以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において同一部には原則として同一符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
[課題等]
前述の自動分析装置の課題等について補足説明する。前述のように、従来技術例のディスク方式の容器設置機構を備える自動分析装置では、分析動作中に検体ディスクに検体容器を追加設置する作業を行いたい場合に、操作者の手間、利便性や容易性、安全性確保、分析効率等の観点で課題がある。
更に、従来技術例の自動分析装置は、検体ディスクにプローブガードを備えるものがある。前述のように、自動分析装置の動作中に、操作者の身体や容器が、動いている機構、例えばプローブの先端部に接触すると、怪我等の恐れがあり、操作者や容器の安全性等を確保できない。分注動作時の安全性等を確保するための対策手段として、プローブガードやカバー等の機構の実装が挙げられる。例えば、検体ディスクの一部の領域に、取り付け及び取り外し可能なプローブガードが設けられる。プローブガードは、プローブの軌道の周辺にガード壁を有する構造物である。プローブガードは、分注動作時に操作者の身体がプローブの軌道へアクセスすることを制限し、注意喚起し、プローブの先端部に接触しないように防護する。通常の運用では、プローブガードが取り付けられた状態で、分注動作を含む分析動作が行われる。
プローブガードを備える検体ディスクの場合、プローブガードで覆い隠されている領域の容器設置部に対する検体容器の追加設置は、できないか、しにくい。操作者は、検体ディスクに検体容器を追加設置したい場合、プローブガードで覆い隠されていない領域の空いている容器設置部に検体容器を追加設置する。あるいは、操作者は、プローブガードを取り外してからその領域の空いている容器設置部(即ち分注位置に近い容器設置部)に検体容器を追加設置する。操作者は、プローブガードを再び取り付けて動作再開等を指示する必要がある。
上記のように、プローブガードを備える場合、操作者や検体の安全性を高めることができるが、操作者による容器設置作業の手間が大きく、作業の利便性や容易性の点では不利である。また、緊急検体の分析には対応しにくく、分析効率の点で課題がある。
また、検体ディスク上に検体容器を設置可能な数は限られている。従来の構成では、多数の検体容器を追加設置して分析したい場合には、対応がしにくく、プローブガードを取り外してから設置しなければならない場合もある。
上記のように、自動分析装置において、通常の検体容器の分析と追加の検体容器(緊急検体等)の分析との両方に対応できる利便性や高機能性を実現したい。理想的には、通常の検体容器の分析動作中に、装置の全体または一部(検体ディスク等)の動作を停止させることなく、追加の検体容器の設置及びその分析を可能にしたい。従来技術例の自動分析装置では、作業や分析の効率性の観点と、安全性の観点との両方を満たすためには、改善余地がある。
本発明の実施の形態の自動分析装置は、ディスク方式の検体容器設置機構を用いる。実施の形態の自動分析装置では、プローブガードを備えるディスク方式の容器設置機構に関して、上記のような作業や分析の効率性の観点と、安全性の観点との両方を考慮して、検体の分注動作に係わる機構や制御を工夫した。上記のように、従来の同じ検体ディスクに対して通常の検体容器と追加の検体容器とを設置して対応する仕組みでは、上記両方の観点を満たしにくい。実施の形態の自動分析装置では、通常の検体ディスクとは別に、追加の検体容器を設置するための追加検体ディスクを設け、それらの2種類の検体ディスクに対する動作を切り替えるように制御する仕組みとした。これにより、実施の形態の自動分析装置では、上記両方の観点をバランス良く満たすようにした。
(実施の形態1)
図1〜図16を用いて、本発明の実施の形態1の自動分析装置について説明する。実施の形態1の自動分析装置は、検体容器の設置及び搬送を行うディスク方式の容器設置機構として、通常検体ディスクに加え、追加検体ディスクを有する。通常検体ディスクは、通常の検体容器が設置される検体ディスクである。追加検体ディスクは、緊急検体等の追加の検体容器が設置される検体ディスクである。この自動分析装置は、操作者によって追加検体ディスクの容器設置部に追加検体容器が追加設置されたことを検知する機構を備える。自動分析装置は、その検知に基づいて、検体の分注動作を、通常検体ディスクの通常検体容器に対する分注動作から、追加検体ディスクの追加検体容器に対する分注動作へ切り替えるように制御する。自動分析装置は、その制御の際、2種類の検体ディスクの駆動を時分割で切り替えると共に、検体分注機構のプローブ等の動作を時分割で切り替える。これにより、通常検体容器の分注動作よりも先に追加検体容器の分注動作が優先して実行される。
実施の形態の自動分析装置では、通常検体の分析動作中に、緊急検体等の追加検体の追加設置を常時に可能とした。その追加設置の作業の際に、自動分析装置の全体または一部の動作を停止させる必要は無い。実施の形態の自動分析装置では、追加設置の検知に応じて、追加検体の分注動作を優先的に割り込みとして挿入し、すぐに分析可能とした。その際に、強制的な停止等を行わないので、分析途中であった通常検体についても、分析結果が得られ、検体が損なわれることも無い。
[自動分析装置(1)−機構]
図1は、実施の形態1の自動分析装置の全体の構成として、特に装置上面付近での主要な機構の構成を概略的に示す。実施の形態1の自動分析装置は、ディスク方式の容器設置機構を備える。この容器設置機構は、容器搬送機構を含み、容器の設置及び搬送を可能とする機構である。実施の形態1の自動分析装置は、検体容器設置機構を構成する検体ディスクとして、通常検体ディスク1と追加検体ディスク2との2種類を備える。図1では、装置正面に位置しているユーザである操作者から装置上面を見る様子を概略的に示す。なお、説明上の方向として、X方向、Y方向、Z方向を示す。X方向、Y方向は、水平面を構成する直交する2つの方向であり、Z方向は、鉛直方向である。図1では、X方向は、装置正面からみて横方向に対応し、Y方向は、装置の奥行き方向に対応し、Z方向は、装置の高さ方向に対応する。
図1で、自動分析装置は、主な機構として、通常検体ディスク1、追加検体ディスク2、反応槽機構の反応容器ディスク3、試薬容器設置機構を構成する試薬ディスク4、検体分注機構5、試薬分注機構6である試薬ピペッティング機構、撹拌機構7、光度計8、洗浄機構9等を備える。
通常検体ディスク1は、通常の検体を設置及び搬送する機構であり、公知の構成を適用できる。通常検体ディスク1は、円環部の円周上に複数の容器設置部10を有し、各容器設置部10に検体容器11(通常検体容器と記載する場合がある)が架設して設置可能となっている。通常検体ディスク1は、後述の駆動部から間欠回転駆動される。これにより、通常検体ディスク1の円周上の各容器設置部10及び検体容器11が間欠回転移動する。間欠回転は、言い換えると、所定の円弧の距離を単位とした移動である。
通常検体ディスク1は、円環部と回転軸部とを含む。円環部の円周方向に沿って、複数の容器設置部10(通常検体容器設置部)が配置されている。検体容器11には、患者等の血液や尿等の検体が格納されている。本例では、通常検体ディスク1は、内周、外周の二重の円環部を有し、それぞれ、回転駆動され、容器設置部10に検体容器11が設置可能となっている。操作者の作業によって、空いている各容器設置部10に検体容器11が設置可能である。
追加検体ディスク2は、追加の検体を設置及び搬送する機構である。追加検体ディスク2は、円周上に複数の容器設置部20を有し、各容器設置部20に検体容器21(追加検体容器と記載する場合がある)が設置可能となっている(後述の図3等)。追加検体ディスク2は、後述の駆動部から間欠回転駆動される。これにより、追加検体ディスク2の円周上の各容器設置部20及び検体容器21が間欠回転移動する。追加検体ディスク2は、通常検体ディスク1よりも小型で容器設置部の数が少ない。操作者の作業によって、空いている各容器設置部20に検体容器21が設置可能である。
