以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
-塵芥収集車の構成-
図2A及び図2Bは、本発明の実施形態の塵芥収集車1を示し、この塵芥収集車1は、走行可能な車台2と、その車台2上に設けられた運転室3及び塵芥収容箱4と、この塵芥収容箱4の後方開口部4aに連設され、塵芥が投入される塵芥投入口7が形成された塵芥投入箱5と、この塵芥投入箱5に設けられて塵芥収容箱4に塵芥を積み込む塵芥積込装置6(図6参照)と、上端位置Aと下端位置B(図6参照)との間をスライド移動することで塵芥投入口7を開閉する投入口カバー8とを備えている。なお、塵芥収容箱4内に前後にスライド移動可能な排出板が設けられていてもよいし、塵芥投入箱5を上側の回動軸を中心に回動させて後方開口部4aを開閉可能に構成してもよいし、塵芥収容箱4を傾動可能に構成してもよいが、以下の説明では、その場合の油圧シリンダ等は省略する。
図6及び図8に示すように、本実施形態の塵芥積込装置6は、例えば、プレス式であり、塵芥投入箱5の両側壁9には溝型鋼で形成された案内溝部材20が補強枠を兼ねて前方上方より後方下部に向かって傾斜するように設けられている。塵芥投入箱5内にはその横幅一杯に広がる昇降板21が収容されている。一方、昇降板21の背面上部の左右端部に設けた支持部には、図7にも2点鎖線で示すように、昇降板支持軸21aが挿通されている。この昇降板支持軸21aが昇降板21の摺動距離に合致して塵芥投入箱5の側壁9に形成された摺動用開口22を越えて側壁9の内側より外側に突出するように配置されている。塵芥投入箱5の側壁から外側に突出した昇降板支持軸21aと塵芥投入箱5の下部間には、塵芥投入箱5の外側で案内溝部材20の傾斜方向に沿って設けられた昇降シリンダ23が連結されている。この昇降シリンダ23の伸縮作動によって昇降板21を案内溝部材20に沿って上下に往復移動させるようにしている。
昇降板21の下端には、塵芥投入箱5内の横幅一杯に広がる圧縮板24の一端が前後に揺動自在に支持されている。この圧縮板24の先端は前方に向かって若干屈折形成されている。圧縮板24の背面に突設した接続部と昇降板21の背面上部に設けられた支持部との間には、揺動シリンダ25が連結され、この揺動シリンダ25の伸縮作動によって圧縮板24を前後に揺動させるようにしている。なお、塵芥積込装置6は、油圧シリンダで往復回動する押込板と、回転駆動される回転板とを備えた回転板式であってもよい。
図1Bに示すように、投入口カバー8は、略矩形板状を有し、左右両端に設けたローラ8aが左右側壁9の内側に設けたレール部材8bに沿って動くことで、上下にスライド移動可能となっている。
図7に示すように、投入口カバー8の上端部において車幅方向に飛び出す棒状の車幅方向端部8cに板状のリンク部材40の先端が回動可能に連結されている。リンク部材40の他端には、外側アーム部41の先端がアーム連結ピン41aにより回動可能に連結されている。外側アーム部41の基端側は、側面視で昇降シリンダ23と重なる位置に回動可能に支持されている。
外側アーム部41は、基端側のパイプ部材42と、基端側がパイプ部材42の先端に固定され、先端側がリンク部材40の基端側に回動可能に連結される板部材43とを備えている。パイプ部材42は、例えば、鋼製パイプで構成され、側面視で中間部において後方へ折り曲げられ、先端側はさらに側壁9に向かって(車幅方向内側へ)折り曲げられている。板部材43は、例えば車幅方向に一対の鋼板よりなり、パイプ部材42に対し溶接等により固定されている。これら一対の鋼板の間をリンク部材40が回動可能となっている。
外側アーム部41の基端側は、側壁9における昇降シリンダ23と塵芥投入口7との間に設けられたアーム取付ブラケット44に回動可能に連結されている。アーム取付ブラケット44は、例えば基端が側壁9に固定された角錐台44aを備え、図4にも示すように、この角錐台44aの先端は、昇降シリンダ23よりも車幅方向外側まで延び、板状の先端部44bが一体に設けられている。板状の先端部44bは、図7に示すように、側面視で昇降シリンダ23のピストンロッド23aと重なる位置まで前方に向かって下方へ延び、この先端部44bがパイプ部材42の基端側と回動可能に連結されている。
