JP2020152365A - ステアリングヒータ - Google Patents

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Abstract

【課題】基材の伸縮性を向上させることで、ステアリングホイールの内周側に配置される基材の皺の発生を抑制することができるステアリングヒータを提供する。【解決手段】ステアリングヒータ11は、ステアリングホイール200に巻き付けられる基材11aと、電流が流れることによって発熱するヒータ線11bと、ヒータ線11bを基材11aの一面に縫製する縫製糸11cとを備え、基材11aには、ヒータ線11bを縫製する縫製糸11cの縫い目の縫製ピッチよりも小さい径の貫通孔11a1が複数形成される。【選択図】図5

Description

本開示は、例えば車両のステアリングホイールに巻き付けられるステアリングヒータに関する。
従来、発泡ウレタン樹脂を用いた基材と、基材上に配設されるコード状ヒータとからなるヒータ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。ヒータ装置は、ステアリングホイールのホイール部に設置される。
特開2011−121477号公報 特開2017−216240号公報
しかし、上記の基材を構成する発泡ウレタン樹脂等の高分子発泡体は柔らかいため、人がステアリングホイールを把持した時に違和感を覚えることがある。このため、適度な硬さを有し、かつ、低コストな不織布を基材に使用し、ヒータ線をこの基材に縫製する構成が考えられる。この場合、ヒータ線が縫製された基材をステアリングホイールに巻き付ける際、ステアリングホイールの内周側とステアリングホイールの外周側との周長差によって、ステアリングホイールの内周側では、基材に皺が寄り易くなる。基材に皺が寄れば、ステアリングホイールの内周側に配置されるヒータ線が基材の表面から飛び出してしまい、想定している位置と異なる位置にヒータ線が配置されてしまう。このため、ヒータ線が短絡したり、外観不良が生じたりすることがある。これに対し、ステアリングホイールの内周側の基材に皺が寄らないようにステアリングホイールの外周側を伸ばしてステアリングホイールに巻き付ければよいが、硬い基材を用いた場合には、ステアリングホイールの外周側を伸ばし難い。
そこで、本開示は、基材の伸縮性を向上させることで、ステアリングホイールの内周側に配置される基材の皺の発生を抑制することができるステアリングヒータを提供する。
本開示の一態様に係るステアリングヒータは、ステアリングホイールに巻き付けられる基材と、電流が流れることによって発熱するヒータ線と、前記ヒータ線を前記基材の一面に縫製する縫製糸とを備え、前記基材には、前記ヒータ線を縫製する前記縫製糸の縫い目の縫製ピッチよりも小さい径の貫通孔が複数形成されている。
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、方法、又は集積回路の任意な組み合わせで実現されてもよい。
本開示は、基材の伸縮性を向上させることで、ステアリングホイールの内周側に配置される基材の皺の発生を抑制することができる。
図1は、実施の形態1係るグリップセンサが配置された車両の車室の一例を示す図である。 図2は、実施の形態1係るグリップセンサを示す正面図である。 図3は、図1のIII−III線におけるグリップセンサのステアリングヒータが巻き付けられたリムの断面を示す断面図と、リムの一部分を拡大した部分拡大断面図である。 図4は、実施の形態1係るグリップセンサのステアリングヒータの基材を示す正面図である。 図5は、実施の形態1係るグリップセンサのステアリングヒータを示す部分拡大正面図である。 図6は、ステアリングヒータのさらなる部分拡大上面図、及び、図6の一点鎖線で示すVI−VI線におけるステアリングヒータの断面図である。 図7は、実施の形態2におけるグリップセンサが配置された車両の車室の一例を示す図である。 図8は、実施の形態2におけるステアリングヒータの構成の一例を示す図である。 図9は、実施の形態2における電極部が取り付けられたリムの断面の一例を示す図である。 図10は、実施の形態2における電極部のリムへの巻き付け方を示す図である。 図11は、実施の形態2における検出感度を説明するための図である。 図12は、実施の形態2の変形例1に係る第1基材の先端部及び第2基材の先端部の一例を示す図である。 図13Aは、実施の形態2の変形例1に係る第1基材の先端部及び第2基材の先端部の他の例を示す図である。 図13Bは、実施の形態2の変形例1に係る第1センサ電極及び第2センサ電極に流れる電流の向きを示す図である。 図14は、実施の形態2の変形例2に係る第1基材の先端部及び第2基材の先端部の一例を示す図である。 図15は、実施の形態2の変形例3に係るステアリングヒータの構成の一例を示す図である。 図16は、実施の形態3における電極部をリムに巻き付ける前及び巻き付けた後の、電極部の様子を示す図である。 図17は、実施の形態3における電極部をリムへの巻き付ける前と巻き付けた後との、指と第1センサ電極及び第2センサ電極との重畳面積の一例を示す図である。
本開示の一態様に係るステアリングヒータは、ステアリングホイールに巻き付けられる基材と、電流が流れることによって発熱するヒータ線と、前記ヒータ線を前記基材の一面に縫製する縫製糸とを備え、前記基材には、前記ヒータ線を縫製する前記縫製糸の縫い目の縫製ピッチよりも小さい径の貫通孔が複数形成されている。
従来の基材よりも硬い素材を基材に用いた場合であっても、基材に複数の貫通孔を形成することで、基材を伸ばし易くなる。つまり、ステアリングホイールの外周側では基材が伸び易くなる。さらに、ステアリングホイールの内周側では複数の貫通孔が基材に生じる皺を吸収することもできる。
また、貫通孔の径は、ヒータ線を縫製する際の縫製ピッチよりも小さいため、縫製時のミシン針が貫通孔に嵌るという空打ちの可能性を抑制することができる。
したがって、基材の伸縮性を向上させることで、ステアリングホイールの内周側に配置される基材の皺の発生を抑制することができる。その結果、このステアリングヒータでは、ヒータ線の短絡、外観不良等を低減することができる。さらに、作業者がステアリングホイールにステアリングヒータを巻き付け易くなり、作業性が向上する。
本開示の他の態様に係るステアリングヒータにおける、前記基材が前記ステアリングホイールに巻き付けられた場合において、前記ステアリングホイールの外周側に位置する前記基材に形成されている前記貫通孔の数は、前記ステアリングホイールの内周側に位置する前記基材に形成されている前記貫通孔の数よりも多い。
これによれば、ステアリングホイールの外周側に位置する基材は、ステアリングホイールの内周側に位置する基材よりも伸び易くなる。このため、作業者がステアリングホイールにステアリングヒータを巻き付け易くなり、より作業性が向上する。
また、ステアリングホイールの外周側に形成される複数の貫通孔よりも、周長が短いステアリングホイールの内周側に形成される複数の貫通孔の数を減らしているため、基材に対して不必要な鑽孔を行わなくてもよい。このため、基材強度の低下を抑制することができる。
本開示の他の態様に係るステアリングヒータにおける、前記基材が前記ステアリングホイールに巻き付けられた場合において、前記ステアリングホイールの外周側に位置する前記基材における単位面積当たりの前記貫通孔の数の第1密度は、前記ステアリングホイールの内周側に位置する前記基材における単位面積当たりの前記貫通孔の数の第2密度より大きい。
この場合においても上述と同様の作用効果を奏する。
本開示の他の態様に係るステアリングヒータにおける、前記基材が前記ステアリングホイールに巻き付けられた場合において、前記基材に形成されている前記貫通孔の数は、前記ステアリングホイールの外周側から前記ステアリングホイールの内周側に向かうにつれて、次第に少なくなる。
これによれば、ステアリングホイールの外周側からステアリングホイールの内周側に向かって小さくなる周長に応じて、ステアリングホイールの外周側からステアリングホイールの内周側に向かって基材の伸び率が小さくなる。このため、基材は、ステアリングホイールの形状に適合し易くなる。したがって、このステアリングヒータでは、ステアリングホイールの内周側に配置される基材の皺の発生を、より抑制することができる。
本開示の他の態様に係るステアリングヒータにおける、前記基材が前記ステアリングホイールに巻き付けられた場合において、前記基材では、前記ステアリングホイールの外周側から前記ステアリングホイールの内周側に向かうにつれて、前記第1密度から次第に小さくなり、前記第2密度に至る。
この場合においても上述と同様の作用効果を奏する。
本開示の他の態様に係るステアリングヒータにおいて、複数の前記貫通孔のうちの隣り合う2つの貫通孔のピッチは、前記縫製ピッチと異なる。
例えば、複数の貫通孔のうちの隣り合う2つの貫通孔のピッチと、縫製ピッチとが同等であれば、縫製糸によって基材の一面にヒータ線を縫製する際に、複数の縫い目と複数の貫通孔との大多数において、縫い目と貫通孔とが重なってしまう場合がある。この場合では、縫製糸によってヒータ線を基材の一面に縫製することができず、想定している位置と異なる位置にヒータ線が配置されてしまうことがある。
しかし、このステアリングヒータでは、隣り合う2つの貫通孔のピッチと縫製ピッチとが異なるため、縫製糸によって基材の一面にヒータ線を縫製する際に、複数の縫い目と複数の貫通孔との大多数において、縫い目と貫通孔とが重なり難い、つまり、縫製時のミシン針が貫通孔に嵌るという空打ちになってしまうことを抑制することができる。このため、縫製糸によってヒータ線を基材の一面に確実に縫製することができる。その結果、ヒータ線が基材の一面から飛び出し難くなり、ヒータ線が短絡したり、外観不良が生じたりしてしまうことを抑制することができる。
