JP7069512B2 - 把持システムおよびその制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複数の指部により対象物を把持するハンド機構を備えた把持システムおよびその制御方法に関する。
従来、ロボットアーム等に取り付けられ、複数の指部によって対象物を把持するハンド機構が開発されている。例えば、特許文献1には、複数の指部を有するハンド機構(多指ハンド部)と、該ハンド機構が先端に取り付けられたロボットアームと、を備えたロボット装置が開示されている。この特許文献1に記載されたロボット装置においては、ハンド機構の各指部に力センサが設けられている。そして、この力センサによって該指部と対象物との接触位置を検出する。また、このロボット装置は、対象物を含む画像データを撮像する視覚センサを備えている。そして、視覚センサによって撮像された画像データに基づいて対象物の位置情報を取得する。さらに、画像データから取得された対象物の位置情報を、力センサによって検出された接触位置の情報に基づいて補正する。
特許第5505138号公報
上記の従来技術のように、ハンド機構により対象物を把持する前に、該ハンド機構の指部を該対象物に接触させる動作(以下、「サーチ動作」と称する場合もある。)を行い、その接触位置を導出することで、該対象物の位置をより高い精度で把握することが可能となる。このように対象物の位置を高精度で把握することは、ハンド機構による該対象物の把持の安定性を向上させる上で非常に好ましい。
しかしながら、上記したようなサーチ動作が把持動作と独立して行われると、サーチ動作から把持動作への移行に時間がかかることで、タクトタイムが長くなる可能性がある。すなわち、ハンド機構の形態を把持動作に適した形態とは全く異なる形態にすることでサーチ動作が行われると、サーチ動作の終了後にハンド機構の形態をサーチ動作用の形態から把持動作用の形態に変更する必要がある。その結果、ハンド機構の形態変更に起因する、タクトタイムの増加を招く虞がある。
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであって、複数の指部により対象物を把持するハンド機構を備えた把持システムにおいて、把持動作の前にサーチ動作を行うことによるタクトタイムの増加を可及的に小さく抑えることができる技術を提供することを目的とする。
本発明に係わる把持システムは、複数の指部を具備し、それら複数の指部により対象物を把持するハンド機構と、前記ハンド機構の位置を変更するアーム機構と、前記ハンド機構の前記複数の指部のうち少なくとも所定のサーチ用指部に設けられ、該サーチ用指部における所定の接触部位が物体と接触したことを検知する接触検知部と、前記ハンド機構によって前記対象物を把持する際に、前記ハンド機構と前記アーム機構のうち少なくとも一方を制御する制御部と、を備える。ここで、前記制御部が、所定の目標位置に向けて前記サーチ用指部における前記所定の接触部位を移動させるように前記ハンド機構およびまた
は前記アーム機構を制御することで、前記サーチ用指部における前記所定の接触部位の前記対象物への接触が該サーチ用指部の前記接触検知部によって検知されたときの接触位置が導出される。次いで、該導出された前記接触位置に基づいて、前記制御部が、前記アーム機構およびまたは前記ハンド機構を制御することで、前記ハンド機構を所定の把持可能位置へ移動させて該ハンド機構によって前記対象物を把持させるものである。そして、本発明においては、前記対象物における前記所定の目標位置に向けて前記サーチ用指部における前記所定の接触部位を移動させる際に、前記ハンド機構を前記所定の把持可能位置へ移動させるのに適した、前記サーチ用指部以外の指部の形態である把持前形態を決定する。次いで、前記制御部は、前記サーチ用指部以外の指部の形態を前記把持前形態に制御した状態で、前記所定の目標位置に向けて前記サーチ用指部における前記所定の接触部位を移動させるように、前記アーム機構およびまたは前記ハンド機構を制御する。
本発明によれば、複数の指部により対象物を把持するハンド機構を備えた把持システムにおいて、把持動作の前にサーチ動作を行うことによるタクトタイムの増加を可及的に小さく抑えることができる。
実施例に係るロボットアームの概略構成を示す図である。 実施例に係るハンド機構の斜視図である。 実施例に係るハンド機構の上面図である。 実施例に係るハンド機構の指部の側面図である。 実施例に係るハンド機構の指部の先端部側を図4の矢印Aの方向から見た図である。 実施例に係るハンド機構の指部における第2関節部の可動範囲を示す図である。 実施例に係るハンド機構の指部における第1関節部の可動範囲を示す図である。 実施例に係るハンド機構の指部の第1リンク部における感圧センサの配置を示す第1の図である。 実施例に係るハンド機構の指部の第1リンク部における感圧センサの配置を示す第2の図である。 実施例に係るアーム制御装置およびハンド制御装置に含まれる各機能部を示すブロック図である。 把持動作制御が実行されるときのハンド機構の様子を示す第1の図である。 把持動作制御が実行されるときのハンド機構の様子を示す第2の図である。 把持動作制御が実行されるときのハンド機構の様子を示す第3の図である。 本実施例におけるサーチ動作制御が実行されるときのハンド機構の様子を示す第1の図である。 本実施例におけるサーチ動作制御が実行されるときのハンド機構の様子を示す第2の図である。 本実施例においてサーチ動作制御から把持動作制御へ移行する際のハンド機構の様子を示す図である。 本実施例に係るサーチ動作制御のフローを示すフローチャートである。 他の実施例において複数の対象物が並べられて配置された状態を示す図である。 他の実施例においてハンド機構の第1指部によって対象物の姿勢を変更する際の動作を示す第一の図である。 他の実施例においてハンド機構の第1指部によって対象物の姿勢を変更する際の動作を示す第二の図である。 他の実施例においてハンド機構の第2指部、第3指部、および第4指部によって対象物を把持した状態を示す図である。
本発明に係る把持システムでは、ハンド機構によって把持する対象物の寸法、形状、位置情報等の各種情報が事前に取得される。これらの各種情報は、ユーザーによる入力や、視覚センサによって撮像された画像等に基づいて取得される。また、ハンド機構の複数の指部のうち、少なくとも所定のサーチ用指部には、該サーチ用指部における所定の接触部位が物体と接触したことを検知する接触検知部が設けられる。
ハンド機構によって対象物を把持する際には、先ず、制御部が、所定の目標位置に向けてサーチ用指部における所定の接触部位を移動させるようにハンド機構およびまたはアーム機構を制御することで、サーチ用指部における所定の接触部位の対象物への接触が該サーチ用指部の接触検知部によって検知されたときの接触位置が導出される。次いで、制御部が、該導出された前記接触位置に基づいてアーム機構およびまたはハンド機構を制御することで、ハンド機構を所定の把持可能位置へ移動させて該ハンド機構によって対象物を把持させる(把持動作制御)。ここで、所定の目標位置は、対象物の位置情報に基づいて決定される。また、所定の把持可能位置は、ハンド機構が該所定の把持可能位置に位置するときに複数の指部によって対象物を挟み込むことで、対象物の安定的な把持を実現することができる位置であり、対象物の寸法や形状に基づいて決定される。
