JP7123684B2 - ロータ及びモータ - Google Patents

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Description

本発明は、貴金属ブラシと接触する整流子が設けられたロータと、このロータを備えたモータとに関する。
従来、ブラシ付きのモータとして、有底筒状のハウジングの内周面に永久磁石が固定されたステータと、シャフトに固定されて巻線が巻回されたコアを持つロータとを備え、ステータの内側にロータが回転自在に収容された、所謂インナロータ型モータが一般的に知られている。ロータにはシャフトに固定される整流子(コミテータ)が設けられる。整流子は、ブラシが摺動接触する接触部と巻線が接合される端子とを持つ金属製の整流子片が、絶縁性のコアに取り付けられて構成される。
ロータの寿命は、ブラシの摩耗抑制や整流子片の接触部の状態を良好に保つことによって延ばすことが可能である。このため、例えば特許文献1には、整流子片の接触部(電機摺動面)に潤滑油を介して超鏡面による機械的転写を施した金属ブラシ-整流子の構成が開示されている。この構成によれば、ブラシと整流子との金属管溶着による凝着摩耗が抑制され、これによりブラシ損耗を低減できるとされている。
特開2001-119904号公報
ところで、整流子片の接触部とブラシとで構成される電気的接点部では、両者の接触が切れるときに巻線に貯まっているエネルギが放出されて、火花が生じることが知られている。従来のロータには、この火花を消去するためにセラミックディスクバリスタ(以下単に「バリスタ」という)が装着されたものが多い。
しかしながら、ロータに入力される電源電圧が比較的高い場合(高入力の場合)には、バリスタのみでは火花の消去が不十分となることがある。この場合、モータがシリコーンガス(低分子量のシロキサン化合物)の存在する雰囲気で使用されると、火花や摺動熱によりシリコーンが分解され、上記の電気的接点部に絶縁物(二酸化ケイ素)が生成されて通電が阻害される、いわゆる接点障害を招くおそれがある。特に、貴金属ブラシが採用されたモータの場合、整流子片との接触部分に貴金属が使用されているため、カーボンブラシと比較して、ブラシとコミテータとの接触面積が小さく、またブラシを整流子に押し付ける圧力が相対的に弱いため、わずかな絶縁物生成であっても接点障害に至る。このため、ロータの電気的接触部において火花を発生させたくないという要望が強い。
本件は、このような課題に鑑み案出されたもので、電気的接点部における火花の発生を防ぎ、シリコーン雰囲気でのロータ及びモータの寿命を延ばすことを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する発明を実施するための形態に示す各構成により導かれる作用効果であって、従来の技術によっては得られない作用効果を奏することも本件の他の目的である。
(1)ここで開示するロータは、シリコーン雰囲気で使用するモータのロータであって、シャフトと一体回転し、径方向に放射状に延びる複数のティース部を有するロータコアと、前記ティース部に巻回されてなるコイル部を含む巻線と、前記ロータコアに取り付けられて前記シャフトと一体回転し、貴金属ブラシが摺動接触する接触部及び前記巻線が接合される複数の端子を持つ金属製の整流子片を有する整流子と、コンデンサを含み、同一相の前記コイル部の両端が接続された前記端子の間をそれぞれ電気接続する素子と、前記接触部にオイルが塗布されて形成され、前記整流子片の前記接触部をシリコーンガスから保護する保護膜として機能する塗布層と、を備えている。なお、前記コイル部は、1つまたは複数の前記ティース部に巻回されて構成される。例えば、前記コイル部が1つの場合には、前記素子は1つの前記コイル部の両端が接続された前記端子の間をそれぞれ電気接続する。
(2)各々の前記素子は、前記コンデンサと直列接続された抵抗を含むことが好ましい。
(3)前記ロータは、前記シャフトと同軸配置され、前記整流子の周囲において、前記同一相のコイル部の両端が接続された前記端子の間にそれぞれ電気接続される電極を持つバリスタを備えていることが好ましい。例えば、前記コイル部が1つの場合には、前記バリスタの前記電極は、1つの前記コイル部の両端が接続された前記端子の間にそれぞれ電気接続される。
(4)前記素子に含まれる前記コンデンサの容量が10μF以上であることが好ましい。