図8に示すように、塵芥投入箱5における塵芥積込装置6の上方には、塵芥投入箱5の左右側壁9をつなぐクロスバー10が設けられている。「塵芥積込装置6の上方」とは、塵芥積込装置6の上方のスペースを意味し、塵芥積込装置6の一部(例えば、昇降シリンダ23の一部)が側面視でクロスバー10よりも高い位置にあってもよい。クロスバー10は、例えば、剛性を保つためにある程度の厚さを有する鋼管よりなるが、棒鋼で構成されていてもよい。
図1A及び図5に示すように、この左右に延びるクロスバー10の左右中央よりも背面から見て右側には、電動モータ等よりなる開閉用アクチュエータとしての駆動モータ11が固定されている。駆動モータ11の電力は、例えば車台2側のバッテリBT(図10参照)から供給される。図5にも示すように、駆動モータ11の出力軸11aには、駆動プーリ11bが回転一体に設けられている。駆動モータ11は、モータ取付ブラケット11cを介してクロスバー10に固定されている。この駆動プーリ11bに伝動部材としての伝動ベルト12が掛けられている。一方、図1Bにも示すように、駆動プーリ11bの上方で、塵芥積込装置6の上側には、ベアリングを内蔵した上側支持部13を介して従動プーリ13aが回転可能に支持されている。従動プーリ13aは、左右側壁9の中央から左右いずれか一方にずれた位置(図1Bでは、前方から見て左側)に設けられている。この従動プーリ13aに伝動ベルト12の上端側が掛けられている。このように伝動ベルト12は、上下に延びて駆動プーリ11bと従動プーリ13aとの間で駆動モータ11によって駆動されるようになっている。
そして、内側アーム部14の一端14aが伝動ベルト12に回動可能に連結されている。具体的には、図5に示すように、伝動ベルト12の所定位置に固定された固定部14cには、上側アーム支持部14dが設けられ、この上側アーム支持部14dに内側アーム部14の一端14aが回動可能に支持されている。一方、内側アーム部14の他端14bは、投入口カバー8の上端側に設けた下側アーム支持部14eに回動可能に連結されている。図1Bに示すように、下側アーム支持部14eは、投入口カバー8のコ字状断面のアーム取付ブラケット8dに固定されている。これにより、伝動ベルト12の駆動に合わせて内側アーム部14が上下に移動するようになっている。
すなわち、駆動モータ11を制御して伝動ベルト12を駆動させることで、内側アーム部14が上下に移動し、それによって投入口カバー8が図7に示す上端位置Aと下端位置Bとの間でスライド移動し、塵芥投入口7が開閉されるようになっている。
駆動モータ11の制御は、制御部としてのPLC15及びコントロールボード16が行う。図10に簡略化して示すように、PLC15は、プログラマブル・ロジック・コントローラ(programmable logic controller)であり、適宜プログラムを書き換えることが可能となっている。コントロールボード16は、例えば、マイコン(マイクロコンピュータ)及びDACを含む。DACは「Digital Analog Converter」の略で、「D/Aコンバーター」ともいわれ、デジタル信号をアナログ信号に変換する回路又はコンポーネントを意味する。コントロールボード16は、ドライバ17に接続され、ドライバ17が駆動モータ11に接続されている。
図1A及び図1Bに示すように、塵芥投入箱5内には、投入口カバー8が上端位置A又は下端位置Bの手前に移動してきたのを検知する上側センサ18及び下側センサ19がそれぞれ設けられている。具体的には後述するが、下側センサ19は、塵芥投入口7の上縁よりも少し上方のクロスバー10の近傍に設けられている。上側センサ18は、塵芥投入箱5内部の上端近傍に設けられている。
一方、投入口カバー8の上辺の上側センサ18及び下側センサ19に対応する位置には、上下に延びるプレート状の被検出板26が設けられている。この被検出板26が上側センサ18及び下側センサ19の近傍に移動したときに、その存在が検出されるようになっている。被検出板26の上下長さは、上側センサ18及び下側センサ19によって検出したい投入口カバー8の高さに合わせて設定すればよい。図9Cにも示すように、PLC15は、上側センサ18又は下側センサ19の信号を受けて駆動モータ11の回転数を低下させるように構成されている。
