1 実施の形態
本発明に係る一の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、画像形成システム1(画像処理装置)の概略構成を示す図である。
この図に示すように、画像形成システム1は、電子写真方式により記録シートに画像を形成する画像形成装置10と、オプション装置として、画像形成装置10から出力される画像形成済みの記録シートの束に対して、ステープル綴じなどの後処理を施す後処理装置16とから構成されている。
画像形成システム1は、複数の設定項目について各々設定された実行条件を示す設定値に基づいて画像処理を実行する。
1.1 画像形成装置10
画像形成装置10は、スキャナー、プリンター及びコピー機の機能を有するタンデム型のカラー複合機(MFP:MultiFunction Peripheral)である。
画像形成装置10は、図1に示すように、筐体底部に、記録シートを収容し、給送する給紙部13が設けられている。給紙部13の上方には、電子写真方式により画像を形成するプリンター部12が設けられている。プリンター部12のさらに上方に、原稿を読み取って画像データを生成するイメージリーダー部11(画像読取手段)及び操作画面を表示し、利用者から入力操作を受け付ける操作パネル19が設けられている。
イメージリーダー部11は、自動原稿搬送装置を有している。自動原稿搬送装置は、原稿トレイにセットされた原稿を1枚ずつ原稿ガラス板へ搬送する。イメージリーダー部11は、自動原稿搬送装置によって原稿ガラス板の所定位置に搬送された原稿の画像をスキャナーの移動によって読み取り、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の多値デジタル信号からなる画像データを得る。
イメージリーダー部11で得られた各色成分の画像データは、後述する主制御部100において各種のデータ処理を受け、更にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各再現色の画像データに変換される。
プリンター部12は、中間転写ベルト21、中間転写ベルト21を張架する駆動ローラー、従動ローラー、バックアップローラー、中間転写ベルト21に対向して中間転写ベルト21の走行方向Xに沿って所定間隔で配置された作像部20Y、20M、20C、20K、定着部50、主制御部100等からなる。
各作像部は、像担持体である感光体ドラム、感光体ドラム表面を露光走査するためのLEDアレイ、帯電チャージャー、現像器、クリーナー及び1次転写ローラーなどからなる。
給紙部13は、サイズの異なる記録シートを収容する給紙カセット60、61、62、66と、この記録シートを各給紙カセットから搬送路に繰り出すためのピックアップローラー63、64、65、67とから構成されている。
作像部20Y~20Kのそれぞれにおいて、各感光体ドラムは、帯電チャージャーにより一様に帯電され、LEDアレイにより露光を受け、感光体ドラムの表面に静電潜像が形成される。各静電潜像は、それぞれ各色の現像器により現像され、各感光体ドラムの表面にY~K色のトナー像が形成され、トナー像は、中間転写ベルト21の裏面側に配設された各1次転写ローラーの静電作用により、中間転写ベルト21の表面上に順次転写される。
一方、給紙部13のいずれかの給紙カセットから、作像部20Y~20Kによる作像動作に合わせて、記録シートが給送され、2次転写ローラー22とバックアップローラーとが中間転写ベルト21を挟んで対向する位置(2次転写位置)へと搬送路上を搬送され、2次転写位置で、2次転写ローラー22の静電的作用により、中間転写ベルト21上のY~K色のトナー像が記録シートへ2次転写される。Y~K色のトナー像が2次転写された記録シートは、さらに定着部50まで搬送される。
記録シートの表面のトナー像は、定着部50の加熱ローラー51とこれに圧接された加圧ローラー52との間に形成される定着ニップを通過する際に、加熱及び加圧により、記録シートの表面に融着して定着され、記録シートは、定着部50を通過した後、搬送ユニット15へと送出される。
搬送ユニット15では、水平方向に搬送路が形成されており、当該搬送路に沿って列設された複数の搬送ローラー対によって、画像形成済みの記録シートが後処理装置16へと出力される。
操作パネル19には、液晶表示板などで構成される表示部が設けられ、利用者によって設定された内容や各種のメッセージを表示する。さらに、操作パネル19には、各種のメッセージを発音するスピーカー31及び利用者の音声を入力するマイク32(入力手段)が設けられている。操作パネル19は、利用者からの、コピー開始の指示、コピー枚数の設定、複写条件の設定(例えば、原稿の読取面の設定、原稿の向きの設定、印刷面の設定、原稿の綴じ方向の設定等)、オプション装置としての後処理装置16におけるステープル綴じなどの後処理の設定(ステープルのOFF又はONの設定)、FAXの宛先の設定などを受け付け、受け付けた内容を主制御部100に通知する。
1.2 後処理装置16
後処理装置16は、後処理として、複数枚の記録シートの束(シート束)を整合する整合処理機能及びシート束にステープル綴じを行うステープル綴じ処理機能を有し、画像形成装置10からの指示に基づき各処理機能を実行する。
後処理装置16は、図1に示すように、筐体内部において、後処理ユニット18が設けられ、後処理ユニット18の上方に、搬送ユニット15に対向して、搬送路17が設けられている。
後処理装置16は、搬送ユニット15から出力される記録シートに対して、シート束の整合及びステープル綴じ等の後処理を実行しない場合は、その記録シートを、搬送路17を搬送させて、第1排出トレイ35に排出させる。
一方、後処理を実行する場合には、搬送ユニット15から出力される記録シートは、搬送路17から分岐して後処理ユニット18に搬送される。後処理ユニット18は、シート束を整合し、シート束にステープル綴じを行い、整合、ステープル綴じが行われたシート束を第2排出トレイ36に排出させる。
なお、後処理装置16は、シート束の左端において、パンチ(2穴パンチ)を行う後処理機能を有している、としてもよい。
1.3 主制御部100
主制御部100の構成について説明する。
図2は、主制御部100の構成を示すブロック図である。
主制御部100は、この図に示すように、CPU101、ROM102、RAM103、画像処理部104、HDD105、画像メモリ106、ネットワーク通信部107、イメージリーダー制御部108、FAX通信部109(送信手段)、プリンター制御部110、設定項目制御部111、音声入力部112、記憶部113、音声認識処理部114、音声合成部115及び命令生成部116などから構成されている。
主制御部100は、利用者の操作パネル19を用いた操作により、又は、利用者のマイク32からの音声入力により、ネットワーク通信部107、イメージリーダー制御部108、FAX通信部109及びプリンター制御部110等に対して、各種の画像処理を行うように、指示又は命令する。
ここで、操作パネル19を用いた操作では、操作の内容に応じて、主制御部100により、画像処理の実行を示す指示が生成される。また、利用者のマイク32からの音声入力では、後述するように、音声認識処理部114及び命令生成部116により、画像処理を継続して行う実行命令が生成される。画像処理の実行を示す指示及び画像処理を継続して行う実行命令は、ネットワーク通信部107、イメージリーダー制御部108、FAX通信部109及びプリンター制御部110等に対して出力され、それぞれにおいて、画像処理が実行される。
なお、操作パネル19を用いた操作により画像処理の実行を示す指示が生成され、利用者のマイク32からの音声入力により画像処理を継続して行う実行命令が生成されると称しているが、画像処理の実行を示す指示と画像処理を継続して行う実行命令とは、同一であって、指示及び実行命令の生成元が異なるだけである。
画像処理部104は、例えば、イメージリーダー部11で得られた各色成分の画像データに対して、各種のデータ処理をして、Y、M、C、Kの各再現色の画像データに変換する。
プリンター制御部110は、給紙部13からの給送動作やプリンター部12の作像部20Y~20Kの作像動作などを統一的に制御し、画像形成動作を実行させる。
イメージリーダー制御部108は、イメージリーダー部11を制御し、原稿の画像の読み取り動作を実行させる。
ネットワーク通信部107は、LANなどのネットワークを介してPC(パーソナルコンピューター)などの外部端末装置からのプリントジョブを受け付ける。
FAX通信部109は、通信回線を介して、ファクシミリ送信をし、ファクシミリ受信をする。
RAM103は、各種の制御変数及び操作パネルにより設定されたコピー枚数などを一時記憶すると共に、CPU101によるプログラム実行時のワークエリアを提供する。
ROM102には、コピー動作などの各種ジョブを実行させるための制御プログラムなどが格納されている。
CPU101は、ROM102に記憶されている制御プログラムに従って動作することにより、画像処理部104、ネットワーク通信部107、イメージリーダー制御部108、FAX通信部109、プリンター制御部110、設定項目制御部111等を制御する。例えば、CPU101は、制御プログラムに従って動作することにより、ネットワーク通信部107によりプリントジョブが受け付けられると、プリンター制御部110に指示して、そのプリントジョブのデータに基づき、画像形成動作を実行させる。
