JP2017125291A - 導電性伸縮糸、導電性伸縮布帛及び導電性伸縮編地 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成でありながら伸長率に応じて電気抵抗が変化する導電性伸縮糸を提供するとともに、手間を要することなく実現できる導電性伸縮布帛及び導電性伸縮編地を提供する。【解決手段】芯部に弾性糸11を用い、前記芯部を被覆する被覆部に導電糸10を用いたカバリング糸で構成され、前記カバリング糸の電気抵抗値が前記カバリング糸の伸長率と相関して変化する可変抵抗特性を備えた導電性伸縮糸1と、当該導電性伸縮糸1を用いて編成することにより得られる編地、または当該導電性伸縮糸1を用いて織成することにより得られる布帛。【選択図】図1
Description
本発明は、導電性伸縮糸、導電性伸縮布帛及び導電性伸縮編地に関する。
特許文献1には、着用者の動作を電気信号として捉えることが可能な歪みセンサ付き被服が提案されている。当該歪みセンサ付き被服は、伸縮可能な布帛本体と、この布帛本体に付設され、布帛本体の伸縮に追従可能な歪みセンサとを有する歪みセンサ付き布帛であって、歪みセンサに電気的に接続されるとともに布帛本体に一体的に設けられ且つ布帛本体の伸縮に追従して変形する配線部を備えて構成されている。
歪みセンサとしてカーボンナノチューブ(CNT)を用いたCNT歪みセンサが用いられ、CNT歪みセンサは、布帛本体に貼着されるゴム等の柔軟性を有する基板と、この基板の表面側に設けられるCNT膜と、このCNT繊維の端部にそれぞれ配設される一対の電極と、CNT膜を保護する保護部とを備えている。
当該歪みセンサは、両端部の電極間を離反させたり接近させたりする方向に伸縮させると、CNT繊維の相互間隔が拡縮変動して両電極間の電気抵抗が変化するように構成されている。
しかし、特許文献1に記載されたCNT歪みセンサは、伸縮性を備えた基板にCNT膜を配置することにより構成されているため、例えば被服に装着する場合には、当該基板を身生地に縫着或いは接着する必要があり、また、CNT歪みセンサから信号を取り出すために必要となる配線部を、伸縮性を示す被服に一体的に設けるために、身生地に導電性を有する糸状体を縫い付け、或いは導電性を有する糸状体を編成または織成した身生地を用いる必要があり、非常に手間がかかるという問題があった。
また、歪みセンサ付き布帛の伸縮性能は、合成樹脂、ゴム、不織布、金属等で構成される基板に依存し、布帛本体の伸縮性能と一致するものではないため、布帛本体の伸縮状態を精度よく検出するのが困難であるという問題もあった。
また、被服に配置される歪みセンサの面積が大きくなると、基板により通気性が阻害されるという問題もあり、日常的に着用することができないという問題もあった。
本発明の目的は、上述した問題に鑑み、簡単な構成でありながら伸長率に応じて電気抵抗が変化する導電性伸縮糸を提供するとともに、手間を要することなく実現できる導電性伸縮布帛及び導電性伸縮編地を提供する点にある。
上述の目的を達成するため、本発明による導電性伸縮糸の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、芯部に弾性糸を用い、前記芯部を被覆する被覆部に導電糸を用いたカバリング糸で構成され、前記カバリング糸の電気抵抗値が前記カバリング糸の伸長率と相関して変化する可変抵抗特性を備えている点にある。
線状体の抵抗値Rは、長さlに比例し、断面積Aに反比例する。線状体の電気抵抗率をρとすると、抵抗値R=ρ×(l/A)となる。カバリング糸が未伸長状態にあるときには、被覆部を構成する導電糸が芯部となる弾性糸の周りに密に巻回された状態となり、隣接する導電糸の表面同士が密に接触することで、上式の長さlが短くなるとともに断面積Aが大きくなり、抵抗値が小さくなる。カバリング糸が伸長すると、伸張の程度に応じて隣接する導電糸の表面同士が次第に離隔するため、上式の長さlが長くなるとともに断面積Aが小さくなり、抵抗値が次第に大きくなり、伸張の程度が大きくなるほど抵抗値が大きくなる。つまり、カバリング糸の電気抵抗値がカバリング糸の伸長率と相関して変化する可変抵抗特性を示すようになる。
同第二の特徴構成は、前記カバリング糸の芯糸として、ドラフト率が1.2倍から3.5倍の範囲の弾性糸が用いられている点にある。
