以下、添付図面を参照して、本発明に従って構成された搬出装置の好適実施形態について、更に詳述する。
図1には、本発明に従って構成された搬出装置の好適実施形態の全体が簡略的に図示されている。かかる搬出装置は、多数の平板状被搬送物を積層状態で且つ被搬送物の片端縁及び片側縁を規制して搬出端に向けて強制する搬送手段2、最前端の被搬送物の前面片端縁部が当接される前面片端縁部規制手段4、及び最前端の被搬送物を前面片端縁部規制手段4から離脱し且つ次の被搬送物から分離して搬送手段2から搬出する分離搬出手段6を具備している。
搬送手段2は、多数の被搬送物を所定経路に沿って順次に起立並列配置された状態で支持する支持手段8と、支持手段8上に支持されている多数の被搬送物を所定経路に沿って移動させるバックプレート10及び搬送スタンド12と、バックプレート10及び搬送スタンド12が支持手段8上に支持されている多数の被搬送物を所定経路に沿って移動させる過程において支持手段8上に支持されている多数の被搬送物の姿勢を一時的に保持する保持手段14とを含んでいる。
主に図1乃至図4を参照して説明すると、支持手段8は共に矩形形状の板状部材である第一の支持部材18及び第二の支持部材20を備えている。第一の支持部材18は、長手方向に延びる一方側縁22及び他方側縁24が共に実質上水平であって且つ一方側縁22から他方側縁24に向かう方向に上方に傾斜角度αで傾斜した状態で(図5-1(a)も参照されたい)、4隅を脚26によって支持されている。ここで、一方側縁22から他方側縁24に向かう方向を横方向といい(以下では左右方向ということもある)、一方側縁22が規定されている側を内側、他方側縁24が規定されている側を外側とし、図3等において矢印Wで示す。傾斜角度αは10乃至45度であるのが好ましく、図示の実施形態においては20度である。第一の支持部材18には、多数の平板状被搬送物の片側縁LL(図7を参照されたい)を規制する片側縁規制上面28が設けられ(従って片側縁規制上面28も横方向外方に向かって上方に傾斜している)、長手方向即ち図2及び図3において矢印Lで示す方向(これを搬送方向といい、以下では前後方向ということもある)に沿って搬送経路が規定されている。搬送経路は後述するとおりにして被搬送物が搬送される経路であり、水平且つ直線である。図3を参照することによって明確に理解されるとおり、第一の支持部材18には、搬送方向の上流端部から下流端部まで搬送方向に沿って直線状に延びる溝30が複数形成されている。図示の実施形態においては、溝30は3本形成されており、夫々について横方向外方に向かってa乃至cを付して示す。溝30a乃至cは相互に平行であって、第一の支持部材18の上面から下面にかけて貫通している。
第一の支持部材18の横方向内側縁部には、上方に向かって延びる平板状側壁34が設けられている。側壁34は搬送方向略全域に渡って延在している。側壁34には被搬送物の片端縁BL(図7を参照されたい)を規制する片端縁規制内面36が規定されている。片端縁規制内面36は下方に向かって横方向外方に傾斜しており、片側縁規制上面28に対して垂直である(例えば図5-1(a)も参照されたい)。
前面片端縁部規制手段4は側壁34の搬送方向下流端に固定され、バックプレート10によって最前端の被搬送物が搬送方向に見た所定位置より前進しないように被搬送物の前面片端縁部を規制する。上記所定位置を前面片端縁部規制位置といい、Aで示す。図示の実施形態においては、前面片端縁部規制手段4は、側壁34の搬送方向下流端面に固着されて片端縁規制内面36に対して垂直に横方向外方に向かって延びる板状部材である。前面片端縁部規制手段4は、例えば図5-1(a)を参照することによって理解されるとおり、片端縁規制内面36から離隔するにつれて先細りする台形形状である。前面片端縁部規制手段4は上下方向に見て側壁34の中央部分に設けられており、前面片端縁部規制手段4の下端は片側縁規制上面28よりも幾分上方に離隔して位置すると共に、前面片端縁部規制手段4の上端は側壁34の上端よりも幾分下方に位置している。前面片端縁部規制手段4の搬送方向上流面には、最前端の被搬送物が当接することによって閉成される検出スイッチ38が配設されており、この検出スイッチ38が閉成されている間は後述するとおりバックプレート10及び搬送スタンド12は停止すると共に分離搬出手段6は作動し、検出スイッチ38が開成されるとバックプレート10及び搬送スタンド12は前進すると共に分離搬出手段6は停止する。図示の実施形態においては更に、バックプレート10を設置するための後述する設置台の脚の搬送方向上流面に、最前端の被搬送物の前面が当接する前面規制手段40が配設されている。この前面規制手段40は上下方向に延びる断面矩形の柱状部材であって、搬送方向上流面が前面片端縁部規制手段4の搬送方向上流面と横方向に見て整合し、前面片端縁部規制手段4と共働して最前端の被搬送物が前面片端縁部規制位置Aより前進することを規制している。
