JP7106841B2 - 静電荷像現像剤を用いた画像形成方法およびトナーセット - Google Patents
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Description
前記画像形成方法は、少なくとも、イエロー現像剤、マゼンタ現像剤及びシアン現像剤を有する3つ以上の現像剤を使用してなり、
前記各現像剤は、トナーを含有し、
前記各現像剤のトナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤と離型剤とをそれぞれ含有しており、
前記着色剤として、イエロートナーの着色剤がC.I.ピグメントイエロー155またはC.I.ピグメントイエロー180を含有しており、シアントナーの着色剤が銅フタロシアニン化合物を含有しており、
前記銅フタロシアニン化合物の1次粒子の個数平均の長短比が1.0以上3.0以下の範囲であることを特徴とする画像形成方法。
前記イエロートナーの着色剤の含有量(a)がイエロートナーの結着樹脂全量に対して5質量%以上20質量%以下の範囲であり、前記シアントナーの着色剤の含有量(b)がシアントナーの結着樹脂全量に対して3質量%以上10質量%以下の範囲であることを特徴とする上記1~4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
前記各トナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤と離型剤とをそれぞれ含有しており、
前記着色剤としてイエロートナーの着色剤がC.I.ピグメントイエロー155またはC.I.ピグメントイエロー180を含有しており、シアントナーの着色剤が銅フタロシアニン化合物を含有しており、
前記銅フタロシアニン化合物の1次粒子の個数平均の長短比が1.0以上3.0以下の範囲であることを特徴とするトナーセット。
前記画像形成方法は、少なくとも、イエロー現像剤、マゼンタ現像剤及びシアン現像剤を有する3つ以上の現像剤を使用してなり、
前記各現像剤は、トナーを含有し、
前記各現像剤のトナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤と離型剤とをそれぞれ含有しており、
前記着色剤として、イエロートナーの着色剤がC.I.ピグメントイエロー155またはC.I.ピグメントイエロー180を含有しており、シアントナーの着色剤が銅フタロシアニン化合物を含有しており、
前記銅フタロシアニン化合物の1次粒子の個数平均の長短比が1.0以上3.0以下の範囲であることを特徴とする画像形成方法である。
前記各トナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤と離型剤とをそれぞれ含有しており、
前記着色剤としてイエロートナーの着色剤がC.I.ピグメントイエロー155またはC.I.ピグメントイエロー180を含有しており、シアントナーの着色剤が銅フタロシアニン化合物を含有しており、
前記銅フタロシアニン化合物の1次粒子の個数平均の長短比が1.0以上3.0以下の範囲であることを特徴とするトナーセットである。
本発明に係る各現像剤(少なくともイエロートナーを含むイエロー現像剤、マゼンタトナーを含むマゼンタ現像剤及びシアントナーを含むシアン現像剤を有する3つ以上の現像剤)に含まれるトナー(イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーを有する3つ以上のトナー)は、結着樹脂と、各色に対応する着色剤と、離型剤と、をそれぞれ含む。本発明に係る「トナー」は、「トナー粒子」の集合体のことをいう。なお、「トナー粒子」には、当該粒子表面に、必要に応じて外添剤が付着(含有)したものを含む。
本発明に係るトナーを構成するトナー粒子は、結着樹脂と、各色に対応した着色剤と、離型剤(ワックス)と、を含有する。また、トナー粒子は、その他必要に応じて、荷電制御剤などの他のトナー構成成分を含有してもよい。以下、トナー粒子を構成する各成分について説明する。
本発明に係るトナーを構成する結着樹脂に関して以下に記載する。
結晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸成分)および/またはヒドロキシカルボン酸と、2価以上のアルコール(多価アルコール成分)との重縮合反応によって得られる公知のポリエステル樹脂のうち、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な融解ピークを有する樹脂をいう。明確な融解ピークとは、具体的には、上述の結晶性ポリエステル樹脂単独の示差走査熱量測定によって得られたDSC曲線において、二回目の昇温過程における融解ピークの半値幅が15℃以内であるピークのことを意味する。
結晶性ポリエステル樹脂の融点は、65℃以上85℃以下であることが好ましく、より好ましくは75℃以上85℃以下である。結晶性ポリエステル樹脂の融点が上記範囲であることにより、十分な低温定着性、転写性および優れた画像保存性が得られる。なお、結晶性ポリエステル樹脂の融点は、樹脂組成によって制御することができる。ここに、結晶性ポリエステル樹脂の融点は、上述の結晶性ポリエステル樹脂単独の示差走査熱量測定によって得られたDSC曲線において、二回目の昇温過程における融解ピークのピークトップ温度である。なお、当該DSC曲線において融解ピークが複数存在する場合は、一番吸熱量の大きい融解ピークのピークトップ温度を融点とする。
結晶性ポリエステル樹脂を形成するための多価カルボン酸成分とは、1分子中にカルボキシル基を2個以上含有する化合物である。具体的には、例えば、コハク酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの飽和脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸;およびこれらカルボン酸化合物の無水物、あるいは炭素数1~3のアルキルエステルなどが挙げられる。結晶性ポリエステル樹脂を形成するための多価カルボン酸成分としては、飽和脂肪族ジカルボン酸を用いることが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂を形成するための多価アルコール成分とは、1分子中にヒドロキシル基を2個以上含有する化合物である。具体的には、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-へキサンジオール、1,7-へプタンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブテンジオールなどの脂肪族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどの3価以上の多価アルコールなどが挙げられる。結晶性ポリエステル樹脂を形成するための多価アルコール成分としては、脂肪族ジオールを用いることが好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、上述の多価カルボン酸と多価アルコールとを触媒下で反応させる一般的なポリエステルの重合法を用いて製造することができ、例えば直接重縮合やエステル交換法を、単量体の種類によって使い分けて製造することが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂は、その酸価が5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが好ましく、より好ましくは10mgKOH/g以上25mgKOH/g以下、さらに好ましくは15mgKOH/g以上25mgKOH/g以下である。この酸価は、1gの試料に含まれる酸の中和に必要な水酸化カリウム(KOH)の質量をmg単位で表したものである。樹脂の酸価は、JIS K0070-1992に準じて測定される。
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に制限されないが、5,000以上100,000以下の範囲であることが好ましく、5,000以上50,000以下の範囲であることがより好ましい。上記重量平均分子量(Mw)が5,000以上であれば、トナーの耐熱保管性、耐光性、転写性等を向上させることができ、100,000以下であれば、低温定着性をより向上させることができる。同樹脂の数平均分子量(Mn)は、特に制限されないが、1,000以上25,000以下の範囲であることが好ましく、3,000以上20,000以下の範囲であることがより好ましい。かような範囲であれば、低温定着性、耐光性、転写性及び光沢安定性等の観点から好ましい。上記重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定することができる。具体的には、以下の方法により測定することができる。
