JP2023170983A - オレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法、オレフィン類重合用固体触媒の製造方法、及びオレフィン類重合体の製造方法 - Google Patents

オレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法、オレフィン類重合用固体触媒の製造方法、及びオレフィン類重合体の製造方法 Download PDF

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浩之 河野
Hiroyuki Kono
ワンナボワオン ミンコワン
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Abstract

【課題】触媒活性が低くなり過ぎず、且つ、立体規則性に優れたオレフィン類重合体を製造し得る触媒及び固体触媒成分を提供すること。また、共重合時の活性が高く、EPR成分が多いオレフィン類共重合体が得られる触媒及び固体触媒成分を提供すること。【解決手段】マグネシウム化合物と、四塩化チタンと、四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物と、内部電子供与性化合物と、を相互に接触させて、オレフィン類重合用固体触媒成分を得ることを特徴とするオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、オレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法、オレフィン類重合用触媒の製造方法及びオレフィン類重合体の製造方法に関する。
エチレン、プロピレン等のオレフィンの重合体の製造方法としては、所謂、チーグラー-ナッタ触媒を用いる製造方法がよく知られている。該製造方法においては、工業的に利用価値の高い立体規則性オレフィン重合体の他に、該重合体の機械的物性を低下させる無定形重合体が副生する。無定形重合体の副生はまた、原料モノマーの損失でもあり、それを除去するための工程が製造設備に必要となるため、工業的には極めて大きな不利益をもたらす。従って、オレフィン重合体の重合用触媒は、立体規則性が高く、無定形重合体の副生がまったく無いか極めて僅かであるものが望ましい。
例えば、特許文献1には、マグネシウム、チタン、ハロゲン、電子供与体及びアルコキシシラン化合物を含み、前記電子供与体が、有機酸及び無機酸並びにそれらの誘導体化合物、エーテル化合物、並びにケトン化合物からなる群より選ばれる1種類又は2種類以上の混合物であり、前記電子供与体の含量が5~40μmol/gであるα-オレフィン重合用固体触媒成分が記載されている。
特許文献1によれば、可溶分が少なく、立体規則性が高いオレフィン重合体を高収率で得られる、電子供与体の量が極めて少なく、且つ、アルコキシシラン化合物を含むα-オレフィン重合用固体触媒成分を含むα-オレフィン重合用触媒を提供することができる。
また、例えば、特許文献2には、アルコキシ基含有マグネシウム化合物、又はハロゲン含有マグネシウム化合物のアルコール錯体を担持させたII~IV族元素の酸化物(化合物(a))及び酸化物(a)に対してハロゲン/マグネシウムのモル比で0.20以上のハロゲン含有ケイ素化合物(化合物(b-1))を反応させ、これらと電子供与性化合物(化合物(c))及びハロゲン含有チタン化合物(化合物(d))を120℃以上150℃以下の温度で反応させ、不活性溶媒で洗浄した後、再度、化合物(d)を120℃以上150℃以下の温度で反応させ、不活性溶媒で洗浄して、アルコキシ基残量(RO)/チタン担持量(Ti)のモル比が0.70以下であるオレフィン重合用固体触媒成分が記載されている。
特許文献2によれば、重合活性が高く、残留Clの少ない、立体規則性及びパウダー形態に優れたオレフィン重合体が得られるオレフィン重合用固体触媒成分を提供することができる。
プロピレン系ブロック共重合体は、主としてプロピレンからなる重合体成分と、プロピレンとエチレン等のα-オレフィンモノマーとのランダム共重合体成分とのブレンドを意味し、一般的には、それぞれの成分に対応する条件で順次重合を行うことにより、反応器中でそれぞれの成分をブレンドする、いわゆる多段重合の手法を用いて製造される。プロピレン系ブロック共重合体の代表的な用途の一つとして、自動車のバンパーなどの射出成形用途が挙げられる。プロピレン系ブロック共重合体の品質、特に耐衝撃強度を高めるためには、ランダム共重合体成分のMFR及びランダム共重合体成分の含量をある一定の範囲以上とすることが必要である。ブロック共重合体中のランダム共重合体成分の含有量を増加させるには、ランダム共重合の重合時間を増加させる手法が一般的だが、プロセスや運転上に制限があり、従来からプロピレンとα-オレフィンのランダム共重合部分(ゴム部)の重合活性が高いブロック共重合体を重合する技術が望まれている。
特開2019-151680号公報 特開2003-137919号公報
しかしながら、特許文献1又は特許文献2に記載の製造方法によっても、オレフィン重合体を射出成形体に加工して使用する分野においては、成形体のさらなる高剛性化が望まれており、より高立体規則性に優れたオレフィン重合体が得られる触媒の開発が求められていた。
また、オレフィン類共重合体の製造においては、共重合時の活性が高く、EPR成分(エチレンとプロピレンのランダム共重合体成分)が多いオレフィン類共重合体が得られる触媒の開発が求められている。
従って、本発明の目的は、触媒活性が低くなり過ぎず、且つ、立体規則性に優れたオレフィン類重合体を製造し得る触媒及び固体触媒成分を提供することにある。また、本発明の目的は、共重合時の活性が高く、EPR成分が多いオレフィン類共重合体が得られる触媒及び固体触媒成分を提供することにある。
上記技術課題を解決すべく、本発明者等が鋭意検討を重ねた結果、マグネシウム化合物と、四塩化チタンと、電子供与性化合物と、を相互に接触させてオレフィン類重合用固体触媒成分を製造する際に、四塩化チタン以外の四価のチタンチタンハロゲン化合物も接触させることにより、ホモポリマーの製造においては、触媒活性が低くなり過ぎず、且つ、立体規則性に優れたオレフィン類重合体が得られること、及び共重合体の製造においては、共重合体の含有率が高いオレフィン類共重合体が得られること等を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、
(1)マグネシウム化合物と、四塩化チタンと、四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物と、内部電子供与性化合物と、を相互に接触させて、オレフィン類重合用固体触媒成分を得ることを特徴とするオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法、
(2)前記マグネシウム化合物1.00モル当たり、前記四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物を、0.03~2.00モル接触させることを特徴とする(1)のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法、
(3)前記四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物が、四臭化チタン及び/又は四ヨウ化チタンであることを特徴とする(1)又は(2)のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法、
(4)前記マグネシウム化合物が、ジアルコキシマグネシウムであることを特徴とする(1)~(3)のいずれかのオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法、
(5)(1)~(4)のいずれかのオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法を行い得られるオレフィン類重合用固体触媒成分と、
下記一般式(1):
AlQ3-p (1)
(式中、Rは炭素数1~6のアルキル基を示し、Qは水素原子あるいはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3である。Rが複数存在する場合、各Rは互いに同一であっても異なっていてもよく、Qが複数存在する場合、各Qは同一であっても異なっていてもよい。)
で表される有機アルミニウム化合物と、
を相互に接触させて、オレフィン類重合用触媒を得ることを特徴とするオレフィン類重合用触媒の製造方法、
(6)(1)~(4)のいずれかのオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法を行い得られるオレフィン類重合用固体触媒成分と、
下記一般式(1):
AlQ3-p (1)
