以下、図面を参照して、本発明に係る車両制御システム1の実施形態について説明する。図2以降に適宜付される矢印Fr、Re、L、R、U、Loは、それぞれ、車両制御システム1が設けられる車両2の前方、後方、左方、右方、上方、下方を示している。本実施形態では、左右方向が車両2の車幅方向であり、前後方向が車両2の車長方向である。
<車両制御システム1の構成>
図1に示すように、車両制御システム1は、自動運転が可能な車両2に設けられる。車両2は、乗員Xが主として運転操作を行う手動運転モードと、車両2が主として運転操作を行う自動運転モードで走行することができる。車両2は、車両2の車輪を転舵させる操舵装置4と、車輪を回転させる駆動装置5と、車輪の回転を制動する制動装置6とを有する。
操舵装置4は、車輪の舵角を変化させる装置であり、電動モータと、電動モータの駆動力によって車輪を転舵させる転舵機構とを有する。転舵機構は例えばラックアンドピニオン機構を含む。駆動装置5は、車輪を回転させる装置であり、電動モータ及び内燃機関の少なくとも1つと、電動モータ及び内燃機関の少なくとも1つの駆動力を車輪に伝達する伝達機構とを含む。駆動装置5は、内燃機関である場合にエンジンブレーキによって車輪に制動力を発生させることができる。また、駆動装置5は、電動モータである場合に回生制御によって車輪に制動力を発生させることができる。制動装置6は、車輪に抵抗を与えて回転を停止させる装置であり、電動モータと、電動モータの駆動によって油圧を発生させる油圧発生装置と、油圧発生装置から油圧を受けてブレーキパッドをブレーキロータに押し付けるブレーキキャリパとを有する。
車両制御システム1は、各種センサを備えた操作子10と、操作子10に接続された制御装置11とを有する。操作子10は、車両2を操舵するために、乗員Xの運転操作を受け付ける装置である。操作子10は、例えばステアリングホイールや操縦桿を含み、その外縁部の形状は円形や四角形、円の一部を切り欠いた形状、左右の円弧部と上下の直線部とを組み合わせた形状等であってよい。制御装置11は、CPU等のハードウェアプロセッサを含む。制御装置11は、走行制御部12、移動制御部13、及び信号処理部14を備える。信号処理部14は操作子10からの信号に基づいて乗員Xの操作入力を検出し、走行制御部12は信号処理部14によって検出された操作入力に応じて操舵装置4、駆動装置5、及び制動装置6の少なくとも1つを制御する。移動制御部13は、信号処理部14によって検出された操作入力に応じて操作子10の移動を制御する。
図2、図3に示すように、車両2の車室17には、操作子10に対して運転操作を行う乗員Xが着座する乗員シート61が設けられている。乗員シート61は、例えば、複数人分の着座スペースを有するベンチシートであり、左右方向に沿って延びている。このように乗員シート61としてベンチシートを用いることで、乗員Xの左右方向の着座位置の自由度を高めることができる。乗員シート61は、ベース部材(図示せず)を介して車両2の車体15の前部に取り付けられている。乗員シート61は、乗員Xが着座するシートクッション62と、シートクッション62の後ろ上方に隣接して配置され、乗員Xを後方から支持するシートバック63と、を備えている。シートクッション62とシートバック63は、それぞれ左右方向に所定の幅(例えば、乗員X複数人分の幅)を有する。
図3、図4に示すように、操作子10は、移動装置16を介して車体15の前部に支持されている。移動装置16は、車体15の前部に設けられ、左右方向に延びる前後一対のレール21と、前後一対のレール21に架設されるべく前後方向に延びるスライダ22と、スライダ22から後方に延びるアーム23と、アーム23の後端に設けられて操作子10に取り付けられるベース24とを有する。
前後一対のレール21は、スライダ22を左右方向に移動可能に支持している。前後一対のレール21とスライダ22は、車両2の車室17の前壁を構成するインストルメントパネル18の前方に設けられている。そのため、車両2の車室17にいる乗員Xからは前後一対のレール21とスライダ22が見えないか又は見えにくくなっている。これにより、車両2の意匠性の向上が図られている。
アーム23は、少なくとも1つの関節25を有し、関節25が下方に凸となるように折り曲げられた状態で、インストルメントパネル18の下方を通過している。アーム23は、前後方向に伸縮可能に設けられている。これにより、アーム23がベース24をスライダ22に対して前後方向に移動可能に支持している。
ベース24の上面には、シートクッション62の上方の空間の画像を撮影する撮像装置26が設けられている。撮像装置26は、操作子10の前方に隣接して配置されている。
図1に示すように、移動装置16は、スライダ駆動機構27とアーム駆動機構28とを備えている。スライダ駆動機構27は、電動モータによってレール21に対してスライダ22を左右方向に移動させる。これにより、スライダ22、アーム23、ベース24及び操作子10が車体15に対して左右方向に移動する。アーム駆動機構28は、電動モータによって関節25を屈曲させ、アーム23の前後方向の伸縮度を変更する。これにより、ベース24及び操作子10が車体15に対して前後方向に移動する。以上のように、移動装置16は、操作子10を車体15に対して左右方向及び前後方向に移動させる。
