JP7130985B2 - 封止用樹脂組成物およびパワーモジュール - Google Patents

封止用樹脂組成物およびパワーモジュール Download PDF

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Description

本発明は、封止用樹脂組成物およびパワーモジュールに関する。
半導体素子を封止するために用いられる封止材に関する技術として、特許文献1(特開2002-121257号公報)に記載のものがある。同文献には、特定の構造を有するエポキシ樹脂について記載されており、かかるエポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物はその硬化物において優れた耐湿性、耐衝撃性を有しており、電気・電子部品用絶縁材料及び積層板(プリント配線板など)やCFRPを始めとする各種複合材料、接着剤、塗料等に使用する場合に極めて有用であるとされている。
特開2002-121257号公報
ここで、パワー半導体素子の封止材には、高い信頼性を確保することが求められ、具体的には、冷熱サイクル試験時の耐クラック性の良好な封止材が望まれている。
この点、上記特許文献1に記載の封止材について本発明者が検討した結果、耐クラック性に優れた封止材を得るという点において、改善の余地があることが明らかになった。
そこで、本発明は、耐クラック性に優れる半導体装置の封止技術を提供する。
本発明によれば、
エポキシ樹脂、硬化剤および無機充填材を含む封止用樹脂組成物であって、
前記エポキシ樹脂が、以下の一般式(2)に示されるビフェニル型エポキシ樹脂を含み、
前記ビフェニル型エポキシ樹脂のエポキシ当量が365g/eq以上400g/eq以下であり、
前記硬化剤がフェノール樹脂硬化剤であり、
当該封止用樹脂組成物を、トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力7.4MPa、硬化時間2分で、幅4mm×厚さ3mm×長さ15mmの成形品を成形し、175℃、4時間で後硬化して得られる硬化物の熱機械分析(Thermal Mechanical Analysis:TMA)により測定されるガラス転移温度が140℃以上270℃以下であり、
前記硬化物の260℃における曲げ弾性率E260が、0.1GPa以上5GPa以下である、封止用樹脂組成物が提供される。
Figure 0007130985000001
(上記一般式(2)中、nは平均値で0.75以上0.85以下の数である。)
また、本発明によれば、前記本発明における封止用樹脂組成物の硬化物により、以下の条件(A)~(D)のいずれかを満たすパワー半導体素子が封止されている、パワーモジュールが提供される。
(A)消費電力2.0W以上の半導体素子
(B)SiC、GaN、Ga23およびダイヤモンドからなる群から選択される1種以上の半導体からなる半導体素子
(C)電圧が1.0V以上の半導体素子
(D)パワー密度が10W/cm3以上の半導体素子
本発明によれば、耐クラック性に優れる半導体装置の封止技術を提供することができる。
本実施形態における半導体装置の構成を示す断面図である。 本実施形態における半導体装置の構成を示す断面図である。
以下、実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には共通の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは必ずしも一致していない。また、数値範囲の「A~B」は断りがなければ、「A以上B以下」を表す。
本実施形態において、封止用樹脂組成物は、エポキシ樹脂および無機充填材を含む。エポキシ樹脂が、以下の一般式(1)に示されるビフェニル型エポキシ樹脂を含む。
Figure 0007130985000002
(上記一般式(1)中、n1およびn2は平均値で独立して0以上の数である。)
そして、封止用樹脂組成物を、トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力7.4MPa、硬化時間2分で、幅4mm×厚さ3mm×長さ15mmの成形品を成形し、175℃、4時間で後硬化して得られる硬化物の熱機械分析(Thermal Mechanical Analysis:TMA)により測定されるガラス転移温度が140℃以上270℃以下であり、硬化物の260℃における曲げ弾性率E260が、0.1GPa以上5GPa以下である。
本実施形態においては、封止用樹脂組成物が、特定の構造を有するビフェニル型エポキシ樹脂と無機充填材とを含むとともに、封止用樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度および260℃における曲げ弾性率E260をそれぞれ特定の範囲とする。かかる封止用樹脂組成物を用いることにより、半導体装置の高温保管特性および靱性を向上させることができ、また、耐クラック性に優れる半導体装置を得ることができる。
以下、本実施形態における封止用樹脂組成物および半導体装置についてさらに詳細に説明する。
封止用樹脂組成物は、たとえば粒子状またはシート状である。
粒子状の封止用樹脂組成物として、具体的には、タブレット状または粉粒体のものが挙げられる。このうち、封止用樹脂組成物がタブレット状である場合、たとえば、トランスファー成形法を用いて封止用樹脂組成物を成形することができる。また、封止用樹脂組成物が粉粒体である場合には、たとえば、圧縮成形法を用いて封止用樹脂組成物を成形することができる。ここで、封止用樹脂組成物が粉粒体であるとは、粉末状または顆粒状のいずれかである場合を指す。
基材は、たとえば、インターポーザ等の配線基板、またはリードフレームである。また、半導体素子は、ワイヤボンディングまたはフリップチップ接続等により、基材に電気的に接続される。
