以下、添付図面を参照して、本発明に従って構成された搬出装置の好適実施形態について、更に詳述する。
図1には、本発明に従って構成された搬出装置の好適実施形態の全体が簡略的に図示されている。かかる搬出装置は、多数の平板状被搬送物を所定経路に沿って順次に起立並列配置された状態で支持する支持手段2と、支持手段2に支持された多数の被搬送物を搬出端に向かって移動させて順次搬出する移動搬出手段4と、移動搬出手段4が多数の被搬送物を移動させる過程においてこれらの姿勢を一時的に保持する保持手段6とを具備している。
図1と共に図2乃至図4を参照して説明を続けると、支持手段2は共に矩形形状の板状部材である第一の支持部材8及び第二の支持部材10を備えている。第一の支持部材8は、長手方向に延びる一方側縁12及び他方側縁14が共に実質上水平であって且つ一方側縁12から他方側縁14に向かって上方に傾斜角度αで傾斜した状態で、4隅を脚16によって支持されている(ここで、横手方向即ち図3等において矢印Wで示す方向を幅方向といい、一方側縁12が規定されている側を内側、他方側縁14が規定されている側を外側とする。以下では左右方向ということもある)。傾斜角度αは10乃至45度であるのが好ましく、図示の実施形態においては20度である。第一の支持部材8には、多数の平板状被搬送物の片側縁を規制する片側縁規制上面18が設けられ(片側縁規制上面18も幅方向外方に向かって上方に傾斜している)、長手方向即ち図2及び図3において矢印Lで示す方向(これを搬送方向といい、以下では前後方向ということもある)に沿って搬送経路が規定されている。搬送経路は後述するとおりにして被搬送物が搬送される経路であり、搬送方向に向かって水平且つ直線である。図1及び図3を参照することによって明確に理解されるとおり、第一の支持部材8には、搬送方向の上流端部から下流端部まで搬送方向に沿って直線状に延びる溝20が複数形成されている。図示の実施形態においては、溝20は3本形成されており、夫々についてa乃至cを付して示す。溝20a乃至cは相互に平行であって、第一の支持部材8の上面から下面にかけて貫通している。
第一の支持部材8には、片側縁規制上面18から上方に向かってこれに対して垂直に起立した平板状側壁22が設けられている(従って、側壁22は上方に向かって幅方向内方に傾斜している)。側壁22は片側縁規制上面18の幅方向内側縁部において搬送方向略全域に亘って延在している。側壁22には被搬送物の片端縁を規制する片端縁規制内面24が規定されている。片端縁規制内面24は下方に向かって幅方向外方に傾斜しており、片側縁規制上面18に対して垂直である(図5も参照されたい)。
側壁22の搬送方向下流端には、後述するバックプレートによって最前端の被搬送物が搬送方向に見た所定位置より前進しないように被搬送物の前面片端縁部を規制する前面片端縁部規制手段26が配設されている。図示の実施形態においては、前面片端縁部規制手段26は、側壁22の搬送方向下流端面に固着されて片端縁規制内面24に対して垂直に幅方向外方に向かって延びる板状部材である。前面片端縁部規制手段26は、図5を参照することによって理解されるとおり、片端縁規制内面24から離隔するにつれて先細りする台形形状である。前面片端縁部規制手段26は上下方向に見て側壁22の中央部分に設けられており、前面片端縁部規制手段26の下端は片側縁規制上面18よりも幾分上方に離隔して位置すると共に、前面片端縁部規制手段26の上端は側壁22の上端よりも幾分下方に位置する。図示の実施形態においては更に、後述するバックプレートを設置するための設置台の脚の搬送方向上流側面に、最前端の被搬送物の前面が当接する前面規制手段28が配設されている。この前面規制手段28は上下方向に延びる断面矩形の柱状部材であって、搬送方向上流面が前面片端縁部規制手段26の搬送方向上流面と幅方向において合致し、前面片端縁部規制手段26と共働して最前端の被搬送物が上記所定位置より前進することを規制している。
第二の支持部材10は第一の支持部材8の搬送方向下流側においてこれと隣接して設けられている。第二の支持部材10は実質上水平な状態で4隅を脚30によって支持されている。第二の支持部材10には後述するとおり移動搬出手段4の一部である分離搬出具及びバックプレートが載置される。
