以下、添付図面を参照して、本発明に従って構成された搬出装置の好適実施形態について、更に詳述する。
図1には、本発明に従って構成された搬出装置の好適実施形態の全体が簡略的に図示されている。かかる搬出装置は、多数の被搬送物を所定経路に沿って順次に起立並列配置された状態で所定経路に沿った搬送方向に向かって強制する搬送手段2と、最前端の被搬送物の前面片端縁部が当接される前面片端縁部規制手段3と、最前端の被搬送物を前面片端縁部規制手段3から離脱し且つ次の被搬送物から分離して搬送手段2から搬出する被搬送物搬出手段4と、前方端部の被搬送物の他端縁を規制する他端縁規制手段8と、前方端部の被搬送物の片側縁と係合する片側縁係合手段10とを具備している。
図1と共に図2乃至図4を参照して説明を続けると、搬送手段2は、多数の平板状被搬送物を所定経路に沿って順次に起立並列配置された状態で支持する支持手段10と、搬送経路に沿って多数の被搬送物を搬送方向に移動させるバックプレート12及び搬送スタンド14と、バックプレート12及び搬送スタンド14が多数の被搬送物を前進させる過程においてこれらの姿勢を一時的に保持する保持部材16とを具備している
支持手段10は共に矩形形状の板状部材である第一の支持部材18及び第二の支持部材20を備えている。第一の支持部材18は、長手方向に延びる一方側縁22及び他方側縁24が共に実質上水平であって且つ短手方向、更に詳しくは一方側縁22から他方側縁24に向かう方向に上方に傾斜角度αで傾斜した状態で、4隅を脚26によって支持されている。ここで、短手方向において一方側縁22から他方側縁24に向かう方向、つまり矢印Wで示す方向を、被搬送物の片端縁から他端縁に向かう幅方向といい(以下では左右方向ということもある)、一方側縁22が規定されている側を内側、他方側縁24が規定されている側を外側とする。傾斜角度αは10乃至45度であるのが好ましく、図示の実施形態においては20度である。第一の支持部材18には、多数の平板状被搬送物の片側縁RL(図11を参照されたい)を規制する片側縁規制上面28が設けられ(片側縁規制上面28も幅方向外方に向かって上方に傾斜している)、長手方向即ち矢印Lで示す方向(これを搬送方向といい、以下では前後方向ということもある)に沿って搬送経路が規定されている。搬送経路は後述するとおりにして被搬送物が搬送される経路であり、搬送方向に向かって水平且つ直線である。図1及び図3を参照することによって明確に理解されるとおり、第一の支持部材18には、搬送方向の上流端部から下流端部まで搬送方向に沿って直線状に延びる溝30が複数形成されている。図示の実施形態においては、溝30は3本形成されており、夫々について幅方向外方に向かってa乃至cを付して示す。溝30a乃至cは相互に平行であって、第一の支持部材18の上面から下面にかけて貫通している。第一の支持部材18の搬送方向下流端には他端縁規制手段6が、搬送方向下流端部には他側縁係合手段8が夫々配設されている。他端縁規制手段6及び他側縁係合手段8については後に言及する。
第一の支持部材18には、片側縁規制上面28から上方に向かってこれに対して垂直に起立した平板状側壁34が設けられている(従って、側壁34は上方に向かって幅方向内方に傾斜している)。側壁34は片側縁規制上面28の幅方向内側縁部において搬送方向略全域に亘って延在している。側壁34には被搬送物の片端縁UL(図11を参照されたい)を規制する片端縁規制内面36が規定されている。片端縁規制内面36は下方に向かって幅方向外方に傾斜しており、片側縁規制上面28に対して垂直である(図5も参照されたい)。
前面片端縁部規制手段3は側壁34の搬送方向下流端に固定され、バックプレート12によって最前端の被搬送物が搬送方向に見た所定位置より前進しないように被搬送物の前面片端縁部を規制する。図示の実施形態においては、前面片端縁部規制手段3は、側壁34の搬送方向下流端面に固着されて片端縁規制内面36に対して垂直に幅方向外方に向かって延びる板状部材である。前面片端縁部規制手段3は、図5を参照することによって理解されるとおり、片端縁規制内面36から離隔するにつれて先細りする台形形状である。前面片端縁部規制手段3は上下方向に見て側壁34の中央部分に設けられており、前面片端縁部規制手段3の下端は片側縁規制上面28よりも幾分上方に離隔して位置すると共に、前面片端縁部規制手段3の上端は側壁34の上端よりも幾分下方に位置している。前面片端縁部規制手段3の搬送方向上流面には、最前端の被搬送物が当接することによって閉成される検出スイッチ38が配設されており、この検出スイッチ38が閉成されている間は後述するとおりバックプレート12及び搬送スタンド14は停止し、検出スイッチ38が開成されるとバックプレート12及び搬送スタンド14は前進する。
