JP2008029209A - マグロ刺身の冷凍品、その製造方法、及び調味液との包装体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】4〜10mmの厚さにスライスされたマグロの刺身であって、刺身のpHを6.3〜6.9に調節したことを特徴とするマグロの刺身の冷凍品である。さらに、刺身の重量あたり0.5〜2.5重量%の植物油を刺身の表面にまぶすのが好ましい。また、さらに、0.01〜1.0重量%の酸化防止剤をまぶすのが好ましい。外周囲がシールされた包装袋の内部が外圧により剥離可能な剥離接着部で2室に分割され、一方の室にマグロの刺身の冷凍品が収納され、他方の室には調味液が収納されたマグロの刺身の冷凍品と調味液の包装体。
【選択図】 図1
Description
マグロづけを手軽に提供するために、マグロの刺身を醤油ベースの調味液に漬けたものの冷凍品が販売されている。
マグロは−50〜−60℃であれば2年間くらい保存することができるが、通常の冷凍食品が流通される温度である−18℃前後では冷凍保存中にもいわゆるメト化が進み、だんだん肉の色が褐色に変化し商品価値がなくなる。
非特許文献1には、「マグロにおいて凍結がヘム色素のメト化を促進する原因としては、筋肉pH価の低下と塩類濃度の増加が考えられる」記載されている。
特許文献2には、フェイスパックマスクの携帯用包装袋として、「請求項1:外周囲がシールされた包装袋の内部が外圧により剥離可能な剥離接着部で2室に分割され、一方の室にはタブレット形状に折り畳まれたフェイスパックマスクが収納され、他方の室にはこのフェイスパックマスクに過不足なく含浸させる量の化粧水が収納されて、外圧により剥離接着部が剥離されたときに、他方の室の化粧水が一方の室のフェイスパックマスクに含浸されるようにしたことを特徴とするフェイスパックマスクの携帯用包装袋。」が記載されている。
本発明は、褐色化しにくい冷凍マグロ刺身を提供することを課題とする。さらに、その褐色化しにくい冷凍マグロ刺身と調味液を混合可能な形で包装した、簡便にマグロのづけを提供できる包装体を提供することを課題とする。
(1)4〜10mmの厚さにスライスされたマグロの刺身であって、刺身のpHを6.3〜6.9に調節したことを特徴とするマグロの刺身の冷凍品。
(2)さらに、刺身の重量あたり0.5〜2.5重量%の植物油を刺身の表面にまぶしたことを特徴とする(1)のマグロの刺身の冷凍品。
(3)さらに、0.01〜1.0重量%の酸化防止剤をまぶしたことを特徴とする(1)又は(2)のマグロの刺身の冷凍品。
(4)凍ったままでスライスされた4〜10mmの厚さのマグロの刺身であって、凍ったままの刺身の表面に刺身の重量あたり、0.2〜1.0重量%のアルカリ化剤、0.01〜1.0重量%の酸化防止剤及び0.5〜2.5重量%の油脂をまぶしたことを特徴とする(1)のマグロの刺身の冷凍品。
(5)外周囲がシールされた包装袋の内部が外圧により剥離可能な剥離接着部で2室に分割され、一方の室には上記(1)ないし(4)いずれかのマグロの刺身の冷凍品が収納され、他方の室にはこのマグロの刺身用の調味液が収納されて、外圧により剥離接着部が剥離されたときに、調味液がマグロの刺身が収納された室に流れ込み、調味液に浸漬されるように設計されていることを特徴とするマグロの刺身の冷凍品と調味液の包装体。
(6)凍結したマグロの塊を凍ったままスライスできる温度まで昇温し、4〜10mmの厚さの刺身とし、その凍ったままの刺身の表面にアルカリ化剤、酸化防止剤及び油脂をまぶし、刺身のpHを6.3〜6.9にすることを特徴とする肉色が褐色化しにくいマグロの刺身の製造方法。
(7)凍結したマグロの塊を凍ったままスライスできる温度まで昇温し、4〜10mmの厚さの刺身とし、その凍ったままの刺身の表面に、刺身の重量に対して0.2〜1.0重量%のアルカリ化剤、0.01〜1.0重量%の酸化防止剤及び0.5〜2.5重量%の油脂をまぶし、刺身のpHを6.3〜6.9にすることを特徴とする(6)の肉色が褐色化しにくいマグロの刺身の製造方法。
アルカリ化剤は、注入や浸漬により刺身の中にまで強制的にしみこませてもよいが、刺身の表面にまぶすだけで、冷凍保存中にも肉にしみこむので、問題ない。本発明でいう刺身のpHは、刺身全体をホモジナイズして測定した値である。
さらに、酸化防止剤を添加することにより、油脂の酸化も抑えることができ、褐色化も抑制され、保存性が高まる。酸化防止剤としては、食品に使用することができる安全で、味に影響しないものであれば何でも使用でき、アスコルビン酸、トコフェロール、カテキン類などが例示される。好ましくは、カテキン類、トコフェロールを用いる。特にトコフェロールは褐色化防止に有効である。酸化防止剤は、用いるものによるがおよそ0.01〜1.0重量%用いる。例えば、トコフェロールであれば、0.02〜0.3重量%程度が好ましい。
凍結したままスライスしたマグロの刺身を縦型ニーダーのようなゆっくり撹拌する撹拌機にいれ、粉末状のアルカリ化剤、酸化防止剤と植物油を添加し、スライスしたマグロの表面に満遍なく添加剤が付着するように撹拌する。5分程度の撹拌で満遍なくまぶすことができる。マグロの刺身が解凍しないように低温にて撹拌するのが好ましい。
