JP7117426B1 - 冷凍漬け用マグロ刺身の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
しかし、近年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染が大きな社会問題となり、現時点では、感染予防のために外食店の時短営業が行われたり、外食自体が控えられるようになっている。そのため、これまで店頭で提供していた上質なマグロを、顧客の要望に応じて提供できない状態が続いている。
特許文献1には、マグロの肉色が褐変しにくいマグロの刺身の冷凍品が開示されている。
[1]マグロを、厚さ4~10mm、かつ、重さ13~22gにスライスして刺身(A)を作製する、刺身工程(1)、刺身工程(1)の後、前記刺身(A)を吸水シートに配置し、刺身(B)を作製する、吸水工程(2)、吸水工程(2)の後、刺身(B)を冷凍し、保形する、冷凍保形工程(3)、冷凍保形工程(3)の後、冷凍保形された刺身(B)を収納袋に収納し、真空包装する、真空包装工程(4)、真空包装工程(4)の後、真空包装された刺身(B)を冷凍し、保存する、冷凍保存工程(5)を有する、冷凍漬け用マグロ刺身の製造方法。
本発明の冷凍漬け用マグロ刺身の製造方法は、マグロを、厚さ4~10mm、かつ、重さ13~22gにスライスして刺身(A)を作製する、刺身工程(1)、刺身工程(1)の後、前記刺身(A)を吸水シートに配置し、刺身(B)を作製する、吸水工程(2)、吸水工程(2)の後、刺身(B)を冷凍し、保形する、冷凍保形工程(3)、冷凍保形工程(3)の後、冷凍保形された刺身(B)を収納袋に収納し、真空包装する、真空包装工程(4)、真空包装工程(4)の後、真空包装された刺身(B)を冷凍し、保存する、冷凍保存工程(5)を有する。
本発明において、冷凍漬け用マグロ刺身とは、漬けに用いるためのマグロの刺身を冷凍したものを指す。
本発明の冷凍漬け用マグロ刺身の製造方法に用いるマグロは、例えば、ホンマグロ、メジマグロ、ミナミマグロ、メバチマグロ、キハダマグロ、およびビントロマグロが挙げられる。
本発明の冷凍漬け用マグロ刺身の製造方法に用いるマグロは、マグロの魚体全体の重さが好ましくは50~500kg、より好ましくは100~400kg、さらに好ましくは130~290kgである。マグロの魚体全体の重さが、上記範囲内であると、脂ののり、筋の入りがよく、肉質が柔らかく、おいしいと感じる傾向があり、好ましい。また、漬けにしたときに、丁度良い食感が残る傾向があり、好ましい。
本発明の冷凍漬け用マグロ刺身の製造方法は、マグロを、厚さ4~10mm、かつ、重さ13~22gにスライスして刺身(A)を作製する、刺身工程(1)を有する。
刺身工程(1)は、マグロの鮮度を保つ観点から、15~25℃で、5~30秒で行われることが好ましい。
本発明において、刺身(A)は、厚さ4~10mm、かつ、重さ13~22gにスライスして作製される。刺身(A)は、厚さ5~8mm、かつ、重さ15~20gにスライスされることが好ましい。
本発明の冷凍漬け用マグロ刺身の製造方法は、刺身工程(1)の後、前記刺身(A)を吸水シートに配置し、刺身(B)を作製する、吸水工程(2)を有する。
刺身(A)が重ならないように吸水シートに配置されることによって、真空包装工程(4)の後、収納袋内の刺身に均一に圧力がかかりやすく、収納袋内の刺身一切れごとのドリップ量にばらつきが出にくいため好ましい。また、解凍後に生臭みを感じにくいため、マグロ独特の風味を感じやすく、漬けにしたときの味のばらつきも抑えられるため、おいしく感じる傾向があり好ましい。さらに、刺身(A)が重ならないように吸水シートに配置されることによって、刺身(A)の色を鮮紅色に保ちやすいため好ましい。
本発明において、刺身(B)は、刺身(A)を、吸水シートに配置して作製される。