(5)前記貴金属ブラシに接続される電源電圧は12V以上であることが好ましい。
(6)ここで開示するモータは、上記の(1)~(5)のいずれか1つに記載のロータと、有底筒状のハウジングの内周面に固定された永久磁石を備え、前記ロータの前記シャフトの一端を回転自在に支持するステータと、前記貴金属ブラシを有し、前記ハウジングの開口部に固定されるエンドベルと、を備えており、シリコーン雰囲気で使用される。
開示のロータによれば、端子間に素子を接続して閉ループを作ることで、貴金属ブラシと接触部とで構成される電気的接点部において、両者の接触が切れるときに巻線に貯まっているエネルギを閉ループに流して消費させることができるため、電気的接点部における火花の発生を防ぐことができる。これにより、火花の熱による塗布層の劣化を防止できる。また、火花の熱によって空気中のシリコーンと酸素とが結合して二酸化ケイ素(すなわち絶縁物)が生成されることを防止できる。したがって、ロータがシリコーン雰囲気で使用された場合であっても、電気的接点部をシリコーンガス及び絶縁物から守ることができるため、シリコーン雰囲気でのロータの寿命を大幅に延ばすことができる。
特に、貴金属ブラシが採用されたモータの場合には、ロータの電気的接点部において火花を発生させたくないという要望が強いが、開示のロータ及びモータによれば、このような要望に応えることができる。また、開示のロータを備えたモータも同様に、シリコーン雰囲気でのモータの寿命を大幅に延ばすことができる。
実施形態に係るモータの軸方向半断面図である。 図1のモータのロータが有するロータコアを軸方向から見た平面図である。 図1に示すモータの回路図である。 図1に示すモータのロータを軸方向における整流子側から見た模式的な斜視図である。 図1のモータをシリコーン雰囲気で試験したときの試験結果を試験条件と併せて示す図である。 図3の回路図からバリスタを除いた回路図(変形例)である。 図4に示すロータからバリスタを除いた模式的な斜視図(変形例)である。 図6のモータを図5と同じ試験条件で試験したときの試験結果を示す図である。
図面を参照して、実施形態としてのロータ及びモータについて説明する。以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、以下の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
[1.構成]
図1は、本実施形態のモータ1の軸方向半断面図である。本実施形態のモータ1は、永久磁石界磁式のブラシ付き直流モータであり、ステータ2,ロータ3,エンドベル4を備える。なお、ここではステータ2に永久磁石の4つの磁極を備え、ロータ3に6つの巻線スロットを有する、4極6溝のモータ1を例示する。ステータ2は、有底筒状に形成されたハウジング2Aと、ハウジング2Aの内周面に沿って固定された永久磁石2Bとを備える。永久磁石2Bは、ロータ3が組み立てられた状態で、ロータ3のコア20(以下「ロータコア20」という)と径方向に対向し、ロータコア20を囲むように軸方向へ延設される。
ハウジング2Aの底部中央には円形状の孔部2hが貫設される。この孔部2hには、ロータ3のシャフト(回転軸)5の一端側を回転自在に支持する軸受2Cが内嵌される。エンドベル4は、ハウジング2Aの開口部に固定される蓋部材であり、ブラシ14やターミナル(図示略)を有する。本実施形態のモータ1には、ブラシ14として整流子片と接触して摺動する部分に貴金属薄膜を形成した貴金属フォークブラシが採用される。貴金属の種類としては、例えば銀合金や銅合金、金合金、パラジウム合金等が挙げられる。銀合金層と、他の銀合金層や金合金層、他金属の合金層を重ね貼りしてもよい。また、エンドベル4は、シャフト5の他端側を回転自在に支持する軸受2Dが内嵌される凹部4aとシャフト5が挿通される孔部4hとを有する。
ロータ3は、いずれもシャフト5と一体回転するロータコア20及び整流子10を有する。シャフト5はロータ3を支持する回転軸であり、モータ1の出力を外部に取り出す出力軸としても機能する。ロータコア20は、同一形状の複数の鋼板が積層された積層コアであり、その中心には、鋼板の積層方向に軸方向を一致させた状態でシャフト5が固定される。整流子10はシャフト5に圧入固定されるとともに、ロータコア20に対して取り付けられて周方向位置が規定される。