ところで、サーチ動作制御が行われるときに、サーチ用指部以外の指部の形態が、その後の把持動作制御においてハンド機構を所定の把持可能位置へ移動させるのに適した形態(把持前形態)と異なる形態に制御されると、サーチ動作制御から把持動作制御へ移行するときに、サーチ用指部以外の指部の形態を把持前形態へ変更する必要がある。そのため、サーチ動作制御から把持動作制御への移行にかかる時間が長くなり、タクトタイムの増加を招く虞がある。
これに対し、本発明に係わる把持システムでは、ハンド機構におけるサーチ用指部以外の指部を、予め把持前形態に制御した状態で、サーチ動作制御を行うようにした。斯様な方法によりサーチ動作制御が行われると、サーチ動作制御から把持動作制御へ移行する際に、サーチ用指部以外の指部の形態を変更する必要がなくなる。その場合、サーチ動作制御から把持動作制御への移行にかかる時間を短縮することができるため、タクトタイムを減少させることができる。
<実施例>
以下、本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。本実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に記載がない限りは発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
ここでは、本発明に係るハンド機構および把持システムをロボットアームに適用した場合について説明する。図1は、本実施例に係るロボットアームの概略構成を示す図である。ロボットアーム1は、ハンド機構2、アーム機構3、および台座部4を備えている。アーム機構3の一端にハンド機構2が取り付けられている。また、アーム機構3の他端が台座部4に取り付けられている。ハンド機構2は、アーム機構3に接続されたベース部20と、該ベース部20に可動自在に支持された複数の指部21(図1に示す例では、4本の指部21)と、を備えている。なお、ハンド機構2の詳細な構成については後述する。
<アーム機構>
アーム機構3は、第1アームリンク部31、第2アームリンク部32、第3アームリンク部33、第4アームリンク部34、第5アームリンク部35、および接続部材36を備えている。そして、ハンド機構2のベース部20が、アーム機構3の第1アームリンク部31の一端側に形成された第1関節部30aに接続されている。第1関節部30aには、第1アームリンク部31に対してハンド機構2を該第1アームリンク部31の軸周りに回転させるためのモータ(図示略)が設けられている。第1アームリンク部31の他端側は、第2関節部30bで第2アームリンク部32の一端側に接続されている。第1アームリンク部31と第2アームリンク部32とはその中心軸が垂直に交わるように接続されている。そして、第2関節部30bには、第2アームリンク部32に対して、第1アームリンク部31を、その他端側を中心に該第2アームリンク部32の軸周りに回転させるためのモータ(図示略)が設けられている。また、第2アームリンク部32の他端側は、第3関節部30cで第3アームリンク部33の一端側に接続されている。第3関節部30cには、第3アームリンク部33に対して第2アームリンク部32を相対的に回転させるためのモータ(図示略)が設けられている。
同様に、第3アームリンク部33の他端側は、第4関節部30dで第4アームリンク部34の一端側に接続されている。また、第4アームリンク部34の他端側は、第5関節部30eで第5アームリンク部35に接続されている。そして、第4関節部30dには、第4アームリンク部34に対して第3アームリンク部33を相対的に回転させるためのモータ(図示略)が設けられている。また、第5関節部30eには、第5アームリンク部35に対して第4アームリンク部34を相対的に回転させるためのモータ(図示略)が設けられている。さらに、第5アームリンク部35は、台座部4から垂直に配置された接続部材36に第6関節部30fで接続されている。第5アームリンク部35と接続部材36とは、それぞれの中心軸が同軸となるように接続されている。そして、第6関節部30fには、第5アームリンク部35を、該第5アームリンク部35および接続部材36の軸回りに回転させるためのモータ(図示略)が設けられている。アーム機構3をこのような構成とすることで、例えば、該アーム機構3を6自由度の自由度を有する機構とすることができる。
<ハンド機構>
次に、ハンド機構2の構成について図2から図9に基づいて説明する。図2はハンド機構2の斜視図である。図3はハンド機構2の上面図である。なお、図3において、矢印は、各指部21の回転可動範囲を示している。図2および図3に示すように、ハンド機構2においては、ベース部20に4本の指部21が、ハンド機構2の長手方向(図3において紙面に垂直な方向)の軸を中心とした円周上に、等角度間隔(すなわち90deg間隔)に配置されている。また、4本の指部21は全て同一の構造を有し且つ同一の長さである。ただし、各指部21の動作は、それぞれ独立して制御される。
図4から図9は、ハンド機構2の指部21の構成について説明するための図である。図4は指部21の側面図である。なお、図4では、ベース部20が透過された状態で記載されている。また、図5は、指部21の先端部側を図4の矢印Aの方向から見た図である。なお、図4および図5では、後述する指部21の第2指リンク部212の一部が透過された状態で記載されており、該第2指リンク部212の内部構造をも示されている。
図2および図4に示すとおり、各指部21は、第1指リンク部211、第2指リンク部212、および基端部213を有している。また、第1指リンク部211と第2指リンク部212との間には、屈曲および伸展可能に形成された第1関節部22が設けられている。さらに、第2指リンク部212と基端部213との間には、屈曲および伸展可能に形成
された第2関節部23が設けられている。そして、指部21の基端部213は、該指部21の長手方向(図3において紙面に垂直な方向)の軸回りに回転自在な状態でベース部20に接続されている。
また、ベース部20には、図4に示すように、第2モータ52と第3モータ53とが内蔵されている。第2モータ52は、図6に示すように、第2関節部23を屈曲および伸展させるためのモータである。第3モータ53は、図3中の矢印で示す範囲において指部21全体を回転駆動させるためのモータである。また、第2指リンク部212には、図5に示すように、第1モータ51が内蔵されている。この第1モータ51は、図7に示すように、第1関節部22を屈曲および伸展させるためのモータである。
次に、各指部21における先端側の部位(第1指リンク部211の先端側の部位)の外壁面には、図2、図4、および図5に示すように、感圧センサ70が取り付けられている。具体的には、図8および図9に示すように、第1指リンク部211における、第1関節部22の屈曲方向側の外壁面(以下、「屈曲側壁面」と称する場合もある。)215から伸展方向側の外壁面(以下、「伸展側壁面」と称する場合もある。)216にかけて、4つの感圧センサ700、701、702、703(以下、「感圧センサ70」と総称する場合もある。)が第1指リンク部211の長手方向に沿って直列に配置されている。図8および図9に示す例では、伸展側壁面216に1つの感圧センサ700が配置され、残りの3つの感圧センサ701、702、703が屈曲側壁面215の先端側から基端側へ向けて長手方向に配列されている。なお、感圧センサ70の配置方法は、第1指リンク部211の長手方向に沿って直列に配置する方法に限られず、第1指リンク部211の短手方向に沿って直列に配置されてもよく、若しくは第1指リンク部211の長手方向または短手方向に対して斜め方向に沿って配置されてもよい。また、図8および図9に示す例では、4つの感圧センサ700、701、702、703が一列に配置されているが、4つ以上の感圧センサが二列以上に配置されてもよく、若しくは4つ以上の感圧センサが千鳥状に配置されてもよい。また、伸展側壁面216に配置される感圧センサの個数は1つに限られず、二つ以上の感圧センサが伸展側壁面216に配置されてもよい。同様に、屈曲側壁面215に配置される感圧センサの個数は3つに限られず、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。要するに、第1指リンク部に配置される感圧センサの個数や位置は、ハンド機構が対象物を把持する際に、第1指リンク部において対象物が接触し得る位置や範囲等に応じて適宜に決定されればよい。