第二の支持部材20は第一の支持部材18の搬送方向下流側においてこれと隣接して設けられている。第二の支持部材20は実質上水平な状態で4隅を脚42によって支持されている。第二の支持部材20には、被搬送物搬出手段4及びバックプレート12が設置される。
主に図1乃至図4を参照して説明を続けると、バックプレート12は、搬送方向に見て溝30の下流端部と前面片端縁部規制手段3との間に配置され、上下方向に延びる複数のプレート片44を有する。図示の実施形態においては、プレート片44は幅方向に間隔をおいて平行に5つ設けられ、夫々幅方向外側に向かってa乃至eを付して示す。プレート片44a乃至eの断面形状は何れも下端部を除いて正方形である(下端部は下方に向かって搬送方向長さが漸次低減せしめられている)。プレート片44a乃至eはプレート片固定部材46に固定される。図3を参照することによって明確に理解されるとおり、プレート片44aは幅方向に見て側壁34と溝30aとの中間であって且つ搬送方向に見て前面片端縁部規制手段3と対向し、プレート片44b及びcは幅方向に見て溝30aと溝30bとの間で等間隔に、プレート片44d及びeは幅方向に見て溝30bと溝30cとの間で等間隔に夫々配置されている。
プレート片固定部材46は幅方向に直線状に延びる断面矩形の部材である。プレート片固定部材46は、プレート片44a乃至e夫々の上端部が固定された状態で、L字形状の共通支持部材48の起立部48aに設置される。このとき、共通支持部材48の起立部48aの搬送方向上流側面には上下方向に直線状に延びるレール50が配設されており、プレート片固定部材46はレール50に図示しないアクチュエータを介して設置され上下方向に移動自在となる。従って、プレート片固定部材46に固定されたバックプレート12も上下方向に移動自在となる。共通支持部材48は第二の支持部材20上に設けられた設置台52に設置される。設置台52は、上下方向に見て片側縁規制上面28の上方に離隔して位置し且つ実質上水平な矩形形状の天板54と、この天板54を支持する複数、図示の実施形態においては5つ、の脚56とを備えている。天板54の上面には搬送方向に直線状に延びるレール58が形成されており、共通支持部材48の水平部48bが図示しないアクチュエータを介してレール58に連結され、共通支持部材48は搬送方向に移動自在となる。従って、共通支持部材48にプレート片固定部材46を介して配設されたバックプレート12も搬送方向に移動自在となる。上記アクチュエータは何れも図示しない圧縮空気制御機器の一部であり、圧縮空気を作動動力源とするものである。
図12-1乃至図12-3を参照して説明すると、バックプレート12は上記アクチュエータによって、搬送方向及び上下方向に移動自在となる。このとき、バックプレート12は、搬送方向においては、最前端の被搬送物から後方に第一の所定距離D1離間した後退位置とこの後退位置から第一の所定距離D1よりも短い第二の所定距離D2前進した前進位置との間を移動自在であり、上下方向においては、後述するとおり搬送経路Lに沿って順次に起立並列配置された被搬送物における隣接する2個の被搬送物間に進入する作用位置と被搬送物間から離隔する非作用位置との間を移動自在である。バックプレート12が非作用位置にあるときは、バックプレート12の下端は第一の支持部材18に支持される被搬送物よりも上方に位置し、バックプレート12が作用位置にあるときには、バックプレート12の下端は被搬送物の上側縁(即ち規制されていない他側縁LL(図11を参照されたい))よりも下方であって第一の支持部材18の片側縁規制上面28と対向しこれよりも僅かに上方に位置する。然るに、バックプレート12は以下のような経路で周期的に移動する。即ち、バックプレート12は、後退位置であって且つ作用位置である後退作用位置(図12-1(a)及び図12-2(e)乃至図12-3(i))、前進位置であって且つ作用位置である前進作用位置(図12-1(b))、前進位置であって且つ非作用位置である前進非作用位置(図12-1(c))、後退位置であって且つ非作用位置である後退非作用位置(図12-2(d))に順次移動した後に、再度後退作用位置(図12-1(a)及び図12-2(e)乃至図12-3(i))へ移動する。