GPCによる分子量測定は、以下のように行う。すなわち、装置「HLC-8320」(東ソー社製)およびカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM-M3連」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2ml/minで流す。測定試料(例えば、結晶性ポリエステル樹脂)を、室温において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で、濃度1mg/mlになるようにテトラヒドロフランに溶解させ、次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得る。この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒と共に装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、測定試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出する。検量線測定用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical社製の分子量が6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を測定し、検量線を作成する。
結着樹脂における結晶性ポリエステル樹脂の含有割合は、結着樹脂全量に対して、概ね0.3質量%以上35質量%以下の範囲程度であれば利用可能であるが、0.5質量%以上30質量%以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは5質量%以上20質量%以下の範囲であり、特に好ましくは5質量%以上10質量%以下の範囲である。結着樹脂における結晶性ポリエステル樹脂の含有割合が0.5質量%以上、好ましくは5質量%以上であることにより、十分な低温定着性を確実に得ることができる。また、結着樹脂における結晶性ポリエステル樹脂の含有割合が好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下であることにより、トナーの製造においてトナーに結晶性ポリエステル樹脂を確実に導入することができる。なお、結晶性ポリエステル樹脂の含有割合が上記範囲を外れても本発明の作用効果を奏するものであれば、本発明の技術範囲に含まれるものである。
また、結晶性ポリエステル樹脂としては、スチレンアクリル重合セグメントと結晶性ポリエステル重合セグメントとが結合してなるスチレンアクリル変性結晶性ポリエステル樹脂を用いてもよい。
結晶性ポリエステル重合セグメントの形成方法は、特に制限されない。当該重合セグメントの形成に用いられる多価カルボン酸および多価アルコールの具体的な種類は上記と同様であり、これらの単量体の重縮合条件は、下記の非晶性ポリエステル樹脂の製造時の(重縮合等の)条件と同様であるため、ここでは説明を省略する。
一方、スチレンアクリル変性結晶性ポリエステル樹脂を構成するスチレンアクリル重合セグメントは、少なくとも、スチレン単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体とを付加重合させて形成されるものである。用いられるスチレン単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体は、特に制限されないが、たとえば、下記のものから選択される1種または2種以上が用いられうる。
スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-フェニルスチレン、p-エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレンおよびこれらの誘導体など;
(2)(メタ)アクリル酸エステル単量体
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル(n-ブチル(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ステアリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルおよびこれらの誘導体などが用いられうる。
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなど;
(4)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなど;
(5)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなど;
(6)N-ビニル化合物類
N-ビニルカルバゾール、N-ビニルインドール、N-ビニルピロリドンなど;
(7)その他の単量体
ビニルナフタレン、ビニルピリジンなどのビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体などが用いられうる。
スチレンアクリル重合セグメントの形成方法は、特に制限されず、上記単量体の重合に通常用いられる過酸化物、過硫化物、過硫酸塩、アゾ化合物などの任意の重合開始剤を用い、塊状重合、溶液重合、乳化重合法、ミニエマルション法、分散重合法など公知の重合手法により重合を行う方法が挙げられる。
スチレンアクリル変性結晶性ポリエステル樹脂における結晶性ポリエステル重合セグメントの含有割合は、特に制限されないが、スチレンアクリル変性ポリエステル樹脂100質量%に対して、60質量%以上99質量%以下であることが好ましく、70質量%以上98質量%以下であることがより好ましい。
スチレンアクリル変性結晶性ポリエステル樹脂におけるスチレンアクリル重合セグメントの含有割合(以下、「スチレンアクリル変性量」ともいう。)は、特に制限されないが、スチレンアクリル変性結晶性ポリエステル樹脂100質量%に対して、1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、2質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
ここで、「両反応性単量体」とは、スチレンアクリル重合セグメントと結晶性ポリエステル重合セグメントとを結合する単量体で、結晶性ポリエステル重合セグメントを形成するヒドロキシ基、カルボキシ基、エポキシ基、第1級アミノ基および第2級アミノ基から選択される基と、スチレンアクリル重合セグメントを形成するエチレン性不飽和基と、の双方を分子内に有する単量体である。
スチレンアクリル変性結晶性ポリエステル樹脂の製造方法は、結晶性ポリエステル重合セグメントとスチレンアクリル重合セグメントとを化学結合させた構造の重合体を形成することが可能な方法であれば、特に制限されるものではない。スチレンアクリル変性結晶性ポリエステル樹脂の具体的な製造方法としては、たとえば、以下に示す方法が挙げられる。
(B)スチレンアクリル重合セグメントを予め重合しておき、当該スチレンアクリル重合セグメントに両反応性単量体を反応させ、さらに、結晶性ポリエステル重合セグメントを形成するための多価カルボン酸および多価アルコールを反応させることにより、結晶性ポリエステル重合セグメントを形成する方法;
(C)結晶性ポリエステル重合セグメントおよびスチレンアクリル重合セグメントをそれぞれ予め重合しておき、これらに両反応性単量体を反応させることにより、両者を結合させる方法。
本発明において、非晶性樹脂としては非晶性ポリエステル樹脂および非晶性ビニル樹脂が用いられることが好ましい。
非晶性樹脂とは、示差走査熱量測定(DSC)において、明確な吸熱ピークが認められないものをいう。つまり、通常は融点(示差走査熱量(DSC)測定装置を用いて測定されるDSC曲線において、明確な吸熱ピーク)を有さず、比較的高いガラス転移点(Tg)を有するものである。より具体的には、非晶性樹脂の示差走査熱量測定装置によるTgは、35℃以上70℃以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは50℃以上65℃以下の範囲である。非晶性樹脂のTgが35℃以上であることにより、トナーに十分な熱的強度を与えることができ、十分な耐熱保管性、耐光性、転写性等が得られる。また、非晶性樹脂のTgが70℃以下であることにより、十分な低温定着性が確実に得られる。
非晶性樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定される分子量は、数平均分子量(Mn)が1,500以上25,000以下の範囲であり、重量平均分子量(Mw)が10,000以上80,000以下の範囲であることが好ましい。非晶性樹脂の分子量が上記の範囲にあることにより、十分な低温定着性および優れた耐熱保管性、耐光性、転写性等が確実に両立して得られる。非晶性樹脂のGPCによる分子量測定は、測定試料として非晶性樹脂を用いたことの他は上記「樹脂のGPCによる分子量測定」の項で説明したのと同様にして行われるものである。
非晶性ポリエステル樹脂は、結晶性ポリエステル樹脂以外のポリエステル樹脂である。
