JP2022170676A - オレフィン類重合用固体触媒成分、オレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法、オレフィン類重合用触媒の製造方法及びオレフィン類重合体の製造方法 - Google Patents

オレフィン類重合用固体触媒成分、オレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法、オレフィン類重合用触媒の製造方法及びオレフィン類重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】エチレン-プロピレン共重合反応に供したときに、立体規則性の高いホモプロピレンポリマーを生成しつつ、良好なエチレンレスポンス性を発揮し得るオレフィン類重合用固体触媒成分を提供する。【解決手段】チタン、マグネシウム、ハロゲン、内部電子供与性化合物を含有するオレフィン類重合用固体触媒成分であって、前記内部電子供与性化合物が、フタル酸エステル構造を有する電子供与性化合物(i)と、エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)とを含み、前記エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)の含有割合が0.5~1.5質量%であることを特徴とするオレフィン類重合用固体触媒成分である。【選択図】なし

Description

本発明は、オレフィン類重合用固体触媒成分、オレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法、オレフィン類重合用触媒の製造方法及びオレフィン類重合体の製造方法に関する。
従来、チタン等の遷移金属触媒成分が担体上に担持されたオレフィン類重合用固体触媒成分(以下、適宜、固体触媒成分と称する)が広く知られており、プロピレン等のオレフィン類の重合に用いられるオレフィン類重合用固体触媒成分として、マグネシウム、チタン、ハロゲン及び内部電子供与性化合物(以下、適宜、内部電子供与体と称する)を必須成分として含む固体触媒成分が数多く提案されている。
例えば、特許文献1には、チタン、マグネシウム、ハロゲン及び電子供与体を含み、i)平均粒子径dが25~100μmであり、且つii)粒子強度N(MPa)が、式「N>8000×d-2」を満たすオレフィン重合用固体状チタン触媒成分が記載されている。このオレフィン重合用固体状チタン触媒成分は、複数の炭素原子を介して存在する2個以上のエーテル結合を有する一種以上の化合物と、一種以上のカルボン酸エステル化合物とを含有する電子供与体が用いられている。
特許文献1によれば、立体特異性が高く且つ良モルフォロジーなオレフィン(共)重合体が得られ、且つ特殊な電子供与体を用いて製造される高活性な触媒を得るためのオレフィン重合用固体状チタン触媒成分を提供することができるとされている。
また、特許文献2には、チタン原子、マグネシウム原子、ハロゲン原子、フタル酸エステル化合物及び1,3-ジエーテル化合物を含有するα-オレフィン重合用固体触媒成分が記載されている。このα-オレフィン重合用固体触媒成分は、フタル酸エステル化合物に対する1,3-ジエーテル化合物のモル比が0.1~3である。
特許文献2によれば、高い立体規則性重合能を有し、且つ、水素による分子量制御性に優れたα-オレフィン重合用固体触媒成分を提供することができるとされている(なお、特許文献2のフタル酸エステル化合物及び1,3-ジエーテル化合物は、特許文献1における電子供与体に相当する)。
また、特許文献3には、マグネシウム、チタン、ハロゲン及び所定のエーテル類から選択される少なくとも2つの電子供与化合物からなる固体触媒成分が記載されている。この固体触媒成分は、モノ又はポリカルボン酸のエステル類から選択される電子供与化合物と、ジエーテル類から選択される電子供与化合とを含有する電子供与化合物が用いられている。
特許文献3によれば、高いキシレン不溶性で広い範囲のアイソタキシティを示すプロピレンポリマーを作ることができるオレフィンの重合用の固体触媒成分を提供することができるとされている。
特開2005-112920号公報 特開2006-016607号公報 特開2009-263678号公報
しかしながら、本発明者等が検討したところ、特許文献1~特許文献3に記載のオレフィン類重合用固体触媒成分は、フタル酸エステル化合物と比較してジエーテル化合物の含有割合が高いものであるため、エチレン-プロピレン共重合時において、ホモプロピレンポリマーの立体規則性に劣っていたり、エチレンの反応性(エチレンレスポンス)が低いという技術課題を有するものであることが判明した。
エチレン-プロピレン共重合(ICP重合)の際にエチレンの反応性が低い場合、共重合時に多量のエチレンをフィードする必要があるため、生産効率の面で好ましくなく、また、未反応モノマーにエチレンが多く混入すると、プロピレンとの分離が困難になるため、共重合反応後における回収モノマーを用いたICP重合の製造工程に影響する。
さらに、耐衝撃性向上の観点から、得られるエチレン-プロピレン共重合体(ICP)において共重合部の生成量が多いことも不可欠である。
このような状況下、本発明は、エチレン-プロピレン共重合反応に供したときに、立体規則性の高いホモプロピレンポリマーを生成しつつ、良好なエチレンレスポンス性を発揮し得るオレフィン類重合用固体触媒成分を提供するとともに、オレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法、オレフィン類重合用触媒の製造方法及びオレフィン類重合体の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者等が鋭意検討したところ、チタン、マグネシウム、ハロゲン、内部電子供与性化合物を含有するオレフィン類重合用固体触媒成分であって、前記内部電子供与性化合物が、フタル酸エステル構造を有する電子供与性化合物(i)と、エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)とを含み、前記エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)の含有割合が0.5~1.5質量%であるオレフィン類重合用固体触媒成分により、上記技術課題を解決し得ることを見出し、本知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)チタン、マグネシウム、ハロゲン、内部電子供与性化合物を含有するオレフィン類重合用固体触媒成分であって、
前記内部電子供与性化合物が、
フタル酸エステル構造を有する電子供与性化合物(i)と、
エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)とを含み、
前記エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)の含有割合が0.5~1.5質量%であること
を特徴とするオレフィン類重合用固体触媒成分、
(2)(a)ジアルコキシマグネシウムと、四価のチタンハロゲン化合物と、フタル酸エステル構造を有する電子供与性化合物(i)とを相互に接触させて接触物を得る工程および
(b)前記接触物と、四価のチタンハロゲン化合物と、エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)とを相互に接触させる工程を
順次施すこと
を特徴とするオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法、
(3)上記(1)に記載のオレフィン類重合用固体触媒成分または上記(2)に記載の製造方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分と、下記一般式(I)
AlQ3-p (I)
(式中、Rは、炭素数1~6のアルキル基であり、Qは、水素原子又はハロゲン原子であり、pは、0<p≦3であり、Rが複数存在する場合、各Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、Qが複数存在する場合、各Qは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
で表される有機アルミニウム化合物とを相互に接触させてオレフィン類重合用触媒を得ること
を特徴とするオレフィン類重合用触媒の製造方法、
(4)上記(1)に記載のオレフィン類重合用固体触媒成分または上記(2)に記載の製造方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分と前記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物とともにさらに外部電子供与性化合物を相互に接触させてオレフィン類重合用触媒を得ることを特徴とする上記(3)に記載のオレフィン類重合用触媒の製造方法、
(5)上記(3)又は(4)に記載の製造方法により得られるオレフィン類重合用触媒を用いてオレフィン類の重合を行うことを特徴とするオレフィン類重合体の製造方法
を提供するものである。
本発明によれば、エチレン-プロピレン共重合反応に供したときに、立体規則性の高いホモプロピレンポリマーを生成しつつ、良好なエチレンレスポンス性を発揮し得るオレフィン類重合用固体触媒成分を提供できるとともに、オレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法、オレフィン類重合用触媒の製造方法及びオレフィン類重合体の製造方法を提供することができる。
(オレフィン類重合用固体触媒成分)
先ず、本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分について説明する。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分は、チタン、マグネシウム、ハロゲン、内部電子供与性化合物を含有するオレフィン類重合用固体触媒成分であって、前記内部電子供与性化合物が、フタル酸エステル構造を有する電子供与性化合物(i)と、エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)とを含み、前記エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)の含有割合が0.5~1.5質量%であることを特徴とするものである。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分は、チタン、マグネシウム、ハロゲンおよび内部電子供与性化合物を含有する。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分において、ハロゲンとしては、例えば、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素の各原子が挙げられ、中でも塩素、臭素またはヨウ素が好ましく、塩素またはヨウ素がより好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分は、内部電子供与性化合物として、フタル酸エステル構造を有する電子供与性化合物(i)を含む。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分において、フタル酸エステル構造を有するとは、下記フタル酸エステル構造:
Figure 2022170676000001
を有する化合物を意味する。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分において、フタル酸エステル構造を有する電子供与性化合物(i)としては、オレフィン類重合用固体触媒成分において電子供与性化合物として作用するものであれば特に制限されず、例えば、下記一般式(II):
Figure 2022170676000002
(式中、R、R及びRは有機基であり、nは0≦n≦4である。R、R及びRは、同一であっても、異なってもよい。)
で表される芳香族ジカルボン酸ジエステル類から選ばれる一種以上を挙げることができる。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分において、一般式(II)で表される芳香族ジカルボン酸ジエステル類としては、例えば、フタル酸ジエステル、アルキル置換フタル酸ジエステル、ハロゲン置換フタル酸ジエステル等から選ばれる一種以上を挙げることができ、フタル酸ジエステルであることが好ましい。
上記芳香族ジカルボン酸ジエステル類として、具体例には、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ-n-プロピル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジ-n-ブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジ-n-ペンチル、フタル酸ジイソペンチル、フタル酸ジネオペンチル、フタル酸ジ-n-ヘキシル、フタル酸ジテキシル、フタル酸メチルエチル、フタル酸(エチル)n-プロピル、フタル酸エチルイソプロピル、フタル酸(エチル)n-ブチル、フタル酸エチルイソブチル、フタル酸(エチル)n-ペンチル、フタル酸エチルイソペンチル、フタル酸エチルネオペンチル、フタル酸(エチル)n-ヘキシル等のフタル酸ジエステル;4-メチルフタル酸ジエチル、4-メチルフタル酸ジ-n-プロピル、4-メチルフタル酸ジイソプロピル、4-メチルフタル酸ジ-n-ブチル、4-メチルフタル酸ジイソブチル等のアルキル置換フタル酸ジエステル;4-クロロフタル酸ジエチル、4-クロロフタル酸ジ-n-プロピル、4-クロロフタル酸ジイソプロピル、4-クロロフタル酸ジ-n-ブチル、4-クロロフタル酸ジイソブチル、4-ブロモフタル酸ジエチル、4-ブロモフタル酸ジ-n-プロピル、4-ブロモフタル酸ジイソプロピル、4-ブロモフタル酸ジ-n-ブチル、4-ブロモフタル酸ジイソブチル等のハロゲン置換フタル酸ジエステル等から選ばれる一種以上が挙げられる。
上記芳香族ジカルボン酸ジエステル類の中でも、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ-n-プロピル、フタル酸ジ-n-ブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジ-n-ペンチルから選ばれる一種以上が好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分は、内部電子供与性化合物として、エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)を含む。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分において、エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)とは、エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有するとともに、下記フタル酸エステル構造:
Figure 2022170676000003
を有さない化合物を意味する。
このため、エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)は、上記フタル酸エステル構造を有する電子供与性化合物(i)に該当する化合物以外の化合物から選択される。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分において、エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)としては、オレフィン類重合用固体触媒成分において電子供与性化合物として作用するものであれば特に制限されない。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分において、エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)として、具体的には、2-エトキシエチルメチルカーボネート、2-プロポキシエチルメチルカーボネート、2-ベンジルオキシエチルフェニルカーボネート、5-t-ブチル-1,2-フェニレンジフェニルジカーボネート等のカーボネート基を有する化合物;2-イソプロピル- 2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレン等のエーテル基を有する化合物;酢酸エステル、プロピオン酸エステル、安息香酸エステル、p-トルイル酸エステル、アニス酸エステル等のモノカルボン酸エステル、マレイン酸ジエステル、2,3-ジアルキルコハク酸ジエステル、ベンジリデンマロン酸ジエステル、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジエステル、1-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジエステル、4-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジエステル、3-メチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジエステル、3,6-ジフェニルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジエステル、3-メチル-6-n-プロピルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジエステル等のジカルボン酸ジエステル類等から選ばれる一種以上が挙げられ、これらのうち、2-イソプロピル- 2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレン等のエーテル基を有する化合物や、2-エトキシエチルメチルカーボネート、2-プロポキシエチルメチルカーボネート、2-ベンジルオキシエチルフェニルカーボネート、5-t-ブチル-1,2-フェニレンジフェニルジカーボネート等のカーボネート基を有する化合物から選ばれる一種以上が特に好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分は、内部電子供与性化合物として、フタル酸エステル構造を有する電子供与性化合物(i)およびエーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)とともに、本発明の効果を奏する限度においてその他の内部電子供与性化合物(以下、「他の内部電子供与性化合物」と称する)を含むものであってもよい。
他の内部電子供与性化合物としては、特に制限されないが、上記電子供与性化合物(i)及び電子供与性化合物(ii)以外の有機化合物であって、酸素原子あるいは窒素原子を含有する有機化合物であることが好ましく、例えば、アルコール類、フェノール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、酸ハライド類、アルデヒト類、アミン類、アミド類、ニトリル類、イソシアネート類、Si-O-C結合またはSi-N-C結合を含む有機ケイ素化合物等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
他の内部電子供与性化合物としては、モノエーテル類、エーテルカーボネート類等のエーテル化合物や、モノカルボン酸エステル類などのエステル類から選ばれる一種以上がより好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分において、チタンの原子換算した含有割合は、0.5~8.0質量%であることが好ましく、1.0~6.0質量%であることがより好ましく、1.0~4.0質量%であることがさらに好ましい。
本出願書類において、オレフィン類重合用固体触媒成分中のチタンの含有割合は、JIS 8311-1997「チタン鉱石中のチタン定量方法」に記載の方法(酸化還元滴定)に準じて測定した値を意味するものとする。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分において、マグネシウムの原子換算した含有割合は、10.0~70.0質量%であることが好ましく、10.0~50.0質量%であることがより好ましく、15.0~40.0質量%であることがさらに好ましく、15.0~25.0質量%であることが特に好ましい。
本出願書類において、オレフィン類重合用固体触媒成分中のマグネシウムの含有割合は、固体触媒成分を塩酸溶液で溶解し、EDTA溶液で滴定するEDTA滴定方法により測定した値を意味するものとする。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分において、ハロゲンの原子換算した含有割合は、20.0~90.0質量%であることが好ましく、30.0~85.0質量%であることがより好ましく、40.0~80.0質量%であることがさらに好ましく、45.0~75.0質量%であることが特に好ましい。
