JP7116052B2 - 把持システム - Google Patents

把持システム Download PDF

Info

Publication number
JP7116052B2
JP7116052B2 JP2019518816A JP2019518816A JP7116052B2 JP 7116052 B2 JP7116052 B2 JP 7116052B2 JP 2019518816 A JP2019518816 A JP 2019518816A JP 2019518816 A JP2019518816 A JP 2019518816A JP 7116052 B2 JP7116052 B2 JP 7116052B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
finger
exposed
contact
gripping
contactable
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019518816A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2018212203A1 (ja
Inventor
晋治 川畑
芳一 松尾
祐樹 野村
聖也 渡邉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
THK Co Ltd
Original Assignee
THK Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by THK Co Ltd filed Critical THK Co Ltd
Publication of JPWO2018212203A1 publication Critical patent/JPWO2018212203A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7116052B2 publication Critical patent/JP7116052B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B25HAND TOOLS; PORTABLE POWER-DRIVEN TOOLS; MANIPULATORS
    • B25JMANIPULATORS; CHAMBERS PROVIDED WITH MANIPULATION DEVICES
    • B25J9/00Programme-controlled manipulators
    • B25J9/16Programme controls
    • B25J9/1612Programme controls characterised by the hand, wrist, grip control
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B25HAND TOOLS; PORTABLE POWER-DRIVEN TOOLS; MANIPULATORS
    • B25JMANIPULATORS; CHAMBERS PROVIDED WITH MANIPULATION DEVICES
    • B25J15/00Gripping heads and other end effectors
    • B25J15/0009Gripping heads and other end effectors comprising multi-articulated fingers, e.g. resembling a human hand
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B25HAND TOOLS; PORTABLE POWER-DRIVEN TOOLS; MANIPULATORS
    • B25JMANIPULATORS; CHAMBERS PROVIDED WITH MANIPULATION DEVICES
    • B25J15/00Gripping heads and other end effectors
    • B25J15/08Gripping heads and other end effectors having finger members
    • B25J15/10Gripping heads and other end effectors having finger members with three or more finger members
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B25HAND TOOLS; PORTABLE POWER-DRIVEN TOOLS; MANIPULATORS
    • B25JMANIPULATORS; CHAMBERS PROVIDED WITH MANIPULATION DEVICES
    • B25J9/00Programme-controlled manipulators
    • B25J9/16Programme controls
    • B25J9/1602Programme controls characterised by the control system, structure, architecture

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Robotics (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Orthopedic Medicine & Surgery (AREA)
  • Automation & Control Theory (AREA)
  • Manipulator (AREA)

