JP2015139658A - ガス系消火設備 - Google Patents

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美典 小島
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Abstract

【課題】既設の制御盤と操作箱とを結線する信号線の本数が6本であっても、機能を拡張した新たな制御盤と操作箱との交換設置を可能とする。
【解決手段】既設の制御盤と操作箱を結線している電線管35に通した6本の既設信号線を使用し、既設信号線の数を超える複数種類の信号を伝送する制御盤10と操作箱12を、既設の制御盤と操作箱と交換して結線する。この結線は、制御盤10の電源を電源線KDと電源コモン線KDCを介して操作箱12の電源に接続し、制御盤10のシリアル送受信部70を操作箱12のシリアル送受信部72にシリアル伝送線Sとシリアル伝送コモン線SCを介して接続し、制御盤10の通話回路部24を操作箱12の電話ジャック32に電話線T及び電話コモン線TCを介して接続する。制御盤10のグランド端子G1と操作箱12のグランドG2をグランド線として機能する電線管35を介して接続する。
【選択図】図5

Description

本発明は、防護区画に設けた制御盤と操作箱との間で各種信号を伝送する二酸化炭素等の消火ガスを放出して火災を消火するガス系消火設備に関する。
従来、火災発生時に二酸化炭素やハロンガス等の消火ガスを放出して火災を消火するガス系消火設備は、水損や汚損を嫌う機器を設置している室内において、消火による機器損失を最小限に抑えつつ迅速な消火を行うことを可能とする。
このようなガス系消火設備は、制御盤に自動モードを設定していた場合には、防護区画に設置した2回線に接続された各火災感知器からの火災発報(2回線のAND発報)があった場合に所定時間のカウントダウンを開始し、カウントダウンが終了すると、ガス放出条件が成立したと判断して、制御盤から起動装置に起動信号を出力して動作し、起動装置から二酸化炭素等の開放ガスを防護区画に対応したガス供給配管に設けた選択弁に供給して開くと共に消火ガス貯蔵容器の栓を開け、噴射ヘッドから消火ガスを放出する。
また制御盤に手動モードを設定していた場合には、監視員が目視又は火災感知器の発報によって火災を発見し、操作箱の扉を開いて起動スイッチを押すことで制御盤がカウントダウンを開始し、カウントダウンが終了すると同様にして消火ガスを放出する。
図10は、30年ほど前に設置された古いガス系消火設備に設けた制御盤と操作箱の間の結線図である。図10において、制御盤10には操作箱12からの起動信号と非常停止信号を受信する起動用受信部20、操作箱12に電源を供給する電源部22及び操作箱12側との通話連絡に使用する電話器をプラグで接続する電話ジャック25を備えた通話回路部24を設ける。
また、操作箱12には、起動操作によりオンして起動信号を送信する起動スイッチ26、カウントダウン中の非常停止操作によりオンして非常停止信号を送信する非常停止スイッチ28、電源供給状態で点灯する電源灯30及び非常電話機のプラグを接続する電話ジャック32を設けている。
制御盤10と操作箱12の間は、起動信号線S1、非常停止信号線S2、グランド線G、電源線KD、電源コモン線KDC、電話線T及び電話コモン線TCからなる6本の信号線でパラレル結線しており、これら6本の信号線は例えば6芯ケーブル等を使用することで、制御盤10と操作箱12との間に埋設設置した電線管を通して結線している。
図11は図10の後継設備として機能を拡張したガス系消火設備に設けた制御盤と操作箱の間の結線図であり、制御盤の操作機能と表示機能を操作箱にも設けるようにしている。
図11において、操作箱12には、機能拡張に伴い、起動スイッチ26及び非常停止スイッチ28に加え、扉開検知スイッチ38、自動モード設定スイッチ40、手動モード設定スイッチ42を追加し、また制御盤10に表示用送信部34を設け、これに対応して操作箱12に、電源灯30に加え、放出起動灯46、火災灯48、自動モード表示灯50、手動モード表示灯52及び閉止弁閉表示灯54を設けており、操作箱12による操作機能を強化している。なお、閉止弁閉表示灯54は二酸化炭素の設備専用となる。
このような制御盤10及び操作箱12の機能拡大に伴い、6本の制御用信号線S1〜S6、5本の表示用信号線S7〜S11、グランド線G、電源線KD、電源コモン線KDC、電話線T及び電話コモン線TCの合計16本の信号線でパラレル結線し、また制御盤10にはグランド線Gによる地絡を検出して警報させる地絡検出部36を設けている。
図12は図11の後継設備となったガス系消火設備の制御盤と操作箱の間の結線図であり、制御盤と操作箱との間の結線数を低減するため表示制御にシリアル伝送を採用している。図12において,制御盤10に表示用シリアル送信部56を設け、操作箱12に設けた表示用シリアル受信部58との間を2本の信号線KS1,KS2で接続し、制御盤10から表示制御信号をシリアル伝送している。また操作箱12にカウントダウンの残り時間を表示する2桁のカウントダウン表示器60を設けている。これにより制御盤10と操作箱12の表示機能を拡張しながらも信号線の本数を13本に低減している。
特開平6−062432号公報 特開平11−245809号公報
ところで図10に示したような設置から30年近くが経過したガス系消火設備にあっては、設備を構成する機器が老朽化していることから、設備機能を維持する共に現在設置しているガス系消火設備と同等な機能を持たせるように設備のリニューアルを必要とする時期に達している。
このような設備をリニューアルするための改修工事にあっては、建築段階での設備工事とは異なり、可能なかぎり既設の設備環境を生かした工事が必要となる。この場合、例えば図10に示した古い設備の制御盤と操作箱を、例えば図11又は図12に示した機能を拡張した制御盤と操作箱に交換する場合、既設の電線管に通している信号線が6本しかなく、図11の16本の信号線を必要とする場合、また図12の13本の信号線を必要とする場合のいずれについても交換することができない。
この場合、制御盤と操作箱との間にリニューアルに伴い必要とする本数の信号線を敷設できれば問題ないが、既設の電線管の中に更に追加分の信号線を通すことは困難であり、また、新たに電線管を敷設して必要な本数の信号線を通すことは、施設の構造物の一部を壊して電線管を敷設する作業が必要となり、このような改修工事は行うことには無理があり、設備をリニューアルする場合の大きなネックとなっている。
本発明は、既設の制御盤と操作箱とを結線する信号線の本数が6本であっても、信号線の本数を超える各種信号の送受信による拡張機能を備えた新たな制御盤と操作箱との交換設置を可能として、設備をリニューアルするための改修を簡単且つ容易に実現可能とするガス系消火設備を提供することを目的とする。
(6本の信号線と電線管で結線するガス系消火設備)