画像メモリ106は、プリントジョブ等の画像データを一時的に記憶する。
HDD105は、画像データ及びその他のデータ等を記憶する。
音声入力部112は、マイク32により入力されるアナログの音声信号を、デジタルの音声信号に変換し、デジタルの音声信号を、音声認識処理部114に対して、出力する。
音声合成部115は、設定項目制御部111から、発音すべきメッセージ(テキストデータ)を受け取り、受け取ったメッセージから音声を合成して、デジタルの音声信号を生成し、さらに、デジタルの音声信号をアナログの音声信号に変換して、アナログの音声信号をスピーカー31に対して、出力する。
1.4 音声認識処理部114及び命令生成部116
音声認識処理部114は、音声入力部112からデジタルの音声信号を受信し、受信したデジタルの音声信号に、音声認識処理を施して、音声の内容を認識し、複数個の文字列からなる認識結果情報を生成し、生成した認識結果情報を、命令生成部116に対して、出力する。
例えば、音声認識処理部114は、「カタメンノゲンコウヲカタメンインサツデヒダリガワニニテンステープルスル」と音声入力された場合、音声の内容を認識し、認識結果情報として、「片面」、「の」、「原稿」、「を」、「片面」、「印刷」、「で」、「左側」、「に」、「2点」、「ステープル」、「する」という複数の文字列を出力する。
また、音声認識処理部114は、「インサツスル」と入力された場合、音声の内容を認識し、認識結果情報として、「印刷」、「する」という複数の文字列を出力する。
さらに、音声認識処理部114は、「タダシイノデインサツカイシ」と入力された場合、音声の内容を認識し、認識結果情報として、「正しい」、「ので」、「印刷」、「開始」という複数の文字列を出力する。
命令生成部116は、認識結果情報を受け取り、認識結果情報の内容を解釈して、1個又は複数の命令を生成する。これらの命令には、画像処理の実行命令、設定項目の内容を変更する命令、画像処理を継続して行う実行命令及びその他の命令が含まれる。設定項目の内容を変更する命令には、設定項目を識別する識別情報及び設定項目について変更後の内容を示す変更値が含まれる。
命令生成部116は、画像処理の実行命令、設定項目の内容を変更する命令、画像処理を継続して行う実行命令及びその他の命令を設定項目制御部111に対して出力する。また、命令生成部116は、画像処理を継続して行う実行命令を、ネットワーク通信部107、イメージリーダー制御部108、FAX通信部109、プリンター制御部110等に対して出力する。
例えば、音声認識処理部114から、認識結果情報として、「片面」、「の」、「原稿」、「を」、「片面」、「印刷」、「で」、「左側」、「に」、「2点」、「ステープル」、「する」という複数の文字列を受け取ったとき、命令生成部116は、次の4個の命令を生成する。
・設定項目の内容を変更する命令:設定項目「原稿の読取面」、設定値「片面」
・設定項目の内容を変更する命令:設定項目「印刷面」、設定値「片面」
・設定項目の内容を変更する命令:設定項目「ステープル」、設定値「2点」
・設定項目の内容を変更する命令:設定項目「ステープル位置」、設定値「左側」
命令生成部116は、上記の4個の命令を設定項目制御部111に対して出力する。
また、例えば、音声認識処理部114から、認識結果情報として、「印刷」、「する」という複数の文字列を受け取ったとき、命令生成部116は、次の命令を生成する。
・画像処理の実行命令:「印刷」
命令生成部116は、上記の命令を、設定項目制御部111に対して出力する。
さらに、例えば、音声認識処理部114から、認識結果情報として、「正しい」、「ので」、「印刷」、「開始」という複数の文字列を受け取ったとき、命令生成部116は、次の命令を生成する。
・画像処理を継続して行う実行命令:「印刷」
命令生成部116は、上記の命令を、プリンター制御部110に対して出力する。
1.5 画像処理の例
上述した画像処理には、例えば、次の(a)~(e)の処理等が含まれる。
(a)イメージリーダー部11により、原稿の面を読み取り、画像データを生成して、画像メモリ106、HDD105等に書き込み、又は、生成した画像データを、プリンター部12により印刷させる。
(b)イメージリーダー部11により、原稿の面を読み取り、画像データを生成して、ネットワーク通信部107を介して、LAN等に接続されたパーソナルコンピューター等に対して送信する。
(c)イメージリーダー部11により、原稿の面を読み取り、画像データを生成して、FAX通信部109及び通信回線を介して、他の画像形成装置、ファクシミリ装置等に対して送信する。
(d)他の画像形成装置、ファクシミリ装置等から、通信回線及びFAX通信部109を介して、画像データを受信し、受信した画像データを、プリンター部12により印刷させ、又は、受信した画像データを画像メモリ106、HDD105等に書き込む。
(e)LAN等に接続されたパーソナルコンピューター等から、ネットワーク通信部107を介して、画像データ、テキストデータ等を受信し、受信した画像データ、テキストデータ等を、プリンター部12により印刷させ、又は、受信した画像データ、テキストデータ等を画像メモリ106、HDD105等に書き込む。
1.6 記憶部113
記憶部113は、不揮発性メモリから構成されている。もちろん、記憶部113は、ハードディスクドライブから構成されてもよい。
記憶部113は、図2に示すように、設定項目関係表201、211、221、・・・、メッセージ209、219、229、・・・及び設定項目テーブル290を記憶するための領域を備えている。
(1)設定項目テーブル290
設定項目テーブル290は、図3に示すように、画像形成システム1において、各設定項目の設定値を記憶するためのデータテーブルである。ここで、設定項目は、画像形成システム1において、上述した各画像処理を実行する場合に、必要とされる実行条件を示す。識別情報により識別される設定項目には、設定値が設定される。
設定項目を識別する識別情報は、「原稿の読取面」、「原稿の向き」、「印刷面」、「原稿の綴じ方向」、「ステープル」、「解像度」及び「FAX宛先」等である。ここでは、理解を容易にするため、「原稿の読取面」、「原稿の向き」などの表記を用いているが、設定項目テーブル290は、識別情報として、「I001」、「I002」、「I003」、・・・等を含むとしてもよい。「I001」、「I002」、「I003」、・・・は、それぞれ、設定項目「原稿の読取面」、「原稿の向き」、「印刷面」、・・・に対応している。
(原稿の読取面)
「原稿の読取面」には、「片面」及び「両面」のいずれか一つが設定される。ここでは、既定値として、「片面」が設定されている。
「片面」は、原稿の片面のみを読み取ることを示し、「両面」は、原稿の両面を読み取ることを示す。
(原稿の向き)
「原稿の向き」(原稿をセットする方向)には、「上」、「左」、「下」及び「右」のいずれか一つが設定される。ここでは、既定値として、「上」が設定されている。
「上」は、原稿の左端がイメージリーダー部11による読取りの先端側となるように、原稿をイメージリーダー部11の原稿トレイに載置する方向を示す。
「左」は、原稿の下端がイメージリーダー部11による読取りの先端側となるように、原稿をイメージリーダー部11の原稿トレイに載置する方向を示す。
「下」は、原稿の右端がイメージリーダー部11による読取りの先端側となるように、原稿をイメージリーダー部11の原稿トレイに載置する方向を示す。
「右」は、原稿の上端がイメージリーダー部11による読取りの先端側となるように、原稿をイメージリーダー部11の原稿トレイに載置する方向を示す。
なお、原稿の両面を読み取る場合、「原稿の向き」は、原稿の第1ページ(表面)の向きである、としてもよい。
その他、「原稿の向き」には、「長辺」及び「短辺」もある。
「長辺」は、原稿の長辺がイメージリーダー部11による読取りの先端側となるように、原稿をイメージリーダー部11の原稿トレイに載置する方向を示す。
また、「短辺」は、原稿の短辺がイメージリーダー部11による読取りの先端側となるように、原稿をイメージリーダー部11の原稿トレイに載置する方向を示す。
(印刷面)
「印刷面」には、「片面」及び「両面」のいずれか一つが設定される。ここでは、既定値として、「片面」が設定されている。
「片面」は、記録シートの片面にのみ印刷することを示し、「両面」は、記録シートの両面に印刷することを示す。
(原稿の綴じ方向)
「原稿の綴じ方向」には、「左綴じ」、「右綴じ」及び「上綴じ」のいずれか一つが設定される。ここでは、既定値として、「左綴じ」が設定されている。これらは、原稿の両面に印刷(又は描画、執筆、表記等)がされている場合に、原稿の表面の印刷方向と裏面の印刷方向の関係を示す。
「左綴じ」は、原稿の左端を綴じたように、原稿の表面の印刷方向と裏面の印刷方向との関係がある場合を示す。この場合、原稿の表面の上下方向と、裏面の上下方向は、同一である。
「右綴じ」は、原稿の右端を綴じたように、原稿の表面の印刷方向と裏面の印刷方向との関係がある場合を示す。この場合も、原稿の表面の上下方向と、裏面の上下方向は、同一である。
「上綴じ」は、原稿の上端を綴じたように、原稿の表面の印刷方向と裏面の印刷方向との関係がある場合を示す。この場合、原稿の表面の上下方向と、裏面の上下方向とは、反転している。
なお、「左綴じ」、「右綴じ」及び「上綴じ」を、それぞれ、「左開き」、「右開き」及び「上開き」と呼ぶ場合(図12参照)もある。
