JP7125711B2 - 鉄ガリウム合金の単結晶育成用種結晶の製造方法および鉄ガリウム合金の単結晶育成方法 - Google Patents

鉄ガリウム合金の単結晶育成用種結晶の製造方法および鉄ガリウム合金の単結晶育成方法 Download PDF

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Description

本発明は、鉄ガリウム合金(FeGa合金)の単結晶育成用種結晶の製造方法および鉄ガリウム合金の単結晶育成方法に関する。特に、垂直ブリッジマン法(Vertical Bridgman method、以下「VB法」と略記する)や垂直温度勾配凝固法(Vertical Gradient Freeze method、以下「VGF法」と略記する)に代表される、融液を坩堝中で固化させる一方向凝固結晶成長法等によるFeGa合金単結晶の育成に用いる種結晶に関する。
FeGa合金は、機械加工が可能であり、100~350ppm程度の大きな磁歪を示すため、磁歪式振動発電やアクチュエータ等に用いられる素材として好適であり、近年、注目されている。
さらに、FeGa合金は、結晶の特定方位に大きな磁気歪みを現出させるため、磁歪部材の磁歪を必要とする方向と結晶の磁気歪みが最大となる方位を一致させた単結晶の使用が最適であると考えられている。
FeGa単結晶合金の製造では、引き上げ法(チョクラルスキー法、以下「Cz法」と略記する)による単結晶の育成方法が知られている(特許文献1参照)。しかしながら、この方法は、高周波誘導加熱方式により原料融解を行うため、電源コストも高く装置構成が複雑であり、装置コストが高く、結果的に製造コストが高くなってしまう。
特開2016-28831号公報
FeGa合金単結晶を育成する場合、Feに対するGaの溶解度が小さく、偏析係数は0.7~0.8程度となる。そのため、種結晶から成長させた単結晶では、種結晶付近ではGa組成が低く、固化が進むにしたがってGa組成が高くなる。固化の進行によるGa組成の差は数%となることで、組成差により単結晶格子間距離が変化するため、単結晶中に粒界が導入される原因となる。従って、FeGa合金単結晶の育成を、同一方向を育成方向として繰り返し行う中、粒界の発生を完全に抑えることが困難であり、また、粒界が存在する種結晶が原因で育成した結晶全体に粒界が入ってしまう場合もあった。
本発明は、このような事情に鑑み、例えば融液からFeGa合金単結晶を育成する場合において、種結晶に存在する粒界に起因して発生する育成結晶中の粒界を低減することができる、鉄ガリウム合金の単結晶育成用種結晶を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の種結晶の製造方法は、体心立方格子構造を有し、第1~第3の<100>方向について方向指数が等価である鉄ガリウム合金単結晶の育成用種結晶の製造方法であって、第1の<100>方向に育成した単結晶を加工し、前記第1の<100>方向と垂直な第2の<100>方向を育成方向とする前記単結晶の育成に用いる第1種結晶を得る第1単結晶加工工程を含む。
本発明の種結晶の製造方法は、前記第1種結晶を用いて前記第2の<100>方向に鉄ガリウム合金単結晶を育成して第1単結晶を得る第1単結晶育成工程と、前記第1単結晶を加工し、前記第2の<100>方向および前記第1の<100>方向と垂直な第3の<100>方向を育成方向とする前記単結晶の育成に用いる第2種結晶を得る第2単結晶加工工程と、を含んでいてもよい。
本発明の種結晶の製造方法は、前記第2種結晶を用いて前記第3の<100>方向に鉄ガリウム合金単結晶を育成して第2単結晶を得る第2単結晶育成工程と、前記第2単結晶を加工し、前記第3の<100>方向および前記第2の<100>方向と垂直な第1の<100>方向を育成方向とする前記単結晶の育成に用いる第3種結晶を得る第3単結晶加工工程と、を含んでいてもよい。
本発明の鉄ガリウム合金単結晶の育成方法は、前記第1種結晶、前記第2種結晶または前記第3単結晶を用いて鉄ガリウム合金単結晶を育成する育成工程を含む。
本発明の鉄ガリウム合金の単結晶育成用種結晶の製造方法および鉄ガリウム合金の単結晶育成方法によれば、種結晶に存在する粒界に起因して発生する育成結晶中の粒界を低減することができる。
また、FeGA合金単結晶は体心立方格子構造であり、[100]、[010]および[001]の方向について方向指数が等価であるため(以下、[100]、[010]および[001]の方向を<100>と表記する)、第1の種結晶の製造や、第1の種結晶を用いた単結晶の製造では、所定の一方向の<100>を成長方向とする結晶成長方法を採用すればよく、例えば、垂直ブリッジマン法または垂直温度勾配凝固法を採用してもよいし、小径種結晶を使用する引き上げ法(CZ法)や引き下げ法などの種結晶を用いる育成方法を採用してもよいし、他の方法を採用してもよい。
