JP7112870B2 - 車両の乗員保護装置 - Google Patents
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Description
上述したような従来のサイドエアバッグ装置では全方位の衝突には対応することが困難である。
なお、図1(a)~(b)は本発明の一実施形態である乗員保護装置1を示す概略図であり、図1(a)は乗員保護装置1を示す平面図であり、図1(b)は乗員保護装置1を示す側面図である。図2は、図1に示した乗員保護装置1におけるエアバッグ2を模式的に示す概略図である。
なお、シート100は、乗員Pが着座可能なシートクッション101と、乗員Pが背面をもたれさせることのできるシートバック102とを有する。
エアバッグ2は、布製の袋体であり、展開前にはシートバック102内に配置されて成る収容部7に折り畳まれて収容される。エアバッグ2が展開する際には、収容部7に付設されて成るインフレータ8から発生するガスがエアバッグ2内に圧入されることで、エアバッグ2が収容部7外に膨出し、更にシートバック102のシート表面を開裂させて車室内空間へ展開することとなる。
エアバッグ2の内部が後述の隔壁3により画分されることで、第1気室部21、第2気室部22及び第3気室部23が形成されている。なお、第1気室部21及び第2気室部22は本発明における第1気室及び第2気室の一例であり、第3気室部23は任意で追加形成されて成る気室である。
隔壁3のエアバッグ2に対する配置については図2を参照しつつ後述する。
衝突の検知は、例えば車両に搭載される加速度センサなどによって自車両に作用する衝撃を検知することで、衝突が発生したと判別することができる。
また、衝突可能性の検知は、例えば車両に搭載される車外監視用カメラ、監視用センサなどによる他車両又は障害物の監視結果と、自車両の走行速度、方向などのパラメータとを併せることで、自車両に他車両又は障害物が接触し得る可能性を導出する。更に、導出結果が適宜のしきい値を超えているか否かによって衝突可能性の高低を判別することができる。
検知手段5としては、例えば車載カメラ、監視用センサ、加速度センサなどと、監視結果の解析のための演算処理装置とを組合せて用いることができる。
制御手段6としては、例えば車載用の演算処理装置であるECUなどを用いることができる。
なお、図2における左側がシート100の幅方向外側であり、右側がシート100の幅方向内側である。また、図2における上側がシート100の前後方向前側であり、下側がシート100の前後方向後側である。
次に、図1及び図2に示した実施形態に係る乗員保護装置1において、エアバッグ2の展開について、図3を参照しつつ説明する。
乗員保護装置1のエアバッグ2が展開するには、先ず検知手段5が衝突又は衝突の可能性を検知する。
更に検知手段5による検知結果に係る信号が制御手段6に入力されたときに、制御手段6がインフレータ8に駆動信号を出力する。
制御手段6からの駆動信号の入力によって、インフレータ8は例えば火薬に着火するなどしてガスを発生させる。
インフレータ8から発生したガスは、エアバッグ2内に圧入されることでシートバック102のシート表面103を開裂させてシート100外に膨出する。シート100外に膨出した初期段階のエアバッグ2を図3(a)に示している。
図3(a)に示すように、エアバッグ2の第1気室部21はシート100の幅方向外側かつシート100の前方に向かって膨出している。これは、図2に示したように、第1気室部21におけるシート100の幅方向内側の周長L2が幅方向外側の周長L1より大きく形成されているからである。
図3(b)に示すエアバッグ2は、第1気室部21が略膨満状態となり、第2気室部22にガスが流入し始めた状態である。このとき、第1圧力弁41は第1気室部21の内圧によって開弁している。なお、第2圧力弁42は閉弁状態を維持している。これにより、第3気室部23はガスが流入しておらず収縮状態である。
図3(c)に示すエアバッグ2は、第1気室部21及び第2気室部22が略膨満状態となっている。このとき、第1圧力弁41は開弁し、第2圧力弁42は閉弁状態を維持している。これにより、第3気室部23はガスが流入しておらず収縮状態である。
