以下、図面を参照しながら、自動分析装置の実施形態について詳細に説明する。
(実施形態)
図1は、実施形態に係る自動分析装置の構成例を示すブロック図である。例えば、図1に示すように、本実施形態に係る自動分析装置1は、分析機構2、解析回路3、駆動機構4、入力インタフェース5、出力インタフェース6、通信インタフェース7、記憶回路8および制御回路9を備える。
分析機構2は、標準試料または被検試料などの試料と、当該試料に設定される各種検査項目で用いられる試薬とを混合する。分析機構2は、試料と試薬との混合液を測定し、例えば、吸光度に関連付けられた標準データおよび被検データを生成する。また、分析機構2は、試料と試薬との混合液を測定し、例えば、電極電位に関連付けられた標準データおよび被検データを生成する。
解析回路3は、生成された標準データおよび被検データを解析することで、検量データおよび分析データなどを生成するプロセッサである。解析回路3は、記憶回路8から動作プログラムを読み出し、読み出した動作プログラムに従って検量データおよび分析データなどを生成する。例えば、解析回路3は、標準データに基づき、標準データと、標準試料について予め設定された標準値との関係を示す検量データを生成する。また、解析回路3は、被検データと、当該被検データに対応する検査項目の検量データとに基づき、分析データを生成する。分析データには、濃度値と酵素の活性値とを対応づけたデータおよび試料中の所望のイオンの濃度を時系列に記録したデータなどがある。解析回路3は、生成した検量データおよび分析データなどを制御回路9へ出力する。
駆動機構4は、制御回路9の制御に従い、分析機構2を駆動させる。駆動機構4は、例えば、ギア、ステッピングモータ、ベルトコンベアおよびリードスクリューなどにより実現される。例えば、駆動機構4は、後述する反応ディスク201を所定の回動角度で回動させる。所定の回動角度とは、例えば、後述する1サイクルにおいて回動する角度である。
入力インタフェース5は、例えば、操作者の操作によって、病院内ネットワークNWを介して測定を依頼された試料に係る各検査項目の分析パラメータなどの設定を受け付ける。入力インタフェース5は、例えば、マウス、キーボード、および、操作面へ触れることで指示が入力されるタッチパッドなどにより実現される。入力インタフェース5は、制御回路9に接続され、操作者から入力される操作指示を電気信号へ変換し、電気信号を制御回路9へ出力する。
なお、本明細書において、入力インタフェース5は、マウスおよびキーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、入力インタフェース5は、自動分析装置1とは別体に設けられた外部の入力機器から入力される操作指示に対応する電気信号を受け取り、当該電気信号を制御回路9へ出力する処理回路でもよい。
出力インタフェース6は、制御回路9に接続され、制御回路9から供給される信号を出力する。出力インタフェース6は、例えば、表示回路、印刷回路および音声デバイスなどにより実現される。
表示回路には、例えば、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイおよびプラズマディスプレイなどを含む。また、表示回路は、表示対象を表すデータをビデオ信号に変換し、当該ビデオ信号を外部へ出力する処理回路でもよい。印刷回路は、例えば、プリンタなどを含む。また、印刷回路は。印刷対象を表すデータを外部へ出力する出力回路でもよい。音声デバイスは、例えば、スピーカなどを含む。また、音声デバイスは、音声信号を外部へ出力する出力回路でもよい。
通信インタフェース7は、例えば、病院内ネットワークNWと接続する。通信インタフェース7は、病院内ネットワークNWを介してHIS(Hospital Information System)とデータ通信を行う。なお、通信インタフェース7は、病院内ネットワークNWと接続する検査部門システムを介してHISとデータ通信を行ってもよい。
記憶回路8は、磁気的記録媒体、光学的記録媒体または半導体メモリなどの、プロセッサにより読み取り可能な記録媒体などを含む。なお、記憶回路8は、必ずしも単一の記憶装置により実現されない。例えば、記憶回路8は、複数の記憶装置により実現されてもよい。
また、記憶回路8は、操作者から入力された検査オーダ、または、通信インタフェース7によって病院内ネットワークNWを介して受信した検査オーダなどを記憶する。オーダ情報には、試料ID、測定対象となる試料について必要とされる検査項目、および、検査に関する測定順序が含まれる。記憶回路8は、自動分析装置1の各部の一連の動作を1サイクルで実行させるための各種設定値を記憶する。記憶回路8は、制御回路9で読み出される動作プログラムを記憶する。
制御回路9は、自動分析装置1の中枢として機能するプロセッサである。例えば、制御回路9は、分析機構2の各部を駆動させるための制御信号を駆動機構4へと出力する。制御回路9は、記憶回路8に記憶されている動作プログラムを実行することで、この動作プログラムに対応する機能を実現する。尚、制御回路9は、記憶回路8で記憶されているデータの少なくとも一部を記憶するメモリを備えても構わない。本実施形態に係る制御回路9の機能については後述される。
図2は、図1の分析機構の構成例を示す図である。例えば、図2に示すように、分析機構2は、反応ディスク201、恒温部202、ラックサンプラ203、第1試薬庫204および第2試薬庫205を備える。また、分析機構2は、試料分注アーム206、試料分注プローブ207、洗浄槽207a、洗剤貯留容器207b、第1試薬分注アーム208、第1試薬分注プローブ209、洗浄槽209a、第2試薬分注アーム210、第2試薬分注プローブ211、洗浄槽211a、電極ユニット212、測光ユニット213、洗浄ユニット214および攪拌ユニット216を備える。
以下では、まず、反応ディスク201、恒温部202、ラックサンプラ203、第1試薬庫204および第2試薬庫205について説明する。
反応ディスク201は、複数の反応管2011を、環状に配列させて保持する。反応ディスク201は、駆動機構4により、既定の時間間隔(以下、1サイクルと称する)、例えば4.5秒で回動と停止とが交互に繰り返される。反応管2011は、例えば、ガラスにより形成されている。
恒温部202は、所定の温度に設定された熱媒体を貯留し、貯留する熱媒体に反応管2011を浸漬させることで、反応管2011に収容される混合液を昇温する。
ラックサンプラ203は、測定を依頼された試料を収容する複数の試料容器100を保持可能な試料ラック2031を、移動可能に支持する。図2に示す例では、5本の試料容器100を並列して保持可能な試料ラック2031が示されている。