なお、感圧センサ70は、第1指リンク部211に作用する外力(圧力)を検知するセンサである。このような感圧センサ70としては、圧電式の感圧センサ、ひずみゲージ式の感圧センサ、または静電容量式の感圧センサ等、周知のどのような方式の感圧センサを用いてもよい。なお、上記した4つの感圧センサ700、701、702、703は、ポリオレフィン等で形成された可撓性のセンサカバーで覆われるようにしてもよい。また、図8および図9に示す例では、感圧センサ70が矩形に形成されているが、矩形に限定されるものではなく、第1指リンク部211の形状等に応じて適宜に変更されればよい。
<台座部>
次に、台座部4に内蔵された、アーム制御装置42およびハンド制御装置43の構成について図10に基づいて説明する。アーム制御装置42はロボットアーム1のアーム機構3を制御するための制御装置である。ハンド制御装置43はロボットアーム1のハンド機構2を制御するための制御装置である。図10は、アーム制御装置42およびハンド制御装置43に含まれる各機能部を示すブロック図である。
アーム制御装置42は、アーム機構3の各関節部に設けられたモータを駆動するための駆動信号を生成する複数のドライバを含み、各ドライバからの駆動信号が対応する各モー
タに供給されるように構成される。また、アーム制御装置42は、演算処理装置およびメモリを有するコンピュータを含んでいる。そして、アーム制御装置42は、機能部として、アーム制御部420およびモータ状態量取得部421を有している。これらの機能部は、アーム制御装置42に含まれるコンピュータにおいて所定の制御プログラムが実行されることで形成される。
アーム制御部420は、ハンド制御装置43が有する機能部である後述の対象物情報取得部430によって取得された対象物情報およびハンド制御装置43が有する機能部である後述の位置情報補正部435によって求められた対象物10の位置情報に基づいて各ドライバから駆動信号を供給することで、アーム機構3の各関節部30a、30b、30c、30d、30e、30fに設けられたモータを制御する。そして、アーム制御部420は、各モータを制御することでアーム機構3を動かし、それによって、例えば、ハンド機構2を、対象物の把持のために適した所定の把持可能位置に移動させる。また、アーム機構3の各関節部30a、30b、30c、30d、30e、30fに設けられたモータには、それぞれの回転状態に関する状態量(モータの回転軸の回転位置や回転速度等)を検出するエンコーダ(図示略)が設けられている。そして、各モータのエンコーダによって検出された各モータの状態量が、アーム制御装置42のモータ状態量取得部421に入力される。そして、アーム制御部420は、モータ状態量取得部421に入力された各モータの状態量に基づいて、例えば、ハンド機構2が所定の把持可能位置に移動するように各モータをサーボ制御する。
また、ハンド制御装置43は、ハンド機構2に設けられた各モータを駆動するための駆動信号を生成する複数のドライバを含み、各ドライバからの駆動信号が対応する各モータに供給されるように構成される。また、ハンド制御装置43は、演算処理装置およびメモリを有するコンピュータを含んでいる。そして、ハンド制御装置43は、機能部として、対象物情報取得部430、ハンド制御部431、モータ状態量取得部432、センサ情報取得部433、接触位置導出部434および位置情報補正部435を有している。これらの機能部は、ハンド制御装置43に含まれるコンピュータにおいて所定の制御プログラムが実行されることで形成される。
対象物情報取得部430は、ハンド機構2よって把持すべき対象物に関する情報である対象物情報を取得する。ここで、対象物情報には、対象物の寸法、形状、およびその位置に関する情報、並びに、対象物周囲の環境情報(対象物の周囲に存在する該対象物以外の物に関する情報であり、例えば、対象物が収容されている容器の形状や当該容器における対象物の並びに関する情報)等が含まれる。この対象物情報取得部430は、ユーザーによって入力された対象物情報を取得してもよい。また、対象物を含む画像を撮像する視覚センサが設けられている場合、対象物情報取得部430は、該視覚センサによって撮像された画像から対象物情報を取得してもよい。
また、ハンド制御部431は、対象物情報取得部430によって取得された対象物情報および位置情報補正部435によって求められた対象物10の位置情報に基づいて各ドライバから駆動信号を供給することで、ハンド機構2の各指部21を駆動させる各第1モータ51、各第2モータ52、および各第3モータ53を制御する。例えば、ハンド制御部431は、アーム制御装置42によってアーム機構3が制御されることで所定の把持可能位置に移動されたハンド機構2によって対象物を把持するために、ハンド機構2の各第1モータ51、各第2モータ52、および各第3モータ53を制御する。また、ハンド機構2の各第1モータ51、各第2モータ52、および各第3モータ53には、それぞれの回転状態に関する状態量(モータの回転軸の回転位置や回転速度等)を検出するエンコーダ(図示略)が設けられている。そして、各モータ51、52、53のエンコーダによって検出された各モータ51、52、53の状態量が、ハンド制御装置43のモータ状態量取
得部432に入力される。そして、ハンド制御部431は、モータ状態量取得部432に入力された各モータ51、52、53の状態量に基づいて、例えば、複数の指部21によって対象物を把持するように、各指部21における各モータ51、52、53をサーボ制御する。
さらに、ハンド制御装置43はセンサ情報取得部433を有している。センサ情報取得部433には、ハンド機構2の各指部21の第1指リンク部211に設けられた感圧センサ70の検出値が入力される。そして、ハンド制御部431は、各感圧センサ70によって、各指部21の対象物への接触が検知された場合に、その検知信号に基づいて各指部21における各モータ51、52、53を制御することもできる。また、各感圧センサ70によって、各指部21の対象物への接触が検知された場合に、接触位置導出部434によって、その接触位置が導出される。
<把持動作制御>
次に、ハンド機構2によって対象物10を把持する際に実行される把持動作制御の一例について、図11Aから図11Cに基づいて説明する。図11Aから図11Cは、把持動作制御が実行されたときのハンド機構2の様子を時系列に沿って示した図である。ここでいう把持動作制御は、アーム制御装置42によってアーム機構3が制御されるとともに、ハンド制御装置43によってハンド機構2が制御されることで実現される。また、図11Aから図11Cは、後述する方法によるサーチ動作制御が行われない状態で把持動作制御が行われる場合のハンド機構2の様子を示している。
