JP7110841B2 - 車両のフロントドア構造 - Google Patents

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Description

この発明は、例えば車両の車体にドアヒンジを介して開閉自在に支持されたフロントドアが、ドアヒンジが取付けられるドアインナパネルの前面と、ドアインナパネルの側面とを連結するヒンジレインフォースメントを備えたような車両のフロントドア構造に関する。
自動車などの車両において、乗員が乗降する乗降口を閉塞するフロントドアには、例えば、ドアヒンジを介して車体に開閉自在に支持されるドア本体と、昇降可能なドアガラスの周縁を支持するドアサッシと、ドアガラスの昇降を案内するガイドレールと、ドア本体、ドアサッシ、及びガイドレールで囲われた開口を覆う側面視略三角形のコーナーブラケットとで構成されたものがある(特許文献1参照)。
このような車両のフロントドアでは、ドアヒンジの支持剛性を向上するために、ドアヒンジが取付けられるドアインナパネルの前面と、ドアインナパネルの側面とを連結するヒンジレインフォースメントが、ドア本体に内設されている。
例えば、特許文献1には、車幅方向に沿った水平断面において、ドアインナパネルの前面に接合されるとともに、ドアヒンジが締結固定される略平板状のヒンジ連結部と、ヒンジ連結部から車両後方に延設されたのち、ドアインナパネルの側面に向けて屈曲した後方延設部と、ドアインナパネルの側面に接合されるドア接合部とで一体形成されたヒンジレインフォースメントが開示されている。
さらに、特許文献1では、ドア接合部から車幅方向外側、かつ車両後方へ立ち上がるように延設させたヒンジレインフォースメントの立ち上り部に、ドアガラスの昇降を案内するガイドレール(ガラスガイド)を接合している。これにより、特許文献1は、ドアヒンジの支持剛性を向上する補強部材としてだけでなく、ガイドレールの支持剛性を向上する補強部材として、ヒンジレインフォースメントを機能させている。
ところで、一般的に、ドアヒンジに対してドアインナパネルの側面が車幅方向内側に大きく離間しているため、ドアインナパネルの前面とドアインナパネルの側面とを直接的に連結するヒンジレインフォースメントの場合、車幅方向に沿った水平断面において、ヒンジレインフォースメントの後方延設部が、車幅方向の長さが長い断面凹形状、あるいはドア接合部へ向けて段階的に屈曲した断面略階段状に形成されることになる。
このような断面形状のヒンジレインフォースメントは、例えば、複数回に分けてプレス成形で成形する必要があるため、成形性が低下するだけでなく、部分的な薄肉化による剛性低下が懸念され易くなる。
特に、ガイドレールの支持剛性を向上する補強部材として、ヒンジレインフォースメントを機能させる特許文献1のように、車両前後方向におけるヒンジレインフォースメントの長さが長くなる場合、ヒンジレインフォースメントの剛性をより確保し難くなるという問題があった。
実開平1-158218号公報
本発明は、上述の問題に鑑み、ヒンジレインフォースメントの成形性と、ヒンジレインフォースメントの剛性とを両立して確保できる車両のフロントドア構造を提供することを目的とする。
この発明は、車両の車体にドアヒンジを介して開閉自在に支持されるドアインナパネルと、前記車両のベルトラインよりも車両上方に突出して配設されるとともに、前記ドアインナパネルの前部に連結されたコーナーブラケットと、前記ドアヒンジが取付けられる前記ドアインナパネルの前面であるドア前面部、及び前記ドアインナパネルの側面であるドア側面部を連結するヒンジレインフォースメントとを備えた車両のフロントドア構造であって、前記ヒンジレインフォースメントが、前記ドア前面部を介して前記ドアヒンジが連結されるヒンジレイン前部と、該ヒンジレイン前部の車両後方に位置するとともに、前記ドア側面部に接合されるヒンジレイン後部とで構成され、前記ヒンジレイン前部が、前記ドア側面部に対して車幅方向外側に離間した位置で対向する側面部分を備え、前記ヒンジレイン後部が、前記ヒンジレイン前部の前記側面部分に接合されるとともに、前記コーナーブラケットの下部に一体形成されたことを特徴とする。
この発明により、ヒンジレインフォースメントの成形性と、ヒンジレインフォースメントの剛性とを両立して確保することができる。
具体的には、ヒンジレイン前部とヒンジレイン後部とで、ヒンジレインフォースメントを構成したことにより、車両のフロントドア構造は、ヒンジレイン前部の断面形状、及びヒンジレイン後部の断面形状を、それぞれ容易に単純化することができる。
