JP7105346B2 - 放水ノズル - Google Patents

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Description

本発明は、トンネルなどに設置された消火栓装置で使用される放水ノズルに関する。
従来、自動車専用道路のトンネルには、トンネル内で発生する火災事故から人身及び車両を守るため、非常用設備が設置されている。このような非常用設備としては、火災の監視と通報のため火災検知器や非常電話が設けられ、火災消火のための消火栓装置やトンネル防護のための水噴霧装置が設けられる。
消火栓装置には放水ノズルを装着したホースが収納されており、火災時には消火栓扉を開いて放水ノズルを取り出してホースを引き出し、消火栓弁開閉レバーを操作することで放水ノズルから放水するようにしている。
放水ノズルは棒状と広角噴霧の放水方式の切替えが可能であり、棒状放水は十分な放水距離を保ちながら消火能力を最大限に生かそうとする場合に主として用いられ、一方の広角噴霧放水は火災からの輻射熱を低減しながら操作者が火点に近づく場合に用いられる。
このためトンネル内で車両事故等により火災が発生した場合には、運転者等の利用者は消火栓装置からノズル付きホースを引き出して放水を行う場合、放水距離及び消火能力を確保しながら放水したい場合には棒状放水を行い、火災の輻射熱から身を保護しながら放水したい場合には広角噴霧放水を行う。なお、この切替えはノズル先端に設けられたリングの回転操作によって行えるものとなっている。
特開2001-058012号公報 特開2011-147598号公報 特開2012-011115号公報
しかしながら、このような従来の放水ノズルにあっては、消火栓装置に収納された状態で放水ノズルは棒状放水位置に切り替えられており、ノズル付きホースを引き出して放水を行うと必ず棒状放水となり、消火栓装置の操作に不慣れな一般の利用者は、消火栓装置の取り扱いや放水ノズルが棒状放水と広角噴霧放水を切替えできることを殆ど知っておらず、放水するまでに手間取ったり、棒状放水に固定したまま放水を行ったりと、放水ノズルに設けられた放水切替え機能が十分に活用されない等、不慣れな一般利用者が消火栓装置を取り扱う上では問題がある。
本発明は、消火栓装置の操作に不慣れな利用者であっても消火栓装置を取り扱うことを容易とし、火災状況に応じた適切な消火活動を可能とする放水ノズルを提供することを目的とする。
(放水ノズル)
本発明は、消火用ホースに装着される放水ノズルであって、
放水による振動と、利用者が操作するために取った際の振動とを識別可能に検出する振動識別部を備えることを特徴とする。
(振動の識別)
振動が連続的である場合に放水による振動と識別し、振動が断続的又は一時的である場合に利用者が操作するために取った際の振動と識別する。
(音声ガイダンス)
振動識別部により放水による振動と識別された場合に、放水操作に関する所定の音声ガイダンスを出力し、振動識別部により利用者が操作するために取った際の振動と識別された場合に、放水前の操作に関する所定の音声ガイダンスを出力する。
(放水前の操作に関する音声ガイダンス)
放水前の操作に関する所定の音声ガイダンスは、消火栓装置の消火栓開閉弁の操作に関する音声ガイダンスである。
(放水操作に関する音声ガイダンス)
放水ノズルは、更に、所定の操作により棒状放水と広角噴霧放水とを切り替える放水切替機構を備え、
放水操作に関する所定の音声ガイダンスは、棒状放水と広角噴霧放水との切替え操作を含む各放水形態の操作に関する音声ガイダンスである。
(基本的な効果)
本発明は、消火用ホースに装着される放水ノズルであって、放水による振動と、利用者が操作するために取った際の振動とを識別可能に検出する振動識別部を備え、具体的には、振動が連続的である場合に放水による振動と識別し、振動が断続的又は一時的である場合に利用者が操作するために取った際の振動と識別するようにしたため、振動から放水中であるのか、又は放水前であるのか等の消火栓装置の使用状態を把握することができ、振動を認識したときの消火栓装置の使用状態に応じて、利用者の操作を助けるために適当かつ必要なガイダンスを出力させることができる。