なお、図11Aから図11Cに示す対象物10は、床面上に単独で置かれ、直方体状の形状を有している。そのため、対象物10の一方の側面S2(図11Aから図11Cに向かって左側の側面)と対象物10の他方の側面S3(図11Aから図11Cに向かって右側の側面)とが露出しているため、それら2つの側面S2、S3を2本の指部21によって挟んで把持することができる。すなわち、対象物10の姿勢や位置を変更することなく、対象物10を直接把持することが可能である。そこで、図11Aから図11Cにおいては、ハンド機構2における第2指部21Bおよび第3指部21Cを把持用指部に設定するとともに、対象物10における2つの側面S2、S3を所定の把持面に設定して、把持動作制御が行われる。なお、図11Aから図11Cにおいては、便宜的に、ハンド機構2における第1指部21A、第2指部21B、および第3指部21Cのみを図示しており、第4指部21Dの図示を省略している。
把持動作制御においては、先ず、図11Aに示すように、ハンド機構2の形態を、今回の対象物10の把持において把持用指部として用いる第2指部21Bおよび第3指部21Cのそれぞれの先端部(第2指部21Bの第1指リンク部211Bの先端部と第3指部21Cの第1指リンク部211Cの先端部)の互いの間隔を、対象物10における所定の把持面である2つの側面S2、S3の間隔dtより大きな所定の初期間隔dfに広げた形態である把持用アプローチ形態とした状態で、該ハンド機構2を対象物10に近づける。なお、図11Aにおける白抜き矢印は、ハンド機構2の移動方向を示している。
ここで、上記の把持用アプローチ形態は、ハンド機構2の第2指部21Bと第3指部21Cとで対象物10が把持された際に、これら以外の指部である第1指部21Aと第4指部21Dが対象物10に接触しないような形態として設定される。このような把持用アプローチ形態は、対象物情報取得部430によって取得された対象物10の寸法および形状に関する情報に基づいて決定される。このとき、上記した所定の初期間隔dfは、対象物情報取得部430によって取得された対象物10の寸法に基づいて決定される。
把持動作制御においては、ハンド機構2の形態を上記した把持用アプローチ形態に制御
した状態で、該ハンド機構2を所定の把持可能位置に移動させるべく、アーム機構3の各モータおよびハンド機構2の各指部21における各モータが、それぞれ、アーム制御装置42およびハンド制御装置43によってサーボ制御される。なお、図11Aから図11Cに示す例における所定の把持可能位置は、第2指部21Bの先端部と第3指部21Cの先端部との間に、対象物10の2つの側面S2、S3が位置した状態となる位置である。そして、図11Bに示すように、ハンド機構2が所定の把持可能位置に到達すると(すなわち、第2指部21Bの先端部と第3指部21Cの先端部との間に対象物10の2つの側面S2、S3が位置した状態になると)、ハンド機構2の移動を停止させるべくアーム機構3が制御される。なお、図11Bにおける白抜き矢印は、ハンド機構2が所定の把持可能位置に到達するまでの移動方向を示している。
ハンド機構2が所定の把持可能位置に到達することで、該ハンド機構2の移動が停止されると、図11Cに示すように、第2指部21Bの先端部と第3指部21Cの先端部との間の間隔が所定の初期間隔dfよりも小さくなるように、該第2指部21Bおよび該第3指部21Cが制御される。なお、図11Cにおいて、白抜き矢印は、第2指部21Bの先端部および第3指部21Cの先端部の移動方向を表している。これによって、第2指部21Bの先端部を対象物10の一方の側面S2に接触させるとともに、第3指部21Cの先端部を対象物10の他方の側面S3に接触させて、これら把持用指部21B、21Cによって対象物10を挟んで把持する。
ここで、本実施例に係るハンド機構2において、把持用指部として機能する指部は図11Aから図11Cに示したような第2指部21Bおよび第3指部21Cに限られず、全ての指部21が把持用指部として機能し得る。また、ハンド機構2の4本の指部21のうち3本の指部が把持用指部として用いられる場合や、4本の指部全てが把持用指部として用いられる場合もある。
ところで、対象物情報取得部430によって取得された対象物10の位置情報には誤差が含まれる場合がある。例えば、視覚センサによって撮像された対象物を含む画像から対象物の位置情報を取得した場合、該視覚センサの撮像性能に起因する誤差が該対象物の位置情報に含まれることになる。そのような場合に、対象物情報取得部430によって取得された対象物10の位置情報に基づいて、上記した把持動作制御が行われると、対象物10を安定的に把持することが困難になる可能性がる。そのため、ロボットアーム1のハンド機構2によって対象物を安定的に把持するためには、該対象物の位置情報を高精度で把握した上で、把持動作制御を行うことが望まれる。
そこで、本実施例に係るロボットアーム1においては、対象物を把持すべくアーム機構3およびまたはハンド機構2を制御する前に、その準備段階として、該対象物の所定方向における位置情報を高精度で把握することを目的として、サーチ動作制御が行われる。
<サーチ動作制御>
以下、本実施例に係るサーチ動作制御について述べる。このサーチ動作制御は、アーム制御装置42によってアーム機構3が制御されるとともに、ハンド制御装置43によってハンド機構2が制御されることで実現される。
本実施例におけるサーチ動作制御では、ハンド機構2の4本の指部21のうちの所定の指部(本発明に係わる「サーチ用指部」に相当。)を対象物に接触させることで、その所定の指部と対象物10との接触位置が導出される。そして、導出された接触位置に基づいて、対象物情報取得部430によって取得された対象物の位置情報の補正が必要であるか否かが判別され、補正が必要であると判定された場合には対象物情報取得部430によって取得された対象物の位置情報が補正される。その結果、対象物10の位置情報が高精度
で把握される。
ここで、上記したサーチ動作制御において、ハンド機構2の形態が前述の把持用アプローチ形態と全く異なる形態に制御されると、その後のサーチ動作制御から把持動作制御への移行にかかる時間が長くなる可能性がある。例えば、図11Aから図11Cに示したような対象物10を把持する際に把持用指部として機能する第2指部21Bおよび第3指部21Cの形態を、図11Aから図11Bに示したような把持用アプローチ形態における第2指部21Bおよび第3指部21Cの形態と異なる形態に制御した状態で、サーチ動作制御が行われると、サーチ動作制御から把持動作制御へ移行する際に、第2指部21Bおよび第3指部21Cの形態を変更する必要が生じるため、サーチ動作制御から把持動作制御への移行にかかる時間が長くなって、タクトタイムの増加を招く可能性がある。
そこで、本実施例のサーチ動作制御では、サーチ用指部以外の指部の形態を、把持用アプローチ形態におけるそれらの指部の形態(本発明に係わる「把持前形態」に相当。)と同じ形態に制御した状態で、サーチ動作制御を行うようにした。以下では、本実施例におけるサーチ動作制御について、図12Aから図12Cに基づいて説明する。図12Aから図12Cは、本実施例に係るサーチ動作制御が実行されたときのハンド機構2の様子を時系列に沿って示した図である。なお、図12Aから図12Cは、前述の図11Aから図11Cに示したような対象物10をハンド機構2によって把持させる際の準備段階としてサーチ動作制御が行われた場合における、ハンド機構2の様子を示している。また、図12Aから図12Cは、対象物10の垂直方向(図12Aから図12Cにおける上下方向)における位置情報を把握することを目的した場合における、ハンド機構2の動作を示している。