第二の支持部材20は第一の支持部材18の搬送方向下流側においてこれと隣接して設けられている。第二の支持部材20は実質上水平な状態で4隅を脚42によって支持されている。第二の支持部材20には、分離搬出手段6及びバックプレート10が設置される。
バックプレート10は、搬送方向に見て溝30の下流端部と前面片端縁部規制手段4との間に配置され、上下方向に延びる複数のプレート片44を有する。図示の実施形態においては、プレート片44は横方向に直線状に間隔をおいて平行に5つ設けられ、夫々横方向外側に向かってa乃至eを付して示す。プレート片44a乃至eの断面形状は何れも下端部を除いて正方形である(下端部は下方に向かって搬送方向長さが漸次低減せしめられている)。プレート片44a乃至eはプレート片固定部材46に固定されており、図3を参照することによって理解されるとおり、プレート片44aは横方向に見て側壁34と溝30aとの中間であって且つ搬送方向に見て前面片端縁部規制手段4と対向し、プレート片44b及びプレート片44cは横方向に見て溝30aと溝30bとの間で等間隔に、プレート片44d及びプレート片44eは横方向に見て溝30bと溝30cとの間で等間隔に夫々配置されている。
プレート片固定部材46は横方向に直線状に延びる断面矩形の部材である。プレート片固定部材46は、プレート片44a乃至e夫々の上端部が固定された状態で、L字形状の共通支持部材48の起立部48aに設置される。このとき、共通支持部材48の起立部48aの搬送方向上流面には上下方向に直線状に延びるレール50が配設されており、プレート片固定部材46はレール50に図示しないアクチュエータを介して設置され上下方向に移動自在となる。従って、プレート片固定部材46に固定されたバックプレート10も上下方向に移動自在となる。共通支持部材48は第二の支持部材20上に設けられた設置台52に設置される。設置台52は、上下方向に見て片側縁規制上面28の上方に離隔して位置し且つ実質上水平な矩形形状の天板54と、この天板54を支持する複数、図示の実施形態においては5つ、の脚56とを備えている。天板54の上面には搬送方向に直線状に延びるレール58が形成されており、共通支持部材48の水平部48bが図示しないアクチュエータを介してレール58に連結され、共通支持部材48は搬送方向に移動自在となる。従って、共通支持部材48にプレート片固定部材46を介して配設されたバックプレート10も搬送方向に移動自在となる。上記アクチュエータは何れも図示しない圧縮空気制御機器の一部であり、圧縮空気を作動動力源とするものである。
図6-1乃至図6-3を参照して説明すると、バックプレート10は上記アクチュエータによって、搬送方向及び上下方向に移動自在となる。このとき、バックプレート10は、搬送方向においては、最前端の被搬送物から後方に第一の所定距離D1離間した後退位置とこの後退位置から第一の所定距離D1よりも短い第二の所定距離D2前進した前進位置との間を移動自在であり、上下方向においては、後述するとおり搬送経路Lに沿って順次に起立並列配置された被搬送物における隣接する2個の被搬送物間に進入する作用位置と被搬送物間から離隔する非作用位置との間を移動自在である。バックプレート10が非作用位置にあるときは、バックプレート10の下端は第一の支持部材18に支持される被搬送物よりも上方に位置し、バックプレート10が作用位置にあるときには、バックプレート10の下端は被搬送物の上側縁(即ち規制されていない他側縁RL(図7を参照されたい))よりも下方であって第一の支持部材18の片側縁規制上面28と対向しこれよりも僅かに上方に位置する。然るに、バックプレート10は以下のような経路で周期的に移動する。即ち、バックプレート10は、後退位置であって且つ作用位置である後退作用位置(図6-1(a)及び図6-2(e)乃至図6-3(i))、前進位置であって且つ作用位置である前進作用位置(図6-1(b))、前進位置であって且つ非作用位置である前進非作用位置(図6-1(c))、後退位置であって且つ非作用位置である後退非作用位置(図6-2(d))に順次移動した後に、再度後退作用位置(図6-1(a)及び図6-2(e)乃至図6-3(i))へ移動する。