(音声ガイダンスによる効果)
振動識別部により放水による振動と識別された場合に、放水操作に関する所定の音声ガイダンスを出力し、振動識別部により利用者が操作するために取った際の振動と識別された場合に、放水前の操作に関する所定の音声ガイダンスを出力するようにし、具体的には、放水前の操作に関する所定の音声ガイダンスは、消火栓装置の消火栓開閉弁の操作に関する音声ガイダンスであり、放水操作に関する所定の音声ガイダンスは、棒状放水と広角噴霧放水との切替え操作を含む各放水形態の操作に関する音声ガイダンスであるため、消火栓装置の操作に不慣れな利用者であっても、放水前に必要な操作に戸惑うことなく放水を開始することができ、放水中には棒状放水と広角噴霧放水との切替えができることを知り、棒状放水と広角噴霧放水を必要に応じて切り替えて火災状況に応じた適切な放水操作を行うことができる。
本発明の放水ノズルが使用される消火栓装置を示した説明図 放水ノズルの第1実施形態を棒状放水の状態で示した説明図 図2の第1実施形態の内部構造を一部断面で示した説明図 図2の第1実施形態を平面から示した説明図 図2の第1実施形態に設けられた位置切替表示部の回路構成を示したブロック図 図2の第1実施形態を広角噴霧放水に切り替えた場合の放水切替機構を一部断面で示した説明図 広角噴霧放水に切り替えた第1実施形態を平面から示した説明図 水流発電部を設けた放水ノズルの第2実施形態を示した説明図 図8の水流発電部を一部破断により平面から示した説明図 図8の第2実施形態に設けられた位置切替表示部の回路構成を示したブロック図 振動発電部を設けたノズルの第3実施形態を示した説明図 振動発電部として磁歪式振動発電素子を用いた第3実施形態による位置切替表示部の回路構成を示したブロック図 磁歪式振動発電素子の構造と動作原理を示した説明図 振動発電部として圧電式振動発電素子を用いた第3実施形態による位置切替表示部の回路構成を示したブロック図 圧電式振動発電素子の構造を示した説明図 音声ガイダンスを出力する放水ノズルの第4実施形態を示した説明図 図16の第4実施形態の内部構造を一部断面で示した説明図 図16の第4実施形態に設けられた音声ガイダンス部の回路構成を示したブロック図
図1は本発明の放水ノズルが使用されるトンネルに設置される消火栓装置の説明図であり、図1(A)に正面図を、図1(B)に消火栓扉を外した状態の内部構造を示している。
図1(A)において、消火栓装置100は、筐体102の前面に配置した化粧板104の右側の扉開口に、消火栓扉106と保守扉108が設けられており、その内部がホース収納空間及びバルブ類収納空間となっている。消火栓扉106は下側のヒンジを中心に上側にあるハンドルを手前に引き出して前方下側に開放することができる。
消火栓扉106の上には、上側のヒンジを中心に上向に開閉する保守扉108が設けられており、点検時に消火栓扉106を開いて内側のロックを外すことで開くことができる。
筐体102の左側扉開口の右側には通報装置扉110が設けられ、ここに赤色表示灯112、発信機114、及び応答ランプ116が設けられている。赤色表示灯112は常時点灯し、消火栓装置100の設置場所が遠方から分かるようにしている。火災時には、発信機114を押して内蔵スイッチをオンすると、発信信号が監視室などの防災受信盤に送信されて火災警報が出され、これに伴い応答信号が防災受信盤から送られて、応答ランプ116が点滅する。
通報装置扉110の左側には消火器扉118が設けられ、内部に2本の消火器が収納されている。消火器扉118は左側をヒンジとして前方に開くことができる。
筐体102の右側の扉開口の内部左側に配置したホース収納空間にはホースバケット124が設けられ、ホースバケット124及び筐体内壁で囲まれたホース収納空間にホース122を内巻きして収納している。開放された消火栓扉106の内側にはホースガイド126が設けられている。