封止用樹脂組成物を用いた封止成形により半導体素子を封止して得られる半導体装置としては、限定されないが、たとえば、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、BGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)、QFN(Quad Flat Non-leaded Package)、SON(Small Outline Non-leaded Package)、LF-BGA(Lead Flame BGA)等が挙げられる。
本実施形態において、封止用樹脂組成物は、近年これらのパッケージの成形に多く適用されるMAP(Mold Array Package)成形により形成される構造体にも適用できる。この場合、基材上に搭載される複数の半導体素子を、封止用樹脂組成物を用いて一括して封止することによりパッケージが得られる。
また、上記半導体素子としては、たとえば、集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード、固体撮像素子等が挙げられるが、これらに限定されない。なお、本実施形態において、封止用樹脂組成物の封止対象となる半導体素子は、受光素子および発光素子(発光ダイオード等)等の光半導体素子を除く、いわゆる、光の入出を伴わない素子をいう。
本実施形態において、封止用樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度(Tg)は、硬化物の耐熱性を向上させる観点から、140℃以上であり、好ましくは145℃以上、より好ましくは150℃以上である。
また、硬化物の靭性を向上させる観点から、硬化物のガラス転移温度は270℃以下であり、好ましくは250℃以下、より好ましくは230℃以下である。
ここで、硬化物のガラス転移温度は、トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力7.4MPa、硬化時間2分で、幅4mm×厚さ3mm×長さ15mmの成形品を成形し、175℃、4時間で後硬化して得られる硬化物の熱機械分析(Thermal Mechanical Analysis:TMA)により測定される。
上記硬化物の260℃における曲げ弾性率E260は、硬化物の強度を高める観点から、0.1GPa以上であり、好ましくは0.5GPa以上、より好ましくは1GPa以上である。また、応力緩和特性に優れた硬化物を実現する観点から、上記曲げ弾性率E260は、5GPa以下であり、好ましくは3GPa以下であり、より好ましくは2GPa以下である。
また、上記硬化物の25℃における曲げ弾性率E25は、硬化物の強度を高める観点から、好ましくは5GPa以上であり、より好ましくは7GPa以上、さらに好ましくは9GPa以上である。また、応力緩和特性に優れた硬化物を実現する観点から、上記曲げ弾性率E25は、好ましくは20GPa以下であり、好ましくは16GPa以下であり、より好ましくは14GPa以下である。
曲げ弾性率E260およびE25は、JIS K 6911に準拠して測定される。
封止用樹脂組成物の硬化物の、ガラス転移温度以上における平均線膨張係数(α2)は、熱履歴時における線膨張係数を低くし、たとえば半導体パッケージの反りを抑制する観点から、好ましくは70ppm/℃以下であり、より好ましくは60ppm/℃以下であり、さらに好ましくは50ppm/℃以下である。
また、半導体パッケージ内の残留応力を抑制する観点から、平均線膨張係数(α2)は、好ましくは10ppm/℃以上であり、より好ましくは20ppm/℃以上である。
封止用樹脂組成物の硬化物の、ガラス転移温度未満における平均線膨張係数(α1)は、熱履歴時における線膨張係数を低くし、たとえば半導体パッケージの反りを抑制する観点から、好ましくは30ppm/℃以下であり、より好ましくは20ppm/℃以下であり、さらに好ましくは15ppm/℃以下である。
また、半導体パッケージ内の残留応力を抑制する観点から、平均線膨張係数(α1)は、好ましくは5ppm/℃以上であり、より好ましくは10ppm/℃以上である。
平均線膨張係数α1およびα2の測定には、熱機械分析装置(セイコーインスツル社製、TMA100)を用いることができる。
上記硬化物の260℃における曲げ強度は、硬化物の強度を高める観点から、好ましくは5MPa以上であり、より好ましくは8MPa以上、さらに好ましくは10MPa以上である。また、応力緩和特性に優れた硬化物を実現する観点から、260℃における曲げ強度は、好ましくは120MPa以下であり、より好ましくは110MPa以下であり、さらに好ましくは100MPa以下である。
また、上記硬化物の25℃における曲げ強度は、硬化物の強度を高める観点から、好ましくは20MPa以上であり、より好ましくは30MPa以上、さらに好ましくは50MPa以上である。また、応力緩和特性に優れた硬化物を実現する観点から、25℃における曲げ強度は、好ましくは200MPa以下であり、より好ましくは180MPa以下であり、さらに好ましくは160MPa以下である。
硬化物の260℃および25℃における曲げ強度は、JIS K 6911に準拠して測定される。
上記硬化物の260℃における曲げ歪みは、硬化物の強度を高める観点から、好ましくは1.3%以上であり、より好ましくは1.5%以上、さらに好ましくは2.0%以上である。また、応力緩和特性に優れた硬化物を実現する観点から、260℃における曲げ歪みは、好ましくは10%以下であり、より好ましくは8%以下であり、さらに好ましくは6%以下である。
また、上記硬化物の25℃における曲げ歪みは、硬化物の強度を高める観点から、好ましくは0.5%以上であり、より好ましくは0.8%以上、さらに好ましくは1.1%以上である。また、応力緩和特性に優れた硬化物を実現する観点から、25℃における曲げ歪みは、好ましくは5%以下であり、より好ましくは3%以下であり、さらに好ましくは2%以下である。
硬化物の260℃および25℃における曲げ歪みは、JIS K 6911に準拠して測定される。
封止用樹脂組成物のスパイラルフロー流動長は、封止用樹脂組成物を成形する際の充填性をより効果的に向上させる観点から、好ましくは50cm以上であり、より好ましくは80cm以上、さらに好ましくは100cm以上である。また、スパイラルフロー流動長の上限値は、限定されないが、たとえば200cm以下とすることができる。