本出願書類において、オレフィン類重合用固体触媒成分中のハロゲンの含有割合は、固体触媒成分を硫酸と純水の混合溶液で処理して水溶液とした後、所定量を分取し、硝酸銀標準溶液でハロゲン原子を滴定する硝酸銀滴定法により測定した値を意味するものとする。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分において、内部電子供与性化合物を構成する化合物のうち、フタル酸エステル構造を有する電子供与性化合物(i)の含有割合は、5~30質量%であることが好ましく、7~25質量%であることがより好ましく、10~20質量%であることがさらに好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分において、内部電子供与性化合物を構成する化合物のうち、フタル酸エステル構造を有する電子供与性化合物(i)の含有割合が上記範囲内にあることにより、後述するエーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)の含有割合が特定範囲内にあることとあわせ、エチレン-プロピレン共重合反応に供したときに、立体規則性に優れたホモプロピレンポリマーを生成しつつ、良好なエチレンレスポンス性を容易に発揮することができる。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分において、内部電子供与性化合物を構成する化合物のうち、エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)の含有割合は、0.5~1.5質量%であり、0.6~1.3質量%であることが好ましく、0.8~1.2質量%であることがより好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分において、内部電子供与性化合物を構成する化合物のうち、エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)の含有割合が上記範囲内にあることにより、立体規則性に優れたホモプロピレンポリマーを生成しつつ、良好なエチレンレスポンス性を容易に発揮することができる。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分において、フタル酸エステル構造を有する電子供与性化合物(i)と、エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)との合計含有割合は、5.0~25.0質量%であることが好ましく、8.0~22.0質量%であることがより好ましく、10.0~20.0質量%であることがより好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分において、「エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)の含有割合(mol%)/フタル酸エステル構造を有する電子供与性化合物(i)の含有割合(mol%)」で表される比は、0.03~0.15であることが好ましく、0.05~0.13であることがより好ましく、0.07~0.13であることがさらに好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分において、上記内部電子供与性化合物の比が上記範囲内にあることにより、エチレン-プロピレン共重合反応に供したときに、立体規則性の高いホモプロピレンポリマーを生成しつつ、良好なエチレンレスポンス性を発揮し、高い共重合活性の下でエチレン量の含有割合の高い共重合体を容易に得ることができる。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分において、本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分中における他の内部電子供与性化合物の含有割合は、0.0~5.0質量%であってもよい。
本出願書類において、オレフィン類重合用固体触媒成分中のフタル酸エステル構造を有する電子供与性化合物(i)、エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)及び他の内部電子供与性化合物の各含有割合は、ガスクロマトグラフィーにより標準溶液を用いて予め作成した検量線により各々測定される値を意味する。
具体的には、各内部電子供与性化合物の各含有割合は、ガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製、GC-14B)を用いて下記の条件で測定したときに、測定する化合物の標準溶液に基づいて測定した検量線を用いて求めた値を意味する。
<測定条件>
カラム:パックドカラム(φ2.6×2.1m, Silicone SE-30 10%,Chromosorb WAW DMCS 80/100、ジーエルサイエンス(株)製)
検出器:FID(Flame IonizationDetector,水素炎イオン化型検出器)
キャリアガス:ヘリウム、流量40ml/分
測定温度:気化室280℃、カラム225℃、検出器280℃、または気化室265℃、カラム180℃、検出器265℃
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分において、その総合性能をバランスよく発揮させるためには、チタンの原子換算の含有割合が1.0~4.0質量%、マグネシウムの原子換算の含有割合が15.0~25.0質量%、ハロゲンの原子換算の含有割合が45.0~75.0質量%、フタル酸エステル構造を有する電子供与性化合物(i)の含有割合が10~20質量%、エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)の含有割合が0.5~20質量%であることが望ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分を製造する方法としては、以下に説明する本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法を挙げることができる。
本発明によれば、エチレン-プロピレン共重合反応に供したときに、立体規則性の高いホモプロピレンポリマーを生成しつつ、良好なエチレンレスポンス性を発揮し得るオレフィン類重合用固体触媒成分を提供することができる。
(オレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法)
次に、本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法について説明する。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法は、
(a)ジアルコキシマグネシウムと、四価のチタンハロゲン化合物と、フタル酸エステル構造を有する電子供与性化合物(i)とを相互に接触させて接触物を得る工程および
(b)前記接触物と、四価のチタンハロゲン化合物と、エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)とを相互に接触させる工程を
順次施すこと
を特徴とするものである。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法は、上述した本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分を製造する方法に係るものである。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法は、マグネシウム、チタン及びハロゲンの供給源となる原料成分としてマグネシウム化合物及び四価のチタンハロゲン化合物を用い、これらを、フタル酸エステル構造を有する電子供与性化合物(i)およびエーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)と接触させるものであり、この場合、各原料成分の使用量は、得ようとするオレフィン類重合用固体触媒成分を構成する各成分の含有割合に応じて適宜決定することになる。
以下、本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法における各工程の詳細について説明する。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法においては、(a)工程において、ジアルコキシマグネシウムと、四価のチタンハロゲン化合物と、フタル酸エステル構造を有する電子供与性化合物(i)とを、相互に接触させて接触物を得る。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、ジアルコキシマグネシウムとしては、ジメトキシマグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジプロポキシマグネシウム、ジブトキシマグネシウム、エトキシメトキシマグネシウム、エトキシプロポキシマグネシウムおよびブトキシエトキシマグネシウム等から選ばれる一種以上が挙げられ、これらのうち、ジエトキシマグネシウムが特に好ましい。
上記ジアルコキシマグネシウムは、金属マグネシウムを、ハロゲン含有有機金属等の存在下にアルコールと反応させて得たものであってもよい。
上記ジアルコキシマグネシウムは、顆粒状または粉末状であるものが好ましく、その形状は不定形あるいは球状のものを使用し得る。
ジアルコキシマグネシウムとして球状のものを使用した場合、より良好な粒子形状を有し(より球状で)狭い粒度分布を有する重合体粉末が得られ、重合操作時に生成した重合体粉末の取扱い操作性が向上し、生成した重合体粉末に含まれる微粉に起因する閉塞等の発生を抑制することができる。
上記球状のジアルコキシマグネシウムは、必ずしも真球状である必要はなく、楕円形状あるいは馬鈴薯形状のものを用いることもできる。
また、上記ジアルコキシマグネシウムの平均粒子径(平均粒子径D50)は、1.0~200.0μmであることが好ましく、5.0~150.0μmであることがより好ましい。ここで、平均粒子径D50は、レーザー光散乱回折法粒度測定機を用いて測定したときの、体積積算粒度分布における積算粒度で50%の粒径を意味するものである。
ジアルコキシマグネシウムが球状である場合、上記平均粒子径D50は1.0~100.0μmであることが好ましく、5.0~80.0μmであることがより好ましく、10.0~70.0μmであることがさらに好ましい。
また、ジアルコキシマグネシウムの粒度分布については、微粉及び粗粉の少ない、粒度分布の狭いものであることが好ましい。
具体的には、ジアルコキシマグネシウムは、レーザー光散乱回折法粒度測定機を用いて測定したときに、粒子径5.0μm以下の粒子が20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。一方、レーザー光散乱回折法粒度測定機を用いて測定したときに、粒子径100.0μm以上の粒子が20%以下であることが好ましく、10%以下であることがより好ましい。
更にその粒度分布をln(D90/D10)で表すと3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。ここで、D90は、レーザー光散乱回折法粒度測定機を用いて測定したときの、体積積算粒度分布における積算粒度で90%の粒径を意味するものである。また、D10は、レーザー光散乱回折法粒度測定機を用いて測定したときの、体積積算粒度分布における積算粒度で10%の粒径を意味するものである。
ジアルコキシマグネシウムは、1種単独であってもよいし、2種以上の併用であってもよい。