(式中、Rは炭素数1~6のアルキル基を示し、Qは水素原子あるいはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3である。Rが複数存在する場合、各Rは互いに同一であっても異なっていてもよく、Qが複数存在する場合、各Qは同一であっても異なっていてもよい。)
で表される有機アルミニウム化合物と、
外部電子供与性化合物と、
を相互に接触させて、オレフィン類重合用触媒を得ることを特徴とするオレフィン類重合用触媒の製造方法、
(7)(5)又は(6)のオレフィン類重合用固体触媒の製造方法を行い得られるオレフィン類重合用固体触媒を用いてオレフィン類の重合を行うことを特徴とするオレフィン類重合体の製造方法、
を提供するものである。
本発明によれば、触媒活性が低くなり過ぎず、且つ、立体規則性に優れたオレフィン類重合体を製造し得る触媒及び固体触媒成分を提供することができる。また、本発明によれば、共重合時の活性が高く、EPR成分が多いオレフィン類共重合体が得られる触媒及び固体触媒成分を提供することができる。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法は、マグネシウム化合物と、四塩化チタンと、四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物と、内部電子供与性化合物と、を相互に接触させることにより、オレフィン類重合用固体触媒成分を得ることを特徴とする。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法に係るマグネシウム化合物としては、ジハロゲン化マグネシウム、ジアルキルマグネシウム、ハロゲン化アルキルマグネシウム、ジアルコキシマグネシウム、ジアリールオキシマグネシウム、ハロゲン化アルコキシマグネシウム及び脂肪酸マグネシウム等から選ばれる1種以上が挙げられる。これらのマグネシウム化合物のうち、ジハロゲン化マグネシウム、ジハロゲン化マグネシウムとジアルコキシマグネシウムの混合物、ジアルコキシマグネシウムが好ましく、特にジアルコキシマグネシウムが好ましい。ジアルコキシマグネシウムとしては、具体的にはジメトキシマグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジプロポキシマグネシウム、ジブトキシマグネシウム、エトキシメトキシマグネシウム、エトキシプロポキシマグネシウム及びブトキシエトキシマグネシウム等から選ばれる1種以上が挙げられ、これらのうち、ジエトキシマグネシウムが特に好ましい。
また、ジアルコキシマグネシウムは、金属マグネシウムを、ハロゲン含有有機金属等の存在下にアルコールと反応させて得たものであってもよい。さらに、上記ジアルコキシマグネシウムとしては、顆粒状または粉末状であり、その形状は不定形あるいは球状のものであってもよい。例えば、球状のジアルコキシマグネシウムを使用した場合、より良好な粒子形状と狭い粒度分布を有する重合体粉末が得られ易く、重合操作時の生成重合体粉末の取り扱い操作性が向上し、生成重合体粉末に含まれる微粉に起因する重合体の分離装置におけるフィルターの閉塞等の問題が容易に解決される。
上記の球状のジアルコキシマグネシウムは、必ずしも真球状である必要はなく、楕円形状あるいは馬鈴薯形状のものを用いることもできる。具体的には、その粒子の円形度が、3.0以下であるものが好ましく、1.0~2.0であることがより好ましく、1.0~1.5であることがさらに好ましい。なお、本発明において、ジアルコキシマグネシウム粒子の円形度とは、ジアルコキシマグネシウム粒子を500個以上走査型電子顕微鏡により撮影し、撮影した粒子を画像解析処理ソフトにより処理することで各粒子の面積Sと周囲長Lを求め、各ジアルコキシマグネシウム粒子の円形度を下記式:
各ジアルコキシマグネシウム粒子の円形度=L2/(4π×S)
により算出したときの算術平均値を意味する。粒子の形状が真円に近づくほど、円形度は1に近い値を示す。
また、上記ジアルコキシマグネシウムの平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定したときの平均粒径D50で、1~200μmが好ましく、5~150μmがより好ましい。ここで、平均粒径D50は、体積積算粒度分布における積算粒度で50%の粒径である。ジアルコキシマグネシウムが球状である場合、上記平均粒径は1~100μmが好ましく、5~70μmがより好ましく、10~60μmがさらに好ましい。
また、ジアルコキシマグネシウムの粒度については、微粉及び粗粉の少ない、粒度分布の狭いものであることが好ましい。具体的には、ジアルコキシマグネシウムは、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定したときに、5μm以下の粒子が、20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。また、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定したときに、100μm以上の粒子が、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。更にその粒度分布をln(D90/D10)で表すと、3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。ここで、D90は体積積算粒度分布における積算粒度で90%の粒径、D10は体積積算粒度分布における積算粒度で10%の粒径である。
ジアルコキシマグネシウムは、1種単独であってもよいし、2種以上の併用であってもよい。上記の如き球状のジアルコキシマグネシウムを製造する方法は、例えば、特開昭62-51633号公報、特開平3-74341号公報、特開平4-368391号公報、特開平8-73388号公報等に例示されている。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法に係る四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物としては、四臭化チタン(TiBr)、四ヨウ化チタン(TiI)が挙げられ、これらのうち、四臭化チタン(TiBr)が好ましい。そして、本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分が、マグネシウム化合物及び電子供与性化合物に接触させる成分として、四塩化チタン(TiCl)に加えて、四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物も、相互に接触させることにより、ホモポリマーの製造において、触媒活性が低くなり過ぎず、且つ、立体規則性に優れたオレフィン類重合体が得られるオレフィン類重合用固体触媒を製造することができる固体触媒成分が得られ、また、共重合体の製造において、共重合時の活性が高く、EPR成分が多いオレフィン類共重合体が得られるオレフィン類重合用固体触媒を製造することができる固体触媒成分が得られる。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法に係る内部電子供与性化合物としては、特に制限されない。内部電子供与性化合物としては、エステル基、エーテル基及びカーボネート基から選ばれる1種以上の基を有する芳香環構造を有さない内部電子供与性化合物が好ましく、エステル基、エーテル基及びカーボネート基から選ばれる1種以上の基を有しカルボン酸エステル残基に直結する芳香環構造を有さない内部電子供与性化合物がより好ましい。
上記内部電子供与性化合物がエステル基を有する化合物である場合、1~3個のエステル残基を有する化合物が好ましく、エステル残基を1つ有するモノカルボン酸エステル類、エステル残基を2つ有するジカルボン酸ジエステル類、エステル残基を3つ以上有するポリカルボン酸ポリエステル類、エステル残基とアルコキシ基を其々1個ずつ有するエーテルカルボン酸エステル類、ジオールエステル類から選ばれる一種以上を挙げることができる。これらの中では、エーテルカルボン酸エステル類が好適である。