サーチ動作制御では、ハンド機構2の形態を、図12Aに示すようなサーチ用アプローチ形態とした状態で、該ハンド機構2を白抜き矢印の方向(すなわち、図12Aにおける下方に向かう方向)に動かすことにより、該ハンド機構2を対象物10の存在エリアに近づける。その際、サーチ用指部における所定の部位が所定の目標位置Tpに向かって移動するように、アーム機構3の各関節部30a、30b、30c、30d、30e、30fに設けられたモータ、および、ハンド機構2の各指部21の各関節部を駆動させる各第1モータ51、各第2モータ52、および各第3モータ53が、それぞれ、アーム制御装置42およびハンド制御装置43によってサーボ制御される。
ここで、本実施例における「サーチ用アプローチ形態」は、把持動作制御の実行時に把持用指部として機能する第2指部21Bおよび第3指部21Cの形態が把持用アプローチ形態における把持前形態(すなわち、図11Aおよび図11Bに示したように、それら2本の指部21B、21Cの先端部の間隔が所定の初期間隔dfとなる形態)になり、且つそれらの指部21B、21C以外の指部のうちの所定のサーチ用指部(図12Aから図12Cに示す例では、第1指部21A)の形態が該サーチ用指部のみが対象物10と接触する形態になる、ハンド機構2の形態である。また、ここでいう「所定の目標位置Tp」は、対象物情報取得部430によって取得された対象物情報に含まれる対象物10の位置情報に対応する位置(以下では「想定位置10’」と称する。)に該対象物10が存在すると想定した場合に、該対象物10の内部となる位置である。この所定の目標位置Tpは、対象物情報取得部430によって取得された対象物情報に含まれる対象物10の位置情報に基づいて決定される。
ハンド機構2の形態を、図12Aに示したように、第2指部21B及び第3指部21Cの形態が把持用アプローチ形態における把持前形態(すなわち、指部21B、21Cの先端部の間隔が対象物10における所定の把持面S2、S3の間隔dtより大きな所定の初期間隔dfとなる形態)になり、且つ第1指部21Aのみが対象物10と接触する形態で
あるサーチ用アプローチ形態とした状態で、上記のように決定された所定の目標位置Tpに向かって第1指部21Aの先端部が移動するように、アーム機構3およびまたは該ハンド機構2が制御されると、図12Bに示すように、対象物10の上面S1に該第1指部21Aの先端部が接触する。なお、図12Bにおいても、白抜き矢印は、ハンド機構2の移動方向を表している。また、図12Bにおいては、対象物10の上面S1と第1指部21Aの先端部との接触位置が一点鎖線で囲まれている。このように、対象物10の上面S1に第1指部21Aの先端部が接触すると、その接触が、該第1指部21Aの先端部(第1指リンク部211A)に設けられた感圧センサ70によって検知される。このとき、感圧センサ70の検出値がセンサ情報取得部433によって取得される。そして、第1指部21Aの感圧センサ70によって、該第1指部21Aと対象物10との接触が検知されると、接触位置導出部434がその接触位置が導出される。ここで、接触位置導出部434は、アーム制御装置42のモータ状態量取得部421によって取得されるアーム機構3の各モータの状態量、および、ハンド制御装置43のモータ状態量取得部432によって取得されるハンド機構2の各モータの状態量に基づいて、第1指部21Aの先端部と対象物10との接触位置を導出する。そして、接触位置導出部434によって導出された接触位置に関する接触位置情報に基づいて、位置情報補正部435が、対象物情報取得部430によって取得された対象物10の位置情報(垂直方向の位置情報)の補正が必要であるかを判別する。その際、例えば、接触位置導出部434によって導出された接触位置に関する接触位置情報と、対象物情報取得部430によって取得された対象物10の位置情報(垂直方向の位置情報)と、のずれが許容範囲を超えていれば、対象物情報取得部430によって取得された対象物10の位置情報(垂直方向の位置情報)の補正が必要であると判定される。このような補正が必要であると判定された場合には、接触位置導出部434によって導出された接触位置に関する接触位置情報に基づいて、位置情報補正部435が、対象物情報取得部430によって取得された対象物10の位置情報(垂直方向の位置情報)を補正する。このようにして対象物10の位置情報(垂直方向の位置情報)が求められると、対象物10の位置情報を高精度で把握することができる。
このようなサーチ動作制御を実行することにより対象物10の垂直方向の位置情報が高精度で把握されると、上記した把持動作制御において把持用指部の垂直方向の位置を所定の把持可能位置に高精度で制御することができる。その結果、ハンド機構2による対象物10の把持の安定性を向上させることができる。また、同一の対象物10が同一の高さで複数配置されている場合、一の対象物10の垂直方向の位置情報を高精度で把握すれば、他の対象物10を把持する際にも、該一の対象物10の垂直方向の位置情報を該他の対象物10に関する垂直方向の位置情報として用いてハンド機構2を制御することができる。
また、本実施例では、把持動作制御の実行時に把持用指部として機能する第2指部21Bおよび第3指部21Cの形態が、把持用アプローチ形態におけるそれらの指部21B、21Cの形態(把持前形態)と同じ形態に制御された状態で、サーチ動作制御が実行されるため、それらの指部21B、21Cの形態を変更することなく、サーチ動作制御から把持動作制御へ移行することができる。例えば、上記した図12Bで示したようにサーチ用指部としての第1指部21Aの先端部が対象物10と接触した後において、図13に示すように、第1指部21Aの先端部が図13中の白抜き矢印Ar2で示すように対象物10から離間しつつ、ハンド機構2が図13中の白抜き矢印Ar1で示す如く所定の把持可能位置に近づくように、アーム機構3の各モータおよびハンド機構2の各指部21における各モータが、それぞれ、アーム制御装置42およびハンド制御装置43によってサーボ制御されればよい。このようにして、サーチ動作制御から把持動作制御へ移行されると、ハンド機構2の形態をサーチ用アプローチ形態から把持用アプローチ形態へ変更することに起因する、タクトタイムの増加を抑制することができる。
<サーチ動作制御のフロー>
次に、上述したサーチ動作制御のフローについて図14に示すフローチャートに基づいて説明する。このサーチ動作制御のフローは、アーム制御装置42及びハンド制御装置43において所定の制御プログラムが実行されることで実現される。
図14に示すフローでは、先ずS101において、今回の把持対象となる対象物についての対象物情報が対象物情報取得部430によって取得される。続いて、S102では、S101で取得された対象物情報に基づいて、今回のサーチ動作制御における所定の目標位置が決定される。
