<安全スイッチの機械的な構造>
図1(A)ないし図1(C)は安全スイッチ1の適用例を示している。安全スイッチ1は安全ドアスイッチと呼ばれてもよい。この例では、工作機械などの危険源を包囲した包囲箱100が図示されている。包囲箱100は両開き式のドアである左ドア101aと右ドア101bとを有している。左ドア101aの右上方には安全スイッチ1aが設けられている。右ドア101bの左上方には安全スイッチ1bが設けられている。なお、参照番号の数字に続く小文字のアルファベットは同一または類似した複数の部材を区別するために使用されている。複数の部材に共通する事項が説明される場合、小文字のアルファベットは省略される。図1(B)および図1(C)が示すように、安全スイッチ1a、1bの本体は包囲箱100のドアフレーム102に固定されている。安全スイッチ1aのアクチュエータ2aは左ドア101aに固定された支持部材103aに固定されている。安全スイッチ1bのアクチュエータ2bは右ドア101bに固定された支持部材103bに固定されている。図1(B)が示すように、左ドア101aおよび右ドア101bの双方が閉じられている場合、包囲箱100により包囲された工作機械が稼働できる。図1(C)が示すように、左ドア101aおよび右ドア101bのうち少なくとも一方が開かれている場合、包囲箱100により包囲された工作機械が稼働できる。なお、包囲箱100は一例にすぎず、鉄柵とドアとの組み合わせに置換されてもよい。この場合は、鉄柵のドアフレームに安全スイッチ1が固定され、ドアにアクチュエータ2が固定される。
図2(A)および図2(B)は安全スイッチ1の本体を示す斜視図である。矢印zは高さ方向(長手方向)を示す。矢印yは幅方向(短手方向)を示す。矢印xは奥行方向を示す。キャップ3は金属製の部材により形成されている。キャップ3の第一側面には受け入れ孔8aが設けられている。キャップ3の第二側面には受け入れ孔8bが設けられている。キャップ3の第三側面には受け入れ孔8cが設けられている(図3(D))。キャップ3の第四側面にはネジ孔10eが設けられている。キャップ3の第四側面にはさらにキャップ止め18を挿入するためのスリット9が設けられている。キャップ止め18はキャップ3が本体ケース4から脱落することを防止する止め輪である。本体ケース4は金属製または樹脂製である。本体ケース4は第二側面側に窓を有しているが、この窓は樹脂製の窓カバー6によって封止されている。窓カバー6には円形の孔が設けられており、そこにアンロック部材7aが挿し込まれている。本体ケース4の第四側面にも同様に円形の孔が設けられており、そこにアンロック部材7bが挿し込まれている。アンロック部材7a、7bはリリースキーとして利用される。本体ケース4の下方には金属製の固定部材5が接続されている。固定部材5の第一側面にはネジ孔10aが設けられている。固定部材5の第三側面にはネジ孔10cが設けられている。固定部材5の第四側面にはネジ孔10dが設けられている。なお、キャップ3は安全スイッチ1の長手方向を回転軸として回転可能である。これにより、キャップ3の第四側面が固定部材5の第一側面と平行になったり、キャップ3の第四側面が固定部材5の第三側面と平行になったりする。図2(B)ではキャップ3の第四側面が固定部材5の第四側面と平行になっている。このようにキャップ3を回転可能とすることで、ドアフレーム等への固定面を切り替えることが可能となる。本体ケース4の底面から下方に向かってケーブル11が伸びている。ケーブル11は安全信号などを伝達するための信号線を含む。
表示部128は安全スイッチ1の状態を表示するための二つの大型表示灯90と5つの小型表示灯91a~91eとを有している。
図3(A)はキャップ3の頂面を示している。図3(B)は安全スイッチ1の第一側面を示している。二つの大型表示灯90のうち一方の大型表示灯90は、第一側面側からも視認可能なように、第一側面に延在している。図3(C)は安全スイッチ1の第二側面を示している。二つの大型表示灯90のうち一方の大型表示灯90は、第一側面から第二側面にわたって延在している。二つの大型表示灯90は第二側面側から視認可能なように、第二側面に設けられている。図3(D)は安全スイッチ1の第三側面を示している。二つの大型表示灯90のうち他方の大型表示灯90は、第二側面から第三側面にわたって延在している。これにより、他方の大型表示灯90は第三側面側からも視認可能である。図3(E)は安全スイッチ1の第四側面を示している。アンロック部材7a、7bの中央には六角レンチが嵌合する六角形の孔を有している。図3(C)が示すように、窓カバー6は三つのネジにより本体ケース4に固定される。図3(B)ないし図3(E)が示すように、ネジ孔10a、10c、10dの各延長線上を避けた位置からケーブル11が筐体から引き出されている。ネジ孔10a、10c、10dのそれぞれの中心から延びる直線と交差しない位置にケーブル11が配置されている。ネジ孔10a、10c、10dのうち、実際にネジを挿通されるネジ孔は安全スイッチ1のユーザー次第である。したがって、ネジ孔10a、10c、10dのうちいずれにネジが挿通されたとしても、ネジの挿通を邪魔することなく、また、ネジを固定するためのドライバやレンチの締結作業を邪魔することがないような位置にケーブル11が配置されている。この例では、筐体の底面における四隅の一つにケーブルの引き出し孔が設けられている。