ラックサンプラ203は、リーダ300を有する。リーダ300は、例えば試料容器100に付された光学式マークを読取り可能な位置に設けられている。光学式マークは、試料容器100に収容される試料の識別情報などを符号化したマーク、例えば、バーコード、1次元画素コードおよび2次元画素コードなどである。リーダ300は、制御回路9からのID読取開始の指示を契機として、光学式マークの読取りを開始する。リーダ300は、光学式マークを読取り可能な位置に試料容器100が到着すると、当該光学式マークから試料の識別情報を読み取る。リーダ300は、読取った識別情報を制御回路9に供給する。なお、リーダ300は、RFID(Radio Frequency IDentification)などを利用した他のセンサで代替してもよい。
ラックサンプラ203には、試料ラック2031が投入される投入位置から、測定が完了した試料ラック2031を回収する回収位置まで、試料ラック2031を搬送する搬送領域が設けられている。搬送領域では、短手方向に整列された複数の試料ラック2031が、駆動機構4により、方向D1へ移動される。
また、ラックサンプラ203には、試料ラック2031で保持される試料容器100を所定のサンプル吸引位置へ移動させるため、試料ラック2031を搬送領域から引き込む引き込み領域が設けられている。サンプル吸引位置は、例えば、後述される試料分注プローブ207の回動軌道と、ラックサンプラ203で支持されて試料ラック2031で保持される試料容器の開口部の移動軌道とが交差する位置に設けられる。引き込み領域では、搬送されてきた試料ラック2031が、駆動機構4により、方向D2へ移動される。また、引き込み領域の光学式マークを読取り可能な位置では、方向D2に移動された試料ラック2031に保持された試料容器に記されている光学式マークがリーダ300により読み取られる。
また、ラックサンプラ203には、試料が吸引された試料容器を保持する試料ラック2031を搬送領域へ戻すための戻し領域が設けられている。戻し領域では、試料ラック2031が、駆動機構4により、方向D3へ移動される。
第1試薬庫204は、標準試料に含まれる所定の成分または被検試料に含まれる所定の成分に反応する第1試薬を収容する試薬容器101を複数保冷する。図2では図示していないが、第1試薬庫204は、着脱自在な試薬カバーで覆われている。第1試薬庫204内には、試薬ラックが回転自在に設けられている。試薬ラックは、複数の試薬容器101を円環状に配列して保持する。試薬ラックは、駆動機構4により回動される。尚、試薬容器101には、電極を洗浄するための電極用洗剤が収容されてもよい。以降では、特に断りがなければ、「洗剤」とは、「電極用洗剤」であるものとする。
第1試薬庫204上の所定の位置には、第1試薬吸引位置が設定されている。第1試薬吸引位置は、例えば、後述される第1試薬分注プローブ209の回動軌道と、試薬ラックに円環状に配列される試薬容器101の開口部の移動軌道とが交差する位置に設けられる。
第2試薬庫205は、例えば、2試薬系の第1試薬と対をなす第2試薬を収容する試薬容器101を複数保冷する。図2では図示していないが、第2試薬庫205は、着脱自在な試薬カバーで覆われている。第2試薬庫205内には、試薬ラックが回転自在に設けられている。試薬ラックは、複数の試薬容器101を円環状に配列して保持する。なお、第2試薬庫205で保冷される第2試薬は、第1試薬庫204で保冷される第1試薬と同一成分、かつ、同一濃度の試薬でもよい。
第2試薬庫205上の所定の位置には、第2試薬吸引位置が設定されている。第2試薬吸引位置は、例えば、第2試薬分注プローブ211の回動軌道と、試薬ラックに円環状に配列される試薬容器101の開口部の移動軌道とが交差する位置に設けられる。
次に、試料分注アーム206、試料分注プローブ207、洗浄槽207a、洗剤貯留容器207b、第1試薬分注アーム208、第1試薬分注プローブ209、洗浄槽209a、第2試薬分注アーム210、第2試薬分注プローブ211、洗浄槽211a、電極ユニット212、測光ユニット213、洗浄ユニット214および攪拌ユニット216について説明する。
試料分注アーム206は、反応ディスク201とラックサンプラ203との間に設けられている。試料分注アーム206は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。試料分注アーム206は、一端に試料分注プローブ207を保持する。
試料分注プローブ207は、試料分注アーム206の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、ラックサンプラ203上の試料ラック2031で保持される試料容器の開口部が位置するようになっている。
また、試料分注プローブ207の回動軌道上には、試料分注プローブ207が吸引した試料を反応管2011へ吐出するためのサンプル吐出位置が設けられている。サンプル吐出位置は、試料分注プローブ207の回動軌道と、反応ディスク201に保持されている反応管2011の移動軌道との交点に相当する。
また、試料分注プローブ207の回動軌道上のサンプル吸引位置およびサンプル吐出位置とは異なった位置には、試料分注プローブ207が洗浄される洗浄位置が設けられている。洗浄位置には、試料分注プローブ207を洗浄する洗浄槽207aが設けられている。
また、試料分注プローブ207の回動軌道上のサンプル吸引位置、サンプル吐出位置および洗浄位置とは異なった位置には、試料分注プローブ207が洗剤を吸引するための洗剤吸引位置が設けられてもよい。洗剤吸引位置には、後述する電極ユニットの洗浄に用いる洗剤を貯留する洗剤貯留容器207bが設けられてもよい。
試料分注プローブ207は、駆動機構4によって駆動され、ラックサンプラ203上の試料ラック2031で保持される試料容器の開口部の直上、サンプル吐出位置、洗浄位置または洗剤吸引位置において上下方向に移動する。
また、試料分注プローブ207は、制御回路9の制御に従い、試料容器の開口部から試料を吸引する。また、試料分注プローブ207は、制御回路9の制御に従い、吸引した試料を、サンプル吐出位置の直下に位置する反応管2011へ吐出する。試料分注プローブ207は、この一連の分注動作を、例えば、1サイクルの間に1回実施する。
また、試料分注プローブ207は、制御回路9の制御に従い、試料分注プローブ207の回動軌道上の洗浄位置の直下に位置する洗浄槽207aから洗浄液を吸引する。洗浄液は、例えば、純水、プローブ洗浄用のアルカリ性洗剤またはプローブ洗浄用の酸性洗剤などである。試料分注プローブ207は、制御回路9の制御に従い、吸引した洗浄液を、サンプル吐出位置の直下に位置する反応管2011へ吐出する。これにより、試料分注プローブ207およびサンプル吐出位置の直下に位置する反応管2011が洗浄される。試料分注プローブ207は、この一連の洗浄動作を、例えば、1サイクルの間に1回実施する。