本発明は、防護区画に設けた操作箱と制御盤との間で、各種信号を伝送するガス系消火設備に於いて、
制御盤と操作箱の間を、電線管に通した電源線、電源コモン線、シリアル伝送線、シリアル伝送コモン線、電話線及び電話コモン線の6本の信号線により結線し、
制御盤に設けた電源部を操作箱の電源部に電源線と電源コモン線を介して接続し、
制御盤に設けたシリアル送受信部を操作箱に設けたシリアル送受信部にシリアル伝送線とシリアル伝送コモン線を介して接続し、
制御盤または操作箱の少なくともいずれかのグランド端子を、グランド線として機能する電線管を介して接続し、
制御盤に設けた通話回路部を操作箱の電話ジャックに電話線及び電話コモン線を介して接続したことを特徴とする。
(5本の信号線と電線管で結線するガス系消火設備)
本発明の別の形態にあっては、防護区画に設けた操作箱と制御盤との間で、各種信号を伝送するガス系消火設備に於いて、
制御盤と操作箱の間を、電線管に通した電源線、シリアル伝送線、電源コモン線を兼ねたシリアル伝送コモン線、電話線及び電話コモン線の5本の信号線により結線し、
制御盤に設けた電源部を操作箱の電源部に電源線とシリアル伝送コモン線を介して接続し、
制御盤に設けたシリアル送受信部を操作箱に設けたシリアル送受信部にシリアル伝送線とシリアル伝送コモン線を介して接続し、
制御盤または操作箱の少なくともいずれかのグランド端子を、グランド線として機能する電線管を介して接続し、
制御盤に設けた通話回路部を操作箱の電話ジャックに電話線及び電話コモン線を介して接続したことを特徴とする。
(6本の信号線で結線するガス系消火設備)
本発明の別の形態にあっては、防護区画に設けた操作箱と制御盤との間で、各種信号を伝送するガス系消火設備に於いて、
制御盤と操作箱の間を、電源線、シリアル伝送線、電源コモン線を兼ねたシリアル伝送コモン線、グランド線、電話線及び電話コモン線の6本の信号線により結線し、
制御盤に設けた電源部を操作箱の電源部に電源線とシリアル伝送コモン線を介して接続し、
制御盤に設けたシリアル送受信部を操作箱に設けたシリアル送受信部にシリアル伝送線とシリアル伝送コモン線を介して接続し、
制御盤及び操作箱のグランド端子を、グランド線を介して接続し、
制御盤に設けた通話回路部を操作箱の電話ジャックに電話線及び電話コモン線を介して接続したことを特徴とする。
(4本の信号線と電線管による結線)
本発明の別の形態にあっては、防護区画に設けた操作箱と制御盤との間で、各種信号を伝送するガス系消火設備に於いて、
制御盤と操作箱の間を、電線管を通した電源線を兼ねたシリアル伝送線、電源コモン線を兼ねたシリアル伝送コモン線、電話線及び電話コモン線の4本の信号線により結線し、
制御盤に設けた電源部及びシリアル送受信部を操作箱に設けた電源部及びシリアル送受信部にシリアル伝送線とシリアル伝送コモン線を介して接続し、
制御盤または操作箱の少なくともいずれかのグランド端子を、グランド線として機能する電線管を介して接続し、
制御盤に設けた通話回路部を操作箱の電話ジャックに電話線及び電話コモン線を介して接続したことを特徴とする。
(5本の信号線による結線)
本発明の別の形態にあっては、防護区画に設けた操作箱と制御盤との間で、各種信号を伝送するガス系消火設備に於いて、
制御盤と操作箱の間を、電源線を兼ねたシリアル伝送線、電源コモン線を兼ねたシリアル伝送コモン線、グランド線、電話線及び電話コモン線の5本の信号線により結線し、
制御盤に設けた電源部及びシリアル送受信部を操作箱に設けた電源部及びシリアル送受信部にシリアル伝送線とシリアル伝送コモン線を介して接続し、
制御盤及び操作箱のグランド端子を、グランド線を介して接続し、
制御盤に設けた通話回路部を操作箱の電話ジャックに電話線及び電話コモン線を介して接続したことを特徴とする。
(既設信号線の流用)
各信号線は、既設のガス系消火設備に設置している制御盤と操作箱を結線している既設信号線であり、既設信号線の数を超える複数種類の信号を伝送する制御盤と操作箱を、既設の制御盤と操作箱と交換して既設信号線により結線する。
(シリアル伝送)
制御盤に設けたシリアル送受信部は、
操作箱へ送信するデジタル表示信号を回線電圧の変化による電圧モードで送信する電圧送信部と、
操作箱に設けたシリアル送受信部から回線電流の変化による電流モードで送信されたデジタル制御信号を受信する電流受信部と、
を備え、
操作箱に設けたシリアル送受信部は、
制御盤へ送信するデジタル制御信号を回線電流の変化による電流モードで送信する電流送信部と、
制御盤に設けたシリアル送受信部から回線電圧の変化による電圧モードで送信されたデジタル表示信号を受信する電圧受信部と、
を備える。
(シリアル伝送信号の詳細)
制御盤に設けたシリアル送受信部は、操作箱へ送信するデジタル表示信号として、少なくとも火災感知器による火災検知を示す火災表示信号、消火ガスの放出を示す放出表示信号、自動モードの設定を示す自動モード表示信号、手動モードの設定を示す手動モード表示信号、及び所定のガス放出条件が成立した場合に開始するカウントダウンの残り時間を示すカウントダウン表示信号を送信し、
操作箱に設けたシリアル送受信部は、制御盤へ送信するデジタル制御信号として、少なくとも操作箱の扉の開放を示す扉開検知信号、起動スイッチの操作に基づく起動信号、非常停止スイッチの操作に基づく非常停止信号、自動モードの設定操作に基づく自動モード設定信号及び手動モードの設定操作に基づく手動モード設定信号を送信する。
(6本の信号線結線によるガス系消火設備の効果)
本発明のガス系消火設備は、制御盤と操作箱の間を、電線管に通した電源線、電源コモン線、シリアル伝送線、シリアル伝送コモン線、電話線及び電話コモン線の6本の信号線により結線し、制御盤に設けた電源部を操作箱の電源部に電源線と電源コモン線を介して接続し、制御盤に設けたシリアル送受信部を操作箱に設けたシリアル送受信部にシリアル伝送線とシリアル伝送コモン線を介して接続し、制御盤または操作箱の少なくともいずれかのグランド端子を、グランド線として機能する電線管を介して接続し、制御盤に設けた通話回路部を操作箱の電話ジャックに電話線及び電話コモン線を介して接続するようにしたため、制御盤と操作箱との間で電源供給、シリアル伝送、グランド接続及び通話接続を行う場合、通常のシリアル伝送では少なくとも2本の信号線を必要とするため、電源供給の2本、グランド接続の1本、通話接続の2本を加えて、少なくとも合計7本の信号線を必要とするが、本発明にあっては、制御盤及び操作箱のグランド端子をグランド線として機能する電線管を介して接続することで、これにより1本少ない6本で実現することができ、同等の機能をパラレル結線で実現している従来設備の16本、或いは制御盤から操作箱へ表示信号をパラレル送信とした従来設備の13本に比べ、制御盤と操作盤を結線する信号線の数を大幅に低減し、設備構成を簡単にしてコストを低減可能とする。
(5本の信号線と電線管により結線するガス系消火設備の効果)
