JP7116036B2 - 飲料充填装置の洗浄・殺菌方法及び装置 - Google Patents

飲料充填装置の洗浄・殺菌方法及び装置 Download PDF

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本発明は、PETボトル等の容器に製品である飲料などを充填する飲料充填装置の洗浄・殺菌方法および装置に関する。
飲料充填装置により飲料などの製品をボトル等の容器に充填する場合、製品自体を殺菌して無菌状態にする製品殺菌処理をしておかなければならないことはもちろんのこと、飲料充填装置におけるサージタンク、送液管、充填ノズル等を備えた飲料供給系配管内も予め洗浄し、殺菌して無菌状態にしておかなければならない。
従来、飲料供給系配管内を通る飲料自体については、その製品の殺菌値であるF値を測定し、その履歴情報に基づいて製品の品質が保証できる程度に殺菌されているか否かを確認することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
また、飲料充填装置の飲料供給系配管については、定期的にあるいは製造される製品の種類を切り替える際に、CIP(Cleaning in Place)処理をし、さらに、SIP(Sterilizing in Place)処理をしている(例えば、特許文献2参照)。
CIP処理は、飲料供給系配管の管路内から充填機の充填ノズルに至るまでの流路に、例えば水に苛性ソーダ等のアルカリ性薬剤を添加した洗浄液を流した後に、水に酸性薬剤を添加した洗浄液を流すことにより行われる。なお、CIP処理では、加熱殺菌部で洗浄液を例えば80℃に保持して飲料供給系配管に循環させることによって処理される。これにより、飲料供給系配管内に付着した前回の製品の残留物等が除去される(例えば、特許文献2参照)。
SIP処理は、製品の充填作業に入る前に、予め上記飲料供給系配管内を殺菌するための処理であり、例えば、上記CIP処理で洗浄した飲料供給系配管内に加熱蒸気又は熱水を流すことによって高温での殺菌処理が行われる。このとき、加熱蒸気又は熱水は、例えば130℃に保持される。これにより、飲料供給系配管内が殺菌処理され無菌状態とされる(例えば、特許文献2参照)。
製品殺菌処理は、CIP処理及びSIP処理が行われた後に、飲料供給系配管に製品を流す際に、飲料供給系配管に配置された加熱殺菌部(UHT:Ultra High-temperature)によって製品が加熱、殺菌されることで行われる。これにより、滅菌された製品をボトルなどの容器へ充填することができる(例えば、特許文献1参照)。
特開2007-215893号公報 特開2007-22600号公報
上述した方法で飲料充填装置の洗浄および殺菌並びに、製品の殺菌処理を行うことで、製品の品質を正確かつ迅速に保証することができる。
しかし、飲料充填装置の飲料供給系配管に対して、CIP処理、SIP処理及び製品殺菌処理と異なる処理を続けて行う殺菌方法によると、CIP処理からSIP処理に移行する場合、CIP処理で用いた洗浄液を常温の無菌水で洗い流すすすぎ処理を行うため、図16に示すように加熱殺菌部の温度が低下してしまい、SIP処理を開始する際に再度加熱殺菌部の温度をSIP処理を行う温度まで昇温する必要があり、CIP処理及びSIP処理並びに、これらの処理の移行時間に非常に時間がかかるという課題を有していた。また、CIP処理とSIP処理の間及び製造工程とCIP処理の間には、UHTホールディングチューブの切替(スイングベント),各所フィルタの交換及び点検,ホモゲナイザーの分解洗浄などを行う切替作業が行われており、これらの切替作業に非常に時間を要するという課題があった。
このように従来の洗浄・殺菌方法によると、CIP処理やSIP処理を行っている間は製品の製造を行うことができないため、飲料充填装置の稼働率が低下してしまい、効率よく製品の製造を行うことができず、これを改善する要望が強くあった。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、飲料充填装置の稼働率を上げて、効率よく製品の製造を行うことができる飲料充填装置の洗浄・殺菌方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明に係る飲料充填装置の洗浄方法は、加熱殺菌部を経て充填機内へと製品を送る飲料供給系配管を備えた飲料充填装置の洗浄方法であって、前記飲料供給系配管に、製品に混入した異物をろ過する100~400メッシュの金属フィルタを用いる第1のろ過手段及び100~400メッシュの金属フィルタを用いる第2のろ過手段が、前記加熱殺菌部とアセプティックサージタンクの上流に設けられるマニホルドバルブの間に並列に備えられ、前記第1のろ過手段を用いて製品の充填を行っている間に、前記第2のろ過手段に付着した前記異物を除去することを特徴とする。