具体的には、図1Bに示すように、上側センサ18は、投入口カバー8が上端位置Aに来て完全に開くよりも所定位置手前で被検出板26を検出するように、上側センサ取付ブラケット18aを介して塵芥投入箱5の上側に固定されている。図1Aに示すように、上側センサ18は、上側センサ取付ブラケット18aの長孔18b等を利用して上下位置を微調整可能となっている。また、下側センサ19は、投入口カバー8が下端位置Bに来て完全に閉じるよりも所定位置手前で被検出板26を検出するように、クロスバー10に下側センサ取付ブラケット19aを介して取り付けられている。図5に示すように、下側センサ19も、下側センサ取付ブラケット19aの長孔19b等を利用して位置を微調整可能となっている。
次に、塵芥積込装置6等を制御するPLC15に対する入出力状態について、図2A、図2B、図6、図8、図10及び図11により説明する。
塵芥収集車1は、図2A及び図2Bに示すように、塵芥投入箱5の塵芥投入口7の周辺を監視するためのカメラ91を備えている。このカメラ91は、例えば、運転室3等に設けられる画像処理ユニット90に接続されている。具体的には、カメラ91は、図10に示すように、信号分配器92を介して監視用のモニタ93及び画像処理ユニット90に接続されている。画像処理ユニット90には、所定のプログラムを実行して各種の制御を行うCPU94、カメラ91からの画像データを取得して公知の画像処理を行う画像処理部(DSP95)、CPU94やDSP95において使用されるデータを記憶するメモリM96、CPU94の指令を受けて開閉されるリレースイッチSW4等も設けられている。CPU94は、上記PLC15及びコントロールボード16と共に、本発明の制御部を構成している。例えば、投入口カバー8が開いた状態で塵芥積込装置6の作動中、DSP95において人物が積込危険検知エリア(図示せず)にいると判定すれば、CPU94がリレースイッチSW4を開放させて塵芥積込装置6を緊急停止させるように構成されている。
塵芥収集車1の運転室3内の前部操作部(図示せず)及び塵芥投入箱5の後部操作部27には、複数の作動ボタン27aが設けられており、各作動ボタン27aの内側には対応するスイッチが設けられている。例えば、塵芥積込装置6の積込スイッチSW5、下降スイッチSW6、上昇スイッチSW7、反転スイッチSW8が設けられている。
また、塵芥投入箱5には、緊急停止操作部80が設けられている。例えば、緊急停止操作部80は、下方停止操作部材81と、側方停止操作ボタン82,83とを有している。
下方停止操作部材81は、図2Bに示すように、塵芥投入口7の真下に設けられた、車幅方向(左右)に延びるプレート状の部材である。この下方停止操作部材81を操作することで塵芥積込装置6が緊急停止するようになっている。
また、側方停止操作ボタン82,83は、塵芥投入口7の側方(左右周縁)の後部操作部27に設けられており、この側方停止操作ボタン82,83を操作することで塵芥積込装置6が緊急停止するようになっている。そして、これら下方停止操作部材81及び側方停止操作ボタン82,83のそれぞれの内側には対応する緊急停止スイッチSW1~SW3が設けられている。
本実施形態では、塵芥積込装置6の停止中には、下方停止操作部材81及び側方停止操作ボタン82,83を使用することはないので、その停止中にこれらが操作されたときには、投入口カバー8を自動で開又は閉にするように構成されている。そのため、下方停止操作部材81及び側方停止操作ボタン82,83のそれぞれの内側には、対応するカバー開閉のための作動スイッチも設けられている。具体的には、下方停止操作部材81の内側には、緊急停止スイッチSW1と投入口カバー8を開にするための開作動スイッチSW9との両方が設けられている。下方停止操作部材81が操作されると、緊急停止スイッチSW1と開作動スイッチSW9の両方の接点が切り換えられるようになっている。
また、側方停止操作ボタン82の内側には、緊急停止スイッチSW2と投入口カバー8を閉にするための閉作動スイッチSW10との両方が設けられている。側方停止操作ボタン82が操作されると、緊急停止スイッチSW2と閉作動スイッチSW10の両方の接点が切り換えられるようになっている。
同様に、側方停止操作ボタン83の内側には、緊急停止スイッチSW3と投入口カバー8を閉にするための閉作動スイッチSW11との両方が設けられている。側方停止操作ボタン83が操作されると、緊急停止スイッチSW3と閉作動スイッチSW11の両方の接点が切り換えられるようになっている。