移動搬出手段4は、第二の支持部材10の搬送方向上流端部において後述するとおり第一の支持部材8に支持される多数の被搬送物の最前端の被搬送物に対向して配設され、最前端の被搬送物を前面片端縁部規制手段26から離脱し且つ次の被搬送物から分離して支持手段2から搬出する分離搬出具32と、搬送経路に沿って多数の被搬送物を搬送方向に移動させる搬送スタンド34及びバックプレート36とを含んでいる。図1乃至図4と共に図5も参照して説明すると、分離搬出具32は、上下方向に間隔をおいて直線状に配設された4個の吸引具38と、全ての吸引具38を共通して支持する共通支持部材40とを備えている。上下方向に配設された4個の吸引具38の夫々について下方に向かってa乃至dを付して示す。吸引具38a乃至dはエラストマー材の如き可撓性を有する適宜の軟質合成樹脂から形成された椀状であり、図4に明確に示されるとおり、その中央頂部には吸引孔42が形成されている。共通支持部材40は上下方向に長い略角柱部材であり、その搬送方向上流側面には複数の図示しない接続バルブが設置されている。夫々の接続バルブは2つの口を有し、一方の口には吸引具38の吸引孔42が接続され、他方の口には図示しないホースを介して図示しない真空ポンプに接続される。吸引具38が接続バルブに接続された状態にあっては、吸引孔42は搬送方向上流側を向き、上記真空ポンプによって吸引具38の内側領域(即ち、椀の内側領域)に負圧を発生させることが可能となる。上記真空ポンプは作動状態と非作動状態とを適宜に切り替え自在であり、真空ポンプの作動を切り替えることで吸引具38を上記負圧が生じる作動状態と生じない非作動状態とに切り替え自在である。吸引具38aと38dは共通支持部材40の上端部と下端部に各々配置され、吸引具38b及び38cは共通支持部材40の下側において吸引具38b乃至dが上下方向に等間隔をなすように夫々配置されている。吸引具38aと吸引具38bとの間隔は吸引具38bと吸引具38cとの間隔(吸引具38cと吸引具38dとの間隔)よりも大きい。共通支持部材40の搬送方向下流側面にはこれを作動させるアクチュエータ44が設置されている。アクチュエータ44は、吸引具38aと38bとの間に規定されている軸線Rを中心として、共通支持部材40を旋回駆動自在に支持している。アクチュエータ44はまた、幅方向に延在するレール45及び搬送方向に延在する図示しないレールとも連結されており、幅方向及び搬送方向にも移動自在である。これにより、吸引具38a乃至dは一体となって軸線Rを中心に旋回自在であると共に幅方向及び搬送方向に移動自在である。アクチュエータ44は図示しない圧縮空気制御機器の一部であり、圧縮空気を作動動力源とするものである。
図5を参照して説明すると、吸引具38a乃至dは、これらが装着された共通支持部材40がアクチュエータ44によって作動されることによって、後述する最前端の被搬送物の前面と当接する前進位置と最前端の被搬送物の前面から離隔する方向に後退した後退位置との間で搬送方向に移動自在(即ち前進後退移動自在)となると共に、最前端の被搬送物に作用する作用位置と被搬送物を放出する放出位置との間で搬送方向に対して垂直且つ水平な横方向に移動自在(即ち左右方向に移動自在)となり、さらに、吸引具38aが片側縁規制上面18から離隔して片端縁規制内面24に接近する接近位置と片端縁規制内面24から離隔して片側縁規制上面18に接近する分離位置との間で軸線Rを中心として旋回自在となる(軸線Rを中心とした回転方向を分離方向という)。このことから、図示の実施形態においては、吸引具38a乃至dは以下のように周期的に移動する。即ち、吸引具38は、図5(a)に示す基準状態(前後方向において後退位置、分離方向において接近位置、左右方向において作用位置)から前進位置に前後移動し(図5(b))、次いで、分離方向において接近位置から分離位置まで旋回し(図5(c))、その後に前進位置から後退位置まで前後移動し(図5(d))、次いで分離方向において分離位置を維持したまま左右方向において作用位置から放出位置まで横移動し(図5(e))、しかる後に分離方向において分離位置から接近位置まで旋回しながら左右方向において放出位置から作用位置まで横移動して再び図5(a)に示す基準状態となる。