上記の如き球状のジアルコキシマグネシウムを製造する方法は、例えば特開昭62-51633号公報、特開平3-74341号公報、特開平4-368391号公報、特開平8-73388号公報等に例示されている。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分において、チタン及びハロゲンの供給源となる原料成分である四価のチタンハロゲン化合物としては、特に制限されないが、下記一般式(III)
Ti(OR4-r (III)
(式中、Rは、炭素数1~4のアルキル基を示し、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子を示し、rは、0≦r≦3である。)で表されるチタンハライドまたはアルコキシチタンハライド群から選択される化合物の一種以上であることが好適である。
上記一般式(III)で表される化合物において、rは、0<r≦3であり、1、2又は3が好ましい。
上記一般式(III)で表されるチタンハライドとしては、チタンテトラフルオライド、チタンテトラクロライド、チタンテトラブロマイド、チタンテトラアイオダイド等から選ばれる一種以上のチタンテトラハライドが挙げられる。
また、上記一般式(III)で表されるアルコキシチタンハライドとしては、メトキシチタントリクロライド、エトキシチタントリクロライド、プロポキシチタントリクロライド、n-ブトキシチタントリクロライド等のアルコキシチタントリハライド、ジメトキシチタンジクロライド、ジエトキシチタンジクロライド、ジプロポキシチタンジクロライド、ジ-n-ブトキシチタンジクロライド等のジアルコキシチタンジハライド、トリメトキシチタンクロライド、トリエトキシチタンクロライド、トリプロポキシチタンクロライド、トリ-n-ブトキシチタンクロライド等のトリアルコキシチタンハライド等から選ばれる一種以上が挙げられる。
上記四価のチタンハロゲン化合物のうち、チタンテトラフルオライド、チタンテトラクロライド、チタンテトラブロマイド、チタンテトラアイオダイド等のチタンテトラハライドが特に好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、フタル酸エステル構造を有する電子供与性化合物(i)の詳細は、上述した通りである。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、(a)工程で使用する四価のチタンハロゲン化合物の量は、目的とするオレフィン類重合用固体触媒成分の組成により異なるため、一概に規定することができないが、例えば、ジアルコキシマグネシウム1モル当り、0.5~10.0モルであることが好ましく、1.0~5.0モルであることがより好ましく、1.8~2.5モルであることがさらに好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、(a)工程で使用するフタル酸エステル構造を有する電子供与性化合物(i)の量は、ジアルコキシマグネシウム1モル当り、0.05~0.20モルであることが好ましく、0.07~0.18モルであることがより好ましく、0.10~0.15モルであることがさらに好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、(a)工程における接触処理は、例えば、ケイ素、リン、アルミニウム等の他の反応試剤や界面活性剤の共存下に行ってもよい。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、(a)工程における接触時間は、10~600分間が好ましく、30~300分間がより好ましく、60~180分間がさらに好ましい。
上記(a)工程において、ジアルコキシマグネシウムに対し、四価のチタンハロゲン化合物と、フタル酸エステル構造を有する電子供与性化合物(i)とは、複数回に分けて添加してもよい。
この場合、各接触処理時間が、上記範囲内になるように調整すればよい。
上記(a)工程における接触処理は、各成分を撹拌、混合しながら行うことが好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、(a)工程における上記接触処理は、不活性有機溶媒の存在下で行うことが好ましい。
上記不活性有機溶媒としては、四価のチタンハロゲン化合物を溶解し且つジアルコキシマグネシウムを溶解しないものが好ましく、例えば、沸点が50~200℃程度であり、常温で液状の飽和炭化水素化合物あるいは芳香族炭化水素化合物であることが好ましい。
上記不活性有機溶媒として、具体的には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、1,2-ジエチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、デカリン、ミネラルオイル等の飽和炭化水素化合物、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素化合物、オルトジクロルベンゼン、塩化メチレン、1,2-ジクロロベンゼン、四塩化炭素、ジクロルエタン等のハロゲン化炭化水素化合物等から選ばれる1種以上が挙げられる。
上記不活性有機溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、エチルシクロヘキサン、ミネラルオイル、トルエン、キシレン、エチルベンゼンから選ばれる少なくとも1種が好ましく、ヘキサン、ヘプタン、エチルシクロヘキサンおよびトルエンから選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。
上記(a)工程における不活性有機溶媒の使用量は、調製方法により異なるため一概に規定することはできないが、例えば、不活性有機溶媒の使用量は、四価のチタンハロゲン化合物に対する容量比(不活性有機溶媒の使用量(容量%)/四価のチタンハロゲン化合物の使用量(容量%))で、1.0~10.0であることが好ましく、2.0~5.0であることがより好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、(a)工程での接触処理を不活性有機溶媒の存在下に行った場合、得られた懸濁液をそのまま(b)工程に供してもよいし、上澄み液を除去し適宜不活性有機溶媒を用いて洗浄処理した上で(b)工程に供してもよく、上澄み液を除去し適宜不活性有機溶媒を用いて洗浄処理した上で(b)工程に供することが好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法においては、(b)工程として、(a)工程で得られた接触物と、四価のチタンハロゲン化合物と、エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)とを相互に接触させる。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、(b)工程で使用する四価のチタンハロゲン化合物の具体例は、上述したものと同様である。
この場合、(b)工程で使用する四価のチタンハロゲン化合物は、(a)工程で使用した四価のチタンハロゲン化合物と同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、(b)工程における四価のチタンハロゲン化合物の使用量は、目的とするオレフィン類重合用固体触媒成分の組成により異なるため、一概に規定することができないが、例えば、目的とするオレフィン類重合用固体触媒成分の製造時に使用するジアルコキシマグネシウム1モル当り、0.5~10.0モルであることが好ましく、1.0~5.0モルであることがより好ましい。
また、本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、(b)工程で使用するエーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)の使用量は、目的とするオレフィン類重合用固体触媒成分の製造時に使用するジアルコキシマグネシウム1モル当り、2.0×10-3~4.5×10-2モルであることが好ましく、2.5×10-3~3.5×10-2モルであることがより好ましく、3.0×10-3~3.0×10-2モルであることがさらに好ましい。
(b)工程における接触処理は、例えば、ケイ素、リン、アルミニウム等の他の反応試剤や界面活性剤の共存下に行ってもよい。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、(b)工程における接触時間は、1~600分間が好ましく、3~180分間がより好ましく、5~120分間がさらに好ましい。
上記(b)工程において、(a)工程で得られた接触物に対し、四価のチタンハロゲン化合物と、エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)とは、複数回に分けて添加してもよい。
この場合、各接触処理時間が、上記範囲内の時間となるように調整すればよい。
上記(b)工程における接触処理は、各成分を撹拌、混合しながら行うことが好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法においては、(b)工程において、上記接触物と、四価のチタンハロゲン化合物と、エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)とを、不活性有機溶媒の存在下で、相互に接触させることが好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、(b)工程で使用する不活性有機溶媒としては、上述したものと同様のものを挙げることができる。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、(a)工程においても不活性有機溶媒を使用する場合、(b)工程で使用する不活性有機溶媒は、(a)工程で使用した不活性有機溶媒と同一のものであってもよいし、異なるものであってもよい。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法においては、(a)工程および(b)工程の少なくとも一方の接触処理を、加熱しながら行うことが好ましい。
上記製造方法において、(a)工程または(b)工程における接触処理を加熱しながら行う場合、加熱温度は、70~150℃が好ましく、80~120℃がより好ましく、90~110℃がさらに好ましい。
この場合、(a)工程および(b)工程における加熱温度は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
上記各成分の接触処理においては、不活性ガス雰囲気下、水分等を除去した状況下で、撹拌機を具備した容器中で、撹拌しながら反応を行うことが好ましい。
上記接触処理における反応終了後、得られた反応液は、静置し、適宜、上澄み液を除去してウェット状(スラリー状)とする。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、得られた反応液は洗浄処理することが好ましく、洗浄処理は通常洗浄液(洗浄処理用の溶媒)を用いて行うことが好ましい。
