以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面及び以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ(工程)、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。以下の実施の形態の説明において、略平行、略直交のような「略」を伴った表現が、用いられる場合がある。例えば、略平行とは、完全に平行であることを意味するだけでなく、実質的に平行である、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。他の「略」を伴った表現についても同様である。
[実施の形態]
以下、図面を参照しつつ、実施の形態に係る移動ロボット制御システム100について説明する。なお、以下の実施の形態では、移動ロボット制御システム100が、物流倉庫において移動ロボットとしての自動搬送機の制御に適用される例について説明する。なお、移動ロボット制御システムは、自動搬送機以外のいかなる移動ロボットの制御に適用されてもよい。
[1-1.移動ロボット制御システム100の構成]
[1-1-1.移動ロボット制御システム100の全体構成]
図1は、実施の形態に係る移動ロボット制御システム100を概略的に示す概念図である。図1を参照すると、移動ロボット制御システム100は、複数の自動搬送機101と、サーバ装置201と、アクセスポイント301とを備える。自動搬送機101、サーバ装置201及びアクセスポイント301は、物流倉庫1内に配置されている。なお、サーバ装置201は、物流倉庫1の外に配置されてもよい。物流倉庫1内には、搬入された荷物を配送地域毎、荷物の種類毎等に分別するための作業エリア2が区画されている。自動搬送機101及びアクセスポイント301は、作業エリア2内に配置されている。サーバ装置201は、作業エリア2内及び作業エリア2外のいずれに配置されてもよい。
自動搬送機101は、作業エリア2内で荷物を運搬するための車両であり、荷物を積載して目的場所にまで自動で走行することができる。サーバ装置201は、自動搬送機101と無線通信を介して通信し、自動搬送機101の動作を制御する。アクセスポイント301は、自動搬送機101とサーバ装置201との間の通信を中継する機器である。アクセスポイント301は、無線通信を介して自動搬送機101と通信する。また、アクセスポイント301は、通信ネットワーク401を介して、サーバ装置201と通信する。アクセスポイント301と自動搬送機101との間の無線通信には、Wi-Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)などの無線LAN(Local Area Network)が適用されてもよく、その他の無線通信が適用されてもよい。アクセスポイント301とサーバ装置201との間の通信ネットワーク401には、物流倉庫1内又は物流倉庫1の運営会社内のローカルな通信ネットワークが適用されてもよく、インターネットが適用されてもよい。アクセスポイント301及びサーバ装置201と通信ネットワーク401との間の通信には、無線LAN、有線LAN等の無線通信又は有線通信が適用されてもよい。なお、サーバ装置201は、アクセスポイント301を介さずに、自動搬送機101と直接通信するように構成されてもよい。
[1-1-2.自動搬送機の構成]
本実施の形態における自動搬送機101の構成を説明する。図2は、図1の自動搬送機101を上方から見た平面図である。図2を参照すると、自動搬送機101は、荷物を載せることができる荷台部111と、荷台部111上の荷物を把持して固定する把持部112と、荷台部111を走行可能に支持する2つの車輪113a及び2つの車輪113bとを備える。2つの車輪113aは、荷台部111を挟んで互いに対向する位置に配置され、2つの車輪113bは、荷台部111を挟んで互いに対向する位置に配置されている。2つの車輪113aはそれぞれ、個別に回転駆動されるように、荷台部111に設けられた2つの走行駆動装置114と機械的に接続されている。走行駆動装置114は、電動モータ等の回転駆動装置であってよい。2つの車輪113bはそれぞれ、その回転軸の向きを変えるように旋回自在である。自動搬送機101は、2つの車輪113aが同一方向に同一速度で回転駆動されることによって、直線的に自走し、2つの車輪113a間に回転差が与えられることによって、進行方向を変えて旋回等をすることができる。なお、1つの走行駆動装置114が、クラッチ等を含む駆動機構を介して2つの車輪113aを駆動するように構成されてもよい。
把持部112は、荷台部111上の荷物を両側から把持することができる2つのアーム112aと、把持動作のために互いに接近又は離れるようにアーム112aを駆動する把持部駆動装置112bとを備える。2つのアーム112aは、把持部駆動装置112bにより駆動されることによって、荷台部111上の荷物の把持動作と、荷物の把持の解除動作とを実施することができる。把持部駆動装置112bは、電動モータ、電動アクチュエータ、油圧シリンダ等の駆動装置であってよい。自動搬送機101は、把持部112の代わりに又は把持部112に加えて、荷物を昇降させる機構、荷物に係合して荷物を荷台部111に出し入れする機構等の種々の機構を備えてもよい。
自動搬送機101の進行方向前方に位置する荷台部111の前方側部には、外界センサ115が取り付けられている。外界センサ115は、自動搬送機101の進行方向前方に存在する物体の荷台部111に対する距離及び方向を検出する。外界センサ115は、レーダー、レーザー、ライダー、光波、超音波、カメラ等を使用して、自動搬送機101の前方の所定の領域を走査し、上記所定の領域内に存在する物体までの距離及び方向を測定するセンサであってよい。外界センサ115は、荷台部111の前方側部だけでなく、他の側部にも設けられてもよい。これにより、さらに広い領域における荷台部111と周囲の物体との距離及び方向の検知が可能になる。
荷台部111には、入力部116が設けられている。入力部116は、自動搬送機101への指令等の情報を入力するための構成要素である。本実施の形態では、入力部116は、複数の足踏み式のペダルからなる構成を有している。複数のペダルは、自動搬送機101の走行及び停止、自動搬送機101の走行モードの切り替え、自動搬送機101の走行経路の選択、自動搬送機101の走行方向の変更、把持部112の動作、並びに自動搬送機101の車輪113a又は113bの回転を係止するロック動作及びロック解除動作等の指令の入力が可能であるように構成される。また、入力部116は、自動搬送機101に設定する走行経路の出発点及び目的点の少なくとも一方を設定できるように構成されてもよい。入力部116の構成及び機能は、複数のペダルを使用した上記構成及び機能に限定されるものでなく、いかなる構成及び機能を有してもよい。なお、自動搬送機101の走行モードは、サーバ装置201の指令に従う走行モードと、図1に示す手動リモコン等の遠隔制御装置502の指令に従う走行モードとを含む。遠隔制御装置502は、自動搬送機101と無線通信し、操作者による操作で自動搬送機101の動作を制御するための構成要素である。例えば、遠隔制御装置502は、入力部116と同様の機能を有してもよく、さらなる機能を有してもよい。
荷台部111には、第一通信部117a及び第二通信部117bが設けられている。第一通信部117aは、アクセスポイント301等と無線通信するための構成要素である。ここで、第一通信部117aは、ロボット通信部の一例である。第一通信部117aとアクセスポイント301との間の無線通信には、Wi-Fi(登録商標)などの無線LANが適用されてもよく、その他の無線通信が適用されてもよい。第二通信部117bは、図1に示す遠隔制御装置502及び遠隔非常停止装置503等と無線通信するための構成要素である。第二通信部117bと遠隔制御装置502及び遠隔非常停止装置503との間の無線通信には、いかなる無線通信が適用されてもよい。遠隔非常停止装置503は、自動搬送機101の走行モードに関係なく、自動搬送機101を緊急停止させるための装置であり、例えば、作業エリア2に配置された遠隔非常停止ボタンであってよい。第一通信部117a及び第二通信部117bは、無線通信器、又は無線通信インタフェースを含む通信回路等であってよい。
さらに、荷台部111には、表示部118が設けられている。表示部118は、種々の情報を表示するための構成要素である。表示部118は、液晶パネル等の表示パネルでも
よく、インジケータでもよい。本実施の形態では、表示部118は、自動搬送機101の位置、稼働状態、現在の走行経路、選択可能な走行経路、異常の警報等のうちの少なくともいくつかを表示し得る。また、荷台部111には、自動搬送機101の全体を制御する制御部120が設けられている。制御部120の構成は、後述する。
なお、自動搬送機101の上述の構成は、例示的なものであり、これに限定されるものでなく、自動搬送機101は、荷物を載せて自走可能な任意の自動搬送機であってよい。
図3を参照して、自動搬送機101の制御部120及びその周辺の構成を説明する。図3は、図2の自動搬送機101の構成要素の関係を模式的に示すブロック図である。自動搬送機101は、上述した把持部駆動装置112b、走行駆動装置114、外界センサ115、入力部116、第一通信部117a、第二通信部117b、表示部118及び制御部120に加え、車輪113aそれぞれの回転角度を検知する回転センサ119、記憶部121、自己位置推定部122及び障害物検知部123を備えている。
制御部120は、自動搬送機101の全体を制御する制御機能を備えるものであればよく、どのように実現されてもよい。例えば、制御部120は、専用のハードウェアで構成されてもよい。また例えば、制御部120は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。この場合、制御部120は、例えば、演算処理部(図示せず)と、制御プログラムを記憶する記憶部(図示せず)とを備えてもよい。演算処理部としては、MPU(Micro Processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)などが例示される。記憶部としては、メモリなどが例示される。なお、制御部120は、集中制御を行う単独の制御部で構成されていてもよく、互いに協働して分散制御を行う複数の制御部で構成されていてもよい。
制御部120は、把持部駆動装置112b、走行駆動装置114、外界センサ115、第一通信部117a、第二通信部117b、表示部118、回転センサ119、自己位置推定部122及び障害物検知部123の制御、入力部116から送られる情報の受信、並びに、記憶部121への情報の格納及び記憶部121に格納された情報の取り出し等を実施することができる。
具体的には、制御部120は、把持部駆動装置112b及び走行駆動装置114の動作を制御する。制御部120は、2つの走行駆動装置114に2つの車輪113aを同方向に同一の回転速度で回転駆動させることによって、自動搬送機101を直線的に前進又は後進させ、2つの走行駆動装置114に2つの車輪113aを異なる回転方向又は回転速度で回転駆動させることによって、自動搬送機101を旋回させる。制御部120は、把持部駆動装置112bを駆動させることによって、把持部112のアーム112aに把持動作又は把持動作の解除をさせる。