また、本発明の別の形態にあっては、制御盤と操作箱の間を、電線管を通した電源線、シリアル伝送線、電源コモン線を兼ねたシリアル伝送コモン線、電話線及び電話コモン線の5本の信号線により結線し、制御盤に設けた電源部を操作箱の電源部に電源線とシリアル伝送コモン線を介して接続し、制御盤に設けたシリアル送受信部を操作箱に設けたシリアル送受信部にシリアル伝送線とシリアル伝送コモン線を介して接続し、制御盤または操作箱の少なくともいずれかのグランド端子を、グランド線として機能する電線管を介して接続し、制御盤に設けた通話回路部を操作箱の電話ジャックに電話線及び電話コモン線を介して接続するようにしたため、制御盤と操作箱との間で電源供給、シリアル伝送、グランド接続及び通話接続を行う場合、通常のシリアル伝送では少なくとも2本の信号線を必要とするため、電源供給の2本、グランド接続の1本、通話接続の2本を加えて、少なくとも合計7本の信号線を必要とするが、本発明の別の形態にあっては、制御盤及び操作箱のグランド端子をグランドとして機能する電線管を介して接続し、また、シリアル伝送コモン線を電源コモン線と共用することで、2本少ない5本で実現することができ、同等の機能をパラレル結線で実現している従来設備の16本、或いは制御盤から操作箱へ表示信号をパラレル送信とした従来設備の13本に比べ、制御盤と操作盤を結線する信号線の数を大幅に低減し、設備構成を簡単にしてコストを低減可能とする。
また、電線管を使用せずに、制御盤と操作箱の間を、グランド線を含む6本の信号線で結線する本発明の他の形態についても、基本的に同じ効果が得られる。
(4本の信号線と電線管により結線するガス系消火設備の効果)
本発明の別の形態にあっては、制御盤と操作箱の間を、電線管に通した電源線を兼ねたシリアル伝送線、電源コモン線を兼ねたシリアル伝送コモン線、電話線及び電話コモン線の4本の信号線により結線し、制御盤に設けた電源部及びシリアル送受信部を操作箱に設けた電源部及びシリアル送受信部にシリアル伝送線とシリアル伝送コモン線を介して接続し、制御盤または操作箱の少なくともいずれかのグランド端子を、グランド線として機能する電線管を介して接続し、制御盤に設けた通話回路部を操作箱の電話ジャックに電話線及び電話コモン線を介して接続するようにしたため、制御盤と操作箱との間で電源供給、シリアル伝送、グランド接続及び通話接続を行う場合、通常のシリアル伝送では少なくとも2本の信号線を必要とするため、電源供給の2本、グランド接続の1本、通話接続の2本を加えて、少なくとも合計7本の信号線を必要とするが、本発明の別の形態にあっては、制御盤及び操作箱をグランド線として機能する電線管に接続し、またシリアル伝送線及びシリアル伝送コモン線を電源線及び電源コモン線と共用することで、3本少ない4本で実現することができ、同等の機能をパラレル結線で実現している従来設備の16本、或いは制御盤から操作箱へ表示信号をパラレル送信とした従来設備の13本に比べ、制御盤と操作盤を結線する信号線の数を大幅に低減し、設備構成を簡単にしてコストを低減可能とする。
また、電線管を使用せずに、制御盤と操作箱の間を、グランド線を含む5本の信号線で結線する本発明の他の形態についても、基本的に同じ効果が得られる。
(既設信号線の流用)
各信号線は、既設のガス系消火設備に設置している制御盤と操作箱を結線している既設信号線であり、既設信号線の数を超える複数種類の信号を伝送する制御盤と操作箱を、既設の制御盤と操作箱と交換して既設信号線により結線するように構成したため、制御盤と操作箱の間を6本の信号線で結線している古くなった既存のガス消火設備をリニューアルする場合、電線管に通して設置している6本の既設信号線の全て又は一部を使用し、また必要に応じてグランド線として電線管を使用することで、機能拡張を図った制御盤と操作箱に入れ替える改修工事を可能とし、既設信号線では本数が不足する改修工事のネックを解消し、古くなった設備のリニューアルを簡単且つ容易に押し進めることを可能とする。
(シリアル伝送による効果)
制御盤に設けたシリアル送受信部は、操作箱へ送信するデジタル表示信号を回線電圧の変化による電圧モードで送信する電圧送信部と、操作箱に設けたシリアル送受信部から回線電流の変化による電流モードで送信されたデジタル制御信号を受信する電流受信部とを備え、操作箱に設けたシリアル送受信部は、制御盤へ送信するデジタル制御信号を回線電流の変化による電流モードで送信する電流送信部と、制御盤に設けたシリアル送受信部から回線電圧の変化による電圧モードで送信されたデジタル表示信号を受信する電圧受信部とを備えるようにしたため、電圧モードと電流モードによる双方向伝送(半二重)とすることで、電源供給とシリアル伝送のコモン線を共用することができ、これにより既設設備の電線管に通して設置している6本の既設信号線又は一部を使用し、更に必要に応じて電線管をグランド線とすることで、機能を拡張した制御盤と操作箱を交換する改修工事を可能とする。
ガス系消火設備の全体構成を示した説明図 ガス系消火設備に設けた制御盤の機能構成を操作箱を含む設備機器と共に示した説明図 操作箱の外観を示した説明図 操作箱の扉を開いて内部を示した説明図 制御盤と操作箱の機能構成を6本の信号線とグランド用電線管による結線と共に示したブロック図 図4の制御盤と操作箱に設けたシリアル送受信部の機能構成を示したブロック図 制御盤と操作箱の間を5本の信号線とグランド用電線管により結線するガス系消火設備の他の実施形態を示したブロック図 制御盤と操作箱の間を4本の信号線とグランド用電線管により結線するガス系消火設備の他の実施形態を示したブロック図 図8の制御盤と操作箱に設けたシリアル送受信部の機能構成を示したブロック図 制御盤と操作箱の間を6本の信号線で結線した従来設備を示した説明図 制御盤の操作機能と表示機能を操作箱に持たせる機能拡張を図って16本の信号線でパラレル結線した従来設備を示した説明図 制御盤から操作箱へ表示信号をシリアル伝送して13本の信号線に削減した従来設備を示した説明図
[ガス系消火設備の概要]
(設備構成)
図1はガス系消火設備の全体構成図を示した説明図である。なお、図1の設備構成は一例であり、必要に応じて適宜の構成をとることができる。
図1に示すように、ガス系消火設備にはガス系の消火設備を一括制御する制御盤10を設け、また防護区画A,Bとなる各部屋の外に操作箱12を設置している。操作箱12は起動スイッチと起動スイッチを保護する扉を備え、手動モードを設定している場合、人が火災を発見したときには、扉を開けて起動スイッチを操作することにより制御盤10に起動信号を送信し、消火剤としての消火ガスを放出させる。放出表示灯15は監視区域内に消火ガスが放出されていることを表示し、室内に入らないことを知らせる。
噴射ヘッド11は消火ガスを室内に放出する。スピーカ13は消火ガスが放出されることを放送し、人が警戒区域内に存在する場合は直ちに避難することを促す。消火ガス貯蔵容器16は消火ガスを貯蔵する。
