TendAは、反力制御部510の直後の加算器551でステアリングトルク指令値T*stに加算される。これにより、ステアリングの手応えが大きくなるため、ドライバはもうすぐエンドに達することを認知する。
エンド接近提示制御部590の具体的な構成は、図5に示すエンド制御部580の構成と同様であるため、エンド制御部580の符号を一部援用する。すなわち、限界角度絶対値マップ581に基づく限界角度調整値(±θ_lim)と、反力装置もしくは転舵装置の角度θr、θtとの差分が演算器595N、595Pに入力される。
演算器595N、595Pの基本的な演算構成は、エンド制御部580の演算器585N、585Pと同様である。ただし、比例項係数及び微分項係数について、第1実施形態と区別した記号「K2」、「D2」を用いる。つまり、「エンド提示」と「エンド接近提示」との特性の違いは、比例項係数及び微分項係数の値によって調整される。また、出力される提示指令値の記号を、「エンド提示指令値Tend」に対し「エンド接近提示指令値TendA」と記す。エンド接近提示指令値マップ596N、596Pは、エンド提示指令値マップ586N、586Pと名称が異なるのみであり、図8のマップ例が援用される。
[本実施形態の作用効果]
(1)本実施形態のエンド制御部580は、反力装置もしくは転舵装置の角度の絶対値|θr|、|θt|が限界角度値θ_lim以上であり、且つ、転舵トルク相当量及びトルクセンサ94の検出値T_snsがエンドに近づく方向の値であるとき、ステアリングホイールトルク制御部620の制御を停止する。一方、転舵トルク相当量又はトルクセンサ94の検出値T_snsがエンドから離れる方向の値であるとき、エンド制御部580は、制御の停止を解除する。
このように本実施形態では、トルクセンサ94の検出値T_snsが目標値T**stに追従するようにフィードバック制御する制御構成において、エンド制御によりステアリングホイールトルク制御部620の制御の実行又は停止を切り替える。フィードバック制御を停止することで、反力装置のトルクを増やしたとき、舵角エンド提示のためのトルクがフィードバック制御により打ち消されることが防止される。よって、自然な舵角エンドをドライバに提示することができる。
(2)エンド提示指令値Tendは、限界角度調整値(±θ_lim)と、反力装置もしくは転舵装置の角度θr、θtとの差分に比例項係数K1を乗じた値と、反力装置もしくは転舵装置の回転角速度ωr、ωtに微分項係数D1を乗じた値とを加算した値に基づいて算出される。静的な位置に基づく比例項のみでなく、動的な位置変化が反映される微分項がエンド提示指令値Tendに含まれることで、より自然な舵角エンドがドライバに提示される。
(3)限界角度値θ_limは、転舵装置の機械的な限界角度θ_lim_mechよりも小さい値、つまり中立位置から見て、制御のオーバーシュートを見込んだ程度、手前の位置に設定される。これにより、転舵装置80のギヤ等の部品を衝突による破損や摩耗から保護することができる。
(4)限界角度値θ_limは、車速Vに応じて可変に設定される。これにより、車速Vに応じた自然な舵角エンドを提示することができる。
(5)エンド制御部580は、ステアリングホイールトルク制御部620の制御を停止するとき、図9に示すように、最終段の積分演算器626による積分演算を停止する。積分演算の停止中も、各制御器624P、624I、624Dによるフィードバック制御演算は継続されるため、制御停止を解除したとき、連続性が確保される。
(6)第2実施形態では、エンド接近提示制御部590により反力装置もしくは転舵装置の角度θr、θtに応じて算出されたエンド接近提示指令値TendAが、ステアリングトルク指令値T*stに加算される。これにより、中立位置から見て限界角度値θ_limの手前で、限界角度値θ_limに接近していることをドライバに提示することができる。
[補足:特開2006-62625号公報(以下「参考文献」)との対比]
参考文献の段落[0048]-[0050]、図2、図5等には、ステアバイワイヤシステムの車両用操舵制御装置において、「操舵制御コントロールユニットは、操舵角が操向輪の限界転舵角に対応する操舵角であるロック角度に到達したとき、操舵角がロック角度を超えないロック角度近傍の所定操舵角と一致するように操舵反力を制御する角度サーボ制御を実施すること」、「操舵制御コントロールユニットは、操舵角と所定操舵角との偏差が所定値以下となるまで角度サーボ制御を継続し、操舵トルクが所定値以下となったとき、角度サーボ制御を解除すること」が開示されている。本実施形態は、この参考文献に開示された技術と類似するようにも思われるが、以下の点で相違する。
参考文献の制御では、一時的な大きなトルク入力により操舵角が所定操舵角(すなわちエンド位置)を超えたとき、角度サーボ制御により反力トルクを増加して所定操舵角まで戻す。強制的に所定操舵角まで戻されるため、ドライバが違和感を覚えるおそれがある。それに対し本実施形態では、ステアリングホイールトルク制御部620にて反力トルクをトルクフィードバック制御し、操舵角がエンドに達したらトルクフィードバック制御の積分を停止する。そのため、一時的な大きなトルクが入力された場合、ドライバはトルクに応じた分の操舵が可能であり、固いものに当たった感触を提示することができる。
(その他の実施形態)
(a)ステアバイワイヤシステム90において、反力装置70又は転舵装置80は、図1に示す反力用減速機79又は転舵用減速機89を含まなくてもよい。
(b)ステアリング制御装置200は、図1に示すような機電一体式の構成に限らず、制御部270、280及び電力変換器77、87が回転電機78、88と分離して配置されてもよい。その場合、二つの制御部270、280が物理的に分離せず、一体のステアリング制御装置200として構成されてもよい。或いは、反力装置70又は転舵装置80の一方が、統括的な制御部を含む機電一体式で構成され、他方の装置に対して信号を送受信する構成としてもよい。