また、自動分析装置1において洗剤貯留容器207bが備えられている場合、試料分注プローブ207は、制御回路9の制御に従い、試料分注プローブ207の回動軌道上の洗剤吸引位置の直下に位置する洗剤貯留容器207bから洗剤を吸引する。また、試料分注プローブ207は、制御回路9の制御に従い、吸引した洗剤をサンプル吐出位置の直下に位置する反応管2011へ吐出する。試料分注プローブ207は、この一連の分注動作を、例えば、1サイクルの間に1回実施する。
第1試薬分注アーム208は、反応ディスク201と第1試薬庫204との間に設けられている。第1試薬分注アーム208は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。第1試薬分注アーム208は、一端に第1試薬分注プローブ209を保持する。
第1試薬分注プローブ209は、第1試薬分注アーム208の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、第1試薬吸引位置が設けられている。また、第1試薬分注プローブ209の回動軌道上には、第1試薬分注プローブ209が吸引した試薬を反応管2011へ吐出するための第1試薬吐出位置が設定されている。第1試薬吐出位置は、第1試薬分注プローブ209の回動軌道と、反応ディスク201に保持されている反応管2011の移動軌道との交点に相当する。さらに、第1試薬分注プローブ209の回動軌道上の第1試薬吸引位置および第1試薬吐出位置とは異なった位置には、第1試薬分注プローブ209が洗浄される洗浄位置が設けられている。洗浄位置には、第1試薬分注プローブ209を洗浄する洗浄槽209aが設けられている。
第1試薬分注プローブ209は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の第1試薬吸引位置、第1試薬吐出位置または洗浄位置において上下方向に移動する。
第1試薬分注プローブ209は、制御回路9の制御に従い、第1試薬吸引位置の直下に位置する試薬容器から第1試薬を吸引する。すなわち、第1試薬分注プローブ209は、本実施形態に係る試薬分注プローブの一例である。また、第1試薬分注プローブ209は、制御回路9の制御に従い、吸引した第1試薬を、第1試薬吐出位置の直下に位置する反応管2011へ吐出する。第1試薬分注プローブ209は、この一連の分注動作を、例えば、1サイクルの間に1回実施する。
第1試薬分注プローブ209は、制御回路9の制御に従い、第1試薬分注プローブ209の回動軌道上の洗浄位置の直下に位置する洗浄槽209aから洗浄液を吸引する。第1試薬分注プローブ209は、制御回路9の制御に従い、吸引した洗浄液を、第1試薬吐出位置の直下に位置する反応管2011へ吐出する。これにより、第1試薬分注プローブ209および第1試薬吐出位置の直下に位置する反応管2011が洗浄される。第1試薬分注プローブ209は、この一連の洗浄動作を、例えば、1サイクルの間に1回実施する。
第2試薬分注アーム210は、反応ディスク201と第2試薬庫205との間に設けられている。第2試薬分注アーム210は、駆動機構4により、鉛直方向に上下動自在、かつ、水平方向に回動自在に設けられている。第2試薬分注アーム210は、一端に第2試薬分注プローブ211を保持する。
第2試薬分注プローブ211は、第2試薬分注アーム210の回動に伴い、円弧状の回動軌道に沿って回動する。この回動軌道上には、第2試薬吸引位置が設けられている。
また、第2試薬分注プローブ211の回動軌道上には、第2試薬分注プローブ211が吸引した試薬を反応管2011へ吐出するための第2試薬吐出位置が設定されている。第2試薬吐出位置は、第2試薬分注プローブ211の回動軌道と、反応ディスク201に保持されている反応管2011の移動軌道との交点に相当する。
また、第2試薬分注プローブ211の回動軌道上には、第2試薬分注プローブ211が吸引した洗剤を反応管へ吐出するための洗剤吐出位置が設定されている。洗剤吐出位置は、第2試薬分注プローブ211の回動軌道と、反応ディスク201に保持されている反応管2011の移動軌道との交点に相当し、第2試薬吐出位置とは異なる位置である。
また、第2試薬分注プローブ211の回動軌道上の第2試薬吸引位置、第2試薬吐出位置および洗剤吐出位置とは異なった位置には、第2試薬分注プローブ211が洗浄される洗浄位置が設けられている。洗浄位置には、第2試薬分注プローブ211を洗浄する洗浄槽211aが設けられている。
第2試薬分注プローブ211は、駆動機構4によって駆動され、回動軌道上の第2試薬吸引位置、第2試薬吐出位置、洗剤吐出位置または洗浄位置において上下方向に移動する。
第2試薬分注プローブ211は、制御回路9の制御に従い、第2試薬吸引位置の直下に位置する試薬容器から第2試薬を吸引する。すなわち、第2試薬分注プローブ211は、本実施形態に係る試薬分注プローブの一例である。また、第2試薬分注プローブ211は、制御回路9の制御に従い、吸引した第2試薬を、第2試薬吐出位置の直下に位置する反応管2011へ吐出する。第2試薬分注プローブ211は、この一連の分注動作を、例えば、1サイクルの間に1回実施する。
第2試薬分注プローブ211は、制御回路9の制御に従い、第2試薬分注プローブ211の回動軌道上の洗浄位置の直下に位置する洗浄槽211aから洗浄液を吸引する。第2試薬分注プローブ211は、制御回路9の制御に従い、吸引した洗浄液を、第2試薬吐出位置の直下に位置する反応管2011へ吐出する。これにより、第2試薬分注プローブ211および第2試薬吐出位置の直下に位置する反応管2011が洗浄される。第2試薬分注プローブ211は、この一連の洗浄動作を、例えば、1サイクルの間に1回実施する。
電極ユニット212は、反応管2011内に吐出された試料と試薬との混合液の電解質濃度を測定する。電極ユニット212は、イオン選択性電極(Ion Selective Electrode:ISE)および参照電極を有する。電極ユニット212は、制御回路9の制御に従い、測定対象のイオンを含む混合液について、ISEと参照電極との間の電位を測定する。電極ユニット212は、電位を測定したデータを標準データまたは被検データとして解析回路3へと出力する。以下、図3から図5を参照して、電極ユニット212の構成について詳細に説明する。
図3は、図2の電極ユニットの構成例を示す図である。例えば、図3に示すように、電極ユニット212は、検出部40と、溶液収容部41と、吸引部43と、廃液タンク47とを備える。検出部40は、試料および試薬の混合液を測定することにより、検査項目成分である、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオンおよび塩素イオンを含む複数の電解質を検出する。溶液収容部41は、所定の濃度の複数の電解質を含む校正液を収容する。吸引部43は、混合液および校正液のそれぞれを吸引する。廃液タンク47は、検出部40により検出されて不用になった各溶液を貯留する。尚、検出部40は、電極ユニット212から着脱可能である。
