JP2019011466A - プロピレン系重合体、オレフィン重合用触媒および成形体 - Google Patents

プロピレン系重合体、オレフィン重合用触媒および成形体 Download PDF

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Abstract

【課題】高い立体規則性を有し、高耐熱性および高剛性のプロピレン系重合体を提供すること。【解決手段】本発明のプロピレン系重合体は要件(1)〜(5)を満たす:(1)昇温溶出分別測定法(TREF)により122℃以上の温度で溶出する成分の割合が3.0〜50重量%であり、かつ、100℃以下の温度で溶出する成分の割合が6.5〜20重量%である;(2)MFRが0.5〜1000g/10分である;(3)メソペンタッド分率(mmmm)が98.0〜100%である;(4)23℃におけるn−デカン可溶成分量が0.01〜2重量%である;(5)GPCにより測定したMwMnとの比(Mw/Mn)が2.5〜20である。【選択図】なし

Description

本発明は、高立体規則性および高剛性を有するプロピレン系重合体、該プロピレン系重合体の製造方法、該方法に用いられるオレフィン重合用触媒および該プロピレン系重合体を含んでなる成形体に関する。
従来、ポリオレフィン製造用触媒として、チタン触媒成分と有機アルミニウム化合物とからなるチーグラー・ナッタ触媒が広く用いられている。
特に、ポリプロピレンなどの高立体規則性ポリオレフィンを製造する際には、通常、内部ドナー(内部電子供与体)を含む固体状チタン触媒成分と、有機アルミニウム化合物と、外部ドナー(外部電子供与体)とからなる触媒が用いられている。例えば、内部ドナーとしてカルボン酸エステル類を含む塩化マグネシウム担持型固体状チタン触媒と、有機アルミニウム化合物とともに、外部ドナーとして有機ケイ素化合物とからなるオレフィン重合用触媒が知られている(例えば、特許文献1および2参照)。
しかしながら、上記のような固体状チタン触媒成分を含む触媒を用いてオレフィンを重合させると、いわゆる「剰余チタン化合物」により、高立体規則性ポリオレフィンとともに立体規則性の低いポリオレフィンも副生されるという問題点があり、副生物を減少させる取り組みもなされてきた(例えば、特許文献3および4参照)。
一方、近年、自動車業界では環境に配慮した低燃費車の開発が盛んに行われており、自動車材料の分野においても軽量化を目的とした材料の樹脂化やさらなる薄肉化が求められている。このため、バンパー材をはじめとする自動車材料として数多くの実績があるプロピレン系材料における改善の期待は大きく、さらなる高剛性および高耐熱性を有するプロピレン系重合体および組成物の開発が強く求められている。
特開平08−003215号公報 特開平08−143620号公報 特開昭59−124909号公報 特開2003−26719号公報
上記のような従来技術に鑑み、本発明の課題は、高立体規則性を有するとともに、特に剛性に優れるプロピレン系重合体、あるいは、特に剛性に優れる組成物を得ることができるプロピレン系重合体を提供すること、また、前記プロピレン系重合体を、高活性で安定して製造する方法、該方法に用いられるオレフィン重合用触媒、ならびに、前記プロピレン系重合体を含んでなる成形体を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、昇温溶出分別測定法(TREF)により122℃以上の温度で溶出する成分と100℃以下の温度で溶出する成分とを、それぞれ特定割合で含有するプロピレン系重合体およびその組成物は、従来のプロピレン系重合体に比べて、重合体の立体規則性に対して得られる成形体の剛性が優れることを見出した。重合体の高立体規則性が高剛性をもたらすこと、また、高剛性の重合体の溶出温度が高温の傾向にあることは想定しやすいが、低温で溶出する成分については従来の知見では剛性を損なう成分とみなすのが通常であった。それに対し、本発明では、比較的低温で溶出する成分を一定範囲で含有することで、従来の高立体規則性プロピレン系重合体と比較し、同じ立体規則性であってもさらに高い剛性がもたらされることを見出した。そして、例えば特定の固体状チタン触媒成分と特定の2種類以上の外部ドナーとを組み合わせてプロピレンを重合することで、前記高立体規則性・高剛性のプロピレン系重合体が得られることを見出した。さらに、当該製造方法によれば、前記高立体規則性・高剛性プロピレン系重合体を、高活性で安定して得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明のプロピレン系重合体は、下記要件(1)〜(5)を満たすことを特徴とする。
(1)昇温溶出分別測定法(TREF)により122℃以上の温度で溶出する成分の割合が3.0〜50重量%であり、かつ、100℃以下の温度で溶出する成分の割合が6.5〜20重量%である;
(2)メルトフローレート(MFR)(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重下)が0.5〜1000g/10分である;
(3)13C−NMRにより求められるメソペンタッド分率(mmmm)が98.0〜100%である;
(4)23℃におけるn−デカン可溶成分量が0.01〜2重量%である;
(5)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が2.5〜20である。
本発明のプロピレン系重合体は、本発明のオレフィン重合用触媒の存在下でプロピレンを重合させることにより製造することができ、該オレフィン重合用触媒は、
(i)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび下記式(I)で表わされる電子供与体(I)を含み、かつ、下記要件(k1)〜(k4)を満たす固体状チタン触媒成分と、
(ii-a)下記式(II-1)、(II-2)または(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分と、
(iii-a)周期律表の1族、2族または13族に属する元素を含む有機金属化合物成分と
を含む触媒〔A〕、または、
(p)前記触媒〔A〕にプロピレンが予備重合された予備重合触媒と、
(ii-b)下記式(II-1)、(II-2)または(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分と、
(iii-b)周期律表の1族、2族または13族に属する元素を含む有機金属化合物成分と
を含む触媒〔B〕であり、
前記オレフィン重合用触媒が前記触媒〔A〕の場合、前記触媒〔A〕は、前記有機ケイ素化合物成分(ii-a)として、下記式(II-1)で表わされる有機ケイ素化合物成分と、下記式(II-2)および(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分から選ばれる少なくとも1種の成分とを含み、
前記オレフィン重合用触媒が前記触媒〔B〕の場合、前記有機ケイ素化合物成分(ii-a)および(ii-b)の少なくとも一方に下記式(II-1)で表わされる有機ケイ素化合物成分が含まれ、さらに、前記有機ケイ素化合物成分(ii-a)および(ii-b)の少なくとも一方に下記式(II-2)および(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分から選ばれる少なくとも1種の成分が含まれる
ことを特徴とする。
(k1)チタン含有量が2.5重量%以下である;
(k2)電子供与体(I)の含有量が8〜30重量%である;
(k3)電子供与体(I)/チタン(重量比)が7以上である;
(k4)室温でのヘキサン洗浄によってチタンが実質的に脱離されることがない。
Figure 2019011466
[式(I)中、Rは炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示し、R'は炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示し、nは0〜4の整数を示す。]
Si(OR23(NR34) ・・・(II-1)
Si(OR221 2 ・・・(II-2)
Si(OR2212 ・・・(II-3)
[式(II-1)〜(II-3)中、R1は2級または3級の炭素数1〜20の炭化水素基を示し、R2は1級の炭素数1〜8の炭化水素基を示し、R3は炭素数1〜12の炭化水素基または水素原子を示し、R4は炭素数1〜12の炭化水素基を示す。]
前記固体状チタン触媒成分(i)は、