Description

本発明は、少なくとも2本の指部を有するハンド機構によって対象物を把持するための把持システムに関する。
人間の手の構造を模したエンドエフェクタやハンド機構等を用いて対象物を把持する技術が多く開発されている。例えば、特許文献1には、対象物を吸引により吸着させる吸着装置を利用したエンドエフェクタに関する技術が開示されている。当該エンドエフェクタは、3本の指部を有しており、各指部は、複数のアクチュエータによって、自転し、且つ基節骨、第1中節骨、第2中節骨、末節骨が回転駆動や相対的な屈折駆動される。このように各指部が多自由度に駆動されることで、各指部に設けられた吸着装置を、対象物の表面の法線方向に沿って該対象物に接近させて、吸着装置による吸引効果を対象物に作用させることが可能となる。
また、特許文献2には、3本の指部を有するエンドエフェクタが開示されており、そこでは2本又は3本の指部を用いた対象物の把持が行われている。例えば、特許文献2の図24には2本の指部で鍵を挟んだ把持形態が示され、図29には3本の指部でボールを把持した把持形態が示されている。また、特許文献2には、2つの指部が協働して比較的平らな対象物を把持する技術も開示されている。例えば、図30A及び図30Bに示される把持形態では、平面上に置かれた鍵の側縁を挟み込み、そして一方の側縁をプレート部材とパッドとの間に捕捉しながら鍵を枢動させて立上げ、鍵を2つの指部の端面に挟み込むことでその把持が行われる。
特許第5525587号公報 特表2015-533669号公報
ハンド機構により対象物を把持しようとする場合、当該対象物を挟めるようにハンド機構が有する指部を対象物に対して配置する必要がある。そのため対象物の周囲に指部を配置するための空間が無い場合や、指部で把持するために当該指部が接触する対象物の所定の表面が露出していない場合には、ハンド機構による対象物の把持が困難となる。例えば、同種類の対象物が複数個容器などに並べて置かれている状態において、対象物を1個ずつ把持しようとする場合には、隣接する対象物や容器等が障害となってハンド機構による対象物の把持が困難となり得る。
このような場合、従来においては、広く対象物を吸引する吸着装置を備える把持装置が利用されている。ただし、このような吸着装置を利用する場合、その吸引力を対象物に適切に作用させるために、対象物の形状や構造等に応じて吸着装置を準備する必要があり、対象物の把持システムとしての汎用性が大きく阻害される。また、対象物の表面素材、形状によっては吸着装置による吸引力が作用しにくい場合やその吸引痕跡が残ってしまう場合もあり、やはり汎用性の高い把持システムを提供するまでには至っていないのが現状である。
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、対象物が配置されている状況の影響を可及的に受けることなく当該対象物の把持を可能とする、汎用性の高い把持システムを提供することを目的とする。
本発明において、上記課題を解決するために、把持の対象となる対象物の表面のうち、ハンド機構によって把持するためにその指部が接触可能であるようには露出していない非露出部に着目した。対象物の位置や姿勢を変更してこの非露出部を露出させてハンド機構による接触を可能とした状態で当該対象物の把持を行うようにハンド機構を制御することで、対象物の配置状況の影響を受けにくい把持の実現が可能となる。
詳細には、本発明は、少なくとも2本の指部を有するハンド機構によって対象物を把持するための把持システムであって、前記対象物を把持するときに前記ハンド機構の前記指部を接触させるための所定の把持部が露出しているか否かを判定する判定部と、前記判定部により前記所定の把持部が露出していないと判定されたときに、少なくとも1本の前記指部である第1指部で接触可能な前記対象物における接触可能部と、該判定部による判定時に該第1指部又は該第1指部とは異なる第2指部が接触可能であるように露出していない非露出部と、を特定する特定部と、前記第1指部で前記接触可能部に接触しながら前記対象物の位置又は姿勢を変化させて、前記第1指部又は前記第2指部が該対象物の前記非露出部に接触可能となるように該非露出部を露出させる第1動作制御部と、前記第1動作制御部により前記非露出部が露出された状態において、前記第1指部又は前記第2指部を該非露出部に接触させるとともに、該非露出部に接触させている前記指部以外の指部を該非露出部以外の前記対象物の所定の表面に接触させることで、前記対象物を把持する第2動作制御部と、を備える。
本発明の把持システムは、少なくとも2本の指部を有するハンド機構を用いて対象物の把持を行うシステムである。ここで、ハンド機構が有する指部については、それぞれの指部の構成(関節の位置や数、指部を構成するリンク機構等の形状や数等)が異なって形成されてもよく、一部又は全部の指部の構成が同一に形成されていてもよい。また、各指部を駆動するアクチュエータは、公知の形態のアクチュエータを採用することができる。
ここで、上記把持システムでは、判定部により上記所定の把持部の存否が判定される。この所定の把持部は、対象物の表面においてハンド機構の指部による把持を可能とする部位である。したがって、仮に対象物において所定の把持部が露出している場合には、その対象物に対してハンド機構の指部が当該所定の把持部に接触することで、対象物の把持が可能となることを意味する。このような所定の把持部を利用した把持を、以降、「直接把持」と称する。したがって、そのような場合には、対象物の位置や姿勢を変えることなく、ハンド機構はその指部によって対象物を把持することが可能となる。なお、所定の把持部は、例えば、対象物の表面のうち、ハンド機構の指部によって対となる方向からの把持を可能とする部位である。ここでいう「対となる方向」とは、対象物を安定して把持するためには、対象物に接触する方向が、好ましくは互いに180度反対となる二方向であるが、別法として、対象物の把持が可能である限りにおいて対象物に接触する方向が適宜ずれていてもよい。
一方で、対象物において所定の把持部が露出していないと判定された場合、当該対象物に対して、ハンド機構は上記直接把持を行うことが困難であることを意味する。そこで、このような場合には、特定部による接触可能部と非露出部との特定処理が行われる。接触可能部は、対象物の表面においてハンド機構の第1指部が接触可能であるように露出している部位である。また、非露出部は、対象物の表面のうち、上記の判定部による判定時にはハンド機構の第1指部又は第2指部が接触可能であるようには露出していない部位であるが、ハンド機構の指部による把持に利用可能な部位である。換言すれば、非露出部は、その非露出状態が解消されハンド機構の指部による接触が可能となれば、対象物の把持に利用可能となる部位である。なお、特定部による接触可能部や非露出部の特定は、対象物の形状や寸法に関する情報、対象物の並び方に関する情報、対象物の周囲に関する情報等を利用して特定することができる。また、これらの情報は、予め把持システムに提供されてもよく、またはカメラ等の撮像装置によって得られる撮像結果を利用して各情報を得ることもできる。
そして、特定部による接触可能部と非露出部との特定が行われると、第1動作制御部により第1指部が接触可能部に接触し、その接触状態を利用して対象物の位置又は姿勢が変化され、その結果、非露出部が露出される。この第1動作制御部により、対象物は、傾けられたり、位置がずらされたり、回転されたりすることで、ハンド機構の第1指部又は第2指部が接触できない状態にあった非露出部が露出され、第1指部又は第2指部による接触が可能な状態が形成されることになる。そこで、そのような非露出部が露出された状態で、第2動作制御部により第1指部又は第2指部の非露出部への接触が行われるとともに、該非露出部に接触させている指部以外の指部の所定の表面への接触が行われる。この結果、非露出部と所定の表面とを介して、ハンド機構の2つの指部により対象物を把持することが可能となる。なお、所定の表面は、非露出部と異なる対象物の表面であればよく、例えば、非露出部に概ね対向する対象物の表面でもよく、別法として、上記接触可能部であってもよい。また、所定の表面に接触する指部は、第1指部及び第2指部とは異なる指部(第3の指部)であってもよく、別法として第1指部そのものであってもよい。後者の場合、第1指部が接触している接触可能部が、上記所定の表面に相当することになる。
このように本発明の把持システムでは、対象物の配置されている状態が直接把持が困難な状態である場合には、第1動作制御部により非露出部を露出させるために対象物の位置や姿勢が変化され、その結果、露出状態に至った非露出部を利用することで、把持対象物の把持が行われる。すなわち、非露出部を露出させるように対象物を把持可能な位置や姿勢に変化させることで、対象物の安定した把持の実現を可能とする。このような構成の採用により、把持前に置かれている対象物の配置状況による影響を事実上排除して、対象物を安定して把持することが可能となる。この結果、当該把持システムの汎用性は極めて高いものとなり得る。
対象物が配置されている状況の影響を可及的に受けることなく、当該対象物の把持が可能となる。
実施例に係るロボットアームの概略構成を示す図である。 実施例に係るハンド機構の斜視図である。 実施例に係るハンド機構の上面図である。 実施例に係るハンド機構の指部の側面図である。 実施例に係るハンド機構の指部の先端部側を図4の矢印Aの方向から見た図である。 実施例に係るハンド機構の、ベース部における指部の接続部近傍部分の内部構造、および、指部における基端部および第2関節部の内部構造を示す図である。 実施例に係るハンド機構の指部における第2関節部の可動範囲を示す図である。 実施例に係るハンド機構の、指部における第1関節部および第2指リンク部の内部構造を示す図である。 実施例に係るハンド機構の指部における第1関節部の可動範囲を示す図である。 実施例に係るハンド機構の指部の第1指リンク部の先端側における感圧センサの配置を示す図である。 実施例に係る制御装置に含まれる各機能部を示すブロック図である。 実施例に係るハンドシステムで実行される把持制御のフローチャートである。 実施例に係るハンド機構で行われる直接把持を示す図である。 図12に示す把持制御で行われる接触可能部を特定するための処理のフローチャートである。 把持対象となる対象物の配置状態の一例を示す図である。 図12に示す把持制御で行われる非露出部を特定するための処理のフローチャートである。 実施例1に係るハンド機構で行われる傾倒把持を説明するための第1の図である。 実施例1に係るハンド機構で行われる傾倒把持を説明するための第2の図である。 実施例1に係るハンド機構で行われる傾倒把持を説明するための第3の図である。 実施例1に係るハンド機構で行われる傾倒把持を説明するための第4の図である。 実施例1に係るハンド機構で行われる傾倒把持を説明するための第5の図である。 実施例1の変形例1に係るハンド機構で行われる傾倒把持を説明するための図である。 実施例1の変形例2に係るハンド機構で行われる傾倒把持を説明するための図である。 実施例2に係るハンド機構で行われる傾倒把持を説明するための第1の図である。 実施例2に係るハンド機構で行われる傾倒把持を説明するための第2の図である。 実施例3に係るハンド機構で行われるずらし把持を説明するための第1の図である。 実施例3に係るハンド機構で行われるずらし把持を説明するための第2の図である。 実施例4に係るハンド機構で行われる回転把持を説明するための図である。 実施例5に係るハンド機構で行われる浮かし把持を説明するための図である。 実施例5に係るハンド機構で行われる浮かし把持の他の実施方法を説明するための第1の図である。 実施例5に係るハンド機構で行われる浮かし把持の他の実施方法を説明するための第2の図である。 実施例6に係るハンド機構で行われる水平ずらし把持を説明するための図である。 水平ずらし把持の対象となる対象物の配置状態の一例を示す図である。 実施例6の変形例に係るハンド機構で行われる水平ずらし把持を説明するための第1の図である。 実施例6の変形例に係るハンド機構で行われる水平ずらし把持を説明するための第2の図である。
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に記載がない限りは発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
ここでは、本発明に係る把持システムをロボットアームに適用した場合について説明する。当該把持システムは、ロボットアーム1の先端に設けられたハンド機構2を用いて、把持の対象物を把持するためのシステムである。図1は、本実施例に係るロボットアーム1の概略構成を示す図である。ロボットアーム1は、ハンド機構2、アーム機構3、および台座部4を備えている。アーム機構3の一端にハンド機構2が取り付けられている。また、アーム機構3の他端が台座部4に取り付けられている。ハンド機構2は、アーム機構3に接続されたベース部20と、該ベース部20に設けられた4本の指部21とを備えている。なお、ハンド機構2の詳細な構成については後述する。
<アーム機構>
アーム機構3は、第1アームリンク部31、第2アームリンク部32、第3アームリンク部33、第4アームリンク部34、第5アームリンク部35、および接続部材36を備えている。そして、ハンド機構2のベース部20が、アーム機構3の第1アームリンク部31の一端側に形成された第1関節部30aに接続されている。第1関節部30aには、第1アームリンク部31に対してハンド機構2を該第1アームリンク部31の軸周りに回転させるためのモータ(図示略)が設けられている。第1アームリンク部31の他端側は、第2関節部30bで第2アームリンク部32の一端側に接続されている。第1アームリンク部31と第2アームリンク部32とはその中心軸が垂直に交わるように接続されている。そして、第2関節部30bには、第2アームリンク部32に対して、第1アームリンク部31を、その他端側を中心に該第2アームリンク部32の軸周りに回転させるためのモータ(図示略)が設けられている。次に、第2アームリンク部32の他端側は、第3関節部30cで第3アームリンク部33の一端側に接続され、第3関節部30cには、第3アームリンク部33に対して第2アームリンク部32を相対的に回転させるためのモータ(図示略)が設けられている。
同じように、第3アームリンク部33の他端側は、第4関節部30dで第4アームリンク部34の一端側に接続され、第4アームリンク部34の他端側は、第5関節部30eで第5アームリンク部35に接続されている。そして、第4関節部30dには、第4アームリンク部34に対して第3アームリンク部33を相対的に回転させるためのモータ(図示略)が設けられている。また、第5関節部30eには、第5アームリンク部35に対して第4アームリンク部34を相対的に回転させるためのモータ(図示略)が設けられている。さらに、第5アームリンク部35は、台座部4から垂直に配置された接続部材36に第6関節部30fで接続されている。第5アームリンク部35と接続部材36とは、それぞれの中心軸が同軸となるように接続されている。そして、第6関節部30fには、第5アームリンク部35を、該第5アームリンク部35および接続部材36の軸回りに回転させるためのモータ(図示略)が設けられている。アーム機構3をこのような構成とすることで、該アーム機構3を6自由度の自由度を有する機構とすることができる。
<ハンド機構>
次に、ハンド機構2の構成について図2から図10に基づいて説明する。図2はハンド機構2の斜視図である。図3はハンド機構2の上面図である。また、図2、図3に示すように、ハンド機構2においては、ベース部20に4本の指部21が、ハンド機構2の長手方向(図3において紙面に垂直な方向)の軸を中心とした円周上に、等角度間隔(すなわち90deg間隔)に配置されている。また、4本の指部21は全て同一の構造を有し且つ同一の長さである。但し、各指部21の動作は、それぞれ独立して制御される。
図4から図10は、ハンド機構2の指部21の構成およびその駆動機構について説明するための図である。図4は指部21の側面図である。なお、図4では、ベース部20が透過された状態で記載されており、ベース部20の内部に位置する指部21の一部の内部構造をも示している。また、図5は、指部21の先端部側を図4の矢印Aの方向から見た図である。
指部21は、第1指リンク部211、第2指リンク部212、および基端部213を有している。そして、指部21の基端部213がベース部20に接続されている。ここで、基端部213は、図3において矢印で示すように、ベース部20に対して指部21の長手方向(図3において紙面に垂直な方向)の軸回りに回転可能に接続されている。また、指部21において、基端部213に第2指リンク部212の一端が接続されている。そして、この第2指リンク部212と基端部213との接続部に第2関節部23が形成されている。
そして、図6に基づいて基端部213の駆動機構および第2関節部23の駆動機構について説明する。図6は、ベース部20における指部21の接続部近傍部分の内部構造、および、指部21における基端部213および第2関節部23の内部構造を示す図である。この図6に示すように、ベース部20の内部には、指部21全体を回転させる、基端部213の回転軸に接続された歯車65、および、第3モータ53の回転軸に接続された歯車66が設けられている。そして、歯車65と歯車66とが噛み合っている。このような構成により、第3モータ53が回転すると、その回転力が二つの歯車65、66を介して基端部213の回転軸に伝達される。つまり、第3モータ53によって指部21全体を回転駆動させることが可能となっている。