洗浄液としては、上述した不活性有機溶媒と同様のものを挙げることができ、ヘキサン、ヘプタン、デカン等の常温下で液体、かつ、沸点が50~150℃の直鎖脂肪族炭化水素化合物や、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の常温下で液体、かつ、沸点が50~150℃の環式脂肪族炭化水素化合物、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、オルトジクロロベンゼン等の常温下で液体、かつ、沸点が50~150℃の芳香族炭化水素化合物等から選ばれる一種以上が好ましい。
上記洗浄液を使用することにより、反応液中から、副生成物や不純物を容易に溶解し、除去して洗浄後反応液を得ることができる。さらに、洗浄後反応液を、熱風乾燥等により乾燥することにより固体触媒成分を得ることもできる。
上記洗浄処理は、0~120℃の温度下で行うことが好ましく、0~110℃の温度下で行うことがより好ましく、30~110℃の温度下で行うことがさらに好ましく、50~110℃の温度下で行うことが一層好ましく、50~100℃の温度下で行うことがより一層好ましい。
洗浄処理は、反応液に対して所望量の洗浄液を加えて攪拌した後、フィルトレーション法(濾過法)もしくはデカンテーション法により、液相を除去することにより行うことが好ましい。
また、洗浄回数は複数回(2回以上)であってもよい。
上記各成分を相互に接触させた後、洗浄処理することにより、洗浄後反応液中に残留する未反応原料成分や反応副生成物(アルコキシチタンハライドや四塩化チタン-カルボン酸錯体等)の不純物を除去することができる。
上記洗浄処理された反応生成物は、通常、懸濁液状であり、当該懸濁液状の各反応生成物は、静置し、上澄み液を除去してウェット状(スラリー状)にして固体触媒成分を得ることができる。さらに該ウェット状の固体触媒成分を、熱風乾燥等により乾燥することにより目的とする固体触媒成分を得ることができる。
本発明によれば、エチレン-プロピレン共重合反応に供したときに、立体規則性の高いホモプロピレンポリマーを生成しつつ、良好なエチレンレスポンス性を発揮し得るオレフィン類重合用固体触媒成分を簡便に製造する方法を提供することができる。
(オレフィン類重合用触媒の製造方法)
次に、本発明に係るオレフィン類重合用触媒の製造方法について説明する。
本発明に係るオレフィン類重合用触媒の製造方法は、本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分または本発明に係る製造方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分と、下記一般式(I)
AlQ3-p (I)
(式中、Rは、炭素数1~6のアルキル基であり、Qは、水素原子又はハロゲン原子であり、pは、0<p≦3であり、Rが複数存在する場合、各Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、Qが複数存在する場合、各Qは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
で表される有機アルミニウム化合物とを相互に接触させてオレフィン類重合用触媒を得ること
を特徴とするものである。
本発明に係るオレフィン類重合用触媒の製造方法は、本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分または本発明に係る製造方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分の詳細については、上述したとおりである。
上記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物としては、特に制限されないが、Rとしては、エチル基及びイソブチル基から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、上記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物において、Qは水素原子又はハロゲン原子であり、水素原子、塩素原子及び臭素原子から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、上記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物において、pは、0<p≦3であり、2、2.5又は3が好ましく、3であることがより好ましい。
上記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド等のハロゲン化アルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムハイドライド等から選ばれる一種以上が挙げられ、中でもジエチルアルミニウムクロライド等のハロゲン化アルキルアルミニウム、又はトリエチルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム等から選ばれる1種以上が好ましく、トリエチルアルミニウムおよびトリイソブチルアルミニウムから選ばれる1種以上がより好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用触媒の製造方法において、一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物の使用割合は、特に限定されるものではないが、オレフィン類重合用固体触媒成分中のチタン原子1モルあたり、有機アルミニウム化合物が、1~2000モルであることが好ましく、50~1000モルであることがより好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用触媒の製造方法は、本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分または本発明に係る製造方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分と、上記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物とともに、さらに外部電子供与性化合物を相互に接触させてオレフィン類重合用触媒を得るものであってもよい。
本発明に係るオレフィン類重合用触媒の製造方法において、外部電子供与性化合物としては、オレフィン類の重合時に電子供与体として作用し、オレフィン類重合用触媒に適用可能な外部電子供与性化合物であれば、特に制限されない。
上記外部電子供与性化合物としては、酸素原子あるいは窒素原子を含有する有機化合物が挙げられ、具体的には、例えばアルコール類、フェノール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、酸ハライド類、アルデヒド類、アミン類、アミド類、ニトリル類、イソシアネート類および有機ケイ素化合物から選ばれる一種以上、中でもSi-O-C結合を有する有機ケイ素化合物またはSi-N-C結合を有するアミノシラン化合物等が挙げられる。
上記外部電子供与性化合物のなかでも、安息香酸エチル、p-メトキシ安息香酸エチル、p-エトキシ安息香酸エチル、p-トルイル酸メチル、p-トルイル酸エチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル等のエステル類、1,3-ジエーテル類、Si-O-C結合を含む有機ケイ素化合物、Si-N-C結合を含むアミノシラン化合物が好ましく、Si-O-C結合を有する有機ケイ素化合物、Si-N-C結合を有するアミノシラン化合物類が特に好ましい。
上記外部電子供与性化合物のうち、Si-O-C結合を有する有機ケイ素化合物としては、下記一般式(IV):
Si(OR4-q (IV)
(式中、Rは炭素数1~12のアルキル基、炭素数3~12のシクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、アリル基またはアラルキル基であり、同一または異なっていてもよい。Rは炭素数1~4のアルキル基、炭素数3~6のシクロアルキル基、フェニル基、ビニル基、アリル基またはアラルキル基であり、同一または異なっていてもよい。qは0≦q≦3である。)で表される有機ケイ素化合物が挙げられる。
上記一般式(IV)で表される有機ケイ素化合物において、qは、0≦q≦3であり、0、1、2又は3が好ましい。
上記一般式(IV)で表される有機ケイ素化合物としては、フェニルアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、フェニルアルキルアルコキシシラン、シクロアルキルアルコキシシラン、アルキル(シクロアルキル)アルコキシシラン等の有機ケイ素化合物が挙げられる。
具体的には、n-プロピルトリエトキシシラン、シクロペンチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、t-ブチルトリメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、イソプロピルイソブチルジメトキシシラン、ジイソペンチルジメトキシシラン、ビス(2-エチルヘキシル)ジメトキシシラン、t-ブチルメチルジメトキシシラン、t-ブチルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、シクロヘキシルシクロペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン等の有機ケイ素化合物等から選ばれる一種以上が好ましい。
また、上記外部電子供与性化合物のうち、Si-N-C結合を有するアミノシラン化合物としては、前記一般式(V):
(RN)SiR10 4-s (V)
(式中、RとRは水素原子、炭素数1~20の直鎖または炭素数3~20の分岐状アルキル基、ビニル基、アリル基、アラルキル基、炭素数3~20のシクロアルキル基、アリール基であり、同一でも異なってもよく、またRとRが互いに結合して環を形成してもよい。R10は炭素数1~20の直鎖状または炭素数3~20の分岐状アルキル基、ビニル基、アリル基、アラルキル基、炭素数1~20の直鎖状または分岐状アルコキシ基、ビニルオキシ基、アリロキシ基、炭素数3~20のシクロアルキル基、アリール基またはアリールオキシ基であり、R10が複数ある場合、複数のR10は同一でも異なってもよい。sは1≦s≦3である。)で表わされる有機ケイ素化合物が挙げられる。
上記一般式(V)で表される有機ケイ素化合物において、sは、1≦q≦3であり、1、2又は3が好ましい。
