本開示の一態様に係る静電容量センサは、表面と、裏面とを有するシート状の基材と、前記基材の前記表面に配置される静電容量式の検出電極とを備え、前記検出電極は、撚線である複数の縦糸と、撚線である複数の横糸とを有し、前記複数の縦糸と前記複数の横糸とで織り込まれ、前記複数の縦糸のうちの隣り合う2つの縦糸と、前記複数の横糸のうちの隣り合う2つの横糸とで形成される開口を有するメッシュ布に、金属メッキを施した導電布であり、前記複数の縦糸のうちの1つの縦糸の長手方向と直交する平面で前記1つの縦糸を切断した場合の断面、又は、前記複数の横糸のうちの1つの横糸の長手方向と直交する平面で前記1つの横糸を切断した場合の断面における、前記1つの縦糸又は前記1つの横糸の最大外径で規定される面積は、前記開口の開口面の面積よりも小さい。
このように、縦糸及び横糸の断面の最大外径における面積は、開口の開口面の面積よりも小さいため、メッシュ状の検出電極では、単位面積当たりに占める開口の割合が大きい。このため、静電容量センサを引っ張ることで検出電極に引っ張り応力が付与された場合、検出電極は伸び易い。つまり、検出電極は、開口の形状を変化させながら、引っ張り応力に応じて伸びる。検出電極が伸びる際、複数の縦糸及び複数の横糸は、撚線であるため、不織布に比べてクラックが生じ難い。つまり、検出電極にクラックが発生することを抑制することで、抵抗値の増大を抑制することができる。
したがって、静電容量センサは、検出電極の検知精度の信頼性の低下を抑制することができる。
特に、検出電極が伸びる際、縦糸と横糸とに互いに接圧が加わるため、複数の縦糸及び複数の横糸のそれぞれの接点における接圧が安定し、より検出電極のロバスト性が向上する。
また、本開示の他の一態様に係る静電容量センサの製造方法において、撚線である複数の縦糸と、撚線である複数の横糸とを有し、前記複数の縦糸と前記複数の横糸とで織り込まれ、前記複数の縦糸のうちの隣り合う2つの縦糸と、前記複数の横糸のうちの隣り合う2つの横糸とで形成される開口を有するメッシュ布に、無電解メッキを施す第1工程と、前記第1工程で前記無電解メッキを施した前記メッシュ布に、電解メッキを施して検出電極を生成する第2工程と、前記検出電極をシート状の基材の表面に配置する第3工程と、を有し、前記複数の縦糸のうちの1つの縦糸の長手方向と直交する平面で前記1つの縦糸を切断した場合の断面、又は、前記複数の横糸のうちの1つの横糸の長手方向と直交する平面で前記1つの横糸を切断した場合の断面における、前記1つの縦糸又は前記1つの横糸の最大外径で規定される面積は、前記開口の開口面の面積よりも小さい。
この製造方法によっても、上述と同様の作用効果を奏する。
また、本開示の他の態様に係る静電容量センサにおいて、前記検出電極は、前記基材の表面に接着されて、前記基材に固定され、前記検出電極だけを引っ張った場合の前記検出電極の伸び率は、前記基材だけを引っ張った場合の前記基材の伸び率よりも大きい。
このように、静電容量センサを引っ張って伸ばした場合、検出電極が基材と同等に伸びることができるため、検出電極におけるクラックの発生をより抑制することができる。
また、本開示の他の態様に係る静電容量センサにおいて、前記検出電極を引っ張る場合の引っ張り方向は、前記複数の縦糸及び前記複数の横糸のそれぞれの長手方向に対して、鋭角の角度が略45°となる方向である。
このように、検出電極には、引っ張り方向が複数の縦糸及び複数の横糸のそれぞれの長手方向に対して、鋭角の角度が略45°となるように、引っ張り応力が付与される。このため、検出電極の伸び率を確保することができるため、静電容量センサを引っ張ったときに伸ばし易くなるとともに、検出電極における引っ張り応力によるクラックの発生をより確実に抑制することができる。
また、本開示の他の態様に係る静電容量センサにおいて、前記基材を引っ張る場合の引っ張り方向は、前記縦糸及び前記横糸のそれぞれの長手方向に対して、鋭角の角度が略45°となる方向であり、前記基材は、引っ張られた状態で設備に固定される。
このように、引っ張り方向が縦糸及び横糸のそれぞれの長手方向に対して、鋭角の角度が略45°となるように、検出電極が基材に配置されて固定される。つまり、基材が引っ張られれば、検出電極は、基材に追従して伸びることができる。このため、この静電容量センサでは、検出電極におけるクラックの発生をより確実に抑制することができる。
また、本開示の他の態様に係る静電容量センサにおいて、前記金属メッキは、前記メッシュ布に無電解銅メッキが施された表面に、さらに電解ニッケルメッキが施されて構成される。
これによれば、無電解メッキが施されたメッシュ布に電解メッキを施す場合、複数の縦糸及び複数の横糸が複数の撚線で構成されるため、縦糸と横糸との接圧が確保された状態でメッキが施されるため、検出電極の複数の縦糸及び複数の横糸のそれぞれの接点における接圧がより向上し、検出電極のロバスト性がより向上する。
また、メッシュ布に無電解メッキだけを施す場合に比べて、本開示の検出電極では、結晶性が高く、耐腐食性が高いため、実使用環境での腐食による検出電極における抵抗値の増大を抑制することができる。
また、無電解メッキが施されたメッシュ布は単位面積当たりに占める開口の割合が大きいため、従来の不織布に比べて、被メッキ面積が小さくなり、電解メッキに必要な電流値も相対的に小さくなる。したがって、電解メッキを使用する場合に電力消費量の増大を抑制することができる。このため、検出電極を有する静電容量センサの製造コストの高騰化を抑制することができる。
また、無電解メッキが施されたメッシュ布に電解メッキを施すことで金属メッキを形成することができるため、例えばアニール処理等をしなくても結晶性に優れた金属メッキをメッシュ布の表面に形成することができる。特に、メッシュ布が樹脂等である場合に好適である。
また、無電解銅メッキをしたメッシュ布をさらにニッケル電解メッキで覆うことで、銅メッキの酸化を抑制することができるとともに、縦糸と横糸とが接触する接点での導通性も向上させることができる。
また、本開示の他の態様に係る静電容量センサにおいて、前記開口の最大幅は、人体の指の幅よりも小さい。
このように、検出電極は、人体の指の存在を確実に検出することができる。このため、静電容量センサでは、検出精度を確保することができる。
また、本開示の他の態様に係る静電容量センサにおいて、前記検出電極を平面視した場合に、前記1つの縦糸と前記1つの横糸とのそれぞれの接点における重なりの面積である第1面積は、前記開口の開口面の面積である第2面積よりも小さい。
このように、検出電極では、第1面積が第2面積よりも大きい場合に比べて、縦糸と横糸との接触面積を小さくすることができるため、引っ張りによる検出電極の伸び率を確保することができる。このため、この静電容量センサでは、検出電極におけるクラックの発生をより確実に抑制することができる。
また、本開示の他の態様に係る静電容量センサは、さらに、前記検出電極と電気的に接続される制御回路を備え、前記検出電極は、ステアリングホイールに配置され、人体と前記ステアリングホイールとの接触を検出し、前記制御回路は、前記検出電極と電気的に接続され、前記検出電極によって人体と前記ステアリングホイールとの接触を検出する。
このように、検出電極に制御回路を電気的に接続することで、ステアリングホイールに対する接触又は把持を検出することができる。
また、本開示の他の態様に係る静電容量センサにおいて、前記開口は、前記縦糸の長手方向、及び、前記横糸の長手方向に沿って、略同じ形状で規則的に配列される。
このように、静電容量センサを引っ張って伸ばし、さらにステアリングホイールに巻き付けた場合、それぞれの開口に引っ張り応力及び部分的に圧縮応力が作用するため、それぞれの開口が略規則的に変化する。このため、縦糸と横糸とのそれぞれの接点に加えられる応力も略均等になるため、検出電極におけるクラックの発生をより確実に抑制することができる。
本開示の一態様に係る静電容量センサは、さらに、手が触れる表層部と、前記表層部の裏面側に配置されている防湿層と、を備え、前記検出電極は、前記防湿層の前記表層部側とは反対側に配置されており、前記基材は、前記検出電極の前記防湿層側とは反対側に配置されており、前記防湿層と前記検出電極とは、第1粘着層により貼り付けられ、前記検出電極と前記基材とは、第2粘着層により貼り付けられ、前記防湿層の透湿度は、前記第1粘着層の透湿度及び前記第2粘着層の透湿度よりも低い。
例えば、ユーザの手が表層部に触れることで、ユーザの手によって発生した汗等の水分(例えば、水蒸気)は、表層部の材質に含まれている残留物が混ざり、酸性の腐食水となることがある。このような腐食水は、静電容量センサの内部に浸透し、検出電極に到達することがある。この場合、腐食水によって検出電極は、腐食してしまう可能性がある。
しかし、本開示によれば、防湿層は、表層部の裏面側に配置され、かつ、検出電極の表層部側に配置されている。つまり、防湿層は、検出電極の外側に配置されている。また、防湿層の透湿度は、第1粘着層の透湿度及び第2粘着層の透湿度よりも低い。このため、ユーザの手が表層部に触れることで、表層部が高温高湿の状態となっても、防湿層は、ユーザの手によって与えられた水分が、検出電極に至ることを抑制することができる。
したがって、この静電容量センサでは、検出電極の腐食を抑制することができる。
また、本開示の他の一態様に係る静電容量センサは、前記第1粘着層、及び前記第2粘着層は基材レス両面テープである。
この静電容量センサでは、基材を有する両面テープを用いた静電容量センサよりも、伸ばし易くなる。つまり、基材レス両面テープを静電容量センサに用いることで、静電容量センサの引っ張った場合、検出電極の開口の変形が過度に妨げられ難い。このため、静電容量センサの一定の引っ張り伸び率を確保することができる。
また、防湿層と検出電極とを伸張性を損なわずに接着することができるとともに、検出電極と基材とを伸張性を損なわずに接着することができる。このため、静電容量センサの組付けの作業性を向上させることができる。
また、本開示の他の一態様に係る静電容量センサにおいて、前記防湿層の厚みは、前記第1粘着層の厚み、及び、前記第2粘着層の厚みよりも薄い。
これによれば、防湿層の厚みは薄いため、本開示の静電容量センサの厚みは、防湿層を設けていない静電容量センサの厚みとさほど変わらない。このため、例えば、この静電容量センサを車両のステアリングホイールのリムに巻き付けるときでも、静電容量センサの厚みの増加による巻き付け難くなるといった不具合が生じ難い。また、防湿層の周囲における段差も小さくなるため、運転者のステアリングホイール把持時の違和感を低減できる。
