以下、本発明の塵芥収集車の一実施形態を、図面に基づいて説明する。図1ないし図3に示すように、本実施形態の塵芥収集車1は、車体2に塵芥を収容する塵芥収容箱3と、塵芥収容箱3の後側にあって、塵芥が塵芥収容箱3に収容される前に一旦投入される塵芥投入箱4とを備えている。なお、塵芥収集車1は、塵芥収容箱3の前側には運転室5を備えている。また、塵芥収集車1は、塵芥投入箱4に投入された塵芥を塵芥収容箱3に積込むための積込装置6を備えている。塵芥収容箱3は、一般的な構成を備えているものであり、後部に後部開口7が形成された箱状である。
塵芥投入箱4は、その後端上部に天壁11を備え、天壁11の後部は後壁の一部を構成しており、天壁11の下側が、塵芥を投入可能な塵芥投入口12とされている。塵芥投入口12には、手動式のシャッタ13が取付けられている。シャッタ13もまた後壁の一部を構成し、シャッタ13は、左右両側の側板(側壁)14,15に設けたガイドレールに沿って開閉される。
シャッタ13の開放時に塵芥投入口12から塵芥投入箱4内に塵芥が投入可能となる。塵芥投入箱4は、左右両側の前記側板14,15と、底板17とを備える。塵芥投入箱4の前部は前部開口18とされている。また、後部の枠壁8の下部には、各種スイッチのターミナルであるローディングスイッチ9、緊急停止用スイッチ10を備えている。
塵芥投入箱4は、塵芥投入姿勢Yと投入解除姿勢Zとに切替自在に構成されている。塵芥投入姿勢Yとは、塵芥投入箱4が塵芥収容箱3の後方所定位置に位置づけられた姿勢である。投入解除姿勢Zとは、塵芥投入箱4が塵芥投入姿勢Yから上方へ傾動して所定位置に位置づけられた姿勢である。
塵芥投入姿勢Yの所定位置とは、作業者が塵芥投入口12へ塵芥を投入するための位置である。投入解除姿勢Zの所定位置とは、塵芥収容箱3をその後部が下方になるよう傾動させて塵芥収容箱3に収容された塵芥を、後部開口7から破棄できる位置である。
塵芥投入姿勢Yにおいて、塵芥収容箱3の後部開口7と塵芥投入箱4の前部開口18とは連通される。なお、塵芥収集車1は、塵芥収容箱3を傾動させるための一般的な傾動用シリンダ(図示せず)を備え、傾動用シリンダは、車体2と塵芥収容箱3との間に配置されている。
塵芥投入箱4は、支軸19回りに回動することで塵芥投入姿勢Yと投入解除姿勢Zとに切替自在である。支軸19は、塵芥収容箱3の後端上部および塵芥投入箱4の前端上部の重なり(幅方向での重なり)部分に配置された幅方向に沿う軸体である。支軸19は、塵芥収容箱3(塵芥投入箱4)の幅方向に離間して、幅方向両側に配置されている。
塵芥投入箱4の側板14,15は、上下方向に沿う平板である。塵芥投入箱4の底板17は、後方部分17Aと前方部分17Bとを一体的に備えている。後方部分17Aは前方に向けて下傾斜され、前方部分17Bは後方に向けて下傾斜(前方に向けて上傾斜)されている。底板17の前後方向略中心部が最も下位となる傾斜分岐点20とされている。後方部分17Aは前方に向けて下傾斜する平板であり、前方部分17Bは、下方へ向けてわずかに凸となるよう後方へ向けて下傾斜する曲板である。この前方部分17Bの上面は、後述する第二軸31の軸中心を基準として一定の曲率で湾曲している。
また、塵芥収集車1は、塵芥投入箱4を支軸19回りに回動させるための、幅方向一対のスイングシリンダ21を備える。本実施形態では、スイングシリンダ21、塵芥投入箱4、および積込装置6が、第一軸22に支持されている(取付けられている)。第一軸22は主軸に相当し、パイプ状の第一軸体22Aと、第一軸体22A上の長手方向(幅方向)に離間して固定された、後述するブラケット22bと、保持体22cとから構成されている。
スイングシリンダ21は、塵芥収容箱3の後端上部で且つ支軸19の下側に配置されたブラケット3aに、枢軸3bを介して本体の基部が回動自在に連結されている。スイングシリンダ21のロッド21Aの先端部は、第一軸体22Aの端部(突出部)22a,22aに枢軸23を介して回動自在に連結されている。すなわち、スイングシリンダ21は、塵芥投入箱4の内部になく、塵芥投入箱4の側板14,15の外側に配置されている。
図2および図3に示すように、塵芥投入箱4では、側板14,15に塵芥投入箱4の幅方向に沿うよう第一軸体22Aは、その端部22a,22aを塵芥投入箱4の内部から外部へ突出させるようにして、側板14,15を貫通して支持されている。具体的には、第一軸体22Aを貫通させる部分に相当する側板14,15の上部領域を切欠いて、第一軸体22Aをその端部22a,22aが該切欠14a,15a(図3、図4参照)の底面に係止するよう上方から下ろして、側板14,15に第一軸体22Aを支持するように構成されている。第一軸体22Aは、側板14,15の後部且つ上部に配置されている。具体的には、第一軸体22Aは、塵芥投入箱4のシャッタ13の前側に配置され、支軸19よりも下側に配置されている。