(a)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび前記式(I)で表わされる電子供与体を含み、かつ室温でのヘキサン洗浄によってチタンが脱離することがない固体状チタン、
(b)芳香族炭化水素、
(c)液状チタン、および
(d)前記式(I)で表わされる電子供与体
を接触させる工程を含む方法により調製することができる。
本発明の成形体は、本発明のプロピレン系重合体を含んでなることを特徴とする。
本発明によれば、高立体規則性を有する、高剛性および高耐熱性のプロピレン系重合体が得られる。また、本発明の製造方法によれば、前記プロピレン系重合体を高活性で安定して製造することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
[プロピレン系重合体]
本発明のプロピレン系重合体は、下記要件(1)〜(5)を満たすことを特徴とする。
(1)昇温溶出分別測定法(TREF)により122℃以上の温度で溶出する成分の割合が3.0〜50重量%であり、かつ、100℃以下の温度で溶出する成分の割合が6.5〜20重量%である;
(2)メルトフローレート(MFR)(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重下)が0.5〜1000g/10分である;
(3)13C−NMRにより求められるメソペンタッド分率(mmmm)が98.0〜100%である;
(4)23℃におけるn−デカン可溶成分量が0.01〜2重量%である;
(5)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が2.5〜20である。
以下、各要件について説明する。
<要件(1)>
本発明のプロピレン系重合体は、TREFにより122℃以上の温度で溶出する成分の割合が3.0〜50重量%、好ましくは3.2〜40重量%、より好ましくは3.5〜30重量%である。前記溶出成分の割合が前記範囲内であると、プロピレン系重合体の立体規則性が充分に高くなり、プロピレン系重合体の耐熱性、および剛性の指標である曲げ弾性率等の機械的性質が向上する。
また、本発明のプロピレン系重合体は、TREFにより100℃以下の温度で溶出する成分の割合が6.5〜20重量%、好ましくは6.6〜15重量%、より好ましくは6.8〜10重量%である。前記溶出成分は低規則性成分もしくは低分子量成分であり、一般的に単独では耐熱性や機械的性質を低下させると考えられる成分であるが、前記溶出成分の割合が前記範囲内であると、成形時の流動性が向上することで、プロピレン系重合体の配向性が向上し、より機械的物性が向上しうる高次構造を形成すると考えられる。
<要件(2)>
本発明のプロピレン系重合体は、MFR(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重下)が0.5〜1000g/10分、好ましくは1.0〜800g/10分、より好ましくは1.5〜600g/10分、さらに好ましくは50〜500g/10分、特に好ましくは100〜400g/10分である。MFRが前記範囲内であると、プロピレン系重合体の成形性と機械強度とのバランスが優れる。
<要件(3)>
本発明のプロピレン系重合体は、13C−NMRにより求められるメソペンタッド分率(mmmm)が、98.0〜100%、好ましくは98.1〜100%、より好ましくは98.2〜99.9%、特に好ましくは98.2〜99.5%、とりわけ好ましくは98.2〜99.3%である。メソペンタッド分率が前記範囲内であると、プロピレン系重合体の立体規則性が充分に高くなる。
ここで、メソペンタッド分率は、分子鎖中の五連子アイソタクティック構造の存在割合を示しており、プロピレンモノマー単位が5個連続してメソ構造を有する連鎖の中心にあるプロピレン構造単位の分率である。メソペンタッド分率は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
<要件(4)>
本発明のプロピレン系重合体は、23℃におけるn−デカン可溶成分量が0.01〜2重量%、好ましくは0.1〜1.8重量%、より好ましくは0.2〜1.5重量%である。デカン可溶成分量が前記範囲内であると、高結晶性成分が充分に確保され、低立体規則性成分の副生が少ない。
<要件(5)>
本発明のプロピレン系重合体は、GPCにより測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が2.5〜20、好ましくは3〜15、より好ましくは3.5〜10、さらに好ましくは4.0〜10、特に好ましくは4.5〜10である。Mw/Mnが前記範囲内であると、プロピレン系重合体の成形性の観点から好ましい。
[オレフィン重合用触媒]
本発明で用いることができるオレフィン重合用触媒は、上述した本発明のプロピレン系重合体を得ることができれば特に限定されないが、例えば、
(i)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび下記式(I)で表わされる電子供与体(I)を含み、かつ、下記要件(k1)〜(k4)を満たす固体状チタン触媒成分と、
(ii-a)下記式(II-1)、(II-2)または(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分と、
(iii-a)周期律表の1族、2族または13族に属する元素を含む有機金属化合物成分と
を含む触媒〔A〕、または、
(p)前記触媒〔A〕にプロピレンが予備重合された予備重合触媒と、
(ii-b)下記式(II-1)、(II-2)または(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分と、
(iii-b)周期律表の1族、2族または13族に属する元素を含む有機金属化合物成分と
を含む触媒〔B〕が挙げられる。
(k1)チタン含有量が2.5重量%以下である。
(k2)電子供与体(I)の含有量が8〜30重量%である。
(k3)電子供与体(I)/チタン(重量比)が7以上である。
(k4)室温でのヘキサン洗浄によってチタンが実質的に脱離されることがない。
Si(OR23(NR34) ・・・(II-1)
Si(OR221 2 ・・・(II-2)
Si(OR2212 ・・・(II-3)
式(II-1)〜(II-3)中、R1は2級または3級の炭素数1〜20の炭化水素基を示し、R2は1級の炭素数1〜8の炭化水素基を示し、R3は炭素数1〜12の炭化水素基または水素原子を示し、R4は炭素数1〜12の炭化水素基を示す。
前記オレフィン重合用触媒が前記触媒〔A〕の場合、前記触媒〔A〕は、前記有機ケイ素化合物成分(ii-a)として、上記式(II-1)で表わされる有機ケイ素化合物成分と、上記式(II-2)および(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分から選ばれる少なくとも1種の成分とを含む。
前記オレフィン重合用触媒が前記触媒〔B〕の場合、前記有機ケイ素化合物成分(ii-a)および(ii-b)の少なくとも一方に上記式(II-1)で表わされる有機ケイ素化合物成分が含まれ、さらに、前記有機ケイ素化合物成分(ii-a)および(ii-b)の少なくとも一方に上記式(II-2)および(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分から選ばれる少なくとも1種の成分が含まれる。本発明では、前記触媒〔B〕が好ましく用いられる。
以下、前記オレフィン重合用触媒を構成する各成分について説明するが、前記有機ケイ素化合物成分(ii-a)および(ii-b)を併せて「有機ケイ素化合物成分(ii)」と称し、前記有機金属化合物成分(iii-a)および(iii-b)を併せて「有機金属化合物成分(iii)」と称する。
<固体状チタン触媒成分(i)>
前記固体状チタン触媒成分(i)は、
(a)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび前記電子供与体(I)を含み、かつ室温でのヘキサン洗浄によってチタンが脱離することがない固体状チタン、
(b)芳香族炭化水素、
(c)液状チタン、および
(d)前記式(I)で表わされる電子供与体
を接触させる工程を含む方法により調製することができる。
≪(a)固体状チタン≫
前記固体状チタン(a)は、マグネシウム化合物、チタン化合物および電子供与体(内部ドナー)などを種々の方法により接触させることにより、公知の固体状チタン触媒成分の調製法(例えば特開平4−096911号公報、特開昭58−83006号公報、特開平8−143580号公報等参照)により製造することができる。