スパイラルフローの測定方法については実施例の項で後述する。
封止用樹脂組成物のゲルタイムは、封止用樹脂組成物の成形性の向上を図りつつ成形サイクルを速くする観点から、好ましくは10秒以上であり、より好ましくは20秒以上、さらに好ましくは30秒以上である。
また、硬化性に優れた硬化物を実現する観点から、封止用樹脂組成物のゲルタイムは、好ましくは70秒以下であり、より好ましくは60秒以下、さらに好ましくは50秒以下である。
ゲルタイムの測定は、175℃に加熱した熱板上で封止用樹脂組成物を溶融した後、ゲル化(硬化)が始まるまでの時間を測定することによりおこなうことができる。
封止用樹脂組成物の硬化物の、25℃における破壊靭性値K1cは、封止用樹脂組成物を用いて形成される封止材を備える半導体装置の靭性を向上させる観点から、好ましくは2.3MPa・m1/2以上であり、より好ましくは2.5MPa・m1/2以上、さらに好ましくは2.7MPa・m1/2以上である。
また、硬化物の破壊靭性値K1cの上限に制限はないが、好ましくは10MPa・m1/2以下であり、より好ましくは8MPa・m1/2以下である。
破壊靭性値K1cは、ASTM D5045-91で規格されているKIc法に準拠して測定される。具体的な測定方法については、実施例の項で後述する。
封止用樹脂組成物の硬化物の、シャルピー衝撃値は、封止用樹脂組成物を用いて形成される封止材を備える半導体装置の靭性を向上させる観点から、好ましくは3.8KJ/m2以上であり、より好ましくは4.2KJ/m2以上、さらに好ましくは4.5KJ/m2以上である。
また、硬化物のシャルピー衝撃値の上限に制限はないが、好ましくは10KJ/m2以下であり、より好ましくは8KJ/m2以下である。
シャルピー衝撃値は、JIS K7077に準じて測定される。具体的な測定方法については、実施例の項で後述する。
次に、封止用樹脂組成物の構成成分について説明する。
(エポキシ樹脂)
本実施形態において、エポキシ樹脂は、上記一般式(1)に示したビフェニル型エポキシ樹脂である。
一般式(1)中、n1およびn2は互いに独立した数であり、それぞれ、平均値である。n1は、成形時に好適な流動性を得て充填性や成形性の向上を図る観点から、0以上の数である。
n2は、封止用樹脂組成物を用いて形成される封止材を備える半導体装置の靭性を向上させる観点から、0以上の数である。
n1およびn2がいずれも0でないとき、一般式(1)に示したビフェニル型エポキシ樹脂における重合様式に制限はなく、一般式(1)に示したビフェニル型エポキシ樹脂は、交互重合体、ブロック重合体、ランダム重合体のいずれでもよい。
また、一般式(1)中、(n1+n2)は、封止用樹脂組成物を用いて形成される封止材を備える半導体装置の靭性を向上させる観点から、0.1以上である。
一方、成形時に好適な流動性を得て充填性や成形性の向上を図る観点から、(n1+n2)は、20以下である。
一般式(1)に示したビフェニル型エポキシ樹脂は、好ましくは、以下の一般式(2)に示されるビフェニル型エポキシ樹脂を含み、より好ましくは以下の一般式(2)に示されるビフェニル型エポキシ樹脂である。
Figure 0007130985000003
上記一般式(2)中、nは平均値である。nは、封止用樹脂組成物を用いて形成される封止材を備える半導体装置の靭性を向上させる観点から、好ましくは0.75以上の数である。
また、封止用樹脂組成物の充填特性を向上させる観点から、nは、好ましくは0.85以下の数である。
一般式(2)に示したビフェニル型エポキシ樹脂の軟化点は、封止用樹脂組成物の硬化特性を高める観点から、好ましくは75℃以上である。
また、成形時に好適な流動性を得て充填性や成形性の向上を図る観点から、一般式(2)に示したビフェニル型エポキシ樹脂の軟化点は、好ましくは85℃以下である。
一般式(2)に示したビフェニル型エポキシ樹脂のエポキシ当量は、成形時に好適な流動性を得て充填性や成形性の向上を図る観点から、好ましくは365g/eq以上である。
また、封止用樹脂組成物の硬化特性を高める観点から、一般式(2)に示したビフェニル型エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは400g/eq以下である。
封止用樹脂組成物中の一般式(1)に示したビフェニル型エポキシ樹脂の含有量は、封止用樹脂組成物を用いて形成される封止材を備える半導体装置の靭性を向上させる観点から、封止用樹脂組成物全体を100質量%としたとき、好ましくは2質量%以上であり、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上である。
また、封止用樹脂組成物を用いて形成される封止材を備える半導体装置の冷熱サイクル特性を向上させる観点から、封止用樹脂組成物中の一般式(1)に示したビフェニル型エポキシ樹脂の含有量は、封止用樹脂組成物全体を100質量%としたとき、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、さらにより好ましくは10質量%以下である。
本実施形態において、封止用樹脂組成物は、一般式(1)に示したビフェニル型エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を含んでもよい。
他のエポキシ樹脂としては、たとえばトリフェニルメタン型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂;フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂等のフェノールアラルキル型エポキシ樹脂;ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレンの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂等のナフトール型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等のトリアジン核含有エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等の有橋環状炭化水素化合物変性フェノール型エポキシ樹脂から選択される1種または2種以上を含むことができる。優れた硬化性と高いガラス転移温度とのバランスの観点から、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やトリフェニルメタン型エポキシ樹脂を使用することが好ましい。