ブラケット22bは、第一軸22の端部22a,22aに配置され、スイングシリンダ21のロッド21Aの先端部を連結するための突出部分を備えている。この突出部分に枢軸23が配置されている。すなわち、スイングシリンダ21のロッド21Aの先端部は、枢軸23に連結されていることにより、第一軸体22Aに対して下方に位置ずれするよう配置されている。
次に、積込装置6について説明する。図4および図5に示すように、積込装置6は、リフトアーム(アーム部材に相当する)24と、塵芥投入箱4内及び塵芥収容箱3内(の一部)を移動する板状のプッシュプレート(押込部材に相当する)25と、リフトアーム24を昇降させるためのリフトシリンダ26(アーム部材用シリンダに相当する、油圧シリンダである)と、プッシュプレート25を回動させるための、油圧シリンダであるプッシュシリンダ27(押込用シリンダに相当する)とを備えている。前述したように、このような積込装置6が、第一軸22に取付けられている。この積込装置6は、塵芥投入箱4の内部に配置されている。
前記傾動用シリンダ、スイングシリンダ21、リフトシリンダ26、プッシュシリンダ27を伸長または収縮させるため、各シリンダには油圧配管が接続されている。そして、作動油の各シリンダへの供給及び後述するプッシュシリンダ27からの排出を行うために制御部39を備えている。制御の内容については後述の動作フローと共に説明する。なお本実施形態では、リフトシリンダ26に接続される油圧配管にはチェックバルブ(逆止弁)が設置されている。このため、本実施形態のリフトシリンダ26に関しては、リフトアーム24、プッシュプレート25、プッシュシリンダ27の自重により作動油が抜けて伸長することが抑制されている。
図4に示すように、リフトアーム24は、側面視して扁平な平行四辺形状に形成されている。リフトアーム24は、幅方向に離間対向して一対で設けられている。リフトアーム24どうしは、その長手方向途中部分で、前後一対の捻れ防止用の杆体29,29によって連結されて補強されている。
図5に示すように、保持体22cは板状に形成されており、側板14,15寄りに、複数個(この場合、三個)配置されている。リフトアーム24の一端側(後端側)は、保持体22cに取付けられている。すなわち、保持体22c間に第二軸(請求項に記載の「第1の軸」に相当する)31が渡され、リフトアーム24の一端側は、第二軸31に垂直面内で回動自在に支軸されている。リフトアーム24は、第二軸31から前方に向けて延長されている。さらに、第二軸31には、プッシュプレート25を回動させるためのプッシュシリンダ27の本体の基端部が垂直面内で回動自在に支持されている。
リフトアーム24は、支軸19にリフトシリンダ26を介して間接的に吊持されるとともに、第二軸31に直接的に吊持され、リフトアーム24の他端側(前端側)には、幅方向に沿う第三軸(請求項に記載の「第2の軸」に相当する)32が取付けられている。第三軸32に、プッシュプレート25の基端部が回動自在に連結されている。すなわちプッシュプレート25は、リフトアーム24の前部寄り(この場合、前端部)に回動自在に支持されている。プッシュプレート25は、塵芥投入箱4の前部開口18より小さな幅に設定されている。
プッシュプレート25において、幅方向に直交する方向の長手方向途中部分には第四軸33が設けられている。この第四軸33は、プッシュプレート25の長手方向において、第三軸32寄りに配置されている。プッシュプレート25の一側面(塵芥収容箱3側)は、塵芥押圧面34とされており、第四軸33は、塵芥押圧面34の裏側に位置するよう(塵芥押圧面34から突出しないよう)に配置されている。プッシュシリンダ27のロッド27Aの先端部は第四軸33に回動自在に連結されている。すなわちプッシュシリンダ27の先端部は、プッシュプレート25において、第三軸32寄りに取付けられている。換言すれば、プッシュシリンダ27の先端部は、プッシュプレート25の長手方向中間部分よりも第三軸32側に取付けられている。なお、プッシュプレート25の長手方向長さと、リフトアーム24の長手方向長さとは、同程度に設定されている。
リフトシリンダ26の本体の基端部は、支軸19に回動自在に連結されている。リフトアーム24の長手方向略中央部分の下側寄りに、幅方向に沿う第五軸35が設けられている。リフトシリンダ26のロッド26Aの先端部は第五軸35に回動自在に連結されている。第五軸35は、後方の杆体29の下方に配置されている(図4参照)。