前記マグネシウム化合物は固体状態で用いられることが好ましい。この固体状態のマグネシウム化合物は、マグネシウム化合物自体が固体状態であるものであってもよく、または電子供与体との付加物であってもよい。前記マグネシウム化合物としては、特開2004−2742号公報に記載のマグネシウム化合物、具体的には、塩化マグネシウム、エトキシ塩化マグネシウム、ブトキシマグネシウムなどが挙げられる。また、前記電子供与体としては、特開2004−2742号公報に記載のマグネシム化合物可溶化能を有する化合物、具体的には、アルコール、アルデヒド、アミン、カルボン酸及びこれらの混合物などが挙げられる。マグネシウム化合物及び電子供与体の使用量は、その種類、その接触条件等によっても異なるが、マグネシウム化合物を該液状の電子供与体に対して0.1〜20モル/リットル、好ましくは0.5〜5モル/リットルとなる量で用いることができる。
前記チタン化合物は液状状態で用いられることが好ましい。このようなチタン化合物としては、例えば、下記式(III)で示される4価のチタン化合物が挙げられる。
Ti(OR5)g4-g ・・・(III)
式(III)中、R5は炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、0≦g≦4である。
前記チタン化合物としては、特に四塩化チタンが好ましい。また、前記チタン化合物は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記電子供与体(I)は、前記式(I)で表わされる化合物である。
Figure 2019011466
式(I)中、Rは、炭素原子数1〜10、好ましくは2〜8、より好ましくは3〜6の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示し、R'は炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示し、nは0〜4の整数を示す。本発明では、nが0の化合物が好ましい。
RおよびR'のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
前記電子供与体(I)の具体例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸メチルエチル、フタル酸ジエチル、フタル酸n−プロピル、フタル酸ジイソプロピル、フタル酸ジn−ブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジn−ペンチル、フタル酸ジネオペンチル、フタル酸ジn−ヘキシル、フタル酸ジn−ヘプチル、フタル酸ジ(メチルヘキシル)、フタル酸ジ(ジメチルペンチル)、フタル酸ジ(エチルペンチル)、フタル酸ジ(2,2,3-トリメチルブチル)、フタル酸ジn−オクチル、フタル酸ジ-2-エチルヘキシルなどが挙げられる。これらの中では、フタル酸ジイソブチルが特に好ましい。
前記固体状チタン(a)の調製においては、前記電子供与体(I)以外の電子供与体を用いてもよい。このような電子供与体としては、特開2005−187550号公報に記載の電子供与体、例えば、アルコール、フェノール、ケトン、アルデヒド、有機酸または無機酸のエステル、有機酸ハライド、エーテル、酸アミド、酸無水物、アンモニア、アミン、ニトリル、イソシアネート、含窒素環状化合物、含酸素環状化合物などが挙げられる。これらの化合物は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
≪固体状チタン(a)の調製≫
前記固体状チタン(a)は、前記マグネシウム化合物と、前記チタン化合物と、前記電子供与体(I)との接触により調製することができる。この際、固体状態のマグネシウム化合物を炭化水素溶媒に懸濁して用いることが好ましい。また、これら各成分を接触させる際に、液状形態のチタン化合物を1回用いて固形物(1)を生成させてもよく、得られた固形物(1)にさらに液状形態のチタン化合物を接触させて固形物(2)を生成させてもよい。さらに、この固形物(1)または(2)を必要に応じて炭化水素溶媒で洗浄してから固体状チタン(a)を調製することが好ましい。
上記のような各成分の接触は、通常−70℃〜+200℃、好ましくは−50℃〜+150℃、より好ましくは−30℃〜+130℃の温度で行われる。固体状チタン(a)を調製する際に用いられる各成分の量は、調製方法によって異なり一概に規定できないが、例えばマグネシウム化合物1モル当り、電子供与体は0.01〜10モル、好ましくは0.1〜5モルの量で、チタン化合物は0.01〜1000モル、好ましくは0.1〜200モルの量で用いることができる。
本発明では、このようにして得られた固形物(1)または(2)をそのまま固体状チタン(i)として用いることができるが、この固形物を0〜150℃の炭化水素溶媒で洗浄することが好ましい。
この炭化水素溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、セタンなどの脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼンなどの非ハロゲン系芳香族炭化水素溶媒、または、ハロゲン含有芳香族炭化水素溶媒などが用いられる。これらのうち、脂肪族炭化水素溶媒またはハロゲンを含まない芳香族炭化水素溶媒が好ましく用いられる。
固形物の洗浄に際しては、炭化水素溶媒は、固形物1gに対して通常10〜500ml好ましくは20〜100mlの量で用いられる。このようにして得られる固体状チタン(a)は、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を含有している。この固体状チタン(a)では、電子供与体/チタン(重量比)が6以下であることが好ましい。
このようにして得られた固体状チタン(a)は、室温でのヘキサン洗浄によってチタンが脱離することがない。
≪(b)芳香族炭化水素≫
前記固体状チタン(a)との接触に用いられる芳香族炭化水素(b)としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、これらのハロゲン含有炭化水素などが挙げられる。これらの中では、キシレン(特にパラキシレン)が好ましい。前記固体状チタン(a)を、このような芳香族炭化水素(b)と接触させることにより、低立体規則性成分を副生する、いわゆる「剰余チタン化合物」を低減することができる。
≪(c)液状チタン≫
前記固体状チタン(a)との接触に用いられる液状チタン(c)としては、該固体状チタン(a)を調製する際に用いたチタン化合物と同様のものを挙げることができる。それらの中でも、テトラハロゲン化チタンが好ましく、特に四塩化チタンが好ましい。
≪(d)電子供与体≫
前記固体状チタン(a)との接触に用いられる電子供与体(d)の例としては、上述した電子供与体(内部ドナー)で例示したものと同じものを挙げることができる。それらの中でも、前記固体状チタン(a)の調製に使用した電子供与体と同じものを用いることが好ましい。
≪固体状チタン触媒成分(i)の調製方法≫
固体状チタン(a)、芳香族炭化水素(b)、液状チタン(c)および電子供与体(d)の接触は、通常110〜160℃、好ましくは115℃〜150℃の温度で、1分間〜10時間、好ましくは10分間〜5時間行われる。
この接触では、芳香族炭化水素(b)は、固体状チタン(a)1gに対して通常1〜10000ml、好ましくは5〜5000mlより好ましくは10〜1000mlの量で用いられる。液状チタン(c)は、芳香族炭化水素(b)100mlに対して通常0.1〜50ml、好ましくは0.2〜20ml、特に好ましくは0.3〜10mlの範囲で用いられる。電子供与体(d)は、芳香族炭化水素(b)100mlに対して通常0.01〜10ml、好ましくは0.02〜5ml、特に好ましくは0.03〜3mlの量で用いられる。
固体状チタン(a)、芳香族炭化水素(b)、液状チタン(c)および電子供与体(d)の接触順序は、特に限定されることなく、同時または逐次に接触させることができる。
固体状チタン(a)、芳香族炭化水素(b)、液状チタン(c)および電子供与体(d)は、不活性ガス雰囲気下、攪拌下に接触させることが好ましい。例えば、充分に窒素置換された攪拌機付きガラス製フラスコ中で、固体状チタン(a)、芳香族炭化水素(b)、液状チタン(c)および電子供与体(d)のスラリーを、上記温度で、攪拌機を100〜1000rpm、好ましくは200〜800rpmの回転数で、上記の時間、攪拌して、固体状チタン(a)、芳香族炭化水素(b)、液状チタン(c)および電子供与体(d)を接触させることが望ましい。