起動装置18は防護区画A,Bに対応して設け、制御盤10から消火ガス放出用の起動信号を受けて内蔵したソレノイドの通電により開弁して二酸化炭素などの開放ガスを放出し、開放ガスにより選択弁17を開放させると共に消火ガス貯蔵容器16の栓を開ける。選択弁17は起動装置18の起動による開放ガスを受けて開き、火災の生じた防護区画A,Bの噴射ヘッド14に消火ガスを供給して噴射させる。
火災感知器11は2回線の感知器回線で各防護区画A,Bの火災を監視している。圧力スイッチ21は消火貯蔵容器16から消火ガスが放出されたことを検出し、制御盤10に検出信号を送り、火災の発生した監視区域に対応した放出表示灯15を点滅させる。ピストンレリーザ19は消火ガスが部屋に放出されたとき消火ガスを室外に漏れないようにダンパーで排煙口を閉じる。閉止弁23は消火ガス貯蔵容器16からの消火ガスの供給を手動で閉止する。
このようなガス系消火設備において、制御盤10に自動モードを設定していた場合には、2系統の回線に接続された各火災感知器11からの火災発報(2回線のAND発報)があった場合に所定時間のカウントダウンを開始し、このカウントダウンが終了するとガス放出条件が成立したと判定し、制御盤10から起動装置18にガス放出信号を出力して動作し、起動装置18から二酸化炭素等の開放ガスを選択弁17に供給して開くと共に消火ガス貯蔵容器16の栓を開け、ガス供給配管21を介して噴射ヘッド14から火災検知した防護区画の室内に消火ガスを放出させる。
また制御盤10に手動モードを設定していた場合には、監視員が目視又は火災感知器11の発報によって例えば防護区画Aの火災を発見し、防護区画Aの外側に設置している操作箱12の扉を開いて起動スイッチを押すことで起動信号を制御盤10に送信してカウントダウンを開始させ、カウントダウンが終了するとガス放出条件が成立したと判定し、自動モードの場合と同様にして防護区画の噴射ヘッド14から消火ガスを放出させる。
このような自動モード又は手動モードを設定した場合の動作においては、制御盤10から各操作箱12へ、あるいは各操作箱12から制御盤10に対して、各種の信号が伝送される。
(制御盤の構成)
図2はガス系消火設備に設けた制御盤の機能構成を操作箱を含む設備機器と共に示した説明図である。
図2に示すように、制御盤10は図1に示した防護区画A,Bの火災を監視すると共に火災に伴う消火ガスの放出制御を行うものであり、制御部100を備え、制御部100に対し表示部102、操作部104、警報部105、移報部106、電源部108及び蓄電池を備えた予備電源部110を設けている。
制御部100に対し受信回路部112を接続し、受信回路部112から一つの防護区画に対し感知器回線を2回線引き出して火災感知器11をそれぞれ接続している。
また、制御部100に対し操作箱送受信部114を接続し、操作箱送受信部114と防護区画の入口に設けた操作箱12との間を、電線管(図示せず)に通した6本の信号線で接続している。
制御部100には、受信回路部115を介して閉止弁23に設けた閉止弁閉検出スイッチを接続し、また、受信回路部116を介してガス放出を検出してオンする圧力スイッチ21を接続している。
また、制御部100に対し受信回路部118と駆動回路部120を接続し、防護区画にシャッター130を設けている場合、駆動回路部120から閉鎖駆動信号をシャッター130に出力して閉鎖し、シャッター閉鎖信号を受信回路部118で受信するようにしている。
また、制御部100は駆動回路部122を介して防護区画に設けたスピーカ15に接続し、ガス放出に先立つカウントダウン中に避難退避を促す放送音を出力するようにしている。
また、制御部100に対し音響鳴動選択駆動回路部124を介してベル132及びサイレン134を接続し、ガス放出に先立つダウンカウント中に防護区画に設けたベル132又はサイレン134を鳴動して火災発生の報知と防護区画からの避難退避を促すようにしている。
また、制御部100に対しては駆動回路部126を介して放出表示灯15を接続しており、圧力スイッチ21によるガス放出の検出信号を受信した場合に放出表示灯15をフリッカ駆動するようにしている。
また、制御部100に対しては駆動回路部126を介して起動装置18を接続しており、カウントダウン終了で放出起動信号を起動装置18に出力して開放ガスを放出し、図1に示した選択弁17の開放及び消火ガス貯蔵容器16の開栓により噴射ヘッド14から消火ガスを放出させる。
表示部102には、電源状態を示す電源灯、火災発生を示す火災灯、手動モードの設定を示す手動モード表示灯、自動モードの設定を示す自動モード表示灯、ガス放出までのカウントダウン時間を表示するカウントダウン表示器、ガス放出動作の起動を示す放出起動灯、ガス放出されたことを示す放出灯等を設けている。
操作部104には、全ての防護区画での動作モードを一括して自動モード又は手動モードに切替えるキースイッチ、手動起動を行う起動スイッチ、カウントダウン中にガス放出を停止させる非常停止スイッチ、警報を停止させる警報停止スイッチ、移報を停止させる移報停止スイッチ等を設けている。
警報部105には警報音を出力するスピーカを設けている。また移報部106には、自動モード、手動モード、火災、起動、ガス放出等の移報信号を出力する無電圧接点回路を設けている。
制御部100は、CPU、メモリ、各種入出力ポートを備えたコンピュータ回路或いはボード実装のディスクリート回路等で構成し、自動モード又は手動モードの設定に基づき防護区画に対するガス放出制御を行う。
制御部100は、自動モードの設定状態を検知していた場合、防護区画に設けた2台の火災感知器11が火災を検知して動作する2回線発報を検知した場合に所定時間のカウントダウンを開始し、カウントダウン終了を検知するとガス放出条件の成立と判定し、起動装置18に放出起動信号を出力する制御を行い、これにより開放動作した起動装置18から二酸化炭素等の開放ガスを図1に示した選択弁17に供給して駆動すると共に消火ガス貯蔵容器16の栓を開け、噴射ヘッド14から消火ガスを放出させる。
また、制御部100は、手動モードの設定状態を検知していた場合には、監視員が目視又は火災感知器11の発報によって火災を発見して操作箱12の起動スイッチを押すことで放出起動信号を受信した場合に所定時間のカウントダウンを開始し、カウントダウンが終了するとガス放出条件の成立と判定し、起動装置18に放出起動信号を出力する制御を行い、これにより開放動作した起動装置18から二酸化炭素等の開放ガスを図1に示した選択弁17に供給して駆動すると共に貯蔵容器16の栓を開け、噴射ヘッド14から消火ガスを放出させる。
また、制御部100は、自動モード又は手動モードの何れにおいても、火災を検知した場合には火災表示信号を、カウンタダウンを開始した場合には残り時間を示すカウントダウン表示信号を、ガス放出動作の起動を検知した場合には放出起動表示信号を、閉止弁の閉止を検知した場合は閉止弁閉表示信号を、後の説明で明らかにするシリアル伝送により操作箱12へ送信して表示させる制御を行う。