FeGa合金の単結晶を育成する育成装置の概略断面図である。 従来技術による種結晶製造工程の概略図である。 本発明の種結晶の製造方法における第1単結晶加工工程の概略図である。 本発明の種結晶の製造方法における第2単結晶加工工程の概略図である。 本発明の種結晶の製造方法における第3単結晶加工工程の概略図である。
以下、本発明の一実施形態にかかるFeGa合金単結晶の育成用種結晶の製造方法およびFeGa合金単結晶の育成方法について説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更可能である。
[FeGa合金単結晶の育成方法]
(FeGa合金単結晶について)
超磁歪特性を有するFeGa合金単結晶は、例えばFeとGaの融解物を坩堝中で固化させて育成することができる。具体的には、VB法やVGF法に代表される、一方向凝固結晶成長法により育成することができる。ここで、FeGa合金単結晶は、体心立方格子構造を有しており、ミラー指数における方向指数のうち第1~第3の<100>軸が等価であり、ミラー指数における面指数のうち第1~第3の{100}面が等価(すなわち、(100)、(010)および(001)は等価)であることを基本とするものである。
(単結晶育成装置)
本発明の一実施形態にかかるFeGa合金単結晶の育成方法をより具体的に説明するべく、当該方法に用いる育成装置の一例として、まずは図1に示す単結晶育成装置について説明する。
図1は、FeGa合金の単結晶を育成することのできる、単結晶育成装置の概略断面図である。この図1では、単結晶育成装置100における単結晶育成用坩堝10とFeGa合金種結晶16、原料となるFeとGaの混合物17との位置関係を模式的に示している。
単結晶育成装置100は、断熱材11、上段ヒーター12a、中段ヒーター12b、下段ヒーター12c、可動用ロッド13、坩堝受け14、熱電対15、真空ポンプ18および、チャンバー19を備えている。チャンバー19内の上部が高温、下部が低温となる温度分布を実現可能な構成となっており、VB法やVGF法等の一方向凝固結晶成長法により、FeとGaの混合物の融解物17を坩堝10中で固化させることで、FeGa合金の単結晶を育成することができる。
図1に示すように単結晶育成装置100では、断熱材11の内側にカーボン製の抵抗加熱ヒーター12が配置される。FeGa合金の単結晶の育成時に、抵抗加熱ヒーター12によりホットゾーンが形成される。抵抗加熱ヒーター12は、上段ヒーター12a、中段ヒーター12bおよび下段ヒーター12cとで構成され、これらのヒーター12a~12cへの投入電力を調整することにより、ホットゾーン内の温度勾配を制御することが可能となっている。
抵抗加熱ヒーター12の内側には、単結晶育成用坩堝10が配置され、上下方向に移動可能な可動用ロッド13が設けられた坩堝受け14(支持台)に載置されている。単結晶育成用坩堝10内の下部に、FeGa合金種結晶16が充填され、このFeGa合金種結晶16の上に、粒子状やフレーク状等の原料としてFeとGaの混合物17が充填される。
育成炉には、チャンバー19と真空ポンプ18が設置されており、原料を真空雰囲気に調整してFeGa合金単結晶を育成することができる。さらに、アルゴンや窒素等の不活性ガスをチャンバー19へ導入することができ、原料を不活性雰囲気にも調整できる。
単結晶育成用坩堝10の材質は、FeGa合金単結晶と化学的反応性が低く、高融点材料であるアルミナが好ましい。また、マグネシア、熱分解窒化ホウ素(Pyrolitic Boron Nitride)でもよい。
上方側が開放された単結晶育成用坩堝10には、ゴミ落下防止用の蓋材(図示せず)を被せてもよい。単結晶育成用坩堝10は、上述したように単結晶育成装置100内で可動用ロッド13が設けられた坩堝受け14上に載置され、可動用ロッド13を上下させることにより、単結晶育成用坩堝10を育成炉内で上下させることができる。また、単結晶育成用坩堝10には、坩堝の温度をモニタリングできる熱電対15が取り付けられている。
(FeGa合金単結晶の育成方法)
次に、単結晶育成装置100を用いたFeGa合金のVB法による単結晶育成方法について、図1を参照しつつ説明する。まず、単結晶育成用坩堝10の下部に主面方位が<100>方位のFeGa合金種結晶16を配置する。そして、FeGa合金種結晶16の上には、原料であるFeとGaの混合物17を必要量配置する。
次に、チャンバー19内にアルゴンや窒素等の不活性ガスを流し、チャンバー19内を不活性雰囲気に調整する。窒化Ga等が生成する恐れがない、アルゴンガスを導入することが好ましい。チャンバー19内が不活性雰囲気となった後、単結晶育成用坩堝10を囲むように配置された上段ヒーター12a、中段ヒーター12bおよび下段ヒーター12cを作動して、昇温し、FeとGaの混合物17の融解を開始する(融解工程)。