このため、車両のフロントドア構造は、ドアインナパネルのドア前面部とドア側面部とを直接的に連結するヒンジレインフォースメントに比べて、ヒンジレインフォースメントの成形性を向上できるとともに、部分的な薄肉化を抑えて、ヒンジレイン前部の剛性、及びヒンジレイン後部の剛性を安定して確保することができる。
さらに、ヒンジレイン後部がコーナーブラケットに一体形成されているため、車両のフロントドア構造は、コーナーブラケットとは別体でヒンジレイン後部を構成した場合に比べて、部品点数の増加を抑えて、ヒンジレイン後部の高剛性化を図ることができる。
これにより、車両のフロントドア構造は、車両前後方向におけるヒンジレインフォースメントの長さが長くなった場合であっても、ヒンジレインフォースメントの剛性を安定して確保することができる。
従って、車両のフロントドア構造は、ヒンジレインフォースメントの成形性と、ヒンジレインフォースメントの剛性とを両立して確保することができる。
この発明の態様として、前記ドアインナパネルに昇降自在に支持されたドアガラスと、前記コーナーブラケットに接合されるとともに、前記ドアガラスの昇降を案内するガイドレールとを備え、前記ヒンジレイン前部と前記ヒンジレイン後部とが、車幅方向で重なり合った状態で互いに結合され、前記ガイドレールが、車幅方向に沿った水平断面において、車幅方向に対向する一対の側壁部と、該側壁部の前端を連結する底部とを有する断面溝形状に形成され、前記ガイドレールの前記底部が、前記ヒンジレイン後部に接合されてもよい。
この発明により、車両のフロントドア構造は、ガイドレールの支持剛性を確保できるとともに、ガイドレールの位置決めを容易にすることができる。
具体的には、コーナーブラケットに一体形成されたヒンジレイン後部にガイドレールが接合されるため、車両のフロントドア構造は、連結部材を別途設けることなく、コーナーブラケット、及びヒンジレインフォースメントにガイドレールを連結することができる。このため、車両のフロントドア構造は、ガイドレールの支持剛性を向上することができる。
さらに、ガイドレールの底部がヒンジレイン後部に接合されるため、ドアガラスを介して、車幅方向または/および車両前後方向の荷重がガイドレールに作用した際、車両のフロントドア構造は、ガイドレールにおける一方の側壁部をヒンジレイン後部に接合した場合に比べて、ガイドレールが捩れるように変形することを抑制できる。
加えて、ヒンジレイン前部とヒンジレイン後部とが、互いに車幅方向で重なり合う形状に形成されているため、車両のフロントドア構造は、ドアインナパネルに対するヒンジレインフォースメントの位置ズレを、ヒンジレイン前部とヒンジレイン後部との重ね合わせ部分で容易に吸収することができる。このため、車両のフロントドア構造は、ガイドレールを所望される位置に容易に配設することができる。
従って、車両のフロントドア構造は、ヒンジレイン前部に車幅方向で重なり合うヒンジレイン後部にガイドレールの底部が接合されたことにより、ガイドレールの支持剛性を確保できるとともに、ガイドレールの位置決めを容易にすることができる。
また、この発明の態様として、前記ベルトラインよりも車両下方に基部が位置するドアミラーと、前記ヒンジレイン後部とを連結するミラーレインフォースメントを備えてもよい。
この発明により、車両のフロントドア構造は、ミラーレインフォースメントを介して、コーナーブラケット、及びヒンジレインフォースメントの双方でドアミラーを支持することができる。このため、車両のフロントドア構造は、ドアヒンジの支持剛性に加えて、ドアミラーの支持剛性を安定して確保することができる。
また、この発明の態様として、前記ミラーレインフォースメントが、前記ヒンジレイン後部を介して、前記ヒンジレイン前部に接合されてもよい。
この発明により、車両のフロントドア構造は、ミラーレインフォースメントとヒンジレイン後部との接合部分における剛性をより向上することができる。このため、車両のフロントドア構造は、ドアミラーの支持剛性をより向上することができる。
本発明により、ヒンジレインフォースメントの成形性と、ヒンジレインフォースメントの剛性とを両立して確保できる車両のフロントドア構造を提供することができる。
車幅方向外側から見たフロントドアの側面を示す側面図。 ヒンジレインフォースメント近傍の側面を示す側面図。 図2中のA-A矢視断面図。 車両後方かつ車幅方向外側から見た主要構成要素の外観を示す外観斜視図。 車両前方かつ車幅方向内側から見た主要構成要素の外観を示す外観斜視図。 図2中のB-B矢視断面図。 図2中のC-C矢視断面図。
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
本実施形態における車両のフロントドア1は、自動車などの車両において、乗員が乗降する乗降口を覆うとともに、ドアヒンジ2を介して車体に開閉自在に支持されている。このような車両のフロントドア構造について、図1から図7を用いて詳しく説明する。