本発明の他の実施の形態係る飲料充填装置の洗浄・殺菌方法は、加熱殺菌部を経て充填機内へと製品を送る飲料供給系配管を備えた飲料充填装置内について、前記飲料供給系配管内に付着した製品の残留異物の除去を行うCIP処理及び、前記飲料供給系配管内を殺菌するSIP処理を行う飲料充填装置の洗浄・殺菌方法において、前記CIP処理と前記SIP処理の間を停止させることなく、前記CIP処理と前記SIP処理を同時に又は連続的に行う飲料充填装置の洗浄・殺菌方法であって、前記製品を殺菌する前記加熱殺菌部に備えられるホモゲナイザーについてCIP処理とSIP処理を同時又は連続的に行うことを特徴とする。本発明の他の実施の形態に係る飲料充填装置の洗浄・殺菌方法は、加熱殺菌部を経て充填機内へと製品を送る飲料供給系配管を備えた飲料充填装置内について、前記飲料供給系配管内に付着した製品の残留異物の除去を行うCIP処理及び、前記飲料供給系配管内を殺菌するSIP処理を行う飲料充填装置の洗浄・殺菌方法において、前記CIP処理と前記SIP処理の間を停止させることなく、前記CIP処理を行った際に昇温した加熱殺菌部(UHT)の設定温度を下げることなく、前記SIP処理を行う温度まで昇温させ、前記CIP処理で用いる洗浄剤のすすぎ水は、前記加熱殺菌部の殺菌温度と前記加熱殺菌部内の流量から求めた殺菌強度を用いて処理を行い、前記CIP処理と前記SIP処理を連続的に行うことを特徴とする。
また、本発明の他の実施の形態に係る飲料充填装置の洗浄・殺菌方法において、加熱殺菌部を経て充填機内へと製品を送る飲料供給系配管を備えた飲料充填装置内について、前記飲料供給系配管内に付着した製品の残留異物の除去を行うCIP処理及び、前記飲料供給系配管内を殺菌するSIP処理を行う飲料充填装置の洗浄・殺菌方法において、前記CIP処理と前記SIP処理の間を停止させることなく、前記CIP処理を行った際に昇温した加熱殺菌部(UHT)の設定温度を下げることなく、前記SIP処理を行う温度まで昇温させ、又は前記CIP処理におけるすすぎ工程において前記SIP処理を行う温度まで昇温させ、前記CIP処理と前記SIP処理を連続的に行う飲料充填装置の洗浄・殺菌方法であって、前記SIP処理の後、製品殺菌処理を行いながら製品を容器に充填する充填工程を行う、第1の製造工程と、前記第1の製造工程とは異なる製品を製造するために、前記CIP処理及び前記SIP処理を含む第2の製造工程と有し、前記第1の製造工程及び前記第2の製造工程は、前記加熱殺菌部の温度を前記CIP処理での設定温度以下に下げずに行われると好適である。
Figure 0007116036000001
また、本発明の他の実施の形態に係る飲料充填装置の洗浄・殺菌方法において、前記SIP処理は、前記飲料供給系配管にある温度計から得られた値を前式に代入し、所定の値になった時点で処理を終了すると好適である。
また、本発明の他の実施の形態に係る飲料充填装置の洗浄・殺菌方法において、前記SIP処理の後、製品殺菌処理を行いながら製品を容器に充填する充填工程を行う、第1の製造工程と、前記第1の製造工程とは異なる製品を製造するために、前記CIP処理及び前記SIP処理を含む第2の製造工程と有し、前記第1の製造工程及び前記第2の製造工程は、前記加熱殺菌部の温度を前記CIP処理での設定温度以下に下げずに行われると好適である。
また、本発明の他の実施の形態に係る飲料充填装置の洗浄・殺菌方法において、前記飲料供給系配管は、前記製品をろ過するろ過手段を備え、前記ろ過手段は、少なくとも前記第1の製造工程に用いられる第1のろ過手段と、前記第2の製造工程に用いられる第2のろ過手段を切り替える切替工程を備えると好適である。
また、本発明の他の実施の形態に係る飲料充填装置の洗浄・殺菌方法において、前記第1の製造工程の際に、前記第2のろ過手段に付着した残留異物を除去する清掃工程を備えると好適である。
また、本発明の他の実施の形態に係る飲料充填装置の洗浄・殺菌方法において、前記CIP処理で用いる洗浄剤のすすぎ水は、前記CIP処理で用いたすすぎ水の排熱を利用する熱交換器を介して昇温されると好適である。
本発明に係る飲料充填装置は、加熱殺菌部を経て充填機内へと製品を送る飲料供給系配管を備えた飲料充填装置であって、前記飲料供給系配管に、製品に混入した異物をろ過する100~400メッシュの金属フィルタを用いる第1のろ過手段及び10~100メッシュの金属フィルタを用いる第2のろ過手段が、前記加熱殺菌部とアセプティックサージタンクの上流に設けられるマニホルドバルブの間に並列に備えられ、前記第1のろ過手段と前記第2のろ過手段に、いずれかを製造に用いるか切り替えるための切替手段を備えること特徴とする。本発明の他の実施の形態に係る飲料充填装置は、加熱殺菌部を経て充填機内へと製品を送る飲料供給系配管を備えた飲料充填装置内について、前記飲料供給系配管内に付着した製品の残留異物の除去を行うCIP処理及び、前記飲料供給系配管内を殺菌するSIP処理を行う飲料充填装置において、前記CIP処理と前記SIP処理の間を停止させることなく、前記CIP処理と前記SIP処理を同時に又は連続的に行う飲料充填装置であって、前記製品を殺菌する前記加熱殺菌部に自動洗浄可能なホモゲナイザーを設けることを特徴とする。
また、本発明の他の実施の形態に係る飲料充填装置において、前記ホモゲナイザーは前記加熱殺菌部において、前記製品が50℃~70℃の温度となる箇所に設けられると好適である。