FeとGaの混合物17がほぼ融解して融解物となったら、真空ポンプ18を作動して、チャンバー19内を減圧し、融解物中の気泡を取り除く(気泡除去工程)。
気泡除去工程後、チャンバー19内にアルゴンや窒素等の不活性ガスを流し、再びチャンバー19内を不活性雰囲気に調整した後、単結晶育成用坩堝10の内部でFeGa合金の単結晶を育成する(育成工程)。具体的には、抵抗加熱ヒーター12を用いて、FeGa合金種結晶16および融解物(FeとGaの混合物17)が収納された単結晶育成用坩堝10を、高さ方向の上方の温度が高く、下方の温度が低い温度分布となるように加熱する。この状態で、チャンバー19内の温度を、FeGa合金種結晶16が高さ方向の上半分位まで融解するまで昇温し、シーディングを行う。その後、そのままのチャンバー19内の温度勾配を維持しながら、抵抗加熱ヒーター12の出力を徐々に低下させ、すべての融解物を固化させた後、所定速度で冷却を行ってFeGa合金単結晶を得る。
次に、チャンバー19内の温度が室温程度になったことを確認した後、育成された単結晶が入った単結晶育成用坩堝10を坩堝受け14から取り外し、さらに単結晶育成用坩堝10から育成された単結晶を取り出す。
また、FeGa合金の単結晶を育成するためのシーディングは、FeGa合金種結晶16の上部とFeとGaの混合物17とを融解させて、安定した固液界面を形成させることにより行われる。ここで、上記固液界面の温度およびその温度での保持時間が、シーディングにおいて重要な要素となる。その理由としては、FeGa合金種結晶16はその表面近傍に、FeGa合金種結晶16の加工時に形成された破砕層を有する場合があり、単結晶を育成するためにはこの破砕層を融解させておく必要があるためである。また、FeGa合金種結晶16が全て融解してしまう前に、固液界面を形成させておく必要がある点でも、固液界面の温度およびその温度での保持時間は重要である。
上記要件を満足させるため、FeGa合金種結晶16と融解物との境界面の温度が、FeGa合金の単結晶の融点から融点よりも20℃高い温度までの範囲内になるような位置に、単結晶育成用坩堝10をセットする。FeGa合金の単結晶をより安定して育成させる観点から、境界面の温度は、FeGa合金単結晶の融点から融点よりも10℃高い温度までの範囲内であることが更に好ましい。これらの温度で所定時間(例えば1時間以上、好ましくは4時間~6時間)保持し、FeGa合金種結晶16の上部とFeとGaの混合物17とを融解させてシーディングを行う。FeGa合金種結晶16は、単結晶育成の核となるものであり、FeGa合金種結晶16は、FeGa混合原料17と一体化させるために一部を融解させるが、FeGa合金種結晶16の全部を融解させないようにしなければならない。
シーディングが終了した後、単結晶育成用坩堝10を徐々に降下させてホットゾーン内の温度勾配がある領域を通過させる。このようにして、FeGa合金種結晶16の結晶方位に従い、融解物を冷却固化させることでFeGa合金の単結晶が育成される。
本実施形態に係る単結晶育成方法は、上述したようにFeGa単結晶の融点に対して、FeGa合金種結晶16とFeとGaの混合物17との界面温度を上記融点から融点よりも20℃高い温度までの範囲内にして溶融を行っているため、FeGa合金種結晶16の上部数ミリ程の部分とFeとGaの混合物17とが融解し、FeGa合金種結晶16とFeとGaの混合物17とを一体にすることができる。尚、FeGa合金種結晶16とFeとGaの混合物17との界面温度が上記融点よりも20℃を超えて高くなると、FeGa合金種結晶16の底面部まで融解してしまう場合があり、単結晶の育成に不具合が生じるおそれがある。
また、FeGa合金種結晶16の上部とFeとGaの混合物17を融解させる保持時間は、上述したように1時間以上とすることが好ましい。1時間以上保持することにより、FeGa合金種結晶16とFeとGaの混合物17との固液界面を安定化させることができるため、単結晶内部に欠陥等の生じない品質の高い単結晶を育成することができる。また、かかる保持時間を4~6時間とすることは更に好ましい。すなわち、4時間以上保持すれば、概ねシーディングに関する反応は進行しており、6時間以下で概ね反応は終了している。従って、保持時間を4~6時間とすることにより、FeGa合金単結晶の生産性を低下させずにシーディングを安定して行うことが可能となる。
上記では、単結晶育成装置100を用いたVB法によるFeGa合金の単結晶育成方法について説明したが、同じ単結晶育成装置100を用いて、単結晶育成中に単結晶育成用坩堝10を上下に移動させることに替えて、抵抗加熱ヒーター12を調整して温度制御するVGF法によっても、FeGa合金の単結晶を育成することができる。
また、以下に説明する本発明の種結晶の製造方法および上記の単結晶育成方法におけるFeGa単結晶合金の育成は、VB法およびVGF法に限定されず、所定の一方向を育成方向とする結晶育成方法を採用することができる。例えば、Cz法等の引き上げ法や引き下げ法等の育成方法を採用することができる。