現在販売されているマグロのづけは刺身を調味液に浸漬した状態で凍結して販売されているので、調味液が染み込みすぎて、刺身本来の味が際立たず、調味液の醤油の色に刺身が染まって茶色に変色してしまう。本発明では、保存中は刺身と調味液を別々に保存して、それぞれが影響しないようにしてあり、使用するときには、調味液の入っている分画を握り締めるなどして圧力をかけると、境界部分が剥離し、調味液が刺身の分画に流れ込み、漬け込みが開始される。まぐろのづけの調味液への浸漬時間は食する人が好みにより選択すればよいが、2〜60分程度、好ましくは5〜15分程度の浸漬で十分である。
この包装体は凍結されているので、まず、袋ごと流水に晒す流水解凍で刺身を解凍し、上述のように調味液部分に圧力をかけて境界部分の接着を剥離し、調味液に刺身を浸漬させる。そのまま、好みの時間、放置すれば、後は、袋を開封するだけで、マグロのづけができあがる。そのままでも、ご飯にかけてマグロのづけ丼にしても食することができる。
調味液は、いわゆるマグロのづけの場合、醤油をベースにみりん、酒、砂糖などの調味料を混合したものであるが、各種調味料、香辛料、薬味などを加えた変わり味の調味液を使用することができる。本発明の包装体であれば、刺身とは区分されているので、どのような調味液を使用しても保存中に刺身に影響を及ぼすことがない。冷凍耐性があり、マグロの刺身に合う調味料であれば調味料の種類は問わない。
撹拌後、該マグロスライス55gを2分割された包装袋の片側に、包装袋のもう片側にタレ(醤油、みりん、その他調味料)を20g充填して開放部をヒートシールした。ヒートシール後は−40℃で凍結、保管した。
ここで使用した包装袋は、図1に示すような形状のONY15μ/DL/LLDPE60μ製の袋で、中央の仕切部分は緩めのシールになっており、タレを充填した部分に圧力を加えると、タレがマグロの方に流れ込むようになっている。
この凍結した包装体を−18℃の冷蔵庫中で65日間保存後、流水解凍し(約15分)、タレ部分を握りしめて、タレをマグロの方に流れ込ませた。冷蔵庫で10分間、放置し、マグロとタレをなじませた。
丼に盛ったご飯の上にタレごとマグロの刺身を乗せてマグロのづけ丼とした。−18℃の冷蔵庫中で65日間保存したものであっても、マグロが冷凍保存により褐色化することもなく、また、醤油の色に染まって黒くなってしまうこともなく、食欲をそそる色のマグロのづけ丼を得ることができた。
表1に示す量の炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムをマグロのスライスの表面にまぶし、味、においに対する影響を官能検査により調べた。表1に示すように量が多くなると炭酸水素ナトリウムでは苦味が、また、炭酸ナトリウムでは生臭さが見られたが、炭酸水素ナトリウムでは0.3〜0.8重量%で、また炭酸ナトリウムでは0.2〜0.6重量%の使用により、程よいpHの製品が得られ、かつ、苦味などの影響も見られなかった。
酸化防止剤を加えることにより加えない場合に比べて褐色化を遅らせることができた。特にトコフェロールの効果が優れていた。
Claims (7)
- 4〜10mmの厚さにスライスされたマグロの刺身であって、刺身のpHを6.3〜6.9に調節したことを特徴とするマグロの刺身の冷凍品。
- さらに、刺身の重量あたり0.5〜2.5重量%の植物油を刺身の表面にまぶしたことを特徴とする請求項1のマグロの刺身の冷凍品。
- さらに、0.01〜1.0重量%の酸化防止剤をまぶしたことを特徴とする請求項1又は2のマグロの刺身の冷凍品。
- 凍ったままでスライスされた4〜10mmの厚さのマグロの刺身であって、凍ったままの刺身の表面に刺身の重量あたり、0.2〜1.0重量%のアルカリ化剤、0.01〜1.0重量%の酸化防止剤及び0.5〜2.5重量%の油脂をまぶしたことを特徴とする請求項1のマグロの刺身の冷凍品。
- 外周囲がシールされた包装袋の内部が外圧により剥離可能な剥離接着部で2室に分割され、一方の室には請求項1ないし4いずれかのマグロの刺身の冷凍品が収納され、他方の室にはこのマグロの刺身用の調味液が収納されて、外圧により剥離接着部が剥離されたときに、調味液がマグロの刺身が収納された室に流れ込み、調味液に浸漬されるように設計されていることを特徴とするマグロの刺身の冷凍品と調味液の包装体。
- 凍結したマグロの塊を凍ったままスライスできる温度まで昇温し、4〜10mmの厚さの刺身とし、その凍ったままの刺身の表面にアルカリ化剤、酸化防止剤及び油脂をまぶし、刺身のpHを6.3〜6.9にすることを特徴とする肉色が褐色化しにくいマグロの刺身の製造方法。
- 凍結したマグロの塊を凍ったままスライスできる温度まで昇温し、4〜10mmの厚さの刺身とし、その凍ったままの刺身の表面に、刺身の重量に対して0.2〜1.0重量%のアルカリ化剤、0.01〜1.0重量%の酸化防止剤及び0.5〜2.5重量%の油脂をまぶし、刺身のpHを6.3〜6.9にすることを特徴とする請求項6の肉色が褐色化しにくいマグロの刺身の製造方法。
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