その他、「原稿の綴じ方向」には、「長辺」及び「短辺」もある。「長辺」は、原稿の長辺を綴じるように、原稿の表面の印刷方向と裏面の印刷方向の関係が存在する場合を示す。また、「短辺」は、原稿の短辺を綴じるように、原稿の表面の印刷方向と裏面の印刷方向の関係が存在する場合を示す。
(ステープル)
「ステープル」には、「OFF」及び「ON」のいずれか一つが設定される。ここでは、既定値として、「OFF」が設定されている。「OFF」及び「ON」は、それぞれ、ステープル綴じがされないこと及びステープル綴じがされることを示す。
なお、「ステープル」が「ON」の場合には、原稿を綴じる箇所の指定がされる。原稿を綴じる箇所として、例えば、記録シートの左上の角(コーナー)と記録シートの左端とがある。記録シートの角においては、その角の一点で綴じられ、記録シートの左端においては、二点で綴じられる、としてもよい。
(解像度)
「解像度」には、「200dpi」、「300dpi」、「400dpi」、「600dpi」のいずれか一つが設定される。ここでは、既定値として、「200dpi」が設定されている。
(FAX宛先)
「FAX宛先」には、利用者によりFAXの送信先である宛先が設定される。
(2)設定項目関係表201、211、221
設定項目関係表201、211、221(組合せ表)は、それぞれ、複数の設定項目の設定値の間の関係を示している。つまり、設定項目関係表201、211、221は、これらの複数の設定項目に設定された実行条件を示す設定値に基づいて、一の画像処理を実行したと想定したときに、利用者により音声入力がされなかった既定値と、利用者により音声入力がされた変更値との組合せに応じて、利用者に対して、問合せをする必要があるか否かの結果を示す。
(設定項目関係表201)
設定項目関係表201は、図4に示すように、設定項目202「ステープル」の有り(ON)及び無し(OFF)の設定値、及び、設定項目203「原稿の向き」の入力ありの場合及び入力なしの場合の設定値による実行条件に基づいて、一つの画像処理(画像形成処理)を実行したと想定したときに、設定項目202及び203の設定値の組合せに応じて、利用者に対して、問合せをする必要があるか否かの結果を示す。
具体的には、設定項目関係表201によると、設定項目202「ステープル」の設定値「OFF」及び「ON」に対応して、それぞれ、設定項目203「原稿の向き」が入力ありの場合には、結果は、「不要」である。ここで、「不要」は、利用者に対して、問合せをする必要がないことを示す。
また、設定項目関係表201によると、設定項目202「ステープル」の設定値「OFF」に対応して、設定項目203「原稿の向き」が入力なしの場合も、結果は、「不要」である。
さらに、設定項目関係表201によると、設定項目202「ステープル」の設定値「ON」に対応して、設定項目203「原稿の向き」が入力なしの場合は、結果は、「必要」である。ここで、「必要」は、設定項目202及び203の設定値の組合せに応じて、利用者に対して、問合せをする必要があることを示す。つまり、設定項目203「原稿の向き」が入力なしの場合、設定項目203には、既定値として、「上」が設定され、設定項目202「ステープル」の設定値「ON」は、記録シートの左上の角を綴じることを示しているので、実際の原稿の向きが「上」ではなく、例えば、「左」であれば、記録シートの左上の角ではなく、記録シートの左下の角が綴じられることとなる。これは、利用者の意図に反している可能性がある。
この場合、利用者に対する確認のため、対応するメッセージ209「原稿の向きは上ですが、正しいですか」が利用者に対して音声出力される。
(設定項目関係表211)
設定項目関係表211は、図5に示すように、設定項目212「原稿の読取面」が片面であるか、両面であるかの設定値、設定項目213「原稿の綴じ方向」が入力ありの場合及び入力なしの場合の設定値、及び、設定項目214「印刷面」が片面であるか、両面であるかの設定値による実行条件に基づいて、一つの画像処理(画像形成処理)を実行したと想定したときに、設定項目212、213及び214の設定値の組合せに応じて、利用者に対して、問合せをする必要があるか否かの結果を示す。
具体的には、設定項目関係表211によると、設定項目212「原稿の読取面」の設定値「片面」及び「両面」に対応して、それぞれ、設定項目213「原稿の綴じ方向」が入力ありの場合には、結果は、「不要」である。
また、設定項目関係表211によると、設定項目212「原稿の読取面」の設定値「片面」及び「両面」に対応して、それぞれ、設定項目213「原稿の綴じ方向」が入力なしであり、設定項目214「印刷面」が「両面」の場合には、結果は、「不要」である。
また、設定項目関係表211によると、設定項目212「原稿の読取面」の設定値「片面」に対応して、設定項目213「原稿の綴じ方向」が入力なしであり、設定項目214「印刷面」が「片面」の場合には、結果は、「不要」である。
一方、設定項目関係表211によると、設定項目212「原稿の読取面」の設定値「両面」に対応して、設定項目213「原稿の綴じ方向」が入力なしであり、設定項目214「印刷面」が「片面」の場合には、結果は、「必要」である。つまり、設定項目213「原稿の綴じ方向」が入力なしの場合、設定項目213には、既定値として、「左」が設定されているので、実際の原稿の綴じ方向が「左」ではなく、例えば、「上」であれば、原稿の裏面を印刷した2枚目の記録シートにおいては、原稿の表面を印刷した1枚目の記録シートと比較すると、上下方向が逆転することとなる。これは、利用者の意図に反している可能性がある。
この場合に、利用者に対する確認のため、対応するメッセージ219「原稿の綴じ方向は左ですが、正しいですか」が利用者に対して音声出力される。
(設定項目関係表221)
設定項目関係表221は、図6に示すように、設定項目222「FAX宛先」の設定値及び設定項目223「解像度」の入力ありの場合及び入力なしの場合のそれぞれの設定値による実行条件に基づいて、一つの画像処理(FAX送信処理)を実行したと想定したときに、設定項目222及び223の設定値の組合せに応じて、利用者に対して、問合せをする必要があるか否かの結果を示す。
具体的には、設定項目関係表221によると、設定項目222「FAX宛先」の設定値に対応して、設定項目223「解像度」が入力ありの場合には、結果は、「不要」である。
一方、設定項目関係表221によると、設定項目222「FAX宛先」の設定値に対応して、設定項目223「解像度」が入力なしの場合には、結果は、「必要」である。
つまり、設定項目223「解像度」が入力なしの場合に、設定項目213には、既定値として、「200dpi」が設定されているので、細密に記された手書き原稿等をファクシミリにより送付する場合、高解像度でなければ、送信先での可読性が悪くなってしまう。これは、利用者の意図に反している可能性がある。
この場合に、利用者に対する確認のため、対応するメッセージ229「解像度は200dpiでよいですか」が利用者に対して音声出力される。
(3)メッセージ209、219、229、・・・
メッセージ209、219、229は、図4~図6に示すように、それぞれ、設定項目関係表201、211、221に対応付けられている。
メッセージ209、219、229は、上述したように、設定項目関係表201、211、221にそれぞれ示される複数の設定項目に設定された実行条件を示す設定値に基づいて、一の画像処理を実行したと想定したときに、その結果が「必要」となった場合に、利用者に対して、確認を促すために出力されるメッセージの内容を示す。これらのメッセージは、音声出力される。
記憶部113には、設定項目関係表201、211、221に対応付けられているメッセージ209、219、229の他に、設定項目関係表201、211、221とは、無関係に設けられているメッセージが記憶されている。
そのメッセージの一例は、音声入力モードに切り換えられた直後に、利用者に対して出力されるメッセージであり、具体的には、「音声入力を始めます。音声で指示をしてください。」である。
また、別のメッセージの一例は、音声入力により、設定項目が変更された直後に、利用者に対して、出力されるメッセージであり、具体的には、「設定値を変更しました。音声で指示をしてください。」である。
1.7 設定項目制御部111
設定項目制御部111は、図2に示すように、制御部120、変更部121(変更手段)、判断部122(判断手段)及び通知部123(通知手段)から構成されている。設定項目制御部111は、内部にCPUやROMを備えており、ROMに格納された制御プログラムに基づき、CPUが動作することにより、制御部120、変更部121、判断部122及び通知部123は、その機能を果たす。
(1)制御部120
制御部120は、変更部121、判断部122及び通知部123を統一的に制御する。
また、制御部120は、命令生成部116から、設定項目の内容を変更する命令、画像処理の実行命令、画像処理を継続して行う実行命令及びその他の命令を受け取る。制御部120は、受け取った命令が、設定項目の内容を変更する命令、画像処理の実行命令、画像処理を継続して行う実行命令及びその他の命令の何れであるかを判断する。
制御部120は、設定項目の内容を変更する命令を受け取った場合、受け取った命令から、設定項目を識別する識別情報及び設定項目について変更後の内容を示す変更値を抽出し、抽出した識別情報及び変更値を、変更部121及び判断部122に対して、出力する。また、制御部120は、画像処理の実行命令を受け取った場合、画像処理の実行命令を、判断部122に対して、出力する。