本実施形態のロータコア20は、図2に示すように、軸方向視で六回回転対称性を持った外形を有する。具体的には、ロータコア20は、シャフト5が固定される貫通孔21hを中央に有し、この貫通孔21hが形成された中央部21から径方向外側へ放射状に延設された六つのティース部22と、各ティース部22の外端部において周方向に互いに離隔して設けられた六つの円弧部23とから構成される。中央部21には整流子10の軸方向端部に形成された突起部(図示略)が嵌合され、整流子10の位置決めがされる。
ロータコア20の周方向に隣接する二つのティース部22及び円弧部23と中央部21とで囲まれたスロット24には、巻線30が配置される。スロット24は、図1及び図4に示すように、シャフト5の軸方向に延びた溝(空間)であり、ロータコア20の周方向において等間隔に六つ形成される。ロータコア20のティース部22には、そのティース部22の両側のスロット24を通して所定のターン数だけ巻線30が巻回される。
巻線30は、絶縁被膜が施され、電流が流れることで磁力を生じさせる絶縁電線である。本実施形態の巻線30は、所定のテンションでΔ結線方式によりロータコア20のティース部22に巻回されてなるコイル部31を有する。図2に示す構成となるように、巻線30が所定のティース部22に巻回され、それぞれの巻線30の端部が所定の関係で整流子10の端子11bに接続される本実施形態の巻線では、軸心を中心点として点対称位置にある2つのティース部22に巻線30が巻回されることで同一相のコイル部31が形成される。なお、巻線30が巻回されるロータコア20のティース部22には絶縁層(図示略)がコーティングされており、絶縁性が保たれている。
図1及び図4に示すように、整流子10は、ロータコア20との間に軸方向に隙間をあけて位置する複数の金属製の整流子片11と、整流子片11が装着される樹脂製の支持体12(図1参照)とを有する。本実施形態の6溝ロータ3の整流子10は、六つの整流子片11を有する。支持体12は、軸方向に貫設された軸孔を有する筒状の絶縁部品であり、シャフト5に固定されるとともにロータコア20に取り付けられ、シャフト5と一体回転する。
各整流子片11は、ブラシ14が摺動接触する接触部11aと、巻線30が接続される端子11bとを有する。接触部11aは、円筒を六分割した形状をなし、支持体12の円筒部分の外周面に面接触された状態で環状の押さえ部材15(図4参照)により支持体12に固定される。整流子片11の端子11bは、接触部11aの円弧状端部から径方向外側へ延設されて屈曲した部位であり、巻線30を係止可能な形状とされる。なお、端子11bに係止された巻線30は、溶接や半田付けといった熱接合(熱を利用した接合処理)により接合される。
本実施形態の接触部11aには、モータ1(ロータ3)をシリコーン汚染から防御するためのオイルが塗布されることで形成された塗布層11cが設けられる。塗布層11cは、整流子片11の接触部11aをシリコーンガスから保護する保護膜として機能する。塗布層11cの機能が発揮される状態であれば、整流子片11の接触部11aとブラシ14とで構成される電気的接点部がシリコーンガスにより汚染されることを防止でき、ロータ3(モータ1)の高寿命化に繋がる。なお、オイルの種類としては、例えば、ポリαオレフィン系オイルやエステル系オイル、フッ素系オイルなどが挙げられる。
また、図1,図3,図4に示すように、本実施形態のロータ3は、シャフト5と同軸配置された円環状のディスクバリスタ13(D/V,以下「バリスタ13」という)を有する。バリスタ13は、例えばコイル部31の軸方向一側の頂上(いわゆる巻山)との間に隙間をあけ、整流子10の周囲を囲むように配置される。バリスタ13は、図3に示すように、同一相のコイル部31の両端が接続された端子11bにそれぞれ電気接続される電極を有し、電極と端子11bとが半田付けや溶接により熱接合される。本実施形態のロータ3では、周方向に並設された六つの端子11bのうち、軸心に関して対称位置にある同電位の端子11b同士が短絡線で接続されているため、周方向に一つ飛ばしの位置の二つの端子11bがそれぞれバリスタ13の電極に接続されている。