また、スイングシリンダ21、塵芥投入箱4、および積込装置6が、第一軸22に取付けられている構成に伴い、側板14,15の外面には、スチフナ28が設けられている(図1、図2参照)。スチフナ28は、支軸19と第一軸体22Aとを結ぶ直線に沿ったスチフナ28Aと、後部開口7の下縁と第一軸体22Aとを結ぶ直線に沿ったスチフナ28Bとがあり、これによりスチフナ28は、第一軸体22Aの端部22a,22aから側板14,15に働く荷重を、側板14,15とともに支持する。
以上のように構成されたプッシュプレート25は、塵芥収容箱3に塵芥を押し込む際、底板17の上方を後方部分17A及び前方部分17Bに沿うようにして前方に移動する(図8(e)〜図9(e)参照)。
図6(a)(b)に示すように、プッシュシリンダ27はロッド27Aを伸長または収縮させるための伸長用ポート27X及び収縮用ポート27Yを備える。伸長用ポート27Xからプッシュシリンダ27内に作動油を供給することにより、作動油の油圧をピストン27Cが受け、ロッド27Aをシリンダチューブ27Bから突出させることができる。逆に、収縮用ポート27Yからプッシュシリンダ27内に作動油を供給することにより、ロッド27Aをシリンダチューブ27Bに引き込むことができる。
プッシュシリンダ27は、前記伸長用ポート27X及び収縮用ポート27Yの他にドレンポート27Zを備える。このドレンポート27Zは、プッシュシリンダ27のストローク途中、つまり、ピストン27Cの可動範囲における基端位置と先端位置との間であって、プッシュプレート25が塵芥投入箱4内にて底板17の後方部分17Aにおける前端(傾斜分岐点20)に最も接近する位置に対応したピストン位置に備えられている。本実施形態のドレンポート27Zは、プッシュシリンダ27において伸長用ポート27Xと収縮用ポート27Yとの間における収縮用ポート27Y寄りに位置しており、シリンダチューブ27Bの外面及び内面に開口した貫通孔である。このドレンポート27Zには油圧配管の一部としてのドレン用配管36が接続されており、このドレン用配管36はオイルタンク37に接続されて非加圧環境に開放されている。
ドレン用配管36はドレンバルブ38を備える。このドレンバルブ38として本実施形態ではソレノイドバルブが用いられている。なお、バルブの形式はソレノイドバルブに限定されず、種々の形式のバルブ(開閉弁)を用いることができる。ドレンバルブ38の開閉は制御部39により制御される。制御部39がドレンバルブ38を開放した場合に、プッシュシリンダ27からドレン用配管36を介してオイルタンク37に作動油が排出可能となる。ドレンバルブ38が開放され、かつ、ドレンポート27Zと伸長用ポート27Xとが連通している場合(つまり、ピストン27Cがドレンポート27Zと伸長用ポート27Xとの間に無い場合)には、伸長用ポート27Xからプッシュシリンダ27内に作動油が供給されていたとしても、供給量に対応した量の作動油がドレンポート27Zからシリンダ外に排出される。このため、プッシュシリンダ27内の油圧は上昇せずに一定となる。油圧が一定となると、ロッド27Aはピストン27Cにおける伸長用ポート27X側の油圧を受ける面(受圧面)がドレンポート27Zに略一致した状態で伸長を停止する。
なお、制御部39がドレンバルブ38を閉鎖した場合には、伸長用ポート27Xからプッシュシリンダ27内に作動油を供給することで、前記伸長を停止した位置からロッド27Aを更に伸長させることができる。この更なる伸長により、後述する動作フローにおいて、プッシュプレート25による塵芥の塵芥収容箱3への押し込みをすることができる。
本実施形態の塵芥収集車1では、第一軸22に、塵芥投入箱4が取付けられるとともに、積込装置6が取付けられている。このため、塵芥投入箱4と、積込装置6をそれぞれ別の支軸に支持させた場合に比べて、塵芥収集車1の軽量化が実現できる。
しかも、塵芥投入箱4と積込装置6の取付けを兼用する第一軸22(第一軸体22A)の端部22a,22aは、側板14,15を貫通して側板14,15に支持されている。このため、塵芥投入箱4と、積込装置6をそれぞれ別の支軸に支持させ、支軸の端部を側板14,15の内面で支持させる構成に比べて、側板14,15と支軸の端部の補強構造もまた、簡素な構成とすることができる。
積込装置6は、リフトアーム24の位置を検知するための近接スイッチとして、リフト近接Aスイッチ40、リフト近接Bスイッチ41、プッシュ近接スイッチ42を備える(図7〜図9参照)。