開放された消火栓扉106の内側には、ホースガイド126から引き出されるホース122の先端に本発明によるガンタイプの放水ノズル10が装着され、放水ノズル10は横向きに着脱自在に保持されている。放水ノズル10は棒状放水と広角噴霧放水を切り替える放水切替機構を備えており、消火栓装置100に収納された初期状態では棒状放水にセットされている。
ホース収納空間の右側に配置したバルブ類収納空間には、ポンプ設備からの配管が接続される消火栓接続口からホース接続口に至る配管系統に、給水弁128、消火栓弁、自動調圧弁、自動排水弁、及びメンテナンス装置を含む放水バルブ系統と後の説明で明らかにする放水試験バルブ系統を設けている。なお、消火栓弁は銘板の裏側に配置されており、正面からはみえない。
消火栓弁に対しては消火栓弁開閉レバー134が設けられる。消火栓弁開閉レバー134を下向きとなる開位置に操作すると、銘板の裏側に配置された消火栓弁が開放位置に作動され、配管内の圧が上昇して自動排水弁は閉鎖位置に作動される。
同時に消火栓弁開閉レバー134の背後に設置している消火栓弁開閉検出スイッチがオンし、これによってポンプ制御盤にポンプ起動信号が送られ、ポンプ設備が起動される。放水を停止する際には、消火栓弁開閉レバー134を元の上向き位置に戻すと消火栓弁が閉じ、同時に消火栓弁開閉検出スイッチがオフとなってポンプ設備の運転停止が行われる。
また給水弁128の手前にはポンプ起動スイッチ136が配置される。給水弁128及びポンプ起動スイッチ136は消防隊が消火時に操作する機器であり、消火栓扉106を開いても保守扉108により隠されており、消火栓装置を操作しようとするユーザに見せないことで、不要な混乱を起させないようにしている。
[放水ノズルの第1実施形態]
図2は放水ノズルの第1実施形態を棒状放水の状態で示した説明図、図3は図2の第1実施形態の内部構造を一部断面で示した説明図、図4は図2の第1実施形態を平面から示した説明図、図5は図2の第1実施形態を広角噴霧放水に切り替えた場合の放水切替機構を一部断面で示した説明図、図6は広角噴霧放水に切り替えた第1実施形態を平面から示した説明図、図7は図2の第1実施形態に設けられた位置切替表示部の回路構成を示したブロック図である。
(放水ノズルの概要)
図2に示すように、本実施形態の放水ノズル10は、円筒状のノズル本体12の下側にグリップ14が設けられ、後端にホース金具を接続する町野式のホース接続部16が設けられている。
ノズル本体12の先端には切替操作リング26が設けられ、切替操作リング26を回すことにより内蔵した放水切替機構を作動して棒状放水と広角噴霧放水を切替え操作できるようにしている。
(放水切替機構)
図3に示すように、放水切替機構15は、ノズル本体12の先端外周に外ねじ12aが形成され、ノズル本体12の先端内側に内筒22がねじ込み固定され、内筒22の先端には内筒テーパ開口部22aが形成されている。
内筒22の外側には回転スライド外筒18が配置され、回転スライド外筒18は後端内側に形成された内ねじ18aをノズル本体12の先端の外ねじ12aにねじ込んでいる。また、回転スライド外筒18の先端内側には外筒テーパ開口部20aが形成された外筒先端部材20がねじ込み固定されている。更に、内筒22の先端内側の中心位置にはデフレクター24が固定支持されている。
ノズル本体12の外ねじ12aは例えば右ねじであり、利用者がグリップ14を握った状態で切替操作リング26を右に回すと内ねじ18aにより回転スライド外筒18は前進して棒状放水側に移動され、切替操作リング26を左に回すと回転スライド外筒18は後退して広角噴霧放水側に移動される。
(棒状放水の切替状態)
図3は回転スライド外筒18を棒状放水位置に切り替えた状態を示しており、ノズル本体12に固定された内筒22の内筒テーパ開口部22aに対し回転スライド外筒18に固定された外筒先端部材20の外筒テーパ開口部20aが前方に位置し、このためデフレクター24と内筒22の間から放出された水は外筒先端部材20の内部流路に沿って矢印Aの方向に放出され、棒状放水となる。