図4は安全スイッチ1の分解図である。キャップ3の底面には、略円筒状の首部13が嵌装される円形の孔が設けられている。首部13の周囲にはキャップ止め18と嵌合する凹部が設けられている。首部13の凹部とキャップ止め18が嵌合することで、キャップ3が本体ケース4から外れなくなる。首部13は円筒状であり、かつ、キャップ3の底面の穴は円形であるため、キャップ3は本体ケース4に対して回転できる。本体ケース4の頂面には三つの突起15が設けられている。また、キャップ3の下面には三つの突起15とそれぞれ嵌合する三つの溝穴が設けられている。これにより、キャップ3は90度回転するごとに本体ケース4に対してラッチされる。この例では、突起15は、本体ケース4の頂面上の位置であって、本体ケース4の第一側面に近い位置と、第三側面に近い位置と、第四側面に近い位置に設けられている。ケーブルブッシュ12a、12bは、ケーブル11を挟み込んで支持する分割式のブッシュである。本体ケース4の第二側面側には窓19が設けられている。ここでは円柱状の首部13が採用されているが、四角柱状の首部13が採用されてもよい。四角柱状の首部13に対して嵌合可能なように、キャップ3の底面には四角形の孔が設けられてもよい。この場合、キャップ3は首部13から取り外され、キャップ3が首部13に対して90度、180度または270度回転され、再びキャップ3が首部13に嵌合されてもよい。このように、キャップ3が首部13に対して90度ずつ回転可能であってもよい。
図5は本体ケース4に収容される部材を示している。ロックピン34は、首部13の中央に空いている孔14から挿し通される。カプラ35はロックピン34と剛性結合されている。カプラ35には、ロックピン34の位置を検出するために使用されるスリット36が設けられている。発光素子から受光素子へ向かう光の光軸上にスリット36が位置していれば、受光素子は光を検出できる(ロック状態)。一方で光軸上にスリット36が位置していなければ、受光素子は光を検出できない(アンロック状態)。ソレノイドピン33はカプラ35の底面に剛性結合される。ソレノイドピン33の底面側にはバネ31が設けられている。バネ31は、本体ケース4の底面側から頂面側に向かってソレノイドピン33を付勢している(ロック状態)。ソレノイド32は、バネ31の付勢力に抗してソレノイドピン33を、本体ケース4の頂面側から底面側に向かって吸引する。これにより、ソレノイドピン33に連結されているロックピン34が本体ケース4の頂面側から底面側に向かって移動するため、アクチュエータ2のロックが解除される。回路基板20は、ソレノイド32を駆動したり、安全信号を生成したりするプロセッサ回路、表示部128用の光源(例:2つの大型表示灯90に対応したLEDと、5つの小型表示灯91a~91eに対応したLEDとの合計で7個のLED)、アンテナコイル21a、および、孔54などを有している。アンテナコイル21aは、アクチュエータ2に対して電力を無線送信するとともに、アクチュエータ2から送信される無線信号を受信するためのコイルである。窓カバー6が樹脂製であるため、アンテナコイル21aは。窓カバー6を介してアクチュエータ2と無線通信することができる。円形の孔54は強制的にロックピンの状態をアンロック状態にするアンロック部材7aが挿し通される孔である。回路基板20は、ケーブル11に接続される端子群55(複数の入力端子および複数の出力端子)を有している。
図6はアクチュエータ2を示す斜視図である。図7はアクチュエータ2の分解図である。アクチュエータボルト41は金属製のピンであり、キャップ3の受け入れ孔8a、8b、8cのいずれかに挿入される。キャップ3はくびれ部48を有している。くびれ部48に対してロックピン34が嵌合し、アクチュエータ2をキャップ3に対してラッチする。アクチュエータハウジング42は円形上の孔47を有している。アクチュエータボルト41は、アクチュエータハウジング42の下方から孔47とベローズ40とに挿し通される。ベローズ40は柔軟性を有する樹脂またはゴム製の弾性部材である。アクチュエータハウジング42に対するフタである裏カバー46はバネ45と押さえ部材44を支持する。バネ45はアクチュエータボルト41の底面に対して付勢力を加える付勢部材である。