以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る自動分析装置1の機能構成の例を示すブロック図である。図1に示される自動分析装置1は、分析機構2、解析回路3、駆動機構4、入力インタフェース5、出力インタフェース6、通信インタフェース7、メモリ8、及び制御回路9を具備する。
分析機構2は、標準試料、又は被検試料等の試料と、この試料に設定される各検査項目で用いられる試薬とを混合する。分析機構2は、試料と試薬との混合液を測定し、例えば吸光度で表される標準データ、及び被検データを生成する。
解析回路3は、分析機構2により生成される標準データ、及び被検データを解析することで、検量データ、及び分析データ等を生成するプロセッサである。解析回路3は、メモリ8から動作プログラムを読み出し、読み出した動作プログラムに従って検量データ、及び分析データ等を生成する。例えば、解析回路3は、標準データに基づき、標準データと標準試料について予め設定された標準値との関係を示す検量データを生成する。また、解析回路3は、被検データと、この被検データに対応する検査項目の検量データとに基づき、濃度値、及び酵素の活性値として表される分析データを生成する。解析回路3は生成した検量データ、及び分析データ等を制御回路9へ出力する。
駆動機構4は、制御回路9の制御に従い、分析機構2を駆動させる。駆動機構4は、例えば、ギア、ステッピングモータ、ベルトコンベア、及びリードスクリュー等により実現される。
入力インタフェース5は、例えば、操作者から、又は病院内ネットワークNWを介して測定を依頼された試料に係る各検査項目の分析パラメータ等の設定を受け付ける。入力インタフェース5は、例えば、マウス、キーボード、及び、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパッド等により実現される。入力インタフェース5は、制御回路9に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路9へ出力する。なお、本明細書において入力インタフェース5はマウス、及びキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、自動分析装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路9へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース5の例に含まれる。
出力インタフェース6は、制御回路9に接続され、制御回路9から供給される信号を出力する。出力インタフェース6は、例えば、表示回路、印刷回路、及び音声デバイス等により実現される。表示回路には、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ、及びプラズマディスプレイ等が含まれる。なお、表示対象を表すデータをビデオ信号に変換し、ビデオ信号を外部へ出力する処理回路も表示回路に含まれる。印刷回路は、例えば、プリンタ等を含む。なお、印刷対象を表すデータを外部へ出力する出力回路も印刷回路に含まれる。音声デバイスは、例えば、スピーカ等を含む。なお、音声信号を外部へ出力する出力回路も音声デバイスに含まれる。
通信インタフェース7は、例えば、病院内ネットワークNWと接続する。通信インタフェース7は、病院内ネットワークNWを介してHIS(Hospital Information System)とデータ通信を行う。なお、通信インタフェース7は、病院内ネットワークNWと接続する検査部門システムを介してHISとデータ通信を行っても構わない。
メモリ8は、磁気的、若しくは光学的記録媒体、又は半導体メモリ等の、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体等を含む。なお、メモリ8は、必ずしも単一の記憶装置により実現される必要は無い。例えば、メモリ8は、複数の記憶装置により実現されても構わない。
メモリ8は、解析回路3で実行される動作プログラム、及び制御回路9に備わる機能を実現するための動作プログラムを記憶している。メモリ8は、解析回路3により生成される検量データを検査項目毎に記憶する。メモリ8は、解析回路3により生成される分析データを被検試料毎に記憶する。
また、メモリ8は、操作者から入力された検査オーダ、又は通信インタフェース7が病院内ネットワークNWを介して受信した検査オーダを記憶する。オーダ情報には、試料ID、測定対象となる試料について必要とされる検査項目、及びその測定順序が含まれている。メモリ8は、自動分析装置1の各部の一連の動作を1サイクルで実行させるための各種設定値を記憶する。
また、メモリ8は、キャリーオーバーにより干渉し合う検査項目を設定するため回避パラメータを記憶する。回避パラメータは、キャリーオーバーにより影響を与える検査項目、キャリーオーバーにより影響を受ける検査項目、及び当該検査項目間でキャリーオーバーを回避するために必要な洗浄に要するサイクル数を含む。キャリーオーバーとしては、分注が行われた試料から次に分注が行われる試料へのキャリーオーバー、分注が行われた試薬から次に分注が行われる試薬へのキャリーオーバー、及び分注が行われた試料及び試薬の混合液から次に分注が行われる混合液へのキャリーオーバー等が挙げられる。
制御回路9は、自動分析装置1の中枢として機能するプロセッサである。制御回路9は、メモリ8に記憶されている動作プログラムを実行することで、この動作プログラムに対応する機能を実現する。なお、制御回路9は、メモリ8で記憶されているデータの少なくとも一部を記憶する記憶領域を備えても構わない。
図2は、図1に示される分析機構2の構成の一例を示す模式図である。図2に示される分析機構2は、反応ディスク201、恒温部202、ラックサンプラ203、第1試薬庫204、及び第2試薬庫205を備える。
反応ディスク201は、反応管2011を所定の経路に沿って搬送する搬送部の一例である。具体的には、反応ディスク201は、複数の反応管2011を、環状に配列させて保持する。反応ディスク201は、駆動機構4により、既定の時間間隔(以下、1サイクルと称する)、例えば4.5秒で回動と停止とが交互に繰り返される。反応管2011は、例えば、ガラスにより形成されている。
恒温部202は、所定の温度に設定された熱媒体を貯留し、貯留する熱媒体に反応管2011を浸漬させることで、反応管2011に収容される混合液を昇温する。
ラックサンプラ203は、測定を依頼された試料を収容する複数の試料容器100を保持可能な試料ラック2031を、移動可能に支持する。図2に示す例では、5本の試料容器100を並列して保持可能な試料ラック2031が示されている。