上記一般式(V)で表わされるアミノシラン化合物としては、(アルキルアミノ)アルコキシシラン、アルキル(アルキルアミノ)アルコキシシラン、シクロアルキル(アルキルアミノ)アルコキシシラン、テトラキス(アルキルアミノ)シラン、アルキルトリス(アルキルアミノ)シラン、ジアルキルビス(アルキルアミノ)シラン、トリアルキル(アルキルアミノ)シラン等のアミノシラン化合物が挙げられる。具体的には、t-ブチルメチルビス(エチルアミノ)シラン、ジシクロヘキシルビス(エチルアミノ)シラン、ジシクロペンチルビス(エチルアミノ)シラン、ビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン等から選ばれる一種以上が好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用触媒の製造方法においては、上記一般式(IV)で表される有機ケイ素化合物又は一般式(V)で表わされるアミノシラン化合物を、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明に係るオレフィン類重合用触媒の製造方法において、本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分または本発明に係る製造方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分と上記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物とともにさらに外部電子供与性化合物をも相互に接触させる場合、外部電子供与性化合物の使用量は、特に限定されるものではないが、一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物1モルあたり、0.002~10.000モルであることが好ましく、0.010~2.000モルであることがより好ましく、0.010~0.500モルであることがさらに好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用触媒の製造方法において、本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分または本発明に係る製造方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分と、上記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物と、さらに必要に応じて外部電子供与性化合物とを接触させる際、不活性有機溶媒の存在下で行うことが好ましい。
上記不活性溶媒としては、上述した本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において使用し得るものとして例示したものを挙げることができる。
本発明に係るオレフィン類重合用触媒の製造方法において、本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分または本発明に係る製造方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分と、上記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物とを、外部電子供与性化合物を用いずに接触させる場合、上記オレフィン類重合用固体触媒成分と一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物とを接触させる方法としては、例えば、以下の(1)または(2)の方法が挙げられる。
(1)オレフィン類重合用触媒を製造する反応容器に、オレフィン類重合用固体触媒成分を装入し、次いで、上記オレフィン類重合用固体触媒成分を装入した反応容器内に、一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物を装入して、撹拌混合する方法。
(2)オレフィン類重合用触媒を製造する反応容器に、一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物を装入し、次いで、上記有機アルミニウム化合物を装入した反応容器内に、オレフィン類重合用固体触媒成分を装入して、撹拌混合する方法。
なお、上記撹拌混合による接触処理は、不活性有機溶媒の存在下で行ってもよい。
本発明に係るオレフィン類重合用触媒の製造方法において、本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分または本発明に係る製造方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分と、上記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物と、さらに外部電子供与性化合物とを接触させる場合、これらを接触させる方法としては、例えば、以下の(1)~(4)のいずれかの方法が挙げられる。
(1)オレフィン類重合用触媒を製造する反応容器とは別の反応容器内で、先に、一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物と外部電子供与性化合物とを相互に接触させておき、次いで、オレフィン類重合用触媒を製造する反応容器内に、上記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物と外部電子供与性化合物の接触物を装入し、次いで、オレフィン類重合用固体触媒成分を装入して、撹拌混合する方法。
(2)オレフィン類重合用触媒を製造する反応容器とは別の反応容器で、先に、一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物と外部電子供与性化合物を相互に接触させておき、次いで、オレフィン類重合用触媒を製造する反応容器に、オレフィン類重合用固体触媒成分を装入し、次いで、一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物と外部電子供与性化合物の接触物を装入して、撹拌混合する方法。
(3)オレフィン類重合用触媒を製造する反応容器内に、先ず、一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物を装入し、次いで、外部電子供与性化合物を装入し、撹拌混合し、次いで、オレフィン類重合用固体触媒成分を装入して、撹拌混合する方法。
(4)オレフィン類重合用触媒を製造する反応容器内に、先ず、外部電子供与性化合物を装入し、次いで、一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物を装入して撹拌混合し、次いで、オレフィン類重合用固体触媒成分を装入して、撹拌混合する方法。
なお、上記撹拌混合による接触処理は、不活性有機溶媒の存在下で行われてもよい。
本発明に係るオレフィン類重合用触媒の製造方法においては、本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分または本発明に係る製造方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分と、上記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物と、さらに必要に応じて用いられる外部電子供与性化合物との接触処理は、オレフィン類の不存在下で行ってもよいし、オレフィン類の存在下(オレフィン類の重合を行う反応容器内)で行ってもよい。
本発明に係るオレフィン類重合用触媒の製造方法においては、本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分または本発明に係る製造方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分と、上記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物と、さらに必要に応じて用いられる外部電子供与性化合物との接触処理は、15℃未満の温度下で行うことが好ましく、-15℃~10℃で行うことがより好ましく、0℃~10℃で行うことがさらに好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用触媒の製造方法において、本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分または本発明に係る製造方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分と、上記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物と、さらに必要に応じて用いられる外部電子供与性化合物との接触処理の際の接触時間は、30分間以下が好ましく、5秒間~20分間がより好ましく、30秒間~15分間がさらに好ましく、1分間~10分間が特に好ましい。
通常、オレフィン類重合用固体触媒成分に助触媒である有機アルミニウム化合物を接触させると急減に反応が進行し、固体触媒成分を構成する内部電子供与性化合物の脱離や、助触媒である有機アルミニウム化合物による固体触媒成分の活性化が生じ、特に不活性ガス雰囲気下においては、過剰な反応により触媒活性点(チタン活性点)の失活が生じ易くなる。
一方、上記接触温度及び接触時間で接触処理することにより、有機アルミニウム化合物による固体触媒成分中のチタン活性点への過剰な反応を抑制して触媒活性点の失活を効果的に抑制することができる。
本発明によれば、エチレン-プロピレン共重合反応に供したときに、立体規則性の高いホモプロピレンポリマーを生成しつつ、良好なエチレンレスポンス性を発揮し得るオレフィン類重合用触を簡便に製造する方法を提供することができる。
(オレフィン類重合体の製造方法)
次に、本発明に係るオレフィン類重合体の製造方法について説明する。
本発明に係るオレフィン類重合体の製造方法は、本発明に係る製造方法により得られるオレフィン類重合用触媒を用いてオレフィン類の重合を行うことを特徴とするものである。
本発明に係るオレフィン類重合体の製造方法において、オレフィン類の重合は、プロピレン及びエチレンの共重合であることが好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合体の製造方法において、重合対象となるオレフィン類としては、エチレンおよびプロピレンを挙げることができ、さらに共重合させ得るモノマーとして、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、ビニルシクロヘキサン等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