移動装置16は、位置センサ29を備えている。位置センサ29は、操作子10の前後方向の位置を検出する。位置センサ29は、例えば、アーム駆動機構28を構成する電動モータ又はアーム23の関節25に取り付けられている。位置センサ29は、例えば、ポテンショメータ又はロータリエンコーダであってもよい。
図3~図5に示すように、操作子10は、ベース24に回転可能に設けられたハブ部31と、ハブ部31の外周にハブ部31と同軸状に設けられたディスク部32(スポーク部)と、ディスク部32の外周に配置されたリング部33とを有する。ディスク部32は円板状に形成されている。本実施形態では、ディスク部32は、ハブ部31から径方向外方に延びると共に、操作子10(ハブ部31)の回転軸線A方向においてベース24と相反する側に延び、ハブ部31を頂点とする円錐形に形成されている。リング部33は、操作子10(ハブ部31)の回転軸線Aを中心とした環状に形成されている。リング部33は円形状の横断面を有する。リング部33の横断面における直径はディスク部32の厚みよりも大きい。リング部33は、操作子10を回転操作するために、乗員Xによって把持される把持部として機能する。
ハブ部31は、乗員X側を向く正面部31Aと、正面部31Aと相反する背面部(図示せず)とを有する。ディスク部32は、乗員X側を向く正面部32Aと、正面部32Aと相反する背面部32Bとを有する。リング部33は、乗員X側を向く正面部33Aと、正面部33Aと相反する背面部33Bと、正面部31A及び背面部33Bの外周に位置する外周部33Cと、正面部31A及び背面部33Bの内周に位置する内周部33Dと、を有する。詳細には、リング部33の外周縁(操作子10の回転軸線Aを中心としてリング部33の径が最大となる部分)と、リング部33の内周縁(操作子10の回転軸線Aを中心としてリング部33の径が最小となる部分)とを含む平面でリング部33を2分割した場合に、ベース24側に配置される部分を背面部33B、ベース24と相反する側に配置される部分を正面部33Aとする。
操作子10は、第1面部10Aと、第1面部10Aと相反する第2面部10Bと、第1面部10Aと第2面部10Bの外周に位置する外周部10Cとを含む。第1面部10Aは、操作子10の回転軸線Aに沿った一方側に配置されており、操作子10の後面(前後方向一方側の面)を構成している。第2面部10Bは、操作子10の回転軸線Aに沿った他方側に配置されており、操作子10の前面(前後方向他方側の面)を構成している。第1面部10Aは、ハブ部31の正面部31A、ディスク部32の正面部32A、リング部33の正面部33Aを含み、第2面部10Bは、ディスク部32の背面部32B、リング部33の背面部33Bを含み、外周部10Cは、リング部33の外周部33Cを含む。他の実施形態では、第1面部10Aがディスク部32の背面部32B、リング部33の背面部33Bを含み、第2面部10Bがハブ部31の正面部31A、ディスク部32の正面部32A、リング部33の正面部33Aを含んでも良い。
図1に示すように、操作子10には、接触センサとしての第1静電容量センサ35、第2静電容量センサ36、及び第3静電容量センサ37と、回転角センサ38と、力覚センサ39とが設けられている。回転角センサ38は、操作子10の車体15に対する回転角を検出する。回転角センサ38は、ロータリエンコーダやレゾルバ等であってよい。他の実施形態では、操作子10にジャイロセンサが設けられてもよい。ジャイロセンサは、操作子10の回転速度を検出する。
力覚センサ39は、公知の圧電式又はひずみゲージ式のセンサであってよく、ベース24とハブ部31の間に設けられている。力覚センサ39は、例えば6軸力覚センサであり、操作子10に加わる回転軸線Aに沿った前側(前後方向一方側)、回転軸線Aに沿った後側(前後方向他方側)、左側(左右方向一方側)、右側(左右方向他方側)、回転軸線Aと直交する方向に沿った上側(上下方向一方側)及び回転軸線Aと直交する方向に沿った下側(上下方向他方側)の荷重を検出可能である。
図4、図6及び図7に示すように、第1~第3静電容量センサ35~37は、静電容量の変化に基づいて乗員Xの指等の物体の接近及び接触を検出する接触センサである。第1~第3静電容量センサ35~37は、操作子10のリング部33に設けられている。
第1静電容量センサ35は操作子10の第1面部10Aに設けられ、第2静電容量センサ36は操作子10の第2面部10Bに設けられ、第3静電容量センサ37は操作子10の外周部10Cに設けられている。詳細には、第1静電容量センサ35はリング部33の正面部33Aに設けられ、第2静電容量センサ36はリング部33の背面部33Bに設けられ、第3静電容量センサ37はリング部33の外周部33Cに設けられている。他の実施形態では、第1静電容量センサ35がリング部33の背面部33Bに設けられ、第2静電容量センサ36がリング部33の正面部33Aに設けられても良い。
第1静電容量センサ35は、リング部33の正面部33Aに沿って、リング部33と同軸の環状に形成された1つのセンサである。他の実施形態では、第1静電容量センサ35は、リング部33の正面部33Aに沿って周方向に配列された複数のセンサであってもよい。第1静電容量センサ35は、正面部33Aにおける内周側に配置されていることが好ましい。詳細には、操作子10の回転軸線Aに沿った方向から見て、リング部33の幅方向における中央を通過する中心環状線より径方向内側、すなわちリング部33の内周部33Dに第1静電容量センサ35が配置されていることが好ましい。