ここで、リフト近接Aスイッチ40は、リフトシリンダ26の伸長または収縮を検知するため備えられている。具体的には、リフトシリンダ26が図11(d)における、第三軸32の軸中心からプッシュプレート25の先端部25Xまでの距離D25bが、第三軸32の軸中心から底板17の前方部分17Bにおける最前部までの距離D17bより短くなるように収縮している場合に反応する。そして、リフト近接Bスイッチ41は、積込装置6の作動中にリフトアーム24が適正な位置にあることを検知するため備えられている。また、プッシュ近接スイッチ42は、積込装置6の作動中にプッシュシリンダ27が適正な位置にあることを検知するため備えられている。具体的に、リフト近接Bスイッチ41は、リフトアーム24の先端が回動範囲における下端位置にあることを検知する。また、プッシュ近接スイッチ42は、プッシュシリンダ27が最も収縮した状態であることを検知する。
本実施形態において、リフトアーム24は、第一軸22から前方へ向かって延長され、プッシュプレート25は、リフトアーム24の前部寄りに支持されている。この構成によれば、プッシュプレート25がリフトアーム24の前部寄りにあり、したがって、その分だけ塵芥投入箱4の内部を広くできる。
また、積込装置6は、プッシュプレート25を第三軸32回りに回動させるプッシュシリンダ27を備え、プッシュシリンダ27の基端部は、リフトアーム24に取付けられ、プッシュシリンダ27の先端部がプッシュプレート25において、第三軸32寄りに取付けられている。この構成によれば、プッシュシリンダ27の長さが長くなるのを抑えつつ、プッシュシリンダ27を伸長させてプッシュプレート25を回動させることで、塵芥を塵芥収容箱3に向けて押し込むことができる。また、プッシュシリンダ27の先端部が、プッシュプレート25において、第三軸32寄りに取付けられているので、プッシュシリンダ27(ロッド27A)が塵芥投入空間K内に突出する量を少なくできる。
さらに、第一軸22は、側板14,15の後部且つ上部に配置され(第一軸体22Aは、塵芥投入箱4の後壁の一部であるシャッタ13の前側に配置され)、支軸19よりも下側に配置され(後壁の一部である天壁11の下側に配置され)ている。そして、リフトアーム24の一端側は、保持体22cに、第二軸31を介して回動自在に取付けられ、リフトアーム24はリフトシリンダ26によって第二軸31回りに回動させられて上方に持ち上げられる。この構成によれば、リフトシリンダ26を収縮させることでリフトアーム24が上げられると、塵芥投入箱4の内部を広くすることができ、リフトアーム24が塵芥の投入に邪魔にならない。
さらに、スイングシリンダ21は、第一軸体22Aのうち、塵芥投入箱4の側板14,15から外側へ突出させた端部22a,22aに支持されることで、塵芥投入箱4の外側に配置され、積込装置6は、第一軸体22Aのうち、側板14,15の内側に配置された部分に支持されることで、塵芥投入箱4の内側に配置されている。このため、積込装置6によって塵芥を積込んでも、スイングシリンダ21が塵芥によって汚されるのを抑制できる。
次に、積込装置6の動作フローにつき、積込動作に関して図7〜図9(動作説明図)、復帰動作に関して図11(動作説明図)、及び、図12〜図14(フローチャート)を示しつつ説明する。図7〜図9及び図11は、(a)が最も先の状態を示し、(b)(c)…の順に動作する。上記構成において、積込装置6が図7(a)の状態を基準姿勢(積込動作最終の押込完了姿勢でもある)Xとする。この基準姿勢Xとは、塵芥収容箱3に収容された塵芥を、プッシュプレート25の塵芥押圧面34が上向き前方に押圧するよう第三軸32回りに回動した後の状態であり、塵芥押圧面34は、塵芥収容箱3の後部開口7から塵芥収容箱3内に入り込んでいる。このため、基準姿勢Xでは、プッシュシリンダ27は、伸び代を使い切って伸長した状態にある。なお、作動油がリリーフして異音が生じたり、シリンダが底突きして損傷したりすることを防ぐために、前記基準姿勢Xにて、プッシュシリンダ27は前記のような伸び代を使い切った状態ではなく、ストロークエンド直前位置(伸び代を少し残した状態)で伸長を停止するよう構成されていてもよい。
積込装置6の基準姿勢Xにおいて、プッシュプレート25の塵芥押圧面34が、塵芥収容箱3の後部開口7から塵芥収容箱3内に入り込む程度に前方にあることから、積込装置6では、塵芥を投入可能なエリアができるだけ大きく確保された状態にある。
本実施形態における復帰スイッチである、ローディングスイッチ9中の積込スイッチのボタンが作業者等により押圧操作されると、復帰動作をなすための復帰工程(ステップS100)が行われる。なおフローチャートでは、図示を簡略化するために記載を省略しているが、実際には、積込ボタンONの確認に続き、キースイッチONの確認、車体に設けられた変速機の出力を取り出すための動力取出装置(PTO)ONの確認、運転モード設定スイッチが単独運転に指定されていないことの確認が連続してなされる。