本発明のFeGa合金単結晶の育成方法は、上記の育成方法において、以下に説明する第1種結晶、第2種結晶または第3単結晶を用いて鉄ガリウム合金単結晶を育成する育成工程を含む。
詳細は後述するが、上記の育成工程を行うことで、種結晶に起因する粒界が育成する単結晶へ伝播することを抑制することができる。
[FeGa合金単結晶の育成用種結晶の製造方法]
(単結晶育成工程)
上記の単結晶育成装置100において、育成軸の方向を鉛直方向と平行であるZ方向とし、Z方向と直交する2方向をX方向およびY方向とする。なお、X方向はY方向と直交する。棒状の種結晶16を用い、その長手方向(第1の<100>軸)をZ方向に合わせ、上記のように結晶成長させ(図3(A))、単結晶20Aを得る(図3(B))。種結晶16は、第1の{100}である面S1と、第2の{100}である面S2と、第3の{100}である面S3と、を有する。このとき、種結晶16に存在する粒界が、単結晶20Aにおいて第2の{100}面(面S2)と平行に伝播されることで、単結晶20Aには、第2の{100}面(面S2)と平行な面に沿って粒界AXが形成されることがある。同様に、種結晶16に存在する粒界が、単結晶20Aにおいて第3の{100}面(面S3)と平行な方向に伝播されることで、単結晶20Aには、第3の{100}面(面S3)と平行な面に沿って粒界AYが形成されることがある。尚、第2の<100>軸がY方向に一致し、第3の<100>軸がX方向に一致しているものとする。
単結晶20Aには、Z方向に沿ったマーキング線L1を形成することが好ましい。単結晶20Aの上面において、マーキング線L1の形成位置と、円の中心と、を結ぶ線分の方向がY方向に一致する。即ち、後工程において第2の{100}面に沿って単結晶20Aを切断する際、マーキング線L1の形成位置と、円の中心と、を結ぶ線分と垂直な平面に沿って切断すれば、切断面21、22が第2の{100}面(面S2)と平行な面となる。
(第1単結晶加工工程)
次に、第2の{100}面に沿って単結晶20Aを2箇所で切断し、切断面21、22を形成する(図3(C))。一方の切断面21に、Z方向に沿ったけがき線23を形成することが好ましい。即ち、けがき線23は、形成された面が第2の{100}面と平行な面であることを示すとともに、単結晶20Aの育成軸の方向を示す。けがき線23が形成された切断面21は、後述する第1種結晶40を単結晶育成用坩堝10にセットした際の下面となる。
さらに、第1の{100}面に沿って単結晶20Aを切断することで、板材30Aを形成し(図3(D))、板材30Aを第3の{100}面に沿って切断することで(切断線C1)、第2の<100>軸を長手方向とする棒状の第1種結晶40を形成する(図3(E)、図3(F))。尚、上記のように単結晶20Aを切断する際、切断後の寸法が単結晶育成用坩堝10の形状および寸法に応じたものになるようにすればよい。また、けがき線23があることによって、第1種結晶40における第1~第3の{100}面を相互に区別することが可能となり、けがき線23が形成された面が、第2の{100}面と平行な面S21となり、けがき線23と直交する面が、第1の{100}面と平行な面S11となり、けがき線23と平行な面が、第3の{100}面と平行な面S31となる。
棒状の第1種結晶40は、単結晶の育成に用いられる場合、その長手方向である第2の<100>軸を育成方向として用いることができる。尚、第1種結晶40は、角柱状であってもよいし、円柱状であってもよく、単結晶育成用坩堝10の内面形状に対応するよう、テーパー加工または円形加工などの追加工を行ってもよい。また、第1種結晶40は、単結晶の育成に用いられる場合の育成方向が特定可能であれば、棒状に形成されていなくてもよい。以上のように、第1の<100>方向に育成した単結晶20Aを加工し、第1の<100>方向および第3の<100>方向と垂直な第2の<100>方向を育成方向とする第1種結晶40を得る。
上記の例では、種結晶16を用いて単結晶20Aを得た後、この単結晶20Aを加工することで第1種結晶40を形成するものとしたが、育成軸の方向が特定されている単結晶20Aを製造せずに入手してもよく、この単結晶20Aを加工することで第1種結晶40を形成してもよい。
(第1単結晶育成工程)
上記の単結晶育成工程の項目で説明したように、育成軸の方向をZ方向とし、Z方向と直交する2方向をX方向およびY方向とする。なお、X方向はY方向と直交する。棒状の第1種結晶40を用い、その長手方向(第2の<100>軸)をZ方向に合わせ、上記のように結晶成長させ(図4(A))、第1単結晶20Bを得る(図4(B))。このとき、第1種結晶40に存在する粒界AYが、第1単結晶20Bにおいて第3の{100}面(面S31)と平行に伝播されることで、第1単結晶20Bには、第3の{100}面(面S31)と平行な面に沿って粒界AYが形成されることがある。