反応槽機構は、反応容器ディスク3、恒温槽及び恒温維持装置3B等を含む。反応容器ディスク3は、円周上に複数の容器設置部30を有し、各容器設置部30に反応容器31が設置可能となっている。反応容器ディスク3は、間欠回転駆動される。これにより、反応容器ディスク3の円周上の各容器設置部30及び反応容器31が間欠回転移動する。反応容器31は、透光性材料から構成される。反応容器31は、恒温槽によって所定の温度(例えば37℃)に維持されている。恒温槽内の流体は、恒温維持装置3Bによって温度調整されている。
試薬ディスク4は、円周上に複数の容器設置部40を有し、各容器設置部40に試薬容器41が設置可能となっている。試薬ディスク4は、間欠回転駆動される。これにより、試薬ディスク4の円周上の各容器設置部40及び試薬容器41が間欠回転移動する。試薬ディスク4は、円環部と回転軸部とを含む。円環部の円周方向に沿って、複数の容器設置部40(試薬容器設置部)が配置されている。各試薬容器41には、自動分析装置で分析可能な分析項目に対応する各試薬(試薬液)が格納されている。
検体分注機構5は、検体の分注動作を行う機構であり、回転軸部、可動アーム52、プローブ53等を含む。検体分注機構5は、通常検体ディスク1または追加検体ディスク2の検体容器に対する検体の吸引動作や、反応容器ディスク3の反応容器31に対する検体の吐出動作を行う。
検体分注機構5は、通常検体ディスク1、追加検体ディスク2、及び反応容器ディスク3の近傍の位置に配置されており、特に、通常検体ディスク1と反応容器ディスク3との間の位置に配置されている。検体分注機構5は、Z方向に延在する回転軸部に対し、水平方向に延在する可動アーム52が可動に接続されている。可動アーム52の先端には、Z方向の下方に延在するプローブ53が可動に接続されている。可動アーム52は、駆動に基づいて、回転軸部に対して上下移動や回転移動を行う。可動アーム52の移動に伴い、プローブ53が上下移動や回転移動を行う。
試薬分注機構6である試薬ピペッティング機構は、試薬の分注動作を行う機構であり、回転軸部、可動アーム62、プローブ(試薬プローブ、ピペットノズル)63等を含む。試薬分注機構6の概要は検体分注機構5と同様である。試薬分注機構6は、試薬ディスク4の試薬容器41に対する試薬の吸引動作や、反応容器ディスク3の反応容器31に対する試薬の吐出動作を行う。試薬分注機構6は、試薬ディスク4、及び反応容器ディスク3の近傍の位置、特に試薬ディスク4と反応容器ディスク3との間の位置に配置されている。
撹拌機構7は、検体と試薬が混合液として格納された反応容器31を撹拌して反応を促進することで反応液を生成する機構である。攪拌機構7は、反応容器ディスク3の近くの位置に配置されている。撹拌後の反応容器31は、光度計8での光学測定のための測光位置へ搬送される。
光度計8は、光検出系(光学測定部)を構成する要素であり、反応容器ディスク3の反応容器31(その反応液)に対する光学測定を行う。光度計8は、多波長光度計であり、光源からの光に基づいた反応容器31からの透過光または散乱光を検出する。光度計8は、例えば反応容器ディスク3の外周の外側に配置されている。光度計8と対向する位置、例えば反応容器ディスク3の中央部付近には、光源が配置されている。光源は、例えばレーザ素子等で構成される。光源からの光が、測光位置の反応容器31に照射される。光度計8と光源とで挟まれた位置が測光位置である。撹拌後の反応容器31は、回転移動に基づいて、反応容器ディスク3の円周上の測光位置を通るタイミングで光学測定される。
洗浄機構9は、使用済みの反応容器31等を洗浄する機構である。洗浄機構9は、反応容器ディスク3の近傍の位置に配置されている。光学測定後の反応容器31は、洗浄機構9によって内部が洗浄される。これにより、繰り返しの使用が可能となる。洗浄機構9は、プローブ洗浄機構を含む。
また、通常検体ディスク1の一部の領域、特に検体分注機構5のプローブ53がアクセスする領域には、プローブガード400が取り付けられている(後述の図4、図15)。プローブガード400は、検体分注機構5のプローブ53等の動作の際に、操作者の手指等が接触しないようにアクセスを制限し防護するために設けられている。
なお、上記構成に限らず可能であり、例えば、複数の通常検体ディスク1や、複数の試薬ディスク4等を備える形態も可能である。プローブガード400を設けない形態も可能である。
[自動分析装置(2)−回路]
図2を用いて、自動分析装置の制御系や信号処理系について説明する。図2は、図1の機構に対して接続されている回路等を含む機能ブロック構成を示す。図2で、自動分析装置は、制御部100(制御基板110、コンピュータ120)、記憶媒体131、入力装置132、表示装置133、プリンタ134、電源部135、操作部136等を有し、これらがインタフェース回路150に相互に接続されている。また、自動分析装置は、検体ディスク制御部200、反応容器ディスク制御部13、試薬ディスク制御部14、検体分注制御部15、試薬分注制御部16、LOG変換A/D変換器18、洗浄水ポンプ19等を備える。これらの各部は、バスやケーブルやLAN等で相互に接続されている。
通常検体ディスク1及び追加検体ディスク2には検体ディスク制御部200(後述の図9)が接続されている。反応容器ディスク3に反応容器ディスク制御部13が接続されている。試薬ディスク4に試薬ディスク制御部14が接続されている。検体分注機構5に検体分注制御部15が接続されている。試薬分注機構6に試薬分注制御部16が接続されている。光度計8にはLOG変換A/D変換器18が接続されている。洗浄機構9には洗浄水ポンプ19が接続されている。
検体ディスク制御部200は、通常検体ディスク1及び追加検体ディスク2に対する駆動制御を行う。検体ディスク制御部200は、モータ等の駆動部を含む。後述するが、検体ディスク制御部200は、それらの2種類の検体ディスクの駆動切り替えを行う。検体ディスク制御部200は、通常検体ディスク1または追加検体ディスク2を間欠回転駆動する。
追加検体ディスク2または検体ディスク制御部200には、容器設置検知機構を備えている(後述の図9等)。この容器設置検知機構は、追加検体ディスク2に検体容器21が設置されたかどうかを検知する。制御部100は、その検知に基づいて、検体ディスク制御部200及び検体分注制御部15等を制御することで、2種類の検体ディスクに関する動作を切り替える。
反応容器ディスク制御部13は、反応容器ディスク3に対する駆動制御を行う。反応容器ディスク制御部13は、モータ等の駆動部を含み、反応容器ディスク3を間欠回転駆動する。
試薬ディスク制御部14は、試薬ディスク4に対する駆動制御を行う。試薬ディスク制御部14は、モータ等の駆動部を含み、試薬ディスク4を間欠回転駆動する。
検体分注制御部15は、検体分注機構5による検体の分注動作を駆動制御する。検体分注制御部15は、モータ等の駆動部を含み、可動アーム52及びプローブ53を駆動する。後述するが、検体分注制御部15は、通常検体ディスク1に対する分注動作と、追加検体ディスク2に対する分注動作とを、時分割のモードに応じて切り替える。
試薬分注制御部16は、試薬分注機構6による試薬の分注動作を駆動制御する。試薬分注制御部16は、モータ等の駆動部を含み、可動アーム62及びプローブ63を駆動する。
制御部100は、制御基板110及びコンピュータ120を含み、自動分析装置の分析動作を制御する。制御基板110は、LSI基板等で構成され、自動分析装置の全体を制御する。制御基板110は、インタフェース回路150を通じて、コンピュータ120等を制御する。制御部100は、規定のシーケンスに従って、各機構を連動させるように制御する。