また、第2関節部23の内部には、ウォームホイール63と、該ウォームホイール63に対して噛み合ったウォーム64が設けられている。そして、第2関節部23における第2指リンク部212の回転軸にウォームホイール63が接続されている。また、ベース部20の内部に設けられた第2モータ52の回転軸にウォーム64が接続されている。このような構成により、第2モータ52が回転駆動すると、その回転力がウォーム64およびウォームホイール63によって第2指リンク部212の回転軸に伝達され、第2指リンク部212は、基端部213に対して相対的に回転駆動されることになる。このとき、第2モータ52による駆動力と第3モータ53による駆動力は、それぞれ独立してその作動対象に伝わるように構成されている。そして、図7は、第2モータ52の駆動力により実現される、指部21における第2関節部23の可動範囲を示す図である。この図7に示すように、第2関節部23は屈曲および伸展可能に形成されている。
次に、指部21において、第2指リンク部212の他端に第1指リンク部211の一端が接続されている。そして、この第1指リンク部211と第2指リンク部212との接続部に第1関節部22が形成されている。図8に基づいて第1関節部22の駆動機構について説明する。図8は、指部21における第1関節部22および第2指リンク部212の内部構造を示す図である。第1関節部22の内部には、互いに嵌合する二つの傘歯車61、62が設けられている。そして、第1関節部22における第1指リンク部211の回転軸に一方の傘歯車61が接続されている。また、第2指リンク部212の内部に設けられた第1モータ51の回転軸に他方の傘歯車62が接続されている。このような構成により、第1モータ51が回転駆動すると、その回転力が二つの傘歯車61、62によって第1指リンク部211の回転軸に伝達され、第1指リンク部211は、第2指リンク部212に対して相対的に回転駆動されることになる。図9は、第1モータ51の駆動力により実現される、指部21における第1関節部22の可動範囲を示す図である。この図9に示すように、第1関節部22は屈曲および伸展可能に形成されている。
また、図2、図4に示すように、本実施例では、指部21において、第1関節部22よりも先端部側の第1指リンク部211よりも、該第1関節部22よりベース部20側(基端部213側)の第2指リンク部212の方が長くなっている。
また、図2、図4、図5、図10に示すように、本実施例では、指部21の第1指リンク部211の先端側に感圧センサ70が設けられている。感圧センサ70は、第1指リンク部211の先端側に作用する外力(圧力)を検出するセンサである。また、図4に示すように、感圧センサ70は、第1指リンク部211の先端側における、第1関節部22の屈曲方向側の壁面215および伸展方向側の壁面216の両面に設けられている。ここで、本実施例では、第1指リンク部211の先端側における第1関節部22の屈曲方向側の壁面215は曲面状に形成されている。そこで、図10に示すように、第1指リンク部211の先端側における第1関節部22の屈曲方向側の壁面215には、複数の感圧センサ70をその曲面形状に沿って並べて設置してもよい。
<台座部>
次に、台座部4の内部に配置されたロボットアーム1の制御装置であるアーム制御装置42と、ハンド機構2の制御装置であるハンド制御装置43の構成について、図11に基づいて説明する。図11は、アーム制御装置42及びハンド制御装置43に含まれる各機能部を示すブロック図である。アーム制御装置42は、ロボットアーム1のアーム機構3に搭載される各モータのドライバに対して、各モータの駆動信号を生成させるための制御信号を供給するように構成される。アーム制御装置42は、演算処理装置及びメモリを有するコンピュータであり、機能部として、アーム制御部420、およびモータ状態量取得部421を有している。各機能部は、アーム制御装置42において所定の制御プログラムが実行されることで形成される。
アーム制御部420は、ハンド制御装置43が有する、後述の対象物情報取得部430によって取得された対象物情報に基づいて、アーム機構3の各関節部30a、30b、30c、30d、30eに設けられたモータを制御することで、該アーム機構3を動かし、それによって、ハンド機構2を、対象物の把持のために適した所定の把持可能位置に移動させる。また、アーム機構3の各関節部30a、30b、30c、30d、30eに設けられたモータには、それぞれの回転状態に関する状態量(モータの回転軸の回転位置や回転速度等)を検出するエンコーダ(図示略)が設けられている。そして、各モータのエンコーダによって検出された各モータの状態量が、アーム制御装置42のモータ状態量取得部421に入力される。そして、アーム制御部420は、モータ状態量取得部421に入力された各モータの状態量に基づいて、例えば、ハンド機構2が上記の所定の把持可能位置に移動するように各モータをサーボ制御する。
次に、ハンド制御装置43は、ハンド機構2に搭載される各モータのドライバに対して、各モータの駆動信号を生成させるための制御信号を供給するように構成される。ハンド制御装置43は、演算処理装置及びメモリを有するコンピュータであり、機能部として、対象物情報取得部430、モータ状態量取得部431、センサ情報取得部432、直接把持制御部433、判定部434、特定部435、第1動作制御部436、第2動作制御部437を有している。各機能部は、ハンド制御装置43において所定の制御プログラムが実行されることで形成される。
ハンド制御装置43は、所定の把持可能位置に移動されたハンド機構2を、対象物情報取得部430によって取得された対象物情報に基づいて制御するように構成されている。対象物情報取得部430は、ハンド機構2よって把持すべき対象物に関する情報である対象物情報を取得する。ここで、対象物情報には、対象物の形状、寸法、およびその位置に関する情報、並びに、対象物周囲の環境情報(対象物の周囲に存在する該対象物以外の物に関する情報であり、例えば、対象物が収容されている容器の形状や当該容器における対象物の並びに関する情報)等が含まれる。この対象物情報取得部430は、ユーザーによって入力された対象物情報を取得してもよい。また、対象物を含む画像を撮像する視覚センサが設けられている場合、対象物情報取得部430は、該視覚センサによって撮像された画像から対象物情報を取得してもよい。
また、直接把持制御部433は、対象物の把持形態の1つである直接把持をハンド機構2に実行させる機能部である。直接把持とは、把持前に配置された状態の対象物をそのままの状態で、すなわち当該対象物の位置や姿勢を変更することなく、ハンド機構2が有する指部21のうち少なくとも2つの指部を当該対象物に対して接触させて挟むことで行われる把持の形態である。直接把持制御部433によって実行される直接把持の詳細については後述する。
次に、判定部434は、把持予定の対象物の配置状態が、上記の直接把持が可能な状態であるか否かを判定する機能部である。また、特定部435は、判定部434によって直接把持が行えない状態に対象物が配置されている場合に、直接把持とは異なる形態でその対象物を把持するために使用する、当該対象物の部位を特定する機能部である。なお、この場合の把持形態は、後述する第1動作制御部436及び第2動作制御部437によって実現される把持形態であり、その際に使用される対象物の部位には、少なくとも接触可能部と非露出部とが含まれる。これらの詳細については後述する。また、第1動作制御部436及び第2動作制御部437は、上記の通り、直接把持とは異なる形態の把持動作を、ハンド機構に実行させる機能部である。第1動作制御部436によって実行される第1動作に続いて、第2動作制御部により第2動作が実行されることになる。当該第1動作及び第2動作の詳細についても後述する。
そして、ハンド制御装置43では、上記の直接把持であれ、直接把持とは異なる形態の把持であれ、対象物の把持のためにハンド機構2の各指部21を駆動させる第1モータ51、第2モータ52、および第3モータ53が対象物情報に基づいて制御される。ハンド機構2の各第1モータ51、各第2モータ52、および各第3モータ53には、それぞれの回転状態に関する状態量(モータの回転軸の回転位置や回転速度等)を検出するエンコーダ(図示略)が設けられている。そして、各モータ51、52、53のエンコーダによって検出された各モータ51、52、53の状態量が、モータ状態量取得部431に入力される。そして、ハンド制御装置43は、モータ状態量取得部431に入力された各モータ51、52、53の状態量に基づいて各指部21における各モータ51、52、53をサーボ制御し対象物の把持を行う。
さらに、ハンド制御装置43では、センサ情報取得部432に、ハンド機構2の各指部21の先端側に設けられた感圧センサ70の検出値が入力される。そして、ハンド制御装置43は、センサ情報取得部432によって取得された各指部21の感圧センサ70の検出値に基づいて、指部21の対象物への接触を検知でき、その検知信号に基づいて各指部21における各モータ51、52、53を制御することもできる。
なお、図1及び図11に示す例では、把持システムに含まれる制御装置として、アーム制御装置42とハンド制御装置43とが台座部4の内部に配置される例について述べたが、それらのアーム制御装置42とハンド制御装置43とはロボットアーム1の外部に設置されるコンピュータ等の制御装置に制御プログラムを実行させることで形成されてもよい。その際、アーム制御装置42とハンド制御装置43の各機能部が、両装置が一体化された1つの制御装置内に形成される構成を採用することもできる。また、アーム制御装置42またはハンド制御装置43における各機能部のうちの一部が、アーム制御装置42およびハンド制御装置43とは別体の制御装置内に形成される構成を採用することもできる。なお、把持システムに含まれる制御装置が、アーム制御装置42とハンド制御装置43とに区別される場合でも、図11に示す各機能部は、技術的な齟齬が生じない限りにおいて実質的に何れかの制御装置内に形成されればよく、必要に応じてアーム制御装置42とハンド制御装置43との間で適切な情報の授受を行うことができる。
<把持制御>
ここで、図12に基づいて、ロボットアーム1に搭載されたハンド機構2を用いた把持システムによる対象物の把持制御について説明する。当該把持制御は、アーム制御装置42及びハンド制御装置43において所定の制御プログラムが実行されることで実現される。先ず、S101では、ハンド機構2が所定の把持可能位置に移動される。当該処理は、アーム制御装置42のアーム制御部420によって実行される。具体的には、対象物情報取得部430によって取得された対象物情報が、ハンド制御装置43からアーム制御装置42へと引き渡される。そして、この引き渡された対象物情報に基づいて、ハンド機構2が位置すべき所定の把持可能位置、すなわち、対象物に対してハンド機構2が作用することで当該対象物の把持が可能となる位置が算出される。例えば、対象物情報に含まれる対象物の位置情報を基準として、その把持が可能となるように所定距離、当該対象物から離間した位置を所定の把持可能位置として算出してもよい。S101の処理が終了すると、S102へ進む。
S102では、所定の把持可能位置に移動されたハンド機構2によって、対象物を直接把持可能か否かが判定される。当該判定は、上記の判定部434によって行われる。ここで、図13に基づいてハンド機構2による直接把持の詳細について説明する。図13に示す対象物10は、床面上に単独で置かれ、直方体状の形状を有している。そして、図13に示すように、対象物10の端面10aと、それに対向する端面10bとは、ともにハンド機構2の指部21が接触可能な程度に露出しているものとする。なお、本願において、ハンド機構2が有する4本の指部21やそれを構成する第1指リンク部211を指部毎に区別して識別する際には、参照番号である「21」や「211」に識別のための添え字である「A」~「D」を付加するものとし、区別して識別する必要が無い場合には当該添え字の記載を省略する場合もある。また、添え字「A」~「D」は、図3に示す指部21の並びの状態で時計回りに順に、各指部に割当てられるものとする。ここで、対象物10では、端面10a及び端面10bが露出しているため、ハンド機構2の指部21Aと指部21Cによって図中の白抜き矢印で示す、対となる方向から対象物10を挟んで把持することが可能となる。このとき、対象物10の姿勢や位置を変更することなく、対象物10の把持が可能であることから、図13に示す把持形態が直接把持となる。
また、判定部434による直接把持の可否判定は、上記のような対となる方向から対象物10を挟んで把持することを可能とする、対象物10の部位(本発明の所定の把持部に相当し、その一例が図13に示す端面10a、10bとなる。)が露出しているかについて行われる判定処理である。例えば、対象物情報取得部430によって取得された対象物情報に含まれる、対象物の形状や位置に関する情報、並びに、対象物10の周囲の障害物と対象物10との相対位置関係等の環境情報に従って、直接把持を可能とする部位の有無の判定が行われる。図13に示す例では、直方体形状の対象物10が床面に配置されているという対象物情報に基づいて、その側面側に位置し、指部21Aと指部21Cの接近が可能な程度にその周囲に空間が確保されている端面10a及び端面10bの存在が確認されることで、直接把持が可能であるとの判定が判定部434によってなされることになる。S102で肯定判定されるとS103へ進み、否定判定されるとS104へ進む。
S103では、S102での肯定判定を以て、ハンド機構2による直接把持が実施される。例えば、図13に示す形態では、指部21Aの第1指リンク部211Aが端面10aに接触し、指部21Cの第1指リンク部211Cが端面10bに接触することで対象物10の直接把持が行われる。なお、直接把持においては少なくとも2つの指部21により対象物10が把持されればよいが、更に多くの指部21を対象物10に接触させて対象物10をより安定的に把持してもよい。例えば、図13に示す状態で、指部21Bの第1指リンク部211Bや図示省略されている指部21Dの第1指リンク部211Dが対象物10に接触することでその直接把持を実施してもよい。S103の処理後、本制御が終了する。
次に、S104では、S102での否定判定を以て、対象物10における接触可能部の特定が行われる。接触可能部は、直接把持が行えない状態に置かれている対象物10の表面のうち、直接把持とは異なる形態の把持を実現するために、対象物10を傾倒させるべくハンド機構2の何れかの指部(本発明の第1指部に相当する指部)が接触可能な部位である。したがって、露出している対象物10の全ての表面が接触可能部となるわけではなく、露出している表面のうち、指部が接触し対象物10の姿勢や位置を変化し得る部位が接触可能部となる。ここで、対象物10における接触可能部を特定するための処理について、図14に基づいて説明する。
<接触可能部特定処理>
図14は、対象物10における接触可能部を特定するための処理のフローチャートである。なお、当該処理の説明に際しては、把持対象となる対象物10は図15に示すように配置されていることを前提とする。この配置状態では、対象物となる直方体形状の物体が4つ連なって置かれており、その手前側に位置する物体が把持の対象となる対象物10であり、それ以外の物体は、対象物10と同形の物体であるが把持の対象ではないため非対象物10’と称する。図15に示す配置状態では、対象物10の底面が床面に接するように置かれているが、更にその対象物10の側面S2及びS3は、図示しない障害物(例えば、物体を収容する容器等)が対象物10の周囲に位置しているため、露出した状態とはなっていない。また、対象物10の背面S5は、背部の非対象物10’に接しているため、同じように露出した状態とはなっていない。なお、このような対象物10の配置状態に関する情報は、対象物情報取得部430によって取得される対象物情報に含まれている。
ここで、S201では、対象物10に関する対象物情報に基づいて、対象物10の露出面が抽出される。図15に示す例では、対象物10の露出面として、前面S1と上面S4が抽出されることになる。この抽出された露出面は、いわば接触可能部の候補である。次に、S202では、接触可能部の候補として、S201で抽出された露出面の中から、ハンド機構2の指部21が接触して対象物に作用することで対象物10を傾けて倒す傾倒動作(後述の図17Bを参照)が可能な露出面が選出される。図15に示す例では、前面S1は、床面より概ね垂直に起立している面であるため、仮に指部21が前面S1に接触し力を加えても、対象物10の周囲に位置する非対象物10’や障害物の存在により対象物10を傾倒させることはできない。一方で、上面S4は、指部21が上面S4に接触した状態で、対象物10の上部を手前側に引き倒すように指部21を動かすことで、対象物10の傾倒動作を実現することができる。そこで、S202の処理により、接触可能部の候補に上面S4が選出されることになる。
そして、S203では、S201及びS202の処理を経て、候補となる露出面があるか否かが判定される。S203で肯定判定されると、接触可能部の候補に絞られた露出面のうち1つの面が接触可能部に特定される(S204の処理)。一方で、S203で否定判定されると、接触可能部の特定は行われず、不成功に終わる。このように図14に示す接触可能部特定処理によって、把持制御時の接触可能部の特定が行われる(図12中のS104の処理)。なお、本実施例では、上面S4が接触可能部として特定される。
ここで、再び図12に戻る。S104の処理が終了すると、S105で、対象物10における非露出部の特定が行われる。非露出部は、対象物10の表面のうち、上述したように指部21が接触可能部に接触した状態で対象物10を傾倒させる前では、ハンド機構2の指部が接触可能となるようには露出していない部位であるが、当該傾倒動作が行われると、その非露出状態が解消される部位である。したがって、接触可能部と非露出部とは、対象物10の表面のうち、対象物10の傾倒動作によって関連付けられた部位と言うことができる。そこで、対象物10における非露出部を特定するための処理について、図16に基づいて説明する。