ラックサンプラ203は、リーダ300を有する。リーダ300は、例えば試料容器100に付された光学式マークを読取り可能な位置に設けられている。光学式マークは、試料容器100に収容される試料の識別情報等を符号化したマーク、例えば、バーコード、1次元画素コード、及び2次元画素コード等である。リーダ300は、制御回路9からのID読取開始の指示を契機として、読取りを開始する。リーダ300は、光学式マークを読取り可能な位置に試料容器100が到着すると、当該光学式マークから試料の識別情報を読み取る。リーダ300は、読取った識別情報を制御回路9に供給する。なお、リーダ300は、RFID(Radio Frequency IDentification)等を利用した他のセンサで代替してもよい。
ラックサンプラ203には、試料ラック2031が投入される投入位置から、測定が完了した試料ラック2031を回収する回収位置まで試料ラック2031を搬送する搬送領域が設けられている。搬送領域では、短手方向に整列された複数の試料ラック2031が、駆動機構4により、方向D1へ移動される。
また、ラックサンプラ203には、試料ラック2031で保持される試料容器100を所定のサンプル吸引位置へ移動させるため、試料ラック2031を搬送領域から引き込む引き込み領域が設けられている。サンプル吸引位置は、例えば、試料分注プローブ207の回動軌道と、ラックサンプラ203で支持されて試料ラック2031で保持される試料容器の開口部の移動軌道とが交差する位置に設けられる。引き込み領域では、搬送されてきた試料ラック2031が、駆動機構4により、方向D2へ移動される。また、引き込み領域の光学式マークを読取り可能な位置では、方向D2に移動された試料ラック2031に保持された試料容器に記されている光学式マークがリーダ300により読み取られる。
また、ラックサンプラ203には、試料が吸引された試料容器を保持する試料ラック2031を搬送領域へ戻すための戻し領域が設けられている。戻し領域では、試料ラック2031が、駆動機構4により、方向D3へ移動される。
第1試薬庫204は、標準試料、及び被検試料に含まれる所定の成分と反応する第1試薬を収容する試薬容器101を複数保冷する。図2では図示していないが、第1試薬庫204は、着脱自在な試薬カバーにより覆われている。第1試薬庫204内には、試薬ラックが回転自在に設けられている。試薬ラックは、複数の試薬容器101を円環状に配列して保持する。試薬ラックは、駆動機構4により回動される。
第1試薬庫204上の所定の位置には、第1試薬吸引位置が設定されている。第1試薬吸引位置は、例えば、第1試薬分注プローブ209の回動軌道と、試薬ラックに円環状に配列される試薬容器101の開口部の移動軌道とが交差する位置に設けられる。
第2試薬庫205は、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器101を複数保冷する。図2では図示していないが、第2試薬庫205は、着脱自在な試薬カバーにより覆われている。第2試薬庫205内には、試薬ラックが回転自在に設けられている。試薬ラックは、複数の試薬容器101を円環状に配列して保持する。なお、第2試薬庫205で保冷される第2試薬は、第1試薬庫204で保冷される第1試薬と同一成分、かつ、同一濃度の試薬であっても構わない。
第2試薬庫205上の所定の位置には、第2試薬吸引位置が設定されている。第2試薬吸引位置は、例えば、第2試薬分注プローブ211の回動軌道と、試薬ラックに円環状に配列される試薬容器101の開口部の移動軌道とが交差する位置に設けられる。
また、図2に示される分析機構2は、試料分注アーム206、試料分注プローブ207、洗浄槽207a、第1試薬分注アーム208、第1試薬分注プローブ209、洗浄槽209a、第2試薬分注アーム210、第2試薬分注プローブ211、洗浄槽211a、攪拌ユニット212、測光ユニット213、及び洗浄ユニット214を備える。
試料分注アーム206は、反応ディスク201とラックサンプラ203との間に設けられている。試料分注アーム206は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。試料分注アーム206は、一端に試料分注プローブ207を保持する。
試料分注プローブ207は、試料分注アーム206の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、ラックサンプラ203上の試料ラック2031で保持される試料容器の開口部が位置するようになっている。また、試料分注プローブ207の回動軌道上には、試料分注プローブ207が吸引した試料を反応管2011へ吐出するためのサンプル吐出位置が設けられている。サンプル吐出位置は、試料分注プローブ207の回動軌道と、反応ディスク201に保持されている反応管2011の移動軌道との交点に相当する。さらに、試料分注プローブ207の回動軌道上のサンプル吸引位置、サンプル吐出位置とは異なった位置には、試料分注プローブ207が洗浄される洗浄位置が設けられている。洗浄位置には、試料分注プローブ207を洗浄する洗浄槽207aが設けられている。
試料分注プローブ207は、駆動機構4によって駆動され、ラックサンプラ203上の試料ラック2031で保持される試料容器の開口部の直上、サンプル吐出位置、又は洗浄位置において上下方向に移動する。また、試料分注プローブ207は、制御回路9の制御に従い、直下に位置する試料容器から試料を吸引する。また、試料分注プローブ207は、制御回路9の制御に従い、吸引した試料を、サンプル吐出位置の直下に位置する反応管2011へ吐出する。試料分注プローブ207は、この一連の分注動作を、例えば、1サイクルの間に1回実施する。
試料分注プローブ207は、制御回路9の制御に従い、試料分注プローブ207の回動軌道上の洗浄位置の直下に位置する洗浄槽207aから洗浄液を吸引する。洗浄液は、例えば、純水、アルカリ性洗剤、又は酸性洗剤等である。試料分注プローブ207は、制御回路9の制御に従い、吸引した洗浄液を、サンプル吐出位置の直下に位置する反応管2011へ吐出する。これにより、試料分注プローブ207、及び、サンプル吐出位置の直下に位置する反応管2011が洗浄される。試料分注プローブ207は、この一連の洗浄動作を、例えば、1サイクルの間に1回実施する。
第1試薬分注アーム208は、反応ディスク201と第1試薬庫204との間に設けられている。第1試薬分注アーム208は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。第1試薬分注アーム208は、一端に第1試薬分注プローブ209を保持する。
第1試薬分注プローブ209は、第1試薬分注アーム208の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、第1試薬吸引位置が設けられている。また、第1試薬分注プローブ209の回動軌道上には、第1試薬分注プローブ209が吸引した試薬を反応管2011へ吐出するための第1試薬吐出位置が設定されている。第1試薬吐出位置は、第1試薬分注プローブ209の回動軌道と、反応ディスク201に保持されている反応管2011の移動軌道との交点に相当する。さらに、第1試薬分注プローブ209の回動軌道上の第1試薬吸引位置、第1試薬吐出位置とは異なった位置には、第1試薬分注プローブ209が洗浄される洗浄位置が設けられている。洗浄位置には、第1試薬分注プローブ209を洗浄する洗浄槽209aが設けられている。
