以下、本発明の一実施形態として、三角おにぎりの包装に用いられる食品用包装材及びこの食品用包装材により包装された食品包装体について、図1ないし図13を参酌して説明する。
図1ないし図3に示す如く、本実施形態に係る食品用包装材1は、互いに直交する方向の一方が他方よりも長い形状を有する一対のシート(外シート2、内シート3)が、三角おにぎりに巻く海苔等のシート状食品4を挟んで重ね合わせられ、シート状食品4を囲むようにして、長手方向の一端10a側及び他端10b側の端部接合部11,11と両側部の側部接合部12,12により四方が封止された本体10を備える。なお、以下では、上記一方(図2及び図3では、上下方向)を「長手方向」といい、上記他方(図2及び図3では、左右方向)を「幅方向」という。
外シート2は、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱溶着性を有するプラスチックシートからなり、長手方向に二つ折りにした状態で食品を包み込める大きさの矩形状ないし略矩形状(長方形状ないし略長方形状)を有する。
内シート3も、ポリエチレンやポリプロピレン等の熱溶着性を有するプラスチックシートからなり、長手方向に二つ折りにした状態で食品を包み込める大きさの矩形状ないし略矩形状(長方形状ないし略長方形状)を有する。また、内シート3は、長手方向に沿って内端部同士が重ね合わせられた一対の内シート3,3からなり、内端部同士が重ね合わせられた状態の大きさが外シート2と同じ大きさである。本実施形態においては、内シート3,3の内端部同士の重ね合わせ部30は、内シート3の幅方向の中央部に設けられる。
端部接合部11は、内シート3,3の内端部同士の重ね合わせ部30を除き、外シート2及び内シート3の一端10a及び他端10bに沿って外シート2及び内シート3をヒートシールすることにより形成される。側部接合部12は、外シート2及び内シート3の側縁に沿って外シート2及び内シート3をヒートシールすることにより形成される。なお、本実施形態においては、側部接合部12には、幅方向に通気可能なように連通部12aが長手方向に適宜間隔で設けられ、側部接合部12は、連通部12aによって複数に分割された形態となる。
このようにして構成された本体10の内部がシート状食品4の収容部となるが、外シート2の一端10aには、幅方向に所定間隔を有して離間する一対の切込線20,20が形成される。切込線20は、全切線、半切線(ハーフカット)、ミシン目等によって形成され、切込線20の形成によって開封起点としての摘み部21が形成される。そして、摘み部21から外シート2の他端10bにかけて、帯状又は線状の開封用条体5が設けられる。開封用条体5は、例えば、外シート2の内面に貼着されるカットテープや糸等である。これにより、摘み部21を引き下ろすことにより、開封用条体5が所定の幅で外シート2を破断し、外シート2が幅方向(左右)に分離(分割)可能となる。本実施形態においては、開封用条体5は、外シート2の幅方向の中央部に設けられ、内シート3,3の内端部の重ね合わせ部30と重なる。
図4に示す如く、開封用条体5は、一対設けられ、一端5aから他端5bにかけて、二つの波が形成されるよう、長手方向(本実施形態においては、外シート2の幅方向の中心線)に対して蛇行した形で、外シート2に全長に亘って貼着される。そして、一対の開封用条体5,5が長手方向(本実施形態においては、外シート2の幅方向の中心線)に対して線対称に設けられることで、一端5aから他端5bにかけて、二箇所で交差して第一交点5c及び第二交点5dが設けられるとともに、一端5aと第一交点5cとの間に、第一幅広部50が形成され、第一交点5cと第二交点5dとの間に、第二幅広部51が形成される。本実施形態においては、開封用条体5,5は、一端5aから他端5bにかけて、小さい波と大きい波の二つの波が形成されるように外シート2に貼着され、これにより、第一幅広部50よりも第二幅広部51の方が、幅が広く、長手方向における長さが長くなっている。