封止用樹脂組成物は、一般式(1)に示したビフェニル型エポキシ樹脂を、全エポキシ樹脂中、好ましくは40質量%以上含み、より好ましくは50質量%以上含む。
封止用樹脂組成物中のエポキシ樹脂全体の含有量は、成形時に好適な流動性を得て充填性や成形性の向上を図る観点から、封止用樹脂組成物全体を100質量%としたとき、好ましくは2質量%以上であり、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上である。
また、封止用樹脂組成物を用いて形成される封止材を備える半導体装置の冷熱サイクル特性を向上させる観点から、封止用樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量は、封止用樹脂組成物全体を100質量%としたとき、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、さらにより好ましくは10質量%以下である。
(無機充填材)
本実施形態において、無機充填材としては、一般的に半導体封止用樹脂組成物に使用されているものを用いることができる。無機充填材の具体例として、溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ;アルミナ;タルク;酸化チタン;窒化珪素;窒化アルミニウムが挙げられる。これらの無機充填材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、汎用性に優れている観点から、シリカを用いることが好ましく、溶融シリカを用いることがより好ましい。また、シリカの形状は好ましくは球状である。
封止用樹脂組成物中の無機充填材の含有量は、封止用樹脂組成物を用いて形成される封止材の低吸湿性および低熱膨張性を向上させ、得られる半導体装置の耐湿信頼性や耐リフロー性をより効果的に向上させる観点から、封止用樹脂組成物全体を100質量%としたとき、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。
また、封止用樹脂組成物の成形時における流動性や充填性をより効果的に向上させる観点から、封止用樹脂組成物中の無機充填材の含有量は、封止用樹脂組成物全体を100質量%としたとき、好ましくは95質量%以下であり、より好ましくは93質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下である。
本実施形態において、封止用樹脂組成物は、エポキシ樹脂および無機充填材以外の成分を含んでもよい。
たとえば、封止用樹脂組成物は、硬化剤をさらに含んでもよい。
(硬化剤)
硬化剤は、たとえば重付加型の硬化剤、触媒型の硬化剤、および縮合型の硬化剤の3タイプに大別することができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
重付加型の硬化剤としては、たとえばジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、メタキシレリレンジアミン(MXDA)などの脂肪族ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、m-フェニレンジアミン(MPDA)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)などの芳香族ポリアミンのほか、ジシアンジアミド(DICY)、有機酸ジヒドララジドなどを含むポリアミン化合物;ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)などの脂環族酸無水物、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)などの芳香族酸無水物などを含む酸無水物;ノボラック型フェノール樹脂、ポリビニルフェノールなどのフェノール樹脂硬化剤;ポリサルファイド、チオエステル、チオエーテルなどのポリメルカプタン化合物;イソシアネートプレポリマー、ブロック化イソシアネートなどのイソシアネート化合物;カルボン酸含有ポリエステル樹脂などの有機酸類などが挙げられる。
触媒型の硬化剤としては、たとえばベンジルジメチルアミン(BDMA)、2,4,6-トリスジメチルアミノメチルフェノール(DMP-30)などの3級アミン化合物;2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール(EMI24)などのイミダゾール化合物;BF3錯体などのルイス酸などが挙げられる。
縮合型の硬化剤としては、たとえばフェノール樹脂;メチロール基含有尿素樹脂のような尿素樹脂;メチロール基含有メラミン樹脂のようなメラミン樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、耐燃性、耐湿性、電気特性、硬化性、および保存安定性等についてのバランスを向上させる観点から、フェノール樹脂硬化剤が好ましい。フェノール樹脂硬化剤としては、一分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量、分子構造は限定されない。
