JP2022073984A - オレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法、オレフィン類重合用触媒の製造方法及びオレフィン類重合体の製造方法 - Google Patents

オレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法、オレフィン類重合用触媒の製造方法及びオレフィン類重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた重合活性を有し立体特異性に優れた重合体を製造可能なオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法、オレフィン類重合用固体触媒の製造方法及びオレフィン類重合体の製造方法を提供する。【解決手段】マグネシウム化合物と、特定のスチレン系化合物とを相互に接触させて予備接触物を得た後、前記予備接触物と、チタンハロゲン化合物と、内部電子供与性化合物とを相互に接触させてオレフィン類重合用固体触媒成分を得ることを特徴とするオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法、係る製造方法により得られたオレフィン類重合用固体触媒成分を用いたオレフィン類重合用触媒の製造方法及びオレフィン類重合体の製造方法である。【選択図】なし

Description

本発明は、オレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法、オレフィン類重合用触媒の製造方法及びオレフィン類重合体の製造方法に関するものである。
従来、オレフィン類重合用固体触媒(「固体触媒」ともいう。)を用いてプロピレン等のオレフィン類を重合することが行われており、得られたオレフィン類重合体は、溶融された後、各種の成型機、延伸機等により成形されて、自動車部品、家電部品等の成型品の他、容器やフィルム等種々の用途に利用されている。
このような固体触媒としては、マグネシウム化合物、チタンハロゲン化合物及び電子供与性化合物によって調製されたオレフィン類重合用固体触媒成分(「固体触媒成分」ともいう。)と、有機アルミニウム化合物と、有機ケイ素化合物とを相互に接触させて得られるものが知られており、その製造方法についても、数多く提案されている。
例えば、特許文献1には、弱溶解性と強溶解性の二種類の内部電子供与性化合物を含有する固体触媒成分が記載されている。
また、特許文献2には、プロピレン又はより高級なアルファオレフィンの(共)重合に使用されたときに高い活性と立体特異性を固体触媒に賦与するために、Mgジハライドに対し、ジエステル、ジケトン、ジアミン、ジエーテルから選択される二官能性電子供与化合物EDと、エーテル、エステル、アミン、ケトンから選択される一官能性電子供与体MDとを、ED/MDのモル比が30より大きい量比で含有させた固体触媒成分が提案されている。
特表2001-503079号公報 特開2010-43267号公報
しかしながら、本発明者等が検討したところ、特許文献1に記載の固体触媒成分は、弱溶解性と強溶解性の二種類の内部電子供与性化合物を同時に接触、反応させていることから、弱溶解性の内部電子供与性化合物が優先的に含有されやすく、強溶解性の内部電子供与性化合物に由来する重合特性が発揮され難くなって、得られる重合体の特性を制御し難いことが判明した。
また、特許文献2に記載の固体触媒成分は、内部電子供与性化合物である一官能性電子供与体が固体触媒成分の立体特異性を低下させるため、このような固体触媒成分を用いて得られる重合体の立体規則性も低下させることが判明した。
このような状況下、本発明は、優れた重合活性を有し立体特異性に優れた重合体を製造可能なオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法、オレフィン類重合用固体触媒の製造方法及びオレフィン類重合体の製造方法を提供することを目的とするものである。
上記技術課題を解決すべく、本発明者等は、固体触媒成分の製造条件について鋭意検討を重ねた結果、予めマグネシウム化合物に特定の化合物を接触させることで、上記の如き課題を解決し得ることを見出した。本発明は、そのような知見に基づいて完成に至ったものである。
即ち、本発明は、下記(1)~(4)を提供するものである。
(1)マグネシウム化合物と、下記一般式(I)で表される化合物とを相互に接触させて予備接触物を得た後、前記予備接触物と、チタンハロゲン化合物と、内部電子供与性化合物とを相互に接触させてオレフィン類重合用固体触媒成分を得ることを特徴とするオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法。
Figure 2022073984000001
(式中、Rは、炭素数1~8の直鎖状アルキル基、炭素数3~8の分岐鎖状アルキル基、炭素数3~8のシクロアルキル基及び炭素数6~12の芳香族基から選ばれるいずれかの基であり、nおよびmは各々0以上の整数で、n+mが1~30,000であり、Xは、下記構成単位(A)及び下記構成単位(B)を有する総炭素数が9~50,000である重合単位である。)
Figure 2022073984000002
Figure 2022073984000003
(2)上記(1)に記載の製造方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分と、下記一般式(II)で表される有機アルミニウム化合物とを相互に接触することを特徴とするオレフィン類重合用触媒の製造方法。
AlQ3-p (II)
(式中、Rは、炭素数1~6のアルキル基であり、Qは、水素原子又はハロゲン原子であり、pは、0<p≦3の実数であり、Rが複数存在する場合、各Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、Qが複数存在する場合、各Qは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
(3)上記(1)に記載の製造方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分と、下記一般式(II)で表される有機アルミニウム化合物と、外部電子供与性化合物とを相互に接触することを特徴とする上記(2)に記載のオレフィン類重合用触媒の製造方法。
AlQ3-p (II)
(式中、Rは、炭素数1~6のアルキル基であり、Qは、水素原子又はハロゲン原子であり、pは、0<p≦3の実数であり、Rが複数存在する場合、各Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、Qが複数存在する場合、各Qは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
(4)上記(2)又は(3)に記載の製造方法で得られるオレフィン類重合用触媒を用いて、オレフィン類の重合を行うことを特徴とするオレフィン類重合体の製造方法。
本発明によれば、優れた重合活性を有し立体特異性に優れた重合体を製造可能なオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法、オレフィン類重合用触媒の製造方法及びオレフィン類重合体の製造方法を提供することができる。