第2静電容量センサ36は、リング部33の背面部33Bに沿って、リング部33と同軸の環状に形成された1つのセンサである。他の実施形態では、第2静電容量センサ36は、リング部33の背面部33Bに沿って周方向に配列された複数のセンサであってもよい。第2静電容量センサ36は、背面部33Bの幅方向における中央に沿って延びていることが好ましい。第2静電容量センサ36は、第1静電容量センサ35よりも大きい直径を有することが好ましい。
第3静電容量センサ37は、操作子10の外縁に沿って設けられ、乗員Xの手の接触位置(乗員Xによるタッチ操作の位置)を特定可能なセンサである。第3静電容量センサ37は、操作子10の外縁に沿って延びる単一のセンサや、操作子10の外縁に沿って複数に分割された複数のセンサであってよい。本実施形態では、第3静電容量センサ37は、リング部33の外周縁を含む外周部33Cに沿って、周方向に複数配列されている。第3静電容量センサ37のそれぞれは、周方向に等しい角度幅を有し、等間隔で互いに隣り合って配置されている。隣り合う第3静電容量センサ37の間の隙間は小さいほど好ましい。本実施形態では、第3静電容量センサ37は、36個設けられ、それぞれ約10度の角度幅を有する。
第1~第3静電容量センサ35~37は、静電容量に応じた信号を出力する。第1~第3静電容量センサ35~37は、乗員Xの手等の物体が接近するほど、また接近する物体が大きいほど、また物体の比誘電率が高いほど静電容量が増加する。
第1~第3静電容量センサ35~37は、操作子10が乗員Xに把持されたことを検出する把持センサとして機能する。例えば、第1~第3静電容量センサ35~37は、第1静電容量センサ35及び第2静電容量センサ36の少なくとも一方の静電容量及び所定の個数以上の第3静電容量センサ37の静電容量が所定の基準値以上まで上昇した場合に、操作子10が乗員Xに把持されたことを検出する。他の異なる実施形態では、第1~第3静電容量センサ35~37が上記の検出方法とは異なる検出方法によって操作子10が乗員Xに把持されたことを検出しても良い。
図5に示すように、ハブ部31の正面部31A側(乗員X側)には、表示部としてのディスプレイ40が設けられている。ディスプレイ40は円形に形成され、ハブ部31の正面の面積の50%以上を占めている。図1に示すように、ディスプレイ40は、制御装置11のインターフェース制御部41によって制御され、車両2の運転モード(自動運転モード又は手動運転モード)や、車両2の進行方向(将来の軌跡)、車両2の周囲を走行する周辺車両の位置、車両2の速度等を表す画像を表示する。画像には、数値や記号が含まれてもよい。
車体15と操作子10との間には、車体15に対する操作子10の回転操作に対して反力(回転抵抗)を与える第1反力付与装置43(図1参照)が設けられている。第1反力付与装置43は、例えば電動モータであり、電動モータの回転力を操作子10の回転操作に対する反力として操作子10に与える。本実施形態では、第1反力付与装置43はベース24に設けられ、ベース24に対するハブ部31の回転に対して反力を付与する。第1反力付与装置43は、操作子10に十分な回転抵抗を加えることによって操作子10の回転を規制することができる。すなわち、第1反力付与装置43は、車体15に対する操作子10の回転を抑制する回転抑制装置として機能する。
車体15と操作子10との間には、車体15に対する操作子10の回転軸線Aに沿った第1方向Yの移動に対して反力(移動抵抗)を与える第2反力付与装置44(図1参照)が設けられている。第2反力付与装置44は、例えばアーム駆動機構28を構成する電動モータであり、電動モータの回転力を操作子10の前後方向の移動操作に対する反力として操作子10に与える。第2反力付与装置44は、操作子10に十分な移動抵抗を加えることによって操作子10の第1方向Yの移動を規制することができる。すなわち、第2反力付与装置44は、車体15に対する操作子10の第1方向Yの移動を抑制する移動抑制部として機能する。
図1に示すように、制御装置11は、車両2の各種状態量を検出する車両センサ45と、車両2の周囲の環境情報を検出する外界認識装置46とに接続されている。車両センサ45は、例えば車両2の車速を検出する車速センサや、車両2の加速度を検出する加速度センサ、車両2のヨーレートを検出するヨーレートセンサ等を含む。制御装置11は、車両センサ45から車両2の各種状態量を取得する。
外界認識装置46は、周辺車両情報及び周辺環境情報を取得し、制御装置11に出力する。外界認識装置46は、車両2の周囲を撮像するカメラ47と、車両2の周囲に存在する物体を検出するレーザやライダ等の物体検出センサ48と、ナビゲーション装置49とを含む。外界認識装置46は、カメラ47が取得した画像から走路や区画線を認識する。また、外界認識装置46は、カメラ47が取得した画像や物体検出センサ48の検出信号に基づいて、車両2の周囲を走行する周辺車両の位置及び速度を含む周辺車両情報を取得する。また、外界認識装置46は、ナビゲーション装置49からの自車両位置、地図情報及びPOI(Point Of Interest)に基づいて、車両2が走行する走路や隣接する走路、車両2の周囲の店舗や分岐路等の周辺環境情報を取得する。
<操作子10に対する運転操作>