復帰工程の具体的動作(復帰動作)を図14に示す。まず、リフト近接Aスイッチ40が反応している場合(ステップS101)、図11(e)に示すようにプッシュシリンダ27が伸長する(ステップS108)。そして、プッシュシリンダ27伸長のための作動油の流量につき設定流量経過後(ステップS109)、プッシュシリンダ27は伸長を停止して(ステップS110)、図11(f)及び図7(a)に示す基準姿勢Xとなる。
ここで、リフトシリンダ26がある程度伸びた状態とされ、積込装置6がサイクル途中で停止したままその日の塵芥収集業務を終了した場合、または、積込装置6がサイクル途中で停止したまま次の塵芥収集箇所までの移動に時間がかかった場合、プッシュシリンダ27には伸び代が残されていることから、図10に示すように、プッシュプレート25の自重によりプッシュシリンダ27内の作動油が抜けてプッシュシリンダ27が伸長することにより、プッシュプレート25が正常な位置からずれてしまうことがある。なお、本実施形態と異なり、リフトシリンダ26に接続される油圧配管にチェックバルブ(逆止弁)が設置されない場合には、プッシュシリンダ27と同様に、リフトシリンダ26内の作動油が抜けてリフトシリンダ26が伸長することにより、プッシュプレート25が正常な位置からずれてしまうことがある。
図10に示す状態は、プッシュプレート25が下方にずれて塵芥投入箱4の底板17に接触した状態である。この状態のまま積込装置6を動作させると、プッシュプレート25が塵芥投入箱4の底板17における前方部分17Bに対して摺動してしまうので、プッシュプレート25及び塵芥投入箱4が損傷することにより積込装置6が故障してしまう可能性がある。
なお、プッシュプレート25の正常な位置からのずれは、積込装置6がサイクル途中で停止してからの経過時間やプッシュシリンダ27内の作動油の抜け量により変化するため、一定ではない。ところが、本実施形態の積込装置6ではプッシュプレート25の位置を高精度で検出できる機構は備えられていないため、「ずれ」分だけプッシュプレート25の位置を修正することは構造上不可能である。
そこで本実施形態では、ステップS101にてリフト近接Aスイッチ40が反応していないことをトリガーとして(ステップS101)、復帰工程(ステップS100)として以下の動作を一律に行うようにしている。なお、図14に示すステップS100のうち、復帰工程に属する動作(復帰動作)は、図14に示すステップS102〜S110であり、プッシュシリンダ27が収縮することでプッシュプレート25の先端部(第三軸32から遠い側の端部)25Xが塵芥収容箱3を基準として後退した後、リフトシリンダ26が収縮されることでプッシュプレート25が上昇し、前記リフトシリンダ26の収縮動作開始の後、プッシュシリンダ27が最大伸長状態とされることでプッシュプレート25の先端部25Xが塵芥収容箱3に向かうよう移動する動作である。
まず、図11(a)に示すようにプッシュシリンダ27が収縮する(ステップS102)。そしてプッシュシリンダ27収縮のための作動油の流量につき設定流量経過後(ステップS103)、プッシュシリンダ27は収縮を停止し(ステップS104)、図11(b)の状態となる。
このようにプッシュシリンダ27が収縮することで、図11(a)に矢印で示すようにプッシュプレート25が回動する。そして、図11(b)に示すように、第二軸31の軸中心からプッシュプレート25の先端部25Xまでの距離D25aが第二軸31の軸中心から底板17の前方部分17Bまでの距離(前方部分17Bの上面の曲率半径)D17aよりも小さくなる。このため、リフトシリンダ26を伸長または収縮(リフトアーム24を軸31を中心として回動)してもプッシュプレート25が底板17の前方部分17Bに干渉することがなくなる。
次に、図11(c)に示すようにリフトシリンダ26が収縮する(ステップS105)。次に、リフト近接Aスイッチ40が反応していることが検知される(ステップS106)。反応が検知された場合、リフトシリンダ26は収縮を停止し(ステップS107)、図11(d)の状態となる。一方、反応を検知しない場合は、反応が検知されるまでステップS105を繰り返す。
このようにリフトシリンダ26が収縮することで、図11(c)に矢印で示すようにリフトアーム24及びプッシュプレート25が回動する。そして、図11(d)に示すように、支軸19の軸中心からプッシュプレート25の先端部25Xまでの距離D25bが支軸19の軸中心から底板17の前方部分17Bにおける最前部までの距離D17bよりも小さくなる。このため、プッシュシリンダ27を伸長または収縮(プッシュプレート25を、第三軸32を中心として回動)してもプッシュプレート25が底板17の前方部分17Bに干渉することがない。
