JP7032209B2 - 車両の乗員保護装置 - Google Patents
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Description
上述したような従来のサイドエアバッグ装置では全方位の衝突には対応することが困難である。
なお、図1(a)~(b)は本発明の一実施形態である乗員保護装置1を示す概略図であり、図1(a)は乗員保護装置1を示す正面図であり、図1(b)は乗員保護装置1を示す平面図である。図2(a)~(d)は、図1に示した乗員保護装置1における各エアバッグの一展開形態を示す説明図である。
特に図1(b)に示すように、第1エアバッグ2は、シートバック102の側方から前方に延在して乗員Pの側方に位置する基端部21と、基端部21より第1エアバッグ2の先端側であって、基端部21からシート100の幅方向内側に向かって延在し、乗員Pの前方に位置する先端部22とを有する。
第1エアバッグ2は、布製の袋体であり、展開前にはシートバック102内に配置されて成る収容部7に折り畳まれて収容される。第1エアバッグ2は全体形状として略板状である。第1エアバッグ2が展開する際には、収容部7に付設されて成るインフレータ8から発生するガスが第1エアバッグ2内に圧入されることで、第1エアバッグ2が収容部7外に膨出し、更にシートバック102のシート表面を開裂させて車室内空間へ展開することとなる。
第2エアバッグ3は、シート100の上下方向に沿って延在する略円柱形状を有し、第1エアバッグ2におけるシート100の幅方向外側に固定的に配置されている。
第2エアバッグ3は、布製の袋体であり、展開前には第1エアバッグ2と共に折り畳まれて、収容部7に収容される。第2エアバッグ3が展開する際には、インフレータ8から発生するガスが第2エアバッグ3内に圧入されることで、第2エアバッグ3が第1エアバッグ2と共に収容部7外に膨出し、シートバック102のシート表面を開裂させ、更に第1エアバッグ2の後述の開裂部を開裂させて車室内空間へ展開することとなる。
なお、第2エアバッグ3の埋設部31と露出部32との境界部分は、第2エアバッグ3の延在方向(本実施形態ではシート100の上下方向)に沿って形成されることになる。図1(b)のように展開状態の第1エアバッグ2及び第2エアバッグ3を平面視したときに第1エアバッグ2と上記境界部分との交点を、露出部32の起点A及びBとすることができる。
本実施形態におけるガス流路4は、インフレータ8から延在する第1エアバッグ2の基端部21と、インフレータ8から第2エアバッグ3まで延在する管状部材とを有する。つまり、基端部21は、乗員保護のために設けられるだけでなく、先端部22へのガスの供給流路としても機能し、ガス流路4の一部である。また、インフレータ8と第2エアバッグ3とを接続する管状部材は、基端部21とは独立したガスの流通路であり、第1エアバッグ2への基端部21を介したガスの圧入とは独立して第2エアバッグ3にガスを圧入することができる。
衝突の検知は、例えば車両に搭載される加速度センサなどによって自車両に作用する衝撃を検知することで、衝突が発生したと判別することができる。
また、衝突可能性の検知は、例えば車両に搭載される車外監視用カメラ、監視用センサなどによる他車両又は障害物の監視結果と、自車両の走行速度、方向などのパラメータとを併せることで、自車両に他車両又は障害物が接触し得る可能性を導出する。更に、導出結果が適宜のしきい値を超えているか否かによって衝突可能性の高低を判別することができる。
検知手段5としては、例えば車載カメラ、監視用センサ、加速度センサなどと、監視結果の解析のための演算処理装置とを組合せて用いることができる。
制御手段6としては、例えば車載用の演算処理装置であるECUなどを用いることができる。
更に検知手段5による検知結果に係る信号が制御手段6に入力されたときに、制御手段6がインフレータ8に駆動信号を出力する。
制御手段6からの駆動信号の入力によって、インフレータ8は例えば火薬に着火するなどしてガスを発生させる。
インフレータ8から発生したガスは、第1エアバッグ2内に圧入されることでシートバック102を開裂させてシート100外に前方に膨出する。シート100外に膨出した第1エアバッグ2を図2(a)に示している。