主に図1乃至図4を参照して説明を続けると、搬送スタンド34は搬送方向に見て溝20の内側に配置され、搬送方向及び幅方向に夫々少なくとも2個ずつ配列された仕切片46と、全ての仕切片46を共通して支持固定する共通支持部材48とを有している。図3を参照することによって理解されるとおり、図示の実施形態においては、仕切片46は搬送方向に間隔をおいて7個、幅方向に間隔をおいて3個ずつ格子状に配列され(従って仕切片は全部で21個配設されている)、幅方向に配列された3個の仕切片46の夫々について幅方向外方に向かって順にa乃至cを付して示す(図3においては理解を容易にするために仕切片については薄墨を付して示している)。仕切片46a乃至cは何れも上下方向に延びる棒状部材であり、上端部の搬送方向幅は上方に向かって漸次低減せしめられている。図3を参照することによって理解されるとおり、仕切片46aの断面(上端部を除く)は搬送方向長さが幅方向長さよりも長い矩形形状であり、仕切片46b及びcの断面(上端部を除く)は共に一辺の長さが仕切片46aの幅方向長さと同一の正方形である(従って、仕切片46b及びcの搬送方向長さは仕切片46aの搬送方向長さよりも短い)。また、図4を参照することによって理解されるとおり、仕切片46a乃至cの上下方向長さはこの順に漸次長く設定されており、夫々の上端位置を結ぶ直線α(二点鎖線で示す)は片側縁規制上面18と平行となっている。
図3と共に図8を参照して説明を続けると、幅方向に見て仕切片46a乃至cの搬送方向中心位置は整合し、仕切片46a乃至cの搬送方向中心位置の搬送方向の間隔は後述する仕切片の前進位置と後退位置との間隔(X2)に対応する。このとき、本発明においては、幅方向内方において搬送方向に隣接する2個の仕切片(つまり仕切片46a)の間隔D1が、幅方向外方において搬送方向に隣接する2個の仕切片(つまり仕切片46b及びc)の間隔D2よりも短いことが重要である。図示の実施形態においては、搬送方向に隣接する2つの仕切片46bの間隔と搬送方向に隣接する2個の仕切片46cの間隔は共にD2で等しい。これらのことから、仕切片46aと前面片端縁部規制手段26との間の搬送方向に見た距離は、仕切片46b及びcと前面片端縁部規制手段26との間の搬送方向に見た距離よりも短い。一方、仕切片46a乃至cの幅方向の間隔は第一の支持部材8に形成された溝20a乃至cの幅方向の間隔に対応する。
共通支持部材48は、幅方向に延びる複数(図示の実施形態においては7本)の幅方向支持部50と、搬送方向に延びる一対の搬送方向支持部52とを有する。仕切片46b及びcはその下端部が幅方向支持部50の搬送方向下流側面に夫々固定されると共に仕切片46aはその下端部が幅方向支持部50の幅方向内側端面に夫々固定され、仕切片46a乃至cが固定された幅方向支持部50は夫々、相互に平行に且つ上述した所定間隔をおいて一対の搬送方向支持部52の上面に固定される(図7-1(a)も参照されたい)。一対の搬送方向支持部52の各々の下面には搬送方向に延びる一対のレール54が各々形成されており、このレール54は図示しないアクチュエータを介して底板56に連結されている。従って、搬送スタンド34は搬送方向に移動自在となる。更に、底板56の下面にはこれを上下方向に移動自在な昇降用のアクチュエータ58も設けられており、これによって、搬送スタンド34は上下方向にも移動自在である。上記のアクチュエータは何れも図示しない圧縮空気制御機器の一部であり、圧縮空気を作動動力源とするものである。
図7-1乃至図7-3を参照して説明すると、搬送スタンド34が上記アクチュエータによって作動されることによって、全ての仕切片46は、一体となって、搬送方向及び上下方向に移動自在となる。このとき、全ての仕切片46は、搬送方向においては、最前端の仕切片46aの搬送方向中心位置が最前端の被搬送物から後方に第一の所定距離X1離間した後退位置とこの後退位置から第一の所定距離X1よりも短い第二の所定距離X2前進した前進位置との間で移動自在であり、上下方向においては、後述するとおり搬送経路Lに沿って順次に起立並列配置された被搬送物における隣接する2個の被搬送物間に進入する作用位置と被搬送物間から離隔する非作用位置との間で移動自在となる。従って、搬送スタンド34が作用位置にあるときは、仕切片46の上端は第一の支持部材8の片側縁規制上面18を超えて上方に位置し、搬送スタンド34が非作用位置にあるときは、仕切片46の上端は第一の支持部材8に支持される被搬送物よりも下方に位置する。然るに、搬送スタンド34は上記アクチュエータによって以下のような経路で周期的に移動する。即ち、搬送スタンド34は、後退位置であって且つ作用位置である後退作用位置(図7-1(a)、図7-3(h)及び(i))、前進位置であって且つ作用位置である前進作用位置(図7-1(b)乃至図7-2(e))、前進位置であって且つ非作用位置である前進非作用位置(図7-2(f))、後退位置であって且つ非作用位置である後退非作用位置(図7-3(g))に順次移動した後に、再度後退作用位置(図7-1(a)、図7-3(h)及び(i))へ移動する。
