JP7114971B2 - R-t-b系永久磁石 - Google Patents

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Description

本発明は、R-T-B系永久磁石に関する。特に可変磁力モータを構成する可変磁束磁石に好適な永久磁石に関する。
民生、産業、輸送機器の動力装置として、インバータ制御による省エネルギー化が可能で、高効率な永久磁石同期モータが用いられてきた。しかしながら、永久磁石の磁束が一定である永久磁石同期モータは、回転速度に比例して誘導電圧が高くなるため、幅広い回転速度での駆動が困難となる。そのため、中・高速域および軽負荷時において、誘導電圧が電源電圧以上とならないよう、電機子電流による減磁界により永久磁石の磁束を相殺させ鎖交磁束を減少させる、弱め界磁制御という手法が永久磁石同期モータに適用されるようになった。しかし、減磁界を印加し続けるためにモータ出力に寄与しない電機子電流を常時流し続けるため、結果としてモータの効率を低下させてしまうという問題がある。
このような問題を解決するために、たとえば、特許文献1には、外部から磁界を作用させることにより、磁化が可逆的に変化する低保磁力のSm-Co系永久磁石(可変磁束磁石)と、可変磁束磁石に磁界を作用させる固定磁束磁石とを組み合わせた可変磁力モータが記載されている。可変磁力モータでは、中・高速域および軽負荷時において、可変磁束磁石の磁化を小さくすることによって、従来のような弱め界磁によるモータの効率低下を抑制することができる。
しかしながら、特許文献1に記載されているSm-Co系永久磁石は、その主要な原料であるCoの価格が高く、高コストであるという問題があった。また、可変磁束磁石であるSm-Co系永久磁石の飽和磁化は最大でも12.5kG程度であり、固定磁束磁石であるネオジム磁石の飽和磁化には及ばない。そのため、固定磁束磁石と可変磁束磁石との磁力の差が生じて、可変磁力モータの出力および効率が低下するという問題があった。
そこで、可変磁束磁石用の永久磁石として、R-T-B系永久磁石を適用することが考えられる。
特許文献2には、残留磁束密度Brが11kG以上であり、保磁力HcJが5kOe以下であり、残留磁束密度Brを0にするために要する外部磁界が1.10HcJ以下であるR-T-B系永久磁石が記載されている。このR-T-B系永久磁石は、希土類元素R、遷移金属元素T及びホウ素Bを含む結晶粒子を備え、結晶粒子内でのCuの含有率が、結晶粒子内の全元素に対して0.5~0.6原子%であることが記載されている。
特許文献3には、組成が(Ce1-x-yR1R2FeCoである永久磁石が記載されている。R1は、Nd、Pr、Sm、Laから選ばれる少なくとも1種であり、R2は、Tb、Dy、R1で選ばれなかった元素から選ばれる少なくとも1種である。また、Mは、Ti等の元素であり、Xは、Ga等の元素であり、Aは、FおよびOから選ばれる少なくとも1種である。この永久磁石は、磁化状態を変化させることができ、低保磁力であることが記載されている。
特許文献4には、R-Fe-B系磁石が記載されている。このR-Fe-B系磁石においては、平均結晶粒径が0.01μm以上2μm以下でありNd14B型結晶相の集合組織を有する粉末粒子が結合しており、この粉末粒子間に位置する領域に希土類リッチ相が存在し、その希土類リッチ相の個数密度が1.6×10個/mm以上である。しかしながら、このR-Fe-B系磁石は高保磁力を得ることを目的としており、可変磁束磁石に適用できる磁気特性を有していない。
特開2010-34522号公報 国際公開第2012/090765号 特開2010-74084号公報 特開2012-99852号公報
特許文献2に記載のR-T-B系永久磁石は、従来の可変磁力モータ用Sm-Co系永久磁石よりも高い残留磁束密度を有しており、可変磁力モータの高出力化および高効率化が期待される。しかしながら、特許文献2に記載のR-T-B系永久磁石は、飽和着磁状態における磁気特性しか記載されていない。
ここで飽和着磁状態とは、飽和磁場印加により試料が磁化された状態をいう。特許文献2に記載のR-T-B系永久磁石は、飽和着磁状態の残留磁束密度を実現するためには、保磁力に対して少なくとも3倍以上高い着磁磁場Hmagが必要となる。そのため、特許文献2に記載のR-T-B系永久磁石は低保磁力であるにも関わらず当該R-T-B系永久磁石の磁化切替に要する着磁磁場Hmagは大きくなる。着磁磁場Hmagが大きくなると、モータのステータコイルで印加できる磁場の上限を超えてしまうという問題があった。
また、本発明者らは、可変磁力モータの高効率運転範囲を広くするためには、磁化切替に係るマイナーループにおいて、磁場の変化に対して磁化の変化が小さいことが必要であることを見出した。特に、ヒステリシス曲線の第2および第3象限から第1および第4象限まで、磁化の変化が小さいことが好ましい。この望ましい状態を、本明細書では、マイナー曲線平坦性が高いと表現する。
さらに、可変磁力モータでは、ある部分着磁状態から別の部分着磁状態への逐次増減磁を伴うような無段階可変が想定されているが、マイナー曲線平坦性が第2および第3象限において高くても、第1および第4象限において低い場合、逐次増磁を行う際に所望の着磁状態まで増磁するのが困難になる。無段階可変の制御性のためには、第2および第3象限から第1および第4象限までのマイナー曲線平坦性が高いことが求められる。
しかしながら、特許文献2に記載のR-T-B系永久磁石は、飽和着磁状態ですら、磁場の変化に対する磁化の変化が大きい。したがって、飽和磁場よりも低い磁場で着磁した場合のマイナーループにおいては、磁場の変化に対する磁化の変化がさらに大きくなってしまうという問題があった。
また、特許文献3においては、着磁磁場が10kOeである時に、第2および第3象限におけるマイナー曲線平坦性は比較的に良好であることが記載されているが、第1および第4象限におけるマイナー曲線平坦性は何ら評価されていない。第1および第4象限におけるマイナー曲線平坦性が低い場合、磁化を変化させるための折り返し磁場が特定できず、制御不能となってしまう。
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、保磁力および着磁磁場が低く、着磁磁場が低い状態においても、高い残留磁束密度を有し、マイナー曲線平坦性が高いR-T-B系永久磁石を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明のR-T-B系永久磁石は、
[1]R14B型正方晶構造を有する化合物からなる主相結晶粒子と、前記主相結晶粒子間に存在する粒界相と、を有するR-T-B系永久磁石であって、
Rが、スカンジウムおよびイットリウムを含む希土類元素から選ばれる1種以上であり、Tが、鉄を含む1種以上の遷移金属元素、または、鉄およびコバルトを含む2種以上の遷移金属元素であり、
主相結晶粒子の平均結晶粒子径D50が1.00μm以下であり、