硬化剤に用いられるフェノール樹脂硬化剤としては、たとえばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック等のノボラック型フェノール樹脂;ポリビニルフェノール;フェノール・ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂等の多官能型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等の変性フェノール樹脂;フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂等のフェノールアラルキル型フェノール樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール化合物等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
本実施形態において、封止用樹脂組成物中の硬化剤の含有量は、成形時において、優れた流動性を実現し、充填性や成形性の向上を図る観点から、封止用樹脂組成物全体に対して好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは3質量%以上である。
また、封止用樹脂組成物の硬化物を封止材とする半導体装置について、耐湿信頼性や耐リフロー性を向上させる観点から、封止用樹脂組成物中の硬化剤の含有量は、封止用樹脂組成物全体に対して好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
また、封止用樹脂組成物には、上述した成分以外の成分を含んでもよく、たとえば硬化促進剤、カップリング剤、離型剤、イオン捕捉剤、低応力剤、難燃剤、酸化防止剤、着色剤等の各種添加剤のうち1種以上を適宜配合することができる。
硬化促進剤は、たとえば、有機ホスフィン、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物等のリン原子含有化合物;1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7、ベンジルジメチルアミン、2-メチルイミダゾール等が例示されるアミジンや3級アミン、上記アミジンやアミンの4級塩等の窒素原子含有化合物から選択される1種類または2種類以上を含むことができる。これらの中でも、硬化性を向上させる観点からはリン原子含有化合物を含むことがより好ましい。また、成形性と硬化性のバランスを向上させる観点からは、テトラ置換ホスホニウム化合物、ホスホベタイン化合物、ホスフィン化合物とキノン化合物との付加物、ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物等の潜伏性を有するものを含むことがより好ましい。
封止用樹脂組成物中の硬化促進剤の含有量は、封止用樹脂組成物の硬化特性を高める観点から、封止用樹脂組成物全体に対して、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、また、好ましくは2.0質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以下である。
カップリング剤は、たとえば、エポキシシラン、メルカプトシラン、フェニルアミノシラン等のアミノシラン、アルキルシラン、ウレイドシラン、ビニルシラン、メタクリルシラン等の各種シラン系化合物、チタン系化合物、アルミニウムキレート類、アルミニウム/ジルコニウム系化合物等の公知のカップリング剤から選択される1種類または2種類以上を含むことができる。これらの中でも、本発明の効果をより効果的に発現するものとして、エポキシシランまたはアミノシランを含むことがより好ましく、2級アミノシランを含むことが流動性等の観点からさらに好ましい。
封止用樹脂組成物中のカップリング剤の含有量は、封止用樹脂組成物の成形時に好ましい流動性を得る観点から、封止用樹脂組成物全体に対して、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、また、好ましくは2.0質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以下である。
離型剤は、たとえばカルナバワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;酸化ポリエチレンワックス、モンタン酸エステルワックス等の合成ワックス;ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸およびその金属塩類;ならびにパラフィンから選択される1種類または2種類以上を含むことができる。
封止用樹脂組成物中の離型剤の含有量は、硬化物の好ましい離型特性を得る観点から、封止用樹脂組成物全体に対して、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、また、好ましくは2.0質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以下である。
イオン捕捉剤は、たとえば、ハイドロタルサイトを含む。
封止用樹脂組成物中のイオン捕捉剤の含有量は、半導体装置の信頼性を向上させる観点から、封止用樹脂組成物全体に対して、好ましくは0.03質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、また、好ましくは2.0質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以下である。
低応力剤としては、たとえば、シリコーンオイル、シリコーンゴム、カルボキシル基末端ブタジエンアクリロニトリルゴムが挙げられる。
封止用樹脂組成物中の低応力剤の含有量は、半導体装置の接続信頼性を向上させる観点から、封止用樹脂組成物全体に対して、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.02質量%以上であり、また、好ましくは2.0質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以下である。
難燃剤は、たとえば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、ホスファゼンから選択される1種または2種以上を含むことができる。