本開示の他の態様に係るステアリングヒータは、さらに、前記ヒータ線の一端に電気的に接続された制御回路部を備え、前記制御回路部は、前記ヒータ線と電気的に接続され、前記ヒータ線をセンサ電極として、人体と前記ステアリングホイールとの接触を検出する。
このように、ヒータ線に制御回路部を電気的に接続することで、ステアリングホイールに対する接触又は把持を検出することができる。このため、ヒータ線とは別のセンサ電極をさらにステアリングヒータに搭載する必要も無いため、ステアリングヒータにおける組立工数の増大、及び、部品点数の増大が抑制される。その結果、このステアリングヒータでは、製造コストの増大を抑制することができる。
本発明者は、特許文献2の導電性ヒータ、すなわちステアリングヒータに関し、以下の問題が生じることを見出した。
特許文献2の導電性ヒータは、2つのヒータ/センサを備える。そして、これらの2つのヒータ/センサは、ステアリングホイールのリムに巻き付けられる。このとき、2つのヒータ/センサは、至近距離に配置される。しかし、これらの2つのヒータ/センサの間には、ヒータ/センサが存在しない不感帯が生じ、その不感帯では、人の手による接触又は把持に対する感度が低くなってしまう。また、特許文献2の導電性ヒータでは、人の手が触れやすい範囲に不感帯が生じる。その結果、人の手がステアリングホイールに触れているにも関わらず、その触れられているステアリングホイールの部位が不感帯であるために、手がステアリングホイールに触れていないと判定される可能性がある。
このような課題を解決するために、本開示の他の一態様に係るステアリングヒータは、前記基材は、前記ステアリングホイールのリムに、前記リムの円周方向に沿って取り付けられ、前記リムの円周方向における前記基材の2つの端部は互いに対向し、前記センサ電極は、前記リムの円周方向に垂直な平面であって、前記2つの端部に交わる前記平面と交差するように、前記基材に配置されている。
例えば、リムにおいて基材の2つの端部が配置されている部位に、人の指などが軽く触れる場合、その指などで触れられる範囲は、リムの狭い範囲であって、その部位におけるリムの円周方向に垂直な平面と、リムの表面とが交わる交線に沿う範囲であることが多い。本開示の一態様に係るステアリングヒータでは、センサ電極はその平面と交差するように配置されている。したがって、上述のように指などで触れられる範囲に、センサ電極が配置されている可能性を高めることができる。その結果、ステアリングヒータによる手の接触に対する検出感度、具体的には、2つの端部が対向して配置されている部位における検出感度を向上することができる。
また、本開示の他の態様に係るステアリングヒータにおいて、前記基材は、第1基材と第2基材とからなり、前記センサ電極は、前記第1基材に配置される第1センサ電極と、前記第2基材に配置される第2センサ電極とからなり、前記2つの端部のうちの一方は、前記第1基材の端部であり、前記2つの端部のうちの他方は、前記第2基材の端部であってもよい。
これにより、リムにおける第1センサ電極が配置されている部位と、第2センサ電極が配置されている部位とのそれぞれで、リムに対する人の手の接触又は把持を適切に検出することができる。
また、本開示の他の態様に係るステアリングヒータにおいて、前記2つの端部のそれぞれの縁は、前記平面に対して傾斜していてもよい。
これにより、基材における2つの端部のそれぞれの縁を傾斜させるだけで、センサ電極が上述の円周方向に垂直な平面と交差するように、そのセンサ電極を基材に簡単に配置することができる。したがって、高い検出感度のステアリングヒータを簡単に生成することができる。また、それらの端部は複雑な構造でないため、基材をリムに取り付けるときに、それらの端を簡単に近づけて対向させることができる。
また、本開示の他の態様に係るステアリングヒータにおいて、前記2つの端部のそれぞれは、凸部と凹部とを有し、前記2つの端部のうちの一方の端部における前記凸部及び前記凹部と、他方の端部における前記凹部と前記凸部とは、前記円周方向に篏合していてもよい。例えば、前記2つの端部のそれぞれの縁は、クランク状であってもよい。又は、前記2つの端部のそれぞれは、フォーク形状に形成され、複数の前記凸部及び複数の前記凹部を有してもよい。
これにより、それぞれの端部の凸部と凹部とが嵌合しているため、それらの端部をより正確に位置合わせすることができる。その結果、センサ電極を上述の円周方向に垂直な平面とさらに適切に交差させることができる。
また、本開示の他の態様に係るステアリングヒータにおいて、前記2つの端部のそれぞれは、前記円周方向に沿う切れ込みを有し、前記切れ込みによって、前記センサ電極の一部が配置されている電極領域と、前記センサ電極が配置されていない無電極領域とに区分けされ、前記基材が前記リムに取り付けられるときには、前記2つの端部のそれぞれは、当該端部と異なる他方の端部の前記切れ込みに挿入され、前記2つの端部のそれぞれの前記電極領域は、前記他方の端部の前記無電極領域よりも前記リムの表面側に重ねられてもよい。
これにより、基材における2つの端部の縁を傾斜させたり、それらの端部を凹凸に形成することなく、センサ電極を上述の円周方向に垂直な平面と簡単に交差させることができる。
また、本開示の他の態様に係るステアリングヒータにおいて、前記ヒータ線に電流を流す回路は、前記ヒータ線のうちの一部であって、前記2つの端部のうちの一方に配置されている第1線部分と、前記ヒータ線のうちの他の部分であって、前記第1線部分と隣り合って略平行に配置され、かつ、前記2つの端部のうちの他方に配置されている第2線部分とに、互いに逆向きの電流を流してもよい。
これにより、第1線部分及び第2線部分のそれぞれに電流が流れることにより生じる電磁界を相殺することができ、ノイズの発生を抑制することができる。
また、ステアリングホイールのリムに、前記リムの円周方向に沿って取り付けられる基材と、前記基材に配置されるセンサ電極とを備え、前記リムの円周方向における前記基材の2つの端部は互いに対向し、前記センサ電極は、前記リムの円周方向に垂直な平面であって、前記2つの端部に交わる前記平面と交差するように、前記基材に配置されており、前記センサ電極は、電流が流されることにより発熱して前記リムを温めてもよい。
したがって、上述のように指などで触れられる範囲に、センサ電極が配置されている可能性を高めることができる。その結果、ステアリングヒータによる手の接触に対する検出感度、具体的には、2つの端部が対向して配置されている部位における検出感度を向上することができる。
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態において、略T字などの表現を用いている。例えば、略同じは、完全に同じであることを意味するだけでなく、実質的に同じである、すなわち、例えば数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略同じは、本開示による効果を奏し得る範囲において同じという意味である。他の「略」を用いた表現についても同様である。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1係るグリップセンサ10が配置された車両1の車室の一例を示す図である。
図1に示すように、車両1は、ステアリングホイール200、スピーカ、及び、液晶ディスプレイ等の表示装置を備えている。スピーカ及び表示装置は、例えば注意喚起装置として構成されている。
ステアリングホイール200は、車両1の操舵輪に対して操舵角を与える。ステアリングホイール200は、リム210と、リム210の内周面に一体的に形成された略T字状のスポーク202と、スポーク202の中央部分に配置されたホーンスイッチ(図示せず)を覆うホーンスイッチカバーとを有している。
リム210は、運転者の手で握るためのグリップ部分であり、リング形状をなしている。リム210は、金属製の円環状の芯である図3の芯金201bと、その芯金201bを覆う樹脂層201aとを有している。リム210には、グリップセンサ10が巻き付けられている。また、グリップセンサ10の外周には、革、木材、又は樹脂等からなる図3の表層11dによって覆われている。
グリップセンサ10は、運転者の手によるリム210の把持を検出する装置であって、車両1のリム210に設けられている。グリップセンサ10は、静電容量方式の近接センサであって、ステアリングホイール200を有する車両1の乗員の存在を検出するセンサである。グリップセンサ10は、手によるリム210に対する接触又は把持を、その乗員の情報として検出してもよい。
図2は、実施の形態1係るグリップセンサ10を示す正面図である。図2に示すように、具体的には、グリップセンサ10は、リム210に埋設されるステアリングヒータ11と、ステアリングヒータ11からの信号に基づいて把持を検出する制御回路部12とを備えている。また、図3は、図1のIII−III線におけるグリップセンサ10のステアリングヒータ11が巻き付けられたリム210の断面を示す断面図と、リム210の一部分を拡大した部分拡大断面図である。
図2及び図3に示すように、ステアリングヒータ11は、基材11aと、ヒータ線11bと、縫製糸11cとを備えている。
基材11aは、弾性、柔軟性及び延性を有する材質によって長尺のシート状に形成された不織布である。例えば、基材11aは、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂によって構成されている。本実施の形態での基材11aは、発泡ウレタン等の高分子発泡体を使用しない。基材11aは、リム210の形状、及び、大きさに応じて形成されている。