バリスタ13は、電気ノイズの原因となるサージ電圧を吸収する機能を持ち、電気的接点部の接触が切れるときコイルの影響で生じる高電圧を吸収することで、発生しうる火花を消去する機能を持つ。接点の切り換わりの際に火花が発生すると、この火花の熱により塗布層11cの劣化を招く。また、ロータ3(モータ1)がシリコーン雰囲気で使用される場合、火花のエネルギにより、空気中に含まれるシリコーン(Si)と酸素(O2)とが結合して二酸化ケイ素(SiO2)が生成される。二酸化ケイ素は絶縁物のため、電気的接点部に付着すると、通電障害を招く。
バリスタ13は、上記の通り、火花消去の機能を持つが、ロータ3(モータ1)に入力される電源電圧が比較的高い場合、例えばブラシ14に接続される電源電圧が12V以上である場合には、火花を十分に消去できないことがある。そこで、本実施形態のロータ3には、バリスタ13に加え、電源電圧が高い場合(高入力の運転領域の場合)であっても火花を十分に消去するために、素子40が設けられる。すなわち、バリスタ13及び素子40はいずれも、火花消去によってロータ3(モータ1)の高寿命化を図る部品である。
図3に示すように、素子40は、バリスタ13と同様、同一相のコイル部31(本実施形態では直列接続された2つのコイル部31)の両端が接続された端子11bの間をそれぞれ電気接続するように、半田付けや溶接により各端子11bと素子40の電極(計六箇所)が熱接合される。図3中に拡大して示すように、三つの素子40のそれぞれは、コンデンサのみから構成されたもの(以下「第一素子40a」ともいう)であってもよいし、コンデンサと抵抗とが直列接続されて構成されたもの(以下「第二素子40b」ともいう)であってもよい。つまり、各素子40は少なくともコンデンサを含んでおり、同一構成であればよい。このコンデンサの容量は、例えば10μF以上に設定される。なお、バリスタ13にもコンデンサが含まれているが、その容量は数nF~数十nF程度であり、素子40に含まれるコンデンサとは容量の桁が異なる。また、第二素子40bに含まれる抵抗の値は、例えば3.9Ωに設定される。
[2.試験結果]
上述したように、本実施形態のロータ3は、接点の切り換わりの際に発生しうる火花を消去し、シリコーン雰囲気で使用された場合にシリコーンガスから接触部11aを保護することで高寿命化を図るものである。以下、図5を用いて、シリコーン雰囲気内で、本実施形態のロータ3を備えたモータ1を作動させた場合の試験結果を、従来の構成と比較しながら説明する。
まず、試験条件について説明する。図5に示すように、本試験は、常温かつ濃度700ppmのシリコーン雰囲気内でモータ1に負荷50g・cmをかけた状態で、12V,0V,-12Vの矩形波を1サイクルとした入力を与えた場合に、作動し続けたサイクル数をカウントした。ここでは、第一素子40aを備えたロータ3(バリスタ13+塗布層11c+コンデンサ)と、第二素子40bを備えたロータ3(バリスタ13+塗布層11c+コンデンサ+抵抗)のそれぞれの試験結果を、バリスタ13のみを有するロータ、及び、バリスタ13と塗布層11cとを有する(素子40を有しない)ロータの試験結果と併せて示す。なお、塗布層11cは、2μLのオイル塗布量によって形成されたものを例示している。また、試験は、各条件のロータを3つずつ用意して行い、同条件の3つのロータのうち最も寿命が短かったロータのサイクル数を停止サイクル数(例えば「0.04万~」)として、図5中に示す。
図5のグラフから明らかなように、第一素子40a又は第二素子40bを有するロータ3は、素子40を有さないロータと比較して、飛躍的に寿命が延びたことがわかる。具体的には、バリスタ13のみを有するロータは0.04万サイクルまでしか作動せず、バリスタ13と塗布層11cとを有する(素子40を有しない)ロータは0.18万サイクルまでしか作動しなかった。これらに対し、バリスタ13と塗布層11cと第一素子40a(コンデンサ)とを備えたロータ3は11.7万サイクルまで作動したのち停止し、バリスタ13と塗布層11cと第二素子40b(コンデンサと抵抗)とを備えたロータ3は22万サイクルまで作動しても停止しなかった。
[3.作用,効果]
(1)上述したロータ3では、端子11b間に素子40を接続し、「一つの極の端子11b,コイル部31,他の極の端子11b,素子40,一つの極の端子11b」という閉ループを作ることで、ブラシ14と接触部11aとで構成される電気的接点部において、両者の接触が切れるときにコイル部31に貯まっているエネルギを閉ループに流して消費させることができる。これにより、電気的接点部における火花の発生を防ぐことができる。