弾性糸のドラフト率が1.2倍から3.5倍の範囲となるカバリング糸を用いると、安定して良好な可変抵抗特性を示す導電性伸縮糸が得られるようになる。
同第三の特徴構成は、前記カバリング糸として、撚り数が200T/Mから3000T/Mの範囲のカバリング糸が用いられている点にある。
本発明による導電性伸縮布帛の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、少なくとも一部に上述の特徴構成を備えた導電性伸縮糸を用いて織成した布帛で構成され、前記布帛の電気抵抗値が前記布帛の伸長率と相関して変化する可変抵抗特性を備えている点にある。
縦糸と横糸の何れか一方または双方に導電性伸縮糸を用いて織成した布帛を伸張すると、導電性伸縮糸の可変抵抗特性に従って抵抗値が変化するようになり、抵抗値を検知することにより布帛の伸長率が把握できるようになる。
本発明による導電性伸縮編地の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、少なくとも一部に上述の特徴構成を備えた導電性伸縮糸を用いて編成した編地で構成され、前記編地の電気抵抗値が前記編地の伸長率と相関して変化する可変抵抗特性を備えている点にある。
導電性伸縮糸を用いて編成した編地を伸張すると、導電性伸縮糸の可変抵抗特性に従って抵抗値が変化するようになり、抵抗値を検知することにより編地の伸長率が把握できるようになる。
以上説明した通り、本発明によれば、簡単な構成でありながら伸長率に応じて電気抵抗が変化する導電性伸縮糸を提供するとともに、手間を要することなく実現できる導電性伸縮布帛及び導電性伸縮編地を提供することができるようになった。
以下、本発明による導電性伸縮糸、導電性伸縮布帛及び導電性伸縮編地の一例を図面に基づいて説明する。
図1(a),(b)に示すように、導電性伸縮糸1は、芯部に弾性糸11を用い、芯部を被覆する被覆部に導電糸10A,10Bを用いたカバリング糸で、導電糸10A,10Bを用いて芯部を二重に被覆したDCYで構成されている。図1(a)には引っ張り力が作用していない無負荷時の収縮状態の導電性伸縮糸1が示され、図1(b)には引っ張り力が作用している負荷時の伸張状態の導電性伸縮糸1が示されている。
以下の説明で「弾性糸」とは、無負荷時つまり非伸長時(常態となる)に収縮状態が維持され、負荷時には引っ張り力に応じて伸長する特性を備え、引っ張り力を解除すると伸長状態から元の収縮状態に復元(収縮)する素材を意味し、導電糸とは、金属成分が糸表面に露出した裸素材を意味する。
一般的に、線状体の電気抵抗率をρとすると、抵抗値R=ρ×(l/A)と表すことができる。つまり、抵抗値Rは、長さlに比例し、断面積Aに反比例する。
図1(a)に示すように、導電性伸縮糸1が収縮状態にあるときには、被覆部を構成する導電糸10A,10Bが芯部となる弾性糸11の周りに密に巻回された状態となり、隣接する導電糸の表面同士が密に接触することで、上式の長さlが短くなるとともに断面積Aが大きくなり、抵抗値が小さくなる。
図1(b)に示すように、導電性伸縮糸1が伸長すると、伸張の程度に応じて弾性糸11の径方向及び長さ方向に隣接する導電糸10A,10Bの表面同士が次第に離隔するため、上式の長さlが長くなるとともに断面積Aが小さくなり、抵抗値が次第に大きくなる。従って、伸張の程度が大きくなるほど抵抗値が大きくなる。つまり、カバリング糸の所定長さ当たりの電気抵抗値がカバリング糸の伸長率と相関して変化する可変抵抗特性を示すようになる。
芯部を構成する弾性糸11として、ポリウレタン系やゴム系のエラストマー材料を単独で用いた弾性糸を採用することができ、「芯」にポリウレタン系やゴム系のエラストマー材料を用い、「カバー」にナイロンやポリエステルを用いたカバリング糸などを採用することも可能である。
被覆部を構成する導電糸10A,10Bとして、樹脂繊維や天然繊維、或いは金属線等を芯として、この芯に湿式や乾式のコーティング、メッキ、真空成膜、その他の適宜被着法を行って金属成分を被着させた金属被着線(メッキ線)を使用することができる。