(広角噴霧放水の切替状態)
図6は回転スライド外筒18を広角噴霧放水位置に切り替えた状態を示しており、ノズル本体12に固定された内筒22の内筒テーパ開口部22aに対し回転スライド外筒18に固定された外筒先端部材20の外筒テーパ開口部20aが連続して位置し、このためデフレクター24と内筒22の間から放出された水は、内筒22の内筒テーパ開口部22a及び外筒先端部材20の外筒テーパ開口部20aに沿って矢印Bの方向に放出され、広角噴霧放水となる。
(位置切替表示部)
図2乃至図6に示すように、放水ノズル10には放水切替報知部として機能する切替位置表示部が設けられ、切替位置表示部は、表示ユニット28、表示灯30、電池電源38、回路基板41、放水検知部42で構成される。
表示ユニット28は可撓性の樹脂等で形成された筐体にLEDを用いた表示灯30を配置しており、表示ユニット28は筐体と一体に形成された固定バンド32に対するねじ34のねじ込みで、ノズル本体12の先端に固定されている。
放水ノズル10のグリップ14は内部に収納部36が形成されており、収納部36にはグリップカバー14aが着脱自在に設けられている。収納部36の2箇所にはねじ穴48が形成され、グリップカバー14aに形成されたねじ頭部埋込型の通し穴46を介してねじ44のねじ込みにより、グリップカバー14aが着脱自在に固定されている。
グリップ14の収納部36には、電池電源38、回路基板41及び放水検知部42が組込み配置され、回路基板41からは表示ユニット28の表示灯30に信号線が接続されている。放水検知部42はノズル本体12の内部流路の水圧を検知する圧力スイッチであり、放水ノズル10から放水される消火用水の圧力を検知して放水検知信号を出力する。
回路基板41には表示制御部として機能する回路が実装されており、放水検知部42による放水検知信号が入力すると表示灯30を点灯又は点滅させる制御を行う。
図4の放水ノズル10の平面に示すように、初期設定された棒状放水の切替位置では、ノズル本体12の先端に固定された表示ユニット28の表示灯30に対し、回転スライド外筒18は前方に前進した離れた位置あり、この棒状放水の切替位置では、回転スライド外筒18の上面に、切替操作リング26の広角噴霧放水への切替え操作方向を示す矢印形状のマーク50が表示され、マーク50には「広角噴霧切替」の文字が表示されている。
図7の放水ノズル10の平面に示すように、放水ノズル10の広角噴霧放水の切替位置では、ノズル本体12の先端に固定された表示ユニット28の表示灯30に対し、回転スライド外筒18は後方に後退して当接した位置あり、この広角噴霧放水の切替位置では、回転スライド外筒18の上面に、広角噴霧放水の切替位置を示す矢印形状のマーク52が表示され、マーク52には「広角噴霧放水」の文字が表示されている。
本実施形態の切替位置表示部は、図5に示すように、電池電源38、放水検知部42、表示制御部40及び表示灯30で構成され、表示制御部40は図2に示した回路基板41に実装されている。
表示制御部40は電池電源38からの電源供給を受けて動作しており、放水検知部42が放水ノズル10からの放水による圧力を検知して放水検知信号を出力すると、放水検知信号を入力した表示制御部40は表示灯30を点灯し、利用者に広角噴霧放水に切替えできることを知らせ、利用者は広角噴霧放水に切り替えて放水を行うことが可能となる。
例えば、図3に示す放水ノズル10の棒状放水の切替位置の状態で放水を開始すると、ノズル本体12の概中央部に配置された表示ユニット28の表示灯30が例えば点滅駆動され、表示灯30の点滅に気付いた利用者はマーク50を見て広角噴霧放水に切替えできることを知り、切替操作リング26をマーク50の矢印で示す左回りに回すことで、図7示すように、広角噴霧放水の切替位置を示すマーク52を点滅している表示灯30に位置決めし、広角噴霧放水に切り替えることができる。