なお、図5に示す如く、この種の食品用包装材1は、量産性の観点から、外シート2及び内シート3の長尺原反を包装材製造装置に供給し、搬送しながら、搬送過程で種々の工程(開封用条体5,5の貼着工程、内シート3,3の重ね合わせ工程、外シート2及び内シート3,3の重ね合わせ工程、接合部11,12の形成工程等)が加えられて、連続的に製造される。そこで、開封用条体5,5も、外シート2の長尺原反に応じて長尺なものが用いられ、外シート2の長尺原反の搬送に伴い、外シート2の幅方向の中心線を中心として、左右交互に蛇行しつつ波形に貼着される。より詳しくは、開封用条体5,5は、互いに交差しながら小さい波と大きい波を1ピッチとして繰り返すようにして、外シート2の長尺原反の幅方向の中心線に沿って貼着される。そして、切断予定線CLに沿って食品用包装材1,1間を幅方向に切断することで、複数の食品用包装材1,…が個別に分離され、これに伴い、開封用条体5,5も切断予定線に沿って切断される。
したがって、図4に戻り、開封用条体5,5の一端5a,5aの間隔及び接線と、他端5b,5bの間隔及び接線とは、一致し、食品用包装材1の一端10aと他端10bとを一致させると、開封用条体5,5の一端5a,5aと他端5b,5bとは連続した状態となる。
ここで、食品用包装材1の一端10a(開封用条体5,5の一端5a,5a)から第一交点5c(すなわち、第一幅広部50の終端)までの距離L5acは、食品用包装材1の全長L1に対し、16%以上、あるいは20%以上、あるいは24%以上であって、40%以下、あるいは35%以下、あるいは30%以下の範囲となるように、設定される(以下、「構成1-1」という。)。第一交点5c(すなわち、第一幅広部50の終端点でもあり、第二幅広部51の始端でもある)から第二交点5d(すなわち、第二幅広部51の終端)までの距離L5cdは、食品用包装材1の全長L1に対し、54%以上、あるいは60%以上、あるいは63%以上であって、82%以下、あるいは76%以下、あるいは73%以下の範囲となるように、設定される(以下、「構成1-2」という。)。食品用包装材1の一端10aから第二交点5d(すなわち、第二幅広部51の終端)までの距離L5adは、食品用包装材1の全長L1に対し、82%以上、あるいは87%以上、あるいは90%以上の範囲となるように、設定される(以下、「構成1-3」という。)。これらにより、第一交点5c(すなわち、第一幅広部50の終端でもあり、第二幅広部51の始端でもある)は、外フィルム2の一端10a側半分における長手方向の中間領域に配置され、第二交点5d(すなわち、第二幅広部51の終端)は、外フィルム2の他端10b側半分における他端10b側領域に配置される。
第一幅広部50の最大幅(最大幅における開封用条体5,5の外側縁間の距離)W5aは、シート状食品4の幅W4に対し、6%以上、あるいは9%以上であって、24%以下、あるいは20%以下、あるいは15%以下の範囲となるように、設定される(以下、「構成2-1」という。)。第二幅広部51の最大幅(最大幅における開封用条体5,5の外側縁間の距離)W5bは、シート状食品4の幅W4に対し、20%以上、あるいは25%以上であって、40%以下、あるいは36%以下、あるいは32%以下の範囲となるように、設定される(以下、「構成2-2」という。)。第一幅広部50の最大幅W5aに対する第二幅広部51の最大幅W5bの比(W5b/W5a)は、182%以上、あるいは187%以上、あるいは190%以上であって、300%以下、あるいは295%以下、あるいは292%以下の範囲となるように、設定される(以下、「構成2-3」という。)。ちなみに、開封用条体5,5及びシート状食品4のいずれも、食品用包装材1の幅方向の中心線を中心として左右均等ないし略均等に配置されている。
食品用包装材1(本体10)の四隅の角部には、切欠部13が形成される。切欠部13は、食品用包装材1を用いて食品を包装する際の、両側の余分なシート片の一部を切欠部13により無くすことにより、両側の余分なシート片を中心側に折って三角形状ないし略三角形状にするにあたり、シート片の重なりを少なくするためのものである。