非晶性ポリエステル樹脂の酸価は、5mgKOH/g以上45mgKOH/g以下の範囲であることが好ましく、更に好ましくは5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下の範囲である。酸価が45mgKOH/g以下であれば、吸湿性が高くなることもなく、高湿度下においても帯電性が低くなるのを防止することができ、転写性等にも優れる点で好ましい。また、5mgKOH/g以上であれば、樹脂粒子の分散安定性を保持することができ、トナー製造が行い易い点で好ましい。なお、酸価は、結晶性ポリエステル樹脂の説明にて記載の方法と同様にして求めることができる。
多価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、BPA-PO(ビスフェノールAのプロピレンオキサイドnモル付加物)、BPA-EO(ビスフェノールAのエチレンオキサイドnモル付加物)等のジオールを用いることができる。また、例えば、グリセリン、ソルビトール、1,4-ソルビタン、トリメチロールプロパン等の3価以上のアルコールを用いることができる。これらの中でも、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、BPA-POまたはBPA-EOであることが好ましく、BPA-POまたはBPA-EOであることがより好ましく、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物またはビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物であることがさらに好ましい。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、多価カルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族飽和ジカルボン酸;マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の脂肪族不飽和ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式多価カルボン酸;これらの塩、低級アルキルエステルおよび酸無水物等が挙げられる。これらの中でも、芳香族ジカルボン酸、これらの塩、低級アルキルエステルまたは酸無水物であることが好ましく、テレフタル酸、フタル酸、これらの塩、低級アルキルエステルまたは酸無水物であることがより好ましい。これら多価カルボン酸成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
非晶性ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限されないが、重合温度180℃以上260℃以下の範囲として、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分との重縮合反応により行い、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させることが好ましい。重合時間は、特に制限されないが、1時間以上10時間以下の範囲であることが好ましく、2時間以上6時間以下の範囲であることがより好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の含有量(d)は、結着樹脂全体の5質量%以上85質量%以下の範囲程度であれば利用可能であるが、好ましくは5質量%以上55質量%以下の範囲であり、より好ましくは5質量%以上30質量%以下の範囲であり、さらに好ましくは5質量%以上20質量%以下の範囲である。かような範囲であると得られるトナーが耐ブロッキング性、転写性、耐光性などに優れ、低温定着性も得ることができる。なお、非晶性ポリエステル樹脂の含有量(d)が上記範囲を外れても本発明の作用効果を奏するものであれば、本発明の技術範囲に含まれるものである。
非晶性ビニル樹脂としては、ビニル化合物を重合したものであれば特に制限されないが、例えば、アクリル酸エステル樹脂、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル樹脂、エチレン・酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
以下に、スチレンアクリル樹脂の形成が可能なスチレン単量体および(メタ)アクリル酸エステル単量体の具体例を示すが、本発明で使用される単量体は、下記に限定されるものではない。
非晶性ビニル樹脂(スチレンアクリル樹脂)の含有量(c)は、結着樹脂全体の40質量%以上95質量%以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは60質量%以上90質量%以下の範囲である。かような範囲であると得られるトナーが樹脂設計の自由度が高く、帯電制御が容易である。
〔イエロートナーに含有される着色剤(イエロー着色剤ともいう)〕
本発明のイエロートナー(Yトナーともいう)は、着色剤としてC.I.ピグメントイエロー155(本明細書中、PY155とも称する)あるいはC.I.ピグメントイエロー180(本明細書中、PY180とも称する)を含有する。また、本発明のイエロートナーは、着色剤としてC.I.ソルベントイエロー93、C.I.ソルベントイエロー163等の公知の顔料を本発明の作用効果を損なわない範囲内でさらに含有してもよい。低温定着性、耐光性(耐候性)および転写性の両立の観点から、上記イエロー着色剤のイエロートナー中の含有量(a)は、概ね3質量%以上25質量%以下の範囲であれば利用可能であるが、5質量%以上20質量%以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは6質量%以上17質量%以下の範囲であり、さらに好ましは7質量%以上13質量%以下の範囲である。イエロー着色剤のイエロートナー中の含有量(a)が、5質量%以上であれば、十分な着色力が得られ、低温定着性、耐光性(耐候性)および転写性の両立を図ることができ、20質量%以下であれば上記効果の中でも、とりわけ耐光性(耐候性)および転写性に優れる。
本発明のシアントナー(Cトナーともいう)は、着色剤として銅フタロシアニン化合物を含有するものであり、かつ前記銅フタロシアニン化合物(シアン着色剤)の1次粒子の個数平均の長短比が1.0以上3.0以下の範囲である。ここで、銅フタロシアニン化合物(シアン着色剤)としては、既存の銅フタロシアニン化合物を用いてもよいし、無置換の銅フタロシアニン化合物と置換のフタロシアニン化合物とを含有してなるものを用いてもよい。
本発明の銅フタロシアニン化合物(シアン着色剤)は、無置換の銅フタロシアニン化合物と置換のフタロシアニン化合物とを含有してなるものが好ましい。本発明における置換のフタロシアニン化合物は、置換のフタロシアニン骨格を有する化合物(単に、置換のフタロシアニン化合物とも称する)のことである。置換のフタロシアニン化合物が、(無置換の)銅フタロシアニン化合物の結晶構造を乱す部分となり、後記するソルベントミリングなどによる着色剤(銅フタロシアニン化合物)の1次粒子の作製時に1次粒径を小さくすることや粒径分布の制御が容易になり、着色力および色再現性等の制御がより容易に行えるため好ましい。また、置換のフタロシアニン化合物を含有することで、置換のフタロシアニン化合物の置換基(官能基)により結着樹脂側との相溶性が良くなり、結着樹脂中に取り込まれやすくなる(シアン顔料(着色剤)のトナー全体への分散性が良くなる)点でも優れている。
カルバモイル基、スルファモイル基、アミノメチル基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジブチルアミノメチル基、ピペリジノメチル基、ジメチルアミノプロピルアミノスルホニル基、ジエチルアミノプロピルアミノスルホニル基、ジブチルアミノプロピルアミノスルホニル基、モルホリノエチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノプロピルアミノカルボニル基、4-(ジエチルアミノプロピルアミノカルボニル)フェニルアミノカルボニル基、ジメチルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、ジエチルアミノプロピルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、ジブチルアミノプロピルアミノメチルカルボニルアミノメチル基などの塩基性の置換基;
スルホン酸基、ナトリウムスルホナト基、カルシウムスルホナト基、アルミニウムスルホナト基、ドデシルアンモニオスルホナト基、オクタデシルアンモニオスルホナト基、トリメチルオクタデシルアンモニオスルホナト基、ジメチルジデシルアンモニオスルホナト基、カルボン酸基などの酸性の置換基;等が挙げられる。
上記した前記Lで表される置換基の中でも、前記置換のフタロシアニン化合物が、中性あるいは塩基性の置換基(アミノ基等)により置換されていることが好ましい。かかる中性あるいは塩基性の置換基を有することにより、トナー中に結着樹脂として(結晶性ないし非晶性の)ポリエステル樹脂を含有する場合、ポリエステルの酸基およびエステル基との間に相互作用が生じ、帯電性の制御性も向上するため好ましい。