本発明によれば、飲料充填装置の殺菌について、洗浄液を用いてCIP処理を行った後、送液ポンプを停止せずに、SIP処理に移行すると共に、SIP処理で用いられる無菌水によって飲料供給系配管のすすぎを行うので、CIP処理からSIP処理に移行する移行時間を短縮することができる。同時にCIP処理後の水を排水することなく、次のSIP処理に使用するため、大幅な節水が可能となる。加えてSIP処理に必要な温度まで昇温する温度が小さい(又は不要となる)ため、蒸気エネルギーも大幅に削減できる。
また、本発明によれば、SIP処理は殺菌温度と流量から求めた実際の殺菌強度(F値)を用いて殺菌保証を行っているので、従来の温度と時間を管理する殺菌方法と比較して正確且つ迅速にSIP処理を行うことができ、製品の充填作業に早期に着手することで製品の切り替えに要する時間を短縮し、製品を効率よく製造することができる。
また、本発明によれば、CIP処理、SIP処理及び製品殺菌処理を含む第1の製造工程と、この第1の製造工程と連続して、第1の製造工程とは異なる製品を充填するためにCIP処理、SIP処理及び製品殺菌処理を行う第2の製造工程とを行うので、製造する製品を切り替えながら飲料充填装置を用いて製品の製造を行う場合であっても、飲料充填装置の稼働率を上げて製品を効率よく製造することができる。
また、本発明によれば、飲料供給系配管は、第1のろ過手段と第2のろ過手段を有しているので、第1のろ過手段を用いて第1の製造工程を行っている間に、第2のろ過手段を洗浄することで、これらのろ過手段の洗浄を効率良く行うことができる(図1(a)参照)。
本発明に係る洗浄・殺菌方法を行う飲料充填装置のブロック図である。 本発明に係る洗浄・殺菌方法を行う飲料充填装置の変形例を示すブロック図である。 本発明に係る洗浄・殺菌方法において、飲料供給系配管で加熱殺菌部からアセプティックサージタンク手前までの上流側配管部に対しCIP処理又はSIP処理を行っている状態を示すブロック図である。 本発明に係る洗浄・殺菌方法において、飲料供給系配管でアセプティックサージタンク以降から充填ノズルまでの下流側配管部に対しCIP処理又はSIP処理を行っている状態を示すブロック図である。 本発明に係る洗浄・殺菌方法において、飲料供給系配管全体にCIP処理を行う場合の状態を示すブロック図である。 製品のボトル詰め製品を生産している状態を示すブロック図である。 本発明に係る洗浄・殺菌方法における上流側配管に対するCIP処理、SIP処理及び製造工程での温度変化を説明するためのグラフである。 本発明に係る洗浄・殺菌方法における上流側配管に対するCIP処理、SIP処理及び製造工程での他の温度変化を説明するためのグラフである。 本発明に係る洗浄・殺菌方法における上流側配管に対するCIP処理、SIP処理及び製造工程での他の温度変化を説明するためのグラフである。 本発明に係る洗浄・殺菌方法において、上流側配管に対してCIP処理及びSIP処理を同時に行った場合の製造工程での温度変化を説明するためのグラフである。 本発明に係る洗浄・殺菌方法における下流側配管に対するCIP処理、SIP処理及び製造工程での温度変化を説明するためのグラフである。 本発明に係る洗浄・殺菌方法における下流側配管に対するCIP処理、SIP処理及び製造工程での他の温度変化を説明するためのグラフである。 本発明に係る洗浄・殺菌方法における下流側配管に対するCIP処理、SIP処理及び製造工程での他の温度変化を説明するためのグラフである。 本発明に係る洗浄・殺菌方法における下流側配管に対するCIP処理、SIP処理及び製造工程での他の温度変化を説明するためのグラフである。 本発明に係る洗浄・殺菌方法において、異なる製品を連続して製造する場合の、CIP処理、SIP処理及び製造工程での温度変化を説明するためのグラフである。 ホールディングチューブの詳細を説明するための図。 従来の洗浄・殺菌方法でのCIP処理、SIP処理及び製造工程での温度変化を説明するためのグラフである。
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
最初に、飲料充填装置の構造について説明し、その次に、この装置の洗浄・殺菌方法および、製品の充填方法について説明する。
図1(a)に示すように、飲料充填装置は、製品である飲料の調合装置1と、飲料をボトル4に充填する充填機2とを備える。調合装置1と充填機2内の充填ノズル2aとの間は、飲料供給系配管7で結ばれている。また、充填機2は無菌チャンバ3で囲まれている。
調合装置1は、例えば茶飲料、果実飲料等の飲料を各々所望の配合割合で調合するためのものであって、公知の装置であるからその詳細な説明は省略する。
充填機2は、多数の充填ノズル2aを水平面内で高速回転するホイール(図示せず)の回りに配置してなるもので、ホイールの回転と共に充填ノズル2aを旋回運動させつつ、充填ノズル2aの下をホイールの周速度に同調して走行する各ボトル4に、充填ノズル2aから飲料を定量充填するための機械である。この充填機2も公知の装置であるからその詳細な説明は省略する。
この飲料充填装置の飲料供給系配管7は、その調合装置1から充填機2に至る管路中に、飲料の流れから見て上流側から下流側へと順に、バランスタンク5、加熱殺菌部(UHT:Ultra High-temperature)18、マニホルドバルブ8、アセプティックサージタンク19、ヘッドタンク11を備える。