検出部40は、駆動機構4により、反応管2011と溶液収容部41の貯留容器412との間を移動可能に配置される。図4は、図3の検出部の構成例を示す図である。例えば、図4に示すように、検出部40は、例えば、複合電極45と、吸引ノズル46とにより構成される。複合電極45は、一定の温度(例えば、摂氏37度)に保たれる。吸引ノズル46は、複合電極45の下端部に着脱可能に取り付けられる。複合電極45は、ISE451、ISE452、ISE453および参照電極454により構成される。複合電極45には、吸引ノズル46に連通し、ISE451、ISE452、ISE453および参照電極454を貫通する貫通孔45aが形成されている。
ISE451は、一部に貫通孔45aが形成され、ナトリウムイオンを選択的に検出する感応膜を有する。ISE451は、吸引部43の吸引動作により、貫通孔45aに流入した各溶液の活量係数および溶液温度が一定となる条件で、参照電極454に対してナトリウムイオンの濃度の対数に比例する電位を発生する。
ISE452は、一部に貫通孔45aが形成され、カリウムイオンを選択的に検出する感応膜を有する。ISE452は、吸引部43の吸引動作により、貫通孔45aに流入した各溶液の活量係数及び溶液温度が一定となる条件で、参照電極454に対してカリウムイオンの濃度の対数に比例する電位を発生する。
ISE453は、一部に貫通孔45aが形成され、塩素イオンを選択的に検出する感応膜を有する。ISE453は、吸引部43の吸引動作により、貫通孔45aに流入した各溶液の活量係数及び溶液温度が一定となる条件で、参照電極454に対して塩素イオンの濃度の対数に反比例する電位を発生する。
参照電極454は、一部に貫通孔45aが形成され、一定の電位を発生する液絡部を有する。
溶液収容部41は、校正液ボトル411、貯留容器412、供給ポンプ413および排液ポンプ414を備える。校正液ボトル411には、校正液が収容されている。供給ポンプ413は、駆動機構4の駆動により校正液ボトル411内の校正液を吸引して貯留容器412内に供給するポンプである。貯留容器412は、供給ポンプ413により供給された校正液を、複合電極45と同じ温度で貯留する容器である。排液ポンプ414は、吸引部43により検出部40内に吸引された後に貯留容器412内に残留する校正液を排出するポンプである。
標準試料には、各電解質の濃度が異なる2種類の第1の標準試料および第2の標準試料がある。第1の標準試料に含まれる各電解質の濃度を示す第1の標準値と、第2の標準試料に含まれる各電解質の濃度を示す第2の標準値とが入力インタフェース5からの入力により記憶回路8に保存されている。尚、第1の標準値および第2の標準値は、上述の標準データに含まれる。
キャリブレーションが実行されると、試料分注プローブ207は第1の標準試料を反応管2011に分注し、第1試薬分注プローブ209は第1の標準試料が分注された反応管2011に第1試薬を分注する。第1の標準試料および第1試薬の分注により、反応管2011内では第1の標準試料が第1試薬で希釈され、校正液よりも低濃度の各電解質を含有する第1の標準混合液となる。
また同様に、キャリブレーションが実行されると、試料分注プローブ207は第2の標準試料を反応管2011に分注し、第1試薬分注プローブ209は第2の標準試料が分注された反応管20111に第1試薬を分注する。第2の標準試料および第1試薬の分注により、反応管2011内では第2の標準試料が第1試薬で希釈され、校正液よりも高濃度の各電解質を含有する第2の標準混合液となる。
検査が実行されると、試料分注プローブ207は各電解質の濃度が未知の被検試料を反応管2011に分注し、第1試薬分注プローブ209は被検試料が分注された反応管2011に第1試薬を分注する。被検試料および第1試薬の分注により、反応管2011内では被検試料が第1試薬で希釈された被検混合液となる。
吸引部43は、吸引ポンプ431と、吸引ポンプ431と検出部40との間を連通するチューブ432とを備える。吸引ポンプ431は、例えば、シリンジおよびプランジャにより構成されるシリンジポンプを有する。
図5は、実施形態に係る混合液の吸引動作を説明する図である。図5に示すように、吸引ポンプ431は、駆動機構4により検出部40が移動されて吸引ノズル46が反応管2011内の第1の標準混合液、第2の標準混合液および被検混合液の各混合液に進入した位置で停止すると、駆動機構4の吸引駆動により各混合液を吸引する吸引動作を行う。尚、電極ユニット212の吸引ノズル46が、反応管2011から混合液などを吸引する位置は、電極用吸引位置と呼ばれてもよい。
図6は、実施形態に係る校正液の吸引動作を説明する図である。図6に示すように、吸引ポンプ431は、各混合液の吸引動作の前後に、駆動機構4により検出部40が移動されて吸引ノズル46が貯留容器412内の校正液に進入した位置で停止すると、駆動機構4の吸引駆動により校正液を吸引する吸引動作を行う。
校正液の吸引動作は、例えば、ある混合液の吸引と別の混合液の吸引との間に行われる。校正液を吸引することによって、貫通孔45a内での混合液の残留を防ぐことができる。即ち、校正液の吸引動作は、校正液による洗浄動作と捉えることもできる。しかし、貫通孔45a内の汚れが著しいと、校正液では汚れを落とせないことがあり、洗剤を吸引することによって、貫通孔45a内の汚れを落とす必要がある。
概括すると、電極ユニット212は、複合電極45のそれぞれと、参照電極454との間の電位を測定する。具体的には、電極ユニット212は、反応管2011内の第1の標準混合液または第2の標準混合液に含まれる各電解質を検出したときの電位に相当する信号を標準データとして解析回路3へと出力する。また、電極ユニット212は、反応管2011内の被検混合液に含まれる各電解質を検出したときの電位に相当する信号を被検データとして解析回路3へと出力する。また、被検データには、校正液に含まれる各電解質を検出したときの電位に相当する信号である校正データが含まれる。即ち、被検データには、試料に基づく被検混合液を測定している間のデータと、校正液を測定している間のデータとが含まれる。
測光ユニット213は、反応管2011内に吐出された試料と試薬との混合液における所定の成分を光学的に測定する。測光ユニット213は、光源および光検出器を有する。測光ユニット213は、制御回路9の制御に従い、光源から光を照射する。照射された光は、反応管2011の第1側壁から入射され、第1側壁と対向する第2側壁から出射される。測光ユニット213は、反応管2011から出射された光を、光検出器により検出する。
具体的には、例えば、光検出器は、反応管2011内の標準試料と試薬との混合液を通過した光を検出し、検出した光の強度に基づき、吸光度などにより表される標準データを生成する。また、光検出器は、反応管2011内の被検試料と試薬との混合液を通過した光を検出し、検出した光の強度に基づき、吸光度などにより表される被検データを生成する。測光ユニット213は、生成した標準データおよび被検データを解析回路3へ出力する。