また、本開示の他の一態様に係る静電容量センサにおいて、前記検出電極、前記防湿層、及び、前記基材を重ねて見た場合に、前記検出電極の表面積は、前記防湿層の表面積、及び、前記基材の表面積よりも小さく、前記検出電極は、前記第1粘着層と前記第2粘着層とにより覆われている。
これによれば、表層部が高温高湿の状態となっても、検出電極が第1粘着層及び第2粘着層によって挟まれた状態で覆われるため、腐食水が検出電極に到達し難くなる。その結果、この静電容量センサでは、検出電極の腐食を、より確実に抑制することができる。
また、本開示の他の一態様に係る静電容量センサにおいて、前記表層部と前記防湿層とは、第3粘着層により貼り付けられ、前記第3粘着層の周囲は、前記第1粘着層及び前記第2粘着層に貼り付けられている。
これによれば、検出電極は、第3粘着層と、第1粘着層及び第2粘着層とによって封止された状態となるため、腐食水が検出電極に到達し難くなる。その結果、この静電容量センサでは、検出電極の腐食を、より確実に抑制することができる。
また、本開示の他の一態様に係る静電容量センサにおいて、前記基材の前記検出電極側とは反対側には、接地電極が配置されている。
例えば、静電容量センサをステアリングのリムに巻く場合、例えばリムに含まれる導電性の芯金と検出電極との間の距離に比べて、本開示では、接地電極と検出電極との間の距離を小さくすることができる。このため、接地電極と検出電極との第1静電容量の方が、芯金と検出電極との間の第2静電容量よりも大きくなる。つまり、手から検出電極までの静電容量と、検出電極から接地電極までの静電容量との和によって、表層部への手の接触を検知するため感度が上がり、静電容量センサの検出精度の低下を、より抑制することができる。
また、本開示の他の一態様に係る静電容量センサにおいて、前記第3粘着層は、基材レス両面テープである。
これによれば、伸張性を損なう事無く、表層部と防湿層とを接着することができる。このため、静電容量センサの組付けの作業性を向上させることができる。
本開示の一態様に係る静電容量センサは、前記検出電極は、ステアリングホイールの周方向に、少なくとも三箇所以上に配置される複数の導電布であり、前記複数の導電布のそれぞれは、電極部と、前記電極部から所定位置まで延びる信号取出し部とを有し、前記複数の導電布のうち、前記所定位置から近い第1導電布と、前記第1導電布よりも前記所定位置から遠い第2導電布と、において、前記第1導電布は、二分割された状態で、前記ステアリングホイールの周方向と直交する方向に並んで配置され、前記第2導電布の信号取出し部は、前記第1導電布と電気的に接続されずに、二分割された前記第1導電布の間に沿って、前記第2導電布の電極部から前記所定位置まで延びる。
例えば、ユーザの手がステアリングのどの位置に触れているのかを検出するためには、検出電極を複数個所に配置するという構成を取ることがある。この場合、所定位置にある信号取出し部から検出電極の信号を取り出すが、複数個所に配置された検出電極のうち、所定位置から遠く離れた位置に配置された検出電極では、基材の端縁に沿って所定位置まで信号取出し部を引き出すことがある。このように配置された信号取出し部が形成される複数の検出電極、及び、基材等の近傍を表層部の上から縫製糸で縫製する場合、通常、基材の端縁に沿って縫製されるため、縫製による応力が基材の端縁に配置される信号取出し部に加わる。信号取出し部は、検出電極の幅よりも細い引出し線であるため、この応力によって破損する恐れがある。
また、ユーザの手がステアリングと接触した状態が続くことで、ステアリングは、高温高湿の状態に置かれる。このため、ユーザの手がステアリングの表層部に触れることで、ユーザの手によって発生した汗等の水分(例えば、水蒸気)は、縫製部分から侵入し、基材の端縁に配置される信号取出し部に到達する場合がある。この場合、幅の細い信号取出し部は検出電極に比べてその幅が極めて小さいため、耐腐食性が低い。その結果、腐食が発生すると、静電容量センサに不具合等が発生し易くなる。
しかし、本開示によれば、二分割された第1導電布は、ステアリングホイールの周方向と直交する方向に並んで配置される。また、所定位置から第1導電布よりも遠い位置にある第2導電布の信号取出し線は、二分割された第1導電布の間に沿って配置される。つまり、第2導電布の信号取出し線は、二分割された第1導電布に挟まれて、基材の中央部分に配置されるため、縫製による応力が第2導電布の信号取出し線に加わり難い。
また、第2導電布の信号取出し線は、縫製された位置(縫製糸)から離れた位置に配置されることとなるため、縫製部分からユーザの手によって発生した汗等の水分が侵入しても、腐食し難くなる。
したがって、この静電容量センサでは、信号取出し部の破損及び腐食を抑制することができる。
また、本開示の他の一態様に係る静電容量センサにおいて、前記複数の導電布、前記表層部、及び、前記基材を重ねて見た場合に、前記複数の導電布の総表面積は、前記表層部の表面積、及び、前記基材の表面積よりも小さく、前記複数の導電布は、前記第1粘着層と前記第2粘着層とによって覆われている。
これによれば、表層部が高温高湿の状態となっても、導電布である検出電極が第1粘着層及び第2粘着層によって挟まれた状態で覆われるため、水分が検出電極に、より到達し難くなる。その結果、この静電容量センサでは、検出電極の腐食を、より確実に抑制することができる。
また、本開示の他の一態様に係る静電容量センサにおいて、前記基材の前記検出電極側とは反対側には、接地電極が配置されている。
例えば、静電容量センサをステアリングのリムに巻く場合、例えばリムに含まれる導電性の芯金とセンサ電極との間の距離に比べて、本開示では、接地電極とセンサ電極との間の距離を小さくすることができる。このため、接地電極とセンサ電極との第1静電容量の方が、芯金とセンサ電極との間の第2静電容量よりも大きくなる。つまり、手からセンサ電極までの静電容量と、センサ電極から接地電極までの静電容量との和によって、表層部への手の接触を検知するため感度が上がり、静電容量センサの検出精度の低下を、より抑制することができる。
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態において、略T字等の表現を用いている。例えば、略T字状は、完全にT字状であることを意味するだけでなく、実質的にT字状である、すなわち、例えば数%程度の誤差を含むことも意味する。また、略T字状は、本開示による効果を奏し得る範囲においてT字状という意味である。他の「略」を用いた表現についても同様である。
(実施の形態1)
<構成:静電容量センサ100>
図1は、実施の形態1における静電容量センサ100が配置された車両1の車室の一例を示す図である。
図1に示すように、車両1は、ステアリングホイール3、スピーカ、及び、液晶ディスプレイ等の表示装置を備えている。スピーカ及び表示装置は、例えば注意喚起装置として構成されている。
ステアリングホイール3は、車両1の操舵輪に対して操舵角を与える。ステアリングホイール3は、リム31と、リム31の内周面に一体的に形成された略T字状のスポーク32と、スポーク32の中央部分に配置されたホーンスイッチ(図示せず)を覆うホーンスイッチカバー(図示せず)とを有している。
図2は、図1のII−II線におけるステアリングカバー110が巻き付けられたリム31とステアリングカバー110とを示す断面図、及び、リム31とステアリングカバー110及びリム31の部分拡大断面図である。図3は、実施の形態1における静電容量センサ100を有するステアリングカバー110のリム31への巻き付け方の一例を示す図である。
図2及び図3に示すように、静電容量センサ100は、ユーザ(人体)の手によるステアリングカバー110の接触を検出する装置であって、車両1のリム31に設けられている。接触とは、ユーザの手がステアリングカバー110に直接的に接触するだけでなく、静電容量センサ100が人の手を検知可能であれば、ステアリングカバー110から離間している状態も含む意味である。
静電容量センサ100は、例えば静電容量式の近接センサであって、ステアリングホイール3を有する車両1内のユーザの把持を検出するグリップセンサである。具体的には、静電容量センサ100は、ユーザの手と静電容量センサ100中の検出電極112との間の静電容量の変化を検知することによって、ユーザの手がステアリングホイール3に触れているか否かを検出する。ユーザの手がステアリングホイール3から離れている状態では、静電容量センサ100は、車両1と検出電極112との間の静電容量を検知する。また、ユーザの手がステアリングカバー110に近付く又は接触すると、静電容量センサ100と車体との間にユーザの手が介在するため、静電容量が変化する。検知された静電容量が規定値以上となれば、ユーザの手がステアリングホイール3に触れている、又は、把持していると判断することができる。
図4は、実施の形態1における静電容量センサ100の構成を示すブロック図である。
図2及び図4に示すように、静電容量センサ100は、表層部111と、検出電極112と、基材113と、接地電極114と、制御装置120とを備えている。
[表層部111]
表層部111は、手が触れる部分であり、静電容量センサ100の外周を構成している。つまり、表層部111は、ユーザがリム31を握る際に、ユーザの手と直接接触する部分である。また、表層部111は、革、木材、又は、樹脂等からなり、本実施の形態では、革である。
[検出電極112]
検出電極112は、ステアリングホイール3に配置される。具体的には、検出電極112は、表層部111の裏面、かつ、基材113の表面113aに配置される。つまり、検出電極112は、表層部111と基材113とに挟まれている。検出電極112は、表層部111の裏面と第1粘着層116bで接着され、基材113の表面113aと第2粘着層116cで接着されて、基材113に固定される。基材113の表面113aは、表層部111側に向けて配置される面である。
なお、検出電極112は、基材113の表面113aに、1つだけ配置されていてもよく、複数が配置されていてもよい。図4に示すように、本実施の形態では、静電容量センサ100が3つの検出電極112と3つの接地電極114とを有する場合を図示しており、以下この図に基づいて説明を行う。なお、便宜上、主に3つの検出電極112のうちの1つの検出電極112、3つの接地電極114のうちの1つの接地電極114に着目して説明する。