搬送スタンド12は搬送方向に見て溝30の内側に配置され、搬送方向及び横方向に夫々複数配列された仕切片60と、全ての仕切片60を共通して支持固定する共通支持部材62とを有している。図示の実施形態においては、仕切片60は搬送方向に等間隔をおいて7個、横方向に等間隔をおいて3個ずつ格子状に配列されている(従って仕切片60は全部で21個配設されている)。仕切片60は何れも上下方向に延びる棒状部材であり、上端部の搬送方向幅は上方に向かって漸次低減せしめられている。図3を参照することによって理解されるとおり、仕切片60の断面(上端部を除く)は正方形である。また、図4を参照することによって理解されるとおり、仕切片60の上下方向長さは横方向外方に向かって順に長く設定されており、夫々の上端位置を結ぶ直線m(二点鎖線で示す)は片側縁規制上面28と平行となっている。仕切片60の搬送方向の間隔は第三の距離D3であって、これは、図示の実施形態においては、上述したバックプレート10の前進位置と後退位置との間隔(つまり第二の距離D2)と同一である(D3=D2)。仕切片60の横方向の間隔は第一の支持部材18に形成された溝30の横方向の間隔に対応する。
共通支持部材62は、横方向に延びる複数(図示の実施形態においては7本)の横方向支持部64と、搬送方向に延びる一対の搬送方向支持部66とを有する。仕切片60はその下端部が横方向支持部64の搬送方向下流側面に夫々固定され、仕切片60が固定された横方向支持部64は夫々、相互に平行に且つ上述した所定間隔をおいて一対の搬送方向支持部66の上面に固定される(図6-1(a)も参照されたい)。一対の搬送方向支持部66の各々の下面には搬送方向に延びる一対のレール68が各々形成されており、このレール68は図示しないアクチュエータを介して底板70に連結されている。従って、搬送スタンド12は搬送方向(前後方向)に移動自在となる。更に、底板70の下面にはこれを上下方向に移動自在な昇降用のアクチュエータ72も設けられており、これによって、搬送スタンド12は上下方向にも移動自在である。上記のアクチュエータは何れも図示しない圧縮空気制御機器の一部であり、圧縮空気を作動動力源とするものである。
図6-1乃至図6-3を参照して説明すると、搬送スタンド12は上記アクチュエータによって、搬送方向においては、搬送方向下流端(最前端)の仕切片60が搬送方向に見てバックプレート10の後退位置に対応する前進位置と、この前進位置から第三の距離D3(上述したとおり、図示の実施形態においては、第三の距離D3は第二の距離D2と同一である)後退した後退位置と、の間を移動自在であり、上下方向においては、仕切片60の夫々が、後述するとおり、搬送経路Lに沿って順次に起立並列配置された被搬送物における隣接する2個の被搬送物間に進入する作用位置と、被搬送物間から離隔する非作用位置と、の間を移動自在である。搬送スタンド12が作用位置にあるときは、仕切片60の上端は片側縁規制上面28を超えて上方に位置し、搬送スタンド12が非作用位置にあるときは、仕切片60の上端は第一の支持部材18に支持される被搬送物よりも下方に位置する。然るに、搬送スタンド12は上記アクチュエータによって以下のような経路で周期的に移動する。即ち、搬送スタンド12は、後退位置であって且つ作用位置である後退作用位置(図6-1(a)、図6-3(h)及び(i))、前進位置であって且つ作用位置である前進作用位置(図6-1(b)乃至図6-2(e))、前進位置であって且つ非作用位置である前進非作用位置(図6-2(f))、後退位置であって且つ非作用位置である後退非作用位置(図6-3(g))に順次移動した後に、再度後退作用位置(図6-1(a)、図6-3(h)及び(i))へ移動する。