主に図1乃至図4を参照して説明を続けると、搬送スタンド14は搬送方向に見て溝30の内側に配置され、搬送方向及び幅方向に夫々複数配列された仕切片60と、全ての仕切片60を共通して支持固定する共通支持部材62とを有している。図示の実施形態においては、仕切片60は搬送方向に等間隔をおいて7個、幅方向に等間隔をおいて3個ずつ格子状に配列されている(従って仕切片60は全部で21個配設されている)。仕切片60は何れも上下方向に延びる棒状部材であり、上端部の搬送方向幅は上方に向かって漸次低減せしめられている。図3を参照することによって理解されるとおり、仕切片60の断面(上端部を除く)は正方形である。また、図4を参照することによって理解されるとおり、仕切片60の上下方向長さは幅方向外方に向かって順に長く設定されており、夫々の上端位置を結ぶ直線m(二点鎖線で示す)は片側縁規制上面28と平行となっている。仕切片60の搬送方向の間隔は上述したバックプレート12の前進位置と後退位置との間隔(D2)に対応する。仕切片60の幅方向の間隔は第一の支持部材18に形成された溝30の幅方向の間隔に対応する。
共通支持部材62は、幅方向に延びる複数(図示の実施形態においては7本)の幅方向支持部64と、搬送方向に延びる一対の搬送方向支持部66とを有する。仕切片60はその下端部が幅方向支持部64の搬送方向下流側面に夫々固定され、仕切片60が固定された幅方向支持部64は夫々、相互に平行に且つ上述した所定間隔をおいて一対の搬送方向支持部66の上面に固定される(図12-1(a)も参照されたい)。一対の搬送方向支持部66の各々の下面には搬送方向に延びる一対のレール68が各々形成されており、このレール68は図示しないアクチュエータを介して底板70に連結されている。従って、搬送スタンド14は搬送方向(前後方向)に移動自在となる。更に、底板70の下面にはこれを上下方向に移動自在な昇降用のアクチュエータ72も設けられており、これによって、搬送スタンド14は上下方向にも移動自在である。上記のアクチュエータは何れも図示しない圧縮空気制御機器の一部であり、圧縮空気を作動動力源とするものである。
図12-1乃至図12-3を参照して説明すると、搬送スタンド14は上記アクチュエータによって、搬送方向においては、搬送方向下流端(最前端)の仕切片60が搬送方向に見てバックプレート12の後退位置に対応する前進位置と、この前進位置から第二の距離D2後退した後退位置と、の間を移動自在であり、上下方向においては、仕切片60の夫々が、後述するとおり、搬送経路Lに沿って順次に起立並列配置された被搬送物における隣接する2個の被搬送物間に進入する作用位置と、被搬送物間から離隔する非作用位置と、の間を移動自在である。搬送スタンド14が作用位置にあるときは、仕切片60の上端は片側縁規制上面28を超えて上方に位置し、搬送スタンド14が非作用位置にあるときは、仕切片60の上端は第一の支持部材18に支持される被搬送物よりも下方に位置する。然るに、搬送スタンド14は上記アクチュエータによって以下のような経路で周期的に移動する。即ち、搬送スタンド14は、後退位置であって且つ作用位置である後退作用位置(図12-1(a)、図12-3(h)及び(i))、前進位置であって且つ作用位置である前進作用位置(図12-1(b)乃至図12-2(e))、前進位置であって且つ非作用位置である前進非作用位置(図12-2(f))、後退位置であって且つ非作用位置である後退非作用位置(図12-3(g))に順次移動した後に、再度後退作用位置(図12-1(a)、図12-3(h)及び(i))へ移動する。
主に図1乃至図4を参照して説明を続けると、保持部材16は、搬送方向及び幅方向に夫々複数配列された保持片74と、全ての保持片74を共通して支持固定する共通支持部材76とを有している。図示の実施形態においては、保持片74は搬送方向に等間隔をおいて6個、幅方向に等間隔をおいて4個ずつ格子状に配列されている(従って保持片は全部で24個配設されている)。保持片74は何れも上下方向に延びる棒状部材であり、下端部の搬送方向幅は下方に向かって漸次低減せしめられている。図3を参照することによって理解されるとおり、保持片74の断面(下端部を除く)は仕切片60の断面(上端部を除く)と同一形状の正方形である。また、図4を参照することによって理解されるとおり、保持片74の上下方向長さは幅方向外方に向かって順に長く設定されており、夫々の下端位置を結ぶ直線n(二点鎖線で示す)は片側縁規制上面28と平行となっている。図3に示すとおり、最前端の保持片74は、搬送方向に見て上述したバックプレート12の後退位置から第二の距離D2後退した位置において、幅方向に見て溝30aと溝30bの間及び溝30bと溝30cの間に夫々2個ずつ等間隔に配置されている。保持片74の搬送方向の間隔は仕切片60の搬送方向の間隔と等しく第二の距離D2である。