なお、図1は車幅方向外側から見たフロントドア1の側面図を示し、図2はヒンジレインフォースメント9近傍の側面図を示し、図3は図2中のA-A矢視断面図を示し、図4は車両後方かつ車幅方向外側から見た主要構成要素の外観斜視図を示し、図5は車両前方かつ車幅方向内側から見た主要構成要素の外観斜視図を示し、図6は図2中のB-B矢視断面図を示し、図7は図2中のC-C矢視断面図を示している。
また、図1及び図2中において、図示を明確にするため、ドアアウタパネル31の図示を省略するとともに、図2中において、ドアガラス4の図示を省略している。さらに、図1中において、ドアミラー12、及びベルトラインレインフォースメント11を二点鎖線で図示している。
また、図中において、矢印Fr及び矢印Rrは前後方向を示しており、矢印Frは前方を示し、矢印Rrは後方を示している。さらに、矢印IN及び矢印OUTは車幅方向を示しており、矢印INは車幅方向内側を示し、矢印OUTは車幅方向外側を示している。
本実施形態における車両のフロントドア1は、図1から図3に示すように、車幅方向に沿った水平断面における断面形状が閉断面をなすとともに、その前部がドアヒンジ2を介して車体(図示省略)に開閉自在に支持されたドア本体3と、ドア本体3に昇降自在に支持されたドアガラス4と、上昇位置におけるドアガラス4の縁端を支持するドアサッシ5と、ドアガラス4の昇降を案内する前側ガイドレール6、及び後側ガイドレール7と、ドア本体3の上部、及びドアサッシ5に跨って配設されたコーナーブラケット8と、ドア本体3の内部に配設されたヒンジレインフォースメント9、及びミラーレインフォースメント10とを備えている。
ドア本体3は、図1から図3に示すように、車両の外観意匠面をなすドアアウタパネル31(図3参照)と、ドアアウタパネル31に対して車幅方向内側に位置するドアインナパネル32とで、車幅方向に沿った水平断面における断面形状が閉断面をなすよう構成されている。
具体的には、ドアアウタパネル31は、車両の外観意匠面をなすパネル部材であって、その前端縁、下端縁、及び後端縁がヘミング加工によってドアインナパネル32の縁部に連結されている。
ドアインナパネル32は、図1から図3に示すように、車幅方向に沿った水平断面における断面形状が、車幅方向内側へ突出するとともに、ドアアウタパネル31とで閉断面をなす断面略ハット状に形成されている。
より詳しくは、ドアインナパネル32は、図1から図3に示すように、ドア本体3における車幅方向内側の側面をなすドア側面部321と、ドアインナパネル32の前面、底面、及び後面をなすドア前面部322、ドア底面部323、及びドア後面部324と、ドアアウタパネル31が連結される縁部であるドア前縁部325、ドア下縁部326、及びドア後縁部327とで一体形成されている。
ドア側面部321は、図1から図3に示すように、車幅方向に沿った水平断面において、車幅方向に厚みを有する略平板状であって、ドアアウタパネル31に対して車幅方向内側に所定間隔を隔てた位置で対向配置されている。なお、ドア側面部321には、詳細な図示を省略するが、ドアガラス4を昇降させる昇降機構が配設されているものとする。
ドア前面部322は、図1から図3に示すように、ドア側面部321の前端縁を車幅方向外側へ向けて延設した形状に形成されている。
ドア底面部323は、詳細な図示を省略するが、ドア側面部321の下端縁から車幅方向外側へ向けて延設されるとともに、ドア前面部322の下端に連続する形状に形成されている。
ドア後面部324は、詳細な図示を省略するが、ドア側面部321の後端縁から車幅方向外側へ向けて延設されるとともに、ドア底面部323の後端に連続する形状に形成されている。
ドア前縁部325は、図1から図3に示すように、ドア前面部322における車幅方向外側の縁端を車両前方へ延設したフランジ状に形成されている。
ドア下縁部326は、詳細な図示を省略するが、ドア底面部323における車幅方向外側の縁端から車両下方へ延設されるとともに、ドア前縁部325の下端に連続するフランジ状に形成されている。
ドア後縁部327は、詳細な図示を省略するが、ドア後面部324における車幅方向外側の縁端から車両後方へ延設されるとともに、ドア下縁部326の後端に連続するフランジ状に形成されている。
このドアインナパネル32には、図1及び図3に示すように、ドア前縁部325の上部とドア後縁部327の上部とを、ベルトラインLに沿って車両前後方向に連結する側面視略矩形のベルトラインレインフォースメント11が、ドア前縁部325、及びドア後縁部327に接合されている。