本発明に係るオレフィン類重合体の製造方法は、プロピレンとエチレンとのブロック共重合によりブロック共重合体を得るものであることが好ましい。ブロック共重合により得られるブロック共重合体とは、2種以上のモノマー組成が連続して変化するセグメントを含む重合体であり、モノマー種、コモノマー種、コモノマー組成、コモノマー含量、コモノマー配列、立体規則性等ポリマーの一次構造の異なるポリマー鎖(セグメント)が1分子鎖中に2種類以上繋がっている形態のものをいう。共重合されるオレフィン類としては、エチレンおよびプロピレンを挙げることができ、さらに共重合させ得るモノマーとして、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、ビニルシクロヘキサン等から選ばれる一種以上を挙げることができる。
本発明に係るオレフィン類重合体の製造方法において、オレフィン類の重合は、有機溶媒の存在下でも不存在下でも行うことができる。
また、重合対象となるオレフィン類は、気体及び液体のいずれの状態でも用いることができる。
オレフィン類の重合は、例えば、オートクレーブ等の反応炉内において、本発明に係る製造方法で得られたオレフィン類重合用触媒の存在下、オレフィン類を導入し、加熱、加圧状態下に行うことができる。
本発明に係るオレフィン類重合体の製造方法において、オレフィン類を重合(以下、適宜、本重合と称する。)するにあたり、重合対象となるオレフィン類に対して本発明に係る製造方法で得られるオレフィン類重合用触媒の構成成分の一部または全部を接触させることにより、予備的な重合(以下、適宜、予備重合と称する。)を行ってもよい。
予備重合を行うに際して、本発明に係る製造方法で得られるオレフィン類重合用触媒の構成成分及びオレフィン類の接触順序は任意であるが、不活性ガス雰囲気あるいはオレフィンガス雰囲気に設定した予備重合系内に先ず有機アルミニウム化合物を装入し、次いでオレフィン類重合用固体触媒成分を接触させた後、プロピレン等のオレフィン類を一種以上接触させることが好ましい。
予備重合の際には、本重合と同様のオレフィン類を用いることができる。
本発明に係るオレフィン類重合体の製造方法において、予備重合時の温度は、通常5~30℃であり、10~30℃であることが好ましく、15~25℃であることがより好ましい。予備重合時の圧力は、特に制限されないが、1.0~2.0MPaが好ましく、1.0~1.5MPaがより好ましい。
上記予備重合を行うことにより、触媒活性を向上させ、得られる重合体の立体規則性及び粒子性状等を一層改善し易くなる。
本発明のオレフィン類重合体の製造方法において、本重合時の温度は、通常50~80℃であり、60~80℃であることが好ましく、65~75℃であることがより好ましい。
本重合時の圧力は、特に制限されないが、2.0~4.0MPaが好ましく、2.5~4.0MPaがより好ましい。また、本重合は、連続重合法、バッチ式重合法のいずれでも可能である。更に重合反応は一段で行ってもよいし、二段以上で行ってもよい。
本発明のオレフィン類重合体の製造方法において、オレフィン類の重合を行うときの重合方式、重合条件等としては、公知の重合方式、重合条件等が適宜選択される。
本発明に係るオレフィン類重合体の製造方法においては、例えば、本発明に係るオレフィン類重合用触媒の製造方法によって得られたオレフィン類重合用触媒の存在下、5~30℃で予備重合を行い、次いで、60~80℃で本重合を行うものであることが好ましい。
本発明によれば、立体規則性の高いホモプロピレンポリマーを生成しつつ、良好なエチレンレスポンス性の下でオレフィン類重合体を製造する方法を提供することができる。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これらは例示であって、本発明を制限するものではない。
<内部電子供与性化合物の含有量及びモル数の測定方法>
以下の実施例及び比較例において、オレフィン類重合用固体触媒成分中の内部電子供与性化合物の含有量は、ガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製、GC-14B)を用いて下記測定条件にて測定した。
また、オレフィン類重合用固体触媒成分中及びオレフィン類重合用触媒中の内部電子供与性化合物のモル数は、内部電子供与性化合物の含有量を測定したときに、該内部電子供与性化合物の標準溶液に基づいて測定した検量線により求めた。
[測定条件]
・カラム:パックドカラム(φ2.6×2.1m, Silicone SE-30 10%,Chromosorb WAW DMCS 80/100、ジーエルサイエンス(株)社製)
・検出器:FID(Flame Ionization Detector,水素炎イオン化型検出器)
・キャリアガス:ヘリウム、流量40mL/分
・測定温度:気化室280℃、カラム225℃、検出器280℃、又は気化室265℃、カラム180℃、検出器265℃
(実施例1)
<オレフィン類重合用固体触媒成分の製造>
窒素ガスで置換され、攪拌機を具備した容量500mLの丸底フラスコに四塩化チタン(チタンハロゲン化合物)38mLおよびトルエン(不活性有機溶媒)44mLを装入して混合溶液を形成した。次いで、ジエトキシマグネシウム20g、トルエン88mL、フタル酸ジ-n-ブチル(内部電子供与性化合物)0.8mLを用いて形成された懸濁液を、-6℃の液温に保持した前記混合溶液中に添加した。
その後、混合溶液を含む懸濁液の液温を-6℃から100℃まで昇温する過程でフタル酸ジ-n-ブチル4.8mLを添加し、攪拌しながら、100℃で1.5時間反応させて固体生成物を得た。
反応終了後上澄みを除去し、得られた固体生成物を90℃のトルエン125mLで4回洗浄し、新たに四塩化チタン20mLおよびトルエン80mL、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン0.2mLを加え、100℃に昇温し、5分攪拌しながら反応させ、上澄みを除去した。この工程を2回繰り返した。次いで、新たに四塩化チタン20mLおよびトルエン80mLを加え、100℃に昇温し、5分攪拌しながら反応させ、上澄みを除去した。反応終了後、40℃のn-ヘプタン(不活性有機溶媒)100mLで8回洗浄して、オレフィン類重合用固体触媒成分を得た。
得られたオレフィン類重合用固体触媒成分は、内部電子供与性化合物として、フタル酸ジ-n-ブチルを15.8質量%含有するとともに、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパンを0.8質量%含有するものであった。
<オレフィン類重合用触媒の調製>
窒素ガスで置換された内容積2.0 リットルの撹拌機付オートクレーブに、トリエチルアルミニウム2.2 ミリモル、ジイソプロピルジメトキシシラン(DIPDMS)0.22ミリモルおよび上記オレフィン類重合用固体触媒成分をチタン原子換算で0.003ミリモル装入することにより、エチレン-プロピレン共重合触媒を調製した。
<プロピレン系ブロック共重合体の製造>
上記エチレン-プロピレン共重合触媒を含む攪拌機付オートクレーブに、液化プロピレン15モルと水素ガス0.20MPa(分圧)を装入し、20℃で5分間予備重合を行なった後、65℃で45分間、一段目(前段)のホモプロピレン(ホモ段)重合反応を行なった。ホモ段重合終了後、反応機の温度を室温に下げつつモノマーをパージし、その後オートクレーブ全体の重量を計量することで、重合開始前にあらかじめ秤量した重量との差から前段の重合量を求めた。
窒素下でMFR測定用に一部のポリマーをサンプリングした後、再度モノマー供給ライン等を接続し、エチレン/プロピレン/水素を、それぞれモル比が1.7/2.3/0.086となるように上記撹拌機付オートクレーブ内に投入した後、70℃まで昇温し、エチレン/プロピレン/水素を、それぞれリットル/分が1.7/2.3/0.086の割合となるように導入しつつ、1.2MPa、70℃、1時間の条件で共重合反応させることにより、プロピレン系ブロック共重合体(ICP(インパクトコポリマー))を得た。
得られたプロピレン系ブロック共重合体において、以下の方法により、ホモ段重合反応時における重合活性(PP重合活性(g/g-cat))および共重合反応時におけるプロピレン系ブロック共重合体活性(ICP(インパクトコポリマー)重合活性)(g/(g-cat))を測定して重合活性持続性を評価するとともに、ホモ段重合反応で得られたホモプロピレンポリマー中のキシレン可溶分量(ホモPPのXS)、エチレン-プロピレン共重合体(EPR)含有量(ICP中のキシレン可溶分量)、ICPのキシレン可溶分(XS)中のエチレン含有量(質量%)、ICPのキシレン不溶分(XI)中のエチレン含有量(質量%))およびエチレンレスポンス指標を測定した。得られた結果を表1に示す。
<PP重合活性>
オレフィン類重合用固体触媒成分1g当たりのプロピレン重合活性(PP重合活性)を、下記式により算出した。
PP重合活性(g/g-cat)=得られたポリプロピレンの質量(g)/オレフィン類重合用固体触媒成分の質量(g)
(ICP重合活性)
固体触媒成分1gあたりのプロピレン系ブロック共重合活性を、下記式により求めた。
プロピレン系ブロック共重合活性(g/g-cat)
=(I(g)-F(g)+J(g))/[{オレフィン類重合用触媒中の固体触媒成分の質量(g)×((G(g)-F(g)-J(g))}/(G(g)-F(g)))]
ここで、Iは共重合反応終了後のオートクレーブ質量(g)、Fはオートクレーブ質量(g)、GはホモPP重合終了後、未反応モノマーを除去した後のオートクレーブ質量(g)、Jはホモ重合後に抜き出したポリマー量(g)である。
<ホモプロピレンポリマー中のキシレン可溶分量(ホモPPのXS)>
攪拌装置を具備したフラスコ内に、4.0gのポリマー(ポリプロピレン)および200mLのp-キシレンを装入した。次いで、外部温度を約150℃に設定し、フラスコ内におけるp-キシレン(沸点137~138℃)の還流が維持された状態で撹拌を2時間継続して上記ポリマーを溶解させた。その後、この溶液を23℃まで1時間にわたり冷却し、不溶解成分と溶解成分とを濾過により分離した。溶解成分の溶液を収集し、減圧下で加熱(乾燥)することによりp-キシレンを蒸発させた。残留物の重量を算出し、ポリマー(ポリプロピレン)に対する相対比(質量%)を算出して、キシレン溶解分(XS)を決定した。
<EPR含有量(ICP中のキシレン可溶分量)>
攪拌装置を具備したフラスコ内に、5.0gのプロピレン系ブロック共重合体(ICP)と、250mLのp-キシレンとを装入した。次いで、外部温度を約150℃に設定し、フラスコ内におけるp-キシレン(沸点137~138℃)の還流が維持された状態で撹拌を2時間継続して上記重合体を溶解させた。その後、この溶液を1時間かけて液温を23℃まで冷却し、不溶解成分と溶解成分とを濾過分別した。上記溶解成分の溶液を採取し、加熱減圧乾燥によりp-キシレンを留去し、得られた残留物の重量を求め、使用したプロピレン系ブロック共重合体の重量に対する相対割合(質量%)を算出して、EPR含量とした。
<ICPのキシレン可溶分(XS)中のエチレン含有量>
