JP7134743B2 - プロピレン系重合体、オレフィン重合用触媒および成形体 - Google Patents
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Description
特に、ポリプロピレンなどの高立体規則性ポリオレフィンを製造する際には、通常、内部ドナー(内部電子供与体)を含む固体状チタン触媒成分と、有機アルミニウム化合物と、外部ドナー(外部電子供与体)とからなる触媒が用いられている。例えば、内部ドナーとしてカルボン酸エステル類を含む塩化マグネシウム担持型固体状チタン触媒と、有機アルミニウム化合物とともに、外部ドナーとして有機ケイ素化合物とからなるオレフィン重合用触媒が知られている(例えば、特許文献1および2参照)。
(1)昇温溶出分別測定法(TREF)により122℃以上の温度で溶出する成分の割合が3.0~50重量%であり、かつ、100℃以下の温度で溶出する成分の割合が6.5~20重量%である;
(2)メルトフローレート(MFR)(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重下)が0.5~1000g/10分である;
(3)13C-NMRにより求められるメソペンタッド分率(mmmm)が98.0~100%である;
(4)23℃におけるn-デカン可溶成分量が0.01~2重量%である;
(5)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が2.5~20である。
(i)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび下記式(I)で表わされる電子供与体(I)を含み、かつ、下記要件(k1)~(k4)を満たす固体状チタン触媒成分と、
(ii-a)下記式(II-1)、(II-2)または(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分と、
(iii-a)周期律表の1族、2族または13族に属する元素を含む有機金属化合物成分と
を含む触媒〔A〕、または、
(p)前記触媒〔A〕にプロピレンが予備重合された予備重合触媒と、
(ii-b)下記式(II-1)、(II-2)または(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分と、
(iii-b)周期律表の1族、2族または13族に属する元素を含む有機金属化合物成分と
を含む触媒〔B〕であり、
前記オレフィン重合用触媒が前記触媒〔A〕の場合、前記触媒〔A〕は、前記有機ケイ素化合物成分(ii-a)として、下記式(II-1)で表わされる有機ケイ素化合物成分と、下記式(II-2)および(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分から選ばれる少なくとも1種の成分とを含み、
前記オレフィン重合用触媒が前記触媒〔B〕の場合、前記有機ケイ素化合物成分(ii-a)および(ii-b)の少なくとも一方に下記式(II-1)で表わされる有機ケイ素化合物成分が含まれ、さらに、前記有機ケイ素化合物成分(ii-a)および(ii-b)の少なくとも一方に下記式(II-2)および(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分から選ばれる少なくとも1種の成分が含まれる
ことを特徴とする。
(k1)チタン含有量が2.5重量%以下である;
(k2)電子供与体(I)の含有量が8~30重量%である;
(k3)電子供与体(I)/チタン(重量比)が7以上である;
(k4)室温でのヘキサン洗浄によってチタンが実質的に脱離されることがない。
Si(OR2)3(NR3R4) ・・・(II-1)
Si(OR2)2R1 2 ・・・(II-2)
Si(OR2)2R1R2 ・・・(II-3)
[式(II-1)~(II-3)中、R1は2級または3級の炭素数1~20の炭化水素基を示し、R2は1級の炭素数1~8の炭化水素基を示し、R3は炭素数1~12の炭化水素基または水素原子を示し、R4は炭素数1~12の炭化水素基を示す。]
前記固体状チタン触媒成分(i)は、
(a)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび前記式(I)で表わされる電子供与体を含み、かつ室温でのヘキサン洗浄によってチタンが脱離することがない固体状チタン、
(b)芳香族炭化水素、
(c)液状チタン、および
(d)前記式(I)で表わされる電子供与体
を接触させる工程を含む方法により調製することができる。
本発明の成形体は、本発明のプロピレン系重合体を含んでなることを特徴とする。
[プロピレン系重合体]
本発明のプロピレン系重合体は、下記要件(1)~(5)を満たすことを特徴とする。
(1)昇温溶出分別測定法(TREF)により122℃以上の温度で溶出する成分の割合が3.0~50重量%であり、かつ、100℃以下の温度で溶出する成分の割合が6.5~20重量%である;
(2)メルトフローレート(MFR)(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重下)が0.5~1000g/10分である;
