JP2018154316A - グリップセンサ、ステアリングホイールおよび車両 - Google Patents
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Abstract
【課題】誤検知の発生を抑えることができるグリップセンサを提供する。【解決手段】グリップセンサ100は、ステアリングホイール200のリム210に取り付けられる基材111と、それぞれ導電性を有し、基材111に配置されるセンサ線112a〜112cと、センサ線112a〜112cに電気的に接続され、ステアリングホイール200の接触状態を検出するセンサ回路122とを備え、センサ回路122は、センサ線112aの感度と、センサ線112bおよび112cの感度との比率である感度比を、第1の感度比と第2の感度比とに切り換え、第1の感度比におけるセンサ線112a〜112cのそれぞれからの出力信号と、第2の感度比におけるセンサ線112a〜112cのそれぞれからの出力信号とに基づいて、ステアリングホイール200の接触状態を特定する。【選択図】図2
Description
本発明は、例えば車両のステアリングホイールなどの把持を検出するグリップセンサなどに関する。
従来、車両のステアリングホイールの把持を検出するグリップセンサが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
グリップセンサは、例えば、基材と、その基材の上に設けられたセンサ線とを有する。そして、その基材はステアリングホイールの芯材に巻き付けられ、緩衝材などによって覆われる。このようなグリップセンサでは、車両とセンサ線との間に静電容量が生じるが、ステアリングホイールに人の手が触れると、その手とセンサ線との間にも静電容量が生じる。したがって、そのセンサ線に生じる静電容量の変化を観測すれば、人の手によるステアリングホイールの把持を検出することができる。
しかしながら、このようなグリップセンサでは、誤検知が生じる可能性があるという課題がある。
そこで、本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであって、誤検知の発生を抑えたグリップセンサを提供する。
本発明の一態様に係るグリップセンサは、ステアリングホイールのリムに取り付けられる基材と、それぞれ導電性を有し、前記基材に配置される第1のセンサ部材および第2のセンサ部材と、前記第1のセンサ部材および前記第2のセンサ部材に電気的に接続され、前記ステアリングホイールの接触状態を検出するセンサ回路とを備え、前記センサ回路は、前記第1のセンサ部材の感度と前記第2のセンサ部材の感度との比率である感度比を、第1の感度比と第2の感度比とに切り換え、前記第1の感度比における前記第1のセンサ部材および第2のセンサ部材のそれぞれからの出力信号と、前記第2の感度比における前記第1のセンサ部材および第2のセンサ部材のそれぞれからの出力信号とに基づいて、前記ステアリングホイールの接触状態を特定する。
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたは記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
本発明のグリップセンサは、誤検知の発生を抑えることができる。
(本発明の基礎となった知見)
本発明者は、「背景技術」の欄において記載したグリップセンサに関し、以下の問題が生じることを見出した。
本発明者は、「背景技術」の欄において記載したグリップセンサに関し、以下の問題が生じることを見出した。
例えば、グリップセンサは、基材と、その基材の上に設けられたセンサ線とを有する。このようなセンサ線が配置された基材は、例えばステアリングホイールに巻き付けられる。
しかし、通常の乗用車などでは、ステアリングホイールの下部に位置する外周面は、そのステアリングホイールを操作する運転者の膝または太腿に対向する。その結果、運転者の膝または太腿の上記外周面への接近によってセンサ線の静電容量が変化し、グリップセンサは、運転者がステアリングホイールを把持していないにも関わらず、把持を検出してしまうことがある。
このような問題を解決するために、本発明の一態様に係るグリップセンサは、ステアリングホイールのリムに取り付けられる基材と、それぞれ導電性を有し、前記基材に配置される第1のセンサ部材および第2のセンサ部材と、前記第1のセンサ部材および前記第2のセンサ部材に電気的に接続され、前記ステアリングホイールの接触状態を検出するセンサ回路とを備え、前記センサ回路は、前記第1のセンサ部材の感度と前記第2のセンサ部材の感度との比率である感度比を、第1の感度比と第2の感度比とに切り換え、前記第1の感度比における前記第1のセンサ部材および第2のセンサ部材のそれぞれからの出力信号と、前記第2の感度比における前記第1のセンサ部材および第2のセンサ部材のそれぞれからの出力信号とに基づいて、前記ステアリングホイールの接触状態を特定する。例えば、前記第1のセンサ部材および前記第2のセンサ部材のそれぞれは、導電線からなってもよい。
これにより、第1の感度比または第2の感度比だけでは、ステアリングホイールの接触状態を特定し難くても、これらの感度比が切り換えられるため、そのステアリングホイールの接触状態を容易に、かつ明確に特定することができる。つまり、第1の感度比と第2の感度比とでは、基材における検出感度分布が異なる。したがって、感度比の切り換えによって、その検出感度分布が切り換えられる。本発明の一態様に係るグリップセンサでは、その検出感度分布の違いを利用することによって、そのステアリングホイールの接触状態を容易に、かつ明確に特定することができる。例えば、運転者の膝または太腿がステアリングホイールのリムの外周面に接触している脚接触状態を、他の接触状態と明確に区別して容易に特定することができる。その結果、誤検知の発生を抑えることができる。
また、前記センサ回路は、前記第1のセンサ部材からの出力信号を増幅する第1の増幅器と、前記第2のセンサ部材からの出力信号を増幅する第2の増幅器と、前記第1の増幅器および前記第2の増幅器のうちの少なくとも一方の増幅率を変化させることによって、前記感度比を、前記第1の感度比と第2の感度比とに切り換える制御部とを備えてもよい。この場合、前記センサ回路は、さらに、前記第1の増幅器によって増幅された出力信号と、前記第2の増幅器によって増幅された出力信号とを加算して加算信号を出力する加算器を備え、前記制御部は、前記加算器から出力される加算信号に基づいて、前記ステアリングホイールの接触状態を特定してもよい。
これにより、第1のセンサ部材および第2のセンサ部材のそれぞれの出力信号に対する処理がハードウェアによって行われるため、制御部における処理の負担を軽減することができる。
また、前記センサ回路は、前記第1のセンサ部材からの出力信号によって示される値に第1の倍率を乗算し、前記第2のセンサ部材からの出力信号によって示される値に第2の倍率を乗算し、前記第1の倍率および前記第2の倍率のうちの少なくとも一方の倍率を変化させることによって、前記感度比を、前記第1の感度比と第2の感度比とに切り換えてもよい。この場合、前記センサ回路は、前記第1の倍率の乗算によって得られる値と、前記第2の倍率の乗算によって得られる値との和を算出し、算出された前記和に基づいて、前記ステアリングホイールの接触状態を特定してもよい。
これにより、第1のセンサ部材および第2のセンサ部材のそれぞれの出力信号に対する処理がソフトウェアによって行われるため、センサ回路におけるハードウェアを簡単にすることができる。
また、前記グリップセンサは、前記第1のセンサ部材および前記第2のセンサ部材を含むセンサ部を複数備え、前記センサ回路は、前記ステアリングホイールの舵角を示す舵角信号に基づいて、複数の前記センサ部と、前記ステアリングホイールを操作する運転者との間の位置関係を特定し、前記位置関係に基づいて特定された前記運転者の膝または太腿に対向する前記センサ部のみ、前記感度比を、前記第1の感度比と第2の感度比とに切り換えてもよい。
ここで、複数のセンサ部を有する場合、運転者の膝または太腿が接近する可能性が低いセンサ部に対しては、上述の脚接触状態を特定する必要がない。そこで、このようなセンサ部については、本発明の一態様に係るグリップセンサでは、第1の感度比と第2の感度比との切り換えが行われないため、センサ回路における処理負担を軽減することができる。
また、前記第1のセンサ部材と前記第2のセンサ部材とは、それぞれジグザグ状に前記基材に配置されていてもよい。
また、前記グリップセンサは、さらに、前記第1のセンサ部材および前記第2のセンサ部材のそれぞれに電気的に接続され、前記第1のセンサ部材および前記第2のセンサ部材のそれぞれに電流を流すことによって前記第1のセンサ部材および前記第2のセンサ部材のそれぞれを加熱する電源部を備えてもよい。
これにより、ヒータとしての機能を兼ね備えることができ、例えばステアリングホイールに新たにヒータを取り付ける必要が無く、構成を簡単にすることができる。
また、本発明の一態様に係るステアリングホイールは、上述のグリップセンサを備える。また、本発明の一態様に係る車両は、上述のステアリングホイールを備える。