一方、第1種結晶40の第2の{100}面(面S21)と平行な面に存在する粒界AXは、第2の{100}面が育成軸と垂直であることから、第1単結晶20Bへの伝播が抑制される。
第1単結晶20Bには、Z方向に沿ったマーキング線L2を形成することが好ましい。第1単結晶20Bの上面において、マーキング線L2の形成位置と、円の中心と、を結ぶ線分の方向がY方向に一致する。即ち、後工程において第3の{100}面に沿って第1単結晶20Bを切断する際、マーキング線L2の形成位置と、円の中心と、を結ぶ線分と垂直な平面に沿って切断すれば、切断面24、26が第3の{100}面(S31)と平行な面となる。
(第2単結晶加工工程)
次に、第3の{100}面に沿って第1単結晶20Bを2箇所で切断し、切断面24、25を形成する(図4(C))。一方の切断面24に、Z方向に沿ったけがき線26を形成することが好ましい。即ち、けがき線26は、形成された面が第3の{100}面と平行な面であることを示すとともに、第1単結晶20Bの育成軸の方向を示す。けがき線26が形成された切断面24は、後述する第2種結晶50を単結晶育成用坩堝10にセットした際の下面となる。
さらに、第2の{100}面に沿って第1単結晶20Bを切断することで、板材30Bを形成し(図4(D))、板材30Bを第1の{100}面に沿って切断することで(切断線C2)、第3の<100>軸を長手方向とする棒状の第2種結晶50を形成する(図4(E)、図4(F))。尚、上記のように第1単結晶20Bを切断する際、切断後の寸法が単結晶育成用坩堝10の形状および寸法に応じたものになるようにすればよい。また、けがき線26があることによって、第2種結晶50における第1~第3の{100}面を相互に区別することが可能となり、けがき線26が形成された面が、第3の{100}面と平行な面S32となり、けがき線26と直交する面が、第2の{100}面と平行な面S22となり、けがき線26と平行な面が、第1の{100}面と平行な面S12となる。
棒状の第2種結晶50は、単結晶の育成に用いられる場合、その長手方向である第3の<100>軸を育成方向として用いることができる。尚、第2種結晶50は、角柱状であってもよいし、円柱状であってもよく、単結晶育成用坩堝10の内面形状に対応するよう、テーパー加工または円形加工などの追加工を行ってもよい。また、第2種結晶50は、単結晶の育成に用いられる場合の育成方向が特定可能であれば、棒状に形成されていなくてもよい。以上のように、第2の<100>方向に育成した第1単結晶20Bを加工し、第1の<100>方向および第2の<100>方向と垂直な第3の<100>方向を育成方向とする第2種結晶50を得る。
(第2単結晶育成工程)
上記の単結晶育成工程および第1単結晶育成工程の項目で説明したように、育成軸の方向をZ方向とし、Z方向と直交する2方向をX方向およびY方向とする。なお、X方向はY方向と直交する。棒状の第2種結晶50を用い、その長手方向(第3の<100>軸)をZ方向に合わせ、上記のように結晶成長させ(図5(A))、第2単結晶20Cを得る(図5(B))。このとき、第3の{100}面(面S32)と平行な面に存在する粒界AYは、第3の{100}面が育成軸と垂直であることから、第2単結晶20Cへの伝播が抑制される。
第2単結晶20Cには、Z方向に沿ったマーキング線L3を形成することが好ましい。第2単結晶20Cの上面において、マーキング線L3の形成位置と、円の中心と、を結ぶ線分の方向がY方向に一致する。即ち、後工程において第1の{100}面に沿って第2単結晶20Cを切断する際、マーキング線L3の形成位置と、円の中心と、を結ぶ線分と垂直な平面に沿って切断すれば、切断面27、28が第1の{100}面(S12)と平行な面となる。
(第3単結晶加工工程)
次に、第1の{100}面に沿って第2単結晶20Cを2箇所で切断し、切断面27、28を形成する(図5(C))。一方の切断面27に、Z方向に沿ったけがき線29を形成することが好ましい。即ち、けがき線29は、形成された面が第1の{100}面と平行な面であることを示すとともに、第2単結晶20Cの育成軸の方向を示す。けがき線29が形成された切断面27は、後述する第3種結晶60を単結晶育成用坩堝10にセットした際の下面となる。
さらに、第3の{100}面に沿って第2単結晶20Cを切断することで、板材30Cを形成し(図5(D))、板材30Cを第2の{100}面)に沿って切断することで(切断線C3)、第1の<100>軸を長手方向とする棒状の第3種結晶60を形成する(図5(E)、図5(F))。尚、上記のように第2単結晶20Cを切断する際、切断後の寸法がルツボの形状および寸法に応じたものになるようにすればよい。また、けがき線29があることによって、第3種結晶60における第1~第3の{100}面を相互に区別することが可能となり、けがき線29が形成された面が、第1の{100}面と平行な面S13となり、けがき線29と直交する面が、第3の{100}面と平行な面S33となり、けがき線29と平行な面が、第2の{100}面と平行な面S23となる。