<非露出部特定処理>
図16は、対象物10における非露出部を特定するための処理のフローチャートである。なお、当該処理の説明に際しては、把持対象となる対象物10は図15に示すように配置され、且つ、上記の接触可能部を用いた対象物10の傾倒動作が行われることを前提とする。また、当該処理においても、接触可能部特定処理と同様に対象物10に関する対象物情報が利用される。先ず、S301では、対象物10に関する対象物情報に基づいて、対象物10の表面のうち非露出部の候補となる部位の抽出が行われる。この非露出部の候補となる部位は、ハンド機構2の指部21が接触可能となるようには露出していないことを要件として抽出される。したがって、図15に示す配置状態にある対象物10においては、側面S2及びS3と、背面S5と底面が、非露出部の候補として抽出される。
次に、S302では、非露出部の候補として、S301で抽出された部位の中から、上記の接触可能部を用いた対象物10の傾倒動作により露出された状態となる、すなわち当該傾倒動作によってハンド機構2の指部21が接触可能な状態となる部位が選出される。図15に示す例では、対象物10の傾倒動作は、指部21が上面S4に接触した状態で対象物10を手前側に引き倒す動作のみが可能となる。したがって、この傾倒動作によって露出状態となる非露出部の候補は、背面S5のみとなる。
次に、S303では、更なる非露出部の候補の選出処理が行われる。具体的には、非露出部の候補として、S302で選出された非露出部の候補のうち、その候補非露出部に指部21が接触したときに、他の指部21が当該候補非露出部と対となって対象物10の把持を可能とする露出部位、すなわち指部21の接触が可能な表面を有する候補非露出部が選出される。すなわち、S303では、傾倒動作によって露出することになる非露出部を利用して対象物10の把持を行う際に、非露出部以外で対象物10に指部21を接触させるための部位である露出部位が存在することになる非露出部が選択される。なお、このように非露出部と対を為す当該露出部位が、本願発明の所定の表面に相当する。図15に示す例では、S302で選出された非露出部の候補は背面S5のみであるが、仮に傾倒動作によって露出された背面S5に指部21を接触させたときに、別の指部21を前面S1に接触させることで、対象物10を両指部で把持することが可能となる。したがって、背面S5は、S303の処理によっても非露出部の候補として選出されることになる。
そして、S304では、S301~S303の処理を経て、候補となる非露出部があるか否かが判定される。S304で肯定判定されると、非露出部の候補のうち1つの部位が非露出部に特定される(S305の処理)。一方で、S304で否定判定されると、非露出部の特定は行われず、不成功に終わる。このように図16に示す非露出部特定処理によって、把持制御時の非露出部の特定が行われる(図12中のS105の処理)。なお、本実施例では、背面S5が非露出部として特定される。
ここで、再び図12に戻る。S105の処理が終了すると、S106において、接触可能部及び非露出部の特定に成功したか否かが判定される。具体的には、接触可能部特定処理によって接触可能部の特定に成功し、且つ非露出部特定処理によって非露出部の特定に成功した場合に、S106の判定処理は肯定判定とされ、それ以外の場合にはS106の判定処理は否定判定とされる。そして、S106で肯定判定されると、特定された接触可能部と非露出部とを利用して対象物10の把持が行われ、S106で否定判定されると対象物10の把持処理は中止される(S111の処理)。なお、対象物10の把持処理が中止された場合の、ロボットアーム1及びハンド機構2の動作については、予め決められている、把持動作以外の動作が行われてもよい。例えば、ロボットアーム1及びハンド機構2を所定の位置や状態に戻した上で、ユーザーに対して対象物10の把持が行われなかったことを知らせるためのアラームを発してもよく、又は、把持の対象となる物体を別の物体に切り替えて、その把持制御を進めてもよい。
ここで、S106で肯定判定された場合に行われる、対象物10の把持処理について説明する。先ず、S107では、接触可能部を利用して対象物10の傾倒動作が開始される。この傾倒動作は、ハンド機構2の指部21が接触可能となる程度に非露出部を露出させるための動作であり、第1動作制御部436によって実行される第1動作に相当する。具体的に、図17A及び図17Bに基づいて説明すると、第1動作制御部436は、指部21Aの第1指リンク部211Aを対象物10の接触可能部101たる上面に接触させる。このとき、他の指部21B~21Dは対象物10には接触していない。そして、指部21Aと接触可能部101との接触状態を維持したまま、第1動作制御部436は、指部21Aを駆動制御し対象物10を手前側に引き倒す力を対象物10に作用させる。そのため、図17Bに示すように、対象物10は、床面と接触しているその底面の一部を中心としてその上部が床面側に接近するように傾倒していくことになる。
そして、この傾倒動作の結果、把持前の配置状態に置いて非対象物10’と接触していた対象物10の背面である非露出部102が露出していき、非露出部102と非対象物10’との間に空間が形成されていく。当該空間は、対象物10の傾倒が進むほど大きくなっていく。そこで、S107で開始された対象物10の傾倒動作に関し、非露出部102の露出が完了したか、すなわち非露出部102と非対象物10’との間に形成された空間に、ハンド機構2の指部21Aとは異なる指部21B及び指部21Dを進入できる程度に当該空間の大きさを確保できたか否かが、S108において判定される。なお、当該判定は、対象物10の引き倒し量に関連する、指部21Aの移動量に基づいて判定される。このように指部21B及び指部21Dの進入に十分な程度の当該空間を、以下、進入空間と称する。S108で肯定判定されるとS109へ進み、否定判定されると引き続き対象物10の傾倒動作が継続される。
次に、S109では、S108での肯定判定を以て、第1動作制御部436による傾倒動作を停止させる。このとき指部21Aが接触可能部101に接触した状態が維持される。そのため、非露出部102が十分に露出され、傾倒状態にある対象物10と隣接する非対象物10’との間に進入空間が確保される。その後、S110において、対象物10の把持動作が行われる。この把持動作は、把持制御が開始される前の対象物10の姿勢を、上記傾倒動作によって変化させた状態で行われる把持形態であり、図13に示す直接把持とは異なる。そこで、本出願では、S110で行われる把持動作を、傾倒把持と称する。
この傾倒把持は、対象物10が傾倒され非露出部102が露出された状態で行われる対象物の把持であり、第2動作制御部437によって実行される第2動作に相当する。傾倒把持について、図18A~図18Cに基づいて具体的に説明する。なお、図18A~図18Cは、傾倒把持によりハンド機構2が対象物を把持している同一の状態を、異なる視点から示したものである。図18Aは、対象物10の非露出部102が見える方向からの図であり、図18Bは、対象物10を側方から見た図であり、図18Cは、対象物の前面103(図15に示す前面S1に相当する部位)が見える方向からの図である。
傾倒把持では、対象物10と隣接する非対象物10’との間に形成された進入空間に、指部21Bの第1指リンク部211Bと指部21Dの第1指リンク部211Dとを進入させ、両指リンク部を非露出部102に接触させるとともに、指部21Cの第1指リンク部211Cを対象物10の前面103に接触させる。すなわち、傾倒把持では、傾倒状態にある対象物10を、その前後からハンド機構2の、傾倒状態に支持するために使用している指部21A以外の指部が利用されて、対象物10の安定的な把持が実現される。したがって、この場合、指部21B及び指部21Dが本発明の第2指部に相当し、指部21Cが第3指部に相当することになる。また、別法として、非露出部102に1本の指部21の第1指リンク部を接触させ、前面103に残りの2本の指部21の第1指リンク部を接触させてもよい。
また、傾倒把持においてより安定して対象物を把持するためには、図18Bに示すように、対象物10を側方から見たときに、非露出部102側の指部21の第1指リンク部と前面103側の指部21の第1指リンク部とが概ね対向するのが好ましい。また、図18A~図18Cに示すように3本の指部21で傾倒把持を行う場合、非露出部102又は前面103から見たときに、1本の指部21Cの作用点が、2本の指部21B及び指部21Dのそれぞれの作用点の間に位置するように、各指部21が対象物に接触するのが好ましい。
S110で対象物の傾倒把持が行われると、ハンド機構2が対象物10を把持したまま対象物10を所望の位置に移すことができる。これにより、図12に示す把持制御が終了する。このように当該把持制御では、対象物10が直接把持が可能なように配置されている場合には、その直接把持を実行する。これにより対象物10の把持に要する時間の短縮を図ることができる。一方で、直接把持が可能ではない状態で対象物10が配置されていても、ハンド機構2の指部21Aを接触可能部101に接触させて対象物10の姿勢を変化させて、残りの指部21B~21Dによって対象物10の傾倒把持が実現される。この傾倒把持においては、指部21Aを接触させたまま対象物10の把持が行われるため、対象物10の傾倒把持が可能な状態を形成するために要する時間を可及的に短くすることができる。このように上記把持制御では、対象物10の配置されている状況の影響を可及的に受けることなく対象物10の把持を実現することができる。そのため、極めて効率的な対象物の把持や、把持後の対象物の移動が可能となる。
<変形例1>
上記把持システムに含まれるハンド機構2の変形例1について、図19に基づいて説明する。なお、図19では、説明の簡略化のために、指部21A及び指部21Cのみを図示し、それら以外の指部21B、21Dの図示を省略している。上記第1の実施例では、指部21Aの第1指リンク部211Aを対象物10の接触可能部101たる上面に接触させながら対象物を傾倒させる際に、指部21A以外の指部21B~21Dを対象物10に接触させていないが、指部21Aの第1指リンク部211Aを対象物10の接触可能部101たる上面に接触させながら対象物を傾倒させる際に、指部21Cの第1指リンク部211Cを対象物10の前面103の下部に接触させることで該接触部分を支点として対象物10を傾倒させるようにしてもよい。なお、対象物10の前面103において指部21Cの第1指リンク部211Cを接触させる位置は、対象物10の高さ方向においては対象物10の上面よりも底面に近い位置であって、且つ対象物10の幅方向(図19中の前後方向)においては指部21Aの第1指リンク部211Aが接触する位置と同等の位置に設定されるものとする。このような変形例によれば、対象物10を傾倒させる際に力点となる部位(指部21Aの接触部位)の位置ずれ、及び対象物10を傾倒させる際に支点となる部位(指部21Cの接触部位)の位置ずれを抑制することができるため、対象物10が傾倒した際の姿勢を把持に適した姿勢にし易くなる。それにより、対象物10をより安定した姿勢で把持することが可能となる。
<変形例2>
上記把持システムに含まれるハンド機構2の変形例2について、図20に基づいて説明する。本変形例に係るハンド機構2には、3本の指部21A~21Cが備えられる。これらの指部は、上記実施例と同様にそれぞれ同一の構成を有しているが、図3に示すようにハンド機構2を上方から見たときに、各指部21が、ハンド機構2の長手方向の軸を中心とした円周上に、等角度間隔(すなわち120deg間隔)に配置されている。この場合においては、第1指部に相当する指部21Bの第1指リンク部211Bが対象物10の接触可能部101に接触して対象物を傾倒させる。そして、その傾倒された対象物10に対して、第2指部に相当する指部21Aの第1指リンク部211Aが非露出部102に接触するとともに、第3指部に相当する指部21Cの第1指リンク部211Cが前面103に接触する。
また上記の把持制御では、直接把持が可能か否かを判定し、そこで直接把持が可能でないと判定された場合に把持対象物の姿勢を変更して把持を行っているが、それに代えて、当該判定処理を行うことなく把持対象物の姿勢変更及びその把持を行ってもよい。この場合、把持システムは、少なくとも2本の指部を有するハンド機構によって対象物を把持するための把持システムであって、少なくとも1本の前記指部である第1指部で接触可能な前記対象物における接触可能部と、該判定部による判定時に該第1指部とは異なる第2指部が接触可能であるように露出していない非露出部と、を特定する特定部と、前記第1指部で前記接触可能部に接触しながら前記対象物の位置又は姿勢を変化させて、前記第2指部が該対象物の前記非露出部に接触可能となるように該非露出部を露出させる第1動作制御部と、前記第1動作制御部により前記非露出部が露出された状態において、前記第2指部を該非露出部に接触させるとともに、該第2指部以外の指部を該非露出部以外の前記対象物の所定の表面に接触させることで、前記対象物を把持する第2動作制御部と、を備える。
図21及び図22に基づいて、第2の実施例に係る把持システムについて説明する。なお、両図においては、説明を簡便にするために、指部21Dの記載を省略している。本実施例では、直体形状を有する対象物10が床面上に配置されているが、当該対象物10の横に非対象物10’も置かれている。このとき、対象物10と非対象物10’とは接触はしておらず、両者の間には比較的小さな間隙R1が形成されている。しかし、本実施例では、間隙R1は、対象物10を直接把持するためにハンド機構2の指部(例えば、指部21C)が進入できる程度に十分には大きくないものとする。また、対象物10の側方(図の前後側)には図示しない障害物が存在するため、その方向には対象物10を移動させることはできないものとする。このような場合、判定部434による判定では、対象物10の直接把持はできないと判断される。なお、当該判断は、対象物情報取得部430によって取得される対象物情報に基づいて行われる。
このような場合、図12に示す把持制御による対象物10の傾倒把持が行われる。図21に示すようにハンド機構2が対象物10の上方から近接してくる場合、対象物10の上面が、ハンド機構2の指部21による接触が可能であり、且つ、その指部21で当該上面の縁部を、図中の白抜き矢印方向(斜め右下)に押し込むことで、対象物10の底面の一部が床面に接触した状態で傾倒させることが可能となる(図22を参照)。そこで、図14に示す接触可能部特定処理を経て、対象物10の上面が接触可能部101として選出されることになる。
また、このように対象物10を傾倒させると、非対象物10’と対向する対象物10の側面であって、傾倒前では指部21の接触が可能であるようには露出していない側面が、接触可能となるように露出することになる。そして、その露出した側面に指部21を接触させるとともに、当該指部と、接触可能部101に接触させている指部とによって図22に示すように対象物10の傾倒把持が可能となる。そこで、図16に示す非露出部特定処理を経て、対象物10の側面が非露出部102として選出されることになる。なお、このとき、非露出部102と対となって対象物10の傾倒把持を可能とする露出部位、すなわち本発明の所定の表面に相当する部位は、対象物10の上面(接触可能部101)である。
このように接触可能部101と非露出部102とが特定されることで、第1動作として、指部21Aの第1指リンク部211Aが接触可能部101の縁部に接触し、図21の白抜き矢印の方向に力を加える。これにより、対象物10が傾倒されるとともに、非露出部102が、指部21Cの第1指リンク部211Cが接触可能となるように露出された状態となる。そして、この対象物10の傾倒状態は維持される。次に、第2動作として、傾倒状態にある対象物10の非露出部102に対して、指部21Cの第1指リンク部211Cを接触させる。そして、既に接触可能部101に接触している指部21Aの第1指リンク部211Aとともに、対象物10を挟んで傾倒把持を行う。なお、このとき、対象物10をより安定して把持するために、ハンド機構2が有する他の指部(例えば、指部21B)も対象物10の接触可能な部位に接触させてもよい。このように本実施例でも、対象物10の配置されている状況の影響を可及的に受けることなく対象物10の把持を実現することができる。そのため、極めて効率的な対象物の把持や、把持後の対象物の移動が可能となる。
図23及び図24に基づいて、第3の実施例に係る把持システムについて説明する。なお、両図においては、ハンド機構2は指部21Aと指部21Bの2本を有しているが、更に指部を有していても構わない。これらの指部は、上記実施例と同様にそれぞれ同一の構成を有しているが、図3に示すようにハンド機構2を上方から見たときに、各指部21が、ハンド機構2の長手方向の軸を中心とした円周上に、等角度間隔(すなわち180deg間隔)に配置されている。本実施例でも、直体形状を有する対象物10が床面上に配置されているが、当該対象物10の横に接触するように非対象物10’が置かれている。また、対象物10の側方(図の前後側)には図示しない障害物が存在するため、その方向には対象物10を移動させることはできないものとする。このような場合、判定部434による判定では、対象物10の直接把持はできないと判断される。なお、当該判断は、対象物情報取得部430によって取得される対象物情報に基づいて行われる。