図2(b)に示す第1エアバッグ2は、ガス流路4の一部である基端部21を介して先端部22にガスが流入しつつある状態である。また、第2エアバッグ3は、ガス流路4の一部である管状部材を介してガスが流入し、膨張しつつある状態である。このとき、第1エアバッグ2の膨張と、第2エアバッグ3の膨張とによって、起点Aと起点Bとが離れる方向に力が作用するので、図2(a)に示した開裂部23が開裂する。
なお、図2(a)及び(b)に示す状態において、第2エアバッグ3の露出部32は、第1エアバッグ2内に収まっているので露出している部位ではないが、展開が進むと露出部32と成る部位であるので部材名を変更せずに用いることとする。
図2(c)に示す第1エアバッグ2は、基端部21及び先端部22がガスにより膨張が進んだ状態である。また、第2エアバッグ3は、ガスにより膨張が進んで第1エアバッグ2外に露出部32が膨出し始めた状態である。
図2(d)に示す第1エアバッグ2は、基端部21及び先端部22がガスにより略膨満状態である。また、第2エアバッグ3も、ガスにより略膨満状態である。
第1エアバッグ2が略膨満状態となるときに、開裂部23が形成されていた部位から露出部32が第1エアバッグ2外に露出することで、第1エアバッグ2の外側面の周長が、シート100の幅方向内側に比べて幅方向外側が大きくなる。これにより、先端部22がシート100の幅方向内側に向けられる。よって、第1エアバッグ2の先端部22が乗員Pの上体前方に展開した状態となる。
図2(d)に示す第1エアバッグ2は、第2エアバッグ3によりシート100の前方から幅方向内側に方向転換した展開が完了している。
なお、埋設部31の周長L1は露出部32の周長L2より小さく形成されるのが好ましい。これにより、第2エアバッグ3の展開による第1エアバッグ2の周長の変化(露出部32の周長L2)が大きくなるので、第1エアバッグ2の先端部22をシート100の幅方向内側に向け易くなる。
なお、図3は、本発明の他の実施形態に係る乗員保護装置11を概略的に示す平面図である。
将来的に自動運転車両ではシート100を車両前方の向きだけに限定されず、様々な方向に向けることが可能となる。また、シート100を様々な位置にも配置が可能となる。これらによって、種々の内装材に配置される既存のエアバッグなどの乗員保護デバイスは可動となるシート100に着座する乗員Pに対して、従来の乗員保護性能を十分に発揮することができなくなる可能性が生じる。これに鑑みて、エアバッグなどの乗員の保護デバイスをシートに設ける必要性が高まる。
これに対して、乗員保護装置1及び11は、シート100から第1エアバッグ2が展開し、乗員Pに近接する領域で乗員Pを囲むように第1エアバッグ2が展開するので、どのような方向及びどのような位置に配置されるシート100であっても乗員保護性能が低下しない又は低下し難い。
Claims (6)
- 車両に配置され、展開の際に開裂する開裂部を有する第1エアバッグと、
前記第1エアバッグ内に配置され、展開の際に前記開裂部を介して少なくとも一部が露出する第2エアバッグと、
前記第1エアバッグ及び前記第2エアバッグに供給されるガスが流通し、前記第1エアバッグ及び前記第2エアバッグに対してそれぞれ独立して設けられる流路と、を備える、
車両の乗員保護装置。 - 前記第1エアバッグと前記第2エアバッグとは、相互に独立した気室によって形成されて成る、
請求項1に記載の車両の乗員保護装置。 - 前記第2エアバッグと、前記第1エアバッグの内側面において前記第2エアバッグと反対側の一部とを接続するテザーを備える、
請求項1又は2に記載の車両の乗員保護装置。 - 前記第2エアバッグは、展開したときに前記第1エアバッグより硬くなる、
請求項1又は2に記載の車両の乗員保護装置。 - 前記第1エアバッグは、
シートバックにおいて乗員の上体に対してシートの幅方向外側位置から前記シートの前方に膨出し、
前記第1エアバッグの先端の展開方向が前記第2エアバッグによって前記シートの膨出位置より前記シートの幅方向内側に向けられ、前記乗員の上体前方に展開する、
請求項1~4のいずれかに記載の車両の乗員保護装置。 - 前記第1エアバッグは、
シートクッションにおいて乗員の下肢よりシートの幅方向外側位置から前記シートの上方に膨出し、
前記第1エアバッグの先端の展開方向が前記第2エアバッグによって前記シートの膨出位置より前記シートの幅方向内側に向けられ、前記乗員の下肢上方に展開する、
請求項1~4のいずれかに記載の車両の乗員保護装置。
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