そして、上述した構成のドア本体3は、車両上下方向に所定間隔を隔てた位置で、ドアインナパネル32のドア前面部322に締結固定された2つのドアヒンジ2を介して、車体に開閉自在に支持されている。
このドアヒンジ2は、図4及び図5に示すように、ドアインナパネル32のドア前面部322に締結固定されるドア側ヒンジブラケット21と、枢支ピン22を介してドア側ヒンジブラケット21に枢支されるとともに、車体に締結固定される車体側ヒンジブラケット23とで構成されている。
また、ドアサッシ5は、図1に示すように、側面視において、ベルトラインLよりも車両上方へ突出した側面視略アーチ状であって、ドアインナパネル32の前部とドアインナパネル32の後部とを、ベルトラインLよりも車両上方の位置をとおって連結する形状に形成されている。
また、前側ガイドレール6は、図1及び図2に示すように、側面視において、ドアインナパネル32のドア前面部322に対して車両後方に所定間隔を隔てた位置で、ドアガラス4の前縁を支持するガイド部材である。
この前側ガイドレール6は、図1及び図2に示すように、ドアインナパネル32の車両上下方向略中央からドアサッシ5に至る車両上下方向の長さを有するとともに、上端に対して下端が僅かに車両前方に位置する状態で配設されている。
具体的には、前側ガイドレール6は、図3から図7に示すように、車幅方向に沿った水平断面において、ドアガラス4の厚みと略同じ車幅方向の間隔を隔てて対向する一対の側壁部61と、側壁部61の前端を連結する底部62とで、車両上下方向に延びる断面略溝形状に形成されている。
なお、一対の側壁部61のうち、車幅方向外側の側壁部61は、図3、図6、及び図7に示すように、車両後方へ延設され先端を車両前方へ折返した形状に形成されている。
一方、一対の側壁部61のうち、車幅方向内側の側壁部61は、図3、図6、及び図7に示すように、底部62から車両後方へ延設した先端を、車幅方向外側へ突出した断面略山型状に屈曲させたのち、車両後方へ延設した形状に形成されている。
この前側ガイドレール6は、図3から図7に示すように、底部62が、コーナーブラケット8(後述するコーナーブラケット上部81の後面部分812、及びコーナーブラケット下部82の後面部分822)に接合されている。
さらに、前側ガイドレール6は、車幅方向内側の側壁部61が、ベルトラインLよりも車両上方において、コーナーブラケット8(後述するコーナーブラケット上部81の後側フランジ部分811)を介してドアサッシ5に接合されている。
また、後側ガイドレール7は、図1に示すように、側面視において、ドアサッシ5の後部に沿って車両上下方向に延びるとともに、ドアガラス4の後縁を支持するガイド部材である。この後側ガイドレール7は、図1に示すように、ドアサッシ5の上端近傍からドアインナパネル32の上部に至る車両上下方向の長さを有するとともに、上端に対して下端が僅かに車両前方に位置する状態で配設されている。
なお、後側ガイドレール7は、その詳細な図示を省略するが、車幅方向に沿った水平断面における断面形状が、車両前方が開口した断面略溝形状に形成されている。
また、コーナーブラケット8は、図1及び図2に示すように、前側ガイドレール6の車両前方側に隣接するとともに、ドアインナパネル32の上部とドアサッシ5とを連結している。このコーナーブラケット8は、図2から図5、及び図7に示すように、車幅方向に沿った水平断面における断面形状が、断面略ハット状のコーナーブラケット上部81と、断面略クランク状のコーナーブラケット下部82とで一体形成されている。
コーナーブラケット上部81は、図2、図4、及び図5に示すように、ベルトラインLよりも車両上方において、ドアインナパネル32、ドアサッシ5、及び前側ガイドレール6で囲われた側面視略三角形の開口を覆う部分と、ベルトラインLよりも車両下方に位置する部分とで、前端が短辺となる側面視略台形状に形成されている。なお、コーナーブラケット上部81は、車両上方側のドアヒンジ2における上端よりも僅かに車両上方の位置に、その下端が位置する車両上下方向の長さで延設されている。
より詳しくは、コーナーブラケット上部81は、図2、及び図4から図6に示すように、車幅方向に厚みを有して車両上下方向に延びる後側フランジ部分811と、後側フランジ部分811の前端から車幅方向外側へ延設された後面部分812と、後面部分812における車幅方向外側の縁端から車両前方へ延設された側面部分813と、側面部分813の前端から車幅方向内側へ延設された前面部分814と、前面部分814における車幅方向内側の縁端から車両前方へ延設された前側フランジ部分815とで、車幅方向に沿った水平断面における断面形状が断面略ハット状になるように形成されている。