(操作箱の構成)
図3は防護区画に設けた操作箱の外観を示した説明図、図4は操作箱の扉を開いた内部を示した説明図である。
図3に示すように、操作箱12は、その扉62の前面側に、消火ガス放出前のカウントダウン時間を表示するカウントダウン表示器60、消火ガスの放出を非常停止するための非常停止スイッチ28、運転モード又は手動モードのモード選択を行うためのキースイッチ45、火災発生を示す火災灯48、ガス放出動作が起動されたことを示す放出起動灯46、操作箱12の電源状態を示す電源灯30、消火ガスを放出させないための閉止弁23が閉じているときに点滅する閉止弁閉表示灯54、手動モード運転時に点灯する手動モード表示灯52、自動モード運転時に点灯する自動モード表示灯50を設けている。
また操作箱12は、図4に示すように、扉62を開いた際に露出する内部に、消火ガスの放出を手動で指示するための起動スイッチ26、扉62が開かれたことを検知する扉開検知スイッチ38を設けている。
[制御盤と操作箱の機能と結線]
(信号線6本と電線管による結線)
図5は制御盤と操作箱の機能構成を6本の信号線とグランド用電線管による結線と共に示したブロック図である。
図5に示すように、制御盤10の操作箱送受信部114には、シリアル送受信部70、地絡検出部36、及び電話ジャック25を備えた通話回路部24を設けている。
また操作箱12には、シリアル送受信部72、表示回路部74及び電話ジャック32を設けている。シリアル送受信部72に対しては操作部として、起動スイッチ26、非常停止スイッチ28、扉開検知スイッチ38、自動モード設定スイッチ40、手動モード設定スイッチ42を設けている。なお、必要に応じてランプテストスイッチ44を設けても良い。また、自動モード設定スイッチ40と手動モード設定スイッチ42は図3に示したキースイッチ45により操作される。
表示回路部74に対しては表示部として、電源灯30、放出起動灯46、火災灯48、自動モード表示灯50、手動モード表示灯52、閉止弁閉表示灯54及び2桁表示のダウンカウント表示器60を設けている。
制御盤10に設けた操作箱送受信部114と操作箱12の間は、電線管35に通した6本の信号線を使用して結線しており、この6本の信号線は、電源線KD、電源コモン線KDC、シリアル伝送線S、シリアル伝送コモン線SC、電話線T及び電話コモン線TCとなる。
具体的には、制御盤10に設けた電源部108(図2参照)からの正負の電源ラインを、電源線KDと電源コモン線KDCを介して操作箱12の電源部となる正負の電源ラインに接続している。
また制御盤10に設けたシリアル送受信部70をシリアル伝送線Sとシリアル伝送コモン線SCを介して操作箱12に設けたシリアル送受信部72に接続している。
制御盤10の金属筐体に設けたグランド端子G1及び操作箱12の金属筐体に設けたグランド端子G2はグランド接続によりグランド線として機能する電線管35に接続しており、電線管35をグランド線として使用することで、制御盤10と操作箱12のグランド電位を同電位としている。
また制御盤10に地絡検出部36を設けて電線管35に接続しており、地絡検出部36はグランド線として機能する電線管35の電位を監視し、所定の電圧範囲を超えた場合又は下がった場合に地絡を検出して図2に示した制御部100により障害警報を出力させる。
なお、操作盤10と操作箱12の間で複数の電線管を継ぎながら設置している設備では、途中で非導電性の電線管が使用されている場合があり、この場合には導電性の電線管の間でグランドを接続していくことで対応できる。
(既存設備のリニューアル)
図5に示した制御盤10と操作箱12の間を6本の信号線で結線する構成は、図10に示した制御盤10と操作箱12の間を6本の信号線で結線している古い設備をリニューアルするための改修工事に適用する。
即ち、図10に示した古い設備に設置している制御盤10と操作箱12を撤去し、その間を結線していた6本の信号線はそのまま電線管に通したまま残し、図2乃至図5に実施形態に示した制御盤10と操作箱12を新たに設置し、既設の6本の信号線とグランド用電線管により図5に示すように結線する改修工事を行う。
この制御盤10と操作箱12を新たなものに交換する改修工事にあっては、それ以外の図1に示した設備機器については、耐用年数を過ぎているか、耐用年数に近づいているものは新品に交換するが、それ以外の機器は旧設備のものをそのまま残し、交換した新たな制御盤10に図2に示すように接続する。
このように古くなった既存のガス消火設備の電線管に通して制御盤と操作箱の間を結線している6本の既設信号線とグランド用電線管を使用して、機能拡張を図った制御盤と操作箱に入れ替える改修工事が可能となり、既設信号線では本数が不足するという改修工事のネックを解消し、古くなった設備のリニューアルを簡単且つ容易に押し進めることができる。
[電圧モードと電流モードによるシリアル伝送]
図6は制御盤と操作箱に設けたシリアル送受信部の機能構成を示したブロック図である。
図6に示すように、制御盤10に設けたシリアル送受信部70は、伝送制御部75、電圧送信部76及び電流受信部78を備える。
電圧送信部76はシリアル伝送線Sに制御盤10側から所定の回線電圧+Vsを常時印加しており、この状態で伝送制御部75を介して入力した操作箱12へ送信する所定形式のデジタル表示信号を回線電圧の変化による電圧パルス列に変換して電圧モードで送信する。即ち電圧送信部76は、制御部75を介して入力するデジタル表示信号について、回線電圧+Vsをビット0に対応した基底レベルとし、ビット1に対応して電源電圧+Vsより所定値高い電圧を印加することで生成した電圧パルスを送信する。
電流受信部78は、操作箱12に設けたシリアル送受信部72から回線電流の変化による電流パルス列に変換して電流モードで送信されたデジタル制御信号を受信して伝送制御部75に出力する。
また、操作箱12に設けたシリアル送受信部72は、伝送制御部80、電圧受信部82及び電流送信部84を備える。電圧受信部82は、制御盤10のシリアル送受信部70に設けた電圧送信部76から回線電圧の変化による電圧パルス列に変換して電圧モードで送信されたデジタル表示信号を受信して伝送制御部80に出力する。
電流送信部84は伝送制御部80を介して入力した制御盤10へ送信する所定形式のデジタル制御信号を回線電流の変化による電流パルス列に変換して電流モードで送信する。即ち、電流送信部84は、伝送制御部80を介して入力するデジタル制御信号を電流信号に変換して送信する場合、定常的に流れている一定の消費電流をビット0に対応した基底電流とし、ビット1に対応して所定値だけ電流を増加させることで生成した電流パルスを送信する。
なお、デジタル表示信号及びデジタル制御信号の形式は、同期信号、送信元アドレス、送信先アドレス、コマンド、チェックコード等を含む形式とする。