本発明に係るシアン着色剤である銅フタロシアニン化合物は、トナー中での1次粒子の個数平均の長短比が1.0以上3.0以下の範囲であることを特徴とするものである。前記長短比(アスペクト比)が1.0以上であることにより、1次粒径が小さくても、原料の着色剤粒子分散液中およびトナー中で分散した状態で存在することが可能になり、少ない着色剤の含有量で十分な着色力を得ることができ、高い彩度を持つトナーとなる。また前記長短比(アスペクト比)が3.0以下であることにより、色相角が過度にブルー側になることを抑制でき、所望の色域を確保できるトナーとすることができる。
上記個数平均の長短比の測定は、以下のように行われる。トナーをTHFに溶解し、遠心分離と上澄みの除去とを繰り返すことによりTHF可溶分を除去した後、不溶分をTHFに分散し、超音波分散させてから、電子顕微鏡で観察することで長短比(アスペクト比)を算出する。なお、トナーの結着樹脂のTHFの溶解性が悪く顕微鏡での観察が困難である場合や、(銅又は置換の)フタロシアニン化合物がTHFに溶解し上澄みが着色してしまう場合には、他の溶媒を用いることもできる。該長短比は、電子顕微鏡の画像を画像解析装置(ルーゼックス(登録商標)、株式会社ニレコ製)にて解析し、シアン着色剤(銅フタロシアニン化合物)の1次粒子を取り囲む長方形のうち面積が最小となるもの(外接矩形)の長辺と短辺の比から算出する。また、長辺の長さを1次粒子の長軸の長さとする。5つ以上の視野について無作為に抽出した合計500個以上の長短比(アスペクト比)の平均値を算出し、個数平均の長短比とする。同様に、5つ以上の視野について無作為に抽出した合計500個以上の長辺の長さの平均値を算出し、個数平均の長軸の長さとする。
上記個数平均の長軸の長さは、概ね5nm以上180nm以下の範囲であれば利用可能であるが、10nm以上150nm以下の範囲であることが好ましく、10nm以上120nm以下の範囲であることがより好ましく、10nm以上100nm以下の範囲であることが特に好ましい。長軸の長さが10nm以上であることにより、トナー作製時に着色剤粒子が凝集することをより確実に抑制でき、着色力も強くなり、耐光性も向上するため好ましい。また、長軸の長さが150nm以下であることにより、色相角が過度にブルー側になることを抑制でき、かつ着色剤粒子と結着樹脂との接触面積も大きくなることで、結晶性ポリエステル樹脂のドメイン構造の変化によると考えられる帯電性の制御も確実に行われるため好ましい。
本発明のマゼンタトナー等に用いられるマゼンタもしくはレッド用の着色剤としては、具体的には、有機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57;1、ピグメントレッド81;4、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、ピグメントレッド184、C.I.ピグメントレッド222、C.I.ピグメントレッド238、C.I.ピグメントレッド269等が挙げられる。染料としては、例えば、C.I.ソルベントレッド1、ソルベントレッド11、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントレッド52、C.I.ソルベントレッド58、C.I.ソルベントレッド68、C.I.ソルベントレッド111、C.I.ソルベントレッド122等が挙げられる。
尚本発明では、必要に応じて、ブラックトナーを含むブラック現像剤を用いてもよく、その場合には、着色剤として、ブラックトナーに用いられる着色剤(ブラック着色剤)が用いられる。
本発明では、各色の着色剤(粒子)の大きさとしては、特に制限されないが、体積基準のメジアン径が、10nm以上1000nm以下の範囲であると好ましく、50nm以上500nm以下の範囲であるとより好ましく、80nm以上300nm以下の範囲であると特に好ましい。かような範囲であると高い色再現性を得ることができるほか、高画質に必要な小径トナーの形成に適している点で好ましい。なお、着色剤(粒子)の体積基準のメジアン径は、例えば、マイクロトラック(登録商標、以下同じ)粒度分布測定装置「UPA-150」(日機装株式会社製)を用いて測定することができる。
本発明のトナー(静電荷像現像用トナー)は、離型剤を含有する。離型剤としては、公知の種々のワックスを用いることができる。
本発明で用いられる各色のトナーは、必要に応じて他の内添剤を含んでもよい。かような内添剤としては、荷電制御剤が挙げられる。荷電制御剤の例としては、例えば、サリチル酸誘導体の亜鉛やアルミニウムによる金属錯体(サリチル酸金属錯体)、カリックスアレーン化合物、有機ホウ素化合物、および含フッ素4級アンモニウム塩化合物などを挙げることができる。
本発明に係るトナーは、帯電性能や流動性、またはクリーニング性を向上させる観点から、トナー粒子表面に公知の無機粒子や有機粒子などの粒子、滑剤等を外添剤として含有(付着)することが好ましい。
本発明のトナー(トナー粒子)においては、いわゆる単層構造を有するものであってもよいし、コア-シェル構造(コア粒子の表面にシェル層を形成する樹脂を凝集、融着させた形態)を有するものであってもよい。なかでも、結着樹脂(具体的には結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ビニル樹脂など)および着色剤を含有するガラス転移温度が比較的低いコア粒子(樹脂粒子)と、該コア粒子の表面に被覆される比較的高いガラス転移温度を有するシェル層(樹脂領域)とを含むコア-シェル構造を有することが好ましい。なお、コア-シェル構造は、シェル層がコア粒子を完全に被覆するものに限られず、一部コア粒子表面が露出されていてもよい。トナーがコア-シェル構造であることにより、帯電安定性や耐熱保管性を得ることができる。シェル層を構成する樹脂としては、特に限定されないが、非晶性ポリエステル樹脂や非晶性ビニル樹脂などを用いることが好ましい。
本発明のトナーにおいては、このトナーを構成する個々のトナー粒子について、平均粒径が、例えば体積基準のメジアン径で3μm以上8μm以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは5μm以上8μm以下の範囲である。この平均粒径は、例えば後述する乳化凝集法を採用して製造する場合には、使用する凝集剤の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、重合体の組成などによって制御することができる。体積基準のメジアン径が上記の範囲にあることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドットなどの画質が向上する。
本発明のトナーにおいては、このトナーを構成する個々のトナー粒子について、帯電特性の安定性、低温定着性の観点から、平均円形度が0.930以上0.980以下の範囲であることが好ましく、0.950以上0.970以下の範囲であることがより好ましい。平均円形度が上記の範囲であることにより、個々のトナー粒子が破砕しにくくなって摩擦帯電付与部材の汚染が抑制されてトナーの帯電性が安定し、また、形成される画像において画質が高いものとなる。但し、本発明ではトナーの平均円形度が上記範囲を外れても本発明の作用効果を奏するものであれば、本発明の技術範囲に含まれるものである。
本発明において、トナーの平均円形度は、「FPIA-3000」(Sysmex社製)を用いて測定されるものである。
本発明に係るトナーは、以下の手順を含む製造方法によって製造することができる。ただし、ここでは一例を開示することに過ぎず、本発明は、以下の製造方法の例に制限されることがない。
乳化凝集法は、結着樹脂を構成する樹脂粒子の水性分散液を必要に応じてその他のトナー構成成分の粒子の水性分散液と混合し、pH調整による粒子表面の反発力と電解質体よりなる凝集剤の添加による凝集力とのバランスを取りながら緩慢に凝集させ、平均粒径および粒度分布を制御しながら会合を行うと同時に、加熱撹拌することで微粒子間の融着を行って形状制御を行うことにより、トナーを製造する方法である。
(1)着色剤を水系媒体中に分散させ、着色剤粒子分散液を調製する着色剤粒子分散液調製工程;
(2)結晶性ポリエステル樹脂を水系媒体中に分散させ、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を調製する結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液調製工程;
(3)必要に応じて離型剤および荷電制御剤などのトナー構成成分が含有された非晶性樹脂(非晶性ポリエステル樹脂、非晶性ビニル樹脂)を水系媒体中に分散させ、非晶性樹脂粒子分散液(非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液、非晶性ビニル樹脂粒子分散液)を調製する非晶性樹脂粒子分散液調製工程;
(4)上記(1)~(3)で得られた各分散液を用いて、非晶性樹脂粒子、結晶性ポリエステル樹脂粒子および着色剤粒子を、水系媒体中で凝集、融着させて凝集粒子を形成する凝集、融着工程;
(5)凝集粒子を熱エネルギーにより熟成して形状調整を行い、トナー粒子分散液を作製する熟成工程;
(6)トナー粒子分散液を冷却する冷却工程;