先ず、本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分(以下、適宜、「固体触媒成分」と称する。)の製造方法について説明する。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法は、マグネシウム化合物と、下記一般式(I)で表される化合物とを相互に接触させて予備接触物を得た後、前記予備接触物と、チタンハロゲン化合物と、内部電子供与性化合物とを相互に接触させてオレフィン類重合用固体触媒成分を得ることを特徴とするものである。
Figure 2022073984000004
(式中、Rは、炭素数1~8の直鎖状アルキル基、炭素数3~8の分岐鎖状アルキル基、炭素数3~8のシクロアルキル基及び炭素数6~12の芳香族基から選ばれるいずれかの基であり、nおよびmは各々0以上の整数で、n+mが1~30,000であり、Xは、下記構成単位(A)及び下記構成単位(B)を有する総炭素数が9~50,000である重合単位である。)
Figure 2022073984000005
Figure 2022073984000006
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、マグネシウム化合物としては、従来公知の物であれば特に制限されない。
マグネシウム化合物としては、例えば、ジハロゲン化マグネシウム、ジアルキルマグネシウム、ハロゲン化アルキルマグネシウム、ジアルコキシマグネシウム、ジアリールオキシマグネシウム、ハロゲン化アルコキシマグネシウム、脂肪酸マグネシウム等から選択される一種以上を挙げることができる。
これらのマグネシウム化合物の中では、ジハロゲン化マグネシウム、ジハロゲン化マグネシウムとジアルコキシマグネシウムの混合物、ジアルコキシマグネシウムが好ましく、特にジアルコキシマグネシウムが好ましい。
ジアルコキシマグネシウムとして、具体的には、ジメトキシマグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジプロポキシマグネシウム、ジブトキシマグネシウム、エトキシメトキシマグネシウム、エトキシプロポキシマグネシウム及びブトキシエトキシマグネシウムから選択される一種以上が挙げられ、これらのうち、ジエトキシマグネシウムが特に好ましい。
ジアルコキシマグネシウムを製造する方法としては、例えば、特開昭58-4132号公報、特開昭62-51633号公報、特開平3-74341号公報、特開平4-368391号公報、特開平8-73388号公報等に例示されている方法を挙げることができる。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法においては、マグネシウム化合物と、下記一般式(I)で表される化合物とを相互に接触させて予備接触物を得る。
Figure 2022073984000007
一般式(I)で表される化合物において、上記Rは、炭素数1~8の直鎖状アルキル基、炭素数3~8の分岐鎖状アルキル基、炭素数3~8のシクロアルキル基及び炭素数6~12の芳香族基から選ばれるいずれかの基である。
が炭素数1~8の直鎖状アルキル基である場合、Rとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、ヘプチル基、オクチル基等を挙げることができる。
が炭素数3~8の分岐鎖状アルキル基である場合、Rとしては、例えば、iso-プロピル基、iso-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、iso-ペンチル基、ネオペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、3-メチルへキシル基、2-エチルヘキシル基等を挙げることができる。
が炭素数3~8のシクロアルキル基である場合、Rとしては、例えば、シクロプロピル基、メチルシクロプロピル基、エチルシクロプロピル基、シクロブチル基、メチルシクロブチル基、エチルシクロブチル基、シクロペンチル基、メチルシクロペンチル基、エチルシクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、メチルシクロヘプチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。
が炭素数6~12の芳香族基である場合、Rとしては、フェニル基、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ベンジル基、ナフチル基、ビフェニル基等を挙げることができる。
としては、炭素数6~12の芳香族基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。
一般式(I)で表される化合物において、nおよびmは各々0以上の整数である。また、n+mは、1~30,000であり、2~20,000であることが好ましく、2~10,000であることがより好ましく、10~5,000であることがさらに好ましく、50~1,000であることが一層好ましく、100~500であることがより一層好ましい。
一般式(I)で表される化合物において、Xは、下記構成単位(A)及び下記構成単位(B)を有する総炭素数が9~50,000である重合単位である。
Figure 2022073984000008
Figure 2022073984000009
一般式(I)で表される化合物において、Xの総炭素数は、9~50,000であり、9~25,000であることが好ましく、9~10,000であることがより好ましく、9~5,000であることがより好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、一般式(I)で表される化合物の構造は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)、核磁気共鳴装置(H-NMR、13C-NMR)およびフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)を用いた分析により特定することができる。
すなわち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、一般式(I)で表される化合物の数平均分子量(Mn)を特定する。
また、H-NMRスペクトルにより検出される各ピークの位置およびその位置でのスペクトル強度と、FT-IRスペクトルの特定の波長領域に発現するピークに基づいて、各置換基ないし構成単位の種類等の部分構造を特定するとともに全体構造を推定する。
次いで、13C-NMRスペクトルにより検出されるピーク位置およびその位置でのスペクトル強度に基づいて(各ピークのピーク強度比に基づいて)、一般式(I)で表される化合物を構成する各構成単位の重合数を特定する。
そして、これらの結果を総合して、一般式(I)で表される化合物の分子構造を特定する(なお、上記H-NMRスペクトルにより置換基の種類を特定し得る場合は、FT-IRスペクトルの測定は必ずしも必要ない)。
本出願書類において、上記GPC分析、H-NMR分析、FT-IR分析および13C-NMR分析を行う際の分析条件は、各々以下のとおりである。
[GPC分析]
ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製 HLC-8321(GPC/HT))を用い以下の条件で測定した結果から数平均分子量(Mn)を求めた。
溶媒:o-ジクロロベンゼン(ODCB)
温度:140℃