酸化防止剤は、たとえば、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物およびチオエーテル系化合物から選択される1種または2種以上を含む。
着色剤は、たとえば、カーボンブラック、ベンガラから選択される1種または2種以上を含む。
封止用樹脂組成物中の着色剤の含有量は、封止材にマーキングが施される際のマークの視認性を向上させる観点から、封止用樹脂組成物全体に対して、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.02質量%以上であり、また、好ましくは2.0質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以下である。
(封止用樹脂組成物の製造方法)
次に、封止用樹脂組成物の製造方法を説明する。
本実施形態において、封止用樹脂組成物は、たとえば、上述した各成分を、公知の手段で混合し、さらにロール、ニーダーまたは押出機等の混練機で溶融混練し、冷却した後に粉砕する方法により得ることができる。また、必要に応じて、上記方法における粉砕後にタブレット状に打錠成型して粒子状封止用樹脂組成物を得てもよい。また、上記方法における粉砕後にたとえば真空ラミネート成形または圧縮成形によりシート状封止用樹脂組成物を得てもよい。また得られた封止用樹脂組成物について、適宜分散度や流動性等を調整してもよい。
本実施形態において得られる封止用樹脂組成物は、特定の構造を有するビフェニル型エポキシ樹脂と無機充填材とを含むため、これを用いてTgおよび熱時弾性率が特定の範囲にある封止材とすることにより、耐クラック性に優れる半導体装置を得ることができる。
(半導体装置)
本実施形態における半導体装置は、上述した本実施形態における封止用樹脂組成物で半導体素子を封止してなる。半導体装置は、好ましくはパワーモジュールである。
半導体素子は、好ましくはパワー半導体素子であり、より好ましくは以下の条件(A)~(D)のいずれかを満たすパワー半導体素子である。
(A)消費電力2.0W以上の半導体素子
(B)SiC、GaN、Ga23およびダイヤモンドからなる群から選択される1種以上の半導体からなる半導体素子
(C)電圧が1.0V以上の半導体素子
(D)パワー密度が10W/cm3以上の半導体素子
図1および図2は、いずれも、本実施形態における半導体装置の構成を示す断面図である。なお、本実施形態において、半導体装置の構成は、図1および図2に示すものには限られない。
まず、図1に示した半導体装置100は、たとえばパワーモジュールであり、基板30上に搭載された半導体素子20と、半導体素子20を封止してなる封止材50と、を備えている。
封止材50は、上述した本実施形態における封止用樹脂組成物を硬化して得られる硬化物により構成されている。
また、図1には、基板30が回路基板である場合が例示されている。この場合、図1に示すように、基板30のうちの半導体素子20を搭載する一面とは反対側の他面には、たとえば複数の半田ボール60が形成される。半導体素子20は、基板30上に搭載され、かつワイヤ40を介して基板30と電気的に接続される。一方で、半導体素子20は、基板30に対してフリップチップ実装されていてもよい。ここで、ワイヤ40は、たとえば銅で構成される。
封止材50は、たとえば半導体素子20のうちの基板30と対向する一面とは反対側の他面を覆うように半導体素子20を封止する。図1に示す例においては、半導体素子20の上記他面と側面を覆うように封止材50が形成されている。
本実施形態において、封止材50は、上述の封止用樹脂組成物の硬化物により構成される。このため、半導体装置100は、優れた高温保管特性および靱性を有し、また、耐クラック性に優れる。
封止材50は、たとえば封止用樹脂組成物をトランスファー成形法または圧縮成形法等の公知の方法を用いて封止成形することにより形成することができる。
図2は、本実施形態における半導体装置100の構成を示す断面図であって、図1とは異なる例を示すものである。図2に示す半導体装置100は、たとえばパワーモジュールであり、基板30としてリードフレームを使用している。この場合、半導体素子20は、たとえば基板30のうちのダイパッド32上に搭載され、かつワイヤ40を介してアウターリード34へ電気的に接続される。半導体素子20は、図1に示す例と同様に、たとえばパワー半導体素子である。また、封止材50は、図1に示す例と同様にして、本実施形態における封止用樹脂組成物の硬化物により構成される。
図1および図2に示した半導体装置において、半導体素子20は、上述した条件(A)~(D)のいずれかを満たすパワー半導体素子である。半導体素子20の材料は、好ましくは上述した条件(B)のもの、すなわちSiC、GaN、Ga23およびダイヤモンドからなる群から選択される1種以上の半導体である。
また、半導体素子20の消費電力は、たとえば上述した条件(A)の2.0W以上であり、好ましくは3.0W以上であり、また、たとえば4.0W以下であってもよい。
半導体素子20の電圧は、たとえば上述した条件(C)の1.0V以上であり、好ましくは3.0V以上であり、また、たとえば5.0V以上であってもよい。また、半導体素子20の電圧は、たとえば100V以下であってもよい。
また、半導体素子20のパワー密度は、たとえば上述した条件(D)の10W/cm3以上であり、好ましく20W/cm3以上であり、また、たとえば30W/cm3以上であってもよい。また、半導体素子20のパワー密度は、たとえば200W/cm3以下であってもよい。
また、半導体素子20は、たとえば200℃以上、好ましくは260℃以上という高温環境下で動作することができる。
また、半導体素子20は、好ましくは、基板30上に設けられたパワー半導体素子であり、整流ダイオード、パワートランジスタ、パワーMOSFET、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、サイリスタ、ゲートターンオフサイリスタ(GTO)およびトライアックからなる群から選択される1または2以上の電子部品を含む。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. エポキシ樹脂および無機充填材を含む封止用樹脂組成物であって、