共通支持部材76は、幅方向に延びる複数(図示の実施形態においては6本)の幅方向支持部78と、搬送方向に延びる1つの搬送方向支持部80とを有する。保持片74の夫々は上端部が幅方向支持部78の搬送方向上流側面に固定され、保持片74が固定された幅方向支持部78は夫々、相互に平行に且つ上述した所定間隔をおいて搬送方向支持部80に固定される(図12-1(a)を参照されたい)。共通支持部材76は第一の支持部材18の片側縁規制上面28の上方において支持フレーム82によって上下方向に移動自在に支持される。支持フレーム82は、第一の支持部材18の搬送方向上流端に隣接して配設され下方が開放されたコの字形状である上流フレーム部84と、上流フレーム部84の上辺の幅方向外側端部から搬送方向下流に向かって実質上水平に延びて設置台52に接続固定される直線状の中間フレーム部86と、中間フレーム部86の搬送方向略中間部の上面に固定され下方が開放されたコの字形状の上側フレーム部88とを有する。上側フレーム部88において搬送方向に見て相互に対向する一対の辺の幅方向内側面には、上下方向に直線状に延びる一対のレール90が形成されており、共通支持部材76が図示しないアクチュエータを介してレール90に上下方向に移動自在に連結されている。従って、共通支持部材76に固定された保持片74は上下方向に移動自在である。
図12-1乃至図12-3を参照して説明すると、保持片74はこれを作動させるアクチュエータによって、後述するとおり、搬送経路Lに沿って順次に起立並列配置された被搬送物における隣接する2個の被搬送物間に進入する作用位置(図12-2(e)乃至図12-3(h))と被搬送物間から離隔する非作用位置(図12-1(a)乃至図12-2(d)、及び図12-3(i))との間を上下方向に移動自在である。保持片74が非作用位置にあるときは、保持片74の下端は第一の支持部材18に支持される被搬送物よりも上方に離隔して位置し、保持片74が作用位置にあるときは、保持片74の下端は被搬送物の上側縁(即ち規制されていない他側縁LL(図11を参照されたい))よりも下方であって第一の支持部材18の片側縁規制上面28と対向しこれよりも幾分上方に位置する。
図1乃至図4と共に図5も参照して説明すると、被搬送物搬出手段4は、最前端の被搬送物の前面に対向して配設され、上下方向に間隔をおいて直線状に配設された複数個の吸引具92と、全ての吸引具92を共通して支持する共通支持部材94とを備えている。図示の実施形態においては、吸引具92は4個配設されており、夫々について下方に向かってa乃至dを付して示す。吸引具92a乃至dはエラストマー材の如き可撓性を有する適宜の軟質合成樹脂から形成された椀状であり、図4に明確に示されるとおり、その中央頂部には吸引孔96が形成されている。共通支持部材94は上下方向に長い略角柱部材であり、その搬送方向上流側面には複数の図示しない接続バルブが設置されている。夫々の接続バルブは2つの口を有し、一方の口には吸引具92の吸引孔96が接続され、他方の口には図示しないホースを介して図示しない真空ポンプに接続される。吸引具92が接続バルブに接続された状態にあっては、吸引孔96は搬送方向上流側を向き、上記真空ポンプによって吸引具92の内側領域(即ち、椀の内側領域)に負圧を発生させることが可能となる。上記真空ポンプは作動状態と吸引非作動状態とを適宜に切り替え自在であり、真空ポンプの作動を切り替えることで吸引具92を上記負圧が生じる吸引作動状態と生じない吸引非作動状態とに切り替え自在である。吸引具92aと吸引具92dは共通支持部材94の上端部と下端部に各々配置され、吸引具92b及び吸引具92cは共通支持部材94の下側において吸引具92b乃至dが上下方向に等間隔をなすように夫々配置されている。吸引具92aと吸引具92bとの間隔は吸引具92bと吸引具92cとの間隔(吸引具92cと吸引具92dとの間隔)よりも大きい。共通支持部材94の搬送方向下流側面にはこれを作動させるアクチュエータ98が設置されている。アクチュエータ98は、吸引具92aと吸引具92bとの間に規定されている軸線Rを中心として、共通支持部材94を旋回駆動自在に支持している。アクチュエータ98はまた、幅方向に延在するレール100及び搬送方向に延在する図示しないレールとも連結されており、幅方向及び搬送方向にも移動自在である。これにより、吸引具92a乃至dは一体となって軸線Rを中心に旋回自在であると共に幅方向及び搬送方向に移動自在である。アクチュエータ98は図示しない圧縮空気制御機器の一部であり、圧縮空気を作動動力源とするものである。