制御部120は、回転センサ119を制御して、2つの車輪113aそれぞれの回転角度を検知させる。回転センサ119は、検知結果を制御部120に送る。回転センサ119は、検知結果を、制御部120の代わりに又は制御部120に加えて、記憶部121及び自己位置推定部122の少なくとも一方に送ってもよい。
制御部120は、外界センサ115を制御して、外界センサ115に自動搬送機101の前方を走査させる。外界センサ115は、検知結果を自己位置推定部122及び障害物検知部123に送る。外界センサ115は、検知結果を、自己位置推定部122及び障害物検知部123の代わりに又はこれらに加えて、制御部120及び記憶部121の少なくとも一方に送ってもよい。
制御部120は、外界センサ115及び回転センサ119の検知結果に基づき、自己位置推定部122に自動搬送機101の位置及び向きを推定させ、その推定結果を取得する。自己位置推定部122は、その推定結果を、制御部120の代わりに又は制御部120に加えて、記憶部121に送ってもよい。
制御部120は、外界センサ115の検知結果等に基づき、障害物検知部123に自動搬送機101の周囲における障害物の有無及びその位置等に関する情報である障害物情報を生成させ、障害物情報を取得する。障害物検知部123は、障害物情報を、制御部120の代わりに又は制御部120に加えて、記憶部121に送ってもよい。障害物情報の障害物には、他の自動搬送機101も含まれ得る。また、制御部120は、自動搬送機101の走行経路又はその近傍に障害物を確認した場合、自動搬送機101を停止させてもよい。その後、制御部120は、外界センサ115により走行経路又はその近傍で障害物を確認できなくなれば、自動搬送機101の走行を開始し得る。又は、制御部120は、入力部116、サーバ装置201又は遠隔制御装置502等から受け取る指示に基づき、自動搬送機101の走行の開始を制御し得る。
制御部120は、第一通信部117aを制御して、アクセスポイント301と情報の送受信を行う。つまり、制御部120は、第一通信部117aを制御して、アクセスポイント301を介して、サーバ装置201と情報の送受信を行う。制御部120は、例えば、自動搬送機101の位置、向き、動作状態などの自動搬送機101の状態情報、並びに、自動搬送機101の周囲の障害物情報等を、例えば1秒毎等のように定期的にサーバ装置201に送るように構成される。さらに、制御部120は、第二通信部117bを制御して、遠隔制御装置502及び遠隔非常停止装置503と情報の送受信を行う。また、制御部120は、表示部118を制御して、情報を表示させる。
記憶部121は、種々の情報を記憶する構成要素である。記憶部121は、半導体メモリ等から構成されてもよく、揮発性メモリ又は不揮発性メモリ等から構成されてよい。また、記憶部121は、読み取り専用のメモリ、つまり、書き換え不可のメモリでもよい。記憶部121は、例えば、図4に示すような作業エリア2の地図121aを記憶している。
図4は、自動搬送機101の記憶部121に記憶される作業エリア2の地図の一例を示す図である。図5は、実際の作業エリア2を模式的に示す平面図である。図4及び図5を参照すると、地図121aには、作業エリア2内における床面と不動物とが含まれている。不動物としては、壁及び柱などの構造物、並びにベルトコンベアのような据え付け固定された機械等が含まれ得る。一方、開閉動作が可能なシャッター及びアクセスポイント301などの移動可能なもののような可動物、並びに、作業場所A、B、C及びDのような場所の明示は、地図121aに含まれない。つまり、地図121aは、作業エリア2内における自動搬送機101が活動可能なエリアを示す。さらに、地図121a内では、方位が規定されている。例えば、本実施の形態では、図4において下方から上方に向かう方位D0が、方位の基準つまり方位角0度の方位と規定され、方位D0から時計回りに増加するように方位角が規定される。
図3及び図4を参照すると、自己位置推定部122は、作業エリア2内における自動搬送機101の位置を推定するための構成要素である。自己位置推定部122は、上述した制御部120の構成のような構成を有してもよく、制御部120の一部に含まれてもよい。
自己位置推定部122は、外界センサ115による検知結果と、記憶部121に記憶される地図121aに含まれる不動物の形状とのマッチングを行うことによって、作業エリ
ア2内における自動搬送機101の位置及び方位を検出する。さらに、自己位置推定部122は、回転センサ119による検知結果、つまり、2つの車輪113aの回転数及び回転角度差等から自動搬送機101の走行軌跡及び旋回角を検出する。自己位置推定部122は、外界センサ115の検知結果及び記憶部121の地図121aから検出した自動搬送機101の位置及び方位を、自動搬送機101の走行軌跡及び旋回角を用いて補正し、より精度が高い自動搬送機101の位置及び方位を検出する。
本実施の形態では、自己位置推定部122は、方位角0度の方向をY軸負方向とし且つ方位角90度の方向をX軸正方向とした座標を用いて、自動搬送機101の位置を特定する。自己位置推定部122は、自動搬送機101の位置及び方位の検出結果を、制御部120及び記憶部121の少なくとも一方に送る。さらに、自己位置推定部122は、上記検出結果を障害物検知部123に送ってもよい。
なお、自動搬送機101は、加速度センサ、角速度センサ(ジャイロセンサとも呼ばれる)等も備えてもよく、自己位置推定部122は、上記センサの検知結果も使用して、自動搬送機101の位置及び方位を検出してもよい。これにより、自動搬送機101の位置及び方位の検出精度が向上する。なお、加速度センサ及び角速度センサの検知結果から、自動搬送機101の走行軌跡と姿勢角つまり旋回角が求められ得る。又は、自動搬送機101は、GPS送受信機を備え、自身の位置情報を受信するように構成されてもよい。
障害物検知部123は、記憶部121に記憶される作業エリア2の地図121aに存在する不動物以外の物体つまり障害物を検知するための構成要素である。障害物検知部123は、上述した制御部120の構成のような構成を有してもよく、制御部120の一部に含まれてもよい。障害物検知部123は、外界センサ115による検知結果と、自己位置推定部122による自動搬送機101の位置及び方位の検出結果とから、外界センサ115が検知した物体の位置を検出する。さらに、障害物検知部123は、検出した物体の位置と、記憶部121の地図121a内の不動物の位置とを比較し、検出した物体の位置が不動物の位置に該当しない場合、物体を障害物として認知する。障害物検知部123は、認知した障害物及びその位置情報を含む障害物情報を、制御部120及び記憶部121の少なくとも一方に送る。なお、自己位置推定部122は、障害物検知部123による障害物情報を取得し、自動搬送機101の位置及び方位の検出の際のフィードバック等に用いてもよい。
[1-1-3.サーバ装置201の構成]
本実施の形態におけるサーバ装置201の構成を説明する。サーバ装置201は、作業エリア2内における各自動搬送機101の走行経路を設定し、設定した走行経路に基づいた各自動搬送機101の動作を管理するための構成要素である。また、サーバ装置201は、各自動搬送機101から位置、方位、走行経路上の障害物の有無等を含む情報を定期的に受信し、受信した情報に基づき走行経路の修正、自動搬送機101の動作の制御等を実施する。
図6は、図1のサーバ装置201の構成を模式的に示すブロック図である。図6を参照すると、サーバ装置201は、入力部216、第一通信部217a、第二通信部217b、表示部218、制御部220、記憶部221、経路探索部224及び移動制御部225を備える。ここで、第一通信部217aは、サーバ通信部の一例である。サーバ装置201は、コンピュータ等の情報処理装置でもよい。サーバ装置201は、1つ以上のサーバ装置を含んでもよく、クラウドシステムを構成してもよい。
表示部218は、サーバ装置201による種々の情報を表示するための構成要素であり、液晶パネル等の表示パネルであってよい。入力部216は、サーバ装置201に種々の情報を入力するための構成要素であり、キーボード及びマウス等を含んでもよい。
第一通信部217aは、サーバ装置201が自動搬送機101等と通信するための構成要素である。第一通信部217aは、通信器、又は通信インタフェースを含む処理回路等であってよい。第一通信部217aは、制御部220による制御に従って、アクセスポイント301を介して、自動搬送機101等と通信する。具体的には、第一通信部217aは、有線通信又は無線通信を介して通信ネットワーク401に接続し、通信ネットワーク401及びアクセスポイント301を介して、自動搬送機101の第一通信部117aと通信する。上述したように、通信ネットワーク401には、物流倉庫1内又は物流倉庫1の運営会社内のローカルな通信ネットワークが適用されてもよく、インターネットが適用されてもよい。第一通信部217aは、受信した情報を制御部220及び記憶部221のいずれに送るように構成されてもよく、制御部220及び記憶部221のいずれから情報を受け取って送信するように構成されてもよい。
第二通信部217bは、サーバ装置201が通信端末501等と通信するための構成要素である。サーバ装置201と通信端末501との間の通信には、無線LAN、通信ネットワーク401及びアクセスポイント301等を介した通信が適用されてもよく、第3世代移動通信システム(3G)、第4世代移動通信システム(4G)又はLTE(登録商標)等のような移動通信システムで利用されるモバイル通信規格が適用されてもよい。本実施の形態では、サーバ装置201と通信端末501との間の通信には、モバイル通信規格が適用される。
通信端末501は、サーバ装置201等と通信可能な装置である。通信端末501は、コンピュータ等のような情報処理装置でもよい。より具体的には、通信端末501は、携帯電話でもよく、スマートフォン、スマートウォッチ、タブレット、小型パーソナルコンピュータ等の携帯端末でもよい。本実施の形態では、通信端末501は、入力部216及び表示部218と同様の機能を有してもよく、さらなる機能を有してもよい。
記憶部221は、種々の情報を記憶する構成要素である。記憶部221は、半導体メモリ等から構成されてもよく、揮発性メモリ又は不揮発性メモリ等から構成されてよい。また、記憶部221は、読み取り専用のメモリ、つまり、書き換え不可のメモリでもよい。記憶部221は、サーバ装置201内に組み込まれるものであってもよく、サーバ装置201がアクセス可能なクラウドサーバ内に存在するものであってもよい。記憶部221は、図7に示される作業エリア2の地図221a、作業エリア2の地図に関する地図情報221b、各自動搬送機101の走行経路に関する経路情報221c、各自動搬送機101に関する搬送機情報221d等を記憶する。ここで、搬送機情報221dは、移動ロボット情報の一例である。