先ず、攪拌装置を具備したフラスコ内に、5.0gのプロピレン系ブロック共重合体(ICP)と、250mLのp-キシレンを装入した。次いで、外部温度を約150℃に設定し、フラスコ内におけるp-キシレン(沸点137~138℃)の還流が維持された状態で撹拌を2時間継続して上記重合体を溶解させた。その後、この溶液を1時間かけて液温を23℃まで冷却し、不溶解成分と溶解成分とを濾過分別した。上記溶解成分の溶液を採取し、加熱減圧乾燥によりp-キシレンを留去することにより、EPR部(キシレン可溶分(XS))を得る。
次に、得られたEPR部(キシレン可溶分(XS))を少量サンプリングし、ホットプレスにてフィルム状に成形した後、フーリエ変換赤外分光装置(FT-IR)(Thermonicolet製、Avatar)を用いて測定した吸光度とフィルムの厚みから、複数の含量既知サンプルより作成した検量線をもとにICPのキシレン可溶分(XS)中のエチレン含有量を算出した。
測定波長:720cm-1および1150cm-1
フィルム厚み:0.1~0.2mm
<ICPのキシレン不溶解分中のエチレン含有量>
上記EPR中のエチレン含有量を測定する際に、キシレン抽出して得られたキシレン不溶部(キシレン不溶解成分(XI))を少量サンプリングし、ホットプレスにてフィルム状に成形した後、上記ICPのキシレン可溶分(XS)中のエチレン含有量と同様にして、ICPのキシレン不溶解成分(XI)中のエチレン含有量を算出した。
<エチレンレスポンス指標>
エチレンレスポンス指標は、以下のように定義される。
エチレンレスポンス指標=(共重合段で生成したポリマーに含まれるエチレン量[g])/(共重合段で生成したポリマー量[g])
ここで、共重合段で生成したポリマーに含まれるエチレン量[g]は、「ICP生成量[g]×EPR含有量[質量%]×(1/100)×ICPのキシレン可溶分中のエチレン含有量[質量%]×(1/100)+ICP生成量[g]×(100-(EPR含有量))[質量%]×(1/100)×(100-(ICPのキシレン可溶分中のエチレン含有量))[質量%]×(1/100)」により求めた。
また、共重合段で生成したポリマー量[g]は、「(共重合終了後、未反応モノマーを除去した後のオートクレーブ質量[g])-{(ホモPP重合終了後、未反応モノマーを除去した後のオートクレーブ質量[g])-(ホモ重合後に抜き出したポリマー量[g])}」により求めた。
(実施例2)
2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン0.2mLを加える代わりに、炭酸(2-エトキシエチル)エチルを0.3mL加えた以外は、実施例1と同様にして、オレフィン類重合用固体触媒成分固体触媒成分を得た後、オレフィン類重合用触媒を調製し、EPR(ICP重合体)を得た。これらの分析結果を表1に示す。
(実施例3)
2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン0.2mLを加える代わりに、炭酸(2-エトキシエチル)エチルを0.6mL加えた以外は、実施例1と同様にして、オレフィン類重合用固体触媒成分を得た後、オレフィン類重合用触媒を調製し、EPR(ICP重合体)を得た。これらの分析結果を表1に示す。
(実施例4)
2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン0.2mLを加える代わりに、9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレンを0.4g加えた以外は、実施例1と同様にして、オレフィン類重合用固体触媒成分固体触媒成分を得た後、オレフィン類重合用触媒を調製し、EPR(ICP重合体)を得た。これらの分析結果を表1に示す。
(比較例1)
<オレフィン類重合用固体触媒成分の製造>
窒素ガスで置換され、攪拌機を具備した容量500mLの丸底フラスコに四塩化チタン(チタンハロゲン化合物)38mLおよびトルエン(不活性有機溶媒)37mL、ヘプタン7mLを装入して混合溶液を形成した。次いで、ジエトキシマグネシウム20g、トルエン73mL、ヘプタン15mL、フタル酸ジ-n-ブチル(内部電子供与性化合物)0.8mLを用いて形成された懸濁液を、-6℃の液温に保持した前記混合溶液中に添加した。
その後、混合溶液を含む懸濁液の液温を-6℃から100℃まで昇温する過程でフタル酸ジ-n-ブチル4.8mLを添加し、攪拌しながら、100℃で1.5時間反応させて固体生成物を得た。
反応終了後上澄みを除去し、得られた固体生成物を90℃のトルエン125mLで4回洗浄し、新たに四塩化チタン20mLおよびトルエン80mLを加え、100℃に昇温し、5分攪拌しながら反応させ、上澄みを除去した。この工程を3回繰り返した。次いで、新たに四塩化チタン20mLおよびトルエン80mLを加え、100℃に昇温し、5分攪拌しながら反応させ、上澄みを除去した。反応終了後、40℃のn-ヘプタン(不活性有機溶媒)100mLで8回洗浄して、オレフィン類重合用固体触媒成分を得た(つまり、本工程では内部電子供与体成分を添加していない)。
上記オレフィン類重合用固体触媒成分固体触媒成分を用い、実施例1と同様にしてオレフィン類重合用触媒を調製し、EPR(ICP重合体)を得た。これらの分析結果を表1に示す。
(比較例2)
2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパンの使用量を0.2mLから0.1mLに変更した以外は、実施例1と同様にして、オレフィン類重合用固体触媒成分固体触媒成分を得た後、オレフィン類重合用触媒を調製し、EPR(ICP重合体)を得た。これらの分析結果を表1に示す。
(比較例3)
2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン0.2mLを加える代わりに、炭酸(2-エトキシエチル)エチルを1.2mL加えた以外は、実施例1と同様にして、オレフィン類重合用固体触媒成分固体触媒成分を得た後、オレフィン類重合用触媒を調製し、EPR(ICP重合体)を得た。これらの分析結果を表1に示す。
Figure 2022170676000004
表1より、実施例1~実施例4で得られたオレフィン類重合用固体触媒成分は、チタン、マグネシウム、ハロゲン、内部電子供与性化合物を含有するとともに、上記内部電子供与性化合物として、フタル酸エステル構造を有する電子供与性化合物(i)と、エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)とを含み、上記エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)の含有割合が0.5~1.5質量%であるものであることにより、エチレン-プロピレン共重合反応に供したときに、ホモPPのXSが低いことから、立体規則性の高いホモプロピレンポリマーを生成することができるとともに、ICP活性に優れ得られたICPのXS中における(EPR中における)エチレン量が高く、エチレンレスポンス指標にも優れることから良好なエチレンレスポンス性を発揮し得るものであることが分かる。
これに対して、表1より、比較例1~比較例3で得られたオレフィン類重合用固体触媒成分は、エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)の含有割合が所定範囲外にあることから、ホモPPのXS値が高く、立体規則性の高いホモプロピレンポリマーを生成し得ないものであることに加え、エチレンレスポンス指標が低く、エチレンレスポンスに劣るものであることが分かる。
本発明によれば、エチレン-プロピレン共重合反応に供したときに、立体規則性の高いホモプロピレンポリマーを生成しつつ、良好なエチレンレスポンス性を発揮し得るオレフィン類重合用固体触媒成分を提供できるとともに、オレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法、オレフィン類重合用触媒の製造方法及びオレフィン類重合体の製造方法を提供することができる。

Claims (5)

  1. チタン、マグネシウム、ハロゲン、内部電子供与性化合物を含有するオレフィン類重合用固体触媒成分であって、
    前記内部電子供与性化合物が、
    フタル酸エステル構造を有する電子供与性化合物(i)と、
    エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)とを含み、
    前記エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)の含有割合が0.5~1.5質量%であること
    を特徴とするオレフィン類重合用固体触媒成分。
  2. (a)ジアルコキシマグネシウムと、四価のチタンハロゲン化合物と、フタル酸エステル構造を有する電子供与性化合物(i)とを相互に接触させて接触物を得る工程および
    (b)前記接触物と、四価のチタンハロゲン化合物と、エーテル基、エステル基及びカーボネート基から選択される2種以上の基を有しフタル酸エステル構造を有さない電子供与性化合物(ii)とを相互に接触させる工程を
    順次施すこと
    を特徴とするオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法。
  3. 請求項1に記載のオレフィン類重合用固体触媒成分または請求項2に記載の製造方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分と、下記一般式(I)
    AlQ3-p (I)
    (式中、Rは、炭素数1~6のアルキル基であり、Qは、水素原子又はハロゲン原子であり、pは、0<p≦3であり、Rが複数存在する場合、各Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、Qが複数存在する場合、各Qは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
    で表される有機アルミニウム化合物とを相互に接触させてオレフィン類重合用触媒を得ること
    を特徴とするオレフィン類重合用触媒の製造方法。
  4. 請求項1に記載のオレフィン類重合用固体触媒成分または請求項2に記載の製造方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分と前記一般式(I)で表される有機アルミニウム化合物とともにさらに外部電子供与性化合物を相互に接触させてオレフィン類重合用触媒を得ることを特徴とする請求項3に記載のオレフィン類重合用触媒の製造方法。
  5. 請求項3又は請求項4に記載の製造方法により得られるオレフィン類重合用触媒を用いてオレフィン類の重合を行うことを特徴とするオレフィン類重合体の製造方法。
JP2022031318A 2021-04-28 2022-03-01 オレフィン類重合用固体触媒成分、オレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法、オレフィン類重合用触媒の製造方法及びオレフィン類重合体の製造方法 Pending JP2022170676A (ja)

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