本実施の形態では、3つの検出電極112のうちの第1の検出電極は、静電容量センサ100をリム31に巻き付けた際の一方側端部(例えばリム31と対向した状態で見た場合の右側)に配置される。3つの検出電極112のうちの別の電極である第2の検出電極112は、静電容量センサ100をリム31に巻き付けた際の他方端側(例えばリム31と対向した状態で見た場合の左側)に配置される。3つの検出電極112のうちの残りの電極である第3の検出電極112は、第1の検出電極112と第2の検出電極112との間に配置される。
図5は、検出電極112の縦糸132a及び横糸132bを示す部分拡大断面図である。
図5に示すように、検出電極112は、例えば、非金属繊維に対してメッキを施すことによって構成されている導電布であり、静電容量式のセンサ電極である。具体的には、検出電極112は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の非金属繊維が織り込まれたメッシュ布の表面に第1金属メッキを形成し、さらに、第1金属メッキの表面に第2金属メッキを形成して構成される。又は、検出電極112は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の非金属繊維の表面に第1金属メッキを形成し、さらに、第1金属メッキの表面に第2金属メッキを形成した導電繊維を織ることで形成される。例えば、第1金属メッキは銅等であり、第2金属メッキはニッケル等である。
具体的には、検出電極112は、複数の線(上述の非金属繊維である)を撚り合わせて1本の線に構成された撚線である複数の縦糸132aと、撚線である複数の横糸132bとを有する。検出電極112は、複数の縦糸132aのうちの隣り合う2つの縦糸132aと、複数の横糸132bのうちの隣り合う2つの横糸132bとで開口132cを形成して、複数の縦糸132aと複数の横糸132bとで織り込まれるメッシュ布に金属メッキを施した導電布である。
ここで、開口132cは、検出電極112を平面視した場合、矩形状である。開口132cは、縦糸132aの長手方向、及び、横糸132bの長手方向に沿って、略同じ形状で規則的に配列される。本実施の形態では、開口132cは、格子状に配列される。開口132cの最大幅L1は、人体の指の幅よりも小さい。ここで、人体の指の幅は、一本の指の幅であってもよく、二本以上五本以下の指の幅までであってもよい。すなわち、把持と判定する静電容量の閾値を鑑みて定義された人体の指の幅に対応して、開口132cの最大幅L1の決定が行われる。
複数の縦糸132aのそれぞれは、ステアリングカバー110がリム31に巻き付けられていない状態で検出電極112を平面視した場合、検出電極112の長手方向もしくは短手方向と略45°状に配置される。また、複数の横糸132bのそれぞれは、ステアリングカバー110がリム31に巻き付けられていない状態で検出電極112を平面視した場合、複数の縦糸132aのそれぞれと略直交する姿勢で、略直線状に配置される。つまり、メッシュ布は、複数の縦糸132aと複数の横糸132bとが織り込まれることによって複数の開口132cが形成される。
図6は、図5のVI−VI線における検出電極112の縦糸132aの断面と、横糸132bの側面とを示す部分拡大断面図である。
図5及び図6に示すように、複数の縦糸132aのそれぞれと複数の横糸132bのそれぞれとが織り込まれて構成されたメッシュ布に金属メッキが施されているため、複数の縦糸132aと複数の横糸132bとのそれぞれの接点Pで電気的に接続されていることは言うまでもない。ここで、金属メッキは、メッシュ布に無電解銅メッキが施された表面に、さらに電解ニッケルメッキが施されて構成される。ここで、接点Pは、複数の縦糸132aのそれぞれと、複数の横糸132bのそれぞれとが重なり、かつ、接触(導通)する部分である。
また、無電解銅メッキが施されたメッシュ布に無電解ニッケルメッキを施す場合に比べて、本実施の形態では、無電解銅メッキが施されたメッシュ布にさらに電解ニッケルメッキが施されることで、本実施の形態の検出電極112では、結晶性が高く、耐腐食性が高いため、実使用環境での腐食による検出電極112における抵抗値の増大を抑制することができる。さらに、メッシュ布は、複数の縦糸132a及び複数の横糸132bが複数の撚線で構成されるため、縦糸132aと横糸132bとの接圧が十分に確保された状態でメッキが施される。したがって、検出電極112の複数の縦糸132a及び複数の横糸132bのそれぞれの接点Pにおける接圧が向上するため、縦糸132aと横糸132bとの接点Pで強固に接続される。また、静電容量センサ100が引っ張られた際は、縦糸132aと横糸132bとに、互いに接圧が加わるため、複数の縦糸132a及び複数の横糸132bのそれぞれの接点Pにおける接圧が安定し、縦糸132aと横糸132bとの接点Pの接続がより強固となる。
図5に示すように、複数の縦糸132aのうちの1つの縦糸132aの長手方向と直交する平面で1つの縦糸132aを切断した場合の断面における、1つの縦糸132aの二点鎖線で示す最大外径で規定される面積は、開口132cの開口面の面積よりも小さい。また、複数の横糸132bのうちの1つの横糸132bの長手方向と直交する平面で1つの横糸132bを切断した場合の断面における、1つの横糸132bの最大外径で規定される面積A1は、開口132cの開口面の面積A2よりも小さい。ここで最大外径とは、例えば、縦糸132a及び横糸132bにおいて円等で規定される直径の最大値である。なお、図5では、二点鎖線で示す面積A1は、二点鎖線で示すA2との比較をするために示しているに過ぎない。
また、検出電極112のみを引っ張った場合の検出電極112の伸び率は、基材113のみを引っ張った場合の基材113の伸び率よりも大きい。なお、開口132cの開口面の面積が縦糸132a及び横糸132bの最大外径で規定される面積よりも大きくなればなるほど、検出電極112の伸び率は、大きくなる。
図7は、検出電極112を引っ張る前の状態を示す部分拡大図と、検出電極112を引っ張った後の状態(例えばリム31にステアリングホイール3を巻き付けた後の検出電極112)と、検出電極112の圧縮後の状態とを示す部分拡大平面図である。
図7に示すように、検出電極112はメッシュ状の導電布であるため、複数の縦糸132a及び複数の横糸132bのそれぞれの長手方向と交差する方向に検出電極112を引っ張れば、引っ張り方向と、複数の縦糸132a及び複数の横糸132bのそれぞれの長手方向との角度θ1が小さくなるように、複数の縦糸132a及び複数の横糸132bのそれぞれが移動する。検出電極112のみを引っ張った場合、検出電極112の複数の開口132cの形状が矩形状から菱形状となるように、複数の開口132cの形状が変形しながら検出電極112が伸びる。つまり、縦糸132a及び横糸132bに掛かる引張応力を抑制することができる。また、検出電極112を圧縮した場合(圧縮後の場合)も同様に、検出電極112の開口132cの形状が変化する。つまり、縦糸132a及び横糸132bに掛かる圧縮応力を抑制することができる。なお、引っ張り及び圧縮のいずれの場合も、縦糸132a及び横糸132bは、図6の接点Pで強固に接続されているため、後述する図16Bに示される導通の形態が阻害されないことになる。
具体的には、検出電極112を引っ張る場合の引っ張り方向と略平行な直線Wは、複数の縦糸132aの長手方向と略平行な直線V1及び複数の横糸132bの長手方向と略平行な直線V2に対して、鋭角の角度θ1が略45°となる。つまり、検出電極112が最も伸び易い方向に引っ張られるために、検出電極112は、基材113を引っ張った場合の引っ張り方向と略平行な直線Wと、縦糸132aの長手方向と平行な直線V1及び横糸132bの長手方向と平行な直線V2とにおける、鋭角の角度θ1が略45°となる姿勢で、基材113の表面113aに固定される。静電容量センサ100をリム31に巻き付ける際に静電容量センサ100の長手方向及び短手方向に引っ張っても、検出電極112の伸び率は基材113の伸び率よりも大きいため、基材113に追従して検出電極112が伸びる。
また、リム31にステアリングホイール3を巻き付けた後の検出電極112は、引っ張られた状態であるため、角度θ1は略45°以下となることは言うまでもない。
また、図5に示すように、検出電極112を平面視した場合に、複数の縦糸132aのそれぞれと複数の横糸132bのそれぞれとの接点Pにおける重なりの面積である第1面積112dは、開口132cの開口面の面積である第2面積A2よりも小さい。つまり、第1面積112dが第2面積A2よりも大きくなる検出電極に比べて、本実施の形態では、検出電極112における第1面積112dを第2面積A2よりも小さくすることで、複数の縦糸132aのそれぞれと複数の横糸132bのそれぞれとの接触面積が小さくなる。これにより、開口による変形量をより確保できるため、検出電極112は、引っ張り応力により伸び易くなる。
なお、検出電極112は、開口132cを利用して伸びるため、金属メッキした不織布又は平織布(後述する図10の構成)と比べ、伸張時に複数の縦糸132a及び複数の横糸132bに掛かる応力が極めて小さい。したがって、縦糸132a及び横糸132bへの応力による金属メッキへのクラックなどの影響が低減され、高信頼性が得られる。
[基材113]
基材113は、弾性、柔軟性及び延性を有する材質によって長尺のシート状に形成される不織布である。例えば、基材113は、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の合成樹脂によって構成される。基材113は、リム31の形状、及び、大きさに応じて形成される。
また、基材113は、表面113aと裏面113bとを有する。表面113aには第2粘着層116cを介して検出電極112が配置され、裏面113bには接地電極114が配置される。基材113は、検出電極112の表層部111側とは反対側に配置され、かつ、接地電極114の検出電極112側の面に配置されている。つまり、基材113は、検出電極112と接地電極114とに挟まれている。
また、基材113は、ステアリングシートがリム31に巻き付けられた際に、引っ張られた状態で設置電極を挟んでリム31に固定される。ここで、リム31は、設備の一例である。つまり、設備は、静電容量センサ100を取付け対象となる対象物であるため、リム31には限定されない。