(3)13C-NMRにより求められるメソペンタッド分率(mmmm)が98.0~100%である;
(4)23℃におけるn-デカン可溶成分量が0.01~2重量%である;
(5)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が2.5~20である。
以下、各要件について説明する。
本発明のプロピレン系重合体は、TREFにより122℃以上の温度で溶出する成分の割合が3.0~50重量%、好ましくは3.2~40重量%、より好ましくは3.5~30重量%である。前記溶出成分の割合が前記範囲内であると、プロピレン系重合体の立体規則性が充分に高くなり、プロピレン系重合体の耐熱性、および剛性の指標である曲げ弾性率等の機械的性質が向上する。
本発明のプロピレン系重合体は、MFR(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重下)が0.5~1000g/10分、好ましくは1.0~800g/10分、より好ましくは1.5~600g/10分、さらに好ましくは50~500g/10分、特に好ましくは100~400g/10分である。MFRが前記範囲内であると、プロピレン系重合体の成形性と機械強度とのバランスが優れる。
本発明のプロピレン系重合体は、13C-NMRにより求められるメソペンタッド分率(mmmm)が、98.0~100%、好ましくは98.1~100%、より好ましくは98.2~99.9%、特に好ましくは98.2~99.5%、とりわけ好ましくは98.2~99.3%である。メソペンタッド分率が前記範囲内であると、プロピレン系重合体の立体規則性が充分に高くなる。
本発明のプロピレン系重合体は、23℃におけるn-デカン可溶成分量が0.01~2重量%、好ましくは0.1~1.8重量%、より好ましくは0.2~1.5重量%である。デカン可溶成分量が前記範囲内であると、高結晶性成分が充分に確保され、低立体規則性成分の副生が少ない。
本発明のプロピレン系重合体は、GPCにより測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が2.5~20、好ましくは3~15、より好ましくは3.5~10、さらに好ましくは4.0~10、特に好ましくは4.5~10である。Mw/Mnが前記範囲内であると、プロピレン系重合体の成形性の観点から好ましい。
本発明で用いることができるオレフィン重合用触媒は、上述した本発明のプロピレン系重合体を得ることができれば特に限定されないが、例えば、
(i)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび下記式(I)で表わされる電子供与体(I)を含み、かつ、下記要件(k1)~(k4)を満たす固体状チタン触媒成分と、
(ii-a)下記式(II-1)、(II-2)または(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分と、
(iii-a)周期律表の1族、2族または13族に属する元素を含む有機金属化合物成分と
を含む触媒〔A〕、または、
(p)前記触媒〔A〕にプロピレンが予備重合された予備重合触媒と、
(ii-b)下記式(II-1)、(II-2)または(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分と、
(iii-b)周期律表の1族、2族または13族に属する元素を含む有機金属化合物成分と
を含む触媒〔B〕が挙げられる。
(k1)チタン含有量が2.5重量%以下である。
(k2)電子供与体(I)の含有量が8~30重量%である。
(k3)電子供与体(I)/チタン(重量比)が7以上である。
(k4)室温でのヘキサン洗浄によってチタンが実質的に脱離されることがない。
Si(OR2)3(NR3R4) ・・・(II-1)
Si(OR2)2R1 2 ・・・(II-2)
Si(OR2)2R1R2 ・・・(II-3)
式(II-1)~(II-3)中、R1は2級または3級の炭素数1~20の炭化水素基を示し、R2は1級の炭素数1~8の炭化水素基を示し、R3は炭素数1~12の炭化水素基または水素原子を示し、R4は炭素数1~12の炭化水素基を示す。
前記固体状チタン触媒成分(i)は、
(a)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび前記電子供与体(I)を含み、かつ室温でのヘキサン洗浄によってチタンが脱離することがない固体状チタン、
(b)芳香族炭化水素、
(c)液状チタン、および
(d)前記式(I)で表わされる電子供与体
を接触させる工程を含む方法により調製することができる。
前記固体状チタン(a)は、マグネシウム化合物、チタン化合物および電子供与体(内部ドナー)などを種々の方法により接触させることにより、公知の固体状チタン触媒成分の調製法(例えば特開平4-096911号公報、特開昭58-83006号公報、特開平8-143580号公報等参照)により製造することができる。
Ti(OR5)gX4-g ・・・(III)
式(III)中、R5は炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、0≦g≦4である。
前記電子供与体(I)は、前記式(I)で表わされる化合物である。
