<第1実施形態>
以下、図面を参照して第1実施形態に係る車両用前照灯装置10について説明する。なお、各図中に適宜示される矢印FRは車両前方向を示し、矢印UPは車両上方向を示し、矢印RHは車両右側を示している。以下、前後左右上下の方向を用いて説明する場合、特に断りのない限り、車両前後方向の前後、車両幅方向の左右、車両上下方向の上下を示すものとする。
図1に示されるように、車両用前照灯装置10が適用された車両12には、車両12の前方側の視界を確保するための左右一対のヘッドランプユニット14が備えられている。すなわち、車両12の左側前端部には、ヘッドランプユニット14Lが配置されており、車両12の右側前端部には、ヘッドランプユニット14Rが配置されている。
ヘッドランプユニット14L及びヘッドランプユニット14Rは、左右対称に構成されており、ヘッドランプユニット14Lは、車両幅方向外側(すなわち、車両左側)に配設されたロービームユニット16Lと、車両幅方向内側(すなわち、車両右側)に配設された第1前照灯としてのハイビームユニット18Lとを含んで構成されている。
一方、ヘッドランプユニット14Rは、車両幅方向外側(すなわち、車両右側)に配設されたロービームユニット16Rと、車両幅方向内側(すなわち、車両左側)に配設された第2前照灯としてのハイビームユニット18Rとを含んで構成されている。そして、ロービームユニット16Lは、車両前方側の図示しないロービーム配光エリアにおける車両左側に光(すなわち、可視光)を照射するように構成されている。また、ロービームユニット16Rは、車両前方側の図示しないロービーム配光エリアにおける車両右側に光(すなわち、可視光)を照射するように構成されている。
ハイビームユニット18L及びハイビームユニット18Rは、車両幅方向に間隔をあけて配設されている。そして、ハイビームユニット18は、ロービームユニット16によって照射されるロービーム配光エリアよりも上方側で、かつ前方側となるハイビーム配光エリアHa(図2参照)に、後述するレンズ30(図2参照)を透過した光(すなわち、可視光)を照射するように構成されている。
また、車両12には、制御部としてのECU(Electronic Control Unit)20が配設されており、このECU20によってハイビームユニット18L及びハイビームユニット18Rを含むヘッドランプユニット14が制御されるように構成されている。
以下、図2を参照してハイビームユニット18Lの詳細について説明する。なお、ハイビームユニット18Rは、ハイビームユニット18Lと左右対称の構造であるため、ここではハイビームユニット18Lについてのみ説明し、ハイビームユニット18Rの説明を省略する。
図2に示されるように、ハイビームユニット18Lは、可視光を出射する光源としてのLED(Light Emitting Diode)24と、LED24から出射された可視光を反射する回転ミラー26と、回転ミラー26によって反射した可視光を透過させて車両前方側へ照射させる単一のレンズ30とを含んで構成されている。
LED24は、基板22上に複数配列されており、基板22は、図示しないヒートシンク上に配置されている。なお、LED24はそれぞれ、ECU20(図1参照)と電気的に接続されており、運転者のスイッチ操作だけではなく、ECU20の制御によって消灯及び点灯が実行される構成になっている。
レンズ30は、車両前方側に半球状に突出した湾曲面を備えており、車両後方側が平坦面とされている。そして、回転ミラー26によって可視光が反射されることで、レンズ30の平坦面から可視光が入射され、レンズ30の湾曲面から車両前方側へ可視光が照射されるように構成されている。なお、各図では、図示を簡略化するため、レンズ30における光の屈折については省略している。また、レンズ30の後面は、平坦面に限定されるものではない。
回転ミラー26は、中心に位置する軸部28の周方向に等間隔で配置されたミラー本体26A及びミラー本体26Bを含んで構成されている。ミラー本体26A及びミラー本体26Bはそれぞれ、軸部28の軸方向に対して所定の角度で傾斜した状態で取り付けられており、本実施形態では一例として、車両左側へ光を反射させる曲率を有するミラー本体26Aと、車両右側へ光を反射させる曲率を有するミラー本体26Bとを含んで構成されている。
軸部28は、モータ27(図3参照)の駆動軸と連結されており、一方向に回転駆動されるようになっている。このため、ミラー本体26A及びミラー本体26Bは、この軸部28を中心として一方向に回転駆動可能に構成されている。なお、モータ27は、ECU20に電気的に接続されているため、回転ミラー26は、ECU20の制御によって回転駆動する構成になっている。
図3は、車両用前照灯装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。この図3に示されるように、車両用前照灯装置10を構成するECU20は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)32、ROM(Read Only Memory)34、RAM(Random Access Memory)36、ストレージ38、通信インタフェース40及び入出力インタフェース42を含んで構成されている。各構成は、バス44を介して相互に通信可能に接続されている。