接触後の固体状チタン(a)と芳香族炭化水素(b)とは、濾過により分離することができる。
このような固体状チタン(a)と芳香族炭化水素(b)との接触により、固体状チタン(a)よりもチタン含有量が減少された固体状チタン触媒成分(i)が得られる。具体的には、チタン含有量が固体状チタン(a)よりも25重量%以上、好ましくは30〜95重量%より好ましくは40〜90重量%少ない固体状チタン触媒成分(i)が得られる。
上記のようにして得られる固体状チタン触媒成分(i)は、マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を含み、かつ、下記要件(k1)〜(k4)を満たし、好ましくは下記要件(k5)をさらに満たしている。
(k1)固体状チタン触媒成分(i)のチタン含有量は2.5重量%以下、好ましくは0.1〜2.2重量%、より好ましくは0.2〜2.0重量%、特に好ましくは0.3〜1.8重量%、最も好ましくは0.4〜1.5重量%である。
(k2)電子供与体の含有量は8〜30重量%、好ましくは9〜25重量%、より好ましくは10〜20重量%である。
(k3)電子供与体/チタン(重量比)は7以上、好ましくは7.5〜35、より好ましくは8〜30、特に好ましくは8.5〜25である。
(k4)固体状チタン触媒成分(i)は、室温でのヘキサン洗浄によってチタンが実質的に脱離されることがない。なお、固体状チタン触媒成分(i)のヘキサン洗浄とは、固体状チタン触媒成分(i)1gに対して、通常10〜500ml、好ましくは20〜100mlの量のヘキサンで5分間洗浄することをいう。室温とは15〜25℃である。また、チタンが実質的に脱離されることがないとは、ヘキサン洗浄液中のチタン濃度が0.1g/リットル以下であることを意味する。
(k5)固体状チタン触媒成分(i)は、平均粒径が5〜70μmであり、好ましくは7〜65μmであり、より好ましくは8〜60μmであり、特に好ましくは10〜55μmである。
ここで、マグネシウム、ハロゲン、チタンおよび電子供与体の量は、それぞれ固体状チタン触媒成分(i)の単位重量あたりの重量%であり、マグネシウム、ハロゲンおよびチタンはプラズマ発光分光分析(ICP法)により、電子供与体はガスクロマトグラフィーにより定量される。また、触媒の平均粒径は、デカリン溶媒を用いた遠心沈降法により測定される。
上記のような固体状チタン触媒成分(i)は、オレフィン重合用触媒成分として用いると、プロピレンを高活性で重合させることができるとともに、立体規則性の低いポリプロピレンの生成量が少なく、高立体規則性のポリプロピレンを安定に製造することができる。
<有機ケイ素化合物成分(ii)>
本発明のオレフィン重合用触媒を構成する有機ケイ素化合物成分(ii)は、下記式(II-1)、(II-2)または(II-3)で表わされる。
Si(OR23(NR34) ・・・(II-1)
Si(OR221 2 ・・・(II-2)
Si(OR2212 ・・・(II-3)
式(II-1)〜(II-3)中、R1は2級または3級の炭素数1〜20の炭化水素基を示し、R2は1級の炭素数1〜8の炭化水素基を示し、R3は炭素数1〜12の炭化水素基または水素原子を示し、R4は炭素数1〜12の炭化水素基を示す。
1としては、脂環式炭化水素基、例えば、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、置換基を有するこれらの基などが挙げられる。
また、R1として、Siに隣接する炭素が2級炭素である炭化水素基としては、i-プロピル基、s-ブチル基、s-アミル基、α-メチルベンジル基などが挙げられ、Siに隣接する炭素が3級炭素である炭化水素基としては、tert-ブチル基、tert-アミル基、α,α'-ジメチルベンジル基、アドマンチル基などが挙げられる。
これらの中では、シクロペンチル基およびシクロブチル基が好ましく、特にシクロペンチル基が好ましい。
2としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。これらの中ではメチル基およびエチル基が特に好ましい。
3としては、例えば、水素、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。これらの中では、エチル基が特に好ましい。
4としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、ter−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基などが挙げられる。これらの中では、エチル基が特に好ましい。
前記式(II-1)で表わされる有機ケイ素化合物の具体例としては、ジメチルアミノトリメトキシシラン、ジメチルアミノトリエトキシシラン、ジエチルアミノトリメトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、ジエチルアミノトリn−プロポキシシラン、ジ−n−プロピルアミノトリエトキシシラン、メチル−n−プロピルアミノトリエトキシシラン、t−ブチルアミノトリエトキシシラン、エチル−n−プロピルアミノトリエトキシシラン、エチル−iso−プロピルアミノトリエトキシシラン、メチルエチルアミノトリエトキシシランなどが挙げられる。これらの中では、ジエチルアミノトリメトキシシラン、ジエチルアミノトリエトキシシラン、ジエチルアミノトリn−プロポキシシランが好ましく用いられる。
前記式(II-2)で表わされる有機ケイ素化合物の具体例としては、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、ジシクロヘキシルジメトキシシラン、ジシクロヘキシルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシラン、ジ- tert-ブチルジメトキシシラン、ジ- tert-ブチルジエトキシシラン、ジ(2-メチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ジ(3-メチルシクロペンチル)ジメトキシシラン、ジ-tert-アミルジメトキシシランなどが挙げられる。これらの中では、ジシクロペンチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソプロピルジエトキシシランが好ましく用いられる。
前記式(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物の具体例としては、t-ブチルメチルジメトキシシラン、t-ブチルメチルジエトキシシラン、t-アミルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジエトキシシラン、2-ノルボルナンメチルジメトキシシラン、シクロペンチルメチルジメトキシシラン、シクロペンチルエチルジメトキシシラン、シクロペンチル-n-プロピルジメトキシシランなどが挙げられる。これらの中ではシクロペンチルエチルジメトキシシランが好ましく用いられる。
前記固体状チタン触媒成分(i)と前記有機ケイ素化合物成分(ii)とを組み合わせて用いることにより、高立体規則性を有する、高剛性および高耐熱性のプロピレン系重合体を得ることができる。
<有機金属化合物成分(iii)>
本発明のオレフィン重合用触媒を構成する有機金属化合物成分(iii)は、周期律表の1族、2族または13族に属する金属を含む有機金属化合物であり、例えば、有機アルミニウム化合物、第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化合物、第2族金属の有機金属化合物などが挙げられる。なお、有機金属化合物成分(iii)は、2種以上を併用してもよい。
≪有機アルミニウム化合物≫
前記有機アルミニウム化合物は、例えば下記式で示される。
a nAlX3-n
式中、Raは炭素原子数1〜12の炭化水素基であり、Xはハロゲンまたは水素であり、nは1〜3である。
aは、炭素原子数1〜12の炭化水素基、例えばアルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であるが、具体的には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、シクロペンチル基、シクロヘキシル、フェニル、トリルなどである。
また、前記有機アルミニウム化合物として、下記式で示される化合物を挙げることもできる。
a nAlY3-n