保持手段14は、搬送方向及び横方向に夫々複数配列された保持片74と、全ての保持片74を共通支持する共通支持部材76とから構成されている。図示の実施形態においては、保持片74は搬送方向に等間隔をおいて6個、横方向に等間隔をおいて4個ずつ格子状に配列されている(従って保持片は全部で24個配設されている)。保持片74は何れも上下方向に延びる棒状部材であり、下端部の搬送方向幅は下方に向かって漸次低減せしめられている。図3を参照することによって理解されるとおり、保持片74の断面(下端部を除く)は仕切片60の断面(上端部を除く)と同一形状の正方形である。また、図4を参照することによって理解されるとおり、保持片74の上下方向長さは横方向外方に向かって順に長く設定されており、夫々の下端位置を結ぶ直線n(二点鎖線で示す)は片側縁規制上面28と平行となっている。図3に示すとおり、最前端の保持片74は、搬送方向に見てバックプレート10の後退位置から第二の距離D2後退した位置において、横方向に見て溝30aと溝30bの間及び溝30bと溝30cの間に夫々2個ずつ等間隔に配置されている。保持片74の搬送方向の間隔は仕切片60の搬送方向の間隔と等しく第三の距離D3である。
共通支持部材76は、横方向に延びる複数(図示の実施形態においては6本)の横方向支持部78と、搬送方向に延びる1つの搬送方向支持部80とを有する。保持片74の夫々は上端部が横方向支持部78の搬送方向上流面に固定され、保持片74が固定された横方向支持部78は夫々、相互に平行に且つ上述した所定間隔をおいて搬送方向支持部80に固定される(図6-1(a)を参照されたい)。共通支持部材76は第一の支持部材18の片側縁規制上面28の上方において支持フレーム82によって上下方向に移動自在に支持される。支持フレーム82は、第一の支持部材18の搬送方向上流端に隣接して配設され下方が開放されたコの字形状である上流フレーム部84と、上流フレーム部84の上辺の横方向外側端部から搬送方向下流に向かって実質上水平に延びて設置台52に接続固定される直線状の中間フレーム部86と、中間フレーム部86の搬送方向略中間部の上面に固定され下方が開放されたコの字形状の上側フレーム部88とを有する。上側フレーム部88において搬送方向に見て相互に対向する一対の辺の横方向内側面には、上下方向に直線状に延びる一対のレール90が形成されており、共通支持部材76が図示しないアクチュエータを介してレール90に上下方向に移動自在に連結されている。従って、共通支持部材76に固定された保持片74は上下方向に移動自在である。
図6-1乃至図6-3を参照して説明すると、保持片74はこれを作動させるアクチュエータによって、後述するとおり、搬送経路Lに沿って順次に起立並列配置された被搬送物における隣接する2個の被搬送物間に進入する作用位置(図6-2(e)乃至図6-3(h))と被搬送物間から離隔する非作用位置(図6-1(a)乃至図6-2(d)、及び図6-3(i))との間を上下方向に移動自在である。保持片74が非作用位置にあるときは、保持片74の下端は第一の支持部材18に支持される被搬送物よりも上方に離隔して位置し、保持片74が作用位置にあるときは、保持片74の下端は被搬送物の上側縁(即ち規制されていない他側縁RL(図7を参照されたい))よりも下方であって第一の支持部材18の片側縁規制上面28と対向しこれよりも幾分上方に位置する。
続いて、図1乃至図4と共に図5-1乃至図5-3も参照して説明すると、分離搬出手段6は、最前端の被搬送物の前面に対向して配設され、上下方向に間隔をおいて直線状に配設された複数個の吸引具92と、全ての吸引具92を共通して支持する共通支持部材94とを備えている。図示の実施形態においては、吸引具92は上下方向に等間隔をおいて4個配設されており(夫々について下方に向かってa乃至dを付して示す)、吸引具92aは共通支持部材94の上端部に、吸引具92dは共通支持部材94の下端部に夫々配置されている。吸引具92a乃至dはエラストマー材の如き可撓性を有する適宜の軟質合成樹脂から形成された椀状であり、図4に示されるとおり、その中央頂部には吸引孔96が形成されている。共通支持部材94は上下方向に長い略角柱部材であり、その搬送方向上流面には複数の図示しない接続バルブが設置されている。夫々の接続バルブは2つの口を有し、一方の口には吸引具92の吸引孔96が接続され、他方の口には図示しないホースを介して図示しない真空ポンプに接続される。吸引具92が接続バルブに接続された状態にあっては、吸引孔96は搬送方向上流側を向き、上記真空ポンプによって吸引具92の内側領域(即ち、椀の内側領域)に負圧を発生させることが可能となる。