コンピュータ120は、制御基板110からの制御に基づいて、分析動作を制御する。コンピュータ120は、インタフェース回路150を通じて、各機構の制御部(検体分注制御部15等)へ指令の信号を与えることにより、分注動作を含む分析動作を制御する。例えば、検体分注制御部15は、コンピュータ120から指令の信号に従って、検体分注機構5の分注動作を駆動制御する。コンピュータ120は、PC等で構成され、CPU、ROM、RAM等を備え、ソフトウェアプログラム処理を行う。コンピュータ120は、分析動作に伴い、分析処理等の情報処理を行う。コンピュータ120は、測定信号に基づいて、検体毎の分析項目に応じた分析処理を行い、分析結果情報を出力する。コンピュータ120は、分析結果情報等をメモリや記憶媒体131に記憶し、表示装置133やプリンタ134を通じて操作者に出力する。コンピュータ120は、操作者による入力操作を受け付け、表示装置133の表示画面に、操作機能画面等を表示する。操作機能画面では、各種の指示等のためのボタンや、検体の情報や、分析に係わる設定情報や、分析結果情報等が表示される。コンピュータ120は、各種の画面情報、分析依頼情報、分析項目及び分析パラメータ情報、キャリブレーション情報、分析結果情報等を扱い、メモリ等に記憶する。
記憶媒体131には、分析結果情報等が格納される。記憶媒体131は、例えばハードディスクやメモリカード等で構成され、外部のサーバ等で構成されてもよい。また、自動分析装置に通信網を介して外部のサーバ等が接続されたシステムとしてもよい。
入力装置132は、コンピュータ120に対する入力手段である。表示装置133は、コンピュータ120からの出力手段である。コンピュータ120の処理に基づいて、表示装置133の表示画面に、操作機能画面等が表示される。操作機能画面は、操作者に対するグラフィカルユーザインタフェースとなる画面である。プリンタ134は、コンピュータ120からの制御に基づいて、分析結果情報等の印刷出力を行う。操作部136は、操作者に対するユーザインタフェースとしての操作パネルや操作ボタン等を有し、操作者による操作を受け付ける。操作部136や入力装置132は、操作者による入力操作を受けた場合、制御部100にその入力操作信号を送る。制御部100は、その入力操作信号に基づいて、各部を制御する。操作者は、操作部136や入力装置132を通じて自動分析装置を操作し、検体の分析の作業を行う。操作者は、操作機能画面等を見ながら、指示入力や設定が可能であり、設定情報や分析結果情報等を確認できる。
なお、自動分析装置の制御の構成は上記に限らず可能である。例えば、制御基板110とコンピュータ120が一体の構成でもよい。検体分注制御部15等の機構毎の制御部は、それぞれLSI基板等で構成されてもよいし、複数の制御部を併合して1つのLSI基板等で構成されてもよい。
光度計8にはLOG変換A/D変換器18が接続されている。LOG変換A/D変換器18は、光度計8で検体(反応液)毎に検出及び測定された信号、例えば散乱光のアナログ信号を入力し、LOG変換(対数変換)及びアナログ/デジタル変換等を行う。LOG変換では、光量に比例した数値に変換される。LOG変換A/D変換器18で変換後のデジタル信号である測定信号は、インタフェース回路150を介して、コンピュータ120に送信される。その測定信号は、例えばコンピュータ120のメモリまたは記憶媒体131に一旦記憶される。コンピュータ120は、その測定信号を用いて、検体毎の分析項目に応じた分析処理を行う。コンピュータ120は、例えば、その測定信号における変換後の数値を用いて、検量線に基づいて、濃度データを算出する。検量線は、検査項目毎に指定された分析法に基づいて予め測定されたものである。コンピュータ120は、分析結果情報をメモリまたは記憶媒体131に格納し、表示装置133の表示画面に表示し、プリンタ134で印刷出力する。分析結果情報は、例えば各検査項目に対応する分析項目毎の成分濃度データを含む。これにより、操作者は、検体毎の分析結果を確認できる。
[自動分析装置(3)−設定]
自動分析装置における検体の分析動作に係わる設定については以下である。分析の前に、予め、操作者によって、自動分析装置に、分析のために必要な情報が入力、設定される。操作者は、操作機能画面を見ながら設定を行う。設定情報は、患者や検体の登録情報や、検査項目の選択情報や、検査項目に対応付けられた分析項目及び分析パラメータ等の情報を含む。設定情報は、自動分析装置のメモリや記憶媒体131に記憶される。
操作者は、適宜、患者ID(または検体ID)等の情報を登録する。操作者は、操作機能画面で、各検体について、分析依頼情報に基づいて、分析依頼されている検査項目を選択する。選択された検査項目に対応する分析項目が選択される。分析項目は、自動分析装置で分析可能な複数の項目が用意されている。操作者は、分析項目の分析パラメータを設定する。
検体の分注動作時には、検体分注機構5のプローブ53が、指定された検体の指定された分析項目の分析パラメータに従って、該当する検体ディスクの分注位置にある検体容器から検体の分注動作を行う。また、試薬の分注動作時には、試薬分注機構6のプローブ63が、指定された分析項目の分析パラメータに従って、該当する試薬ディスク4の分注位置にある試薬容器から試薬の分注動作を行う。
[自動分析装置(4)−切り替え制御]
実施の形態1の自動分析装置における、通常検体と追加検体の分析動作の切り替え制御の概要については以下である。制御部100は、検体の分注動作及び試薬の分注動作を制御し、各分注動作に伴う各ディスクの動作も制御する。
自動分析装置は、通常検体ディスク1の検体容器11の分注動作の実行中に、操作者によって追加検体ディスク2の容器設置部20に追加検体の検体容器21が設置されたことを、容器設置検知機構を用いて検知する。自動分析装置の制御部100は、その検知に基づいて、検体の分注動作を、通常検体ディスク1に対する分注動作から、追加検体ディスク2に対する分注動作へ切り替えるように制御する。制御部100からの制御に基づいて、検体ディスク制御部200は、追加検体ディスク2を駆動状態、かつ通常検体ディスク1を非駆動状態にするように、駆動状態を切り替える。また、制御部100からの制御に基づいて、検体分注制御部15は、通常検体ディスク1の分注位置P1に対する分注動作を行う第1モードから、追加検体ディスク2の分注位置P2に対する分注動作を行う第2モードにするように切り替える(図3)。
これにより、追加検体ディスク2の分注位置P2の追加検体容器と、反応容器ディスク3上の対応する反応容器31との間で分注動作が行われる。その反応容器31は、測光位置で光学測定され、分析処理が行われる。なお、分注動作が終わった追加検体容器21に対応する反応容器31は、反応容器ディスク3における光学測定待ちの列において、新たな通常検体に対応する反応容器31よりも先に割り込みとして挿入されることになる。
自動分析装置は、追加検体ディスク2の追加検体容器に関する分注動作が終了した場合で、他の追加検体容器が無い場合には、通常検体ディスク1の通常検体容器に関する分注動作に戻るように切り替えを制御する。上記のように、実施の形態1の自動分析装置は、追加検体ディスク2に対する検体容器21の追加設置の発生に応じて、追加検体の分注動作を含む分析動作を先に優先して行うように切り替えを制御する。
[自動分析装置(5)−上面]
図3は、自動分析装置における特徴に係わる検体ディスク等の部分の上面図を示す。図3では、装置上面であるX−Y平面において、通常検体ディスク1、追加検体ディスク2、反応容器ディスク3、検体分注機構5、洗浄槽90等を示す。
本実施例では、まず、図1等に示したように、装置上面において、装置正面から見て、中央上側付近に、反応容器ディスク3等が配置されており、それに対し、左下付近に、通常検体ディスク1が配置されており、右下付近に、試薬ディスク4が配置されている。また、反応容器ディスク3と通常検体ディスク1との間の位置に、検体分注機構5が配置されている。本実施例では、反応容器ディスク3の左側、通常検体ディスク1の上側の位置に、検体分注機構5の回転軸部51が配置されている。破線円で示す軌道301は、プローブ53の軌道を示し、360度の円弧を移動する場合の最大回転範囲に対応する。なお、軌道301は、360度の円弧の軌道に限らず可能である。検体の分注動作時、検体分注機構5では、可動アーム52の回転に伴い、プローブ53が、軌道301上を回転移動する。