図6に示す如く、切欠部13は、食品用包装材1の一端10a又は他端10bから長手方向に沿って所定長さ延びる第一の外形線13aと、第一の外形線13aの終端を始端として食品用包装材1の側縁に延びる第二の外形線13bとで構成される。本実施形態においては、第一の外形線13aは、長手方向と平行な直線であり、第二の外形線13bは、食品用包装材1の側縁に対して鋭角(例えば30ないし60度)に交わる直線の斜線である。
切欠部13と食品用包装材1の側縁とが交わる部分(第二の外形線13bの終端)から食品用包装材1の側縁の所定範囲にかけては、食品用包装材1の側縁に沿って鋸歯状の易破断部14が形成される。すなわち、食品用包装材1の一端10a側の両側端部には、切欠部13と隣接して易破断部14が形成される。易破断部14は、各開封用条体5に対応して設けられ、易破断部14から幅方向に食品用包装材1を破断しやすくするためのものである。
易破断部14は、同一形状の三角形状の凸部が横並びとなることで同一形状の山及び谷が連続する鋸歯状に形成される。また、易破断部14は、各凸部の先端(三角形の頂点)を通る線が食品用包装材1の側縁よりも幅方向内方にオフセットするように形成される。そこで、切欠部13及び易破断部14は、上述した食品用包装材1の分離工程後、あるいは分離工程と同時に、図6(a)に示すハッチング領域を打ち抜くことで、同時に形成される。もちろん、切欠部13と易破断部14とを別々に形成するようにしてもよい。
ここで、図7に示す如く、食品用包装材1の一端10aの折端が一致し、かつ、食品用包装材1の両側端部の易破断部14,14のそれぞれ最も一端10a側の端部同士、より詳しくは、それぞれ最も一端10a側に位置する凸部14a,14a同士が重なるように、食品用包装材1の一端10a側の両側を内側に斜めに扁平に折り畳んだ状態において、易破断部14,14の両端間の幅W14は、開封用条体5,5の第二幅広部51の最大幅W5bに対し、180%以上、あるいは190%以上、あるいは195%以上であって、250%以下、あるいは240%以下、あるいは235%以下の範囲となるように、設定される(以下、「構成3」という。)。好ましくは、幅W14は、幅W5bの約200%(約2倍)に設定される。
本実施形態に係る食品用包装材1は、以上の構成からなり、次に、この食品用包装材1を用いた食品の包装方法について説明する。
まず、図8(a)に示す如く、食品用包装材1の内シート3の上に三角おにぎり6を載せる。このとき、三角おにぎり6が内フィルム3,3の重ね合わせ部30の上に左右均等に載り、かつ、三角おにぎり6の一つの角部が食品用包装材1の一端10a側の摘み部21に向くように三角おにぎり6を配置する。
次に、同図(b)に示す如く、食品用包装材1を、一端10a側とこれに対向する他端10b側を合わせるように長手方向に二つ折りにし、折った側の部分は、三角おにぎり6の側面(三角形状の斜面)にも沿うように折る。これにより、食品用包装材1の長手方向の一端10a側半分が三角おにぎり6の正面を覆い、他端10b側半分が三角おにぎり6の背面を覆うとともに、食品用包装材1の両側(左右)のシート片16,16が食品用包装材1の一端10aと他端10bの位置がずれた状態となって余る。
そこで、同図(c)に示す如く、両側のいずれか一方の余分なシート片16を折って、食品用包装材1の、三角おにぎり6の背面を覆っている部分の上に重ね、その上に、図9(a)に示す如く、他方の余分なシート片16を折って、食品用包装材1の、三角おにぎり6の背面を覆っている部分の上に重ねて、三角形状ないし略三角形状にする。
このとき、食品用包装材1の両側端部の易破断部14,14のそれぞれ最も一端10a側の端部同士、より詳しくは、それぞれ最も一端10a側に位置する三角形状の凸部14a,14a同士が重なるように、食品用包装材1の両側のシート片16,16を折る(図7参照)。なお、食品用包装材1で包装すると、両側端部の易破断部14,14のそれぞれ最も一端10a側の端部同士が自然に重なるようになるのが、三角おにぎり6の標準的な厚み(奥行方向の幅)である。