上記真空ポンプは作動状態と非作動状態とを適宜に切り替え自在であり、真空ポンプの作動状態を切り替えることで吸引具92を上記負圧が生じる吸引作動状態と生じない吸引非作動状態とに切り替え可能である。共通支持部材94の搬送方向下流面にはこれを作動させるアクチュエータ98が配設されている。アクチュエータ98は、上下方向に見て吸引具92dと同じ高さ位置に規定されている軸線Rを中心として、共通支持部材94を旋回駆動自在に支持している。アクチュエータ98は横方向に延在するレール100及び搬送方向に延在する図示しないレールに連結されており、横方向及び搬送方向に移動自在である。これにより、吸引具92a乃至dは一体となって軸線Rを中心に旋回自在であると共に横方向及び搬送方向に移動自在である。アクチュエータ98は図示しない圧縮空気制御機器の一部であり、圧縮空気を作動動力源とするものである。
吸引具92a乃至dの作動について、図5-1乃至図5-3を参照して説明する。なお、本図においては、搬送方向下流側から上流側を見たときの模式図を左側に上方から見た模式図を右側に夫々配列し、右側に配列された図においては、図の簡略化のため吸引具は吸引具92a及びdについてのみ示して他を省略し、さらに吸引具92aと吸引具92dとを区別するため前者には薄墨を付して示してある。吸引具92a乃至dは、これらが装着された共通支持部材94がアクチュエータ98によって作動されることによって、後述するとおり、最前端の被搬送物の前面と当接する前進位置と最前端の被搬送物の前面から離隔する方向に後退した後退位置との間で搬送方向に移動自在(即ち前進後退移動自在)となると共に、最前端の被搬送物を保持する保持位置と被搬送物を放出する放出位置との間で横方向に移動自在(即ち左右方向に移動自在)となり、さらに、吸引具92aが片側縁規制上面28から離隔して片端縁規制内面36に接近した接近位置と片端縁規制内面36から離隔して片側縁規制上面28に接近した分離位置との間で軸線Rを中心として旋回自在となる(軸線Rを中心とした回転方向を分離方向という)。吸引具92a乃至dが前進位置にあるときは、吸引具92a乃至dの吸引面は前面片端縁部規制位置Aよりも搬送方向に見て上流側に位置し、吸引具92a乃至dが後退位置にあるときは、吸引具92a乃至dの吸引面は前面片端縁部規制位置Aよりも搬送方向に見て下流側に位置する。また、吸引具92a乃至dが保持位置にあるときは、吸引具92a乃至dは横方向に見て前面片端縁部規制手段4よりも外側(同図において左側)に位置し、吸引具92a乃至dが放出位置にあっては、吸引具92a乃至dは横方向に見て前面片端縁部規制手段4よりも内側(同図において右側)に位置する。さらに、吸引具92a乃至dが接近位置にあるときは、共通支持部材94は片端縁規制内面36と平行であり、吸引具92a乃至dが分離位置にあるときは、共通支持部材94は片側縁規制上面28に対して垂直である。然るに、吸引具92a乃至dは以下のような経路で周期的に移動する。即ち、吸引具92a乃至dは、図5-1(a)に示す基準状態(前後方向において後退位置、分離方向において接近位置、左右方向において保持位置)から前進位置に前後移動し(図5-1(b))、次いで、分離方向において接近位置から分離位置まで旋回し(図5-2(c))、その後に前進位置から後退位置まで前後移動し(図5-2(d))、次いで分離方向において分離位置を維持したまま左右方向において保持位置から放出位置まで横移動し(図5-3(e))、しかる後に分離方向において分離位置から接近位置まで旋回しながら左右方向において放出位置から保持位置まで横移動して再び図5-1(a)に示す基準状態となる。
分離搬出手段6は、更に、被搬送物の片端縁よりも他端縁側において最前端の被搬送物の前面片側縁部に当接する変位手段を含んでいる。図示の実施形態においては、変位手段は、被搬送物の幅方向に延びる中心軸線oを有するローラ102から構成されており、ローラ102は被搬送物を他端縁から片端縁に向かう方向に移動せしめる方向には自由に回転せしめられるが逆方向には回転が許容されないように設定されている。ローラ102は所謂ワンウェイクラッチを備えることで上記のとおりに設定される。ワンウェイクラッチは公知の機械部品であるため、本明細書においてはその詳細な説明を省略する。ローラ102は、横方向に見て吸引具92の保持位置と近接してこれよりも幾分外側であって第一の支持部材18の片側縁規制上面28から上方に僅かに離隔した位置に設けられている。ローラ102(変位手段)における被搬送物の前面片側縁部が当接される部位は前面片端縁部規制手段4による被搬送物の前面片端縁部規制位置Aよりも搬送手段2による被搬送物の搬送方向に見て上流側に変位して位置する。図5-1(b)及び図5-2(c)を参照することによって理解されるとおり、ローラ102(変位手段)における被搬送物の前面片側縁部が当接される部位は、前進位置に位置せしめられている吸引具92の吸引面よりも搬送方向に見て上流側に変位して位置する。