導電糸10A,10Bを構成する糸の芯として、モノフィラメントを採用することも可能であるが、モノフィラメントよりもマルチフィラメントや紡績糸を採用する方が好ましい可変抵抗特性が得られる。更にはポリウレタン繊維のような伸縮性を備えた繊維を用いることも可能である。被覆部としてウーリー加工糸やSCY、DCYなどのカバリング糸、毛羽加工糸などの嵩高加工糸を採用するのがより好ましい可変抵抗特性が得られる。
芯に被着させる金属成分として、例えばアルミ、ニッケル、銅、チタン、マグネシウム、錫、亜鉛、鉄、銀、金、白金、バナジウム、モリブデン、タングステン、コバルト等の純金属やそれらの合金、ステンレス、真鍮等を使用することができる。
図2(a),(b)には、導電性伸縮糸1の他の態様が示されている。当該導電性伸縮糸1は、芯部に弾性糸11を用い、芯部を被覆する被覆部に導電糸10を用いたカバリング糸で、導電糸10を用いて芯部を一重に被覆したSCYで構成されている。図2(a)には無負荷時の収縮状態の導電性伸縮糸1が示され、図2(b)には負荷時の伸張状態の導電性伸縮糸1が示されている。
DCYと同様に、導電糸10として、樹脂繊維や天然繊維、或いは金属線等を芯として、この芯に湿式や乾式のコーティング、メッキ、真空成膜、その他の適宜被着法を行って金属成分を被着させた金属被着線(メッキ線)を使用することができる。
弾性糸11の伸長の程度によって隣接する導電糸10の接触面積が次第に小さくなるように、導電糸10を構成する糸の芯として、マルチフィラメントや紡績糸を採用するのが好ましく、被覆部としてウーリー加工糸やSCY、DCYなどのカバリング糸、毛羽加工糸などの嵩高加工糸を採用するのがより好ましい。
図2(a)に示すように、導電性伸縮糸1が収縮状態にあるときには、被覆部を構成する導電糸10が芯部となる弾性糸11の周りに密に巻回された状態となり、隣接する導電糸10の表面同士が密に接触することで、上式の長さlが短くなるとともに断面積Aが大きくなり、抵抗値が小さくなる。
図2(b)に示すように、導電性伸縮糸1が伸長すると、伸張の程度に応じて弾性糸11の長さ方向に隣接する導電糸10の表面同士が次第に離隔するため、上式の長さlが長くなるとともに断面積Aが小さくなり、抵抗値が次第に大きくなり、伸張の程度が大きくなるほど抵抗値が大きくなる。
図3(d)には、このような導電性伸縮糸1を用いた導電性伸縮編地2として、平編地が例示されている。導電性伸縮糸1としてSCYとDCYのどちらを用いても良いが、DCYは導電糸10A,10B同士の交差部があり導通が確保できる上に被覆密度が上がりやすく、初期抵抗値を下げる効果が得られるのでより好ましい。
弾性糸11のドラフト率と導電糸10の撚り数は肌着用に通常用いられるカバリング糸と同程度(例えばドラフト率1.0〜5.0倍程度、撚り数50〜2000T/m程度)のものを用いることができる。ドラフト率とはカバリング時の弾性糸の伸度をいい、撚り数とは1メートル当たりの導電糸の巻回数をいう。
この例のように、少なくとも一部に導電性伸縮糸1を用いて編成して構成される導電性伸縮編地2であれば、編地の所定長さ当たりの電気抵抗値が編地の伸長率と相関して変化する可変抵抗特性が発現するようになる。
特に、カバリング糸の芯糸として、ドラフト率が1.2倍から3.5倍の範囲の弾性糸が用いられることが好ましい。弾性糸のドラフト率が1.2倍から3.5倍の範囲となるカバリング糸を用いると、安定して良好な可変抵抗特性を示す導電性伸縮糸が得られるようになる。
また、カバリング糸として、撚り数が200T/Mから3000T/Mの範囲のカバリング糸が用いられると、安定して良好な可変抵抗特性を示す導電性伸縮糸が得られるようになる。
さらに、特にドラフト率が1.2倍から3.5倍の範囲の弾性糸で、撚り数が200T/Mから3000T/Mの範囲で導電糸をカバリングすると、優れた可変抵抗特性を示す導電性伸縮糸が得られるようになる。
さらに好ましくは、特にドラフト率が1.5倍から3.5倍の範囲の弾性糸で、と撚り数が200T/Mか1000T/Mの範囲で導電糸をカバリングすると、より優れた可変抵抗特性を示す導電性伸縮糸が得られるようになる。
そして、ドラフト率及び/または撚り数を調整することにより、導電性伸縮糸の所定長さ当たりの電気抵抗値と伸長率との相関係数を好ましい値に調整することができ、導電性伸縮糸を用いた編地や布帛の可変抵抗特性を好ましい特性に調整することができるようになる。