図5を参照して説明すると、吸引具92a乃至dは、これらが装着された共通支持部材94がアクチュエータ98によって作動されることによって、後述する最前端の被搬送物の前面と当接する前進位置と最前端の被搬送物の前面から離隔する方向に後退した後退位置との間で搬送方向に移動自在(即ち前進後退移動自在)となると共に、最前端の被搬送物を保持する保持位置と被搬送物を放出する放出位置との間で横方向に移動自在(即ち左右方向に移動自在)となり、さらに、吸引具92aが片側縁規制上面28から離隔して片端縁規制内面36に接近する接近位置と片端縁規制内面36から離隔して片側縁規制上面28に接近する分離位置との間で軸線Rを中心として旋回自在となる(軸線Rを中心とした回転方向を分離方向という)。吸引具92aの接近位置から分離位置への旋回は、被搬送物の片端縁から他端縁に向かう幅方向への移動に相当する。このことから、図示の実施形態においては、吸引具92a乃至dは以下のように周期的に移動する。即ち、吸引具92は、図5(a)に示す基準状態(前後方向において後退位置、分離方向において接近位置、左右方向において保持位置)から前進位置に前後移動し(図5(b))、次いで、分離方向において接近位置から分離位置まで旋回し(図5(c))、その後に前進位置から後退位置まで前後移動し(図5(d))、次いで分離方向において分離位置を維持したまま左右方向において保持位置から放出位置まで横移動し(図5(e))、しかる後に分離方向において分離位置から接近位置まで旋回しながら左右方向において放出位置から保持位置まで横移動して再び図5(a)に示す基準状態となる。
図1乃至図5と共に図6及び図7を参照して説明を続けると、他端縁規制手段6は、第一の支持部材18の前方端において幅方向に間隔をおいて多数配列された他端縁規制片102を含んでいる。図示の実施形態においては、図6及び図7を参照することによって明確に理解されるとおり、多数配列された他端縁規制片102の各々は薄板円板形状であってその中央には円形開口106が形成され、共通支持部材104に収容されている。共通支持部材104は幅方向に長い略直方体形状であって、被搬送物搬出手段4よりも幅方向外側において第一の支持部材18の前方端面に固着され、片側縁規制上面28よりも上方に突出している。図3、図5及び図6を参照することによって理解されるとおり、共通支持部材104の搬送方向上流端面は幅方向に見て前面片端縁部規制手段3の搬送方向上流端面と実質上面一である。共通支持部材104には幅方向に間隔をおいて多数の溝108(有底溝)が形成されている。溝108は夫々搬送方向に見て下流から上流に向かって下方に傾斜して延びる底面110を備え、溝108の上流面及び上面は開放されている。溝108には幅方向に実質上水平に直線状に延びる制限軸112も設けられている。
図6及び図7を参照して説明を続けると、図示の実施形態においては、他端縁規制片102は、開口106に制限軸112が挿通せしめられると共に底面110に支持された状態で溝108内に挿入されている。そのため、自然状態にあっては、他端縁規制片102は夫々自由落下によって底面110に沿って搬送方向上流に移動するものの、かかる移動は他端縁規制片102の内周縁が制限軸112と当接することで制限せしめられる。他端縁規制片102が自然状態、つまり制限軸112によって他端縁規制片102の搬送方向上流への移動が制限せしめられた状態にあっては、図7のP-P断面図を参照することによって理解されるとおり、他端縁制限片102の一部は共通支持部材104の上流端面、つまり搬送方向に見て前面片端縁部規制手段3の上流端面を超えて上流に突出することとなる(突出位置)。一方、例えば、共通支持部材104の上流端面に最前端の被搬送物が当接して、他端縁制限片102が搬送方向に押された場合には、図7のQ-Q断面図を参照することによって理解されるとおり、他端縁制限片102はその全部が溝108内に収容されて、搬送方向に見て前面片端縁部規制手段3の後面と同一(幅方向に見て前面片端縁部規制手段3の後面と面一)となる(縮退位置)。然るに、多数配列された他端縁規制片102の夫々は、搬送方向に見て前面片端縁部規制手段3の上流端面よりも上流に突出した突出位置と、前面片端縁部規制手段3の上流端面と同一乃至これよりも下流の縮退位置との間を移動自在となる。
所望ならば、他端縁規制手段は図8に示すような構成であってもよい。図8に示された他端縁規制手段6´にあっては、共通支持部材104´に形成された溝108´は、上流から下流に向かって下方に傾斜して延びる底面110´及び上面114´を備え、底面110´と上面114´との間隔(つまり溝108´の上下方向幅)は上流に向かって漸次小さくなるように設定されている。溝108´の下流面及び上流面は開放せしめられており、上流面における溝108´の上下方向幅d1は薄板円板形状である他端縁規制片102´の直径d0よりも大きく、下流面における溝108´の上下方向幅d2は他端縁規制片102´の直径d0よりも小さい。このようにすることで、他端縁規制片102´は図6に示す制限軸112を設けることなく、図8において実線で示す突出位置と同図において二点鎖線で示す縮退位置との間を移動自在となる。