UHT18は、その内部に第1段加熱部12、第2段加熱部13、ホールディングチューブ14、第1段冷却部15、第2段冷却部16等を備え、バランスタンク5から供給される飲料又は水を第1段加熱部12から第2段加熱部13へと送りながら徐々に加熱し、第2段加熱部13の出口で目標温度に達し、ホールディングチューブ14内で一定時間殺菌温度を保持し、その後、第1段冷却部15、第2段冷却部16へと送って徐々に冷却するものである。加熱部や冷却部の段数は必要に応じて増減される。なお、UHT18は、自動洗浄可能なホモゲナイザーを設置した構成としても構わない。設置箇所は、製品中身の温度が50~70℃程度になる第1段加熱部と第2段加熱部の間か、第1段冷却部と第2段冷却部の間に設置すると好適である。前者の場合は、一般的なホモゲナイザーで問題ないが、後者の場合は無菌仕様のホモゲナイザーを設置する必要がある。
その他、バランスタンク5、マニホルドバルブ8、アセプティックサージタンク19、ヘッドタンク11は共に公知の装置であるから、その詳細な説明は省略する。
次に、CIP処理及びSIP処理を行う処理経路について説明を行う。図2中太線で示すように、上記飲料供給系配管7のうち、バランスタンク5とUHT18を経てマニホルドバルブ8に至る上流側配管部7aに対し帰還路6が設けられることによって、CIP処理又はSIP処理を行うための循環路である上流側処理経路が形成され、図3中太線で示すように、マニホルドバルブ8、アセプティックサージタンク19、ヘッドタンク11及び充填機2を経てマニホルドバルブ8に循環する下流側配管部7bに対して帰還路6aが設けられることによって、CIP処理又はSIP処理を行うための循環路である下流側処理経路が形成される。
また、上流側配管部7aには、その中に熱水等が供給された際に温度が上昇しにくい箇所を含む各箇所において温度センサ10が配置される。この温度センサ10が配置される箇所としては、例えばUHT18内の第1段加熱部12からマニホルドバルブ8へと向かう管路のうち、UHT18内の各部間と、第2段冷却部16を出た箇所、マニホルドバルブ8の手前の箇所を挙げることができ、これらの箇所に温度センサ10が各々配置される。これらの温度センサ10によって各々測定された温度の情報はコントローラ17へ送信される。
なお、バランスタンク5は、充填温度が100℃未満の開放タンクや100℃以上の流体を送液可能な第1種圧力容器に該当するタンク等、どのようなタンクを用いても構わないが、開放タンクを用いる場合には、マニホルドバルブ8とバランスタンク5の間に冷却装置を備えると好適である。
また、図3中太線で示すように、上記飲料供給系配管7のうち、上記上流側配管部7aより下流側のマニホルドバルブ8から、アセプティックサージタンク19と、ヘッドタンク11とを経由して充填機2内に至る下流側配管部7bに対しても、その中に加熱蒸気等が供給された際に温度が上昇しにくい箇所を含む各箇所において温度センサ10が配置される。この温度センサ10が配置される箇所としては、例えばアセプティックサージタンク19から充填ノズル2aに向かう管路のうち、アセプティックサージタンク19の出口近傍、途中の屈曲部、ヘッドタンク11の入口近傍と出口近傍、充填機2内のマニホルド2bと充填ノズル2aとの間を挙げることができ、これらの管路に温度センサ10が各々配置される。これらの温度センサ10により各々測定された温度の情報はコントローラ17へ送信される。
また、下流側配管部7bに対しては、CIP処理又はSIP処理のために充填機2の各充填ノズル2aの開口に対して各々接離可能なカップ9が配置される。CIP処理又はSIP処理を行う際に各カップ9が図示しないアクチュエータによって充填機2の充填ノズル2aの先端の開口に被せられることで、ドレン管20の始端が、充填ノズル2aの開口に接続される。
なお、上記飲料供給系配管7には、上記マニホルドバルブ8、図示しないアクチュエータのほか、各種切換え弁、送液ポンプ等が設けられ、これらも上記コントローラ17からの出力によって制御される。
なお、CIP処理又はSIP処理を上流側配管部7a及び下流側配管部7bに分けて処理を行わず、図4中太線で示すように、飲料供給系配管7を構成するバランスタンク5、UHT18、マニホルドバルブ8、アセプティックサージタンク19、ヘッドタンク11及び充填機2及び充填機2からバランスタンク5に至る循環路によって処理経路を形成しても構わない。
次に、上記飲料充填装置の洗浄・殺菌方法およびCIP処理からSIP処理への移行方法について、図2乃至図14に基づいて説明する。
(CIP処理)
コントローラ17の図示しないパネル上の操作ボタンが操作されると、飲料供給系配管7の上流側配管部7a及び下流側配管部7bについてCIP処理が各々所定の手順で実行される。CIP処理は、図示しない洗浄液供給源から供給される水に苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、次亜塩素酸ナトリウム又は界面活性剤などを混ぜたアルカリ性薬剤を添加したアルカリ性洗浄液を流した後に、図示しない洗浄液供給源から供給される水に硝酸系やリン酸系の酸性薬剤を添加した酸性洗浄液を流すことによって行われる。
