JP7105399B2 - 排水機構を備えた墓、及びその補修方法 - Google Patents
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Description
従来、我が国の墓は、故人を弔い顕彰するための墓石や遺骨を納骨するカロートなどが、地上に立設される地上型(和型)の墓が多かったが、近年は宗派に囚われない公園墓地などのような墓所も多く建設されてきており、そのような墓所の墓では地面より下にカロートが埋設される、所謂地中埋設型の墓(洋型)も普及してきている。
このように構成された地上型の墓は、地表の上側に墓石やカロートや排水機構などが設けられているので、湿気や水捌け性に優れていると云われており、また、補修作業も比較的に容易であると云われているが、地中埋設型の墓は、地表の上側に墓石が設けられているものの、地面より下側の地中にカロートや排水機構が埋設されているため、地中に埋設されているカロートや排水機構などの補修は容易ではないと云われている。
また、この地中埋設型は、地表が芝で覆われて参道とされていると、雨天の場合にはより水捌けの管理が必要であった。
すなわち、墓所区画内の墓の地面上に、コンクリート壁で囲んで盛土した墓石基台を形成し、この墓石基台の上側に一段目の墓石を形成すると共に、墓石の前部には花立てや線香立てや水入れなどからなる供養台を設け、さらに墓石の上方に二段目の墓石である上台石を積み、最後に戒名や俗名、忌日、建立者などを記載した塔石5を立てている。
また、墓石基台の中央部には骨つぼ収納室(カロート)の空間を設け、その骨つぼ収納室の下には砂石層内の下部に排水機構を設けると共に、通水層である砂石層に浸みだした水を排水パイプから墓石基台外に排水している。
そして、特許文献3のように、墓所の排水を円滑にしてカロート内の湿気をできるだけ少なくするためのものであって、カロートを地下に埋設し、カロートの上部の開口部の一部を蓋石とし、カロートの底部に排水孔を設け、排水孔を基礎玉石内に設けた排水筒に連通するもので、基礎玉石は上部を大きめの玉石とし下部を小さめの玉石とし、それら基礎玉石の中に排水用の排水筒を設置しているため、カロート内に溜まる水や地上よりの降水雨の水捌けがよくなり、溜水も容易に排出できるようにするものである。なお、排水筒は排水層に2つの排水筒を設けてもよいとされている。
また、地中埋設型の特許文献2や特許文献3においては、カロート本体を墓地に埋設するために、墓地に孔(掘削凹部)を掘削し、カロート本体をこの孔(掘削凹部)に埋め込むので、地上型に比べてカロート本体の墓地への埋設が容易に行えるという利点があるが、排水性や冬季における凍結融解などに対する対策が必要である。
また、地表を掘削したりするという手間がかかると共に、カロート本体の下部に排水機構を設置しなければならないため、また、その補修に関してはカロート本体を撤去しなければなければならないため、補修費用も大変割高となり、実際にはコスト面や施工面の手間を考慮するとその補修はできなかった。
上記墓の領域において、カロート下排水領域から参道下排水領域に亘る地中を所望形状にかつ所定深さに掘削して掘削凹部を形成し、
上記掘削凹部の底部に敷設され、かつ外部に連通されて雨水・雪やカロート本体より浸み出した結露水などの降水を集める水機構を形成し、
上記排水機構上であって上記カロート下排水領域にカロート本体を配置すると共に、上記カロート本体の上側であって地表上に立設される墓石本体を配置し、
その後に上記掘削凹部を埋め戻して形成したことを特徴とする。
また、請求項2記載のように、 上記排水機構は、有孔パイプよりなる排水管であることを特徴とする。
また、請求項3記載のように、上記排水機構は、水のみを透過可能とする土木シートである吸い出し防止材によって覆われていることを特徴とする。
また、請求項4記載のように、地表上に墓石本体を設置すると共に、上記墓石本体の下側の地中にカロート本体とさらにその下側に雨水・雪やカロート本体から浸み出してくる結露水などの降水を集める排水機構を設けた墓であって、
カロート下排水領域に隣接する参道下排水領域の地面を所望形状でかつ所定深さに掘削して掘削凹部を形成し、
上記掘削凹部の底部に敷設され、かつ外部に連通されて集水を排出する新設の排水機構を形成すると共に、上記カロート下排水領域に配置されている既設の排水機構と協働して排水機能を果たさせ、
その後に上記掘削凹部を埋め戻して形成したことを特徴とする。
また、請求項5記載のように、上記排水機構は、有孔パイプよりなる排水管であることを特徴とする。
また、請求項6記載のように、上記排水機構は、水のみを透過可能とする土木シートである吸い出し防止材によって覆われていることを特徴とする。
また、排水機構を備えた墓の補修方法として、請求項7記載のように、請求項1または請求項4記載の墓の補修であって、少なくとも参道側領域の地面を所望形状でかつ所定深さに掘削して掘削凹部を形成し、掘削した上記掘削凹部を基点として不具合箇所の補修を行うことを特徴とする。
