JP7130985B2 - 封止用樹脂組成物およびパワーモジュール - Google Patents
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Description
この点、上記特許文献1に記載の封止材について本発明者が検討した結果、耐クラック性に優れた封止材を得るという点において、改善の余地があることが明らかになった。
そこで、本発明は、耐クラック性に優れる半導体装置の封止技術を提供する。
エポキシ樹脂、硬化剤および無機充填材を含む封止用樹脂組成物であって、
前記エポキシ樹脂が、以下の一般式(2)に示されるビフェニル型エポキシ樹脂を含み、
前記ビフェニル型エポキシ樹脂のエポキシ当量が365g/eq以上400g/eq以下であり、
前記硬化剤がフェノール樹脂硬化剤であり、
当該封止用樹脂組成物を、トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力7.4MPa、硬化時間2分で、幅4mm×厚さ3mm×長さ15mmの成形品を成形し、175℃、4時間で後硬化して得られる硬化物の熱機械分析(Thermal Mechanical Analysis:TMA)により測定されるガラス転移温度が140℃以上270℃以下であり、
前記硬化物の260℃における曲げ弾性率E260が、0.1GPa以上5GPa以下である、封止用樹脂組成物が提供される。
(A)消費電力2.0W以上の半導体素子
(B)SiC、GaN、Ga2O3およびダイヤモンドからなる群から選択される1種以上の半導体からなる半導体素子
(C)電圧が1.0V以上の半導体素子
(D)パワー密度が10W/cm3以上の半導体素子
粒子状の封止用樹脂組成物として、具体的には、タブレット状または粉粒体のものが挙げられる。このうち、封止用樹脂組成物がタブレット状である場合、たとえば、トランスファー成形法を用いて封止用樹脂組成物を成形することができる。また、封止用樹脂組成物が粉粒体である場合には、たとえば、圧縮成形法を用いて封止用樹脂組成物を成形することができる。ここで、封止用樹脂組成物が粉粒体であるとは、粉末状または顆粒状のいずれかである場合を指す。
基材は、たとえば、インターポーザ等の配線基板、またはリードフレームである。また、半導体素子は、ワイヤボンディングまたはフリップチップ接続等により、基材に電気的に接続される。
本実施形態において、封止用樹脂組成物は、近年これらのパッケージの成形に多く適用されるMAP(Mold Array Package)成形により形成される構造体にも適用できる。この場合、基材上に搭載される複数の半導体素子を、封止用樹脂組成物を用いて一括して封止することによりパッケージが得られる。
また、硬化物の靭性を向上させる観点から、硬化物のガラス転移温度は270℃以下であり、好ましくは250℃以下、より好ましくは230℃以下である。
ここで、硬化物のガラス転移温度は、トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力7.4MPa、硬化時間2分で、幅4mm×厚さ3mm×長さ15mmの成形品を成形し、175℃、4時間で後硬化して得られる硬化物の熱機械分析(Thermal Mechanical Analysis:TMA)により測定される。
曲げ弾性率E260およびE25は、JIS K 6911に準拠して測定される。
また、半導体パッケージ内の残留応力を抑制する観点から、平均線膨張係数(α2)は、好ましくは10ppm/℃以上であり、より好ましくは20ppm/℃以上である。
また、半導体パッケージ内の残留応力を抑制する観点から、平均線膨張係数(α1)は、好ましくは5ppm/℃以上であり、より好ましくは10ppm/℃以上である。
平均線膨張係数α1およびα2の測定には、熱機械分析装置(セイコーインスツル社製、TMA100)を用いることができる。
硬化物の260℃および25℃における曲げ強度は、JIS K 6911に準拠して測定される。
硬化物の260℃および25℃における曲げ歪みは、JIS K 6911に準拠して測定される。
スパイラルフローの測定方法については実施例の項で後述する。
また、硬化性に優れた硬化物を実現する観点から、封止用樹脂組成物のゲルタイムは、好ましくは70秒以下であり、より好ましくは60秒以下、さらに好ましくは50秒以下である。
ゲルタイムの測定は、175℃に加熱した熱板上で封止用樹脂組成物を溶融した後、ゲル化(硬化)が始まるまでの時間を測定することによりおこなうことができる。
また、硬化物の破壊靭性値K1cの上限に制限はないが、好ましくは10MPa・m1/2以下であり、より好ましくは8MPa・m1/2以下である。
破壊靭性値K1cは、ASTM D5045-91で規格されているKIc法に準拠して測定される。具体的な測定方法については、実施例の項で後述する。
また、硬化物のシャルピー衝撃値の上限に制限はないが、好ましくは10KJ/m2以下であり、より好ましくは8KJ/m2以下である。
シャルピー衝撃値は、JIS K7077に準じて測定される。具体的な測定方法については、実施例の項で後述する。
本実施形態において、エポキシ樹脂は、上記一般式(1)に示したビフェニル型エポキシ樹脂である。