R-T-B系永久磁石に含まれる炭素量が3000ppm以上であることを特徴とするR-T-B系永久磁石である。
[2]炭素は、粒界相において、R、TおよびBと化合物を形成していることを特徴とする[1]に記載のR-T-B系永久磁石である。
[3]化合物は、主相結晶粒子内のR濃度、B濃度およびC濃度よりも、R濃度、B濃度およびC濃度が高く、主相結晶粒子内のT濃度よりも、T濃度が低いR-T-B-C系化合物であることを特徴とする[2]に記載のR-T-B系永久磁石である。
[4]R-T-B系永久磁石のRを、R1、R2およびSmで表した場合に、
R1は、Ndを含み、Y、CeおよびSmを含まない1種以上の希土類元素であり、R2は、YおよびCeから選ばれる1種以上の元素であり、
R-T-B系永久磁石に含まれるRの総原子数を1とし、Rの総原子数に対するR2の原子数の比率をxとし、Rの総原子数に対するSmの原子数の比率をyとした場合に、
xおよびyは、(x、y)平面において、点A(0.000,0.050)、点B(0.000,0.150)、点C(0.700,0.100)、点D(0.700,0.000)、点E(0.300,0.000)をこの順に時計回りに結ぶ直線上および当該直線に囲まれる領域内にあることを特徴とする[1]から[3]のいずれかに記載のR-T-B系永久磁石である。
本発明によれば、保磁力および着磁磁場が低く、着磁磁場が低い状態においても、高い残留磁束密度を有し、マイナー曲線平坦性が高いR-T-B系永久磁石を提供することができる。
図1は、可変磁束磁石に求められる特性を説明するための模式的なヒステリシスループである。 図2は、本実施形態に係るR-T-B系永久磁石の断面を示す模式図である。 図3は、本実施形態に係るR-T-B系永久磁石に含まれる希土類元素がR1とR2とSmとで構成され、それらの総原子数比を1とした場合において、R2の原子数比とSmの原子数比との関係を示すグラフである。 図4は、本発明の実施例において、磁場を7.0kOe、7.5kOe、8.0kOeとした場合のマイナーループを示す図である。 図5は、本発明の実施例において、着磁磁場が8.0kOeである場合のマイナーループにおいて、マイナー曲線平坦性を示す図である。
以下、本発明を、具体的な実施形態に基づき、以下の順序で詳細に説明する。
1.可変磁束磁石に求められる特性
2.R-T-B系永久磁石
2.1 主相結晶粒子
2.1.1 主相結晶粒子の組成
2.1.2 主相結晶粒子の結晶粒子径
2.2 粒界相
2.3 R-T-B系永久磁石の組成
3.R-T-B系永久磁石の製造方法
3.1 合金作製工程
3.1.1 HDDR処理
3.2 粉砕工程
3.3 成形工程
3.4 焼結工程
4.本実施形態における効果
(1.可変磁束磁石に求められる特性)
本実施形態に係るR-T-B系永久磁石は、可変磁束磁石に好適な磁石である。そこで、可変磁束磁石に求められる特性について説明する。
可変磁束磁石は、外部からの磁場により、磁化状態の切替えが可能な磁石であり、高磁化状態と低磁化状態とを可逆的に実現できる。このような可変磁束磁石が組み込まれた可変磁力モータでは、電機子等の磁場を回転数および負荷状態に応じて制御し、高いトルクが必要な場合(低回転時または高負荷時)には、大きな磁束を示すように、高いトルクが必要ない場合(高回転時または低負荷時)には、小さな磁束を示すように可変磁束磁石の磁化状態が制御される。このような可変磁束磁石により、トルク値にかかわらず、可変磁力モータの効率を高めることができる。
可変磁束磁石の磁化状態は所定のマイナーループに従って切り替えられる。マイナーループは、図1に示すヒステリシスループHL上で負の折り返し磁場を印加後、再び磁場を増加させていく場合に示す磁化変化挙動である。本実施形態におけるマイナーループは、正方向磁場Hmagを印加して着磁した後、負の折り返し磁場Hrevを印加し、再び磁場Hmagまで磁場を掃引する場合の磁化変化挙動である。
可変磁束磁石に求められる特性としては、まず、省エネルギーおよび外部から印加する磁場の上限を考慮して、磁化切替えに要する着磁磁場Hmagを小さくする必要がある。本実施形態では、着磁磁場Hmagは、繰り返し測定に対する再現性が得られる必要最低限の磁場として定義する。着磁磁場Hmagを低くするには、可変磁束磁石の保磁力が小さいことが求められる。
また、可変磁力モータが高効率で作動可能な範囲を広くするためには、可変磁束磁石の着磁時と減磁時との間の磁化変化量を大きくする必要があり、そのためには、着磁磁場Hmagにおいて、マイナーループの残留磁束密度Brが高いことが求められる。
さらに、マイナーループ中で負の折り返し磁場Hrevから磁場Hmagまで磁場を掃引する場合にできるだけHmagに近い磁場まで、すなわち、ヒステリシス曲線の第2および第3象限から第1および第4象限まで、磁化が変化しないことが望ましい。磁化が変化すると、磁化の可変範囲が狭くなる、磁化の制御が困難となる等の不具合が生じるからである。
上述したように、上記の磁化の変化状態はマイナー曲線平坦性という指標で表すことができる。本実施形態では、マイナー曲線平坦性は、磁化が0からのマイナーループの磁化が、飽和磁化Jsに対して50%反転する磁場H_50%Jsと保磁力HcJ_Hmagとの比率として定義する。すなわち、マイナー曲線平坦性=100×(H_50%Js/HcJ_Hmag)である。マイナー曲線平坦性が高いほど、負の折り返し磁場Hrevから磁場Hmagまでの間の磁化の変化が小さいことになり、好ましい。
たとえば、図1において、Hmagから、負の折り返し磁場Hrev=-HcJ_Hmagを印加し、再びHmagまで掃引すると、磁化はML1またはML2に沿って変化する。磁化がML1に沿って変化する場合、HrevからHmagに掃引しても、磁化の変化は小さく、H_50%JsはHcJ_Hmagに非常に近い。したがって、磁化がML1に沿って変化する場合、マイナー曲線平坦性は高い。
一方、磁化がML2に沿って変化する場合、HrevからHmagへ掃引すると、磁化はすぐに変化し、H_50%JsはHcJ_Hmagよりもかなり小さい。したがって、磁化がML2に沿って変化する場合、マイナー曲線平坦性は低い。
ところで、R-T-B系永久磁石は、ニュークリエーション(Nucleation)型磁化反転機構を有している。そのため、主相結晶粒子は通常多磁区構造を有しており、粒内に磁壁が存在し、高い着磁磁場Hmagまで残り続けるため、外部から印加される磁場に応じて磁壁の移動が容易に生じて、磁化が大きく変化する。また、粒子ごとにニュークリエーション磁場が異なるため、この要因によっても、外部から印加される磁場に応じて、磁化が大きく変化する。
すなわち、R-T-B系永久磁石は、機構上、低い着磁磁場Hmagでの着磁性が悪い。また、マイナーループ中で負の折り返し磁場Hrevから磁場Hmagまで磁場を掃引する場合には、R-T-B系永久磁石は、機構上、ピンニング型の磁石に比べて、磁化が変化しやすい。