制御部120は、画像処理を継続して行う実行命令を受け取った場合、利用者により指示された画像処理を行うように、主制御部100に指示を出力する。主制御部100は、画像処理を行う。
制御部120は、その他の命令である場合を受け取った場合、その他の命令に対応するその他の処理を行うように、主制御部100に指示を出力する。主制御部100は、その他の処理を行う。
(2)変更部121
変更部121は、制御部120から、設定項目を識別する識別情報及び設定項目について変更後の内容を示す変更値を受け取る。識別情報及び変更値を受け取った場合、変更部121は、記憶部113の設定項目テーブル290に記憶され、受け取った識別情報により識別される設定項目の既定値を、受け取った変更値に変更する。
例えば、変更部121は、制御部120から、設定項目「原稿の読取面」を識別する識別情報及び変更値「片面」を受け取り、設定項目「印刷面」を識別する識別情報及び変更値「片面」を受け取る。この場合、変更部121は、設定項目テーブル290の設定項目「原稿の読取面」の既定値を変更値「片面」に変更し、設定項目「印刷面」の既定値を変更値「片面」に変更する。なお、この場合、設定項目「原稿の読取面」及び設定項目「印刷面」の設定値について、変更前の既定値と同じであるので、変更しない、としてもよい。
また、例えば、変更部121は、制御部120から、設定項目「原稿の読取面」を識別する識別情報及び変更値「両面」を受け取り、設定項目「印刷面」を識別する識別情報及び変更値「片面」を受け取る。この場合、変更部121は、設定項目テーブル290の設定項目「原稿の読取面」の既定値を変更値「両面」に変更し、設定項目「印刷面」の既定値を変更値「片面」に変更する。なお、この場合、設定項目「印刷面」の設定値について、変更前の既定値と同じであるので、変更しない、としてもよい。
(3)判断部122
判断部122は、制御部120から、設定項目を識別する識別情報及び設定項目について変更後の内容を示す変更値、並びに、画像処理の実行命令を受け取る。
画像処理の実行命令を受け取った場合、判断部122は、複数の設定項目について、それぞれ、設定された実行条件を示す設定値に基づいて画像処理を実行したと想定したときに、利用者により音声入力がされなかった既定値と、利用者により音声入力がされた変更値との組合せに応じて、入力されなかった設定項目について、利用者に問合せをするか否かを判断する。
具体的には、判断部122は、制御部120から、設定項目を識別する識別情報及び設定項目について変更後の内容を示す変更値を受け取ると、設定項目関係表201、211、221の中から、受け取った識別情報により識別される設定項目を含む設定項目関係表を探して、特定する。
次に、判断部122は、特定した設定項目関係表を用いて、受け取った識別情報により識別される設定項目について変更後の内容を示す変更値と、その他の設定項目の設定値との関係から、利用者に問合せをする必要があるか否かを確認する。判断部122は、得られた結果を通知部123に対して出力する。
得られた結果が「必要」である場合、判断部122は、特定した設定項目関係表に対応して記憶されているメッセージを記憶部113から読み出し、読み出したメッセージを通知部123に対して、出力する。
例えば、設定項目「原稿の読取面」を示す識別情報及びその変更値「両面」並びに設定項目「印刷面」を示す識別情報及びその変更値「片面」を受け取った場合、かつ、設定項目「原稿の綴じ方向」を示す識別情報を受け取らなかった場合、判断部122は、設定項目「原稿の読取面」及び設定項目「印刷面」を含む設定項目関係表211を特定する。次に、判断部122は、設定項目関係表211から、設定項目「原稿の読取面」についての変更値「両面」を含む項目行と、設定項目「印刷面」についての変更値「片面」を含む項目列とが交差する項目欄から、結果「必要」を抽出する。次に、判断部122は、結果「必要」を通知部123に対して出力する。この場合、判断部122は、特定した設定項目関係表211に対応して記憶されているメッセージ219を記憶部113から読み出し、読み出したメッセージ219を通知部123に対して、出力する。
(4)通知部123
通知部123は、判断部122から結果を受け取る。受け取った結果が「必要」である場合、通知部123は、判断部122からメッセージを受け取る。
判断部122から受け取った結果が「不要」である場合、通知部123は、何もしない。
判断部122から受け取った結果が「必要」である場合、それは、利用者に対して問合せをすることを示すので、通知部123は、複数の設定項目のうち、利用者により音声入力がされなかった設定項目について、利用者に対して、音声により、設定値の確認を促す通知をする。つまり、受け取ったメッセージを音声合成部115に対して出力し、受け取ったメッセージを音声合成して、メッセージに対応する音声を出力するように、音声合成部115を制御する。また、このとき、通知部123は、複数の設定項目のうち、利用者により音声入力がされなかった設定項目について、利用者に対して、音声により、設定値を入力するよう促す通知をし、又は、利用者に対して、音声により、設定すべき設定値を指定する通知をしてもよい。このように、通知部123は、利用者に対する問合せをすると判断する場合、入力されなかった設定項目に関して、利用者に対し、応答を促す通知を行う。
1.8 画像形成システム1の動作
(1)設定項目の変更及び画像処理の動作
画像形成システム1の動作のうち、設定項目の内容を変更する命令及び画像処理の実行命令等を受け取り、複数の設定項目の各々の設定値に基づいて、画像処理の実行の想定のもとに、利用者に対して問合せをするか否かを判断する動作等について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。
制御部120は、設定項目テーブル290内の各設定項目について、その設定値が既定値となるように、初期化する(ステップS101)。
次に、制御部120は、利用者から音声による入力を受け付ける音声入力モードか否かを判断する(ステップS102)。音声入力モードでない場合(ステップS102で「NO」)、操作パネル19を用いた操作が行われる。
音声入力モードである場合(ステップS102で「YES」)、制御部120は、記憶部113に記憶されているメッセージを読み出す。このメッセージは、一例として、「音声入力を始めます。音声で指示をしてください。」である。次に、制御部120は、音声合成部115に対して、このメッセージを出力し、このメッセージを基にして音声を合成するように、音声合成部115に指示する。音声合成部115は、このメッセージを基にして音声信号を合成する(ステップS104)。
次に、音声合成部115は、合成した音声信号をスピーカー31に対して出力し、スピーカー31は、音声を出力する(ステップS105)。
次に、マイク32は、利用者の音声を入力して音声信号を生成し(ステップS106)、音声認識処理部114は、音声信号を用いて、音声の内容を認識し、複数個の文字列からなる認識結果情報を、命令生成部116に対して、出力する。命令生成部116は、認識結果情報の内容を解釈して、設定項目の内容を変更する命令、画像処理の実行命令、画像処理を継続して行う実行命令及びその他の命令を生成し、制御部120に対して出力する(ステップS107)。
制御部120は、受け取った命令が、設定項目の内容を変更する命令、画像処理の実行命令、画像処理を継続して行う実行命令及びその他の命令の何れであるかを判断する(ステップS108)。
設定項目の内容を変更する命令である場合(ステップS108で「設定値の変更命令」)、変更部121は、制御部120から、設定項目を識別する識別情報及び設定項目について変更後の内容を示す変更値を受け取り、受け取った識別情報により識別される設定項目に設定されている既定値を、受け取った変更値に変更する(ステップS109)。次に、制御部120は、記憶部113に記憶されているメッセージを読み出す。このメッセージは、一例として、「設定値を変更しました。音声で指示をしてください。」である。次に、制御部120は、音声合成部115に対して、このメッセージを出力し、このメッセージを基にして音声を合成するように、音声合成部115に指示する。音声合成部115は、このメッセージを基にして音声信号を合成する(ステップS111)。次に、制御部120は、ステップS105に制御を移して、処理を繰り返す。
画像処理の実行命令である場合(ステップS108で「画像処理の実行指示」)、判断部122は、他の設定値の確認処理を行う(ステップS112)。他の設定値の確認処理の詳細については、後述する。次に、判断部122は、確認処理の結果が「不要」であるか、「必要」であるかを判断する(ステップS113)。確認処理の結果が「必要」である場合(ステップS113で「必要」)、制御部120は、記憶部113に記憶されているメッセージを読み出す。このメッセージは、一例として、「原稿の向きは上ですが、正しいですか」である。次に、制御部120は、音声合成部115に対して、このメッセージを出力し、このメッセージを基にして音声を合成するように、音声合成部115に指示する。音声合成部115は、このメッセージを基にして音声信号を合成する(ステップS115)。次に、制御部120は、ステップS105に制御を移して、処理を繰り返す。