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態において、略中央又は略一定幅などの表現を用いている。例えば、略同じは、完全に同じであることを意味するだけでなく、実質的に同じである、すなわち、例えば数%程度の誤差を含むことも意味する。他の「略」を用いた表現についても同様である。
(実施の形態)
図1は、本実施の形態におけるグリップセンサが配置された車両の車室の一例を示す図である。
図1は、本実施の形態におけるグリップセンサが配置された車両の車室の一例を示す図である。
車両1は、ステアリングホイール200、スピーカ301、および液晶ディスプレイ等の表示装置302を備えている。スピーカ301および表示装置302は例えば注意喚起装置として構成される。
ステアリングホイール200は、車両1を操舵するためのものである。ステアリングホイール200は、リング形状を有するリム210と、リム210の内周面に一体的に形成された略T字状のスポーク202と、スポーク202の中央部に配置されたホーンスイッチ(図示せず)を覆うホーンスイッチカバー203とを有している。
グリップセンサ100は、手によるステアリングホイール200の把持を検出する装置であって、図1に示すように、車両1のステアリングホイール200に備えられている。具体的には、グリップセンサ100は、ステアリングホイール200のリム210の把持を検出する装置であって、複数のセンサ部からなるセンサ群110と、制御回路部120と、ハーネス130とを備えている。
センサ群110は、ステアリングホイール200のリム210に埋設されている。センサ群110に含まれる各センサ部では、車両1の運転者がステアリングホイール200のリム210を把持しているか否かに応じて計測される静電容量が変化する。
ハーネス130は、センサ群110の各センサ部と制御回路部120とを電気的に接続する。
制御回路部120は、例えばスポーク202に埋設され、センサ群110の各センサ部からの出力信号に基づいて把持を検出する。具体的には、制御回路部120は、各センサ部に対して、そのセンサ部の静電容量、またはその静電容量に応じた値(変化量)を計測し、その値に基づいて、運転者の手によるリム210の把持を検出する。そして、制御回路部120は、車両1が運転されているにもかかわらず、把持を検出していない場合には、運転者への注意喚起を注意喚起装置に実行させる。例えば、注意喚起装置のスピーカ301は、警告音または音声によって、運転者に注意を喚起する。表示装置302は、運転者にステアリングホイール200をしっかり握るように促す注意喚起のメッセージを表示する。これにより、交通事故を減少させることができる。
図2は、本実施の形態におけるグリップセンサ100の構成例を示す図である。
グリップセンサ100は、上述のように、センサ群110と、制御回路部120と、ハーネス130とを備える。本実施の形態では、センサ群110は、2つのセンサ部からなる。つまり、センサ群110は、それぞれ基材111とセンサ線112a〜112cとからなる第1のセンサ部110aおよび第2のセンサ部110bを備える。なお、本実施の形態では、第1のセンサ部110aおよび第2のセンサ部110bは、Y軸方向に沿う直線を対称軸として線対称に形成され、実質的に同一の構成を有する。
基材111は、例えば不織布からなり長尺状に形成され、センサ線112a〜112cを保持する。この基材111は、ステアリングホイール200のリム210に取り付けられる。なお、本実施の形態では、その基材111の長手方向をX軸方向と称し、基材111に平行な面においてX軸方向と垂直な方向をY軸方向と称す。また、Y軸方向における、基材111の一端側(図2の下端側)を負側と称し、他端側(図2の上端側)を正側と称す。同様に、X軸方向における、基材111の一端側(図2の左端側)を負側と称し、他端側(図2の右端側)を正側と称す。
センサ線112a〜112cはそれぞれ、導電線からなり、センサ線112a〜112cのそれぞれの一端と他端とは、ハーネス130を介して制御回路部120に接続される。ここで、センサ線112a〜112cは、それぞれジグザグ状に基材111に配置されている。具体的には、センサ線112a〜112cはそれぞれ、金属線(例えば銅線)であって、ジグザグ形状のパターンが形成されるように、基材111の表面に図示しない糸により縫い付けられている。
なお、センサ線112a〜112cはそれぞれ、図示しない糸により基材111の表面に縫い付けられているが、熱圧着などによって基材111に固定されていてもよい。さらに、センサ線112a〜112cはそれぞれ、導体や抵抗体による面状の構造であってもよい。また、本実施の形態では、センサ線112a〜112cはそれぞれ、導電線からなるが、導電性を有する部材であれば、どのような形態であってもよい。つまり、本実施の形態におけるセンサ線112a〜112cは、導電性を有し、基材111に配置される第1のセンサ部材および第2のセンサ部材の一例である。例えば、センサ線112a〜112cのうちのセンサ線112aは、上記第1のセンサ部材の一例であり、センサ線112bおよび112cは、上記第2のセンサ部材の一例である。センサ線112a〜112cの形状および配置の詳細については後述する。
制御回路部120は、電源部121と、センサ回路122とを備える。
電源部121は、第1のセンサ部110aおよび第2のセンサ部110bのそれぞれのセンサ線112a〜112cにハーネス130を介して電気的に接続される。また、電源部121は、センサ線112a〜112cに電流を流すことによって、そのセンサ線112a〜112cを加熱する。これにより、ステアリングホイール200のリム210を温めることができる。なお、電源部121からセンサ線112a〜112cに電流が流れるように、センサ線112a〜112cのそれぞれのセンサ回路122側の端は例えばインダクタを介してグラウンドに接続されている。
センサ回路122は、第1のセンサ部110aおよび第2のセンサ部110bのそれぞれで、センサ線112a〜112cに電気的に接続され、ステアリングホイール200の接触状態を検出する。つまり、センサ回路122は、ハーネス130を介してセンサ線112a〜112cに交流の電流を流す。そして、センサ回路122は、そのセンサ線112a〜112cのそれぞれを流れる電流の電流値に基づいて、センサ線112a〜112cの全体における静電容量の変化を検出する。ここで、本実施の形態におけるセンサ回路122は、センサ線112aの感度と、センサ線112bおよび112cの感度との比率である感度比を、第1の感度比と第2の感度比とに切り換える。そして、センサ回路122は、第1の感度比におけるセンサ線112a〜112cのそれぞれからの出力信号と、第2の感度比におけるセンサ線112a〜112cのそれぞれからの出力信号とに基づいて、ステアリングホイール200の接触状態を特定する。出力信号は、例えば上述の電流値である。接触状態は、例えば、運転者がステアリングホイール200のリム210をしっかり把持している状態、把持していない状態、および、運転者の膝または太腿がリム210に接触している状態などである。
図3は、センサ群110が取り付けられたリム210の断面の一例を示す図である。
リム210は、金属製の円環状の芯である芯金210bと、その芯金210bを覆うウレタン樹脂などからなる樹脂層210aとを有する。
図2に示すようにセンサ線112a〜112cが縫い付けられた基材111は、そのセンサ線112a〜112cと反対側の面が樹脂層210a側に向くように、樹脂層210aに巻き付けられる。なお、このように巻き付けられた基材111におけるセンサ線112a〜112c側の面は、革、木材、または樹脂等からなる表層によって覆われる。また、本実施の形態では、センサ線112a〜112cが縫い付けられた基材111は、例えばリム210の全周に配置される。また、本実施の形態では、基材111は、そのセンサ線112a〜112cと反対側の面が樹脂層210a側に向くように、樹脂層210aに巻き付けられるが、基材111のセンサ線112a〜112cの面が樹脂層210a側に向くように、樹脂層210aに巻き付けられてもよい。
リム210に配置されるセンサ線112a〜112cは、芯金210bとの間に静電容量を形成する。ここで、リム210においてセンサ線112a〜112cが配置されている部位が、運転者の手によって把持されると、センサ線112a〜112cとその手との間にも静電容量が形成される。したがって、制御回路部120のセンサ回路122は、その静電容量の絶対値や変化量に応じて、手によるリム210の把持を検出することができる。なお、センサ線112a〜112cと芯金210bとの間に静電容量が形成される構成に限定されるものではなく、例えばセンサ線112a〜112cと芯金210bとの間に導電性シートなどからなる接地層を設け、センサ線112a〜112cと接地層との間に静電容量が形成される構成としてもよい。
ここで、本実施の形態のセンサ線112a〜112cについて、詳細に説明する。
本実施の形態では、図2に示すように、センサ線112aは、基材111における外周対応領域111Aに配置され、センサ線112bは、基材111における正面対応領域111Bに配置され、センサ線112cは、基材111における背面対応領域111Cに配置される。
外周対応領域111Aは、例えば、基材111におけるY軸方向の略中央にあって、基材111のX軸方向の負側の端から正側の端に至るまでの領域である。