押さえ部材44はアンテナコイル21bを支持する部材である。ベローズ40やバネ45によりアクチュエータボルト41が弾性的に支持されているため、アクチュエータボルト41はアクチュエータハウジング42に対して移動可能である。上述したようにアクチュエータ2はドア101などに固定され、安全スイッチ1の本体はドアフレーム102などに固定される。アクチュエータ2は二つのネジ孔10gを有していてもよい。ネジ孔10gに挿通されたネジによりアクチュエータ2はドア101などに固定されてもよい。アクチュエータボルト41の先端には穴99が設けられている。穴99は、キャップ3をドアフレーム等に固定するためのネジ72a(図11)の頭と、アクチュエータボルト41との接触を避けるために設けられている。これにより、安全スイッチ1の奥行き方向の寸法が削減可能となる。
図8は窓カバー6の詳細を示す図である。窓カバー6の略中央には円形の孔51が設けられており、アンロック部材7aが挿入される。アンロック部材7aの先端には、カプラ35と係合する係合部材71aが設けられている。止め輪52は、アンロック部材7aの周囲に設けられた溝に嵌合する止め輪である。シール部材53は本体ケース4に対する液体の侵入を低減するための部材である。
図9はロックピンモジュールを示している。ロックピン34の先端にはアクチュエータボルト41のくびれ部48と係合する第一係合面73と第二係合面74とを有している。第一係合面73とxy平面との間の角度は約60度である。第二係合面74とxy平面との間の角度は約90度である。ロックピン34はパイプ38に挿し通される。パイプ38の先端にはベローズ37が設けられている。ベローズ37はパイプ38の先端部に嵌合して固定される。たとえば、ベローズ37の一端は、パイプ38の先端に取り付けられ、ベローズ37の他端は、ロックピン34に取り付けられてもよい。ロックピン34は、パイプ38に対し摺動可能である。そのため、ロックピン34がパイプ38に対して突出したり、引っ込んだりするのに連動してベローズ37が伸縮する。これにより、パイプ38とロックピン34との摺動面に異物が混入することが抑制される。ロックピン34の後端には溝39が設けられている。溝39はカプラ35に設けられたU字状の止め輪98に嵌合して固定される。
図10はキャップ3の詳細を示している。キャップ3の頂面における中央には孔81が設けられている。孔81には、半球状のラッチピン82と、ラッチピン82を付勢するラッチバネ83と、ラッチバネ83をキャップ3に固定するための止めネジ84とが固定される。ラッチピン82はアクチュエータボルト41のくびれ部48と係合し、アクチュエータボルト41を位置決めする。
図11(A)はキャップ3に対してアクチュエータ2を嵌合された状態の安全スイッチ1を示している。なお、固定部材5のネジ孔10dにはネジ72bが挿し通されている。図11(A)および図11(B)からもケーブル11がネジ孔10a、10dと交差しない位置に配置されていることが分かる。図11(B)A-A切断面で切断された安全スイッチ1を示している。アクチュエータ2のアンテナコイル21bと、本体ケース4側のアンテナコイル21aとは、相互に対向するように配置されている。アクチュエータボルト41の先端にはネジ72aの頭を収納するための穴99が設けられている。アクチュエータボルト41のくびれ部48の先端側には顎部が設けられている。顎部はロックピン34に係合する。バネ31の付勢力によりソレノイドピン33が上方(z方向)に付勢されている。ソレノイドピン33に対して剛性結合されたロックピン34の先端に設けられた第二係合面74は、顎部と係合し、アクチュエータボルト41をロックしている。これにより、アクチュエータボルト41はキャップ3に固定される。なお、アクチュエータボルト41が受け入れ孔に挿入される際には、アクチュエータボルト41の先端がロックピン34の第一係合面73と係合し、ロックピン34を下方に押し下げながら、第一係合面73を乗り越えて行く。なお、第二係合面74は90度の傾斜角度を有する面と呼ばれてもよい。第一係合面73は60度の傾斜角度を有する面と呼ばれてもよい。
アクチュエータボルト41のロックを解除する方法は二通りある。一つ目は、ソレノイド32によりソレノイドピン33を吸引することで、ロックピン34を下方に移動させることである。二つ目は、アンロック部材7を回転させることで係合部材71をカプラ35に係合させ、カプラ35およびソレノイドピン33を下方に強制的に移動させることである。
図12はソレノイド32よりソレノイドピン33を吸引することでロックピン34とアクチュエータボルト41とのロックを解除した状態を示している。これにより、アクチュエータボルト41は引き抜き自由となる。