棒状の第3種結晶60は、単結晶の育成に用いられる場合、その長手方向である第1の<100>軸を育成方向として用いることができる。尚、第3種結晶60は、角柱状であってもよいし、円柱状であってもよく、単結晶育成用坩堝10の内面形状に対応するようテーパー加工または円形加工などの追加工を行ってもよい。また、第3種結晶60は、単結晶の育成に用いられる場合の育成方向が特定可能であれば、棒状に形成されていなくてもよい。以上のように、第3の<100>方向に育成した第2単結晶20Cを加工し、第2の<100>方向および第3の<100>方向と垂直な第1の<100>方向を育成方向とする第3種結晶60を得る。
以上より、図3(A)において種結晶16に起因して生じた単結晶20の粒界AXの影響は、第1単結晶加工工程により得た第1種結晶40を用いて育成した第1単結晶20Bにおいてなくなる。すなわち、第1単結晶20Bには粒界AXの伝播による粒界は発生しない(図4(A))。
一方、図3(A)において種結晶16に起因して生じた単結晶20の粒界AYの影響は、第1単結晶20Bにおいて残り、すなわち、第1単結晶20Bには粒界AYの伝播による粒界は発生する場合がある。ただし、第2単結晶加工工程により得た第2種結晶50を用いて育成した第2単結晶20Cにおいてなくなる。すなわち、第2単結晶20Cには粒界AYの伝播による粒界は発生しない(図5(A))。
なお、第2種結晶50には、育成方向とは垂直方向であるものの、粒界AYが残存する。ただし、第3単結晶加工工程により粒界AYも除去することが可能であり、得られた第3種結晶60は、粒界AXおよびAYのいずれも存在しなくなる。
結果として、図3(A)において種結晶16に起因する単結晶20の粒界AXおよびAYの影響は、第1単結晶加工工程、第1単結晶育成工程、第2単結晶加工工程、第2単結晶育成工程および第3単結晶加工工程を経ることで、完全に無くすことができる。
[従来のFeGa合金の単結晶育成用種結晶の製造方法]
次に、図2を参照しつつ、従来のFeGa合金単結晶の育成用種結晶の製造方法について説明する。
育成軸の方向をZ方向とし、Z方向と直交する2方向をX方向およびY方向とする。なお、X方向はY方向と直交する。棒状の種結晶16を用い、その長手方向(第1の<100>軸)をZ方向に合わせ、上記の単結晶育成装置100等を用いてFeGa合金単結晶を育成させ(図2(A))、単結晶20を得る(図2(B))。このとき、種結晶16に存在する粒界が、単結晶20において第2の{100}面と平行に伝搬されることで、単結晶20には、第2の{100}面(面S2)と平行な面に沿って粒界AXが形成されることがある。同様に、種結晶16に存在する粒界が、単結晶20Aにおいて第3の{100}面と平行に伝搬されることで、単結晶20には、第3の{100}面(面S3)と平行な面に沿って粒界AYが形成されることがある(図2(B))。
次に、第2の{100}面に沿って単結晶20を2箇所で切断し、第2の{100}面(面S2)と平行な切断面21、22を形成する(図2(C))。さらに、単結晶20を、使用する際の長さを考慮して適宜なZ方向長さに切断し(図2(D))、第2の{100}面および第3の{100}面に沿って切断することで、Z方向(即ち<100>軸)を長手方向とする棒状の種結晶70を形成する(図2(E)(F))。
このように、従来のFeGa合金単結晶の育成用種結晶の製造方法の場合には、種結晶16に存在する粒界が伝播した粒界AXおよび粒界AYが、種結晶70においても残ってしまう。そのため、種結晶70を用いてFeGa合金の結晶を育成すると、種結晶70の粒界AXおよび粒界AYがその結晶に伝播してしまう結果、育成不良により単結晶が得られず、歩留まりが低下してしまう。
以下、本発明について、実施例および比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
[実施例1]
(第1単結晶加工工程に用いる単結晶の育成)
まず、室温20℃の環境下で、化学量論比でFeとGaの比率が80:20になるように、すなわちGa含有量が原子量%で20%となるように、メディアン径が約1mmの粒子状Fe原料(純度:99.9%)とGa原料(純度:99.99%)を秤量した。秤量したGa原料をテフロン(登録商標)容器に投入し、湯煎により融解した。さらに、融解したGa原料へFe原料を投入し、容器内で攪拌を行った後、室温まで冷却し、混合原料であるFeとGaの混合物17を作製した。