上記下方停止操作部材81及び側方停止操作ボタン82,83は、緊急で押さなければならないものであり、通常押しやすい位置にあるので、投入口カバー8を開閉しやすいというメリットがある。
また、図6に示すように、塵芥投入箱5内には、昇降板21を昇降させる昇降シリンダ23が最伸長した状態を検出する無接点スイッチLS1、昇降シリンダ23が最収縮した状態を検出する無接点スイッチLS2、圧縮板24を揺動させる揺動シリンダ25が最伸長した状態を検出する無接点スイッチLS4、揺動シリンダ25が最収縮した状態を検出する無接点スイッチLS3等が設けられている。無接点スイッチLS1及びLS2は、塵芥投入箱5と昇降シリンダ23との間において、それぞれ一方に検出体が、他方に被検出体が配設されて切換作動するようになっている。また、無接点スイッチLS3及びLS4は、昇降板21と揺動シリンダ25との間において、それぞれ一方に検出体が、他方に被検出体が配設されて切換作動するようになっている。なお、上記無接点スイッチLS1~LS4は、昇降シリンダ23及び揺動シリンダ25の作動を検出するセンサ部に相当し、当該作動の検出信号をPLC15に送る機能を有している。これらの無接点スイッチLS1~LS4、上側センサ18及び下側センサ19としては、例えば光電スイッチ、近接スイッチ等を使用できる。
図11に油圧回路図を簡略化して示すように、この油圧回路は、油圧ポンプP、オイルリザーバT、昇降シリンダ23を伸縮制御する電磁制御弁V1、揺動シリンダ25を伸縮制御する電磁制御弁V2等から構成されている。油圧ポンプPには、車両エンジン(図示省略)の駆動力がPTO(パワーテイクオフ)を介して伝達される。電磁制御弁V1,V2は、例えば6ポート3位置の電磁式の方向切換弁よりなる。電磁制御弁V1はソレノイドSOLa及びSOLbを有し、電磁制御弁V2はソレノイドSOLc及びSOLdを有している。電磁制御弁V1,V2は、各ソレノイドに通電されているときのみ上方位置又は下方位置に切り換わり、通電されていない状態では中立位置に復帰するようになっている。
図10に示すように、これらの各種スイッチSW1~SW11、無接点スイッチLS1~LS4、上側センサ18、下側センサ19、ソレノイドSOLa~SOLd等は、PLC15に接続されている。PLC15は、図示省略の信号用電力供給部、中央処理部、各種リレーコイル、リレーコイルのa接点等を有しており、バッテリBT、キースイッチSWK、塵芥積込装置6の駆動源(車両エンジン)による動力伝達のONとOFFを操作する駆動源メインスイッチとしてのPTOスイッチSWP、メンテナンススイッチSWM等と共に電気回路に組み込まれている。このPLC15は、各種スイッチSW1~SW11、無接点スイッチLS1~LS4、上側センサ18、下側センサ19の入力状況に基づいて予め設定された手順に従って、対応するソレノイドSOLa~SOLdに出力するようにプログラムされている。なお、以下において、ソレノイドSOLa~SOLdへの通電・解除を説明する際、リレーコイルの説明は省略する。
以下、上記電気回路について詳細に説明する。PLC15への電力供給部は、車両補機用のバッテリBTによって行われる。このバッテリBTの正極から図10の右側に延びてグランドラインK1に至る通電ラインK2上には、上流側から順に、キースイッチSWK、リレーコイルCR1が介設されている。通電ラインK2のキースイッチSWKとバッテリBTとの間には、通電ラインK3の上流端が電気的に接続されている。また、通電ラインK3には、リレーコイルCR1の接点cr1と電源ランプLが介設されている。リレーコイルCR1がONになって接点cr1が閉じられると、通電ラインK3に通電することによって電源ランプLが点灯する。また、リレーコイルCR1の接点cr1及び電源ランプLの中間において通電ラインK3から分岐するように、通電ラインK4の上流端が電気的に接続されている。通電ラインK4とPLC15との間には、PTOスイッチSWP、各種スイッチSW1~SW11、無接点スイッチLS1~LS4、上側センサ18、下側センサ19が電気的に接続されている。