図示しない洗浄液供給源から供給された洗浄液は、洗浄液を活性化するために上流側配管部7aに備えられたUHT18及び下流側配管部7bに備えられた加熱装置21によって所定の流量(例えば1.5m/秒以上)、所定の温度(例えば80℃)まで昇温される。また、図示しない洗浄液供給源からは一定量の洗浄液が常に又は間欠的に供給され、飲料供給系配管7内に付着した前回の飲料などの残留物を循環しながら除去する。また、適宜装置外へ排出してもよい。そして、所定の時間洗浄液を流した後、当該洗浄液をすすぐために水を注入して上流側配管部7a及び下流側配管部7bをすすぐすすぎ工程を行った後、CIP処理が終了となる。このCIP処理の終了はコントローラ17によって管理されて次にSIP処理へ移行する。
(SIP処理)
次に、CIP処理が終了すると、上流側処理経路と下流側処理経路のそれぞれについてSIP処理が各々所定の手順で実行される。SIP処理の開始に際してはマニホルドバルブ8によって上流側配管部7aと下流側配管部7bとの間が遮断される。
上流側処理経路のSIP処理と下流側処理経路のSIP処理は互いに順を追って又は並行して行うことが可能である。
まず、上流側処理経路についてSIP処理を行う場合について説明を行う。CIP処理を行う際に稼動していた送液ポンプを停止することなく図示しない水供給源から水がバランスタンク5を経て循環路内に送られ、この水がUHT18により加熱され殺菌されつつ循環路内を循環する。これにより、上流側処理経路内が殺菌される。このとき、送液ポンプが停止されていないので、CIP処理を行った際に昇温したUHT18の設定温度を下げることなく、SIP処理を行う温度まで昇温させるので、CIP処理とSIP処理の間の温度の低下を最小限に抑えることができる(図6参照)。
この上流側処理経路内を熱水が流れる際、上流側配管部7aの各所に配置された温度センサ10からコントローラ17に温度情報が一定時間間隔で送られる。この実施の形態では、ボトル4に充填する製品液である飲料のpHが4.6以上とされ、基準温度Trが121.1℃、Z値が10℃とされる。
熱水による加熱により昇温した各箇所の温度が121.1℃に達すると、その時点から各箇所のF値がコントローラ17によって演算される。演算式は次のとおりである。
Figure 0007116036000002
上記演算式に基づいて演算された各F値のうち、最小のF値が目標値に到達したところで、上流側配管部7aは殺菌完了となり、第1段冷却部15、第2段冷却部16に、冷却水が供給され、熱水は冷却される。洗浄剤をすすぐために供給される水は、次の製品中身に必要な殺菌価と同等以上の殺菌を第2段加熱部とホールディングチューブで行う必要がある。これも先のF値の演算式で常時算出し、殺菌価が低下しないようにF値を制御する。あるいは、洗浄効果を一定にするために、洗浄用のすすぎ水は、一定の温度と時間で殺菌した無菌水を用いても構わない(例えば、F0値4以上好ましくは30以上)。最終的
に、配管内に洗浄剤の残存がないことを図示しない導電率計等の機器で監視し、水に置き換わった時点で水の供給は停止し、循環し、飲料の殺菌開始まで連続循環待機となる。
次に、SIP処理の完了後、温度安定化工程によって飲料の製品殺菌処理を行う状態に飲料供給系配管の温度及び流量の設定を行う。このとき、製造する製品の殺菌温度に応じてSIP処理で昇温したUHT18の温度を調整することで製品殺菌処理を行う場合の設定温度まで温度(図6中a~c参照)の調整を行う。
温度安定化工程では、UHT18の各部位の殺菌温度とホールディングチューブ14を通過した時間を一秒ずつ記録する。この温度データ及び流量データはコントローラ17に送られて蓄積される。これらの温度データ及び流量データは、ホールディングチューブ14の通過時間(例えば60秒)の3~4倍の時間分を記録できると実際にホールディングチューブ14を通過した中身の殺菌価がどうであったかを算出できるため好適である(例えば200秒分)。
このとき、UHT18を通過する飲料の圧力がUHT18を加熱又は冷却する熱源又は冷媒の圧力よりも小さい場合、殺菌不良の可能性があるため、このような安全背圧を考慮して、UHT18を通過する飲料の圧力は、UHT18を加熱又は冷却する熱源又は冷媒の圧力よりも大きくなるように調整・設定される。
なお、上記F値の演算式において、製品液である飲料の種類に応じて基準温度Tr、Z値は変更可能である。
例えば、製品液のpHが4~4.6未満のときは基準温度Tr=85℃、Z値=7.8℃とすることができ、製品液のpHが4未満のときは基準温度Tr=65℃、Z値=5℃とすることができる。
また、緑茶飲料、ミネラルウォーター、チルド飲料等、製品液の微生物発育特性、流通温度等に合わせて上記演算式に代入する値を適宜変更することも可能である。
一方、飲料の種類に応じて上記F値を変更させ、飲料の殺菌条件を変更する方法以外にホールディングチューブの長さを変更してホールディングチューブを流通する時間を調整することで、殺菌加熱温度とホールディング時間によって殺菌条件を切り替えても良い。この場合、ホールディングチューブの長さは、2パターン以上(例えばホールディング時