したがって、R-T-B系永久磁石において、正方向磁場Hmagでの着磁後の減磁過程、および負の折り返し磁場Hrevからの増磁過程で当該磁石の磁化の変化を抑制するためには、R-T-B系永久磁石の磁気特性を担うR14B主相結晶粒子が、着磁磁場Hmagが低い場合であっても、単磁区構造を有し、着磁後の単磁区構造が安定していることが好ましい。
そこで、本実施形態では、主相結晶粒子が単磁区構造を安定して有するように、主相結晶粒子の結晶粒子径は小さい必要がある。
また、ニュークリエーション磁場が粒子ごとに異なる理由は、主相結晶粒子の粒度分布にばらつきがあるからである。したがって、マイナー曲線平坦性を良好にするには、主相結晶粒子の結晶粒子径を小さいだけでは足りず、その粒度分布を狭くする必要がある。すなわち、主相結晶粒子が粗大粒となることを抑制する必要がある。主相結晶粒子が粗大粒となる場合には、単磁区構造の安定化およびニュークリエーション磁場の均一化の両方が阻害されるからである。
(2.R-T-B系永久磁石)
本実施形態に係るR-T-B系永久磁石は、R14B型正方晶構造を有する化合物からなる主相結晶粒子と、主相結晶粒子間に存在する粒界相と、を有する。以降、R14B型正方晶構造を有する化合物を、R14B化合物ともいう。また、本実施形態に係るR-T-B系永久磁石は、原料合金粉末を成形して得られる成形体を焼結させた焼結磁石である。したがって、図2に示すように、本実施形態に係るR-T-B系永久磁石1において、複数の主相結晶粒子2が存在し、主相結晶粒子2間に粒界相4が存在している。
本実施形態では、R-T-B系永久磁石は、酸化防止のためにその表面に樹脂、金属等から構成される保護膜を有していてもよい。
(2.1 主相結晶粒子)
本実施形態では、主相結晶粒子はR14B化合物からなる。主相結晶粒子は、強磁性を示し、R-T-B系永久磁石の磁気特性を担っている。
(2.1.1 主相結晶粒子の組成)
14B化合物におけるRは、スカンジウム(Sc)およびイットリウム(Y)を含む希土類元素から選ばれる1種以上である。希土類元素とは、長周期型周期表の第3族に属するScとYとランタノイド元素とである。ランタノイド元素は、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロメチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユウロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)およびルテチウム(Lu)である。
また、本実施形態では、保磁力を小さくするという観点から、R-T-B系永久磁石のRを、R1とR2とSmとの3つのグループに分けることができる。具体的には、R1は、Ndを含み、Y、CeおよびSmを含まない1種以上の希土類元素であり、R2は、Y、Ceから選ばれる1種以上の元素である。YおよびCeは、R14B化合物である場合の異方性磁界が、Nd等のR1よりも小さい。また、Sm14B化合物は面内異方性を有しているため、R114B化合物が示す強い異方性磁界を少量で劇的に低くすることができる。そこで、Ndを、YおよびCeから選ばれる1種以上および/またはSmで置換することにより、R-T-B系永久磁石の保磁力を小さくできる。さらに、R2とSmとがR1を置換する割合を制御することにより、R-T-B系永久磁石の保磁力を小さくできることに加えて、可変磁束磁石に好適な磁気特性をより高めることができる。
Rが、上記のR1とR2とSmとから構成される場合、Rの総原子数を1とした場合において、Rの総原子数に対するR2の原子数の比率を「x」とし、R全体の原子数に対するSmの原子数の比率を「y」とすると、Rは、R11-x-yR2Smと表すことができる。
R-T-B系永久磁石に含まれるRの大部分は、主相結晶粒子に含まれるので、R14B化合物は、R1とR2とSmとが所定の割合で含まれる(R1-R2-Sm)14B化合物と表すことができる。
そこで、本実施形態では、xおよびyは、図3に示す点A(0.000,0.050)、点B(0.000,0.150)、点C(0.700,0.100)、点D(0.700,0.000)、点E(0.300,0.000)をこの順に時計回りに結ぶ直線上および当該直線に囲まれる領域(図3ではハッチング部分)内であることが好ましい。xおよびyが図3に示す上記の範囲内であることにより、磁石の保磁力をさらに低くしつつ、着磁磁場も低くなり、かつその低い着磁磁場において高い残留磁束密度と良好なマイナー曲線平坦性とを得ることができる。
また、xおよびyは、図3に示す点F(0.000,0.075)、点G(0.000,0.125)、点H(0.100,0.125)、点I(0.200,0.100)、点J(0.200,0.050)、点K(0.100,0.075)をこの順に時計回りに結ぶ直線上および当該直線に囲まれる領域(図3ではクロスハッチング部分)内であることがより好ましい。xおよびyが図3に示す上記の範囲内であることにより、上記の効果をより高めることができる。
また、xおよびyは、x=0、かつ0.075≦y≦0.125であることがさらに好ましい。すなわち、R1をSmで上記の範囲内で置換することがさらに好ましい。xおよびyが上記の関係を満足することにより、上記の効果をさらに高めることができる。
本実施形態では、R14B化合物におけるTは、鉄(Fe)を含む1種以上の遷移金属元素、または、鉄(Fe)およびコバルト(Co)を含む2種以上の遷移金属元素である。Coは、R-T-B系永久磁石に必要とされる特性に応じてR14B化合物に含まれる元素であり、当該特性に応じてその含有量を設定すればよい。本実施形態では、Co量は、T量に対して、0at%以上10at%以下であることが好ましい。
Co量を上記の範囲内とすることにより、R-T-B系永久磁石におけるキュリー温度を高めることができ、温度上昇に対する保磁力の低下を抑制することが可能となる。さらに、R-T-B系永久磁石の耐食性を向上させることができる。
本実施形態では、R14B化合物において、ホウ素(B)の一部が炭素(C)により置換されていてもよい。Cは、R-T-B系永久磁石に必要とされる特性に応じてR14B化合物に含まれる元素であり、当該特性に応じてその含有量を設定すればよい。本実施形態では、C量は、(B+C)量に対して、0at%以上40at%以下であることが好ましい。
(2.1.2 主相結晶粒子の結晶粒子径)
上述したように、主相結晶粒子の結晶粒子径は、可変磁束磁石に求められる特性、特に、マイナー曲線平坦性に大きな影響を与える。そこで、本実施形態では、主相結晶粒子の平均結晶粒子径D50は1.00μm以下である。D50は0.30μm以上1.00μm以下であることがより好ましい。D50は、0.50μm以上であることがさらに好ましく、また、D50は、1.00μm以下であることがさらに好ましい。本実施形態では、D50が上記の範囲内である場合には、主相結晶粒子の結晶粒子径が小さいと判断できる。