さらに、通電ラインK4から分岐する通電ラインK5によって、塵芥積込装置6の塵芥積込作動中には必ずPLC15に通電されるようになっている。この通電ラインK5は、積込継続信号を入力するラインであり、上述した緊急停止スイッチSW1~SW3が設けられている。これらの緊急停止スイッチSW1~SW3によって通電が遮断されると積込継続信号の入力が途絶え、それを受けてPLC15は、電磁制御弁V1,V2のソレノイドSOLa~SOLdを励磁させるための制御信号の出力を停止する。これにより、電磁制御弁V1,V2が中立位置に復帰し、塵芥積込装置6の作動が停止されるようになっている。
また例えば、圧縮板24が危険な角度範囲にあることを検出するスイッチ(図示せず)からの信号は、PLC15ではなく、画像処理ユニット90へ入力されるようになっている。
上述したように、塵芥積込装置6の積込作動時には、キースイッチSWK及びPTOスイッチSWPがいずれも閉じられており、通電ラインK3~K5によってPLC15に通電されている。その通電ラインK5の途中に画像処理ユニット90が設けられているので、この状態でリレースイッチSW4が開放されると、PLC15への通電が遮断されて塵芥積込装置6の作動が停止されるようになっている。
-塵芥収集車の作動-
次に、このように構成された塵芥収集車1の作動について説明する。
まず、塵芥積込装置6の作動について説明する。塵芥積込装置6は、通常、図6で実線に示す塵芥の積込行程終了状態で停止している。この状態では、昇降板21は上昇限界位置に、圧縮板24は前方揺動限界位置にそれぞれ配置されている。
作業者は、塵芥収集車1に乗り込むと、キースイッチSWKをONにする。このキースイッチSWKのONに伴ってバッテリBTからの電力がPLC15の信号用電力供給部に入力され、PLC15が通電状態となる。
作業者は、塵芥収集車1を運転し、収集現場に着いて塵芥収集車1を停止させた後、PTOスイッチSWPをONにする。すると、PTOが接続状態となり、油圧ポンプPの駆動が開始される。この際、電磁制御弁V1及びV2は中立位置にあり、油圧ポンプPから吐出された作動油は各シリンダ23,25を駆動させることなくオイルリザーバTに還流される。
この状態では、昇降シリンダ23及び揺動シリンダ25はいずれも最伸長状態にあるので、無接点スイッチLS1及びLS4が作動し、この無接点スイッチLS1及びLS4のON信号がPLC15に入力されている。この状態で作業者が、塵芥投入箱5の塵芥投入口7より塵芥を投入した後、積込スイッチSW5に対応する作動ボタン27aを押圧操作すると、PLC15により、ソレノイドSOLdが通電状態となり、電磁制御弁V2が上方位置に切り換わる。その結果、揺動シリンダ25が収縮作動し、圧縮板24をその圧縮面が略水平位置になるまで反転させる。
圧縮板24が後方揺動限界位置に達すると、すなわち、揺動シリンダ25が最収縮すると、無接点スイッチLS3が作動し、PLC15は、電磁制御弁V2を中立位置に復帰させると同時に、ソレノイドSOLbが通電状態となり、電磁制御弁V1が上方位置に切り換わるため、昇降シリンダ23が収縮作動し、昇降板21を案内溝部材20に沿って下降させる。その結果、昇降板21に連結された圧縮板24が、その圧縮面を略水平となるように保持したまま平行に下降するため、塵芥投入箱5の底面の円弧面との間で塵芥を押し潰すことができる。
昇降板21が下降限界位置に達すると、すなわち、昇降シリンダ23が最収縮すると、無接点スイッチLS2が作動し、PLC15はソレノイドSOLbへの通電を解除して電磁制御弁V1を中立位置に復帰させると同時に、ソレノイドSOLcに通電し、電磁制御弁V2を下方位置に切り換える。その結果、塵芥の押し潰し終了状態より揺動シリンダ25が伸長作動し、軸支部を支点として圧縮板24をその圧縮面が略垂直になるまで時計回りに揺動させる。これにより、圧縮板24は、前行程で一次的に押し潰された塵芥を塵芥投入箱5の底面の平坦面との間で二次的に圧縮することができる。
圧縮板24が前方揺動限界位置に達すると、すなわち、揺動シリンダ25が最伸長すると、無接点スイッチLS4が作動し、PLC15は、ソレノイドSOLcへの通電を解除して電磁制御弁V2を中立位置に復帰させると同時に、ソレノイドSOLaに通電し、電磁制御弁V1を下方位置に切り換える。その結果、圧縮行程の終了状態より昇降シリンダ23が伸長作動し、圧縮板24をその圧縮面が略垂直となるように保持したまま平行に上昇させ、前行程にて圧縮した塵芥を塵芥収容箱4内に積み込む。そして、昇降板21が上昇限界位置に達すると、すなわち、昇降シリンダ23が最伸長すると、無接点スイッチLS1が作動し、PLC15は、ソレノイドSOLaへの通電を解除して電磁制御弁V1を中立位置に復帰させる。これにより、積込行程が終了する。