本実施例では、判定部434により対象物10の直接把持はできないと判断されると、直接把持とは異なるずらし把持が行われる。当該ずらし把持は、対象物10をそれとは異なる物体に押し付けながらずらし上げ、対象物10の位置を変化させることで、対象物10を把持可能な状態にした上で行われる把持の形態である。すなわち、ずらし把持は、上記傾倒把持と同様に対象物10を直接把持できない場合に行われる把持の形態であって、傾倒把持と異なる点は、傾倒把持は対象物10の姿勢を変化させることで把持可能な状態を形成するのに対して、ずらし把持は対象物10の位置を変化させることで把持可能な状態を形成する。当該ずらし把持においても、接触可能部特定処理による接触可能部の特定と、非露出部特定処理による非露出部の特定が行われ、接触可能部と非露出部とを利用して、第1動作制御部436による第1動作と第2動作制御部437による第2動作が実行されることでずらし把持が実現される。
先ず、接触可能部特定処理では、対象物10においてハンド機構2の指部21が接触可能なように露出している表面のうち、対象物10のずらし上げ(図23中白抜き矢印の方向への移動)のために対象物10を非対象物10’に押し付ける動作を可能とする部位として、非対象物10’との接触面とは反対側の、対象物10の側面が接触可能部101として選出されることになる。
また、このように対象物10をずらし上げると、非対象物10’と接触する対象物10の側面であって、ずらし上げ前では指部21の接触が可能であるようには露出していない側面が、接触可能となるように露出することになる。そして、その露出した側面に指部21を接触させるとともに、当該指部と、接触可能部101に接触させている指部とによって図24に示すように対象物10のずらし把持が可能となる。そこで、非露出部特定処理を経て、対象物10の当該露出していない側面が非露出部102として選出されることになる。なお、このとき、非露出部と対となって対象物10のずらし把持を可能とする露出面、すなわち本発明の所定の表面に相当する部位は、対象物10の側面(接触可能部101)である。
このように接触可能部101と非露出部102とが特定されることで、第1動作として、指部21Aの第1指リンク部211Aが接触可能部101に接触し、対象物10を非対象物10’側に押し付けながら対象物10を図23の白抜き矢印の方向にずらし上げていく。これにより、対象物10の位置が上昇するとともに、非露出部102が、指部21Bの第1指リンク部211Bが接触可能となるように露出された状態となる。図24においては、非露出部102において、ずらし上げ動作によって露出した部分を「1020」で参照している。なお、当該ずらし上げ動作を行われている際に、指部21Bによって非対象物10’が動かないように押さえつけていてもよい。そして、この対象物10のずらし上げ状態は維持される。次に、第2動作として、ずらし上げ状態にある対象物10の非露出部102の露出部分1020に対して、指部21Bの第1指リンク部211Bを接触させる。そして、既に接触可能部101に接触している指部21Aの第1指リンク部211Aとともに、第1指リンク部211Bは、対象物10を挟んでずらし把持を行う。このように本実施例でも、対象物10の配置されている状況の影響を可及的に受けることなく対象物10の把持を実現することができる。そのため、極めて効率的な対象物の把持や、把持後の対象物の移動が可能となる。
なお、ずらし把持は、上述した図23及び図24に示した把持対象物を上方にずらし上げる動作を伴う把持形態だけではなく、把持対象物を側方(把持対象物の横方向)にずらす動作を伴う把持形態も含む。例えば、複数の対象物が直接把持が行えない状態で積み重ねられている配置状態において、最上方の把持対象物の露出部位が収容容器の底面に概ね平行である場合には、その把持対象物を側方にずらし、そのずらし動作によって露出された把持対象物の一対の側面にハンド機構の指部を接触させることで、ずらし把持を実現してもよい。
図25に基づいて、第4の実施例に係る把持システムについて説明する。図25は、床面X0に配置された対象物10を側方から見た状態を表している。概略的には、図25(a)は、把持前の対象物10の状態を表し、同図(b)は、把持を行う前に対象物10を移動させた状態を表し、同図(c)は、対象物10を縦方向(高さ方向)に回転させた状態を表し、同図(d)は対象物10を縦方向で挟んで把持した状態を表している。なお、床面X0には、それに対して垂直に立つ壁面X1が設けられている。図25においては、ハンド機構2は指部21Aと指部21Bの2本を有しているが、更に指部を有していても構わない。これらの指部は、上記実施例と同様にそれぞれ同一の構成を有しているが、図3に示すようにハンド機構2を上方から見たときに、各指部21が、ハンド機構2の長手方向の軸を中心とした円周上に、等角度間隔(すなわち180deg間隔)に配置されている。本実施例では、対象物10は、その側方において外側に突出した突出部位113を有しており、その上方に上方側面114を有し、その下方に下方側面111を有している。そして、把持が行われる前の状態においては、対象物10は床面X0上に置かれ、且つ、対象物と壁面X1との間には比較的小さな間隙R2が形成されている。しかし、本実施例では、間隙R2は、対象物10を直接把持するためにハンド機構2の指部(例えば、指部21B)が進入できる程度に十分には大きくないものとする(なお、図25(a)では、対象物10の配置状態が理解しやすいように間隙R2を拡大して記載している。)。また、対象物10の側方(図の前後側)には図示しない障害物が存在するため、その方向には対象物10を移動させることはできないものとする。このような場合、判定部434による判定では、対象物10の直接把持はできないと判断される。なお、当該判断は、対象物情報取得部430によって取得される対象物情報に基づいて行われる。
本実施例では、判定部434により対象物10の直接把持はできないと判断されると、直接把持とは異なる回転把持が行われる。当該回転把持は、対象物10の一部をそれとは異なる物体(本実施例では、壁面X1)に接触させたまま、対象物10を回転させその姿勢を変化させることで、対象物10を把持可能な状態にした上で行われる把持の形態である。すなわち、回転把持は、上記傾倒把持と同様に対象物10を直接把持できない場合に行われる把持の形態であって、対象物10の姿勢を変化させることで把持可能な状態を形成する。当該回転把持においても、接触可能部特定処理による接触可能部の特定と、非露出部特定処理による非露出部の特定が行われ、接触可能部と非露出部とを利用して、第1動作制御部436による第1動作と第2動作制御部437による第2動作が実行されることで回転把持が実現される。
なお、本実施例では、図25(a)に示すように、把持前の状態では、対象物10と壁面X1との間には間隙R2が存在している。そこで、対象物10の回転把持が可能となるように、その回転把持の前にハンド機構2によって対象物10が壁面X1に接触するように対象物10を押して壁面X1まで移動させる。この回転把持前の対象物10の移動は、ハンド制御装置43に形成される図示しない機能部によって実現され、当該機能部は、本発明の位置調整部に相当する。
ここで、接触可能部特定処理では、対象物10においてハンド機構2の指部21が接触可能なように露出している表面のうち、対象物10を縦方向(高さ方向)に回転(図25(c)中白抜き矢印の方向への回転)させるために対象物10に力を作用させる動作を可能とする部位として、対象物10の下方側面111が接触可能部101として選出されることになる。
また、このように対象物10を縦方向に回転させると、対象物10の底面(床面X0に接触していた面)であって、回転前では指部21の接触が可能であるようには露出していない底面112が、接触可能となるように露出することになる。そして、その露出した底面112に指部21を接触させるとともに、対象物10の上面115に他の指部21を接触させることで、両指部により図25(d)に示すように対象物10の回転把持が可能となる。そこで、非露出部特定処理を経て、対象物10の底面112が非露出部102として選出されることになる。なお、このとき、非露出部と対となって対象物10の回転把持を可能とする露出部位、すなわち本発明の所定の表面に相当する部位は、対象物10の上面115である。
このように接触可能部101と非露出部102とが特定されることで、位置調整部により対象物10が壁面X1に接触するように移動された後に、第1動作として、第1動作制御部436は、指部21Aの第1指リンク部211Aを接触可能部101に接触させ、対象物10を壁面X1に接触させながら対象物10を図25(c)の白抜き矢印の方向に回転させていく。これにより、対象物10の底面112の一部が床面X0に接触しながら底面112が持ち上げられ、非露出部102(底面112)が、後に指部21Aの第1指リンク部211Aが接触可能となるように露出された状態となる。そして、この対象物10が持ち上げられた状態は維持される。次に、上記回転動作によって非露出部102が露出されると、第2動作として、第2動作制御部437は、指部21Bの第1指リンク部211Bを上面115に接触させるとともに、持ち上げ動作を行っている指部21Aの第1指リンク部211Aを非露出部102の下方に、床面X0との間に形成された空間に滑り込ませ、第1指リンク部211Aを非露出部102に接触させる。そして、上面115に接触している指部21Bの第1指リンク部211Bと、非露出部102に接触している指部21Aの第1指リンク部211Aとによって、対象物10を挟んで回転把持を行う。
このように本実施例でも、対象物10の配置されている状況の影響を可及的に受けることなく対象物10の把持を実現することができる。そのため、極めて効率的な対象物の把持や、把持後の対象物の移動が可能となる。また、回転把持前に対象物10を移動させて回転把持が行いやすい状況、すなわち対象物10の突出部位113が壁面X1に接触した状況を形成することで、より円滑な対象物10の把持が可能となる。また、回転把持前に対象物10を壁面X1まで移動させその後に対象物10を回転させる一連の流れにおいて、指部21Aの第1指リンク部211Aは、対象物10の接触可能部101である下方側面111に接触した状態が維持される。そのため、対象物10の移動から回転へと繋がる動作をより円滑に行うことが可能となる。
<変形例>
上記第4の実施例での回転把持では、対象物10を縦方向(高さ方向)に回転させて非露出部102を露出させることで対象物10を把持可能な状態としている。すなわち、対象物10の幅方向に延在する軸回りに対象物10を回転させて非露出部102を露出させることで対象物10を把持可能な状態としている。ただし、対象物10の回転方向は縦方向には限られない。例えば、対象物10を回転させて非露出部を露出させる限りにおいて、対象物10をその横方向に回転させてもよく、又は、その縦方向と横方向の間となる斜め方向への回転であってもよい。なお、ここでいう「横方向への回転」とは、対象物10の奥行き方向に延在する軸回りに対象物10を回転させる形態、又は対象物10の高さ方向に延在する軸回りに対象物10を回転させる形態を含む。
また、上記第4の実施例で示した把持前の対象物10の移動(位置調整部による対象物10の移動)については、上述までの第1~第3の実施例に適用することもできる。例えば、第2の実施例で示したように、対象物10と非対象物10’との間に間隙R1が存在する場合には、その間隙R1が解消するように対象物10を非対象物10’側に移動させた後に、第3の実施例で示したずらし把持を行ってもよい。当然に、対象物10を非対象物10’側に移動させた後に、第1及び第2の実施例で示した傾倒把持を行っても構わない。
図26に基づいて、第5の実施例に係る把持システムについて説明する。図26は、床面に配置された対象物10を側方から見た状態を表している。概略的には、図26(a)は、把持前の対象物10の状態を示し、図26(b)は、対象物10の一部を床面から浮かせた状態を示し、同図(c)は、対象物10を縦方向(上下方向)で挟んで把持した状態を示している。また、図26においては、ハンド機構2は、指部21A、指部21B、指部21Cの3本の指部を有している。これらの指部は、上記実施例と同様にそれぞれ同一の構成を有しているが、図3に示すようにハンド機構2を上方から見たときに、各指部21が、ハンド機構2の長手方向の軸を中心とした円周上に、等角度間隔(すなわち120deg間隔)に配置されている。なお、図26に示す対象物10は、前述の図25に示した対象物と同様に、その側方において外側に突出した突出部位113を有しており、その上方に上方側面114を有し、その下方に下方側面111を有している。また、図26に示す対象物10の長さ及び幅は、3本の指部21A~21Cのうちの2本の指部をハンド機構2の径方向外側へ最大限に開いた際の間隔よりも大きいものとする。つまり、対象物10の長さ及び幅は、ハンド機構2が把持可能な長さ及び幅よりも大きいものとする。このような場合、判定部434による判定では、対象物10の直接把持はできないと判断される。なお、当該判断は、対象物情報取得部430によって取得される対象物情報に基づいて行われる。
本実施例では、判定部434により対象物10の直接把持はできないと判断されると、直接把持とは異なる浮かし把持が行われる。当該浮かし把持は、対象物10の一部を床面から浮かせその姿勢を変化させることで、対象物10を把持可能な状態にした上で行われる把持の形態である。すなわち、浮かし把持は、上記傾倒把持や上記回転把持と同様に対象物10を直接把持できない場合に行われる把持の形態であって、対象物10の姿勢を変化させることで把持可能な状態を形成する。当該浮かし把持においても、接触可能部特定処理による接触可能部の特定と、非露出部特定処理による非露出部の特定が行われ、接触可能部と非露出部とを利用して、第1動作制御部436による第1動作と第2動作制御部437による第2動作が実行されることで浮かし把持が実現される。
本実施例における接触可能部特定処理では、対象物10の表面のうち、ハンド機構2の指部21が接触可能なように露出している表面であって、且つ対象物10の一部を床面から浮かせるために対象物10に力を作用させる動作を可能とする部位として、対象物10の下方側面111が接触可能部101として選出されることになる。
また、対象物10の一部を床面から浮かせると、対象物10の底面(床面に接触していた面)であって、浮かせる前では指部21の接触が可能であるようには露出していない底面112が、接触可能となるように露出することになる。そして、その露出した底面112に指部21を接触させるとともに、対象物10の上面115に他の指部21を接触させることで、対象物10の浮かし把持が可能となる。そこで、非露出部特定処理を経て、対象物10の底面112が非露出部102として選出されることになる。なお、このとき、非露出部と対となって対象物10の浮かし把持を可能とする露出部位、すなわち本発明の所定の表面に相当する部位は、対象物10の上面115である。
このように接触可能部101と非露出部102とが特定された後に、第1動作として、第1動作制御部436は、指部21A(第1指部)の第1指リンク部211Aを接触可能部101たる下方側面111に接触させながら対象物10における接触可能部101側の部位(図26中の右側の部位)を持ち上げていく。これにより、対象物10における接触可能部101と反対側の部位が床面に接触しつつ、該対象物10の接触可能部101側の部位が床面から浮かせられることで、非露出部102たる底面112が、後に指部21Bの第1指リンク部211Bが接触可能となるように露出された状態となる(図26(b))。
上記の浮かし動作によって対象物10の非露出部102たる底面112が露出されると、第2動作制御部437は、第2動作として、指部21B(第2指部)の第1指リンク部211Bを対象物10の底面112と床面との間に差し込んで、該第1指リンク部211Bを底面112に接触させる。そして、第2動作制御部437は、指部21A(第1指部)及び指部21B(第2指部)以外の指部である指部21C(第3指部)の第1指リンク部211Cを対象物10の上面115(所定の表面)に接触させ、対象物10の非露出部102たる底面112に接触している指部21Bの第1指リンク部211Bと、対象物10の所定の表面たる上面115に接触している指部21Cの第1指リンク部211Cとによって、対象物10を挟んで浮かし把持を行う(図26(c))。
このように本実施例によれば、対象物10の長さ及び幅がハンド機構2により把持可能な長さ及び幅よりも大きい場合においても、対象物10の配置されている状況の影響や対象物10の寸法の影響等を可及的に受けることなく、対象物10の把持を実現することができる。そのため、極めて効率的な対象物の把持や、把持後の対象物の安定した移動が可能となる。
<変形例1>
上記実施例5では、対象物10の長さ方向において下方側面111(接触可能部101)に近い部位を把持する例について述べたが、対象物10の長さ方向において下方側面111(接触可能部101)から離れた部位(すなわち、対象物10の長さ方向における中心に一層近い部位)を把持するようにしてもよい。図27は、対象物10の長さ方向における中心に近い部位を把持する場合における浮かし把持の実行手順を説明するための図である。図27(a)は、対象物10の一部を床面から浮かせた状態を示し、同図(b)は、非露出部102(底面112)が露出する姿勢で対象物10を支持している状態を示し、同図(c)は、対象物10を縦方向(上下方向)で挟んで把持した状態を示している。
本変形例において対象物10の接触可能部101と非露出部102とが特定された後の第1動作は、上記実施例5と同様に、指部21A(第1指部)の第1指リンク部211Aを接触可能部101たる下方側面111に接触させながら対象物10における接触可能部101側の部位(図26中の右側の部位)を持ち上げていく動作である。これにより、対象物10における接触可能部101と反対側の部位が床面に接触しつつ、該対象物10の接触可能部101側の部位が床面から浮かせられることで、非露出部102たる底面112が、後に指部21Bの第1指リンク部211Bが接触可能となるように露出された状態となる(図27(a))。