図1乃至図5と共に図6及び図9を参照して説明を続けると、片側縁係合手段8は、第一の支持部材18の前方端部であって且つ被搬送物搬出手段4よりも幅方向外側の片側縁規制上面28に配設されている(所望ならば、片側縁係合手段8は被搬送物搬出手段4よりも幅方向内側にも配設されていてよい)。片側縁係合手段8は、図9のR-R断面を参照することによって明確に理解されるとおり、片端縁規制内面36に向かって上方に鋭く切り立った内側面116(係合面)と、この内側面116の上端縁から幅方向外方に向かって下方に傾斜した外側面118とを有し、内側面116及び外側面118は幅方向に交互に連続して多数設けられている。図示の実施形態においては、片側縁係合手段8の断面は鋸歯状であり、内側面116と外側面118とを接続する稜線120及び谷線122は搬送方向に平行に直線状に延びている。そして、内側面116及び外側面118は第一の支持部材18の上面に切削等の適宜の機械加工を施すことによって形成される。
所望ならば、上記内側面116及び外側面118は、第一の支持部材18の上面に適宜の機械加工を施して形成することに替えて、内側面116及び外側面118が形成された別部材を第一の支持部材18に固定するようにしてもよい。また、片側縁係合手段は図9のR-R断面図に示すような鋸歯状ではなく、図10において番号8´で示すように、断面が矩形状である平板120´を片側縁規制上面28上において幅方向内方に傾斜した状態で多数重ねて配列するような形式にしてもよい。片側縁係合手段8´においても、図10を参照することによって理解されるとおり、片端縁規制内面36に向かって上方に鋭く切り立った内側面116´(係合面)と、この内側面116´の上端縁から幅方向外方に向かって下方に傾斜した外側面118´とが幅方向に交互に連続して多数設けられる。
続いて、図12-1乃至図12-3と共に、図5を参照して本発明に従って構成された搬出装置の作動について説明する。
先ず、搬出装置を作動させるのに先立って、作業者は手動で多数の被搬送物Cを第一の支持部材18上に搬送経路Lに沿って順次に起立並列した状態で配置せしめる。図12-1(a)に示すように、被搬送物Cは搬送方向に隣接する仕切片60の間だけでなく、搬送方向下流端の仕切片60とバックプレート12との間、及び、バックプレート12と吸引具92との間にも配置する。かかる作業を行う際には、被搬送物搬出手段4の吸引具92は吸引非作動状態であると共に、バックプレート12は後退作用位置に、搬送スタンド14は後退作用位置に、保持部材16は非作用位置に、夫々位置させる。
ここで、平板状被搬送物とは、例えば液体状洗剤或いはレトルト食品等を収容するためのパウチと称される周知の包装体であり、図11に示すとおりの所謂スタンディングパウチと称する片端縁部UP(図11における上端縁部)が他端縁部BP(図11における下端縁部)に比べて薄く、片端縁ULが両側縁(片側縁RL及び他側縁LL、即ち片端縁ULと他端縁BLとを接続する一対の縁であって図11において上下方向に延びる一対の縁)よりも短い形式のものも含む。本発明は上記スタンディングパウチを搬送するのに好適である。スタンディングパウチは、本発明の搬出装置によって搬送されている間においては片端縁部UPが開放せしめられているが、本発明の搬出装置によって搬送され内容物が充填された後には片端縁部UPが閉塞せしめられる。被搬送物Cの夫々は、片側縁RL及び片端縁ULが支持手段10の片側縁規制上面28及び片端縁規制内面36によって規制されると共に搬送方向において隣接する被搬送物同士が相互に面接触した状態で、実質上鉛直に起立した直立並列配置で支持される(図5(a)及び図12-1(a)を参照されたい)。
搬出装置の作動を開始させると、搬送手段2と、被搬送物搬出手段4と、被搬送物排出手段8とが作動して、第一の支持部材18に支持された被搬送物Cの搬送を開始する。被搬送物搬出手段4の作動について図5を参照して説明する。なお、本図においては、搬送方向下流側から上流側を見たときの模式図を左側に上方から見た模式図を右側に夫々配列し、右側に配列された図においては、図の簡略化のために吸引具92は吸引具92a及びdについてのみ示して他を省略し、さらに吸引具92aと吸引具92dとを区別するため前者には薄墨を付して示してある。