エステル基を有する内部電子供与性化合物として、具体的には、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、安息香酸エステル、p-トルイル酸エステル、アニス酸エステル等のモノカルボン酸エステル類;フタル酸ジエステル、コハク酸ジエステル、マロン酸ジエステル、マレイン酸ジエステル、シクロヘキセンカルボン酸ジエステル、2,3-ジアルキルコハク酸ジエステル、ベンジリデンマロン酸ジエステル、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジエステル、1-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジエステル、4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジエステル、3-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジエステル、3,6-ジフェニルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジエステル、3-メチル-6-n-プロピルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジエステル等のジカルボン酸ジエステル類;3-エトキシ-2-イソプロピルプロピオン酸エチル、3-エトキシ-2-イソブチルプロピオン酸エチル、3-エトキシ-2-t-ブチルプロピオン酸エチル、3-エトキシ-2-t-ペンチルプロピオン酸エチル、3-エトキシ-2-シクロヘキシルプロピオン酸エチル、3-エトキシ-2-シクロペンチルプロピオン酸エチル等のエーテル-カルボン酸エステル類;及び2,4-ペンタンジオールジベンゾエート、3-メチル-2,4-ペンタンジオールジベンゾエート、3-メチル-5-t-ブチル-1,2-フェニレンジベンゾアート、3,5-ジイソプロピル-1,2-フェニレンジベンゾアート等のジオールエステル類が好ましい。これらの中で特に好ましいものは、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ-n-プロピル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジ-n-ブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸メチルエチル、フタル酸(エチル)n-プロピル、フタル酸エチルイソプロピル、フタル酸(エチル)n-ブチル、フタル酸エチルイソブチル、マレイン酸ジエチル、ベンジリデンマロン酸ジエチル、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジエチル、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジ-n-プロピル、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジ-n-ブチル、シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジエチル、シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジ-n-プロピル、シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジ-n-ブチル、3-エトキシ-2-イソプロピルプロピオン酸エチル、3-エトキシ-2-t-ブチルプロピオン酸エチル、3-エトキシ-2-t-ペンチルプロピオン酸エチル、2,4-ペンタンジオールジベンゾエート、3-メチル-2,4-ペンタンジオールジベンゾエート、3-メチル-5-t-ブチル-1,2-フェニレンジベンゾアート、3,5-ジイソプロピル-1,2-フェニレンジベンゾアートから選ばれる1種以上を挙げることができる。
上記内部電子供与性化合物が、エーテル基を有する化合物である場合、1個のエーテル基を有する化合物、フルオレン構造を有する化合物、又は炭素数3~7のアルキル基もしくはシクロアルキル基を1~2個有するジエーテル構造の化合物が好ましい。これらの中では、プロパンを基本骨格とし、その1,3位にエーテル基が結合した構造(1,3-ジアルコキシプロパン構造)を有し、さらに所望の置換基を含んでよい1,3-ジエーテル化合物がより好ましい。
エーテル基を有する内部電子供与性化合物として、具体的には、メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、ブチルエーテル、アミールエーテル等のモノエーテル類、2-イソプロピル-2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン等の2,2-ジアルキル-1,3-ジアルコキシプロパン、2,2-ジシクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(シクロヘキシルメチル)-1,3-ジメトキシプロパン等の2,2-ジシクロアルキル-1,3-ジアルコキシプロパン、9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレン等のフルオレン骨格を有する1,3-ジエーテル化合物等のジエーテル類から選ばれる1種以上を挙げることができる。
上記の中でも特に好ましいものは、2-イソプロピル-2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン及び9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレンである。
上記内部電子供与性化合物が、カーボネート基を有する化合物である場合、1~3個のカーボネート基を有する化合物が好ましい。このような化合物として、具体的には、カーボネート基とアルコキシ基を其々1個ずつ有するカーボネート-エーテル化合物、カーボネート基とエステル残基を其々1個ずつ有するカーボネート-エステル化合物、カーボネート基とカルボキシル基を其々1個ずつ有する化合物、カーボネート基を2個有するジカーボネート、カーボネート基を3個以上有するポリカーボネート等が挙げられる。これらの中でも、カーボネート-エーテル、カーボネート-エステル及びジカーボネートが好ましく、特に好ましいものは、(2-エトキシエチル)メチルカーボネート、(2-エトキシエチル)エチルカーボネート、(2-プロポキシエチル)メチルカーボネート、(2-ベンジルオキシエチル)フェニルカーボネート、5-t-ブチル-1,2-フェニレンジフェニルジカーボネートである。
上記内部電子供与性化合物としては、特に1,3-ジエーテル化合物、カーボネート-エーテル化合物及びカルボン酸ジエステル化合物から選ばれる1種以上が好ましい。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法では、マグネシウム化合物、四塩化チタン、四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物及び内部電子供与性化合物に加え、更に必要に応じて四塩化ケイ素を、相互に接触させることができる。四塩化ケイ素を接触させることにより、MgCl担体上への過剰なTi化合物の担持を抑制することができ、Ti担持率が低く、立体規則性に優れたオレフィン類重合体が得られるオレフィン類重合用固体触媒成分を得ることができる。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法では、マグネシウム化合物、四塩化チタン、四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物及び内部電子供与性化合物に加え、更に必要に応じてポリシロキサンを、相互に接触させることができる。
上記ポリシロキサンは、主鎖にシロキサン結合(-Si-O結合)を有する重合体であるが、シリコーンオイルとも総称され、25℃における粘度が0.02~100.00cm/s(2.00~1000.00センチストークス)を有する、常温で液状又は粘ちょう状の鎖状、部分水素化、環状又は変性ポリシロキサンを意味する。
鎖状ポリシロキサンとしては、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンが例示される。部分水素化ポリシロキサンとしては、水素化率10~80%のメチルハイドロジェンポリシロキサンが例示される。環状ポリシロキサンとしては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルキクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタンシロキサン、2,4,6-トリメチルシクロトリシロキサン、2,4,6,8-テトラメチルシクロテトラシロキサンが例示される。変性ポリシロキサンとしては、高級脂肪酸基置換ジメチルシロキサン、エポキシ基置換ジメチルシロキサン、ポリオキシアルキレン基置換ジメチルシロキサンが例示される。これらの中で、デカメチルシクロペンタシロキサン、及びジメチルポリシロキサンが好ましく、デカメチルシクロペンタシロキサンが特に好ましい。
ポリシロキサンを接触させることにより、得られる重合体の立体規則性又は結晶性を容易に向上させることができ、さらには得られる重合体の微粉を容易に低減することができる。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法では、ジアルコキシマグネシウムと、四塩化チタンと、四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物と、内部電子供与性化合物と、必要に応じて四塩化ケイ素及び/又はポリシロキサンとを、不活性有機溶媒中で相互に接触させる。