CPU32は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU32は、ROM34又はストレージ38からプログラムを読み出し、RAM36を作業領域としてプログラムを実行する。CPU32は、ROM34又はストレージ38に記録されているプログラムに従って、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。
ROM34は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM36は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ38は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。本実施形態では、ROM34又はストレージ38には、ロービームユニット16を制御するためのプログラム、及びハイビームユニット18を制御するためのプログラムなどが格納されている。
通信インタフェース40は、車両12が他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)などの規格が用いられる。
入出力インタフェース42には、ハイビームユニット18L及びハイビームユニット18Rが接続されている。ハイビームユニット18L及びハイビームユニット18Rはそれぞれ、光源であるLED24及び回転ミラー26の軸部28を回転させるモータ27を備えており、ECU20は、入出力インタフェース42を介してLED24の点灯及び消灯を制御する。また、ECU20は、入出力インタフェース42を介してモータ27の駆動を制御することにより、回転ミラー26を回転させる。
次に図2を参照して、回転ミラー26で反射された反射光が照射されるハイビーム配光エリアHaについて説明する。ハイビーム配光エリアHaは、車両12の左前方側に照射される左側照射領域HaLと、車両12の右前方側に照射される右側照射領域HaRとを含んでおり、左側照射領域HaLの右端部と、右側照射領域HaRの左端部とが互いに重ね合わされている(重複領域HaW)。
左側照射領域HaLは、ミラー本体26Aで反射された光が照射される領域となっており、右側照射領域HaRは、ミラー本体26Bで反射された光が照射される領域となっている。また、本実施形態では、ミラー本体26Aが回転することで、車両前方へ照射される光は、左側照射領域HaL内を車両左側から車両右側へ向かって徐々に移動する。すなわち、ミラー本体26Aを停止させた状態では、上下方向を長手方向とする略矩形状に光が照射され、ミラー本体26Aを回転させることで、この照射領域が車両右側へ連続して移動される。
さらに回転ミラー26が回転されると、ミラー本体26Bで光が反射され、右側照射領域HaRに光が照射される。このとき、車両前方へ照射される光は、右側照射領域HaR内を車両左側から車両右側へ向かって徐々に移動する。従って、左側照射領域HaLにおける左端に光が照射されている状態から、回転ミラー26を1回転させると、ハイビーム配光エリアHaへ照射される光は、左側照射領域HaL内を車両左側から車両右側へ向かって徐々に移動し、さらに右側照射領域HaR内を車両左側から車両右側へ向かって徐々に移動する。なお、本実施形態では、回転ミラー26の初期位置でミラー本体26Aの一端部に光が反射されるように構成されており、左側照射領域HaL内の左端へ光が照射されるように構成されている。
車両右側に配設されたハイビームユニット18Rは、ハイビームユニット18Lと同様の構成とされている。そして、ハイビームユニット18Rの回転ミラー26で反射された反射光が照射されるハイビーム配光エリアHaは、図2で説明したハイビーム配光エリアHaよりも車両右側に設定されている。また、本実施形態では、回転ミラー26の初期位置でミラー本体26Aの一端部に光が反射されるように構成されており、左側照射領域HaL内の左端へ光が照射されるように構成されている。
ここで、ECU20は、ハイビームユニット18L及びハイビームユニット18Rの起動時には、ハイビームユニット18L及びハイビームユニット18Rから照射された光の照射領域が車両幅方向一方側から車両幅方向他方側へ向かって連続して移動するように光を照射させると共に、ハイビームユニット18Lによる照射が終了する直前に、ハイビームユニット18Lの照射領域と重なる位置からハイビームユニット18Rによる照射を開始させるように制御する。
以下、図4を参照して、起動時における具体的な照射方法の一例について説明する。この起動時照射処理は、CPU32がROM34又はストレージ38から遠隔操作プログラムを読み出して、RAM36に展開して実行することによって実行される。なお、ハイビームユニット18L及びハイビームユニット18Rの起動時とは、車両12の図示しないイグニッションスイッチ(又はパワー)がオン状態とされた場合、又は車両12の停車中に図示しないランプスイッチがオン状態とされた場合などを意味している。