式中、Raは上記と同様であり、Yは−ORb基、−OSiRc 3基、−OAlRd 2基、−NRe 2基、−SiRf 3基または−N(Rg)AlRh 2基であり、nは1〜2であり、Rb、Rc、RdおよびRhはメチル基、エチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基などであり、Reは水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、フェニル基、トリメチルシリル基などであり、RfおよびRgはメチル基、エチル基などである。
このような有機アルミニウム化合物としては、具体的には、以下のような化合物が挙げられる。
・ Ra nAl(ORb)3-n で表される化合物、例えばジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシドなど。
・Ra nAl(OSiRc)3-n で表される化合物、例えばEt2Al(OSiMe3)、(iso-Bu)2Al(OSiMe3)、(iso-Bu) 2Al(OSiEt3)など。
・Ra nAl(OAlRd 2)3-nEt2AlOAlEt2、(iso-Bu) 2AlOAl(iso-Bu) 2 など。
上記のような有機アルミニウム化合物のうちでも、Ra 3Alで表される有機アルミニウム化合物が好ましく用いられる。
[オレフィン重合用触媒の製造方法]
前記オレフィン重合用触媒は、前記固体状チタン触媒成分(i)と、前記有機ケイ素化合物成分(ii)と、前記有機金属化合物成分(iii)とを接触させる工程を含む方法により製造することができる。
本発明では、これら各成分(i)、(ii)、(iii)からオレフィン重合用触媒を形成する際に、必要に応じて他の成分を用いることもできる。
本発明では、上記のような各成分から予備重合触媒(p)が形成されていてもよい。予備重合触媒(p)は、上述した各成分(i)、(ii)、(iii)および必要に応じて用いられる他の成分の存在下に、プロピレンを予備重合させることにより形成される。このような予備重合触媒(p)は、通常、有機ケイ素化合物(ii)および有機金属化合物(iii)とともにオレフィン重合用触媒を形成するが、予備重合触媒(p)のみをオレフィン重合用触媒として用いることができる場合もある。
[プロピレン系重合体の製造方法]
本発明のプロピレン系重合体の製造方法では、上述したオレフィン重合用触媒の存在下でプロピレンを重合させる。
なお、プロピレンの重合を行う際に、プロピレンに加えて、少量のプロピレン以外の他のオレフィンまたは少量のジエン化合物を重合系内に共存させることもできる。
このようなプロピレン以外の他のオレフィンとしては、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、3-メチル-1-ブテンなどの炭素数3〜8のオレフィンが挙げられる。
本発明では、重合は溶液重合、懸濁重合などの液相重合法または気相重合法いずれにおいても実施することができる。重合がスラリー重合の反応形態を採る場合、反応溶媒として、不活性有機溶媒を用いることもできるし、反応温度において液状のオレフィンを用いることもできる。
不活性有機溶媒としては、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;脂環族炭化水素;芳香族炭化水素;ハロゲン化炭化水素、あるいはこれらの接触物などを挙げることができる。これらの中では、特に脂肪族炭化水素を用いることが好ましい。
重合に際しては、固体状チタン触媒成分(i)または予備重合触媒(p)は、重合容積1リットル当りチタン原子に換算して、通常は約1×10-5〜1ミリモル、好ましくは約1×10-4〜0.1ミリモルの量で用いられる。
有機ケイ素化合物(ii)は、有機金属化合物(iii)の金属原子1モルに対し、通常約0.001モル〜10モル、好ましくは0.01モル〜5モルの量で用いられる。
有機金属化合物(iii)は、該化合物(iii)中の金属原子が重合系中のチタン原子1モルに対し、通常約1〜2000モル、好ましくは約2〜500モルとなるような量で用いられる。
なお、この重合時に予備重合触媒(p)を用いると、有機ケイ素化合物(ii)および/または有機金属化合物(iii)を添加しなくてもよい場合がある。予備重合触媒(p)、成分(ii)および成分(iii)からオレフィン重合用触媒が形成されるときには、これら各成分(ii)および(iii)は上記のような量で用いることができる。
重合時に水素を用いれば、得られるプロピレン重合体の分子量を調節することができ、MFRの大きい重合体が得られる。
本発明では、重合は、通常、約20〜150℃、好ましくは約50〜100℃の温度で、また常圧〜100kg/cm2、好ましくは約2〜50kg/cm2の圧力下で行われる。
本発明では、重合を、バッチ式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を、反応条件を変えて2段以上に分けて行うこともできる。
[成形体]
本発明の成形体は、上述した本発明のプロピレン系重合体を含んでなる。本発明のプロピレン系重合体は、高MFR(メルトフローレート)領域においても、高立体規則性を有するとともに、高剛性および高耐熱性を有することから、本発明の成形体は、温度変化による寸法変化が小さく寸法安定性に優れている。そのため、本発明の成形体は、例えば自動車用部品、家電部品、食品容器、医療容器など様々な分野に好適に用いることができる。前記自動車用部品としては、例えば、バンパー、ピラー、インストルメンタルパネル等の自動車内外装部材、エンジンファン、ファンシェラウド等の自動車機能部材、ルーフ、ドアパネル、フェンダー等の外板材などが挙げられる。
本発明の成形体の成形法としては、特に限定されず、重合体の成形法として公知の様々な方法を採用することができるが、特に射出成形やプレス成形が好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例に記載された各種物性の測定方法は以下のとおりである。
<昇温溶出分別測定(TREF)>
立体規則性の指標の1つと考えられるTREF高温溶出成分量は、下記条件における昇温分別測定によって得られる122℃以上で溶出したポリマー濃度から算出した。
装置:Polymer Char製CFC2型クロス分別クロマトグラフ
検出器:Polymer Char製IR4型赤外分光光度計(内蔵)
移動相:o−ジクロロベンゼン、BHT添加
流速:1.0mL/min
試料濃度:90mg/30mL
注入量:0.5mL
溶解条件:145℃、30min
安定化条件:135℃、30min
降温速度:1.0mL/min
溶出区分:−20℃〜0℃ 10℃刻み、0℃〜80℃ 5℃刻み、
80℃〜104℃ 3℃刻み、104〜126℃ 2℃刻み
溶出時間:3min
<メルトフローレート(MFR)>
ASTM D1238に準拠し、測定温度は230℃、荷重2.16kgとした。
<メソペンタッド分率(mmmm(ノイズ除去法))>
1.測定条件
装置:ブルカー・バイオスピン製AVANCE III cryo−500型核磁気共鳴装置
測定核:13C(125MHz)
測定モード:シングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング
パルス幅:45°(5.00マイクロ秒)
繰り返し時間:5.5秒
積算回数:256回
測定溶媒:o−ジクロロベンゼン/重ベンゼン(80/20体積%)混合溶媒
試料濃度:50mg/0.6mL
測定温度:120℃
ケミカルシフト基準:21.59ppm(メソpentad methyl peak shifts)
2.算出法
重合体の立体規則性の指標の1つであり、そのミクロタクティシティーを調べたメソペンタッド分率(mmmm, %)は、上記1の測定条件により得られた13C−NMRスペクトルのピーク強度比より算出した。
ここで、本発明における測定対象のような、これまでにないレベルの高い立体規則性を有するポリプロピレンの場合、rmmr、mmrm、rmrr、rmrm、mrrr領域を積分値に含めると、「ノイズ」の積分値への影響度が大きくなり、一般的な算出方法におけるS2を過大評価、即ちmmmm(%)を過少評価してしまうという問題があると考える。Prog. Polym. Sci. 26(2001), 443−533においても、95%以上の立体規則性を有するポリプロピレンの場合、一定要件を満たせば、rmmr、mmrm、rmrr、rmrm、mrrr領域の積分値は、理論上、合計0.1%以下となることが報告されており、一般的な算出方法におけるS2の過大評価に繋がることを示唆している。