一方、コーナーブラケット下部82は、図2、図4、及び図5に示すように、コーナーブラケット上部81の後側フランジ部分811、後面部分812、及び側面部分813を一体的に車両下方に延設した側面視略矩形に形成されている。
なお、コーナーブラケット下部82は、図2及び図5に示すように、車両上方側のドアヒンジ2と略同じ車両上下方向の位置に、その下端が位置する車両上下方向の長さで延設されている。
より詳しくは、コーナーブラケット下部82は、図2から図5、及び図7に示すように、コーナーブラケット上部81の後側フランジ部分811から車両下方へ延設された後側フランジ部分821と、コーナーブラケット上部81の後面部分812から車両下方へ延設された後面部分822と、コーナーブラケット上部81の側面部分813から車両下方へ延設された側面部分823とで、車幅方向に沿った水平断面における断面形状が断面略クランク状になるように形成されている。
このような構成のコーナーブラケット8は、図4に示すように、コーナーブラケット上部81の後面部分812、及びコーナーブラケット下部82の後面部分822に前側ガイドレール6の底部62が予め接合されるとともに、後述するヒンジレイン前部91が接合された状態で、ドアサッシ5、及びドアインナパネル32に接合されている。
具体的には、コーナーブラケット8は、図2、図3、図6、及び図7に示すように、コーナーブラケット上部81の後側フランジ部分811がドアサッシ5に接合され、コーナーブラケット下部82における後側フランジ部分821の下部がドアインナパネル32のドア側面部321に接合されている。
さらに、ベルトラインLよりも車両下方において、コーナーブラケット8は、コーナーブラケット上部81の前側フランジ部分815がドアサッシ5と後述するヒンジレイン前部91とに接合され、コーナーブラケット下部82の側面部分823が後述するヒンジレイン前部91に接合されている。
このため、コーナーブラケット8は、図3及び図7に示すように、ドアインナパネル32に接合された状態において、コーナーブラケット下部82の側面部分823が、ドアインナパネル32のドア側面部321に対して車幅方向外側に所定間隔だけ離間した状態で配設されている。
また、ヒンジレインフォースメント9は、図2及び図7に示すように、側面視において、ドアインナパネル32のドア前面部322を介して車両上方側のドアヒンジ2とドアインナパネル32のドア側面部321とを車両前後方向に連結する補強部材であって、車幅方向に沿った水平断面において、ドアインナパネル32とで閉断面をなすように形成されている。
このヒンジレインフォースメント9は、図4、図5、及び図7に示すように、ドア前面部322に接合されるヒンジレイン前部91と、ドア側面部321に接合されるコーナーブラケット下部82とで構成されている。つまり、コーナーブラケット下部82は、ヒンジレイン前部91とドアインナパネル32のドア側面部321とを連結するヒンジレイン後部として構成されている。
なお、ヒンジレイン前部91は、図4及び図5に示すように、前側ガイドレール6に接合されたコーナーブラケット8に予め接合された状態で、ドアインナパネル32に接合されている。
具体的には、ヒンジレイン前部91は、図3から図5、及び図7に示すように、ドアインナパネル32のドア前面部322を介してドアヒンジ2が連結されるヒンジ連結部分911と、ヒンジ連結部分911における車幅方向外側の縁端から車両前方へ延設されたフランジ状のフランジ部分912と、ヒンジ連結部分911における車幅方向内側の縁端から車両後方へ延設された第1後方延設部分913と、第1後方延設部分913の上部をさらに車両後方へ延設した第2後方延設部分914とで一体形成されている。
ヒンジ連結部分911は、図4、図5、及び図7に示すように、車両前後方向に沿った垂直断面における断面形状が車両前方へ突出した断面略ハット状であって、車両前方へ突出した部分における平面部分に、ドア前面部322を介してドアヒンジ2が締結固定されている。
フランジ部分912は、図3及び図7に示すように、車幅方向に沿った水平断面において、ドアインナパネル32のドア前縁部325における車両前後方向の長さよりも短い車両前後方向の長さで、ヒンジ連結部分911から車両前方へ延設されている。
第1後方延設部分913は、図2に示すように、コーナーブラケット上部81における前側フランジ部分815の後端近傍に至る車両前後方向の長さで、ヒンジ連結部分911から車両後方へ延設されている。
なお、第1後方延設部分913は、図3及び図7に示すように、車幅方向に沿った水平断面において、ドアインナパネル32のドア側面部321よりも車幅方向外側の位置、かつコーナーブラケット下部82の側面部分823よりも車幅方向内側の位置で、ドア側面部321と対向するように形成されている。