図4は、運転者の目線から見た照射領域が図示されており、この図4における中心線CLは、運転者から見た車両幅方向の中心となっている。そして、左側のハイビームユニット18Lのハイビーム配光エリアHaは、車両左側の端部から、中心線CLよりもやや車両右側にオフセットされた位置までとなっている。また、右側のハイビームユニット18Rのハイビーム配光エリアHaは、車両右側の端部から、中心線CLよりもやや車両左側にオフセットされた位置までとなっている。すなわち、ハイビームユニット18Lのハイビーム配光エリアHaと、ハイビームユニット18Rのハイビーム配光エリアHaとは、一部が重なるように設定されている。
図4(A)に示されるように、起動時照射処理が開始されると、初めにハイビームユニット18LのLED24が点灯され、回転ミラー26によって光が反射される。ここで、回転ミラー26の初期位置では、二点鎖線BLで示される位置(車両左側の端部)に光が照射される。そして、この位置から回転ミラー26が回転されることで、車両右側(中心線CL)へ向かって連続して照射領域BLが移動される。
図4(B)に示されるように、左側のハイビームユニット18Lの回転ミラー26が回転されることで、ハイビームユニット18の照射領域BLは、二点鎖線の位置から実線の位置(中心線CLよりもやや車両右側にオフセットされた位置)まで移動される。この位置は、ハイビームユニット18Lにおける最も右側の照射領域となる。そして、この状態で、照射領域BLが消灯される前に、右側のハイビームユニット18Rから光を照射させる。すなわち、右側のハイビームユニット18RのLED24を点灯させる。このとき、ハイビームユニット18Rにおける回転ミラー26の初期位置は、ハイビームユニット18Rにおけるハイビーム配光エリアHaの左端となる。このため、ハイビームユニット18Rの照射領域BRは、実線の位置(中心線CLよりもやや車両左側にオフセットされた位置)となり、ハイビームユニット18Rの照射領域BRの一部が照射領域BLの一部と重なる。この状態からハイビームユニット18Rの回転ミラー26が回転されることで、照射領域BLが車両右側へ移動される(二点鎖線BR参照)。
続いて、図4(C)に示されるように、左側のハイビームユニット18LのLED24は消灯される。また、右側のハイビームユニット18Rの照射領域BRは、回転ミラー26の回転に伴って二点鎖線の位置から実線の位置へ車両右側へ連続して移動される。このようにして、ハイビームユニット18Lの照射領域BLとハイビームユニット18Rの照射領域BRとが途切れることなく連続して車両左側から車両右側へ向かって移動する。そして、照射領域BRをハイビーム配光エリアHaの右端まで移動させた後、起動時照射処理を終了させる。
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態に係る車両用前照灯装置では、ハイビームユニット18L及びハイビームユニット18Rの起動時に、ハイビームユニット18Lからハイビームユニット18Rへ照射を引継ぐ際に違和感が生じにくくなる。すなわち、乗員に違和感を生じさせることを抑制することができる。
特に、本実施形態のように、ハイビームユニット18L及びハイビームユニット18Rを車両左側から車両右側へ連続して移動させることで、ハイビームユニット18L及びハイビームユニット18Rを一体のユニットとして機能しているように乗員へ視認させることができ、見栄えがよい。
これに対して、例えば、ハイビームユニット18Lの照射領域BLを中心線CLから車両左側へ移動させつつ、ハイビームユニット18Rの照射領域BRを中心線CLから車両右側へ移動させる構成などと比較して、照射領域の動きによる乗員への違和感を低減させることができる。
また、本実施形態では、回転ミラー26を回転させながら光の照射を行う、いわゆるブレードスキャン式アダプティブハイビームシステム(AHS:Adaptive High-beam System)を採用している。これにより、例えば、LEDから出射された光をレンズに透過させて直接車両前方側へ照射させる構造などと比較して、よりスムーズに照射領域を移動させることができる。すなわち、LEDから出射された光を直接照射させる構造では、LEDの使用個数によって分割数が決定されることとなり、分割された範囲で点灯が行われるため、照射領域をスムーズに動かしにくい。これに対して、回転ミラー26で光を反射させる構造では、照射領域を流れるように移動させる演出を行うことができる。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態に係る車両用前照灯装置について説明する。なお、ハイビームユニット18L及びハイビームユニット18Rの制御方法が第1実施形態と異なっており、その他の構造は第1実施形態と同様である。このため、以下の説明では、ハイビームユニット18L及びハイビームユニット18Rの起動時における具体的な照射方法についてのみ説明する。