そこで、本発明では、下記(式1)に従い算出した。rmmr, mmrm, rmrr, rmrm, mrrr領域については、Prog. Polym. Sci. 26(2001), 443−533の示唆に従い計算から除いた。以下、本明細書での算出法を「ノイズ除去法」と称する。
mmmm(ノイズ除去法)(%)= S1/S2 * 100 ・・・(式1)
S1 = (mmmm, mmmrを含むピーク)-(n−プロピル末端)-(n−ブチル末端)- mrrm * 2
S2 = S1 + mmmr + mmrr + mrrm + rrrr
= S1 + 5 * mrrm + rrrr
上記(式1)で算出するにあたり、例として、下記の如く帰属した。なお、mmmmのピークには、mmmrと(n−プロピル末端)及び(n−ブチル末端)の各ピークが重複している。
mmmm, mmmrを含むピーク:21.2〜22.0ppmのピーク面積
mmmr = mrrm * 2
mmrr = mrrm * 2
mrrm:19.5〜19.7ppmのピーク面積
rrrr:20.0〜20.2ppmのピーク面積
n−プロピル末端:(A1 + A3)/2
A1:14.2ppmのピーク面積
A3:39.4ppmのピーク面積
n−ブチル末端:36.7ppmのピーク面積
<デカン可溶成分量>
ガラス製の測定容器にプロピレン重合体約6グラム(この重量を、下式においてb(グラム)と表した)、デカン500ml、およびデカンに可溶な耐熱安定剤を少量装入し、窒素雰囲気下、スターラーで攪拌しながら2時間で150℃に昇温してプロピレン重合体を溶解させ、150℃で2時間保持した後、8時間掛けて23℃まで徐冷した。得られたプロピレン重合体の析出物を含む液を、磐田ガラス社製25G−4規格のグラスフィルターにて減圧濾過した。濾液の100mlを採取し、これを減圧乾燥してデカン可溶成分の一部を得た。この重量を、下式においてa(グラム)と表した。この操作の後、デカン可溶成分量を下記式によって決定した。
デカン可溶成分含有率(重量%)=100×(500×a)/(100×b)
<分子量分布>
分子量分布の指標であるMw/Mn値は、下記条件で測定したクロマトグラムを公知の方法によって解析することによって得た。
装置:Waters製ゲル浸透クロマトグラフAllianceGPC2000型
カラム:東ソー製TSKgel GMH6−HT x2 + TSKgel GMH6−HTL x2
移動相:o−ジクロロベンゼン(0.025%BHT含有)
流速:1.0ml/min
温度:140℃
カラム校正:東ソー製単分散ポリスチレン
試料濃度:0.15%(w/v)
注入量:0.4ミリリットル
<曲げ弾性率(FM)>
実施例および比較例で製造されたプロピレン系重合体54重量部、プロピレン−エチレン共重合体ゴム(三井化学(株)製「タフマーS−4020」)6重量部、エチレン−ブテン共重合体ゴム(三井化学(株)製「タフマーA−1050S」)20重量部、タルク(浅田製粉(株)製「JM−209」)20重量部、耐熱安定剤「IRGANOX1010」(ビーエスエフ社)0.1重量部、耐熱安定剤「IRGAFOS168」(ビーエスエフ社)0.1重量部、およびステアリン酸カルシウム0.1重量部をタンブラーにて混合した。次いで、二軸押出機にて下記の条件で溶融混練してペレット状のプロピレン系樹脂組成物を調製し、射出成形機にて下記の条件で試験片を作成した。
(溶融混練条件)
同方向二軸混練機:(株)テクノベル 社製「KZW−15」
混練温度:190℃
スクリュー回転数:500rpm
フィーダー回転数:40rpm
(JIS小型試験片/射出成形条件)
射出成形機:東芝機械(株)製「EC40」
シリンダー温度:190℃
金型温度:40℃
射出時間−保圧時間:13秒(一次充填時間:1秒)
冷却時間:15秒
(測定条件)
曲げ弾性率FM〔MPa〕は、JIS K7171に従って、下記の条件で測定した。
試験片:10mm(幅)×4mm(厚さ)×80mm(長さ)
曲げ速度:2mm/分
曲げスパン:64mm
[比較例1]
<固体状チタン(a−1)の調製>
内容積2リットルの高速撹拌装置(特殊機化工業製)を充分窒素置換した後、該装置に精製灯油700ml、市販塩化マグネシウム10g、エタノール24.2gおよびソルビタンジステアレート(花王アトラス(株)製「エマゾール320」)3gを装入した。この系を撹拌下で昇温し、120℃および800rpmの条件で30分間撹拌した。高速撹拌下、内径5mmのテフロン(登録商標)製チューブを用いて、予め−10℃に冷却された精製灯油1リットルを張り込んである2リットルのガラスフラスコ(攪拌機付)に移液した。得られた固体を濾過し、精製n−ヘキサンで充分洗浄することにより、塩化マグネシウム1モルに対してエタノールが2.8モル配位した固体状付加物を得た。
次いで、前記固体状付加物(マグネシウム原子に換算して45ミリモル)をデカン20mlに懸濁させた後、−20℃に保持した四塩化チタン195ml中に、攪拌下で全量導入した。この混合液を5時間かけて80℃に昇温し、ジイソブチルフタレート1.8ml(6.2ミリモル)を添加した。引き続き110℃まで昇温して1.5時間攪拌した。
1.5時間の反応終了後、熱濾過にて固体部を採取し、100℃のデカンおよび室温のヘキサンによって、ろ液中にチタンが検出されなくなるまで洗浄した。このようにして、チタン3.8重量%、マグネシウム16重量%、ジイソブチルフタレ−ト18.2重量%、エタノ−ル残基1.1重量%を含有する固体状チタン(a−1)を得た。
<固体状チタン触媒成分(i-1)の調製>
充分に窒素置換された200mlのガラス製反応器に、得られた固体状チタン(a−1)、パラキシレン113ml、デカン11ml、四塩化チタン2.5ml(23ミリモル)及びジイソブチルフタレ−ト0.34ml(1.2ミリモル)を入れた。反応器内の温度を130℃に昇温し、その温度で1時間攪拌して接触処理した後、熱ろ過により固体部を採取した。この固体部を101mlのパラキシレンに再懸濁させ、さらに四塩化チタン1.7ml(15ミリモル)及びジイソブチルフタレート0.22ml(0.8ミリモル)を添加した。
次いで、130℃に昇温し、該温度を保持しながら1時間攪拌して反応させた。反応終了後、再び熱ろ過にて固液分離を行い、得られた固体部を100℃のデカン及び室温のヘキサンによって触媒中のパラキシレンが1重量%以下となるまで洗浄した。このようにして、チタン1.3重量%、マグネシウム20重量%、ジイソブチルフタレート13.8重量%を含有する固体状チタン触媒成分(i-1)を得た。
<予備重合触媒(p−1)の調製>
窒素置換された200mlのガラス製反応器に、ヘキサン50ml、トリエチルアルミニウム5.0ミリモル、ジエチルアミノトリエトキシシラン0.75ミリモル、および得られた固体状チタン触媒成分(i-1)をチタン原子換算で0.25ミリモル装入した後、系内の温度を20℃に保ちながら、1.47リットル/時間の量でプロピレンを1時間供給した。この操作により、固体状チタン触媒成分(i-1)1g当り3gのプロピレンが予備重合された予備重合触媒(p−1)を得た。
<本重合>
内容積2リットルのオートクレーブに、プロピレン500gと水素1.8リットルとを装入し、系内の温度を60℃に昇温した。その後、トリエチルアルミニウムを0.50ミリモル、ジエチルアミノトリエトキシシランを0.10ミリモルおよび上記で得られた予備重合触媒(p−1)をチタン原子換算で0.0020ミリモル添加することにより重合を開始した。系内の温度を70℃に保ちながら1時間重合を行った。次いで、エタノールを添加することにより重合を停止し、未反応のプロピレンをパージしてポリプロピレン314.8gを得た。得られたポリプロピレンの物性を評価した結果を表1に示す。
[比較例2]
比較例1の本重合における水素の装入量を5.0リットルに変更したこと以外は、比較例1と同様にして、ポリプロピレン216.3gを得た。得られたポリプロピレンの物性を評価した結果を表1に示す。
[比較例3]
<固体状チタン触媒成分(i-2)の調製>
内容積2リットルの高速撹拌装置(特殊機化工業製「TKホモミクサーM型」)を充分窒素置換した後、この装置に精製デカン700ml、市販塩化マグネシウム10g、エタノール24.2gおよびソルビタンジステアレート(花王(株)製「レオドールSP−S20」)3gを装入した。この懸濁液を撹拌しながら昇温し、120℃にて800rpmで30分間撹拌した。次いで、この懸濁液を、沈殿物が生じないように高速撹拌しながら、内径5mmのテフロン(登録商標)製チューブを用いて、予め−10℃に冷却された精製デカン1リットルを張り込んである2リットルのガラスフラスコ(攪拌機付)に移した。生成した固体を濾過し、精製n−ヘプタンで充分洗浄することにより、塩化マグネシウム1モルに対してエタノールが2.8モル配位した固体状付加物を得た。