上記の浮かし動作によって対象物10の非露出部102たる底面112が露出されると、第2動作制御部437は、第2動作として、先ず、指部21B(第2指部)の第1指リンク部211Bを対象物10の底面112と床面との間に差し込んで、該第1指リンク部211Bを底面112に接触させることで、該底面112が露出する姿勢で対象物10を支持する。続いて、第2動作制御部437は、対象物10の浮かし動作を行っていた指部21A(第1指部)の第1指リンク部211Aを対象物10の底面112と床面との間に形成された空間に滑り込ませて、該第1指リンク部211Aを対象物10の底面112に接触させる。その際、指部21A(第1指部)の第1指リンク部211Aと対象物10の底面112との接触位置が、指部21B(第2指部)の第1指リンク部211Bと対象物10の底面112との接触位置より奥まった位置(図27中の左側の位置であって、対象物10の長さ方向における中心に一層近い位置)となるように、ハンド機構2が制御されるものとする。そして、第2動作制御部437は、指部21A(第1指部)及び指部21B(第2指部)以外の指部である指部21C(第3指部)の第1指リンク部211Cを対象物10の上面115(所定の表面)に接触させて、対象物10の非露出部102たる底面112に接触している指部21A~21Bの第1指リンク部211A~211Bと、対象物10の所定の表面たる上面115に接触している指部21Cの第1指リンク部211Cとによって、対象物10を挟んで浮かし把持を行う(図27(c))。
このように本変形例によれば、対象物10の長さ方向における中心に一層近い部位に指部21Aを接触させつつ該対象物10を把持することができるため、対象物10の重量が比較的大きい場合や対象物10の長さが比較的長い場合等であっても、対象物10をより確実に把持することが可能になるとともに、把持後の対象物の姿勢を一層安定させることが可能となる。その結果、極めて効率的な対象物の把持や、把持後の対象物の安定した移動が可能となる。
<変形例2>
上記実施例5及び上記変形例1では、3本の指部21を有するハンド機構2によって対象物10を浮かし把持する例について述べたが、4本の指部21を有するハンド機構2によって対象物10を浮かし把持することも可能である。図28は、4本の指部21A~21Dを有するハンド機構2による対象物10の浮かし把持を説明するための図である。図28(a)は、対象物10の一部を床面から浮かせた状態を示し、同図(b)は、非露出部102(底面112)が露出する姿勢で対象物10を支持している状態を示し、同図(c)は、対象物10を縦方向(上下方向)で挟んで把持した状態を示している。また、図28に示すハンド機構2においては、4本の指部21A~21Dは、上記実施例と同様にそれぞれ同一の構成を有しているが、図3に示すようにハンド機構2を上方から見たときに、各指部21が、ハンド機構2の長手方向の軸を中心とした円周上に、等角度間隔(すなわち90deg間隔)に配置されているものとする。
本変形例において対象物10の接触可能部101と非露出部102とが特定された後の第1動作は、上記実施例5及び上記変形例1と同様に、指部21A(第1指部)の第1指リンク部211Aを接触可能部101たる下方側面111に接触させながら対象物10の接触可能部101側の部位(図28中の右側の部位)を持ち上げていく動作である。これにより、対象物10における接触可能部101と反対側の部位が床面に接触しつつ、該対象物10の接触可能部101側の部位が床面から浮かせられることで、非露出部102たる底面112が、後に指部21B(第2指部)の第1指リンク部211Bが接触可能となるように露出された状態となる(図28(a))。このような浮かし動作によって対象物10の非露出部102たる底面112が露出されると、第2動作制御部437は、第2動作として、先ず、上記実施例5及び上記変形例1と同様に、指部21B(第2指部)の第1指リンク部211Bを対象物10の底面112と床面との間に差し込んで、該第1指リンク部211Bを底面112に接触させる(図28(b))。続いて、第2動作制御部437は、指部21A(第1指部)の第1指リンク部211Aと下方側面111との接触状態、及び指部21B(第2指部)の第1指リンク部211Bと底面112との接触状態を維持しつつ、指部21A(第1指部)及び指部21B(第2指部)以外の指部の1つである指部21D(第4指部)の第1指リンク部211Dを対象物10の底面112と床面との間に形成された空間に滑り込ませて、該第1指リンク部211Dを対象物10の底面112に接触させる。その際、指部21D(第4指部)の第1指リンク部211Dと対象物10の底面112との接触位置が、指部21B(第2指部)の第1指リンク部211Bと対象物10の底面112との接触位置より奥まった位置(図28中の左側の位置であって、対象物10の長さ方向における中心に一層近い位置)となるように、ハンド機構2が制御されるものとする。そして、第2動作制御部437は、指部21A(第1指部)及び指部21B(第2指部)以外の指部である指部21C(第3指部)の第1指リンク部211Cを対象物10の上面115(所定の表面)に接触させ、対象物10の非露出部102たる底面112に接触している指部21B、21Dの第1指リンク部211B、211Dと、対象物10の所定の表面たる上面115に接触している指部21Cの第1指リンク部211Cとによって、対象物10を挟んで浮かし把持を行う(図28(c))。なお、その際、指部21A(第1指部)の第1指リンク部211Aを、下方側面111から底面112又は上面115に移動させることで、4本の指部によって対象物10を挟む形態の把持を行ってもよい。
このように本変形例によれば、上記変形例1と同様に、対象物10の長さ方向における中心に一層近い部位に指部21Dを接触させつつ該対象物10を把持することができるため、対象物10の重量が比較的大きい場合や対象物10の長さが比較的長い場合等であっても、対象物10をより確実に把持することが可能になるとともに、把持後の対象物の姿勢を一層安定させることが可能となる。その結果、極めて効率的な対象物の把持や、把持後の対象物の安定した移動が可能となる。
図29に基づいて、第6の実施例に係る把持システムについて説明する。図29は、床面に配置された対象物10を側方から見た状態を表している。概略的には、図29(a)は、把持前の対象物10の状態を示し、図29(b)は、対象物10を横方向(図29(b)中の左右方向)で挟んで把持した状態を示している。また、図29においては、ハンド機構2は、少なくとも指部21A及び指部21Bの2本の指部を有している。これらの指部は、前述の実施例と同様にそれぞれ同一の構成を有しているが、図3に示すようにハンド機構2を上方から見たときに、各指部21が、ハンド機構2の長手方向の軸を中心とした円周上に、等角度間隔(すなわち180deg間隔)に配置されている。なお、図29に示す対象物10は、その側方において外側に突出した鍔部115を有しており、その上方に上方側面114を有し、その下方に下方側面111を有している。そして、把持が行われる前の状態においては、対象物10は床面X0上に置かれ、且つ、対象物10の背面側の鍔部115が壁面X1と接触、又は鍔部115と壁面X1との間に指部21が進入できない程度に小さい間隙が形成されている。なお、対象物10の背面側の鍔部115と壁面X1とが接触又は接近した状態にあっても、対象物10の背面側に位置する上方側面114と壁面X1との間に間隙が形成されるため、背面側の上方側面114と前面側の上方側面114とをハンド機構2の2本の指部21A~21Bによって横方向で挟んで挟持することが考えられるが、上方側面114の高さ方向における寸法は、該上方側面114を横方向で挟んでも安定した把持が困難となる程度に小さいものとする。また、対象物10の側方(図の前後側)には図示しない障害物が存在するため、その方向から対象物10をハンド機構2の2本の指部21A~21Bによって横方向に挟んで把持することもできないものとする。このような場合、判定部434による判定では、対象物10の直接把持はできないと判断される。なお、当該判断は、対象物情報取得部430によって取得される対象物情報に基づいて行われる。
本実施例では、判定部434により対象物10の直接把持はできないと判断されると、直接把持とは異なる水平ずらし把持が行われる。当該水平ずらし把持は、対象物10の鍔部115が壁面X1から離間する方向へ向けて、対象物を床面X0と平行にずらして(図29(a)中白抜き矢印の方向へ水平移動させて)、その位置を変化させることで、対象物10の背面側に位置する鍔部115と対象物10の前面側に位置する鍔部115とをハンド機構2の2本の指部21A~21Bによって横方向に把持可能な状態にした上で行われる把持の形態である。すなわち、水平ずらし把持は、上記傾倒把持や上記回転把持と同様に対象物10を直接把持できない場合に行われる把持の形態であって、対象物10の位置を変化させることで把持可能な状態を形成する。当該水平ずらし把持においても、接触可能部特定処理による接触可能部の特定と、非露出部特定処理による非露出部の特定が行われ、接触可能部と非露出部とを利用して、第1動作制御部436による第1動作と第2動作制御部437による第2動作が実行されることで水平ずらし把持が実現される。
本実施例における接触可能部特定処理では、対象物10の表面のうち、ハンド機構2の指部21が接触可能なように露出している表面であって、且つ対象物10の背面側に位置する鍔部115を壁面X1から離間させる方向へ向けて対象物10を床面X0と平行にずらすために該対象物10に力を作用させる動作を可能とする部位として、対象物10の背面側に位置する上方側面114が接触可能部101として選出されることになる。
また、対象物10の背面側に位置する鍔部115を壁面X1から離間させる方向へ向かって対象物10を床面X0と平行にずらすと、対象物10の背面側に位置する表面であって、水平方向にずらす前では指部21の接触が可能であるようには露出していない鍔部115が、ハンド機構2の指部21により接触可能となるように露出することになる。そして、その露出した鍔部115に指部21を接触させるとともに、対象物10の前面側に位置する鍔部115に他の指部21を接触させることで、対象物10の横方向での把持が可能となる。そこで、非露出部特定処理を経て、対象物10の背面側に位置する鍔部115が非露出部102として選出されることになる。なお、このとき、非露出部と対となって対象物10の横方向での把持を可能とする露出部位、すなわち本発明の所定の表面に相当する部位は、対象物10の前面側に位置する鍔部115である。
このように接触可能部101と非露出部102とが特定された後に、第1動作として、第1動作制御部436は、指部21A(第1指部)の第1指リンク部211Aを接触可能部101(対象物10の背面側に位置する上方側面114)に接触させながら対象物10を図26(a)中の白抜き矢印が示す方向(右方向)にずらしていく。これにより、対象物10の背面側に位置する鍔部115と壁面X1との間に、指部21を進入可能な程度の
間隙が形成されることで、非露出部102(対象物10の背面側に位置する鍔部115)が、後に指部21Aの第1指リンク部211Aが接触可能となるように露出された状態となる(図29(b))。
上記の水平ずらし動作によって対象物10の非露出部102が露出されると、第2動作制御部437は、第2動作として、指部21A(第1指部)の第1指リンク部211Aを対象物10の背面側に位置する鍔部115と壁面X1との間に差し込んで該第1指リンク部211Aを対象物10の背面側に位置する鍔部115に接触させるとともに、指部21B(第2指部)の第1指リンク部211Bを対象物10の前面側に位置する鍔部115に接触させることで、対象物10の非露出部102たる背面側の鍔部115に接触している第1指リンク部211Aと対象物10の所定の表面たる前面側の鍔部115に接触している第1指リンク部211Bとによって、対象物10を横方向で挟んで把持する(図29(b))。
このように本実施例によれば、対象物10の配置されている状況の影響や対象物10の形状の影響を可及的に受けることなく、対象物10の把持を実現することができる。そのため、極めて効率的な対象物の把持や、把持後の対象物の移動が可能となる。
<変形例>
上記把持システムに含まれるハンド機構2の変形例1について、図30~図32に基づいて説明する。上記第6の実施例では、対象物10の側面に鍔部115が形成される対象物10であって、該対象物10の背面側に位置する鍔部115が壁面X1に接触している状態の対象物10を、水平ずらし把持する例について述べたが、図30に示すように、直方体形状の物体が横方向に複数連なって置かれており、その両側に他の物体(非対象物10’)が配置されている物体(対象物10)が把持の対象となる場合においても、水平ずらし把持を適用することができる。すなわち、対象物10の接触可能部101たる上面に指部21Aの第1指リンク部211Aを接触させながら該対象物10を手間側(図30中の白抜き矢印の方向)へ向かって水平にずらすことで、非露出部102たる背面を露出させて、該背面と前面とをハンド機構2の2本の指部21A~21Bによって横方向で挟んで挟持することも可能である。また、図30に示す対象物10の両側面が非露出部102として選出された場合は、対象物10の接触可能部101たる上面に指部21Aの第1指リンク部211Aを接触させながら該対象物10を手間側(図30中の白抜き矢印の方向)へ向かって水平にずらすことで、非露出部102たる両側面を露出させて、それら両側面をハンド機構2の2本の指部21A~21Bによって横方向で挟んで挟持することも可能である。
なお、指部21Aの第1指リンク部211Aを対象物10の接触可能部101たる上面に接触させながら該対象物10を水平方向にずらす際に、図31に示すように、指部21A以外の指部21Bの第1指リンク部211Bを、対象物10のずらし方向側に位置する面である前面103に接触させるようにしてもよい。斯様な形態で対象物10の水平方向へのずらしが行われると、床面X0に多少の凹凸が存在する場合等においても、対象物10が前面側に倒れ込むことを抑制しつつ、対象物10を水平方向へずらすことが可能となる。その結果、対象物10を水平方向にずらす際における該対象物10の姿勢変化を抑制することができる。なお、対象物10の前面側への倒れ混みをより確実に抑制するという観点にたつと、対象物10の前面103において指部21Bの第1指リンク部211Bを接触させる位置は、対象物10の高さ方向において底面よりも上面に近い位置に設定されればよい。
また、底面の面積が比較的大きい対象物10の水平ずらしを行う場合には、図32に示すように、対象物10の底面におけるずらし方向側の部位を床面X0から浮かせた状態で該対象物10を水平方向にずらすようにしてもよい。詳細には、先ず、図32(a)に示すように、指部21Aの第1指リンク部211Aで対象物10の上面における背面寄りの部位を図32(a)中の白抜き矢印A1が示す方向(斜め左下)に押し込みつつ、指部21Bの第1指リンク部211Bで対象物10の前面103における上面寄りの部位を図32(a)中の白抜き矢印A2が示す方向(斜め左上)へ押し上げることで、対象物10を背面側へ傾倒させる。これにより、対象物10の底面におけるずらし方向側の部位(前面103寄りの部位)を床面X0から浮かせることができる。次いで、図32(b)に示すように、指部21Bの第1指リンク部211Bが対象物10の前面における上面寄りの部位を押す方向を斜め左上の方向に維持しつつ、指部21Aの第1指リンク部211Aが対象物10の上面における背面寄りの部位を押す方向を図32(b)中の白抜き矢印A3が示す方向(下方向)に変更して、ハンド機構2を水平方向(図32(b)中の白抜き矢印A4が示す方向)へ移動させることで、対象物10の底面におけるずらし方向側の部位が床面X0から浮いた姿勢を保ちつつ、該対象物10を水平方向へずらすようにしてもよい。斯様な形態で対象物10の水平方向へのずらしが行われると、対象物10の底面のうち床面X0と接触する部分の面積が減少するため、底面の面積が比較的多い対象物10を水平方向にずらす場合においても、対象物10と床面X0との間の摩擦力を小さくすることができる。
なお、前述した各実施例及び変形例では、本発明に係る接触可能部又は非露出部として、多面体形状を有する対象物の何れか1つの面が選出される例について述べたが、接触可能部又は非露出部は対象物が有する面に限られない。例えば、接触可能部は、対象物の姿勢や位置を変化し得る部位であれば、対象物が有する角部や縁部であってもよい。また、非露出部は、対象物の姿勢や位置を変化させることで露出状態となる部位であって、該部位と所定の表面とにハンド機構の指部を接触させることで対象物の把持が可能となる部位であれば、対象物が有する角部や縁部であってもよい。
1・・・ロボットアーム、2・・・ハンド機構、20・・・ベース部、21・・・指部、22・・・第1関節部、23・・・第2関節部、211・・・第1指リンク部、212・・・第2指リンク部、213・・・基端部、3・・・アーム機構、30a・・・第1関節部、30b・・・第2関節部、30c・・・第3関節部、30d・・・第4関節部、30e・・・第5関節部、30f・・・第6関節部、31・・・第1アームリンク部、32・・・第2アームリンク部、33・・・第3アームリンク部、34・・・第4アームリンク部、35・・・第5アームリンク部、36・・・接続部材、4・・・台座部、42・・・アーム制御装置、43・・・ハンド制御装置、51・・・第1モータ、52・・・第2モータ、53・・・第3モータ、61、62・・・傘歯車、63・・・ウォームホイール、64・・・ウォーム、65、66・・・歯車、70・・・感圧センサ、10・・・対象物、10’・・・非対象物、101・・・接触可能部、102・・・非露出部