図5(A)に示されるように、本実施形態において起動時照射処理が開始されると、初めにハイビームユニット18LのLED24が点灯され、回転ミラー26によってハイビーム配光エリアHaの左端の照射領域BLへ光を照射させる。
続いて、図5(B)に示されるように、本実施形態では、照射領域BLが車両右側へ拡張させるようにハイビームユニット18Lから光を照射させる。すなわち、照射領域BLの右端を車両左側から車両右側へ連続して移動させるように光の照射を行う。そして、この図5(B)では、左側のハイビームユニット18Lにおけるハイビーム配光エリアHaの全域に光が照射された状態となっている。
また、照射領域BLと重なる位置からハイビームユニット18Rによる照射を開始させ、ハイビームユニット18Rのハイビーム配光エリアHaにおける左端の照射領域BRに光を照射させる。図5(B)における照射領域BRは、回転ミラー26の初期位置で反射された光の照射領域となっている。
図5(C)に示されるように、図5(B)の状態からハイビームユニット18Rの照射領域BRを車両右側へ拡張させるように光の照射が行われる。すなわち、照射領域BRの右端を車両左側から車両右側へ連続して移動させるように光の照射を行う。そして、ハイビームユニット18Lにおけるハイビーム配光エリアHaの全域、及びハイビームユニット18Rにおけるハイビーム配光エリアHaの全域に光の照射が行われた後、起動時照射処理を終了させる。
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態に係る車両用前照灯装置では、第1実施形態と同様に、ハイビームユニット18Lからハイビームユニット18Rへ照射を引継ぐ際に違和感が生じにくくなる。また、照射領域が車両右側へ拡張されるように照射領域を移動させる演出を行うことができる。
<第3実施形態>
次に、第3実施形態に係る車両用前照灯装置について説明する。なお、ハイビームユニット18L及びハイビームユニット18Rの制御方法が第1実施形態と異なっており、その他の構造は第1実施形態と同様である。このため、以下の説明では、ハイビームユニット18L及びハイビームユニット18Rの起動時における具体的な照射方法についてのみ説明する。
図6(A)に示されるように、本実施形態において起動時照射処理が開始されると、初めに、照射領域BL及び照射領域BRで示すように、ハイビームユニット18Lにおけるハイビーム配光エリアHaの全域、及びハイビームユニット18Rにおけるハイビーム配光エリアHaの全域に光の照射を行う。
続いて、図6(B)に示されるように、ハイビームユニット18Lにおける照射領域BLの照射幅が徐々に狭くなるように照射領域BLへ照射を行う。具体的には、照射領域BLの左端が車両左側から車両右側へ向かって連続して移動するように光の照射を行う。
さらに、図6(C)に示されるように、左側のハイビームユニット18LのLED24は消灯され、右側のハイビームユニット18Rにおける照射領域BRの照射幅が徐々に狭くなるように照射領域BRへ照射を行う。これにより、ハイビームユニット18Lのハイビーム配光エリアHaとハイビームユニット18Rのハイビーム配光エリアHaとを合わせた配光エリアへの照射領域が車両左側から徐々に減少するように光の照射が行われる。そして、図5(C)の状態から右側のハイビームユニット18RのLED24を消灯させて起動時照射処理を終了させる。
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態に係る車両用前照灯装置では、第1実施形態と同様に、ハイビームユニット18Lからハイビームユニット18Rへ照射を引継ぐ際に違和感が生じにくくなる。また、照射領域が車両左側から減少するように照射領域を移動させる演出を行うことができる。
<第4実施形態>
次に、第4実施形態に係る車両用前照灯装置について説明する。なお、ハイビームユニット18L及びハイビームユニット18Rの制御方法が第1実施形態と異なっており、その他の構造は第1実施形態と同様である。このため、以下の説明では、ハイビームユニット18L及びハイビームユニット18Rの起動時における具体的な照射方法についてのみ説明する。
図7(A)に示されるように、本実施形態において起動時照射処理が開始されると、初めに、照射領域BL及び照射領域BRで示すように、ハイビームユニット18Lにおけるハイビーム配光エリアHaの全域、及びハイビームユニット18Rにおけるハイビーム配光エリアHaの全域に光の照射を行う。
続いて、この図7(A)の状態から、消灯領域Xを車両左側から車両右側へ向かって連続して移動させる。図7(B)には、消灯領域Xが中心線CLの近傍まで移動した状態が示されている。なお、消灯領域Xの移動は、一部の領域でLED24を消灯させることによって行う。すなわち、図7(B)の状態では、ハイビームユニット18Lの回転ミラー26を回転させてLED24から出射された光を反射させつつ、所定の回転角度の範囲でLED24を消灯させることで、ハイビーム配光エリアHaの一部が消灯領域Xとなる。このため、消灯領域Xよりも車両右側には、照射領域BLが存在している。