正面対応領域111Bは、例えば、基材111におけるY軸方向の正側にあって、基材111のX軸方向の負側の端から正側の端に至るまでの領域である。
背面対応領域111Cは、例えば、基材111におけるY軸方向の負側にあって、基材111のX軸方向の負側の端から正側の端に至るまでの領域である。
図4は、ステアリングホイール200のリム210に、上述のセンサ群110が取り付けられた状態を示す図である。なお、図4の(a)は、ステアリングホイール200の正面図であり、図4の(b)は、ステアリングホイール200の背面図であり、図4の(c)は、ステアリングホイール200の側面図(下面図)である。
第1のセンサ部110aは、図4の(a)〜(c)に示すように、リム210の下半分の領域に取り付けられ、第2のセンサ部110bは、リム210の上半分の領域に取り付けられる。リム210の下半分の領域は、ステアリングホイール200の舵角が0度の中立状態、すなわち車両1が直進方向に向かう状態において、リム210の鉛直下側にある半分の領域である。逆に、リム210の上半分の領域は、ステアリングホイール200の舵角が0度である状態において、リム210の鉛直上側にある半分の領域である。
第1のセンサ部110aおよび第2のセンサ部110bのそれぞれの基材111は、そのリム210の断面の周方向に沿って配置される。このとき、基材111の正面対応領域111Bは、図4の(a)および(c)に示すように、リム210の正面に配置される。また、基材111の背面対応領域111Cは、図4の(b)および(c)に示すように、リム210の背面に配置される。なお、リム210の背面は、ステアリングホイール200の回動軸方向における、ステアリングシャフト側の面であり、リム210の正面は、ステアリングホイール200の回動軸方向における、ステアリングシャフトと反対側の面である。そして、基材111の外周対応領域111Aは、図4の(a)〜(c)に示すように、リム210の外周面に配置される。ここで、リム210の外周面は、ステアリングホイール200の回動中心からリム210側に向かう方向の最も外側にある面である。
図5は、ステアリングホイール200のリム210と運転者との位置関係を説明するための図である。
車両1が乗用車などである場合、ステアリングホイール200は、リム210の正面が運転者Dの胸部に向くように車両1に取り付けられている。したがって、リム210に取り付けられた第1のセンサ部110aおよび第2のセンサ部110bのそれぞれの基材111における外周対応領域111Aは、運転者Dの膝または太腿に対向可能に配置される。言い換えれば、外周対応領域111Aは、リム210の部位であって、ステアリングホイール200を操作する運転者Dの膝または太腿に対向可能な部位である脚対向部に取り付けられる。一方、基材111における正面対応領域111Bは、運転者Dの胸部側に向けられ、基材111における背面対応領域111Cは、運転者Dの胸部と反対側に向けられる。言い換えれば、正面対応領域111Bおよび背面対応領域111Cは、リム210における脚対向部以外の部位である非対向部に取り付けられる。
したがって、外周対応領域111Aには、運転者Dの膝または太腿が接近する場合がある。そこで、本実施の形態におけるグリップセンサ100は、リム210が運転者Dの手によって把持されているのか、運転者Dの膝または太腿がリム210に接触しているのかを特定する。つまり、グリップセンサ100は、ステアリングホイール200の接触状態を特定する。この接触状態には、しっかり把持状態、接触把持状態、脚接触状態、および、非接触状態がある。
しっかり把持状態は、リム210が運転者Dの手によって把持されている状態であって、その手がリム210の断面の周方向に沿うようにそのリム210を覆い、リム210の正面、外周面および背面に運転者Dの手が接触する接触状態である。
接触把持状態は、リム210が運転者Dの手によって把持されている状態であって、リム210の正面、外周面および背面のうち、外周面を除く面のみに運転者Dの手が接触する接触状態である。つまり、接触把持状態は、リム210の正面に運転者Dの親指が接触し、リム210の背面に他の指が接触し、外周面には手が接触していない状態である。換言すると、接触把持状態は、運転者Dが指先でリム210を摘んでいて、掌がリム210から離れている状態である。
脚接触状態は、リム210が運転者Dの手によって把持されず、運転者Dの膝または太腿がリム210の脚対向部(すなわち、図5に示す例では外周面)に接触または接近している状態である。
非接触状態は、リム210が運転者Dの手によって把持されず、かつ、運転者Dの膝および太腿もリム210に接触または接近していない状態である。
本実施の形態におけるグリップセンサ100では、ステアリングホイール200の接触状態を特定するために、センサ回路122によって、センサ線112aの感度と、センサ線112bおよび112cの感度との比率である感度比が、第1の感度比と第2の感度比とに切り換えられる。この感度比の切り換えによって、センサ線112aと、センサ線112bおよび112cとにおける把持の検出感度が切り換えられる。
図6は、第1のセンサ部110aまたは第2のセンサ部110bの基材111における各領域の検出感度を示す図である。
センサ回路122は、センサ線112aの感度と、センサ線112bおよび112cの感度との比率である感度比を、第1の感度比に切り換える。なお、第1の感度比を、モードAともいう。モードAでは、図6の(a)に示すように、センサ線112bおよび112cが配置されている正面対応領域111Bおよび背面対応領域111Cにおける把持の検出感度が高い。逆に、センサ線112aが配置されている外周対応領域111Aにおける把持の検出感度は低い。例えば、正面対応領域111Bおよび背面対応領域111Cにおける把持の検出感度が100であれば、外周対応領域111Aにおける把持の検出感度は50である。言い換えれば、第1の感度比では、センサ線112aが配置されている外周対応領域111Aにおける感度と、センサ線112bおよび112cが配置されている正面対応領域111Bおよび背面対応領域111Cにおける感度との比率である感度比は、1:2である。
ここで、センサ回路122は、センサ線112aの感度と、センサ線112bおよび112cの感度との比率である感度比を、第2の感度比に切り換える。なお、第2の感度比を、モードBともいう。モードBでは、図6の(b)に示すように、センサ線112bおよび112cが配置されている正面対応領域111Bおよび背面対応領域111Cにおける把持の検出感度が低い。逆に、センサ線112aが配置されている外周対応領域111Aにおける把持の検出感度は高い。例えば、外周対応領域111Aにおける把持の検出感度が100であれば、背面対応領域111Cおよび正面対応領域111Bにおける把持の検出感度は50である。言い換えれば、第2の感度比では、センサ線112aが配置されている外周対応領域111Aにおける感度と、センサ線112bおよび112cが配置されている正面対応領域111Bおよび背面対応領域111Cにおける感度との比率である感度比は、2:1である。
図7は、本実施の形態におけるセンサ回路122の構成の一例を示す図である。
センサ回路122は、センサ線112a〜112cのそれぞれからの出力信号に対する処理をハードウェアによって行ってもよい。例えば、センサ回路122は、図7に示すように、増幅器Ma〜Mcと、加算器122aと、制御部122bとを備える。
増幅器Maは、外周対応領域111Aに配置されているセンサ線112aからの出力信号を増幅する。増幅器Mbは、正面対応領域111Bに配置されているセンサ線112bからの出力信号を増幅する。増幅器Mcは、背面対応領域111Cに配置されているセンサ線112cからの出力信号を増幅する。
加算器122aは、増幅器Maによって増幅された出力信号と、増幅器Mbによって増幅された出力信号と、増幅器Mcによって増幅された出力信号とを加算して加算信号を出力する。
制御部122bは、増幅器Maと、増幅器MbおよびMcとのうちの少なくとも一方の増幅率を変化させることによって、感度比を第1の感度比と第2の感度比とに切り換える。本実施の形態では、制御部122bは、図7に示すように、モードAでは、増幅器Maの増幅率を0.5に切り換え、増幅器MbおよびMcの増幅率を1に切り換え、モードBでは、増幅器Maの増幅率を1に切り換え、増幅器MbおよびMcの増幅率を0.5に切り換る。これにより、制御部122bは、感度比をモードA(すなわち第1の感度比=1:2)とモードB(すなわち第2の感度比=2:1)とに切り換える。
そして、制御部122bは、第1の感度比および第2の感度比のそれぞれの場合における、加算器122aから出力される加算信号に基づいて、ステアリングホイール200の接触状態を特定する。
図8は、本実施の形態におけるセンサ回路122の構成の他の例を示す図である。
センサ回路122は、センサ線112a〜112cのそれぞれからの出力信号に対する処理をソフトウェアによって行ってもよい。
センサ回路122は、外周対応領域111Aに配置されているセンサ線112aからの出力信号によって示される値に第1の倍率を乗算する。さらに、センサ回路122は、正面対応領域111Bに配置されているセンサ線112bからの出力信号によって示される値に第2の倍率を乗算する。同様に、センサ回路122は、背面対応領域111Cに配置されているセンサ線112cからの出力信号によって示される値に第2の倍率を乗算する。