S103では、S101で取得された対象物情報に基づいて、今回のサーチ動作制御におけるハンド機構2のサーチ用アプローチ形態が決定される。詳細には、先ず、S101で取得された対象物情報に含まれる対象物10の寸法および形状に関する情報に基づいて、把持動作制御における把持用アプローチ形態を決定する。続いて、ハンド機構2の4本の指部21の中からサーチ用指部が選択される。さらに、選択されたサーチ用指部の形態(サーチ用指部以外の指部を把持用アプローチ形態におけるそれらの指部の形態(把持前形態)に制御した状態で、該サーチ用指部のみが対象物10と接触する形態)を決定する。
S104では、ハンド機構2の形態が、S103で決定されたサーチ用アプローチ形態となるように、ハンド機構2が制御される。なお、S101からS104の処理はハンド制御装置43によって実行される。
S105では、ハンド機構2のサーチ用指部の先端部がS102で決定された所定の目標位置に向かって移動するように、アーム制御装置42によってアーム機構3を制御することで該ハンド機構2を移動させる。なお、このときは、ハンド制御装置43によってハンド機構2の形態がサーチ用アプローチ形態に維持されている。
S106では、サーチ用指部の感圧センサ70によって対象物10への接触が検知されたか否かが判別される。なお、S106の処理はセンサ情報取得部433によって実行される。このS106において否定判定された場合、すなわち、サーチ用指部が未だ対象物に接触していない場合は、S105の処理へ戻る。一方、S106において肯定判定された場合は、サーチ用指部の先端部が対象物に接触したことになるため、S107の処理へ進む。
S107では、ハンド制御装置43からアーム制御装置42に対して指令信号が送信されることで、アーム機構3の動作が停止されて、ハンド機構2の移動が終了される。
S108では、サーチ用指部の感圧センサ70によって対象物10への接触が検知されたときの接触位置が接触位置導出部434によって導出される。続いて、S109では、S108において接触位置導出部434によって導出された接触位置に関する接触位置情報に基づいて、位置情報補正部435が、対象物情報取得部430によって取得された対象物の位置情報の補正が必要であるかを判別する。そして、該補正が必要であると判定された場合には、接触位置導出部434によって導出された接触位置に関する接触位置情報に基づいて、対象物情報取得部430によって取得された対象物の位置情報が補正される。
上記したフローに従ってサーチ動作制御が行われると、該サーチ動作制御の終了後において、ハンド機構2におけるサーチ用指部以外の指部の形態を変更することなく、把持動作制御を速やかに開始することができる。そのため、サーチ動作制御から把持動作制御への移行にかかる時間が短縮される。その結果、把持動作制御の実行前にサーチ動作制御が
実行されることに起因する、タクトタイムの増加を可及的に小さくすることができる。
なお、本実施例においては、感圧センサ70が、本発明に係る「接触検知部」に相当する。また、第1指リンク部211の先端部に外力(圧力)が作用すると、第1モータ51にかかる負荷が変化する。そこで、この第1モータ51にかかる負荷の変化を電流値の変化として検出する電流計を、感圧センサ70に代えて、本発明に係る「接触検知部」として用いることもできる。
また、サーチ動作制御において、対象物または対象物以外の物体に接触させる指部の部位(すなわち、本発明に係る「所定の接触部位」)は、必ずしも該指部の先端部でなくともよい。例えば、上記のとおり、ハンド機構2の第1指部21Aをサーチ用指部とする場合において、第1指部21Aにおける第2指リンク部212Aが対象物に接触するように、サーチ動作制御を行ってもよい。その場合は、サーチ用アプローチ形態における第1指部21Aの相対位置および姿勢を、該第1指部21Aにおける第2指リンク部212Aのみが対象物10と接触する相対位置および姿勢に制御すればよい。さらに、感圧センサによって対象物への接触を検知する場合は、第1指部21Aの第2指リンク部212Aに感圧センサを設ければよい。
<他の実施例>
前述した実施例では、対象物10を直接把持することが可能な場合を例に挙げたが、対象物10を直接把持することが不可能な場合も考えられる。ここで、ハンド機構2によって対象物10を把持する際には、該対象物10の6つの面のうちの少なくとも2つの面を所定の把持面とし、該所定の把持面それぞれにハンド機構2の何れかの指部21を接触させて該指部21によって該対象物10を挟み込む必要がある。しかしながら、図15に示すように、順次ハンド機構2による把持の対象となる複数の対象物10(10´)が互いに接触した状態で並べられて配置された状態では、対象物10の所定の把持面が、隣接する対象物10´と接触した状態に置かれる場合がある。例えば、図15に示す例では、対象物10における2つの所定の把持面S5、S6のうちの一方の把持面S6が、隣接する対象物10´と接触した状態となっている。このような場合、対象物10の把持面S6が露出していない状態となる。そのため、対象物10が図15に示す状態のままでは、ハンド機構2の指部21を該対象物10の把持面S6に接触させることができないため、該対象物10を該ハンド機構2によって把持することができない。
そこで、図15に示すような状況下にある対象物10をハンド機構2によって把持する場合の把持動作制御では、先ず、該ハンド機構2における4本の指部21のうち状態変更用指部として機能する1本の指部によって対象物10の姿勢を変更させることで、対象物10の把持面S6を露出させ、次いで該ハンド機構2における4本の指部21のうち把持用指部として機能する複数の指部を対象物10の把持面S5、S6に接触させることで、対象物10を把持する。
以下、図15に示した状況下にある対象物10をハンド機構2によって把持する際における把持動作制御の実行手順について、図16Aから図16Cに基づいて説明する。なお、以下においては、状態変更用指部として機能する指部を第1指部21Aとし、把持用指部として機能する指部を第2~4指部21B、21C、21Cとした場合について説明する。また、図16Aおよび図16Bは、ハンド機構2の第1指部21Aによって対象物10の姿勢を変更する際の動作を示す図である。また、図16Cは、ハンド機構2の第2指部21B、第3指部21C、および第4指部21Dによって対象物10を把持した状態を示す図である。
図15に示す例では、対象物10の一方の把持面S6が隣接する対象物10´に接触し
た状態にあるものの、該対象物10の上面S4が露出した状態にあるため、ハンド機構2の指部21を対象物10の上面S4に接触させることが可能である。そこで、本実施例における把持動作制御では、先ず、図16Aに示すように、状態変更用指部として機能する第1指部21Aの先端部を対象物10の上面S4に接触させる。なお、第1指部21Aを対象物10の上面S4に接触させる段階では、ハンド機構2における他の指部21B、21C、21Dの形態は、それらの指部21B、21C、21Dが対象物10と接触しない形態であって、且つ対象物10が後述する所定の把持可能状態となったときにそれらの指部21B、21C、21Dの各々の位置が対応する所定の把持面と対峙する形態(本発明に係わる「把持前形態」に相当。)に制御される。