以上の通り、塵芥積込装置6は、積込スイッチSW5の押圧操作により、反転行程、押潰行程、圧縮行程、積込行程(以下、積込サイクルともいう。)の順に作動し、塵芥投入箱5に投入された塵芥を塵芥収容箱4に積み込むことができる。
-投入口カバーの開閉動作-
次に、本実施形態に係る投入口カバー8の開閉動作について説明する。図7に示すように、例えば、投入口カバー8が下端位置Bにあって完全に閉じている全閉状態と、上端位置Aまで完全に開く全開状態との間の制御について説明する。
図9Aに示すように、制御のスタート時、ステップS01に示すように、キースイッチSWKがOFFで、投入口カバー8は全閉、駆動源メインスイッチとしてのPTOスイッチがOFFとする。
次いで、ステップS02において、作業者によりキースイッチSWKがONにされれば、バッテリBTからの電力がPLC15の信号用電力供給部に入力され、PLC15が通電状態となる。キースイッチがOFFのままでは何も生じない。
次いで、ステップS03において、PLC15は、下方停止操作部材81の開作動スイッチSW9と、側方停止操作ボタン82,83のカバー閉作動スイッチSW10,SW11とを有効にする。
次いで、ステップS04において、下方停止操作部材81がONになったかPLC15により判定される。ONであればステップS05に進み、ONでなければステップS09に進む。
ステップS05において、上側センサ18がONかどうかPLC15により判定される。上側センサ18がOFFである場合には、ステップS06に進んで処理1が行われる。
ステップS06では、処理1が行われる。例えば、投入口カバー8が下端位置Bにある場合には、パイプ部材42がピストンロッド23aの車幅方向外側にある。このとき、下側センサ19が投入口カバー8を検知している。図9Bに示すように、PLC15は、カバー開の信号と上側センサ18からのOFF信号とを受けてコントロールボード16にカバー開のON信号を送る。すると、コントロールボード16は、ソフトスタートのために、電圧制御又は周波数制御によって駆動モータ11を徐々に加速するように制御し、これによって駆動モータ11が徐々に一定速度v2まで加速される。これにより、伝動ベルト12が駆動され、内側アーム部14が上昇し、結果として投入口カバー8が速度v1で徐々に開き始める。具体的には、車幅方向端部8cに連結されたリンク部材40が板部材43を引っ張るのに合わせてアーム取付ブラケット44の先端部44bとの連結部を中心に外側アーム部41が回動し、板部材43とリンク部材40とは、他の部材との接触を避けながら上昇していく。
駆動モータ11が加速して伝動ベルト12が一定速度v2になると、一定速度v2のまま投入口カバー8が上昇する。このとき、投入口カバー8の下側アーム支持部14eと、伝動ベルト12側の上側アーム支持部14dとの間の位置関係は変化するが、内側アーム部14がこれらに対して回動可能に接続されているので、投入口カバー8は滑らかにスライド移動する。
そして、投入口カバー8が上端位置Aに近づくと、上側センサ18が検知してPLC15に信号が送られる。
すると、PLC15は、上側センサ18からのON信号を受けてコントロールボード16にカバー開のOFF信号を送る。すると、コントロールボード16は、電圧制御又は周波数制御により駆動モータ11を減速させる。すなわち、コントロールボード16は、駆動モータ11を一定速度v2から停止するまで徐々に速度v3を減速させる。ステップS08に進むと、投入口カバー8は全開となる。
一方、上側センサ18がONである場合には、すでに投入口カバー8がある程度開いた状態で、全開状態手前にあるので、投入口カバー8を勢いよく全開位置に開いてしまわないようにする必要がある。このため、ステップS07に進んで処理2の低速一定速度処理が行われる。図9Cに示すように、処理2では、開作動スイッチSW9が押されている間だけ投入口カバー8が一定の低速v4で開き、ステップS08に進むと投入口カバー8は全開となる。低速v4であるため、全開位置まで開いても衝撃は少ない。例えば、作業者が脚で下方停止操作部材81を操作している間だけ、低速v4で開くようにするとよい。