そして、図9(b)に示す如く、両側の余分なシート片16,16の、切欠部13によって互いに重なっていないそれぞれの部分を、食品用包装材1の、三角おにぎり6の背面を覆っている部分にポイントシール等により接合し(接合部18)、食品用包装材1を、三角おにぎり6を包み込んだ状態に固定する。そして、同図(c)に示す如く、その上に、ラベル8を貼付する。なお、接合部の形状は図示のような円形状に限らず、長円形状、楕円形状、多角形状、線状等の種々の形状とすることができ、接合部の数も、二箇所に限らず、三箇所以上としたり、幅方向に長い大きな接合部を一箇所施すようにしてもよい。
これにより、食品包装体は一応完成する。しかし、略三角形状のそれぞれ角部には、複数枚のシート(本実施形態においては、外シート2のシートが四枚、内シート3のシートが四枚、合計八枚のシート)が重なって扁平状となった耳片17が形成され、各耳片17は、耳片17の突出方向の軸回りに余分なシート片が折り畳まれただけである。折り畳まれているので、基本的には開口は生じていないが、折り畳みが不十分であったり、折り畳まれたシートの弾発力により、開口が生じる可能性は否定できない。そして、これにより、食品包装体の内外が連通した状態となり、ここから異物等が混入する余地が残る。そこで、さらなる工程として、耳片17に封止部17aが形成される。
最後に、図10(a)に示す如く、食品包装体の正面に、ラベル7を貼付する。このラベル7は、商品名、おにぎりの中味(具材)、価格、商品のイメージ画像等を表示する印刷がラベル基材の表面に施され、食品包装体が店頭に陳列される際に正面側となる部分に貼着される商品表示ラベルである。これに対し、食品包装体の背面に貼付されるラベル8は、商品名、原材料名、消費期限、製造者等の商品情報を表示する印刷がラベル基材の表面に施された品質表示ラベルである。
なお、ラベル7の上縁(すなわち、ラベル7の縁部のうち、開封用条体5,5による開封起点側に位置する縁部、本実施形態においては、ラベル7は、矩形状ないし略矩形状なので、上辺)及びラベル8の下縁(すなわち、ラベル8の縁部のうち、開封用条体5,5による開封起点側に位置する縁部、本実施形態においては、ラベル8は、矩形状ないし略矩形状なので、下辺)には、開封方向(長手方向)と交差する幅方向に所定間隔を有して並列する複数の切込線からなる易破断部70,80が形成される。これは、ラベル7及び8が開封用条体5,5の一部の上に貼着され、開封用条体5,5による開封の抵抗となるところ、開封用条体5,5がラベル7及び8を破断できるようにしてできるだけ開封の抵抗を少なくするためのものである。
三角おにぎり6を食する際には、図11(a)及び(b)に示す如く、摘み部21を摘んで開封用条体5,5を縦回りに引き回し、外シート2を長手方向に開裂する。この際、開封用条体5,5は、互いに間隔を有する二本のカットテープからなるので、幅広の開裂開口を形成することができる。これにより、外シート2を分断後、外シート2とシート状食品4との接触面積が少なくなる。そして、同図(c)に示す如く、分断された一対の包装体片をそれぞれ側方へ引っ張ることにより、三角おにぎり6をシート状食品4と一体化させた状態で取り出すことができる。
ここで、本実施形態の第一の特徴について、図12を参酌して説明する。
構成1-1により、開封用条体5,5の第一交点5cは、食品包装体の正面に配置され、構成1-1ないし構成1-3により、開封用条体5,5の第二交点5dは、食品包装体の背面のうち、開封用条体5,5による開封終点領域に配置される。すなわち、開封用条体5,5による開封起点(食品用包装材1の一端10a)から食品包装体の正面の主として中央領域まで、開封用条体5,5の第一幅広部50が配置され(構成1-1)、そこから食品包装体の背面の長手方向に亘って開封用条体5,5による開封終点(食品用包装材1の他端10b)領域まで、開封用条体5,5の第二幅広部51が配置され(構成1-1ないし構成1-3)、第二幅広部51の最大幅W5bの部分が三角形状の底辺に相当する食品包装体の底部ないし底部の近傍に配置される(構成1-1ないし構成1-3)。また、構成2-1ないし構成2-3により、第一幅広部50は、第二幅広部51よりも幅狭となり、第二幅広部51は、第一幅広部50よりも幅広となる。