このような2本の信号線を使用して異なる方向にデジタル信号を電圧モードと電流モードで伝送するシリアル伝送は、R型として知られたアドレスを設定した火災感知器単位に火災を監視して受信機で火災警報を出力する火災報知設備で本願出願人が実用化しており、受信機から引き出した感知器回線は電源兼用信号線として使用する必要があり、このため火災感知器に対する電源供給と受信機と火災感知器との間の信号伝送を同時に行うシリアル伝送となる。
火災感知器のように消費電力が少ない場合には電源供給線をシリアル伝送線に兼用でき、また、本実施形態の操作箱のように消費電力が比較的大きい場合には専用の電源線と電源コモン線を設けるが望ましい。
また、後述する信号線を5本とする他の実施形態では、シリアル伝送コモン線を電源コモン線に共用し、更に、後述する信号線を4本とする他の実施形態では、操作箱側の消費電流を一定に保つ工夫を行うことで、シリアル伝送線及びシリアル伝送コモン線を電源線及び電源コモン線に共用することもできる。
また、電線管をグランド線として使用することにより6本の信号線による結線が可能となることで、制御盤10に対し複数の操作箱12をマルチドロップに接続して半二重のシリアル伝送を可能とするRS485を使用することもできる。
[5本の信号線によるガス系消火設備]
(5本の信号線と電線管による結線)
図7は制御盤と操作箱の間を5本の信号線とグランド用電線管により結線するガス系消火設備の他の実施形態を示したブロック図である。
図7に示すように、制御盤10の操作箱送受信部114には、シリアル送受信部70、地絡検出部36、及び電話ジャック25を備えた通話回路部24を設けている。また操作箱12には、シリアル送受信部72、表示回路部74及び電話ジャック32を設けている。
シリアル送受信部72に対しては操作部として、起動スイッチ26、非常停止スイッチ28、扉開検知スイッチ38、自動モード設定スイッチ40、手動モード設定スイッチ42及びランプテストスイッチ44を設けている。なお、自動モード設定スイッチ40と手動モード設定スイッチ42は図2に示したキースイッチ45により操作される。表示回路部74に対しては表示部として、電源灯30、放出起動灯46、火災灯48、自動モード表示灯50、手動モード表示灯52、閉止弁閉表示灯54及び2桁表示のダウンカウント表示器60を設けている。
これらの構成は図5の実施形態と基本的に同じであるが、本実施形態では、制御盤10に設けた操作箱送受信部114と操作箱12の間を、電線管35に通した電源線KD、シリアル伝送線S、電源コモン線を兼用したシリアル伝送コモン線SC、電話線T及び電話コモン線TCの5本の信号線により結線している。なお、後述するリニューアルの工事で既設の電線管に通している6本の信号線を使用する場合には、1本が未使用の空き線90となる。
具体的には、制御盤10に設けた電源部108(図2参照)からの正負の電源ラインを、電源線KDとシリアル伝送コモン線SCを介して操作箱12の電源部となる正負の電源ラインに接続している。
また制御盤10に設けたシリアル送受信部70をシリアル伝送線Sとシリアル伝送コモン線SCを介して操作箱12に設けたシリアル送受信部72に接続している。このシリアル伝送用の信号線について、コモン側は電源コモン線と共用しており、したがって電源供給とシリアル伝送に必要な信号線は3本で済む。
また、制御盤10の金属筐体に設けたグランド端子G1及び操作箱12の金属筐体に設けたグランド端子G2はグランド接続した電線管35に接続し、電線管35をグランド線として使用することで、制御盤10と操作箱12のグランド電位を同電位としている。
また制御盤10に地絡検出部36を設けて電線管35に接続しており、地絡検出部36はグランド線として機能する電線管35の電位を監視し、所定の電圧範囲を超えた場合又は下がった場合に地絡を検出して図2に示した制御部100により障害警報を出力させる。
図7の実施形態における制御盤10のシリアル送受信部70及び操作箱12のシリアル送受信部72の構成及び動作は、図6の実施形態と同じになる。
しかしながら、5本の信号線を使用する図7のシリアル伝送には、RS485は使用できない。RS485は一対の信号ライン上に最大32台の装置を芋づる式に接続できるシリアル通信方式であり、電源供給は個々の装置で行っており、ある装置から別の装置に電源を供給する場合には別途一対の電源ラインが必要であり、本実施形態のように電源コモン線をRS485の一方の信号ラインと共用するような使い方はできない。
(既存設備の信号線5本を利用したリニューアル)
図7に示した制御盤10と操作箱12の間を5本の信号線とグランド用電線管で結線する構成は、図10に示した制御盤10と操作箱12の間を6本の信号線で結線している古い設備をリニューアルするための改修する場合、古い設備に設置している制御盤10と操作箱12を撤去し、その間を結線していた6本の信号線は電線管に通したまま残し、図7の実施形態に示した制御盤10と操作箱12を新たに設置し、既設の6本の信号線の内の5本とグランド用の電線管により図7に示すように結線する改修工事を行う。
このように古くなった既存のガス消火設備の電線管に通して制御盤と操作箱の間を結線している6本の既設信号線の内の5本と電線管をグランド線に使用して、機能拡張を図った制御盤と操作箱に入れ替える改修工事が可能となり、既設信号線では本数が不足するという改修工事のネックを解消し、古くなった設備のリニューアルを簡単且つ容易に押し進めることができる。
(6本の信号線による結線)
図7の実施形態にあっては、グランド線として機能する電線管35を使用することで、制御盤10と操作箱12の間を6本の信号線で結線している古い設備をリニューアルする場合に、1本の空き線90が発生する。そこで、空き線90をグランド線として制御盤10の金属筐体に設けたグランド端子G1及び操作箱12の金属筐体に設けたグランド端子G2を接続するようにしても良い。
[4本の信号線によるガス系消火設備]
(4本の信号線と電線管による結線)
図8は制御盤と操作箱の間を4本の信号線とグランド用電線管により結線するガス系消火設備の他の実施形態を示したブロック図である。
図8に示すように、制御盤10の操作箱送受信部114には、シリアル送受信部70、地絡検出部36、及び電話ジャック25を備えた通話回路部24を設けている。また操作箱12には、シリアル送受信部72、表示回路部74及び電話ジャック32を設けている。
シリアル送受信部72に対しては操作部として、起動スイッチ26、非常停止スイッチ28、扉開検知スイッチ38、自動モード設定スイッチ40、手動モード設定スイッチ42及びランプテストスイッチ44を設けている。なお、自動モード設定スイッチ40と手動モード設定スイッチ42は図2に示したキースイッチ45により操作される。表示回路部74に対しては表示部として、電源灯30、放出起動灯46、火災灯48、自動モード表示灯50、手動モード表示灯52、閉止弁閉表示灯54及び2桁表示のダウンカウント表示器60を設けている。