このため、火花の熱による塗布層11cの劣化を防止できる。また、火花の熱によって空気中のシリコーンと酸素とが結合して二酸化ケイ素(すなわち絶縁物)が生成されることを防止できる。これらによって、ロータ3がシリコーン雰囲気で使用された場合であっても、電気的接点部をシリコーンガス及び絶縁物から守ることができるため、シリコーン雰囲気でのロータ3の寿命を大幅に延ばすことができる。
特に、ブラシ14に貴金属ブラシが採用されたモータ1の場合、カーボンブラシと比較して貴金属がシリコーンガスの影響を受けやすいため、電気的接点部において火花を発生させたくないという要望が強いが、上述したロータ3(モータ1)によれば、このような要望に応えることができる。また、上述したロータ3を備えたモータ1も同様に、シリコーン雰囲気でのモータ1の寿命を大幅に延ばすことができる。
(2)ロータ3に設けられる素子40が、コンデンサと直列接続された抵抗を含む場合(すなわち第二素子40bの場合)には、コンデンサのみからなる第一素子40aと比較して、電気的接点部における火花の発生をより防ぐことができる。このため、図5に示すように、第二素子40bが設けられたロータ3であれば、ロータ3の寿命をより一層延ばすことができる。
(3)さらに、上述したロータ3にはバリスタ13が設けられており、バリスタ13を備えることによってさらに火花消去効果を高めることができるため、シリコーン雰囲気でのロータ3の寿命をさらに延ばすことができる。この効果は、図5及び図8のグラフから明らかである。図8はバリスタ13を省略した場合に図5と同一の試験条件で試験をした結果を示したグラフである。なお、バリスタ13を省略した場合の構成及び図8の詳細は後述する。図5及び図8の各グラフの上から三つ目を比べると、バリスタ13を備えたロータ3のほうが、バリスタ13を備えていないロータよりも作動し続けたサイクル数が多く、バリスタ13を備えることによってロータ3の寿命がさらに延びていることがわかる。
(4)なお、素子40に含まれるコンデンサの容量が10μF以上であれば、端子11b間と素子40とコイル部31とで形成された閉ループにおいて、コイル部31に貯まっているエネルギを十分に消費させることができる。このため、火花の発生をより一層防止することができ、高寿命化を図ることができる。
(5)上述したロータ3(モータ1)であれば、電気的接点部における火花の発生を防ぐことができるため、12V以上の高入力(電源電圧)にも対応でき、例えば車載の補機バッテリにも対応することができる。
[4.変形例]
上述したモータ1及びロータ3の構成は一例であって、上述したものに限られない。例えば、上述した実施形態ではバリスタ13が設けられていたが、これを省略してもよい。バリスタ13が省略されたモータ1′の回路図及び模式図を図6及び図7に示す。また、バリスタ13が省略されたモータ1′に対し、図5の試験条件と同一条件で試験を行った結果を図8に示す。なお、図8のグラフの上から二つ目までは、図5のグラフの上から二つ目までと同一である。
図6の回路図は、図3の回路図に対してバリスタ13を除いた点以外は同一である。すなわち、本変形例のモータ1′に設けられるロータ3′(図7参照)も、上述した実施形態と同様、同一相のコイル部31の両端が接続された端子11bの間をそれぞれ接続する素子40(第一素子40a又は第二素子40b)と、上述した塗布層11c(図7参照)とを有している。
このモータ1′(ロータ3′)を、上述した実施形態と同一の試験条件で試験したところ、図8に示すように、バリスタ13を備えていなくても、第一素子40a又は第二素子40bを有するロータ3′であれば、素子40を有さないロータと比較して、大幅に寿命が延びたことがわかる。具体的には、塗布層11cと第一素子40a(コンデンサ)とを備えたロータ3′であれば、9.6万サイクルまで作動したのち停止し、塗布層11cと第二素子40b(コンデンサと抵抗)とを備えたロータ3′であれば、22万サイクルまで作動しても停止しなかった。この試験結果から明らかなように、バリスタ13を省略したロータ3′及びこれを備えたモータ1′によれば、上述した実施形態と同様に、シリコーン雰囲気でのロータ3′及びモータ1′の寿命を大幅に延ばすことができる。