洗浄ユニット214は、電極ユニット212または測光ユニット213において混合液の測定が終了した反応管2011の内部を洗浄する。この洗浄ユニット214は、反応管2011を洗浄するための洗浄液を供給する不図示の洗浄液供給ポンプを備えている。また、洗浄ユニット214は、洗浄液供給ポンプから供給された洗浄液の反応管2011内への吐出や、反応管2011内の混合液、及び洗浄液の各液体の吸引を行う不図示の洗浄ノズルを備えている。
攪拌ユニット216は、反応ディスク201の外周近傍に設けられている。攪拌ユニット216は、攪拌子を有し、攪拌子により、反応ディスク201上の攪拌位置に位置する反応管2011内に収容されている試料及び第1試薬、又は、反応管2011内に収容されている試料、第1試薬、及び第2試薬を攪拌する。
次に、本実施形態に係る制御回路9の機能について述べる。図1に示される制御回路9は、記憶回路8に記憶されている動作プログラムを実行することで、当該プログラムに対応する機能を実現する。例えば、制御回路9は、動作プログラムを実行することで、システム制御機能91、電位取得機能92、電位判定機能93(判定部)および報告機能94(報告部)を有する。なお、本実施形態では、単一のプロセッサによってシステム制御機能91、電位取得機能92、電位判定機能93および報告機能94が実現される場合を説明するが、これに限定されない。例えば、複数の独立したプロセッサを組み合わせて制御回路を構成し、各プロセッサが動作プログラムを実行することによりシステム制御機能91、電位取得機能92、電位判定機能93および報告機能94を実現しても構わない。
制御回路9は、システム制御機能91により、例えば、入力インタフェース5から入力される入力情報などに基づき、自動分析装置1における各部を統括して制御する。具体的には、制御回路9は、反応ディスク201の回動動作、試料分注プローブ207の回動動作および分注動作、並びに、第2試薬分注プローブ211の回動動作および分注動作などを制御する。
また、制御回路9は、読み出した動作プログラムに従って、電極洗浄処理に係る各機能を実行する。上記各機能には、例えば、電位取得機能92、電位判定機能93および報告機能94などがある。尚、上記各機能には、システム制御機能91の一部の機能が含まれてもよい。
制御回路9は、電位取得機能92により、例えば、検出部40内に吸引された校正液の電位を取得する。
制御回路9は、電位判定機能93により、電極に汚れがあるか否かを判定するために、取得された校正液の電位が所定の範囲内か否かを判定する。具体的には、制御回路9は、取得された電位が第1の範囲内の場合、電極に汚れが無いと判定する。制御回路9は、取得された電位が第1の範囲内ではない場合(即ち、第1の範囲外の場合)、電極に汚れがあると判定する。尚、「電極に汚れが無い」とは、電極が正常に使用できる状態であることと同義である。また、電極に汚れがある状態は、例えば、測定対象以外のイオンが電極に付着することによって、校正液の電位が極端に大きく、または極端に小さく測定されてしまい、正確な測定ができない状態である。
また、制御回路9は、第1の範囲を用いた判定によって電極に汚れがあると判定された場合、第1の範囲を含む第2の範囲を用いた判定を行ってもよい。制御回路9は、取得された電位が第2の範囲内ではない場合(即ち、第2の範囲外の場合)、電極に極度の汚れがあると判定する。制御回路9は、取得された電位が第2の範囲内の場合、且つ、第1の範囲外の場合、電極に汚れがあると判定する。
制御回路9は、報告機能96により、洗剤を用いた洗浄処理(後述する洗剤洗浄処理)の結果を出力インタフェース6へ報告する。具体的には、制御回路9は、洗剤洗浄処理により電極の汚れが無くなった場合、洗浄が完了したことを出力インタフェース6に表示し、ユーザへ報告する。制御回路9は、洗剤洗浄処理でも電極の汚れが残っている場合、洗浄できないことを出力インタフェース6に表示し、ユーザへ報告する。
なお、制御回路9は、電極ユニット212の洗浄が完了した場合、即ち電極の汚れが無くなった場合、即時に、電極を用いた被検液の電解質濃度の測定を再開させてもよい。また、制御回路9は、測定が再開されることをユーザへ報告してもよい。
次に、以上のように構成された本実施形態に係る自動分析装置1の動作について制御回路9の処理手順に従って説明する。また、以降では、図7のフローチャートと、図8のタイムチャートとを用いて説明し、主にISE453の電極を用いた場合の測定および処理について述べる。
なお、図7は、実施形態に係る動作を例示するフローチャートである。図8は、実施形態において、校正液を用いて洗浄する場合における、複数の溶液とそれぞれの溶液の電極電位とを対応付けて示すタイムチャートである。
図7のフローチャートは、例えば、自動分析装置1による分析中において、電極ユニット212が校正液による電極電位の測定を行うタイミングで、制御回路9が電極洗浄処理を行うプログラムを実行することにより開始される。図8の被検データ50は、校正液の吸引動作51、混合液の吸引動作52、校正液の吸引動作53および洗浄動作54(校正液の吸引動作)にそれぞれ対応する電位が示される。以降の電極洗浄処理は、例えば、校正液の吸引動作51および校正液の吸引動作53の動作中に行われる。
(ステップST101)
電極洗浄処理が開始すると、制御回路9は、システム制御機能91を実行する。システム制御機能91を実行すると、制御回路9は、電極ユニット212に対して、校正液を吸引する指示をする。電極ユニット212は、制御回路9からの指示を受けて、貯留容器412に供給された校正液を吸引する。
(ステップST102)
校正液を吸引した後、制御回路9は、電位取得機能92を実行する。電位取得機能92を実行すると、制御回路9は、電極の電位を測定する。具体的には、制御回路9は、校正液が吸引されている間のISE453と参照電極454との間の電位のデータを取得する。
(ステップST103)
電位のデータを取得した後、制御回路9は、電位判定機能93を実行する。電位判定機能93を実行すると、制御回路9は、取得された電位が第1の範囲内か否かを判定する。取得された電位が第1の範囲内の場合、電極に汚れがないと判定し、処理は終了する。取得された電位が第1の範囲内ではない場合、電極に汚れがあると判定し、処理はステップST104へと進む。
具体的には、図8の校正液の吸引動作51において電極洗浄処理が実行されている場合、校正液の吸引動作51に対応する電位は、第1の範囲r1の範囲内である。よって、制御回路9は、電極に汚れが無いと判定し、処理を終了させる。
第1の範囲r1は、校正液の電位として正常な範囲を示し、第1の上限値Vth1aおよびと第1の下限値Vth1bの間の範囲である。また、校正液の電位は、第1の範囲r1の範囲内である、電位Vc0を基準として設定されるものとする。即ち、校正液の電位が第1の範囲r1から外れた場合、電極に何らかの問題が生じていることとなる。