第1試薬分注プローブ209は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の第1試薬吸引位置、又は第1試薬吐出位置において上下方向に移動する。また、第1試薬分注プローブ209は、制御回路9の制御に従い、第1試薬吸引位置の直下に位置する試薬容器から第1試薬を吸引する。すなわち、第1試薬分注プローブ209は、本実施形態に係る吸引部の一例である。また、第1試薬分注プローブ209は、制御回路9の制御に従い、吸引した第1試薬を、第1試薬吐出位置の直下に位置する反応管2011へ吐出する。第1試薬分注プローブ209は、この一連の分注動作を、例えば、1サイクルの間に1回実施する。
第1試薬分注プローブ209は、制御回路9の制御に従い、第1試薬分注プローブ209の回動軌道上の洗浄位置の直下に位置する洗浄槽209aから洗浄液を吸引する。第1試薬分注プローブ209は、制御回路9の制御に従い、吸引した洗浄液を、第1試薬吐出位置の直下に位置する反応管2011へ吐出する。これにより、第1試薬分注プローブ209、及び、第1試薬吐出位置の直下に位置する反応管2011が洗浄される。第1試薬分注プローブ209は、この一連の洗浄動作を、例えば、1サイクルの間に1回実施する。
第2試薬分注アーム210は、反応ディスク201と第2試薬庫205との間に設けられている。第2試薬分注アーム210は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。第2試薬分注アーム210は、一端に第2試薬分注プローブ211を保持する。
第2試薬分注プローブ211は、第2試薬分注アーム210の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、第2試薬吸引位置が設けられている。また、第2試薬分注プローブ211の回動軌道上には、第2試薬分注プローブ211が吸引した試薬を反応管2011へ吐出するための第2試薬吐出位置が設定されている。第2試薬吐出位置は、第2試薬分注プローブ211の回動軌道と、反応ディスク201に保持されている反応管2011の移動軌道との交点に相当する。さらに、第2試薬分注プローブ211の回動軌道上の第1試薬吸引位置、第1試薬吐出位置とは異なった位置には、第2試薬分注プローブ211が洗浄される洗浄位置が設けられている。洗浄位置には、第2試薬分注プローブ211を洗浄する洗浄槽211aが設けられている。
第2試薬分注プローブ211は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の第2試薬吸引位置、又は第2試薬吐出位置において上下方向に移動する。また、第2試薬分注プローブ211は、制御回路9の制御に従い、第2試薬吸引位置の直下に位置する試薬容器から第2試薬を吸引する。すなわち、第2試薬分注プローブ211は、本実施形態に係る吸引部の一例である。また、第2試薬分注プローブ211は、制御回路9の制御に従い、吸引した第2試薬を、第2試薬吐出位置の直下に位置する反応管2011へ吐出する。第2試薬分注プローブ211は、この一連の分注動作を、例えば、1サイクルの間に1回実施する。
第2試薬分注プローブ211は、制御回路9の制御に従い、第2試薬分注プローブ211の回動軌道上の洗浄位置の直下に位置する洗浄槽211aから洗浄液を吸引する。第2試薬分注プローブ211は、制御回路9の制御に従い、吸引した洗浄液を、第2試薬吐出位置の直下に位置する反応管2011へ吐出する。これにより、第2試薬分注プローブ211、及び、第2試薬吐出位置の直下に位置する反応管2011が洗浄される。第2試薬分注プローブ211は、この一連の洗浄動作を、例えば、1サイクルの間に1回実施する。
攪拌ユニット212は、反応ディスク201の外周近傍に設けられている。攪拌ユニット212は、攪拌子を有し、攪拌子により、反応ディスク201上の攪拌位置に位置する反応管2011内に収容されている試料及び第1試薬、又は、反応管2011内に収容されている試料、第1試薬、及び第2試薬を攪拌する。
測光ユニット213は、反応管2011内に吐出された試料と試薬との混合液における所定の成分を光学的に測定する。測光ユニット213は、光源、及び光検出器を有する。測光ユニット213は、制御回路9の制御に従い、光源から光を照射する。照射された光は、反応管2011の第1側壁から入射され、第1側壁と対向する第2側壁から出射される。測光ユニット213は、反応管2011から出射された光を、光検出器により検出する。
具体的には、例えば、光検出器は、反応管2011内の標準試料と試薬との混合液を通過した光を検出し、検出した光の強度に基づき、吸光度等により表される標準データを生成する。また、光検出器は、反応管2011内の被検試料と試薬との混合液を通過した光を検出し、検出した光の強度に基づき、吸光度等により表される被検データを生成する。測光ユニット213は、生成した標準データ、及び被検データを解析回路3へ出力する。
洗浄ユニット214は、測光ユニット213で混合液の測定が終了した反応管2011の内部を洗浄する。この洗浄ユニット214は、反応管2011を洗浄するための洗浄液を供給する不図示の洗浄液供給ポンプを備えている。また、洗浄ユニット214は、洗浄液供給ポンプから供給された洗浄液の反応管2011内への吐出や、反応管2011内の混合液、及び洗浄液の各液体の吸引を行う不図示の洗浄ノズルを備えている。
図1に示される制御回路9は、メモリ8に記憶されている動作プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。例えば、制御回路9は、動作プログラムを実行することで、システム制御機能91、及び洗浄制御機能92を有する。なお、本実施形態では、単一のプロセッサによってシステム制御機能91、及び洗浄制御機能92が実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて制御回路を構成し、各プロセッサが動作プログラムを実行することによりシステム制御機能91、及び洗浄制御機能92を実現しても構わない。
システム制御機能91は、例えば、入力インタフェース5から入力される入力情報に基づき、自動分析装置1における各部を統括して制御する機能である。
洗浄制御機能92は、分析機構2が備える各部の洗浄を制御する機能である。洗浄制御機能92が実行されると、制御回路9は、例えば、検査が依頼された第1の試料について第1の試薬を反応管2011に吐出してから、第1の試料の次の測定対象であり、当該測定において第2の試薬が吸引される第2の試料が当該第2の試料の測定開始が可能な位置に到着するまでに少なくとも1つの空きサイクルが存在する場合、当該少なくとも1つの空きサイクルにおいて第1試薬分注プローブ209又は第2試薬分注プローブ211を洗浄する。