図13はアンロック部材7aを180度回転させることでロックピン34とアクチュエータボルト41とのロックを解除した状態を示している。アンロック部材7aの回転軸はx方向と平行である。アンロック部材7aを180度回転させると、上方にあった係合部材71aが下方に移動する。これにより係合部材71aがカプラ35と係合し、アンロック部材7aを回転させる力がカプラ35を下方に押し下げる力に変換される。その結果、係合部材71aがカプラ35を下方に押し下げる。ロックピン34はカプラ35と剛性結合しているため、ロックピン34およびソレノイドピン33もバネ31の付勢力に抗して下方に移動する。これにより、ロックピン34とアクチュエータボルト41とのロックが解除され、アクチュエータボルト41は引き抜き自由となる。同様に、アンロック部材7bを180度回転させると、係合部材71bがカプラ35を押し下げる。これにより、ロックピン34とアクチュエータボルト41とのロックが解除される。
<安全スイッチの電気的な構造>
図14は安全スイッチ1の電気的な構造を示している。図15はMCU(マイクロコントローラユニット)の機能を示している。制御回路110は、第一MCU111と第二MCU112を含む。第一MCU111と第二MCU112は相互に通信することで相手方を監視している。
第一MCU111は送信回路116に接続されている。送信回路116はアンテナコイル21aに接続されている。アンテナコイル21aは受信回路117に接続されている。受信回路117は、第一MCU111と第二MCU112との両方に接続されている。第一MCU111は、送信回路116を介してアンテナコイル21aを駆動して、アンテナコイル21aから無線信号をトランスポンダ118に供給する。第一MCU111と第二MCU112は、トランスポンダ118からの無線信号をアンテナコイル21a及び受信回路117を介して受信する。トランスポンダ118は、アンテナコイル21bと応答回路を有している。トランスポンダ118は無線タグ(RF-IDタグ)であってもよい。応答回路はアンテナコイル21bに発生する誘導電流を電源として動作する。応答回路はアンテナコイル21bにより受信された無線信号を復調して情報を取得し、さらにアンテナコイル21bを介して無線信号(応答信号)を送信する。第一MCU111の測定部141aと第二MCU112の測定部141bは、それぞれ、トランスポンダ118から受信された無線信号の強度を測定し、無線信号の強度に基づき安全スイッチ1の本体からアクチュエータ2までの距離を推定する。なお、距離の代わりに無線信号の強度がそのままアクチュエータボルト41の位置の検知に使用されてもよい。第一MCU111の復調部142aと第二MCU112の復調部142bは、それぞれ、トランスポンダ118から受信された無線信号により搬送されてきた情報を復調し、この情報に基づきアクチュエータ2を識別する。この情報には、固有の識別情報が含まれていてもよい。第一MCU111の安全判定回路144aは、測定された距離が閾値以下であるかどうかを判定し、判定結果を第二MCU112に送信する。同様に、第二MCU112の安全判定回路144bは、測定された距離が閾値以下であるかどうかを判定し、判定結果を第一MCU111に送信する。第一MCU111の安全判定回路144aは、自己の判定結果と相手方の判定結果とが一致している場合(双方とも測定距離が閾値以内であると判定している場合)に、アクチュエータ2がキャップ3に挿入されている状態(ドア閉状態)であると判定する。同様に、第二MCU112の安全判定回路144bは、自己の判定結果と相手方の判定結果とが一致している場合(双方とも測定距離が閾値以内であると判定している場合)に、アクチュエータ2がキャップ3に挿入されている状態(ドア閉状態)であると判定する。
入力回路120は第一安全入力部121、第二安全入力部122、第一アンロック入力部123および第二アンロック入力部124を有している。第一安全入力部121と第二安全入力部122は他の安全スイッチ1とデイジーチェーンするための入力回路である。たとえば、第一安全入力部121と第二安全入力部122は、それぞれ他の安全スイッチ1の第一OSSD131と第二OSSD132に接続される。OSSDとは、Output Signal Switching Device(出力信号切換デバイス)の略称である。