追加検体ディスク2は、通常検体ディスク1(特に分注位置P1)と反応容器ディスク3(特に分注位置P3)とに近く、検体分注機構5のプローブ53がアクセス可能である所定の位置に配置されている。本実施例では、追加検体ディスク2は、通常検体ディスク1(位置Q1)と、反応容器ディスク3(位置Q3)及び洗浄槽90との間の所定の位置(位置Q2)に配置されている。
通常検体ディスク1の円周の右上の領域に分注位置P1がある。反応容器ディスク3の円周の左側の領域に分注位置P3がある。通常検体の分注動作時、プローブ53は、軌道301上、通常検体ディスク1上の分注位置P1と、反応容器ディスク3上の分注位置P3との間で回転移動する。その軌道301の途中、特に洗浄槽90の位置と分注位置P1との間に、追加検体ディスク2上の分注位置P2が設けられている。特に、追加検体ディスク2の左上の領域に分注位置P2が設けられている。追加検体の分注動作時、プローブ53は、軌道301上、追加検体ディスク2上の分注位置P2と、反応容器ディスク3上の分注位置P3との間で回転移動する。
実施の形態1では、特に、反応容器ディスク3の外側の左下付近の位置に、洗浄機構9のうちの洗浄槽90が配置されている。洗浄槽90は、プローブ53の洗浄を行う機構である。分注動作後のプローブ53は、洗浄槽90で洗浄可能となっている。実施の形態1では、特に、洗浄槽90と通常検体ディスク1の右上の領域(分注位置P1)との間に、追加検体ディスク2の分注位置P2が配置されている。この構成では、追加検体ディスク2に対する分注動作を終えたプローブ53を、すぐに洗浄槽90で洗浄可能である。
なお、上記配置構成例に限らず可能である。他の実施の形態としては、洗浄槽90が他の位置に配置されていてもよい。そして、追加検体ディスク2は、通常検体ディスク1と反応容器ディスク3との間の位置に配置されている。
追加検体ディスク2は、通常検体ディスク1よりも直径等のサイズが小さい小型の検体ディスクとしている。追加検体ディスク2のサイズは、通常検体ディスク1と反応容器ディスク3との間隔距離内に収まるサイズとしている。
追加検体ディスク2には、1個単位で追加検体容器を設置可能である1つ以上の容器設置部20を有する。本実施例では、追加検体ディスク2における容器設置部20の数は、通常検体ディスク1の容器設置部10の数(例えば外周部において55個)よりも少ない数として、例えば4個としている。
追加検体ディスク2の容器設置部20に追加設置された検体容器21は、追加検体ディスク2の回転によって、所定の分注位置P2に搬送される。検体分注機構5のプローブ53は、その分注位置P2の追加検体容器にアクセスして検体の分注動作を行う。
[自動分析装置(6)−配置概要]
図4は、図3の実装構成に対応した装置上面のX−Y平面における検体ディスク等の配置概要を示す。通常検体ディスク1において、右上の領域内(例えば外周の円環部)に、分注位置P1を有する。分注位置P1は、検体吸引位置である。また、分注位置P1を含む右上の領域には、プローブガード400(後述の図15)が取り付けられている。反応容器ディスク3において、円周上の所定の位置が測光位置P4となっている。反応容器ディスク3において、左側または左下の領域内に、分注位置P3を有する。分注位置P3は、検体吐出位置(検体受け入れ位置ともいう)である。追加検体ディスク2において、左上の領域内に分注位置P2を有する。分注位置P2は、検体吸引位置である。
操作者は、装置正面を基準位置として作業を行う。通常の運用では、操作者は、予め、装置動作停止状態で、通常検体ディスク1のプローブガード400以外の領域の容器設置部10(例えば装置正面に近い円周部分の容器設置部10)に対し、検体容器11を設置する作業を行う。また、操作者は、緊急検体等の追加検体が発生した場合、随時、追加検体ディスク2の容器設置部20(例えば装置正面に近い円周部分の容器設置部20)にその追加検体の検体容器21を設置する作業を行う。
図示するように、検体分注機構5のプローブ53は、分注位置P1,P2,P3、及び洗浄槽90の位置にアクセス可能である。通常検体の分注動作時には、プローブ53は、主に軌道401で移動する。追加検体の分注動作時には、プローブ53は、主に軌道402で移動する。なお、切り替えの際には、プローブ53が分注位置P1から分注位置P2へ移動する場合もある。
後述の第1モードの時には、検体分注機構5は、通常検体ディスク1の分注位置P1の検体容器11に対する分注動作を行う。その際、プローブ53は、軌道401で示すように、通常検体ディスク1の分注位置P1と、反応容器ディスク3の分注位置P3との間で移動する。
後述の第2モードの時には、検体分注機構5は、追加検体ディスク2の分注位置P2の検体容器21に対する分注動作を行う。その際、プローブ53は、軌道402で示すように、追加検体ディスク2の分注位置P2と、反応容器ディスク3の分注位置P3との間で移動する。
通常検体の分注動作の概要は以下である。通常検体ディスク1の間欠回転駆動によって、対象の検体が格納された検体容器11及び容器設置部10が、分注位置P1へ搬送される。検体分注機構5では、可動アーム52の動作に基づいて、プローブ53が、通常検体ディスク1上の分注位置P1に回転移動し、上下移動によって分注位置P1の検体容器11にアクセスする。プローブ53は、その検体容器11内から所定量の検体を吸引する。プローブ53は、可動アーム52の動作に基づいて、反応容器ディスク3上の分注位置P3に回転移動し、その分注位置P3の反応容器31にアクセスする。プローブ53は、その反応容器31内に所定量の検体を吐出する。
通常検体が分注された反応容器31は、反応容器ディスク3の間欠回転に伴い、試薬の分注位置(例えば分注位置P5)に移動される。なお、本例では、シーケンスとして、検体の分注動作と試薬の分注動作とで、順序として検体の分注動作を先としているが、これに限らず、試薬の分注動作を先としてもよい。
試薬の分注動作の概要は以下である。試薬分注機構6は、可動アーム62の動作に基づいて、プローブ63が、試薬ディスク4上の所定の分注位置(試薬吸引位置)に移動し、その分注位置の試薬容器41にアクセスする。その試薬容器41は、対象の分析項目に応じた試薬が格納されている容器である。プローブ63は、その試薬容器41内から所定量の試薬を吸引する。プローブ63は、可動アーム62の動作に基づいて、反応容器ディスク3上の所定の分注位置P5に移動し、その分注位置の反応容器31内に所定量の試薬を吐出する。分注位置P5は、試薬吐出位置(試薬受け入れ位置ともいう)である。
追加検体の分注動作の概要は同様であるが以下である。追加検体ディスク2の間欠回転駆動によって、対象の検体が格納された検体容器21及び容器設置部20が、分注位置P2へ搬送される。検体分注機構5では、可動アーム52の動作に基づいて、プローブ53が、追加検体ディスク2上の分注位置P2に回転移動し、上下移動によって分注位置P2の検体容器21にアクセスする。プローブ53は、その検体容器21内から所定量の検体を吸引する。プローブ53は、可動アーム52の動作に基づいて、反応容器ディスク3上の分注位置P3に回転移動し、その分注位置P3の反応容器31にアクセスする。プローブ53は、その反応容器31内に所定量の検体を吐出する。追加検体が分注された反応容器31は、同様に、反応容器ディスク3の間欠回転に伴い、試薬の分注位置P5に移動され、試薬の分注動作が行われる。
検体及び試薬の分注動作が終了した反応容器31は、撹拌機構7で撹拌された後、測光位置P4で光学測定が行われる。
[追加検体ディスク(1)]
図5は、追加検体ディスク2の付近の斜視図を示す。追加検体ディスク2は、設置部22と、ディスク部23とを含む。設置部22の上にディスク部23が配置されている。設置部22は、後述の容器設置検知機構が実装されている。ディスク部23は、ディスク形状または円柱形状を有し、回転駆動される。ディスク部23は、円周上に、複数の容器設置部20が設けられている。本実施例では、ディスク部23において、4個の容器設置部20{20A,20B,20C,20D}を有する。4個の容器設置部20は、360度の円周を4分割した位置、即ち90度毎の位置に配置されている。各容器設置部20は、断面円形の検体容器21(追加検体容器)を挿入して設置可能となっている。挿入された検体容器21は、設置部22に対して近接または接触する。