一般式(1)中、n1およびn2は互いに独立した数であり、それぞれ、平均値である。n1は、成形時に好適な流動性を得て充填性や成形性の向上を図る観点から、0以上の数である。
n2は、封止用樹脂組成物を用いて形成される封止材を備える半導体装置の靭性を向上させる観点から、0以上の数である。
一方、成形時に好適な流動性を得て充填性や成形性の向上を図る観点から、(n1+n2)は、20以下である。
また、封止用樹脂組成物の充填特性を向上させる観点から、nは、好ましくは0.85以下の数である。
また、成形時に好適な流動性を得て充填性や成形性の向上を図る観点から、一般式(2)に示したビフェニル型エポキシ樹脂の軟化点は、好ましくは85℃以下である。
また、封止用樹脂組成物の硬化特性を高める観点から、一般式(2)に示したビフェニル型エポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは400g/eq以下である。
また、封止用樹脂組成物を用いて形成される封止材を備える半導体装置の冷熱サイクル特性を向上させる観点から、封止用樹脂組成物中の一般式(1)に示したビフェニル型エポキシ樹脂の含有量は、封止用樹脂組成物全体を100質量%としたとき、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、さらにより好ましくは10質量%以下である。
他のエポキシ樹脂としては、たとえばトリフェニルメタン型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂;フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂等のフェノールアラルキル型エポキシ樹脂;ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレンの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂等のナフトール型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等のトリアジン核含有エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等の有橋環状炭化水素化合物変性フェノール型エポキシ樹脂から選択される1種または2種以上を含むことができる。優れた硬化性と高いガラス転移温度とのバランスの観点から、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やトリフェニルメタン型エポキシ樹脂を使用することが好ましい。
封止用樹脂組成物は、一般式(1)に示したビフェニル型エポキシ樹脂を、全エポキシ樹脂中、好ましくは40質量%以上含み、より好ましくは50質量%以上含む。
また、封止用樹脂組成物を用いて形成される封止材を備える半導体装置の冷熱サイクル特性を向上させる観点から、封止用樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有量は、封止用樹脂組成物全体を100質量%としたとき、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、さらにより好ましくは10質量%以下である。
本実施形態において、無機充填材としては、一般的に半導体封止用樹脂組成物に使用されているものを用いることができる。無機充填材の具体例として、溶融シリカ、結晶シリカ等のシリカ;アルミナ;タルク;酸化チタン;窒化珪素;窒化アルミニウムが挙げられる。これらの無機充填材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、汎用性に優れている観点から、シリカを用いることが好ましく、溶融シリカを用いることがより好ましい。また、シリカの形状は好ましくは球状である。
また、封止用樹脂組成物の成形時における流動性や充填性をより効果的に向上させる観点から、封止用樹脂組成物中の無機充填材の含有量は、封止用樹脂組成物全体を100質量%としたとき、好ましくは95質量%以下であり、より好ましくは93質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下である。
たとえば、封止用樹脂組成物は、硬化剤をさらに含んでもよい。
硬化剤は、たとえば重付加型の硬化剤、触媒型の硬化剤、および縮合型の硬化剤の3タイプに大別することができ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
また、封止用樹脂組成物の硬化物を封止材とする半導体装置について、耐湿信頼性や耐リフロー性を向上させる観点から、封止用樹脂組成物中の硬化剤の含有量は、封止用樹脂組成物全体に対して好ましくは25質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
封止用樹脂組成物中の硬化促進剤の含有量は、封止用樹脂組成物の硬化特性を高める観点から、封止用樹脂組成物全体に対して、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、また、好ましくは2.0質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以下である。