また、センサ回路122は、センサ線112aの出力信号に対する第1の倍率の乗算によって得られる値と、センサ線112bの出力信号に対する第2の倍率の乗算によって得られる値と、センサ線112cの出力信号に対する第2の倍率の乗算によって得られる値との和を算出する。
ここで、センサ回路122は、上述の第1の倍率および第2の倍率のうちの少なくとも一方の倍率を変化させることによって、感度比を第1の感度比と第2の感度比に切り換える。本実施の形態では、センサ回路122は、図8に示すように、モードAでは、外周対応領域111Aに配置されているセンサ線112aに対する第1の倍率を0.5に切り換える。さらに、センサ回路122は、正面対応領域111Bおよび背面対応領域111Cに配置されているセンサ線112bおよび112cのそれぞれに対す第2の倍率を1に切り換える。一方、モードBでは、センサ回路122は、外周対応領域111Aに配置されているセンサ線112aに対する第1の倍率を1に切り換える。さらに、センサ回路122は、正面対応領域111Bおよび背面対応領域111Cに配置されているセンサ線112bおよび112cのそれぞれに対す第2の倍率を0.5に切り換える。これにより、制御部122bは、感度比をモードA(すなわち第1の感度比=1:2)とモードB(すなわち第2の感度比=2:1)とに切り換える。
そして、センサ回路122は、上述のように算出された和に基づいて、ステアリングホイール200の接触状態を特定する。
図9は、モードAおよびモードBのそれぞれでセンサ回路122によって検出される静電容量に応じた値を示す図である。
[しっかり把持状態]
例えば、ステアリングホイール200の接触状態がしっかり把持状態である場合、リム210の背面、外周面および正面のそれぞれに運転者の手が接触する。その結果、正面対応領域111Bのセンサ線112bと、外周対応領域111Aのセンサ線112aと、背面対応領域111Cのセンサ線112cとのそれぞれは、その手の接触に応じた出力信号を出力する。
例えば、ステアリングホイール200の接触状態がしっかり把持状態である場合、リム210の背面、外周面および正面のそれぞれに運転者の手が接触する。その結果、正面対応領域111Bのセンサ線112bと、外周対応領域111Aのセンサ線112aと、背面対応領域111Cのセンサ線112cとのそれぞれは、その手の接触に応じた出力信号を出力する。
ここで、図6の(a)に示すように、モードAでは、正面対応領域111Bおよび背面対応領域111Cにおける把持の検出感度が高く、外周対応領域111Aにおける把持の検出感度は低い。したがって、正面対応領域111Bのセンサ線112bと、外周対応領域111Aのセンサ線112aと、背面対応領域111Cのセンサ線112cとのそれぞれからの出力信号の感度調整後の値は、例えば、100、50および100である。その結果、モードAでは、センサ回路122は、センサ線112a〜112cのそれぞれからの出力信号における感度調整後の値の合計値である250(=100+50+100)を検出する。
なお、この出力信号の感度調整後の値は、センサ線112a、112bまたは112cの静電容量に応じた値である。具体的には、センサ線112aからの出力信号の感度調整後の値は、増幅器Maによって増幅されたセンサ線112aからの出力信号が示す値、または、センサ線112aからの出力信号が示す値に第1の倍率を乗算することによって得られる値である。センサ線112bおよび112cについても同様に、センサ線からの出力信号の感度調整後の値は、増幅器によって増幅されたセンサ線からの出力信号が示す値、または、センサ線からの出力信号が示す値に第2の倍率を乗算することによって得られる値である。
一方、図6の(b)に示すように、モードBでは、外周対応領域111Aにおける把持の検出感度が高く、背面対応領域111Cおよび正面対応領域111Bにおける把持の検出感度は低い。したがって、正面対応領域111Bのセンサ線112bと、外周対応領域111Aのセンサ線112aと、背面対応領域111Cのセンサ線112cとのそれぞれからの出力信号の感度調整後の値は、例えば、50、100および50である。その結果、モードBでは、センサ回路122は、センサ線112a〜112cのそれぞれからの出力信号における感度調整後の値の合計値である200(=50+100+50)を検出する。
[接触把持状態]
また、ステアリングホイール200の接触状態が接触把持状態である場合、リム210の外周面を除く、背面および正面のそれぞれに運転者の手が接触する。その結果、外周対応領域111Aのセンサ線112a以外の、正面対応領域111Bのセンサ線112bおよび背面対応領域111Cのセンサ線112cのそれぞれは、その手の接触に応じた出力信号を出力する。
また、ステアリングホイール200の接触状態が接触把持状態である場合、リム210の外周面を除く、背面および正面のそれぞれに運転者の手が接触する。その結果、外周対応領域111Aのセンサ線112a以外の、正面対応領域111Bのセンサ線112bおよび背面対応領域111Cのセンサ線112cのそれぞれは、その手の接触に応じた出力信号を出力する。
ここで、図6の(a)に示すように、モードAでは、正面対応領域111Bおよび背面対応領域111Cにおける把持の検出感度が高く、外周対応領域111Aにおける把持の検出感度は低い。したがって、正面対応領域111Bのセンサ線112bと、外周対応領域111Aのセンサ線112aと、背面対応領域111Cのセンサ線112cとのそれぞれからの出力信号の感度調整後の値は、例えば、100、0および100である。その結果、モードAでは、センサ回路122は、センサ線112a〜112cのそれぞれからの出力信号における感度調整後の値の合計値である200(=100+0+100)を検出する。
一方、図6の(b)に示すように、モードBでは、外周対応領域111Aにおける把持の検出感度が高く、正面対応領域111Bおよび背面対応領域111Cにおける把持の検出感度は低い。したがって、正面対応領域111Bのセンサ線112bと、外周対応領域111Aのセンサ線112aと、背面対応領域111Cのセンサ線112cとのそれぞれからの出力信号における感度調整後の値は、例えば、50、0および50である。その結果、モードBでは、センサ回路122は、センサ線112a〜112cのそれぞれからの出力信号における感度調整後の値の合計値である100(=50+0+50)を検出する。
[脚接触状態]
また、ステアリングホイール200の接触状態が脚接触状態である場合、リム210の外周面のみに運転者の膝または太腿が接触する。その結果、正面対応領域111Bのセンサ線112bおよび背面対応領域111Cのセンサ線112c以外の、外周対応領域111Aのセンサ線112aは、その膝または太腿の接触に応じた出力信号を出力する。
また、ステアリングホイール200の接触状態が脚接触状態である場合、リム210の外周面のみに運転者の膝または太腿が接触する。その結果、正面対応領域111Bのセンサ線112bおよび背面対応領域111Cのセンサ線112c以外の、外周対応領域111Aのセンサ線112aは、その膝または太腿の接触に応じた出力信号を出力する。
ここで、図6の(a)に示すように、モードAでは、正面対応領域111Bおよび背面対応領域111Cにおける把持の検出感度が高く、外周対応領域111Aにおける把持の検出感度は低い。したがって、正面対応領域111Bのセンサ線112bと、外周対応領域111Aのセンサ線112aと、背面対応領域111Cのセンサ線112cとのそれぞれからの出力信号における感度調整後の値は、例えば、0、50および0である。その結果、モードAでは、センサ回路122は、センサ線112a〜112cのそれぞれからの出力信号における感度調整後の値の合計値である50(=0+50+0)を検出する。
一方、図6の(b)に示すように、モードBでは、外周対応領域111Aにおける把持の検出感度が高く、正面対応領域111Bおよび背面対応領域111Cにおける把持の検出感度は低い。したがって、正面対応領域111Bのセンサ線112bと、外周対応領域111Aのセンサ線112aと、背面対応領域111Cのセンサ線112cとのそれぞれからの出力信号における感度調整後の値は、例えば、0、100および0である。その結果、モードBでは、センサ回路122は、センサ線112a〜112cのそれぞれからの出力信号における感度調整後の値の合計値である100(=0+100+0)を検出する。
[非接触状態]
また、ステアリングホイール200の接触状態が非接触状態である場合、リム210の正面、外周面および背面には運転者は接触していない。したがって、モードAおよびモードBのいずれでも、センサ回路122は、センサ線112a〜112cのそれぞれからの出力信号における感度調整後の値の合計値である0(=0+0+0)を検出する。
また、ステアリングホイール200の接触状態が非接触状態である場合、リム210の正面、外周面および背面には運転者は接触していない。したがって、モードAおよびモードBのいずれでも、センサ回路122は、センサ線112a〜112cのそれぞれからの出力信号における感度調整後の値の合計値である0(=0+0+0)を検出する。