確認処理の結果が「不要」である場合(ステップS113で「不要」)、制御部120は、利用者により指示された画像処理を行うように、主制御部100に指示を出力する。主制御部100は、画像処理部104、ネットワーク通信部107、イメージリーダー制御部108、FAX通信部109及びプリンター制御部110等を制御して、画像処理を行う(ステップS116)。画像処理が終了すると、一連の処理が終了する。
画像処理を継続して行う実行命令である場合(ステップS108で「正しい」)、制御部120は、利用者により指示された画像処理を行うように、主制御部100に指示を出力する。主制御部100は、画像処理を行う(ステップS116)。画像処理が終了すると、一連の処理が終了する。
その他の命令である場合(ステップS108で「その他」)、その他の処理が行われる。
以上により、いずれかの設定項目が変更され、複数の設定項目に基づく画像処理が終了する。
(2)他の設定値の確認処理
他の設定値の確認処理について、図8に示すフローチャートを用いて説明する。
判断部122は、記憶部113に記憶されている設定項目関係表201、211、221、・・・の中から、音声入力された設定項目を含む設定項目関係表を探して、特定する(ステップS131)。
次に、判断部122は、特定した設定項目関係表を用いて、音声入力された設定項目の設定値と、他の設定項目の設定値との関係から、画像処理を実行したと想定したときの結果を抽出する(ステップS132)。その結果は、「不要」及び「必要」のいずれかである。
1.9 具体例
画像処理の具体例について、以下に説明する。
(1)ケース1
利用者が「片面の原稿を片面印刷で」と音声で入力した場合、音声認識処理部114は、設定項目(A)として、「原稿の読取面」が「片面」であり、設定項目(B)として、「印刷面」が「片面」であると解釈する。なお、ここでは、設定項目「ステープル」は、既定値として、「OFF」(ステープルをしない)であるとする。
その後、利用者が、画像処理として、「印刷」と音声入力した場合、複数の設定項目に基づいて、「印刷」を実行したと想定し、利用者により音声入力がされなかった既定値と、利用者により音声入力がされた変更値との組合せに応じて、入力されなかった設定項目について、利用者に問合せをするか否かを判断する。
設定項目(A)が「原稿の読取面」であり、設定項目(B)が「印刷面」であるので、記憶部113に記憶されている設定項目関係表201、211、221、・・・から、設定項目として、「原稿の読取面」及び「印刷面」を含む設定項目関係表211が特定される。
設定項目関係表211において、設定項目(A)「原稿の読取面」の設定値「片面」を含む項目行と、設定項目(B)「印刷面」の設定値「片面」を含む項目列とが交差する項目欄には、「不要」が記憶されている。
従って、ケース1では、利用者に対して問合せをしないと判断し、「印刷」を実行する。
図9に、ケース1の場合における実際の原稿の向きと、印刷される記録シートにおける印刷方向とを示す。この図の上段に、原稿251a、251b、251c及び251dを示し、下段に、記録シート252a、252b、252c及び252dを示す。ここで、記録シート252a、252b、252c及び252dは、それぞれ、原稿251a、251b、251c及び251dから、印刷されたものである。
原稿251a、251b、251c及び251dの向きは、それぞれ、「上」、「右」、「下」、「左」である。また、記録シート252a、252b、252c及び252dの印刷方向は、それぞれ、「上」、「右」、「下」、「左」である。
ケース1の場合には、原稿の向きが「上」、「右」、「下」、「左」のいずれであっても(251a、251b、251c、251d)、設定項目(A)「原稿の読取面」が「片面」であり、設定項目(B)「印刷面」が「片面」であるので、印刷される記録シート252a、252b、252c、252dにおける印刷方向は、それぞれの原稿の向きと一致している。
このように、原稿の向きに応じて、記録シートにおける印刷方向は、それぞれの方向を向いているが、問題はない。
(2)ケース2
利用者が「両面の原稿を片面印刷で」と音声で入力した場合、音声認識処理部114は、設定項目(A)として、「原稿の読取面」が「両面」であり、設定項目(B)として、「印刷面」が「片面」であると解釈する。
その後、利用者が、画像処理として、「印刷」と音声入力した場合、複数の設定項目に基づいて、「印刷」を実行したと想定し、利用者により音声入力がされなかった既定値と、利用者により音声入力がされた変更値との組合せに応じて、入力されなかった設定項目について、利用者に問合せをするか否かを判断する。
設定項目(A)が「原稿の読取面」であり、設定項目(B)が「印刷面」であるので、記憶部113に記憶されている設定項目関係表201、211、221、・・・から、設定項目として、「原稿の読取面」及び「印刷面」を含む設定項目関係表211が特定される。
設定項目関係表211において、設定項目(A)「原稿の読取面」の設定値「両面」を含む項目行と、設定項目(B)「印刷面」の設定値「片面」を含む項目列とが交差する項目欄には、「必要」が記憶されている。
ここで、利用者によって入力されなかった設定項目「原稿の綴じ方向」は、既定値の「左」に設定されているとする。
図10に、ケース2の場合における実際の原稿の向きと、印刷される記録シートにおける印刷方向とを示す。
この図の上段に、第1の原稿の表面253a及び裏面253b、並びに、第2の原稿の表面255a及び裏面255bを示す。第1の原稿の綴じ位置は、253cであり、第1の原稿は、綴左綴じである。一方、第2の原稿の綴じ位置は、255cであり、第2の原稿は、上綴じである。
また、この図の下段に、記録シート254a及び254b、並びに、記録シート256a及び256bを示す。記録シート254a及び254bは、第1の原稿から印刷されたものであり、記録シート256a及び256bは、第2の原稿から印刷されたものである。
実際の原稿の綴じ方向が「左」である場合(253a、253b)には、設定項目「原稿の綴じ方向」の既定値の「左」に一致しているので、印刷される記録シート254a、254bにおける印刷方向に問題はない。
しかし、実際の原稿の綴じ方向が「上」である場合(255a、255b)には、設定項目「原稿の綴じ方向」の既定値の「左」に一致しないので、印刷される記録シート256a、256bは、それぞれの方向が逆転している。
このように、設定項目(A)と(B)が指定されていることにより、「原稿の綴じ方向」が正しくなかった場合に、画像の向きが揃わずに印刷されてしまう可能性があり、利用者の意図に反したものとなる可能性がある。
ケース2では、設定項目関係表211において、設定項目(A)「原稿の読取面」の設定値「両面」を含む項目行と、設定項目(B)「印刷面」の設定値「片面」を含む項目列とが交差する項目欄から、結果「必要」が抽出され、利用者に対して問合せをすると判断し、画像形成システム1は、利用者に対して、「原稿の綴じ方向は左で正しいですか」と問い合わせる。
利用者が設定項目「原稿の綴じ方向」の設定値を変更する入力操作をすれば、画像形成システム1は、その操作を受け付ける。原稿の綴じ方向が、印刷時の原稿画像の記録シートに対する回転の要否と、回転角の大きさとを決定する。具体的には、原稿の綴じ方向が「左」の場合、回転は不要であり、原稿の綴じ方向が「上」の場合、回転角は、180°となる。決定した回転の要否と、回転角の大きさに応じて、原稿画像の回転処理が行われる。一方、利用者が「正しいので印刷開始」と入力すると画像処理を開始する。
以上説明したように、マイク32は、第1の設定項目としての原稿の読取面について、設定値として両面を入力し、第2の設定項目としての印刷面について、設定値として片面を入力する。入力されなかった設定項目は、原稿の綴じ方向であり、設定値は、既定値として、第1方向である。この場合、判断部122は、利用者に問合せをすると判断する。通知部123は、原稿の綴じ方向が第1方向であるか、利用者に対し、確認を促す通知を行う。
ここで、上記においては、利用者によって入力されなかった設定項目「原稿の綴じ方向」は、既定値として、「左」に設定されているが、これには限定されない。既定値として、「上」又は「右」に設定されている、としてもよい。また、既定値として、「長辺」又は「短辺」に設定されている、としてもよい。
このように、第1方向は、上方向、右方向、左方向、長辺、短辺の何れか一つである。
(3)ケース3
利用者が「片面の原稿を片面印刷で、左側に2点ステープルする」と音声で入力した場合、音声認識処理部114は、設定項目(A)「原稿の読取面」が「片面」であり、設定項目(B)「印刷面」が「片面」であり、設定項目(C)「ステープル」が「2点」であり、設定項目(D)「ステープル位置」が「左側」であると解釈する。
その後、利用者が、画像処理として、「印刷」と音声入力した場合、複数の設定項目に基づいて、「印刷」を実行したと想定し、利用者により音声入力がされなかった既定値と、利用者により音声入力がされた変更値との組合せに応じて、入力されなかった設定項目について、利用者に問合せをするか否かを判断する。
このとき、利用者によって入力されなかった設定項目「原稿の向き」は、既定値の「上」に設定されているとする。
しかしながら、設定項目(C)、(D)が指定されていることで、実際の原稿の向きが設定項目「原稿の向き」の既定値と一致しない場合に、利用者の意図に反する位置にステープルが行われてしまう可能性がある。
設定項目(C)が「ステープル」であり、設定項目(D)が「ステープル位置」であるので、記憶部113に記憶されている設定項目関係表201、211、221、・・・から、設定項目として、「ステープル」を含む設定項目関係表201が特定される。