これらの構成は図5の実施形態と基本的に同じであるが、本実施形態では、制御盤10に設けた操作箱送受信部114と操作箱12の間を、電線管35に通した電源線を兼用したシリアル伝送線S、電源コモン線を兼用したシリアル伝送コモン線SC、電話線T及び電話コモン線TCの4本の信号線により結線している。なお、後述するリニューアルの工事で既設の電線管に通している6本の信号線を使用する場合には、2本が未使用の空き線90,92となる。
具体的には、制御盤10に設けたシリアル送受信部70を電源線を兼ねたシリアル伝送線Sと電源コモン線を兼ねたシリアル伝送コモン線SCを介して操作箱12に設けたシリアル送受信部72に接続している。このシリアル伝送用の2本の信号線について、電源用の2本の信号線と共用しており、したがって電源供給及びシリアル伝送に必要な信号線は2本で済む。
また、制御盤10の金属筐体に設けたグランド端子G1及び操作箱12の金属筐体に設けたグランド端子G2はグランド接続した電線管35に接続し、電線管35をグランド線として使用することで、制御盤10と操作箱12のグランド電位を同電位としている。
また、制御盤10に地絡検出部36を設けて電線管35に接続しており、地絡検出部36はグランド線として機能する電線管35の電位を監視し、所定の電圧範囲を超えた場合又は下がった場合に地絡を検出して図2に示した制御部100により障害警報を出力させる。
(既存設備の信号線4本を利用したリニューアル)
図8に示した制御盤10と操作箱12の間を4本の信号線とグランド用電線管で結線する構成は、図10に示した制御盤10と操作箱12の間を6本の信号線で結線している古い設備をリニューアルするための改修する場合、古い設備に設置している制御盤10と操作箱12を撤去し、その間を結線していた6本の信号線は電線管に通したまま残し、図8の実施形態に示した制御盤10と操作箱12を新たに設置し、既設の6本の信号線の内の4本とグランド用の電線管により図8に示すように結線する改修工事を行う。
このように古くなった既存のガス消火設備の電線管に通して制御盤と操作箱の間を結線している6本の既設信号線の内の5本と電線管をグランド線に使用して、機能拡張を図った制御盤と操作箱に入れ替える改修工事が可能となり、既設信号線では本数が不足するという改修工事のネックを解消し、古くなった設備のリニューアルを簡単且つ容易に押し進めることができる。
(電圧モードと電流モードによるシリアル伝送)
図9は図8の制御盤と操作箱に設けたシリアル送受信部の機能構成を示したブロック図である。
図9に示すように、制御盤10に設けたシリアル送受信部70は、伝送制御部75、電圧送信部76及び電流受信部78を備え、また、操作箱12に設けたシリアル送受信部72は、伝送制御部80、電圧受信部82及び電流送信部84を備え、この点は図6の場合と基本的に同じになるが、両者の間を電源線を兼ねたシリアル伝送線Sと電源コモン線を兼ねたシリアル伝送コモン線SCで結線している点で相違する。
このように制御盤10から操作盤12に電源を供給するため、制御盤側のシリアル送受信部70に設けた電圧送信部76は、図2に示した電源部108から操作箱側へ供給する電源電圧+Vcの印加を受け、この電源電圧+Vcを電源線を兼ねたシリアル伝送線Sと電源コモン線を兼ねたシリアル伝送コモン線SCにより操作箱12に電源供給している。
また、伝送制御部75を介して入力するデジタル表示信号について電圧送信部76は、電源電圧+Vcをビット0に対応した基底レベルとし、ビット1に対応して電源電圧+Vcより所定値高い電圧を印加することで生成した電圧パルスを送信する。これにより操作箱12側はデジタル表示信号のシリアル伝送中においても常に安定した電源供給を制御盤10側から受けることができる。
また、操作箱12側のシリアル送受信部72には、電圧受信部82の出力電圧から操作箱12側の電源電圧を生成する電源部86を設けている。電源部86は定電流機能を備え、電源部86から操作箱負荷に供給する電源電流を一定に保つようにしている。このような電源部86の定電流機能により、制御部10側のシリアル送受信部70から操作箱12側のシリアル送受信部72に電源線を兼ねたシリアル伝送線Sと電源コモン線を兼ねたシリアル伝送コモン線SCを介して流れる定常状態での消費電流(負荷電流)が一定となるようにしている。
このため操作箱12側のシリアル送受信部72に設けた電流送信部84は、伝送制御部80を介して入力するデジタル制御信号を電流信号に変換して送信する場合、定常的に流れている一定の消費電流をビット0に対応した基底電流とし、ビット1に対応して所定値だけ電流を増加させることで生成した電流パルスを送信する。
また、操作箱12の消費電流は常に一定とは限らず、動作状態により消費電流が変化する。このため電源部85に定電流機能を設けていた場合、表示動作等により消費電流が定電流値を超えると電源電圧がドロップする場合がある。これを解消するため電源部85に設けた定電流回路部の出力側に容量の大きなコンデンサを設け、消費電流の一時的な増加に対する電圧ドロップを抑えるようにしている。
なお、図8に示した操作箱12にはカウントダウン表示器60を設けているが、制御盤10から操作箱12へ電源線を兼ねたシリアル伝送線Sと電源コモン線を兼ねたシリアル伝送コモン線SCによる電源供給電力は電源部86による制約を受けることから、消費電力を低減するために、カウントダウン表示器60として残像機能を備えた7セグメント表示器を使用することが望ましい。
(5本の信号線による結線)
図8の実施形態にあっては、グランド線として機能する電線管35を使用することで、制御盤10と操作箱12の間を6本の信号線で結線している古い設備をリニューアルする場合に、2本の空き線90,92が発生するが、例えば空き線90をグランド線として制御盤10の金属筐体に設けたグランド端子G1及び操作箱12の金属筐体に設けたグランド端子G2を接続するようにしても良い。
[本発明の変形例]
(新設設備)
上記の実施形態は、電線管に通した既設信号線を利用して既設の制御盤と操作箱を本実施形態の機能を拡張した制御盤と操作箱に入れ替えるリニューアルのための改修工事を例にとっているが、新設するガス系消火設備についても同じ構成をそのまま適用することができ、この場合には、制御盤と操作箱とを結線する電線管に通した信号線の本数が4〜6本となり、図11及び図12に示した同等の機能を備えたガス系消火設備に対し信号線数を大幅に低減して設備工事が簡単となり、コスト低減を可能とする。
(その他)
また、本発明は上記の実施形態に限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
10:制御盤
11:火災感知器
12:操作箱
13:スピーカ
14:噴射ヘッド
15:放出表示灯
16:消火ガス貯蔵容器
17:選択弁
18:起動装置
21:圧力スイッチ
23:閉止弁
24;通話回路部
25,32:電話ジャック
26:起動スイッチ