本発明において、吸水シートとは、水分等を吸着して吸着した水分等を保持する機能を有するシートのことを指す。吸水シートは上記機能を有するものであれば、特に制限なく使用でき、公知のシートや市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、バリアラップシート(常陸化工株式会社製)を用いることができる。
なお、前記食品用ラップの他に、チャック付きの保存袋や、アルミホイルで包装して作製することもできる。
この場合、吸水工程(2)は、マグロの鮮度を保つ観点から、15~25℃で、5~30秒で行われることがさらに好ましい。
本発明の冷凍漬け用マグロ刺身の製造方法は、吸水工程(2)の後、刺身(B)を冷凍し、保形する、冷凍保形工程(3)を有する。
冷凍保形工程(3)をブラストチラーで行う場合には、マイナス15℃~マイナス25℃の冷風で、45~75分冷凍する工程であることがより好ましい。
冷凍保形工程(3)で用いる冷凍機は、上記工程(3)の温度範囲における冷凍機能を有するものであれば特に制限なく使用でき、例えば、市販品のものを使用してもよい。市販品としては、例えば、マイナス60度超低温フリーザー(株式会社カノウ冷機製)、ブラストチラー(大和冷機工業株式会社)を用いることができる。
本発明の冷凍漬け用マグロ刺身の製造方法は、冷凍保形工程(3)の後、冷凍保形された刺身(B)を収納袋に収納し、真空包装する、真空包装工程(4)を有する。
真空包装工程(4)で用いる真空包装に使用する機器は、特に制限されないが、例えば、真空パックロボ HIPPO(朝日産業株式会社製)を用いることができる。
真空包装工程(4)は、マグロの鮮度を保つ観点から、15~25℃で、1~5分で行われることが好ましい。
本発明の冷凍漬け用マグロ刺身の製造方法は、真空包装工程(4)の後、真空包装された刺身(B)を冷凍し、保存する、冷凍保存工程(5)を有する。
冷凍保存工程(5)で用いる冷凍機は、上記温度範囲における冷凍機能を有するものであれば特に制限なく使用でき、上述の冷凍保形工程(3)と同じものを使用してもよい。
本発明の冷凍漬け用マグロ刺身の製造方法は、冷凍保存工程(5)の後、さらに、マイナス10℃~マイナス20℃で1~3日間熟成する冷凍熟成工程(6)を有することが好ましい。
生のホンマグロ(太平洋クロマグロ、天然、マグロの部位:背中、漁法:延縄漁法)のさくを、厚さ4~10mm、かつ、重さ13~22gにスライスして、刺身(A)を7切れ作製した(刺身工程(1))。刺身1切れあたり、平均で22gであった。
冷凍保形された刺身(B)から食品用ラップを外した後、20cm×27cmの収納袋に収納し、真空包装した(真空包装工程(4))。
冷凍保存された刺身(B)を、マイナス20℃に設定された冷凍庫で、3日間冷凍した(冷凍熟成工程(6))。
解凍後、収納袋から刺身を取り出し、軽く刺身表面の水分を拭きとった。そして、(i)刺身の状態、および(ii)刺身としょうゆをあえた後、刺身表面のしょうゆを拭きとった状態(マグロ漬けがご飯の上にのっている状態を再現したもの)を用意し、後述する官能評価を行った。
吸水シート:バリアラップシート(常陸化工株式会社製)
冷凍庫:マイナス60度超低温フリーザー(株式会社カノウ冷機製)
収納袋:真空袋(クリロン化成株式会社)
真空包装:真空パックロボ HIPPO(朝日産業株式会社製)
官能評価は、健康な成人5名をパネラーとした。実施例および比較例の各サンプルについて、(i)マグロ刺身の状態、(ii)マグロ刺身としょうゆをあえた後、刺身表面のしょうゆを拭きとった状態(マグロの漬けがご飯の上にのっている状態を再現したもの)を一切れずつ試食した。
試食した際の味について、評価項目(1)~(5)の評価基準に従って官能評価を行った。各評価項目につき4名の評価点の平均を算出し、四捨五入を行って評価点とした。
5点:まぐろ独特の香りが、非常に強く感じられる
4点:まぐろ独特の香りが、強く感じられる
3点:まぐろ独特の香りが、感じられる
2点:まぐろ独特の香りが、あまり感じられない