図3(c)に示すように、エアバッグ2の第2気室部22はシート100の幅方向内側に向かって展開している。これは、図2に示したように、第2気室部22におけるシート100の幅方向外側の周長L3が幅方向内側の周長L4より大きく形成されているからである。
図3(d)に示すエアバッグ2は、第1気室部21、第2気室部22及び第3気室部23が略膨満状態となっている。このとき、第1圧力弁41及び第2圧力弁42は開弁している。これにより、第1気室部21、第2気室部22及び第3気室部23の全てにガスが圧入された状態となる。
図3(d)に示すように、エアバッグ2の第3気室部23はシート100の幅方向内側に向かって直線的に展開している。これは、図2に示したように、第3気室部23におけるシート100の幅方向外側の周長L5と幅方向内側の周長L6とが略同一に形成されているからである。
よって、エアバッグ2が乗員Pの上体前方に展開した状態となる。
図3(d)に示すエアバッグ2は、シート100の幅方向外側から内側に方向転換した展開が完了している。
本実施形態に係る乗員保護装置1は、エアバッグ2の展開の際に、先ず第1気室部21をシート100の幅方向外側に展開させ、かつ、第1圧力弁41の開弁圧力を第1気室部21の展開が完了するとき又はその近傍の圧力に設定することで第2気室部22の展開を第1気室部21の展開完了前後に行うこととしている。これにより、第2気室部22及び第3気室部23の展開を乗員Pから離れた領域で開始することができるので、第2気室部22及び第3気室部23の展開が乗員Pへの攻撃性を生じ難くすることができて好ましい。
将来的に自動運転車両ではシート100を車両前方の向きだけに限定されず、様々な方向に向けることが可能となる。また、シート100を様々な位置にも配置が可能となる。これらによって、種々の内装材に配置される既存のエアバッグなどの乗員保護デバイスは可動となるシート100に着座する乗員Pに対して、従来の乗員保護性能を十分に発揮することができなくなる可能性が生じる。
これに対して、乗員保護装置1は、シート100からエアバッグ2が展開し、乗員Pに近接する領域で乗員Pを囲むようにエアバッグ2が展開するので、どのような方向及びどのような位置に配置されるシート100であっても乗員保護性能が低下しない又は低下し難い。
Claims (4)
- 乗員が着座するシート又は前記シートの周辺部材から展開するエアバッグを備え、
前記エアバッグは、前記シート側の第1気室と先端側の第2気室とに内部が画分されて成り、
前記第1気室は、前記シートの幅方向内側の周長が外側の周長より大きく形成されて成り、
前記第2気室は、前記シートの幅方向外側の周長が内側の周長より大きく形成されて成り、
前記エアバッグは、
シートバックにおいて前記乗員の上体に対して前記シートの幅方向外側位置から前記シートの前方に膨出し、
前記第1気室が前記シートの幅方向外側に向かって展開し、前記第2気室が前記シートの幅方向内側に向かって展開することで、前記乗員の上体前方に展開する、
車両の乗員保護装置。 - 乗員が着座するシート又は前記シートの周辺部材から展開するエアバッグを備え、
前記エアバッグは、前記シート側の第1気室と先端側の第2気室とに内部が画分されて成り、
前記第1気室は、前記シートの幅方向内側の周長が外側の周長より大きく形成されて成り、
前記第2気室は、前記シートの幅方向外側の周長が内側の周長より大きく形成されて成り、
前記エアバッグは、
シートクッションにおいて前記乗員の下肢に対して前記シートの幅方向外側位置から前記シートの上方に膨出し、
前記第1気室が前記シートの幅方向外側に向かって展開し、前記第2気室が前記シートの幅方向内側に向かって展開することで、前記乗員の下肢上方に展開する、
車両の乗員保護装置。 - 前記第1気室と前記第2気室との間に隔壁が設けられ、
前記隔壁は所定の圧力で開弁する弁体を有し、
前記第1気室の展開中又は展開後に前記弁体が開弁して前記第2気室が展開する、
請求項1又は2に記載の車両の乗員保護装置。 - 前記エアバッグは、展開したときに、前記エアバッグの先端部が前記シート又は前記周辺部材における前記第1気室の膨出位置より前記シートの幅方向内側に位置する、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両の乗員保護装置。
以上
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