[接地電極114]
接地電極114は、例えば銅線等の金属線(導電線)である。接地電極114のそれぞれは配線119b、119c等を介して制御回路121に電気的に接続され、かつ接地されている。
なお、接地電極114は、導体又は抵抗体による面状構造のべた電極であってもよい。つまり、接地電極114は、線状であってもよく、板状であってもよい。また、接地電極114は、導電線からなるが、導電性を有する部材であれば、どのような形態であってもよい。
接地電極114は、基材113の検出電極112とは反対側、つまり基材113の裏面113b、かつ、リム31の表面に配置され、リム31の表面と接着剤116aで接着される。つまり、接地電極114は、リム31と基材113とに挟まれる。例えば、接地電極114は、縫製糸によって基材113に縫製されている。基材113の裏面113bは、ステアリングホイール3のリム31側に向けて配置されている面である。
本実施の形態において、第1粘着層116b及び第2粘着層116cは、基材レス両面テープである。つまり、第1粘着層116b及び第2粘着層116cは、粘着剤のみで構成される。第1粘着層116b及び第2粘着層116cの厚みは、それぞれ、例えば、約100μmであるがこの厚みに限定されない。なお、接着剤116a、第1粘着層116b及び第2粘着層116cは、静電容量センサ100の構成要件に含まれていてもよく、含まれていなくてもよい。接着剤116a、第1粘着層116b及び第2粘着層116cは、例えば接着剤、両面テープ等である。
本実施の形態では、接地電極114のうちの一方の接地電極114は、一方の検出電極112と対応し、静電容量センサ100をリム31に巻き付けた際の一方側(例えば右側)に配置されている。また、一対の接地電極114のうちの他方の接地電極114は、他方の検出電極112と対応し、静電容量センサ100をリム31に巻き付けた際の他方側(例えば左側)に配置されている。
[制御装置120]
制御装置120は、例えばスポーク32に埋設されている。制御装置120は、接地電極114及び検出電極112と電気的に接続され、検出電極112から伝送される信号に基づいて、ユーザの手によるステアリングホイール3の接触を検出する。つまり、制御装置120は、ユーザの手が表層部111へ接触することを測定する。つまり、制御装置120は、ユーザの手がリム31に接触しているか否か、つまり、その手の接触の検出、及び、その手の接触位置等の検出をする。
制御装置120は、制御回路121と、電源回路122とを備える。
制御回路121は、検出電極112によって人体とステアリングホイール3との接触を検出するセンサ回路を有する。制御回路121は、それぞれの検出電極112と電気的に接続され、検出電極112によって人体とステアリングホイール3との接触を検出する。
具体的には、制御回路121は、配線119a、119b、119cを介して3つの検出電極112に交流の電流を流す、つまり検出電極112に測定電位を印加する。制御回路121は、配線119a、119b、119cによって3つの検出電極112と電気的に接続されている。リム31の表層部111に手が接触すると、接触部位に対応する検出電極112の静電容量が変化するため、制御回路121は、検出電極112に流れる電流の電流値(測定電位)に基づいて、検出電極112における静電容量の変化を測定する。こうして、制御回路121は、検出電極112から出力される静電容量の変化を示す信号から、ステアリングホイール3に手が接触したか否かを検出できる。
電源回路122は、配線119a、119b、119cを介して制御回路121と電気的に接続され、制御回路121により制御される。また、電源回路122は、配線119a、119b、119c等を介して接地電極114と電気的に接続される。電源回路122は、制御回路121により、検出電極112に測定電位を印加する。
なお、電源回路122は、制御回路121により、接地電極114に直流電流が流れるように制御されてもよい。つまり、接地電極114は、直流電流が流れることにより、ヒータとしての機能を備えていてもよい。この場合、接地電極114には直流電流が流れるだけであるので、検出電極112に流れる交流電流から見ると、接地されていることになる。なお、接地電極114は、ヒータ機能を備える構成に限定されるものではなく、直流電流を流さずに、単に接地されているだけの構成であってもよい。
<製造方法>
次に、静電容量センサ100の製造方法について説明する。
図8は、実施の形態1における静電容量センサ100の製造方法を示すフローチャートである。
まず、撚線である複数の縦糸132aと、撚線である複数の横糸132bとを有するメッシュ布と、無電解メッキ溶液と、電解メッキ装置とを用意する。メッシュ布は、複数の縦糸132aと複数の横糸132bとで織り込まれ、複数の縦糸132aのうちの隣り合う2つの縦糸132aと、複数の横糸132bのうちの隣り合う2つの横糸132bとで形成される開口132cを有する。そして、図8に示すように、メッシュ布を無電解メッキ溶液に浸し、メッシュ布の表面に無電解メッキを施す(S11:第1工程)。
次に、第1工程で無電解メッキを施したメッシュ布に、電解メッキ溶液に浸し、電解メッキ装置を用いて電流を流すことで、無電解メッキが施されたメッシュ布の表面に、電解メッキが施される。こうして、検出電極112を生成する(S12:第2工程)。ここで、導電布の撚線の線径が太くなり開口の面積が小さくなると、電解メッキを行う際の有効電極面積が増えるため、電解メッキに必要な電流値が増大する。電解メッキの際、電解メッキ装置が供給可能で実際的な電流値を考慮すると、例えば導電布の開口の開口面の面積は0.05平方ミリメートル程度が限界であり、これ以上、開口の面積が小さくなると(例えば0.04平方ミリメートル程度)、電解メッキに必要な電流値を供給できなくなる可能性がある。このように、電解メッキ時に電解メッキ装置が供給可能な電流値と開口面積との相関を考慮して、導電布の撚線の線径を決定すればよい。
次に、検出電極112をシート状の基材113の表面113aに配置する(S13:第3工程)。こうして、静電容量センサ100を得ることができる。
<実験結果>
無電解メッキしたメッシュ布と、電解メッキしたメッシュ布との抵抗値の違いについて説明する。
図9は、メッシュ布を無電解メッキのみした場合と、メッシュ布を電解メッキもした場合とにおける抵抗値と時間との関係(耐腐食性比較)を示す図である。無電解メッキのみした場合を一点鎖線で示し、電解メッキもした場合を実線で示す。
図9に示すように、無電解メッキのみしたメッシュ布は、電解メッキもしたメッシュ布よりも、時間の経過に対する抵抗値が上昇する割合が大きいという結果が得られた。このため、検出電極112には、メッシュ布に電解メッキも施している。
<比較例>
次に、比較例の平織布について、図10及び図11を用いて説明する。
図10は、比較例における一般的な織物である平織布191の縦糸191a及び横糸191bを示す部分拡大断面図である。図11は、比較例における図10のX−X線における平織布191の縦糸191aの断面と、横糸191bの側面とを示す部分拡大断面図である。なお、平織布191は、本実施の形態の検出電極112と同様に、金属メッキが施されて導電性を有しているものとして、以下、説明する。
図10に示すように、比較例の平織布191は、シート状の複数の縦糸191aとシート状の複数の横糸191bとを有する、平織状の布である。
複数の縦糸191a及び複数の横糸191bのそれぞれは、線を束ねた又は絡み合わせたシート状の糸である。縦糸191a及び横糸191bは、撚線ではない。
また、複数の縦糸191aのうちの1つの縦糸191aの長手方向と直交する平面で1つの縦糸191aを切断した場合の断面における、1つの縦糸191aの二点鎖線で示す最大外径で規定される面積は、開口の開口面の面積よりも大きい。また、複数の横糸191bのうちの1つの横糸191bの長手方向と直交する平面で1つの横糸191bを切断した場合の断面における、1つの横糸191bの最大外径で規定される面積B2は、開口の開口面の面積B1よりも大きい。図10では、二点鎖線で示す面積B2は、二点鎖線で示すB1との比較をするために示しているに過ぎない。
図11に示すように、平織布191の断面では、縦糸191a及び横糸191bのそれぞれを構成する線には隙間が形成される。つまり、縦糸191a及び横糸191bは、本実施の形態の検出電極112の縦糸132a及び横糸132bよりも、単位面積当たりの線の密度が小さい。
この場合、比較例の平織布191では、本実施の形態の検出電極112の縦糸132a及び横糸132bに比べて、隙間が多いため、引っ張り方向に引っ張られた場合に、クラックが発生し易い。また、平織布では、引張応力が加わった際に、開口形状を変化させながら、引張応力に応じて伸びるわけではなく、縦糸及び横糸そのものに応力が印加されることになるため、クラックが発生しやすい。
また、この場合、比較例の平織布191では、縦糸191aと横糸191bとの接点の接触抵抗が安定し難く、接点の抵抗値が上昇し易い。さらに、縦糸191a及び横糸191bでは、電解メッキによって金属メッキを施す場合、必要な電流値は被メッキ物の表面積によって決まる。このため、布の単位面積あたりの被メッキ面積がメッシュ布に比べて大きい平織布191では、電解メッキ時に電流値が増大する。したがって、縦糸191a及び横糸191bに電解メッキを施すことは困難となる。また、電解メッキにより縦糸191a及び横糸191bに金属メッキを施すことができても、平織布191の製造コストが高騰化してしまう。
<作用効果>
以上のように、本実施の形態における静電容量センサ100は、表面113aと、裏面113bとを有するシート状の基材113と、基材113の表面113aに配置される静電容量式の検出電極112とを備える。検出電極112は、撚線である複数の縦糸132aと、撚線である複数の横糸132bとを有する。検出電極112は、複数の縦糸132aと複数の横糸132bとで織り込まれ、複数の縦糸132aのうちの隣り合う2つの縦糸132aと、複数の横糸132bのうちの隣り合う2つの横糸132bとで形成される開口132cを有するメッシュ布に、金属メッキを施した導電布である。そして、複数の縦糸132aのうちの1つの縦糸132aの長手方向と直交する平面で1つの縦糸132aを切断した場合の断面、又は、複数の横糸132bのうちの1つの横糸132bの長手方向と直交する平面で1つの横糸132bを切断した場合の断面における、1つの縦糸132a又は1つの横糸132bの最大外径で規定される面積A1は、開口132cの開口面のA2よりも小さい。