第2後方延設部分914は、図2及び図5に示すように、コーナーブラケット下部82の側面部分823と車幅方向で重なり合う車両前後方向の長さで、第1後方延設部分913の上部を車両後方に延設して形成されている。
この第2後方延設部分914は、図3及び図7に示すように、車幅方向に沿った水平断面において、第1後方延設部分913から車両後方へ延設された先端を、車幅方向外側、かつ車両後方へ向けて延設したのち、車両後方へ向けてさらに延設した断面略クランク状に形成されている。
そして、上述した構成のヒンジレイン前部91は、図3から図7に示すように、ヒンジ連結部分911が、ドアインナパネル32のドア前面部322に接合され、フランジ部分912が、ドアインナパネル32のドア前縁部325に接合されている。
さらに、ヒンジレイン前部91は、第1後方延設部分913の上部、及び第2後方延設部分914の上部が、コーナーブラケット上部81の前側フランジ部分815における車幅方向外側の面に接合され、第2後方延設部分914の後部が、コーナーブラケット下部82の側面部分823における車幅方向内側の面に接合されている。
このため、ヒンジレイン前部91は、ドアインナパネル32に接合された状態において、第1後方延設部分913、及び第2後方延設部分914が、ドアインナパネル32のドア側面部321に対して車幅方向外側に所定間隔だけ離間した位置で、コーナーブラケット下部82に接合されている。
すなわち、ドアインナパネル32に接合された状態において、コーナーブラケット下部82の側面部分823と、ヒンジレイン前部91の第1後方延設部分913、及び第2後方延設部分914とが、車幅方向外側に所定間隔を隔ててドアインナパネル32に対向するヒンジレインフォースメント9の側面部分を構成している。
また、ミラーレインフォースメント10は、図1及び図2に示すように、ベルトラインLよりも車両下方、かつ前側ガイドレール6よりも車両後方に配設されたドアミラー12の基部を、ドア本体3の内部から支持する補強部材である。
具体的には、ミラーレインフォースメント10は、図2及び図4に示すように、車両前後方向に長い側面視略矩形のミラーレイン本体101と、ミラーレイン本体101から延設された上方脚部102、及び前方脚部103とで一体形成されている。
ミラーレイン本体101は、図4及び図5に示すように、車幅方向に沿った垂直断面における断面形状が、上端に対して下端が車幅方向外側に位置する段付き形状になるように形成されている。このミラーレイン本体101には、ドアアウタパネル31を介して、ドアミラー12の基部に設けたネジ山部が挿通される挿通孔10aが複数開口形成されている。
上方脚部102は、図2及び図4に示すように、ミラーレイン本体101の上端における前端近傍から車両前方上方、かつ車幅方向内側へ向けて延設されたのち、車両上方へ向けて延設されている。
前方脚部103は、図2から図4に示すように、ミラーレイン本体101の前端から車幅方向内側へ延設されたのち、車両前方へ延設された形状に形成されている。なお、前方脚部103は、図2及び図3に示すように、コーナーブラケット下部82の側面部分823とヒンジレイン前部91の第2後方延設部分914との接合部分に重なり合う車両前後方向の長さで形成されている。
このような構成のミラーレインフォースメント10は、図2から図4に示すように、ミラーレイン本体101の後端近傍が、ベルトラインレインフォースメント11に接合され、上方脚部102が、コーナーブラケット上部81の側面部分813における車幅方向外側の面に接合され、前方脚部103が、コーナーブラケット下部82の側面部分823を介してヒンジレイン前部91の第2後方延設部分914に接合されている。
換言すると、ミラーレインフォースメント10は、上方脚部102がコーナーブラケット8に接合され、前方脚部103がヒンジレインフォースメント9に接合されている。
以上のように、車両の車体にドアヒンジ2を介して開閉自在に支持されるドアインナパネル32と、車両のベルトラインLよりも車両上方に突出して配設されるとともに、ドアインナパネル32の前部に連結されたコーナーブラケット上部81と、ドアヒンジ2が取付けられるドアインナパネル32の前面であるドア前面部322、及びドアインナパネル32の側面であるドア側面部321を連結するヒンジレインフォースメント9とを備えた車両のフロントドア構造は、ヒンジレインフォースメント9が、ドア前面部322を介してドアヒンジ2が連結されるヒンジレイン前部91と、ヒンジレイン前部91の車両後方に位置するとともに、ドア側面部321に接合されるヒンジレイン後部(コーナーブラケット下部82)とで構成され、ヒンジレイン前部91が、ドア側面部321に対して車幅方向外側に離間した位置で対向する側面部分(第1後方延設部分913、及び第2後方延設部分914)を備え、ヒンジレイン後部(コーナーブラケット下部82)が、ヒンジレイン前部91の第2後方延設部分914に接合されるとともに、コーナーブラケット上部81の下部に一体形成されたことにより、ヒンジレインフォースメント9の成形性と、ヒンジレインフォースメント9の剛性とを両立して確保することができる。