上記不活性有機溶媒としては、特に限定されない。そのような不活性有機溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、デカン等の直鎖脂肪族炭化水素化合物、メチルヘプタン等の分岐状脂肪族炭化水素化合物、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素化合物、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素化合物等が挙げられる。不活性有機溶媒は、1種単独であってもよいし、2種以上の併用であってもよい。
上記不活性有機溶媒の中でも、沸点が50~200℃程度の、常温で液体の飽和炭化水素化合物あるいは芳香族炭化水素化合物が好ましく用いられ、ヘキサン、ヘプタン、エチルシクロヘキサン、トルエン、キシレンがより好ましい。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、マグネシウム化合物1.00モル当たり、四塩化チタンを、0.50~100.00モル接触させることが好ましく、0.50~50.00モル接触させることがより好ましく、1.00~10.00モル接触させることがさらに好ましい。マグネシウム化合物1.00モル当たりの四塩化チタンの接触量が上記範囲にあることにより、担体であるマグネシウム化合物に必要量のTi化合物を担持できる点で好ましい。なお、2回以上に分けて四塩化チタンを接触させる場合、上記の四塩化チタンの接触量は、合計の接触量を指す。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、マグネシウム化合物1.00モル当たり、四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物を、0.03~2.00モル接触させることが好ましく、0.05~1.00モル接触させることがより好ましく、0.10~1.00モル接触させることがさらに好ましい。マグネシウム化合物1.00モル当たりの四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物の接触量が上記範囲にあることにより、担体であるマグネシウム化合物に四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物が十分に分散して作用し易い点で好ましい。なお、2回以上に分けて四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物を接触させる場合、上記の四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物の接触量は、合計の接触量を指す。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、マグネシウム化合物1.00モル当たり、四塩化チタン及び四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物を合計(四塩化チタン+四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物)で、1.00~100.00モル接触させることが好ましく、1.00~50.00モル接触させることがより好ましく、2.00~12.00モル接触させることがさらに好ましい。マグネシウム化合物1.00モル当たりの四塩化チタン及び四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物の接触量の合計が上記範囲にあることにより、マグネシウム化合物上に活性点となりうる四塩化チタン及び四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物が必要量担持される点で好ましい。なお、2回以上に分けて四塩化チタンを接触させる場合、上記の四塩化チタンの接触量は、合計の接触量を指す。また、2回以上に分けて四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物を接触させる場合、上記の四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物の接触量は、合計の接触量を指す。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、四塩化チタンの接触量(モル)に対する四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物の接触量(モル)の比(四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物の接触量(モル)/四塩化チタンの接触量(モル))は、好ましくは0.500以下であり、より好ましくは0.010~0.400であり、さらに好ましくは0.020~0.300である。四塩化チタンの接触量(モル)に対する四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物の接触量(モル)の比が上記範囲にあることにより、触媒活性が低くなり過ぎず、且つ、立体規則性に優れたオレフィン類重合体を製造し得る点で好ましい。なお、2回以上に分けて四塩化チタンを接触させる場合、上記の四塩化チタンの接触量は、合計の接触量を指す。また、2回以上に分けて四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物を接触させる場合、上記の四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物の接触量は、合計の接触量を指す。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、マグネシウム化合物1.00モル当たり、内部電子供与性化合物を、0.05~0.60モル接触させることが好ましく、0.08~0.40モル接触させることがより好ましく、0.10~0.30モル接触させることがさらに好ましい。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、四塩化ケイ素を接触させる場合は、マグネシウム化合物1.00モル当たり、四塩化ケイ素を、0.10~20.00モル接触させることが好ましく、0.50~10.00モル接触させることがより好ましく、0.80~8.00モル接触させることがさらに好ましい。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、ポリシロキサンを接触させる場合は、マグネシウム化合物1.00モル当たり、ポリシロキサンを、0.10~20.00g接触させることが好ましく、1.00~10.00g接触させることがより好ましく、2.00~8.00g接触させることがさらに好ましい。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、不活性有機溶媒の使用量は、マグネシウム化合物1g当たり、100~10000mLであることが好ましく、200~5000mLであることがより好ましく、500~2000mLであることがさらに好ましい。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、具体的な接触方法としては、以下の方法が挙げられる。なお、以下の方法において、内部電子供与体の接触時期であるが、以下に示す成分の接触過程中の適宜選択された時期に、内部電子供与体を接触させる。
<四塩化ケイ素を接触させない場合>
・マグネシウム化合物を、不活性有機溶媒に懸濁させて懸濁液を形成し、次いで、四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物を添加及び混合して接触させ、次いで、四塩化チタンを添加及び混合して接触させる方法。
・マグネシウム化合物を不活性有機溶媒に懸濁させて懸濁液を形成し、次いで、四塩化チタンを添加及び混合して接触させ、次いで、四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物を添加及び混合して接触させる方法。
・四塩化チタン及び四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物に、マグネシウム化合物と不活性有機溶媒の懸濁液を添加及び混合して接触させる方法。
・不活性溶媒存在下で、マグネシウム化合物、四塩化チタン及び内部電子供与性化合物を接触させることで得られた固体成分を、不活性有機溶媒で混濁させて混濁液を形成し、次いで、四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物を添加及び混合して接触させる方法。