また、カロート本体の下側領域に排水機構を設けている既設の墓に対し、参道下排水領域を掘削して当該領域に排水管を有する排水機構を付設したので、既設の排水機構と協働する広域領域の排水機構を提供するので、既設の墓に対して排水機能性に優れた墓を容易に提供することができる。
さらに、既設の墓あるいは新設の墓であっても排水機構の補修は、少なくとも墓に接近した参道の地表を所定深さ掘削して掘削凹部を穿設すればよいので、排水機構性に優れた墓をきわめて容易に補修し提供することができる。
図1は、本発明の第1実施例であり、新設の墓に好適な実施例である。
すなわち、この実施例においては、墓10は地表上側に墓石本体11を形成して設置し、遺骨を埋葬するカロート本体(納骨棺)12を地中に埋設してなる地中埋設型の墓であり、そのさらに地下には排水機構14が配置される。
すなわち、カロート本体12の下側の領域はカロート下排水領域(L2)とされ、参道側の領域は参道下排水領域(L1)とされ、カロート下排水領域(L2)と参道下排水領域(L1)とに亘る広い領域の排水領域(L1+L2=L)として設けられている。
各墓10の墓石本体11は、地面G上に起立設置されると共に、基台11a、基台11a上に立設される墓石11b、基台11aの前方側である参道に向かって配置される蓋石11cと香炉11d・・・などから構成されている。
この墓石本体11の下部である地中には、地面Gを掘り起して形成された掘削凹部X内に埋設されている(詳細は後記する)筐体のカロート本体12が配置される。
この筐体であるカロート本体12は、上面を開口部12aと壁12b・・と底部12cによって囲繞されている。なお、12dは納骨の仕切り板である。
また、カロート本体12の底部12cには、結露水用の排出孔13が設けられており、カロート本体12などより浸み出した結露水を下部側の領域に形成されている排水機構14に排出する。
また、排水機構14は、カロート本体12の下側領域に配置され、雨水・雪や結露水などの降水を集めて排出するものであるが、カロート本体12の下側領域であるカロート下排水領域(L2)から芝Jが植え付けられた参道Rの下側領域である参道下排水領域(L1)とよりなる広域の排水領域(L1+L2=L))の排水機構とされている。
しかして、この広い領域(L)の排水機構14は、掘削凹部Xに玉砂利などを多段に敷き詰めた砂利・砕石層14aとされ、砂利・砕石層14aは雨水などの降水を排水機構の外部に排水する排水管15が有孔パイプ15aとして配置されている。
なお、墓石本体11とカロート本体12の間は、セメントモルタルなどで接着し、地震等への耐震性を持たせている。
また、この広い領域の排水機構14には、排水に伴う周囲の土砂の流出を防ぐために、排水機構14と周囲の土砂との間に水のみを透過する機能を持った吸い出し防止材17を土木シートとして配置する。
なお、広い領域の排水機構Lを設けるために、埋め戻し層により掘削凹部Xをもとの状態に整える。
また、この墓石本体11あるいはカロート本体12などは、従来のように御影石などを使うこともできるが、型枠成形性を考慮するとコンクリート部材により形成されるのが好適である。
墓の施工にあたっては、カロート本体12と参道Rに亘る地表Gを所定深さ掘削して掘削凹部を穿設する。
そして、この掘削凹部X(カロート下排水領域(L2)から参道Rの下側の領域である参道下排水領域(L1)とよりなる広域の領域(L2+L2=L)の掘削凹部内に土木シートである吸い出し防止材を敷設する。
その後、土木シートである吸い出し防止材を敷設した掘削凹部内に、砂利・砕石層13aを敷設すると共に、排水管を設置し、この参道側に降水を集める排水機構を敷く。
排水機構外の他所に排出する排水管を敷設し、排水管を敷設した後にカロート本体を所定箇所に設置して地中に埋設し固定する。
その地表面に地上に墓石本体を立設した墓とするものである。
掘削凹部を埋め戻しつつ掘削凹部を地固めし養生を行い、養生後に地上に墓石本体を立設した墓とするものである。
掘削凹部は、参道から墓までの総てを含む新設の掘削凹部とする場合と、参道から墓近傍までを掘削凹部する場合とがある。
具体的には、
第1工程:(掘削凹部の形成)
各墓10・・・を形成する区画の地面Gの所定の箇所を、台形状に掘削して墓埋設用の掘削凹部Xを形成するが、この前段階において掘削凹部Xと連続する排水管を設置する掘削凹部溝を墓所中に条設する。
次いで、各墓10・・・用としてカロート12の下部領域(L2)と参道Rにかかる領域(L1)とに亘る広い領域(L)の排水機構の排水機構凹部Xを掘り起こす。
第2工程:吸い出し防止材敷設
掘削された広い領域(L)の排水機構の掘削凹部の底面に、土木シートである吸い出し防止材を敷く。
第3工程:砂利・砕石層を敷設
さらに、吸い出し防止材を敷いた広域の排水機構の掘削凹部に、砂利・砕石層を敷く。
第4工程:排水機構の形成
砂利・砕石層を敷いた後に、外部に連通する排水管(有孔パイプ)を敷き排水機構の形成を行う。