図4は、実施の形態1係るグリップセンサ10のステアリングヒータ11の基材11aを示す正面図である。図4に示すように、基材11aには、複数の貫通孔11a1が形成されている。基材11aがステアリングホイール200に巻き付けられた場合において、ステアリングホイール200のリム210の外周側(以下、ステアリングホイール200の外周側ということがある。)に位置する基材11aに形成されている貫通孔11a1の数は、ステアリングホイール200のリム210の内周側(以下、ステアリングホイール200の内周側ということがある。)に位置する基材11aに形成されている貫通孔11a1の数よりも多い。言い換えれば、基材11aがステアリングホイール200に巻き付けられた場合において、ステアリングホイール200の外周側に位置する基材11aにおける単位面積当たりの貫通孔11a1の数の第1密度は、ステアリングホイール200の内周側に位置する基材11aにおける単位面積当たりの貫通孔11a1の数の第2密度より大きい。このため、基材11aがリム210の外周側と接触する部分、つまり、基材11aの短手方向の中央部分(以下、基材11aの中央部分)では、単位面積当たりの貫通孔11a1の数は、基材11aがリム210の内周側と接触する部分、つまり、基材11aの短手方向の端縁部分(以下、基材11aの端縁部分)における、単位面積当たりの貫通孔11a1の数よりも多い。なお、基材11aの端縁部分における、単位面積当たりの貫通孔11a1の数は0を含む。この場合は、基材11aの端縁部分には貫通孔11a1が無い構成となる。
また、基材11aの貫通孔11a1の数は、ステアリングホイール200の外周側からステアリングホイール200の内周側に向かうにつれて、次第に少なくなる。言い換えれば、基材11aがステアリングホイール200に巻き付けられた場合において、基材11aでは、ステアリングホイール200の外周側からステアリングホイール200に向かうにつれて、第1密度から次第に小さくなり、第2密度に至る。このため、基材11aの中央部分から、基材11aの端縁部分に向かうにつれて、貫通孔11a1の密度が次第に減少する。
なお、本実施の形態では、基材11aの中央部分に形成される貫通孔11a1の数の密度は、基材11aの端縁部分に形成される貫通孔11a1の数の密度よりも大きいが、リム210の外周側に基材11aの端縁部分が配置される場合、この端縁部分における貫通孔11a1の数の密度は、大きくなる。このため、基材11aの中央部分が必ずしも貫通孔11a1の数の密度が大きくなるわけではない。
また、本実施の形態では、基材11aに形成される貫通孔11a1の数の密度は、基材11aの場所によって異なるが、基材11aのどの場所においても同等であってもよい。つまり、基材11aには、複数の貫通孔11a1が等間隔に形成されていてもよい。
図5は、実施の形態1係るグリップセンサ10のステアリングヒータ11を示す部分拡大正面図である。図5に示すように、複数の貫通孔11a1のうちの隣り合う2つの貫通孔11a1のピッチNは、縫製ピッチHと異なる。
ここで、隣り合う2つの貫通孔11a1のピッチNは、一方の貫通孔11a1の開口面の中心点と他方の貫通孔11a1の開口面の中心点との距離である。また、貫通孔11a1の数の密度は、場所によって異なるため、隣り合う2つの貫通孔11a1のピッチNと縫製ピッチHとが全て異なっていることが好ましい。また、最小となるピッチNと縫製ピッチHとが異なっているだけでもよい。
ここで、縫製ピッチHは、縫製糸11cによって形成された基材11aの第1縫い目と、第1縫い目の次に縫製糸11cによって形成された基材11aの第2縫い目との距離である。
また、貫通孔11a1の開口径L(貫通孔11a1の径ともいう)は、縫製ピッチHよりも小さい。貫通孔11a1の開口径Lが縫製ピッチHよりも大きければ、貫通孔11a1と基材11aの縫い目とが重なる空打ちになり易くなるため、縫製糸11cによってヒータ線11bを基材11aに縫製し難くなる。
また、基材11aは、表面にヒータ線11bを保持している。ここで、表面は、ヒータ線11bが保持されている側の基材11aの面である。この基材11aは、リム210に取り付けられている。より具体的には、基材11aは、リム210とでヒータ線11bを挟むように、リム210に取り付けられている。表面は、基材11aの一面の一例である。
ヒータ線11bは、導電線からなり、ヒータ線11bの一端(すなわち端a)と他端(すなわち端b)とは、制御回路部12に接続されている。ここで、ヒータ線11bは、基材11aの表面にジグザグ状に配置されている。具体的には、ヒータ線11bは、例えば銅線等の金属線であって、ジグザグ状のパターンが形成されるように、縫製糸11cにより基材11aの表面に縫製されている。ここで、ヒータ線11bが縫製糸11cにより基材11aの表面に縫製されているとは、基材11aに縫い付けられた縫製糸11cによりヒータ線11bが基材11aに保持されている状態である。
なお、本実施の形態におけるヒータ線11bは、縫製糸11cにより基材11aの表面に縫い付けられているが、熱圧着などによって基材11aに固定されていてもよい。さらに、ヒータ線11bは、導体又は抵抗体による面状の構造であってもよい。また、ヒータ線11bは、導電線からなるが、導電性を有する部材であれば、どのような形態であってもよい。つまり、グリップセンサ10はヒータ線11bをセンサ電極としても機能させるため、この場合、ヒータ線11bは、線状に形成されなくてもよく、板状に形成されてもよい。
図6は、ステアリングヒータ11のさらなる部分拡大上面図、及び、図6の一点鎖線で示すVI−VI線におけるステアリングヒータ11を示す断面図である。図6に示すように、縫製糸11cは、ヒータ線11bを基材11aに固定するために、ヒータ線11bの延在方向に沿って基材11aに縫い付けられている。具体的には、縫製糸11cは、上糸11c1と下糸11c2とを有している。上糸11c1は基材11aの表面から裏面に向けて貫通するように基材11aに縫製され、下糸11c2は基材11aの裏面から表面に向けて貫通するように基材11aに縫製されている。上糸11c1と下糸11c2とが絡み合うことで、縫製糸11cは、基材11aに縫い付けられている。また、縫製糸11cは、どのような糸であってもよく、構成する材料は特に限定されない。
図1及び図2に示すように、制御回路部12は、例えばスポーク202に埋設されている。制御回路部12は、ヒータ線11bから伝送される信号に基づいて、手がリム210に接触しているか否かの検出、及び、その手の接触位置の検出をする。制御回路部12は、車両1が運転されているにもかかわらず、接触を検出していない場合には、運転者への注意喚起を注意喚起装置に実行させてもよい。例えば、スピーカ等の注意喚起装置は、警告音又は音声によって、運転者に注意を喚起する。また、表示装置は、運転者にステアリングホイール200をしっかり握るように促す注意喚起のメッセージを表示してもよい。
制御回路部12は、電源回路12aと、検出回路12bとを備えている。
電源回路12aは、ヒータ線11bの他端である端bに電気的に接続されている。また、電源回路12aは、ヒータ線11bに電流を流すことによって、そのヒータ線11bを加熱する。これにより、ヒータ線11bは、ステアリングホイール200のリム210を温めることができる。なお、電源回路12aからヒータ線11bに電流が流れるように、制御回路部12において、ヒータ線11bの端aから検出回路12bに至る配線の途中がインダクタ(図示せず)を介してグランドに接続されている。
検出回路12bは、ヒータ線11bの一端である端aに電気的に接続されている。検出回路12bは、ヒータ線11bを用いてリム210のへの手による接触又は把持を検出する。つまり、検出回路12bは、ヒータ線11bに交流の電流を流す。検出回路12bは、そのヒータ線11bを流れる電流の電流値に基づいて、ヒータ線11bにおける静電容量の変化を検出する。リム210において、ヒータ線11bが配置されている部位に手が接触すると、接触部位に対応するヒータ線11bの静電容量が変化する。制御回路部12は、それらの静電容量の変化に応じてヒータ線11bから出力される信号から、リム210への手の接触を検出する。こうして、制御回路部12は、ヒータ線11bが配置されているリム210に手が触れたか否かを検出できる。
(まとめ)
以上のように、本実施の形態におけるステアリングヒータ11では、基材11aに複数の貫通孔11a1を形成することで、従来の基材11aよりも硬い素材を基材11aに用いた場合であっても、基材11aを伸ばし易くなる。つまり、複数の貫通孔11a1によって、基材11aの伸縮性を向上させることができる。また、ステアリングホイール200に巻き付けられた基材11aにおける、ステアリングホイール200の外周とステアリングホイール200の内周との周長が異なるため、複数の貫通孔11a1の数の密度をステアリングホイール200の外周側からステアリングホイール200の内周側に向かって小さくすることで、ステアリングホイール200の内周側からステアリングホイール200の外周側に向かって基材11aの伸び率が大きくなる。このため、基材11aは、ステアリングホイール200の形状に適合し易くなる。また、ステアリングホイール200の内周側では、複数の貫通孔11a1が基材11aの皺を吸収することができるため、皺が寄り難くなる。さらに、貫通孔11a1の開口径は、ヒータ線11bを縫製する際の縫製ピッチよりも小さいため、縫製時のミシン針が貫通孔11a1に嵌るという空打ちの可能性を抑制することができる。
このように、このステアリングヒータ11では、作業者がステアリングホイール200にステアリングヒータ11を巻き付け易くなり、作業性が向上する。また、ヒータ線11bが縫製糸11cによって基材11aに縫製されるため、ヒータ線11bが基材11aの表面から飛び出し難くなる。このため、このステアリングヒータ11では、ヒータ線11bが短絡し難くなり、かつ、良好な外観を保持することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態のステアリングヒータ100の構成は、特に明記しない場合、実施の形態1と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