前記エポキシ樹脂が、以下の一般式(2)に示されるビフェニル型エポキシ樹脂を含み、
当該封止用樹脂組成物を、トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力7.4MPa、硬化時間2分で、幅4mm×厚さ3mm×長さ15mmの成形品を成形し、175℃、4時間で後硬化して得られる硬化物の熱機械分析(Thermal Mechanical Analysis:TMA)により測定されるガラス転移温度が140℃以上270℃以下であり、
前記硬化物の260℃における曲げ弾性率E 260 が、0.1GPa以上5GPa以下である、封止用樹脂組成物。
Figure 0007130985000004

(上記一般式(2)中、nは平均値で0.75以上0.85以下の数である。)
2. 前記ビフェニル型エポキシ樹脂の軟化点が75℃以上85℃以下である、1.に記載の封止用樹脂組成物。
3. 前記ビフェニル型エポキシ樹脂のエポキシ当量が365g/eq以上400g/eq以下である、1.または2.に記載の封止用樹脂組成物。
4. 前記硬化物の前記ガラス転移温度以上での線膨張係数α2が10ppm/℃以上70ppm/℃以下である、1.乃至3.いずれか1つに記載の封止用樹脂組成物。
5. 前記硬化物の前記ガラス転移温度未満での線膨張係数α1が5ppm/℃以上30ppm/℃以下である、1.乃至4.いずれか1つに記載の封止用樹脂組成物。
6. 175℃に加熱した熱板上で封止用樹脂組成物を溶融した後、ゲル化(硬化)が始まるまでの時間として測定される当該封止用樹脂組成物のゲルタイムが10秒以上70秒以下である、1.乃至5.いずれか1つに記載の封止用樹脂組成物。
7. 前記硬化物の25℃における破壊靭性値K1cが、2.3MPa・m 1/2 以上10MPa・m 1/2 以下である、1.乃至6.いずれか1つに記載の封止用樹脂組成物。
8. 1.乃至7.いずれか一つに記載の封止用樹脂組成物の硬化物により、以下の条件(A)~(D)のいずれかを満たすパワー半導体素子が封止されている、パワーモジュール。
(A)消費電力2.0W以上の半導体素子
(B)SiC、GaN、Ga 2 3 およびダイヤモンドからなる群から選択される1種以上の半導体からなる半導体素子
(C)電圧が1.0V以上の半導体素子
(D)パワー密度が10W/cm 3 以上の半導体素子
以下、本実施形態を、実施例および比較例を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
(実施例1~6、比較例1)
(封止用樹脂組成物の調製)
各実施例、および各比較例のそれぞれについて、以下のように封止用樹脂組成物を調製した。
まず、表1または表2に示す各成分をミキサーにより混合した。次いで、得られた混合物を、ロール混練した後、冷却、粉砕して粉粒体である封止用樹脂組成物を得た。
表1および表2中の各成分の詳細は下記のとおりである。また、表1および表2中に示す処方は、樹脂組成物全体に対する各成分の配合割合(質量部)を示している。
(原料)
充填材1:溶融球状シリカ(マイクロン社製、TS13-006)
充填材2:球状シリカ(アドマテックス社製、SC-2500-SQ)
カップリング剤1:N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング社製、CF-4083)
カップリング剤2:3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(チッソ社製、S810)
エポキシ樹脂1:オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(長春人造樹脂社製、CNE195LL)
エポキシ樹脂2:一般式(2)に示されるビフェニル型エポキシ樹脂(一般式(2)におけるn=0.75~0.85(nは平均値)、軟化点80℃、エポキシ当量379g/eq)
エポキシ樹脂3:国際公開第2013/136685号の式(13A)で表されるエポキシ樹脂(国際公開第2013/136685号に記載の方法に準じて製造されたエポキシ樹脂(a-1))
硬化剤1:ホルムアルデヒドで変性したトリフェニルメタン型フェノール樹脂(エア・ウォーター社製、HE-910-20)
硬化剤2:国際公開第2013/136685号の式(12A)で表されるフェノール樹脂硬化剤(国際公開第2013/136685号に記載の方法に準じて製造されたフェノール樹脂(b-1))
硬化促進剤1:トリフェニルホスフィン(ケイ・アイ化成社製、PP-360ビフン)
硬化促進剤2:トリフェニルホスフィンとp-ベンゾキノンとの付加物(ケイ・アイ化成社製、TPP-BQ)
離型剤1:カルナバワックス(東亜化成社製、TOWAX-132)
離型剤2:酸化ポリエチレンワックス(クラリアントケミカルズ社製、リコワックス PED191)
イオン捕捉剤:ハイドロタルサイト(協和化学工業社製、DHT-4H)
低応力剤1:ポリエーテル変性シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング社製、FZ-3730)
低応力剤2:シリコーンレジン(信越化学工業社製、KR-480)
着色剤:カーボンブラック(三菱化学社製、カーボン#5)
なお、上記成分のうち、エポキシ樹脂2は、特開2002-121257号公報に記載の樹脂と異なり、最近開発されたものである。エポキシ樹脂2は、特開2002-121257号公報に記載の従来の樹脂に比べて、高分子量である。
(物性)
各例で得られた封止用樹脂組成物またはその硬化物について、以下の方法で物性値を測定した。測定結果を表1および表2にあわせて示す。
(ゲルタイム)
各例で得られた封止用樹脂組成物を表面温度175℃の熱板上においてからゲル化(硬化)が始まるまでの時間を測定し、ゲルタイム(秒)とした。
(Tg(TMA)(℃);線膨張係数α1、α2)
各例で得られた封止用樹脂組成物について、トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力7.4MPa、硬化時間2分で、幅4mm×厚さ3mm×長さ15mmの成形品を成形し、175℃、4時間で後硬化して硬化物を得た。