より具体的には、制御回路9は、第1の試料に係る試薬分注の終了時点において、空きサイクルが存在する場合、すなわち第1の試料の次に検査が依頼された第2の試料を収容する試料容器100が当該第2の試料の測定開始が可能な位置、例えば、試料容器100に付された光学式マークを読取り可能な位置に到着していない場合、当該サイクルにおいて、第1の試料に係る試薬と、第2の試料に係る試薬とのキャリーオーバーを回避する洗浄動作を実施する。また、制御回路9は、空きサイクルが存在しない場合、第2の被検試料が到着した後のサイクルにおいてキャリーオーバーを回避する洗浄動作を実施する。なお、上記第2の試料の測定開始が可能な位置は、サンプル吸引位置であってもよい。
以下、第2の試料が到着した後のサイクルにおいて実施されるキャリーオーバーを回避する洗浄動作を、第1のSW(Smart Wash)と称する。また、第2の試料が到着する前のサイクルにおいて実施されるキャリーオーバーを回避する洗浄動作を第2のSWと称する。さらに、どのサイクルであるにかかわらず、キャリーオーバーを回避する洗浄動作を単にSWと称する。なお、回避する対象となるキャリーオーバーは、第1試薬分注プローブ209、又は、第2試薬分注プローブ211に保持される試薬間のキャリーオーバーに限定されず、例えば、試料分注プローブ207に保持される試料間のキャリーオーバー、及び反応管2011に収容される試料と試薬との混合液間のキャリーオーバーであってもよい。
次に、以上のように構成された自動分析装置1による動作を、制御回路9の処理手順に従って説明する。
図3は、本実施形態に係る自動分析装置1がキャリーオーバーを回避する洗浄動作を実施する際の制御回路9の動作の例を示すフローチャートである。以下の説明では、メモリ8には、検査項目Aが依頼された第1の試料に関するオーダ情報、及び検査項目Bが依頼された第2の試料に関するオーダ情報が記憶されているものとする。また、第1の試料の次の測定対象は、第2の試料であるものとする。また、第1の試料について依頼された検査項目Aに用いられる試薬(第1の試薬)が第2の試料について依頼された検査項目Bに用いられる試薬(第2の試薬)に対してキャリーオーバーするものとする。また、第1の試料について依頼された検査項目Aに用いられる試薬、及び、第2の試料について依頼された検査項目Bに用いられる試薬は、第1試薬分注プローブ209によりそれぞれ分注されるものとする。このとき、第1試薬分注プローブ209がSWの対象になる。なお、第2試薬分注プローブ211をSWの対象としてもよい。また、検査項目Aに用いられる試薬と、検査項目Bに用いられる試薬との間のキャリーオーバーを解消するために、3サイクル分、すなわち洗浄動作3回分の時間が必要であるものとする。また、第1の試料に依頼された検査項目Aに用いられる試薬が分注された後、第2の試料を収容する試料容器100が当該第2の試料の測定開始が可能な位置に到着するまでは、3サイクル分以上の時間が空いているものとする。
まず、制御回路9は、第1の試料について依頼された検査項目Aに係る試薬を分注すると、メモリ8に記憶されているオーダ情報、及び回避パラメータを参照し、検査項目Aに係る試薬についてキャリーオーバーを受ける試薬が存在するか否か判定する(ステップSA1)。
制御回路9は、検査項目Aに係る試薬についてキャリーオーバーを受ける試薬が検査項目Bに係る試薬として存在するため(ステップSA1のYes)、第2のSWを実施可能な空きサイクルが存在するか否か判定する(ステップSA2)。具体的には、制御回路9は、リーダ300から第2の試料の識別情報が供給されたか否か、すなわち第2の試料の分注の準備が完了したか否かにより第2のSWを実施可能な空きサイクルが存在するか否か判定する。なお、制御回路9は、位置センサ等により第2の試料を収容する試料容器100を検知し、当該試料容器100を検知したか否かによって第2のSWを実施可能な空きサイクルが存在するか否かを判定してもよい。
制御回路9は、リーダ300から第2の試料の識別情報が供給されていないため、第2のSWを実施可能な空きサイクルが存在すると判定し(ステップSA2のYes)、第2のSWを1サイクル分実施する(ステップSA3)。具体的には、制御回路9は、例えば、第1試薬分注プローブ209を制御し、第1試薬分注プローブ209の第2のSWを1サイクル分、すなわち第1試薬分注プローブ209の洗浄動作1回分実施する。
制御回路9は、第1試薬分注プローブ209の第2のSWを1サイクル分実施すると、第1試薬分注プローブ209に対するSWが終了したか否か判定する(ステップSA4)。
制御回路9は、第2のSWを1サイクル分のみ実施している、すなわち3サイクル分実施していないため、第1試薬分注プローブ209に対するSWは終了してないと判定し(ステップSA4のNo)、再びステップSA2及びステップSA3を実行する。
そして、制御回路9は、ステップSA4において、第2のSWを2サイクル分のみ実施している、すなわち3サイクル分実施していないため、第1試薬分注プローブ209に対するSWは終了してないと判定し(ステップSA4のNo)、再びステップSA2及びステップSA3を実行する。これにより、第1試薬分注プローブ209に対するSWは終了する。
そして、制御回路9は、ステップSA4において、第2のSWを3サイクル分実施しているため、第1試薬分注プローブ209に対するSWは終了していると判定し(ステップSA4のYes)、処理を終了する。
図4は、本実施形態に係る第2のSWの例を説明するための図である。図4は、各被検試料の測定開始が可能な位置に当該各被検試料を収容する試料容器100が到着してから、すなわちリーダ300から測定対象となる各被検試料の識別情報が制御回路9に供給されてから、サイクル毎にどのような動作が行われるかを表している。図4によれば、制御回路9は、第1の試料を収容する試料容器100が当該第1の試料を測定開始が可能な位置に到着してから3サイクル目に、第1の試料について依頼された検査項目Aに用いられる試薬の分注を実施している。また、制御回路9は、第2の試料を収容する試料容器100が当該第2の試料の測定開始が可能な位置に到着する前の空きサイクルである第1の試料到着後の4、5、及び6サイクル目に、第1試薬分注プローブ209に対して第2のSWを実施している。これにより、制御回路9は、第2の試料の測定開始が可能な位置に当該第2の試料を収容する試料容器100が到着してから、すなわち第2の試料の分注の準備が完了してから、SWに起因する時間分待たされることなく、第2の試料について依頼された検査項目Bに用いられる試薬を第1試薬分注プローブ209により吸引することが可能となる。
なお、制御回路9は、ステップSA2において、リーダ300から第2の試料の識別情報が供給された場合、第2のSWを実施可能な空きサイクルが存在しないと判定し(ステップSA2のNo)、第1試薬分注プローブ209について第1のSWを実施する。このとき、制御回路9は、第2の試料について依頼された検査項目Bに用いられる試薬を第1試薬分注プローブ209により吸引する前に、第1のSWが実施されるサイクル分だけ待機する。