前記固体状チタン(a)は、前記マグネシウム化合物と、前記チタン化合物と、前記電子供与体(I)との接触により調製することができる。この際、固体状態のマグネシウム化合物を炭化水素溶媒に懸濁して用いることが好ましい。また、これら各成分を接触させる際に、液状形態のチタン化合物を1回用いて固形物(1)を生成させてもよく、得られた固形物(1)にさらに液状形態のチタン化合物を接触させて固形物(2)を生成させてもよい。さらに、この固形物(1)または(2)を必要に応じて炭化水素溶媒で洗浄してから固体状チタン(a)を調製することが好ましい。
このようにして得られた固体状チタン(a)は、室温でのヘキサン洗浄によってチタンが脱離することがない。
前記固体状チタン(a)との接触に用いられる芳香族炭化水素(b)としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、これらのハロゲン含有炭化水素などが挙げられる。これらの中では、キシレン(特にパラキシレン)が好ましい。前記固体状チタン(a)を、このような芳香族炭化水素(b)と接触させることにより、低立体規則性成分を副生する、いわゆる「剰余チタン化合物」を低減することができる。
前記固体状チタン(a)との接触に用いられる液状チタン(c)としては、該固体状チタン(a)を調製する際に用いたチタン化合物と同様のものを挙げることができる。それらの中でも、テトラハロゲン化チタンが好ましく、特に四塩化チタンが好ましい。
前記固体状チタン(a)との接触に用いられる電子供与体(d)の例としては、上述した電子供与体(内部ドナー)で例示したものと同じものを挙げることができる。それらの中でも、前記固体状チタン(a)の調製に使用した電子供与体と同じものを用いることが好ましい。
固体状チタン(a)、芳香族炭化水素(b)、液状チタン(c)および電子供与体(d)の接触は、通常110~160℃、好ましくは115℃~150℃の温度で、1分間~10時間、好ましくは10分間~5時間行われる。
固体状チタン(a)、芳香族炭化水素(b)、液状チタン(c)および電子供与体(d)は、不活性ガス雰囲気下、攪拌下に接触させることが好ましい。例えば、充分に窒素置換された攪拌機付きガラス製フラスコ中で、固体状チタン(a)、芳香族炭化水素(b)、液状チタン(c)および電子供与体(d)のスラリーを、上記温度で、攪拌機を100~1000rpm、好ましくは200~800rpmの回転数で、上記の時間、攪拌して、固体状チタン(a)、芳香族炭化水素(b)、液状チタン(c)および電子供与体(d)を接触させることが望ましい。
このような固体状チタン(a)と芳香族炭化水素(b)との接触により、固体状チタン(a)よりもチタン含有量が減少された固体状チタン触媒成分(i)が得られる。具体的には、チタン含有量が固体状チタン(a)よりも25重量%以上、好ましくは30~95重量%より好ましくは40~90重量%少ない固体状チタン触媒成分(i)が得られる。
(k2)電子供与体の含有量は8~30重量%、好ましくは9~25重量%、より好ましくは10~20重量%である。
(k3)電子供与体/チタン(重量比)は7以上、好ましくは7.5~35、より好ましくは8~30、特に好ましくは8.5~25である。
(k4)固体状チタン触媒成分(i)は、室温でのヘキサン洗浄によってチタンが実質的に脱離されることがない。なお、固体状チタン触媒成分(i)のヘキサン洗浄とは、固体状チタン触媒成分(i)1gに対して、通常10~500ml、好ましくは20~100mlの量のヘキサンで5分間洗浄することをいう。室温とは15~25℃である。また、チタンが実質的に脱離されることがないとは、ヘキサン洗浄液中のチタン濃度が0.1g/リットル以下であることを意味する。
(k5)固体状チタン触媒成分(i)は、平均粒径が5~70μmであり、好ましくは7~65μmであり、より好ましくは8~60μmであり、特に好ましくは10~55μmである。
本発明のオレフィン重合用触媒を構成する有機ケイ素化合物成分(ii)は、下記式(II-1)、(II-2)または(II-3)で表わされる。
Si(OR2)3(NR3R4) ・・・(II-1)
Si(OR2)2R1 2 ・・・(II-2)
Si(OR2)2R1R2 ・・・(II-3)
式(II-1)~(II-3)中、R1は2級または3級の炭素数1~20の炭化水素基を示し、R2は1級の炭素数1~8の炭化水素基を示し、R3は炭素数1~12の炭化水素基または水素原子を示し、R4は炭素数1~12の炭化水素基を示す。
R2としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、ter-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、シクロペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。これらの中ではメチル基およびエチル基が特に好ましい。
本発明のオレフィン重合用触媒を構成する有機金属化合物成分(iii)は、周期律表の1族、2族または13族に属する金属を含む有機金属化合物であり、例えば、有機アルミニウム化合物、第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化合物、第2族金属の有機金属化合物などが挙げられる。なお、有機金属化合物成分(iii)は、2種以上を併用してもよい。