<四塩化ケイ素を接触させる場合>
・マグネシウム化合物を、不活性有機溶媒に懸濁させて懸濁液を形成し、次いで、四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物を添加及び混合して接触させ、次いで、四塩化チタンを添加及び混合して接触させ、次いで、四塩化ケイ素を添加及び混合して接触させる方法。
・マグネシウム化合物を不活性有機溶媒に懸濁させて懸濁液を形成し、次いで、四塩化チタンを添加及び混合して接触させ、次いで、四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物を添加及び混合して接触させ、次いで、四塩化ケイ素を添加及び混合して接触させる方法。
・四塩化チタン及び四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物に、マグネシウム化合物と不活性有機溶媒の懸濁液を添加及び混合して接触させ、次いで、四塩化ケイ素を添加及び混合して接触させる方法。
・不活性溶媒存在下で、マグネシウム化合物、四塩化チタン及び内部電子供与性化合物を接触させることで得られた固体成分を、不活性有機溶媒で混濁させて混濁液を形成し、次いで、四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物を添加及び混合して接触させ、次いで、四塩化ケイ素を添加及び混合して接触させる方法。
・マグネシウム化合物を不活性有機溶媒に懸濁させて懸濁液を形成し、次いで、四塩化ケイ素を添加及び混合して接触させ、次いで、四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物を添加及び混合して接触させることで得られた固体成分を、不活性有機溶媒で混濁させて混濁液を形成し、次いで、四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物を添加及び混合して接触させる方法。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、各成分を相互に接触させてオレフィン類重合用固体触媒成分を得る際に、不活性ガス雰囲気下で行うことができる。具体的には、不活性ガス雰囲気下、水分等を除去した状況下で、攪拌機を具備した容器中で、各成分を攪拌しながら相互に接触させ、次いで、所定温度で相互に接触させてオレフィン類重合用固体触媒成分を得ることができる。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、各成分を接触させる際の温度は、特に制限されないが、-20~150℃が好ましく、10~130℃がより好ましく、50~115℃がさらに好ましい。また、各成分を接触させる時間は、特に制限されないが、1分以上が好ましく、10分以上がより好ましく、10分間~10時間がさらに好ましい。
次に、本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分について説明する。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分を構成するチタン原子、マグネシウム原子、ハロゲン原子及び電子供与性化合物の含有量は、本発明の効果を発揮し得る範囲において特に既定されない。
オレフィン類重合用固体触媒成分は、チタン原子を、1.00~10.00質量%含有することが好ましく、1.50~8.00質量%含有することがより好ましく、1.50~5.00質量%含有することがさらに好ましい。
オレフィン類重合用固体触媒成分は、マグネシウム原子を、10.0~70.0質量%含有することが好ましく、10.0~50.0質量%含有することがより好ましく、15.0~40.0質量%含有することがさらに好ましく、15.0~25.0質量%含有することが一層好ましい。
オレフィン類重合用固体触媒成分は、ハロゲン原子を、20.0~90.0質量%含有することが好ましく、30.0~85.0質量%含有することがより好ましく、40.0~80.0質量%含有することがさらに好ましく、45.0~80.0質量%含有することが一層好ましい。
オレフィン類重合用固体触媒成分は、内部電子供与性化合物を、合計0.50~30.00質量%含有することが好ましく、合計1.00~25.00質量%含有することがより好ましく、合計2.00~20.00質量%含有することがさらに好ましい。
本出願書類において、オレフィン類重合用固体触媒成分中に含まれるチタン原子の含有率は、JIS 8311-1997「チタン鉱石中のチタン定量方法」に記載の方法(酸化還元滴定)に準じて測定した値を意味する。
また、本出願書類において、オレフィン類重合用固体触媒成分中のマグネシウムの含有割合は、オレフィン類重合用固体触媒成分を塩酸溶液で溶解し、EDTA溶液で滴定するEDTA滴定方法により測定した値を意味する。
本出願書類において、オレフィン類重合用固体触媒成分中に含まれるハロゲン原子の含有割合は、固体触媒成分を硫酸と純水の混合溶液で処理して水溶液とした後、所定量を分取し、硝酸銀標準溶液でハロゲン原子を滴定する硝酸銀滴定法によって測定した値を意味する。
また、電子供与体化合物の含有割合は、固体触媒を加水分解した後、芳香族溶剤を用いて内部電子供与体を抽出し、この溶液をガスクロマトグラフィーFID(Flame Ionization Detector、水素炎イオン化型検出器)法によって測定した値を意味する。
次に、本発明のオレフィン類重合用触媒の製造方法について説明する。
本発明のオレフィン類重合用触媒の製造方法は、
(I)本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分と、
(II)下記一般式(1)
AlQ3-p (1)
(式中、Rは、炭素数1~6のアルキル基であり、Qは、水素原子又はハロゲン原子であり、pは、0<p≦3であり、Rが複数存在する場合、各Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、Qが複数存在する場合、各Qは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
で表される1種以上の有機アルミニウム化合物と、
を相互に接触させることにより、オレフィン類重合用触媒を得ることを特徴とする。
上記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物において、Rは、炭素数1~6のアルキル基であり、直鎖又は分岐鎖のいずれでもよく、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基及びイソヘキシル基から選ばれる基を挙げることができ、エチル基又はイソブチル基が好ましい。
が複数存在する場合、各Rは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
上記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物において、Qは、水素原子又はハロゲン原子であり、水素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。Qが複数存在する場合、各Qは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
また、上記一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物において、pは、0<p≦3であり、2~3が好ましく、2、2.5又は3がより好ましい。
このような有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムブロマイド、ジエチルアルミニウムハイドライドが挙げられ、1種又は2種以上が使用できる。これらの中では、トリエチルアルミニウム又はトリイソブチルアルミニウムが好ましい。
本発明のオレフィン類重合用触媒の製造方法において、上記一般式(1)で表される特定の有機アルミニウム化合物を接触させることにより、オレフィン類重合用固体触媒成分を構成する内部電子供与性化合物に対する有機アルミニウム化合物の作用を向上させ、オレフィン類重合用固体触媒成分を最適に活性化し得ると考えられる。そして、重合処理時に優れた触媒活性を示し、立体規則性に優れたオレフィン類重合体を製造し得ると考えられる。
本発明のオレフィン類重合用触媒の製造方法では、(I)本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法で得られたオレフィン類重合用固体触媒成分及び(II)一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物とともに、必要に応じて(III)外部電子供与性化合物と、を相互に接触させることができる。