ここで、例えば、モードBに切り替えることなくモードAだけで、センサ回路122がステアリングホイール200の把持を検出する場合には、しっかり把持状態と接触把持状態とを区別して検出することが難しい。これは、図9に示すように、モードAでは、しっかり把持状態および接触把持状態において検出される感度調整後の出力信号の合計値が、250および200であって、それらの差が小さいからである。さらに、脚接触状態と非接触状態とを区別して検出することが難しい。これは、図9に示すように、モードAでは、脚接触状態および非接触状態において検出される感度調整後の出力信号の合計値が、50および0であって、それらの差が小さいからである。
また、例えば、モードAに切り替えることなくモードBだけで、センサ回路122がステアリングホイール200の把持を検出する場合には、接触把持状態と脚接触状態とを区別して検出することが難しい。これは、図9に示すように、モードBでは、接触把持状態および脚接触状態において検出される感度調整後の出力信号の合計値が、100および100であって、それらが略同じだからである。
そこで、本実施の形態におけるグリップセンサ100は、上述のようなモードAとモードBとを切り換える。これにより、ステアリングホイール200の接触状態を高い精度で特定することができる。
図10は、図8に示すセンサ回路122の処理動作を示すフローチャートである。
まず、センサ回路122は、正面対応領域111Bのセンサ線112bからの出力信号が示す値である出力値Sbと、外周対応領域111Aのセンサ線112aからの出力信号が示す値である出力値Saと、背面対応領域111Cのセンサ線112cからの出力信号が示す値である出力値Scとを計測する(ステップS11)。
次に、センサ回路122は、感度比をモードAに設定し、外周対応領域111Aの出力値Saに第1の倍率である0.5を乗算することによって、その出力値Saを更新する(ステップS12)。このとき、センサ回路122は、正面対応領域111Bおよび背面対応領域111Cの出力値SbおよびScに第2の倍率である1を乗算することによって、その出力値SbおよびScを更新してもよい。なお、この乗算では、出力値SbおよびScは変化しないため、その乗算を行わなくてもよい。
次に、センサ回路122は、出力値Sa〜Scの合計値ΣAを算出する(ステップS13)。そして、センサ回路122は、モードをモードAからモードBに切り換える(ステップS14)。このとき、センサ回路122は、外周対応領域111Aの出力値Saに2を乗算することによって、その出力値Saを更新する。なお、出力値Saは、ステップS12における0.5の乗算によって元の値から更新されている。したがって、ステップS14の処理は、その更新された出力値Saを元の値に戻す処理に相当する。言い換えれば、このステップS14の処理は、外周対応領域111Aの元の出力値Saに第2の倍率である1を乗算することによって、その出力値Saを更新する処理に相当する。
さらに、ステップS14では、センサ回路122は、正面対応領域111Bおよび背面対応領域111Cの出力値SbおよびScに第1の倍率である0.5を乗算することによって、その出力値SbおよびScを更新する。
次に、センサ回路122は、出力値Sa〜Scの合計値ΣBを算出する(ステップS15)。そして、センサ回路122は、ステップS13で算出された合計値ΣAが例えば100以下であるか否かを判定する(ステップS16)。ここで、合計値ΣAが100よりも大きいと判定すると(ステップS16のNo)、センサ回路122は把持信号を出力する(ステップS20)。すなわち、センサ回路122は、ステアリングホイール200の接触状態として、しっかり把持状態または接触把持状態を特定し、その特定結果を示す把持信号を出力する。
一方、合計値ΣAが100以上であると判定すると(ステップS16のYes)、センサ回路122は、さらに、ステップS15で算出された合計値ΣBが50以上であるか否かを判定する(ステップS17)。ここで、合計値ΣBが50未満であると判定すると(ステップS17のNo)、センサ回路122は、非接触信号を出力する(ステップS19)。すなわち、センサ回路122は、ステアリングホイール200の接触状態として、非接触状態を特定し、その特定結果を示す非接触信号を出力する。一方、合計値ΣBが50以上であると判定すると(ステップS17のYes)、センサ回路122は、脚接触信号を出力する(ステップS18)。すなわち、センサ回路122は、ステアリングホイール200の接触状態として、脚接触状態を特定し、その特定結果を示す脚接触信号を出力する。
次に、センサ回路122は、接触状態を特定する処理の終了条件が満たされたか否かを判定する(ステップS21)。終了条件が満たされたと判定すると(ステップS21のYes)、センサ回路122は、ステアリングホイール200の接触状態を特定する処理を終了する。一方、終了条件が満たされていないと判定すると(ステップS21のNo)、センサ回路122は、ステップS11からの処理を繰り返し実行する。なお、終了条件は、グリップセンサ100のスイッチがオフにされたこと、または、車両1のイグニッションスイッチがオフにされたことなどである。
なお、図10に示すフローチャートでは、しっかり把持状態と接触把持状態とをそれぞれ区別することなく、ステアリングホイール200が把持されている状態を特定している。しかし、しっかり把持状態と接触把持状態とをそれぞれ区別して特定してもよい。例えば、センサ回路122は、ステップS16において、合計値ΣAが100よりも大きいと判定すると(ステップS16のNo)、合計値ΣBが150よりも大きいか否かを判定する。ここで、合計値ΣBが150よりも大きいと判定すると、センサ回路122は、ステアリングホイール200の接触状態として、しっかり把持状態を特定し、その特定結果を示すしっかり把持信号を出力する。一方、合計値ΣBが150以下であると判定すると、センサ回路122は、ステアリングホイール200の接触状態として、接触把持状態を特定し、その特定結果を示す接触把持信号を出力する。
これにより、モードAまたはモードBだけではステアリングホイール200の接触状態を容易に特定することが難しくても、モードAとモードBとを切り替えることによって、その接触状態を容易に特定することができる。例えば、上述のように、モードAだけでは、しっかり把持状態と接触把持状態とを区別することが難しく、さらに、脚接触状態と非接触状態とを区別することが難しい。また、モードBだけでは、接触把持状態と脚接触状態とを区別することが難しい。しかし、モードAとモードBとを切り替えることによって、それらを容易に区別して特定することができる。例えば、モードAにおける合計値ΣAが100以下で、かつ、モードBにおける合計値ΣBが50以上であれば、接触把持状態および非接触状態と明確に区別して、脚接触状態であることを容易に特定することができる。
(比較例)
本実施の形態では、モードAおよびモードBのそれぞれにおいて、外周対応領域111Aのセンサ線112aの感度と、正面対応領域111Bおよび背面対応領域111Cのセンサ線112bおよび112cの感度とを異ならせている。これにより、ステアリングホイール200の接触状態を容易に特定することができる。そこで、外周対応領域111Aのセンサ線112aの感度と、正面対応領域111Bおよび背面対応領域111Cのセンサ線112bおよび112cの感度とが等しいモード(以下、比較モードという)を例にあげて、本実施の形態における効果を説明する。
本実施の形態では、モードAおよびモードBのそれぞれにおいて、外周対応領域111Aのセンサ線112aの感度と、正面対応領域111Bおよび背面対応領域111Cのセンサ線112bおよび112cの感度とを異ならせている。これにより、ステアリングホイール200の接触状態を容易に特定することができる。そこで、外周対応領域111Aのセンサ線112aの感度と、正面対応領域111Bおよび背面対応領域111Cのセンサ線112bおよび112cの感度とが等しいモード(以下、比較モードという)を例にあげて、本実施の形態における効果を説明する。
図11は、モードAおよびモードBのそれぞれでセンサ回路122によって検出される静電容量に応じた値と、比較モードによって検出される静電容量に応じた値との比較例を示す図である。なお、図11に示す静電容量に応じた値は、理想的な状態における値である。
理想的な状態では、リム210の何れかの領域に手または脚が接触した場合には、その領域にあるセンサ線からは100を示す出力信号が出力され、他の領域にあるセンサ線からは0を示す出力信号が出力される。したがって、モードAおよびモードBでは、図9に示す例と同様の合計値、すなわち、センサ線112a〜112cのそれぞれからの出力信号の感度調整後の値の合計値が得られる。
このとき、モードAにおける出力信号の感度調整後の値の合計値、すなわち図10に示す合計値ΣAが100〜150以下で、かつ、モードBにおける出力信号の感度調整後の値の合計値、すなわち図10に示す合計値ΣBが50以上であれば、センサ回路122は、ステアリングホイール200の接触状態として、脚接触状態を高精度に特定することができる。
一方、比較モードでは、外周対応領域111A、正面対応領域111Bおよび背面対応領域111Cにおける把持の検出感度は等しい。すなわち、増幅器Ma〜Mbの増幅率は1であり、または、第1の倍率および第2の倍率は1である。言い換えれば、比較モードでは、出力信号に対する感度調整が行われない。