主に図1乃至図4を参照して説明を続けると、バックプレート36は搬送方向に見て溝20の下流端部と前面片端縁部規制手段26との間に配置され、上下方向に延びる3個のプレート片60を有する。3個のプレート片60は幅方向に間隔をおいて平行に設けられ、夫々幅方向外側に向かってa乃至cを付して示す。プレート片60a乃至cは何れも鉛直方向に延びる部材であり、これらの下端部の搬送方向幅は何れも下方に向かって漸次低減せしめられている。図3を参照することによって理解されるとおり、プレート片60a乃至cの断面(上端部を除く)は何れも略正方形である。プレート片60aの断面はプレート片60b及びcの断面よりも大きく(従って、幅方向外方に位置するプレート片60b及びcの搬送方向幅は幅方向内方に位置するプレート片60aの搬送方向幅よりも小さい)、プレート片60aの搬送方向幅は搬送スタンド34の仕切片46aの搬送方向幅と同一若しくはこれよりも幾分小さい。プレート片60aは幅方向に見て溝20aと溝20bとの中間に、プレート片60b及びcは幅方向に見て溝20bと20cとの間で等間隔に夫々プレート片固定部材66に固定される。このとき、プレート片60a乃至cの搬送方向中心位置は幅方向に見て整合する。プレート片60aの搬送方向下流側面には、被搬送物が当接することによって閉成される検出スイッチ62が配設されている。
プレート片固定部材66は幅方向に直線状に延びる上流側部材66a及び下流側部材66bを備えている。上流側部材66a及び下流側部材66bは共に断面矩形の板状部材であって、上流側部材66aの上面と下流側部材66bの上面とはヒンジ部66cにより結合されている。上流側部材66aの搬送方向上流側面にはプレート片60b及びcの上端部が固定されると共に、上流側部材66aの幅方向内側端面にはプレート片60aが固定される。一方、下流側部材66bはL字形状の共通支持部材68の起立部68aに設置される。このとき、共通支持部材68の起立部68aの搬送方向上流側面には上下方向に直線状に延びるレール70が配設されており、下流側部材66bはレール70に図示しないアクチュエータを介して設置され上下方向に移動自在となる。従って、プレート片固定部材66に固定されたバックプレート36も上下方向に移動自在となる。共通支持部材68は第二の支持部材10上に設けられた設置台72に設置される。設置台72は、上下方向に見て片側縁規制上面18の上方に離隔して位置し且つ実質上水平な矩形形状の天板74と、この天板74を支持する複数、図示の実施形態においては5つ、の脚76とを備えている。天板74の上面には搬送方向に直線状に延びるレール78が形成されており、共通支持部材68の水平部68bが図示しないアクチュエータを介してレール78に連結され、共通支持部材68は搬送方向に移動自在となる。従って、共通支持部材68にプレート片固定部材66を介して配設されたバックプレート36も搬送方向に移動自在となる。更にまた、バックプレート36が固定された上流側部材66aと共通支持部材68が連結された下流側部材66bとは上面がヒンジ部66cによって結合されているため、バックプレート36はヒンジ部66cを回動中心として搬送方向上流側に後退自在でもある。上記アクチュエータは何れも図示しない圧縮空気制御機器の一部であり、圧縮空気を作動動力源とするものである。
図7-1乃至図7-3を参照して説明すると、バックプレート36は上記アクチュエータによって、搬送方向及び上下方向に移動自在となる。このとき、バックプレート36は、搬送方向においては、仕切片48の前進位置と整合する後退位置とこの後退位置から上記第二の所定距離X2前進した前進位置との間で移動自在であり、上下方向においては、後述するとおり搬送経路Lに沿って順次に起立並列配置された被搬送物における隣接する2個の被搬送物間に進入する作用位置と被搬送物間から離隔する非作用位置との間を移動自在である。バックプレート36が非作用位置にあるときは、バックプレート36の下端は第一の支持部材8に支持される被搬送物よりも上方に位置し、バックプレート36が作用位置にあるときには、バックプレート36の下端は被搬送物の上側縁(即ち規制されていない他側縁)よりも下方であって第一の支持部材8の片側縁規制上面18と対向しこれよりも僅かに上方に位置する。然るに、バックプレート36は以下のような経路で周期的に移動する。即ち、バックプレート36は、後退位置であって且つ作用位置である後退作用位置(図7-1(a)及び図7-2(e)乃至図7-3(i))、前進位置であって且つ作用位置である前進作用位置(図7-1(b))、前進位置であって且つ非作用位置である前進非作用位置(図7-1(c))、後退位置であって且つ非作用位置である後退非作用位置(図7-2(d))に順次移動した後に、再度後退作用位置(図7-1(a)及び図7-2(e)乃至図7-3(i))へ移動する。