例えば、ドラフト率を小さくすると伸長率に対する抵抗変化率が大きくなり、撚り数を小さくすると伸長率に対する抵抗変化率が大きくなる傾向がある場合に、ドラフト率及び撚り数を小さく設定すれば、伸長率が小さい範囲で好感度に抵抗変化を検知でき、ドラフト率及び撚り数を大きく設定すれば、0%から100%の範囲でダイナミックに伸長率が変化するような場合に好感度に抵抗変化を検知できるようになる。
導電性伸縮編地2を、導電性伸縮糸1を用いて平編で編成する例を説明したが、導電性伸縮編地2の編組織は平編に限るものではなく、伸縮性に富んだゴム編(フライス編)や、両面編(スムース編)を採用してもよく、他の任意の編組織のヨコ編地を採用することも可能である。導電性伸縮編地2として、フライス編を採用する場合には、編地の端縁でカールすることなく安定した平坦な姿勢に維持できる。更に、タテ編地で構成することも可能である。
長手方向がコース方向に沿う帯状の導電性伸縮編地2、或いは長手方向がウェール方向に沿う帯状の導電性伸縮編地2を構成すれば、長手方向への伸長率に相関を示す抵抗特性を備えた導電性伸縮編地2が得られる。
サイズの大きなヨコ編地を構成する場合に、コース単位或いは数コース単位で導電性伸縮糸1と絶縁性伸縮糸とを切り替えて編成することにより、導電性伸縮糸1を用いたコース方向で電気抵抗値が編地の伸長率と相関して変化する可変抵抗特性が発現するようになる。絶縁性伸縮糸として、例えばポリウレタン系やゴム系のエラストマー材料を用いた弾性糸を芯糸として絶縁性の糸を被覆したSCYやDCYを用いることができる。
同様に、サイズの大きなヨコ編地を構成する場合に、コースの一部に導電性伸縮糸1を用い、当該導電性伸縮糸1を用いた部位をウェール方向に沿って編成するように構成すれば、導電性伸縮糸1を用いたウェール方向で電気抵抗値が編地の伸長率と相関して変化する可変抵抗特性が発現するようになる。
さらに、少なくとも一部に上述の特徴構成を備えた導電性伸縮糸1を用いて織成することにより導電性伸縮布帛(織地)を構成することも可能である。縦糸と横糸の何れか一方に導電性伸縮糸を用いて織成した導電性伸縮布帛を伸張すると、導電性伸縮糸の可変抵抗特性に従って抵抗値が変化するようになり、抵抗値を検知することにより布帛の伸長率が把握できるようになる。
この場合、縦糸と横糸の何れか一方に導電性伸縮糸を複数本連続配置すると、隣接する導電性伸縮糸同士での電気的接触が確保されるので、仮に1本の導電性伸縮糸が破断しても補完されるようになる。
縦糸と横糸の双方に導電性伸縮糸1を用いて導電性伸縮布帛を構成すると、電気抵抗値が導電性伸縮布帛の縦横二方向のそれぞれの伸長率と相関して変化する可変抵抗特性が発現するようになり、抵抗値を検知することにより布帛の二方向に対応した伸長率が把握できるようになる。
織組織として、平織、綾織、朱子織の三原組織を採用することができ、これらを元にした変化組織を用いることが可能である。
本発明による編地や布帛を衣服の一部に用いれば、生地の伸張による抵抗値の変化に基づいて着用者の姿勢変化を検知することができるようになる。衣服を構成する身生地の一部に本発明による編地や布帛を重畳配置するばかりでなく、身生地の一部を本発明による編地や布帛で構成することも可能である。
衣服以外に、伸縮作動する対象物の伸縮の程度や回数、さらには伸縮周期等を計測するセンサとして活用することができる。
以下、本発明による編地の可変抵抗特性を確認した実験結果を説明する。
被覆部となる導電糸10として銀メッキ繊維の33dtexを採用し、芯部となる弾性糸11としてポリウレタン糸の155dtexを採用したDCYを用いてフライス編地を製作し、当該フライス編地を実施例1とする。弾性糸のドラフト率は2.6倍、導電糸の撚り数は477T/Mである。試験片のサイズは、長辺12cm、短辺0.8cmである。
被覆部となる導電糸10として銀メッキ繊維の33dtexを採用し、芯部となる弾性糸11としてポリウレタン糸の155dtexを採用したDCYを用いてフライス編地を製作し、当該フライス編地を実施例1とする。弾性糸のドラフト率は2.6倍、導電糸の撚り数は477T/Mである。試験片のサイズは、長辺12cm、短辺0.8cmである。
導電糸10として銀メッキ繊維の78dtexを2本採用すると共に、弾性糸11としてポリウレタン糸の110dtexを採用して、プレーティング編みでフライス編地を製作し、当該フライス編地を比較例1とする。試験片のサイズは、長辺12cm、短辺0.7cmである。