続いて、図5-1乃至図5-3と共に図6-1乃至図6-3を参照して本発明に従って構成された搬出装置の作動について説明する。
先ず、搬出装置を作動させるのに先立って、作業者は手動で多数の被搬送物Cを第一の支持部材18上に搬送経路Lに沿って順次に起立並列した状態で配置せしめる。この際には、分離搬出手段6の吸引具92は吸引非作動状態であると共に、バックプレート10は後退作用位置に、搬送スタンド12は後退作用位置に、保持手段14は非作用位置に、夫々位置させる。そして、図6-1(a)に示すように、被搬送物Cは搬送方向に隣接する仕切片60の間だけでなく、搬送方向下流端の仕切片60とバックプレート10との間、及び、バックプレート10と吸引具92との間にも配置される。
ここで、被搬送物とは、例えば液体状洗剤或いはレトルト食品等を収容するためのパウチと称される周知の包装体であり、図7に示すとおり、底端部は4枚重ね合わせ構成であり、底端部以外は2枚構成であり、口端は開口されている形式のものも含む。本発明の搬出装置は上記したパウチを搬送するのに好適であり、上記したパウチの口端は、本発明の搬出装置によって搬送されている間においては開放せしめられているが、本発明の搬出装置によって搬送され内容物が充填された後には閉塞せしめられる。ここで、被搬送物の片端縁とはパウチの底端であってBLで示され(底端部である片端縁部はBPで示される)、被搬送物の他端縁とはパウチの口端であってULで示され(口端部である他端縁部はUPで示される)、図5-1(a)を参照することによって理解されるとおり、搬送手段は、被搬送物Cの片端縁BLを下方に向かって他端縁UL側に傾斜した状態に規制し被搬送物の片側縁LLを片端縁BLから他端縁ULに向かって上方に傾斜する状態に規制し、搬送方向において隣接する被搬送物C同士が相互に面接触した積層状態で被搬送物を搬送する。このとき、本発明の搬出装置にあっては、分離搬出手段6は被搬送物の片端縁BLよりも他端縁UL側において最前端の被搬送物C1の前面片側縁部に当接する変位手段(ローラー102)を含んでおり、変位手段(ローラー102)における被搬送物の前面片側縁部が当接される部位は前面片端縁部規制手段4による被搬送物の前面片端縁部規制位置Aよりも搬送方向に見て上流側に変位して位置することに起因して、最前端の被搬送物C1の規制された片側縁LLは規制された片端縁BLから他端縁ULに向かって搬送方向に見て上流側に傾斜せしめられる。このことから、被搬送物C1は、これ単独で見た場合に、片端縁BLが他端縁ULに対して前方に突出した形態にせしめられることとなる。
搬出装置の作動を開始させると、分離搬出手段6と、バックプレート10と、搬送スタンド12とが作動して、第一の支持部材18に支持された被搬送物Cの搬送を開始する。分離搬出手段6は前面片端縁部規制手段4の搬送方向上流面に配設された検出スイッチ38が最前端の被搬送物C1によって押されて閉成されると作動する。分離搬出手段6の作動について図5-1乃至図5-3を参照して説明する。
分離搬出手段6の吸引具92a乃至dは以下のように作動する。即ち、最初に、吸引具92a乃至dは図5-1(a)に示す基準状態にある。このとき、吸引具92a乃至dは吸引作動状態と吸引非作動状態とはどちらであってもよい。次いで、吸引具92a乃至dは前進移動せしめられて前進位置にて吸引作動状態にせしめられる(図5-1(b))。かくすると、吸引具92a乃至dの椀状部位は被搬送物C1の前面と密着して変形せしめられ、吸引具92a乃至dは、図示しない真空ポンプによって生じた負圧により最前端の被搬送部C1の前面を吸引してこれを保持する。このとき、吸引具92a乃至dの吸引面は、横方向Wに見て、最前端の被搬送物C1の片端縁BLよりも幾分他端縁UL側であって、搬送方向Lに見て、変位手段(ローラー102)における被搬送物の前面片側縁部が当接される部位と、前面片端縁部規制手段4による被搬送物の前面片端縁部規制位置Aとの間に位置せしめられる。