第5工程:カロートの固定
排水機構の敷かれた後の掘削凹部に、カロート本体を設置し、固定する。
第6工程:掘削凹部の埋め戻し
カロート本体が固定された後に、掘削凹部に土を埋め戻すともに、地固めし養生する。
第7工程:墓の設置
埋め戻しをし、カロート本体の上部がやや地表に出た状態とし、その上に墓石本体を接地する。
第8工程:完成整備
カロート本体の上部に墓石本体を設置し、芝をカロート本体の上部周辺を囲むように養生して完成とする。
そこで、所定深さ台形状に掘削して墓埋設用の掘削凹部Xを穿設する。掘削凹部Xは、参道Rにかかる墓の領域(L2)までの領域(L)の排水機構とされている。
しかして、この掘削凹部Xを掘り返し、排水機構14を配置し、ついでカロート本体12を設置し、掘削凹部Xに土を埋め戻し、カロート本体12上に墓10を立設する。
一方、既に墓所として活用されている場合には、排水機構14など地中に埋設されている構造物に不具合があった場合、カロート本体12の下側部位の排水機構はそのままとして、すなわち動かすことなく、地面Gの参道側部位にかかる領域を掘削しその領域にある排水管15を容易に補修することができる。
既に墓所として活用されている場合には、排水機構はカロート本体の下部側領域に既に設けられているので、既設の排水機構に対して不具合が発生したような場合には、その補修を行うのであるが、既にある墓石本体やカロート本体を動かし取り除いて補修することは、実際上においてさまざまな問題があり不可能で、既に埋められているカロート本体12やその上部にある墓10は動かすことできない。
したがって、参道下側の領域に掘削凹部を新たに掘削し、新たに排水機構を加えて広域排水機構とする必要がある。
したがって、その補修に際しては、芝Jが植え付けられた参道R側から掘削凹部を穿設することが必要である。
掘削凹部を掘削して、カロート本体12の下側部位の排水機構14に到達したならば、この既設の排水機構14に新たに排水管15を有する排水機構14を接続する。
これにより、新たに接続された排水機構14の排水管17が、不具合となった既設の排水機構14に代わって協働することとなる。
このように、支障した排水機構14はそのままとして、参道に設置された排水機構14を稼働させるので、容易な補修によって広域領域(L)の排水機構とすることができる。
J 芝
R 参道
10 墓
11 墓石本体
11a 基台
11b 墓石
11c 蓋石
11d 香炉
12 カロート本体(筐体)
12a 開口部
12b 側部
12c 底部
12d 区画板
13 排出孔
14 排水機構
14a 砂利・砕石層
15 排出管
15a 有孔パイプ
X 掘削凹部
17 防水シート
Claims (7)
- 地表の上側に墓石本体が設けられ、地表より下側の地中にカロート本体が埋設される地中埋設型の墓であって、
上記墓の領域において、カロート下排水領域から参道下排水領域に亘る地中を所望形状にかつ所定深さに掘削して掘削凹部を形成し、
上記掘削凹部の底部に敷設され、かつ外部に連通されて雨水・雪やカロート本体より浸み出した結露水などの降水を集める排水機構を形成し、
上記排水機構上であって上記カロート下排水領域にカロート本体を配置すると共に、上記カロート本体の上側であって地表上に立設される墓石本体を配置し、
その後に上記掘削凹部を埋め戻して形成したことを特徴とする排水機構を備えた墓。 - 上記排水機構は、有孔パイプよりなる排水管であることを特徴とする請求項1記載の排水機構を備えた墓。
- 上記排水機構は、水のみを透過可能とする土木シートである吸い出し防止材によって覆われていることを特徴とする請求項1または2記載の排水機構を備えた墓。
- 地表上に墓石本体を設置すると共に、上記墓石本体の下側の地中にカロート本体とさらにその下側に雨水・雪やカロート本体から浸み出してくる結露水などの降水を集める排水機構を設けた墓であって、
カロート下排水領域に隣接する参道下排水領域の地面を所望形状でかつ所定深さに掘削して掘削凹部を形成し、
上記掘削凹部の底部に敷設され、かつ外部に連通されて集水を排出する新設の排水機構を形成すると共に、上記カロート下排水領域に配置されている既設の排水機構と協働して排水機能を果たさせ、
その後に上記掘削凹部を埋め戻して形成したことを特徴とする排水機構を備えた墓。 - 上記排水機構は、有孔パイプよりなる排水管であることを特徴とする請求項4記載の排水機構を備えた墓。
- 上記排水機構は、水のみを透過可能とする土木シートである吸い出し防止材によって覆われていることを特徴とする請求項4または5記載の排水機構を備えた墓。
- 請求項1または請求項4記載の墓の補修であって、
少なくとも参道側領域の地面を所望形状でかつ所定深さに掘削して掘削凹部を形成し、掘削した上記掘削凹部を基点として不具合箇所の補修を行うことを特徴とする排水機構を備えた墓の補修方法。
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