図8の校正液の吸引動作53において電極洗浄処理が実行されている場合、校正液の吸引動作53に対応する電位Vc1は、第1の範囲r1の範囲外である。よって、制御回路9は、電極に汚れがあると判定し、ステップST104の処理を行う。
(ステップST104)
さらに、制御回路9は、電位判定機能93により、取得された電位が第2の範囲内か否かを判定する。取得された電位が第2の範囲内の場合、電極に汚れがある(即ち、極度の汚れがない)と判定し、処理はステップST105へと進む。取得された電位が第2の範囲内ではない場合、電極に極度の汚れがあると判定し、処理はステップST108の洗剤洗浄処理へと進む。
具体的には、校正液の吸引動作53に対応する電位は、第2の範囲r2の範囲内である。よって、制御回路9は、電極に汚れがあると判定し、ステップST105の処理を行う。
(ステップST105)
電位が判定された後、制御回路9は、システム制御機能91により、電極ユニット212に対して、校正液を吸引する指示をする。電極ユニット212は、制御回路9からの指示を受けて、貯留容器412に供給された校正液を吸引する。
(ステップST106)
校正液を吸引した後、制御回路9は、電位取得機能92により、電極の電位を測定する。具体的には、制御回路9は、校正液が吸引されている間のISE453と参照電極454との間の電位のデータを取得する。
(ステップST107)
電位のデータを取得した後、制御回路9は、電位判定機能93により、取得された電位が第1の範囲内か否かを判定する。取得された電位が第1の範囲内の場合、電極の汚れが落とせたと判定し、処理は終了する。取得された電位が第1の範囲内ではない場合、電極に汚れが残っていると判定し、処理はステップST105へと戻る。
具体的には、洗浄動作54に対応する電位は、第1の範囲r1の範囲内である。よって、制御回路9は、電極に汚れが無いと判定し、処理を終了させる。
次に、ステップST108の洗剤洗浄処理について説明する。また、以降では、図9のフローチャートと、図10のタイムチャートとを用いて説明する。
なお、図9は、図7の洗剤洗浄処理の動作を例示するフローチャートである。図10は、実施形態において、洗剤を用いて洗浄する場合における、複数の溶液とそれぞれの溶液の電極電位とを対応付けて示すタイムチャートである。
図10の被検データ60は、校正液の吸引動作61、混合液の吸引動作62、校正液の吸引動作63および洗浄動作64(洗剤の吸引動作)にそれぞれ対応する電位が示される。以降の洗剤洗浄処理は、校正液の吸引動作63の動作後に行われる。例えば、前述のステップST104において、校正液の吸引動作63に対応する電位Vc2は、第2の範囲r2の範囲外である(即ち、第2の範囲内ではない)。よって、制御回路9は、電極に極度の汚れがあると判定し、ステップST201の処理を行う。
第2の範囲r2は、第1の範囲r1を含み、第2の上限値Vth2aおよびと第2の下限値Vth2bの間の範囲である。電極の電位が、第1の範囲r1の範囲外、且つ、第2の範囲r2の範囲内である場合、電極に汚れがあると判定される。また、電極の電位が、第2の範囲r2の範囲外である場合、電極に極度の汚れがあると判定される。
(ステップST201)
洗剤洗浄処理が開始すると、制御回路9は、洗剤洗浄処理を実行可能か否かを判定する。具体的には、制御回路9は、直近のサイクルにおいて、洗剤を入れる反応管に空きがあるか否かを判定する。例えば、反応管が空の場合、制御回路9は、洗剤洗浄処理を実行可能であるとして、ステップST202の処理を行う。他方、例えば、反応管に希釈が必要な試薬または混合液などが入っている場合、制御回路9は、洗剤洗浄処理を実行可能でないとして、ステップST201の処理を繰り返す。
なお、洗剤洗浄処理を実行可能か否かの判定は、上記に限らない。具体的には、制御回路9は、検査オーダで決められた測定順序に、洗剤洗浄処理を割り込みできるか否かによって判定してもよい。例えば、割り込みができる場合、制御回路9は、洗剤洗浄処理を実行可能であるとして、ステップST202の処理を行う。他方、例えば、割り込みができない場合、制御回路9は、洗剤洗浄処理を実行可能でないとして、ステップST201の処理を繰り返す。
また、制御回路9は、緊急検体での分析があるか否かによって判定してもよい。例えば、緊急検体での分析がない場合、制御回路9は、洗剤洗浄処理を実行可能であるとして、ステップST202の処理を行う。他方、例えば、緊急検体での分析がある場合、制御回路9は、洗剤洗浄処理を実行可能でないとして、ステップST201の処理を繰り返す。
(ステップST202)
洗剤洗浄処理が実行可能であると判定されると、制御回路9は、システム制御機能91を実行する。システム制御機能91を実行すると、制御回路9は、第2試薬分注プローブ211に対して、洗剤を分注する指示をする。第2試薬分注プローブ211は、制御回路9の指示を受けて、第2試薬庫205に保持されている試薬容器101に収容された洗剤を吸引する。そして、第2試薬分注プローブ211は、吸引した洗剤を洗剤吐出位置の直下に位置する反応ディスク201に保持されている反応管2011へと吐出する。
(ステップST203)
反応管に洗剤を吐出した後、制御回路9は、システム制御機能91により、駆動機構4に対して、反応ディスク201を回動させる指示をする。駆動機構4は、制御回路9の指示を受けて、反応ディスク201を回動させる。反応ディスク201を回動させることによって、制御回路9は、洗剤吐出位置で停止している反応管2011を、電極用吸引位置まで移動させることができる。
(ステップST204)
反応ディスクを回動させた後、制御回路9は、システム制御機能91により、電極ユニット212に対して、洗剤を吸引する指示をする。電極ユニット212は、制御回路9からの指示を受けて、電極用吸引位置で停止している反応管2011から洗剤を吸引する。
(ステップST205)
洗剤を吸引した後、制御回路9は、システム制御機能91により、電極ユニット212に対して、校正液を吸引する指示をする。電極ユニット212は、制御回路9からの指示を受けて、貯留容器412に供給された校正液を吸引する。
(ステップST206)
校正液を吸引した後、制御回路9は、電位取得機能92により、電極の電位を測定する。具体的には、制御回路9は、校正液が吸引されている間のISE453と参照電極454との間の電位のデータを取得する。
(ステップST207)
電位のデータを取得した後、制御回路9は、電位判定機能93により、取得された電位が第1の範囲内か否かを判定する。取得された電位が第1の範囲内の場合、電極の汚れが落とせたと判定し、処理はステップST210へと進む。取得された電位が第1の範囲内ではない場合、電極に汚れが残っていると判定し、処理はステップST208へと進む。
(ステップST208)