前記有機アルミニウム化合物は、例えば下記式で示される。
Ra nAlX3-n
式中、Raは炭素原子数1~12の炭化水素基であり、Xはハロゲンまたは水素であり、nは1~3である。
Ra nAlY3-n
式中、Raは上記と同様であり、Yは-ORb基、-OSiRc 3基、-OAlRd 2基、-NRe 2基、-SiRf 3基または-N(Rg)AlRh 2基であり、nは1~2であり、Rb、Rc、RdおよびRhはメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などであり、Reは水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチルシリル基などであり、RfおよびRgはメチル基、エチル基などである。
・ Ra nAl(ORb)3-n で表される化合物、例えばジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシドなど。
・Ra nAl(OSiRc)3-n で表される化合物、例えばEt2Al(OSiMe3)、(iso-Bu)2Al(OSiMe3)、(iso-Bu) 2Al(OSiEt3)など。
・Ra nAl(OAlRd 2)3-nEt2AlOAlEt2、(iso-Bu) 2AlOAl(iso-Bu) 2 など。
上記のような有機アルミニウム化合物のうちでも、Ra 3Alで表される有機アルミニウム化合物が好ましく用いられる。
前記オレフィン重合用触媒は、前記固体状チタン触媒成分(i)と、前記有機ケイ素化合物成分(ii)と、前記有機金属化合物成分(iii)とを接触させる工程を含む方法により製造することができる。
本発明では、上記のような各成分から予備重合触媒(p)が形成されていてもよい。予備重合触媒(p)は、上述した各成分(i)、(ii)、(iii)および必要に応じて用いられる他の成分の存在下に、プロピレンを予備重合させることにより形成される。このような予備重合触媒(p)は、通常、有機ケイ素化合物(ii)および有機金属化合物(iii)とともにオレフィン重合用触媒を形成するが、予備重合触媒(p)のみをオレフィン重合用触媒として用いることができる場合もある。
本発明のプロピレン系重合体の製造方法では、上述したオレフィン重合用触媒の存在下でプロピレンを重合させる。
このようなプロピレン以外の他のオレフィンとしては、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、3-メチル-1-ブテンなどの炭素数3~8のオレフィンが挙げられる。
有機金属化合物(iii)は、該化合物(iii)中の金属原子が重合系中のチタン原子1モルに対し、通常約1~2000モル、好ましくは約2~500モルとなるような量で用いられる。
本発明では、重合は、通常、約20~150℃、好ましくは約50~100℃の温度で、また常圧~100kg/cm2、好ましくは約2~50kg/cm2の圧力下で行われる。
本発明では、重合を、バッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を、反応条件を変えて2段以上に分けて行うこともできる。
本発明の成形体は、上述した本発明のプロピレン系重合体を含んでなる。本発明のプロピレン系重合体は、高MFR(メルトフローレート)領域においても、高立体規則性を有するとともに、高剛性および高耐熱性を有することから、本発明の成形体は、温度変化による寸法変化が小さく寸法安定性に優れている。そのため、本発明の成形体は、例えば自動車用部品、家電部品、食品容器、医療容器など様々な分野に好適に用いることができる。前記自動車用部品としては、例えば、バンパー、ピラー、インストルメンタルパネル等の自動車内外装部材、エンジンファン、ファンシェラウド等の自動車機能部材、ルーフ、ドアパネル、フェンダー等の外板材などが挙げられる。
立体規則性の指標の1つと考えられるTREF高温溶出成分量は、下記条件における昇温分別測定によって得られる122℃以上で溶出したポリマー濃度から算出した。
装置:Polymer Char製CFC2型クロス分別クロマトグラフ
検出器:Polymer Char製IR4型赤外分光光度計(内蔵)
移動相:o-ジクロロベンゼン、BHT添加
流速:1.0mL/min
試料濃度:90mg/30mL
注入量:0.5mL
溶解条件:145℃、30min
安定化条件:135℃、30min
降温速度:1.0mL/min
溶出区分:-20℃~0℃ 10℃刻み、0℃~80℃ 5℃刻み、
80℃~104℃ 3℃刻み、104~126℃ 2℃刻み
溶出時間:3min
ASTM D1238に準拠し、測定温度は230℃、荷重2.16kgとした。
1.測定条件
装置:ブルカー・バイオスピン製AVANCE III cryo-500型核磁気共鳴装置
測定核:13C(125MHz)
測定モード:シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング
パルス幅:45°(5.00マイクロ秒)
繰り返し時間:5.5秒
積算回数:256回
測定溶媒:o-ジクロロベンゼン/重ベンゼン(80/20体積%)混合溶媒
試料濃度:50mg/0.6mL