第一アンロック入力部123や第二アンロック入力部124は安全PLCや安全制御機器などの外部制御機器に接続されており、外部制御機器が出力する信号を受け付ける。第一アンロック入力部123は第一MCU111に接続し、入力信号を第一MCU111に出力する。第二アンロック入力部124は第二MCU112に接続しており、入力信号を第二MCU112に出力する。第一MCU111の安全判定回路144aは、第一アンロック入力部123から入力された第一入力信号がOFF(Lock)信号であるかどうかを判定する。同様に、安全判定回路144bは第二アンロック入力部124から入力された第二入力信号がOFF(Lock)信号であるかどうかを判定し、判定結果を第一MCU111に出力する。第一MCU111の安全判定回路144aは、第一入力信号がOFF(Lock)信号であり、かつ、第二入力信号がOFF(Lock)信号であるかどうかを判定する。安全判定回路144aは、第一入力信号がOFF(Lock)信号であり、かつ、第二入力信号がOFF(Lock)信号である場合に、ロックピン34をロック状態にする。たとえば、第一MCU111は、駆動部145を介してソレノイド32を駆動しないことで、バネ31の付勢力によりロックピン34をロック状態にする。第一MCU111の安全判定回路144aは、第一入力信号がON(Un Lock)信号であるか、または、第二入力信号がON(Un Lock)信号であると判定すると、ロックピン34をアンロック状態にする。たとえば、安全判定回路144aは、駆動部145を介してソレノイド32を駆動してソレノイドピン33を吸引することで、ロックピン34がアンロック状態に遷移する。
ここでは、第一MCU111は、第一入力信号がOFF(Lock)信号であり、かつ、第二入力信号がOFF(Lock)信号であるときに、ロックピン34をロック状態に遷移させているが、さらに、前提条件が付加される。前提条件とは、第一MCU111と第二MCU112の双方がアクチュエータ2の状態を閉状態であると判定していることである。そのため、第一MCU111と第二MCU112のどちらかがアクチュエータ2の状態を開状態であると判定している場合、第一MCU111は、アンロック状態を維持する。なお、安全判定回路144aは、アクチュエータ2の開閉状態に関する安全判定回路144aの判定結果と、安全判定回路144bとの判定結果との不一致が一定時間以上にわたり継続すると、エラーと判定する。この場合、安全判定回路144aは、ソレノイド32の状態を現状状態に維持する。
検出器115は、ロックピン34の位置(例:ロック位置、アンロック位置)を検出する。たとえば、検出器115は発光素子と受光素子とを有するフォトインタラプタタイプのセンサであってもよい。図3が示すように、ロックピン34に連結されたカプラ35は遮光板を有し、遮光板はスリット36を有している。ロックピン34が移動することで、スリット36も移動する。発光素子と受光素子との光軸上にスリット36があれば、受光素子は光を受光できる(ロック状態)。一方、発光素子と受光素子との光軸上にスリット36がなければ、受光素子は光を受光できない(アンロック状態)。検出器115は、第一MCU111と第二MCU112の双方に接続されている。安全判定回路144aは、検出器115から出力される検出信号に基づき、ロックピン34がロック状態であるかアンロック状態であるかを判定し、判定結果を安全判定回路144bに出力する。同様に、安全判定回路144bは、検出器115から出力される検出信号に基づき、ロックピン34がロック状態であるか、アンロック状態であるかを判定し、判定結果を安全判定回路144aに出力する。安全判定回路144aは、安全判定回路144aの判定結果と安全判定回路144bの判定結果がともにロック状態を示していれば、スイッチングデバイス130の第一OSSD131を介して、ON信号を出力する。ON信号は安全状態信号や安全信号、動作許可信号と呼ばれてもよい。同様に、安全判定回路144bは、安全判定回路144aの判定結果と安全判定回路144bの判定結果がともにロック状態を示していれば、スイッチングデバイス130の第二OSSD132を介して、ON信号を出力する。なお、安全判定回路144aは、安全判定回路144aの判定結果と安全判定回路144bの判定結果とのいずれか一方がアンロック状態を示していれば、第一OSSD131を介して、OFF信号を出力する。OFF信号は非安全状態信号や非安全信号、動作不許可信号と呼ばれてもよい。安全判定回路144bは、安全判定回路144aの判定結果と安全判定回路144bの判定結果とのいずれか一方がアンロック状態を示していれば、第二OSSD132を介して、OFF信号を出力する。
ロックピン34の状態はON信号を出力する際に考慮されなくてもよい。つまり、安全判定回路144aは、アクチュエータ2の開閉状態のみに応じて第一OSSD131を制御してもよい。安全判定回路144bは、アクチュエータ2の開閉状態のみに応じて第二OSSD132を制御してもよい。つまり、安全判定回路144は、検出器115の検出信号に依存することなく、アクチュエータ2が閉状態のときにON信号を出力し、アクチュエータ2が開状態のときにOFF信号を出力してもよい。