このように、縦糸132a及び横糸132bの断面の最大外径における面積は、開口132cの開口面の面積A2よりも小さいため、メッシュ状の検出電極112では、単位面積当たりに占める開口132cの割合が大きい。このため、静電容量センサ100を引っ張ることで検出電極112に引っ張り応力が付与された場合、検出電極112は伸び易い。つまり、検出電極112は、開口132cの形状を変化させながら、引っ張り応力に応じて伸びる。これにより、複数の縦糸132a及び複数の横糸132bには引っ張り応力が掛かりにくくなる。そして、検出電極112が伸びる際、複数の縦糸132a及び複数の横糸132bは、撚線であるため、撚線でない不織布に比べて強固である。したがって、クラックが生じ難い。つまり、静電容量センサ100は、検出電極112にクラックが発生することを抑制することで、抵抗値の増大を抑制することができる。
したがって、静電容量センサ100は、検出電極112の検知精度の信頼性の低下を抑制することができる。
特に、検出電極112が伸びる際、縦糸132aと横糸132bとに互いに接圧が加わるため、複数の縦糸132a及び複数の横糸132bのそれぞれの接点Pにおける接圧が安定し、より検出電極112のロバスト性が向上する。
また、本実施の形態における静電容量センサ100の製造方法において、撚線である複数の縦糸132aと、撚線である複数の横糸132bとを有し、複数の縦糸132aと複数の横糸132bとで織り込まれ、複数の縦糸132aのうちの隣り合う2つの縦糸132aと、複数の横糸132bのうちの隣り合う2つの横糸132bとで形成される開口132cを有するメッシュ布に、無電解メッキを施す第1工程と、第1工程で無電解メッキを施したメッシュ布に、電解メッキを施して検出電極112を生成する第2工程と、検出電極112をシート状の基材113の表面113aに配置する第3工程と、を有し、複数の縦糸132aのうちの1つの縦糸132aの長手方向と直交する平面で1つの縦糸132aを切断した場合の断面、又は、複数の横糸132bのうちの1つの横糸132bの長手方向と直交する平面で1つの横糸132bを切断した場合の断面における、1つの縦糸132a又は1つの横糸132bの最大外径で規定される面積は、開口132cの開口面の面積よりも小さい。
この製造方法によっても、上述と同様の作用効果を奏する。
また、本実施の形態における静電容量センサ100において、検出電極112は、基材113の表面113aに接着されて、基材113に固定される。検出電極112だけを引っ張った場合の検出電極112の伸び率は、基材113だけを引っ張った場合の基材113の伸び率よりも大きい。
このように、静電容量センサ100を引っ張って伸ばした場合、検出電極112が基材113と同等に伸びることができるため、検出電極112におけるクラックの発生をより抑制することができる。
また、本実施の形態における静電容量センサ100において、検出電極112を引っ張る場合の引っ張り方向は、複数の縦糸132a及び複数の横糸132bのそれぞれの長手方向に対して、鋭角の角度が略45°となる方向である。
このように、検出電極112には、引っ張り方向が複数の縦糸132a及び複数の横糸132bのそれぞれの長手方向に対して、鋭角の角度が略45°となるように、引っ張り応力が付与される。このため、検出電極112の伸び率を確保することができるため、静電容量センサ100を引っ張ったときに伸ばし易くなるとともに、検出電極112における引っ張り応力によるクラックの発生をより確実に抑制することができる。
また、本実施の形態における静電容量センサ100において、基材113を引っ張る場合の引っ張り方向は、縦糸132a及び横糸132bのそれぞれの長手方向に対して、鋭角の角度が略45°となる方向である。そして、基材113は、引っ張られた状態で設備に固定される。
このように、引っ張り方向が縦糸132a及び横糸132bのそれぞれの長手方向に対して、鋭角の角度が略45°となるように、検出電極112が基材113に配置されて固定される。つまり、基材113が引っ張られれば、検出電極112は、基材113に追従して伸びることができる。このため、この静電容量センサ100では、検出電極112におけるクラックの発生をより確実に抑制することができる。
また、本実施の形態における静電容量センサ100において、金属メッキは、メッシュ布に無電解銅メッキが施された表面113aに、さらに電解ニッケルメッキが施されて構成される。
これによれば、無電解メッキが施されたメッシュ布に電解メッキを施す場合、複数の縦糸132a及び複数の横糸132bが複数の撚線で構成されるため、縦糸132aと横糸132bとの接圧が確保された状態でメッキが施されるため、検出電極112の複数の縦糸132a及び複数の横糸132bのそれぞれの接点Pにおける接圧がより向上し、検出電極112のロバスト性がより向上する。
また、メッシュ布に無電解メッキだけを施す場合に比べて、本実施の形態の検出電極112では、結晶性が高く、耐腐食性が高いため、実使用環境での腐食による検出電極112における抵抗値の増大を抑制することができる。
また、無電解メッキが施されたメッシュ布は単位面積当たりに占める開口132cの割合が大きいため、従来の不織布に比べて、被メッキ面積が小さくなり、電解メッキに必要な電流値も相対的に小さくなる。したがって、電解メッキを使用する場合に電力消費量の増大を抑制することができる。このため、検出電極112を有する静電容量センサ100の製造コストの高騰化を抑制することができる。
また、無電解メッキが施されたメッシュ布に電解メッキを施すことで金属メッキを形成することができるため、例えばアニール処理等をしなくても結晶性に優れた金属メッキをメッシュ布の表面に形成することができる。特に、メッシュ布が樹脂等である場合に好適である。
また、無電解銅メッキをしたメッシュ布をさらにニッケル電解メッキで覆うことで、銅メッキの酸化を抑制することができるとともに、縦糸132aと横糸132bとが接触する接点Pでの導通性も向上させることができる。
また、本実施の形態における静電容量センサ100において、開口132cの最大幅L1は、人体の指の幅よりも小さい。
このように、検出電極112は、人体の指の存在を確実に検出することができる。このため、静電容量センサ100では、検出精度を確保することができる。
また、本実施の形態における静電容量センサ100において、検出電極112を平面視した場合に、1つの縦糸132aと1つの横糸132bとのそれぞれの接点Pにおける重なりの面積である第1面積112dは、開口132cの開口面の面積である第2面積A2よりも小さい。
このように、検出電極112では、第1面積112dが第2面積A2よりも大きい場合に比べて、開口による変形量をより確保できるため、引っ張りによる検出電極112の伸び率を確保することができる。このため、この静電容量センサ100では、検出電極112におけるクラックの発生をより確実に抑制することができる。
また、本実施の形態における静電容量センサ100は、さらに、検出電極112と電気的に接続される制御回路121を備える。また、検出電極112は、ステアリングホイール3に配置され、人体とステアリングホイール3との接触を検出する。そして、制御回路121は、検出電極112と電気的に接続され、検出電極112によって人体とステアリングホイール3との接触を検出する。
このように、検出電極112に制御回路121を電気的に接続することで、ステアリングホイール3に対する接触又は把持を検出することができる。
また、本開示の他の態様に係る静電容量センサ100において、開口132cは、縦糸132aの長手方向、及び、横糸132bの長手方向に沿って、略同じ形状で規則的に配列される。
このように、静電容量センサ100を引っ張って伸ばし、さらにステアリングホイール3に巻き付けた場合、それぞれの開口132cに引っ張り応力及び部分的に圧縮応力が作用するため、それぞれの開口132cが略規則的に変化する。このため、縦糸132aと横糸132bとのそれぞれの接点Pに加えられる応力も略均等になるため、検出電極112におけるクラックの発生をより確実に抑制することができる。
(実施の形態2)
<構成:静電容量センサ100a>
図12は、図1のA−A線におけるステアリングカバー110が巻き付けられたリム31とステアリングカバー110とを示す断面図、及び、リム31とステアリングカバー110及びリム31の部分拡大断面図である。
図12に示すように、リム31は、ユーザ(人)の手で握るためのグリップ部分であり、リング形状をなしている。リム31は、金属製の円環状の芯である芯金31bと、その芯金31bを覆う樹脂層31aとを有している。リム31には、ステアリングカバー110が巻き付けられている。
図13は、実施の形態2における静電容量センサ100aの構成を示すブロック図である。
図12及び図13に示すように、静電容量センサ100aは、表層部111と、防湿層115と、一対の検出電極112と、基材113と、接地電極114と、制御装置120とを備えている。また、静電容量センサ100aには、接着剤116a、第1粘着層116b、第2粘着層116c、及び、第3粘着層116dが設けられる。接着剤116a、第1粘着層116b、第2粘着層116c、及び、第3粘着層116dは、静電容量センサ100aの構成要件に含まれていてもよく、含まれていなくてもよい。
防湿層115は、例えば、防湿防食性の被膜が付されたシート又はフィルム等である。例えば、防湿層115は、非金属であり、ポリ塩化ビニリデン等の樹脂である。防湿層115の透湿度は、第1粘着層116bの透湿度及び第2粘着層116cの透湿度よりも低い。また、本実施の形態では、防湿層115とは、表層部111の透湿度に比べて、例えば、透湿度が約40分の1以下のものを防湿層と呼ぶ。
防湿層115は、表層部111の裏面側、かつ、基材113の表面側に配置されている。つまり、防湿層115は、表層部111と基材113との間に配置されている。より具体的には、防湿層115は、第3粘着層116dにより表層部111の裏面に貼り付けられて、表層部111の裏面側に配置されている。また、防湿層115の表面には、第3粘着層116dが粘着されており、防湿層115の裏面には、第1粘着層116bが粘着されている。つまり、防湿層115は、第1粘着層116b及び第3粘着層116dで挟まれている。