また、主相結晶粒子の結晶粒子径分布におけるD90は3.00μm以下であることが好ましい。D90は2.00μm以下であることがより好ましく、1.40μm以下であることがさらに好ましい。D90は、主相結晶粒子の結晶粒子径の粒度分布の指標であり、D90が上記の範囲内である場合には、主相結晶粒子の結晶粒子径の粒度分布が狭いと判断することができる。
また、D90がD50に近いほど異常粒成長した粗大粒子が多く存在しないことを意味し、D90がD50から離れて大きくなるほど粗大粒子が多いことを示す。
なお、D50およびD90は、後述するHDDR処理、後述する粒界相に存在する炭素、焼結条件等により制御される。
D50が大きすぎる場合、主相結晶粒子の結晶粒子径が大きくなるので、主相結晶粒子の単磁区構造が不安定となり、マイナー曲線平坦性が低下する傾向にある。
D50が小さく粒成長が不十分である場合、焼結が不十分であることを意味しており、焼結体に空隙が発生する傾向にある。空隙が発生すると、Brが低下する傾向にあり、好ましくない。また、D50が小さくなることで、HcJ_Hmagも増加する傾向があるため、好ましくない。したがって、本実施形態では、D50の下限値は0.30μmであることが好ましい。
D90は、特に、粒界相に存在する炭素(C)の影響を受けやすい傾向にある。磁石に含まれるC量が少なすぎる場合、粒界相に存在するCも少なくなってしまう。このような状況下で、緻密な焼結体が得られる焼結温度で焼結すると、主相結晶粒子が粗大粒になりやすく、D90が上記の範囲を超えてしまう傾向にあるからである。その結果、主相結晶粒子の単磁区構造が不安定となり、さらに主相結晶粒子のニュークリエーション磁場にもバラツキが生じるので、マイナー曲線平坦性が低下する傾向にある。
D90の下限値は小さいほど好ましいが、D50よりも小さくなることはない。したがって、D90の下限値はD50の下限値に一致する。
なお、本実施形態において、D50は、主相結晶粒子の面積の累積分布が50%となる面積を有する円の直径(円相当径)であり、D90は、主相結晶粒子の面積の累積分布が90%となる面積の円相当径である。
主相結晶粒子の面積は、たとえば、焼結後の磁石の切断面を観察した際に現れる主相結晶粒子の面積を測定すればよい。具体的には、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて、焼結後の磁石の研磨断面を観察し、反射電子組成像(COMPO)を得る。断面は、配向軸に平行であっても、配向軸に直交していても、あるいは配向軸と任意の角度であってよい。また、倍率は、当該断面において、20nm以上の2粒子粒界相を認識できる倍率、たとえば10000倍以上とすればよい。
得られた反射電子像の画像を2値化し、主相結晶粒子である領域と粒界相である領域とを同定し、主相結晶粒子の面積を算出することができる。
なお、2値化は反射電子像の信号強度を基準に行うことができる。反射電子像の信号強度は原子番号が大きい元素の含有量が多いほど強くなることが知られている。粒界相領域には、原子番号の大きい希土類元素が主相結晶粒子領域よりも多く存在しているので、所定レベルで2値化して主相結晶粒子領域と粒界相領域とを特定することができる。また、測定の際に2値化することにより、2つの主相結晶粒子間に形成される二粒子界面である領域が特定されなくても、その特定されない二粒子界面の領域の面積は、粒界相領域全体の面積の誤差範囲である。したがって、主相結晶粒子領域の面積にも影響を与えるものではない。
面積を測定する主相結晶粒子の数は、本実施形態では、150~300個程度であることが好ましい。
(2.2 粒界相)
図2に示すように、粒界相4は、主相結晶粒子2間に存在している。粒界相4は、主として、2つの主相結晶粒子間に形成される二粒子粒界4aと、3つ以上の主相結晶粒子間に形成される三重点4bと、から構成される。
本実施形態では、粒界相に炭素(C)を存在させることにより、主相結晶粒子の結晶粒子径を制御している。粒界相に存在するC量は、R-T-B系永久磁石に含まれるC量に対応する傾向がある。したがって、本実施形態では、R-T-B系永久磁石に含まれるCの含有量を制御しており、その範囲は、3000ppm以上であり、4000ppm以上であることが好ましく、5000ppm以上であることがより好ましい。
一方、R-T-B系永久磁石に含まれるCの含有量の上限値は、可変磁束磁石に求められる特性が得られる限りにおいて、特に制限されず、本実施形態では、10000ppm以下であることが好ましい。
焼結時に、粒界相中にCを存在させることにより、HDDR処理で微細化された主相結晶粒子を均等に粒成長させて、緻密な焼結体を得ることができるとともに、主相結晶粒子の平均結晶粒子径D50およびD90を小さくして、上述した範囲内とすることができる。特に、D90を小さくすることができる。換言すれば、炭素(C)が粒界相中に存在することにより、焼結時に主相結晶粒子間に介在して、主相結晶粒子の粒成長を制御することができる。その結果、主相結晶粒子のD50およびD90を上記の範囲内とすることができる。
R-T-B系永久磁石の焼結体中のC量を測定する方法は、従来、一般的に知られている方法を用いることができる。炭素量は、たとえば、酸素気流中燃焼-赤外線吸収法により測定することができる。
本実施形態では、粒界相における炭素(C)の存在形態としては、特に制限されないが、R、TおよびBと化合物を形成していることが好ましい。この化合物は、R、T、BおよびCを含有する化合物であり、化合物におけるR濃度は、主相結晶粒子を構成するR14B化合物におけるR濃度よりも高い。同様に、R-T-B-C系化合物におけるB濃度は、主相結晶粒子を構成するR14B化合物におけるB濃度よりも高く、R-T-B-C系化合物におけるC濃度は、主相結晶粒子を構成するR14B化合物におけるC濃度よりも高い。一方、R-T-B-C系化合物におけるT濃度は、主相結晶粒子を構成するR14B化合物におけるT濃度よりも低い。なお、R-T-B系永久磁石のRが、R1、R2およびSmから構成される場合には、R-T-B-C系化合物には、R1、R2およびSmから選ばれる1つ以上が含有されていればよい。
以降、R-T-B-C系化合物から構成される相を、R-T-B-C相ともいう。なお、本実施形態では、R-T-B-C相は三重点4bに存在していることが好ましい。
また、本実施形態では、粒界相の面積に対するR-T-B-C相の面積比が、5%以上であることが好ましい。一方、面積比は88%以下であることが好ましい。R-T-B-C相の面積比を上記の範囲内とすることにより、粒界におけるCの存在状態を好適にすることができ、主相結晶粒子のD90を制御して小さくすることができる。その結果、磁石のマイナー曲線平坦性を向上させることができる。
また、R-T-B-C相の面積比は、12%以上であることがより好ましい。一方、面積比は、86%以下であることがより好ましい。