具体的には、ヒンジレイン前部91とヒンジレイン後部(コーナーブラケット下部82)とで、ヒンジレインフォースメント9を構成したことにより、車両のフロントドア構造は、ヒンジレイン前部91の断面形状、及びヒンジレイン後部(コーナーブラケット下部82)の断面形状を、それぞれ容易に単純化することができる。
このため、車両のフロントドア構造は、ドアインナパネル32のドア前面部322とドア側面部321とを直接的に連結するヒンジレインフォースメントに比べて、ヒンジレインフォースメント9の成形性を向上できるとともに、部分的な薄肉化を抑えて、ヒンジレイン前部91の剛性、及びヒンジレイン後部(コーナーブラケット下部82)の剛性を安定して確保することができる。
さらに、ヒンジレイン後部(コーナーブラケット下部82)がコーナーブラケット上部81に一体形成されているため、車両のフロントドア構造は、コーナーブラケット上部81とは別体でヒンジレイン後部を構成した場合に比べて、部品点数の増加を抑えて、ヒンジレイン後部(コーナーブラケット下部82)の高剛性化を図ることができる。
これにより、車両のフロントドア構造は、車両前後方向におけるヒンジレインフォースメント9の長さが長くなった場合であっても、ヒンジレインフォースメント9の剛性を安定して確保することができる。
従って、車両のフロントドア構造は、ヒンジレインフォースメント9の成形性と、ヒンジレインフォースメント9の剛性とを両立して確保することができる。
また、ドアインナパネル32に昇降自在に支持されたドアガラス4と、コーナーブラケット上部81に接合されるとともに、ドアガラス4の昇降を案内する前側ガイドレール6とを備え、ヒンジレイン前部91とヒンジレイン後部(コーナーブラケット下部82)とが、車幅方向で重なり合った状態で互いに接合され、前側ガイドレール6が、車幅方向に沿った水平断面において、車幅方向に対向する一対の側壁部61と、側壁部61の前端を連結する底部62とを有する断面溝形状に形成され、前側ガイドレール6の底部62が、ヒンジレイン後部(コーナーブラケット下部82)に接合されたことにより、車両のフロントドア構造は、前側ガイドレール6の支持剛性を確保できるとともに、前側ガイドレール6の位置決めを容易にすることができる。
具体的には、コーナーブラケット上部81に一体形成されたヒンジレイン後部(コーナーブラケット下部82)に前側ガイドレール6が接合されるため、車両のフロントドア構造は、連結部材を別途設けることなく、コーナーブラケット上部81、及びヒンジレインフォースメント9に前側ガイドレール6を連結することができる。このため、車両のフロントドア構造は、前側ガイドレール6の支持剛性を向上することができる。
さらに、前側ガイドレール6の底部62がヒンジレイン後部(コーナーブラケット下部82)に接合されるため、ドアガラス4を介して、車幅方向または/および車両前後方向の荷重が前側ガイドレール6に作用した際、車両のフロントドア構造は、前側ガイドレール6における一方の側壁部61をヒンジレイン後部(コーナーブラケット下部82)に接合した場合に比べて、前側ガイドレール6が捩れるように変形することを抑制できる。
加えて、ヒンジレイン前部91とヒンジレイン後部(コーナーブラケット下部82)とが、互いに車幅方向で重なり合う形状に形成されているため、車両のフロントドア構造は、ドアインナパネル32に対するヒンジレインフォースメント9の位置ズレを、ヒンジレイン前部91とヒンジレイン後部(コーナーブラケット下部82)との重ね合わせ部分で容易に吸収することができる。このため、車両のフロントドア構造は、前側ガイドレール6を所望される位置に容易に配設することができる。
従って、車両のフロントドア構造は、ヒンジレイン前部91に車幅方向で重なり合うヒンジレイン後部(コーナーブラケット下部82)に前側ガイドレール6の底部62が接合されたことにより、前側ガイドレール6の支持剛性を確保できるとともに、前側ガイドレール6の位置決めを容易にすることができる。