比較例2として、導電糸10として銀メッキ繊維の78dtexを3本採用すると共に、弾性糸11としてポリウレタン糸の110dtexを採用して、プレーティング編みでフライス編地を製作し、当該フライス編地を比較例2とする。試験片のサイズは、長辺12cm、短辺0.8cmである。
各試験片の長手方向両端から1cmの位置を金属製クリップで固定し、各試験片の両端のクリップを掴むようにして非伸長状態(無負荷)のスパン10cm(伸長率0%)が得られるように試験装置に張り渡し、この張り渡し状態から試験長を10cm〜20cmにわたり所定の伸長率で伸長させ、伸長後の各抵抗値を抵抗測定器を用いて測定した。
図4、図5(a),(b),(c)には実験結果が示されている。図5(a)に示すように、実施例1では、伸長程度に応じて顕著な抵抗の変化が現れ、編地の所定長さ当たりの電気抵抗値が編地の伸長率と相関して変化する可変抵抗特性を備えていることが判明した。
しかし、図5(b),(c)に示すように、比較例1,2では、編地の所定長さ当たりの電気抵抗値と編地の伸長率との間に相関が示されることはなかった。
次に、被覆部となる導電糸10として銀メッキ繊維の33dtexを採用し、芯部となる弾性糸11としてポリウレタン糸の155dtexを採用したDCYであって、カバリング条件であるドラフト率と撚り数が異なるDCYで編成したフライス編地を複数製作し、それぞれ実施例1A,2,3,4,5,6,7,8,9,10とした。
長辺12cm、短辺0.7cmの試験片(詳述すると、短辺の幅方向中央部に導電部が6コース形成され、両側部にそれぞれ8コースの非導電部が形成され、導電部と非導電部のそれぞれが長辺に向けて連続編成されている。)を夫々準備し、各試験片の長手方向両端部に、それぞれ1cmのチャック部を設けた。チャック部は、導電糸または弾性糸の抜けを防止するためにポリウレタンホットメルトフィルムを用いて熱ラミネートしたものである。
各試験片の両端のチャック部を掴むようにして非伸長状態(無負荷)のスパン10cm(伸長率0%)が得られるように試験装置に張り渡し、この張り渡し状態から試験長を10cm〜15cmにわたり所定の伸長率で伸長させ、伸長後の各抵抗値を抵抗測定器を用いて測定した。
図6、図7(a)〜(g)には実験結果が示されている。何れの実施例でも、伸長程度に応じて顕著な抵抗の変化が現れ、編地の所定長さ当たりの電気抵抗値が編地の伸長率と相関して変化する可変抵抗特性を備えていることが判明した。
このことから、カバリング糸の芯糸として、ドラフト率が1.5倍から3.5倍の範囲の弾性糸を用い、撚り数が200T/Mから1000T/Mの範囲のカバリング糸を用いることにより、編地の所定長さ当たりの電気抵抗値と編地の伸長率との間に良好な相関が示されることが判明した。
本発明による導電性伸縮糸を用いて構成される導電性伸縮布帛及び導電性伸縮編地は、着用者の姿勢変化の程度や回数等を計測する衣服として、或いは伸縮作動する対象物のその挙動を計測するセンサとして広く活用される。
1:導電性伸縮糸
2:導電性伸縮編地
10,10A,10B:導電糸
11:弾性糸
2:導電性伸縮編地
10,10A,10B:導電糸
11:弾性糸
Claims (5)
- 芯部に弾性糸を用い、前記芯部を被覆する被覆部に導電糸を用いたカバリング糸で構成され、前記カバリング糸の電気抵抗値が前記カバリング糸の伸長率と相関して変化する可変抵抗特性を備えている導電性伸縮糸。
- 前記カバリング糸の芯糸として、ドラフト率が1.2倍から3.5倍の範囲の弾性糸が用いられている請求項1記載の導電性伸縮糸。
- 前記カバリング糸として、撚り数が200T/Mから3000T/Mの範囲のカバリング糸が用いられている請求項1または2記載の導電性伸縮糸。
- 少なくとも一部に請求項1から3の何れかに記載の導電性伸縮糸を用いて織成した布帛で構成され、前記布帛の電気抵抗値が前記布帛の伸長率と相関して変化する可変抵抗特性を備えている導電性伸縮布帛。
- 少なくとも一部に請求項1から3の何れかに記載の導電性伸縮糸を用いて編成した編地で構成され、前記編地の電気抵抗値が前記編地の伸長率と相関して変化する可変抵抗特性を備えている導電性伸縮編地。
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