第一OSSD131および第二OSSD132は、たとえば、PNP型のトランジスタにより構成されうる。PNP型のトランジスタがONすると、出力端子には+側電源が接続されるため、ON信号が出力される。一方、PNP型のトランジスタがOFFすると、出力端子はプルダウン抵抗を介して接地されるため、OFF信号が出力される。
第一OSSD131と第二OSSD132にはそれぞれOSSD監視回路119が接続されてもよい。OSSD監視回路119は第一MCU111と第二MCU112に接続されている。第一MCU111は、OSSD監視回路119を通じて、第二OSSD132の動作が正常かどうかを監視する。第二MCU112は、OSSD監視回路119を通じて、第一OSSD131の動作が正常かどうかを監視する。たとえば、第一OSSD131と第二OSSD132はそれぞれ、ON信号を出力するときに定期的に微小時間にわたり出力信号をOFFに遷移させる。OSSD監視回路119はON信号の出力期間中に微小時間のOFFを検出できればOSSDを正常と判定し、微小時間のOFFを検出できなければOSSDを正常ではないと判定する。なお、ON信号が継続するケースは、出力端子と+側電源との短絡が原因である。この場合、安全判定回路144a、144bはそれぞれOFF信号を出力させるための制御信号を第一OSSD131と第二OSSD132とに出力する。これにより、第一OSSD131と第二OSSD132とのうち正常なほうがOFF信号を出力する。外部機器は、第一OSSD131と第二OSSD132とがともにON信号を出力している期間にだけ動作できる。よって、外部機器は、第一OSSD131と第二OSSD132とのうち少なくとも一方がOFF信号を出力している期間には動作しない。なお、外部機器は、ON信号における微小時間のOFFには反応しないように構成されている。
電源回路125は、外部からDC+24Vと0Vの供給を受け、DC+10V、+5Vや+3.3Vなどの直流電圧を生成するDC-DCコンバータである。電源回路125は制御回路110、アンテナコイル21a、ソレノイド32、表示部128など、電力を必要とするすべての回路に電力を供給する。ところで、外部電源からの供給電圧や電源回路125から出力される電圧が所定の範囲内でない場合、制御回路110などが正常に動作しない可能性がある。そこで、電源監視回路126は、外部電源からの供給電圧が所定の範囲内であるかどうかを判定するとともに、電源回路125から出力される電圧が所定の範囲内かどうかを判定し、判定結果を第一OSSD131と第二OSSD132へ出力する。第一OSSD131と第二OSSD132は、それぞれ、電源回路125が正常に動作していないことを示す判定結果を入力されると、制御回路110から出力される制御信号に依存することなく、OFF信号を出力する。第一OSSD131と第二OSSD132は、それぞれ、電源回路125が正常に動作していることを示す判定結果を入力されると、制御回路110から出力される制御信号に依存して、ON信号またはOFF信号を出力する。
第一安全入力部121および第二安全入力部122はそれぞれ、他の安全スイッチ1とのカスケード接続に利用される。危険源を包囲する鉄柵に対して複数のドアが設けられている場合、すべてのドアが安全状態でなければ、危険源は動作できない。第一MCU111は第一安全入力部121に接続されている。第一MCU111は、第一安全入力部121を通じてON信号が入力されているときに、アクチュエータ2の開閉状態とロックピン34のロック状態に基づいて第一OSSD131を制御する。第一MCU111は、第一安全入力部121を通じてOFF信号が入力されているときに、アクチュエータ2の開閉状態とロックピン34のロック状態に依拠することなく、第一OSSD131にOFF信号を出力させる。同様に、第二MCU112は第二安全入力部122に接続されている。第二MCU112は、第二安全入力部122を通じてON信号が入力されているときに、アクチュエータ2の開閉状態とロックピン34のロック状態に基づいて第二OSSD132を制御する。第二MCU112は、第二安全入力部122を通じてOFF信号が入力されているときに、アクチュエータ2の開閉状態とロックピン34のロック状態に依拠することなく、第二OSSD132にOFF信号を出力させる。これにより、複数の安全スイッチ1のカスケード接続が可能となる。複数の安全スイッチ1のうちいずれかの安全スイッチ1が安全状態でない場合に、外部機器にはOFF信号が出力される。また、複数の安全スイッチ1のすべてが安全状態のときに、ON信号が外部機器に出力される。
表示部128は、複数の表示灯を含む。表示制御部143は、アクチュエータ2の開閉状態とロック/アンロック状態などに応じて大型表示灯を点灯/消灯(または緑/赤)する。表示制御部143は、OSSD出力、INPUT信号、LOCK状態/UNLOCK状態などに応じて複数の小型表示灯を点灯/消灯(または緑/赤)する。OSSD出力とは、第一OSSD131の出力信号と第二OSSD132の出力信号である。