面積比が大きすぎる場合、緻密な焼結体が得られる焼結温度が高くなってしまう傾向にある。焼結温度が高くなりすぎると、R-T-B-C相が形成されても異常粒成長を抑制することができなくなってしまう。一方、異常粒成長しない温度で焼結すると、焼結体に空隙が発生する傾向にある。
面積比が小さすぎる場合、緻密な焼結体が得られる焼結温度において、主相結晶粒子の一部が粗大粒となってしまい、D90が上記の範囲を超えてしまう傾向にある。その結果、マイナー曲線平坦性が低下する傾向にある。
本実施形態では、R-T-B-C相において、R原子に対するB原子の比であるB/Rが0.30以上0.70以下であることが好ましい。B/Rを上記の範囲内とすることにより、主相結晶粒子のD90を制御して、小さくすることができる。
B/Rが大きすぎる場合、緻密な焼結体が得られる焼結温度において、主相結晶粒子の一部が粗大粒となってしまい、D90が上記の範囲を超えてしまう傾向にある。その結果、マイナー曲線平坦性が低下する傾向にある。
B/Rが小さすぎる場合、緻密な焼結体が得られる焼結温度が高くなってしまう傾向にある。焼結温度が高くなりすぎると、R-T-B-C相が形成されても異常粒成長を抑制することができなくなってしまう。一方、異常粒成長しない温度で焼結すると、焼結体に空隙が発生する傾向にある。
また、R-T-B-C相において、R原子に対するC原子の比であるC/Rが0.60以上1.40以下であることが好ましい。C/Rを上記の範囲内とすることにより、主相結晶粒子のD90を制御して、小さくすることができる。
C/Rが大きすぎる場合、緻密な焼結体が得られる焼結温度が高くなってしまう傾向にある。焼結温度が高くなりすぎると、R-T-B-C相が形成されても異常粒成長を抑制することができなくなってしまう。一方、異常粒成長しない温度で焼結すると、焼結体に空隙が発生する傾向にある。
C/Rが小さすぎる場合、緻密な焼結体が得られる焼結温度において、主相結晶粒子の一部が粗大粒となってしまい、D90が上記の範囲を超えてしまう傾向にある。その結果、マイナー曲線平坦性が低下する傾向にある。
なお、R-T-B-C相には、O(酸素)が含まれていてもよいが、その濃度は低いことが好ましい。具体的には、R-T-B-C相において、R原子に対するO原子の比であるO/Rが0.20未満であることが好ましい。
上記のR-T-B-C相の同定は、本実施形態では、以下のようにして行うことができる。上述した主相結晶粒子の面積を測定する場合と同様に、R-T-B系永久磁石の断面の反射電子像から主相結晶粒子と粒界相とを同定する。次に、当該断面を、たとえば、EPMA(電子線マイクロアナライザー:Electron Probe Micro Analyzer)を用いて、当該断面に存在する元素の分布を測定し、元素マッピングデータを得る。
得られる元素マッピングデータから、主相結晶粒子領域におけるR、T、B、Cの各元素の特性X線強度の平均値と標準偏差を算出する。続いて、当該断面の元素マッピングデータにおいて、主相結晶粒子領域における特性X線強度の値(平均値+3×標準偏差)よりも特性X線強度の値が大きい領域と小さい領域とを、それぞれの元素について特定する。それぞれの元素について、特性X線強度の値が大きい領域を主相結晶粒子内よりも高濃度の領域とし、特性X線強度の値が小さい領域を、主相結晶粒子内よりも低濃度の領域と定義する。
反射電子像から同定された粒界相と、R、B、Cの各元素の濃度が主相結晶粒子内よりも大きい領域と、Tの濃度が主相結晶粒子内よりも小さい領域と、がすべて重なり合う領域を、粒界相におけるR-T-B-C相として同定することができる。また、R-T-B-C相の面積比は、粒界相の面積と、R-T-B-C相の面積とから算出することができる。
また、B/RおよびC/Rについては、上記において同定されたR-T-B-C相におけるB濃度、C濃度およびR濃度から、それぞれ算出すればよい。
(2.3 R-T-B系永久磁石の組成)
R-T-B系永久磁石の組成は、上述したR14B化合物が主相となるように制御されていれば、特に制限されない。たとえば、R-T-B系永久磁石におけるRの含有量は、14at%以上20at%以下であり、R-T-B系永久磁石におけるTの含有量は、70at%以上82at%以下であり、R-T-B系永久磁石におけるBの含有量は、4at%以上7at%以下である。
R-T-B系永久磁石は、主相結晶粒子の粉末冶金工程中での反応を促進するAl、Cu、Zr、Nb、Gaの1種以上を含有してもよい。これらの元素の含有量は0.5~4at%とすることが好ましい。R-T-B系永久磁石にこれらの元素を添加することで、主相結晶粒子の表面層を反応させ、歪み、欠陥等を除去できる。
また、R-T-B系永久磁石は、チタン(Ti)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、タンタル(Ta)、シリコン(Si)、バナジウム(V)、銀(Ag)、ゲルマニウム(Ge)等を含んでいてもよい。また、原料に由来する不純物、製造時に混入する不純物等の不可避的不純物を含んでもよい。本実施形態では、上記のTi等の元素および不可避的不純物の含有量の合計は、R-T-B系永久磁石に対して、1at%以下であることが好ましい。
また、R-T-B系永久磁石は、酸素(O)を含有していてもよい。O(酸素)の含有量は1000~8000ppmであることが好ましい。Oの含有量が少なすぎると、磁石の耐食性が不十分となり、Oの含有量が多すぎると、磁石中に液相が十分に形成されなくなり、保磁力が低下する。耐食性及び保磁力をより良好に得るために、1500~3000ppmであることが好ましい。
また、R-T-B系永久磁石は、窒素(N)を含有していてもよい。Nの含有量が8000ppm以下であることが好ましい。Nの含有量が多すぎると、保磁力が不十分となる傾向にある。
焼結後のR-T-B系永久磁石の組成は、たとえば、ICP発光分光分析法(ICP-AES:Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectroscopy)にて測定することが可能である。
また、焼結後のR-T-B系永久磁石中の酸素量および窒素量の測定方法は、従来、一般的に知られている方法を用いることができる。酸素量は、たとえば、不活性ガス融解-非分散型赤外線吸収法により測定され、窒素量は、たとえば、不活性ガス融解-熱伝導度法により測定される。
(3.R-T-B系永久磁石の製造方法)
次に、本実施形態に係るR-T-B系永久磁石の製造方法の一例について以下に説明する。
(3.1 合金作製工程)
まず、本実施形態に係るR-T-B系永久磁石を製造するための原料金属を準備する。原料金属は、真空または不活性ガス雰囲気中で溶解され、所定の組成を有する原料合金が作製される。
原料金属としては、たとえば、希土類金属または希土類合金、純鉄、フェロボロン、および、これらの合金等が例示される。原料合金の組成は、所望のR-T-B系永久磁石の組成に応じて調整すればよい。また、溶解時に、添加元素として、Al、Cu、Zr、Nb、Ga等の原料金属を添加してもよい。