電位が判定された後、制御回路9は、洗剤による電極の洗浄を所定回数行ったか否かを判定する。洗浄を所定回数行った場合、電極の洗浄ができないと判定し、処理はステップST209へと進む。洗浄を所定回数行っていない場合、電極の洗浄が不十分であると判定し、処理はステップST201へと戻る。
(ステップST209)
洗浄回数が判定された後、制御回路9は、報告機能94を実行する。報告機能94を実行すると、制御回路9は、洗浄できないことを出力インタフェース6に表示し、ユーザへ報告する。ユーザへ報告すると、洗剤洗浄処理は終了する。
(ステップST210)
電位が判定された後、制御回路9は、報告機能94を実行する。報告機能94を実行すると、制御回路9は、洗浄が完了したことを出力インタフェース6に表示し、ユーザへ報告する。ユーザへ報告すると、洗剤洗浄処理は終了する。
(第1の動作例)
図11は、実施形態に係る洗剤洗浄処理の第1の動作例を説明する模式図である。以降では、例えば、図9のフローチャートにおけるステップST202およびステップST203の具体的な動作について図11の模式図を用いて述べる。尚、以降では、制御回路9からの指示を受けて各部が動作するものとし、制御回路9についての記載を省略する。
ステップST202において、第2試薬分注プローブ211は、第2試薬吸引位置p1の直下に位置する試薬容器から洗剤を吸引する。プローブが洗剤を吸引して保持した後、第2試薬分注アーム210は、矢印ar1の向きに、第2試薬吸引位置p1から洗剤吐出位置p2(第1の位置)まで回動する。回動した後、第2試薬分注プローブ211は、洗剤吐出位置p2で停止している反応管2011へ洗剤を吐出する。
ステップST203において、駆動機構4は、反応ディスク201を所定の回動角度で所定のサイクル回数の回動をさせる。具体的には、駆動機構4は、反応ディスク201を1サイクル分の回動(1回の回動)をさせることによって、洗剤吐出位置p2で停止している反応管2011を電極ユニット212の電極用吸引位置p3(第2の位置)まで移動させる。
なお、電極ユニット212が位置p4に設けられる場合、駆動機構4は、反応ディスク201を2サイクル分の回動(2回の回動)をさせることによって、洗剤吐出位置p2で停止している反応管2011を位置p4まで移動させる。
また、電極ユニット212の吐出位置は、上記に限らず、反応ディスク201が1回転する間に、洗剤吐出位置で停止している反応管2011を電極ユニット212の吐出位置まで移動させてよい。換言すれば、駆動機構4は、反応ディスク201を所定のサイクル回数の回動をさせることによって、洗剤吐出位置で停止している反応管2011を電極ユニット212の吐出位置まで移動させてよい。所定のサイクル回数は、例えば4回以下である。
また、実施形態の第1の動作例における第2試薬分注プローブ211は、回動軌道上において、第2試薬吸引位置p1、第2試薬吐出位置p2’(第3の位置)および洗剤吐出位置p2の順番で、吸引位置または吐出位置を設定している。そして、第1の動作例において、第2試薬吐出位置p2’の位置で停止している反応管を電極用吸引位置p3まで移動させるサイクル回数は、洗剤吐出位置p2の位置で停止している反応管を電極用吸引位置p3まで移動させるサイクル回数よりも多い。
また、実施形態の第1の動作例における第2試薬分注プローブ211は、回動軌道上において、第2試薬吸引位置p1、第2試薬吐出位置p2’および洗剤吐出位置p2の順番で、吸引位置または吐出位置を設定しているが、これに限らない。例えば、第2試薬分注プローブ211は、回動軌道上において、第2試薬吸引位置、洗剤吐出位置および第2試薬吐出位置の順番で、吸引位置または吐出位置を設定してもよい。この場合、電極ユニット212の吸引位置は、洗剤吐出位置に基づいて変更される。
(第2の動作例)
第1の動作例では、自動分析装置1は、第2試薬分注プローブ211によって、洗剤を反応管2011へと分注した。他方、第2の動作例では、自動分析装置1は、試料分注プローブ207によって、洗剤を反応管2011へと分注する。この場合、自動分析装置1は、洗剤貯留容器207bを備える。
図12は、図9の洗剤洗浄処理の第2の動作例を示すフローチャートである。また、図12のフローチャートは、図9のフローチャートのステップST300の別の処理形態を示す。尚、ステップST300の処理は、ステップST201の判定結果によって、第1の動作例による処理が行われてもよいし、第2の動作例による処理が行われてもよい。
(ステップST301)
洗剤洗浄処理が実行されると、制御回路9は、システム制御機能91を実行する。システム制御機能91を実行すると、制御回路9は、試料分注プローブ207に対して、洗剤を分注する指示をする。試料分注プローブ207は、制御回路9の指示を受けて、洗剤貯留容器207bに収容された洗剤を吸引する。そして、試料分注プローブ207は、吸引した洗剤をサンプル吐出位置の直下に位置する反応ディスク201に保持されている反応管2011へと吐出する。
(ステップST302)
反応管に洗剤を吐出した後、制御回路9は、システム制御機能91により、駆動機構4に対して、反応ディスク201を回動させる指示をする。駆動機構4は、制御回路9の指示を受けて、反応ディスク201を回動させる。反応ディスク201を回動させることによって、制御回路9は、サンプル吐出位置で停止している反応管2011を、第2試薬吐出位置まで移動させることができる。
(ステップST303)
反応ディスクを回動させた後、制御回路9は、システム制御機能91により、第2試薬分注プローブ211に対して、洗剤が収容されている反応管から別の反応管へ洗剤を分注する指示をする。第2試薬分注プローブ211は、制御回路9の指示を受けて、反応管2011に収容された洗剤を吸引する。そして、第2試薬分注プローブ211は、吸引した洗剤を洗剤吐出位置の直下に位置する反応ディスク201に保持されている別の反応管2011へと吐出する。
(ステップST304)
別の反応管に洗剤を吐出した後、制御回路9は、システム制御機能91により、駆動機構4に対して、反応ディスク201を回動させる指示をする。駆動機構4は、制御回路9の指示を受けて、反応ディスク201を回動させる。反応ディスク201を回動させることによって、制御回路9は、洗剤吐出位置で停止している別の反応管2011を、電極ユニット212の電極用吸引位置まで移動させることができる。
図13は、実施形態に係る洗剤洗浄処理の別の動作例を説明する模式図である。以降では、例えば、図12のフローチャートにおけるステップST300の具体的な動作について図13の模式図を用いて述べる。尚、以降では、制御回路9からの指示を受けて各部が動作するものとし、制御回路9についての記載を省略する。
ステップST301において、試料分注プローブ207は、洗剤吸引位置の直下に位置する洗剤貯留容器207b(貯留容器)から洗剤を吸引する。プローブが洗剤を吸引して保持した後、試料分注アーム206は、矢印ar11の向きに、洗剤吸引位置からサンプル吐出位置p11まで回動する。回動した後、試料分注プローブ207は、サンプル吐出位置p11(第3の位置)で停止している反応管2011(第2の反応管)へ洗剤を吐出する。