主に図1乃至図4を参照して説明を続けると、保持手段6は、搬送方向及び幅方向に夫々少なくとも2個ずつ配列された保持片80と、全ての保持片80を共通して支持固定する共通支持部材82とを有している。図示の実施形態においては、保持片80は搬送方向に間隔をおいて6個、幅方向に間隔をおいて4個ずつ格子状に配列されている(従って保持片は全部で24個配設されている)。幅方向に配列された4個の保持片80の夫々について幅方向外方に向かって順にa乃至dを付して示す。保持片80a乃至dは何れも上下方向に延びる棒状部材であり、下端部の搬送方向幅は下方に向かって漸次低減せしめられている。図示の実施形態においては、図3を参照することによって理解されるとおり、保持片80aの断面(下端部を除く)は仕切片46aの断面(上端部を除く)と同一形状であると共に、保持片80b乃至dの断面(下端部を除く)は仕切片46b及びcの断面(上端部を除く)と同一形状である。従って、保持片80aの断面(下端部を除く)は搬送方向長さが幅方向長さよりも長い矩形形状であり、保持片80b乃至dの断面(下端部を除く)は共に一辺の長さが保持片80aの幅方向長さと同一の正方形である(従って、保持片80b乃至dの搬送方向長さは保持片80aの搬送方向長さよりも短い)。また、図4を参照することによって理解されるとおり、保持片80a乃至dの上下方向長さはこの順に漸次長く設定されており、夫々の上端位置を結ぶ直線β(二点鎖線で示す)は片側縁規制上面18と平行となっている。
図3と共に図8を参照して説明を続けると、幅方向に見て保持片80a乃至dの搬送方向中心位置は整合し、最前端の保持片80a乃至dの搬送方向中心位置は上述したバックプレート36の後退位置からX2後退して位置する。また、保持片80a乃至dの搬送方向中心位置の搬送方向の間隔は上述した仕切片46の前進位置と後退位置との間隔(X2)に対応する。このとき、本発明においては、幅方向内方において搬送方向に隣接する2個の保持片(つまり保持片80a)の間隔が、幅方向外方において搬送方向に隣接する2個の保持片(つまり保持片80b乃至d)の間隔よりも短いことが重要である。更に、幅方向内方において搬送方向に隣接する2個の仕切片(つまり仕切片46a)の間隔が幅方向内方において搬送方向に隣接する2個の保持片(つまり保持片80a)の間隔と等しいことも重要である。図示の実施形態においては、搬送方向に隣接する2つの保持片80aの間隔と搬送方向に隣接する2個の仕切片46aの間隔はD1で等しく、搬送方向に隣接する2つの保持片80b乃至dの間隔と搬送方向に隣接する2個の仕切片46b及びcの間隔は全てD2で等しい。従って、搬送方向に隣接する2個の保持片80aの間隔は、搬送方向に隣接する2個の保持片80b乃至dの間隔よりも短い。これらのことから、保持片80aと前面片端縁部規制手段26との間の搬送方向に見た距離は、保持片80b乃至dと前面片端縁部規制手段26との間の搬送方向に見た距離よりも短い。一方、幅方向に見て、保持片80a及びbは溝20(つまり仕切片46)a及びbの間で等間隔に、保持片80c及びdは溝(つまり仕切片46)20b及びcの間で等間隔に配置されている。搬送スタンド34が後退位置にあるとき、仕切片46a乃至cの搬送方向中心位置と保持片80a乃至dの搬送方向中心位置とは幅方向に見て整合する。そして、幅方向内方に位置する仕切片46a及び保持片80aは幅方向に見て相互に近接して配置されていることが重要である。
共通支持部材82は、幅方向に延びる複数(図示の実施形態においては6本)の幅方向支持部84と、搬送方向に延びる1つの搬送方向支持部86とを有する。保持片80b乃至dの夫々は上端部が幅方向支持部84の搬送方向上流側面に固定されると共に保持片80aの夫々は上端部が幅方向支持部84の幅方向内側端面に固定される。保持片80a乃至dが固定された幅方向支持部84は夫々、相互に平行に且つ上述した所定間隔をおいて搬送方向支持部86に固定される(図7-1(a)を参照されたい)。共通支持部材82は第一の支持部材8の片側縁規制上面18の上方において支持フレーム88によって上下方向に移動自在に支持される。支持フレーム88は、第一の支持部材8の搬送方向上流端に隣接して配設され下方が開放されたコの字形状である上流フレーム部90と、上流フレーム部90の上辺の幅方向外側端部から搬送方向下流に向かって実質上水平に延びて設置台72に接続固定される直線状の中間フレーム部92と、中間フレーム部92の搬送方向略中間部の上面に固定され下方が開放されたコの字形状の上側フレーム部94とを有する。上側フレーム部94において搬送方向に見て相互に対向する一対の辺の幅方向内側面には、上下方向に直線状に延びる一対のレール96が形成されており、共通支持部材82が図示しないアクチュエータを介してレール86に上下方向に移動自在に連結されている。従って、共通支持部材82に固定された保持片80も上下方向に移動自在である。