図7(C)に示されるように、消灯領域Xは、中心線CLを通過してハイビームユニット18Rのハイビーム配光エリアHaに移動される。この状態では、ハイビームユニット18Lのハイビーム配光エリアHaは、全域に照射されている。一方、ハイビームユニット18Rのハイビーム配光エリアHaは、一部が消灯しており消灯領域Xとなっている。そして、消灯領域Xをハイビーム配光エリアHaの右端まで移動させた後、起動時照射処理を終了させる。
(作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
本実施形態に係る車両用前照灯装置では、ハイビームユニット18Lからハイビームユニット18Rへ消灯領域Xを引継ぐ際に違和感が生じにくくなる。また、第1実施形態と比較して、照射領域が広範囲であるため、周囲の車両や歩行者などに対して注意喚起を行うことができる。
以上、第1実施形態~第3実施形態に係る車両用前照灯装置について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。例えば、上記第1実施形態では、図4(A)~図4(C)に示されるように、上下方向を長手方向とする略矩形状の照射領域を車両左側から車両右側へ移動させた後、起動時照射処理を終了させたが、これに限定されず、往復させてもよい。すなわち、図4(C)において照射領域BRをハイビーム配光エリアHaの右端まで移動させた後、折り返して照射領域BRを車両右側から車両左側へ連続して移動するように光を照射してもよい。この場合、照射領域BRをハイビームユニット18Rの左端の位置(すなわち、中心線CLの近傍の位置)まで移動させた状態で、この照射領域BRに重ね合わせるようにハイビームユニット18LのLED24を点灯させて、図4(B)と同様の状態とする。その後、ハイビームユニット18RのLED24を消灯させ、ハイビームユニット18Lの照射領域BLを車両右側から車両左側へ向かって連続して移動するように照射を行ってもよい。
また、照射領域の往路と復路とで異なる態様で照射領域を移動させてもよく、例えば、図8に示される変形例のように照射を行ってもよい。
(変形例)
図8(A)~図8(C)に示されるように、本変形例の起動時照射処理では、第1実施形態と同様に照射領域BLを車両右側から車両左側へ連続して移動させ、さらに照射領域BRを車両右側から車両左側へ連続して移動させる。
次に、図8(D)に示されるように、照射領域BRをハイビームユニット18Rのハイビーム配光エリアHaの右端まで移動させた後、照射領域BRが車両左側へ拡張されるように光を照射させる。すなわち、照射領域BRの左端を車両左側へ連続して移動させる。図8(D)に示された状態は、照射領域BRの左端がハイビームユニット18Rのハイビーム配光エリアHaにおける左端まで移動された状態である。すなわち、ハイビームユニット18Rのハイビーム配光エリアHaの全域が照射された状態となっている。
続いて、図8(E)に示されるように、ハイビームユニット18LのLED24を点灯させて、照射領域BLが車両左側へ拡張されるように光を照射させる。すなわち、ハイビームユニット18Lの照射領域BLの左端を車両右側から車両左側へ連続して移動させる。図8(E)において、照射領域BLの左端が移動している途中の状態を二点鎖線BLで示す。そして、照射領域BLの左端をハイビームユニット18Lのハイビーム配光エリアHaにおける左端まで移動させた後、起動時照射処理を終了させる。
以上のように、照射領域の往路と復路とで異なる態様で照射領域を移動させてもよい。また、第1実施形態~第4実施形態で説明した照射方法を組み合わせて照射領域又は消灯領域を往復させてもよい。さらに、二往復以上させてもよい。
また、上記実施形態では、図2に示されるように、ブレードスキャン式AHSを採用したが、これに限定されない。例えば、回転ミラー26を用いずに、LED24から出射された光をレンズ30に透過させて直接車両前方側へ照射させるAHSを採用してもよい。この場合であっても、左側のハイビームユニット(第1前照灯)及び右側のハイビームユニット(第2前照灯)から照射された光の照射領域が車両左側(又は車両右側)から車両右側(又は車両左側)へ向かって連続して移動するように光を照射させることができる。また、左側のハイビームユニットの照射領域と重なる位置から右側のハイビームユニットによる照射を開始させることで、照射を引継ぐ際に違和感が生じにくくなるという、第1実施形態と同様の作用を有する。
さらに、上記実施形態では、回転ミラー26をミラー本体26A及びミラー本体26Bの2枚のミラー本体で構成したが、これに限定されない。例えば、3枚以上のミラー本体を含んで回転ミラーを構成してもよい。
さらにまた、上記実施形態では、光源としてLED24を採用したが、これに限定されず、光を射出可能な光源であれば、他の光源を用いてもよい。