操作子10は、運転操作として、第1運転操作及び第2運転操作を受け付け可能である。第1運転操作及び第2運転操作は、それぞれ異なる加減速操作と転舵操作を含んでいる。第1運転操作は、操作子10に接触することによる運転操作(例えば、シングルタップ操作、ダブルタップ操作、長押し操作、さすり操作等)であるため、第1運転操作における操作子10の可動量は0であるか、極めて小さい。第2運転操作は、操作子10を回転又は移動させることによる運転操作であるため、第2運転操作における操作子10の可動量は第1運転操作における操作子10の可動量よりも多い。このように第1運転操作を接触操作とし、第2運転操作を回転操作又は移動操作とすることで、第1運転操作と第2運転操作を明確に区別し、両者の混同を回避することができる。
第1運転操作は、乗員Xの手によるリング部33の外周部33Cの周方向へのさすり操作を含む。乗員Xが手でリング部33の外周部33Cを回転方向にさすると、周方向に並んで配列された複数の第3静電容量センサ37の静電容量が順番に変化する。信号処理部14は、複数の第3静電容量センサ37からの信号に基づいて、乗員Xによるリング部33のさすり操作を検出する。信号処理部14は、複数の第3静電容量センサ37からの信号に基づいて、さすり操作の向き、及び長さ(さすり長)を検出する。走行制御部12は、信号処理部14によって検出されたさすり操作の向き及び長さに応じて操舵装置4を制御し、車両2の左右へのオフセット移動や、車線変更、右折又は左折等を行うとよい。
また、第1運転操作は、乗員Xの手によるリング部33の正面部33A又は背面部33Bへの接触操作を含む。接触操作は、例えばシングルタップ操作、ダブルタップ操作、長押し操作等を含む。乗員Xが手でリング部33の正面部33A又は背面部33Bに対して接触操作を行うと、第1静電容量センサ35又は第2静電容量センサ36の静電容量が変化する。信号処理部14は、第1静電容量センサ35又は第2静電容量センサ36からの検出信号に基づいて、乗員Xの手の接触継続時間や接触回数を判定し、接触操作がシングルタップ操作、ダブルタップ操作、及び長押し操作のいずれであるかを判定する。
走行制御部12は、例えば、正面部33Aへの操作に対して加速制御を実行し、背面部33Bへの操作に対して減速制御を実行する。加速制御は、目標車速を現在の値から所定値増加させるための制御、自車両と自車両の前方を走行する前走車との目標車間距離を現在の値から所定値短くする制御、及び停車状態から発進する制御を含む。減速制御は、目標車速を現在の値から所定値低下させるための制御や、自車両と前走車との目標車間距離を現在の値から所定値長くする制御、低速走行状態から停車させるための制御を含む。走行制御部12は、正面部33A及び背面部33Bへの操作の態様に応じて実行する制御、又は車両2の目標速度の変化量を変更してもよい。走行制御部12は、例えば、シングルタップ操作に対する目標速度の変化量よりもダブルタップ操作に対する目標速度の変化量を大きくするとよい。また、走行制御部12は、正面部33A又は背面部33Bに長押し操作がなされている間、目標速度の増加又は減少を継続してもよい。
第2運転操作は、回転軸線Aを中心とした操作子10の回転操作と、回転軸線Aに沿った操作子10の移動操作(押し引き操作)とを含む。乗員Xが操作子10の回転操作を行うと、車体15に対する操作子10の回転角を回転角センサ38が検出する。信号処理部14は回転角センサ38からの検出信号に基づいて操作子10の回転角を取得し、走行制御部12は、取得された回転角に応じて操舵装置4を制御し、車両2の車輪を転舵させる。
乗員Xが操作子10を前側に移動操作する(押し込む)と、操作子10に加わる前側への荷重を力覚センサ39が検出する。信号処理部14は力覚センサ39からの検出信号に基づいて操作子10に加わる荷重及び荷重の向きを取得し、走行制御部12は、取得された荷重及び荷重の向きに応じて駆動装置5を制御し、車両2を加速させる。乗員Xが操作子10を後側に移動操作する(引き出す)と、操作子10に加わる後側への荷重を力覚センサ39が検出する。信号処理部14は力覚センサ39からの検出信号に基づいて操作子10に加わる荷重及び荷重の向きを取得し、走行制御部12は、取得された荷重及び荷重の向きに応じて駆動装置5及び制動装置6の少なくとも一方を制御し、車両2を減速させる。他の実施形態では、位置センサ29によって乗員Xによる操作子10の移動操作を検出し、位置センサ29からの信号に基づいて車両2を加減速制御してもよい。
<車両2の運転モード>
走行制御部12は、車両2の運転モードを自動運転モードと手動運転モードの間で切り替え可能である。自動運転モードでは、走行制御部12によって転舵操作及び加減速操作が自動的に実行され、手動運転モードでは、乗員Xによって転舵操作及び加減速操作が手動で実行される。
走行制御部12は、自動運転モードにおいて、主体的に車両2の将来の軌道を生成し、操舵装置4、駆動装置5、及び制動装置6を制御する。ただし、走行制御部12は、自動運転モードにおいても、乗員Xによる操作子10に対する第1運転操作を受け付けることで、操舵装置4、駆動装置5、及び制動装置6の制御に乗員Xの意思を反映させる。つまり、第1運転操作は、自動運転モードにおける補助的な運転操作である。
走行制御部12は、手動運転モードにおいて、乗員Xによる操作子10に対する第2運転操作に応じて、操舵装置4、駆動装置5、及び制動装置6を制御する。つまり、第2運転操作は、手動運転モードにおける主体的な運転操作である。他の実施形態では、走行制御部12は、手動運転モードにおいて、乗員Xによるアクセルペダルやブレーキペダルに対する踏み込み操作に応じて、駆動装置5及び制動装置6を制御してもよい。