リフトシリンダ26の収縮停止後、図11(e)に示すようにプッシュシリンダ27が伸長する(ステップS108)。そして、プッシュシリンダ27伸長のための作動油の流量につき設定流量経過後(ステップS109)、プッシュシリンダ27は伸長を停止して(ステップS110)、図11(f)及び図7(a)に示す基準姿勢Xとなる。これで復帰工程(ステップ100)が完了する。
このように復帰工程が実行されると、まず、プッシュシリンダ27が収縮することでプッシュプレート25の先端部25Xが塵芥収容箱3を基準として後退することにより、リフトシリンダ26を伸長または収縮させてもプッシュプレート25が塵芥投入箱4の底部(底板17)に摺動しないようにできる。そして更に、リフトシリンダ26が収縮状態とされ、かつ、プッシュシリンダ27が最大伸長状態とされることで、積込装置6を確実に積込動作が開始可能な状態とできる。
前記復帰工程(ステップS100)に続き、図7〜図9(動作説明図)、及び、図12〜図13(フローチャート)に示す積込動作が開始される。このように、前記復帰工程の動作と積込動作とが一連の動作として実行されることから、作業者に前記復帰工程の動作を不自然な動作であると思わせにくい。
積込動作では、まず、リフトシリンダ26とプッシュシリンダ27が同時に収縮して(ステップS201)、図7(b)及び図7(c)の状態となる。リフトシリンダ26の収縮に伴い、リフトアーム24は第二軸31回りで図示時計回りに回動する。プッシュシリンダ27の収縮に伴い、プッシュプレート25は第三軸32回りで図示反時計回りに回動する。
ステップS201の開始からリフトシリンダ26収縮のための作動油の流量につき設定流量経過後(ステップS202)、リフトシリンダ26は収縮を停止して(ステップS203)、図7(d)及び図7(e)の状態となる。この状態では、プッシュシリンダ27は収縮を継続している。
次に、プッシュ近接スイッチ42が反応していることが検知される(ステップS204)。反応を検知した場合、プッシュシリンダ27は収縮を停止する(ステップS205)。一方、反応を検知しない場合はステップS204を繰り返す(プッシュ近接スイッチ42が検知するまでプッシュシリンダ27の収縮を継続する)。
次に、リフトシリンダ26が伸長し(ステップS206)、図8(a)及び図8(b)に示す状態となる。リフトシリンダ26の伸長に伴い、リフトアーム24は第二軸31回りで図示反時計回りに回動する。
ステップS206の開始からリフトシリンダ26伸長のための作動油の流量につき設定流量経過後(ステップS207)、ドレンバルブ38が開放される(ステップS208)。次に、プッシュシリンダ27が伸長し(ステップS209)、図8(c)に示す状態となる(リフトシリンダ26とプッシュシリンダ27が同時に伸長する)。プッシュシリンダ27の伸長に伴い、プッシュプレート25は第三軸32回りで図示時計回りに回動する。
次に、図8(d)に示す状態で、リフト近接Bスイッチ41が反応していることが検知される(ステップS210)。反応を検知した場合、リフトシリンダ26は伸長を停止して(ステップS211)、図8(e)の状態となる。一方、反応を検知しない場合はステップS210を繰り返す(リフトシリンダ26とプッシュシリンダ27が同時に伸長することを継続する)。
ステップS211からプッシュシリンダ27伸長のための作動油の流量につき設定流量経過後(ステップS212)、プッシュシリンダ27は伸長を停止し(ステップS213)、ドレンバルブ38が閉鎖され(ステップS214)、図9(a)の状態となる。この状態でプッシュプレート25の先端は塵芥投入箱4の底板17における中央(後方部分17Aと前方部分17Bとの境界(傾斜分岐点20))に位置する。
このようにプッシュプレート25(より具体的にはプッシュプレート25の先端)は、図8(c)〜図9(b)に示すように、塵芥投入箱4内にて上方から底板17の後方部分17Aに接近するよう移動する。そして、前記移動の際、ドレンバルブ38が開放された状態でプッシュシリンダ27の伸長がなされ、プッシュプレート25が塵芥投入箱4内にて底板17の後方部分17Aにおける前端(傾斜分岐点20)に接近した後に停止した際に閉鎖される。ここで、ステップS208からステップS214に至るまでの間ドレンバルブ38が開放されているため、プッシュシリンダ27の過剰な伸長が防止される。