したがって、ステアリングホイール200の接触状態がしっかり把持状態である場合、正面対応領域111Bのセンサ線112bと、外周対応領域111Aのセンサ線112aと、背面対応領域111Cのセンサ線112cとのそれぞれからの出力信号の値は、例えば、100、100および100である。その結果、センサ回路122は、センサ線112a〜112cのそれぞれからの出力信号の値の合計値である300(=100+100+100)を検出する。
また、ステアリングホイール200の接触状態が接触把持状態である場合、正面対応領域111Bのセンサ線112bと、外周対応領域111Aのセンサ線112aと、背面対応領域111Cのセンサ線112cとのそれぞれからの出力信号の値は、例えば、100、0および100である。その結果、センサ回路122は、センサ線112a〜112cのそれぞれからの出力信号の値の合計値である200(=100+0+100)を検出する。
また、ステアリングホイール200の接触状態が脚接触状態である場合、正面対応領域111Bのセンサ線112bと、外周対応領域111Aのセンサ線112aと、背面対応領域111Cのセンサ線112cとのそれぞれからの出力信号の値は、例えば、0、100および0である。その結果、センサ回路122は、センサ線112a〜112cのそれぞれからの出力信号の値の合計値である100(=0+100+0)を検出する。
また、ステアリングホイール200の接触状態が非接触状態である場合、正面対応領域111Bのセンサ線112bと、外周対応領域111Aのセンサ線112aと、背面対応領域111Cのセンサ線112cとのそれぞれからの出力信号の値は、例えば、0、0および0である。その結果、センサ回路122は、センサ線112a〜112cのそれぞれからの出力信号の値の合計値である0(=0+0+0)を検出する。
このように、比較モードでは、しっかり把持状態における合計値(300)と、接触把持状態における合計値(200)と、脚接触状態における合計値(100)と、非接触状態における合計値(0)とは、それぞれ互いに100以上の差がある。したがって、理想的な状態では、比較モードであっても、脚接触状態を高精度に特定することができる。また、脚接触状態では、正面対応領域111Bにおける出力信号の値は0であり、外周対応領域111Aにおける出力信号の値は100であり、背面対応領域111Cにおける出力信号の値は0である。つまり、各領域における出力信号の値は100以上の差がある。したがって、理想的な状態では、これらの出力信号の値を加算しなくても、それらの値だけから、脚接触状態を高精度に特定することができる。
しかし、実際には、上述のような理想的な状態が生じることは稀であり、各出力信号の値はばらつきを有する。このばらつきを考慮すると、比較モードだけでは、脚接触状態を高精度に特定することはできない。
図12は、モードAおよびモードBのそれぞれでセンサ回路122によって検出される静電容量に応じた値と、比較モードによって検出される静電容量に応じた値との他の比較例を示す図である。なお、図12に示す静電容量に応じた値は、ばらつきを有する。
例えば、接触把持状態では、リム210の外周面には手は触れられていないが、実際には、外周面に掌が接近している。したがって、外周対応領域111Aのセンサ線112aからは、例えば30を示す出力信号が出力される。これにより、モードAでは、外周対応領域111Aからの出力信号の値は1/2に感度調整されるため、感度調整後の出力信号の値は15になる。その結果、接触把持状態において、モードAでは、各出力信号の感度調整後の値の合計値は215(100+15+100)になる。
また、モードBでは、外周対応領域111Aからの出力信号の値は、1の増幅率または倍率によって感度調整されるため、その出力信号の値は30に維持される。その結果、接触把持状態において、モードBでは、各出力信号の感度調整後の値の合計値は130(50+30+50)になる。
一方、比較モードでは、外周対応領域111Aからの出力信号の値は感度調整されないため、その出力信号の値は30に維持される。その結果、接触把持状態において、比較モードでは、各出力信号の値の合計値は230(100+30+100)になる。
また、脚接触状態では、リム210の正面および背面には脚は触れられていないが、実際には、正面および背面に脚が接近している。したがって、正面対応領域111Bのセンサ線112bおよび背面対応領域111Cのセンサ線112cからは、例えば30を示す出力信号が出力される。これにより、モードAでは、正面対応領域111Bおよび背面対応領域111Cからの出力信号の値は、1の増幅率または倍率によって感度調整されるため、それぞれの感度調整後の出力信号の値は30になる。その結果、脚接触状態において、モードAでは、各出力信号の感度調整後の値の合計値は110(30+50+30)になる。
また、モードBでは、正面対応領域111Bおよび背面対応領域111Cからの出力信号の値は1/2に感度調整されるため、それぞれの感度調整後の出力信号の値は15になる。その結果、脚接触状態において、モードBでは、各出力信号の感度調整後の値の合計値は130(15+100+15)になる。
一方、比較モードでは、正面対応領域111Bおよび背面対応領域111Cのそれぞれからの出力信号の値は感度調整されないため、それらの出力信号の値は30に維持される。その結果、脚接触状態において、比較モードでは、各出力信号の値の合計値は160(30+100+30)になる。
このような、ばらつきを考慮した場合でも、モードAでは、接触把持状態における合計値(215)と、脚接触状態における合計値(110)との差は105もある。さらに、モードBでは、脚接触状態における合計値(130)と、非接触状態における合計値(0)との差は130もある。したがって、モードAにおける出力信号の感度調整後の値の合計値、すなわち図10に示す合計値ΣAが150以下で、かつ、モードBにおける出力信号の感度調整後の値の合計値、すなわち図10に示す合計値ΣBが50以上であれば、センサ回路122は、ステアリングホイール200の接触状態として、脚接触状態を高精度に特定することができる。
一方、比較モードでは、接触把持状態における合計値(230)と、脚接触状態における合計値(160)との差は、70しかない。したがって、ばらつきを考慮した場合には、比較モードでは、脚接触状態を容易に特定することができない。また、脚接触状態では、正面対応領域111Bにおける出力信号の値は30であり、外周対応領域111Aにおける出力信号の値は100であり、背面対応領域111Cにおける出力信号の値は30である。つまり、各領域における出力信号の値の差は、70しかない。したがって、ばらつきを考慮した場合には、これらの各領域における出力信号の値を加算しなくても、脚接触状態を容易に特定することはできない。
このように、本実施の形態では、モードAおよびモードBを切り替えることによって、比較モードでは容易にはできない、ステアリングホイール200の接触状態の高精度な特定を行うことができる。
(まとめ)
以上のように、本実施の形態におけるグリップセンサ100は、ステアリングホイール200のリム210に取り付けられる基材111と、それぞれ導電性を有し、基材111に配置されるセンサ線112a〜112cと、センサ線112a〜112cに電気的に接続され、ステアリングホイール200の接触状態を検出するセンサ回路122とを備える。センサ回路122は、センサ線112aの感度と、センサ線112bおよび112cの感度との比率である感度比を、第1の感度比と第2の感度比とに切り換える。そして、センサ回路122は、第1の感度比におけるセンサ線112a〜112cのそれぞれからの出力信号と、第2の感度比におけるセンサ線112a〜112cのそれぞれからの出力信号とに基づいて、ステアリングホイール200の接触状態を特定する。
以上のように、本実施の形態におけるグリップセンサ100は、ステアリングホイール200のリム210に取り付けられる基材111と、それぞれ導電性を有し、基材111に配置されるセンサ線112a〜112cと、センサ線112a〜112cに電気的に接続され、ステアリングホイール200の接触状態を検出するセンサ回路122とを備える。センサ回路122は、センサ線112aの感度と、センサ線112bおよび112cの感度との比率である感度比を、第1の感度比と第2の感度比とに切り換える。そして、センサ回路122は、第1の感度比におけるセンサ線112a〜112cのそれぞれからの出力信号と、第2の感度比におけるセンサ線112a〜112cのそれぞれからの出力信号とに基づいて、ステアリングホイール200の接触状態を特定する。
これにより、第1の感度比または第2の感度比だけでは、ステアリングホイール200の接触状態を特定し難くても、これらの感度比が切り換えられるため、そのステアリングホイール200の接触状態を容易に、かつ明確に特定することができる。つまり、第1の感度比と第2の感度比とでは、基材111における検出感度分布が異なる。したがって、感度比の切り換えによって、その検出感度分布が切り換えられる。本実施の形態におけるグリップセンサ100では、その検出感度分布の違いを利用することによって、そのステアリングホイール200の接触状態を容易に、かつ明確に特定することができる。例えば、接触把持状態および非接触状態と明確に区別して、脚接触状態を容易に特定することができる。その結果、誤検知の発生を抑えることができる。
(変形例1)