図7は、本実施の形態におけるグリップセンサ10が配置された車両1の車室の一例を示す図である。
車両1は、ステアリングホイール200、スピーカ301、及び液晶ディスプレイ等の表示装置302を備えている。スピーカ301及び表示装置302は例えば注意喚起装置として構成される。
ステアリングホイール200は、車両1を操舵するためのものである。ステアリングホイール200は、リング形状を有するリム201と、リム201の内周面に一体的に形成された略T字状のスポーク202と、スポーク202の中央部に配置されたホーンスイッチ(図示せず)を覆うホーンスイッチカバー203とを有している。
グリップセンサ10は、例えば車両1の運転者の手によるステアリングホイール200のリム201の把持などを検出するセンサであって、図7に示すように、車両1のステアリングホイール200に備えられている。なお、グリップセンサ10は、手によるリム201の把持を含む、リム201への手の接触を検出する。具体的には、グリップセンサ10のステアリングヒータ100は、さらに、ステアリングホイール200のリム201に埋設される電極部110と、電極部110からの信号に基づいて手の接触を検出する検出回路120と、電極部110を検出回路120に電気的に接続するハーネス130とを備えている。検出回路120は、例えばスポーク202に埋設されている。
電極部110は、後述の少なくとも1つのセンサ電極を有する。このセンサ電極では、車両1の運転者がステアリングホイール200のリム201に触れているか否かに応じて静電容量が変化する。検出回路120は、そのセンサ電極の静電容量に応じた値(例えば電流値)を計測し、その値に基づいて、運転者の手によるリム201への接触を検出する。そして、検出回路120は、車両1が運転されているにもかかわらず、接触を検出していない場合には、運転者への注意喚起を注意喚起装置に実行させる。なお、このときの車両1の運転は、自動運転であってもよく、手動運転であってもよい。例えば、注意喚起装置のスピーカ301は、警告音又は音声によって、運転者に注意を喚起する。表示装置302は、運転者にステアリングホイール200をしっかり握るように促す注意喚起のメッセージを表示する。これにより、交通事故を減少させることができる。
図8は、本実施の形態におけるステアリングヒータ100の構成の一例を示す図である。
ステアリングヒータ100は、上述のように、電極部110と、検出回路120と、ハーネス130とを備える。電極部110は、基材111と、センサ電極112とを備える。基材111は、ステアリングホイール200のリム201に、そのリム201の円周方向に沿って取り付けられる。センサ電極112は、その基材111に配置される。
具体的には、基材111は、第1基材111aと第2基材111bとからなる。第1基材111a及び第2基材111bのそれぞれは、例えば不織布からなり、一方向に長いシート状に形成されている。さらに、センサ電極112は、第1基材111aに配置される第1センサ電極112aと、第2基材111bに配置される第2センサ電極112bとからなる。つまり、電極部110は、第1基材111a及び第1センサ電極112aを有する第1電極部110aと、第2基材111b及び第2センサ電極112bを有する第2電極部110bとからなる。なお、以下の説明において、電極部110は、第1電極部110a及び第2電極部110bのいずれか一方又は双方を意味する。同様に、基材111は、第1基材111a及び第2基材111bのいずれか一方又は双方を意味し、センサ電極112は、第1センサ電極112a及び第2センサ電極112bのいずれか一方又は双方を意味する。
第1センサ電極112a及び第2センサ電極112bは、それぞれ導電線として構成されている。例えば、第1センサ電極112a及び第2センサ電極112bのそれぞれは、銅線などの金属線であって、ジグザグ状のパターンが形成されるように、第1基材111a又は第2基材111bに縫い付けられている。つまり、第1センサ電極112aは、第1基材111aの長手方向の両端部で繰り返し折り返されるように、その第1基材111aの一面に縫い付けられている。同様に、第2センサ電極112bは、第2基材111bの長手方向の両端部で繰り返し折り返されるように、その第2基材111bの一面に縫い付けられている。また、第1センサ電極112aの端aは、第1基材111aの長手方向の一端側に配置され、第2センサ電極112bの端bは、第2基材111bの長手方向の一端側に配置される。このような、第1センサ電極112aの端aと、第2センサ電極112bの端bとは、検出回路120に電気的に接続されている。
なお、第1基材111aにおける長手方向の端部であって、第1センサ電極112aの端aが配置されている端部を、以下、基端部114aといい、その長手方向における基端部114aと反対側の端部を、以下、先端部113aという。同様に、第2基材111bにおける長手方向の端部であって、第2センサ電極112bの端bが配置されている端部を、以下、基端部114bといい、その長手方向における基端部114bと反対側の端部を、以下、先端部113bという。
ここで、本実施の形態では、シート状に構成されている第1基材111a及び第2基材111bのそれぞれの表面及び背面は、略平行四辺形に形成されている。具体的には、第1基材111aの長手方向における両端部の縁、すなわち、先端部113a及び基端部114aのそれぞれの縁は、第1基材111aの短手方向に平行ではなく、その短手方向に対して傾斜している。同様に、第2基材111bの長手方向における両端部の縁、すなわち、第2基材111bの先端部113b及び基端部114bのそれぞれの縁は、第2基材111bの短手方向に平行ではなく、その短手方向に対して傾斜している。なお、基材111の長手方向と短手方向とは、基材111の一面に沿って互いに直交する2つの方向である。
また、第1センサ電極112aは、第1基材111aにおける先端部113a及び基端部114aのそれぞれの縁までは配置されておらず、第1センサ電極112aとそれらの縁とは離間している。同様に、第2センサ電極112bは、第2基材111bにおける先端部113b及び基端部114bのそれぞれの縁までは配置されておらず、第2センサ電極112bとそれらの縁とは離間している。このように、本実施の形態では、センサ電極112が基材111の縁から離間しているため、センサ電極112が基材111の縁から飛び出すことによる断線などの可能性を抑制することができる。
検出回路120は、上述のように、第1センサ電極112aの端aと、第2センサ電極112bの端bとにハーネス130を介して電気的に接続され、第1センサ電極112a及び第2センサ電極112bに、運転者の手の接触を検出するための電流を流す。具体的には、検出回路120は、例えば第1センサ電極112a及び第2センサ電極112bのそれぞれに交流の電流を流すことによって、第1センサ電極112aの静電容量に応じた値と、第2センサ電極112bの静電容量に応じた値とを測定する。検出回路120は、測定された値に基づいて、人の手によるステアリングホイール200のリム201への接触を検出する。つまり、検出回路120は、第1センサ電極112aに対して測定された値が閾値よりも大きいときには、リム201における第1センサ電極112aが配置されている部位への手の接触を検出する。同様に、検出回路120は、第2センサ電極112bに対して測定された値が閾値よりも大きいときには、リム201における第2センサ電極112bが配置されている部位への手の接触を検出する。
図9は、電極部110が取り付けられたリム201の断面の一例を示す図である。
リム201は、金属製の円環状の芯である芯金201bと、その芯金201bを覆うウレタン樹脂などからなる樹脂層201aとを有する。
電極部110の基材111は、センサ電極112が配置されている面が樹脂層201a側に向くように、樹脂層201aに巻き付けられる。したがって、そのセンサ電極112は基材111によって隠された状態になっている。なお、このように巻き付けられた基材111のセンサ電極112が配置されていない面は、革、木材、又は樹脂等からなる表層によって覆われる。
このようにリム201に配置されるセンサ電極112は、芯金201bとの間に静電容量を形成する。この静電容量は比較的小さい。ここで、リム201においてセンサ電極112が配置されている部分が、運転者の手によって把持されると、センサ電極112とその手との間にも静電容量が形成される。したがって、検出回路120は、測定されるそのセンサ電極112の静電容量の変化から、手によるリム201の把持又は接触を検出することができる。
図10は、電極部110のリム201への巻き付け方を示す図である。具体的には、図10の(a)は、第1電極部110a及び第2電極部110bのそれぞれの端部が突き合わされた状態を示す。図10の(b)は、第1電極部110a及び第2電極部110bのそれぞれのリム201への巻き付け方の一例を示す。
例えば図10の(b)に示すように、第1電極部110aは、中立状態のステアリングホイール200のリム201における左側に巻き付けられる。同様に、第2電極部110bは、中立状態のステアリングホイール200のリム201における右側に巻き付けられる。これにより、リム201の全体が第1電極部110a及び第2電極部110bに覆われる。なお、中立状態とは、車両1が直進するときのステアリングホイール200の状態である。
したがって、検出回路120は、リム201における第1電極部110aが配置されている左側の部分の接触と、リム201における第2電極部110bが配置されている右側の部分の接触とを、それぞれ個別に検出することができる。