各容器設置部20の位置は、ディスク部23の回転に伴って移動する相対位置である。図5の例では、例えば容器設置部20Aが分注位置P2に来ている状態を示している。また、容器設置部20A,20B,20Dにそれぞれ検体容器21が設置されており、容器設置部20Cには検体容器21が設置されていない状態を示している。
[追加検体ディスク(2)]
図6は、追加検体ディスク2の上面(X−Y平面)の概略構成を示す。ディスク部23の中心は回転軸部24となっている。回転軸部24の周りの円周上に4個の容器設置部20{20A〜20D}を有する。自動分析装置及び追加検体ディスク2における絶対位置として位置L1〜L4を有する。各容器設置部20は、間欠回転移動によって、位置L1〜L4のいずれかの位置に静止する。追加検体ディスク2では、間欠回転移動として、例えば4つの位置L1〜L4の間を容器設置部20が移動する。例えば、1回の回転移動では、容器設置部20が位置L3から位置L2へ移動する。
特に、左上の位置L1は、プローブ53がアクセスする分注位置P2として規定されている。また、特に、右下の位置L3は、追加設置位置として規定されている。位置L3は、相対的に装置正面に近い位置であり、位置L1は相対的に装置正面から離れた位置である。位置L3(追加設置位置)は、検体容器21の追加設置が推奨される位置である。操作者は、作業の際、主に、位置L3の容器設置部20に検体容器21を追加設置する。なお、位置L2や位置L4に対しても追加設置可能となっている。
本実施例では、追加検体ディスク2の複数の位置(位置L1〜L4)でそれぞれ検体容器21を設置可能である。追加検体ディスク2において、いずれかの位置の容器設置部20に追加設置された検体容器21は、間欠回転に基づいて、分注位置P2(位置L1)に搬送される。ただし、分注位置P2(位置L1)の容器設置部20は、プローブ53が通るので、検体容器21を設置する作業には向いておらず、推奨されない。特に、分注位置P2から離れた位置L3の容器設置部20が、検体容器21を設置する作業に向いており、追加設置位置として推奨される。
また、追加検体ディスク2において、例えば位置L3は、検体識別位置として規定されている。検体識別位置には、検体識別機構が設けられている。検体識別機構は、容器設置部20に設置された検体容器21を識別し、その検体容器21に関する情報を把握するための機構である。この検体識別機構は、通常検体ディスク1に設けられた検体識別機構と同様の技術で実現できる。この検体識別機構は、例えば、バーコードリーダやRFIDシステム等、光学的読み取り装置や近接無線通信装置等を用いて実現できる。検体容器21には、例えば情報が記載されたラベルが付与されている。検体識別機構は、検体容器21のラベルの情報を読み取る。自動分析装置は、その読み取り情報から、設定情報等に基づいて、その検体容器21を識別でき、その検体容器21の検体、位置、分析項目等を把握できる。
なお、変形例として、検体識別機構と容器設置検知機構とを1つに併合して実装した形態でもよい。変形例として、検体識別機構及び検体識別位置は、位置L3以外の位置としてもよく、例えば特定の位置L2に設けてもよいし、複数の各位置に設けてもよい。
[追加検体ディスク(3)]
図7は、追加検体ディスク2の斜視図を示す。追加検体ディスク2は、主に、設置部22、ディスク部23を備える。ディスク部23は、図示では見えていないZ方向の回転軸部24に対して接続されており、回転駆動される。ディスク部23は、回転軸部24を中心に間欠回転動作するように駆動制御される。これにより、4個の各容器設置部20が、間欠回転移動し、所定の位置(位置L1〜L4)毎に静止する。
Z方向で、ディスク部23の下側に、設置部22が配置されている。本実施例では、設置部22は、回転動作せず固定であるが、他の実施例としては、設置部22もディスク部23と共に回転動作する形態としてもよい。設置部22は、容器設置検知機構を構成する要素である。本実施例では、設置部22には、容器設置検知機構を構成するセンサ25が実装されている。センサ25は、容器設置部20に対する検体容器21の設置(追加設置)を検出する。センサ25の実装例については後述の図8に示す。
ディスク部23において、各容器設置部20{20A〜20D}は、Z方向に貫通する穴部を有する。この穴部に、検体容器21を挿入して設置可能である。挿入された検体容器21の下端部は、設置部22の上面に近接または接触する。ディスク部23は、Z方向での所定の高さを有し、この高さは、検体容器21の高さに合わせて設計されている。なお、図示のように、高さが異なる複数の種類の検体容器21を設置することも可能である。なお、本実施例では、ディスク部23は、単純な円柱形状ではなく、4個の容器設置部20に対応する4個の角柱を接合したような形状、概略的に断面十字形状を有するが、これに限らず可能である。
[追加検体ディスク(4)]
図8は、図7の追加検体ディスク2における容器設置検知機構のセンサ25の実装例を示す斜視図である。図8の(A)は、センサ25として、反射型センサ25Aを適用した例を示す。反射型センサ25Aは、検体容器21(その下端)との近接の有無の状態を検出する。設置部22において、各容器設置部20の位置L1〜L4に対応する位置に、それぞれ反射型センサ25Aが配置されている。容器設置部20には、検体容器21が挿入及び架設して設置可能である。その挿入及び架設された検体容器21の下端は、設置部22の上面に対して所定の距離まで近付く。反射型センサ25Aは、検体容器21の下端が所定の距離まで近付いた場合に、追加設置(容器有り)として検出する。
図8の(B)は、センサ25として、接触型センサ25Bを適用した例を示す。接触型センサ25Bは、検体容器21(その下端)との接触の有無の状態を検出する。設置部22において、各容器設置部20の位置L1〜L4に対応する位置に、それぞれ接触型センサ25Bが配置されている。容器設置部20には、検体容器21が挿入して設置可能である。その挿入された検体容器21の下端は、設置部22の上面(または接触型センサ25B)に接触する。設置部22の上面には、接触の際に緩衝するためのシート等を設けてもよい。接触型センサ25Bは、検体容器21の下端が設置部22の上面に接触した場合に、追加設置(容器有り)として検出する。
上記実施例では、設置部22において、容器設置部20が静止する位置L1〜L4に対応させて、複数(4個)のセンサ25を設けている。この構成では、個別の位置毎に、検体容器21の有無を検出可能である。追加検体ディスク2に設けるセンサ25の数としては、複数でもよいし、単数でもよい。他の実施例としては、設置部22の特定の位置、例えば位置L3(追加設置位置)のみに、センサ25を設けてもよい。また、ディスク部23の容器設置部20にセンサ25を設けてもよい。センサ25としては、容器の設置を検出できる方式であればよく、各種のセンサを適用できる。
他のセンサ25の例として、光センサ(光の投光/遮蔽の状態を検出するセンサ)を用いる場合には以下である。設置部22とディスク部23との間等の所定の位置に光センサが設けられる。光センサは、発光部と受光部とを有する。通常、容器設置部20に検体容器21が設置されていない状態では、光センサの発光部からの光が受光部に投光されている。光センサは、この投光状態をオフ状態として検出する。容器設置部20に検体容器21が設置された場合、その検体容器21の側面や下端等によって、光センサの発光部から受光部への光が遮光される。光センサは、この遮光状態をオン状態として検出する。
[切り替え制御]
図9は、実施の形態1の自動分析装置で、通常検体と追加検体との駆動及びモード等の切り替え制御に係わる構成概要として、検体ディスク制御部200等の構成を示す。実施の形態1の自動分析装置は、前述のように、検体容器設置機構として、通常検体ディスク1に加え、追加検体ディスク2を備えている。そして、それらの2種類の検体ディスクに対する駆動制御のための検体ディスク制御部200を備えている。検体ディスク制御部200は、駆動制御部201、共通駆動部202、駆動切り替え部203を有する。駆動制御部201は、制御部100からの指令の信号に従って、通常検体ディスク1及び追加検体ディスク2の駆動を制御する。特に、駆動制御部201は、共通駆動部202のモータ等の駆動を制御する。また、駆動制御部201は、駆動切り替え部203の状態を時分割で制御することで、通常検体ディスク1と追加検体ディスク2との一方を駆動するように制御する。