なお、素子40(40a,40b)に含まれるコンデンサの容量及び抵抗の値は一例であって、上述したものに限られない。例えば、コンデンサの容量が10μF未満であってもよいし、抵抗値が3.9Ωでなくてもよい。また、素子40に含まれるコンデンサや抵抗の個数が複数であってもよい。これらの個数やコンデンサの容量や抵抗値は、適宜設定可能である。
また、上述した実施形態では2つのコイル部31が直列接続されたロータ3を例示したが、3つ以上のコイル部が直列接続されていてもよい。この場合にも、上述した実施形態と同様に、同一相のコイル部の両端(複数の直列接続されたコイル部31の両端)が接続された端子間をそれぞれ電気接続する素子を設ければよい。また、複数のティース部に巻回されてなるコイル部が並列接続されている場合には、同一相のコイル部の両端(並列接続されたコイル部の両端)が接続された端子間をそれぞれ電気接続する素子を設ければよい。
上述した実施形態では4極6溝のモータ1を例示したが、マグネットの極数やロータの溝数(スロット数)は特に限られない。例えば、2極3溝モータの場合には、1つのティース部に巻回されてなるコイル部が設けられるため、1つのコイル部の両端(すなわち同一相のコイル部の両端)が接続された端子間をそれぞれ電気接続する素子を設ければよい。このように、少なくとも、各素子は、ブラシ14と接触部11aとで構成される電気的接点部において、両者の接触が切れるときにコイル部に貯まっているエネルギを消費する閉ループを形成するように接続されていればよい。
なお、ステータ2やエンドベル4の各形状や貴金属ブラシの形状も一例であり、上述したものに限られない。
1,1′ モータ
2 ステータ
2A ハウジング
2B 永久磁石
3,3′ ロータ
4 エンドベル
5 シャフト
10 整流子
11 整流子片
11a 接触部
11b 端子
11c 塗布層
13 バリスタ
14 ブラシ(貴金属ブラシ)
15 押さえ部材
20 ロータコア
22 ティース部
24 スロット
30 巻線
31 コイル部
40 素子
40a 第一素子(コンデンサ)
40b 第二素子(コンデンサ+抵抗)

Claims (6)

  1. シリコーン雰囲気で使用するモータのロータであって、
    シャフトと一体回転し、径方向に放射状に延びる複数のティース部を有するロータコアと、
    前記ティース部に巻回されてなるコイル部を含む巻線と、
    前記ロータコアに取り付けられて前記シャフトと一体回転し、貴金属ブラシが摺動接触する接触部及び前記巻線が接合される複数の端子を持つ金属製の整流子片を有する整流子と、
    コンデンサを含み、同一相の前記コイル部の両端が接続された前記端子の間をそれぞれ電気接続する素子と、
    前記接触部にオイルが塗布されて形成され、前記整流子片の前記接触部をシリコーンガスから保護する保護膜として機能する塗布層と、を備えている
    ことを特徴とする、ロータ。
  2. 各々の前記素子は、前記コンデンサと直列接続された抵抗を含む
    ことを特徴とする、請求項1記載のロータ。
  3. 前記シャフトと同軸配置され、前記整流子の周囲において、前記同一相のコイル部の両端が接続された前記端子にそれぞれ電気接続される電極を持つバリスタを備えている
    ことを特徴とする、請求項1又は2記載のロータ。
  4. 前記素子に含まれる前記コンデンサの容量が10μF以上である
    ことを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載のロータ。
  5. 前記貴金属ブラシに接続される電源電圧は12V以上である
    ことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載のロータ。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載のロータと、
    有底筒状のハウジングの内周面に固定された永久磁石を備え、前記ロータの前記シャフトの一端を回転自在に支持するステータと、
    前記貴金属ブラシを有し、前記ハウジングの開口部に固定されるエンドベルと、を備えた、シリコーン雰囲気で使用されるモータ。
JP2018143364A 2018-07-31 2018-07-31 ロータ及びモータ Active JP7123684B2 (ja)

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