(7)冷却したトナー粒子分散液より当該トナー粒子を固液分離し、トナー粒子表面より界面活性剤などを除去する濾過、洗浄工程;
(8)洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程;
(9)乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する外添処理工程;
から構成される。
着色剤粒子分散液は、着色剤を水系媒体中に分散することにより調製することができる。着色剤の分散処理は、着色剤が均一に分散されることから、水系媒体中において界面活性剤濃度を臨界ミセル濃度(CMC)以上にした状態で行われることが好ましい。着色剤の分散処理に使用する分散機としては、公知の種々の分散機を用いることができる。
界面活性剤としては、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤などが挙げられ、また、フルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤やカチオン性界面活性剤も使用することができる。
結晶性ポリエステル樹脂を水系媒体中に分散させる方法としては、結晶性ポリエステル樹脂を界面活性剤が添加された水系媒体中に超音波分散法やビーズミル分散法などにより分散させる水系直接分散法、結晶性ポリエステル樹脂を溶剤中に溶解させ、これを水系媒体中に分散させて乳化粒子(油滴)を形成した後、溶剤を除去する溶解乳化脱溶法、転相乳化法などが挙げられる。
非晶性樹脂が非晶性ポリエステル樹脂である場合は、合成した非晶性ポリエステル樹脂を水系媒体中に分散させることによって、非晶性ポリエステル樹脂粒子分散液を調製することができる。非晶性ポリエステル樹脂を水系媒体中に分散させる方法としては、上述の結晶性ポリエステル樹脂を水系媒体中に分散させる方法と同様の方法を用いることができる。
使用される重合開始剤としては、公知の種々の重合開始剤を使用することができる。具体的には、例えば過酸化水素、過酸化アセチル、過酸化クミル、過酸化-tert-ブチル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル、過酸化クロロベンゾイル、過酸化ジクロロベンゾイル、過酸化ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1-フェニル-2-メチルプロピル-1-ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸-tert-ヒドロペルオキシド、過ギ酸-tert-ブチル、過酢酸-tert-ブチル、過安息香酸-tert-ブチル、過フェニル酢酸-tert-ブチル、過メトキシ酢酸-tert-ブチル、過N-(3-トルイル)パルミチン酸-tert-ブチルなどの過酸化物類;2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)塩酸塩、2,2’-アゾビス-(2-アミジノプロパン)硝酸塩、1,1’-アゾビス(1-メチルブチロニトリル-3-スルホン酸ナトリウム)、4,4’-アゾビス-4-シアノ吉草酸、ポリ(テトラエチレングリコール-2,2’-アゾビスイソブチレート)などのアゾ化合物などが挙げられる。これらの中でも、水溶性重合開始剤、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)塩酸塩、2,2’-アゾビス-(2-アミジノプロパン)硝酸塩、1,1’-アゾビス(1-メチルブチロニトリル-3-スルホン酸ナトリウム)、4,4’-アゾビス-4-シアノ吉草酸を好ましく用いることができる。また、重合開始剤としては、過硫酸塩とメタ重亜硫酸塩、過酸化水素とアスコルビン酸のようなレドックス重合開始剤を用いることもできる。
非晶性樹脂(特には非晶性ビニル樹脂)粒子分散液調製工程においては、非晶性樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えばアルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
この工程は、上記の工程で形成した分散液に含まれる着色剤粒子、非晶性樹脂粒子および結晶性ポリエステル樹脂粒子を、水系媒体中で凝集、融着させるものである。この工程では、水系媒体中に非晶性樹脂粒子分散液、結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液および着色剤粒子分散液を添加して、これらの粒子を凝集、融着させる。
使用する凝集剤としては、特に限定されるものではないが、金属塩から選択されるものが好適に使用される。金属塩としては、例えばナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の塩などの一価の金属塩;カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅などの二価の金属塩;鉄、アルミニウムなどの三価の金属塩などが挙げられる。具体的な金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガンなどを挙げることができ、これらの中で、少量で凝集を進めることが可能であり、凝集性の制御も容易であることから、二価の金属塩を用いることが特に好ましい。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
この工程は、具体的には、凝集粒子を含む系を加熱撹拌することにより、凝集粒子の形状が所望の平均円形度になるまで、加熱温度、撹拌速度、加熱時間を制御して、トナー粒子を形成する工程である。この工程においては、熱エネルギー(加熱)によりトナー粒子の形状制御を行うことが好ましい。
冷却工程、濾過、洗浄工程および乾燥工程は、公知の種々の方法を採用して行うことができる。
この外添処理工程は、乾燥処理したトナー粒子に、外添剤を添加、混合する工程である。
本発明のトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
キャリアとしては、例えば鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、これらの中ではフェライト粒子を用いることが好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる樹脂分散型キャリアなどを用いてもよい。
本発明に係る画像形成装置としては、帯電工程と、静電荷像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程と、を有する画像形成方法に適用し得る装置であればよい。詳しくは前記した各工程を行うための各手段を有する装置であればよく、例えば、静電荷像担持体である電子写真感光体と、トナーと同極性のコロナ放電によって当該電子写真感光体の表面に一様な電位を与える帯電手段と、一様に帯電された電子写真感光体の表面上に画像データに基づいて像露光を行うことにより静電荷像を形成させる露光手段(静電荷像形成手段)と、トナーを電子写真感光体の表面に搬送して前記静電荷像を顕像化してトナー像を形成する現像手段と、当該トナー像を必要に応じて中間転写体を介して転写材に転写する転写手段と、転写材上のトナー像を加熱定着させる定着手段を有するものを用いることができる。
本発明の画像形成方法は、帯電工程と、静電荷像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程と、を有する画像形成方法である。詳しくは、トナーと同極性のコロナ放電によって静電荷像担持体である電子写真感光体の表面に一様な電位を与える帯電工程と、
一様に帯電された電子写真感光体の表面上に画像データに基づいて像露光を行うことにより静電荷像を形成させる静電荷像形成工程と、
トナーを電子写真感光体の表面に搬送して前記静電荷像を顕像化してトナー像を形成する現像工程と、
前記電子写真感光体の表面に担持されたトナー像を必要に応じて中間転写体を介して転写材に転写する転写工程と、
転写材上のトナー像を加熱定着させる定着工程と、
を有するものである。これにより、少なくとも、イエロー現像剤、マゼンタ現像剤及びシアン現像剤を有する3つ以上の現像剤を使用して、転写材(記録媒体の表面)上に、上記現像剤のイエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーを含有するトナーセットを用いて画像形成層(定着したトナー像)を形成することができるものである。また、このようなトナーセットを用いることで、良好な低温定着性を維持しつつ、カラー画像(特に2次色のGreen)形成の転写時において、複数色の画像(特に2次色のGreen)の転写性に優れ、良好な色再現性および耐光性(特にイエローの耐光性)を有するカラー画像が得られる。