ステップST302において、駆動機構4は、反応ディスク201を所定の回動角度で回動させる。具体的には、駆動機構4は、反応ディスク201を1サイクル分の回動をさせることによって、サンプル吐出位置p11で停止している反応管2011を第2試薬吐出位置p12(第4の位置)までを移動させる。
ステップST303において、第2試薬分注プローブ211は、第2試薬吐出位置p12で停止している反応管2011から洗剤を吸引する。プローブが洗剤を吸引して保持した後、第2試薬分注アーム210は、矢印ar12の向きに、第2試薬吐出位置12から洗剤吐出位置p13(第1の位置)まで回動する。回動した後、第2試薬分注プローブ211は、洗剤吐出位置p13で停止している別の反応管2011(反応管)へ洗剤を吐出する。
ステップST304において、駆動機構4は、反応ディスク201を所定の回動角度で所定のサイクル回数の回動をさせる。具体的には、駆動機構4は、反応ディスク201を1サイクル分の回動をさせることによって、洗剤吐出位置p13で停止している別の反応管2011を電極ユニット212の電極用吸引位置p14(第2の位置)まで移動させる。
なお、電極ユニット212が位置p15に設けられる場合、駆動機構4は、反応ディスク201を2サイクル分の回動(2回の回動)をさせることによって、洗剤吐出位置p13で停止している別の反応管2011を位置p15まで移動させる。また、電極ユニット212の吐出位置は、上記に限らない。このことは、第1の動作例と同様のため、説明を省略する。
また、実施形態の第2の動作例における第2試薬分注プローブ211は、回動軌道上において、第2試薬吸引位置、第2試薬吐出位置p12および洗剤吐出位置p13の順番で、吸引位置または吐出位置を設定している。そして、第2の動作例において、第2試薬吐出位置p12の位置で停止している反応管を電極用吸引位置p14まで移動させるサイクル回数は、洗剤吐出位置p13の位置で停止している反応管を電極用吸引位置p14まで移動させるサイクル回数よりも多い。
また、実施形態の第2の動作例における第2試薬分注プローブ211は、回動軌道上において、第2試薬吸引位置、第2試薬吐出位置p12および洗剤吐出位置p13の順番で、吸引位置または吐出位置を設定しているが、これに限らない。例えば、第2試薬分注プローブ211は、回動軌道上において、第2試薬吸引位置、洗剤吐出位置および第2試薬吐出位置の順番で、吸引位置または吐出位置を設定してもよい。この場合、サンプル吐出位置は、第2試薬吐出位置に基づいて変更される。また、電極ユニット212の吸引位置は、洗剤吐出位置に基づいて変更される。
以上説明したように、実施形態に係る自動分析装置は、複数の反応管を保持する反応ディスクと、反応ディスクの第1の位置で停止している反応管に洗剤を吐出する試薬分注プローブと、第1の位置とは異なる反応ディスクの第2の位置で停止している反応管から吸引した洗剤により洗浄されるものであり、且つ、被検液の電解質濃度を測定するための電極ユニットと、反応ディスクを所定の回動角度で所定のサイクル回数の回動をさせることにより、第1の位置で停止している反応管を第2の位置まで移動させる制御部とを含む。
従って、本自動分析装置は、起動中において、校正液の吸引による電極の洗浄だけでなく、洗剤の吸引による電極の洗浄を行うことができる。これにより、本自動分析装置は、従来よりも電極の汚染による影響を抑えることができる。また、本自動分析装置は、電極の汚染が発生しても、従来よりも早く電極の汚染を解消させることができる。
また、本自動分析装置は、制御部において、反応ディスクを所定の回動角度で4回以下の回動をさせることにより、第1の位置で停止している反応管を第2の位置まで移動させることができる。
また、本自動分析装置は、制御部において、反応ディスクを1回転させる間に、第1の位置で停止している反応管を第2の位置まで移動させることができる。
また、本自動分析装置は、洗剤が収容された試薬容器を格納する試薬庫を更に含み、試薬分注プローブにおいて、試薬容器に収容された洗剤を吸引し、反応ディスクの第1の位置で停止している反応管に洗剤を吐出することができる。
また、本自動分析装置は、試薬分注プローブにおいて、第1の位置および第2の位置とは異なる反応ディスクの第3の位置で停止している反応管に試薬を分注可能であり、第3の位置で停止している反応管を第2の位置まで移動させるサイクル回数は、第1の位置で停止している反応管を第2の位置まで移動させるサイクル回数よりも多い。
また、本自動分析装置は、洗剤が収容された貯留容器と、貯留容器に収容された洗剤を吸引し、第1の位置および第2の位置とは異なる反応ディスクの第3の位置で停止している第2の反応管に洗剤を吐出試料分注プローブを更に含み、制御部において、反応ディスクを所定の回転角度で1回の回動をさせることにより、第3の位置で停止している第2の反応管を、第1の位置、第2の位置および第3の位置とは異なる反応ディスクの第4の位置まで移動させ、試薬分注プローブにおいて、第4の位置で停止している第2の反応管に収容された洗剤を吸引し、第1の位置で停止している反応管に洗剤を吐出することができる。
また、本自動分析装置では、第4の位置で停止している第2の反応管を第2の位置まで移動させるサイクル回数は、第1の位置で停止している反応管を第2の位置まで移動させるサイクル回数よりも多い。
また、本自動分析装置は、電源ユニットの電極が洗浄できたか否かを判定する判定部を更に含み、電極に汚れがあると判定された場合、電極ユニットにおいて、洗剤による吸引を繰り返すことができる。
また、本自動分析装置は、洗剤を用いた洗浄処理の結果を報告する報告部を更に含み、電極に汚れがあると判定された場合、報告部において、洗浄できないことを報告することができる。
また、本自動分析装置は、電極に汚れがないと判定された場合、制御部において、電極を用いた被検液の電解質濃度の測定を再開させることができる。
また、本自動分析装置は、洗剤を用いた洗浄処理の結果を報告する報告部を更に含み、電極に汚れがないと判定された場合、報告部において、測定が再開されたことを報告する事ができる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、起動中において、洗剤を吸引することによって電極ユニットを洗浄することができる。
以上の各実施形態における「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)或いは、ASIC、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、およびFPGA)などの回路を意味する。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。