カラム:GMHHR-H(20)HT×1本,GMHHR-H(S)HT2×1本
サンプル濃度:0.5mg/mL(4mL/8mL-ODCB)
注入量:0.5mL
流量:1.0mL/min
なお、数平均分子量(Mn)は、標準ポリスチレンを用いた保持時間と数平均分子量(Mn)との相関関係を示す検量線に基づき、GPC測定で得られる保持時間から算出した。
H-NMR分析]
測定装置:日本電子株式会社(JEOL)製 ECA400(H共鳴周波数400MHz)
測定溶媒:CDCl
Scan数:20回
測定温度:20℃
内部標準:TMS(テトラメチルシラン)
[FT-IR分析]
測定装置:ThermoFisherSCIENTFIC社製 Avatar
測定方法:フィルム作成後の透過法
測定温度:室温(20℃)
13C-NMR分析]
測定装置:日本電子株式会社(JEOL)製 ECA400(13C共鳴周波数100MHz)
測定溶媒:CDCl
Scan数:5,000回
測定温度:20℃
内部標準:TMS(テトラメチルシラン)
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法においては、担体であるマグネシウム化合物に一般式(I)で表される特定の化合物を予め接触させることにより、内部電子供与性化合物の過剰な吸着を抑制し得ると考えられる。
すなわち、マグネシウム化合物に対する吸着性は、内部電子供与性化合物の方が一般式(I)で表される特定の化合物よりも高いものの、マグネシウム化合物と内部電子供与性化合物とを接触させる際、予めマグネシウム化合物に一般式(I)で表される特定の化合物を接触しておくことにより、一般式(I)で表される特定の化合物が保護剤として作用し、マグネシウム担体への内部電子供与性化合物の過剰な吸着を抑制して、内部電子供与性化合物による重合特性を効果的に持続し得ると考えられる。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法においては、特に担体であるマグネシウム化合物に対する吸着性が異なる内部電子供与性化合物を二種類以上用いる場合において、マグネシウム化合物に一般式(I)で表される特定の化合物を予め接触しておくことにより、弱溶解性(強吸着性)の内部電子供与性化合物の過剰な吸着を防止し得ると考えられる。
すなわち、固体触媒成分の製造時に、担体であるマグネシウム化合物と一般式(I)で表される化合物を予め相互に接触させることにより、一般式(I)で表される化合物が担体における内部電子供与性化合物の吸着サイトの保護剤として作用し、担体への弱溶解性(強吸着性)の内部電子供与性化合物の過剰な吸着を阻害することで、特に二種類以上の内部電子供与性化合物を用いる場合に、内部電子供与性化合物の担体への吸着量を調整することができると考えられる。
一般式(I)で表される化合物は、各電子供与性化合物よりも担体への吸着速度が速く、弱溶解性(強吸着性)の内部電子供与性化合物の吸着を一定時間妨げることができるとともに、一定時間経過後には担体から離脱して強溶解性(弱吸着性)の内部電子供与性化合物の吸着を妨げない性質を有すると考えられ、上記保護剤として好適に作用すると考えられる。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、マグネシウム化合物と一般式(I)で表される化合物とを予め接触させる際、マグネシウム化合物に対する一般式(I)で表される化合物の接触量(一般式(I)で表される化合物量/マグネシウム化合物量)が、質量基準で、0.001~0.500であることが好ましく、0.005~0.350であることがより好ましく、0.050~0.200であることがさらに好ましい。
上記一般式(I)で表される化合物の接触量が上記範囲内にあることにより、強溶解性(弱吸着性)の内部電子供与性化合物の固体触媒成分中における含有割合を所望範囲に容易に制御することができる。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、マグネシウム化合物と一般式(I)で表される化合物とを予め接触させる際、接触温度は、-20~50℃が好ましく、-10~40℃がより好ましく、0~30℃がさらに好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、マグネシウム化合物と一般式(I)で表される化合物とを予め接触させる際、接触時間は、3~360分間が好ましく、5~240分間がより好ましく、5~120分間がさらに好ましい。
マグネシウム化合物と一般式(I)で表される化合物とを予め接触させる方法としては、マグネシウム化合物や一般式(I)で表される化合物に対して不活性な有機溶媒の存在下で、両者を混合、撹拌する方法を挙げることができる。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法においては、マグネシウム化合物及び一般式(I)で表される化合物の予備接触物と、チタンハロゲン化合物と、内部電子供与性化合物とを相互に接触させる。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、チタンハロゲン化合物としては、四価のチタンハロゲン化合物であって、従来公知の物であれば特に制限されない。
チタンハロゲン化合物としては、例えば、チタンテトラハライド、アルコキシチタンハライド等から選択される一種以上を挙げることができる。
このようなチタンハロゲン化合物としては、下記一般式(III)で表されるチタンテトラハライド又はアルコキシチタンハライドが挙げられる。
Ti(OR4-i (III)
(式中、Rは、炭素数1~10の炭化水素基を示し、Yは、ハロゲン原子を示し、Yが複数存在する場合、各Yは、同一であっても異なっていてもよく、iは、0~3の整数である。)
チタンハロゲン化合物としては、チタンテトラクロライド、チタンテトラブロマイド、チタンテトラアイオダイド等のチタンテトラハライドが好ましく、チタンテトラクロライドがより好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、内部電子供与性化合物としては、固体触媒成分の調製時に電子対を供与でき、電子対を供与するための官能基が酸素原子又は窒素原子を含有する有機化合物であれば特に制限されない。
また、内部電子供与性化合物は、一種単独であっても、二種以上組合せて使用してもよく、内部電子供与性化合物を二種以上組合せて使用する場合、マグネシウム化合物に対する吸着性が互いに異なる二種以上の内部電子供与性化合物を挙げることができる。
なお、内部電子供与性化合物のマグネシウム化合物に対する吸着性の強弱は、固体触媒成分の調製時に使用するマグネシウム化合物20gをトルエン60mLで攪拌した撹拌物と、-6℃の温度下で攪拌した同一モル量の各内部電子供与性化合物とを用い、使用する内部電子供与性化合物のみを変更しつつ各々同一の条件下で固体触媒成分を調製したときに、各固体触媒成分中に残存する内部電子供与性化合物量(固体触媒成分中の内部電子供与性化合物量)の大小により決定することができる。
すなわち、各固体触媒成分において、残存量の大きな内部電子供与性化合物ほど吸着性が強く、残存量の小さな内部電子供与性化合物ほど吸着性が弱いと規定することができる。