封止用樹脂組成物中のカップリング剤の含有量は、封止用樹脂組成物の成形時に好ましい流動性を得る観点から、封止用樹脂組成物全体に対して、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、また、好ましくは2.0質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以下である。
封止用樹脂組成物中の離型剤の含有量は、硬化物の好ましい離型特性を得る観点から、封止用樹脂組成物全体に対して、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、また、好ましくは2.0質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以下である。
封止用樹脂組成物中のイオン捕捉剤の含有量は、半導体装置の信頼性を向上させる観点から、封止用樹脂組成物全体に対して、好ましくは0.03質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上であり、また、好ましくは2.0質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以下である。
封止用樹脂組成物中の低応力剤の含有量は、半導体装置の接続信頼性を向上させる観点から、封止用樹脂組成物全体に対して、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.02質量%以上であり、また、好ましくは2.0質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以下である。
封止用樹脂組成物中の着色剤の含有量は、封止材にマーキングが施される際のマークの視認性を向上させる観点から、封止用樹脂組成物全体に対して、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.02質量%以上であり、また、好ましくは2.0質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以下である。
次に、封止用樹脂組成物の製造方法を説明する。
本実施形態において、封止用樹脂組成物は、たとえば、上述した各成分を、公知の手段で混合し、さらにロール、ニーダーまたは押出機等の混練機で溶融混練し、冷却した後に粉砕する方法により得ることができる。また、必要に応じて、上記方法における粉砕後にタブレット状に打錠成型して粒子状封止用樹脂組成物を得てもよい。また、上記方法における粉砕後にたとえば真空ラミネート成形または圧縮成形によりシート状封止用樹脂組成物を得てもよい。また得られた封止用樹脂組成物について、適宜分散度や流動性等を調整してもよい。
本実施形態における半導体装置は、上述した本実施形態における封止用樹脂組成物で半導体素子を封止してなる。半導体装置は、好ましくはパワーモジュールである。
半導体素子は、好ましくはパワー半導体素子であり、より好ましくは以下の条件(A)~(D)のいずれかを満たすパワー半導体素子である。
(A)消費電力2.0W以上の半導体素子
(B)SiC、GaN、Ga2O3およびダイヤモンドからなる群から選択される1種以上の半導体からなる半導体素子
(C)電圧が1.0V以上の半導体素子
(D)パワー密度が10W/cm3以上の半導体素子
まず、図1に示した半導体装置100は、たとえばパワーモジュールであり、基板30上に搭載された半導体素子20と、半導体素子20を封止してなる封止材50と、を備えている。
封止材50は、上述した本実施形態における封止用樹脂組成物を硬化して得られる硬化物により構成されている。
本実施形態において、封止材50は、上述の封止用樹脂組成物の硬化物により構成される。このため、半導体装置100は、優れた高温保管特性および靱性を有し、また、耐クラック性に優れる。
封止材50は、たとえば封止用樹脂組成物をトランスファー成形法または圧縮成形法等の公知の方法を用いて封止成形することにより形成することができる。
また、半導体素子20の消費電力は、たとえば上述した条件(A)の2.0W以上であり、好ましくは3.0W以上であり、また、たとえば4.0W以下であってもよい。
半導体素子20の電圧は、たとえば上述した条件(C)の1.0V以上であり、好ましくは3.0V以上であり、また、たとえば5.0V以上であってもよい。また、半導体素子20の電圧は、たとえば100V以下であってもよい。
また、半導体素子20のパワー密度は、たとえば上述した条件(D)の10W/cm3以上であり、好ましく20W/cm3以上であり、また、たとえば30W/cm3以上であってもよい。また、半導体素子20のパワー密度は、たとえば200W/cm3以下であってもよい。
また、半導体素子20は、たとえば200℃以上、好ましくは260℃以上という高温環境下で動作することができる。
以下、参考形態の例を付記する。
1. エポキシ樹脂および無機充填材を含む封止用樹脂組成物であって、