制御回路110は、EDM機能とインターロック(マニュアルリセット)機能を有してもよい。EDMはExternal Device Monitoring(外部デバイス監視)の略称である。EDM機能は外部機器(例:コンタクタやリレーなど)の接点溶着を監視する機能である。EDM機能は外部機器の溶着が発生している間はON信号を出力しない。インターロック機能はOSSD出力がユーザーの意図に反してOFF信号からONの信号になるのを阻止する機能である。制御回路110は、インターロック状態に遷移すると、安全スイッチ1により管理されている危険源が安全状態であっても、OSSD出力をOFF信号に維持する。なお、制御回路110は、解除ボタンが押されたことを検知すると、インターロック状態を解除する。
<ソレノイドロックタイプ>
上述のロックピン34はバネ31の付勢力によりロック状態を維持し、ソレノイド32の吸引力によりアンロック状態に遷移する。とりわけ、ロックピン34はバネ31の付勢力により+z方向に付勢されており、ソレノイド32の吸引力により-z方向に吸引される。このようなロックピン34のロック機構は一例に過ぎない。たとえば、ロック機構としてソレノイドロックタイプが採用されてもよい。ソレノイドロックタイプとは、ソレノイド32の吸引力によりロックピン34がロック状態に遷移するロック機構である。つまり、ロックピン34はバネ31の付勢力により-z方向に付勢されており、ソレノイド32の吸引力により+z方向に吸引される。この場合、第一アンロック入力部123は第一ロック入力部として機能する。第二アンロック入力部124は第二ロック入力部として機能する。第一MCU111は、第一ロック入力部の入力信号がOFF(Un Lock)信号であり、かつ、第二ロック入力部の入力信号がOFF(Un Lock)信号である場合に、ソレノイド32を駆動しないことで、ロックピン34の状態をアンロック状態に制御する。たとえば、バネ31はロックピン34をアンロック状態に維持するようにロックピン34を引っ張ってもよい。第一MCU111は、第一ロック入力部の入力信号がON(Lock)信号であり、かつ、第二ロック入力部の入力信号がON(Lock)信号であると判定すると、駆動部145を通じてソレノイド32に電流を流してロックピン34の状態をロック状態に制御する。ロックピン34はバネ31の付勢力に抗してソレノイド32により吸引され、アクチュエータボルト41をロックする。
第一MCU111は、第一ロック入力部の入力信号がON(Lock)信号であり、かつ、第二ロック入力部の入力信号がON(Lock)信号であり、かつ、第一MCU111と第二MCU112の双方がアクチュエータ2の状態を閉状態であると判定している場合に、ロックピン34の状態をロック状態に制御する。第一MCU111と第二MCU112のどちらかがアクチュエータ2の状態を開状態であると判定している場合、第一MCU111は、ロックピン34の状態をアンロック状態に制御する。なお、アクチュエータ2の開閉状態の不一致が一定時間以上にわたり継続すると、第一MCU111と第二MCU112はそれぞれエラーが発生していると判定する。なお、駆動部145は、第一MCU111と第二MCU112の双方に設けられてもよい。この場合、第一MCU111は、第一ロック入力部の入力信号がON(Lock)信号であるかOFF(Un Lock)信号であるかを判定し、判定結果に応じて第一MCU111の駆動部145を制御する。同様に、第二MCU112は、第二ロック入力部の入力信号がON(Lock)信号であるかOFF(Un Lock)信号であるかを判定し、判定結果に応じて第二MCU112の駆動部145を制御する。第一MCU111の駆動部145と第二MCU112の駆動部145とは、図示されていない駆動回路を介してソレノイド32に接続される。第一ロック入力部の入力信号がOFF(Un Lock)信号であり、かつ、第二ロック入力部の入力信号がOFF(Un Lock)信号である場合、駆動回路はソレノイド32を駆動しない。これにより、ロックピン34の状態がアンロック状態に制御される。第一ロック入力部の入力信号がON(Lock)信号であり、または、第二ロック入力部の入力信号がON(Lock)信号である場合、駆動回路は、ソレノイド32に電流を流してロックピン34の状態をロック状態に制御する。
<まとめ>