次に、リフトシリンダ26が収縮する(ステップS215)。次に、リフト近接Aスイッチ40が反応していることが検知される(ステップS216)。反応が検知された場合、リフトシリンダ26は収縮を停止し(ステップS217)、図9(c)及び図9(d)の状態となる。一方、反応を検知しない場合はステップS216を繰り返す。
そして、プッシュシリンダ27が伸長し(ステップS218)、図9(e)の状態となる。このプッシュシリンダ27の伸長により、プッシュプレート25の塵芥押圧面34は、塵芥収容箱3の後部開口7から塵芥収容箱3内に入り込む。このため、塵芥収容箱3内で塵芥が圧縮される。また、例えばダンボール等、反発力の大きい塵芥であっても、プッシュプレート25の塵芥押圧面34が塵芥収容箱3内に入り込む分、塵芥を有効に圧縮できる。
ステップS218の開始からプッシュシリンダ27伸長のための作動油の流量につき設定流量経過後(ステップS219)、プッシュシリンダ27は伸長を停止し(ステップS220)、図7(a)の状態となる。つまり、積込装置6が基準姿勢Xに戻る。
この際、運転モード設定スイッチが単独運転に指定されている場合(ステップS221)には動作フローを終了する。一方、運転モード設定スイッチが単独運転ではなく連続運転に指定されている場合にはステップS100に戻り、動作フローを繰り返す。前記ステップS100〜S221の一連の動作が、本実施形態における1サイクルの動作である。
なお、塵芥収集車1は、塵芥の積込作業が終了すれば、塵芥収集車1を所定の場所(塵芥処理場)まで走行させ、スイングシリンダ21を伸長させることで、塵芥投入箱4を支軸19回りに、上方へ回動させて投入解除姿勢Zとし、傾動用シリンダを伸長させて塵芥収容箱3を、後方が下になるよう傾動させる。そうすると、塵芥投入箱4は投入解除姿勢Zにあるから、塵芥収容箱3の後部開口7が開放され、塵芥の排出を邪魔するものがなく、塵芥収容箱3内の塵芥が排出される。
次に、前記復帰工程(ステップS100)における復帰動作を開始させるためのトリガーの例として、下記4パターンが例示できる。第1に、アーム部材であるリフトアーム24の位置に関する検出結果をトリガーとするものである。本実施形態はこのパターンに該当し、リフト近接Aスイッチ40の反応をトリガーとしている。リフト近接Aスイッチ40が反応しない場合、第三軸32の軸中心からプッシュプレート25の先端部25Xまでの距離D25b(図11(d)参照)が第三軸32の軸中心から底板17の前方部分17Bまでの距離(前方部分17Bの上面の曲率半径)D17b(同)以上になっている。このため、図14に示すステップS101にてリフト近接Aスイッチ40が反応していないことをトリガーとして(ステップS101)、復帰動作を開始させる。本実施形態では、リフト近接Aスイッチ40を設けるだけで、積込装置6を確実に積込動作が開始可能な状態とできるので、積込装置6に設ける近接スイッチやセンサの数量を抑制でき、検知のための構成を簡略化できるメリットがある。
第2に、押込部材であるプッシュプレート25の位置に関する検出結果をトリガーとするものである。これは例えば、プッシュシリンダ27の伸長または収縮に応じて反応する近接スイッチ(プッシュ近接スイッチ42のようなもの)をプッシュシリンダ27の周囲に設けておき、図9(b)に示す状態よりもプッシュシリンダ27が伸びたことを検知することで実現できる。図9(b)に示す状態よりもプッシュシリンダ27が伸びた場合には、第二軸31の軸中心からプッシュプレート25の先端部25Xまでの距離D25a(図11(b)参照)が第二軸31の軸中心から底板17の前方部分17Bまでの距離(前方部分17Bの上面の曲率半径)D17a(同)以上になるからである。
第3に、リフトアーム24とプッシュプレート25とのなす角度に関する検出結果をトリガーとするものである。これは例えば、リフトアーム24にプッシュプレート25との位置関係により反応する近接スイッチを設けておき、図9(b)に示す状態よりもリフトアーム24とプッシュプレート25とのなす角度が大きくなったことを検知することで実現できる。図9(b)に示す状態よりも前記角度が大きい場合には、第二軸31の軸中心からプッシュプレート25の先端部25Xまでの距離D25a(図11(b)参照)が第二軸31の軸中心から底板17の前方部分17Bまでの距離(前方部分17Bの上面の曲率半径)D17a(同)以上になるからである。