上記固体触媒成分中の内部電子供与性化合物量は、後述するように、固体触媒を加水分解した後、芳香族溶剤を用いて内部電子供与性化合物を抽出し、この溶液をガスクロマトグラフィーFID(Flame Ionization Detector、水素炎イオン化型検出器)法によって測定することにより決定することができる。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、内部電子供与性化合物としては、フタル酸エステル化合物であってもよいし、フタル酸エステル化合物以外の化合物(「ノンフタレート化合物」ともいう。)であってもよい。
上記フタル酸エステル化合物は、下記フタル酸エステル構造を有する化合物である。
Figure 2022073984000010
このようなフタル酸エステル化合物としては、下記一般式(IV)で表される化合物である。
Figure 2022073984000011
(式中、R、R及びRは、有機基であり、Oは、0~4の整数である。Rが複数存在する場合、各Rは互いに同一であっても異なっていてもよく、また、R、R及びRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
フタル酸エステル化合物として、具体的には、フタル酸ジ-n-プロピル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジノルマルブチル、フタル酸ジイソブチル等が挙げられる。
ノンフタレート化合物は、分子内に上記フタル酸エステル構造を有さない化合物であり、一般式(IV)で表される化合物等のフタル酸エステル化合物には該当しないものである。
ノンフタレート化合物としては、例えば、ジエーテル化合物、エーテルカーボネート化合物、脂肪族ジカルボン酸エステル化合物、エーテル-カルボン酸エステル化合物、ジカーボネート化合物等から選択される一種以上を挙げることができる。
これらのノンフタレート化合物として、具体的には、マレイン酸ジエチル、ベンジリデンマロン酸ジエチル、2,3-ジイソプロピルコハク酸ジエチル、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジエチル、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジ-n-プロピル、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジ-n-ブチル、シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジエチル、シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジ-n-プロピル、シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジ-n-ブチル、3-エトキシ-2-イソプロピルプロピオン酸エチル、3-エトキシ-2-t-ブチルプロピオン酸エチル、3-エトキシ-2-t-ペンチルプロピオン酸エチル、2,4-ペンタンジオールジベンゾエート、3-メチル-2,4-ペンタンジオールジベンゾエート、3-メチル-5-t-ブチル-1,2-フェニレンジベンゾアート、3,5-ジイソプロピル-1,2-フェニレンジベンゾアート、2-エトキシエチルメチルカーボネート、2-エトキシエチルエチルカーボネート、2-プロポキシエチルメチルカーボネート、2-ベンジルオキシエチルフェニルカーボネート、5-t-ブチル-1,2-フェニレンジフェニルジカーボネート;2-イソプロピル-2-イソブチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、9,9-ビス(メトキシメチル)フルオレン等から選ばれる一種以上が挙げられる。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、内部電子供与性化合物を複数使用する場合、内部電子供与性化合物の組み合わせとしては、互いに異なるフタル酸エステル化合物の組み合わせであってもよいし、互いに異なるノンフタレート化合物の組み合わせであってもよいし、フタル酸エステル化合物とノンフタレート化合物との組み合わせであってもよい。
内部電子供与性化合物を複数使用する場合、内部電子供与性化合物の好ましい組み合わせとしては、2-エトキシエチルエチルカーボネートと2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、ベンジリデンマロン酸ジエチルと2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジ-n-ブチルと2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン、2-エトキシエチルエチルカーボネートとベンジリデンマロン酸ジエチル、2-エトキシエチルエチルカーボネートとシクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジ-n-ブチル、ベンジリデンマロン酸ジエチルとシクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸ジ-n-ブチルから選ばれる組み合わせを挙げることができる。
内部電子供与性化合物としてマグネシウム化合物に対する吸着性が互いに異なる二種の内部電子供与性化合物を組み合わせて使用した場合、これらの使用量は、強溶解性(弱吸着性)の内部電子供与性化合物に対する弱溶解性(強吸着性)の内部電子供与性化合物(弱溶解性(強吸着性)の内部電子供与性化合物/強溶解性(弱吸着性)の内部電子供与性化合物)の使用量比が、容量比で、1/6~6/1であることが好ましく、1/5~5/1であることがより好ましく、1/4~4/1であることがさらに好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法では、マグネシウム化合物に対し、上記一般式(I)で表される重合体を予め接触させた後、得られた予備接触物に対し、チタンハロゲン化合物及び内部電子供与性化合物を接触させる。
上記予備接触物に対する、チタンハロゲン化合物及び内部電子供与性化合物の接触順序は、特に限定されない。上記予備接触物に対しチタンハロゲン化合物及び内部電子供与性化合物を別々に接触させてもよいし、同時に接触させてもよい。また、チタンハロゲン化合物及び内部電子供与性化合物は、上記予備接触物に対し、各々全量を一括添加して接触させてもよいし分割添加して接触させてもよく、係る分割添加は連続的に行ってもよいし間欠的に行ってもよい。チタンハロゲン化合物または内部電子供与性化合物を間欠的に分割添加する場合には、添加間隔は一定であってもよいし、一定でなくてもよい。添加間隔は、1分間~60分間が好ましく、3分間~30分間がより好ましく、5分間~15分間がさらに好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、予備接触物、チタンハロゲン化合物及び内部電子供与性化合物を相互に接触させて固体触媒成分を調製する場合に、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
具体的には、不活性ガス雰囲気下、水分等を除去した状況下で、攪拌機を具備した容器中で、予備接触物、チタンハロゲン化合物及び内部電子供与性化合物を攪拌しながら相互に接触させ、次いで所定温度で反応させて固体触媒成分を得ることができる。
予備接触物、チタンハロゲン化合物及び内部電子供与性化合物を接触させる際の温度は、単に接触させて攪拌混合する場合や、分散または懸濁させて変性処理する場合には、室温付近の比較的低温域であっても差し支えない。