1点:まぐろ独特の香りが、全く感じられない
5点:醤油と混ぜる前のまぐろが、鮮やかな赤~ピンクの色味であり、醤油と混ぜた後のまぐろの色が非常に好ましい
4点:醤油と混ぜる前のまぐろが、赤~ピンクの色味であり、醤油と混ぜた後のまぐろの色が好ましい
3点:醤油と混ぜる前のまぐろが、ややくすんだ赤~ピンクの色味であり、醤油と混ぜた後のまぐろの色が好ましい
2点:醤油と混ぜる前のまぐろが、赤~ピンクの色味であり、醤油と混ぜた後のまぐろに色ムラがある
1点:醤油と混ぜる前のまぐろが、くすんだ赤~赤褐色の色味であり、醤油と混ぜた後のまぐろに色ムラがある
5点:程よい食感であり、非常に好ましい
4点:程よい食感であり、好ましい
3点:均一な食感がある
2点:食感にばらつきがある
1点:食感が柔らかすぎて、好ましくない
5点:臭みが全く残らず、甘みを感じて非常に好ましい
4点:臭みが残らず、かすかな甘みを感じて好ましい
3点:臭みが残らず、好ましい
2点:やや臭みが残る
1点:臭みが残り、好ましくない
5点:風味のバランスがとてもよく、非常においしい
4点:風味のバランスがよく、おいしい
3点:おいしい
2点:風味のバランスがやや悪い
1点:風味のバランスがとても悪く、おいしくない
配置した刺身(A)の上に、7切れの刺身(A)が全て覆われるように、さらに吸水シートを配置して刺身(B)を作製し、食品用ラップで包装したこと、および冷凍熟成工程(6)について、なし(0日)、3日間、14日間行ったこと以外は、実施例1-(i)、(ii)と同様にして、冷凍漬け用マグロ刺身を製造し、官能評価を行った。
実施例2のドリップ量は8g、実施例3のドリップ量は12g、実施例4のドリップ量は、8gであった。
刺身(A)を、厚さ5~8mm、かつ、重さ15~20gにスライスしたこと以外は、実施例2-(i)~4-(ii)と同様にして、冷凍漬け用マグロ刺身を製造し、官能評価を行った。なお、刺身1切れあたり、平均で15gであった。
実施例5のドリップ量は、12g、実施例6のドリップ量は12g、実施例7のドリップ量は、13gであった。
実施例8-(i)、(ii)は生のメバチマグロ(国産、天然、マグロの部位:背中、漁法:延縄漁法)、実施例9-(i)、(ii)は、生のキハダマグロ(国産、天然、マグロの部位:背中、漁法:延縄漁法)のさくを用いたこと、および厚さ4~10mm、かつ、重さ13~22gにスライスして、刺身(A)を作製したこと以外は、実施例3-(i)、(ii)と同様にして、官能評価を行った。なお、刺身1切れあたり、平均で15gであった。
実施例8のドリップ量は、6g、実施例9のドリップ量は6gであった。
厚さ5~8mm、かつ、重さ20gより重くスライスした刺身を用いたこと、吸水シートを使用せず、食品用ラップに刺身を7切れ配置したこと、および冷凍熟成工程を3日間、14日間行った以外は、実施例1-(i)、(ii)と同様にして、官能評価を行った。なお、刺身1切れあたり、平均で22gであった。
厚さ4~10mm、かつ、重さ13g未満にスライスした刺身を用いたこと、吸水シートまたは、食品用ラップに刺身を7切れ配置したこと、および冷凍熟成工程を3日間、14日間行った以外は、実施例1-(i)、(ii)と同様にして、官能評価を行った。なお、刺身1切れあたり、平均で11gであった。
比較例3のドリップ量は、4.5gであった。
厚さ4~10mm、かつ、重さ13g未満にスライスした刺身を用いたこと以外は、実施例2-(i)~4-(ii)と同様にして、官能評価を行った。なお、刺身1切れあたり、平均で11gであった。
比較例6のドリップ量は10g、比較例7のドリップ量は10g、比較例8のドリップ量は12gであった。
吸水シートを使用せず、食品用ラップに刺身を配置したこと以外は、実施例8-(i)~9-(ii)と同様にして、官能評価を行った。なお、刺身1切れあたり、平均で15gであった。