本発明のオレフィン類重合用触媒の製造方法において、外部電子供与性化合物としては、上述した本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法に用いる内部電子供与性化合物と同様のものや有機ケイ素化合物等を挙げることができ、その中でも、カーボネート基、エーテル基及びエステル基から選ばれる1種以上の基を有する化合物や有機ケイ素化合物から選ばれる1種以上が好ましい。
外部電子供与性化合物がカーボネート基を有する化合物である場合、2-エトキシエチルフェニルカーボネート、2-ベンジルオキシエチルフェニルカーボネート及び2-エトキシエチル-1-メチルカーボネートから選ばれる1種以上が好ましい。
外部電子供与性化合物がエーテル基を有する化合物である場合、メチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテル、ブチルエーテル、アミールエーテル等のモノエーテル類、2-イソプロピル-2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ジイソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン等の2,2-ジアルキル-1,3-ジアルコキシプロパン、2,2-ジシクロヘキシル-1,3-ジメトキシプロパン、2,2-ビス(シクロヘキシルメチル)-1,3-ジメトキシプロパン等の2,2-ジシクロアルキル-1,3-ジアルコキシプロパン、9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレン等のフルオレン骨格を有する1,3-ジエーテル等のジエーテル類から選ばれる1種以上が好ましい。
外部電子供与性化合物がエステル基を有する化合物である場合、安息香酸メチル及び安息香酸エチルから選ばれる1種以上が好ましい。
外部電子供与性化合物が有機ケイ素化合物である場合、Si-O-C結合を含む有機ケイ素化合物及びSi-N-C結合を含む有機ケイ素化合物から選ばれる一種以上が好ましい。
上記有機ケイ素化合物としては、下記一般式(3);
Si(NR(OR4-(r+s)(3)
(式中、rは、0≦r≦4であり、sは、0≦s≦4であり、r+sは、0≦r+s≦4である。R、R及びRは、水素原子、炭素数1~12の直鎖状アルキル基、炭素数3~12の分岐鎖状アルキル基、ビニル基、アリル基、置換又は未置換のシクロアルキル基、フェニル基及びアラルキル基から選ばれる一種である。R、R及びRは、ヘテロ原子を含有していてもよい。R、R及びRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。RとRは、結合して環形状を成していてもよい。Rは、炭素数1~4のアルキル基、ビニル基、アリル基、炭素数3~12のシクロアルキル基、炭素数6~12のフェニル基及びアラルキル基から選ばれる一種である。Rは、ヘテロ原子を含有してもよい。)で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(3)中、Rとしては、炭素数1~10の直鎖状アルキル基、炭素数3~10の分岐鎖状アルキル基又は炭素数5~8のシクロアルキル基が好ましく、炭素数1~8の直鎖状アルキル基、炭素数3~8の分岐鎖状アルキル基、炭素数5~8のシクロアルキル基が特に好ましい。
また、上記一般式(3)中、R及びRとしては、炭素数1~10の直鎖状アルキル基、炭素数3~10の分岐鎖状アルキル基、又は炭素数5~8のシクロアルキル基が好ましく、炭素数1~8の直鎖状アルキル基、炭素数3~8の分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数5~7のシクロアルキル基が特に好ましい。なお、RとRは、結合して環形状を形成していてもよく、この場合、環形状を形成する(NR)として基は、パーヒドロキノリノ基、パーヒドロイソキノリノ基が挙げられる。
上記一般式(3)中、Rとしては、炭素数1~4のアルキル基、シクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、アリル基及びアラルキル基から選ばれるいずれかであり、炭素数1~6の直鎖状アルキル基、又は炭素数3~6の分岐鎖状アルキル基が好ましく、特に炭素数1~4の直鎖状アルキル基又は炭素数3~4の分岐鎖状アルキル基が好ましい。
上記一般式(3)で示される外部電子供与性化合物としては、フェニルアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、フェニルアルキルアルコキシシラン、シクロアルキルアルコキシシラン、シクロアルキル(アルキル)アルコキシシラン、(アルキルアミノ)アルコキシシラン、アルキル(アルキルアミノ)アルコキシシラン、アルキル(アルキルアミノ)シラン、アルキルアミノシラン等から選ばれる一種以上を挙げることができる。これらの中でも、フェニルトリメトキシシラン、t-ブチルメチルジメトキシシラン、t-ブチルエチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、イソプロピルイソブチルジメトキシシラン、ジイソペンチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、t-ブチルメチルビス(エチルアミノ)シラン、ビス(エチルアミノ)ジシクロヘキシルシラン、ジシクロペンチルビス(エチルアミノ)シラン、ビス(パーヒドロキノリノ)ジメトキシシラン、ビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシランから選ばれる一種以上が好ましく用いられる。
上記外部電子供与性化合物は、1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のオレフィン類重合用触媒の製造方法において、(II)有機アルミニウム化合物の接触量は、(I)本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分中のチタン原子1.0モル当たり、0.1~1000.0モルであることが好ましく、1.0~800.0モルであることがより好ましく、20.0~600.0モルであることがさらに好ましい。
本発明のオレフィン類重合用触媒の製造方法において、外部電子供与性化合物を接触させる場合、外部電子供与性化合物の接触量は、(II)一般式(1)で表される有機アルミニウム化合物1モル当たり、0.005~1.000モルであることが好ましく、0.080~0.500モルであることがより好ましく、0.010~0.300モルであることがさらに好ましい。
本発明のオレフィン類重合用触媒の製造方法において、雰囲気中の不活性ガス濃度は、0.0~1.0モル/Lであることが好ましく、0.0~0.5モル/Lであることがより好ましく、0.0~0.1モル/Lであることがさらに好ましい。
上記不活性ガスとしては、窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス及びアルゴンガス等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
本発明のオレフィン類重合用触媒の製造方法では、重合対象となるオレフィン類の存在下で行ってもよいし、重合対象となるオレフィン類の非存在下に行ってもよい。
本発明のオレフィン類重合用触媒の製造方法において、(I)本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分と(II)有機アルミニウム化合物とを接触させる際の温度は、40℃以下であることが好ましく、0℃~40℃であることがより好ましく、10℃~40℃であることがさらに好ましく、10℃~20℃であることが特にさらに好ましい。
本発明のオレフィン類重合用触媒の製造方法において、(I)本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分と(II)有機アルミニウム化合物とを接触処理する際の処理時間は、10秒間~60分間が好ましく、30秒間~30分間がより好ましく、1分間~30分間がさらに好ましく、1分間~10分間が特に好ましい。
本発明のオレフィン類重合用触媒の製造方法では、(I)本発明のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分と(II)有機アルミニウム化合物と、必要に応じさらに(III)外部電子供与性化合物とを接触させると瞬時に反応が開始され、目的とするオレフィン類重合用触媒を形成することができる。
本発明のオレフィン類重合用固体触媒の製造方法によれば、触媒活性が低くなり過ぎず、且つ、立体規則性に優れたオレフィン類重合体を製造し得る触媒を提供することができ、また、共重合体の製造において、共重合時の活性が高く、EPR成分が多いオレフィン類共重合体が得られる触媒を提供するこができる。