予備接触物、チタンハロゲン化合物及び内部電子供与性化合物の接触後に反応させて生成物を得る場合には、40~130℃の温度域が好ましく、この場合、各成分の接触後に同温度で保持して反応させることが好ましい。
上記生成物を得る際の温度が40℃未満の場合は、十分に反応が進行せず、結果として得られる固体触媒成分が十分な性能を発揮し難くなる。また、上記温度が130℃を超える場合は、使用した溶媒の蒸発が顕著になる等して、反応の制御が困難になり易い。
上記生成物を得る際の反応時間は1分以上が好ましく、10分以上がより好ましく、30分以上がさらに好ましい。
固体触媒成分を調製する際の各成分の使用量比は、調製法により異なるため、適宜決定すればよい。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、得られる固体触媒成分を構成するチタン原子、マグネシウム原子、ハロゲン原子及び内部電子供与性化合物の含有量は、本発明の効果を発揮し得る範囲において特に限定されない。
得られる固体触媒成分は、チタン原子を、1.0~10.0質量%含有することが好ましく、1.5~8.0質量%含有することがより好ましく、1.5~5.0質量%含有することがさらに好ましい。
得られる固体触媒成分は、マグネシウム原子を、10.0~70.0質量%含有することが好ましく、10.0~50.0質量%含有することがより好ましく、15.0~40.0質量%含有することがさらに好ましく、15.0~25.0質量%含有することが一層好ましい。
得られる固体触媒成分は、ハロゲン原子を、20.0~90.0質量%含有することが好ましく、30.0~85.0質量%含有することがより好ましく、40.0~80.0質量%含有することがさらに好ましく、45.0~80.0質量%含有することが一層好ましい。
得られる固体触媒成分は、内部電子供与性化合物を、合計0.5~30.0質量%含有することが好ましく、合計1.0~25.0質量%含有することがより好ましく、合計2.0~20.0質量%含有することがさらに好ましい。
本出願書類において、固体触媒成分中に含まれるチタン原子の含有率は、JIS 8311-1997「チタン鉱石中のチタン定量方法」に記載の方法(酸化還元滴定)に準じて測定した値を意味する。
本出願書類において、固体触媒成分中に含まれるマグネシウム原子の含有率は、固体触媒成分を塩酸溶液で溶解し、EDTA溶液で滴定するEDTA滴定方法により測定した値を意味する。
本出願書類において、固体触媒成分中に含まれるハロゲン原子の含有量は、固体触媒成分を硫酸と純水の混合溶液で処理して水溶液とした後、所定量を分取し、硝酸銀標準溶液でハロゲン原子を滴定する硝酸銀滴定法によって測定した値を意味する。
また、本出願書類において、内部電子供与性化合物の含有量は、固体触媒を加水分解した後、芳香族溶剤を用いて内部電子供与性化合物を抽出し、この溶液をガスクロマトグラフィーFID(Flame Ionization Detector、水素炎イオン化型検出器)法によって測定した値を意味する。
本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法によれば、予めマグネシウム化合物と上記一般式(I)で表される化合物とを接触させた上で、得られた予備接触物と、チタンハロゲン化合物と、内部電子供与性化合物とを接触させることにより、固体触媒成分中の内部電子供与性化合物の含有量を適度な範囲に容易に制御することができる。
すなわち、本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、内部電子供与性化合物を一種単独で用いる場合には、予めマグネシウム化合物と上記一般式(I)で表される化合物とを接触させることによって、マグネシウム化合物への内部電子供与性化合物の過剰な吸着が適度に抑制され、このために固体触媒成分中における立体特異性が高い活性点の割合が増加すると考えられる。
また、本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法において、内部電子供与性化合物を二種以上用いる場合には、予めマグネシウム化合物と上記一般式(I)で表される化合物とを接触させることによって、マグネシウム化合物に対する強吸着性の内部電子供与性化合物の過剰な吸着が適度に抑制され、このためにマグネシウム化合物に対する弱吸着性の内部電子供与性化合物の吸着が促進され、固体触媒成分中における立体特異性が高い活性点の割合が増加すると考えられる。
その結果、本発明に係るオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法においては、内部電子供与性化合物の含有量を適度な範囲に容易に制御しつつ、オレフィン類の重合に供したときに立体規則性が高いオレフィン類重合体を収率良く製造可能な固体触媒成分を容易に製造することができる。
次に、本発明に係るオレフィン類重合用触媒の製造方法について説明する。
本発明に係るオレフィン類重合用触媒の製造方法は、本発明に係る製造方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分と、下記一般式(II)で表される有機アルミニウム化合物とを相互に接触することを特徴とするものである。
AlQ3-p (II)
(式中、Rは、炭素数1~6のアルキル基であり、Qは、水素原子又はハロゲン原子であり、pは、0<p≦3の実数であり、Rが複数存在する場合、各Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、Qが複数存在する場合、各Qは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
本発明に係るオレフィン類重合用触媒の製造方法において、本発明に係る製造方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分の詳細は、上述したとおりである。
本発明に係るオレフィン類重合用触媒の製造方法において、一般式(II)で表される有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリ-n-ヘキシルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムブロマイド等のハロゲン化アルキルアルミニウム等から選択される一種以上が挙げられる。
これらの有機アルミニウム化合物の中では、ジエチルアルミニウムクロライド等のハロゲン化アルキルアルミニウム;トリエチルアルミニウム、トリ-n-ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム等から選択される一種以上が好ましく、トリエチルアルミニウム及びトリイソブチルアルミニウムから選択される一種以上がより好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用触媒の製造方法においては、本発明に係る製造方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分及び一般式(II)で表される有機アルミニウム化合物とともに、さらに外部電子供与性化合物を相互に接触することが好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用触媒の製造方法において、外部電子供与性化合物としては、例えば、フェニルアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、フェニルアルキルアルコキシシラン、シクロアルキルアルコキシシラン、シクロアルキルアルキルアルコキシシラン、(アルキルアミノ)アルコキシシラン、アルキル(アルキルアミノ)アルコキシシラン、アルキル(アルキルアミノ)シラン、アルキルアミノシラン等から選択される一種以上の有機ケイ素化合物を挙げることができる。