図5は、本実施形態に係る第1のSWの例を説明するための図である。図5は、各被検試料の測定開始が可能な位置に当該各被検試料を収容する試料容器100が到着してから、すなわちリーダ300から測定対象となる各被検試料の識別情報が制御回路9に供給されてから、サイクル毎にどのような動作が行われるかを表している。図5によれば、制御回路9は、第1の試料を収容する試料容器100が当該第1の試料の測定開始が可能な位置に到着してから3サイクル目に、第1の試料について依頼された検査項目Aに用いられる試薬の分注を実施している。また、制御回路9は、第2の試料を収容する試料容器100が当該第2の試料の測定開始が可能な位置に到着する前に1つの空きサイクルしかないため、当該1つの空きサイクルにおいて、1サイクル分だけ第1試薬分注プローブ209に対して第2のSWを実施する。そして、制御回路9は、第2の試料を収容する試料容器100が当該第2の試料の測定開始が可能な位置に到着した後の1、及び2サイクル目に、第1試薬分注プローブ209に対して第1のSWを実施している。これにより、制御回路9は、第2のSWが実施されるサイクル分だけ装置のスループットを向上させることが可能となる。
以上のように、本実施形態では、制御回路9は、例えば、検査が依頼された第1の試料について第1の試薬を反応管2011に吐出してから、第1の試料の次の測定対象であり、当該測定において第2の試薬が吸引される第2の試料が当該第2の試料の測定開始が可能な位置に到着するまでに少なくとも1つの空きサイクルが存在する場合、当該少なくとも1つの空きサイクルにおいて第1試薬分注プローブ209又は第2試薬プローブ211を洗浄するようにしている。
これにより、制御回路9は、測定が依頼された試料が逐次測定開始が可能な位置に到着する間の空きサイクルを有効に活用して洗浄動作を実行することができる。また、制御回路9は、キャリーオーバーされる試薬が吸引される試料の到着後SWに起因する時間分待たされることなく、キャリーオーバーされる試薬を分注することができる。
したがって、装置のスループットを向上させることが可能となる。
なお、本実施形態において、制御回路9は、例えば、検査項目Aに用いられる試薬が分注されてから検査項目Bに用いられる試薬が吸引されるまでの間の、第2の試料に係る他の検査項目に用いられる試薬が分注される回数(サイクルの数)を考慮してSWを実施するようにしてもよい。このとき、例えば、制御回路9は、第1の試料について第1の試薬を反応管2011に吐出してから第2の試料について第2の試薬が吸引されるまでに、第2の試料について第1の試薬と干渉しない他の試薬が吸引されるサイクルが所定数以上存在する場合、第1試薬分注プローブ209のSWを実施しない、すなわち第2の試薬を吸引する前に第1試薬分注プローブ209を洗浄しない。
図6は、本実施形態に係る自動分析装置1がキャリーオーバーを回避する洗浄動作を実施する際の制御回路の動作の他の例を示すフローチャートである。図6に示されるフローチャートは、図3に示されるフローチャートと比して、キャリーオーバーを受ける試薬についてSWが必要か否かを判定するステップSB2が追加されている。このとき、制御回路9は、例えば、第1試薬分注プローブ209が分注した試薬の履歴を直近の3つまで保持している。
このため、例えば、制御回路9は、ステップSB2において、キャリーオーバーされる第2の試料に係る検査項目に用いられる試薬が分注される前に、第2の試料に係るキャリーオーバーとは無関係の他の検査項目に用いられる試薬が分注される回数が3回以上ある場合、当該キャリーオーバーされる試薬について、SWが必要ではないと判定する。また、制御回路9は、上記キャリーオーバーとは無関係の他の検査項目に用いられる試薬が分注される回数が3回未満である場合、上記キャリーオーバーされる試薬について、SWが必要であると判定する。なお、上記キャリーオーバーとは無関係の他の検査項目に用いられる試薬が分注される回数の閾値は、3回に限られず、キャリーオーバー関係にある液体の組み合わせ、又はキャリーオーバー関係にある液体間の干渉の度合い等に応じて変更されてもよい。
図7及び図8は、本実施形態に係るSWを説明するための図である。図7は、SWが不要な場合について説明するための図である。図8は、SWが必要な場合について説明するための図である。以下の説明では、図7では、第1の試料について依頼された検査項目Cに用いられる試薬が第2の試料について依頼された検査項目Hに用いられる試薬に対してキャリーオーバーするものとする。また、図8では、第1の試料について依頼された検査項目Cに用いられる試薬が第2の試料について依頼された検査項目Jに用いられる試薬に対してキャリーオーバーするものとする。
図7では、制御回路9は、図6に示されるステップSB2において、検査項目Hに用いられる試薬が分注される前に、キャリーオーバーとは無関係の他の検査項目G、F、E、及びDに用いられる試薬がそれぞれ分注されるサイクルが存在するため、すなわちキャリーオーバーとは無関係の他の検査項目に用いられる試薬が分注されるサイクルの数が4であるため、検査項目Hに用いられる試薬について、SWが必要ではないと判定する(図6に示されるステップSB2のNo)。このため、制御回路9は、検査項目Cに係る試薬を分注してから、第2の試料を収容する試料容器100が当該第2の試料の測定開始が可能な位置、例えば第2の試料を収容する試料容器100に付された光学式マークを読取り可能な位置に到着するまでに空きサイクルが存在したとしても、第1試薬分注プローブ209の第2のSWを実施しない。
図8では、制御回路9は、図6に示されるステップSB2において、検査項目Jに用いられる試薬が分注される前に、キャリーオーバーとは無関係の他の検査項目Iに用いられる試薬が1回だけ分注されるサイクルが存在するため、検査項目Jに用いられる試薬について、SWが必要であると判定する(図6に示されるステップSB2のYes)。このため、制御回路9は、検査項目Cに係る試薬を分注してから、第2の試料を収容する試料容器100が当該第2の試料の測定開始が可能な位置に到着するまでに空きサイクルが存在した場合(図6に示されるステップSB3のYes)、第1試薬分注プローブ209に対して第2のSWを実施する(図6に示されるステップSB4)。
通常、同一の試薬分注プローブにおいて、キャリーオーバーする試薬が分注されてからキャリーオーバーされる試薬が分注される間に、キャリーオーバーする試薬の影響を受けない試薬が所定回数分注されると、キャリーオーバーの影響は無視できる程小さくなる。よって、キャリーオーバーされる試薬のうち、キャリーオーバーの影響を無視できない試薬に対してのみ第2のSWをすることにより、無駄なSWの実施を回避することが可能となる。すなわち、SWに用いられる洗浄液の無駄が低減できる。
(変形例)
上記実施形態では、自動分析装置1は、第1試薬分注プローブ209における試薬間のキャリーオーバーのみに着目し、第2のSWを実施していた。変形例では、試料分注プローブ207における試料間のキャリーオーバー、及び反応管2011における試料と試薬との混合液間のキャリーオーバーにも着目して第2のSWを実施する場合について説明する。