ステップS09において、カバーを閉じる場合も同様の制御が行われる。ステップS09において、側方停止操作ボタン82,83がONになったかPLC15により判定される。これにより、カバー閉の指示が出される。YESの場合には、ステップS010に進み、NOの場合には、ステップS04に戻る。
ステップS10において、下側センサ19がONかどうかPLC15により判定される。下側センサ19がOFFである場合には、ステップS11に進んで処理3が行われる。ONの場合、ステップS12に進み、処理2とは開閉が逆(上下逆)の動きである処理4が行われる。
ステップS11の処理3において、PLC15は、カバー閉の信号と下側センサ19からのOFF信号を受けてコントロールボード16にカバー閉のON信号を送る。すると、コントロールボード16は、ソフトスタートのために、電圧制御又は周波数制御によって駆動モータ11を徐々に加速するように制御し、これによって駆動モータ11が速度v1から徐々に一定速度v2まで加速される。これにより、伝動ベルト12が駆動され、内側アーム部14が下降し、結果として投入口カバー8が速度v1で徐々に下降し始める。駆動モータ11が加速して伝動ベルト12が一定速度v2になると、一定速度v2のまま投入口カバー8が下降する。そして、投入口カバー8が下端位置Bに近づくと、下側センサ19が検知してPLC15に信号が送られる。すると、PLC15は、下側センサ19からのON信号を受けてコントロールボード16にカバー閉のOFF信号を送る。すると、コントロールボード16は、電圧制御又は周波数制御により駆動モータ11を減速させる。すなわち、コントロールボード16は、駆動モータ11を一定速度v2から停止するまで徐々に速度v3を減速させる。ステップS13に進むと投入口カバー8は全閉となる。
一方、下側センサ19がONである場合には、すでに投入口カバー8がある程度閉じた状態で、全閉状態手前にあるので、投入口カバー8を勢いよく全閉位置に閉じてしまわないようにする必要がある。このため、ステップS12に進んで処理4の低速一定速度処理が行われる。処理4では、カバー閉作動スイッチSW10,SW11が押されている間だけ投入口カバー8が低速の一定速度で下降する。低速であるため、全閉位置まで閉じても衝撃は少ない。ステップS13に進むと投入口カバー8は全閉となる。例えば、作業者が側方停止操作ボタン82,83を操作している間だけ、低速v4で閉じるようにするとよい。
次いで、図12に示す、ステップS14に進み、PTOスイッチSWPがONであるかPLC15により判定される。ONの場合、ステップS15に進み、人物の認識処理が画像処理ユニット90のDSP95によって行われ(詳しい説明は省略)、ステップS16に進む。OFFの場合、図9AのステップS04に戻る。
ステップS16において、積込スイッチSW5等の塵芥積込装置6を作動させるスイッチがONになったかどうかがPLC15により判定される。ONになると、ステップS17に進み、PLC15は、下方停止操作部材81の開作動スイッチSW9と、側方停止操作ボタン82,83のカバー閉作動スイッチSW10,SW11とを無効にする。
次いで、ステップS18でPLC15により塵芥積込装置6が作動する。なお、下方停止操作部材81が作業者の脚等で操作されたり、側方停止操作ボタン82,83が手で操作されたりすると、塵芥積込装置6は、緊急停止する。この緊急停止では、下方停止操作部材81又は側方停止操作ボタン82,83の操作により緊急停止スイッチSW1~SW3の接点が開いて積込継続信号の入力が途絶え、それを受けてPLC15は、電磁制御弁V1,V2のソレノイドSOLa~SOLdを励磁させるための制御信号の出力を停止する。これにより、電磁制御弁V1,V2が中立位置に復帰し、塵芥積込装置6の作動が停止される。つまり、下方停止操作部材81又は側方停止操作ボタン82,83を操作すると必ず積込継続信号が途絶えて塵芥積込装置6の作動が停止するようになっているので、塵芥積込装置6が作動中において、下方停止操作部材81又は側方停止操作ボタン82,83の操作により投入口カバー8が開閉作動されることはない。