なお、本実施形態による広角噴霧放水の切替位置への操作を可能とする表示は、上記の実施形態に限定されず、例えば、表示ユニット28に広角噴霧放水の切替操作を示す文字、図形又はその組み合わせからなる操作案内を配置し、放水を検知した場合に、表示灯の点灯による操作案内の背光照明により操作案内を表示させるようにしても良い。
また、電池電源38の電池をチェックするため、表示制御部40に対しチェックスイッチを設け、定期点検の際に、チェックスイッチの操作により表示灯30を点灯させることで、電池切れの有無を確認できるようにする。
[放水ノズルの第2実施形態]
図8は水流発電部を設けた放水ノズルの第2実施形態を示した説明図、図9は図8の水流発電部を一部破断により平面から示した説明図、図10は図8の第2実施形態に設けられた位置切替表示部の回路構成を示したブロック図である。
図8及び図9に示すように、本実施形態の放水ノズル10は、発電電源部として機能する水流発電器56、表示制御部40が実装された回路基板68、及び表示灯30により、放水切替報知部として機能する切替位置表示部が構成されたことを特徴とする。
水流発電器56は、水車カバー58、水車60、回転軸62及び発電器本体64で構成される。水車カバー58は、グリップ14の収納部36に配置され、ノズル本体12の内部流路12bに開口66を開いており、回転軸62により水車60を回転自在に支持し、この状態で水車60の羽根の一部がノズル本体12の内部流路12bに飛び出すようにしている。
回転軸62は水車カバー58の外側に配置された発電器本体64の回転軸に連結又は一体に形成されており、水車60の回転を発電器本体64に伝えて発電させる。
本実施形態の切替位置表示部は、図10に示すように、水流発電器56、電源回路部72、表示制御部40及び表示灯30で構成され、電源回路部72と表示制御部40は図8に示した回路基板68に実装されている。電源回路部72は放水ノズル10の放水により水流発電器56から出力される発電電力を所定の直流電力に変換して表示制御部40に電源を供給する。
ここで、放水ノズル10からの放水時には、水流により水流発電器56は高速回転されることで所定の発電電力を継続的に供給するようになり、表示制御部40の動作に必要な電力を超える余剰電力を発生する。この水流発電器56から出力される余剰電力は、例えば水冷型のダミー抵抗に流して消費させるか、或いは、水流発電器56の発電回路を周期的にオン、オフさせて必要電力を発電させるようにする。
また、図5に示した第1実施形態の回路には、放水検知器42が設けられていたが、本実施形態にあっては、水流発電器56の発電による電源供給が放水検知を意味することから、水流発電器56が実質的に放水検知器として機能しており、このため専用の放水検知器を設ける必要がなく、表示制御部40は水流発電器56の発電による電源供給を受けた場合に、放水検知と見做して表示灯30を点灯又は点滅させる制御を行う。
それ以外の構成及び機能は、図1乃至図7に示した第1実施形態と同じになることから、同一符号を付し、その説明は省略する。
[放水ノズルの第3実施形態]
図11は振動発電部を設けたノズルの第3実施形態を示した説明図である。図11に示すように、本実施形態の放水ノズル10は、振動発電部として機能する振動発電部74、表示制御部が実装された回路基板78、及び表示灯30により、放水切替報知部として機能する切替表示部が構成されたことを特徴とする。
振動発電部74は、放水により放水ノズル10に加わる振動エネルギーを電気エネルギーに変換するものであり、例えば、図13に示す磁歪式振動発電素子80や図15に示す圧電式振動発電素子84が用いられる。
振動発電部74はグリップ14の収納部36に配置され、固定部材76によりノズル本体12の外側に固定され、放水ノズル10の放水及び水流によりノズル本体12に加わる振動を受けて発電した電力を出力する。
(磁歪式振動発電素子)