これらの中でも、シクロへキシルメチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ジシクロペンチルビス(エチルアミノ)シラン、シクロペンチルシクロヘキシルビス(エチルアミノ)シラン、ビス(パーヒドロイソキノリノ)ジメトキシシラン、ジエチルアミノトリメトキシシラン、又はジエチルアミノトリエトキシシランから選択される一種以上がより好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用触媒の製造方法においては、本発明に係る製造方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分、一般式(II)で表される有機アルミニウム化合物及び必要に応じて外部電子供与性化合物を、オレフィン類不存在下で接触させることによりオレフィン類重合用触媒を調製してもよいし、以下に記述するように、オレフィン類存在下で(重合系内で)接触させてオレフィン類重合用触媒を調製してもよい。
上記オレフィン類重合用触媒を構成する各成分の接触順序は任意であるが、例えば、重合系内に、まず上記一般式(II)で表される有機アルミニウム化合物を装入し、次いで上記外部電子供与性化合物を装入、接触させた後、上述したオレフィン類重合用固体触媒成分を装入、接触させることが望ましい。
本発明に係るオレフィン類重合用触媒の製造方法において、各成分の接触比は、本発明の効果に影響を及ぼすことのない限り任意であり特に限定されない。
通常、上記オレフィン類重合用固体触媒成分中のチタン原子1モル当たり、上記一般式(II)で表される有機アルミニウム化合物の接触量が、1~2000モルであることが好ましく、50~1000モルであることがより好ましい。
また、本発明に係る製造方法で得られるオレフィン類重合用触媒は、上記有機アルミニウム化合物1モル当たり、上記外部電子供与性化合物の接触量が、0.002~10モルであることが好ましく、0.01~2モルであることがより好ましく、0.01~0.5モルであることがさらに好ましい。
本発明に係る製造方法で得られるオレフィン類重合用触媒における、オレフィン類重合用固体触媒成分、一般式(II)で表される有機アルミニウム化合物及び外部電子供与性化合物の各々の含有量は、上記各成分の接触量に対応する量であることが好ましい。
本発明によれば、優れた重合活性を有し立体特異性に優れた重合体を製造可能なオレフィン類重合用触媒の製造方法を提供することができる。
次に、本発明に係るオレフィン類重合体の製造方法について説明する。
本発明に係るオレフィン類重合体の製造方法は、本発明に係る製造方法で得られたオレフィン重合用触媒を用いて、オレフィン類の重合を行うことを特徴とするものである。
本発明に係るオレフィン類重合体の製造方法において、オレフィン類の重合は単独重合であってもよいし、他のα-オレフィンとの共重合であってもよい。
本発明に係るオレフィン類重合体の製造方法において、重合対象となるオレフィン類としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、ビニルシクロヘキサン等から選択される一種以上を挙げることができる。これらのオレフィン類中では、エチレン、プロピレン及び1-ブテンから選択される一種以上が好ましく、プロピレンがより好ましい。
上記オレフィン類がプロピレンである場合、プロピレンの単独重合であってもよいが、他のα-オレフィン類との共重合であってもよい。
プロピレンと共重合されるオレフィン類としては、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、ビニルシクロヘキサン等から選択される一種以上を挙げることができる。
上述した本発明に係るオレフィン類重合用触媒の製造方法において、オレフィン類存在下に(重合系内で)オレフィン類重合用触媒を調製する場合、オレフィン類重合用固体触媒成分、一般式(II)で表される有機アルミニウム化合物及び任意に使用する外部電子供与性化合物は、上述した量比で接触することが好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合体の製造方法は、有機溶媒の存在下で行ってもよいし不存在下で行ってもよい。
またプロピレン等のオレフィンモノマーは、気体及び液体のいずれの状態でも用いることができる。重合温度は200℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましく、重合圧力は10MPa以下が好ましく、5MPa以下がより好ましい。また、オレフィン類の重合は、連続重合法、バッチ式重合法のいずれでも可能である。更に、重合反応は一段で行なってもよいし、二段以上で行なってもよい。
加えて、本発明に係る製造方法で得られるオレフィン類重合用触媒を用いてオレフィン類を重合するにあたり(本重合とも称する)、触媒活性、立体規則性及び生成する重合体の粒子性状等を一層改善させるために、本重合に先立ち予備重合を行うことが好ましく、予備重合の際には、本重合と同様のオレフィン類又はスチレン等のモノマーを用いることができる。
予備重合を行うに際して、上記オレフィン類重合用触媒を構成する各成分及びモノマー(オレフィン類)の接触順序は任意であるが、好ましくは、不活性ガス雰囲気又はオレフィンガス雰囲気に設定した予備重合系内に、先ず有機アルミニウム化合物を装入し、次いで本発明に係る製造方法で得られたオレフィン類重合用固体触媒成分を装入、接触させた後、プロピレン等のオレフィン類を単独で、又はプロピレン等のオレフィン類及びその他のオレフィン類を一種以上混合したものを接触させることが好ましい。
上記予備重合において、予備重合系内に更に外部電子供与性化合物を装入する場合、不活性ガス雰囲気又はオレフィンガス雰囲気に設定した予備重合系内に、先ず有機アルミニウム化合物を装入し、次いで外部電子供与性化合物を装入、接触させ、更に本発明に係る製造方法で得られるオレフィン類重合用固体触媒成分を接触させた後、プロピレン等のオレフィン類を単独で、又はプロピレン等のオレフィン類及びその他のオレフィン類を一種以上混合したものを接触させることが好ましい。
本発明に係るオレフィン類重合体の製造方法において、重合方法としては、シクロヘキサン、ヘプタン等の不活性炭化水素化合物の溶媒を使用するスラリー重合法、液化プロピレン等の溶媒を使用するバルク重合法及び実質的に溶媒を使用しない気相重合法を挙げることができ、バルク重合法又は気相重合法が好ましい。
プロピレンと他のα-オレフィン類の単量体との共重合を行う場合、プロピレンと少量のエチレンをコモノマーとして、一段で重合するランダム共重合と、第一段階(第一重合槽)でプロピレンの単独重合を行い、第二段階(第二重合槽)又はそれ以上の多段階(多段重合槽)でプロピレンとエチレン等の他のα-オレフィンとの共重合を行う、いわゆるプロピレン-エチレンブロック共重合が代表的であり、プロピレンと他のα-オレフィンとのブロック共重合が好ましい。