状態変更用指部として機能する第1指部21Aの先端部が対象物10の上面S4に接触すると、図16Bに示すように、該第1指部21Aによって、その第1指リンク部211Aを対象物10の上面S4に接触させた状態で、該対象物10を手前に傾けさせることができる。すなわち、対象物10の把持面S6が、隣接する対象物10´から離間する方向に、該対象物10を傾けさせることができる。このように、状態変更用指部として機能する第1指部21Aによって対象物10の姿勢を変更することで、該対象物10と、隣接する対象物10´との間隔を大きくすることができる。これにより、対象物10における把持面S6を露出させることができる。その結果、対象物10における他方の把持面S5のみならず一方の把持面S6にも、ハンド機構2における第1指部21A以外の指部を接触させることが可能となる。なお、このようにして、対象物10における所定の把持面S5、S6の両方にハンド機構2の指部21を接触させることが可能なった該対象物10の状態を、以下においては「所定の把持可能状態」と称する。
対象物10が上記した所定の把持可能状態になることで、対象物10の一方の把持面S6が露出すると、図16Cに示すように、該把持面S6に第2指部21Bの第1指リンク部211Bおよび第4指部21Dの第1指リンク部211Dを接触させるとともに、対象物10における他方の把持面S5に第3指部21Cの第1指リンク部211Cを接触させることで、対象物10を把持する。なお、必ずしも、対象物10における一方の把持面S6に2本の指部を接触させる必要はない。つまり、対象物10における一方の把持面S6に1本の指部を接触させるとともに、該対象物10における他方の把持面S5に2本の指部を接触させた状態で、該対象物10を把持してもよい。また、対象物10における一方の把持面S6に1本の指部を接触させるとともに、該対象物10における他方の把持面S5も1本の指部を接触させた状態で、該対象物10を把持してもよい。つまり、3本の指部を備えるハンド機構においては、1本の指部を状態変更用指部として機能させ、残りの2本の指部を把持用指部として機能させることで、対象物を把持してもよい。
上記したように、対象物10の姿勢変更を伴う把持動作制御が行われる場合おいて、その把持動作制御の準備段階として行われるサーチ動作制御では、ハンド機構2の形態を、サーチ用指部の形態が把持動作制御において状態変更用指部として機能する指部の先端部を対象物10と接触させられる際における該状態変更用指部の形態と同じ形態となり、且つサーチ用指部以外の指部の形態が把持動作制御において把持用指部として機能する指部の把持前形態と同じ形態になるように制御した状態で、サーチ動作制御が行われればよい。要するに、ハンド機構2の形態を図16Aに示した形態に制御した状態で、把持動作制御において状態変更用指部として機能する第1指部21Aのみが対象物10と接触するように、サーチ動作制御を行えばよい。そして、サーチ動作制御から把持動作制御へ移行する際には、ハンド機構2のサーチ用指部を対象物10の上面S4に接触させたままの状態にすることで、サーチ用指部を即座に状態変更用指部として機能させることができる。このような方法によりサーチ動作制御が行われると、サーチ動作制御から把持動作制御へ移行するときに、ハンド機構2の形態を変更する必要がないため、タクトタイムを減少させることができる。
なお、上記の実施例では、ハンド機構2に設けられた指部21の本数を4本としたが、ハンド機構2が少なくとも3本の指部を有していれば、上記のようなサーチ動作制御から把持動作制御への移行を行うことができる。
1・・・ロボットアーム、2・・・ハンド機構、20・・・ベース部、21・・・指部、22・・・第1関節部、23・・・第2関節部、211・・・第1指リンク部、212・・・第2指リンク部、213・・・基端部、3・・・アーム機構、30a・・・第1関節部、30b・・・第2関節部、30c・・・第3関節部、30d・・・第4関節部、30e・・・第5関節部、30f・・・第6関節部、31・・・第1アームリンク部、32・・・第2アームリンク部、33・・・第3アームリンク部、34・・・第4アームリンク部、35・・・第5アームリンク部、36・・・接続部材、4・・・台座部、42・・・アーム制御装置、420・・・アーム制御部、421・・・モータ状態量取得部、43・・・ハンド制御装置、430・・・対象物情報取得部、431・・・ハンド制御部、432・・・モータ状態量取得部、433・・・センサ情報取得部、51・・・第1モータ、52・・・第2モータ、53・・・第3モータ、70・・・感圧センサ

Claims (4)

  1. 3本以上の指部を具備し、それら複数の指部により対象物を把持するハンド機構と、
    前記ハンド機構の位置を変更するアーム機構と、
    前記ハンド機構の前記複数の指部のうち少なくとも所定のサーチ用指部に設けられ、該サーチ用指部における所定の接触部位が物体と接触したことを検知する接触検知部と、
    所定の目標位置に向けて前記サーチ用指部における前記所定の接触部位を移動させるように前記ハンド機構およびまたは前記アーム機構を制御することで、前記サーチ用指部における前記所定の接触部位の前記対象物への接触が該サーチ用指部の前記接触検知部によって検知されたときの接触位置を導出し、該導出された前記接触位置に基づいて前記アーム機構およびまたは前記ハンド機構を制御することで、前記ハンド機構を所定の把持可能位置に移動させて該ハンド機構によって前記対象物を把持させる、制御部と、
    を備え、
    前記対象物における前記所定の目標位置に向けて前記サーチ用指部における前記所定の接触部位を移動させる際に、
    前記制御部が、
    前記ハンド機構を前記所定の把持可能位置へ移動させるのに適した、前記サーチ用指部以外の前記対象物を把持するための把持用指部の形態である把持前形態を決定し、
    前記把持用指部の形態を前記把持前形態に制御した状態で、前記所定の目標位置に向けて前記サーチ用指部における前記所定の接触部位を移動させるように、前記アーム機構およびまたは前記ハンド機構を制御する
    、把持システムにおいて、
    記制御部は、前記ハンド機構によって前記対象物を把持させるときに、前記3本以上の指部のうちの少なくとも1本の指部を、前記対象物に接触させた上で該対象物の姿勢およびまたは位置を変更する状態変更用指部として機能させるとともに、前記状態変更用指部以外の指部のうちの少なくとも2本の指部を、前記状態変更用指部によって姿勢およびまたは位置が変更された状態の該対象物を把持するための前記把持用指部として機能させるものであり、
    前記所定の目標位置に向けて前記サーチ用指部における前記所定の接触部位を移動させる際に、
    前記制御部は、前記把持用指部として機能する指部の形態を前記把持前形態に制御した
    状態で、前記状態変更用指部として機能する指部のうち1本の指部を前記サーチ用指部として機能させる、
    持システム。
  2. 3本以上の指部を具備し、それら複数の指部により対象物を把持するハンド機構と、
    前記ハンド機構の位置を変更するアーム機構と、
    前記ハンド機構の前記複数の指部のうち少なくとも所定のサーチ用指部に設けられ、該サーチ用指部における所定の接触部位が物体と接触したことを検知する接触検知部と、
    所定の目標位置に向けて前記サーチ用指部における前記所定の接触部位を移動させるように前記ハンド機構およびまたは前記アーム機構を制御することで、前記サーチ用指部における前記所定の接触部位の前記対象物への接触が該サーチ用指部の前記接触検知部によって検知されたときの接触位置を導出し、該導出された前記接触位置に基づいて前記アーム機構およびまたは前記ハンド機構を制御することで、前記ハンド機構を所定の把持可能位置に移動させて該ハンド機構によって前記対象物を把持させる、制御部と、
    を備え、