間が30秒と60秒など)あると様々な飲料の殺菌条件を作りだすことができる。具体的には図15に示すように、第1の管路14a,第2の管路14b,第3の管路14c及び第4の管路14dを有し、これらの管路をバルブで切り替えることで組み合わせてホールディングチューブの全長を調整することができる。また、CIP処理とSIP処理を同時又は連続で行うため、自動バルブによって安全背圧に注意しながらホールディングチューブの長さを切り替えると良い。さらに、CIP処理とSIP処理は同時又は連続して行われるため、CIP処理及びSIP処理時に全てのホールディングチューブの管路を洗浄・滅菌し、その後、次に製造される際に使用するホールディングチューブのパターンに切り替えてもよい。なお、未使用のホールディングチューブはSIP処理の後、無菌エアを供給し、無菌保持状態で陽圧保持してもよく、未使用のホールディングチューブの末端バルブに排水用のブローバルブを設けて当該ホールディングチューブ内を無圧にしても良い。また、外部から菌がコンタミしないように、ホールディングチューブ前後のバルブに蒸気バリアを設けても良い。
なお、CIP処理からSIP処理への移行の際に行われるCIP処理で用いた洗浄剤のすすぎ工程は、図7に示すようにCIP処理が行われた温度からSIP処理が行われる温度まで昇温させながら行っても構わない。このときすすぎ工程で用いられるすすぎ水はUHT18で加熱されて行われるが、すすぎ工程での無菌を維持したまま流量を確保するために、図1(b)に示すように、バランスタンク5,8に入る前に熱交換器30を設置し、第1段冷却部15,第2段冷却部16で冷却を軽減させ(例えば、70℃以上、100℃未満、好ましくは80~90℃まで冷却し)、排水されるすすぎ水の排熱を利用してバランスタンク5,8に入るすすぎ水を昇温させる(例えば、10℃の水と熱交換した場合、40~80℃でバランスタンクへ供給される)と好適である。このように構成することで、すすぎ水の流量を大きくしてもUHT18で確実に昇温することができるので、すすぎ工程を短時間で効果的に実施することができる。また、すすぎ工程は、次の製品の殺菌価が得られる水を用いれば、図8に示すようにSIP処理中、又は図9に示すようにSIP処理後に行われる温度安定化工程で行っても良く、次の製造が開始される前までに洗浄剤を除去できれば良い。さらに、図9に示すように、殺菌温度を満たしたアルカリや酸でCIP処理すると同時にSIP処理を行い、次製品の規定の殺菌価以上の無菌水で配管内を洗浄し、洗浄剤が除去できた時点で次製造へ移行しても良い。
上記上流側配管部7aに対するSIP処理の開始と同時に、又は先立ってアセプティックサージタンク19も含めて、下流側処理経路のSIP処理が開始される。
次に、下流側処理経路に対するSIP処理について説明を行う。まず、カップ9が充填ノズル2aの開口にあてがわれ、充填ノズル2aにドレン管20が接続された後、アセプティックサージタンク19及びヘッドタンク11内へと加熱蒸気が図示しない加熱蒸気供給源から供給される。
この加熱蒸気は、アセプティックサージタンク19から、下流側配管部7b内を充填ノズル2a側へと流れ、各部を加熱した後にドレン管20から充填機2外へ排出される。また、SIP処理を上流側配管部7aと同様に水で行う場合には、図示しない水供給源から水がアセプティックサージタンク19を経て循環路内に送られ、この水が加熱装置21により加熱され殺菌されつつ帰還路6aを介して循環路内を循環する。これにより、下流側配管部7b内が温水又は熱水で殺菌される。なお、F値を用いた殺菌方法については、上流側配管部7aと同様の方法で行うため、詳細な説明は省略する。
この下流側配管部7b内を加熱蒸気が流れる際、下流側配管部7bの各所に配置された温度センサ10からコントローラ17に温度情報が一定時間間隔で送られる。
加熱蒸気による加熱により昇温した各箇所の温度が121.1℃に達すると、その時点から各箇所のF値がコントローラ17によって上記演算式により演算される。
演算された各F値のうち、最小のF値が目標値に到達したところで、上記加熱蒸気はアセプティックサージタンク19や下流側配管部7b内への供給が停止される。下流側配管部7b内のSIP時間についても、従来のSIP時間に比べ大幅に短縮される。
この後、下流側配管部7b内に無菌エア又は無菌水又は製品が送り込まれ、図10に示すように下流側配管部7b内が例えば常温まで冷却される。そして、ドレン管20が遮断される。さらに、図示しないアクチュエータによって各充填ノズル2aの開口からカップ9が外される。無菌水は、下流側処理経路のSIP処理が完了し水運転で待機中の製品殺菌機から送液してもよいが、無菌水(図示なし)をマニホルドバルブ8から受け入れ、冷却に用いても構わない。無菌水での冷却を開始するタイミングは、SIP処理の後のタンク温度が110℃を下回るまで(好ましくは100℃以下まで)無菌エアで行い、それ以降に行うと良い。無菌水を供給する動作は間欠タイマーを用い、タンクが急冷により減圧しないように無菌エアをタンク内に供給しながら加圧下で行う。タンクの温度が30~90℃程度まで冷却され、冷却が完了した後、陽圧を維持したまま無菌エアでタンク及び配管内に溜まった無菌水をブローし、製品を受け入れる。また、無菌水を受け入れることなく、直接製品を受け入れても構わない。このように、無菌水又は製品を加えた冷却は、エアに比べて短時間に冷却することが可能である。また、上記冷却プロセスと同時にタンクのジャケットに水又はチラー水を供給することでタンクを急冷させても良い。また、SIP処理の無菌エアによる冷却工程において、冷却完了温度に達した箇所から、ブローバルブを順番に閉め、冷めにくい箇所へ冷却用無菌エアを効率よく回しても良い。