測定温度:120℃
ケミカルシフト基準:21.59ppm(メソpentad methyl peak shifts)
2.算出法
重合体の立体規則性の指標の1つであり、そのミクロタクティシティーを調べたメソペンタッド分率(mmmm, %)は、上記1の測定条件により得られた13C-NMRスペクトルのピーク強度比より算出した。
S1 = (mmmm, mmmrを含むピーク)-(n-プロピル末端)-(n-ブチル末端)- mrrm * 2
S2 = S1 + mmmr + mmrr + mrrm + rrrr
= S1 + 5 * mrrm + rrrr
上記(式1)で算出するにあたり、例として、下記の如く帰属した。なお、mmmmのピークには、mmmrと(n-プロピル末端)及び(n-ブチル末端)の各ピークが重複している。
mmmr = mrrm * 2
mmrr = mrrm * 2
mrrm:19.5~19.7ppmのピーク面積
rrrr:20.0~20.2ppmのピーク面積
n-プロピル末端:(A1 + A3)/2
A1:14.2ppmのピーク面積
A3:39.4ppmのピーク面積
n-ブチル末端:36.7ppmのピーク面積
ガラス製の測定容器にプロピレン重合体約6グラム(この重量を、下式においてb(グラム)と表した)、デカン500ml、およびデカンに可溶な耐熱安定剤を少量装入し、窒素雰囲気下、スターラーで攪拌しながら2時間で150℃に昇温してプロピレン重合体を溶解させ、150℃で2時間保持した後、8時間掛けて23℃まで徐冷した。得られたプロピレン重合体の析出物を含む液を、磐田ガラス社製25G-4規格のグラスフィルターにて減圧濾過した。濾液の100mlを採取し、これを減圧乾燥してデカン可溶成分の一部を得た。この重量を、下式においてa(グラム)と表した。この操作の後、デカン可溶成分量を下記式によって決定した。
デカン可溶成分含有率(重量%)=100×(500×a)/(100×b)
分子量分布の指標であるMw/Mn値は、下記条件で測定したクロマトグラムを公知の方法によって解析することによって得た。
装置:Waters製ゲル浸透クロマトグラフAllianceGPC2000型
カラム:東ソー製TSKgel GMH6-HT x2 + TSKgel GMH6-HTL x2
移動相:o-ジクロロベンゼン(0.025%BHT含有)
流速:1.0ml/min
温度:140℃
カラム校正:東ソー製単分散ポリスチレン
試料濃度:0.15%(w/v)
注入量:0.4ミリリットル
実施例および比較例で製造されたプロピレン系重合体54重量部、プロピレン-エチレン共重合体ゴム(三井化学(株)製「タフマーS-4020」)6重量部、エチレン-ブテン共重合体ゴム(三井化学(株)製「タフマーA-1050S」)20重量部、タルク(浅田製粉(株)製「JM-209」)20重量部、耐熱安定剤「IRGANOX1010」(ビーエスエフ社)0.1重量部、耐熱安定剤「IRGAFOS168」(ビーエスエフ社)0.1重量部、およびステアリン酸カルシウム0.1重量部をタンブラーにて混合した。次いで、二軸押出機にて下記の条件で溶融混練してペレット状のプロピレン系樹脂組成物を調製し、射出成形機にて下記の条件で試験片を作成した。
同方向二軸混練機:(株)テクノベル 社製「KZW-15」
混練温度:190℃
スクリュー回転数:500rpm
フィーダー回転数:40rpm
射出成形機:東芝機械(株)製「EC40」
シリンダー温度:190℃
金型温度:40℃
射出時間-保圧時間:13秒(一次充填時間:1秒)
冷却時間:15秒
曲げ弾性率FM〔MPa〕は、JIS K7171に従って、下記の条件で測定した。
試験片:10mm(幅)×4mm(厚さ)×80mm(長さ)
曲げ速度:2mm/分
曲げスパン:64mm
<固体状チタン(a-1)の調製>
内容積2リットルの高速撹拌装置(特殊機化工業製)を充分窒素置換した後、該装置に精製灯油700ml、市販塩化マグネシウム10g、エタノール24.2gおよびソルビタンジステアレート(花王アトラス(株)製「エマゾール320」)3gを装入した。この系を撹拌下で昇温し、120℃および800rpmの条件で30分間撹拌した。高速撹拌下、内径5mmのテフロン(登録商標)製チューブを用いて、予め-10℃に冷却された精製灯油1リットルを張り込んである2リットルのガラスフラスコ(攪拌機付)に移液した。得られた固体を濾過し、精製n-ヘキサンで充分洗浄することにより、塩化マグネシウム1モルに対してエタノールが2.8モル配位した固体状付加物を得た。
充分に窒素置換された200mlのガラス製反応器に、得られた固体状チタン(a-1)、パラキシレン113ml、デカン11ml、四塩化チタン2.5ml(23ミリモル)及びジイソブチルフタレ-ト0.34ml(1.2ミリモル)を入れた。反応器内の温度を130℃に昇温し、その温度で1時間攪拌して接触処理した後、熱ろ過により固体部を採取した。この固体部を101mlのパラキシレンに再懸濁させ、さらに四塩化チタン1.7ml(15ミリモル)及びジイソブチルフタレート0.22ml(0.8ミリモル)を添加した。