図7は、サーバ装置201の記憶部221に記憶される作業エリア2の地図の一例を示す図である。図7を参照すると、記憶部221に記憶される作業エリア2の地図221aは、自動搬送機101の記憶部121に記憶される地図121aに対して、X軸及びY軸に平行に且つ略一定の間隔で配置された複数のグリッド線によって、格子状に並ぶ複数のマス目に区分けされた構成を有している。つまり、地図221aは、グリッドマップを構成している。マス目は、自動搬送機101の進行方向に対する自動搬送機101の幅に対応するような寸法の正方形状を有するように形成されてよく、例えば、自動搬送機101の幅に対応する縦60cm×横60cmの正方形とされ得る。
図8は、サーバ装置201の記憶部221に記憶される作業エリア2の地図221aの一部を示すものであり、地図221aに設定されるグリッド座標を説明する図である。図8に示すように、地図221aでは、自動搬送機101に記憶される地図121aにおい
てX座標及びY座標が0である基準点として規定されるP0を角部の頂点とするマス目が、基準のマス目とされる。なお、本実施の形態では、図8において、基準のマス目の左上の角部の頂点の位置を基準点P0としている。さらに、各マス目の位置は、基準のマス目からのX軸正方向及びY軸正方向に沿ったマス目の列番号h及び行番号vを用いたグリッド座標grid(h,v)で規定される。
図4及び図7を参照すると、地図221aでは、地図121aに示される床面及び不動物に加えて、シャッター及びアクセスポイント301などの可動物、作業場所A、B、C及びD、自動搬送機101の待機場所、自動搬送機101が走行不可能な場所、自動搬送機101の停止禁止場所、その他の特徴又は指標となる場所等の要素が、示されている。例えば、図7において、特徴となる場所は、作業者がベルトコンベアで作業する場所で例示される。上述した要素は、地図221aの作成時に予め与えられるものであってもよく、入力部216若しくは通信端末501を介して又は自動搬送機101から随時与えられるものであってもよい。与えられた要素を地図221aに加えることによって、地図221aは、新しい地図に更新される。さらに、上述した要素と対応する位置のマス目は、要素の内容と対応付けられ、グリッドマップ上の特徴を有するポイントとして特徴付けられ得る。
地図情報221bは、各マス目に関する情報を含む。マス目に関する情報は、マス目に対応するグリッド座標と、マス目に対応する属性情報とを有し得る。属性情報は、上述の特徴を有する要素の内容だけでなく、走行可能であることのような特徴的ではない内容も含んでもよく、さらに、マス目の位置で自動搬送機101に設定される所定の動作及び向きつまり方位等を含んでもよい。
図9は、サーバ装置201の記憶部221の地図情報221bの一例を示す図である。図9に示すように、地図情報221bには、グリッド座標、要素の内容等に対応するカテゴリー、自動搬送機101の所定の動作及び自動搬送機101の所定の方位が、互いに対応付けられて含まれ得る。地図情報221bは、グリッドマップ上の全てのマス目に関する情報を含む必要はない。例えば、地図情報221bは、図7の走行不可能ポイントの領域について、領域内の4つの角部又は1つの角部のマス目の情報のみを含み、他のマス目の情報を全く含まなくてもよい。これにより、地図情報221bの情報量が低減する。なお、方位は、マス目毎に定義しなくてもよい。ベルトコンベア前など、特徴的なマス目での停止方位は、最低限必要であるが、普通のマス目上での停止方位は固定で定義しなくてもよい。例えば、サーバ装置201が適宜、進行方向に準ずる方向に止めるなどの自由度があってもよい。
自動搬送機101の経路情報221cは、自動搬送機101に設定される走行経路に含まれるマス目のグリッド座標を含む。これに限定されるものではないが、本実施の形態では、自動搬送機101の走行経路は、マス目が形成する行及び列の配列に沿って設定される。そして、経路情報221cは、自動搬送機101がマス目の中心を通り得るマス目によって形成される走行経路に含まれるマス目のグリッド座標を含む。
図10は、グリッドマップ上の走行経路の一例を示す図である。図10に示すように、出発点から目的点までの一連の走行経路において、自動搬送機101の進行方向の変化点のそれぞれに終点及び起点が設定される。これにより、一連の走行経路は、複数の直線的な区分走行経路R1、R2及びR3に分けられる。区分走行経路R1、R2及びR3はそれぞれ、1つの起点R1s、R2s及びR3sとその次の1つの終点R1e、R2e及びR3eとをそれぞれ結び且つマス目の並びに沿った直線状の経路となる。なお、区分走行経路は、直線状の走行経路を区分けすることによって形成されてもよい。このとき、区分走行経路の起点又は終点は、自動搬送機101の発進又は停止のような自動搬送機101
の動作の変化点としてもよい。
図11は、経路情報221cの一例を示す図である。経路情報221cは、各区分走行経路の起点及び終点のマス目のグリッド座標を含む。例えば、図11に示す経路情報221cでは、グリッド座標でgrid(Na,Ma)からgrid(Na+Na1+Na3,Ma+Ma2)に至る1つの一連の走行経路が、3つの区分走行経路に分けられて、含まれている。経路情報221cは、3つの区分走行経路それぞれの起点及び終点のグリッド座標を含む。なお、3つの区分走行経路の中で最初の起点が走行経路の出発点であり、最後の終点が走行経路の目的点となる。また、経路情報221cは、区分走行経路で自動搬送機101が走行すべき速度である走行速度情報を含んでもよく、区分走行経路の起点及び/又は終点での自動搬送機101の方位を示す方位情報を含んでもよく、区分走行経路上を走行中の自動搬送機101の方位を示す走行方位情報を含んでもよい。
また、図10に示すように、経路情報221cは、各区分走行経路において自動搬送機101がその向きつまり方位を変えた場合に自動搬送機101及び自動搬送機101上のパレット、荷物等の積載物が通り得る領域に位置するマス目のグリッド座標を含んでもよい。例えば、各起点又は各終点で向きを変える場合に自動搬送機101及びその積載物が通り得る領域を含む正方形状のマス目領域Mの4つの角部のマス目のグリッド座標が、経路情報221cに含まれてもよい。このとき、例えば、出発点を兼ねる起点R1sでは、起点R1sを中心とする領域Mの4つの角部のマス目のグリッド座標が、経路情報221cに含まれる。なお、領域Mの全てのマス目のグリッド座標が経路情報221cに含まれてもよい。これにより、経路情報221cは、走行経路を走行時に自動搬送機101の少なくとも一部が通る可能性があるマス目のグリッド座標を含み得る。
自動搬送機101の搬送機情報221dは、全ての自動搬送機101について、自動搬送機に関する情報を自動搬送機101のそれぞれに対応付けて含む。搬送機情報221dは、各自動搬送機101からサーバ装置201に定期的に送られる自動搬送機101の現在位置、現在方位(角度)及び現在状態を、各自動搬送機101の識別番号などの識別情報及び時刻等と対応付けて含む。本実施の形態では、各自動搬送機101は、上記情報を1秒毎のようにサーバ装置201に送る。これにより、サーバ装置201は、各自動搬送機101の状態をほぼリアルタイムに取得し確認することができる。
図12は、搬送機情報221dの一例を示す図である。図12に示すように、自動搬送機101の現在位置は、XY座標で示される。自動搬送機101の現在方位は、方位角で示される。自動搬送機101の現在状態には、走行状態、停止状態、待機中、異常発生等の自動搬送機101の状態、把持部112の状態、自動搬送機101の車輪113a又は113bのロック状態、自動搬送機101の障害物検知部123が障害物を検出していることを示す情報などが、含まれる。
図6を参照すると、サーバ装置201の制御部220は、サーバ装置201の全体を制御する制御機能を備えるものであればよく、どのように実現されてもよい。例えば、制御部220は、専用のハードウェアで構成されてもよい。また例えば、制御部220は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。この場合、制御部220は、例えば、演算処理部(図示せず)と、制御プログラムを記憶する記憶部(図示せず)とを備えてもよい。演算処理部としては、MPU、CPUなどが例示される。記憶部としては、メモリなどが例示される。なお、制御部220は、集中制御を行う単独の制御部で構成されていてもよく、互いに協働して分散制御を行う複数の制御部で構成されていてもよい。
制御部220は、第一通信部217a、第二通信部217b、表示部218、経路探索
部224及び移動制御部225の制御、入力部216から送られる情報の受信、並びに、記憶部221への情報の格納及び記憶部221に格納された情報の取り出し等を実施することができる。
具体的には、制御部220は、第一通信部217aを制御して、アクセスポイント301と情報の送受信を行う。つまり、制御部220は、第一通信部217aを制御して、アクセスポイント301を介して、各自動搬送機101と情報の送受信を行う。制御部220は、各自動搬送機101から定期的に送られる情報を受信する、並びに、作業エリア2の地図情報、自動搬送機101に設定した経路情報及び自動搬送機101の動作指令など等の情報等を、自動搬送機101に随時送るように構成される。さらに、制御部220は、第二通信部217bを制御して、通信端末501と情報の送受信を行う。
制御部220は、各自動搬送機101から受け取る情報、入力部216に入力される情報、通信端末501から受け取る情報、及び経路探索部224によって探索される自動搬送機101の走行経路情報等の情報を加えることによって、記憶部221に格納される地図221a、地図情報221b、経路情報221c及び搬送機情報221d等を新たな情報に更新する。
また、制御部220は、表示部218を制御して、種々の情報を表示する。例えば、制御部220は、表示部218に、作業エリア2の地図、各自動搬送機101の位置及び方位、各自動搬送機101に設定されている走行経路、経路探索部224によって探索された自動搬送機101に選択可能な走行経路、搬送機情報等の情報を表示してもよい。
制御部220は、経路探索部224を制御して、各自動搬送機101に設定すべき走行経路を経路探索部224に探索させる。経路探索部224は、入力部216又は通信端末501等を介して与えられる自動搬送機101の出発点の位置及び/又は目的点の位置に基づき、グリッドマップ上における出発点の位置のマス目と目的点の位置のマス目とを最短経路で結び且つマス目の配列に沿った走行経路を探索する。なお、自動搬送機101の出発点の位置及び/又は目的点の位置は、自動搬送機101の入力部116を通じて入力され、自動搬送機101からサーバ装置201に送信されてもよい。また、自動搬送機101の出発点の位置及び目的点の位置に加えて、出発点及び目的点での自動搬送機101の発進方位及び進入方位等の動作が与えられ、経路探索部224が、方位を考慮して走行経路を探索してもよい。そして、経路探索部224は、探索した走行経路の中で、自動搬送機101のスムーズな動作が可能である、つまり曲がり部が少ない走行経路をさらに探索してもよい。
図13は、サーバ装置201の経路探索部224によるグリッドマップ上における走行経路の探索の例を示す図である。図13に示すように、経路探索部224は、出発点Sから目的点Eまでの走行経路を探索する場合、出発点S及び目的点Eを最短経路で結ぶ走行経路RA及びRB等を見つけ出す。なお、領域NEは、走行禁止領域である。さらに、経路探索部224は、最もスムーズな自動搬送機101の動作が可能である走行経路RAを見つけ出す探索をしてもよい。この場合、最もスムーズな自動搬送機101の動作が可能である走行経路として、走行経路RAだけでなく他の走行経路も見つけ出されてもよい。