設定項目(C)「ステープル」が「2点」であり、設定項目「原稿の向き」が入力されていないので、設定項目関係表211において、設定項目(C)「ステープル」の設定値「ON」を含む項目行と、設定項目「原稿の向き」の設定値「入力なし」を含む項目列とが交差する項目欄から、結果「必要」が抽出され、利用者に対して問合せをすると判断する。
そのため、画像形成システム1は、利用者に「原稿の向きは上ですが、正しいですか」と問い合わせる。
利用者から原稿の向きの設定変更があればそれを受け付ける。また利用者が「正しいので印刷開始」と入力すると、画像形成システム1は、画像処理を開始する。
図11に、ケース3の場合における実際の原稿の向きと、印刷される記録シートにおける印刷方向及びステープルの位置とを示す。
この図の上段に、原稿257a、257b、257c及び257dを示し、下段に、記録シート258a、258b、258c及び258dを示す。記録シート258a、258b、258c及び258dは、それぞれ、原稿257a、257b、257c及び257dから、印刷されたものである。また、下段には、記録シート258a、258b、258c及び258dのそれぞれにおけるステープルの位置259a、259b、259c及び259dを示す。
記録シート258aにおいては、その左端にステープルの位置259aが存在し、記録シート258bにおいては、その左端にステープルの位置259bが存在する。記録シート258cにおいては、その左端にステープルの位置259cが存在し、記録シート258dにおいては、その左端にステープルの位置259dが存在する。
実際の原稿の向きが「上」である場合(257a)には、設定項目「原稿の向き」の既定値の「上」に一致しているので、印刷される記録シート258aにおけるステープルの位置259aに問題はない。
しかし、実際の原稿の向きが「右」である場合(257b)には、設定項目「原稿の向き」の既定値の「上」に一致していないので、印刷される記録シート258bにおけるステープルの位置259bは、利用者の意図に反して、記録シートの印刷方向上側となっている。
また、実際の原稿の向きが「下」である場合(257c)には、設定項目「原稿の向き」の既定値の「上」に一致していないので、印刷される記録シート258cにおけるステープルの位置259cは、利用者の意図に反して、記録シートの印刷方向右側となっている。
また、実際の原稿の向きが「左」である場合(257d)には、設定項目「原稿の向き」の既定値の「上」に一致していないので、印刷される記録シート258dにおけるステープルの位置259dは、利用者の意図に反して、記録シートの印刷方向下側となっている。
以上説明したように、複数の設定項目のうち、第1の設定項目は、後処理に係る設定である。マイク32は、第1の設定項目としての後処理について、設定値として後処理を行うことを入力する。第2の設定項目は、第1の設定項目に関連する設定であり、前記第2の設定項目について、音声入力がされていない。この場合、判断部122は、利用者に問合せをすると判断する。通知部123は、第2の設定項目に関して、利用者に対し、応答を促す通知を行う。
また、入力されなかった第2の設定項目は、イメージリーダー部11に対して原稿をセットする方向であり、設定値は、既定値として、第1方向である。通知部123は、原稿をセットする方向が第1方向であるか、利用者に対し、確認を促す通知を行う。
ここで、上記においては、このとき、利用者によって入力されなかった設定項目「原稿の向き」は、既定値の「上」に設定されているが、これには限定されない。既定値として、「下」、「左」又は「右」に設定されている、としてもよい。また、既定値として、原稿の「長辺」又は「短辺」に設定されている、としてもよい。
このように、第1方向は、上方向、下方向、左方向、右方向、長辺、短辺の何れか一つである。
(4)ケース4
利用者が「xxx会社へFAX」と音声で入力した場合、音声認識処理部114は、設定項目(A)「FAX宛先」が「xxx会社」であると解釈する。
その後、利用者が、画像処理として、「実行」と音声入力した場合、複数の設定項目に基づいて、「FAX」を実行したと想定し、利用者により音声入力がされなかった既定値と、利用者により音声入力がされた変更値との組合せに応じて、入力されなかった設定項目について、利用者に問合せをするか否かを判断する。
このとき、原稿の読取り時の条件の一つである設定項目「解像度」は、利用者によって入力されていない。また、設定項目「解像度」は、既定値の「200dpi」に設定されている、とする。
設定項目(A)が「FAX宛先」であるので、記憶部113に記憶されている設定項目関係表201、211、221、・・・から、設定項目として、「FAX宛先」を含む設定項目関係表221が特定される。
設定項目関係表221において、設定項目(A)「FAX宛先」を含む項目行と、設定項目「解像度」の設定値「入力なし」を含む項目列とが交差する項目欄から、結果「必要」が抽出され、利用者に対して問合せをすると判断する。
細密に記された手書き原稿等をファクシミリにより送付する場合、高解像度でなければ、送信先での可読性が悪くなってしまう。
そのため、画像形成システム1は、利用者に「解像度は200dpiでよいですか?」と問い合わせる。
利用者から解像度の設定変更があればそれを受け付ける。また、利用者が「正しいので実行」と入力すると、画像形成システム1は、ファクシミリ送信を開始する。
以上説明したように、画像処理は、イメージリーダー部11により原稿を読み取って画像データを生成し、FAX通信部109により画像データを別の装置に対する送信する処理である。複数の設定項目のうち、第1の設定項目は、送信に係る設定である。マイク32は、第1の設定項目としての送信について、設定値として送信を行うことを入力する。第2の設定項目は、第1の設定項目に関連する設定であり、第2の設定項目について、音声入力がされていない。通知部123は、第2の設定項目に関して、利用者に対し、応答を促す通知を行う。
ここで、第2の設定項目は、原稿の読取り時の条件を示す、としてもよい。
また、マイク32は、第1の設定項目の設定値としてファクシミリの宛先を入力する。入力されなかった第2の設定項目は、原稿を読み取る場合の解像度であり、設定値は、既定値として、閾値以下の低い解像度(200dpi)である。この場合、判断部122は、利用者に問合せをすると判断する。通知部123は、既定値としての低い解像度(200dpi)について、利用者に対し、確認を促す通知を行う。
さらに、入力されなかった第2の設定項目は、原稿をカラー読取りするかモノクロ読取りをするかの設定であり、設定値は、既定値として、モノクロ読取りであるとしてもよい。この場合、判断部122は、利用者に問合せをすると判断する。通知部123は、既定値としてのモノクロ読取りについて、利用者に対し、確認を促す通知を行う。
カラーの原稿をファクシミリにより送付する場合、第2の設定項目が、原稿をカラー読取りするかモノクロ読取りをするかの設定であり、設定値は、既定値として、モノクロ読取りである場合、利用者がモノクロ読み取りであることを知らずに、カラーの原稿をファクシミリにより送付すると、受信側では、当然、モノクロの出力がされる。このようなケースは、利用者の意図に反するものであるので、利用者に対し、既定値としてのモノクロ読取りについて、確認を促す通知を行うことが適切である。
1.10 まとめ
以上説明したように、音声によって設定項目の入力を行う際、利用者がその内容を知らない既定値の設定項目と、利用者により入力された設定項目との組合せによっては、利用者の意図に反する事象が発生する可能性がある。この場合に、上記の実施の形態において説明したように、利用者により音声入力がされなかった設定項目について、利用者に対して、応答を促す通知を行うので、利用者の意図に反する事象の発生を防止できる、という優れた効果を奏する。
2 その他の変形例
本発明について、上記の実施の形態に基づいて説明しているが、上記の実施の形態に限定されない。以下に示すようにしてもよい。
(1)以下に示すように、利用者認証によって特定した利用者毎に、設定値を確認するための判断の方法を可変としてもよい。
画像形成システム1の記憶部113は、利用者毎に利用者を識別する識別情報及びパスワードを記憶していてもよい。パスワードは、その利用者だけが知っているものとする。画像形成システム1は、画像形成システム1を利用しようとする利用者に対して、識別情報及びパスワードの入力を要求してもよい。これにより、画像形成システム1を利用しようとする利用者が正当な権限を有するかを確認する。正しく識別情報及びパスワードを入力した利用者は、画像形成システム1が提供する全ての機能を利用できるとしてもよい。また、識別情報及びパスワードを入力した利用者は、画像形成システム1が提供する特定の機能を利用できるとしてもよい。
また、画像形成システム1は、過去において、利用者毎に、利用者が識別情報及びパスワードの入力をした回数を記憶していてもよい。
入力した回数は、過去において、その利用者が画像形成システム1を使用した回数であって、その利用者の画像形成システム1の操作に対する熟練度を反映していると考えることができる。
記憶部113は、利用者の識別情報に対応付けて、当該利用者の画像形成システム1の操作に対する熟練度を記憶していてもよい。熟練度は、入力した回数に依存して設定される、としてもよい。つまり、熟練度は、入力した回数が多いほど、高く設定され、入力した回数が少ないほど、低く設定される、としてもよい。