また、次に製造される飲料が、炭酸飲料である場合には、上記無菌水をアセプティックサージタンク19の前後から図示しない炭酸ラインを経由し、ヘッドタンク11及び充填ノズル2aまで送液される。炭酸ラインでは、上記無菌水をチラー水で更に冷却し(1~5℃)、これによりSIP処理後の予熱を完全に除去し、充填時の炭酸ガスによるフォーミングを抑制することができる。
なお、上流側配管で説明した場合と同様に、CIP処理からSIP処理への移行の際に行われるCIP処理で用いた洗浄剤のすすぎ工程は、図11に示すようにCIP処理が行われた温度からSIP処理が行われる温度まで昇温させながら行っても構わない。また、すすぎ工程は、次の製品の殺菌価が得られる水を用いれば、図12に示すようにSIP処理中、又は図13に示すようにSIP処理後に行われる冷却工程で行っても良く、次の製造が開始される前までに洗浄剤を除去できれば良い。さらに、図13に示すように、殺菌温度を満たしたアルカリや酸でCIP処理すると同時にSIP処理を行い、次製品の規定の殺菌価以上の無菌水で配管内を洗浄し、洗浄剤が除去できた時点で次製造へ移行しても良い。
さらに、上流側処理経路と下流側処理経路の片方がCIP処理中に、もう片方のSIP処理を行うには、マニホルドバルブ8の中にある双方の経路が交差する個所の間に蒸気が流れるバルブユニット(蒸気バリア)を設けると好適である。これにより、万が一、双方のバルブの一方が破損しても反対側の経路内を汚染させるリスクが減少する。あるいは、蒸気を用いるのではなく、無菌水を用いても良く、また交差する箇所にバルブを複数台設けることにより、バルブ破損時のリスクを低減させることもできる。
(製造工程)
アセプティックサージタンク19以降、下流側処理経路のSIP処理が終了した後、UHT18から上流側配管部7aを通ってアセプティックサージタンク19に飲料が貯められ、そこから飲料が下流側配管部7bを通って、ボトル4内への飲料の充填作業を行う製造工程が開始される。
図5中太線で示したように製造工程では、調合装置1で調合された飲料が殺菌処理された飲料供給系配管7の上流側配管部7aと下流側配管部7bを通って充填機2内に至り、充填機2の充填ノズル2aから容器であるボトル4に充填される。飲料が充填されたボトル4は、図示しないキャッパによりキャッピングされた後、充填機2の外に送り出される。
なお、製造工程が終了した後、前回製造した製品と異なる種類の製品を製造する第2の製造工程を連続してすることもできる。この場合、再度上述したCIP処理及びSIP処理と同様に飲料供給系配管7の洗浄及び殺菌を行う必要があるが、第2の製造工程のCIP処理を開始する際に、飲料供給系配管7内に水又は無菌水等を流すすすぎ処理を行いながら第1の製造工程でのUHT18の設定温度からCIP処理の設定温度に移行することでCIP処理に移行すると好適である(図14参照)。
また、飲料供給系配管7には、製品に混入した異物をろ過するろ過手段を備えていると好適である。ろ過手段は、ステンレス鋼などの金属フィルタなどからなるろ過部材を備える第1のろ過手段と第2のろ過手段とが並列に配置されており、第1のろ過手段22aと第2のろ過手段22bとを自動又は手動で切り替える切替手段23,23を備えている。
第1のろ過手段22aと第2のろ過手段22bは、ステンレス鋼等の金属フィルタが好適に用いられ、第1のろ過手段22aと第2のろ過手段22bとは、メッシュの粗さ(サイズ)が異なっていると好適である。この場合、例えば、第1のろ過手段22aには、より微細な異物を除去できるように100~400メッシュの金属フィルタを用い、第2のろ過手段22bには、製品に含まれる果肉やパルプなどが適切に通過できるように10~100メッシュの粗い金属フィルタを用いると好適である。このように、第1のろ過手段22aと第2のろ過手段22bとで番手の異なるろ過手段を用いることで、製造する製品に応じた適切な異物除去を行うことができる。
また、第1のろ過手段22aと第2のろ過手段22bとは、切替手段23,23によっていずれのろ過手段を用いるか切り替えることができるように構成されている。このように切替手段23,23を備えることで、図5に示すように例えば第1のろ過手段22aを用いて製品の充填を行っている間、第2のろ過手段22bに付着した異物を除去する清掃工程で清掃することで、製品の製造中に有効にろ過手段の清掃・点検を行うことが可能となる。また、フィルタの清掃・点検後、単独でCIP処理又はSIP処理を行っても構わない。なお、切替手段23は、第1のろ過手段22a及び第2のろ過手段22bの両方に送液を行うように切り替えることも可能であり、この場合、第1のろ過手段22aと第2のろ過手段22bの両方を同時にCIP処理やSIP処理を行うことも可能である。切替手段23には製品側へ薬剤や菌類のコンタミリスクを低減させるために、前述の蒸気バリアを設けても良い。