かかる構成によれば、開封起点としての摘み部21は、広すぎず狭すぎない第一幅広部50により、適正な幅となり、摘まみやすいものとなる。また、かかる構成によれば、第二幅広部51の始端から略中間部に位置する最大幅W5bの部分までは、幅が漸次広がっていき、最大幅W5bの部分を超えて終端まで、幅が漸次狭まっていく形状となっている第二幅広部51が、食品包装体の、底部に向かうほど広がっていき、底部から離れるほど狭まっていく形状に対応した配置となるため、食品包装体の三角形状に対応した好適な幅広開封(ワイド開封)を実現することができる。そして、この幅広開封により、開封操作により分断された一対の包装体片をそれぞれ側方へ引っ張る際に、抵抗感なく、引っ張ることができて、円滑に三角おにぎり6をシート状食品4と一体化させることができる。
また、幅広開封という観点からすれば、開封用条体5,5の第一幅広部50の幅は広ければ広いほど好ましい。しかし、そうすると、食品包装体の正面において、開封用条体5,5の曲率が大きくなり、食品包装体の底部に向かう第一幅広部50の幅の拡大率が大きくなるため、外フィルム2の開裂ラインが左右に膨らんでいって開封用条体5,5から脱線するいわゆる開封ずれが生じ、適切でない開封状態となってしまうことがある。しかし、構成2-1によれば、第一幅広部50が過度に幅広となるわけではないため、開封ずれを効果的に防止することができる。
また、食品包装体の正面には、ラベル7が貼付され、開封操作に伴い開封用条体5,5が最初に接触するのはラベル7の上縁である。ラベル7の上縁と交わる開封用条体5,5の部分の幅が狭すぎると(最狭部は第一交点5c)、易破断部70があるとはいえ、開封用条体5,5の当該部分に負荷がかかり過ぎるため、場合によっては、開封用条体5,5が切れてしまい、それより先が開封できなくなることがある。逆に、ラベル7の上縁と交わる開封用条体5,5の部分の幅が広すぎると、ラベル7の破断量が多くなるため、抵抗が増大して開封しにくくなったり、場合によっては、開封ずれが生じ、適切でない開封状態となってしまうことがある。しかし、構成1-1及び構成2-1によれば、ラベル7の上縁と交わる開封用条体5,5の部分の幅は、狭すぎず広すぎず、適切な幅となる、あるいは、そのような適切な幅の部分に上縁が掛かるようにラベル7の形状、貼付位置を設定することがたやすいため、上記の問題を解決することができる。本実施形態のように、ラベルの破断長さが長くなる縦長のラベル7に対しては、極めて有効である。
また、食品包装体の背面には、ラベル8が貼付され、開封操作に伴い開封用条体5,5が最初に接触するのはラベル8の下縁である。ラベル8の下縁と交わる開封用条体5,5の部分の幅が狭すぎると、易破断部80があるとはいえ、開封用条体5,5の当該部分に負荷がかかり過ぎるため、場合によっては、開封用条体5,5が切れてしまい、それより先が開封できなくなることがある。しかし、構成1-1ないし構成1-3及び構成2-2によれば、ラベル8の下縁と交わる開封用条体5,5の部分の幅は、狭すぎないため、上記の問題を解決することができる。
また、ラベル8の下縁と交わる開封用条体5,5の部分がラベル8の下縁に対して外側に広がるように傾斜していると、外フィルム2の開裂ラインが左右に膨らんでいって開封用条体5,5から脱線し、開封ずれが生じやすい。しかし、構成1-1ないし構成1-3によれば、ラベル8の下縁と交わる開封用条体5,5の部分は、最大幅W5bの近傍であるため、略平行か平行に近い状態であり、ラベル8への破断力がラベル8に対して略垂直に働くため、開封ずれを効果的に防止することができる。