経路探索部224は、探索の結果見つけ出した走行経路の情報を制御部220に送る。なお、経路探索部224は、見つけ出した走行経路の情報を制御部220の代わりに又は制御部220に加えて、記憶部221に送ってもよい。
制御部220は、見つけ出された走行経路が1つである場合、その走行経路を選択すべき走行経路に決定する。或いは、制御部220は、走行経路の採用の可否を、サーバ装置
201の表示部218、通信端末501及び自動搬送機101の表示部118の少なくとも1つを用いて、移動ロボット制御システム100の操作者に問い合わせてもよい。一方、制御部220は、見つけ出された走行経路が複数ある場合、サーバ装置201に予め設定された規則等に従って自身で1つの走行経路を選択してもよく、複数の走行経路をサーバ装置201の表示部218、通信端末501及び自動搬送機101の表示部118の少なくとも1つに表示し、移動ロボット制御システム100の操作者に選択を仰いでもよい。後者の場合、制御部220は、操作者が選択した走行経路を選択すべき走行経路に決定する。
さらに、制御部220は、決定した走行経路を記憶部221の経路情報及び地図221a等に反映する。例えば、決定した走行経路を地図221aに反映したイメージの例が、図14のように示される。図14は、図7の作業エリアの地図221aに、自動搬送機101に設定した走行経路を反映した図である。図14では、説明のために、走行経路における進行方向に矢印を付与している。走行経路は、作業場所A、B、C、D及びAをこの順に循環する一連の走行経路を構成している。
制御部220は、移動制御部225を制御して、経路情報等に基づいて各自動搬送機101を動作させる。移動制御部225は、記憶部221の経路情報に基づき、自動搬送機101に走行指示を含む移動情報を与える。具体的には、移動制御部225は、記憶部221の搬送機情報221dに含まれる自動搬送機101の現在位置から、自動搬送機101が走行すべき走行経路及びその区分走行経路を判定する。さらに、移動制御部225は、走行すべき走行経路の各区分走行経路又は次に走行すべき区分走行経路における起点及び終点の位置、走行速度、並びに自動搬送機101の方位等を含む移動情報を、自動搬送機101に送る。このとき、区分走行経路の起点及び終点の位置は、グリッド座標で与えられる。
さらに、移動制御部225は、記憶部221の地図情報221bを参照し、区分走行経路上のマス目に設定される属性情報に含まれる所定の動作及び方位並びに上記マス目の位置を含む地図関連情報を、自動搬送機101に送ってもよい。或いは、地図関連情報は、事前に自動搬送機101の記憶部121に記憶されていてもよい。自動搬送機101は、受け取った移動情報及び地図関連情報に従って、グリッド座標を基準として走行及び動作する。なお、自動搬送機101の記憶部121の地図121aは、図7に示される地図221aと同様に、グリッドマップ化されると共にグリッド座標が設定されている。このため、自動搬送機101は、地図121aのグリッド座標に基づき、動作する。
また、移動制御部225は、障害物情報を自動搬送機101から受け取ると、自動搬送機101がなすべき動作を決定し、上記決定に基づき自動搬送機101に指示を送る。このとき、障害を回避できるように自動搬送機101の走行速度を変更する走行指示を、自動搬送機101に送ってもよい。上記の代わりに又は上記に加えて、移動制御部225は、経路探索部224に障害を回避可能な走行経路を新たに探索させることによって、走行経路を変更し、変更後の走行経路に従って自動搬送機101を走行させるようにしてもよい。
[1-2.移動ロボット制御システム100の動作]
[1-2-1.サーバ装置201による自動搬送機101の走行経路の探索動作]
図6、図9~図13及び図15を参照して、移動ロボット制御システム100の動作のうちのサーバ装置201による自動搬送機101の走行経路の探索動作を説明する。図15は、サーバ装置201による自動搬送機101の走行経路探索動作の流れを示すフローチャートである。
図15を中心に参照すると、サーバ装置201の経路探索部224は、サーバ装置201の入力部216、通信端末501若しくは自動搬送機101を介して、自動搬送機101の走行経路を設定する指示を受ける、又は、障害物情報等に基づき自動搬送機101の走行経路を設定する必要性があると判断すると、サーバ装置201の記憶部221に格納される作業エリア2の地図情報221bを読み込む(ステップS1001)。次いで、経路探索部224は、記憶部221に格納される搬送機情報221dを読み込み(ステップS1002)、各自動搬送機101の搬送機情報221dを取得する。
さらに、経路探索部224は、走行経路の出発点S及び目的点Eの位置を、記憶部221に格納される作業エリア2の地図221aのグリッド座標を用いて設定する(ステップS1003)。上記出発点S及び目的点Eの位置は、入力部216、通信端末501又は自動搬送機101を介した指示に基づくものであってもよい。
次いで、経路探索部224は、グリッドマップ上において出発点S及び目的点Eの間を結び且つマス目の配列に沿った最短経路を探索する(ステップS1004)。その結果、経路探索部224は、図13に示すような2つの走行経路RA及びRB等を見つけ出す。さらに、本例では、経路探索部224は、走行経路RA及びRB等の中から、最もスムーズな自動搬送機101の走行を可能にする形状、つまり曲がり部が最も少ない走行経路RAを選定する。ちなみに、自動搬送機101は、走行経路RA上での走行では、1回の90度の旋回を実施し、走行経路RB上での走行では、4回の90度の旋回を実施することになる。
さらにまた、経路探索部224は、走行経路RAの線形、与えられている条件等に基づき、走行経路RA上での自動搬送機101の走行速度を設定する。走行速度は、入力部216、通信端末501又は自動搬送機101を介した指示に基づくものであってもよい。経路探索部224は、走行経路RA上での自動搬送機101の方位を設定してもよく、走行経路RAを区分けした区分走行経路の起点及び/又は終点での自動搬送機101の方位を設定してもよい。
経路探索部224は、走行経路RAの線形及び位置等に関する情報、並びに走行経路RAでの自動搬送機101の走行速度及び方位を、走行経路RAの経路情報とする。なお、走行経路RAの経路情報は、区分走行経路の起点及び終点での自動搬送機101の方位を含んでいなくてもよく、この場合、自動搬送機101は、次に走行する区分走行経路の起点及び終点のグリッド座標と、自動搬送機101の走行中の方位とから、区分走行経路の起点及び/又は終点での自動搬送機101の方位を判断してもよい。また、本実施の形態では、経路探索部224は、曲がり部が直角であるような走行経路を探索するが、走行経路の曲がり部は直角でなくてもよい。
次いで、経路探索部224は、必要に応じて走行経路RAの経路情報を修正する(ステップS1005)。このとき、経路探索部224は、記憶部221の地図情報221bに含まれる作業エリア2内の不動物及び障害物等の自動搬送機101の走行を遮り得る要素の位置を特定し、これら要素を避ける又は考慮した経路情報の修正を行う。例えば、上記要素がシャッターであり、走行経路RAがシャッターを通過する場合、走行経路RAは変更されず、走行速度にシャッター前での停止等が含まれるように、経路情報が修正される。上記要素が壁などの不動物、走行不可能なエリア又は積み上げられた荷物等であり、走行経路RAがこれら要素を通過する場合、走行経路RAが上記要素を避けるように修正される。
また、経路探索部224は、記憶部221の搬送機情報221d及び経路情報221cから、走行経路RAの対象である自動搬送機101以外の他の自動搬送機101の現在位
置、走行経路、走行速度等を取得する。経路探索部224は、走行経路RAと他の自動搬送機101の走行経路とが干渉する場合、走行経路RAを走行する際の自動搬送機101の位置と自身の走行経路を走行する際の他の自動搬送機101の位置とを比較する。上記干渉の判定の際、各走行経路は、線状の経路とみなされてもよく、グリッドのマス目の幅を有する経路とみなされてもよく、図10に示される領域Mの幅を有する経路とみなされてもよい。
そして、走行経路RAを走行する自動搬送機101が、自身の走行経路を走行する他の自動搬送機101と干渉し得ると予測される場合、経路探索部224は、上記干渉を避けるように走行経路RAを修正する及び/又は走行経路RA上での自動搬送機101の走行速度を変更する。なお、経路探索部224は、例えば、自動搬送機101に干渉が起こると予測される位置のマス目の1つ前の走行経路上のマス目まで自動搬送機101を進行させるような走行経路の修正及び/又は走行速度の変更を行ってもよい。自動搬送機同士の間での上記干渉の予測の際、自動搬送機101及び他の自動搬送機101の少なくとも一方の大きさは、点とみなされてもよく、グリッドのマス目の大きさとみなされてもよく、図10に示される領域Mの大きさとみなされてもよいが、領域Mが最も好ましい。領域Mを採用することによって、自動搬送機101と他の自動搬送機101との干渉が、より確実に抑えられる。自動搬送機101と他の自動搬送機101とが干渉することによって、両者が衝突する可能性がある、又は、走行経路RAを走行する自動搬送機101が、走行経路上で停止する他の自動搬送機101によって進行が阻まれ、他の自動搬送機101の近傍で自動搬送機101が滞留する可能性がある。
そして、経路探索部224は、修正後の走行経路RA及び/又は自動搬送機101の走行速度を含む経路情報を新たな走行経路RAの経路情報とする。さらに、経路探索部224は、走行経路RAの修正後の経路情報を記憶部221に記憶させ保存する(ステップS1006)。
[1-2-2.通常走行時の自動搬送機101の走行経路を探索する際のサーバ装置201及び自動搬送機101の動作]
通常走行時の自動搬送機101に対して、走行経路を探索する際のサーバ装置201及び自動搬送機101の動作について、説明する。通常走行とは、自動搬送機101の走行が他の自動搬送機101及び障害物から干渉を受けない場合の走行のことである。また、本説明は、通信端末501を使用しない場合のサーバ装置201及び自動搬送機101の動作に関する。
図3、図6及び図16のうち図16を中心に参照すると、自動搬送機101は、稼働中、1秒毎のように定期的に搬送機情報をサーバ装置201に送信する。図16は、通常走行時の自動搬送機101の走行経路を探索する際のサーバ装置201及び自動搬送機101の動作の流れを示すフローチャートである。サーバ装置201の制御部220は、受信した搬送機情報を加えることによって、例えば図12に示すような記憶部221の搬送機情報221dを更新する(ステップS2001)。
次いで、サーバ装置201の制御部220は、自動搬送機101の走行に関して出発点及び目的点の設定の指示を受ける(ステップS2002)。この指示は、操作者によるサーバ装置201の入力部216への入力を通じて実施されてもよく、例えば作業者による自動搬送機101の入力部116への入力後、自動搬送機101からサーバ装置201に送られることによって実施されてもよい。