第4に、プッシュプレート25と塵芥投入箱4との当接に関する検出結果をトリガーとするものである。これは例えば、リフトシリンダ26及びプッシュシリンダ27に、各シリンダの伸長または収縮を検知するストロークセンサを設けておくことで当接状態を検知できることから、このストロークセンサの設置により実現できる。ストロークセンサによって、リフト近接Aスイッチ40が反応しない場合、第二軸31の軸中心からプッシュプレート25の先端部25Xまでの距離D25a(図11(b)参照)が第二軸31の軸中心から底板17の前方部分17Bまでの距離(前方部分17Bの上面の曲率半径)D17a(同)以上になっていることが把握できるからである。
ここで、前記トリガーに関して整理しておく。まず、プッシュプレート25と塵芥投入箱4との当接に関する検出結果をトリガーとして、前記復帰工程(ステップS100)における復帰動作が開始される。この場合、前記第4のパターン、第6のパターン、第7のパターンとして例示した検知によることができる。
前記プッシュプレート25と塵芥投入箱4との当接を間接的に検知するものとして、リフトシリンダ26の長さ、及び、塵芥投入箱4に対するリフトアーム24の角度を検出して、前記検出結果として用いる。この場合、前記第1のパターン、第3のパターン、第5のパターンとして例示した検知によることができる。
同じく、前記プッシュプレート25と塵芥投入箱4との当接を間接的に検知するものとして、プッシュシリンダ27の長さ、及び、塵芥投入箱4に対するプッシュプレート25の角度を検出して、前記検出結果として用いる。この場合、前記第2のパターン、第3のパターン、第5のパターンとして例示した検知によることができる。
このように、積込装置6に関する所定の検出結果をトリガーとして利用することにより、積込装置6の状態に応じ、必要な場合に復帰動作及び開始準備動作を行うことができるので、無駄のない動作が可能である。また、トリガーが働かない(検知しない)場合は、プッシュプレート25が底板17の前方部分17Bに干渉するおそれがないので、即、プッシュシリンダ27を伸長させられる(ステップS108〜S110)。このため、積込装置6を迅速に基準姿勢Xとできる。
なお、前記復帰動作を開始させる復帰スイッチは、本実施形態では積込スイッチが兼ねている。復帰 (積込)スイッチの設置場所は、本実施形態では、図3に示すように、塵芥投入箱4における後部の枠壁8の下部(この部分に設けられた、各種スイッチのターミナルであるローディングスイッチ9中)であったが、この位置に限られず、塵芥投入口12の周辺部、より詳しくは、作業者が塵芥投入口12内の積込装置6を見ながら復帰(積込)スイッチを押せる位置にあればよい。言い換えると、復帰(積込)スイッチは、塵芥投入箱4の後方に作業者が立った場合、該作業者が前記塵芥投入口12を見た際の視界内の位置に設けられていればよい。このため例えば、塵芥投入箱4の後部の枠壁8における、作業者の手が届く範囲の左右側面、上面、下面、後面、または、塵芥投入箱4周りに配置されたリモコンに設けることができる。
また、復帰(積込)スイッチは、塵芥投入箱4の後面から車両前方に作業者が手を伸ばすことのできる距離以内にあればよい。これにより作業者は、塵芥投入箱4の後方から塵芥投入口12の内の積込装置6を見ながら復帰(積込)スイッチを押すことができる。
このように復帰スイッチの設置場所を設定することにより、作業者が塵芥投入口12の状況を見つつ、視線を転じることなく復帰スイッチの操作を行うことができるので、作業者が誤って積込装置6に巻き込まれる可能性を減少させ、安全に積込装置6の復帰動作を行うことができる。
また、本実施形態では積込ボタンが復帰スイッチのボタンを兼ねているが、例えば、積込ボタンから独立して復帰動作専用のスイッチとして設けてもよい。
本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではない。
また、底板17における後方部分17A及び前方部分17Bが一連の湾曲板であり、傾斜分岐点20が明瞭に現れない構成とすることもできる。
また、シリンダの伸長及び収縮と積込装置6の動作(リフトアーム24、プッシュプレート25等の動作)との関係は、上記実施形態通りのものに限定されず、種々に設定できる。
また、各シリンダの伸長または収縮は、上記実施形態では伸長または収縮のための作動油の流量で管理されていたがこれに限定されない。例えば伸長または収縮の経過時間で管理されることもできる。前記各ステップにおける設定時間の管理は、例えばタイマーにより管理されてもよい。その他、時間そのものではなく、リフトアーム24、プッシュプレート25、リフトシリンダ26、プッシュシリンダ27の位置または移動量を検出することにより管理されてもよい。
また、上記実施形態では、リフトアーム24の位置およびプッシュプレート25の後回動限界を検知するために近接スイッチが用いられているが、これに限定されず、センサ等が用いられてもよい。