28:非常停止スイッチ
30:電源灯
35:電線管
36:地絡検出部
38:扉開検知スイッチ
40:自動モード設定スイッチ
42:手動モード設定スイッチ
44:ランプテストスイッチ
46:放出起動灯
48:火災灯
50:自動モード表示灯
52:手動モード表示灯
54:閉止弁閉表示灯
60:ダウンカウント表示器
70,72:シリアル送受信部
74:表示回路部
75,80:伝送制御部
76:電圧送信部
78:電流受信部
82:電圧受信部
84:電流送信部
85:電源部

Claims (8)

  1. 防護区画に設けた操作箱と制御盤との間で、各種信号を伝送するガス系消火設備に於いて、
    前記制御盤と前記操作箱の間を、電線管に通した、電源線、電源コモン線、シリアル伝送線、シリアル伝送用コモン線、電話線及び電話コモン線の6本の信号線により結線し、
    前記制御盤に設けた電源部を前記操作箱の電源部に前記電源線と前記電源コモン線を介して接続し、
    前記制御盤に設けたシリアル送受信部を前記操作箱に設けたシリアル送受信部に前記シリアル伝送線と前記シリアル伝送コモン線を介して接続し、
    前記制御盤または前記操作箱の少なくともいずれかのグランド端子を、グランド線として機能する前記電線管を介して接続し、
    前記制御盤に設けた通話回路部を前記操作箱の電話ジャックに前記電話線及び前記電話コモン線を介して接続したことを特徴とするガス系消火設備。
  2. 防護区画に設けた操作箱と制御盤との間で、各種信号を伝送するガス系消火設備に於いて、
    前記制御盤と前記操作箱の間を、電線管に通した、電源線、シリアル伝送線、電源コモン線を兼ねたシリアル伝送コモン線、電話線及び電話コモン線の5本の信号線により結線し、
    前記制御盤に設けた電源部を前記操作箱の電源部に前記電源線と前記シリアル伝送コモン線を介して接続し、
    前記制御盤に設けたシリアル送受信部を前記操作箱に設けたシリアル送受信部に前記シリアル伝送線と前記シリアル伝送コモン線を介して接続し、
    前記制御盤または前記操作箱の少なくともいずれかのグランド端子を、グランド線として機能する前記電線管を介して接続し、
    前記制御盤に設けた通話回路部を前記操作箱の電話ジャックに前記電話線及び前記電話コモン線を介して接続したことを特徴とするガス系消火設備。
  3. 防護区画に設けた操作箱と制御盤との間で、各種信号を伝送するガス系消火設備に於いて、
    前記制御盤と前記操作箱の間を、電源線、シリアル伝送線、電源コモン線を兼ねたシリアル伝送コモン線、グランド線、電話線及び電話コモン線の6本の信号線により結線し、
    前記制御盤に設けた電源部を前記操作箱の電源部に前記電源線と前記シリアル伝送コモン線を介して接続し、
    前記制御盤に設けたシリアル送受信部を前記操作箱に設けたシリアル送受信部に前記シリアル伝送線と前記シリアル伝送コモン線を介して接続し、
    前記制御盤及び前記操作箱のグランド端子を、前記グランド線を介して接続し、
    前記制御盤に設けた通話回路部を前記操作箱の電話ジャックに前記電話線及び前記電話コモン線を介して接続したことを特徴とするガス系消火設備。
  4. 防護区画に設けた操作箱と制御盤との間で、各種信号を伝送するガス系消火設備に於いて、
    前記制御盤と前記操作箱の間を、電線管に通した、電源線を兼ねたシリアル伝送線、電源コモン線を兼ねたシリアル伝送コモン線、電話線及び電話コモン線の4本の信号線により結線し、
    前記制御盤に設けた電源部及びシリアル送受信部を前記操作箱に設けた電源部及びシリアル送受信部に前記シリアル伝送線と前記シリアル伝送コモン線を介して接続し、
    前記制御盤または前記操作箱の少なくともいずれかのグランド端子を、グランド線として機能する前記電線管を介して接続し、
    前記制御盤に設けた通話回路部を前記操作箱の電話ジャックに前記電話線及び前記電話コモン線を介して接続したことを特徴とするガス系消火設備。
  5. 防護区画に設けた操作箱と制御盤との間で、各種信号を伝送するガス系消火設備に於いて、
    前記制御盤と前記操作箱の間を、電源線を兼ねたシリアル伝送線、電源コモン線を兼ねたシリアル伝送コモン線、グランド線、電話線及び電話コモン線の5本の信号線により結線し、
    前記制御盤に設けた電源部及びシリアル送受信部を前記操作箱に設けた電源部及びシリアル送受信部に前記シリアル伝送線と前記シリアル伝送コモン線を介して接続し、
    前記制御盤及び前記操作箱のグランド端子を、前記グランド線を介して接続し、
    前記制御盤に設けた通話回路部を前記操作箱の電話ジャックに前記電話線及び前記電話コモン線を介して接続したことを特徴とするガス系消火設備。
  6. 請求項1乃至5の何れかに記載のガス系消火設備に於いて、前記各信号線は、既設のガス系消火設備に設置している制御盤と操作箱を結線している既設信号線であり、前記既設信号線の数を超える複数種類の信号を伝送する制御盤と操作箱を、前記既設の制御盤と操作箱と交換して前記既設信号線により結線するように構成したことを特徴とするガス系消火設備。
  7. 請求項1乃至5の何れかに記載のガス系消火設備に於いて、
    前記制御盤に設けたシリアル送受信部は、
    前記操作箱へ送信するデジタル表示信号を回線電圧の変化による電圧モードで送信する電圧送信部と、
    前記操作箱に設けたシリアル送受信回路部から回線電流の変化による電流モードで送信されたデジタル制御信号を受信する電流受信部と、
    を備え、
    操作箱に設けたシリアル送受信部は、
    制御盤へ送信するデジタル制御信号を回線電流の変化による電流モードで送信する電流送信部と、
    制御盤に設けたシリアル送受信回路部から回線電圧の変化による電圧モードで送信されたデジタル表示信号を受信する電圧受信部と、
    を備えたことを特徴とするガス系消火設備。
  8. 請求項7記載のガス系消火設備に於いて、
    前記制御盤に設けた前記シリアル送受信部は、前記操作箱へ送信するデジタル表示信号として、少なくとも火災感知器による火災検知を示す火災表示信号、消火ガスの放出を示す放出表示信号、自動モードの設定を示す自動モード表示信号、手動モードの設定を示す手動モード表示信号、及び所定のガス放出条件が成立した場合に開始するカウントダウンの残り時間を示すカウントダウン表示信号を送信し、
    前記操作箱に設けた前記シリアル送受信部は、前記制御盤へ送信するデジタル制御信号として、少なくとも操作箱の扉の開放を示す扉開検知信号、起動釦の操作に基づく起動信号、非常停止釦の操作に基づく非常停止信号、自動モードの設定操作に基づく自動モード設定信号及び手動モードの設定操作に基づく手動モード設定信号を送信することを特徴とするガス系消火設備。
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