    前記対象物における前記所定の目標位置に向けて前記サーチ用指部における前記所定の接触部位を移動させる際に、
    前記制御部が、
    前記ハンド機構を前記所定の把持可能位置へ移動させるのに適した、前記サーチ用指部以外の前記対象物を把持するための把持用指部の形態である把持前形態を決定し、
    前記把持用指部の形態を前記把持前形態に制御した状態で、前記所定の目標位置に向けて前記サーチ用指部における前記所定の接触部位を移動させるように、前記アーム機構およびまたは前記ハンド機構を制御する
    、把持システムにおいて、
    記制御部は、前記ハンド機構によって前記対象物を把持させるときに、前記3本以上の指部のうちの前記把持用指部として機能する2本の指部の形態を、それら2本の指部の先端部の間隔が前記対象物における所定の把持面である2つの側面の間隔より大きな所定の初期間隔となる形態に制御した状態で、前記ハンド機構を前記所定の把持可能位置に移動させ、前記ハンド機構が前記所定の把持可能位置に到達した状態で、前記把持用指部として機能する前記2本の指部の先端部の間隔を前記所定の初期間隔より小さくすることで該2本の指部で前記対象物を挟んで把持するものであり、
    前記所定の目標位置に向けて前記サーチ用指部における前記所定の接触部位を移動させる際に、
    前記制御部は、
    前記ハンド機構によって前記対象物を把持させる際の前記把持用指部として機能する2本の指部の先端部の間隔が前記所定の初期間隔となる形態を前記把持前形態として決定し、前記ハンド機構によって前記対象物を把持させる際の前記把持用指部として機能する2本の指部の形態を該把持前形態に制御した状態で、前記ハンド機構によって前記対象物を把持させる際の前記把持用指部として機能する指部以外の1本の指部を前記サーチ用指部として機能させる、
    持システム。
  3. 3本以上の指部を備え、それら複数の指部により対象物を把持するハンド機構と、
    前記ハンド機構の位置を変更するアーム機構と、
    前記ハンド機構の前記複数の指部のうち少なくとも所定のサーチ用指部に設けられ、該サーチ用指部における所定の接触部位が物体と接触したことを検知する接触検知部と、
    所定の目標位置に向けて前記サーチ用指部における前記所定の接触部位を移動させるように前記ハンド機構およびまたは前記アーム機構を制御することで、前記サーチ用指部における前記所定の接触部位の前記対象物への接触が該サーチ用指部の前記接触検知部によって検知されたときの接触位置を導出し、該導出された前記接触位置に基づいて前記アー
    ム機構およびまたは前記ハンド機構を制御することで、前記ハンド機構を所定の把持可能位置に移動させて該ハンド機構によって前記対象物を把持させる、コンピュータと、
    を備え、
    前記所定の目標位置に向けて前記サーチ用指部における前記所定の接触部位を移動させる際に、
    前記コンピュータが、
    前記ハンド機構を前記所定の把持可能位置へ移動させるのに適した、前記サーチ用指部以外の前記対象物を把持するための把持用指部の形態である把持前形態を決定する決定ステップと、
    前記把持用指部の形態を前記把持前形態に制御した状態で、前記対象物における前記所定の目標位置に向けて前記サーチ用指部における前記所定の接触部位を移動させるように、前記アーム機構およびまたは前記ハンド機構を制御する制御ステップと、
    を実行する、
    把持システムの制御方法において、
    前記把持システムによって前記対象物を把持させるときに、前記コンピュータが、前記3本以上の指部のうちの少なくとも1本の指部を、前記対象物に接触させた上で該対象物の姿勢およびまたは位置を変更する状態変更用指部として機能させるとともに、前記状態変更用指部以外の指部のうちの少なくとも2本の指部を、前記状態変更用指部によって姿勢およびまたは位置が変更された状態の該対象物を把持するための前記把持用指部として機能させるものであり、
    前記決定ステップでは、前記ハンド機構によって前記対象物を把持させる際の前記把持用指部として機能する指部の前記把持前形態を決定し、
    前記制御ステップでは、前記ハンド機構によって前記対象物を把持させる際の前記把持用指部として機能する指部の形態を前記決定ステップで決定された前記把持前形態に制御した状態で、前記ハンド機構によって前記対象物を把持させる際の前記状態変更用指部として機能する指部のうち1本の指部を前記サーチ用指部として機能させる、
    持システムの制御方法。
  4. 3本以上の指部を備え、それら複数の指部により対象物を把持するハンド機構と、
    前記ハンド機構の位置を変更するアーム機構と、
    前記ハンド機構の前記複数の指部のうち少なくとも所定のサーチ用指部に設けられ、該サーチ用指部における所定の接触部位が物体と接触したことを検知する接触検知部と、
    所定の目標位置に向けて前記サーチ用指部における前記所定の接触部位を移動させるように前記ハンド機構およびまたは前記アーム機構を制御することで、前記サーチ用指部における前記所定の接触部位の前記対象物への接触が該サーチ用指部の前記接触検知部によって検知されたときの接触位置を導出し、該導出された前記接触位置に基づいて前記アーム機構およびまたは前記ハンド機構を制御することで、前記ハンド機構を所定の把持可能位置に移動させて該ハンド機構によって前記対象物を把持させる、コンピュータと、
    を備え、
    前記所定の目標位置に向けて前記サーチ用指部における前記所定の接触部位を移動させる際に、
    前記コンピュータが、
    前記ハンド機構を前記所定の把持可能位置へ移動させるのに適した、前記サーチ用指部以外の前記対象物を把持するための把持用指部の形態である把持前形態を決定する決定ステップと、
    前記把持用指部の形態を前記把持前形態に制御した状態で、前記対象物における前記所定の目標位置に向けて前記サーチ用指部における前記所定の接触部位を移動させるように、前記アーム機構およびまたは前記ハンド機構を制御する制御ステップと、
    を実行する、
    把持システムの制御方法において、
    前記把持システムによって前記対象物を把持させるときに、前記コンピュータが、前記3本以上の指部のうちの前記把持用指部として機能する2本の指部の形態を、それら2本の指部の先端部の間隔が前記対象物における所定の把持面である2つの側面の間隔より大きな所定の初期間隔となる形態に制御した状態で、前記ハンド機構を前記所定の把持可能位置に移動させ、前記ハンド機構が前記所定の把持可能位置に到達した状態で、前記把持用指部として機能する前記2本の指部の先端部の間隔を前記所定の初期間隔より小さくすることで該2本の指部で前記対象物を挟んで把持するものであり、
    前記決定ステップでは、前記ハンド機構によって前記対象物を把持させる際の前記把持用指部として機能する2本の指部の先端部の間隔が前記所定の初期間隔となる形態を、前記把持前形態に決定し、
    前記制御ステップでは、前記ハンド機構によって前記対象物を把持させる際の前記把持用指部として機能する2本の指部の形態を前記決定ステップで決定された前記把持前形態に制御した状態で、前記ハンド機構によって前記対象物を把持させる際の前記把持用指部として機能する2本の指部以外の1本の指部を前記サーチ用指部として機能させる、
    持システムの制御方法。
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