窒素置換された200mlのガラス製反応器に、ヘキサン50ml、トリエチルアルミニウム5.0ミリモル、ジエチルアミノトリエトキシシラン0.75ミリモル、および得られた固体状チタン触媒成分(i-1)をチタン原子換算で0.25ミリモル装入した後、系内の温度を20℃に保ちながら、1.47リットル/時間の量でプロピレンを1時間供給した。この操作により、固体状チタン触媒成分(i-1)1g当り3gのプロピレンが予備重合された予備重合触媒(p-1)を得た。
内容積2リットルのオートクレーブに、プロピレン500gと水素1.8リットルとを装入し、系内の温度を60℃に昇温した。その後、トリエチルアルミニウムを0.50ミリモル、ジエチルアミノトリエトキシシランを0.10ミリモルおよび上記で得られた予備重合触媒(p-1)をチタン原子換算で0.0020ミリモル添加することにより重合を開始した。系内の温度を70℃に保ちながら1時間重合を行った。次いで、エタノールを添加することにより重合を停止し、未反応のプロピレンをパージしてポリプロピレン314.8gを得た。得られたポリプロピレンの物性を評価した結果を表1に示す。
比較例1の本重合における水素の装入量を5.0リットルに変更したこと以外は、比較例1と同様にして、ポリプロピレン216.3gを得た。得られたポリプロピレンの物性を評価した結果を表1に示す。
<固体状チタン触媒成分(i-2)の調製>
内容積2リットルの高速撹拌装置(特殊機化工業製「TKホモミクサーM型」)を充分窒素置換した後、この装置に精製デカン700ml、市販塩化マグネシウム10g、エタノール24.2gおよびソルビタンジステアレート(花王(株)製「レオドールSP-S20」)3gを装入した。この懸濁液を撹拌しながら昇温し、120℃にて800rpmで30分間撹拌した。次いで、この懸濁液を、沈殿物が生じないように高速撹拌しながら、内径5mmのテフロン(登録商標)製チューブを用いて、予め-10℃に冷却された精製デカン1リットルを張り込んである2リットルのガラスフラスコ(攪拌機付)に移した。生成した固体を濾過し、精製n-ヘプタンで充分洗浄することにより、塩化マグネシウム1モルに対してエタノールが2.8モル配位した固体状付加物を得た。
このようにして得られた固体状チタン触媒成分(i-2)の組成は、チタン3.2質量%、マグネシウム17質量%、塩素57質量%、3,6-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジイソブチル10.6質量%、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジイソブチル8.9質量%およびエチルアルコール残基0.6質量%であった。
固体状チタン触媒成分(i-1)の代わりに上記で得られた固体状チタン触媒成分(i-2)を用いたこと以外は、比較例1と同様にして予備重合触媒(p-2)を得た。
内容積2リットルのオートクレーブに、プロピレン500gと水素5.0リットルとを装入し、系内の温度を60℃に昇温した。その後、トリエチルアルミニウムを1.0ミリモル、ジエチルアミノトリエトキシシランを0.20ミリモルおよび上記で得られた予備重合触媒(p-2)をチタン原子換算で0.0040ミリモル添加することにより重合を開始した。系内の温度を70℃に保ちながら1時間重合を行った。次いで、エタノールを添加することにより重合を停止し、未反応のプロピレンをパージしてポリプロピレン113.1gを得た。得られたポリプロピレンの物性を評価した結果を表1に示す。
<予備重合触媒(p-1)の調製>
比較例1と同様にして予備重合触媒(p-1)を得た。
内容積2リットルのオートクレーブに、プロピレン500gと水素9.0リットルとを装入し、系内の温度を57℃に昇温した。その後、トリエチルアルミニウムを0.50ミリモル、ジエチルアミノトリエトキシシランを0.09ミリモル、ジシクロペンチルジメトキシシランを0.01ミリモルおよび上記で得られた予備重合触媒(p-1)をチタン原子換算で0.0020ミリモル添加することにより重合を開始した。系内の温度を60℃に保ちながら1時間重合を行った。次いで、エタノールを添加することにより重合を停止し、未反応のプロピレンをパージすることにより、ポリプロピレン152.0gを得た。得られたポリプロピレンの物性を評価した結果を表1に示す。
<予備重合触媒(p-3)の調製>
トリエチルアルミニウムの装入量を5.0ミリモルとし、ジエチルアミノトリエトキシシラン0.75ミリモルに替えて、ジエチルアミノトリエトキシシラン0.56ミリモルおよびジシクロペンチルジメトキシシラン0.19ミリモルを装入したこと以外は、比較例1と同様にして予備重合触媒(p-3)を得た。
内容積2リットルのオートクレーブに、プロピレン500gと水素7.5リットルとを装入し、系内の温度を60℃に昇温した。その後、トリエチルアルミニウムを0.50ミリモル、ジエチルアミノトリエトキシシランを0.10ミリモルおよび上記で得られた予備重合触媒(p-3)をチタン原子換算で0.0020ミリモル添加することにより重合を開始した。系内の温度を70℃に保ちながら1時間重合を行った。次いで、エタノールを添加することにより重合を停止し、未反応のプロピレンをパージすることにより、ポリプロピレン274.3gを得た。得られたポリプロピレンの物性を評価した結果を表1に示す。
<予備重合触媒(p-4)の調製>
ジエチルアミノトリエトキシシラン0.75ミリモルに替えて、ジイソプロピルジメトキシシラン0.50ミリモルを装入したこと以外は、比較例1と同様にして予備重合触媒(p-4)を得た。