前記エポキシ樹脂が、以下の一般式(2)に示されるビフェニル型エポキシ樹脂を含み、
当該封止用樹脂組成物を、トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力7.4MPa、硬化時間2分で、幅4mm×厚さ3mm×長さ15mmの成形品を成形し、175℃、4時間で後硬化して得られる硬化物の熱機械分析(Thermal Mechanical Analysis:TMA)により測定されるガラス転移温度が140℃以上270℃以下であり、
前記硬化物の260℃における曲げ弾性率E 260 が、0.1GPa以上5GPa以下である、封止用樹脂組成物。
(上記一般式(2)中、nは平均値で0.75以上0.85以下の数である。)
2. 前記ビフェニル型エポキシ樹脂の軟化点が75℃以上85℃以下である、1.に記載の封止用樹脂組成物。
3. 前記ビフェニル型エポキシ樹脂のエポキシ当量が365g/eq以上400g/eq以下である、1.または2.に記載の封止用樹脂組成物。
4. 前記硬化物の前記ガラス転移温度以上での線膨張係数α2が10ppm/℃以上70ppm/℃以下である、1.乃至3.いずれか1つに記載の封止用樹脂組成物。
5. 前記硬化物の前記ガラス転移温度未満での線膨張係数α1が5ppm/℃以上30ppm/℃以下である、1.乃至4.いずれか1つに記載の封止用樹脂組成物。
6. 175℃に加熱した熱板上で封止用樹脂組成物を溶融した後、ゲル化(硬化)が始まるまでの時間として測定される当該封止用樹脂組成物のゲルタイムが10秒以上70秒以下である、1.乃至5.いずれか1つに記載の封止用樹脂組成物。
7. 前記硬化物の25℃における破壊靭性値K1cが、2.3MPa・m 1/2 以上10MPa・m 1/2 以下である、1.乃至6.いずれか1つに記載の封止用樹脂組成物。
8. 1.乃至7.いずれか一つに記載の封止用樹脂組成物の硬化物により、以下の条件(A)~(D)のいずれかを満たすパワー半導体素子が封止されている、パワーモジュール。
(A)消費電力2.0W以上の半導体素子
(B)SiC、GaN、Ga 2 O 3 およびダイヤモンドからなる群から選択される1種以上の半導体からなる半導体素子
(C)電圧が1.0V以上の半導体素子
(D)パワー密度が10W/cm 3 以上の半導体素子
(封止用樹脂組成物の調製)
各実施例、および各比較例のそれぞれについて、以下のように封止用樹脂組成物を調製した。
まず、表1または表2に示す各成分をミキサーにより混合した。次いで、得られた混合物を、ロール混練した後、冷却、粉砕して粉粒体である封止用樹脂組成物を得た。
(原料)
充填材1:溶融球状シリカ(マイクロン社製、TS13-006)
充填材2:球状シリカ(アドマテックス社製、SC-2500-SQ)
カップリング剤1:N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング社製、CF-4083)
カップリング剤2:3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(チッソ社製、S810)
エポキシ樹脂1:オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(長春人造樹脂社製、CNE195LL)
エポキシ樹脂2:一般式(2)に示されるビフェニル型エポキシ樹脂(一般式(2)におけるn=0.75~0.85(nは平均値)、軟化点80℃、エポキシ当量379g/eq)
エポキシ樹脂3:国際公開第2013/136685号の式(13A)で表されるエポキシ樹脂(国際公開第2013/136685号に記載の方法に準じて製造されたエポキシ樹脂(a-1))
硬化剤1:ホルムアルデヒドで変性したトリフェニルメタン型フェノール樹脂(エア・ウォーター社製、HE-910-20)
硬化剤2:国際公開第2013/136685号の式(12A)で表されるフェノール樹脂硬化剤(国際公開第2013/136685号に記載の方法に準じて製造されたフェノール樹脂(b-1))
硬化促進剤1:トリフェニルホスフィン(ケイ・アイ化成社製、PP-360ビフン)
硬化促進剤2:トリフェニルホスフィンとp-ベンゾキノンとの付加物(ケイ・アイ化成社製、TPP-BQ)
離型剤1:カルナバワックス(東亜化成社製、TOWAX-132)
離型剤2:酸化ポリエチレンワックス(クラリアントケミカルズ社製、リコワックス PED191)
イオン捕捉剤:ハイドロタルサイト(協和化学工業社製、DHT-4H)
低応力剤1:ポリエーテル変性シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング社製、FZ-3730)
低応力剤2:シリコーンレジン(信越化学工業社製、KR-480)
着色剤:カーボンブラック(三菱化学社製、カーボン#5)
各例で得られた封止用樹脂組成物またはその硬化物について、以下の方法で物性値を測定した。測定結果を表1および表2にあわせて示す。
各例で得られた封止用樹脂組成物を表面温度175℃の熱板上においてからゲル化(硬化)が始まるまでの時間を測定し、ゲルタイム(秒)とした。