共通駆動部202は、通常検体ディスク1と追加検体ディスク2とで共通化されたモータ等の駆動部である。共通駆動部202は、電源部135から供給される直流電力による駆動電力に基づいて、そのモータ等を駆動する。共通駆動部202は、駆動切り替え部203の状態に応じて、通常検体ディスク1と追加検体ディスク2との一方に接続される。共通駆動部202のモータ等から、接続されている通常検体ディスク1または追加検体ディスク2の回転駆動が行われる。
検体分注制御部15は、検体分注機構5を駆動する際に、制御部100からの指令の信号に従って、検体の分注動作に係わるモードを第1モードと第2モードとで時分割で切り替える。第1モードでは、プローブ53が、軌道401に示すように、分注位置P1と分注位置P3との間で移動するように駆動される。第2モードでは、プローブ53が、軌道402に示すように、分注位置P2と分注位置P3との間で移動するように駆動される。
追加検体ディスク2には、容器設置検知機構250が設けられている。容器設置検知機構250は、追加検体ディスク2の容器設置部20に検体容器21が追加設置されているかどうかを検知する機構である。容器設置検知機構250として、前述のセンサ25を含む。センサ25は、容器設置部20に検体容器21が設置されているかどうかの状態を検出する。
操作者によって追加検体ディスク2の例えば位置L3の容器設置部20に検体容器21が追加設置される。その場合、センサ25は、その追加設置(容器有り状態)を検出する。容器設置検知機構250は、センサ25によって追加設置を検出した場合、追加設置(容器有り)を表す検知信号を、制御部100へ送信する。
制御部100(例えばコンピュータ120)は、その検知信号から、検体容器21の追加設置を検知、認識できる。制御部100は、その検知に基づいて、検体ディスク制御部200及び検体分注制御部15を含む各部を制御して、検体の分注動作を切り替える。
制御部100は、検知に基づいて、検体ディスク制御部200における駆動対象を、通常検体ディスク1から追加検体ディスク2側に切り替えるように制御する。コンピュータ120は、検体ディスク制御部200に、通常検体ディスク1から追加検体ディスク2の駆動に切り替えるように指令の信号を送信する。またそれと共に、コンピュータ120は、検体分注制御部15に、通常検体ディスク1に対する分注動作を行う第1モードから追加検体ディスク2に対する分注動作を行う第2モードに切り替えるように指令の信号を送信する。
検体ディスク制御部200は、指令の信号に従って、駆動対象を通常検体ディスク1から追加検体ディスク2側に切り替える。駆動制御部201は、駆動切り替え部203の状態を、追加検体ディスク2に接続される側に切り替える。これにより、共通駆動部202から追加検体ディスク2が駆動される。通常検体ディスク1の間欠回転動作が一時停止し、追加検体ディスク2の間欠回転動作が開始される。通常検体ディスク1では、分注位置P1に対する新たな分注動作を行わないように待機状態となる。追加検体ディスク2では、例えば位置L3で追加設置された検体容器21が、間欠回転動作によって分注位置P2(位置L1)まで搬送される。なお、上記切り替えの際に、通常検体ディスク1におけるある検体容器11に関して分注動作の途中であった場合には、その検体容器11についての分注動作を終了させてから、切り替えが行われる。
検体分注制御部15は、指令の信号に従って、分注動作のモードを、通常検体ディスク1に対する分注動作を行う第1モードから追加検体ディスク2に対する分注動作を行う第2モードに切り替える。プローブ53は、追加検体ディスク2の分注位置P2へ移動される。そして、プローブ53によって分注位置P2の検体容器21に対する分注動作(吸引)が行われる。
分注位置P2での分注動作が終了した検体容器21は、追加検体ディスク2の間欠回転動作によって、位置L1から位置L4等へ搬送される。同時に、次の検体容器21がある場合には、分注位置L1へその検体容器21が移動される。
追加検体ディスク2に追加設置された検体容器21の個数に応じて、追加検体に対する分注動作が連続的に実行される。追加検体ディスク2のすべての追加検体の検体容器21に対する分注動作の終了に応じて、通常検体ディスク1の通常検体の分注動作に戻るように、切り替えが制御される。制御部100は、上記追加検体の分注動作が終了し、更なる検体容器21の設置が無いことが確認された場合、上記制御とは逆に、追加検体の分注動作から通常検体の分注動作へと切り替えるように制御する。
なお、他の実施の形態としては、容器設置検知機構250が検体容器21の追加設置を検知した場合に、容器設置検知機構250から、制御部100を介さずに直接、検体ディスク制御部200等に検知信号を送信してもよい。検体ディスク制御部200等は、その検知信号に基づいて、同様に駆動切り替え等を行う。
[駆動切り替え機構]
図10は、図9の検体ディスク制御部200の駆動切り替え機構に関する実装例を示す。図10では、通常検体ディスク1に接続されている通常検体ディスク駆動部501と、追加検体ディスク2に接続されている追加検体ディスク駆動部502と、それらに接続される共通駆動部としてクラッチ503及びモータ504とを有する。クラッチ503にはモータ504が接続されている。通常検体ディスク駆動部501及び追加検体ディスク駆動部502は、ディスク毎の駆動部であり、例えばギヤ等で構成される。クラッチ503は、駆動力伝達機構である。クラッチ503は、切り替え制御に応じて、通常検体ディスク駆動部501と追加検体ディスク駆動部502との一方に接続される。クラッチ503は、モータ504の駆動力を、接続されている通常検体ディスク駆動部501または追加検体ディスク駆動部502に伝達する。
通常時(第1モードに対応する)には、クラッチ503が通常検体ディスク駆動部501側に接続されている。追加検体ディスク2における容器設置検知機構250のセンサ25によって、検体容器21の追加設置が検知された場合、クラッチ503が追加検体ディスク駆動部502側に接続される。
図11は、図10の駆動切り替え機構に係わる駆動切り替え状態を示す説明図である。図11の(A)は、通常検体ディスク1を駆動している時の状態を示す。この状態では、クラッチ503が相対的にX方向の左の位置にあり、通常検体ディスク駆動部501と接続されている。これにより、モータ504からクラッチ503を通じて通常検体ディスク駆動部501が駆動されている。追加検体ディスク駆動部502の方は非接続であるため駆動されていない。図11の(B)は、追加検体ディスク2を駆動している時の状態を示す。この状態では、駆動切り替え制御に基づいたクラッチ503の移動によって、クラッチ503が相対的にX方向の右の位置にあり、追加検体ディスク駆動部502と接続されている。これにより、モータ504からクラッチ503を通じて追加検体ディスク駆動部502が駆動されている。通常検体ディスク駆動部501の方は非接続であるため駆動されていない。
[フロー(1)]
図12,図13を用いて、自動分析装置における分注動作を含む分析動作に係わる処理フローについて説明する。図12は、第1フローとして、通常検体の分析動作を実施する際の制御処理フローを示す。この第1フローは、操作者が通常検体の分析を意図して作業を行う場合に対応する。この作業中に、緊急検体等の追加検体が発生した場合には、フロー中の分岐によって対応可能となっている。図12は、ステップS1〜S12を有する。以下、ステップの順に説明する。
(S1) 操作者は、通常検体の分析を行う際には、自動分析装置において、通常検体ディスク1に通常検体の検体容器11を設置し、その通常検体や分析項目等に係わる設定を行い、分析依頼(分析開始指示)を行う。なお、この際、基本的に、通常検体ディスク1にはプローブガード400が取り付けられた状態とされている。