原料金属を溶解して原料合金を得る方法は、公知の溶解法であれば、特に制限されず、たとえば、ストリップキャスト法、高周波誘導溶解等が例示される。溶解時の雰囲気としては、真空または不活性ガスとすることが好ましく、アルゴン(Ar)雰囲気がより好ましい。
ストリップキャスト法では、原料金属をAr雰囲気などの非酸化雰囲気中で溶解して得た原料合金の溶湯を回転するロールの表面に出湯させる。ロールで急冷された溶湯は、薄板または薄片(鱗片)状に急冷凝固される。この急冷凝固された合金は、結晶粒径が1μm~50μmの均質な組織を有している。また、還元拡散法によって得られた合金を原料合金として用いることもできる。
本実施形態では、原料合金を用いて磁石を製造する方法としては、1種類の原料合金を用いるいわゆるシングル合金法を採用するが、主相結晶粒子であるR14B化合物を主体とする主相形成用原料合金(低R合金)と、低R合金よりRを多く含み、粒界相の形成に有効に寄与する粒界相形成用原料合金(高R合金)とを用いるいわゆる混合法を採用してもよい。
(3.1.1 HDDR処理)
本実施形態では、原料合金に対して、HDDR(Hydrogenation-Disproportionation-Desorption-Recombination)処理を行う。HDDR処理とは、原料合金の水素化(Hydrogenation)、不均化(Disproportionation)、脱水素化(Desorption)、および再結合(Recombination)を順次実行することにより、微細化された結晶粒を含む粉末を化学的に得
るプロセスである。HDDR処理により得られる粉末を用いてR-T-B系永久磁石を製造することにより、焼結後の主相結晶粒子の結晶粒子径を小さく、かつその粒度分布を狭くすることができる。
HDDR処理では、原料合金を、Hガス雰囲気またはHガスと不活性ガスとの混合雰囲気中で700℃~900℃に保持し、それによって原料合金を水素化させた後、雰囲気におけるHガスの分圧が13Pa以下になるまで、700℃~900℃で原料合金を脱水素処理し、次いで冷却する。これにより、微細な組織のHDDR合金が得られる。
(3.2 粉砕工程)
作製された原料合金は粉砕工程に供される。混合法による場合には、低R合金および高R合金は別々に、または、一緒に粉砕される。粉砕工程は、粗粉砕工程と微粉砕工程とに分けられる。まず、HDDR合金を粒径が数百μm程度になるまで粗粉砕する。
粗粉砕は、原料合金に水素を吸蔵させた後に放出させることにより粉砕を行なう水素粉砕が効果的である。水素放出処理は、希土類焼結磁石として不純物となる水素を減少させることを目的として行われる。水素吸蔵時の温度は室温である。水素吸蔵後の脱水素のための加熱保持の温度は、200~400℃以上とし、望ましくは300℃とする。保持時間は、保持温度との関係、原料合金の組成、重量等によって変わり、1kg当たり少なくとも30分以上、望ましくは1時間以上とする。水素放出処理は、真空中又はArガスフローにて行う。
本実施形態では、粗粉砕工程は、水素粉砕とすることが好ましいが、HDDR合金に対し、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等を用いてさらに機械的な粗粉砕を行ってもよい。
粗粉砕工程後、微粉砕工程を行う。微粉砕には主にジェットミルが用いられ、粒径が数百μm程度である粗粉砕後の粉末を、平均粒径1.2μm~4μm、好ましくは1.5μm~3μmとなるまで粉砕する。ジェットミルは、高圧の不活性ガスを狭いノズルから開放することにより高速のガス流を発生させ、この高速のガス流により粗粉砕粉末を加速し、粗粉砕粉末同士の衝突やターゲットまたは容器壁との衝突を発生させて粉砕する方法である。粉砕された粉末は粉砕機内蔵の分級ロータおよび粉砕機下流のサイクロンによって分級される。
微粉砕には湿式粉砕を用いてもよい。湿式粉砕にはボールミルや湿式アトライタ等が用いられ、粒径が数百μm程度である粗粉砕粉末を、平均粒径1.5μm~4μm、好ましくは2μm~3μmとなるまで粉砕する。湿式粉砕では適切な分散媒を選択することにより、合金粉が酸素に触れることなく粉砕が進行するため、酸素濃度が低い微粉末が得られる。
本実施形態では、粒界相に含有されるC源として、および、後述する成形工程時の潤滑、磁石の配向性の向上等を目的として、微粉砕時、および/または、微粉砕後の粉体に、脂肪酸または脂肪酸の誘導体や炭化水素等を0.1wt%~2.0wt%程度添加することができる。このようにすることにより、Cを、主相結晶粒子内ではなく、粒界相に存在させることができる。
脂肪酸または脂肪酸の誘導体としては、たとえば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、ラウリド酸アミド等が例示され、炭化水素としては、パラフィン、ナフタレン等が例示される。
(3.3 成形工程)
続いて、微粉砕後の粉体を成形する。本実施形態では、成形は磁場を印加しながら行う。磁場中成形における成形圧力は0.3ton/cm~3ton/cm(30MPa~300MPa)の範囲とすればよい。成形圧力は成形開始から終了まで一定であってもよく、漸増または漸減してもよく、あるいは不規則変化してもよい。成形圧力が低いほど配向性は良好となるが、成形圧力が低すぎると成形体の強度が不足してハンドリングに問題が生じるので、この点を考慮して成形圧力を設定すればよい。磁場中成形で得られる成形体の最終的な相対密度は、通常、40%~60%である。
印加する磁場は、960kA/m~1600kA/m程度とすればよい。印加する磁場は静磁場に限定されず、パルス状の磁場とすることもできる。また、静磁場とパルス状磁場を併用することもできる。
(3.4 焼結工程)
成形体は焼結工程に供される。焼結は真空または不活性ガス雰囲気中にて行う。保持温度および保持時間は、磁石の組成、合金粉の粉砕方法、主相結晶粒子の平均結晶粒子径および粒度分布等を考慮して、調整すればよい。本実施形態では、保持温度が800℃~1000℃、保持時間が1分~20時間であることが好ましい。保持時間は、4時間~20時間であることがより好ましい。
本実施形態では、焼結時に、粒界相にCが存在することにより、HDDR処理により微細化されたR14B結晶粒子間にCが介在して、異常粒成長を抑制し、狭い粒度分布を維持した状態としつつ、ある程度の粒成長を許容する。その結果、主相結晶粒子の結晶粒子径を、上記のD50およびD90の範囲内とすることができる。
焼結後、得られた焼結体に時効処理を施してもよい。時効処理条件は、焼結体の微細構造を考慮して、適宜設定すればよい。たとえば、処理温度は400℃~900℃の温度範囲に設定することができる。
(4.本実施形態における効果)
本実施形態では、可変磁束磁石として好適なR-T-B系永久磁石を得るために、R14B化合物からなる主相結晶粒子間に存在する粒界相に、Cを存在させている。粒界相に存在するCは、焼結時に、主相結晶粒子間に介在して、主相結晶粒子の粒成長を制御することができる。すなわち、主相結晶粒子を緻密な焼結体が得られる程度に粒成長させつつ、主相結晶粒子の異常粒成長を抑制することができる。