また、幅広開封という観点からすれば、開封用条体5,5の第二幅広部51の幅は広ければ広いほど好ましい。しかし、そうすると、食品包装体の背面において、開封用条体5,5の曲率が大きくなり、開封用条体5,5による開封終点(食品包装体の頂部)に向かう第二幅広部51の幅の収束率が大きくなるため、外フィルム2の開裂ラインが開封用条体5,5に追従できなくなって脱線し、開封ずれが生じやすい。しかし、構成2-2及び構成2-3によれば、好適な幅広開封を実現しつつ、第二幅広部51が過度に幅広となるわけではないため、開封ずれを効果的に防止することができる。
また、食品包装体の背面、特に上半分は、食品用包装材1の両側の余分なシート片16,16が折り重ねられていることもあって、肉厚になっている。そのため、開封用条体5,5の当該部分の幅が広すぎると、シートの厚みによる抵抗が増大して開封しにくくなったり、場合によっては、開封用条体5,5がシートを開裂できず、開封が困難となることがある。しかし、構成1-3によれば、開封用条体5,5の当該部分の幅は、第二幅広部51の幅の収束部分に当たり、広すぎないため、上記の問題を解決することができる。特に、開封用条体5,5による開封終点領域(食品包装体の頂部)における開封用条体5,5の幅は、最も狭いあるいはそれに近いものであるため、構成1-3によれば、開封操作を最後に至るまで確実に行うことができ、これにより、確実に一対の包装体片に切り離すことができて、一対の包装体片を円滑に三角おにぎり6から引き抜き、取り除くことができる。
次に、本実施形態の第二の特徴について、図12(b)及び図13を参酌して説明する。
図12(b)に示す如く、構成3により、一方の開封用条体5は、食品用包装材1の両側端部の一方の易破断部14の中間部と交わり、他方の開封用条体5も、両側端部の他方の易破断部14の中間部と交わり、開封用条体5,5による開封に対し、易破断部14が有効に作用することになる。
ところで、三角おにぎり6は、中身(具材)の種類や製造誤差により、厚みにバラツキがある。また、食品用包装材1の包装機の構造上ないし機械精度により包装の均一性にバラツキがある。そうすると、三角おにぎり6の厚みが小さい場合や包装がきつめに行われた場合は、図13(a)に示す如く、食品用包装材1の両側のシート片16,16の折り量(重なり量)が大きくなって、左右の易破断部14,14が中心側に変位(シフト)する。他方、三角おにぎり6の厚みが大きい場合や包装が緩めに行われた場合は、図13(b)に示す如く、食品用包装材1の両側のシート片16,16の折り量(重なり量)が小さくなって、左右の易破断部14,14が外側に変位(シフト)する。そのため、易破断部14の長さが短すぎると、図13(a)、図13(b)のいずれかあるいは両方の場合において、易破断部14が開封用条体5から外れ、易破断部14が作用しなくなるために、抵抗が増大して開封しにくくなったり、場合によっては、開封用条体5,5がシートを開裂できず、開封が困難となったり、さらには、開封用条体5,5の当該部分に負荷がかかり過ぎるため、場合によっては、開封用条体5,5が切れてしまい、それより先が開封できなくなることがある。
しかし、構成3によれば、各開封用条体5が易破断部14の中間部に位置する標準状態に対し、易破断部14が食品用包装材1の幅方向の中心側にも外側にも十分長さを有しているため、上記の問題を解決することができる。構成3によれば、易破断部14,14の両端間の幅W14が開封用条体5,5の第二幅広部51の最大幅W5bの110%以上、あるいは120%以上、あるいは125%以上であって、280%以下、あるいは270%以下、あるいは265%以下の範囲で変化しても、対応可能となる。
なお、開封用条体5,5のうち、幅方向に並ぶ左右の易破断部14,14が交わるのは、第二幅広部51の最大幅W5bの部分ではなく、それよりも食品用包装材1の他端部10b側に位置する部分(図4及び図7の幅W5cと表示した部分)である。しかし、第二幅広部51の最大幅W5bの近傍では、開封用条体5,5の幅に大きな差が生じないため、本来であれば、幅W14と幅W5cとの関係で特定すべきところを、幅W14と幅W5bとの関係で特定しても実質的には同じである。