Claims (10)

  1. 少なくとも3本の指部を有するハンド機構によって対象物を把持するための把持システムであって、
    前記対象物の形状、前記対象物の寸法、前記対象物の位置、及び、前記対象物の周囲の環境情報を含む対象物情報を取得する対象物情報取得部と、
    前記対象物情報に基づいて、前記対象物を把持するときに前記ハンド機構の前記指部を接触させるための所定の把持部が露出しているかを判定する判定部と、
    前記判定部により前記所定の把持部が露出していないと判定されたときに、前記対象物情報に基づいて、少なくとも1本の前記指部である第1指部で接触可能な前記対象物における接触可能部と、該判定部による判定時に該第1指部又は該第1指部とは異なる第2指部が接触可能であるように露出していない非露出部と、を特定する特定部と、
    前記第1指部で前記接触可能部に接触しながら前記対象物の位置又は姿勢を変化させて、前記第1指部又は前記第2指部が該対象物の前記非露出部に接触可能となるように該非露出部を露出させる第1動作制御部と、
    前記第1動作制御部により前記非露出部が露出された状態において、前記第1指部又は前記第2指部を該非露出部に接触させるとともに、該非露出部に接触させている前記指部以外の指部を該非露出部以外の前記対象物の所定の表面に接触させることで、前記対象物を把持する第2動作制御部と、
    を備え、
    前記対象物情報取得部により取得された前記対象物情報が、直方体形状の対象物が前面及び上面のみを露出する状態で床面に置かれていることを示している場合に、
    前記判定部は、前記所定の把持部が露出していないと判定し、
    前記特定部は、前記対象物の露出面である前記前面と前記上面とのうち、前記第1指部を接触させながら前記対象物を傾倒させることができる露出面である前記上面を、前記接触可能部として特定するとともに、前記対象物の非露出面である背面と2つの側面とのうち、前記第1指部を前記接触可能部としての前記上面に接触させながら前記対象物を傾倒させることにより露出状態となる前記背面を、前記非露出部として特定し、
    前記第1動作制御部は、前記第1指部を前記接触可能部としての前記上面に接触させながら前記対象物の底面の一部が床面に接触したまま該対象物を前記前面の方向に傾倒させ
    て、前記非露出部としての前記背面を露出させ、
    前記第2動作制御部は、前記第2指部を前記非露出部としての前記背面に接触させ、且つ、前記第1指部及び前記第2指部とは異なる第3指部を前記所定の表面としての前記前面に接触させて、前記対象物を把持する、
    把持システム。
  2. 前記第1動作制御部は、前記第1指部を前記接触可能部としての前記上面に接触させ、且つ、前記第3指部を前記対象物の露出面である前記前面に接触させながら、前記対象物の底面の一部が床面に接触したまま該対象物を前記前面の方向に傾倒させて、前記非露出部としての前記背面を露出させる、
    請求項1に記載の把持システム。
  3. 少なくとも2本の指部を有するハンド機構によって対象物を把持するための把持システムであって、
    前記対象物の形状、前記対象物の寸法、前記対象物の位置、及び、前記対象物の周囲の環境情報を含む対象物情報を取得する対象物情報取得部と、
    前記対象物情報に基づいて、前記対象物を把持するときに前記ハンド機構の前記指部を接触させるための所定の把持部が露出しているかを判定する判定部と、
    前記判定部により前記所定の把持部が露出していないと判定されたときに、前記対象物情報に基づいて、少なくとも1本の前記指部である第1指部で接触可能な前記対象物における接触可能部と、該判定部による判定時に該第1指部又は該第1指部とは異なる第2指部が接触可能であるように露出していない非露出部と、を特定する特定部と、
    前記第1指部で前記接触可能部に接触しながら前記対象物の位置又は姿勢を変化させて、前記第1指部又は前記第2指部が該対象物の前記非露出部に接触可能となるように該非露出部を露出させる第1動作制御部と、
    前記第1動作制御部により前記非露出部が露出された状態において、前記第1指部又は前記第2指部を該非露出部に接触させるとともに、該非露出部に接触させている前記指部以外の指部を該非露出部以外の前記対象物の所定の表面に接触させることで、前記対象物を把持する第2動作制御部と、
    を備え、
    前記判定部により前記所定の把持部が露出していないと判定されたときに、前記第1指部で前記接触可能部を押して前記対象物を該対象物から離れて位置する他の物体に向かって移動させ、該対象物を該他の物体に接触させる位置調整部を更に備え、
    前記第1動作制御部は、前記位置調整部によって前記対象物が前記他の物体に接触させられた後に、該対象物を該他の物体に押し付けながら該対象物の位置又は姿勢を変更させて前記非露出部を露出させる、
    持システム。
  4. 前記第1動作制御部は、前記位置調整部により前記第1指部が前記接触可能部に接触した状態を維持したまま、前記対象物の位置又は姿勢の変更を行う、
    請求項3に記載の把持システム。
  5. 前記非露出部に接触させている前記指部以外の指部は、前記第1指部であって、
    前記第1動作制御部は、前記第1指部を前記接触可能部に接触させながら、前記対象物を、該対象物とは異なる他の物体に押し付けながらずらすことで、該他の物体に接触している該対象物の所定の背面を前記非露出部として露出させ、
    前記所定の表面は、前記接触可能部であって、
    前記第2動作制御部は、前記第1指部によって前記所定の表面で且つ前記第2指部によって前記非露出部で前記対象物を把持する、
    請求項4に記載の把持システム。
  6. 前記非露出部に接触させている前記指部以外の指部は、前記第1指部及び該第2指部とは異なる第3指部であって、
    前記第1動作制御部は、前記第1指部を前記接触可能部に接触させて前記対象物が接触している該対象物以外の他の物体との接触面の一部が、該他の物体に接触したまま、該対象物を所定の回転方向に回転させて、前記非露出部を露出させ、
    前記第2動作制御部は、前記第2指部によって前記非露出部で且つ前記第3指部によって前記所定の表面で前記対象物を把持する、
    請求項4に記載の把持システム。
  7. 前記所定の回転方向は、前記対象物を縦方向に回転させる方向、又は、該対象物を横方向に回転させる方向である、
    請求項6に記載の把持システム。
  8. 少なくとも3本の指部を有するハンド機構によって対象物を把持するための把持システムであって、
    前記対象物の形状、前記対象物の寸法、前記対象物の位置、及び、前記対象物の周囲の環境情報を含む対象物情報を取得する対象物情報取得部と、
    前記対象物情報に基づいて、前記対象物を把持するときに前記ハンド機構の前記指部を接触させるための所定の把持部が露出しているかを判定する判定部と、
    前記判定部により前記所定の把持部が露出していないと判定されたときに、前記対象物情報に基づいて、少なくとも1本の前記指部である第1指部で接触可能な前記対象物における接触可能部と、該判定部による判定時に該第1指部又は該第1指部とは異なる第2指部が接触可能であるように露出していない非露出部と、を特定する特定部と、
    前記第1指部で前記接触可能部に接触しながら前記対象物の位置又は姿勢を変化させて、前記第1指部又は前記第2指部が該対象物の前記非露出部に接触可能となるように該非露出部を露出させる第1動作制御部と、
    前記第1動作制御部により前記非露出部が露出された状態において、前記第1指部又は前記第2指部を該非露出部に接触させるとともに、該非露出部に接触させている前記指部以外の指部を該非露出部以外の前記対象物の所定の表面に接触させることで、前記対象物を把持する第2動作制御部と、
    を備え、
    前記非露出部に接触させている前記指部以外の指部は、前記第1指部及び該第2指部とは異なる第3指部であって、
    前記第1動作制御部は、前記第1指部を前記接触可能部に接触させながら前記対象物における前記接触可能部側の部位を持ち上げることで、床面に接触している該対象物の底面を前記非露出部として露出させ、
    前記第2動作制御部は、前記第2指部によって前記底面で且つ前記第3指部によって前記所定の表面で前記対象物を把持する、
    持システム。
  9. 少なくとも3本の指部を有するハンド機構によって対象物を把持するための把持システムであって、
    前記対象物の形状、前記対象物の寸法、前記対象物の位置、及び、前記対象物の周囲の環境情報を含む対象物情報を取得する対象物情報取得部と、
    前記対象物情報に基づいて、前記対象物を把持するときに前記ハンド機構の前記指部を接触させるための所定の把持部が露出しているかを判定する判定部と、
    前記判定部により前記所定の把持部が露出していないと判定されたときに、前記対象物情報に基づいて、少なくとも1本の前記指部である第1指部で接触可能な前記対象物における接触可能部と、該判定部による判定時に該第1指部又は該第1指部とは異なる第2指
    部が接触可能であるように露出していない非露出部と、を特定する特定部と、
    前記第1指部で前記接触可能部に接触しながら前記対象物の位置又は姿勢を変化させて、前記第1指部又は前記第2指部が該対象物の前記非露出部に接触可能となるように該非露出部を露出させる第1動作制御部と、
    前記第1動作制御部により前記非露出部が露出された状態において、前記第1指部又は前記第2指部を該非露出部に接触させるとともに、該非露出部に接触させている前記指部以外の指部を該非露出部以外の前記対象物の所定の表面に接触させることで、前記対象物を把持する第2動作制御部と、
    を備え、
    前記非露出部に接触させている前記指部以外の指部は、前記第1指部及び該第2指部とは異なる第3指部であって、
    前記第1動作制御部は、前記第1指部を前記接触可能部に接触させながら前記対象物における前記接触可能部側の部位を持ち上げることで、床面に接触している該対象物の底面を前記非露出部として露出させ、
    前記第2動作制御部は、前記第2指部を前記対象物の底面に接触させることで該対象物の底面が露出した状態を維持しつつ、前記第1指部を前記対象物の底面における前記第2指部の接触位置より奥へ差し込んで、該第1指部と前記第2指部とによって前記底面で且つ前記第3指部によって前記所定の表面で前記対象物を把持する、
    持システム。
  10. 少なくとも4本の指部を有するハンド機構によって対象物を把持するための把持システムであって、
    前記対象物の形状、前記対象物の寸法、前記対象物の位置、及び、前記対象物の周囲の環境情報を含む対象物情報を取得する対象物情報取得部と、
    前記対象物情報に基づいて、前記対象物を把持するときに前記ハンド機構の前記指部を接触させるための所定の把持部が露出しているかを判定する判定部と、
    前記判定部により前記所定の把持部が露出していないと判定されたときに、前記対象物情報に基づいて、少なくとも1本の前記指部である第1指部で接触可能な前記対象物における接触可能部と、該判定部による判定時に該第1指部又は該第1指部とは異なる第2指部が接触可能であるように露出していない非露出部と、を特定する特定部と、
    前記第1指部で前記接触可能部に接触しながら前記対象物の位置又は姿勢を変化させて、前記第1指部又は前記第2指部が該対象物の前記非露出部に接触可能となるように該非露出部を露出させる第1動作制御部と、
    前記第1動作制御部により前記非露出部が露出された状態において、前記第1指部又は前記第2指部を該非露出部に接触させるとともに、該非露出部に接触させている前記指部以外の指部を該非露出部以外の前記対象物の所定の表面に接触させることで、前記対象物を把持する第2動作制御部と、
    を備え、
    前記非露出部に接触させている前記指部以外の指部は、前記第1指部及び該第2指部とは異なる第3指部及び第4指部であって、
    前記第1動作制御部は、前記第1指部を前記接触可能部に接触させながら前記対象物の前記接触可能部側の部位を持ち上げることで、床面に接触している該対象物の底面を前記非露出部として露出させ、
    前記第2動作制御部は、前記第2指部を前記対象物の底面に接触させることで該対象物の底面が露出した状態を維持しつつ、前記第4指部を前記対象物の底面における前記第2指部の接触位置より奥へ差し込んで、該第4指部と前記第2指部とによって前記底面で且つ前記第3指部によって前記所定の表面で前記対象物を把持する、
    持システム。
JP2019518816A 2017-05-15 2018-05-15 把持システム Active JP7116052B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017096831 2017-05-15
JP2017096831 2017-05-15
JP2017179397 2017-09-19
JP2017179397 2017-09-19
PCT/JP2018/018818 WO2018212203A1 (ja) 2017-05-15 2018-05-15 把持システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2018212203A1 JPWO2018212203A1 (ja) 2020-03-12
JP7116052B2 true JP7116052B2 (ja) 2022-08-09