ブロック共重合により得られるブロック共重合体とは、2種以上のモノマー組成が連続して変化するセグメントを含む重合体であり、モノマー種、コモノマー種、コモノマー組成、コモノマー含量、コモノマー配列、立体規則性等ポリマーの一次構造の異なるポリマー鎖(セグメント)が1分子鎖中に2種類以上繋がっている形態のものをいう。
本発明に係るオレフィン類重合体の製造方法において、プロピレンと他のα-オレフィン類とのブロック共重合反応は、通常、本発明に係る製造方法で得られたオレフィン類重合用触媒の存在下、前段でプロピレン単独又は、プロピレンと少量のα-オレフィン(エチレン等)とを接触させ、次いで後段でプロピレンとα-オレフィン(エチレン等)とを接触させることにより実施することができる。なお、上記前段の重合反応を複数回繰り返し実施してもよいし、上記後段の重合反応を複数回繰り返し多段反応により実施してもよい。
プロピレンと他のα-オレフィン類とのブロック共重合反応は、具体的には、前段で(最終的に得られる共重合体に占める)ポリプロピレン部の割合が20~90質量%になるように重合温度及び時間を調整して重合を行ない、次いで後段において、プロピレン及びエチレン又は他のα-オレフィンを導入し、(最終的に得られる共重合体に占める)エチレン-プロピレンゴム(EPR)等のゴム部割合が10~80質量%になるように重合することが好ましい。
前段及び後段における重合温度は共に、200℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましく、75~80℃が更に好ましく、重合圧力は、10MPa以下が好ましく、6MPa以下がより好ましく、5MPa以下が更に好ましい。
上記共重合反応においても、連続重合法、バッチ式重合法のいずれの重合法も採用することができ、重合反応は1段で行なってもよいし、2段以上で行なってもよい。
また、重合時間(反応炉内の滞留時間)は、前段又は後段の各重合段階のそれぞれの重合段階で、又は連続重合の際においても、1分~5時間であることが好ましい。
重合方法としては、シクロヘキサン、ヘプタン等の不活性炭化水素化合物の溶媒を使用するスラリー重合法、液化プロピレン等の溶媒を使用するバルク重合法、実質的に溶媒を使用しない気相重合法が挙げられ、バルク重合法又は気相重合法が好適であり、後段の反応は一般的にはEPRのPP粒子からの溶出を抑える目的から気相重合反応であることが好ましい。
本発明によれば、立体特異性に優れた重合体を優れた重合活性下で製造可能なオレフィン類重合体の製造方法を提供することができる。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これらは例示であって、本発明を制限するものではない。
(実施例1)
内部を窒素ガス(不活性ガス)で置換し、攪拌機を具備した容量500mLの丸底フラスコに、ジエトキシマグネシウム20g及びトルエン60mLを装入してジエトキシマグネシウムのトルエン懸濁液を形成し、次いでスチレン含有率28質量%のスチレン系共重合体((株)クラレ製セプトンHG-252(登録商標)の一方の末端がベンゾイルオキシ基(CC(=O)O-)で置換された化合物A(一般式(I)において、Rがフェニル基(C-)、Xがブロック構成単位(A)及びブロック構成単位(B)を有し総炭素数が2000である重合単位、n+m=200である化合物)2.0gを添加し、20℃で5分間撹拌しながら接触させ、予備接触物を得た。
なお、上記ジエトキシマグネシウムに対する化合物Aの接触量(化合物Aの量/ジエトキシマグネシウム量)は、質量比で、1/10であった。
次いで、攪拌機を具備し、窒素ガスで置換された容量500mLの丸底フラスコに予め装填された、トルエン50mL及び四塩化チタン40mLの混合溶液中に上記予備接触物(ジエトキシマグネシウム含有液)を全量添加し、懸濁液とした。
得られた懸濁液は、途中でフタル酸ジ-n-プロピル8mLを添加しながら、100℃まで昇温し、100℃で2時間の攪拌を行った。
その後、上澄みを抜き出し、90℃のトルエン150mLで3回洗浄した。得られた反応生成物に四塩化チタン20mL及びトルエン100mLを加えて、100℃まで昇温し、15分反応させる処理を2回行った後、40℃のn-ヘプタン150mLで6回洗浄して固体触媒成分を得た。
なお、得られた固体触媒成分中のチタン原子の含有量は2.1質量%、フタル酸ジ-n-プロピルの含有量は13.5質量%であり、上記スチレン系共重合体の末端置換物は含有されていなかった。
<固体触媒成分中のハロゲン原子及び内部電子供与性化合物の含有量>
固体触媒成分中のハロゲン原子の含有量は、得られた固体触媒成分を硫酸と純水の混合溶液で処理して水溶液とした後、所定量を分取し、硝酸銀標準溶液でハロゲン原子を滴定する硝酸銀滴定法により測定した。
また、固体触媒成分中の内部電子供与性化合物(実施例1ではフタル酸ジ-n-プロピル)の含有量は、ガスクロマトグラフィー((株)島津製作所製、GC-14B)を用いて下記の条件で測定したときに、予め既知濃度に基づいて測定した検量線を用いて求めた。
なお、以下の実施例及び比較例においても、同様の方法により各含有量を求めた。
[測定条件]
カラム:キャピラリーカラム(I.D.0.32mm×Length30m df1.00μm IntertCap1、ジーエルサイエンス(株)社製)
検出器:FID(Flame Ionization Detector、水素炎イオン化型検出器)
キャリアガス:ヘリウム、流量7mL/分
測定温度:気化室280℃、カラム225℃、検出器280℃
<オレフィン類重合用触媒の調製及びオレフィン類の重合>
内容積2.0リットルの撹拌機付オートクレーブ内部の雰囲気を窒素で置換した後、上記オートクレーブ内に、先ずトリエチルアルミニウムを1.32ミリモル装入し、次いでシクロヘキシルメチルトリメトキシシラン0.13ミリモル装入して接触させた後、上述した方法で得られたオレフィン類重合用固体触媒成分をチタン原子換算で0.00264ミリモル装入して上記オートクレーブ内を20℃で5分間維持することによりオレフィン類重合用触媒を調製した。
次いで、上記オレフィン類重合用触媒を含む攪拌機付オートクレーブに対し、液化プロピレン1.4Lと水素ガス67ミリモルとを装入し、20℃で5分間予備重合を行なった後に昇温し、70℃で60分間重合反応を行なうことでプロピレン単独重合体(PP)を得た。
得られたプロピレン単独重合体形成時における重合活性(g-PP/(g-cat・時間))を下記式により算出した。結果を表1に示す。
プロピレン単独重合活性(g-PP/(g-cat・時間))=得られたPP量(g)/(オレフィン類重合用触媒に含まれる固体触媒成分の質量(g)・1時間)
また、得られたプロピレン単独重合体のp-キシレン可溶分の割合(XS)を測定した。
<重合体のp-キシレン可溶分の割合(XS)>
攪拌装置を具備したフラスコ内に、4.0gの重合体(PP)と、200mLのp-キシレンを装入し、外部温度をキシレンの沸点以上(150℃)とすることにより、フラスコ内部のp-キシレンの温度を沸点下(137~138℃)に維持しつつ、2時間かけて重合体を溶解した。その後1時間かけて液温を23℃まで冷却し、不溶解成分と溶解成分とを濾過分別した。上記溶解成分の溶液を採取し、加熱減圧乾燥によりp-キシレンを留去し、得られた残留物の重量を求め、生成した重合体(PP)に対する相対割合(質量%)を算出して、キシレン可溶分(XS)とした。
(比較例1)
上記末端置換したスチレン系共重合体を添加しない以外は、実施例1と同様にして固体触媒成分を得た。
なお、得られた固体触媒成分中のチタン原子の含有量は2.0質量%、フタル酸ジ-n-プロピル含有量は13.8質量%であった。