なお、前述の表示画面では、操作機能画面として、主に通常検体の分析を行うための第1項目と、主に追加検体(緊急検体)の分析を行うための第2項目とが、選択可能に表示される。操作者は、操作機能画面で、通常検体の分析を行うための第1項目を選択する。自動分析装置は、第1項目が選択された場合に、第1フローに従って制御する。自動分析装置は、第2項目が選択された場合には、後述の第2フローに従って制御する。
自動分析装置は、分析依頼(分析開始指示)に従って、指定された分析動作を開始する。自動分析装置は、開始後にはまず規定の準備動作を行う。準備動作は、例えば、各駆動部のモータへの駆動電力の供給や、検体分注機構5等を初期状態にすること等である。
(S2) 自動分析装置は、前述の容器設置検知機構250を用いて、追加検体ディスク2に検体容器21があるかどうか、即ち追加設置が検知されたかどうかを確認する。検体容器21がある場合(S2−Y)にはS3へ進み、無い場合には(S2−N)にはS6へ進む。
(S3) S3では、制御部100からの制御によって、検体ディスク駆動部200は、駆動対象を、通常検体ディスク1から追加検体ディスク2側に切り替える。なお、既に追加検体ディスク2側である場合には当該動作を省略でき、追加検体ディスク2の駆動が維持される。
(S4) また、S3と殆ど同時に、制御部100からの制御によって、検体分注制御部15は、検体分注機構5の分注動作に係わるモードを、通常検体の分注動作のための第1モードから、追加検体の分注動作のための第2モードに切り替える。なお、既に第2モードである場合には当該動作を省略でき、第2モードが維持される。
(S5) 自動分析装置は、上記S3,S4が済んだ状態で、追加検体ディスク2の分注位置P2の検体容器21に対する分注動作を実行する。この分注動作は、追加検体ディスク2に設置及び設定され、検体識別機構を通じて識別された検体容器21の検体に関する分注動作である。また、この分注動作に伴い、前述のように試薬分注動作等の動作も行われる。この分注動作が終了した追加検体については、前述のように、規定のシーケンスに基づいて、反応容器ディスク3の反応容器31に対する光学測定が行われ、コンピュータ120で分析処理が行われ、分析結果情報が出力されることになる。
自動分析装置は、S5の分注動作を終了後、S2に戻り、別の新たな検体容器21の追加設置があるかどうかを確認する。別の新たな検体容器21が設置されている場合、S3〜S5の流れで同様に分注動作が行われる。複数の各々の検体容器21は、追加検体ディスク2の回転によって順次に分注位置P2(位置L1)へ送られて分注動作が行われる。
(S6) 一方、S6では、自動分析装置は、通常検体ディスク1を駆動する。制御部100からの制御によって、検体ディスク制御部200は、駆動対象を、追加検体ディスク2から通常検体ディスク1側に切り替える。なお、既に通常検体ディスク1側である場合には当該動作を省略でき、通常検体ディスク1の駆動が維持される。
(S7) 自動分析装置は、S6と殆ど同時に、制御部100から検体分注制御部15への制御によって、検体分注機構5の分注動作に係わるモードを、追加検体の分注動作のための第2モードから、通常検体の分注動作のための第1モードに切り替える。なお、既に第1モードである場合には当該動作が省略でき、第1モードが維持される。
(S8) 自動分析装置は、上記S6,S7が済んだ状態で、通常検体ディスク1の分注位置P1の検体容器11に対する分注動作を実行する。この分注動作は、通常検体ディスク1に設置及び設定され、検体識別機構を通じて識別された検体容器11の検体に関する分注動作である。また、この分注動作に伴い、前述の試薬分注動作等の動作も行われる。この分注動作が終了した通常検体については、前述のように、規定のシーケンスに基づいて、反応容器ディスク3の反応容器31に対する光学測定が行われ、コンピュータ120で分析処理が行われ、分析結果情報が出力されることになる。
(S9,S10) 自動分析装置は、S8の分注動作を終了した後、S9で、通常検体に対する分析依頼があるかどうかを確認する。分析依頼が有る場合(S9−Y)にはS2へ戻り、無い場合(S9−N)にはS10へ進む。S10で、自動分析装置は、追加検体ディスク2に検体容器21があるかどうかを同様に確認する。検体容器21がある場合には(S10−Y)には、S3へ遷移し、同様に、その追加検体容器に対する動作が行われる。検体容器21が確認できない場合(S10−N)には、S11へ進む。
(S11,S12) S11で、自動分析装置は、対象となる検体容器11が無いので、検体の分注動作を終了する。S12で、自動分析装置は、検体の分析動作を終了する。これにより、第1フローが終了する。
[フロー(2)]
図13は、第2フローとして、追加検体である緊急検体等の分析動作を実施する際の制御処理フローを示す。第2フローは、操作者が通常検体の分析を行わずに最初から追加検体の分析を意図して作業を行う場合に対応する。図13は、ステップS21〜S27を有する。以下、ステップの順に説明する。
(S21) 操作者は、追加検体として緊急検体の分析を行う際には、自動分析装置において、追加検体ディスク2に緊急検体の検体容器21を設置し、その緊急検体や分析項目等に係わる設定を行い、分析依頼(分析開始指示)を行う。自動分析装置は、その分析依頼(分析開始指示)に従って、指定された分析動作を開始する。
(S22) 自動分析装置は、前述の容器設置検知機構250を用いて、追加検体ディスク2に検体容器21があるかどうか、即ち追加設置が検知されたかどうかを確認する。検体容器21がある場合(S22−Y)にはS23へ進み、無い場合には(S22−N)にはS26へ進む。
(S23) S23では、制御部100からの制御によって、検体ディスク制御部200は、駆動対象を、通常検体ディスク1から追加検体ディスク2側に切り替える。なお、既に追加検体ディスク2側である場合には当該動作を省略でき、追加検体ディスク2の駆動が維持される。
(S24) また、S23と殆ど同時に、制御部100からの制御によって、検体分注制御部15は、検体分注機構5の分注動作に係わるモードを、通常検体の分注動作のための第1モードから、追加検体の分注動作のための第2モードに切り替える。なお、既に第2モードである場合には当該動作を省略でき、第2モードが維持される。
(S25) 自動分析装置は、上記S23,S24が済んだ状態で、追加検体ディスク2の分注位置P2の検体容器21に対する分注動作を実行する。自動分析装置は、S25の分注動作を終了後、S22に戻り、別の新たな検体容器21があるかどうかを確認する。別の新たな検体容器21が設置されている場合、S23〜S25の流れで同様に分注動作が行われる。
(S26,S27) 一方、S26では、自動分析装置は、対象となる検体容器21が無いので、緊急検体の分注動作を終了する。S27で、自動分析装置は、緊急検体の分析動作を終了する。これにより、第2フローが終了する。
[タイミング図]
図14は、上記切り替え制御に係わるタイミング図を示す。図14では、横軸を時間とし、縦には、順に、センサ25の状態と、検体分注機構5の検体分注動作に係わるモードと、検体ディスクの駆動切り替えとして通常検体ディスク1の駆動状態及び追加検体ディスク2の駆動状態とを示す。
最初、時点t1までの期間では、通常検体の分析動作を行う状態である。この期間では、センサ25がオフ状態(値0)であり、検体容器21の追加設置が検知されていない。検体の分注動作に係わるモードが第1モードにされており、通常検体ディスク1の分注位置P1に対する分注動作が行われている。検体ディスクの駆動状態としては、通常検体ディスク1側が駆動、追加検体ディスク2側が非駆動とされている。即ち、通常検体ディスク1は間欠回転動作が実行され、追加検体ディスク1は停止して待機状態である。