図7-1乃至図7-3を参照して説明すると、保持片80はこれを作動させるアクチュエータによって、後述するとおり、搬送経路Lに沿って順次に起立並列配置された被搬送物における隣接する2個の被搬送物間に進入する作用位置(図7-2(e)乃至図7-3(h))と被搬送物間から離隔する非作用位置(図7-1(a)乃至図7-2(d)、及び図7-3(i))との間を上下方向に移動自在である。保持片80が非作用位置にあるときは、保持片80の下端は第一の支持部材8に支持される被搬送物よりも上方に離隔して位置し、保持片80が作用位置にあるときは、保持片80の下端は被搬送物の上側縁(即ち規制されていない他側縁)よりも下方であって第一の支持部材8の片側縁規制上面18と対向しこれよりも幾分上方に位置する。
上述した実施形態においては、幅方向に見て、仕切片46a及び保持片80aは各々単一であって且つその搬送方向幅は他の仕切片及び保持片の搬送方向幅よりも長くした形態であったが、所望ならば、図9に示すように、幅方向内方に位置する仕切片及び保持片を搬送方向に間隔をおいて2つ配置(仕切片46a-1及び46a-2、保持片80a-1及び80a-2)して、幅方向外方に位置する仕切片及び保持片の搬送方向間隔が幅方向内方に位置する仕切片及び保持片の搬送方向間隔よりも短くするようにしてもよい。
続いて、図5と共に図7-1乃至図7-3を参照して本発明に従って構成された搬出装置の作動について説明する。
先ず、搬出装置を作動させるのに先立って、作業者は手動で多数の被搬送物Cを第一の支持部材8上に搬送経路Lに沿って順次に起立並列した状態で配置せしめる。図7-1(a)に示すように、被搬送物Cは搬送方向に隣接する2個の仕切片46の間だけでなく、搬送方向下流端の仕切片46とバックプレート36との間、及び、バックプレート36と吸引具38との間にも配置する。かかる作業を行う際には、分離搬出具32の吸引具38は非作動状態にすると共に、バックプレート36は後退作用位置に、搬送スタンド34は後退作用位置に、保持手段6(即ち、保持片80)は非作用位置に、夫々位置する。
ここで、平板状被搬送物とは、例えば液体状洗剤或いはレトルト食品等を収容するためのパウチと称される周知の包装体であり、図6に示すとおりの所謂スタンディングパウチと称する片端縁部UP(図6における上端縁部)が他端縁部BP(図6における下端縁部)に比べて薄い形式のものである。本発明は上記スタンディングパウチを搬送するのに好適である。スタンディングパウチは、本発明の搬出装置によって搬送されている間においては片端縁部UPが開放せしめられているが、本発明の搬出装置によって搬送され内容物が充填された後には片端縁部UPは閉塞せしめられる。被搬送物Cの夫々は、片側縁RL及び片端縁ULが第一の支持部材8の片側規制上面18及び片端縁規制内面24によって夫々規制されると共に搬送方向において隣接する被搬送物同士が相互に面接触した状態で、実質上鉛直に起立した直立並列配置で支持される(図5(a)及び図7-1(a)を参照されたい)。このとき、本発明の搬出装置によって搬送される被搬送物は、上述したとおり、片端縁部UPが他端縁部BPに比べて薄いことから、多数の被搬送物が搬送スタンド34において搬送方向に隣接する2つの仕切片46間に配置せしめられた際には、図8に示すように、搬送方向に隣接する2つの仕切片46間に配置せしめられた多数の被搬送物は全体的に幅方向外方に向かってハ字状に広がる。
搬出装置の作動を開始させると、分離搬出具32が作動して、第一の支持部材8に支持された被搬送物Cの搬送を開始する。分離搬出具32の作動について図5を参照して説明する。なお、本図においては、搬送方向下流側から上流側を見たときの模式図を左側に上方から見た模式図を右側に夫々配列し、右側に配列された図においては、図の簡略化のために吸引具38は吸引具38a及び38dについてのみ示して他を省略し、さらに吸引具38aと吸引具38dとを区別するため前者には薄墨を付して示してある。