内容積2リットルのオートクレーブに、プロピレン500gと水素7.5リットルとを装入し、系内の温度を60℃に昇温した。その後、トリエチルアルミニウムを0.50ミリモル、ジエチルアミノトリエトキシシランを0.10ミリモルおよび上記で得られた予備重合触媒(p-4)をチタン原子換算で0.0020ミリモル添加することにより重合を開始した。系内の温度を70℃に保ちながら1時間重合を行った。次いで、エタノールを添加することにより重合を停止し、未反応のプロピレンをパージすることにより、ポリプロピレン232.7gを得た。得られたポリプロピレンの物性を評価した結果を表1に示す。
<予備重合触媒(p-5)の調製>
ジエチルアミノトリエトキシシラン0.75ミリモルに替えて、ジエチルアミノトリエトキシシラン0.38ミリモルおよびジイソプロピルジメトキシシラン0.38ミリモルを装入したこと以外は比較例1と同様にして予備重合触媒(p-5)を得た。
内容積2リットルのオートクレーブに、プロピレンを500gと水素7.5リットルとを装入し、系内の温度を60℃に昇温した。その後、トリエチルアルミニウムを0.50ミリモル、ジエチルアミノトリエトキシシランを0.10ミリモルおよび上記で得られた予備重合触媒(p-5)をチタン原子換算で0.0020ミリモル添加することにより重合を開始した。系内の温度を70℃に保ちながら1時間重合を行った。次いで、エタノールを添加することにより重合を停止し、未反応のプロピレンをパージすることにより、ポリプロピレン231.1gを得た。得られたポリプロピレンの物性を評価した結果を表1に示す。
<予備重合触媒(p-5)の調製>
実施例4と同様にして予備重合触媒(p-5)を得た。
内容積2リットルのオートクレーブに、プロピレン500gと水素8.0リットルとを装入し、系内の温度を57℃に昇温した。その後、トリエチルアルミニウムを1.00ミリモル、ジエチルアミノトリエトキシシランを0.20ミリモルおよび上記で得られた予備重合触媒(p-5)をチタン原子換算で0.0040ミリモル添加することにより重合を開始した。系内の温度を60℃に保ちながら1時間重合を行った。次いで、エタノールを添加することにより重合を停止し、未反応のプロピレンをパージすることにより、ポリプロピレン308.5gを得た。得られたポリプロピレンの物性を評価した結果を表1に示す。
下記表1に示すとおり、比較例1および2のプロピレン系重合体の立体規則性は、mmmm99.3%であり、実施例1、4および5よりもわずかに高い値であった。それにもかかわらず、実施例1、4および5のプロピレン系重合体から調製された樹脂組成物の曲げ弾性率は、比較例1、2のそれよりも100MPa以上高い値であった。非常に高いレベルでの高剛性化が追求され続けているプロピレン系樹脂の分野において、100MPa以上の弾性率向上は実に驚くべき効果である。比較例1のプロピレン系重合体は、TREF100℃以下の溶出成分量が本願規定の範囲より少ないため、実施例1~5ほどの高剛性が得られなかったものといえる。また、比較例2のプロピレン系重合体は、TREF122℃以上の溶出成分量が本願規定の範囲より少ないため、実施例ほどの高剛性が得られなかったものといえる。
II-1-1:ジエチルアミノトリメトキシシラン
II-2-1:ジイソプロピルジメトキシシラン
II-2-2:ジシクロペンチルジメトキシシラン
Claims (5)
- 下記要件(1)~(5)を満たすことを特徴とするプロピレン系重合体:
(1)昇温溶出分別測定法(TREF)により122℃以上の温度で溶出する成分の割合が3.0~50重量%であり、かつ、100℃以下の温度で溶出する成分の割合が6.5~20重量%である;
(2)メルトフローレート(MFR)(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重下)が0.5~1000g/10分である;
(3)13C-NMRにより求められるメソペンタッド分率(mmmm)が98.0~100%である;
(4)23℃におけるn-デカン可溶成分量が0.01~2重量%である;
(5)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が2.5~20である。 - オレフィン重合用触媒の存在下でプロピレンを重合させることにより請求項1に記載のプロピレン系重合体を製造する方法であって、
前記オレフィン重合用触媒が、
(i)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび下記式(I)で表わされる電子供与体(I)を含み、かつ、下記要件(k1)~(k4)を満たす固体状チタン触媒成分と、
(ii-a)下記式(II-1)、(II-2)または(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分と、
(iii-a)有機アルミニウム化合物と
を含む触媒〔A〕、または、
(p)前記触媒〔A〕にプロピレンが予備重合された予備重合触媒と、
(ii-b)下記式(II-1)、(II-2)または(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分と、
(iii-b)有機アルミニウム化合物と