変形例に係る自動分析装置1の構成及び機能は、図1に示される自動分析装置1の構成及び機能と同様である。
次に、以上のように構成された変形例に係る自動分析装置1による動作を、制御回路9の処理手順に従って説明する。
図9は、変形例に係る自動分析装置1がキャリーオーバーを回避する洗浄動作を実施する際の制御回路9の動作を示すフローチャートである。以下の説明では、メモリ8には、検査項目Aが依頼された第1の試料に関するオーダ情報、及び検査項目Bが依頼された第2の試料に関するオーダ情報が記憶されているものとする。また、第1の試料の次の測定対象は、第2の試料であるものとする。また、第1の試料について依頼された検査項目Aに用いられる試薬が第2の試料について依頼された検査項目Bに用いられる試薬に対してキャリーオーバーするものとする。また、第1の試料について依頼された検査項目Aに用いられる試薬、及び、第2の試料について依頼された検査項目Bに用いられる試薬は、第1試薬分注プローブ209によりそれぞれ分注されるものとする。また、検査項目Aに用いられる試薬と、検査項目Bに用いられる試薬との間のキャリーオーバーを解消するために、3サイクル分、すなわち第1試薬分注プローブ209の洗浄動作3回分の時間が必要であるものとする。
また、第1の試料に依頼された検査項目Aに用いられる試薬が分注された後、第2の試料を収容する試料容器100が当該第2の試料の測定開始が可能な位置に到着するまでは、12サイクル分以上の時間が空いているものとする。また、検査項目Aに用いられる試薬が分注されるサイクルは、第1の試料を収容する試料容器100が当該第1の試料の測定開始が可能な位置に到着した後のサイクルのうち、3番目のサイクルであるものとする。また、第1試薬分注プローブ209に対するSWと同じサイクルで試料分注プローブ207に対するSWが実施可能なサイクルは、第1の試料を収容する試料容器100が当該第1の試料の測定開始が可能な位置に到着した後のサイクルのうち、4番目のサイクルであるものとする。さらに、試料分注プローブ207に対するSWに必要なサイクル数は、1サイクルであるものとする。また、反応管2011に対するSWが必要なサイクルは、第1の試料を収容する試料容器100が当該第1の試料の測定開始が可能な位置に到着した後のサイクルのうち、6番目、9番目、13番目、及び14番目のサイクルであるものとする。また、制御回路9は、試料分注プローブ207に対するSWが実施可能なサイクル、及び反応管2011に対するSWが必要なサイクルがどのサイクルであるかを予め認識しているものとする。
図9に示されるステップSC1及びステップSC2は、図3に示されるステップSA1及びステップSA2と同様である。
制御回路9は、ステップSC2において、リーダ300から第2の試料の識別情報が供給されていないため、第2のSWを実施可能な空きサイクルが存在すると判定し(ステップSC2のYes)、2種以上のSWが実施可能であるか否か判定する(ステップSC3)。具体的には、制御回路9は、例えば、第1試薬分注プローブ209に対するSWと同じサイクルで他の種類のSWが可能であるか否か判定する。他の種類のSWは、例えば、試料分注プローブ207に対するSW、反応管2011に対するSW、又は、試料分注プローブ207に対するSW及び反応管2011に対するSWである。
このとき、反応管2011に対するSWは、例えば、第1試薬分注プローブ209から吐出される洗浄液を用いて実施される。反応管2011に対するSWは、SWが必要な反応管2011に対して第1試薬分注プローブ209から洗浄液が吐出されるまでの動作を示す。なお、測定を終えた反応管2011に収容されている混合液は、例えば洗浄ユニット214が備える不図示の洗浄ノズルにより予め吸引されているものとする。また、反応管2011に対するSWにおいて第1試薬分注プローブ209から反応管2011に吐出された洗浄液は、例えば洗浄ユニット214が備える不図示の洗浄ノズルにより吸引される。
制御回路9は、ステップSC3において、第1の試料を収容する試料容器100が当該第1の試料の測定開始が可能な位置に到着した後の4番目のサイクルであるため、第1試薬分注プローブ209に対するSWと同じサイクルで試料分注プローブ207に対するSWが可能である、すなわち2種以上のSWが実施可能であると判定し(ステップSC3のYes)、第1試薬分注プローブ209、及び、試料分注プローブ207に対して第2のSWをそれぞれ1サイクル分実施する(ステップSC4)。
制御回路9は、第1試薬分注プローブ209に対する第2のSW、及び試料分注プローブ207に対する第2のSWを1サイクル分それぞれ実施すると、第1試薬分注プローブ209に対するSWが終了したか否か判定する(ステップSC5)。
制御回路9は、第2のSWを1サイクル分のみ実施している、すなわち3サイクル分実施していないため、第1試薬分注プローブ209に対するSWは終了してないと判定し(ステップSC5のNo)、再びステップSC2を実行する。
制御回路9は、ステップSC2において、リーダ300から第2の試料の識別情報が供給されていないため、第2のSWを実施可能な空きサイクルが存在すると判定し(ステップSC2のYes)、2種以上のSWが実施可能であるか否か判定する(ステップSC3)。
制御回路9は、第1の試料を収容する試料容器100が当該第1の試料の測定開始が可能な位置に到着した後の5番目のサイクルであるため、2種以上のSWが実施可能でないと判定し(ステップSC3のNo)、ステップSC2において存在すると判定した空きサイクルにおいて、第1試薬分注プローブ209に対するSWを実施しない。そして、制御回路9は、再びステップSC2を実行する。
そして、制御回路9は、ステップSC2において、リーダ300から第2の試料の識別情報が供給されていないため、第2のSWを実施可能な空きサイクルが存在すると判定し(ステップSC2のYes)、2種以上のSWが実施可能であるか否か判定する(ステップSC3)。
制御回路9は、第1の試料を収容する試料容器100が当該第1の試料の測定開始が可能な位置に到着した後の6番目のサイクルであるため、第1試薬分注プローブ209に対するSWと同じサイクルで反応管2011に対するSWが実施可能である、すなわち2種以上のSWが実施可能であると判定し(ステップSC3のYes)、第1試薬分注プローブ209、及び、反応管2011に対して第2のSWを実施する(ステップSC4)。
制御回路9は、第1試薬分注プローブ209に対する第2のSW、及び反応管2011に対する第2のSWを1サイクル分それぞれ実施すると、第1試薬分注プローブ209に対するSWが終了したか否か判定する(ステップSC5)。
制御回路9は、第2のSWを2サイクル分のみ実施している、すなわち3サイクル分実施していないため、第1試薬分注プローブ209に対するSWは終了してないと判定し(ステップSC5のNo)、再びステップSC2を実行する。
制御回路9は、第1の試料を収容する試料容器100が当該第1の試料の測定開始が可能な位置に到着した後の7番目以降のサイクルについても、同様の処理を繰り返し実行する。