その結果、主相結晶粒子のD50およびD90を上述した範囲内とすることができ、主相結晶粒子の単磁区構造が安定化され、かつ主相結晶粒子のニュークリエーション磁場のバラツキが抑制される。したがって、ニュークリエーション型の磁石では、機構的に解決が困難であった低磁場での着磁性およびマイナーループの急勾配の問題を解決し、R-T-B系永久磁石でありながら、可変磁束磁石に必要な特性、特に、マイナー曲線平坦性を良好とすることができる。
粒界相に存在するCは、R-T-B系永久磁石の焼結体に含まれるC量に対応する傾向にある。そこで、本実施形態では、R-T-B系永久磁石の焼結体に含まれるC量を上述した範囲内とすることにより、主相結晶粒子の結晶粒子径を間接的に制御している。
また、R-T-B系永久磁石に含まれる希土類元素として、Nd14B化合物に代表されるR114B化合物の高い異方性磁界を低くすることができる希土類元素でR1を置換することにより、可変磁束磁石に必要な特性を維持しつつ、低保磁力を実現することができる。特に、R1に対するYおよび/Ceの置換割合と、R1に対するSmの置換割合とを制御することにより、保磁力を低下させつつ、着磁磁場も低くし、その低い着磁磁場における残留磁束密度およびマイナー曲線平坦性を良好にすることができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の範囲内において種々の態様で改変しても良い。
以下、実施例において、本発明をさらに詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実験例1~10)
まず、表1に示す組成のR-T-B系永久磁石が得られるように原料を配合し、それらの原料を溶解したのち、ストリップキャスティング法により鋳造して、フレーク状の原料合金を得た。
次いで、これらの原料合金に対してHDDR処理を行った。HDDR処理では、Hガス雰囲気で800℃に保持することにより、水素化させた後、雰囲気におけるHガスの分圧が1Pa以下になるまで、800℃で脱水素処理し、次いで冷却することにより、HDDR合金を得た。
次にHDDR合金に対して室温で水素を吸蔵させた後、Ar雰囲気で300℃での1時間の熱処理の後、一旦室温まで冷却し、真空雰囲気で再び300℃での1時間の熱処理を行う水素粉砕を行った。その後、得られた粉砕物をAr雰囲気下で室温まで冷却した。
次に、粗粉砕粉末に、粒界相における炭素源および粉砕助剤として、ラウリド酸アミドを0.1~2質量%を添加した後、ジェットミルを用いて微粉砕を行った。微粉砕に際しては、微粉砕粉末の平均粒径が1.5μmとなるように、ジェットミルの分級ロータの回転速度を調節した。
得られた微粉砕粉末を、電磁石中に配置された金型内に充填し、1200kA/mの磁場を印加しながら120MPaの圧力を加える磁場中成形を行い、成形体を得た。
その後、得られた成形体を、真空中、表2に示す温度で4時間保持して焼結した後、急冷して、焼結体(R-T-B系永久磁石)を得た。そして、得られた焼結体をAr雰囲気下、590℃で1時間の時効処理を施し、実験例1~10の各R-T-B系永久磁石の試料を得た。
なお、本実施例では、上記のこのHDDR処理から焼結までの各工程を、50ppm未満の酸素濃度の不活性ガス雰囲気下で行った。
得られた実験例1~10の試料について、組成分析を行った結果を表1に示す。なお、表1に示した各元素の含有量はICP発光分光分析法により測定した。また、組成分析結果より、xおよびyを算出し、xとyとの関係を図3にプロットした。
Figure 0007114971000001
得られた試料について、焼結体に含まれるC量を酸素気流中燃焼-赤外線吸収法により測定した。結果を表2に示す。
また、主相結晶粒子のD50およびD90を以下のようにして測定した。まず、試料の切断面において、10μm角の領域をSEMにより観察し、反射電子像を得た。得られた反射電子像を画像解析ソフトに取り込んで、200個の主相結晶粒子について、それらの輪郭を抽出し、主相結晶粒子の面積を求めた。得られた主相結晶粒子の面積の累積分布が50%、90%となる面積円相当径をそれぞれD50、D90とした。結果を表2に示す。
得られた各試料の断面の表面をイオンミリングで削り、最表面の酸化等の影響を除いた後、イオンミリング後の断面をEPMA(電子線マイクロアナライザー:Electron Probe Micro Analyzer)を用いて、40μm角の領域について、反射電子像を得た後、当該領域の元素マッピング(256点×256点)を行なった。
得られた反射電子像および元素マッピングデータより、以下のような手順で、粒界相にR-T-B-C相が存在するか否かを評価した。
得られた反射電子像の画像を2値化し、主相結晶粒子領域と粒界相領域とを同定し、主相結晶粒子の面積と粒界相の面積とを算出した。なお、2値化は反射電子像の信号強度を基準に行った。
得られる元素マッピングデータから、主相結晶粒子領域におけるR、T、B、Cの各元素の特性X線強度の平均値と標準偏差を算出した。続いて、当該断面の元素マッピングデータにおいて、主相結晶粒子領域における特性X線強度の値(平均値+3×標準偏差)よりも特性X線強度の値が大きい領域と小さい領域とを、それぞれの元素について特定した。それぞれの元素について、特性X線強度の値が大きい領域を主相結晶粒子内よりも高濃度の領域とし、特性X線強度の値が小さい領域を、主相結晶粒子内よりも低濃度の領域とした。
反射電子像から同定された粒界相と、R、B、Cの各元素の濃度が主相結晶粒子内よりも大きい領域と、Tの濃度が主相結晶粒子内よりも小さい領域と、がすべて重なり合う領域を、粒界相におけるR-T-B-C相とした。R-T-B-C相が存在する場合には、その面積を算出した。また、R-T-B-C相の面積比は、粒界相の面積と、R-T-B-C相の面積とから算出した。結果を表2に示す。
また、B/RおよびC/Rについては、上記において同定されたR-T-B-C相において、定量分析を行い、各元素の濃度から、R原子に対するB原子の比率(B/R)とR原子に対するC原子の比率(C/R)を算出した。R-T-B-C相内の3箇所においてB/RおよびC/Rを算出し、測定値の平均値をその試料の(B/R)および(C/R)の値とした。結果を表2に示す。
次に、空隙の面積比率を算出した。まず、上記と同様にして、反射電子像の画像を所定レベルで2値化し、空隙部分を同定して、空隙部分の面積を算出した。算出した空隙部分の面積を、主相結晶粒子の面積と粒界相の面積と空隙部分の面積との合計で割ることにより、全面積に占める空隙の面積比率を算出した。結果を表2に示す。
続いて、得られた試料の着磁磁場Hmagと、着磁磁場Hmagにおける保磁力HcJおよび残留磁束密度Brを、BHトレーサーを用いて、以下のようにして測定した。