上記実施の形態では、基材111における外周対応領域111Aは、リム210における脚対向部に配置されるが、背面対応領域111Cが、脚対向部に配置されてもよい。本変形例では、脚対向部は、リム210の背面であり、非対向部は、リム210の正面と外周面とを含む。
上記実施の形態では、基材111における外周対応領域111Aは、リム210における脚対向部に配置されるが、背面対応領域111Cが、脚対向部に配置されてもよい。本変形例では、脚対向部は、リム210の背面であり、非対向部は、リム210の正面と外周面とを含む。
図13は、本変形例に係るステアリングホイール200のリム210と運転者との位置関係を説明するための図である。
車両1がトラックまたはバスなどの大型車両である場合、車両1が乗用車である場合よりも、ステアリングホイール200は、リム210の正面が鉛直方向上向きに向くように車両1に取り付けられている。したがって、この場合には、基材111における外周対応領域111Aではなく背面対応領域111Cが、運転者Dの膝または太腿に対向する。一方、基材111における外周対応領域111Aは、運転者Dの腹部側に向けられ、基材111における正面対応領域111Bは、鉛直方向上向きに向けられる。
したがって、車両1が大型車両である場合には、背面対応領域111Cに、運転者の膝または太腿が接近する。そこで、本変形例に係るグリップセンサ100では、センサ回路122は、背面対応領域111Cのセンサ線112cの感度と、外周対応領域111Aおよび正面対応領域111Bのセンサ線112aおよび112bの感度との比率である感度比を、第1の感度比と第2の感度比とに切り換える。つまり、本変形例では、センサ線112cが、上述の第1のセンサ部材の一例であり、センサ線112aおよび112bが、上述の第2のセンサ部材の一例である。
図14は、本変形例に係る第1のセンサ部110aまたは第2のセンサ部110bの基材111における各領域の検出感度を示す図である。
センサ回路122は、センサ線112cの感度と、センサ線112aおよび112bの感度との比率である感度比を、第1の感度比、すなわちモードAに切り換える。モードAでは、図14の(a)に示すように、センサ線112aおよび112bが配置されている外周対応領域111Aおよび正面対応領域111Bにおける把持の検出感度が高い。逆に、センサ線112cが配置されている背面対応領域111Cにおける把持の検出感度は低い。
ここで、センサ回路122は、センサ線112cの感度と、センサ線112aおよび112bの感度との比率である感度比を、第2の感度比、すなわちモードBに切り換える。モードBでは、図14の(b)に示すように、センサ線112aおよび112bが配置されている外周対応領域111Aおよび正面対応領域111Bにおける把持の検出感度が低い。逆に、センサ線112cが配置されている背面対応領域111Cにおける把持の検出感度は高い。
変形例1では、図9における出力信号の値のうち、接触把持状態の場合のみ、値が異なる。すなわち、運転者Dが指先でリム210を摘んだ場合、モードAであれば、正面対応領域111Bの出力信号の値は100、外周対応領域111Aの出力信号の値は0、背面対応領域111Cの出力信号の値は50となるため、これらの出力信号の合計値ΣAは150となる。一方、モードBであれば、正面対応領域111Bの出力信号の値は50、外周対応領域111Aの出力信号の値は0、背面対応領域111Cの出力信号の値は100となるため、これらの出力信号の合計値ΣBも150となる。ゆえに、ステアリングホイール200の接触状態として、しっかり把持状態と接触把持状態とをそれぞれ区別して検出する際には、合計値ΣAが例えば200より大きいか否かを比較すればよい。
このように、基材111における各領域の検出感度が切り換えられるため、上記実施の形態と同様、車両1が大型車両であっても、ステアリングホイール200の接触状態を高い精度で検出することができる。
(変形例2)
上記実施の形態では、センサ回路122は、第1のセンサ部110aに対する感度比(すなわちモード)の切り換えと、第2のセンサ部110bに対する感度比の切り換えとを、それぞれ同じように実行する。本変形例では、センサ回路122は、第1のセンサ部110aおよび第2のセンサ部110b(複数のセンサ部)のうち、運転者Dの膝または太腿に対向するセンサ部に対する感度比のみを切り換える。
上記実施の形態では、センサ回路122は、第1のセンサ部110aに対する感度比(すなわちモード)の切り換えと、第2のセンサ部110bに対する感度比の切り換えとを、それぞれ同じように実行する。本変形例では、センサ回路122は、第1のセンサ部110aおよび第2のセンサ部110b(複数のセンサ部)のうち、運転者Dの膝または太腿に対向するセンサ部に対する感度比のみを切り換える。
つまり、本変形例に係るセンサ回路122は、ステアリングホイール200の舵角を示す舵角信号に基づいて、複数のセンサ部と、ステアリングホイール200を操作する運転者Dとの間の位置関係を特定する。この位置関係の特定は、第1のセンサ部110aおよび第2のセンサ部110bのそれぞれに対して行われる。
そして、センサ回路122は、その位置関係に基づいて特定された運転者Dの膝または太腿に対向するセンサ部のみ、感度比を、第1の感度比と第2の感度比とに切り換える。
具体的には、舵角信号が示す舵角が例えば90度未満である場合には、図4および図5に示すように、第1のセンサ部110aのみが運転者Dの膝または太腿に対向し、第2のセンサ部110bは運転者Dの膝または太腿に対向しない。したがって、センサ回路122は、第1のセンサ部110aのみに対して感度比の切り換えを行い、その切り換えられた感度比における出力信号に基づいて、ステアリングホイール200の接触状態を特定する。一方、センサ回路122は、第2のセンサ部110bに対しては感度比の切り換えを行わず、センサ線112a〜112cからの出力信号に基づいて、ステアリングホイール200の接触状態を特定する。つまり、第2のセンサ部110bにおけるセンサ線112a〜112cはいずれも、上述の舵角では、運転者の膝または太腿に対向することはない。したがって、第2のセンサ部110bに対して脚接触状態を検出または特定する必要がない。そこで、上述のように、第2のセンサ部110bに対しては感度比の切り換えを行わない。
また、舵角信号が示す舵角が例えば90度を超える場合には、第2のセンサ部110bのみが運転者Dの膝または太腿に対向し、第1のセンサ部110aは運転者Dの膝または太腿に対向しない。したがって、センサ回路122は、第2のセンサ部110bのみに対して感度比の切り換えを行い、その切り換えられた感度比における出力信号に基づいて、ステアリングホイール200の接触状態を特定する。一方、センサ回路122は、第1のセンサ部110aに対しては感度比の切り換えを行わず、センサ線112a〜112cからの出力信号に基づいて、ステアリングホイール200の接触状態を特定する。つまり、第1のセンサ部110aにおけるセンサ線112a〜112cはいずれも、上述の舵角では、運転者の膝または太腿に対向することはない。したがって、第1のセンサ部110aに対して脚接触状態を検出または特定する必要がない。そこで、上述のように、第1のセンサ部110aに対しては感度比の切り換えを行わない。
これにより、感度比、すなわちモードの切り換えは、センサ群110に含まれる全てのセンサ部に対して行われず、少なくとも1つのセンサ部のみに対して行われるため、センサ回路122における処理負担を軽減することができる。
なお、複数のセンサ部が同時に運転者Dの膝または太腿に対向する位置関係である場合は、センサ回路122は、それらのセンサ部に対して感度比の切り換えを行う。
また、本変形例では、センサ群110は、第1のセンサ部110aおよび第2のセンサ部110b、つまり2つのセンサ部からなるが、3つ以上のセンサ部から構成されていてもよい。この場合には、3つ以上のセンサ部のうちの上記所定の条件を満たす少なくとも1つのセンサ部のみに対して、感度比の切り換えを行ってもよい。
(変形例3)
上記実施の形態では、グリップセンサ100の制御回路部120は電源部121を備えているが、その電源部121を備えていなくてもよい。
上記実施の形態では、グリップセンサ100の制御回路部120は電源部121を備えているが、その電源部121を備えていなくてもよい。
図15は、本変形例に係るグリップセンサの構成例を示す図である。
本変形例に係るグリップセンサ100aは、制御回路部120の代わりに、制御回路部120aを備えている。
制御回路部120aは、電源部121を備えていない。したがって、センサ線112a〜112cのそれぞれの両端のうちの一方は、センサ回路122に接続され、他方の端cは、電源部121に接続されずに開放されている。
この場合には、グリップセンサ100aは、センサ線112a〜112cを加熱して、ステアリングホイール200のリム210を温めるヒータとしての機能を持たない。しかし、このようなグリップセンサ100aであっても、上記実施の形態と同様の効果を奏することができる。
(その他の変形例)
以上、一つまたは複数の態様に係るグリップセンサについて、実施の形態およびその変形例に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態およびその変形例に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態またはその変形例に施したものや、異なる変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれてもよい。