次いで、前記固体状付加物(マグネシウム原子に換算して23ミリモル)をデカンで懸濁状にした後、−20℃に保持した四塩化チタン100ml中に、攪拌下で導入して混合液を得た。この混合液を5時間かけて80℃に昇温し、80℃に達したところで、3,6−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジイソブチル(シス体およびトランス体の混合物)を、固体状付加物のマグネシウム原子1モルに対して0.085モルの割合の量で添加し、40分間で110℃まで昇温した。110℃に到達したところで、さらにシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジイソブチル(シス体およびトランス体の混合物)を固体状付加物のマグネシウム原子1モルに対して0.0625モルの割合の量で添加し、110℃で90分間攪拌しながら保持することにより、これらを反応させた。
90分間の反応終了後、熱濾過にて固体部を採取し、この固体部を100mlの四塩化チタンにて再懸濁させた。次いで、この懸濁液を昇温して110℃に達したところで、45分間撹拌しながら保持することにより、これらを反応させた。45分間の反応終了後、再び熱濾過にて固体部を採取し、100℃のデカンおよびヘプタンで、洗液中に遊離のチタン化合物が検出されなくなるまで、充分洗浄した。
以上の操作によって調製した固体状チタン触媒成分(i-2)はデカン懸濁液として保存したが、この内の一部を、触媒組成を調べる目的で乾燥した。
このようにして得られた固体状チタン触媒成分(i-2)の組成は、チタン3.2質量%、マグネシウム17質量%、塩素57質量%、3,6−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジイソブチル10.6質量%、シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸ジイソブチル8.9質量%およびエチルアルコール残基0.6質量%であった。
<予備重合触媒(p−2)の調製>
固体状チタン触媒成分(i-1)の代わりに上記で得られた固体状チタン触媒成分(i-2)を用いたこと以外は、比較例1と同様にして予備重合触媒(p−2)を得た。
<本重合>
内容積2リットルのオートクレーブに、プロピレン500gと水素5.0リットルとを装入し、系内の温度を60℃に昇温した。その後、トリエチルアルミニウムを1.0ミリモル、ジエチルアミノトリエトキシシランを0.20ミリモルおよび上記で得られた予備重合触媒(p−2)をチタン原子換算で0.0040ミリモル添加することにより重合を開始した。系内の温度を70℃に保ちながら1時間重合を行った。次いで、エタノールを添加することにより重合を停止し、未反応のプロピレンをパージしてポリプロピレン113.1gを得た。得られたポリプロピレンの物性を評価した結果を表1に示す。
[実施例1]
<予備重合触媒(p−1)の調製>
比較例1と同様にして予備重合触媒(p−1)を得た。
<本重合>
内容積2リットルのオートクレーブに、プロピレン500gと水素9.0リットルとを装入し、系内の温度を57℃に昇温した。その後、トリエチルアルミニウムを0.50ミリモル、ジエチルアミノトリエトキシシランを0.09ミリモル、ジシクロペンチルジメトキシシランを0.01ミリモルおよび上記で得られた予備重合触媒(p−1)をチタン原子換算で0.0020ミリモル添加することにより重合を開始した。系内の温度を60℃に保ちながら1時間重合を行った。次いで、エタノールを添加することにより重合を停止し、未反応のプロピレンをパージすることにより、ポリプロピレン152.0gを得た。得られたポリプロピレンの物性を評価した結果を表1に示す。
[実施例2]
<予備重合触媒(p−3)の調製>
トリエチルアルミニウムの装入量を5.0ミリモルとし、ジエチルアミノトリエトキシシラン0.75ミリモルに替えて、ジエチルアミノトリエトキシシラン0.56ミリモルおよびジシクロペンチルジメトキシシラン0.19ミリモルを装入したこと以外は、比較例1と同様にして予備重合触媒(p−3)を得た。
<本重合>
内容積2リットルのオートクレーブに、プロピレン500gと水素7.5リットルとを装入し、系内の温度を60℃に昇温した。その後、トリエチルアルミニウムを0.50ミリモル、ジエチルアミノトリエトキシシランを0.10ミリモルおよび上記で得られた予備重合触媒(p−3)をチタン原子換算で0.0020ミリモル添加することにより重合を開始した。系内の温度を70℃に保ちながら1時間重合を行った。次いで、エタノールを添加することにより重合を停止し、未反応のプロピレンをパージすることにより、ポリプロピレン274.3gを得た。得られたポリプロピレンの物性を評価した結果を表1に示す。
[実施例3]
<予備重合触媒(p−4)の調製>
ジエチルアミノトリエトキシシラン0.75ミリモルに替えて、ジイソプロピルジメトキシシラン0.50ミリモルを装入したこと以外は、比較例1と同様にして予備重合触媒(p−4)を得た。
<本重合>
内容積2リットルのオートクレーブに、プロピレン500gと水素7.5リットルとを装入し、系内の温度を60℃に昇温した。その後、トリエチルアルミニウムを0.50ミリモル、ジエチルアミノトリエトキシシランを0.10ミリモルおよび上記で得られた予備重合触媒(p−4)をチタン原子換算で0.0020ミリモル添加することにより重合を開始した。系内の温度を70℃に保ちながら1時間重合を行った。次いで、エタノールを添加することにより重合を停止し、未反応のプロピレンをパージすることにより、ポリプロピレン232.7gを得た。得られたポリプロピレンの物性を評価した結果を表1に示す。
[実施例4]
<予備重合触媒(p−5)の調製>
ジエチルアミノトリエトキシシラン0.75ミリモルに替えて、ジエチルアミノトリエトキシシラン0.38ミリモルおよびジイソプロピルジメトキシシラン0.38ミリモルを装入したこと以外は比較例1と同様にして予備重合触媒(p−5)を得た。
<本重合>
内容積2リットルのオートクレーブに、プロピレンを500gと水素7.5リットルとを装入し、系内の温度を60℃に昇温した。その後、トリエチルアルミニウムを0.50ミリモル、ジエチルアミノトリエトキシシランを0.10ミリモルおよび上記で得られた予備重合触媒(p−5)をチタン原子換算で0.0020ミリモル添加することにより重合を開始した。系内の温度を70℃に保ちながら1時間重合を行った。次いで、エタノールを添加することにより重合を停止し、未反応のプロピレンをパージすることにより、ポリプロピレン231.1gを得た。得られたポリプロピレンの物性を評価した結果を表1に示す。
[実施例5]
<予備重合触媒(p−5)の調製>
実施例4と同様にして予備重合触媒(p−5)を得た。
<本重合>
内容積2リットルのオートクレーブに、プロピレン500gと水素8.0リットルとを装入し、系内の温度を57℃に昇温した。その後、トリエチルアルミニウムを1.00ミリモル、ジエチルアミノトリエトキシシランを0.20ミリモルおよび上記で得られた予備重合触媒(p−5)をチタン原子換算で0.0040ミリモル添加することにより重合を開始した。系内の温度を60℃に保ちながら1時間重合を行った。次いで、エタノールを添加することにより重合を停止し、未反応のプロピレンをパージすることにより、ポリプロピレン308.5gを得た。得られたポリプロピレンの物性を評価した結果を表1に示す。
[実施例と比較例の対比]
下記表1に示すとおり、比較例1および2のプロピレン系重合体の立体規則性は、mmmm99.3%であり、実施例1、4および5よりもわずかに高い値であった。それにもかかわらず、実施例1、4および5のプロピレン系重合体から調製された樹脂組成物の曲げ弾性率は、比較例1、2のそれよりも100MPa以上高い値であった。非常に高いレベルでの高剛性化が追求され続けているプロピレン系樹脂の分野において、100MPa以上の弾性率向上は実に驚くべき効果である。比較例1のプロピレン系重合体は、TREF100℃以下の溶出成分量が本願規定の範囲より少ないため、実施例1〜5ほどの高剛性が得られなかったものといえる。また、比較例2のプロピレン系重合体は、TREF122℃以上の溶出成分量が本願規定の範囲より少ないため、実施例ほどの高剛性が得られなかったものといえる。