まず、最大磁場30kOeで測定したJ-Hヒステリシス曲線(メジャーループ)の保磁力HcJ_30kOeと等しい磁場の値から、一定間隔で最大磁場を増加させながらマイナーループを測定し、マイナーループが閉じて、かつ対称な形状となる磁場を求め、これを着磁磁場Hmagとした。実験例5についてのマイナーループの測定結果を図4に示す。図4においては、磁場が、7.0kOe、7.5kOe、8.0kOeのいずれの場合にも、閉じたマイナーループが得られているが、対称な形状であるマイナーループは8.0kOeの場合のみであった。したがって、実験例5の着磁磁場Hmagは、8.0kOeであった。本実施例では、Hmagは9.0kOe以下である試料を良好であると判断した。結果を表2に示す。
続いて、着磁磁場Hmag印加時における保磁力を、HcJ_Hmagとし、着磁磁場Hmag印加時における残留磁束密度を、Br_Hmagとした。本実施例では、HcJ_Hmagは7.5kOe以下である試料を良好であると判断した。また、Br_Hmagは8.5kG以上である試料を良好であると判断した。結果を表2に示す。
続いて、マイナー曲線平坦性を以下のようにして測定した。図5に、実験例5について、負の折り返し磁場Hrevを変化させながら測定したマイナーループ群を示す。複数の負の折り返し磁場Hrevからの磁化曲線のうち、マイナーループの第2、第3象限の保磁力に相当する動作点(-HcJ_Hmag,0)からの磁化曲線(図5の太線)について、着磁磁場Hmag印加時の磁気分極Jsの50%となる磁場をH_50%Jsとしたときのマイナーループの保磁力HcJ_Hmagとの比である(100×H_50%Js/HcJ_Hmag)をマイナー曲線平坦性とした。本実施例では、マイナー曲線平坦性は60%以上である試料を良好であると判断した。結果を表2に示す。
Figure 0007114971000002
表2より、粒界相にCが存在することにより、主相結晶粒子の粒成長を制御して、D50およびD90を上述した範囲内にできることが確認できた。その結果、可変磁束磁石に求められる特性を満足することが確認できた。
(実験例11~20)
実験例5および6において、R-T-B系永久磁石に含まれるRとしてのNdの一部を、R2としてのYまたはCeで表2に示す割合で置換した以外は、実験例5または6と同じ方法により、試料を作製し、実験例5または6と同じ方法により、試料を評価した。実験例11~20の試料の組成分析を行った結果を表1に示す。また、組成分析結果より、xおよびyを算出し、xとyとの関係を図3にプロットした。また、実験例11~20の試料の評価結果を表3に示す。
Figure 0007114971000003
表3より、Ndの一部を、YまたはCeで置換することにより、可変磁束磁石に求められる特性を満足しつつ、保磁力を低下させることができることが確認できた。
(実験例21~55)
表4に示す組成のR-T-B系永久磁石が得られるように原料を配合し、焼結温度を表5に示す温度とした以外は、実施例1~10と同様にして、試料を作製し、実施例1~10と同様にして、試料を評価した。実験例21~55の試料の組成分析を行った結果を表4に示す。また、組成分析結果より、xおよびyを算出し、xとyとの関係を図3にプロットした。また、実験例21~55の試料の評価結果を表5に示す。
Figure 0007114971000004
Figure 0007114971000005
表5より、R1としてのNdの一部を、R2および/またはSmで置換することにより、着磁磁場および保磁力を低減しつつ、低い着磁磁場における残留磁束密度およびマイナー曲線平坦性を高められることが確認できた。特に、R2の置換割合(x)とSmの置換割合(y)とを図3に示す範囲内とすることにより、さらに良好な特性が得られることが確認できた。
(実験例56、57)
表4に示す組成のR-T-B系永久磁石が得られるように原料を配合し、焼結温度を表5に示す温度とした以外は、実施例1~10と同様にして、試料を作製し、実施例1~10と同様にして、試料を評価した。実験例56、57の試料の組成分析を行った結果を表4に示す。また、組成分析結果より、xおよびyを算出し、xとyとの関係を図3にプロットした。また、実験例56、57の試料の評価結果を表5に示す。
表5より、Feの一部をCoで置換しても、Feの一部をCoで置換しない試料と同様の効果が得られることが確認できた。
本発明のR-T-B系永久磁石は、可変磁束磁石に求められる特性を満足するので、可変磁束磁石に好適である。
1… R-T-B系永久磁石
2… 主相結晶粒子
4… 粒界相
4a… 二粒子粒界
4b… 三重点

Claims (4)

  1. 214B型正方晶構造を有する化合物からなる主相結晶粒子と、前記主相結晶粒子間に存在する粒界相と、を有するR-T-B系永久磁石であって、
    Rが、スカンジウムおよびイットリウムを含む希土類元素から選ばれる1種以上であり、Tが、鉄を含む1種以上の遷移金属元素、または、鉄およびコバルトを含む2種以上の遷移金属元素であり、
    R-T-B系永久磁石において、Rの含有量が14at%以上20at%以下、Tの含有量が70at%以上82at%以下、Bの含有量が4at%以上7at%以下であり、
    前記主相結晶粒子の平均結晶粒子径D50が1.00μm以下であり、
    前記R-T-B系永久磁石に含まれる炭素量が3000ppm以上であり、
    着磁磁場印加時における保磁力(Hcj _Hmag )が7.5kOe以下であることを特徴とするR-T-B系永久磁石。
  2. 前記炭素は、前記粒界相において、前記R、前記Tおよび前記Bと化合物を形成していることを特徴とする請求項1に記載のR-T-B系永久磁石。
  3. 前記化合物は、前記主相結晶粒子内のR濃度、B濃度およびC濃度よりも、R濃度、B濃度およびC濃度が高く、前記主相結晶粒子内のT濃度よりも、T濃度が低いR-T-B-C系化合物であることを特徴とする請求項2に記載のR-T-B系永久磁石。
  4. 前記R-T-B系永久磁石のRを、R1、R2およびSmで表した場合に、
    前記R1は、Ndを含み、Y、CeおよびSmを含まない1種以上の前記希土類元素であり、前記R2は、YおよびCeから選ばれる1種以上の元素であり、
    前記Rの総原子数を1とし、前記Rの総原子数に対するR2の原子数の比率をxとし、前記Rの総原子数に対するSmの原子数の比率をyとした場合に、
    前記xおよびyは、(x、y)平面において、点A(0.000,0.050)、点B(0.000,0.150)、点C(0.700,0.100)、点D(0.700,0.000)、点E(0.300,0.000)をこの順に時計回りに結ぶ直線上および当該直線に囲まれる領域内にあることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のR-T-B系永久磁石。
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