分離搬出具32の吸引具38a乃至dは以下のように作動する。即ち、最初に、吸引具38a乃至dは図5(a)に示す基準状態にある。このとき、吸引具38a乃至d作動状態と非作動状態とはどちらであってもよい。次いで、吸引具38a乃至dは前後方向において前進位置に前進せしめられて最前端の被搬送物C1の前面に当接すると共に作動状態にせしめられる(図5(b))。このとき、吸引具38a乃至dは最前端の被搬送物C1の前面片端縁部よりも左右方向において内側の表面に当接せしめられ、吸引具38a乃至dの椀状部位が被搬送物C1と密着して変形せしめられる。そして、吸引具38a乃至dは、図示しない真空ポンプによって生じた負圧により最前端の被搬送部C1を吸引してこれを保持する。次いで、吸引具38aが分離方向に移動される。吸引具38aは吸引具38b乃至dと共に共通支持部材40に装着されており、共通支持部材40が図5(c)において反時計方向に旋回駆動すると、吸引具38a乃至dは一体となって分離方向において接近位置から分離位置に旋回される(図5(c))。かくすると、吸引具38aと第一の支持部材8の片側縁規制上面18との距離が短くなり、これによって上記被搬送物C1において吸引具38aが吸引保持する部位と第一の支持部材8の片側縁規制上面18によって規制される片側縁RLとの距離が短くなることで、被搬送物C1は圧縮されてその一部が前方に湾曲突出せしめられ、最前端の被搬送物C1と、これの直後(即ち前から2番目)に位置する被搬送物C2とが分離せしめられる。その後に、吸引具38a乃至dは分離方向において分離位置の状態を維持したまま前後方向において前進位置から後退位置に後退移動される(図5(d))。この際には、図5(c)に示す状態において被搬送物C1と被搬送物C2とが確実に分離せしめられている故に、吸引具38a乃至dは最前端の被搬送物C1のみを確実に前面片端縁部規制手段26から離脱、即ち支持手段2から搬出することができる。しかる後に、吸引具38a乃至dは、図5(e)に示すとおり、分離方向において分離位置の状態を維持したまま左右方向において作用位置から放出位置まで移動し、かかる位置にて作動状態から非作動状態に切り換えられる。かくすると、吸引具38a乃至dが吸引していた被搬送物C1は二点鎖線で示されるニップローラーの如き適宜の送り手段98に受け渡され、被搬送物C1が排出される。被搬送物C1を放出した後は、吸引具38a乃至dは、分離方向において分離位置から接近位置に旋回されながら左右方向において放出位置から作用位置まで移動して、再び図5(a)に示す基準状態となる。
分離搬出具32の上記作動によって被搬送物Cが1個乃至複数個搬出される毎に、搬送スタンド34及びバックプレート36は1個乃至複数個の被搬送物Cの厚さに対応した距離だけ前進する。搬送スタンド34及びバックプレート36は、バックプレート36の搬送方向下流側面に設けられた検出スイッチ62が被搬送物Cに当接せしめられて(即ち検出スイッチ62が被搬送物Cによって相対的に押圧されて)閉成されることで停止する。搬送スタンド34及びバックプレート36が停止した後も分離搬出具32の上記作動は継続して行われる。搬送スタンド34及びバックプレート36が停止した状態で分離搬出具32が上記作動を継続すると、分離搬出具32とバックプレート36との間の被搬送物Cの数が減少して被搬送物Cによる検出スイッチ62への当接(即ち被搬送物Cによる検出スイッチ62の押圧)が解除され、検出スイッチ62は開放される。検出スイッチ62が開放されると、搬送スタンド34及びバックプレート36は再度前進する。このようにすることで、バックプレート36による被搬送物Cへの過剰な押圧に起因して吸引具38の被搬送物Cへの吸着が毀損され、分離搬出具32が被搬送物Cを適切に搬送することができなくなることが防止される。図示の実施形態においては、搬送スタンド34及びバックプレート36は共にバックプレート36に設けられた検出スイッチ62の切り換えによってその作動が制御されていたが、所望ならば、搬送スタンド34の搬送方向下流端に位置する仕切片46の搬送方向下流側面に第二の検出スイッチを設け、搬送スタンド34の作動が第二の検出スイッチの切り換えによってバックプレート36の作動とは独立して制御されるようにしてもよい。