次いで、吸引具92aは分離方向において接近位置から分離位置に旋回せしめられる(図5-2(c))。かくすると、吸引具92aと第一の支持部材18の片側縁規制上面28との距離が短くなり、これによって被搬送物C1において吸引具92aが吸引保持する部位と第一の支持部材18の片側縁規制上面28によって規制される片側縁LLとの距離が短くなることで、被搬送物C1は圧縮されてその一部が前方に湾曲突出せしめられ、最前端の被搬送物C1と、これの直後(即ち前から2番目)に位置する被搬送物C2とが分離せしめられる。このとき、本発明の搬出装置においては、変位手段(ローラ102)の存在に起因して上述したとおり最前端の被搬送物C1は予め片端縁BLが他端縁ULに対して前方に突出した形態にせしめられているため、吸引具92aが分離方向に移動された際には、最前端の被搬送物C1は他側縁RLと片側縁LLとの間で突っ張ることなく円滑に圧縮されて、最前端の被搬送物C1の一部が確実に前方へ湾曲突出せしめられることとなる。
更に、図示の実施形態においては、ローラ102は、被搬送物C1を片端縁BLから他端縁ULに向かって移動せしめる方向への回転は許容されない。そのため、吸引具92aが分離方向において接近位置から分離位置に旋回せしめられる際、被搬送物C1にはこれを片端縁BLから他端縁ULに向かって移動させようとする力が付加されるが、ローラ102の上記方向への回転は許容されないため、被搬送物C1はローラ102との摩擦によって片端縁BLから他端縁ULに向かって移動せしめられることが防止され、被搬送物C1は吸引具92aによってより一層円滑に圧縮されてその一部が前方へ湾曲突出せしめられることとなる。また、ローラ102は横方向に見て吸引具92の保持位置と近接してこれよりも幾分外側の配置されているため搬送される被搬送物の形状によらず最前端の被搬送物の前面片側縁部に当接し、被搬送物の形状によってローラ102の位置を変える必要がない。
更にまた、図示の実施形態においては、被搬送物Cにおける規制されていない他端縁部UPが2枚重ね合わせ構成であって他端縁ULが口端であるのに対し規制された片端縁部BPは4枚重ね合わせ構成の底端部であって片端縁BLが底端であることから、規制された片端縁部BPは比較的剛性が高いため、吸引具92aが分離方向において接近位置から分離位置に旋回せしめられた際に、被搬送物C1において吸引具92aが吸着した部位が撓んでしまうことが防止される。一方、被搬送物Cにおける規制された片端縁部を2枚重ね合わせ構成とした場合(つまり、被搬送物の口端を片端縁規制内面で規制した場合)には、規制された片端縁部の剛性が比較的低くなり、吸引具92aが分離方向において接近位置から分離位置に旋回せしめられた際に、被搬送物C1において吸引具92aが吸着した部位が撓んでしまい、これによって吸引具92aが被搬送物C1から離脱し搬送不良を生じてしまう場合がある。
その後に、吸引具92a乃至dは分離方向において分離位置の状態を維持したまま前進位置から後退位置に前後移動される(図5-2(d))。この際には、図5-2(c)に示す状態において被搬送物C1と被搬送物C2とが確実に分離せしめられている故に、吸引具92a乃至dは最前端の被搬送物C1のみを確実に前面片端縁部規制手段4から離脱、即ち支持手段8から搬出することができる。このとき、ローラ102は、被搬送物C1が他端縁ULから片端縁BLに向かって移動せしめる方向には自由に回転せしめられるため、吸引具92a乃至dが前進位置から後退位置に移動する際には、ローラ102は被搬送物C1との摩擦によって図5-2(d)において矢印で示すとおり従動回転し、ローラ102が被搬送物C1を支持手段8から搬出する際の抵抗となることはない。
しかる後に、吸引具92a乃至dは、図5-3(e)に示すとおり、分離方向において分離位置の状態を維持したまま左右方向において保持位置から放出位置まで横移動し、かかる位置にて吸引作動状態から吸引非作動状態に切り換えられる。かくすると、吸引具92a乃至dが吸引していた被搬送物C1は二点鎖線で示されるニップローラーの如き適宜の送り手段104に受け渡され、被搬送物C1が放出される。被搬送物C1を放出した後は、吸引具92a乃至dは、分離方向において分離位置から接近位置に旋回されながら左右方向において放出位置から保持位置まで横移動して、再び図5-1(a)に示す基準状態となる。