上述のように、電極部110がリム201に巻き付けられると、リム201の円周方向における基材111の2つの端部は互いに対向する。具体的には、第1電極部110aの第1基材111aにおける長手方向の2つの端部と、第2電極部110bの第2基材111bにおける長手方向の2つの端部とは、リム201の円周方向に沿ってそれぞれ対向する。つまり、第1基材111aの先端部113aと、第2基材111bの先端部113bとは、図10の(a)に示すように、中立状態のステアリングホイールにおけるリム201の上端で、そのリム201の円周方向に沿って対向する。同様に、第1基材111aの基端部114aと、第2基材111bの基端部114bとは、中立状態のステアリングホイールにおけるリム201の下端で、そのリム201の円周方向に沿って対向する。
ここで、本実施の形態における第1基材111aの先端部113a及び基端部114aのそれぞれの縁は、上述のように傾斜し、第2基材111bの先端部113b及び基端部114bのそれぞれの縁も、上述のように傾斜している。これらの縁は、同一の方向に沿って傾斜している。このような第1電極部110a及び第2電極部110bが、図10に示すようにリム201に巻き付けられることによって、リム201におけるセンサ電極112が配置されている部位に人の手が触れたことを検出する確率を高めることができる。つまり、接触の検出感度を高めることができる。
図11は、本実施の形態における検出感度を説明するための図である。具体的には、図11の(a)は、本実施の形態のステアリングヒータ100と比較するための他のステアリングヒータの一部の構成を示し、図11の(b)は、本実施の形態のステアリングヒータ100の一部の構成を示す。
例えば、図11の(a)に示すように、本実施の形態における電極部110とは異なる第1電極部110c及び第2電極部110dが、検出感度の比較対象物としてリム201に巻き付けられる。このような第1電極部110c及び第2電極部110dがリム201に巻き付けられると、第1電極部110cの第1基材111cの先端部113cと、第2電極部110dの第2基材111dの先端部113dとが、リム201の円周方向に沿って対向する。
なお、図11の(a)は、互いに対向している第1基材111cの先端部113cと、第2基材111dの先端部113dとのそれぞれの一面を、XY平面に沿わせて正面視したときの、先端部113c及び先端部113dの状態を示す。そのXY平面は、互いに直交するX軸方向及びY軸方向に沿った平面であって、Z軸方向は、そのXY平面に垂直な方向である。例えば、X軸方向は、先端部113c及び先端部113dの配列方向、又は、第1基材111c及び第2基材111dの長手方向である。また、Y軸方向は、第1基材111c及び第2基材111dの短手方向である。そして、上述の配列方向(すなわちX軸方向)は、リム201の円周方向に相当する。また、リム201の芯金201bは、その第1基材111c及び第2基材111dから、Z軸方向のいずれか一方の向きにある。
ここで、図11の(a)に示すように、第1電極部110cにおける第1基材111cの先端部113cの縁と、第2電極部110dにおける第2基材111dの先端部113dの縁とは、傾斜していない。つまり、それらの縁は、第1基材111c及び第2基材111dの短手方向(すなわちY軸方向)に平行であって、長手方向(すなわちX軸方向)に垂直である。したがって、上述のように、第1電極部110c及び第2電極部110dがリム201に巻き付けられると、第1電極部110cの第1センサ電極112cと、第2電極部110dの第2センサ電極112dとの間には、不感帯Dが生じる。この不感帯Dは、リム201のうちの第1センサ電極112c及び第2センサ電極112dが配置されていない範囲であって、第1基材111cの先端部113cと、第2基材111dの先端部113dとの境界線に沿って形成される。言い換えれば、不感帯Dは、先端部113c及び113dの間の位置におけるリム201の円周方向に垂直な平面と、そのリム201の表面とが交わるに交線に沿って形成される。この不感帯Dに人の手が触れても、その不感帯Dには、第1センサ電極112c及び第2センサ電極112dが配置されていないため、第1センサ電極112c及び第2センサ電極112dの静電容量の変化が小さくなる。その結果、精度よく手の接触を検出することができない。
例えば、車両1の運転者は、リム201の上端部に軽く触れる場合、その不感帯Dに触れて、リム201の他の部位に触れない可能性が比較的高い。具体的には、運転者は、リム201の上端部に触れる場合、人差し指でリム201の上端部に触れる、又は、人差し指及び親指でリム201の上端部をつまむ。このように、リム201の上端部において人の指で軽く触れられる範囲は、リム201の狭い範囲であって、リム201の上端部における円周方向に垂直な平面と、リム201の表面とが交わる交線に沿う範囲であることが多い。したがって、上述の不感帯Dは、人の指などで軽く触れられる範囲を含み易く、リム201における不感帯Dの部位に手が触れる可能性が高い。その結果、第1電極部110c及び第2電極部110dを有するステアリングヒータでは、リム201の上端部における検出感度が低下してしまう。
しかし、本実施の形態におけるステアリングヒータ100では、上述の不感帯は、人の指などで軽く触れられる範囲からずれている。具体的には、図11の(b)に示すように、第1電極部110aの第1基材111aにおける先端部113aの縁は傾斜し、第2電極部110bの第2基材111bにおける先端部113bの縁も傾斜している。
なお、図11の(b)は、図11の(a)と同様、互いに対向している第1基材111aの先端部113aと、第2基材111bの先端部113bとのそれぞれの一面を、XY平面に沿わせて正面視したときの、先端部113a及び先端部113bの状態を示す。例えば、X軸方向は、先端部113a及び先端部113bの配列方向、又は、第1基材111a及び第2基材111bの長手方向である。また、Y軸方向は、第1基材111a及び第2基材111bの短手方向である。そして、上述の配列方向(すなわちX軸方向)は、リム201の円周方向に相当する。また、リム201の芯金201bは、その第1基材111a及び第2基材111bから、Z軸方向のいずれか一方の向きにある。以下、図12〜図14についても、図11の(b)と同様、先端部113a及び先端部113bとのそれぞれの一面を、XY平面に沿わせて正面視したときの、先端部113a及び先端部113bの状態を示す。
つまり、本実施の形態では、図11の(b)に示すように、2つの先端部113a及び113bのそれぞれの縁は、互に隣り合って略平行であり、Y軸方向に対して傾斜している。したがって、本実施の形態では、第1基材111a及び第2基材111bがリム201に取り付けられている場合、2つの先端部113a及び113bのそれぞれの縁は、リム201の円周方向に垂直な平面に対して傾斜している。その結果、センサ電極112は、リム201の円周方向に垂直な平面であって、その2つの先端部113a及び113bに交わるその平面と交差する。これにより、人の指などで軽く触れられる範囲にセンサ電極112を配置することができる。言い換えれば、その範囲から不感帯を傾かせてずらすことができる。
したがって、本実施の形態では、車両1の運転者がリム201の上端部に軽く触れる場合であっても、リム201のセンサ電極112が配置されている部位に手が触れたことを検出する確率を高めることができる。その結果、ステアリングヒータ100による検出感度、具体的には、リム201の上端部における検出感度を向上することができる。
また、本実施の形態では、2つの先端部113a及び113bのそれぞれの縁を傾斜させるだけで、センサ電極112が上述の円周方向に垂直な平面と交差するように、そのセンサ電極112を基材111に簡単に配置することができる。したがって、高い検出感度のステアリングヒータ100を簡単に生成することができる。また、それらの先端部113a及び113bは複雑な構造でないため、基材111をリム201に取り付けるときに、それらの先端部113a及び113bを簡単に近づけて対向させることができる。
なお、第1基材111aの基端部114a及び第2基材111bの基端部114bも、リム201の下端部で互いに対向する。これらの基端部114a及び114bの縁も、先端部113a及び113bの縁と同様に傾斜している。したがって、リム201における下端部についても、不感帯は、人の指などで軽く触れられる範囲から傾いてずれている。したがって、本実施の形態では、車両1の運転者がリム201の下端部に軽く触れる場合であっても、リム201のセンサ電極112が配置されている部位に手が触れたことを検出する確率を高めることができる。その結果、ステアリングヒータ100による検出感度、具体的には、リム201の下端部における検出感度を向上することができる。
(変形例1)
上記実施の形態では、第1基材111aにおける先端部113aの縁と、第2基材111bにおける先端部113bの縁とは傾斜しているが、本開示はこのような構成に限定されない。本変形例では、第1基材111aの先端部113a及び第2基材111bの先端部113bのそれぞれは、凸部及び凹部を有し、入り組んだ状態で互いに対向する。
図12は、本変形例に係る第1基材111aの先端部113a及び第2基材111bの先端部113bの一例を示す図である。
第1基材111aの先端部113a及び第2基材111bの先端部113bのそれぞれは、上述のように凸部と凹部とを有する。そして、2つの先端部113a及び113bのうちの一方の端部である先端部113aにおける凸部及び凹部と、他方の端部である先端部113bにおける凹部及び凸部とは、リム201の円周方向に嵌合している。
具体的には、第1基材111aの先端部113aは、凸部115a及び凹部116aを有する。第2基材111bの先端部113bも、第1基材111aの先端部113aと同様、凸部115b及び凹部116bを有する。これらの凸部115a及び115bと、凹部116a及び116bの角は略直角である。つまり、2つの先端部113a及び113bのそれぞれの縁は、クランク状である。