サーバ装置201の入力部216への指示の入力及び自動搬送機101の入力部116への指示の入力は、出発点及び目的点の座標、グリッド座標又はグリッドマップのマス目
に付けられた番号等の位置情報が入力されてもよく、サーバ装置201の表示部218又は自動搬送機101の表示部118に表示される作業エリア2の地図上で出発点及び目的点が設定されてもよい。さらに、出発点及び目的点のうち、目的点のみを含む指示であってもよい。この場合、自動搬送機101が位置している走行経路の目的点が、出発点として設定されてもよい。
自動搬送機101の入力部116への指示の入力は、入力部116のペダルを作業者が踏むことによって、自動搬送機101の進行方向が変更されるものであってもよい。このとき、出発点は、入力部116のペダルが踏まれた時の自動搬送機101の位置とされてよい。目的点は、入力部116への入力を通じて作業者によって設定されてもよく、自動搬送機101の変更後の進行方向に対応して、サーバ装置201によって設定されてもよい。
指示を受けた制御部220は、経路探索部224に、設定された出発点及び目的点を含む走行経路を、上述したように探索させ、探索された走行経路を記憶部221に保存させる(ステップS2003)。探索の結果、2つ以上の走行経路が見つけ出され、且つ、作業者の選択を介在させる場合(ステップS2004でYes)、制御部220は、走行経路の情報を自動搬送機101に送信する(ステップS2005)。走行経路の情報を受信した自動搬送機101は、表示部118に受信した2つ以上の走行経路を表示する(ステップS2006)。自動搬送機101の近傍の作業者は、表示部118に表示される走行経路の中から1つの走行経路を選択する(ステップS2007)。自動搬送機101への選択指令は、自動搬送機101の入力部116を通じて実施される。このとき、入力部116を通じて自動搬送機101の向きを選択する走行経路の方向へ変えることによって、自動搬送機101への選択指令が実行されてもよい。その後、自動搬送機101は、選択された走行経路の情報を、サーバ装置201に送信する。
次いで、サーバ装置201の制御部220は、経路探索部224に、選択された走行経路に関する経路情報を作成させ、記憶部221の経路情報221cに保存させる(ステップS2008)。このとき、経路探索部224は、走行経路を区分走行経路に区分けし、各区分走行経路における起点及び終点のグリッド座標、区分走行経路上での自動搬送機101の走行速度、区分走行経路上での自動搬送機101の方位、起点及び/又は終点での自動搬送機101の方位等の区分走行経路に関する情報を算出する。そして、経路探索部224は、例えば図11に示すような各区分走行経路に関する情報を含む経路情報を、記憶部221の経路情報221cに保存する。
一方、ステップS2003での走行経路の探索の結果、1つの走行経路が見つけ出された場合(ステップS2004でNо)、制御部220は、経路探索部224に、上記走行経路に関する経路情報を作成させ、記憶部221の経路情報221cに保存させる(ステップS2008)。
ステップS2008の後、サーバ装置201の制御部220は、移動制御部225に、記憶部221の経路情報221cに基づく自動搬送機101の移動に関する指示である移動情報を作成させ、自動搬送機101へ送信させる。送信される移動情報には、走行経路を構成する区分走行経路のうちの少なくとも1つの移動情報が、含まれていてもよい。例えば、移動情報は、走行時期が最も早い区分走行経路から走行順に少なくとも1つの区分走行経路の移動情報を含み得る。
移動情報を受信した自動搬送機101は、移動情報に含まれる情報である区分走行経路の起点及び終点の位置、区分走行経路上での自動搬送機101の走行速度、区分走行経路上での自動搬送機101の方位、起点及び/又は終点での自動搬送機101の方位等に従
い、走行動作(ステップS2009)及び停止動作(ステップS2010)を適宜繰り返しつつ、走行経路の出発点から目的点まで移動する。また、移動制御部225は、移動情報の中に、図9に示すような記憶部221の地図情報221bにおける走行経路に該当する情報を含めてもよい。これにより、走行経路上での動作等の指示が自動搬送機101に与えられる。
また、自動搬送機101は、走行経路上を出発点から目的点まで移動する間、1秒毎などのように定期的に搬送機情報をサーバ装置201に送信しており、サーバ装置201の制御部220は、受信した搬送機情報を用いて、記憶部221に格納される自動搬送機101の搬送機情報221dをその都度更新する(ステップS2011)。
[1-2-3.自動搬送機101同士に干渉の可能性がある時のサーバ装置201の干渉回避制御]
自動搬送機101が走行時に他の自動搬送機101と干渉する可能性がある場合における、サーバ装置201の干渉回避制御について、説明する。
図17は、自動搬送機101同士に干渉の可能性がある時のサーバ装置201の制御の流れを示すフローチャートである。図3、図6及び図17のうち図17を中心に参照すると、各自動搬送機101は、稼働中、1秒毎のように定期的に搬送機情報をサーバ装置201に送信する。サーバ装置201の制御部220は、搬送機情報を受信すると(ステップS3001)、受信した搬送機情報を用いて、記憶部221の搬送機情報221dを更新する(ステップS3002)。
次いで、制御部220は、移動制御部225に、記憶部221の地図情報221b、経路情報221c及び搬送機情報221dに含まれる地図情報、各自動搬送機101の経路情報及び搬送機情報を読み取らせ、各自動搬送機101の走行経路、走行経路の地図情報、走行速度、位置、状態等から、各自動搬送機101の予測される走行動作を比較させる(ステップS3003)。なお、上記及び下記の移動制御部225による動作のうちの少なくともいくつかは、制御部220によって実施されてもよい。
自動搬送機101同士の間に干渉が生じる可能性があると予測される場合(ステップS3004でYes)、移動制御部225は、上記干渉を回避するために、自動搬送機101のうちの干渉発生の可能性がある自動搬送機101a及び101bの少なくとも一方の走行経路の変更及び/又は走行経路上での走行速度の変更等を含む経路探索を、経路探索部224に実施させる(ステップS3005)。経路探索部224は、経路探索の結果、変更を実施した自動搬送機101a及び/又は101bの経路情報を用いて、記憶部221の経路情報221cを更新する(ステップS3006)。次いで、移動制御部225は、更新後の経路情報221cに基づく自動搬送機101a及び/又は101bの移動情報を、自動搬送機101に送信する(ステップS3007)。この結果、自動搬送機101a及び101bは、移動情報に含まれる情報に従って走行する。そして、サーバ装置201は、自動搬送機101a及び101bの干渉を回避するための一連の制御を終了する。
また、ステップS3003での比較後、自動搬送機101同士の間に干渉が生じる可能性がないと予測される場合(ステップS3004でNo)も、サーバ装置201は、自動搬送機101間の干渉を回避するための一連の制御を終了する。
上述の一連の制御は、サーバ装置201が、自動搬送機101から搬送機情報を受信する毎に、実施される。又は、上述の一連の制御は、所定の時間経過する毎に、実施されてもよい。
[1-2-4.自動搬送機101同士に衝突の可能性がある時のサーバ装置201の衝突回避制御]
自動搬送機101が走行時に他の自動搬送機101と干渉し衝突する可能性がある場合における、サーバ装置201による具体的な衝突回避制御について、説明する。なお、本説明では、衝突の可能性がある自動搬送機は、複数の自動搬送機101のうちの2つの自動搬送機101a及び101bであるとする。そして、サーバ装置201と自動搬送機101a及び101bとについてのみ説明する。
図18は、自動搬送機101a及び101bに衝突が発生する可能性がある例を、グリッドマップ上に示す図である。図18では、グリッドマップ上において、自動搬送機101aに対して、位置Aを出発点とし且つ位置Bを目的点とする直線状の走行経路RC1が設定されている。さらに、自動搬送機101bに対して、位置Cを出発点とし且つ位置Dを目的点とする直線状の走行経路RC2が設定されているとする。図18では、走行経路RC1と走行経路RC2とが位置Eにて垂直に交差している。また、位置Eは、自動搬送機101a及び101bの荷物の積み降ろし場所でもある。
図19は、自動搬送機101a及び101bに衝突の可能性がある時のサーバ装置201の衝突回避制御の流れを示すフローチャートである。図20A~図20Fは、図18のグリッドマップ上における自動搬送機101a及び101bの位置を示す図であり、サーバ装置201による衝突回避制御の流れに沿った一状態を示す図である。以下、図3、図6、図19及び図20A~Fのうち図19を中心に参照して説明する。自動搬送機101a及び101bは、稼働中、1秒毎のように定期的に搬送機情報をサーバ装置201に送信する。ここで、搬送機情報を、搬送機情報(p,q,r,s)と示す。要素pは、自動搬送機の識別番号であり、自動搬送機101aの識別番号が「1」とされ、自動搬送機101bの識別番号が「2」とされる。要素qは、自動搬送機のグリッドマップ上の位置であり、グリッド座標を含む。要素rは、自動搬送機の方位角(単位:度)である。要素sは、自動搬送機の状態である。
サーバ装置201からの移動情報を受信していない自動搬送機101aは、停止しており、搬送機情報(1,A,180,停止)をサーバ装置201に送信する。サーバ装置201からの移動情報を受信していない自動搬送機101bは、停止しており、搬送機情報(2,C,90,停止)をサーバ装置201に送信する。このとき、自動搬送機101a及び101bはそれぞれ、図20Aに示すように位置A及びCに位置する。
その後、サーバ装置201の移動制御部225は、記憶部221の地図情報221bと、経路情報221cに含まれる自動搬送機101a及び101bの経路情報と、受信した自動搬送機101a及び101bの搬送機情報とから、位置Eにおいて自動搬送機101a及び101bが衝突する可能性があると予測する、つまり衝突検知する(ステップS4001)。なお、上記及び下記の移動制御部225による動作のうちの少なくともいくつかは、制御部220によって実施されてもよい。
次いで、移動制御部225は、経路探索部224に、衝突を回避するために、自動搬送機101a及び101bの少なくとも一方の走行経路を変更する及び/又は走行経路における走行速度を変更する等を含む経路探索をさせる(ステップS4002)。本例では、経路探索部224は、走行経路を変更せずに、自動搬送機101a及び101bの走行速度を変更し、変更した走行速度を含む自動搬送機101a及び101bの経路情報を用いて、記憶部221の経路情報221cを更新する。
次いで、移動制御部225は、経路情報221c内の自動搬送機101aの経路情報を取得し、走行経路RC1における位置Aを起点とする区分走行経路の経路情報に基づき、