次いで、ステップS19において、積込装置6の動作中に積込危険検知エリアで人物を認識したかが画像処理ユニット90のCPU94によって判定される。人物をカメラ91等で認識しなければ、ステップS20に進んでPLC15が積込作業を1サイクル行った後、塵芥積込装置6を停止させる。認識すると、ステップS21に進み、画像処理ユニット90のCPU94によって塵芥積込装置6が緊急停止される。
次いで、ステップS22に進み、PLC15は、下方停止操作部材81の開作動スイッチSW9と、側方停止操作ボタン82,83のカバー閉作動スイッチSW10,SW11とを有効にする。
次いで、ステップS23において、積込作業が終了した場合、ステップS24に進み、終了していなければ、ステップS15に戻る。
ステップS24では、側方停止操作ボタン82,83がONになったかどうかPLC15により判定される。ONになると、ステップS25に進み、図9AのステップS10と同様に、下側センサ19がONかどうかPLC15により判定される。下側センサ19がOFFである場合には、ステップS26に進んで処理3が行われる。ONの場合、ステップS27に進み、処理4が行われる。
ステップS28に進むと投入口カバー8は全閉となる。
ステップS29でPTOスイッチがOFFになると制御は終了する。
このように、本発明の実施形態の構成によると、塵芥積込装置6が停止しているときには、緊急停止操作部80は使用されないので、投入口カバー8を開閉する操作に使用することができる。緊急停止操作部80は、緊急で押さなければならないものであり、通常押しやすい位置にあるので、投入口カバー8を開閉しやすい。また、もともと備わっている塵芥積込装置6の緊急停止操作部80を投入口カバー8の開閉操作用に兼用するので、従来の動力開閉式の投入口カバー自動開閉装置と比較して部品点数を削減でき、簡易な構造にできる。
また、塵芥投入口7の真下の脚で非常に操作しやすい場所に設けた下方停止操作部材81を利用できるので、例えば、作業者が両手にゴミ袋を持った状態で脚によって下方停止操作部材81を操作すれば、地面にゴミ袋を置かなくても投入口カバー8を自動で開くことができる。これにより、投入口カバー開閉用の専用のボタンを設ける従来と比較して作業者が投入口カバー8を開ける操作を容易にできる。
また、一つの下方停止操作部材81に対し、塵芥積込装置6を緊急停止させるためと投入口カバー8を開くための2種類の緊急停止スイッチSW1と開作動スイッチSW9を設け、各スイッチの役割を独立させているので、故障しにくく緊急停止の誤作動の少ない塵芥収集車1にできる。
また、投入口カバー8を開にするための操作部と投入口カバー8を閉にするための操作部とをそれぞれ、下方停止操作部材81と側方停止操作ボタン82,83に振り分けるので、作業者の操作時の混乱を防ぐことができ、投入口カバー8の開閉操作が容易な塵芥収集車1にできる。
さらに、一つの側方停止操作ボタン82(83)に対し、塵芥積込装置6を緊急停止させるためと投入口カバー8を開くための2種類のスイッチを設け、各スイッチの役割を独立させているので、故障しにくく緊急停止の誤作動の少ない塵芥収集車にできる。
したがって、本実施形態に係る塵芥収集車1によると、塵芥積込装置6を緊急停止させる必要のない場合に、緊急停止操作部80を利用して投入口カバー8の開閉を操作できるようにしたことにより、簡易な構造で容易に投入口カバーを自動で開閉できる。
(その他の実施形態)
上記実施形態では、投入口カバー8を開にするための操作部と投入口カバー8を閉にするための操作部とをそれぞれ、下方停止操作部材81と側方停止操作ボタン82,83に振り分けたが、本発明はこれに限らず、下方停止操作部材と側方停止操作ボタンのいずれであっても、投入口カバーの開操作と閉操作の両方を行えるように構成してもよい。
また、上記実施形態では、投入口カバー8をスライド移動させる開閉用アクチュエータとして駆動モータ11を使用したが、本発明はこれに限らず、開閉用アクチュエータとして空気圧シリンダや油圧シリンダを使用してもよい。油圧シリンダを使用する場合には、例えば、特開2011-148614のような、投入口カバーに連結される開閉アームに対し油圧シリンダを取り付ける構造が採用できる。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物や用途の範囲を制限することを意図するものではない。