図14は、表層部111、第3粘着層116d、防湿層115、第1粘着層116b、検出電極112、第2粘着層116c、及び、基材113を重ねて見た場合の平面図である。図15は、図14のB−B線におけるステアリングカバー110の端縁部分の断面図である。なお、図15では、表層部111を省略している。
図14及び図15に示すように、また、防湿層115、第1粘着層116b及び第3粘着層116dを重ねて見た場合に、防湿層115は、第1粘着層116b及び第3粘着層116dにより覆われて、封止されている。防湿層115の表面は、第3粘着層116dを介して、表層部111の裏面に向けて配置されている面である。
また、防湿層115の厚みは、第1粘着層116bの厚み、及び、第2粘着層116cの厚みよりも薄い。本実施の形態では、防湿層115の厚みは、第1粘着層116bの厚みの例えば、約10分の1、及び、第2粘着層116cの厚みの例えば、約10分の1である。また、本実施の形態では、防湿層115の厚みは、第3粘着層116dの厚みよりも薄くてもよい。この場合も、防湿層115の厚みは、第3粘着層116dの厚みの例えば、約10分の1であってもよい。
また、防湿層115と、第3粘着層116dと、表層部111とを重ねて見た場合に、防湿層115は、第3粘着層116dに覆われた状態である。この場合に、防湿層115の表面積は、第3粘着層116dの表面積よりも小さい。
第3粘着層116dは、防湿層115の表面と表層部111の裏面とを接着する層であり、防湿層115と表層部111とで挟まれている。第3粘着層116dの周囲は、第1粘着層116b及び第2粘着層116cに貼り付けられている。つまり、第1粘着層116b、第2粘着層116c、及び、第3粘着層116dを重ねて見た場合に、第3粘着層116dは第1粘着層116b及び第2粘着層116cに覆われた状態である。この場合、第3粘着層116dの表面積は、第1粘着層116bの表面積及び第2粘着層116cの表面積と同等か、第1粘着層116bの表面積及び第2粘着層116cの表面積よりも小さい。第1粘着層116b、第2粘着層116c及び第3粘着層116dのそれぞれは、例えば、接着剤、両面テープ等である。また、第3粘着層116dは、アクリル系粘着剤を使用してもよい。
なお、基材113上には、単一の検出電極112を有しても良いし、複数の検出電極112を有しても良い。また、検出電極112と接地電極114の数は必ずしも一致しなくても良い。図13は、一対の検出電極112と一対の接地電極114を有する場合を図示しており、以下この図に基づいて説明を行う。
一対の検出電極112は、防湿層115の裏面側、かつ、基材113の表面側に配置されている。つまり、一対の検出電極112は、防湿層115と基材113との間に配置されている。より具体的には、一対の検出電極112は、第1粘着層116bによって防湿層115の裏面に貼り付けられて、防湿層115の裏面側に配置されている。また、一対の検出電極112の表面には、第1粘着層116bが粘着されており、一対の検出電極112の裏面には、第2粘着層116cが粘着されている。つまり、一対の検出電極112は、第1粘着層116b及び第2粘着層116cで挟まれている。一対の検出電極112の表面は、第1粘着層116bを介して、防湿層115の裏面に向けて配置されている面である。
一対の検出電極112、防湿層115、及び、基材113を重ねて見た場合に、一対の検出電極112の表面積(2つ分の総表面積)は、防湿層115の表面積、及び、基材113の表面積よりも小さい。つまり、検出電極112は、防湿層115、基材113、第1粘着層116b、第2粘着層116c及び第3粘着層116dに覆われた状態である。
一対の検出電極112のうちの、一方の検出電極112は、静電容量センサ100aをリム31に巻き付けた際の一方側(例えばリム31と対向した状態で見た場合の右側)に配置され、他方の検出電極112は、静電容量センサ100aをリム31に巻き付けた際の他方側(例えばリム31と対向した状態で見た場合の左側)に配置されている。
また、基材113は、検出電極112の防湿層115側とは反対側に配置され、かつ、接地電極114の検出電極112側の面に配置されている。つまり、基材113は、検出電極112と接地電極114との間に配置されている。より具体的には、基材113は、第2粘着層116cにより検出電極112の裏面に貼り付けられて、検出電極112の裏面側に配置されている。また、基材113の表面には、第2粘着層116cが粘着されており、基材113の裏面には接地電極114が配置されている。つまり、基材113は、第2粘着層116c及び接地電極114で挟まれている。また、基材113及び第2粘着層116cを重ねて見た場合に、基材113は、第2粘着層116cにより覆われている。基材113の表面は、第2粘着層116cを介して、検出電極112の裏面に向けて配置されている面である。
接地電極114は、例えば銅線等の金属線(導電線)である。接地電極114は、配線119bと119cを介して制御装置120に電気的に接続され、かつ、配線119cは接地されている。
制御回路121は、ステアリングホイール3への手の接触を検出するセンサ回路を有する。制御回路121は、一方の検出電極112と電気的に接続されている。また、制御回路121は、他方の検出電極112と電気的に接続されている。つまり、制御回路121は、配線119aを介して一方側の検出電極112に交流の電流を流す、つまり一方側の検出電極112に測定電位を印加する。また、制御回路121は、配線119aを介して他方側の検出電極112に交流の電流を流す、つまり他方側の検出電極112に測定電位を印加する。制御回路121は、配線119aによって検出電極112と電気的に接続されている。つまり、制御回路121は、配線119aを介して他方側の検出電極112に交流の電流を流す、つまり他方側の検出電極112に測定電位を印加する。
なお、制御回路121は、車両1が運転されているにもかかわらず、接触を検出していない場合には、運転者への注意喚起を注意喚起装置に実行させてもよい。例えば、スピーカ等の注意喚起装置は、警告音又は音声によって、運転者に注意を喚起してもよい。また、表示装置は、運転者にステアリングホイール3をしっかり握るように促す注意喚起のメッセージを表示してもよい。
<作用効果>
以上のように、本実施の形態における静電容量センサ100aは、さらに、手が触れる表層部111と、表層部111の裏面側に配置されている防湿層115と、を備え、検出電極112は、防湿層115の表層部111側とは反対側に配置されており、基材113は、検出電極112の防湿層115側とは反対側に配置されており、防湿層115と検出電極112とは、第1粘着層116bにより貼り付けられ、検出電極112と基材113とは、第2粘着層116cにより貼り付けられ、防湿層115の透湿度は、第1粘着層116bの透湿度及び第2粘着層116cの透湿度よりも低い。
例えば、ユーザの手が表層部に触れることで、ユーザの手によって発生した汗等の水分(例えば、水蒸気)は、表層部の材質に含まれている残留物が混ざり、酸性の腐食水となることがある。このような腐食水は、静電容量センサの内部に浸透し、検出電極に到達することがある。この場合、腐食水によって検出電極は、腐食してしまう可能性がある。
しかし、本実施の形態によれば、防湿層115は、表層部111の裏面側に配置され、かつ、検出電極112の表層部111側に配置されている。つまり、防湿層115は、検出電極112の外側に配置されている。また、防湿層115の透湿度は、第1粘着層116bの透湿度及び第2粘着層116cの透湿度よりも低い。このため、ユーザの手が表層部111に触れることで、表層部111が高温高湿の状態となっても、防湿層115は、ユーザの手によって与えられた水分が、検出電極112に至ることを抑制することができる。
したがって、この静電容量センサ100aでは、検出電極112の腐食を抑制することができる。
また、本実施の形態に係る静電容量センサ100aは、第1粘着層116b、及び第2粘着層116cは基材レス両面テープである。
この静電容量センサ100aでは、基材を有する両面テープを用いた静電容量センサよりも、伸ばし易くなる。つまり、基材レス両面テープを静電容量センサ100aに用いることで、静電容量センサ100aの引っ張った場合、検出電極112の開口132cの変形が過度に妨げられ難い。このため、静電容量センサ100aの一定の引っ張り伸び率を確保することができる。
また、防湿層115と検出電極112とを容易に接着することができるとともに、検出電極112と基材113とを容易に接着することができる。このため、静電容量センサ100aの組付けの作業性を向上させることができる。
また、本実施の形態における静電容量センサ100aでは、防湿層115の厚みは、第1粘着層116bの厚み、及び、第2粘着層116cの厚みよりも薄い。
このため、本実施の形態における静電容量センサ100aのステアリングカバー110の厚みは、防湿層115を設けていない静電容量センサのステアリングカバーの厚みとさほど変わらない。このため、例えば、この静電容量センサ100aを車両1のステアリングホイール3のリム31に巻き付けるときでも、静電容量センサ100aの厚みの増加による巻き付け難くなるといった不具合が生じ難い。また、防湿層115の周囲における段差も小さくなるため、運転者のステアリングホイール3の把持時の違和感を低減できる。
また、本実施の形態における静電容量センサ100aにおいて、検出電極112、防湿層115、及び、基材113を重ねて見た場合に、検出電極112の表面積は、防湿層115の表面積、及び、基材113の表面積よりも小さく、検出電極112は、第1粘着層116bと第2粘着層116cとにより覆われている。
これによれば、表層部111が高温高湿の状態となっても、検出電極112が第1粘着層116b及び第2粘着層116cによって挟まれた状態で覆われるため、腐食水が検出電極112に到達し難くなる。その結果、この静電容量センサ100aでは、検出電極112の腐食を、より確実に抑制することができる。
また、本実施の形態における静電容量センサ100aにおいて、表層部111と防湿層115とは、第3粘着層により貼り付けられ、第3粘着層の周囲は、第1粘着層116b及び第2粘着層116cに貼り付けられている。
これによれば、検出電極112は、第3粘着層116dと、第1粘着層116b及び第2粘着層116cとによって封止された状態となるため、腐食水が検出電極112に到達し難くなる。その結果、この静電容量センサ100aでは、検出電極112の腐食を、より確実に抑制することができる。