<操作子10の位置>
図2を参照して、操作子10は、許容位置としての第1位置P1、許容位置としての第2位置P2、及び制限位置としての第3位置P3の間で移動可能である。第1位置P1は車両2の左右方向の中心よりも左側(左右方向一方側)に位置しており、第2位置P2は車両2の左右方向の中心よりも右側(左右方向他方側)に位置している。つまり、第1位置P1と第2位置P2は、左右方向において互いにずれており、離間している。第3位置P3は、車両2の左右方向の中心に位置している。第3位置P3は、左右方向において第1位置P1と第2位置P2の中間に位置しており、左右方向において第1位置P1及び第2位置P2とはずれている。第3位置P3は、車長方向において第1位置P1及び第2位置P2よりも前方に位置している。そのため、乗員Xが操作子10に対する操作を行わない時(例えば、自動運転モードの実行時や車両2に対する乗員Xの乗降時)に、操作子10を第3位置P3に移動させることで、操作子10と乗員Xの距離を離すことができる。これにより、操作子10が乗員Xに圧迫感を与えるのを抑制することができる。
操作子10が第1位置P1又は第2位置P2にある状態では、自動運転モード及び手動運転モードによる車両2の走行が可能である。具体的には、走行制御部12は、操作子10が第1位置P1又は第2位置P2にある状態で、乗員Xによるモード切替スイッチ51(図1参照)の操作に応じて、車両2の運転モードを手動運転モードと自動運転モードの間で切り替える。操作子10が第3位置P3にある状態では、自動運転モードによる車両2の走行が可能であり、かつ、手動運転モードの選択ができない。また、操作子10が第1位置P1及び第3位置P3の間、又は第2位置P2及び第3位置P3の間にある状態では、自動運転モードによる車両2の走行のみが可能であり、手動運転モードの選択ができない。
操作子10が第1位置P1又は第2位置P2にある状態では、操作子10が第1運転操作と第2運転操作の両方を受け付け可能である。具体的には、操作子10が第1位置P1又は第2位置P2にある状態で、車両2の運転モードが自動運転モードになっている時には、操作子10が第1運転操作を受け付け可能である。一方で、操作子10が第1位置P1又は第2位置P2にある状態で、車両2の運転モードが手動運転モードになっている時には、操作子10が第2運転操作を受け付け可能である。
操作子10が第3位置P3にある状態、第1位置P1及び第3位置P3の間にある状態、第2位置P2及び第3位置P3の間にある状態のいずれかでは、車両2の運転モードが自動運転モードになっており、操作子10が第1運転操作を受け付け可能であり、かつ、第2運転操作を受け付け不能である。そのため、操作子10と乗員Xの距離が離れた第3位置P3において、操作子10の可動量が比較的多い第2運転操作が実行されるのを防止することができる。これにより、第3位置P3における操作子10の誤操作を抑制することができる。
<操作子10に対する加減速操作>
図3、図4に示すように、操作子10は、車体15に対して、回転軸線Aに沿った第1方向Yに移動可能である。操作子10は、ベース24に対して第1方向Yに移動しても良いし、アーム23の伸縮に応じてベース24と共に第1方向Yに移動しても良い。
図1に示すように、制御装置11は、ストローク設定部72を備えている。図8に示すように、ストローク設定部72は、操作子10の第1方向Yの可動範囲Mと、可動範囲Mにおける中立位置Nとを設定する。以下、中立位置Nから前側(第1方向Yの一方側)に操作子10を押し込む操作のことを「加速操作」と称し、中立位置Nから後側(第1方向Yの他方側)に操作子10を引き出す操作のことを「減速操作」と称する。操作子10は、バネ又は電動モータによって構成される付勢部材71によって中立位置Nに付勢されている。
乗員Xが操作子10を把持し、操作子10に対して加速操作を行うと、付勢部材71の付勢力に抗して操作子10が前側に移動する。これに伴って、操作子10に加わる前側への荷重を力覚センサ39が検出する。走行制御部12は、力覚センサ39からの検出信号に応じて駆動装置5を制御し、車両2を加速させるべく加速制御を実行する。なお、他の実施形態では、走行制御部12は、位置センサ29からの検出信号に応じて駆動装置5を制御し、車両2を加速させるべく加速制御を実行しても良い。
乗員Xが操作子10に対する加速操作を停止すると、付勢部材71の付勢力によって操作子10が後側に移動し、中立位置Nで停止する。これに伴って、操作子10に加わる前側への荷重を力覚センサ39が検出しなくなるため、走行制御部12が加速制御を停止する。
乗員Xが操作子10を把持し、操作子10に対して減速操作を行うと、付勢部材71の付勢力に抗して操作子10が後側に移動する。これに伴って、操作子10に加わる後側への荷重を力覚センサ39が検出する。走行制御部12は、力覚センサ39からの検出信号に応じて駆動装置5及び制動装置6の少なくとも一方を制御し、車両2を減速させるべく減速制御を実行する。なお、他の実施形態では、走行制御部12は、位置センサ29からの検出信号に応じて駆動装置5及び制動装置6の少なくとも一方を制御し、車両2を減速させるべく減速制御を実行しても良い。