次に、本発明のオレフィン類重合体の製造方法について説明する。
本発明のオレフィン類重合体の製造方法は、本発明のオレフィン類重合用固体触媒の製造方法により得られたオレフィン類重合用触媒の存在下にオレフィン類の重合を行うことを特徴とするものである。
本発明のオレフィン類重合用触媒の製造方法で得られたオレフィン類重合用触媒の存在下にオレフィン類を重合する場合、本発明のオレフィン類重合用触媒の製造方法でオレフィン類重合用触媒を製造した後に、重合用触媒を単離してオレフィン類と接触させるか、又は本発明のオレフィン類重合用触媒の製造方法でオレフィン類重合用触媒を製造した後にそのまま(単離することなく)オレフィン類と接触させることにより、重合処理に供することができる。
オレフィン類の重合は、オレフィン類の単独重合であってもよいし共重合であってもよく、ランダム共重合であってもよいしブロック共重合であってもよい。
重合対象となるオレフィン類としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、ビニルシクロヘキサン、1-ヘキセン、1,5-ヘキサジエン等から選ばれる一種以上を挙げることができ、これらの中ではエチレン、プロピレン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン及び1,5-ヘキサジエンが好ましく、特にエチレン及びプロピレンが好適である。
オレフィン類を共重合する場合、例えば、プロピレンとプロピレン以外のオレフィン類とを共重合する場合、プロピレンと共重合されるオレフィンとしては、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、ビニルシクロヘキサン等から選ばれる一種以上を挙げることができ、とりわけ、エチレン、1-ブテンが好適である。
例えば、プロピレンと他のオレフィン類とを共重合させる場合、プロピレンと少量のエチレンをコモノマーとして1段で重合するランダム共重合と、第一段階(第一重合槽)でプロピレンの単独重合を行い、第二段階(第二重合槽)又はそれ以上の多段階(多段重合槽)でプロピレンとエチレンの共重合を行う、所謂プロピレン-エチレンブロック共重合を挙げることができる。
オレフィン類の重合温度は、室温以上200℃以下であることが好ましく、室温以上100℃以下であることがより好ましい。なお、ここでいう室温とは、20℃を意味する。
オレフィン類の重合圧力は、10MPa以下であることが好ましく、6MPa以下であることがより好ましい。
オレフィン類は、連続重合法で重合してもよいし、バッチ式重合法で重合してもよい。さらに、重合反応を1段で行ってもよいし、2段以上の多段で行ってもよい。
上記オレフィン類の重合反応を行う場合、重合雰囲気としては、不活性ガス雰囲気又は上記プロピレン等の重合対象となるオレフィン類のガス雰囲気の何れであってもよい。
本発明のオレフィン類重合体の製造方法は、触媒活性が低くなり過ぎず、且つ、立体規則性に優れたオレフィン類重合体が得られる。また、本発明のオレフィン類共重合体の製造方法は、共重合時の活性が高く、EPR成分が多いオレフィン類共重合体が得られる。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
(性能評価)
実施例及び比較例においては、以下に示す方法に従って各性能評価を行った。
<固体分中のチタン含有量>
固体分中のチタン含有量は、JIS 8311-1997の方法に準じて測定した。
<固体分中のフタル酸ジエステル化合物の含有量>
固体分中のフタル酸ジエステル化合物(内部電子供与性化合物)の含有量は、ガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製、GC-14B)を用いて以下の条件にて測定することで求めた(ガスクロマトグラフィーFID法)。また、各成分のモル数については、ガスクロマトグラフィーの測定結果より、予め既知濃度において測定した検量線を用いて求めた。
(測定条件)
・カラム:パックドカラム(φ2.6×2.1m,Silicone SE-30 10%,Chromosorb WAW DMCS 80/100、ジーエルサイエンス(株)社製)
・検出器:FID(Flame Ionization Detector,水素炎イオン化型検出器)
・キャリアガス:ヘリウム、流量40mL/分
・測定温度:気化室280℃、カラム225℃、検出器280℃
<重合体の嵩密度(BD)>
重合体の嵩密度(BD)は、JIS K6721に従って測定した。
<溶融流れ性(MFR)>
重合体および共重合体の溶融流れ性を示すメルトフローレート(MFR)(g/10分間)は、ASTM D 1238、JIS K 7210に準じて測定した。
<重合体のキシレン可溶分(XS)>
攪拌機を具備したフラスコの内部雰囲気を窒素ガスで置換した後、上記フラスコに、4.0gのオレフィン類重合体(ポリプロピレン)と、200mLのp-キシレンを装入した。次いで、外部温度を約150℃に設定し、フラスコ内におけるp-キシレン(沸点137~138℃)の還流が維持された状態で撹拌を2時間継続して上記重合体を溶解させた。その後、この溶液を1時間かけて液温が23℃になるまで冷却し、不溶解成分と溶解成分とを濾過分別した。上記溶解成分の溶液を採取し、加熱減圧乾燥によりp-キシレンを留去し、得られた残留物をキシレン可溶分(XS)とし、その質量を重合体(ポリプロピレン)に対する相対値(質量%)で求めた。
<プロピレン重合活性>
オレフィン類重合用固体触媒成分1g当たりのプロピレン重合活性(PP重合活性)は、下記式(α)により算出した。
PP重合活性(g/g-cat)=得られた重合体の質量(g)/固体触媒成分の質量(g) (α)
<ホモ段重合活性>
共重合反応におけるホモ段重合活性は、下記式(β)により算出した。
ホモ段重合活性(g/g-cat)=(G(g)-F(g))/固体触媒成分の質量(g) (β)
ここで、G(g)はホモPP重合反応終了後、未反応モノマーを除去した後のオートクレーブ質量(g)であり、Fはオートクレーブ質量(g)である。
<エチレン-プロピレンブロック共重合活性(共重合段重合活性)>
エチレン・プロピレンブロック共重合体形成時における共重合(ICP)活性は、下記式(γ)により算出した。
共重合(ICP)活性(g/g-cat)=((I(g)-G(g))/オレフィン類重合用触媒に含まれる固体触媒成分の質量(g)) (γ)
ここで、I(g)は共重合反応終了後のオートクレーブ質量(g)、G(g)はホモPP重合反応終了後、未反応モノマーを除去した後のオートクレーブ質量(g)である。
<共重合体のブロック率(CV)>
エチレン-プロピレン共重合体のブロック率を、下記式(δ)により求めた。
ブロック率(質量%)=((I(g)-G(g))/(I(g)-F(g)))×100 (δ)
ここで、Iは共重合反応終了後のオートクレーブ質量(g)、Gはホモポリプロピレン重合終了後、未反応モノマーを除去した後のオートクレーブ質量(g)、Fはオートクレーブ質量(g)である。
<共重合体のEPR含有率>
撹拌装置を具備したフラスコ内に、5.0gの共重合体(エチレン-プロピレンブロック共重合体)と、250mLのp-キシレンを装入した。次いで、外部温度を約150℃に設定し、フラスコ内におけるp-キシレン(沸点137~138℃)の還流が維持された状態で撹拌を2時間継続して上記重合体を溶解させた。その後、この溶液を1時聞かけて液温が23℃になるまで冷却し、キシレン可溶分(EPR)とキシレン不溶分(XI)を漏過分別した。
上記可溶分を溶液ごと採取し、加熱減圧乾燥によりp-キシレンを留去し、得られた残留物の重量を求め、生成した重合体(エチレン-プロピレンブロック共重合体)に対する相対割合(質量%)を算出して、EPR含有率(エチレン-プロピレンブロック共重合体中のキシレン可溶分量)とした。
(実施例1)
1.固体触媒成分の合成
(1)攪拌機を具備し、窒素ガスで置換された容量200mLの丸底フラスコに、ジエトキシマグネシウム10.0g(0.0874モル)、フタル酸ジn-ブチル2.4mL(0.0090モル)及びトルエン50mLを装入し、懸濁状態とした。次いで、該懸濁液を、攪拌機を具備し、窒素ガスで置換された容量500mLの丸底フラスコに予め装てんされたトルエン30mL及び四臭化チタン5.0g(0.014モル)の均一溶液中に添加した。
(2)次に、四塩化チタン20.0mL(0.180モル)を加え、攪拌しながら昇温し、昇温途中の60℃でフタル酸ジn-ブチル1.2mL(0.0045モル)を加え、さらに昇温して110℃とし同温度を保持した状態で2時間反応させた。反応終了後、上澄み液を抜き出し、生成物を105℃のトルエン100mLで4回洗浄した。
(3)次に、p-キシレン85mLと四塩化ケイ素16mLを加え、攪拌しながら105℃に昇温し、105℃で2時間反応させた後、生成物を105℃のトルエン94mLで3回洗浄し、さらに60℃のn-ヘプタン76mLで7回洗浄して固体触媒成分を得た。