なお、図1(a)に示すように、ろ過手段は、アセプティックサージタンク19からヘッドタンク11の間に設けられる他、例えば、第2段冷却部(最終冷却部)16からマニホルドバルブ8の間に設けても構わない。また、ろ過手段は並列で複数本設置しても構わない。さらに、ろ過手段の設置場所は、上述した場所以外に、バランスタンク5の上流側や充填ノズルの先端に設けても構わない。
このように、ろ過手段は第1のろ過手段と第2のろ過手段とが並列に配置されているので、例えば、第1の製造工程で製品を製造している際は、第1のろ過手段によって製品のろ過を行い、第2の製造工程で製品を製造している際は、第2のろ過手段によって製品のろ過を行うことができる。このとき、製品のろ過をしていない他方のろ過手段は、製品の製造と並行して製造工程で付着した残留異物を除去する清掃工程とパッキンなどのゴムや金属異物が含まれていないか確認する点検作業が行われると好適である。このように、清掃作業と点検作業を製造中に行うことで、第1の製造工程から第2の製造工程に切り替わる際に、連続的に清掃されたろ過手段を用いることができ、製品充填装置の稼働率の向上に寄与する。
また、F値は上述したように、流体の流量と温度を変更することで種々の飲料に応じた殺菌条件を作りだすことができるが、通常CIP処理での流量は製品製造時よりも大きいため、F値を保持するためには温度を下げる必要があり、高温度とすることは難しい。このため、既存の設備を用いる場合には流量を洗浄可能な流量まで下げてCIP処理を行っても構わない。あるいは、既存の設備に改良を加えて、加熱部の段数を増やしたり、加熱部の長さを延長するなどして温度を上げられるように能力を高めたりしても構わない。さらに、冷却部の設定を調整してCIP処理中の冷却能力を落とすことで、流量を上げても加熱部で必要な殺菌温度まで上げられるように構成しても構わない。
本発明は以上説明したように構成されるが、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々変更可能である。また、マニホルドバルブ8を設けず、殺菌機からフィラーまでを同時にCIP処理及びSIP処理を施し、上述した温度安定化工程の制御を行ってもよい。また下流側配管部7bは、アセプティックサージタンクとヘッドタンクを同時にCIP処理及びSIP処理を行った場合について説明を行ったが、それぞれ分けてCIP処理及びSIP処理を行っても良い。これにより、配管内滞液量が少なくなり、CIP処理及びSIP処理が短時間で終了する。さらに、本明細書において、本発明はUHT(加熱殺菌部)の形態は、シェル&チューブ式熱交換器の例を説明したが、UHTの形態はこれに限られず、例えば、プレート式熱交換器を用いても構わない。また、これらの間接加熱法に限らず、直接加熱法を適用しても構わない。またさらに、本発明は、製品として飲料を充填する飲料充填装置について説明を行ったが、製品は飲料に限らず、例えば、医薬品、食品、流動食及び固形物入りの飲料を充填することも可能である。さらに、CIP処理からSIP処理への移行について、SIP処理の温度がCIP処理の設定温度よりも高い場合について説明を行ったが、例えばCIP処理とSIP処理が同じ温度で行われても構わないし、CIP処理のほうがSIP処理よりも高い温度で行われても構わない。さらに、CIP処理で使用する水は一般的な水が用いられるが、SIP処理も兼ねて90℃を超えて処理が行われる場合には、カルシウムの析出を抑えるために一般水ではなく純水を用いると好適である。
また、F値を測定、積算する時間間隔は、1分間隔のほか、1から5秒間隔であってもよく、その間隔は計測器の能力等に応じて種々変更可能である。
2…充填機
6…上流側帰還路
7…飲料供給系配管
7a…上流側配管部
7b…下流側配管部
18…加熱殺菌部

Claims (2)

  1. 加熱殺菌部を経て充填機内へと製品を送る飲料供給系配管を備えた飲料充填装置の洗浄方法であって、
    前記飲料供給系配管に、製品に混入した異物をろ過する100~400メッシュの金属フィルタを用いる第1のろ過手段及び10~100メッシュの金属フィルタを用いる第2のろ過手段が、前記加熱殺菌部とアセプティックサージタンクの上流に設けられるマニホルドバルブの間に並列に備えられ、前記第1のろ過手段を用いて製品の充填を行っている間に、前記第2のろ過手段に付着した前記異物を除去することを特徴とする飲料充填装置の洗浄方法。
  2. 加熱殺菌部を経て充填機内へと製品を送る飲料供給系配管を備えた飲料充填装置であって、
    前記飲料供給系配管に、製品に混入した異物をろ過する100~400メッシュの金属フィルタを用いる第1のろ過手段及び10~100メッシュの金属フィルタを用いる第2のろ過手段が、前記加熱殺菌部とアセプティックサージタンクの上流に設けられるマニホルドバルブの間に並列に備えられ、
    前記第1のろ過手段と前記第2のろ過手段に、いずれかを製造に用いるか切り替えるための切替手段を備えること特徴とする飲料充填装置。
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