Family

ID=64274449

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019518816A Active JP7116052B2 (ja) 2017-05-15 2018-05-15 把持システム

Country Status (6)

Country Link
US (1) US11298818B2 (ja)
JP (1) JP7116052B2 (ja)
KR (1) KR102352559B1 (ja)
CN (1) CN110636924B (ja)
DE (1) DE112018002496T5 (ja)
WO (1) WO2018212203A1 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7097799B2 (ja) * 2018-11-21 2022-07-08 Thk株式会社 画像情報処理装置、把持システム、および画像情報処理方法
US11628561B2 (en) * 2019-08-19 2023-04-18 The Hong Kong University Of Science And Technology System and methods for robotic precision placement and insertion
JP7282703B2 (ja) 2020-02-10 2023-05-29 株式会社東芝 ロボットシステムおよびプログラム
JP7364505B2 (ja) 2020-03-18 2023-10-18 株式会社東芝 ハンドリング装置、制御装置、およびプログラム
US11846806B2 (en) * 2020-09-09 2023-12-19 Ciena Corporation Stress compensating pick-up tool
US20230294283A1 (en) * 2022-03-18 2023-09-21 Mitsubishi Electric Research Laboratories, Inc. System and Method for Robust Pivoting for Re-Orienting Parts during Robotic Assembly

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001179669A (ja) 1999-12-21 2001-07-03 Meidensha Corp ロボットの制御装置
JP2008149444A (ja) 2006-08-28 2008-07-03 Yaskawa Electric Corp ロボットおよび制御方法
JP2009125879A (ja) 2007-11-26 2009-06-11 Fanuc Ltd 組立用ロボットシステム
JP2011115930A (ja) 2009-10-26 2011-06-16 Yaskawa Electric Corp ロボット装置及びワーク取り出しシステム並びにワーク取り出し方法
JP2013126706A (ja) 2011-12-19 2013-06-27 Fanuc Ltd 物品の姿勢を修正する機能を備えた取出し装置
JP2014138964A (ja) 2013-01-21 2014-07-31 Toyota Motor Corp ロボットハンドの制御装置及び制御方法

Family Cites Families (23)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS52137060A (en) 1976-05-08 1977-11-16 Toray Industries Winding process of continious supply thread bunch
JPH06143170A (ja) * 1992-10-29 1994-05-24 Sanyo Electric Co Ltd 自律運搬装置
JPH09323281A (ja) 1996-05-31 1997-12-16 Shinko Electric Co Ltd 書籍取出し用のロボットハンド
ITMO20020050A1 (it) * 2002-02-28 2003-08-28 Ferrari & Cigarini Srl Dispositivo per la depalletizzazione di pacchi di piastrelle
JP4890199B2 (ja) * 2006-11-09 2012-03-07 本田技研工業株式会社 ロボットハンドおよびロボット
JP5010382B2 (ja) * 2007-07-27 2012-08-29 株式会社東芝 マニピュレータおよびロボット
JP5187552B2 (ja) * 2007-09-13 2013-04-24 ソニー株式会社 制御装置および方法、プログラム並びに記録媒体
US8346393B2 (en) * 2008-12-18 2013-01-01 Samsung Electronics Co., Ltd. Control apparatus of multi-finger hand and grasping method using the same
JP2013046937A (ja) * 2011-08-29 2013-03-07 Dainippon Screen Mfg Co Ltd 対象物把持装置および対象物把持方法および対象物把持プログラム
US9120233B2 (en) * 2012-05-31 2015-09-01 Toyota Motor Engineering & Manufacturing North America, Inc. Non-contact optical distance and tactile sensing system and method
DE102012012988A1 (de) * 2012-06-29 2014-04-17 Liebherr-Verzahntechnik Gmbh Vorrichtung zur automatisierten Handhabung von Werkstücken
DE102012013030A1 (de) * 2012-06-29 2014-04-24 Liebherr-Verzahntechnik Gmbh Vorrichtung zum automatischen Entnehmen von in einem Behälter angeordneten Werkstücken
DE102012013022A1 (de) * 2012-06-29 2014-04-24 Liebherr-Verzahntechnik Gmbh Vorrichtung zur automatisierten Handhabung von Werkstücken
CN107756425B (zh) 2012-11-09 2021-08-31 艾罗伯特公司 顺从欠促动抓紧器
JP5525587B2 (ja) 2012-11-15 2014-06-18 財團法人精密機械研究發展中心 エンドエフェクタ
MX2016002465A (es) * 2013-08-28 2016-05-31 Intelligrated Headquarters Llc Descargador robotizado de cajas de carton.
JP5788460B2 (ja) * 2013-11-05 2015-09-30 ファナック株式会社 バラ積みされた物品をロボットで取出す装置及び方法
KR102184066B1 (ko) * 2013-12-09 2020-11-27 티에치케이 가부시끼가이샤 핸드 기구
CN105267007B (zh) * 2014-05-29 2019-03-08 精工爱普生株式会社 驱动装置以及其驱动方法
JP2015226968A (ja) * 2014-06-02 2015-12-17 セイコーエプソン株式会社 ロボット、ロボットシステム、制御装置、及び制御方法
US9687982B1 (en) * 2015-05-27 2017-06-27 X Development Llc Adapting programming of a robot and/or control of the robot based on one or more parameters of an end effector of the robot
WO2017072414A1 (en) * 2015-10-30 2017-05-04 Thermo Fisher Scientific Oy Gripper finger and gripper
US9914214B1 (en) * 2016-02-22 2018-03-13 X Development Llc Preshaping for underactuated fingers

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001179669A (ja) 1999-12-21 2001-07-03 Meidensha Corp ロボットの制御装置
JP2008149444A (ja) 2006-08-28 2008-07-03 Yaskawa Electric Corp ロボットおよび制御方法
JP2009125879A (ja) 2007-11-26 2009-06-11 Fanuc Ltd 組立用ロボットシステム
JP2011115930A (ja) 2009-10-26 2011-06-16 Yaskawa Electric Corp ロボット装置及びワーク取り出しシステム並びにワーク取り出し方法
JP2013126706A (ja) 2011-12-19 2013-06-27 Fanuc Ltd 物品の姿勢を修正する機能を備えた取出し装置
JP2014138964A (ja) 2013-01-21 2014-07-31 Toyota Motor Corp ロボットハンドの制御装置及び制御方法

Also Published As

Publication number Publication date
KR20200007005A (ko) 2020-01-21
DE112018002496T5 (de) 2020-02-27
CN110636924A (zh) 2019-12-31
CN110636924B (zh) 2022-11-11
US20200114508A1 (en) 2020-04-16
WO2018212203A1 (ja) 2018-11-22
US11298818B2 (en) 2022-04-12
KR102352559B1 (ko) 2022-01-19
JPWO2018212203A1 (ja) 2020-03-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7116052B2 (ja) 把持システム
JP5505138B2 (ja) ロボット装置およびロボット装置による把持方法
JP2018161692A (ja) 情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
JP7149277B2 (ja) ハンド機構および把持システム
JP2015182142A (ja) ロボット、ロボットシステム及び教示方法
JP2018192612A (ja) ハンド機構、把持システム、および把持プログラム
JP2019136834A (ja) 接続装置及び接続方法
JP7097799B2 (ja) 画像情報処理装置、把持システム、および画像情報処理方法
KR102195817B1 (ko) 기판 반송 장치
US20150343645A1 (en) Conveying apparatus
JP6757646B2 (ja) 基板把持ハンド及びそれを備える基板搬送装置
JP2006114001A (ja) 入出力デバイス及び奥行き感知システム
JP6881268B2 (ja) 把持装置、把持判定方法および把持判定プログラム
JP2019042853A (ja) 画像情報処理装置、把持システム、および画像情報処理方法
WO2018101169A1 (ja) 部品実装装置及びその制御方法
JP7149267B2 (ja) 把持システム
WO2018212194A1 (ja) 把持システム
JP2016203266A (ja) ロボットハンド
JP7014497B2 (ja) 把持システム
JP6314431B2 (ja) ロボットシステム、制御装置、ロボット、及び駆動方法
JP7178994B2 (ja) 把持システム
JP7069512B2 (ja) 把持システムおよびその制御方法
JPWO2019102913A1 (ja) 把持システム
JP7395990B2 (ja) 教示装置、制御方法および教示プログラム
JP5464252B2 (ja) タッチパネル式入力装置及びタッチパネル式入力装置の画面表示方法

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191113

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200826

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210518

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220105

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220304

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220719

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220728

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7116052

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150