(c)本実施形態において各量の算出に用いられる「Xに相当する物理量」には、代表的に示される物理量Xの他、係数の乗除や微積分演算により一意的にXに変換可能な各種物理量が含まれる。例えば「反力装置の回転角速度ωr([deg/s]」に相当する物理量には、反力用回転電機78の回転数[rpm]や、反力用回転電機78の出力軸に減速機79等を介して接続される各部の回転数等が含まれる。
(d)上記実施形態のエンド制御部580の構成では、正負の限界角度値θ_lim、(-θ_lim)と反力装置もしくは転舵装置の角度θr、θtとの差分に基づき、それぞれエンド提示指令値Tend_N、Tend_Pを算出した後、正側のみをガードした値と負側のみをガードした値とを組み合わせている。この構成例に限らず、中立位置に対する舵角の方向、すなわち反力装置もしくは転舵装置の角度θr、θtの符号に応じて、限界角度値θ_limの符号を調整し、最終的に正負を合わせた領域のエンド提示指令値Tendが得られる構成とすればよい。
本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
本開示に記載の制御装置及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御装置及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御装置及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
200(201、202)・・・ステアリング制御装置、
510・・・反力制御部、
580・・・エンド制御部、
620・・・ステアリングホイールトルク制御部、
680・・・反力装置電流制御部、
70・・・反力装置、77・・・反力用電力変換器、78・・・反力用回転電機、
80・・・転舵装置、87・・・転舵用電力変換器、88・・・転舵用回転電機、
90・・・ステアバイワイヤシステム、
91・・・ステアリングホイール、 94・・・トルクセンサ、 99・・・車輪。

Claims (6)

  1. 反力用回転電機(78)、及び、前記反力用回転電機を駆動する反力用電力変換器(77)を含み、ステアリングホイール(91)と接続される反力装置(70)と、
    転舵用回転電機(88)、及び、前記転舵用回転電機を駆動する転舵用電力変換器(87)を含み、車輪(99)を転舵する転舵装置(80)と、
    ドライバの操舵入力を検出するトルクセンサ(94)と、
    を備えるステアバイワイヤシステム(90)において、前記反力装置及び前記転舵装置を制御するステアリング制御装置であって、
    前記転舵装置の出力トルクに相当する物理量(Tt、T*t、It、I*t)に基づいてステアリングトルク指令値(T*st)を算出する反力制御部(510)と、
    前記トルクセンサの検出値(T_sns)が前記ステアリングトルク指令値に基づく目標値(T**st)に追従するよう、反力トルク指令値の基本値である基本反力トルク指令値(T*r_b)を算出するステアリングホイールトルク制御部(620)と、
    前記反力装置もしくは前記転舵装置の角度の絶対値(|θr|、|θt|)が所定の限界角度値(θ_lim)以上のとき、ドライバが前記限界角度値以上に前記ステアリングホイールを操舵不能とするように前記反力装置のエンド提示指令値を算出するエンド制御部(580)と、
    前記基本反力トルク指令値及び前記エンド提示指令値に基づき前記反力用回転電機に流す電流を制御する反力装置電流制御部(680)と、
    を有し、
    前記エンド制御部は、
    前記反力装置もしくは前記転舵装置の角度の絶対値が前記限界角度値以上であり、且つ、前記転舵装置の出力トルクに相当する物理量及び前記トルクセンサの検出値が前記限界角度値に近づく方向の値であるとき、前記ステアリングホイールトルク制御部の制御を停止するステアリング制御装置。
  2. 中立位置に対する舵角の方向に応じて符号が調整された前記限界角度値を限界角度調整値とすると、
    前記エンド提示指令値は、
    前記限界角度調整値と前記反力装置もしくは前記転舵装置の角度との差分に比例項係数(K1)を乗じた値と、前記反力装置もしくは前記転舵装置の回転角速度(ωr、ωt)に微分項係数(D1)を乗じた値とを加算した値に基づいて算出される請求項1に記載のステアリング制御装置。
  3. 前記限界角度値は、前記転舵装置の機械的な限界角度(θ_lim_mech)よりも小さい値に設定される請求項1または2に記載のステアリング制御装置。
  4. 前記限界角度値は、車両の速度に応じて可変に設定される請求項1~3のいずれか一項に記載のステアリング制御装置。
  5. 前記ステアリングホイールトルク制御部は、最終段に積分演算器(626)を有し、
    前記エンド制御部は、前記ステアリングホイールトルク制御部の制御を停止するとき、前記積分演算器による積分演算を停止する請求項1~4のいずれか一項に記載のステアリング制御装置。
  6. 中立位置から見て前記限界角度値の手前で前記限界角度値に接近していることをドライバに提示するように前記反力装置もしくは前記転舵装置の角度に応じて算出されたエンド接近提示指令値(TendA)が、前記ステアリングトルク指令値に加算される請求項1~5のいずれか一項に記載のステアリング制御装置。
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