図12は振動発電素子として磁歪式振動発電素子を用いた第3実施形態による位置切替表示部の回路構成を示したブロック図である。図12に示すように、本実施形態の振動発電部74としては、磁歪式振動発電素子80を用いることができる。この場合、切替位置表示部は、磁歪式振動発電素子80、電源回路部82、表示制御部40及び表示灯30で構成され、電源回路部82及び表示制御部40は図11に示した回路基板78に実装されている。
図13は磁歪式振動発電素子の構造と動作原理を示した説明図であり、図13(A)は正面を示し、図13(B)は側面を示し、図13(C)は磁歪素子の変位に対する磁力線変化(コイルは省略)を示し、図13(D)は発電原理を示す。
図13(A)(B)に示すように、磁歪式振動発電素子80は、コイル156a,156bを巻いた2枚の板状の磁歪素子154a,154bを平行に並べ、一端を固定部150と結合し、他端を可動部152と結合した平行梁が構成され、固定部150と可動部152には磁石158が吸着され、ヨーク160により結合されている。
図13(C)に示すように、固定部150を固定し、可動部152に例えば上方向の曲げ力Fを作用させると、平行梁は湾曲し、磁歪素子154aには圧縮力が加わって磁力線が減少し、一方、磁歪素子154bには引張り力が加わって磁力線が増加する。
このため図13(D)に示すように、平行梁に振動が加わると、磁歪素子154a,154bに加わっている磁力線は交番状に変化し、コイル156a,156bに起電力Vpが発生し、振動エネルギーが電気エネルギーに変換される。
図12に示した電源回路部70は放水ノズル10の連続した放水により磁歪式振動発電素子80から出力される交流電力を所定の直流電力に変換して表示制御部40に電源を供給する。
ここで、図5に示した第1実施形態の回路には、放水検知器42が設けられていたが、本実施形態にあっては、磁歪式振動発電素子80の発電による電源供給が放水検知を意味することから、磁歪式振動発電素子80が実質的に放水検知器として機能しており、このため専用の放水検知器を設ける必要がなく、表示制御部40は磁歪式振動発電素子80の発電による電源供給を受けた場合に、放水検知と見做して表示灯30を点灯又は点滅させる制御を行う。
それ以外の構成及び機能は、図1乃至図7に示した第1実施形態と同じになることから、同一符号を付し、その説明は省略する。
(圧電式振動発電素子)
図14は振動発電部として圧電式振動発電素子を用いた第3実施形態による位置切替表示部の回路構成を示したブロックである。図14に示すように、本実施形態の振動発電部74としては、圧電式振動発電素子84を用いることができる。この場合、切替位置表示部は、圧電式振動発電素子84、電源回路部86、表示制御部40及び表示灯30で構成され、電源回路部86及び表示制御部40は図11に示した回路基板78に実装されている。
図15は圧電式振動発電素子の構造を示した説明図である。図15に示すように、圧電式振動発電素子84はケース170の中に、両側に電極174a,174bが設けられた圧電素子172を、起立したボルト175に通して配置すると共に、その上におもり176を配置してナット178により締付け固定し、振動体180に固定されている。
図15の圧電式振動発電素子84は圧縮型と呼ばれる構造であり、ナット178を締めることで一定のプリロードをかけるとともに、圧電素子172とボルト175のバネ性とおもり176の質量から成る系を構成している。
一定のプリロードにより圧電素子172には一定の電荷が生じており、振動体180が図示の上方に向けて加速している時には、おもり176の慣性によって圧電素子172を更に圧縮する力が加わり(加圧)、逆に振動体180が図の下方に向けて加速している時には圧電素子172の圧縮を弱める方向に力が加わる(減圧)ことになる。
このようにして振動により繰り返される加圧と減圧に応じて圧電素子172の両極に生じる電荷が増減し、この電荷をチャージアンプ(電荷増幅器)で電圧に変換することにより、加速度に比例した電圧信号を取り出すことができる。