また、ベルトラインLよりも車両下方に基部が位置するドアミラー12と、ヒンジレイン後部(コーナーブラケット下部82)とを連結するミラーレインフォースメント10を備えたことにより、車両のフロントドア構造は、ミラーレインフォースメント10を介して、コーナーブラケット上部81、及びヒンジレインフォースメント9の双方でドアミラー12を支持することができる。このため、車両のフロントドア構造は、ドアヒンジ2の支持剛性に加えて、ドアミラー12の支持剛性を安定して確保することができる。
また、ミラーレインフォースメント10が、ヒンジレイン後部(コーナーブラケット下部82)を介して、ヒンジレイン前部91に接合されたことにより、車両のフロントドア構造は、ミラーレインフォースメント10とヒンジレイン後部(コーナーブラケット下部82)との接合部分における剛性をより向上することができる。このため、車両のフロントドア構造は、ドアミラー12の支持剛性をより向上することができる。
また、ドアインナパネル32と、コーナーブラケット下部82と、ヒンジレイン前部91とが、車幅方向に沿った水平断面において、閉断面を形成したことにより、車両のフロントドア構造は、前側ガイドレール6の捩れ変形を閉断面によって効率よく抑えることができるため、前側ガイドレール6の支持剛性をさらに向上することができる。
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明のコーナーブラケットは、実施形態のコーナーブラケット上部81に対応し、
以下同様に、
ヒンジレイン後部は、コーナーブラケット下部82に対応し、
ヒンジレイン前部の側面部分は、ヒンジレイン前部91の第1後方延設部分913、及び第2後方延設部分914に対応し、
ガイドレールは、前側ガイドレール6に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
例えば、上述した実施形態において、ドアサッシ5を有するフロントドア1としたが、これに限定せず、コーナーブラケット8、及び前側ガイドレール6を備えていれば、ドアサッシ5を備えていない、所謂サッシレスドアであってもよい。
2…ドアヒンジ
4…ドアガラス
6…前側ガイドレール
9…ヒンジレインフォースメント
10…ミラーレインフォースメント
12…ドアミラー
32…ドアインナパネル
61…側壁部
62…底部
81…コーナーブラケット上部
82…コーナーブラケット下部
91…ヒンジレイン前部
321…ドア側面部
322…ドア前面部
913…第1後方延設部分
914…第2後方延設部分
L…ベルトライン

Claims (4)

  1. 車両の車体にドアヒンジを介して開閉自在に支持されるドアインナパネルと、
    前記車両のベルトラインよりも車両上方に突出して配設されるとともに、前記ドアインナパネルの前部に連結されたコーナーブラケットと、
    前記ドアヒンジが取付けられる前記ドアインナパネルの前面であるドア前面部、及び前記ドアインナパネルの側面であるドア側面部を連結するヒンジレインフォースメントとを備えた車両のフロントドア構造であって、
    前記ヒンジレインフォースメントが、
    前記ドア前面部を介して前記ドアヒンジが連結されるヒンジレイン前部と、
    該ヒンジレイン前部の車両後方に位置するとともに、前記ドア側面部に接合されるヒンジレイン後部とで構成され、
    前記ヒンジレイン前部が、
    前記ドア側面部に対して車幅方向外側に離間した位置で対向する側面部分を備え、
    前記ヒンジレイン後部が、
    前記ヒンジレイン前部の前記側面部分に接合されるとともに、前記コーナーブラケットの下部に一体形成された
    車両のフロントドア構造。
  2. 前記ドアインナパネルに昇降自在に支持されたドアガラスと、
    前記コーナーブラケットに接合されるとともに、前記ドアガラスの昇降を案内するガイドレールとを備え、
    前記ヒンジレイン前部と前記ヒンジレイン後部とが、
    車幅方向で重なり合った状態で互いに結合され、
    前記ガイドレールが、
    車幅方向に沿った水平断面において、車幅方向に対向する一対の側壁部と、
    該側壁部の前端を連結する底部とを有する断面溝形状に形成され、
    前記ガイドレールの前記底部が、
    前記ヒンジレイン後部に接合された
    請求項1に記載の車両のフロントドア構造。
  3. 前記ベルトラインよりも車両下方に基部が位置するドアミラーと、前記ヒンジレイン後部とを連結するミラーレインフォースメントを備えた
    請求項1または請求項2に記載の車両のフロントドア構造。
  4. 前記ミラーレインフォースメントが、
    前記ヒンジレイン後部を介して、前記ヒンジレイン前部に接合された
    請求項3に記載の車両のフロントドア構造。
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