(4)この固体触媒成分の固液を分離して、得られた固体分中のチタン含有量およびフタル酸ジn-ブチル含有量(フタル酸ジエステル化合物の含有量)を測定した。結果を表1に示す。
2.重合触媒の形成及び重合反応
窒素ガスで置換された内容積2.0リットルの攪拌機付オートクレーブに、トリエチルアルミニウム1.32ミリモル、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CMDMS)0.13ミリモル及び前記固体触媒成分をチタン原子として0.0026ミリモル装入し、重合用触媒を形成した。その後、水素ガス1.5リットル、液化プロピレン1.4リットルを装入し、20℃で5分間予備重合を行なった後に昇温し、70℃で1時間の重合反応を行なった。
このときの固体触媒成分1g当たりのプロピレン重合活性(PP重合活性)、重合体の嵩密度(BD)、重合体のp-キシレン可溶分の割合(XS)、重合体の溶融流れ性(MFR)を測定した。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1の「1.固体触媒成分の合成」の(1)において、四臭化チタンの添加量を5.0g(0.014モル)から10.0g(0.028モル)に変更した以外は、実施例1と同様にして固体触媒成分を調製した。
(比較例1)
実施例1の「1.固体触媒成分の合成」の(1)において、四臭化チタンを5.0g(0.014ミリモル)から不使用に変更した(四臭化チタンを使用しなかった)以外は、実施例1と同様にして固体触媒成分を調製した。
(実施例3)
1.固体触媒成分の合成
(1)攪拌機を具備し、窒素ガスで置換された容量200mLの丸底フラスコに、ジエトキシマグネシウム10.0g(0.0874モル)、フタル酸ジn-ブチル2.5mL(0.0094モル)及びトルエン50mLを装入し、懸濁状態とした。次いで、該懸濁液を、攪拌機を具備し、窒素ガスで置換された容量500mLの丸底フラスコに予め装てんされたトルエン30mL及び四塩化チタン20.0mL(0.180モル)の均一溶液中に添加した。
(2)次に、攪拌しながら昇温し、昇温途中の60℃でフタル酸ジn-ブチル1.2mL(0.0045モル)を加え、さらに昇温して110℃とし同温度を保持した状態で2時間反応させた。反応終了後、上澄み液を抜き出し、生成物を105℃のトルエン100mLで4回洗浄した。
(3)次いで、トルエン40mLと四塩化チタン20.0mL(0.180モル)を加え、攪拌しながら105℃に昇温し、105℃で2時間反応させた後、生成物を40℃のn-ヘプタン75mLで8回洗浄した。
(4)次に、トルエン60mLと四臭化チタン5.0g(0.014モル)を加え、攪拌しながら100℃に昇温し、100℃で2時間反応させた後、生成物を90℃のトルエン90mLで5回洗浄し、40℃のn-ヘプタン90mLで7回洗浄して固体触媒成分を得た。
(5)この固体触媒成分の固液を分離して、得られた固体分中のチタン含有量およびフタル酸ジn-ブチル含有量(フタル酸ジエステル化合物の含有量)を測定した。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例3の「1.固体触媒成分の合成」の(1)~(3)の各工程を行い得られた生成物(四臭化チタンを使用する前のn-ヘプタン洗浄後の生成物)を固体触媒成分とした。
この固体触媒成分の固液を分離して、得られた固体分中のチタン含有量およびフタル酸ジn-ブチル含有量(フタル酸ジエステル化合物の含有量)を測定した。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例2で得られた固体触媒成分を用いて、下記「3.共重合反応」を実施した。
3.共重合反応
窒素ガスで置換された内容積2.0リットルの撹拌機付オートクレープに、トリエチルアルミニウム2.4ミリモル、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(CMDMS)0.24ミリモル及び前記固体触媒成分をチタン原子換算で0.003ミリモル装入し、プロピレン系ブロック共重合触媒を調製した。
上記プロピレン系プロック共重合触媒の存在下、さらに液化プロピレン15モルと水素ガス0.20MPa(分圧)を装入し、20℃で5分間予備重合を行なった後、70℃で45分間、一段目のホモプロピレン(ホモ段)重合反応を行なった。ホモ段重合終了後、反応機の温度を室温に下げつつモノマーをパージし、その後オートクレーブ全体の重量を計量することで、重合開始前にあらかじめ秤量した重量との差からホモ段の重合量を求めた。窒素下でMFR測定用に一部のポリマーをサンプリングした後、再度モノマー供給ライン等を接続し、エチレン/プロピレン/水素を、それぞれモル比が1.7/2.3/0.086の割合となるように導入しつつ、1.2MPa、70℃、1時間の条件で重合反応することにより、エチレン-プロピレン共重合体を得た。
得られたエチレン-プロピレン共重合体について、エチレン-プロピレンブロック共重合活性(ICP活性)、ブロック率(CV)及びEPR含有率を測定した。結果を表2に示す。
(比較例3)
比較例1で得られた固体触媒成分を用いた以外は、実施例4と同様にして「3.共重合反応」を実施し、エチレン-プロピレン共重合体を得た。
得られたエチレン-プロピレン共重合体について、エチレン-プロピレンブロック共重合活性(ICP活性)、ブロック率(CV)及びEPR含有率を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2023170983000001
Figure 2023170983000002

Claims (7)

  1. マグネシウム化合物と、四塩化チタンと、四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物と、内部電子供与性化合物と、を相互に接触させて、オレフィン類重合用固体触媒成分を得ることを特徴とするオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法。
  2. 前記マグネシウム化合物1.00モル当たり、前記四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物を、0.03~2.00モル接触させることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法。
  3. 前記四塩化チタン以外の四価のチタンハロゲン化合物が、四臭化チタン及び/又は四ヨウ化チタンであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法。
  4. 前記マグネシウム化合物が、ジアルコキシマグネシウムであることを特徴とする請求構1又は請求項2に記載のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法。
  5. 請求項1に記載のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法を行い得られるオレフィン類重合用固体触媒成分と、
    下記一般式(1):
    AlQ3-p (1)
    (式中、Rは炭素数1~6のアルキル基を示し、Qは水素原子あるいはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3である。Rが複数存在する場合、各Rは互いに同一であっても異なっていてもよく、Qが複数存在する場合、各Qは同一であっても異なっていてもよい。)
    で表される有機アルミニウム化合物と、
    を相互に接触させて、オレフィン類重合用触媒を得ることを特徴とするオレフィン類重合用触媒の製造方法。
  6. 請求項1に記載のオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法を行い得られるオレフィン類重合用固体触媒成分と、
    下記一般式(1):
    AlQ3-p (1)
    (式中、Rは炭素数1~6のアルキル基を示し、Qは水素原子あるいはハロゲン原子を示し、pは0<p≦3である。Rが複数存在する場合、各Rは互いに同一であっても異なっていてもよく、Qが複数存在する場合、各Qは同一であっても異なっていてもよい。)
    で表される有機アルミニウム化合物と、
    外部電子供与性化合物と、
    を相互に接触させて、オレフィン類重合用触媒を得ることを特徴とするオレフィン類重合用触媒の製造方法。
  7. 請求項5又は請求項6に記載のオレフィン類重合用固体触媒の製造方法を行い得られるオレフィン類重合用固体触媒を用いてオレフィン類の重合を行うことを特徴とするオレフィン類重合体の製造方法。
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