また、本実施の形態における静電容量センサ100aにおいて、基材113の検出電極112側とは反対側には、接地電極が配置されている。
例えば静電容量センサ100aをステアリングのリム31に巻く場合、リム31に含まれる導電性の芯金31bと検出電極112との間の距離に比べて、接地電極114と検出電極112との間の距離を小さくすることができる。このため、接地電極114と検出電極112との第1静電容量の方が、芯金と検出電極112との間の第2静電容量よりも大きくなる。つまり、手から検出電極までの静電容量と、検出電極から接地電極までの静電容量との和によって、表層部への手の接触を検知するため感度が上がり、静電容量センサ100aの検出精度の低下を、より抑制することができる。
図16Aは、実施の形態2における静電容量センサ100aの検出電極112において、電流経路が縦糸又は横糸に沿って導通する場合を示す模式図である。図16Bは、実施の形態2における静電容量センサ100aの検出電極112において、電流経路が縦糸と横糸との接点に頼って導通する場合を示す模式図である。
ここで、例えば、導電布が縦糸及び横糸から構成される場合、図16Aに示すように縦糸又は横糸に沿って裁断された状態で検出電極が配置されれば、電流経路は、縦糸又は横糸に沿って導通するため、検出電極は、表層部への手の接触を検知することができる。しかし、例えば、図16Bに示すように縦糸及び横糸に沿って導電布が裁断されていない場合、つまり、縦糸及び横糸と交差する方向に裁断された状態で検出電極が配置されている場合、縦糸と横糸との接点に頼った導通を行うため、縦糸及び横糸が腐食により、縦糸と横糸との接点で導通が行われ難くなると、検出電極が表層部への手の接触を検知することができ難くなる。
しかしながら、本実施の形態における静電容量センサ100aでは、防湿層115によって、検出電極112の腐食を抑制することができるため、導電布をどの方向に裁断し、どのように配置しても、検出電極112が表層部111への手の接触を検知することができる。
また、本実施の形態に係る静電容量センサ100aにおいて、第3粘着層116dは、基材レス両面テープである。
これによれば、伸張性を損なう事無く、表層部111と防湿層115とを接着することができる。このため、静電容量センサ100aの組付けの作業性を向上させることができる。
(実施の形態3)
<構成:静電容量センサ100b>
図17は、実施の形態における静電容量センサ100bの構成を示すブロック図である。なお、図17の検出電極112の形状は回路的に等価なものとして示しており、実際の形状は後述する図18に記載される。図17に示すように、静電容量センサ100bは、表層部111と、防湿層115と、検出電極112と、基材113と、接地電極114と、制御装置120とを備えている。
なお、表層部111は、基材113の表面に単一の検出電極112を有しても良いし、複数の検出電極112を有しても良い。また、検出電極112と接地電極114との数は必ずしも一致しなくても良い。図17は、複数の検出電極112と複数の接地電極114を有する場合を図示しており、以下この図に基づいて説明を行う。
図18は、表層部111、第3粘着層116d、防湿層115、第1粘着層116b、複数の検出電極112、第2粘着層116c、及び、基材113を重ねて見た場合の平面図である。図18のステアリングカバー110の端縁部分の断面は、図15と同様であるため、図15を用いて説明する。
図15及び図18に示すように、また、第1粘着層116b、複数の検出電極112及び第2粘着層116cを重ねて見た場合に、複数の検出電極112は、第1粘着層116b及び第2粘着層116cによって覆われて、封止されている。また、防湿層115、第1粘着層116b及び第3粘着層116dを重ねて見た場合に、防湿層115は、第1粘着層116b及び第3粘着層116dにより覆われて、封止されている。ここで、複数の検出電極112の周囲は、第1粘着層116b及び第2粘着層116cに覆われているため、後述する第1引出し線112a2、第2引出し線112b2、及び、第3引出し線112c2を除いて、第1粘着層116bと第2粘着層116cとが接着している部分(オフセット領域と呼ぶことがある)に囲まれている。
複数の検出電極112は、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の非金属繊維が織り込まれたものの表面に第1金属(第1金属メッキ)を形成し、さらに、第1金属の表面に第2金属(第2金属メッキ)を形成し構成される。
複数の検出電極112は、表層部111の裏面側、かつ、基材113の表面側に配置されている。つまり、複数の検出電極112は、表層部111と基材113との間に配置されている。より具体的には、複数の検出電極112は、第1粘着層116bによって表層部111の裏面に貼り付けられて、表層部111の裏面側に配置されている。また、複数の検出電極112の表面には、第1粘着層116bが粘着されており、複数の検出電極112の裏面には、第2粘着層116cが粘着されている。つまり、複数の検出電極112は、第1粘着層116b及び第2粘着層116cで挟まれている。複数の検出電極112の表面は、第1粘着層116bを介して、表層部111の裏面に向けて配置されている面である。
複数の検出電極112、及び、基材113を重ねて見た場合に、複数の検出電極112の表面積(2つ分の総表面積)は、及び、基材113の表面積よりも小さい。つまり、複数の検出電極112は、基材113、第1粘着層116b及び第2粘着層116cに覆われた状態である。
複数の検出電極112は、ステアリングホイール3の周方向に、少なくとも三箇所以上に配置される。本実施の形態において複数の検出電極112は、第1検出電極112aと、第2検出電極112bと、第3検出電極112cとで構成される。
第1検出電極112aは、第1電極部112a1と、一対の第1引出し線112a2とを有する。第1検出電極112aは、複数の導電布のうちの第1導電布の一例である。
第1電極部112a1は、基材113における所定位置から近い位置に配置される。ここで、第1電極部112a1が所定位置から近い位置とは、第2検出電極112bに比べて第1電極部112a1の方が近いという意味である。本実施の形態では、第1電極部112a1は、所定位置の近傍から反時計回りに、ステアリングホイール3の周方向に沿って配置される。
具体的には、第1電極部112a1は、二分割された状態で、ステアリングホイール3の周方向と直交する方向に並んで配置される。具体的には、第1電極部112a1は、ステアリングホイール3の周方向に沿って切断されて、二分割されている。二分割された、一方の第1電極部112a1と他方の第1電極部112a1とは、周方向と直交する方向に並んでいる。一方の第1電極部112a1及び他方の第1電極部112a1は、ステアリングホイール3の周方向に沿って配置されている。また、一方の第1電極部112a1と他方の第1電極部112a1とが直接、電気的に接続されないように、規定の間隔を空けて配置されている。
一方の第1電極部112a1は、一方の第1引出し線112a2を介して、制御装置120と電気的に接続される。つまり、一方の第1引出し線112a2は、その一端が一方の第1電極部112a1と電気的に接続され、その他端が他方の第1引出し線112a2と電気的に接続され、かつ、ハーネスを介して制御装置120に接続される。また、他方の第1電極部112a1は、他方の第1引出し線112a2を介して、制御装置120と電気的に接続される。つまり、他方の第1引出し線112a2は、その一端が他方の第1電極部112a1と電気的に接続され、その他端が他方の第1引出し線112a2と電気的に接続され、かつ、ハーネスを介して制御装置120に接続される。つまり、一方の第1引出し線112a2と他方の第1引出し線112a2とが電気的に接続されることで、二分割された二つの第1電極部112a1から伝送される信号が1つの信号となるため、二つの第1電極部112a1は、1つの検出電極として振る舞う。
一対の第1引出し線112a2は、基材113における所定位置及びその近傍に配置される。本実施の形態では、一対の第1引出し線112a2は、ステアリングホイール3のスポーク32と対応する箇所に配置される。つまり、一方の第1引出し線112a2の他端と、他方の第1引出し線112a2の他端とが接続される位置は、スポーク32近傍である。一対の第1引出し線112a2は、スポーク32に配置されたハーネスを介して制御装置120に接続される。第1引出し線112a2は、信号取出し部の一例である。
第2検出電極112bは、第2電極部112b1と、第2引出し線112b2とを有する。
第2電極部112b1は、基材113上において、第1電極部112a1よりも所定位置から遠い位置に配置されている。具体的には、第2電極部112b1は、所定位置から第1電極部112a1までの距離よりも、所定位置から遠く離れた位置に配置されている。また、第2電極部112b1は、ステアリングホイール3の周方向に沿って配置され、第1電極部112a1と後述する第3電極部112c1との間に配置される。第2検出電極112bは、複数の導電布のうちの第2導電布の一例である。
第2電極部112b1は、第2引出し線112b2を介して、制御装置120と電気的に接続される。つまり、第2引出し線112b2は、その一端が第2電極部112b1と電気的に接続され、その他端がハーネスを介して制御装置120に接続される。
第2引出し線112b2は、絶縁被覆された銅線等の金属線である。第2引出し線112b2は、一方の第1電極部112a1と他方の第1電極部112a1との間に配置され、第2電極部112b1から所定位置まで延びている。つまり、第2引出し線112b2は、一方の第1電極部112a1と他方の第1電極部112a1とに電気的に接続されず、一方の第1電極部112a1と他方の第1電極部112a1との間に沿って、第2電極部112b1から所定位置まで延びている。第2引出し線112b2は、第2導電布の信号取出し部の一例である。なお、第2引出し線112b2は、絶縁被覆された銅線等の金属線に限定されず、第2電極部112b1と同じ材料であってもよい。
また、第2引出し線112b2の長さは、第1引出し線112a2、及び、後述する第3引出し線112c2のそれぞれの長さよりも長い。また、第2引出し線112b2は、第1引出し線112a2、及び、第3引出し線112c2と電気的に接続されていない。