以上を要するに、外シート2の開裂手段(分断手段)として、波形でかつ互いに交差する開封用条体5,5を用いる場合、第一幅広部50の長さ及び幅、第二幅広部51の長さ及び幅の四つの要素は、一対の開封用条体5,5により規定され、完全に独立した要素ではなく、相関性を有する。したがって、第一幅広部50と第二幅広部51を個別に設計することは困難である。しかし、本実施形態に係る食品用包装材1においては、このような制約があるにもかかわらず、構成1-1ないし構成1-3、構成2-1ないし構成2-3とすることで、各種の不具合を解決することができるのである。
そして、本実施形態に係る食品用包装材1においては、構成3とすることで、食品包装体の背面における開封性を、包装誤差にかかわらず、好適なものとすることができるのである。
なお、本発明に係る食品用包装材は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においては、外シート2の開裂手段として、波形でかつ互いに交差する一対の開封用条体5,5を用いた。しかし、外シート2の開裂手段は、これに限定されず、種々のものを採用することができる。例えば、図14に示す如く、所定間隔を有して離間する平行な一対の開封用条体5,5であってもよく、また、図15に示す如く、シート状の開封用条体4であってもよい。
また、上記実施形態においては、易破断部14は、各凸部の先端を通る線が食品用包装材1の側縁よりも幅方向内方にオフセットするように形成された。これは、易破断部14を打ち抜き加工して形成する際に、抜きクズがばらばらにならないようにするためである。しかし、易破断部14の形態は種々のものを採用することができる。例えば、図16(a)に示す如く、易破断部14は、各凸部の先端を通る線が食品用包装材1の側縁と一致した、幅方向内方にオフセットされないものであってもよい。
また、上記実施形態においては、開封用条体5,5の最大幅W5bに対する易破断部14,14の両端間の幅W14について、下限と上限の数値範囲を設定した。しかし、上限については、必ずしも必須ではない。例えば、易破断部14は、図16(b)の左半分に示す如く、より長く形成されるものであってもよいし、右半分に示す如く、さらには端に至る程度までに長く形成されるものであってもよい。ただし、食品包装体の背面において、多くの余分な易破断部14がラベル8から露出するのは見栄えの問題があるということであれば、やはり上限も設定するのが好ましい。
また、上記実施形態においては、内シート3は、内端部同士が重ね合わせられた一対のシートからなるものであった。しかし、内シートは、一枚のシートからなり、ミシン目やハーフカット等を設けることによって、幅方向に分離可能なものや、一対のシートを内端部同士を重ね合わせることなく配置するとともに、両内端部を覆うように帯状のシートを設けたものや、内シート3の一方のシートの内端部に帯状シートを設けて二股状に形成し、この二股部に他方のシートの内端部を挿入して内シート3の内外の気密性を高めたものや、さらには他方のシートの内端部にも帯状シートを設けて二股状に形成し、一方のシートの二股部と他方のシートの二股部の合計4枚のシートが交互に重なり合うようにして内シート3の内外の気密性をさらに高めたもの等、種々の形態のものを採用することができる。
また、上記実施形態においては、食品は三角おにぎり(米飯加工食品)であり、シート状食品は海苔であった。しかし、食品は、食品用包装材で包装できる形であれば、三角以外の形状のおにぎり、寿司、サンドイッチ等であってもよく、食品の種類及び形状は限定されない。シート状食品も、食品用包装材の平面状の収容部に収容できる形であれば、シート状の昆布、畳鰯等であってもよく、シート状食品の種類及び形状は限定されない。