被搬送物搬出手段4の吸引具92a乃至dは以下のように作動する。即ち、最初に、吸引具92a乃至dは図5(a)に示す基準状態にある。このとき、吸引具92a乃至dは吸引作動状態と吸引非作動状態とはどちらであってもよい。次いで、吸引具92a乃至dは前進位置に前後移動せしめられて最前端の被搬送物C1の前面に当接すると共に吸引作動状態にせしめられる(図5(b))。このとき、吸引具92a乃至dは最前端の被搬送物C1の前面片端縁部よりも幅方向内側の表面に当接せしめられ、吸引具92a乃至dの椀状部位が被搬送物C1と密着して変形せしめられる。そして、吸引具92a乃至dは、図示しない真空ポンプによって生じた負圧により最前端の被搬送部C1の前面を吸引してこれを保持する。次いで、吸引具92aは分離方向において接近位置から分離位置に旋回せしめられる(図5(c))。換言すると、吸引具92が最前端の被搬送物C1の前面を吸引保持した状態で、吸引具92aが被搬送物の規制されている片端縁から規制されていない他端縁に向かう幅方向に移動せしめられる。かくすると、吸引具92aと第一の支持部材18の片側縁規制上面28との距離が短くなり、これによって上記被搬送物C1において吸引具92aが吸引保持する部位と第一の支持部材18の片側縁規制上面28によって規制される片側縁RLとの距離が短くなることで、被搬送物C1は圧縮されてその一部が前方に湾曲突出せしめられ、最前端の被搬送物C1と、これの直後(即ち前から2番目)に位置する被搬送物C2とが分離せしめられる。このとき、後述するとおり、他端縁規制片102aが突出位置に突出せしめられて被搬送物C1の他端縁と対向し、被搬送物C1の幅方向外方への移動が確実に規制されるため、被搬送物C1は確実に一部が前方に湾曲突出せしめられて被搬送物C2から分離せしめられることとなる。その後に、吸引具92a乃至dは分離方向において分離位置の状態を維持したまま前進位置から後退位置に前後移動される(図5(d))。この際には、図5(c)に示す状態において被搬送物C1と被搬送物C2とが確実に分離せしめられている故に、吸引具92a乃至dは最前端の被搬送物C1のみを確実に前面片端縁部規制手段3から離脱、即ち支持手段2から搬出することができる。しかる後に、吸引具92a乃至dは、図5(e)に示すとおり、分離方向において分離位置の状態を維持したまま左右方向において保持位置から放出位置まで横移動し、かかる位置にて吸引作動状態から吸引非作動状態に切り換えられる。かくすると、吸引具92a乃至dが吸引していた被搬送物C1は二点鎖線で示されるニップローラーの如き適宜の送り手段124に受け渡され、被搬送物C1が放出される。被搬送物C1を放出した後は、吸引具92a乃至dは、分離方向において分離位置から接近位置に旋回されながら左右方向において放出位置から保持位置まで横移動して、再び図5(a)に示す基準状態となる。
被搬送物搬出手段4が上述したとおりの作動をする際には、図5、図6及び図7を参照することによって理解されるとおり、最前端の被搬送物C1の前面と当接する他端縁規制片102は最前端の被搬送物C1によって搬送方向に押されて縮退位置に移動せしめられ、最前端の被搬送物C1の前面と当接しない他端縁規制片102は上述したとおり自由落下により突出位置に突出せしめられる。然るに、最前端の被搬送物C1の幅方向外側に隣接して位置する他端縁規制片102aは最前端の被搬送物C1の前面と当接しないことから突出位置に突出せしめられて、最前端の被搬送物C1を含む前方端部の被搬送物の他端縁と対向し、前方端部の被搬送物が片端縁から他端縁に向かって幅方向外側へ移動することが制限される。
従って、本発明の第一の局面によれば、搬送すべき被搬送物の側縁の長さによらず、前方端部の被搬送物の幅方向外側に隣接して位置する他端縁規制片102は突出位置に位置し、これが前方端部の被搬送物の他端縁と対向するため、被搬送物搬出手段4の作動によって前方端部の被搬送物が片端縁から他端縁に向かって幅方向に移動することが制限され、搬送すべき被搬送物の側縁の長さが異なったものに変更された場合でも、比較的煩雑な手動操作を遂行する必要がない。
被搬送物搬出手段4が上述したとおりの作動をする際には、さらに、図5、図6及び図9を参照することによって理解されるとおり、前方端部の被搬送物の片側縁が片側縁規制上面28に配設された片側縁係合手段8、更に詳しくは、片端縁規制内面36と対向してこれに向かって上方に鋭く切り立った内側面116(係合面)の上端縁と係合し、前方端部の被搬送物が片端縁から他端縁に向かって幅方向外側へ移動することが制限される。被搬送物の片側縁は直線状の縁であるが微視的に見れば凹凸が存在しており、この凹凸に鋭く切り立った内側面116の上端縁が引っかかることで上記係合は成立する。
従って、本発明の第二の局面によれば、搬送すべき被搬送物の側縁の長さによらず、前方端部の被搬送物の片側縁が片端縁規制内面36に向かって上方に鋭く切り立った内側面116(係合面)に係合されるため、被搬送物搬出手段4の作動によって前方端部の被搬送物が片端縁から他端縁に向かって幅方向に移動することが制限され、搬送すべき被搬送物の側縁の長さが異なったものに変更された場合でも、比較的煩雑な手動操作を遂行する必要がない。