図14に示した電源回路部86はチャージアンプ(電荷増幅器)を備え、放水ノズル10の放水により圧電式振動発電素子84から出力される電荷を所定の直流電力に変換して表示制御部40に電源を供給する。
ここで、図5に示した第1実施形態の回路には、放水検知器42が設けられていたが、本実施形態にあっては、圧電式振動発電素子84の発電による電源供給が放水検知を意味することから、圧電式振動発電素子84が実質的に放水検知器として機能しており、このため専用の放水検知器を設ける必要がなく、表示制御部40は圧電式振動発電素子84の発電による電源供給を受けた場合に、放水検知と見做して表示灯30を点灯又は点滅させる制御を行う。
それ以外の構成及び機能は、図1乃至図7に示した第1実施形態と同じになることから、同一符号を付し、その説明は省略する。
[放水ノズルの第4実施形態]
図16は音声ガイダンスを出力する放水ノズルの第4実施形態を示した説明図、図17は図16の第4実施形態の内部構造を一部断面で示した説明図、図18は図16の第4実施形態に設けられた音声ガイダンス部の回路構成を示したブロック図である。
図16乃至図18に示すように、本実施形態の放水ノズル10は、電池電源38、音声ガイダンス制御部92が実装された回路基板88、放水検知部42及びスピーカ90により、放水切替報知部として機能する音声ガイダンス部が構成されたことを特徴とする。
図17に示すように、放水ノズル10のグリップ14に形成された収納部36には、電池電源38、回路基板88、スピーカ90及び放水検知器42が配置されている。また、スピーカ90に対応して図16に示すように、グリップ14には音響孔94が形成されている。
本実施形態の音声ガイダンス部は、図18に示すように、電池電源38、放水検知部42、音声ガイダンス制御部92及びスピーカ90で構成され、音声ガイダンス制御部92が図17に示した回路基板88に実装されている。
音声ガイダンス制御部92はCPU、メモリ、D/Aコンバータを含む各種の入出力ポートを備えたコンピュータ回路であり、メモリに予め定められた広角噴霧放水への切替え操作を示す音声ガイダンスの音声データが記憶されており、放水検知部42からの放水検知信号を入力すると、メモリに記憶された音声ガイダンスの音声データを読み出してアナログ音声信号に変換して増幅し、スピーカ90から音声ガイダンスを出力させる。この場合のスピーカ90からの音量は、放水ノズル10からの放水音があっても十分に聞き取り可能な音量とする。
それ以外の構成及び機能は、図1乃至図7に示した第1実施形態と同じになることから、同一符号を付し、その説明は省略する。
また、本実施形態は、電源部として電池電源38を使用しているが、図8乃至図10の第2実施形態に設けられた水流発電器56、図11乃至図15の第3実施形態に設けられた振動発電部74(磁歪式振動発電素子80又は圧電式振動発電素子84)を電源部として設けても良く、その場合には、放水検知部42は不要となる。
[本発明の変形例]
(既設の消火栓設備)
上記の実施形態は、消火栓装置を製造する段階で組み込まれる放水ノズルを対象としているが、既設の消火栓装置についても、既存の放水ノズルを上記の実施形態による放水ノズルに交換することで、放水ノズル自体から広角噴霧放水への切替操作が報知され、消火栓装置の操作に不慣れな利用者であっても、棒状放水から広角噴霧放水に切替えできることを知り、棒状放水と広角噴霧放水を必要に応じて切り替えて切り替える操作を行うことで、火災状況に応じた適切な放水操作を行うことができる。
(切替表示と音声ガイダンス)
上記の実施形態は、表示灯又は音声ガイダンスによる広角噴霧放水の切替操作を報知しているが、表示灯と音声ガイダンスの両方を行うようにしても良い。また、報知内容として広角噴霧放水への切り替え方法を報知するとしているが、広角噴霧放水から棒状放水への切り替え方法についても報知するようにしても良い。
例えば、音声ガイダンスにあっては広角噴霧放水への切り替え方法と棒状放水の切り替え方法を交互に報知する。