時点t1では、操作者によって追加検体ディスク2の容器設置部20に検体容器21が設置されている。時点t1からの期間は、追加検体の分析動作を行う状態である。この期間では、センサ25がオン状態(値1)であり、検体容器21の追加設置が検知されている。検体の分注動作に係わるモードが第2モードにされており、追加検体ディスク2の分注位置P2に対する分注動作が行われている。検体ディスクの駆動状態としては、通常検体ディスク1側が非駆動、追加検体ディスク2側が駆動とされている。即ち、追加検体ディスク2は間欠回転動作が実行され、通常検体ディスク1は一時停止して待機状態である。
時点t2では、追加検体ディスク2に検体容器21が設置されていない状態、または分注動作が終了した状態に変わっている。時点t2からの期間では、第1モード、及び通常検体ディスク1の駆動状態に戻っている。
[プローブガード]
図15は、実施の形態1におけるプローブガード400の構成例を示す上面図である。図15では、プローブガード400をZ方向の真上から見たX−Y平面での上面図を示す。プローブガード400は、プローブ53の動作の際に、操作者の身体とプローブ53等との接触による怪我や感染等のリスクを低くするように、プローブ53の軌道を含むガード領域を防護する。プローブガード400は、プローブ53の軌道を含む、通常検体ディスク1の一部の領域に、操作者の手指等がアクセスしにくいように、覆い隠している。
プローブガード400は、主要な平板部411に、切り欠き部412やガード壁413等が形成されている。プローブ53の軌道を含む領域に、切り欠き部412が設けられており、ガード領域と対応している。切り欠き部412、ガード領域の周囲の一部に、ガード壁413が設けられている。ガード壁413は、Z方向に立つ壁状部材を含み、プローブ53の軌道に概略平行なガード壁部分と、プローブ53の軌道に概略垂直なガード壁部分とを含む。少なくとも、操作者の基準位置(装置正面)と、プローブ53との間に、アクセスを遮るように、ガード壁413が配置されている。ガード壁413の形状は一例であり、ガード領域をガードできる形状であればよい。
[効果等]
上記のように、実施の形態1の自動分析装置によれば、分析動作中に操作者による検体容器21の追加設置等の作業を可能とし、操作者の手間が少なく、作業の利便性や容易性を実現できる。また、操作者や検体の安全性等を確保できると共に、全体的な分析効率を高めることができる。操作者は、通常検体ディスク1に追加検体を設置する必要が無く、作業の手間が少ない。
実施の形態1によれば、通常検体の分析動作中に、追加検体容器の常時投入が可能である。実施の形態1の自動分析装置では、予め設定及び設置された通常検体の分析動作中に、追加検体の設置及び分析を行いたい場合に、通常検体の分注動作の終了を待たずに、また装置の全体または一部の動作を強制的に停止させる必要無く、随時に可能である。追加検体ディスク2に追加設置された緊急検体等の追加検体を優先してすぐに分析を行わせることができる。追加設置時に分析途中であった通常検体についても、分析未完了になって検体が損なわれることも無い。
実施の形態1の自動分析装置によれば、プローブガード400等を備える構成において、操作者や検体の安全性等を確保すると共に、分析効率の向上を実現できる。操作者は、通常検体ディスク1のプローブガード400を取り外して追加検体を設置する必要も無く、作業の手間が少ない。
実施の形態1によれば、通常検体容器及び追加検体容器の両方に関して、作業及び分析の効率性を高めることができる。緊急検体等に対応できる利便性やその際の作業の容易性が実現される。
[変形例]
実施の形態1の変形例の自動分析装置として、以下が挙げられる。
図16は、変形例における追加検体ディスク2の構成として上面の概略構成を示す。図16の(A)は、追加検体ディスク2に1個の容器設置部20のみを設ける形態を示す。ディスク部23の円周上の一箇所に容器設置部20が設けられている。追加検体ディスク2の間欠回転駆動に応じて、容器設置部20の位置が、例えば位置L3(追加設置位置)と位置L1(分注位置P2)との間で移動される。
図16の(B)は、追加検体ディスク2に2個の容器設置部20{20−1,20−2}を設ける形態を示す。ディスク部23の円周上の対向する二箇所に容器設置部20{20−1,20−2}が設けられている。追加検体ディスク2の間欠回転駆動に応じて、容器設置部20{20−1,20−2}の位置が、例えば位置L3(追加設置位置)と位置L1(分注位置P2)との間で移動される。容器設置部の数(N)は、上記に限らず各種が可能である。
(実施の形態2)
図17を用いて、本発明の実施の形態2の自動分析装置について説明する。実施の形態2の基本的な構成は、実施の形態1と同様である。以下では、実施の形態2における実施の形態1とは異なる構成部分について説明する。実施の形態2の自動分析装置は、通常検体ディスク1用のプローブガード400に加えて、追加検体ディスク2用にもプローブガードを備える。
[プローブガード]
図17は、実施の形態2の自動分析装置で、追加検体ディスク2の付近のプローブガード600を含む部分の斜視図を示す。このプローブガード600は、追加検体ディスク2に対する検体容器21の作業の際や、追加検体の分注動作の際に、操作者の手指等がプローブ53の先端部に接触しないように、アクセスを制限し、防護する。通常の運用では、プローブガード600が取り付けられた状態とされる。必要に応じて、操作者がプローブガード600を取り外した状態として、追加検体ディスク2に対する作業や、保守等を行うことも可能である。
図17で、自動分析装置の筐体の上面には、カバーに相当する平板部160が設けられている。平板部160のうち、一部の領域には、下側に、前述の追加検体ディスク2が配置されている。その一部の領域に、プローブガード600が、取り付け及び取り外し可能な機構として設けられている。
プローブガード600は、主要な平板部601、分注口602、ガード壁603、開口部604等を備える。平板部601のうち、プローブ53が分注位置P2(位置L1)にアクセスして通る領域に、分注口602が設けられている。分注口602を上下に通過するようにして、プローブ53が分注位置P2(位置L1)の検体容器21にアクセス可能である。また、平板部601のうち、プローブ53の軌道及び分注口602の周辺には、ガード壁603が設けられている。ガード壁603は、Z方向に立つ壁状部材を含む。図示するように、少なくともプローブ53の軌道及び分注口602と装置正面との間に、ガード壁603を有する。
開口部604は、追加検体ディスク2の容器設置部20に対する検体容器21の設置等の作業を可能とするために、追加検体ディスク2のディスク部23の上方に設けられている。特に、開口部604は、少なくとも位置L3(追加設置位置)の上方が開口となるように、ガード壁603よりも手前の領域に設けられている。操作者は、開口部604から見えている位置L3の容器設置部20に対して検体容器21を容易に追加設置することができる。
[効果等]
上記のように、実施の形態2の自動分析装置によれば、実施の形態1の効果に加えて更に、プローブガード600によって、追加検体ディスク2の作業や動作に関して、操作者や検体の安全性等を確保することができる。追加検体ディスク2への検体容器21の追加設置の作業の際に、操作者の手指等がプローブ53に接触するリスクを低減できる。
実施の形態2の変形例として、以下が挙げられる。プローブガード600の分注口602を開閉可能な機構を設ける。自動分析装置は、第1モード時には、分注口602を閉状態とし、第2モード時には、分注口602を開状態とするように制御する。通常検体ディスク1に対する分注動作の際に、プローブ53が分注口602の上を通る時に、閉状態とされる。そのため、万一、プローブ53の液体が分注口602の下の検体容器21に落下するようなことが、確実に防止できる。
また、開口部604に、操作者によって開閉可能な蓋等の機構を設けてもよい。通常時には開口部604が閉状態とされる。操作者が追加検体の作業を行う際に、開口部604が開状態にされる。
以上、本発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は前述の実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。