バックプレート12及び搬送スタンド14は、前面片端縁部規制手段3の搬送方向上流面に配設された検出スイッチ38が開成されると一体で前進して被搬送物Cを前方に搬送せしめ、検出スイッチ38が閉成されると停止する。検出スイッチ38は最前端の被搬送物C1と当接してこれによって所定の押圧力で押圧されることにより閉成される。然るに、バックプレート12及び搬送スタンド14は、バックプレート12によってこれと前面片端縁部規制手段3との間の被搬送物Cに所定の押圧力が付加されているときは検出スイッチ38が閉成されて停止し、被搬送物搬出手段4の上記作動によって被搬送物Cが1個乃至複数個搬出されてバックプレート12と前面片端縁部規制手段3との間の被搬送物Cが減少すると上記押圧力が減少して検出スイッチ38が開成され再度前進する。そして、バックプレート12及び搬送スタンド14が前進し、バックプレート12と前面片端縁部規制手段3との間の被搬送物Cに所定の押圧力が付加されると検出スイッチ38が閉成されて再び停止することとなる。ここで、前方端部の被搬送物の幅方向外側への移動は上述したとおり片側縁係合手段8によって制限されているが、前方(搬送方向)への移動は稜線120が搬送方向に直線状に延びていることから制限されておらず、バックプレート12及び搬送スタンド14の上記のとおりの作動によって被搬送物Cは前進せしめられる。
バックプレート12及び搬送スタンド14が図12-1(a)に示す各々の後退作用位置から図12-1(b)に示す各々の前進作用位置まで前進すると、バックプレート12は前進作用位置から前進非作用位置に移動し(図12-1(c))、次いで後退非作用位置に移動し(図12-2(d))、しかる後に後退作用位置に移動すると共に、保持部材16(即ち、保持片74)は非作用位置から作用位置に移動する(図12-2(e))。保持部材16のこの移動は、バックプレート12が前進作用位置から後退作用位置まで移動する間乃至同移動の完了後であってもよい。図12-2(e)に示す状態にあっては、バックプレート12と搬送スタンド14の最前端の仕切片60とは搬送方向において合致するが、図3を参照することによって理解されるとおり、バックプレート12を構成するプレート片50a乃至eと搬送スタンド14の最前端に位置する仕切片60a乃至cとは幅方向において夫々位置が異なるためプレート片50a乃至eと仕切片60a乃至cとが相互に干渉することはない。同様に、保持片74a乃至dと搬送スタンド14の仕切片60a乃至cとは搬送方向において合致するが、保持片74a乃至dと搬送スタンド14の仕切片60a乃至cとは幅方向において夫々位置が異なるため保持片74a乃至dと仕切片60a乃至cとが相互に干渉することはない。保持部材16が非作用位置から作用位置に移動した後に、搬送スタンド14は前進作用位置から前進非作用位置に移動し(図12-2(f))、次いで後退非作用位置に移動し(図12-3(g))、しかる後に後退作用位置に移動する(図12-3(h))。そして、搬送スタンド14が後退作用位置まで移動した後に、保持部材16は作用位置から非作用位置に移動する(図12-3(i))。バックプレート12及び搬送スタンド14並びに保持部材16の上記移動の間も被搬送物搬出手段4は第一の支持部材18に支持された被搬送物Cを継続して搬送し続ける。
図12-3(i)に示す状態と図12-1(a)に示す状態とは、搬送スタンド14の搬送方向最後端に位置する仕切片60と、これの前方に隣接して位置する仕切片60との間の領域における被搬送物Cの有無のみが相違するがそれ以外は同じ状態であり、上記作動を繰り返すことにより被搬送物Cを搬送し続けることができる。また、被搬送物Cの空いた上記領域に作業者が新たな被搬送物Cを補充することで被搬送物Cを長時間連続して搬送し続けることが可能となる。
以上本発明の搬出装置について添付図面を参照して詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。例えば、本実施形態においては、第一の支持部材が幅方向に傾斜せしめられていることよって片側縁規制上面は傾斜せしめられていたが、これに替えて、第一の支持部材を水平として片側縁規制上面も実質上水平にしてもよい。さらに、本実施形態においては、第一の支持部材は1つの平板により構成されこの平板に溝が形成されているが、これに替えて、支持基板を搬送方向に延びる複数の平板を幅方向に間隔をおいて配置せしめ、幅方向に隣接する平板の間に溝が規定されるようにしてもよい。