そして、厚さ3mm、内径52mm、高さ200mmの緻密質アルミナ製の単結晶育成用坩堝10内の下部に、あらかじめ調整したFeGa合金種結晶16(縦5mm、横5mm、高さ30mmの直方体形状)を充填し、かつ、当該FeGa合金種結晶16の上にFeとGaの混合物17を充填した。このとき、FeGa合金種結晶16は、単結晶育成装置100において、育成軸の方向を鉛直方向と平行であるZ方向とし、Z方向と直交する2方向をX方向およびY方向(X方向はY方向と直交)と設定した。FeGa合金種結晶16は、その長手方向(第1の<100>軸)がZ方向となるように、単結晶育成用坩堝10内にセットした。
次に、FeGa合金種結晶16とFeとGaの混合物17が充填された単結晶育成用坩堝10を、図1に示すように、多孔質アルミナ製の坩堝受け14上に載置し、熱電対15の先端部を単結晶育成用坩堝10の側面に接触させた。尚、上記熱電対15の単結晶育成用坩堝10への接触点は、FeGa合金種結晶16の底面から15mmの高さ位置になるよう設定した。
次に、可動用ロッド13を駆動させて坩堝受け14をチャンバー19内の最下部にセットした。その後、チャンバー19内にアルゴンガスを導入し、チャンバー19内を大気圧の不活性雰囲気に調整した。また、カーボン製の抵抗加熱ヒーターからなる上段ヒーター12a、中段ヒーター12bおよび下段ヒーター12cとしては、独立に制御可能で、かつ、高さ方向の長さが200mmのものを使用した。
そして、上段ヒーター12aの温度を1450℃、中段ヒーター12bの温度を1400℃、下段ヒーター12cの温度を1300℃の温度幅で設定し、チャンバー19内の昇温を行った。昇温が終了してチャンバー19内の温度が安定した後、可動用ロッド13を駆動させて坩堝受け14を上昇させることにより、単結晶育成用坩堝10を緩やかな速度で上昇させた。チャンバー19内には上部の温度が高く、下部の温度が低い温度勾配がつくられているので、チャンバー19の上部に移動するに従って単結晶育成用坩堝10内の温度が上昇し、FeとGaの混合物17が融解してその融解物が形成された。
混合原料がほぼ融解して融解物となったら、チャンバー19内へのアルゴンガスの導入を停止し、真空ポンプにて200Pa程度までチャンバー19内を減圧した。そのまま、約15分間保持し、融解物中の気泡を除去した。気泡除去後、アルゴンガスの導入を再開し、チャンバー19内を1気圧の不活性雰囲気に調整した。
上記融解物が形成された単結晶育成用坩堝10の位置する付近で、熱電対15の接触点位置の温度をモニターしながら、可動用ロッド13を駆動させて単結晶育成用坩堝10の位置を数mm上昇させて温度を安定させた。この工程を繰り返して、熱電対15の温度が安定した状態で1350~1400℃の範囲になるよう単結晶育成用坩堝10を上昇させた。単結晶育成用坩堝10を保持する位置が定まったら、3時間保持してシーディングを行った後、可動用ロッド13を駆動させて5mm/hで単結晶育成用坩堝10を降下させ、FeGa合金の単結晶の育成を開始した。単結晶育成用坩堝10の降下距離が150mmとなった後、育成を終了した。
上記単結晶の育成終了後、単結晶育成用坩堝10から育成したFeGa合金単結晶のインゴットを取り出したところ、直径52mm、長さ100mmのFeGa合金単結晶(単結晶20A)が得られた。
(第1単結晶加工工程)
X線回折装置を用いて、得られた単結晶20Aの側面の{100}面を特定し、Z方向に沿ったマーキング線L1を形成し(図3(B))、外周刃にて{100}面に沿って切断して切断面21、22を得た(図3(C))。切断面21から22の長さは30mmとした。切断面21に、後に第2の{100}面となる面の中央部をZ方向に沿って横切る位置に、引き上げ軸と平行にダイヤペンでけがき線23を入れた(図3(C))。切断面21、22と垂直方向に単結晶20Aを切断して板材30A、そして板材30Bへと加工し(図3(D)、(E))、切断面21に種結晶切り出し位置となる部分(切断線C1)を油性ペンで書き込み、切断線C1に沿って内周刃で切断して第1種結晶40を得た。その後、第1種結晶40のそれぞれは、角を単結晶育成用坩堝10に入るように適宜、研削加工した。なお、育成時には第1種結晶40端面を一部融解させてシーディングを行うので、単結晶育成用坩堝10の内部形状に合わせることが重要であり、鏡面研磨やエッチングによる表面の追加工は不要である。
(第1種結晶を用いた単結晶の育成)
けがき線23が付された第1種結晶40を20本用いて、上記と同様の育成方法でFeGa合金単結晶(第1単結晶20B)の育成を20回行った。育成されたFeGa合金単結晶を切断し、結晶内部を観察したところ、目視で確認できるような粒界が確認されたのは20本中1本であった。
[従来例1]
実施例1の初回の育成に使用した種結晶16と同等の同じ結晶から加工した種結晶16を用いて、図2に示す手順に従い、FeGa合金単結晶(単結晶20)を育成し、単結晶20の育成方向(第1の<100>方向)が長手方向となる種結晶70を製造した。