転写材である記録媒体は、一般に用いられているものでよく、例えば、画像形成装置等による公知の画像形成方法により形成したトナー像を保持するものであれば特に限定されるものではない。使用可能な画像支持体として用いられるものには、例えば、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙、あるいは、コート紙等の塗工された印刷用紙、市販の和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布、いわゆる軟包装に用いられる各種樹脂材料、あるいはそれをフィルム状に成形した樹脂フィルム、ラベル等が挙げられる。
また、本発明の第二実施形態は、イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーを含有するトナーセットであって、
前記各トナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤と離型剤とをそれぞれ含有しており、
前記着色剤としてイエロートナーの着色剤がC.I.ピグメントイエロー155またはC.I.ピグメントイエロー180を含有しており、シアントナーの着色剤が銅フタロシアニン化合物を含有しており、
前記銅フタロシアニン化合物の1次粒子の個数平均の長短比が1.0以上3.0以下の範囲であることを特徴とするトナーセットである。このようなカラートナーセットを用いることで、イエロー着色剤としてPY155あるいはPY180を含有するイエロートナーにおいてシアントナーとの2次色であるGreenの色域を確保することができ、色再現性に優れる。さらに、良好な低温定着性を維持しつつ、カラー画像(特に2次色のGreen)形成の転写時において、複数色の画像(特に2次色のGreen)の転写性に優れ、良好な色再現性および耐光性(特にイエローの耐光性)を有するカラー画像が得られる。
[スチレンアクリル樹脂粒子分散液1の調製]
(1)第1段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8質量部およびイオン交換水3000質量部を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、当該反応容器の内温を80℃に昇温させた。昇温後、得られた混合液に過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた水溶液を添加し、得られた混合液の温度を再度80℃とした。当該混合液に、下記組成からなる単量体混合液1を1時間かけて滴下後、80℃にて前記混合液(単量体混合液1を含む)を2時間加熱、撹拌することにより重合を行い、スチレンアクリル樹脂粒子分散液a1を調製した。
スチレン 480質量部
n-ブチルアクリレート 250質量部
メタクリル酸 68質量部。
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、当該溶液を80℃に加熱後、80質量部のスチレンアクリル樹脂粒子分散液a1(固形分換算)と、下記組成からなる単量体および離型剤を90℃にて溶解させた単量体混合液2とを添加し、循環経路を有する機械式分散機「CLEARMIX」(エム・テクニック株式会社製、「CLEARMIX」は同社の登録商標)により、1時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。下記ベヘン酸ベヘニルは、離型剤であり、その融点は73℃である。
スチレン 285質量部
n-ブチルアクリレート 95質量部
メタクリル酸 20質量部
n-オクチル-3-メルカプトプロピオネート 8質量部
ベヘン酸ベヘニル 190質量部。
さらに、スチレンアクリル樹脂粒子分散液a2にイオン交換水400質量部を添加し、十分に混合した後、得られた分散液に、過硫酸カリウム11質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下で、下記組成からなる単量体混合液3を1時間かけて滴下した。滴下終了後、前記分散液(単量体混合液3を含む)を2時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し、離型剤を含むスチレンアクリル樹脂粒子分散液1(固形分濃度18質量%)を調製した。
スチレン 307質量部
n-ブチルアクリレート 147質量部
メタクリル酸 52質量部
n-オクチル-3-メルカプトプロピオネート 8質量部。
ドデカン二酸281質量部および1,4-ブタンジオール107質量部を、撹拌器、温度計、冷却管および窒素ガス導入管を備えた反応容器に入れた。反応容器中を乾燥窒素ガスで置換した後、Ti(O-n-Bu)4を0.1質量部添加し、得られた混合液を窒素ガス気流下、約180℃で8時間撹拌し、反応を行った。さらに、当該混合液にTi(O-n-Bu)4を0.2質量部添加し、当該混合液の温度を約220℃に上げ6時間、当該混合液を撹拌した後、上述の測定方法により算出される酸価が20mgKOH/gになるまで反応を行った。その後、反応容器内の圧力を1333.2Paまで減圧し、減圧下で反応を行い、結晶性ポリエステル樹脂1を得た。結晶性ポリエステル樹脂1の酸価は20mgKOH/gであり、数平均分子量(Mn)は5,500であり、重量平均分子量(Mw)は18,000であり、融点(Tm)は72℃であった。
上記合成で得られた結晶性ポリエステル樹脂1を30質量部溶融させた状態で、乳化分散機「キャビトロンCD1010」(株式会社ユーロテック製)へ毎分100質量部の移送速度で移送した。
撹拌装置、窒素導入管、温度センサーおよび精留塔を備えた反応容器に、下記の成分1を下記の量で仕込んで、撹拌混合により混合物を得た。「BPA-PO」は、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンプロピレンオキサイド2モル付加物を表し、「BPO-EO」は、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンエチレンオキサイド2モル付加物を表す。また、フマル酸およびテレフタル酸は、多価カルボン酸成分に該当し、BPA-POおよびBPO-EOは、多価アルコール成分に該当する。
フマル酸(FA) 1.8質量部
テレフタル酸(TA) 29.2質量部
BPA-PO 58.2質量部
BPO-EO 6.7質量部。
撹拌動力を与えるアンカー翼を備える反応容器に、メチルエチルケトン240質量部およびイソプロピルアルコール(IPA)60質量部を添加し、窒素を反応容器内に送って反応容器内の空気を窒素に置換した。次いで、反応容器内の混合液をオイルバス装置により60℃に加熱しながら、300質量部の非晶性ポリエステル樹脂1を当該混合液にゆっくりと添加し、撹拌しながら溶解させた。次いで、得られた混合液に20質量部の10質量%アンモニア水を添加したのち、得られた混合液に撹拌しながら定量ポンプを用いて脱イオン水1500質量部を投入した。得られた混合液が乳白色を呈し、かつ、撹拌粘度が低下することにより、乳化が行われたことを確認した。
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解し、この溶液を撹拌しながら、420質量部のC.I.ピグメントイエロー155(PY155着色剤粒子ともいう)を徐々に添加した。
PY155着色剤粒子分散液の調製において、C.I.ピグメントイエロー155の代わりにC.I.ピグメントイエロー180(PY180着色剤粒子ともいう)を用いたこと以外は同様にして調製した。PY180着色剤粒子分散液における着色剤粒子の体積基準のメジアン径(d50)を、マイクロトラック粒度分布測定装置「UPA-150」(日機装株式会社製)を用いて測定したところ、180nmであった。
PY155着色剤粒子分散液の調製において、C.I.ピグメントイエロー155の代わりにC.I.ピグメントイエロー74(PY74着色剤粒子ともいう)を用いたこと以外は同様にして調製した。PY74着色剤粒子分散液における着色剤粒子の体積基準のメジアン径(d50)を、マイクロトラック粒度分布測定装置「UPA-150」(日機装株式会社製)を用いて測定したところ、180nmであった。
β型銅フタロシアニンブルークルード(1次粒子の平均粒径2.5μm;着色剤)95質量部、粉砕した塩化ナトリウム1000質量部、ジエチレングリコール1000質量部、および置換のフタロシアニン化合物として中性の置換基を有する銅フタロシアニンフタルイミドメチル誘導体5質量部を双腕型ニーダーに仕込み、85℃で12時間混練した。混練後、80℃の1質量%塩酸水溶液10000質量部に取り出し、1時間撹拌後、濾過、湯洗、乾燥、粉砕し、銅フタロシアニン化合物1を得た。得られた銅フタロシアニン化合物1の1次粒子の個数平均の長短比は1.5、個数平均の長軸の長さは100nmであった。
混練時間を17時間に変更した以外は銅フタロシアニン化合物1の調製と同様に行って銅フタロシアニン化合物2を得た。得られた銅フタロシアニン化合物2の1次粒子の個数平均の長短比は1.0、個数平均の長軸の長さは50nmであった。
混練時間を7時間に変更した以外は銅フタロシアニン化合物1の調製と同様に行って銅フタロシアニン化合物3を得た。得られた銅フタロシアニン化合物3の1次粒子の個数平均の長短比は3.0、個数平均長軸の長さは130nmであった。