比較例3のプロピレン系重合体は、TREF122℃以上の溶出成分量もTREF100℃以下の溶出成分量も本願規定の範囲内にあるが、立体規則性がmmmm96.8%と低く、調製された樹脂組成物の曲げ弾性率は実施例よりも大幅に低い値であった。
Figure 2019011466
表1中の「オレフィン重合用触媒」の「外部ドナー」に関する記号の意味は以下のとおりである。
II-1-1:ジエチルアミノトリメトキシシラン
II-2-1:ジイソプロピルジメトキシシラン
II-2-2:ジシクロペンチルジメトキシシラン

Claims (5)

  1. 下記要件(1)〜(5)を満たすことを特徴とするプロピレン系重合体:
    (1)昇温溶出分別測定法(TREF)により122℃以上の温度で溶出する成分の割合が3.0〜50重量%であり、かつ、100℃以下の温度で溶出する成分の割合が6.5〜20重量%である;
    (2)メルトフローレート(MFR)(ASTM D1238、230℃、2.16kg荷重下)が0.5〜1000g/10分である;
    (3)13C−NMRにより求められるメソペンタッド分率(mmmm)が98.0〜100%である;
    (4)23℃におけるn−デカン可溶成分量が0.01〜2重量%である;
    (5)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が2.5〜20である。
  2. オレフィン重合用触媒の存在下でプロピレンを重合させることにより請求項1に記載のプロピレン系重合体を製造する方法であって、
    前記オレフィン重合用触媒が、
    (i)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび下記式(I)で表わされる電子供与体(I)を含み、かつ、下記要件(k1)〜(k4)を満たす固体状チタン触媒成分と、
    (ii-a)下記式(II-1)、(II-2)または(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分と、
    (iii-a)周期律表の1族、2族または13族に属する元素を含む有機金属化合物成分と
    を含む触媒〔A〕、または、
    (p)前記触媒〔A〕にプロピレンが予備重合された予備重合触媒と、
    (ii-b)下記式(II-1)、(II-2)または(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分と、
    (iii-b)周期律表の1族、2族または13族に属する元素を含む有機金属化合物成分と
    を含む触媒〔B〕であり、
    前記オレフィン重合用触媒が前記触媒〔A〕の場合、前記触媒〔A〕は、前記有機ケイ素化合物成分(ii-a)として、下記式(II-1)で表わされる有機ケイ素化合物成分と、下記式(II-2)および(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分から選ばれる少なくとも1種の成分とを含み、
    前記オレフィン重合用触媒が前記触媒〔B〕の場合、前記有機ケイ素化合物成分(ii-a)および(ii-b)の少なくとも一方に下記式(II-1)で表わされる有機ケイ素化合物成分が含まれ、さらに、前記有機ケイ素化合物成分(ii-a)および(ii-b)の少なくとも一方に下記式(II-2)および(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分から選ばれる少なくとも1種の成分が含まれることを特徴とするプロピレン系重合体の製造方法:
    (k1)チタン含有量が2.5重量%以下である;
    (k2)電子供与体(I)の含有量が8〜30重量%である;
    (k3)電子供与体(I)/チタン(重量比)が7以上である;
    (k4)室温でのヘキサン洗浄によってチタンが実質的に脱離されることがない。
    Figure 2019011466
    [式(I)中、Rは炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示し、R’は炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示し、nは0〜4の整数を示す。]
    Si(OR23(NR34) ・・・(II-1)
    Si(OR221 2 ・・・(II-2)
    Si(OR2212 ・・・(II-3)
    [式(II-1)〜(II-3)中、R1は2級または3級の炭素数1〜20の炭化水素基を示し、R2は1級の炭素数1〜8の炭化水素基を示し、R3は炭素数1〜12の炭化水素基または水素原子を示し、R4は炭素数1〜12の炭化水素基を示す。]
  3. 請求項1に記載のプロピレン系重合体を製造するためのオレフィン重合用触媒であって、
    (i)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび下記式(I)で表わされる電子供与体(I)を含み、かつ、下記要件(k1)〜(k4)を満たす固体状チタン触媒成分と、
    (ii-a)下記式(II-1)、(II-2)または(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分と、
    (iii-a)周期律表の1族、2族または13族に属する元素を含む有機金属化合物成分と
    を含む触媒〔A〕、または、
    (p)前記触媒〔A〕にプロピレンが予備重合された予備重合触媒と、
    (ii-b)下記式(II-1)、(II-2)または(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分と、
    (iii-b)周期律表の1族、2族または13族に属する元素を含む有機金属化合物成分と
    を含む触媒〔B〕であり、
    前記オレフィン重合用触媒が前記触媒〔A〕の場合、前記触媒〔A〕は、前記有機ケイ素化合物成分(ii-a)として、下記式(II-1)で表わされる有機ケイ素化合物成分と、下記式(II-2)および(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分から選ばれる少なくとも1種の成分とを含み、
    前記オレフィン重合用触媒が前記触媒〔B〕の場合、前記有機ケイ素化合物成分(ii-a)および(ii-b)の少なくとも一方に下記式(II-1)で表わされる有機ケイ素化合物成分が含まれ、さらに、前記有機ケイ素化合物成分(ii-a)および(ii-b)の少なくとも一方に下記式(II-2)および(II-3)で表わされる有機ケイ素化合物成分から選ばれる少なくとも1種の成分が含まれる
    ことを特徴とするオレフィン重合用触媒:
    (k1)チタン含有量が2.5重量%以下である;
    (k2)電子供与体(I)の含有量が8〜30重量%である;
    (k3)電子供与体(I)/チタン(重量比)が7以上である;
    (k4)室温でのヘキサン洗浄によってチタンが実質的に脱離されることがない。
    Figure 2019011466
    [式(I)中、Rは炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示し、R’は炭素数1〜10の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基を示し、nは0〜4の整数を示す。]
    Si(OR23(NR34) ・・・(II-1)
    Si(OR221 2 ・・・(II-2)
    Si(OR2212 ・・・(II-3)
    [式(II-1)〜(II-3)中、R1は2級または3級の炭素数1〜20の炭化水素基を示し、R2は1級の炭素数1〜8の炭化水素基を示し、R3は炭素数1〜12の炭化水素基または水素原子を示し、R4は炭素数1〜12の炭化水素基を示す。]
  4. 前記固体状チタン触媒成分(i)が、
    (a)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび前記式(I)で表わされる電子供与体を含み、かつ室温でのヘキサン洗浄によってチタンが脱離することがない固体状チタン、
    (b)芳香族炭化水素、
    (c)液状チタン、および
    (d)前記式(I)で表わされる電子供与体
    を接触させる工程を含む方法により調製されることを特徴とする請求項2に記載のプロピレン系重合体の製造方法。
  5. 請求項1に記載のプロピレン系重合体を含んでなる成形体。
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