また、第1センサ電極112aの一部は、第1基材111aの先端部113aにおける凸部115aにも配置され、第2センサ電極112bの一部は、第2基材111bの先端部113bにおける凸部115bにも配置されている。ただし、この図12に示す例でも、上記実施の形態と同様、第1センサ電極112aは、先端部113aの縁、すなわち凸部115a及び凹部116aのそれぞれの縁までは配置されておらず、第1センサ電極112aとそれらの縁とは離間している。同様に、第2センサ電極112bは、先端部113bの縁、すなわち凸部115b及び凹部116bのそれぞれの縁までは配置されておらず、第2センサ電極112bとそれらの縁とは離間している。これにより、センサ電極112が基材111の縁から飛び出すことによる断線などの可能性を抑制することができる。
このような第1基材111aの先端部113aにおける凸部115aと、第2基材111bの先端部113bにおける凹部116bとは、リム201の円周方向に嵌合している。同様に、第1基材111aの先端部113aにおける凹部116aと、第2基材111bの先端部113bにおける凸部115bとは、リム201の円周方向に嵌合している。
このような図12に示す例の場合であっても、センサ電極112は、リム201の円周方向に垂直な平面であって、2つの先端部113a及び113bに交わるその平面と交差する。また、図12に示す例の場合、先端部113aの凸部115a及び凹部116aと、先端部113bの凸部115b及び凹部116bとが嵌合しているため、それらの先端部113a及び113bをより正確に位置合わせすることができる。その結果、センサ電極112を上述の円周方向に垂直な平面とさらに適切に交差させることができる。
したがって、図12に示す例でも、上記実施の形態と同様、車両1の運転者がリム201の上端部に軽く触れる場合であっても、リム201のセンサ電極112が配置されている部位に手が触れたことを検出する確率を高めることができる。その結果、ステアリングヒータ100による検出感度、具体的には、リム201の上端部における検出感度を向上することができる。
なお、第1基材111aの基端部114a及び第2基材111bの基端部114bも、図12に示す先端部113a及び113bと同様の構成を有していてもよい。この場合には、車両1の運転者がリム201の下端部に軽く触れる場合であっても、リム201のセンサ電極112が配置されている部位に手が触れたことを検出する確率を高めることができる。その結果、ステアリングヒータ100による検出感度、具体的には、リム201の下端部における検出感度を向上することができる。
図12に示す例では、第1基材111a及び第2基材111bのそれぞれの先端部は、凸部及び凹部を1つだけ有するが、凸部及び凹部のそれぞれの数は複数であってもよい。
図13Aは、本変形例に係る第1基材111aの先端部113a及び第2基材111bの先端部113bの他の例を示す図である。
第1基材111aの先端部113aは、フォーク形状に形成され、複数の凸部115a及び複数の凹部116aを有する。図13Aに示す例では、先端部113aは、2つの凸部115a及び2つの凹部116aを有する。第2基材111bの先端部113bも、第1基材111aの先端部113aと同様、フォーク形状に形成され、複数の凸部115b及び複数の凹部116bを有する。図13Aに示す例では、先端部113bは、2つの凹部116b及び2つの凸部115bを有する。
また、第1センサ電極112aの一部は、第1基材111aの先端部113aにおける2つの凸部115aのそれぞれにも配置され、第2センサ電極112bの一部は、第2基材111bの先端部113bにおける2つの凸部115bのそれぞれにも配置されている。ただし、この図13Aに示す例でも、上記実施の形態と同様、第1センサ電極112aは、先端部113aの縁、すなわち2つの凸部115a及び2つの凹部116aのそれぞれの縁までは配置されておらず、第1センサ電極112aとそれらの縁とは離間している。同様に、第2センサ電極112bは、先端部113bの縁、すなわち2つの凸部115b及び2つの凹部116bのそれぞれの縁までは配置されておらず、第2センサ電極112bとそれらの縁とは離間している。これにより、センサ電極112が基材111の縁から飛び出すことによる断線などの可能性を抑制することができる。
このような第1基材111aの先端部113aにおける2つの凸部115aと、第2基材111bの先端部113bにおける2つの凹部116bとは、それぞれリム201の円周方向に嵌合している。同様に、第1基材111aの先端部113aにおける2つの凹部116aと、第2基材111bの先端部113bにおける2つの凸部115bとは、それぞれリム201の円周方向に嵌合している。
このような図13Aに示す例の場合であっても、センサ電極112は、リム201の円周方向に垂直な平面であって、2つの先端部113a及び113bに交わるその平面と交差する。また、図13Aに示す例の場合、先端部113aの2つの凸部115a及び2つの凹部116aと、先端部113bの2つの凸部115b及び2つの凹部116bとが嵌合しているため、それらの先端部113a及び113bをより正確に位置合わせすることができる。その結果、センサ電極112を上述の円周方向に垂直な平面とより適切に交差させることができる。
したがって、図13Aに示す例でも、上記実施の形態と同様、車両1の運転者がリム201の上端部に軽く触れる場合であっても、リム201のセンサ電極112が配置されている部位に手が触れたことを検出する確率を高めることができる。その結果、ステアリングヒータ100による検出感度、具体的には、リム201の上端部における検出感度を向上することができる。
なお、第1基材111aの基端部114a及び第2基材111bの基端部114bも、図13Aに示す先端部113a及び113bと同様の構成を有していてもよい。この場合には、車両1の運転者がリム201の下端部に軽く触れる場合であっても、リム201のセンサ電極112が配置されている部位に手が触れたことを検出する確率を高めることができる。その結果、ステアリングヒータ100による検出感度、具体的には、リム201の下端部における検出感度を向上することができる。
ここで、検出回路120は、第1基材111aの先端部113aに配置されている第1センサ電極112aと、第2基材111bの先端部113bに配置されている第2センサ電極112bとに対して、互いに逆向きの電流を流してもよい。
図13Bは、第1センサ電極112a及び第2センサ電極112bに流れる電流の向きを示す図である。
例えば、第1基材111aの先端部113aにおける各凸部115aには、第1センサ電極112aの略U字状の部分がU字部として配置されている。さらに、第2基材111bの先端部113bにおける各凸部115bにも、第2センサ電極112bの略U字状の部分がU字部として配置されている。そして、第1センサ電極112aのU字部と、第2センサ電極112bのU字部とは互いに隣り合う。具体的には、第1センサ電極112aのU字部に含まれる直線状の第1線部分と、第2センサ電極112bのU字部に含まれる直線状の第2線部分とが隣り合って略平行に配置される。
そこで、本変形例における検出回路120は、その第1センサ電極112aのU字部に含まれる第1線部分と、第2センサ電極112bのU字部に含まれる第2線部分とに対して、互いに逆向きの電流を流す。これにより、第1センサ電極112aの各U字部分に発生する電磁界と、第2センサ電極112bの各U字部分に発生する電磁界とが相殺されて、ノイズの発生を抑制することができる。
このように、本変形例では、検出回路120は、導電線のうちの一部であって、2つ先端部113a及び113bのうちの一方に配置されている第1線部分と、導電線のうちの他の部分であって、その第1線部分と隣り合って略平行に配置され、かつ、2つの先端部113a及び113bのうちの他方に配置されている第2線部分とに、互いに逆向きの電流を流す。これにより、ノイズの発生を抑制することができる。なお、図13Aに示す例では、第1センサ電極112aのU字部と、第2センサ電極112bのU字部とが交互にY軸方向に沿って配列されているため、高いノイズの抑制効果を得ることができる。
(変形例2)
本開示における第1基材111aの先端部113a及び第2基材111bの先端部113bのそれぞれの形状は、上記実施の形態及び変形例1に限定されない。本変形例では、第1基材111aの先端部113a及び第2基材111bの先端部113bのそれぞれは、切れ込みを有し、入り組んだ状態で互いに対向する。
図14は、本変形例に係る第1基材111aの先端部113a及び第2基材111bの先端部113bの一例を示す図である。
2つの先端部113a及び113bのそれぞれは、リム201の円周方向に沿う切れ込みを有し、その切れ込みによって、センサ電極112の一部が配置されている電極領域と、センサ電極112が配置されていない無電極領域とに区分けされる。そして、第1基材111a及び第2基材111bがリム201に取り付けられるときには、その2つの先端部113a及び113bのそれぞれは、当該先端部と異なる他方の先端部の切れ込みに挿入される。さらに、2つの先端部113a及び113bのそれぞれの電極領域は、他方の先端部の無電極領域よりもリム201の表面側に重ねられる。
具体的には、図14の(a)に示すように、第1基材111aの先端部113aは、切れ込み117aを有する。この切れ込み117aは、第1基材111aにおける短手方向(すなわちY軸方向)の略中央にあって、リム201の円周方向に沿って形成されている。この切れ込み117aによって、先端部113aは、第1センサ電極112aが配置されている電極領域118aと、第1センサ電極112aが配置されていない無電極領域119aとに分割される。