中性の置換基を有する銅フタロシアニンフタルイミドメチル誘導体の代わりに塩基性の置換基を有する銅フタロシアニンN-(ジメチルアミノプロピル)スルホン酸アミド誘導体を用いた以外は銅フタロシアニン化合物1の調製と同様に行って銅フタロシアニン化合物4を得た。得られた銅フタロシアニン化合物4の1次粒子の個数平均の長短比は1.5、個数平均の長軸の長さは100nmであった。
中性の置換基を有する銅フタロシアニンフタルイミドメチル誘導体の部数を5.7質量部に変更し、85℃で5時間混練した以外は銅フタロシアニン化合物1の調製と同様に行って銅フタロシアニン化合物5を得た。得られた銅フタロシアニン化合物5の1次粒子の個数平均の長短比は1.5、個数平均の長軸の長さは160nmであった。
置換のフタロシアニン化合物(中性の置換基を有する銅フタロシアニンフタルイミドメチル誘導体)を用いなかった以外は銅フタロシアニン化合物1の調製と同様に行って銅フタロシアニン化合物6を得た。得られた銅フタロシアニン化合物6の1次粒子の個数平均の長短比は1.5、個数平均の長軸の長さは100nmであった。
混練時間を70時間に変更した以外は銅フタロシアニン化合物1の調製と同様に行って銅フタロシアニン化合物7を得た。得られた銅フタロシアニン化合物7の1次粒子の個数平均の長短比は1.5、個数平均の長軸の長さは9nmであった。
置換のフタロシアニン化合物を酸性の置換基を有する銅フタロシアニンスルホン酸誘導体に変更し、その部数を5.7質量部に変更した以外は銅フタロシアニン化合物1の調製と同様に行って銅フタロシアニン化合物8を得た。得られた銅フタロシアニン化合物8の1次粒子の個数平均の長短比は1.5、個数平均の長軸の長さは100nmであった。
混練温度を75℃とし、混練時間を6時間に変更した以外は銅フタロシアニン化合物1の調製と同様に行って銅フタロシアニン化合物9を得た。得られた銅フタロシアニン化合物9の1次粒子の個数平均の長短比は4.0、個数平均の長軸の長さは150nmであった。
β型銅フタロシアニンブルークルードの代わりにβ型亜鉛フタロシアニンブルークルード(1次粒子の平均粒径2.2μm;着色剤)に変更した以外は銅フタロシアニン化合物1の調製と同様にして、亜鉛フタロシアニン化合物1を得た。得られた亜鉛フタロシアニン化合物1の1次粒子の個数平均の長短比は1.5、個数平均の長軸の長さは100nmであった。
n-ドデシル硫酸ナトリウム13質量部をイオン交換水77質量部に投入し、溶解・撹拌して界面活性剤水溶液を調製した。この界面活性剤水溶液中に、シアントナーの着色剤として銅フタロシアニン化合物1 10質量部を徐々に添加した。添加完了後、ジルコニアビーズ(φ0.3mm)を充填率75%に設定した「SCミル」(日本コークス工業株式会社製)により分散処理を行って、シアン着色剤粒子の水系分散液1を調製した。
シアン着色剤粒子の水系分散液1の調製時の銅フタロシアニン化合物1を銅フタロシアニン化合物2に変更した以外は同様に処理を行い、シアン着色剤粒子の水系分散液2を調製した。
シアン着色剤粒子の水系分散液1の調製時の銅フタロシアニン化合物1を銅フタロシアニン化合物3に変更した以外は同様に処理を行い、シアン着色剤粒子の水系分散液3を調製した。
シアン着色剤粒子の水系分散液1の調製時の銅フタロシアニン化合物1を銅フタロシアニン化合物4に変更した以外は同様に処理を行い、シアン着色剤粒子の水系分散液4を調製した。
シアン着色剤粒子の水系分散液1の調製時の銅フタロシアニン化合物1を銅フタロシアニン化合物5に変更した以外は同様に処理を行い、シアン着色剤粒子の水系分散液5を調製した。
シアン着色剤粒子の水系分散液1の調製時の銅フタロシアニン化合物1を銅フタロシアニン化合物6に変更した以外は同様に処理を行い、シアン着色剤粒子の水系分散液6を調製した。
シアン着色剤粒子の水系分散液1の調製時の銅フタロシアニン化合物1を銅フタロシアニン化合物7に変更した以外は同様に処理を行い、シアン着色剤粒子の水系分散液7を調製した。
シアン着色剤粒子の水系分散液1の調製時の銅フタロシアニン化合物1を銅フタロシアニン化合物8に変更した以外は同様に処理を行い、シアン着色剤粒子の水系分散液8を調製した。
シアン着色剤粒子の水系分散液1の調製時の銅フタロシアニン化合物1を銅フタロシアニン化合物9に変更した以外は同様に処理を行い、シアン着色剤粒子の水系分散液9を調製した。
シアン着色剤粒子の水系分散液1の調製時の銅フタロシアニン化合物1を亜鉛フタロシアニン化合物1に変更した以外は同様に処理を行い、シアン着色剤粒子の水系分散液10を調製した。
n-ドデシル硫酸ナトリウム13質量部をイオン交換水77質量部に投入し、溶解・撹拌して界面活性剤水溶液を調製した。この界面活性剤水溶液中に、マゼンタトナーの着色剤として、C.I.ピグメントレッド122およびC.I.ピグメントレッド269(PR122着色剤粒子およびPR269着色剤粒子ともいう) 各5質量部を徐々に添加した。添加完了後、ジルコニアビーズ(φ0.3mm)を充填率75%に設定した「SCミル」(日本コークス工業株式会社製)により分散処理を行って、マゼンタ着色剤粒子の水系分散液1を調製した。
撹拌装置、温度センサーおよび冷却管を取り付けた反応容器に、480質量部のスチレンアクリル樹脂粒子分散液1(固形分換算)およびイオン交換水300質量部を投入した後、5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を更に添加して当該反応容器中の分散液のpHを10(測定温度25℃)に調整した。
PY155着色剤粒子分散液(固形分換算)投入に代えてマゼンタ着色剤粒子の水系分散液1(固形分換算で、PR122着色剤粒子とPR269着色剤粒子の各部数)を表1記載の部数投入することに変更した以外はトナーY1および2成分現像剤Y1と同様にして、トナーM1および2成分現像剤M1を製造した。
PY155着色剤粒子分散液(固形分換算)投入に代えてシアン着色剤粒子の水系分散液1を表1記載の部数投入することに変更した以外はトナーY1および2成分現像剤Y1と同様にして、トナーC1および2成分現像剤C1を製造した。
実施例2~27および比較例1~3の各トナー(YMC)及び各現像剤(YMC)については、実施例の表1記載の顔料種および部数、樹脂構成で実施例1と同様の処理で製造した。
〔色再現性;Green(2次色):ΔEab〕
市販のフルカラー高速複合機「bizhub PRO(登録商標) C8000(コニカミノルタ株式会社製)」を、620mm/sec(約130枚/分)に設定できるように改造した装置を用い、温度20℃、相対湿度50%RHの環境下において、紙上のトナーの付着量が、イエロートナー4.0g、シアントナー4.0gになった時のGreen画像(縦2cm×横2cmのサイズのベタ画像パッチ)を定着し色域を評価した。なお、評価に用いた転写紙は「PODグロスコート紙128g/m2(王子製紙株式会社製)」を用いた。また定着温度は下記に説明する「低温定着性」での評価結果で出た最低温度から+10℃での温度で定着した。
◎:中心からの色差0.5以内(ターゲットの中心域) :ΔEab≦0.5
〇:中心からの色差0.5超4.5以内 :0.5<ΔEab≦4.5
△:中心からの色差4.5超5未満(ターゲットの境界域):4.5<ΔEab<5
×:中心からの色差5以上(ターゲット外) :5≦ΔEab。
上記〔色再現性;Green(2次色):ΔEab〕の評価に用いた複写機「bizhub PRO(登録商標) C8000」(コニカミノルタ株式会社製)の改造機において、イエロートナー4.0g、シアントナー4.0gになるよう単色の紙上(CF80ペーパー(コニカミノルタ社製))付着量を設定した。次にその設定した付着量でGreenの2次色パッチ(2cm×5cm)を出力する際に2次転写直前に装置を停止させ、ベルト状にあるトナーを透明な粘着テープ(株式会社キハラ製、商品名:アメニティ Bコード(Tタイプ))で剥がし取り、トナー重量(A)を測定した。次に2次転写直後に装置を停止させ、2次転写せず中間転写ベルト上に残ったトナーの重量(B)を同様に測定し、下記式より転写率を求めて評価を行った。
○:転写率が90%以上95%未満
△:転写率が85%以上90%未満
×:転写率が85%未満。
低温定着性の評価は、上記〔色再現性;Green(2次色):ΔEab〕の評価に用いた複写機「bizhub PRO(登録商標) C8000」(コニカミノルタ株式会社製)の改造機を、通紙時の定着ニップ直後の加熱ベルトの温度を測定可能とし、かつ用紙の坪量に関わらず定着の線速を調整可能となるようにさらに改造した改造機を用いて行った。常温常湿(温度20℃、相対湿度50%RH)の環境下において、通紙速度620mm/secの速度で「PODグロスコート紙128g/m2(王子製紙株式会社製)」を縦送りで搬送し、当該紙上に搬送方向に対して垂直方向に10mm幅のベタ帯状画像を有するA4画像を100枚連続プリントして定着させる定着実験を、定着温度を100℃、105℃・・・と5℃刻みで210℃まで増加させるよう設定して行った。
◎:最低定着温度135℃未満
○:最低定着温度135℃以上150℃未満
△:最低定着温度150℃以上155℃未満
×:最低定着温度155℃以上。