各例で得られた封止用樹脂組成物について、トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力7.4MPa、硬化時間2分で、幅4mm×厚さ3mm×長さ15mmの成形品を成形し、175℃、4時間で後硬化して硬化物を得た。
トランスファー成形装置を用いて金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間120秒間で、得られた封止用樹脂組成物を注入成形し、幅10mm×厚さ4mm×長さ80mmの成形品を得た。次いで、得られた成形品を250℃、4時間で後硬化して、試験片を作製した。次いで、試験片の260℃および25℃における曲げ弾性率E260およびE25(いずれもGPa)ならびに260℃および25℃における曲げ強度(いずれもMPa)をJIS K 6911に準拠して測定した。
また、硬化物の260℃および25℃における曲げ歪み(いずれも%)をJIS K 6911に準拠して測定した。
低圧トランスファー成形機(コータキ精機社製、「KTS-30」)を用いて、EMMI-1-66に準じたスパイラルフロー測定用の金型に、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、保圧時間120秒間の条件で、各例得られた封止用樹脂組成物を注入、硬化させ、スパイラルフロー(cm)を測定した。
各例で得られた封止用樹脂組成物について、ASTM D5045-91で規格されているKIc法に準拠して測定を行った。封止用樹脂組成物を長さ50mm、幅B=5mm、厚みW=10mmの大きさで長さ方向中央部に厚み方向の深さ3.5mmのノッチを施し、175℃×4時間で硬化した。更に硬化物のノッチ先端部分に厚み方向の深さ0.1mmの傷を剃刀で施した。合計クラック長a=3.6mmである。その後、オリエンテック社製STB-1225S型テンシロンを用いて、測定温度25℃、速度10mm/分、支点間距離S=40mmで3点曲げ試験をおこない、下記式に基づき破壊靭性値(K1c(MPa・m1/2))を算出した。
KIC=((PQ×S)/(B×W3/2))×f(a/W)
f(a/W)=(3(a/W)1/2[1.99-(a/W)(1-a/W){2.15-3.9(a/W)+2.7(a/W)2])/(2{881+2(a/W)}{1-(a/W)}3/2)
JIS K7177-1に準じてシャルピー衝撃値を測定した。具体的には、各例で得られた封止用樹脂組成物について、JIS K7144により、V字型ノッチを有する試験片を作製した。
得られた試験片をノッチ部が中央に来るように支持台に置き、破壊エネルギー2Jの条件でノッチの背面をハンマーによって打撃して破壊した。
破壊エネルギーを試験片の断面積で除し、シャルピー衝撃値(kJ/m2)を算出した。
30 基板
32 ダイパッド
34 アウターリード
40 ワイヤ
50 封止材
60 半田ボール
100 半導体装置
Claims (7)
- エポキシ樹脂、硬化剤および無機充填材を含む封止用樹脂組成物であって、
前記エポキシ樹脂が、以下の一般式(2)に示されるビフェニル型エポキシ樹脂を含み、
前記ビフェニル型エポキシ樹脂のエポキシ当量が365g/eq以上400g/eq以下であり、
前記硬化剤がフェノール樹脂硬化剤であり、
当該封止用樹脂組成物を、トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力7.4MPa、硬化時間2分で、幅4mm×厚さ3mm×長さ15mmの成形品を成形し、175℃、4時間で後硬化して得られる硬化物の熱機械分析(Thermal Mechanical Analysis:TMA)により測定されるガラス転移温度が140℃以上270℃以下であり、
前記硬化物の260℃における曲げ弾性率E260が、0.1GPa以上5GPa以下である、封止用樹脂組成物。
- 前記ビフェニル型エポキシ樹脂の軟化点が75℃以上85℃以下である、請求項1に記載の封止用樹脂組成物。
- 前記硬化物の前記ガラス転移温度以上での線膨張係数α2が10ppm/℃以上70ppm/℃以下である、請求項1または2に記載の封止用樹脂組成物。
- 前記硬化物の前記ガラス転移温度未満での線膨張係数α1が5ppm/℃以上30ppm/℃以下である、請求項1乃至3いずれか1項に記載の封止用樹脂組成物。
- 175℃に加熱した熱板上で封止用樹脂組成物を溶融した後、ゲル化(硬化)が始まるまでの時間として測定される当該封止用樹脂組成物のゲルタイムが10秒以上70秒以下である、請求項1乃至4いずれか1項に記載の封止用樹脂組成物。
- 前記硬化物の25℃における破壊靭性値K1cが、2.3MPa・m1/2以上10MPa・m1/2以下である、請求項1乃至5いずれか1項に記載の封止用樹脂組成物。
- 請求項1乃至6いずれか一項に記載の封止用樹脂組成物の硬化物により、以下の条件(A)~(D)のいずれかを満たすパワー半導体素子が封止されている、パワーモジュール。
(A)消費電力2.0W以上の半導体素子
(B)SiC、GaN、Ga2O3およびダイヤモンドからなる群から選択される1種以上の半導体からなる半導体素子
(C)電圧が1.0V以上の半導体素子
(D)パワー密度が10W/cm3以上の半導体素子
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