第2基材111bの先端部113bも、第1基材111aの先端部113aと同様に、切れ込み117bを有する。この切れ込み117bは、第1基材111aにおける短手方向(すなわちY軸方向)の略中央にあって、リム201の円周方向に沿って形成されている。この切れ込み117bによって、先端部113bは、第2センサ電極112bが配置されている電極領域118bと、第2センサ電極112bが配置されていない無電極領域119bとに分割される。
したがって、本変形例では、第1センサ電極112aは、先端部113aの広い範囲に配置されておらず、電極領域118aのみに配置され、無電極領域119aには配置されていない。同様に、第2センサ電極112bは、先端部113bの広い範囲に配置されておらず、電極領域118bのみに配置され、無電極領域119bには配置されていない。ただし、この図14に示す例でも、上記実施の形態と同様、第1センサ電極112aは、先端部113aにおける電極領域118aの縁までは配置されておらず、第1センサ電極112aとその縁とは離間している。同様に、第2センサ電極112bは、先端部113bにおける電極領域118bの縁までは配置されておらず、第2センサ電極112bとその縁とは離間している。これにより、センサ電極112が基材111の縁から飛び出すことによる断線などの可能性を抑制することができる。
このような第1基材111a及び第2基材111bがリム201に巻き付けられるときには、第1基材111aの先端部113aは、第2基材111bの先端部113bにある切れ込み117bに挿入される。同様に、第2基材111bの先端部113bは、第1基材111aの先端部113aにある切れ込み117aに挿入される。
その結果、図14の(b)に示すように、第1基材111aの先端部113aと第2基材111bの先端部113bとは重ねられた状態になる。具体的には、先端部113aのうちの電極領域118aは、先端部113bの無電極領域119bの外側(例えばZ軸方向の正側、つまり上側)に重ねられる。逆に、先端部113aのうちの無電極領域119aは、先端部113bのうちの電極領域118bの内側(例えばZ軸方向の負側、つまり下側)に重ねられる。したがって、第1基材111aの先端部113aと、第2基材111bの先端部113bとは、そのZ軸方向に互いに対向している。
このような本変形例であっても、センサ電極112は、リム201の円周方向に垂直な平面であって、2つの先端部113a及び113bに交わるその平面と交差する。また、本変形例では、2つの先端部113a及び113bの縁を傾斜させたり、それらの先端部113a及び113bを凹凸に形成することなく、センサ電極112を上述の円周方向に垂直な平面と簡単に交差させることができる。
したがって、本変形例でも、上記実施の形態と同様、車両1の運転者がリム201の上端部に軽く触れる場合であっても、リム201のセンサ電極112が配置されている部位に手が触れたことを検出する確率を高めることができる。その結果、ステアリングヒータ100による検出感度、具体的には、リム201の上端部における検出感度を向上することができる。
なお、本変形例では、先端部113aの各領域と先端部113bの各領域とが重ねられるが、第1センサ電極112aと第2センサ電極112bとは重ねられていない。これにより、リム201における先端部113a及び先端部113bが配置されている部分の厚みが、他の部分の厚みよりも不自然に厚くなることを抑制することができる。
なお、第1基材111aの基端部114a及び第2基材111bの基端部114bも、図14に示す先端部113a及び113bと同様の構成を有していてもよい。この場合には、車両1の運転者がリム201の下端部に軽く触れる場合であっても、リム201のセンサ電極112が配置されている部位に手が触れたことを検出する確率を高めることができる。その結果、ステアリングヒータ100による検出感度、具体的には、リム201の下端部における検出感度を向上することができる。
(変形例3)
上記実施の形態とその変形例1及び2では、ステアリングヒータ100は、ステアリングホイール200のリム201に対する手の接触又は把持を検出する。本変形例では、ステアリングヒータは、その手の接触又は把持を検出する機能だけでなく、リム201を温めるヒータとしての機能を兼ね備えている。
図15は、本変形例に係るステアリングヒータの構成の一例を示す図である。
ステアリングヒータ101は、電極部110と、制御回路部140とを備える。
電極部110は、上記実施の形態と同様、第1電極部110a及び第2電極部110bを備える。第1電極部110aに含まれる第1センサ電極112aの両端a1及びa2は、ハーネス130を介して制御回路部140に接続される。同様に、第2電極部110bに含まれる第2センサ電極112bの両端b1及びb2も、ハーネス130を介して制御回路部140に接続される。
制御回路部140は、上述の検出回路120と、電源回路141とを備えている。検出回路120は、上記実施の形態とその変形例1及び2と同様、第1センサ電極112a及び第2センサ電極112bに交流電流を流すことによって、人の手によるリム201への接触又は把持を検出する。電源回路141は、第1センサ電極112a及び第2センサ電極112bのそれぞれに直流電流を流して発熱させる。その結果、電源回路141は、ステアリングホイール200のリム201を温める。
なお、電源回路141から第1センサ電極112aに電流が流れるように、第1センサ電極112aの端a1と検出回路120とを電気的に接続する配線の途中は、インダクタ(図示せず)を介してグランドに接続される。同様に、電源回路141から第2センサ電極112bに電流が流れるように、第2センサ電極112bの端b1と検出回路120とを電気的に接続する配線の途中は、インダクタ(図示せず)を介してグランドに接続される。
このような本変形例では、リム201が温められるため、車両1の運転者などの人はそのリム201を快適に把持することができる。なお、図15に示す例では、電極部110は、上記実施の形態の第1電極部110a及び第2電極部110bを備えるが、上記変形例1又は2の第1電極部110a及び第2電極部110bを備えていてもよい。
(実施の形態3)
本実施の形態のステアリングヒータ11の構成は、特に明記しない場合、実施の形態1等と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
図16は、実施の形態3における電極部(第1電極部110a及び第2電極部110b)をリムに巻き付ける前及びリムに巻き付けた後の、電極部の様子を示す図である。
図16に示すように、第1基材311a及び第2基材311bには、実施の形態1で示す複数の貫通孔11a1が形成されている。第1基材311aには第1センサ電極112aが配置され、第2基材311bには第2センサ電極112bが配置される。
電極部をリムに巻き付ける前において、第1電極部110aの先端部113aであり、先端部113aの端縁と周方向とのなす角度が鈍角となる第1部分B1を通過し、かつ、リムの円周方向と直交する直線V1と、第2電極部110bの先端部113bであり、先端部113bの端縁と周方向とのなす角度が鈍角となる第2部分B2を通過し、かつ、リムの円周方向と直交する直線V2との間は、入り込み領域と規定される。入り込み領域は、直線V1と直線V2との間の領域である。電極部をリムに巻き付ける前では、入り込み領域の円周方向の幅は、例えば人差し指よりも少し大きい程度である。次に、電極部をリムに巻き付けた後の入り込み領域の幅は、電極部をリムに巻き付ける前よりも大きく、手よりも少し大きい程度となる。
これは、第1電極部110a及び第2電極部110bがリム201に巻き付けられるとき、第1電極部110a及び第2電極部110bは、円周方向に伸ばされるため、第1基材111aの先端部113a及び第2基材111bの先端部113bも円周方向に伸ばされる。本実施の形態では、第1基材311a及び第2基材311bに複数の貫通孔11a1が形成されているため、第1基材311a及び第2基材311bは伸び易くなっている。つまり、複数の貫通孔11a1が形成されていない第1基材及び第2基材に比べて、第1基材311a及び第2基材311bは、第1電極部110a及び第2電極部110bをリム201に巻き付けるときに、大きく伸ばされる。そして、第1基材311a及び第2基材311bの伸びに追従して、先端部113aに配置される第1センサ電極112a及び先端部113bに配置される第2センサ電極112bは、円周方向に移動する。
このようなステアリングヒータ11がリム201に巻き付けられた場合において、第1電極部110aの先端部113a及び第2電極部110bの先端部113bを跨いで、指がステアリングヒータ11に接触するとき、図17に示すように、指と第1センサ電極112a及び第2センサ電極112bとの重畳面積が増える。図16及び図17は、実施の形態3における電極部をリムへの巻き付ける前と巻き付けた後との、指と第1センサ電極112a及び第2センサ電極112bとの重畳面積の一例を示す図である。図17では、巻き付け後を二点鎖線で示し、巻き付け前を実線で示す。
図17に示すように、指と第1センサ電極112a及び第2センサ電極112bとの重なりを見れば、巻き付け前の実線に比べて、巻き付け後の二点鎖線の方が、指と第1センサ電極112a及び第2センサ電極112bとの重畳面積が大きい。
このようなステアリングヒータ11では、第1基材311a及び第2基材311bが伸び易いため、ステアリングヒータ11をリム201に巻き付け易くなり、作業性が向上する。また、指と第1センサ電極112a及び第2センサ電極112bとが重なる重畳面積が増えるため、先端部113aと先端部113bとの境界部分における不感帯となる領域を低減することができる。
特に、本実施の形態のように、先端部113a及び先端部113bが短手方向に対して傾斜した構成の場合、第1基材311a及び第2基材311bが引っ張り方向に伸びることで、先端部113a及び先端部113bも引っ張り方向に伸びるため、入り込み領域を拡大することができるため、先端部113aと先端部113bとの境界部分における接触の検出感度を高めることができる。