すなわち、制御回路9は、第1の試料を収容する試料容器100が当該第1の試料の測定開始が可能な位置に到着した後の7番目、及び8番目のサイクルにおいては、第1試薬分注プローブ209に対するSWを実施しない。そして、制御回路9は、第1の試料を収容する試料容器100が当該第1の試料の測定開始が可能な位置に到着した後の9番目のサイクルにおいて、第1試薬分注プローブ209に対するSW、及び、反応管2011に対するSWを実施する(ステップSC4)。これにより、第1試薬分注プローブ209に対するSWは終了する。
そして、制御回路9は、第1試薬分注プローブ209に対する第2のSW、及び反応管2011に対する第2のSWを1サイクル分それぞれ実施すると、第1試薬分注プローブ209に対するSWが終了したか否か判定する(ステップSC5)。
制御回路9は、ステップSA4において、第1試薬分注プローブ209に対する第2のSWを3サイクル分実施しているため、第1試薬分注プローブ209に対するSWは終了していると判定し(ステップSC5のYes)、処理を終了する。
図10は、変形例に係る第2のSWを説明するための図である。図10は、図9に示されるフローチャートにおいて説明した動作について、各被検試料の測定開始が可能な位置に当該各被検試料を収容する試料容器100が到着してから、すなわちリーダ300から測定対象となる各被検試料の識別情報が制御回路9に供給されてから、サイクル毎にどのような動作が行われるかを表している。図10に示される「S」の文字が付された各丸印は、反応管2011を洗浄する必要のあるサイクルを表している。図10によれば、制御回路9は、第1の試料を収容する試料容器100が当該第1の試料の測定開始が可能な位置に到着してから3サイクル目に、第1の試料について依頼された検査項目Aに用いられる試薬の分注を実施している。
また、制御回路9は、第2の試料を収容する試料容器100が当該第2の試料の測定開始が可能な位置に到着する前の空きサイクルのうち、第1の試料を収容する試料容器100が当該第1の試料の測定開始が可能な位置に到着した後の4、6、及び9サイクル目に、第1試薬分注プローブ209に対する第2のSW、及び他のSWをそれぞれ実施している。具体的には、制御回路9は、第1の試料到着後の4サイクル目に、第1試薬分注プローブ209に対する第2のSW、及び試料分注プローブ207に対する第2のSWを実施している。また、制御回路9は、第1の試料到着後の6サイクル目に、第1試薬分注プローブ209に対する第2のSW、及び反応管2011に対する第2のSWを実施している。また、制御回路9は、第1の試料到着後の9サイクル目に、第1試薬分注プローブ209に対する第2のSW、及び反応管2011に対する第2のSWを実施している。すなわち、制御回路9は、2種類のSWが実施可能な場合のみ第2のSWを実施する。これにより、例えば、第1試薬分注プローブ209に対する第2のSWに用いる洗浄液をSWが必要な反応管2011に吐出して流用することが可能となり、SWに必要な洗浄液の量を全体として低減させる可能性を高めることができる。また、第1試薬分注プローブ209に対する第2のSW、及び、試料分注プローブ207に対する第2のSWを同じサイクルにおいて実施することが可能となり、装置のスループットの向上につながる。
なお、制御回路9は、例えば、入力インタフェース5を介し、又は、予め設定されたパラメータを参照し、2種以上のキャリーオーバーを解消可能な場合のみSWを実施するか否かを選択する選択指示を受け付けるようにしてもよい。このとき、制御回路9は、例えば、検査項目Bに用いられる試薬について、第1試薬分注プローブ209に対するSWを行わない旨の指示を受け付けると、当該第1試薬分注プローブ209に対するSWを行わない。
[他の実施形態]
上記実施形態では、自動分析装置が被検試料について依頼された検査項目を逐次処理する場合について説明したがこれに限定されない。例えば、自動分析装置は、被検試料について依頼された複数の検査項目のうち、いずれかの検査項目と他の検査項目が異なる2つのライン(系統)に割り当てられる場合において、2つのラインに割り当てられたいずれかの検査項目の数と他の検査項目の数との差に対応する少なくとも1つの空きサイクルにおいて、第1試薬分注プローブ209又は第2試薬分注プローブ211に対する第2のSWを実施するようにしてもよい。
このとき、自動分析装置は、例えば、2つの試料分注プローブを用いて2つのラインの反応管に同時に分注する。以下、他の実施形態に係る自動分析装置が実行するキャリーオーバーを回避する洗浄動作について説明する。なお、他の実施形態に係る自動分析装置は、上記実施形態に係る自動分析装置1とは異なり、2つの試料分注プローブを備えているものとする。また、他の実施形態に係る自動分析装置では、被検試料が吐出される反応管が2つのラインに区分されているものとする。他の実施形態に係る自動分析装置は、例えば、2つの試料分注プローブを用いて2つのラインの反応管に同時に分注し、2つのラインの検査項目に係る試料を同時に測定可能であるものとする。他の実施形態に係る自動分析装置のその他の構成及び機能については、図1に示される自動分析装置1と同様である。
以下、他の実施形態に係る自動分析装置1の動作について説明する。以下の説明では、メモリ8には、検査項目Aが依頼された第1の試料に関するオーダ情報、及び検査項目Bが依頼された第2の試料に関するオーダ情報が記憶されているものとする。また、第1の試料について依頼された検査項目の数は7であり、第1のラインに2項目、第2のラインに5項目が割り当てられているものとする。また、第2の試料について依頼された検査項目の数は6であり、第1のラインに3項目、第2のラインに3項目が割り当てられているものとする。また、第1の試料の次の測定対象は、第2の試料であるものとする。また、第1のラインで測定される検査項目について、第1の試料について依頼された検査項目Aに用いられる試薬が第2の試料について依頼された検査項目Bに用いられる試薬に対してキャリーオーバーするものとする。また、検査項目Aは、第1の試料について第1のラインに割り当てられた2つの検査項目のうち、2番目に測定される検査項目であるものとする。また、検査項目Bは、第2の試料について第1のラインに割り当てられた3つの検査項目のうち、1番目に測定される検査項目であるものとする。また、第1の試料について依頼された検査項目Aに用いられる試薬、及び、第2の試料について依頼された検査項目Bに用いられる試薬は、第1試薬分注プローブ209により分注されるものとする。また、検査項目Aに用いられる試薬と、検査項目Bに用いられる試薬との間のキャリーオーバーを解消するために、3サイクル分、すなわち第1試薬分注プローブ209の洗浄動作3回分の時間が必要であるものとする。
図11は、他の実施形態に係る自動分析装置1がキャリーオーバーを回避する洗浄動作を実施する際の制御回路9の動作を示すフローチャートである。
図11にステップSD1は、図3に示されるステップSA1と同様である。