以上、一つまたは複数の態様に係るグリップセンサについて、実施の形態およびその変形例に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態およびその変形例に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態またはその変形例に施したものや、異なる変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれてもよい。
例えば、上記実施の形態およびその変形例では、センサ線112a〜112cは金属線からなるが、センサ線112a〜112cは略一定幅を有する金属箔や導電性シートなどから構成されていてもよい。また、センサ線112a〜112cは、導電性を有する素材によって形成されていればよく、その素材は金属に限定されない。
上記実施の形態およびその変形例では、センサ線112a〜112cは、それぞれジグザグ状に形成されているが、その形状に限定されることなく、どのような形状に形成されてもよい。
また、上記実施の形態およびその変形例では、運転者の手による把持を検出するが、運転者以外の人の手による把持を検出してもよい。
また、上記実施の形態およびその変形例では、正面対応領域111Bが、基材111におけるY軸方向の正側にあり、背面対応領域111Cが、基材111におけるY軸方向の負側にある。しかし、逆に、正面対応領域111Bが、基材111におけるY軸方向の負側にあり、背面対応領域111Cが、基材111におけるY軸方向の正側にあってもよい。この場合にも、正面対応領域111Bは、リム210の正面に配置され、背面対応領域111Cは、リム210の背面に配置される。
また、上記実施の形態およびその変形例では、センサ群110は、第1のセンサ部110aおよび第2のセンサ部110bの2つの分離されたユニットからなるが、一体に構成されていてもよい。また、本実施の形態およびその変形例では、第1のセンサ部110aと第2のセンサ部110bとは実質的に同一の構成を有するが、互いに異なる構成を有していてもよい。また、本実施の形態およびその変形例では、センサ群110に含まれる全てのセンサ部、またはそれらのセンサ部から選択された少なくとも1つのセンサ部に対して、感度比の切り換えが行われる。しかし、その全てのセンサ部のうち、運転者Dの膝または太腿に対向する可能性がないセンサ部に対しては、感度比の切り換えを行わなくてもよい。これにより、センサ回路122の構成または処理を簡単にすることができる。
また、上記実施の形態およびその変形例では、図1の左側のスポーク202にハーネス130と制御回路部120が埋設されているが、この構成に限定されるものではなく、ハーネス130と制御回路部120は、右側または下側のスポーク202に埋設されていてもよい。さらに、ハーネス130は、1ヶ所のスポーク202に埋設される構成に限定されるものではなく、例えば第1のセンサ部110aと第2のセンサ部110bのハーネス130がそれぞれ別のスポーク202に埋設されてもよい。
また、上記実施の形態では、図10に示すステップS16において用いられる閾値(すなわち100)と、ステップS17において用いられる閾値(すなわち50)とは異なっているが、同じにしてもよい。例えば、モードBでは、外周対応領域111Aにおける感度と、正面対応領域111Bおよび背面対応領域111Cにおける感度との比率である感度比は、2:1である。モードBにおいて、この感度比を維持した状態で、センサ線112a〜112cの出力信号に対する増幅率または倍率を2倍に変更する。つまり、センサ線112aの出力信号に対する増幅率または倍率を1から2に変更し、センサ線112bおよび112cのそれぞれの出力信号に対する増幅率または倍率を0.5から1に変更する。これにより、図10に示すステップS17において用いられる閾値を、ステップS16において用いられる閾値と同じ100に設定することができる。
本発明のグリップセンサは、誤検知の発生を抑えることができるという効果を有し、例えば、車両のステアリングホイールなどに適用可能である。
1 車両
100、100a グリップセンサ
110 センサ群
111 基材
111A 外周対応領域
111B 正面対応領域
111C 背面対応領域
112a〜112c センサ線
120、120a 制御回路部
121 電源部
122 センサ回路
122a 加算器
122b 制御部
200 ステアリングホイール
201 リム
202 スポーク
301 スピーカ
302 表示装置
Ma〜Mc 増幅器
100、100a グリップセンサ
110 センサ群
111 基材
111A 外周対応領域
111B 正面対応領域
111C 背面対応領域
112a〜112c センサ線
120、120a 制御回路部
121 電源部
122 センサ回路
122a 加算器
122b 制御部
200 ステアリングホイール
201 リム
202 スポーク
301 スピーカ
302 表示装置
Ma〜Mc 増幅器
Claims (11)
- ステアリングホイールのリムに取り付けられる基材と、
それぞれ導電性を有し、前記基材に配置される第1のセンサ部材および第2のセンサ部材と、
前記第1のセンサ部材および前記第2のセンサ部材に電気的に接続され、前記ステアリングホイールの接触状態を検出するセンサ回路とを備え、
前記センサ回路は、
前記第1のセンサ部材の感度と前記第2のセンサ部材の感度との比率である感度比を、第1の感度比と第2の感度比とに切り換え、
前記第1の感度比における前記第1のセンサ部材および第2のセンサ部材のそれぞれからの出力信号と、前記第2の感度比における前記第1のセンサ部材および第2のセンサ部材のそれぞれからの出力信号とに基づいて、前記ステアリングホイールの接触状態を特定する
グリップセンサ。 - 前記センサ回路は、
前記第1のセンサ部材からの出力信号を増幅する第1の増幅器と、
前記第2のセンサ部材からの出力信号を増幅する第2の増幅器と、
前記第1の増幅器および前記第2の増幅器のうちの少なくとも一方の増幅率を変化させることによって、前記感度比を、前記第1の感度比と第2の感度比とに切り換える制御部とを備える
請求項1に記載のグリップセンサ。 - 前記センサ回路は、さらに、
前記第1の増幅器によって増幅された出力信号と、前記第2の増幅器によって増幅された出力信号とを加算して加算信号を出力する加算器を備え、
前記制御部は、
前記加算器から出力される加算信号に基づいて、前記ステアリングホイールの接触状態を特定する
請求項2に記載のグリップセンサ。 - 前記センサ回路は、
前記第1のセンサ部材からの出力信号によって示される値に第1の倍率を乗算し、
前記第2のセンサ部材からの出力信号によって示される値に第2の倍率を乗算し、
前記第1の倍率および前記第2の倍率のうちの少なくとも一方の倍率を変化させることによって、前記感度比を、前記第1の感度比と第2の感度比とに切り換える
請求項1に記載のグリップセンサ。 - 前記センサ回路は、
前記第1の倍率の乗算によって得られる値と、前記第2の倍率の乗算によって得られる値との和を算出し、算出された前記和に基づいて、前記ステアリングホイールの接触状態を特定する
請求項4に記載のグリップセンサ。 - 前記第1のセンサ部材および前記第2のセンサ部材のそれぞれは、導電線からなる
請求項1〜5の何れか1項に記載のグリップセンサ。 - 前記グリップセンサは、
前記第1のセンサ部材および前記第2のセンサ部材を含むセンサ部を複数備え、
前記センサ回路は、
前記ステアリングホイールの舵角を示す舵角信号に基づいて、複数の前記センサ部と、前記ステアリングホイールを操作する運転者との間の位置関係を特定し、
前記位置関係に基づいて特定された前記運転者の膝または太腿に対向する前記センサ部のみ、前記感度比を、前記第1の感度比と第2の感度比とに切り換える
請求項1〜6の何れか1項に記載のグリップセンサ。 - 前記第1のセンサ部材と前記第2のセンサ部材とは、それぞれジグザグ状に前記基材に配置されている
請求項6に記載のグリップセンサ。 - 前記グリップセンサは、さらに、
前記第1のセンサ部材および前記第2のセンサ部材のそれぞれに電気的に接続され、前記第1のセンサ部材および前記第2のセンサ部材のそれぞれに電流を流すことによって前記第1のセンサ部材および前記第2のセンサ部材のそれぞれを加熱する電源部を備える
請求項1〜8の何れか1項に記載のグリップセンサ。 - 請求項1〜9の何れか1項に記載のグリップセンサを備える
ステアリングホイール。 - 請求項10に記載のステアリングホイールを備える
車両。
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JP2021046030A (ja) * | 2019-09-17 | 2021-03-25 | 本田技研工業株式会社 | 車両制御システム |
-
2017
- 2017-03-21 JP JP2017055117A patent/JP2018154316A/ja active Pending
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