(その他の変形例)
以上、本開示に係るステアリングヒータについて、上記各実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態に施したものも、本開示の範囲内に含まれてもよい。
例えば、上記各実施の形態におけるステアリングヒータでは、基材の貫通孔の開口径は、基材がステアリングホイールに巻き付けられた場合において、ステアリングホイールの外周側からステアリングホイールの内周側に向かうにつれて、小さくなっていてもよい。このため、ステアリングホイールの外周側に位置する基材における単位面積当たりの貫通孔の総開口面積は、ステアリングホイールの内周側に位置する基材における単位面積当たりの貫通孔の総開口面積よりも大きい。
例えば、上記実施の形態及びその各変形例では、第1センサ電極112a及び第2センサ電極112bのそれぞれは金属線などの導電線からなるが、いわゆるべた電極であってもよい。つまり、第1センサ電極112a及び第2センサ電極112bのそれぞれは、金属板又は金属箔などから構成されていてもよい。この場合、第1センサ電極112a及び第2センサ電極112bのそれぞれは、接着材によって第1基材111a又は第2基材111bに接合されていてもよい。接着材は、例えば両面テープなどであってもよい。また、第1センサ電極112a及び第2センサ電極112bのそれぞれのパターンは、ジグザグ状であっても、それ以外のどのような形状であってもよい。
また、上記実施の形態及びその各変形例では、基材111は、第1基材111a及び第2基材111bの2つの基材からなるが、単一の基材であってもよい。この場合、上記実施の形態及びその各変形例における、第1基材111aの基端部114aと第2基材111bの基端部114bとは、一体に区別されることなく結合されている。また、電極部110に含まれる基材の数は、2つであっても、3つ以上であってもよい。この場合、互いに隣り合う基材の端部同士が、上記実施の形態及びその各変形例と同様の構成を有して、互いに対向するようにリム201に配置される。
また、上記変形例1では、先端部113aが凸部115a及び凹部116aを有し、先端部113bが凸部115b及び凹部116bを有するが、これらの凸部及び凹部の形状は、どのような形状であってもよい。例えば、凸部は尖形であってもよい。また、図12に示す例では、先端部113a及び113bはそれぞれ、1つの凸部と1つの凹部を有するが、複数の凸部と複数の凹部を有していてもよい。この場合でも、先端部113a及び113bのそれぞれの縁は、クランク状に形成されている。また、図13Aに示す例では、先端部113a及び113bはそれぞれ、2つの凸部と2つの凹部を有するが、3つ以上の凸部と3つ以上の凹部を有していてもよい。
また、上記実施の形態及びその各変形例では、基材111における互いに対向する2つの端部の形状は、図11〜図14に示すように、点対称に形成されている。しかし、本開示では、2つの端部の形状は、点対称に形成されている必要はなく、どのような形状であってもよい。
また、上記実施の形態では、基端部114a及び114bも、先端部113a及び113bと同様の構成を有しているが、基端部114a及び114bと、先端部113a及び113bとで異なる構成を有していてもよい。
なお、上記の各実施の形態に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
本開示のステアリングヒータは、例えば、車両のステアリングホイールもしくはバイクのグリップなどに適用可能である。
11、100、101 ステアリングヒータ
11a、111 基材
11a1 貫通孔
11b ヒータ線
11c 縫製糸
12、140 制御回路部
12a141 電源回路
12b、120 検出回路
110 電極部
110a 第1電極部
110b 第2電極部
111a、311a 第1基材
111b、311b 第2基材
112 センサ電極
112a 第1センサ電極
112b 第2センサ電極
113a、113b 先端部
114a、114b 基端部
115a、115b 凸部
116a、116b 凹部
130 ハーネス
200 ステアリングホイール

Claims (16)

  1. ステアリングホイールに巻き付けられる基材と、
    電流が流れることによって発熱するヒータ線と、
    前記ヒータ線を前記基材の一面に縫製する縫製糸とを備え、
    前記基材には、前記ヒータ線を縫製する前記縫製糸の縫い目の縫製ピッチよりも小さい径の貫通孔が複数形成されている、
    ステアリングヒータ。
  2. 前記基材が前記ステアリングホイールに巻き付けられた場合において、前記ステアリングホイールの外周側に位置する前記基材に形成されている前記貫通孔の数は、前記ステアリングホイールの内周側に位置する前記基材に形成されている前記貫通孔の数よりも多い、
    請求項1に記載のステアリングヒータ。
  3. 前記基材が前記ステアリングホイールに巻き付けられた場合において、前記基材に形成されている前記貫通孔の数は、前記ステアリングホイールの外周側から前記ステアリングホイールの内周側に向かうにつれて、次第に少なくなる、
    請求項1又は2に記載のステアリングヒータ。
  4. 複数の前記貫通孔のうちの隣り合う2つの貫通孔のピッチは、前記縫製ピッチと異なる、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載のステアリングヒータ。
  5. 前記基材が前記ステアリングホイールに巻き付けられた場合において、前記ステアリングホイールの外周側に位置する前記基材における単位面積当たりの前記貫通孔の数の第1密度は、前記ステアリングホイールの内周側に位置する前記基材における単位面積当たりの前記貫通孔の数の第2密度より大きい、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載のステアリングヒータ。
  6. 前記基材が前記ステアリングホイールに巻き付けられた場合において、前記基材では、前記ステアリングホイールの外周側から前記ステアリングホイールの内周側に向かうにつれて、前記第1密度から次第に小さくなり、前記第2密度に至る、
    請求項5に記載のステアリングヒータ。
  7. さらに、前記ヒータ線の一端に電気的に接続された制御回路部を備え、
    前記制御回路部は、前記ヒータ線と電気的に接続され、前記ヒータ線をセンサ電極として、人体と前記ステアリングホイールとの接触を検出する、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載のステアリングヒータ。
  8. 前記基材は、前記ステアリングホイールのリムに、前記リムの円周方向に沿って取り付けられ、
    前記リムの円周方向における前記基材の2つの端部は互いに対向し、
    前記センサ電極は、前記リムの円周方向に垂直な平面であって、前記2つの端部に交わる前記平面と交差するように、前記基材に配置されている、
    請求項7に記載のステアリングヒータ。
  9. 前記基材は、第1基材と第2基材とからなり、
    前記センサ電極は、前記第1基材に配置される第1センサ電極と、前記第2基材に配置される第2センサ電極とからなり、
    前記2つの端部のうちの一方は、前記第1基材の端部であり、
    前記2つの端部のうちの他方は、前記第2基材の端部である、
    請求項8に記載のステアリングヒータ。
  10. 前記2つの端部のそれぞれの縁は、前記平面に対して傾斜している
    請求項8又は9に記載のステアリングヒータ。
  11. 前記2つの端部のそれぞれは、凸部と凹部とを有し、
    前記2つの端部のうちの一方の端部における前記凸部及び前記凹部と、他方の端部における前記凹部と前記凸部とは、前記円周方向に篏合している、
    請求項8又は9に記載のステアリングヒータ。
  12. 前記2つの端部のそれぞれの縁は、クランク状である、
    請求項11に記載のステアリングヒータ。
  13. 前記2つの端部のそれぞれは、フォーク形状に形成され、複数の前記凸部及び複数の前記凹部を有する、
    請求項11に記載のステアリングヒータ。
  14. 前記2つの端部のそれぞれは、前記円周方向に沿う切れ込みを有し、前記切れ込みによって、前記センサ電極の一部が配置されている電極領域と、前記センサ電極が配置されていない無電極領域とに区分けされ、
    前記基材が前記リムに取り付けられるときには、
    前記2つの端部のそれぞれは、当該端部と異なる他方の端部の前記切れ込みに挿入され、
    前記2つの端部のそれぞれの前記電極領域は、前記他方の端部の前記無電極領域よりも前記リムの表面側に重ねられる、
    請求項8又は9に記載のステアリングヒータ。
  15. 前記ヒータ線に電流を流す回路は、前記ヒータ線のうちの一部であって、前記2つの端部のうちの一方に配置されている第1線部分と、前記ヒータ線のうちの他の部分であって、前記第1線部分と隣り合って略平行に配置され、かつ、前記2つの端部のうちの他方に配置されている第2線部分とに、互いに逆向きの電流を流す、
    請求項8〜14のいずれか1項に記載のステアリングヒータ。
  16. ステアリングホイールのリムに、前記リムの円周方向に沿って取り付けられる基材と、
    前記基材に配置されるセンサ電極とを備え、
    前記リムの円周方向における前記基材の2つの端部は互いに対向し、
    前記センサ電極は、前記リムの円周方向に垂直な平面であって、前記2つの端部に交わる前記平面と交差するように、前記基材に配置されており、
    前記センサ電極は、電流が流されることにより発熱して前記リムを温める、
    ステアリングヒータ。
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