制御回路9は、検査項目Aに係る試薬についてキャリーオーバーを受ける試薬が検査項目Bに係る試薬として存在するため(ステップSD1のYes)、第1の試料について、第1のラインに割り当てられた検査項目の数が、第2のラインに割り当てられた検査項目の数と比して少ないか否か判定する(ステップSD2)。
制御回路9は、第1の試料について、第1のラインに割り当てられた検査項目の数が、第2のラインに割り当てられた検査項目の数と比して少ないため(ステップSD2のYes)、その差がN(Nは1以上の整数)以上であるか否か判定する(ステップSD3)。このとき、Nは、例えば、検査項目Aに用いられる試薬と、検査項目Bに用いられる試薬との間のキャリーオーバーを解消するために必要なサイクル数3である。
制御回路9は、第1の試料について、第1のラインに割り当てられた検査項目の数と、第2のラインに割り当てられた検査項目の数との差が3であるため(ステップSD3のYes)、第1試薬分注プローブ209に対して第2のSWを3サイクル分実施する(ステップSD4)。これにより、第1試薬分注プローブ209に対するSWは終了する。
図12は、他の実施形態に係る第2のSWの例を説明するための図である。図12は、各被検試料の測定開始が可能な位置に当該各被検試料を収容する試料容器100が到着してから、すなわちリーダ300から測定対象となる各被検試料の識別情報が制御回路9に供給されてから、サイクル毎にどのような動作が行われるかを第1のライン、及び第2のラインそれぞれについて表している。図12によれば、制御回路9は、第1のラインにおいて、第1の試料が測定開始が可能な位置に到着してから2サイクル目に、第1の試料について依頼された検査項目Aに用いられる試薬の分注を実施している。また、制御回路9は、第2の試料を収容する試料容器100が当該第2の試料の測定開始が可能な位置に到着する前の空きサイクルである第1の試料到着後の3、4、及び5サイクル目に、第1試薬分注プローブ209に対して第2のSWを実施している。この3サイクル分の空きサイクルは、第1の試料について、第1のラインに割り当てられた検査項目の数と、第2のラインに割り当てられた検査項目の数との差に相当する空きサイクルである。これにより、制御回路9は、第2のSWを実施可能な空きサイクルが存在するか否か判定しなくても、第2の試料を収容する試料容器100が当該第2の試料の測定開始が可能な位置に到着してからSWに起因する時間分待たされることなく、第2の試料について依頼された検査項目Bに用いられる試薬を第1試薬分注プローブ209により吸引することが可能となる。
なお、図11に示されるステップSD3において、第1の試料について、第1のラインに割り当てられた検査項目の数と、第2のラインに割り当てられた検査項目の数との差がN未満、例えばm(<N、かつ、mは1以上の整数)であった場合(ステップSD3のNo)、制御回路9は、第1試薬分注プローブ209に対して第2のSWをmサイクル分実施する(ステップSD6)。このとき、残りの(N-m)サイクル分のSWについては、制御回路9は、図3に示されるステップSA2からステップSA4までと同様に、1サイクル毎にステップSD7からステップSD9までを実施する。これにより、mサイクル分だけ装置のスループット向上させることが可能となる。
また、上記実施形態において、自動分析装置1は、緊急で測定することが必要な緊急試料について、緊急試料の前に測定される試料に係る試薬と緊急試料に係る試薬との間にキャリーオーバーの関係があり、かつ、第2のSWを実施可能な空きサイクルがある場合、必ず第2のSWを実施するようにしてもよい。このとき、自動分析装置1は、例えば、スタットポジションを備えている。スタットポジションに緊急試料が収容された試料容器100が設置され、かつ、緊急試料の測定依頼を受け付けると、自動分析装置1は、他の試料、例えば第2の試料に優先して緊急試料の分注を開始する。
制御回路9は、例えば、緊急試料の測定依頼を受け付けた場合に、第1の試料について第1の試薬を反応管2011に吐出してから第2の試料について第2の試薬が吸引されるまでに、第2の試料について第1の試薬と干渉しない他の試薬が吸引されるサイクルが所定数以上存在する場合であっても、緊急試料が当該緊急試料の測定開始が可能な位置に到着するまでに少なくとも1つの空きサイクルが存在する場合、当該少なくとも1つの空きサイクルにおいて、第1の試料に係る試薬と緊急試料に係る試薬との干渉を解消するように第1試薬分注プローブ209又は第2試薬分注プローブ211に対する第2のSWを実施する。具体的には、制御回路9は、緊急試料の測定依頼を受け付けると、例えば図9に示されるフローチャートにおいて、ステップSC3を実施せず必ず第2のSWを実施するようにする。これにより、どのような測定モードにおいても、緊急試料の測定を迅速に実施することを担保することが可能となる。
なお、制御回路9は、緊急試料の測定依頼を受け付けた場合に、例えば、入力インタフェース5を介し、又は、予め設定されるパラメータを参照し、緊急試料に係る試薬について、SWを実施するか否かを選択する選択指示を受け付けるようにしてもよい。これにより、キャリーオーバーの度合いに応じて、例えばSWを実施しない選択をすることが可能となり緊急試料の測定をより早く実施することが可能となる。
また、上記実施形態において、自動分析装置1は、例えば、入力インタフェース5を介し、又は、予め設定されるパラメータを参照し、SWを実施するか否かを選択する選択指示を、検査項目、又は、試薬別に受け付けるようにしてもよい。このとき、例えば、制御回路9は、例えば、第1の試料に係る第1の試薬と干渉する第2の試料に係る第2の試薬について、第1試薬分注プローブ209に対するSWを実施しない旨の指示を受け付けると、第2の試薬について、第1試薬分注プローブ209に対するSWを実施しない。また、例えば、制御回路9は、測定順序が前半となる確率が高い検査項目又は試薬を指定した場合、指定された検査項目に係る試薬又は指定された試薬が吸引される前に、その検査項目又は試薬に干渉(影響)する試薬が吐出された場合にのみ第2のSWを実行する。これにより、キャリーオーバーの度合いに応じてSWを実施するか否かを選択することが可能となり、例えば、無駄なSWの実施を回避することが可能となる。すなわち、洗浄液の使用量を低減することが可能となる。
本実施形態の説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC))、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは記憶回路に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、上記各実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、上記各実施形態における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、装置のスループットを向上させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。