上記により製造した種結晶70を20本用いて、種結晶70の長手方向が育成方向(第1の<100>方向)となるように、すなわち、育成方向は変えずに実施例1と同様に単結晶育成装置100を用いてFeGa合金単結晶の育成を20回行った。実施例1と同様に、育成されたFeGa合金単結晶を切断し、結晶内部を観察したところ、目視で確認できるような粒界が20本中3本で確認された。
[粒界の伝播]
上記の実施例1および比較例1の手順によりFeGa合金単結晶を育成した結果、粒界は第1~第3の{100}面に沿って入りやすいことが分かった。これはFeGa合金単結晶に特有の性質であり、例えばGaAsやGaP単結晶では、{100}面で薄板状に加工した場合には<110>方向に劈開しやすく、<110>方向に転移も集中しやすい。ただし、FeGa合金単結晶では、{100}面で薄板状に加工した場合には<100>方向に劈開しやすいため、<100>方向に転移も集中しやすいと考えられる。
さらには、結晶中心に粒界の入ったFeGa合金単結晶について、種結晶の断面を観察した結果、種結晶にも粒界が存在しており、粒界のある種結晶を使用した場合には、育成された結晶にもほぼ粒界が伝播することがわかった。
よって、FeGa合金の場合には、第1~第3の{100}面のうち、育成軸の方向に沿った面と平行な面に優先的に粒界面が入りやすく、これが結晶成長方向に沿って結晶全体に伝播するという性質があることがわかった。
即ち、FeGa合金単結晶では、第1の<100>軸を育成軸とした場合、第1の<100>軸と垂直な成長面である第1の{100}面と平行な方向には粒界は伝播されにくく、育成軸に沿った第2の{100}面および第3の{100}面に沿って粒界が伝播していく。従って、従来例1のように、種結晶70を用い、第1の<100>軸を育成軸として単結晶を成長させると、第2の{100}面および第3の{100}面に存在する粒界AX、AYを引き継いでしまい、種結晶70が有する粒界が、この種結晶により育成される単結晶にも引き継がれてしまう。
一方、実施例1のように種結晶40を用い、育成軸を第1の<100>方向から第2の<100>方向に変えて単結晶を成長させると、種結晶の端面には第2の{100}面に由来する粒界AXは現れにくく、育成される結晶には粒界AXは伝播されにくいため、従来例1の場合よりも粒界の伝播を低減することができる。
[まとめ]
以上の実施例の結果より、育成方向を1回変更して単結晶を育成しただけでも(実施例1)、従来例1と比べて粒界の伝播を低減できたことがわかる。この結果から、育成方向を2回変更、さらに3回変更すれば、種結晶起因の粒界の伝播をより抑制できることは明らかであり、比較例1の従来方法と比べて、FeGa合金の単結晶を廉価かつ大量に製造できることは、明確である。
10 単結晶育成用坩堝
11 断熱材
12 抵抗加熱ヒーター
12a 上段ヒーター
12b 中段ヒーター
12c 下段ヒーター
13 可動用ロッド
14 坩堝受け
15 熱電対
16 FeGa合金種結晶
17 FeとGaの混合物
18 真空ポンプ
19 チャンバー
20A 単結晶
20B 第1単結晶
20C 第2単結晶
40 第1種結晶
50 第2種結晶
60 第3種結晶
100 単結晶育成装置

Claims (4)

  1. 体心立方格子構造を有し、第1~第3の<100>方向について方向指数が等価である鉄ガリウム合金単結晶の育成用種結晶の製造方法であって、
    第1の<100>方向に育成した単結晶を加工し、前記第1の<100>方向と垂直な第2の<100>方向を育成方向とする前記単結晶の育成に用いる第1種結晶を得る第1単結晶加工工程
    を含む、種結晶の製造方法。
  2. 請求項1に記載の前記第1種結晶を用いて前記第2の<100>方向に鉄ガリウム合金単結晶を育成して第1単結晶を得る第1単結晶育成工程と、
    前記第1単結晶を加工し、前記第2の<100>方向および前記第1の<100>方向と垂直な第3の<100>方向を育成方向とする前記単結晶の育成に用いる第2種結晶を得る第2単結晶加工工程と、
    を含む、種結晶の製造方法。
  3. 請求項2に記載の前記第2種結晶を用いて前記第3の<100>方向に鉄ガリウム合金単結晶を育成して第2単結晶を得る第2単結晶育成工程と、
    前記第2単結晶を加工し、前記第3の<100>方向および前記第2の<100>方向と垂直な第1の<100>方向を育成方向とする前記単結晶の育成に用いる第3種結晶を得る第3単結晶加工工程と、
    を含む、種結晶の製造方法。
  4. 請求項1に記載の前記第1種結晶、請求項2に記載の前記第2種結晶または請求項3に記載の前記第3結晶を用いて鉄ガリウム合金単結晶を育成する育成工程
    を含む、鉄ガリウム合金単結晶の育成方法。
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