上記〔色再現性;Green(2次色):ΔEab〕の評価と同様な条件でイエロートナーの反射濃度が1.0になるように画像パッチを作製した。そのパッチを「キセノンウェザーメーターXL75」(スガ試験機株式会社製)を使用し、キセノンランプ7万ルクスの照射条件にて240時間照射を行い、照射前後での画像の波長領域380~730nmにおける最大吸収波長における吸光度の変化率(%)(照射後濃度/照射前濃度×100)を求めた。なお、吸光度の測定は分光光度計「Gretag Macbeth Spectrolino」(Gretag Macbeth社製)を用いて行った。
◎:耐光性(吸光度の変化率)が95%以上
○:耐光性(吸光度の変化率)が90%以上95%未満
△:耐光性(吸光度の変化率)が85%以上90%未満
×:耐光性(吸光度の変化率)が85%未満。
Claims (13)
- 帯電工程と、静電荷像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程と、を有する画像形成方法であって、
前記画像形成方法は、少なくとも、イエロー現像剤、マゼンタ現像剤及びシアン現像剤を有する3つ以上の現像剤を使用してなり、
前記各現像剤は、トナーを含有し、
前記各現像剤のトナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤と離型剤とをそれぞれ含有しており、
前記着色剤として、イエロートナーの着色剤がC.I.ピグメントイエロー155またはC.I.ピグメントイエロー180を含有しており、シアントナーの着色剤が銅フタロシアニン化合物を含有しており、
前記銅フタロシアニン化合物は、無置換の銅フタロシアニン化合物と置換のフタロシアニン化合物とを含有してなり、
前記置換のフタロシアニン化合物が、置換基を有していても良いフタルイミドメチル基からなる群から選択される中性の置換基;またはカルバモイル基、スルファモイル基、アミノメチル基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジブチルアミノメチル基、ピペリジノメチル基、ジメチルアミノプロピルアミノスルホニル基、ジエチルアミノプロピルアミノスルホニル基、ジブチルアミノプロピルアミノスルホニル基、モルホリノエチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノプロピルアミノカルボニル基、4-(ジエチルアミノプロピルアミノカルボニル)フェニルアミノカルボニル基、ジメチルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、ジエチルアミノプロピルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、ジブチルアミノプロピルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、およびN-(ジメチルアミノプロピル)スルホン酸アミド基からなる群から選択される塩基性の置換基を有し、
前記銅フタロシアニン化合物の1次粒子の個数平均の長短比が1.0以上3.0以下の範囲であり、前記銅フタロシアニン化合物の1次粒子の個数平均の長軸の長さが100nm以上150nm以下の範囲であることを特徴とする画像形成方法。 - 帯電工程と、静電荷像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程と、を有する画像形成方法であって、
前記画像形成方法は、少なくとも、イエロー現像剤、マゼンタ現像剤及びシアン現像剤
を有する3つ以上の現像剤を使用してなり、
前記各現像剤は、トナーを含有し、
前記各現像剤のトナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤と離型剤とをそれぞれ含有しており、
前記着色剤として、イエロートナーの着色剤がC.I.ピグメントイエロー155を含有しており、シアントナーの着色剤が銅フタロシアニン化合物を含有しており、
前記銅フタロシアニン化合物は、無置換の銅フタロシアニン化合物を含有し、置換のフタロシアニン化合物を含まず、
前記銅フタロシアニン化合物の1次粒子の個数平均の長短比が1.0以上3.0以下の範囲であり、前記銅フタロシアニン化合物の1次粒子の個数平均の長軸の長さが100nm以上150nm以下の範囲であることを特徴とする画像形成方法。 - 前記イエロートナーの着色剤の含有量(a)は前記シアントナーの着色剤の含有量(b)よりも多く、
かつ前記イエロートナーの着色剤の含有量(a)がイエロートナー全量に対して5質量%以上20質量%以下の範囲であり、前記シアントナーの着色剤の含有量(b)がシアントナー全量に対して3質量%以上10質量%以下の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成方法。 - 前記着色剤として、マゼンタトナーの着色剤が、少なくともC.I.ピグメントレッド269またはC.I.ピグメントレッド122を含有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記現像工程において、現像順が最も早いトナーは、イエロートナーであることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記転写工程において、電子写真感光体の表面に担持されたトナー像を中間転写体に1次転写した後、該トナー像を中間転写体から転写材に2次転写することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記各現像剤のトナーの結着樹脂が、非晶性ポリエステル樹脂及びスチレンアクリル樹脂を含有することを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記スチレンアクリル樹脂の含有量(c)が、前記非晶性ポリエステルの含有量(d)よりも多いことを特徴とする請求項7に記載の画像形成方法。
- 前記各現像剤のトナーの結着樹脂が、結晶性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- 前記結着樹脂における結晶性ポリエステル樹脂の含有量(e)が、結着樹脂全量に対して、0.5質量%以上30質量%以下の範囲であることを特徴とする請求項9に記載の画像形成方法。
- 前記各現像剤のトナーの平均円形度が、0.930以上0.980以下の範囲であることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の画像形成方法。
- イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーを含有するトナーセットであって、
前記各トナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤と離型剤とをそれぞれ含有しており、
前記着色剤としてイエロートナーの着色剤がC.I.ピグメントイエロー155またはC.I.ピグメントイエロー180を含有しており、シアントナーの着色剤が銅フタロシアニン化合物を含有しており、
前記銅フタロシアニン化合物は、無置換の銅フタロシアニン化合物と置換のフタロシアニン化合物とを含有してなり、
前記置換のフタロシアニン化合物が、置換基を有していても良いフタルイミドメチル基からなる群から選択される中性の置換基;またはカルバモイル基、スルファモイル基、アミノメチル基、ジメチルアミノメチル基、ジエチルアミノメチル基、ジブチルアミノメチル基、ピペリジノメチル基、ジメチルアミノプロピルアミノスルホニル基、ジエチルアミノプロピルアミノスルホニル基、ジブチルアミノプロピルアミノスルホニル基、モルホリノエチルアミノスルホニル基、ジメチルアミノプロピルアミノカルボニル基、4-(ジエチルアミノプロピルアミノカルボニル)フェニルアミノカルボニル基、ジメチルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、ジエチルアミノプロピルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、ジブチルアミノプロピルアミノメチルカルボニルアミノメチル基、およびN-(ジメチルアミノプロピル)スルホン酸アミド基からなる群から選択される塩基性の置換基を有し、
前記銅フタロシアニン化合物の1次粒子の個数平均の長短比が1.0以上3.0以下の範囲であり、前記銅フタロシアニン化合物の1次粒子の個数平均の長軸の長さが100nm以上150nm以下の範囲であることを特徴とするトナーセット。 - イエロートナー、マゼンタトナー及びシアントナーを含有するトナーセットであって、
前記各トナーは、少なくとも結着樹脂と着色剤と離型剤とをそれぞれ含有しており、
前記着色剤としてイエロートナーの着色剤がC.I.ピグメントイエロー155を含有しており、シアントナーの着色剤が銅フタロシアニン化合物を含有しており、
前記銅フタロシアニン化合物は、無置換の銅フタロシアニン化合物を含有し、置換のフタロシアニン化合物を含まず、
前記銅フタロシアニン化合物の1次粒子の個数平均の長短比が1.0以上3.0以下の範囲であり、前記銅フタロシアニン化合物の1次粒子の個数平均の長軸の長さが100nm以上150nm以下の範囲であることを特徴とするトナーセット。
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