比較例11-(i)~12-(ii)では、厚さ2mmの刺身を4切と厚さ11mmの刺身を3切用いた。刺身7切全体の重さは、105gであった。
比較例15では、通信販売で漬けにされたマグロ(キハダマグロ)を購入し、実施例1-(ii)と同様にして、官能評価を行った。
比較例16では、スーパーで漬けにされたマグロ(キハダマグロ)を購入し、実施例1-(ii)と同様にして、官能評価を行った。
本発明の冷凍漬け用マグロ刺身の製造方法は、すし店等の飲食店店頭のみならず、家庭でも上質なマグロの漬けをおいしく味わうことができるため、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大により外食を控えている顧客にも、要望に応じて、おいしいマグロの漬けを提供することができる。
2・・・吸水シート
3・・・マグロ
Claims (6)
- マグロを、厚さ4~10mm、かつ、重さ13~22gにスライスして刺身(A)を作製する、刺身工程(1)、
刺身工程(1)の後、前記刺身(A)を吸水シートに配置し、刺身(B)を作製する、吸水工程(2)、
吸水工程(2)の後、刺身(B)を冷凍し、保形する、冷凍保形工程(3)、
冷凍保形工程(3)の後、冷凍保形された刺身(B)を収納袋に収納し、真空包装する、真空包装工程(4)、
真空包装工程(4)の後、真空包装された刺身(B)を冷凍し、保存する、冷凍保存工程(5)を有する、冷凍漬け用マグロ刺身の製造方法。 - 前記マグロが、ホンマグロ、メジマグロ、ミナミマグロ、メバチマグロ、およびキハダマグロからなる群から選ばれる少なくとも1種のマグロである、請求項1に記載の冷凍漬け用マグロ刺身の製造方法。
- 前記刺身(A)が、背上、背中、および腹中からなる群から選ばれる少なくとも1種のマグロの部位から切り出された刺身である、請求項1または2に記載の冷凍漬け用マグロ刺身の製造方法。
- 前記吸水工程(2)が、刺身(A)が重ならないように吸水シートに配置し、刺身(B)を作製する工程である、請求項1~3のいずれか一項に記載の冷凍漬け用マグロ刺身の製造方法。
- 前記冷凍保形工程(3)が、マイナス55℃~マイナス65℃で、20~30時間冷凍する工程である、請求項1~4のいずれか一項に記載の冷凍漬け用マグロ刺身の製造方法。
- 前記冷凍保存工程(5)の後、さらに、マイナス10℃~マイナス20℃で1~3日間熟成する冷凍熟成工程(6)を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の冷凍漬け用マグロ刺身の製造方法。
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Citations (4)
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---|---|---|---|---|
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JP2008029209A (ja) * | 2006-07-26 | 2008-02-14 | Nippon Suisan Kaisha Ltd | マグロ刺身の冷凍品、その製造方法、及び調味液との包装体 |
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2021
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Non-Patent Citations (2)
Title |
---|
日本調理科学会誌,2005年, Vol.38, No.1, pp.63-66 |
日本調理科学会誌,2005年, VOL.38, NO.1, PP.63-66, JPN6022029035, ISSN: 0004824291 * |
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