乗員Xが操作子10に対する減速操作を停止すると、付勢部材71の付勢力によって操作子10が前側に移動し、中立位置Nで停止する。これに伴って、操作子10に加わる後側への荷重を力覚センサ39が検出しなくなるため、走行制御部12が減速制御を停止する。
以上のように、操作子10は、回転軸線Aに沿った第1方向Yに移動することで、乗員Xによる加減速操作を受け付ける。これにより、操作子10に対する加減速操作を操作子10に対する転舵操作と明確に区別し、両者の混同を回避することができる。
<第1~第3静電容量センサ35~37>
図8を参照して、第1静電容量センサ35は、第1検出部の一例である。第1静電容量センサ35は、乗員Xが操作子10に対して加速操作(第1方向Yの一方側への操作)を行う際に触れるべく、操作子10のリング部33の後面(第1方向Yの他方側の面)に設けられている。なお、他の実施形態では、乗員Xが操作子10に対して加える圧力を検出する圧力センサを第1検出部の一例としても良いし、静電容量センサ及び圧力センサ以外のセンサを第1検出部の一例としても良い。
第2静電容量センサ36は、第2検出部の一例である。第2静電容量センサ36は、乗員Xが操作子10に対して減速操作(第1方向Yの他方側への操作)を行う際に触れるべく、操作子10のリング部33の前面(第1方向Yの一方側の面)に設けられている。なお、他の実施形態では、乗員Xが操作子10に対して加える圧力を検出する圧力センサを第2検出部の一例としても良いし、静電容量センサ及び圧力センサ以外のセンサを第2検出部の一例としても良い。
第3静電容量センサ37は、第3検出部の一例である。第3静電容量センサ37は、乗員Xが操作子10に対して加速操作及び減速操作を行う際に触れるべく、操作子10のリング部33の外周に設けられている。なお、他の実施形態では、乗員Xが操作子10に対して加える圧力を検出する圧力センサを第3検出部の一例としても良いし、静電容量センサ及び圧力センサ以外のセンサを第3検出部の一例としても良い。
<操作子10の移動抑制制御>
以下、図9を参照して、操作子10の第1方向Yの移動を抑制するための制御(以下、「操作子10の移動抑制制御」と称する)について説明する。
操作子10の移動抑制制御が開始された時点では、乗員Xが操作子10から手を離している。そのため、第1~第3静電容量センサ35~37が検出する静電容量が所定の閾値未満になっている。つまり、第1~第3静電容量センサ35~37が操作子10に対する乗員Xの接触を検出していない。この状態では、第2反力付与装置44が操作子10の第1方向Yの移動を抑制しており、操作子10が第1方向Yに移動不能となっている。そのため、乗員Xが操作子10に対して加速操作及び減速操作(以下、「加減速操作」と称する)を行うことはできず、走行制御部12が加速制御及び減速制御(以下、「加減速制御」と称する)を実行不能になっている。
操作子10の移動抑制制御が開始されると、走行制御部12は、第1静電容量センサ35又は第2静電容量センサ36の少なくとも一方と第3静電容量センサ37とが操作子10に対する乗員Xの接触を検出している状態(以下、「第1検出状態」と称する)が所定の基準時間T以上連続しているか否かを判定する(ステップST1)。
乗員Xが操作子10から手を離している間は、第1~第3静電容量センサ35~37が検出する静電容量が閾値未満の状態が継続している。つまり、第1~第3静電容量センサ35~37が操作子10に対する乗員Xの接触を検出していない状態が継続している。そのため、ステップST1の判定がNoになる。この場合、走行制御部12は、ステップST1の判定がYesになるまで、ステップST1の判定を一定時間ごとに繰り返す。なお、ステップST1の判定がNoである間は、第2反力付与装置44が操作子10の第1方向Yの移動を抑制しており、走行制御部12は加減速制御を実行不能である。
一方で、乗員Xが操作子10を基準時間T以上連続して把持すると、第1静電容量センサ35又は第2静電容量センサ36の少なくとも一方が検出する静電容量と第3静電容量センサ37が検出する静電容量が基準時間T以上連続して閾値以上となる。つまり、第1検出状態が基準時間T以上連続する。これに伴って、ステップST1の判定がYesになる。
このようにステップST1の判定がYesになると、第2反力付与装置44が操作子10の第1方向Yの移動の抑制を解除し、操作子10が第1方向Yに移動可能となる(ステップST2)。これにより、乗員Xが操作子10に対して加減速操作を行うことが可能となり、走行制御部12が加減速制御を実行可能となる。この状態で、乗員Xが操作子10に対して加減速操作を行うと、加減速操作に応じて走行制御部12が加減速制御を実行し、車両2が加速又は減速される。
このように走行制御部12が加減速制御を実行可能な状態になると、走行制御部12は、第1静電容量センサ35又は第2静電容量センサ36の少なくとも一方が操作子10に対する乗員Xの接触を検出している状態(以下、「第2検出状態」と称する)であるか否かを判定する(ステップST3)。
乗員Xが操作子10を把持している間は、第1静電容量センサ35又は第2静電容量センサ36が検出する静電容量が所定の閾値以上のままである。つまり、乗員Xが操作子10を把持している間は、第2検出状態が継続する。これに伴って、ステップST3の判定がYesになる。この場合、走行制御部12は、ステップST3の判定がNoになるまで、ステップST3の判定を一定時間ごとに繰り返す。なお、ステップST3の判定がYesである間は、第2反力付与装置44が操作子10の第1方向Yの移動の抑制を解除しており、走行制御部12は加減速制御を実行可能である。