移動情報を生成し、自動搬送機101aに送信する。ここで、移動情報を、移動情報(u,v,w)と示す。要素uは、区分走行経路の起点位置であり、グリッド座標を含む。要素vは、区分走行経路の終点位置であり、グリッド座標を含む。要素wは、自動搬送機の走行速度であり、例えば、時速などであってよい。なお、移動情報(u,v,w)は、1つの区分走行経路に関する移動情報を含むものでもよく、連続する2つ以上の区分走行経路に関する移動情報を含むものでもよい。そして、本例では、移動制御部225は、位置Aから位置Eまでの1つの区分走行経路に関する移動情報(A,E,4)を送信する。
自動搬送機101aは、受信した移動情報(A,E,4)に従って、位置Eに向かって走行を開始する(ステップS4003)。自動搬送機101aは、位置Eに到着すると停止し、サーバ装置201から次の移動情報を受信するまで待機する。さらに、自動搬送機101aの入力部116を介した作業者の操作によって、自動搬送機101aの車輪113a又は113bが、回転係止つまりロックされる(ステップS4004)。車輪113a又は113bのロック後、自動搬送機101aは、荷物の積み降ろしを受ける。例えば、位置Eの地図情報に、荷物の積み降ろし動作が含まれており、自動搬送機101aは、サーバ装置201の記憶部221の地図情報221bから位置Eの地図情報を予め取得していてもよい。そして、自動搬送機101aは、位置Eに到着すると、その地図情報に基づき、車輪113a又は113bのロックを自身で実行してもよい。
また、ロック完了後、自動搬送機101aは、搬送機情報(1,E,180,ロック)をサーバ装置201に送信する。移動制御部225は、搬送機情報(1,E,180,ロック)を受信後、記憶部221の経路情報221c内にある自動搬送機101bの経路情報を取得する。移動制御部225は、走行経路RC2における位置Cを起点とする区分走行経路の経路情報に基づき、移動情報(C,F,3)を生成し、自動搬送機101bに送信する。
自動搬送機101bは、受信した移動情報(C,F,3)に従って、位置Fに向かって走行を開始する(ステップS4005)。自動搬送機101bは、位置Fに到着すると停止し、サーバ装置201から次の移動情報を受信するまで待機する(ステップS4006)。位置Fでの待機は、自動搬送機101bが予め取得していた地図情報に基づくものであってもよく、上記移動情報と共に送られた地図情報に基づくものであってもよい。このとき、自動搬送機101a及び101bはそれぞれ、図20Bに示すように位置E及びFに位置する。このとき、自動搬送機101aは、移動していた自動搬送機101bにおける図10に示すような領域Mの外にあり且つ自動搬送機101bとの衝突に対して安全である位置に位置している。その後、自動搬送機101bは、搬送機情報(2,F,90,待機)をサーバ装置201に送信する。
サーバ装置201の移動制御部225は、搬送機情報(2,F,90,待機)を受信後、記憶部221の経路情報221c内にある自動搬送機101aにおける位置Eを起点とする区分走行経路の経路情報を取得する。移動制御部225は、取得した経路情報に基づき、移動情報(E,B,4)を生成し、自動搬送機101aに送信する。よって、サーバ装置201は、自動搬送機101aとの衝突に対して安全な位置での自動搬送機101bの停止後に、自動搬送機101aの走行を開始させるように制御している。
自動搬送機101aは、移動情報(E,B,4)を受信し、且つ、荷物の積み降ろしが完了して自動搬送機101aの車輪113a又は113bのロックが解除された後、位置Bに向かって走行を開始する(ステップS4007)。ロックの解除は、自動搬送機101aの入力部116を介した作業者の操作によって、行われてよい。
移動制御部225は、走行中の自動搬送機101aから定期的に受信する搬送機情報の
うちで搬送機情報(1,G,180,走行)を受信すると、記憶部221の経路情報221c内にある自動搬送機101bにおける位置Fを起点とする区分走行経路の経路情報を取得する。移動制御部225は、取得した経路情報に基づき、移動情報(F,E,3)を生成し、自動搬送機101bに送信する。よって、サーバ装置201は、移動している自動搬送機101aにおける図10に示すような領域Mの外にあり且つ自動搬送機101aとの衝突に対して安全である位置に、自動搬送機101bが位置するようになった後に、自動搬送機101bの走行を開始させるように制御している。このとき、自動搬送機101a及び101bはそれぞれ、図20Cに示すように位置G及びFに位置する。
自動搬送機101bは、受信した移動情報(F,E,3)に従って、位置Eに向かって走行を開始する(ステップS4008)。自動搬送機101bは、位置Eに到着すると停止し、サーバ装置201から次の移動情報を受信するまで待機する。さらに、自動搬送機101bの入力部116を介した作業者の操作によって、自動搬送機101bの車輪113a又は113bが、ロックされる(ステップS4009)。車輪113a又は113bのロック後、自動搬送機101bは、荷物の積み降ろしを受ける。例えば、位置Eの地図情報に、荷物の積み降ろし動作が含まれており、自動搬送機101bは、サーバ装置201の記憶部221の地図情報221bから位置Eの地図情報を予め取得していてもよい。そして、自動搬送機101bは、位置Eに到着すると、その地図情報に基づき、車輪113a又は113bのロックを自身で実行してもよい。
ここで、自動搬送機101bが位置Eに到着した時、自動搬送機101aは、搬送機情報(1,H,180,走行)をサーバ装置201に送信している。つまり、自動搬送機101a及び101bはそれぞれ、図20Dに示すように位置H及びEに位置する。よって、自動搬送機101a及び101bはいずれも、図10に示すような互いの領域Mの外にあり且つ互いとの衝突に対して安全である位置に位置している。
ロック完了後、自動搬送機101bは、搬送機情報(2,E,90,ロック)をサーバ装置201に送信する。さらに、移動制御部225は、搬送機情報(2,E,90,ロック)を受信後、記憶部221の経路情報221c内にある自動搬送機101bにおける位置Eを起点とする区分走行経路の経路情報を取得する。移動制御部225は、取得した経路情報に基づき、移動情報(E,D,3)を生成し、自動搬送機101bに送信する。自動搬送機101bは、移動情報(E,D,3)を受信し、荷物の積み降ろしが完了して自動搬送機101bの車輪113a又は113bのロックが解除された後、位置Dに向かって走行を開始する(ステップS4010)。
ここで、自動搬送機101bが位置Eで待機している間に、自動搬送機101aは、搬送機情報(1,B,180,停止)をサーバ装置201に送信している。つまり、自動搬送機101aは、目的点である位置Bに到着し停止している(SステップS4011)。
また、自動搬送機101bは、走行開始後、搬送機情報(2,I,90,走行)等の搬送機情報をサーバ装置201に送信しつつ走行し、目的点である位置Dに到着し停止する(ステップS4012)。停止後、自動搬送機101bは、車輪113a又は113bのロックを受け、その後、搬送機情報(2,D,90,ロック)をサーバ装置201に送信する。自動搬送機101a及び101bがそれぞれ位置B及びIに位置する状態が、図20Eに示され、自動搬送機101a及び101bがそれぞれ位置B及びDに位置する状態が、図20Fに示されている。
なお、上述の説明では、自動搬送機101aの走行経路RC1と自動搬送機101bの走行経路RC2とが交差する例を記載したが、自動搬送機101aの走行経路と自動搬送機101bの走行経路とが少なくとも部分的に重なる場合でも、上述の制御は適用可能で
ある。例えば、互いの走行経路が少なくとも部分的に重なり、自動搬送機101a及び101bが互いに向かって重なった経路を走行する場合、サーバ装置201は、自動搬送機101a及び101bの一方を重なった経路の手前で待機させ、他方を先に通過させるように制御してよい。
また、上述では、2つの自動搬送機101a及び101bに衝突の可能性がある場合について、説明したが、3つ以上の自動搬送機101が同時に衝突する可能性を有していてもよい。この場合、サーバ装置201は、3つ以上の自動搬送機101について相互の間で上述のような制御を実施してよい。また、複数の自動搬送機101が衝突する可能性を有していても、同時に衝突し得るのが2つの自動搬送機101の場合、サーバ装置201による制御は、上述と同様でよい。
[1-2-5.自動搬送機101に滞留の可能性がある時のサーバ装置201の滞留回避制御]
自動搬送機101が、走行時に他の自動搬送機101によって進行方向の走行経路が遮られるように他の自動搬送機101と干渉し、他の自動搬送機101の近傍で滞留する可能性がある場合における、サーバ装置201による具体的な滞留回避制御について、説明する。なお、本説明では、滞留の可能性がある自動搬送機は、自動搬送機101のうちの2つの自動搬送機101a及び101bであるとする。そして、サーバ装置201と自動搬送機101a及び101bとについてのみ説明する。
図21は、自動搬送機101a及び101bの走行経路が重複し自動搬送機101a及び101bに滞留が発生する可能性がある例を、グリッドマップ上に示す図であり、サーバ装置201による滞留回避制御の流れに沿った自動搬送機101a及び101bの位置の推移を示す図である。図21を参照すると、グリッドマップ上における自動搬送機101a及び101bの走行経路は重複している。
自動搬送機101a及び101bはそれぞれ、図21の状態Iにあるとき、自動搬送機101a及び101bの互いに重複する走行経路上の位置H及びAで停止している。例えば、自動搬送機101aは、待機のために位置Hで停止しており、自動搬送機101bは、自身の走行経路上に自動搬送機101aを障害物として確認したため一時的に停止している。走行開始後の自動搬送機101bの走行方向は、位置Hに向かう方向に設定されており、待機後の自動搬送機101aの走行方向は、自動搬送機101bの走行方向と同方向に設定されている。
図22は、自動搬送機101a及び101bに滞留の可能性がある時のサーバ装置201の滞留回避制御の流れを示すフローチャートである。図3、図6及び図22のうちの図22を中心に参照すると、自動搬送機101a及び101bは、稼働中、1秒毎のように定期的に搬送機情報をサーバ装置201に送信する。自動搬送機101a及び101bはそれぞれ、図21の状態Iにあるとき、サーバ装置201から移動情報を受信するまで、位置H及びAで停止している(ステップS5001)。そして、自動搬送機101aは、移動情報を受信するまで、搬送機情報(1,H,90,停止)をサーバ装置201に送信し続け、自動搬送機101bは、移動情報を受信するまで、搬送機情報(2,A,90,停止)をサーバ装置201に送信し続ける。
サーバ装置201の移動制御部225は、搬送機情報を受信後、記憶部221の地図情報221bと、経路情報221cに含まれる自動搬送機101a及び101bの経路情報と、受信した自動搬送機101a及び101bの搬送機情報とから、自動搬送機101bが、停止している自動搬送機101aの近傍で停止し滞留する可能性があると予測する、つまり滞留検知する(ステップS5002)。なお、上記及び下記の移動制御部225に
よる動作のうちの少なくともいくつかは、制御部220によって実施されてもよい。