を含む触媒〔B〕であり、
前記オレフィン重合用触媒が前記触媒〔A〕の場合、前記触媒〔A〕は、前記有機ケイ素化合物成分(ii-a)として、下記式(II-1)で表わされる有機ケイ素化合物成分と、下記式(II-2)および(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分から選ばれる少なくとも1種の成分とを含み、
前記オレフィン重合用触媒が前記触媒〔B〕の場合、前記有機ケイ素化合物成分(ii-a)および(ii-b)の少なくとも一方に下記式(II-1)で表わされる有機ケイ素化合物成分が含まれ、さらに、前記有機ケイ素化合物成分(ii-a)および(ii-b)の少なくとも一方に下記式(II-2)および(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分から選ばれる少なくとも1種の成分が含まれることを特徴とするプロピレン系重合体の製造方法:
(k1)チタン含有量が2.5重量%以下である;
(k2)電子供与体(I)の含有量が8~30重量%である;
(k3)電子供与体(I)/チタン(重量比)が7以上である;
(k4)室温でのヘキサン洗浄によってチタンが実質的に脱離されることがない。
Si(OR2)3(NR3R4) ・・・(II-1)
Si(OR2)2R1 2 ・・・(II-2)
Si(OR2)2R1R2 ・・・(II-3)
[式(II-1)~(II-3)中、R1は2級または3級の炭素数1~20の炭化水素基を示し、R2は1級の炭素数1~8の炭化水素基を示し、R3は炭素数1~12の炭化水素基または水素原子を示し、R4は炭素数1~12の炭化水素基を示す。] - 請求項1に記載のプロピレン系重合体を製造するためのオレフィン重合用触媒であって、
(i)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび下記式(I)で表わされる電子供与体(I)を含み、かつ、下記要件(k1)~(k4)を満たす固体状チタン触媒成分と、
(ii-a)下記式(II-1)、(II-2)または(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分と、
(iii-a)有機アルミニウム化合物と
を含む触媒〔A〕、または、
(p)前記触媒〔A〕にプロピレンが予備重合された予備重合触媒と、
(ii-b)下記式(II-1)、(II-2)または(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分と、
(iii-b)有機アルミニウム化合物と
を含む触媒〔B〕であり、
前記オレフィン重合用触媒が前記触媒〔A〕の場合、前記触媒〔A〕は、前記有機ケイ素化合物成分(ii-a)として、下記式(II-1)で表わされる有機ケイ素化合物成分と、下記式(II-2)および(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分から選ばれる少なくとも1種の成分とを含み、
前記オレフィン重合用触媒が前記触媒〔B〕の場合、前記有機ケイ素化合物成分(ii-a)および(ii-b)の少なくとも一方に下記式(II-1)で表わされる有機ケイ素化合物成分が含まれ、さらに、前記有機ケイ素化合物成分(ii-a)および(ii-b)の少なくとも一方に下記式(II-2)および(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分から選ばれる少なくとも1種の成分が含まれる
ことを特徴とするオレフィン重合用触媒:
(k1)チタン含有量が2.5重量%以下である;
(k2)電子供与体(I)の含有量が8~30重量%である;
(k3)電子供与体(I)/チタン(重量比)が7以上である;
(k4)室温でのヘキサン洗浄によってチタンが実質的に脱離されることがない。
Si(OR2)3(NR3R4) ・・・(II-1)
Si(OR2)2R1 2 ・・・(II-2)
Si(OR2)2R1R2 ・・・(II-3)
[式(II-1)~(II-3)中、R1は2級または3級の炭素数1~20の炭化水素基を示し、R2は1級の炭素数1~8の炭化水素基を示し、R3は炭素数1~12の炭化水素基または水素原子を示し、R4は炭素数1~12の炭化水素基を示す。] - 前記固体状チタン触媒成分(i)が、
(a)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび前記式(I)で表わされる電子供与体を含み、かつ室温でのヘキサン洗浄によってチタンが脱離することがない固体状チタン、
(b)芳香族炭化水素、
(c)下記式(III)で表される、液状状態のチタン化合物、および
(d)前記式(I)で表わされる電子供与体
を接触させる工程を含む方法により調製されることを特徴とする請求項2に記載のプロピレン系重合体の製造方法。
Ti(OR 5 ) g X 4-g ・・・(III)
[式(III)中、R 5 は炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、0≦g≦4である。] - 請求項1に記載のプロピレン系重合体を含んでなる成形体。
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