一方で、乗員Xが操作子10から手を離すと、第1静電容量センサ35及び第2静電容量センサ36が検出する静電容量が閾値未満となる。つまり、第1静電容量センサ35及び第2静電容量センサ36が操作子10に対する乗員Xの接触を検出しなくなる。これに伴って、ステップST3の判定がNoになる。
このようにステップST3の判定がNoになると、第2反力付与装置44が操作子10の第1方向Yの移動の抑制を再開し、操作子10が第1方向Yに移動不能になる(ステップST4)。これにより、乗員Xが操作子10に対して加減速操作を行うことができなくなり、走行制御部12が加減速制御を実行不能になる。
このようにステップST4によって走行制御部12が加減速制御を実行不能になると、操作子10の移動抑制制御が終了し、操作子10の移動抑制制御が新たに開始される。この新たに開始された操作子10の移動抑制制御においてステップST1の判定がYesになるまで、走行制御部12が加減速制御を実行不能な状態が維持される。
以上のように、走行制御部12は、第1検出状態(第1静電容量センサ35又は第2静電容量センサ36の少なくとも一方と第3静電容量センサ37とが操作子10に対する乗員Xの接触を検出している状態)が発生した場合に、加減速制御を実行可能となる。そのため、乗員Xが操作子10に対する接触操作を実行する際に、誤って操作子10を前側(第1方向Yの一方側)又は後側(第1方向Yの他方側)に操作しても、第1検出状態が発生しない間は、走行制御部12が加減速制御を実行しない。これにより、乗員Xの意思とは合致しない加減速制御が実行されるのを抑制することができる。
特に、走行制御部12は、第1検出状態が基準時間T以上連続した場合に、加減速制御を実行可能となる。そのため、乗員Xが操作子10に対する接触操作を実行する際に、僅かな時間だけ第1検出状態が発生しても、走行制御部12が加減速制御を実行しない。これにより、乗員Xの意思とは合致しない加減速制御が実行されるのを一層確実に抑制することができる。
なお、走行制御部12は、基準時間Tを決定する際に、第1~第3静電容量センサ35~37等の接触センサの検出量が大きくなるのに応じて、基準時間Tを短くすると良い。これにより、接触センサの検出量に応じた適切な長さの基準時間Tを設定することができる。
例えば、第1~第3静電容量センサ35~37を接触センサとして用いる場合、走行制御部12は、乗員Xの操作子10に対する接触を検出している第3静電容量センサ37の個数を接触センサの検出量とすることができる。この場合、走行制御部12は、乗員Xの操作子10に対する接触を検出している第3静電容量センサ37の個数が多くなるのに応じて、基準時間Tを短くすると良い。これにより、乗員Xが両手で操作子10を把持している場合には、乗員Xが片手で操作子10を把持している場合よりも基準時間Tを短くし、車両2の加減速制御を速やかに開始することができる。
例えば、乗員Xが操作子10に対して加える圧力を検出する圧力センサを接触センサとして用いる場合、走行制御部12は、圧力センサが検出する圧力を接触センサの検出量とすることができる。この場合、走行制御部12は、圧力センサが検出する圧力が大きくなるのに応じて、基準時間Tを短くすると良い。これにより、乗員Xが比較的強い力で操作子10を把持している場合には、乗員Xが比較的弱い力で操作子10を把持している場合よりも基準時間Tを短くし、車両2の加減速制御を速やかに開始することができる。
また、走行制御部12は、加減速制御を実行可能となった後、第1~第3静電容量センサ35~37が操作子10に対する乗員Xの接触を検出しなくなると、第1~第3静電容量センサ35~37が操作子10に対する乗員Xの接触を再検出するまで、加減速制御を実行不能になる。そのため、乗員Xが操作子10から手を離した状態で、加減速制御が実行されるのを確実に抑制することができる。これにより、乗員Xの意思とは合致しない加減速制御が実行されるのを一層確実に抑制することができる。
ところで、乗員Xが操作子10を把持する際には、最初は操作子10をしっかりと把持し、途中から操作子10に対する把持を弱める傾向がある。そこで、走行制御部12は、加減速制御を実行可能となった後、第2検出状態(第1静電容量センサ35又は第2静電容量センサ36の少なくとも一方が操作子10に対する乗員Xの接触を検出している状態)が継続している間、加減速制御を実行可能な状態を維持している。これにより、乗員Xが途中から操作子10に対する把持を弱めることで第3静電容量センサ37が操作子10に対する乗員Xの接触を検出しなくなっても、加減速制御を実行可能な状態を維持することができる。そのため、乗員Xが操作子10を把持し続けているにも関わらず、加減速制御を実行不能になるような事態が発生するのを抑制することができる。
なお、他の異なる実施形態では、走行制御部12は、加減速制御を実行可能となった後、第3静電容量センサ37が操作子10に対する乗員Xの接触を検出している間、加減速制御を実行可能な状態を維持しても良い。これにより、乗員Xが途中から操作子10に対する把持を弱めることで第1静電容量センサ35及び第2静電容量センサ36が操作子10に対する乗員Xの接触を検出しなくなっても、加減速制御を実行可能な状態を維持することができる。そのため、乗員Xが操作子10を把持し続けているにも関わらず、加減速制御を実行不能になるような事態が発生するのを抑制することができる。