熟練度は、2段階、つまり、高い熟練度及び低い熟練度に分類されてもよい。また、熟練度は、3段階、つまり、高い熟練度、中程度の熟練度及び低い熟練度に分類されてもよい。また、熟練度は、4段階以上に分類されてもよい。
各段階は、閾値により区分される。例えば、熟練度が3段階に分類される場合、第1閾値及び第2閾値により、3段階が区分される。ここで、第2閾値は、第1閾値より小さい。熟練度が第1閾値以上である場合、高い熟練度に対応する第1段階である。第2閾値以上、第1閾値未満である場合に、中程度の熟練度に対応する第2段階である。第2閾値未満である場合、低い熟練度に対応する第3段階である。なお、熟練度が4段階以上に分類される場合、3個以上の閾値により、段階が区分される。
熟練度が3段階に分類される場合、次に示すようにしてもよい。
利用者の熟練度が第1閾値以上である場合に、判断部122は、利用者により音声入力がされなかった既定値と、利用者により音声入力がされた変更値との組合せに応じて、入力されなかった設定項目について、利用者に問合せをしないと、判断してもよい。この場合、当該利用者に対して、設定値を確認する必要はない。この場合、図7に示すステップS112~S115を実行する必要はない。
高い熟練度の利用者は、音声入力がされなかった既定値と、利用者により音声入力がされた変更値との組合せに起因して、どのような利用者の意図に反する事象が発生するか、よく理解している。従って、このような利用者に対して、設定値を確認する必要はない。
利用者の熟練度が第2閾値以上、第1閾値未満である場合に、判断部122は、原稿の読取面の設定項目について、既定値として、原稿の両面の読取りが設定されているときに限り、利用者に対して問合せをするか否かを判断してもよい。なお、原稿の読取面の設定項目について、原稿の両面の読取りが設定されているときには、限らず、その他の特定の設定項目について特定の既定値が設定されている場合のみ、利用者に対して問合せをするか否かを判断してもよい。
中程度の熟練度の利用者は、特定の設定項目についてのみ、音声入力がされなかった既定値と、利用者により音声入力がされた変更値との組合せに応じて、入力されなかった設定項目について、利用者に問合せをするか否かを判断して、問合せが必要な場合に、利用者に対して、設定値の確認を促す通知をする。特定の設定項目とは、例えば、原稿の読取面の設定項目であり、この設定項目について、既定値として原稿の両面の読取りが設定されている場合には、操作方法が複雑であるので、利用者の意図に反する事象の発生を防ぐため、設定値の確認を促す通知をすることが有効である。
中程度の熟練度の利用者は、上記の特定の設定項目を除き、その他の設定項目について、音声入力がされなかった既定値と、利用者により音声入力がされた変更値との組合せに起因して、どのような利用者の意図に反する事象が発生するか、よく理解していると考えられる。従って、その他の設定項目について、中程度の熟練度の利用者に対して、設定値の確認を促す通知をする必要はない。
利用者の熟練度が前記第2閾値未満である場合に、判断部122は、複数の設定項目のうち、全ての設定項目の既定値に関して、入力されなかった設定項目について、利用者に問合せをするか否かを判断してもよい。
低い熟練度の利用者の場合は、このように、全ての設定項目の既定値に関して、上記の判断をして、利用者に問合せをすると判断される場合に、設定値の確認を促す通知をすることにより、利用者の意図に反する事象の発生を防ぐことができる。
上述したように、記憶部113は、利用者毎に、画像形成システム1の操作に対する熟練度を記憶している、としてもよい。判断部122は、利用者の熟練度が第1閾値未満である場合に、問合せをするか否かを判断し、利用者の熟練度が第1閾値以上である場合に、問合せをしないと判断してもよい。
また、複数の設定項目のうち、一の設定項目が原稿の読取面の設定である、としてもよい。判断部122は、利用者の熟練度が第1閾値より小さい第2閾値以上、第1閾値未満である場合に、原稿の読取面の設定項目について、入力されなかった既定値として、原稿の両面の読み取りが設定されているときに限り、問合せをするか否かを判断してもよい。また、利用者の熟練度が第2閾値未満である場合に、複数の設定項目のうち、全ての設定値に関して、問合せをするか否かを判断してもよい。
(2)利用者から設定項目の設定値として、原稿の向き(原稿をセットする方向)の入力がなく、画像形成をする指示があった場合、判断部122は、他の設定項目の設定値(例えば、印刷面として両面、原稿の綴じ方向として、上綴じ)に基づいて、原稿の向きの正確性が必要かどうか判定してもよい。
正確性が必要でない場合、制御部120は、利用者が設定した値に従い画像形成を実施するよう、制御してもよい。
正確性が必要である場合、判断部122は、状況に応じて有効な設定項目の設定値を選択し、通知部123は、利用者に対して、原稿の向きの確認を促す通知をしてもよい。
原稿の向きと、他の設定項目の設定値(例えば、印刷面として両面、原稿の綴じ方向として、上綴じ)との関係で、利用者の意図に反する事象が発生する可能性が高く、この場合に、利用者に対して設定値の確認を促す通知をすることが、利用者の意図に反する事象の発生を防ぐために、有効である。
(3)片面原稿で、イメージリーダー部11において、原稿のSEF(short edge feed、縦姿勢)、LEF(long edge feed、横姿勢)のどちらでもセット可能な場合、通知部123は、利用者に対して、原稿の向きを指示する通知をしてもよい。ここで、画像形成システム1が発音する音声例は、「原稿の向きを上にしてセットしてください」である。
このように、通知部123は、利用者に対して、原稿の向きを指示する通知をすることにより、画像形成システム1と利用者との間で、画像形成システム1から利用者に対する要求と、利用者からの応答とが繰り返されることがない。
片面原稿で、イメージリーダー部11において、原稿がSEF、LEFのいずれかしかセットできない場合、通知部123は、利用者に対して、原稿の向きの音声入力を促す通知をしてもよい。ここで、画像形成システム1が発音する音声例は、「セットする原稿の向きは上、下、右、左のうちどれですか?」である。
(4)両面原稿の場合、原稿の向きに加えて、原稿の綴じ方向の指定をしなければならないケースがある。原稿の綴じ方向については画像形成装置を頻繁に利用しない人にとっては、指示することが難しい。
(a)この場合、画像形成システム1から利用者に対して音声により問い合わせて、利用者に入力を促すよりも、視覚的な問い合わせの方が効果的であるため、図12に示すように、操作パネル19上に原稿の綴じ方向の選択肢を表すメニュー301を表示し、利用者に選択を求める通知をしてもよい。次に、図13に示すように、操作パネル19上に原稿の向きの選択肢を表すメニュー311を表示し、利用者に選択を求める通知をしてもよい。
原稿の綴じ方向を表したメニュー301には、図12に示すように、選択肢302、303、304及び305が表示されている。選択肢302、303、304及び305には、それぞれ、「自動」、「左開き」、「右開き」及び「上開き」と表記されている。「左開き」、「右開き」及び「上開き」は、それぞれ、上述したように、設定項目「原稿の綴じ方向」について、「左綴じ」、「右綴じ」及び「上綴じ」に対応している。ここで、「自動」は、原稿の綴じ方向を、画像形成システム1が自動的に判別することを示している。ここで、自動的な判別をするには、原稿の表面と裏面とを読み取り、それぞれの面に表示されている文字等の方向により、裏面と表面の上下方向を判定し、これにより、原稿の綴じ方向を推定すればよい。
また、原稿の向きの選択肢を表すメニュー311は、図13に示すように、選択肢312、313、314及び315が表示されている。選択肢312、313、314及び315は、それぞれ、原稿の向きが、「上」、「右」、「左」及び「下」の場合に対応している。
(b)例えば、操作パネルがスリープ状態である場合等、操作パネルが利用できない場合、判断部122は、利用者に対する音声指示と問合せの組み合わせによって、原稿の向きと原稿の綴じ方向を決定してもよい。
例えば、通知部123は、音声により利用者に対して、「裏面の原稿の向きを上にしてセットしてください」のように指示する通知をし、原稿がセットされた後、音声により利用者に対して、「表面の原稿の向きは上、下、右、左のうちどれですか?」と問い合わせる通知をしてもよい。問合せの後、利用者からの応答を受け取る。このように、利用者に対する音声指示と問合せの組み合わせによって、原稿の向きと原稿の綴じ方向を決定できる。
また、操作パネルが利用できず、原稿がSEF、LEFのいずれかしかセットできない場合は、通知部123は、「表面の原稿の向きは、上、下、右、左のうちどれですか?」のように、音声により利用者に対して、原稿の向きの音声入力を促す通知をし、利用者からの応答を受け取る。次に、通知部123は、「裏面の原稿の向きは、上、下、右、左のうちどれですか?」のように、音声により利用者に対して、原稿の向きの音声入力を促し、利用者からの応答を受け取る。このように、利用者に対する問合せの組み合わせによって、原稿の向きと原稿の綴じ方向を決定できる。