得られた固体触媒成分を用いた以外は、実施例1と同様にして、オレフィン類重合用触媒を調製し、次いでプロピレンの単独重合を行った。
プロピレン単独重合時における重合活性と重合体のp-キシレン可溶分の割合(XS)を実施例1と同様の方法で求めた。結果を表1に示す。
(実施例2)
フタル酸ジ-n-プロピル8mLに代えて、フタル酸ジ-n-プロピル4mLと2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン4mLの混合液を添加した以外は、実施例1と同様にして固体触媒成分を得た。
なお、得られた固体触媒成分中のチタン原子の含有量は1.5質量%、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン含有量は6.7質量%、フタル酸ジ-n-プロピル含有量は7.6質量%であり、上記スチレン系共重合体の末端置換物は含有されていなかった。
得られた固体触媒成分を用いた以外は、実施例1と同様にして、オレフィン類重合用触媒を調製し、次いでプロピレンの単独重合を行った。
プロピレン単独重合時における重合活性と重合体のp-キシレン可溶分の割合(XS)を実施例1と同様の方法で求めた。結果を表1に示す。
(比較例2)
上記末端置換したスチレン系共重合体を添加しない以外は、実施例2と同様にして固体触媒成分を得た。
なお、得られた固体触媒成分中のチタン原子の含有量は1.4質量%、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン含有量は7.6質量%、フタル酸ジ-n-プロピル含有量は8.7質量%であった。
得られた固体触媒成分を用いた以外は、実施例1と同様にして、オレフィン類重合用触媒を調製し、次いでプロピレンの単独重合を行った。
プロピレン単独重合時における重合活性と重合体のp-キシレン可溶分の割合(XS)を実施例1と同様の方法で求めた。結果を表1に示す。
(比較例3)
上記末端置換したスチレン系共重合体に代えて、一方の末端が官能基で置換されていないスチレン含有率28質量%のスチレン系共重合体からなる化合物B((株)クラレ製セプトンHG-252(登録商標))2.0gを添加した以外は、実施例1と同様にして固体触媒成分を得た。
なお、得られた固体触媒成分中のチタン原子の含有量は1.4質量%、フタル酸ジ-n-プロピル含有量は7.3質量%であった。
得られた固体触媒成分を用いた以外は、実施例1と同様にして、オレフィン類重合用触媒を調製し、次いでプロピレンの単独重合を行った。
プロピレン単独重合時における重合活性と重合体のp-キシレン可溶分の割合(XS)を実施例1と同様の方法で求めた。結果を表1に示す。
(比較例4)
上記末端置換したスチレン系共重合体に代えて、安息香酸エチルを0.2mL添加した以外は、実施例2と同様にして固体触媒成分を得た。
なお、得られた固体触媒成分中のチタン原子の含有量は1.5質量%、2-イソプロピル-2-イソペンチル-1,3-ジメトキシプロパン含有量は6.9質量%、フタル酸ジ-n-プロピル含有量は8.0質量%、安息香酸エチルは、0.1質量%であった。
得られた固体触媒成分を用いた以外は、実施例1と同様にして、オレフィン類重合用触媒を調製し、次いでプロピレンの単独重合を行った。
プロピレン単独重合時における重合活性と重合体のp-キシレン可溶分の割合(XS)を実施例1と同様の方法で求めた。結果を表1に示す。
Figure 2022073984000012
表1より、実施例1および実施例2においては、マグネシウム化合物と特定の化合物とを予め接触した後、一種以上の内部電子供与性化合物及びチタンハロゲン化合物を接触させて製造された固体触媒成分を用いていることから、得られた固体触媒成分をオレフィン類の重合に供した際に優れた重合活性を示し、且つ、得られる重合体の立体規則性も高度に維持されていることが分かる。
上記結果より、マグネシウム化合物の表面に、予め上記一般式(I)で表される化合物が吸着することにより、後から接触させる一種以上の内部電子供与性化合物の固体触媒表面に対する吸着量が適度に制御され、固体触媒成分中において立体特異性および活性に優れた活性点の割合が増加するものと推察される。
一方、比較例1~比較例4においては、マグネシウム化合物に特定の化合物を予め接触させなかったり、予め接触させる化合物が本発明に規定する化合物とは異なるものであることから、得られた固体触媒成分を重合に供した際の重合活性が低かったり、得られる重合体の立体規則性が低いことが分かる。
本発明によれば、優れた重合活性を有し立体特異性に優れた重合体を製造可能なオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法、オレフィン類重合用固体触媒の製造方法及びオレフィン類重合体の製造方法を提供することができる。

Claims (4)

  1. マグネシウム化合物と、下記一般式(I)で表される化合物とを相互に接触させて予備接触物を得た後、前記予備接触物と、チタンハロゲン化合物と、内部電子供与性化合物とを相互に接触させてオレフィン類重合用固体触媒成分を得ることを特徴とするオレフィン類重合用固体触媒成分の製造方法。
    Figure 2022073984000013
    (式中、Rは、炭素数1~8の直鎖状アルキル基、炭素数3~8の分岐鎖状アルキル基、炭素数3~8のシクロアルキル基及び炭素数6~12の芳香族基から選ばれるいずれかの基であり、nおよびmは各々0以上の整数で、n+mが1~30,000であり、Xは、下記構成単位(A)及び下記構成単位(B)を有する総炭素数が9~50,000である重合単位である。)
    Figure 2022073984000014
    Figure 2022073984000015
  2. 請求項1に記載の製造方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分と、下記一般式(II)で表される有機アルミニウム化合物とを相互に接触することを特徴とするオレフィン類重合用触媒の製造方法。
    AlQ3-p (II)
    (式中、Rは、炭素数1~6のアルキル基であり、Qは、水素原子又はハロゲン原子であり、pは、0<p≦3の実数であり、Rが複数存在する場合、各Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、Qが複数存在する場合、各Qは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
  3. 請求項1に記載の製造方法により得られるオレフィン類重合用固体触媒成分と、下記一般式(II)で表される有機アルミニウム化合物と、外部電子供与性化合物とを相互に接触することを特徴とする請求項2に記載のオレフィン類重合用触媒の製造方法。
    AlQ3-p (II)
    (式中、Rは、炭素数1~6のアルキル基であり、Qは、水素原子又はハロゲン原子であり、pは、0<p≦3の実数であり、Rが複数存在する場合、各Rは、互いに同一であっても異なっていてもよく、Qが複数存在する場合、各Qは、互いに同一であっても異なっていてもよい。)
  4. 請求項2又は請求項3に記載の製造方法で得られるオレフィン類重合用触媒を用いて、オレフィン類の重合を行うことを特徴とするオレフィン類重合体の製造方法。
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