次いで、移動制御部225は、経路探索部224に、滞留を回避するために、自動搬送機101a及び101bの少なくとも一方の走行経路を変更する及び/又は走行経路における走行速度を変更する等を含む経路探索をさせる(ステップS5003)。本例では、経路探索部224は、走行経路を変更せずに、自動搬送機101bのみの走行速度を変更し、変更した走行速度を含む自動搬送機101bの経路情報を用いて、記憶部221の経路情報221cを更新する。
次いで、移動制御部225は、経路情報221c内の自動搬送機101bの経路情報を取得し、走行経路における位置Aを起点とする区分走行経路の経路情報に基づき、移動情報(A,E,4)を生成し、自動搬送機101bに送信する。
自動搬送機101bは、受信した移動情報(A,E,4)に従って、位置Eに向かって走行を開始する(ステップS5004)。図21の状態IIに示すように、自動搬送機101bは、位置Eに到着すると停止し、サーバ装置201から次の移動情報を受信するまで待機する(ステップS5005)。そして、自動搬送機101bは、次の移動情報を受信するまで、搬送機情報(2,E,90,停止)をサーバ装置201に送信し続ける。位置Eでの待機は、自動搬送機101bが予め取得していた地図情報に基づくものであってもよく、移動情報と共に送られた地図情報に基づくものであってもよい。このとき、自動搬送機101a及び101bは、図10に示すようなそれぞれの領域Mの外に互いに位置し、進行方向を変更するためなどの旋回を自在に実施することができる。つまり、自動搬送機101a及び101bにおける走行開始時における互いの接触による滞留が、抑制される。
移動制御部225は、位置Hでの自動搬送機101aの待機時間が終了したタイミングで、記憶部221の経路情報221c内にある自動搬送機101aにおける位置Hを起点とする区分走行経路の経路情報を取得する。さらに、移動制御部225は、取得した経路情報に基づき、移動情報(H,L,4)を生成し、自動搬送機101aに送信する。
図21の状態IIIに示すように、自動搬送機101aは、受信した移動情報(H,L,4)に従って、位置Lに向かって走行を開始する(ステップS5006)。その後、移動制御部225は、記憶部221の経路情報221c内にある自動搬送機101bにおける位置Eを起点とする区分走行経路の経路情報を取得し、取得した経路情報に基づき、移動情報(E,H,2)を生成し、自動搬送機101bに送信する。移動情報(E,H,2)を受信した自動搬送機101bは、位置Hに向かって走行を開始する(ステップS5007)。このとき、自動搬送機101bの走行速度2km/hは、自動搬送機101aの走行速度4km/hよりも低いため、自動搬送機101bが自動搬送機101aに接近して互いの間隔が縮小することが抑制される。また、図21の状態IVに示すように、移動制御部225は、自動搬送機101bから離れる方向に移動したことを示す搬送機情報(1,J,90,停止)などの搬送機情報を、自動搬送機101aから受信した後に、移動情報(E,H,2)を自動搬送機101bに送信してもよい。
また、上述では、2つの自動搬送機101a及び101bに滞留の可能性がある場合について、説明したが、3つ以上の自動搬送機101が集中して滞留する可能性を有していてもよい。この場合、サーバ装置201は、3つ以上の自動搬送機101について相互の間で上述のような制御を実施してよい。一方、複数の自動搬送機101が滞留する可能性を有していても、集中して滞留し得るのが2つの自動搬送機101の場合、サーバ装置201による制御は、上述と同様でよい。
[1-2-6.稼働中の自動搬送機101の走行経路を探索する際の通信端末501を併用したサーバ装置201及び自動搬送機101の動作]
稼働中の自動搬送機101に対して、通信端末501を併用して走行経路を探索する際のサーバ装置201及び自動搬送機101の動作について、説明する。
図23は、稼働中の自動搬送機101を制御する際の通信端末501を併用したサーバ装置201及び自動搬送機101の動作の流れを示すフローチャートである。図3、図6及び図23のうち図23を中心に参照すると、自動搬送機101は、稼働中、1秒毎のように定期的に搬送機情報をサーバ装置201に送信する。サーバ装置201の制御部220は、受信した搬送機情報を加えることによって、記憶部221の搬送機情報221dを更新する(ステップS6001)。
次いで、通信端末501の操作者が、自動搬送機101の走行に関して出発点及び目的点を設定する指示を、通信端末501を介してサーバ装置201に送信する(ステップS6002)。このとき、自動搬送機101の識別番号等の識別情報、出発点の位置及び/又は目的点の位置等の情報が、送られ得る。なお、通信端末501から送信される情報は、出発点を含んでなくてもよい。この場合、例えば、サーバ装置201が上記情報を受信した際に自動搬送機101が位置している走行経路の目的点が、出発点として設定されてもよい。
通信端末501から指示を受信したサーバ装置201の制御部220は、指示の内容に基づき、自動搬送機101の出発点及び目的点を設定する。次いで、制御部220は、経路探索部224に、設定した出発点及び目的点を含む走行経路を探索させ、探索された走行経路を記憶部221に保存させる(ステップS6003)。
探索の結果、2つ以上の走行経路が見つけ出された場合(ステップS6004でYes)、制御部220は、走行経路の情報を通信端末501に送信する(ステップS6005)。通信端末501を通じて走行経路の情報を受け取った操作者は、選択する走行経路の情報を、通信端末501を介してサーバ装置201に送信する(ステップS6006)。次いで、制御部220は、経路探索部224に、選択された走行経路に関する経路情報を作成させ、記憶部221の経路情報221cに保存させる(ステップS6007)。
探索の結果、1つの走行経路が見つけ出された場合(ステップS6004でNo)、制御部220は、その走行経路を採用し、経路探索部224に、採用される走行経路に関する経路情報を作成させ、記憶部221の経路情報221cに保存させる(ステップS6007)。なお、1つの走行経路が見つけ出された場合でも、走行経路の情報が、通信端末501に送信され、操作者の採用許可を求めるように構成されてもよい。
ステップS6007の後、サーバ装置201の移動制御部225は、記憶部221の経路情報221cに基づく自動搬送機101の移動情報を作成し、自動搬送機101に送信する。移動情報を受信した自動搬送機101は、移動情報に含まれる情報に従って、走行を開始する(ステップS6008)。
走行中、自動搬送機101は、定期的に搬送機情報をサーバ装置201に送信する。サーバ装置201の制御部220は、受信した搬送機情報を記憶部221に記憶させると共に、通信端末501に送信する。本実施の形態では、受信した搬送機情報の全てが、通信端末501に送信されるが、一部が送信されてもよい。操作者は、通信端末501を介して、自動搬送機101の稼働状態を認知でき、さらには、自動搬送機101における異常の発生を認知することができる。
また、自動搬送機101に、出発点及び目的点の設定、他の自動搬送機101との衝突又は滞留の回避、外的要因による走行経路の逸脱等の走行動作の変更の必要性が生じた場合、サーバ装置201は、新たに設定される出発点及び目的点に対応して走行経路の探索を実施し、走行経路を決定する(ステップS6009)。そして、サーバ装置201は、決定した走行経路に基づく経路情報から移動情報を作成し、自動搬送機101に送信する。自動搬送機101は、受信した移動情報に従い走行する(ステップS6010)。
自動搬送機101は、走行経路上又はその近傍等の走行に支障となり得る場所に障害物を検知する(ステップS6011)と、障害物の位置及び範囲等に関する情報を含む障害物情報を搬送機情報に含め、サーバ装置201に送信する。なお、障害物情報は、障害物の有無に関する情報のみを含むものであってもよい。そして、自動搬送機101は、上記障害物を検知したとき停止してもよく、その場合、障害物を検知しなくなった時に自動的に走行を再開してもよく、サーバ装置201等からの指示に従って走行を再開してもよい。例えば、検知された障害物が閉じているシャッターである場合、自動搬送機101は、シャッターが開かれ障害物として検知されなくなる、つまり障害物がないと検知するようになると、自動的に走行を再開してよい。この場合、サーバ装置201が、記憶部221の地図情報221bから障害物がシャッターであると認識すると、自動搬送機101に移動情報を与えずに、自動搬送機101に走行の判断を任せてよい。
障害物情報を含む搬送機情報を受信したサーバ装置201は、障害物に関する情報を含む障害物報告を、通信端末501に送信する。通信端末501は、受信した障害物報告に含まれる障害物情報を表示する(ステップS6012)。表示された障害物情報を確認した操作者は、障害物に対する対応内容を含む障害物対応指示を通信端末501に入力し、通信端末501を介してサーバ装置201に送信する(ステップS6013)。障害物対応指示には、自動搬送機101の走行速度の変更、待機、稼働停止、退避、目的点の変更による走行経路の変更等が含まれてよい。障害物対応指示は、障害物を検知した自動搬送機101に対するものであってもよく、障害物を検知した自動搬送機101だけでなく他の自動搬送機101も含む複数の自動搬送機101に対するものであってもよい。障害物対応指示を受信したサーバ装置201は、障害物対応指示に従って、走行経路の探索、移動情報の生成などを実施し、移動情報を自動搬送機101に送信する。
また、通信端末501を使用しない状況で自動搬送機101が障害物を検知した場合、障害物情報を含む搬送機情報を受信したサーバ装置201は、障害物報告をサーバ装置201の表示部218に表示して操作者に報知してもよい。さらに、報知の代わりに又は上記報知に加えて、自動搬送機101が、その表示部118に障害物情報を表示し、自動搬送機101の近傍の作業者に報知してもよい。そして、サーバ装置201は、操作者によりサーバ装置201に入力される障害物対応指示、又は、作業者により自動搬送機101に入力されて自動搬送機101から受信する障害物対応指示に従って動作してよい。
[1-3.効果等]
上述したように、本実施の形態に係る移動ロボット制御システム100は、複数の自動搬送機101と、自動搬送機101と無線通信するサーバ装置201とを備える。移動ロボット制御システム100において、自動搬送機101は、自動搬送機101の位置を推定する自己位置推定部122と、サーバ装置201と無線通信を行うための第一通信部117aとを有する。サーバ装置201は、自動搬送機101と無線通信を行うための第一通信部217aと、自動搬送機101が稼働する所定エリアの地図221aに関する地図情報221b、自動搬送機101に設定される走行経路としての移動経路を含む経路情報221c、及び第一通信部217aを介して取得する自動搬送機101の位置を含む自動搬送機101の状態に関する搬送機情報221dを格納する記憶部221と、地図情報221bに基づき、自動搬送機101に設定する移動経路を探索する経路探索部224と、経路情報221cに基づき、自動搬送機101に移動の指示を与える移動制御部225とを有する。移動制御部225が、搬送機情報221d及び経路情報221cに基づき、複数の自動搬送機101の間で互いの移動に干渉が生じ得るか否かを判定し、干渉が生じ得る場合、経路探索部224が、干渉を生じ得る自動搬送機101のうちの少なくとも1つに関する経路情報221cを、干渉を回避するように変更する。