また、他の異なる実施形態では、走行制御部12は、加減速制御を実行可能となった後、第1~第3静電容量センサ35~37のいずれか1つが操作子10に対する乗員Xの接触を検出している間、加減速制御を実行可能な状態を維持しても良い。これにより、乗員Xが操作子10に少しでも接触している限り、加減速制御を実行可能な状態を維持することができる。
ところで、本実施形態では、乗員Xが操作子10に対して移動操作と接触操作の両方を実行可能である。乗員Xが操作子10に対して移動操作を行う際には、当然、操作子10が移動する必要がある。一方で、乗員Xが操作子10に対して継続的な接触操作(例えば、長押し操作)を行う際に操作子10が移動してしまうと、操作子10に対して継続的な接触操作を行いにくくなる虞がある。
そこで、本実施形態では、第1検出状態が発生するまで、第2反力付与装置44が車体15に対する操作子10の第1方向Yの移動を抑制することで、操作子10が第1方向Yに移動不能となっている。これにより、第1検出状態が発生するまで、乗員Xが操作子10に対する接触操作を行いやすくなる。
なお、本実施形態では、第2反力付与装置44が車体15に対する操作子10の第1方向Yの移動を抑制することで、操作子10が第1方向Yに移動不能となっている。一方で、他の実施形態では、第2反力付与装置44が車体15に対する操作子10の第1方向Yの移動を抑制することで、操作子10を第1方向Yに移動させるのに必要な力が上昇しても良い。つまり、「操作子10の第1方向Yの移動が抑制されている状態」には、「操作子10が第1方向Yに移動不能な状態」と「操作子10が第1方向Yに移動しにくい状態」の両方が含まれる。
また、他の実施形態では、第1検出状態が発生するまで、操作子10が車体15に対して第1方向Yに移動しても走行制御部12が加減速制御を実行せず、第1検出状態が発生すると、操作子10の車体15に対する第1方向Yの移動に応じて走行制御部12が加減速制御を実行しても良い。つまり、他の実施形態では、第1検出状態が発生するまで、走行制御部12が加減速制御を無効化し、第1検出状態が発生すると、走行制御部12が加減速制御を有効化しても良い。これにより、第2反力付与装置44を用いることなく、乗員Xの意思とは合致しない加減速制御が実行されるのを抑制することができる。
<複数の運転モードにおけるセンサの併用>
前述のように、走行制御部12は、車両2の運転モードを手動運転モード(第1運転モードの一例)と自動運転モード(第2運転モードの一例)の間で切り替え可能に設けられている。
車両2が手動運転モードで走行している時は、第1~第3静電容量センサ35~37を用いて、上記のような操作子10の移動抑制制御が実行される。
一方で、車両2が自動運転モードで走行している時は、第1静電容量センサ35が操作子10に対する乗員Xの接触を検出した場合に、走行制御部12が車両2を所定速度分加速させる。また、車両2が自動運転モードで走行している時は、第2静電容量センサ36が操作子10に対する乗員Xの接触を検出した場合に走行制御部12が車両2を所定速度分減速させる。
本実施形態ではこのように、手動運転モードと自動運転モードに第1静電容量センサ35及び第2静電容量センサ36を併用している。そのため、手動運転モードと自動運転モードにおいて全く異なるセンサを用いる場合と比較して、センサの個数を削減することができる。
<無効ストローク>
図10に示すように、他の実施形態では、ストローク設定部72は、中立位置Nから前側(第1方向Yの一方側)と後側(第1方向Yの他方側)に向かって第1無効ストロークI1と第2無効ストロークI2をそれぞれ設定しても良い。走行制御部12は、第1無効ストロークI1を超えて加速操作が行われた場合に車両2を加速させるべく加速制御を実行し、第2無効ストロークI2を超えて減速操作が行われた場合に車両2を減速させるべく減速制御を実行する。一方で、走行制御部12は、第1無効ストロークI1内で加速操作が行われた場合や第2無効ストロークI2内で減速操作が行われた場合には、加速操作及び減速操作を無効とし、加速制御及び減速制御を実行しない。
上記の第1検出状態が発生するまでは、第2反力付与装置44は、第1、第2無効ストロークI1、I2を超えて操作子10が車体15に対して第1方向Yに移動するのを抑制する。そのため、上記の第1検出状態が発生するまでは、第1、第2無効ストロークI1、I2内においてのみ、操作子10が車体15に対して第1方向Yに移動可能となる。従って、操作子10が車体15に対して第1方向Yに移動しても、走行制御部12が加速制御及び減速制御を実行しない。
一方で、上記の第1検出状態が発生すると、第2反力付与装置44は、第1、第2無効ストロークI1、I2を超えて操作子10が車体15に対して第1方向Yに移動するのを許容する。そのため、上記の第1検出状態が発生すると、可動範囲Mの全域において操作子10が第1方向Yに移動可能となる。これに伴って、走行制御部12は、第1無効ストロークI1を超えて加速操作が行われた場合に加速制御を実行し、第2無効ストロークI2を超えて減速操作が行われた場合に減速制御を実行する。
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。