一方、バックプレート10及び搬送スタンド12は、前面片端縁部規制手段4の搬送方向上流面に配設された検出スイッチ38が開成されると一体で前進して被搬送物Cを前方に搬送せしめ、検出スイッチ38が閉成されると停止する。検出スイッチ38は最前端の被搬送物C1と当接してこれによって所定の押圧力で押圧されることにより閉成される。然るに、バックプレート10及び搬送スタンド12は、バックプレート10によってこれと前面片端縁部規制手段4との間の被搬送物Cに所定の押圧力が付加されているときは検出スイッチ38が閉成されて停止し、被搬送物搬出手段6の上記作動によって被搬送物Cが1個乃至複数個搬出されてバックプレート10と前面片端縁部規制手段4との間の被搬送物Cが減少すると上記押圧力が減少して検出スイッチ38が開成され再度前進する。そして、バックプレート10及び搬送スタンド12が前進し、バックプレート10と前面片端縁部規制手段4との間の被搬送物Cに所定の押圧力が付加されると検出スイッチ38が閉成されて再び停止することとなる。
バックプレート10及び搬送スタンド12が図6-1(a)に示す各々の後退作用位置から図6-1(b)に示す各々の前進作用位置まで前進すると、バックプレート10は前進作用位置から前進非作用位置に移動し(図6-1(c))、次いで後退非作用位置に移動し(図6-2(d))、しかる後に後退作用位置に移動すると共に、保持手段14(即ち、保持片74)は非作用位置から作用位置に移動する(図6-2(e))。保持手段14のこの移動は、バックプレート10が前進作用位置から後退作用位置まで移動する間乃至同移動の完了後であってもよい。図6-2(e)に示す状態にあっては、バックプレート10と搬送スタンド12の最前端の仕切片60とは搬送方向において合致するが、図3を参照することによって理解されるとおり、バックプレート10を構成するプレート片50a乃至eと搬送スタンド12の最前端に位置する仕切片60a乃至cとは横方向において夫々位置が異なるためプレート片50a乃至eと仕切片60a乃至cとが相互に干渉することはない。同様に、保持片74a乃至dと搬送スタンド12の仕切片60a乃至cとは搬送方向において合致するが、保持片74a乃至dと搬送スタンド12の仕切片60a乃至cとは横方向において夫々位置が異なるため保持片74a乃至dと仕切片60a乃至cとが相互に干渉することはない。保持手段14が非作用位置から作用位置に移動した後に、搬送スタンド12は前進作用位置から前進非作用位置に移動し(図6-2(f))、次いで後退非作用位置に移動し(図6-3(g))、しかる後に後退作用位置に移動する(図6-3(h))。そして、搬送スタンド12が後退作用位置まで移動した後に、保持手段14は作用位置から非作用位置に移動する(図6-3(i))。バックプレート10及び搬送スタンド12並びに保持手段14の上記移動の間も被搬送物搬出手段4は第一の支持部材18に支持された被搬送物Cを継続して搬送し続ける。
図6-3(i)に示す状態と図6-1(a)に示す状態とは、搬送スタンド12の搬送方向最後端に位置する仕切片60と、これの前方に隣接して位置する仕切片60との間の領域における被搬送物Cの有無のみが相違するがそれ以外は同じ状態であり、上記作動を繰り返すことにより被搬送物Cを搬送し続けることができる。また、被搬送物Cの空いた上記領域に作業者が新たな被搬送物Cを補充することで被搬送物Cを長時間連続して搬送し続けることが可能となる。
以上本発明の搬出装置について添付図面を参照して詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。例えば、本実施形態においては、第一の支持部材が横方向に傾斜せしめられていることよって片側縁規制上面は傾斜せしめられていたが、これに替えて、第一の支持部材を水平として片側縁規制上面も実質上水平にしてもよい。さらに、本実施形態においては、分離搬出手段の共通支持部材はアクチュエータによって回転駆動せしめられていたが、これに替えて、アクチュエータによって横方向に移動せしめられた際に適宜のリンク機構によって回転せしめられるようにしてもよい。さらにまた、本実施形態においては、第一の支持部材は1つの平板により構成されこの平板に溝が形成されているが、これに替えて、支持基板を搬送方向に延びる複数の平板を横方向に間隔をおいて配置せしめ、横方向に隣接する平板の間に溝が規定されるようにしてもよい。