第3検出電極112cは、第3電極部112c1と、第3引出し線112c2とを有する。
第3電極部112c1は、基材113における所定位置の近傍に配置される。本実施の形態では、第3電極部112c1は、所定位置の近傍から時計回りに、ステアリングホイール3の周方向に沿って配置される。つまり、第3電極部112c1は、第1電極部112a1と対称な位置に配置される。
第3電極部112c1は、第3引出し線112c2を介して、制御装置120と電気的に接続される。つまり、第3引出し線112c2は、その一端が第3電極部112c1と電気的に接続され、その他端がハーネスを介して制御装置120に接続される。
第3引出し線112c2は、絶縁被覆された銅線等の金属線である。第3引出し線112c2は、基材113における所定位置及びその近傍に配置される。本実施の形態では、第3引出し線112c2は、ステアリングホイール3のスポーク32と対応する箇所に配置される。つまり、第3引出し線112c2は、スポーク32近傍に配置される。第3引出し線112c2は、スポーク32に配置されたハーネスを介して制御装置120に接続される。また、第3引出し線112c2は、第1引出し線112a2の近傍に配置され、第1引出し線112a2と電気的に接続されていない。
基材113は、第2粘着層116cにより検出電極112の裏面に貼り付けられて、検出電極112の裏面側に配置されている。また、基材113の表面には、第2粘着層116cが粘着されており、基材113の裏面には接地電極114が配置されている。つまり、基材113は、第2粘着層116c及び接地電極114で挟まれている。また、基材113及び第2粘着層116cを重ねて見た場合に、基材113は、第2粘着層116cによって覆われている。基材113の表面は、第2粘着層116cを介して、検出電極112の裏面に向けて配置されている面である。
図17において、複数の接地電極114のうちの図面右側の接地電極114は、図面右側の検出電極112と対応し、静電容量センサ100bをリム31に巻き付けた際の例えば図面右側に配置されている。また、複数の接地電極114のうちの図面左側の接地電極114は、図面左側の検出電極112と対応し、静電容量センサ100bをリム31に巻き付けた際の例えば図面左側に配置されている。また、複数の接地電極114のうちの図面中央の接地電極114は、図面中央の検出電極112と対応し、静電容量センサ100bをリム31に巻き付けた際の例えば頂部側に配置されている。
制御回路121は、3つの配線119aによって、それぞれ、3つの検出電極112と電気的に接続されている。そして、制御回路121は、3つの配線119aを介して3つの検出電極112に交流の電流を流す、つまり3つの検出電極112に測定電位を印加する。リム31の表層部111に手が接触すると、接触部位に対応する検出電極112の静電容量が変化するため、制御回路121は、検出電極112に流れる電流の電流値(測定電位)に基づいて、検出電極112における静電容量の変化を測定する。こうして、制御回路121は、検出電極112から出力される静電容量の変化を示す信号から、ステアリングホイール3に手が接触したか否かを検出できる。
<作用効果>
以上のように、本実施の形態における静電容量センサ100bにおいて、検出電極112は、ステアリングホイール3の周方向に、少なくとも三箇所以上に配置される複数の導電布であり、複数の導電布のそれぞれは、電極部と、電極部から所定位置まで延びる信号取出し部とを有し、複数の導電布のうち、所定位置から近い第1検出電極112aと、第1検出電極112aよりも所定位置から遠い第2検出電極112bと、において、第1検出電極112aは、二分割された状態で、ステアリングホイール3の周方向と直交する方向に並んで配置され、第2検出電極112bの第1引出し線112a2は、第1検出電極112aと電気的に接続されずに、二分割された第1検出電極112aの間に沿って、第2電極部112b1から所定位置まで延びる。
例えば、ユーザの手がステアリングのどの位置に触れているのかを検出するためには、検出電極を複数個所に配置するという構成を取ることがある。この場合、所定位置にある信号取出し部から検出電極の信号を取り出すが、複数個所に配置された検出電極のうち、所定位置から遠く離れた位置に配置された検出電極では、基材の端縁に沿って所定位置まで信号取出し部を引き出すことがある。このように配置された信号取出し部が形成される複数の検出電極、及び、基材等の近傍を表層部の上から縫製糸で縫製する場合、通常、基材の端縁に沿って縫製されるため、縫製による応力が基材の端縁に配置される信号取出し部に加わる。信号取出し部は、検出電極の幅よりも細い引出し線であるため、この応力によって破損する恐れがある。
また、ユーザの手がステアリングと接触した状態が続くことで、ステアリングは、高温高湿の状態に置かれる。このため、ユーザの手がステアリングの表層部に触れることで、ユーザの手によって発生した汗等の水分(例えば、水蒸気)は、縫製部分から侵入し、基材の端縁に配置される信号取出し部に到達する場合がある。この場合、幅の細い信号取出し部は検出電極に比べてその幅が極めて小さいため、耐腐食性が低い。その結果、腐食が発生すると、静電容量センサに不具合等が発生し易くなる。
しかし、本開示によれば、二分割された一対の第1検出電極112aは、ステアリングホイール3の周方向と直交する方向に並んで配置される。また、所定位置から二分割された一対の第1検出電極112aよりも遠い位置にある第2検出電極112bの第2引出し線112b2は、二分割された一対の第1検出電極112aの間に沿って配置される。つまり、第2引出し線112b2は、二分割された一対の第1検出電極112aに挟まれて、基材113の中央部分に配置されるため、縫製による応力が第2引出し線112b2に加わり難い。
また、第2引出し線112b2は、縫製された位置(縫製糸)から離れた位置に配置されることとなるため、縫製部分からユーザの手によって発生した汗等の水分が侵入しても、腐食し難くなる。
したがって、この静電容量センサ100bでは、第2引出し線112b2の破損及び腐食を抑制することができる。
また、本実施の形態における静電容量センサ100bでは、検出電極112は、第1粘着層116bと第2粘着層116cとに挟まれる状態となる。このため、水分が検出電極112に到達し難くなる。その結果、この静電容量センサ100bでは、検出電極112の腐食を、より抑制することができる。
また、第2検出電極112bに形成されている第2引出し線112b2が第1粘着層116bと第2粘着層116cとに挟まれて、第1粘着層116b及び第2粘着層116cに固定される状態となるため、ステアリングホイール3のリム31に静電容量センサ100bを巻き付けるときに、第2引出し線112b2が破損し難くなる。このため、第2検出電極112bが、表層部111への手の接触を確実に検知することができる。
また、本開示の他の一態様に係る静電容量センサ100bにおいて、複数の導電布、表層部111、及び、基材113を重ねて見た場合に、複数の導電布の総表面積は、表層部111の表面積、及び、基材113の表面積よりも小さく、複数の導電布は、第1粘着層116bと第2粘着層116cとによって覆われている。
これによれば、表層部111が高温高湿の状態となっても、検出電極112が第1粘着層116b及び第2粘着層116cによって挟まれた状態で覆われるため、水分が検出電極112に、より到達し難くなる。その結果、この静電容量センサ100bでは、検出電極112の腐食を、より確実に抑制することができる。
また、本実施の形態における静電容量センサ100bでは、基材113の検出電極112側とは反対側には、接地電極114が配置されている。
例えば静電容量センサをステアリングのリムに巻く場合、リムに含まれる導電性の芯金と検出電極との間の距離に比べて、本実施の形態では、接地電極114と検出電極112との間の距離を小さくすることができる。このため、接地電極114と検出電極112との第1静電容量の方が、芯金31bと検出電極112との間の第2静電容量よりも大きくなる。つまり、手から検出電極112までの静電容量と、検出電極112から接地電極114までの静電容量との和によって、表層部111への手の接触を検知するため感度が上がり、静電容量センサ100bの検出精度の低下を、より抑制することができる。
(その他の変形例)
以上、本開示に係る静電容量センサについて、上記各実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思い付く各種変形を実施の形態に施したものも、本開示の範囲内に含まれてもよい。
例えば、上記各実施の形態における静電容量センサにおいて、ステアリングカバーは、3つの検出電極と、3つの接地電極とを有するが、2つ以下又は4つ以上の検出電極と、2つ以下又は4つ以上の接地電極を有していてもよい。例えば、1つの基材に、4つの検出電極を配置して、ステアリングホイールの把持位置検出分解能を増やす一方で、同じ基材に接地電極を2つだけ有するようにして、接地電極の構成を簡略化するようにしてもよい。また、検出電極と接地電極の数は必ずしも一致しなくてもよい。
例えば、上記各実施の形態における静電容量センサにおいて、ステアリングカバーは、2つの検出電極と、2つの接地電極とを有するが、1つ又は3つ以上の検出電極と、1つ又は3つ以上の接地電極を有していてもよい。また、検出電極の数と接地電極の数とは、同数である必要は無く、例えば、検出電極が4つ、接地電極が2つとしてもよい。この場合、接地電極は、基材の厚み方向から見たときに、例えば2つの検出電極が包含されるように構成すればよい。
また、上記各実施の形態における静電容量センサにおいて、接地電極は、基材に縫い付けられることによって、その基材に固定されているが、他の方法によって基材に固定されていてもよい。
例えば、上記各実施の形態における静電容量センサにおいて、検出電極112は三箇所に配置としたが、それ以上の箇所に配置してもよい。具体的には、検出電極112を四か所に配置する場合、図18の信号取出し部が集中する所定位置に対し、左右対称となるように、第1検出電極112aと第2検出電極112bを図18の左側にも配置すればよい。
なお、上記の各実施の形態に対して当業者が思い付く各種変形を施して得られる形態や、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。