また、「棒状放水は十分な放水距離を保ちながら消火能力を最大限に生かそうとする場合に主として用いてください」、「広角噴霧放水は火災からの輻射熱を低減しながら操作者が火点に近づく場合に用いてください」、といったような広角噴霧放水と棒状放水の効果等についても併せて報知するようにしても良い。これにより、不慣れな利用者であってもどちらの放水形態を用いればよいのかを把握することが可能となる。
また、上記実施形態では音声ガイダンスの内容について棒状放水と広角噴霧放水の切替えをガイダンスするとしているが、ノズルを取ったときの一時的な振動を検知して開閉弁レバーの操作忘れが無いかをガイダンスとして報知するようにしても良い。この際、振動時間が連続している場合は放水による振動とし、断続的な振動または一時的な振動をノズルがとられたとして識別する機能を持たせる。
(放水切替機構)
上記の実施形態に示された放水ノズルの放水切替機構は一例であり、これに限定されず、棒状放水と広角噴霧放水が切替操作できる適宜の放水切替機構が含まれる。
(発電部)
上記の実施形態は、放水を利用した発電部として、水流発電器、振動発電部を例にとっているが、これに限定されず、放水ノズルからの放水によるエネルギーを利用した適宜の発電部が含まれる。
(消火栓装置)
上記の実施形態は、トンネル用の消火栓設備の放水ノズルを例にとっているが、これに限定されず、建物に設置されている消火栓装置の放水ノズルについても、同様に適用できる。
(その他)
また本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
10:放水ノズル
12:ノズル本体
12a:外ねじ
12b:内部流路
14:グリップ
14a:グリップカバー
15:放水切替機構
16:ホース接続部
18:回転スライド外筒
20:外筒先端部材
20a:外筒テーパ開口部
22:内筒
22a:内筒テーパ開口部
24:デフレクター
26:切替操作リング
28:表示ユニット
30:表示灯
32:固定バンド
36:収納部
38:電池電源
40:表示制御部
41,68,78,88:回路基板
42:放水検知部
50,52:マーク
56:水流発電器
58:水車カバー
60:水車
62:回転軸
64:発電器本体
66:開口
72,82,86:電源回路部
74:振動発電部
76:固定部材
80:磁歪式振動発電素子
84:圧電式振動発電素子
90:スピーカ
92:音声ガイダンス制御部
94:音響孔
100:消火栓装置
122:ホース

Claims (5)

  1. 消火用ホースに装着される放水ノズルであって、
    放水による振動と、利用者が操作するために取った際の振動とを識別可能に検出する振動識別部を備えることを特徴とする放水ノズル。
  2. 請求項1の放水ノズルであって、
    振動が連続的である場合に前記放水による振動と識別し、振動が断続的又は一時的である場合に前記利用者が操作するために取った際の振動と識別することを特徴とする放水ノズル。
  3. 請求項1又は2の放水ノズルであって、
    前記振動識別部により前記放水による振動と識別された場合に、放水操作に関する所定の音声ガイダンスを出力し、前記振動識別部により前記利用者が操作するために取った際の振動と識別された場合に、放水前の操作に関する所定の音声ガイダンスを出力することを特徴とする放水ノズル。
  4. 請求項3の放水ノズルであって、
    前記放水前の操作に関する所定の音声ガイダンスは、消火栓装置の消火栓開閉弁の操作に関する音声ガイダンスであることを特徴とする放水ノズル。
  5. 請求項3又は4記載の放水ノズルであって、
    更に、所定の操作により棒状放水と広角噴霧放水とを切り替える放水切替機構を備え、
    前記放水操作に関する所定の音声ガイダンスは、前記棒状放水と前記広角噴霧放水との切替え操作を含む各放水形態の操作に関する音声ガイダンスであることを特徴とする放水ノズル。
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