上述の構成において、サーバ装置201は、地図情報221b、経路情報221c及び搬送機情報221dを用いて、複数の自動搬送機101それぞれの状態及び移動経路等を確認し、その確認結果に基づき、複数の自動搬送機101の間で干渉が生じ得るか否かを判定することができる。さらに、サーバ装置201は、上記確認結果及び判定結果に基づき、干渉を生じ得る自動搬送機101に関する経路情報221cを、干渉を回避するように変更することができる。この結果、自動搬送機101間の衝突、接触等の干渉の回避が可能になる。よって、サーバ装置201により、複数の自動搬送機101の一元的な制御が可能となる。
本実施の形態に係る移動ロボット制御システム100において、経路情報221cは、移動経路における自動搬送機101の移動速度をさらに含み、経路探索部224は、干渉が生じ得る場合の経路情報221cの変更では、干渉を生じ得る自動搬送機101のうちの少なくとも1つの自動搬送機101の移動経路の変更又は移動速度の調節を実施する。上述の構成において、自動搬送機101間の干渉を簡易に回避することができる。なお、移動速度の変更は、自動搬送機101を停止させる場合も含む。
本実施の形態に係る移動ロボット制御システム100において、地図情報221bは、所定エリアの地図221aをグリッドマップとして含み、自動搬送機101の移動経路及び自動搬送機101への移動の指示には、グリッドマップに適用されるグリッド座標が用いられる。上述の構成において、地図情報221bに含まれる地図221aをグリッドマップとすることによって、地図情報221bのデータ量を低減することができる。さらに、自動搬送機101の移動経路の探索処理が簡易になり、自動搬送機101へ指示する移動情報の算出も簡易になる。これにより、サーバ装置201の処理速度が向上する。よって、サーバ装置201により、複数の自動搬送機101の円滑な一元的な制御が可能となる。
本実施の形態に係る移動ロボット制御システム100において、地図情報221bは、グリッドマップのマス目に対応して設定されるグリッド座標及び属性情報を含む。上述の構成において、属性情報に、自動搬送機101の走行不可能なエリア情報、障害物情報、自動搬送機101の動作及び向き等の情報を含ませることができる。これにより、属性情報を利用した自動搬送機101の適切な移動経路の設定が可能になる。また、サーバ装置201が、例えば移動経路と共に、グリッド座標及び属性情報を自動搬送機101に送信することによって、自動搬送機101は、所定の位置で属性情報に従った動作を実施することができる。
本実施の形態に係る移動ロボット制御システム100において、移動制御部225は、一方の自動搬送機101が向きを変えた場合に通り得る領域に対応するグリッドマップのマス目による領域M内に、他方の自動搬送機101が侵入し得る場合、一方の自動搬送機101と他方の自動搬送機101との間で互いの移動に干渉が生じ得ると判定する。上述の構成において、領域M内に、他方の自動搬送機101を侵入させないような制御が可能になる。そして、一方の自動搬送機101がいかなる向きであっても、他方の自動搬送機101との干渉を回避することが可能になる。
本実施の形態に係る移動ロボット制御システム100において、自動搬送機101の移
動経路は、移動経路上における自動搬送機101の動作の変化点で区分された区分移動経路から構成され、移動制御部225は、区分移動経路それぞれに対応する移動の指示を自動搬送機101に与える。上述の構成において、移動制御部225が自動搬送機101に与えるべき区分移動経路での移動に関する情報は、例えば、区分移動経路の起点及び終点の位置、起点及び/又は終点での自動搬送機101の向き、並びに、区分移動経路上での移動速度等だけでもよい。よって、区分移動経路の算出が簡易になり、自動搬送機101に送信すべき区分移動経路に関する情報量も低減する。
本実施の形態に係る移動ロボット制御システム100は、自動搬送機101とサーバ装置201との間の通信を中継するアクセスポイント301を備え、アクセスポイント301は、自動搬送機101と無線通信を介して接続され、サーバ装置201と通信ネットワーク401を介して接続される。上述の構成において、サーバ装置201が接続する通信ネットワーク401を介したサーバ装置201と自動搬送機101との間の通信が、可能になる。サーバ装置201と自動搬送機101との間の通信は、アクセスポイント301の設置と、アクセスポイント301と自動搬送機101との通信の確立とによって、確立されるため、コストの低減が可能になる。
本実施の形態に係る移動ロボット制御システム100において、自動搬送機101は、自動搬送機101の周囲の物体を検知する外界センサ115と、外界センサ115の検知結果に基づき、自動搬送機101の周囲における障害物の有無及び位置に関する障害物情報を生成する障害物検知部123とを有し、障害物検知部123による検知結果は、サーバ装置201に送信され、搬送機情報として記憶部221に格納される。さらに、自動搬送機101は、障害物検知部123により移動経路に障害物を検知すると停止し、障害物検知部123により移動経路に障害物が検知されなくなると移動を開始する、又は、障害物情報に基づき経路探索部224により変更された経路情報221cに基づく移動制御部225の指示に従って、移動を開始する。上述の構成において、自動搬送機101は、障害物を検知した場合に一時停止し、自動搬送機101の判断又はサーバ装置201からの指示により、障害物との干渉を回避して自動的に移動を開始することができる。
本実施の形態に係る移動ロボット制御システム100において、自動搬送機101は、経路探索部224が複数の移動経路を探索した場合に、サーバ装置201から送信される複数の移動経路を表示する表示部118と、複数の移動経路からの移動経路の選択の入力が可能である入力部116とを有し、移動制御部225は、自動搬送機101から受信する選択された移動経路に基づき、自動搬送機101に移動の指示を与える。上述の構成において、自動搬送機101の近傍にいる作業者等に、選択すべき移動経路を問い合わせることができる。
本実施の形態に係る移動ロボット制御システム100において、自動搬送機101は、自動搬送機101の移動経路に設定する目的地が入力される入力部116を有し、経路探索部224は、自動搬送機101から受信する目的地に基づき、自動搬送機101の移動経路を探索する。上述の構成によって、自動搬送機101において、移動経路の目的地の設定が可能になる。つまり、自動搬送機101の稼働エリアの状況に応じて、稼働エリアにいる作業者等が、自動搬送機101の目的地を変更することができる。
本実施の形態に係る移動ロボット制御システム100において、サーバ装置201は、地図情報221bに関する情報、自動搬送機101の移動経路に設定する目的地、及び経路探索部224によって探索された自動搬送機101の複数の移動経路からの移動経路の選択の入力が可能である入力部216を有する。上述の構成によって、サーバ装置201において、種々の設定及び選択が可能になる。
本実施の形態に係る移動ロボット制御システム100は、サーバ装置201と無線通信する通信端末501を備え、通信端末501は、サーバ装置201から情報を取得可能である共に、サーバ装置201へ指示及び情報を与えることが可能である。上述の構成によって、通信端末501から、サーバ装置201及び自動搬送機101に関する種々の設定及び選択が可能になる。
また、本実施の形態に係るサーバ装置201は、上述した構成の少なくともいくつかを含むサーバ装置である。これによって、サーバ装置201は、上述した効果と同様の効果を奏する。
なお、上述の構成の包括的又は具体的な態様は、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの非一時的な記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
[他の実施の形態]
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施の形態及び下記の他の実施形態で説明する各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
上記実施の形態に係る移動ロボット制御システム100では、自動搬送機101に設定される走行経路は、グリッドマップのマス目の行及び列の並びに沿った走行経路であり、直線部分と直角の屈曲部分とによって構成されていた。そして、走行経路での自動搬送機101の走行動作は、直線部分での直線走行動作と、屈曲部分での90度単位の旋回動作とによって、構成されていた。しかしながら、走行経路は、上記構成に限定されるものでない。走行経路は、マス目を斜めに横断する部分、つまり2つのマス目の間のマス目を斜めに横断しつつ上記2つのマス目を直線的に結ぶ部分を含むものであってもよい。
上記実施の形態では、経路探索部224は、サーバ装置201の入力部216、自動搬送機101の入力部116又は通信端末501等を介して与えられる自動搬送機101の出発点の位置及び/又は目的点の位置に基づき、グリッドマップ上における出発点の位置のマス目と目的点の位置のマス目とを最短経路で結び且つマス目の配列に沿った走行経路を探索していた。すなわち、地図情報において、走行可能な経路を認識して走行経路を探索していた。しかしながら、地図情報に加えて経路候補情報を予め持っていてもよい。ここで、経路候補情報とは、走行可能な走行経路の起点と終点の情報を有する情報である。この経路候補情報があることで最短経路探索を検索する際の解の候補数が限定されるため、計算処理のコストが小さくなり、計算時間が短くなる利点がある。
上記実施の形態では、自動搬送機101の衝突回避及び滞留回避等におけるサーバ装置201による複数の自動搬送機101の制御に関して、サーバ装置201が、定期的に受信する搬送機情報から複数の自動搬送機101の動作及び位置を確認しつつ、1つの区分走行経路での移動のみを含む移動情報を複数の自動搬送機101に順次送信する例を挙げて、説明した。しかしながら、サーバ装置201は、複数の区分走行経路に対応する複数の動作を含む移動情報を送信してもよい。又は、複数の自動搬送機101へ移動情報が送信されるタイミングが、複数の自動搬送機101が動作を実施するタイミングに対応していたが、これに限定されない。上述の場合、移動情報は、各自動搬送機101が各区分走
行経路に対応する動作を適切な時期に実施することができるために、区分走行経路に対応する動作の実施時期、区分走行経路間での動作の実施間隔、区分走行経路に対応する動作の実施順序等の情報を含んでもよい。
上記実施の形態では、自動搬送機101は、2つの車輪113a及び2つの車輪113bを備えたが、2つの車輪113aだけ備える構成でもよい。また、自動搬送機101への指示の入力は、複数の足踏み式ペダルを備えた入力部116を用いて行ったが、通信ネットワーク401又は通信端末501を介して、外部の装置から指示が入力されてもよい。
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面及び詳細な説明を提供した。
したがって、添付図面及び詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。