上記硬化物のTgを熱機械分析(Thermal Mechanical Analysis:TMA)を用いて、測定温度範囲0℃~320℃、昇温速度5℃/分の条件下で熱機械分析をおこなった。ガラス転移温度(℃);ガラス転移温度未満における平均線膨張係数α1(ppm/℃すなわち10-6/℃)、および;ガラス転移温度以上における平均線膨張係数α2(ppm/℃すなわち10-6/℃)を算出した。
(曲げ弾性率;曲げ強度;曲げ歪み)
トランスファー成形装置を用いて金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間120秒間で、得られた封止用樹脂組成物を注入成形し、幅10mm×厚さ4mm×長さ80mmの成形品を得た。次いで、得られた成形品を250℃、4時間で後硬化して、試験片を作製した。次いで、試験片の260℃および25℃における曲げ弾性率E260およびE25(いずれもGPa)ならびに260℃および25℃における曲げ強度(いずれもMPa)をJIS K 6911に準拠して測定した。
また、硬化物の260℃および25℃における曲げ歪み(いずれも%)をJIS K 6911に準拠して測定した。
(スパイラルフロー)
低圧トランスファー成形機(コータキ精機社製、「KTS-30」)を用いて、EMMI-1-66に準じたスパイラルフロー測定用の金型に、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、保圧時間120秒間の条件で、各例得られた封止用樹脂組成物を注入、硬化させ、スパイラルフロー(cm)を測定した。
(破壊靭性値K1c)
各例で得られた封止用樹脂組成物について、ASTM D5045-91で規格されているKIc法に準拠して測定を行った。封止用樹脂組成物を長さ50mm、幅B=5mm、厚みW=10mmの大きさで長さ方向中央部に厚み方向の深さ3.5mmのノッチを施し、175℃×4時間で硬化した。更に硬化物のノッチ先端部分に厚み方向の深さ0.1mmの傷を剃刀で施した。合計クラック長a=3.6mmである。その後、オリエンテック社製STB-1225S型テンシロンを用いて、測定温度25℃、速度10mm/分、支点間距離S=40mmで3点曲げ試験をおこない、下記式に基づき破壊靭性値(K1c(MPa・m1/2))を算出した。
IC=((PQ×S)/(B×W3/2))×f(a/W)
f(a/W)=(3(a/W)1/2[1.99-(a/W)(1-a/W){2.15-3.9(a/W)+2.7(a/W)2])/(2{881+2(a/W)}{1-(a/W)}3/2
(シャルピー衝撃値)
JIS K7177-1に準じてシャルピー衝撃値を測定した。具体的には、各例で得られた封止用樹脂組成物について、JIS K7144により、V字型ノッチを有する試験片を作製した。
得られた試験片をノッチ部が中央に来るように支持台に置き、破壊エネルギー2Jの条件でノッチの背面をハンマーによって打撃して破壊した。
破壊エネルギーを試験片の断面積で除し、シャルピー衝撃値(kJ/m2)を算出した。
Figure 0007130985000005
Figure 0007130985000006
20 半導体素子
30 基板
32 ダイパッド
34 アウターリード
40 ワイヤ
50 封止材
60 半田ボール
100 半導体装置

Claims (7)

  1. エポキシ樹脂、硬化剤および無機充填材を含む封止用樹脂組成物であって、
    前記エポキシ樹脂が、以下の一般式(2)に示されるビフェニル型エポキシ樹脂を含み、
    前記ビフェニル型エポキシ樹脂のエポキシ当量が365g/eq以上400g/eq以下であり、
    前記硬化剤がフェノール樹脂硬化剤であり、
    当該封止用樹脂組成物を、トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力7.4MPa、硬化時間2分で、幅4mm×厚さ3mm×長さ15mmの成形品を成形し、175℃、4時間で後硬化して得られる硬化物の熱機械分析(Thermal Mechanical Analysis:TMA)により測定されるガラス転移温度が140℃以上270℃以下であり、
    前記硬化物の260℃における曲げ弾性率E260が、0.1GPa以上5GPa以下である、封止用樹脂組成物。
    Figure 0007130985000007
    (上記一般式(2)中、nは平均値で0.75以上0.85以下の数である。)
  2. 前記ビフェニル型エポキシ樹脂の軟化点が75℃以上85℃以下である、請求項1に記載の封止用樹脂組成物。
  3. 前記硬化物の前記ガラス転移温度以上での線膨張係数α2が10ppm/℃以上70ppm/℃以下である、請求項1または2に記載の封止用樹脂組成物。
  4. 前記硬化物の前記ガラス転移温度未満での線膨張係数α1が5ppm/℃以上30ppm/℃以下である、請求項1乃至いずれか1項に記載の封止用樹脂組成物。
  5. 175℃に加熱した熱板上で封止用樹脂組成物を溶融した後、ゲル化(硬化)が始まるまでの時間として測定される当該封止用樹脂組成物のゲルタイムが10秒以上70秒以下である、請求項1乃至いずれか1項に記載の封止用樹脂組成物。
  6. 前記硬化物の25℃における破壊靭性値K1cが、2.3MPa・m1/2以上10MPa・m1/2以下である、請求項1乃至いずれか1項に記載の封止用樹脂組成物。
  7. 請求項1乃至いずれか一項に記載の封止用樹脂組成物の硬化物により、以下の条件(A)~(D)のいずれかを満たすパワー半導体素子が封止されている、パワーモジュール。
    (A)消費電力2.0W以上の半導体素子
    (B)SiC、GaN、Ga23およびダイヤモンドからなる群から選択される1種以上の半導体からなる半導体素子
    (C)電圧が1.0V以上の半導体素子
    (D)パワー密度が10W/cm3以上の半導体素子
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