搬送スタンド34及びバックプレート36が図7-1(a)に示す各々の後退作用位置から図7-1(b)に示す各々の前進作用位置まで前進すると、バックプレート36は前進作用位置から前進非作用位置に移動し(図7-1(c))、次いで後退非作用位置に移動し(図7-2(d))、しかる後に後退作用位置に移動すると共に、保持手段6(即ち、保持片80)は非作用位置から作用位置に移動する(図7-2(e))。保持手段6のこの移動は、バックプレート36が前進作用位置から後退作用位置まで移動する間乃至同移動の完了後であってもよい。図7-2(e)に示す状態にあっては、バックプレート36と搬送スタンド34の最前端の仕切片46とは搬送方向において合致するが、図3を参照することによって理解されるとおり、バックプレート36を構成するプレート片60a乃至cと搬送スタンド34の最前端に位置する仕切片46a乃至cとは幅方向において夫々位置が異なるためプレート片60a乃至cと仕切片46a乃至cとが相互に干渉することはない。同様に、保持片80a乃至dと搬送スタンド34の仕切片46a乃至cとは搬送方向において合致するが、保持片80a乃至dと搬送スタンド34の仕切片46a乃至cとは幅方向において夫々位置が異なるため保持片80a乃至dと仕切片46a乃至cとが相互に干渉することはない。バックプレート36及び保持手段6の上記移動の間も分離搬出具32は第一の支持部材8に支持された被搬送物Cを継続して搬送し続ける。
保持手段6が非作用位置から作用位置に移動した後に、搬送スタンド34は前進作用位置から前進非作用位置に移動し(図7-2(f))、次いで後退非作用位置に移動し(図7-3(g))、しかる後に後退作用位置に移動する(図7-3(h))。そして、搬送スタンド34が後退作用位置まで移動した後に、保持手段6は作用位置から非作用位置に移動する(図7-3(i))。搬送スタンド34及び保持手段6の上記移動の間も分離搬出具32は第一の支持部材8に支持された被搬送物Cを連続して搬送し続ける。
図7-3(i)に示す状態と図7-1(a)に示す状態とは、搬送スタンド34の搬送方向最後端に位置する仕切片46と、この仕切片46と搬送方向において隣接する仕切片46との間の領域における被搬送物Cの有無のみが相違するがそれ以外は同じ状態であり、上記作動を繰り返すことにより被搬送物Cを搬送し続けることができる。また、被搬送物Cの空いた上記領域に作業者が新たな被搬送物Cを補充することで被搬送物Cを長時間連続して搬送し続けることが可能となる。
本発明の搬出装置においては、幅方向内方において搬送方向に隣接する2個の仕切片46aの間隔が幅方向外方において搬送方向に隣接する2個の仕切片46b及びcの間隔よりも短いと共に、幅方向内方において搬送方向に隣接する2個の保持片80aの間隔が幅方向外方において搬送方向に隣接する2個の保持片80b乃至dの間隔よりも短く、幅方向内方において搬送方向に隣接する2個の仕切片46aの間隔と幅方向内方において搬送方向に隣接する2個の保持片80aの間隔とは等しく設定されている。更に、幅方向内方に位置する仕切片46a及び保持片80aは幅方向に見て相互に近接して配置されている。これによって、搬送される被搬送物の各々の他端縁部BPが片端縁部UPに比べて厚く、被搬送物が搬送方向に見て隣接する2個の仕切片46の間に多数配置されてこれらが全体的に幅方向外側に向かってハ字状に広がってしまう場合であっても、幅方向外方に配置された仕切片又は保持片の搬送方向前面又は後面がこれと対向する被搬送物の後面又は前面に沿って後退又は前進せしめられ、仕切片46又は保持片80が夫々非作用位置から作用位置に上昇又は降下する際に、仕切片又は保持片が夫々異なる被搬送物間に進入してしまったり、被搬送物の側縁に衝突して被搬送物を持ち上げたり又は押し潰したりすることが防止され、全ての仕切片46及び保持片80が同一のパウチ間に確実に進入するようになる。本実施形態においてはさらに、プレート片60a乃至cの搬送方向中心位置が幅方向に見て整合すると共に幅方向外方に位置するプレート片60b及びcの搬送方向幅が幅方向内方に位置するプレート片60aの搬送方向幅よりも小さいため、バックプレート36が非作用位置から作用位置に降下する際に、幅方向内方に位置するプレート片60aと幅方向外方に位置するプレート片60b及びcとが相互に異なる被搬送物間に進入してしまったり、幅方向外方に位置するプレート片60b及びcが被搬送物の規制されていない側縁に衝突して被搬送物を押し潰したりすることも防止される。
以上本発明の搬出装置について添付図面を参照して詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。例えば、本実施形態においては、第一の支持部材が幅方向に傾斜せしめられていることよって片側縁規制上面は傾斜せしめられていたが、これに替えて、第一の支持部材を水平として片側縁規制上面も実質上水平にしてもよい。さらに、本実施形態においては、第一の支持部材は1つの平板により構成されこの平板に溝が形成されているが、これに替えて、支持基板を搬送方向に延びる複数の平板を幅方向に間隔をおいて配置せしめ、幅方向に隣接する平板の間に溝が規定されるようにしてもよい。