(c)原稿について、SEF、LEFの両方が可能か、一方のみ可能かの判定は、次のようにして行ってもよい。例えば、センサーにより、セットされた原稿の厚みを検知し、検知した厚みにより、原稿の枚数を推定し、推定した原稿の枚数を用いて、読み込み時間を予測し、こうして、予測した読み込み時間が、閾値以上であれば、原稿が大量であるので、LEFのみ可能と判定してもよい。予測した読み込み時間が、閾値未満であれば、SEF、LEFのうちのいずれかが可能であると判定してもよい。
また、原稿の向きと、出力に用いる記録シートの向きとの関係で、原稿を読み取って生成した画像データを回転処理する必要があることから、そのためのメモリが必要となる場合がある。このような場合、画像データを回転処理するためのメモリの容量が十分に備わっているか否かにより、SEF、LEFの両方が可能か、一方のみ可能かの判定を行ってもよい。
要するに、イメージリーダー部11は、原稿をセットする方向として、原稿の縦姿勢及び原稿の横姿勢の両方を受け付け、原稿の縦姿勢及び原稿の横姿勢のいずれか一方でセットした場合、他のセット方向と比較して、原稿の読取時間又は画像を回転処理するために使用するメモリの使用量に違いがある。この場合、通知部123は、利用者に対して、原稿をセットする方向の入力を促す通知を行う。
(5)過去に実行された画像処理の結果、利用者の意図に反する事象が発生した場合に参照された複数の設定項目に設定された設定値の組を用いて、現在の複数の設定項目に設定された設定値の組において、利用者の意図に反する事象が発生するか否かを判断してもよい。
例えば、記憶部113は、図14に示す再印刷履歴テーブル320を記憶している、としてもよい。再印刷履歴テーブル320は、過去に実行された画像処理の結果、利用者の意図に反する事象が発生した場合について、画像処理において参照された複数の設定項目に設定された設定値の組を履歴情報として記憶している。
利用者の意図に反する事象が発生したか否かは、次のようにして知ることができる。画像形成システム1は、利用者の指示により画像処理を行うときに、原稿から読み取った画像データ(第1画像データ)を一時的に記憶しておく。また、この画像処理において参照された複数の設定項目に設定された設定値の組も一時的に記憶しておく。この画像処理が利用者の意図に反するものであると利用者がわかったときに、利用者は、再度、画像処理を行う。このときに原稿から読み取った画像データ(第2画像データ)を、一時的に記憶している第1画像データと比較し、一致すれば、利用者が原稿画像に対する画像処理をやり直した、つまり、第1画像データについて、利用者の意図に反する事象が発生したものとして、一時的に記憶している複数の設定項目に設定された設定値の組を、履歴情報として、再印刷履歴テーブル320に書き込む。
なお、利用者の指示により行われた画像処理において、利用者の意図に反する事象が発生した場合に、画像形成システム1は、利用者から上記の事象が発生したことを示す指示を受け付け、この指示を受け付けたときに、上記の事象が発生した画像処理において参照された複数の設定項目に設定された設定値の組を、履歴情報として、再印刷履歴テーブル320に書き込む、としてもよい。
図14に示す再印刷履歴テーブル320は、番号327に対応付けて、原稿面321、原稿の綴じ方向322、原稿の向き323、印刷面324、ステープル325、ステープル位置326からなる履歴情報を、1個以上、含んでいる。これらの原稿面321、原稿の綴じ方向322、原稿の向き323、印刷面324、ステープル325、ステープル位置326は、過去において、利用者の意図に反する事象が発生した場合に、設定項目に設定された設定値である。これらの設定値の一部は、未入力となっている。
また、記憶部113は、再印刷履歴テーブル320の各履歴情報に対応付けて、メッセージを記憶している。例えば、番号327「2」に対応する履歴情報には、メッセージ「原稿の綴じ方向は、左で正しいですか」である。
判断部122は、マイク32により、画像処理の実行を指示する入力を受け付けた時点における複数の設定項目に設定された設定値の組が、再印刷履歴テーブル320に、履歴情報として記憶されている複数の設定項目に設定された設定値の組のいずれかと一致するか否かを判断する。一致する場合に、判断部122は、利用者に対して問合せを行うと判断してもよい。一致しない場合に、判断部122は、利用者に対して問合せを行わない、と判断してもよい。
一致する場合に、通知部123は、利用者に対して、未入力となっている設定値の確認を促す通知を行ってもよい。このとき、確認の内容として、履歴情報に対応するメッセージが読み出され、読み出されたメッセージが、音声として出力される。
このように、過去に発生した利用者の意図に反する事象についての、設定項目の設定値の履歴情報を用いて、利用者に対して問合せをするか否かを判断するので、それぞれの利用者の使用状況に応じて、適切な判断をすることができる。
以上説明したように、複数の設定項目について各々設定された実行条件を示す設定値に基づいて画像処理を実行する画像形成システム1は、複数の設定項目について、各々、設定値として実行条件の既定値を記憶し、過去に再度実行された画像処理の直前に実行された画像処理の基になった複数の設定項目の設定値の組を、履歴情報として記憶している記憶部113と、利用者の音声により、設定項目の設定値を入力するマイク32と、入力された設定値を含む複数の設定項目の設定値の組が、履歴情報として記憶されている複数の設定項目の設定値の組と一致するか否かにより、入力されなかった設定項目について、利用者に問合せをするか否かを判断する判断部122と、問合せをすると判断する場合、入力されなかった設定項目に関して、利用者に対し、応答を促す通知を行う通知部123を備える、としてもよい。
(6)以上のように、設定項目の入力に音声入力を用いた場合、音声入力を行わなかった設定項目の存在自体を知らない利用者であっても、期待どおりの画像処理の結果を得ることができる。
また、音声入力を省略した場合でも、必要に応じて、原稿の向き等、画像形成システム1からの適切な指示及び問合せによって、利用者の負担なく、各設定項目の設定値を確定することができる。
利用者により音声入力がされなかった既定値と、利用者により音声入力がされた変更値との組合せに応じて、入力されなかった設定項目について、利用者に問合せをするか否かは、上述した設定項目関係表201、211、221(図4~図6)を用いて、判断することもできるし、また、上述した再印刷履歴テーブル320(図14)を用いて、判断することもできる。
(7)以下に示すようにしてもよい。
複数の設定項目のうち、第1の設定項目は、イメージリーダー部11に対して原稿をセットする方向(原稿の向き)の設定であり、第2の設定項目は、原稿をセットする方向に依存する設定であるとしてもよい。また、第1の設定項目として、マイク32により、原稿をセットする方向の入力を受け付けておらず、第2の設定項目として、マイク32により、設定値が入力されている、としてもよい。この場合、判断部122は、問合せをすると判断する。通知部123は、さらに、音声入力がされなかった第1の設定項目として、原稿をセットする方向の入力を促す通知を行い、又は、原稿をセットする方向を指定した通知を行う。
通知部123は、音声により、応答を促す通知を行うとしてもよい。
複数の設定項目のうち、一の設定項目は、原稿の読取面の設定であり、原稿の片面のみの読取りが設定されている、としてもよい。
複数の設定項目のうち、一の設定項目は、原稿の読取面の設定であり、原稿の両面の読取りが設定されており、通知部123は、複数の設定項目を表示し、利用者の操作を受け付ける操作パネル19を用いて応答するよう、利用者に対して応答を促す通知を行う、としてもよい。
複数の設定項目のうち、一の設定項目は、原稿の読取面の設定であり、設定値として、原稿の両面の読取りが設定されている、としてもよい。通知部123は、(a)原稿の表面及び裏面について原稿をセットする方向を指定した通知、(b)原稿の表面及び裏面について原稿をセットする方向の入力を促す通知、(c)原稿の表面について原稿をセットする方向を指定した通知、かつ、原稿の裏面について原稿をセットする方向の入力を促す通知、又は、(d)原稿の裏面について原稿をセットする方向を指定した通知、かつ、原稿の表面について原稿をセットする方向の入力を促す通知、を行うとしてもよい。
通知部123は、(a)複数の設定項目を表示し、利用者の入力を受け付ける操作パネル19を用いた入力により、(b)音声による入力により、又は、(c)操作パネル19及び音声の両方による入力により、応答するよう、応答を促す通知を行う、としてもよい。
(8)上述した各装置は、マイクロプロセッサーとメモリとを備えたコンピューターシステムである。メモリは、コンピュータープログラムを記憶しており、マイクロプロセッサーは、コンピュータープログラムに従って動作する。
ここで、コンピュータープログラムは、所定の機能を達成するために、コンピューターに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
また、コンピュータープログラムは、コンピューター読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、半導体メモリなどに記録されているとしてもよい。
また、コンピュータープログラムを、無線又は有線の電気通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するとしてもよい。
(9)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。