安全スイッチ1はアクチュエータ2のボルトが挿抜される安全スイッチである。図2(A)などが示すように本体ケース4は略直方体の筐体の一例であってもよい。つまり、本体ケース4は第1の方向に沿って長い形状の筐体の一例である。キャップ3は筐体の長手方向の第一端側に設けられた金属製のヘッド部の一例である。つまり、キャップ3はアクチュエータのボルトを受け入れるための受け入れ空間を有し、第1の方向における筐体の第一端側に設けられた金属製のヘッド部の一例である。検出器115はボルトが受け入れ空間に受け入れられた第1状態を検知するための検知部の一例である。ロックピン34などは第1状態のボルトの引き抜きを規制するロック状態と第1状態のボルトの引き抜きを許容する非ロック状態とを切り替えるロック機構の一例である。スイッチングデバイス130は筐体に設けられ、検知部により検知される第1状態を含む安全状態に基づいて安全状態を示す信号を出力する回路の一例である。図3(E)が示すように、キャップ3の第四側面はヘッド部に設けられ、外部部材に螺合するネジが挿通される第一取付孔(ネジ孔10e)を有する第一取付部の一例である。つまり、キャップ3の第四側面は、ヘッド部に設けられ、第一取付部材が挿通される第一取付孔を有する第一取付部の一例である。このように、アクチュエータボルト41を受け入れる空間を有するキャップ3に取付部が形成されているため、堅牢性と小型化の両立が達成できる。
アクチュエータボルト41がロックピン34によりロックされているときにアクチュエータ2を安全スイッチ1から引き抜こうとする力は、ロックピン34からパイプ38に伝搬し、パイプ38から首部13に伝搬し、首部13からキャップ3に伝搬し、キャップ3から第一取付孔のネジ72aへ伝搬する。ネジ72aにより発生する抗力がアクチュエータ2の引き抜き力に対抗する。このとき、第一取付孔とロックピン34とが引き抜き方向から見て近いほど小さいモーメントが発生し、離れるほど大きなモーメントが発生する。したがって、アクチュエータボルト41を受け入れる空間を有するキャップ3に取付部が形成されることで、取付部とロックボルト係止部とが相対的に近くなり、ロック状態においてアクチュエータ2を引き抜こうとする力に対し、力のモーメントが相対的に小さくなる。この力のモーメントは実質的にキャップ3で受け止められればよい。そのため、堅牢性を持たせる部分をキャップ3周辺に限定でき、さらに、本体ケース4を非金属性の部材で成型できるため、安全スイッチ1の小型化が達成される。
力の伝達について着目すると、第1の力伝達経路(ロックピン34→パイプ38→首部13→キャップ3→第一取付孔のネジ)、に加え、又は、それに代えて、ロックピン34→ラッチピン82→キャップ3→第一取付孔のネジという第2の力伝達経路も考えられる。いずれにしても、キャップ3の周辺の堅牢性が重要であろう。よって、首部13やパイプ38も堅牢性の観点から重要であろう。ただし、ロックピン34に対する力が直接的にキャップ3に伝わるよう、キャップ3に孔14が形成され、ロックピン34が孔14から挿し通されてもよい。
固定部材5は筐体の長手方向の第二端側に設けられた金属製のボトム部の一例である。固定部材5の第四側面は、ボトム部に設けられ、外部部材に螺合するネジが挿通する第二取付孔(ネジ孔10d)を有する第二取付部の一例である。つまり、第四側面は、ボトム部に設けられ、第二取付部材が挿通される第二取付孔を有する第二取付部の一例である。図3(B)や図3(D)が示すように、第一取付部に設けられた外部部材と当接する第一取付面と、第二取付部に設けられた外部部材と当接する第二取付面とは概ね平行になっていてもよい。図3(E)が示すように、第一取付孔の位置は、筐体の短手方向における中央の位置であってもよい。図3(E)が示すように、第二取付孔の位置は、筐体の短手方向における中央の位置であってもよい。安全スイッチ1の本体は、アルミフレームに固定されることが多い。アルミフレームの四つの側面における短手方向の中央には溝部が設けられている。溝部には六角ナットなどを収納可能となっている。よって、第一取付孔に挿し通されたネジにより安全スイッチ1をアルミフレームなどに固定しやすくなる。同様に、第二取付孔に挿し通されたネジにより安全スイッチ1をアルミフレームなどに固定しやすくなる。
図4が示すように窓19は筐体の第一面に設けられた窓の一例である。窓カバー6は窓をカバーする樹脂カバーの一例である。図4を用いて説明されたように、ヘッド部として機能するキャップ3はアクチュエータ2のボルトが挿入される空間(受け入れ孔8a、8b、8c)を有してもよい。筐体として機能する本体ケース4は、アクチュエータ2に設けられた無線タグ(例:アンテナコイル21b)と窓を挟んで対向する位置に設けられ、無線タグに電力を供給するとともに、当該無線タグから送信される信号を受信する無線回路(例:アンテナコイル21a)を収容していてもよい。なお、トランスポンダ118およびアンテナコイル21bは、アクチュエータボルト41に設けられた収容孔に配置されてもよい。
図5が示すように、孔14は、ヘッド部が取り付けられる筐体の頂面に設けられたロックピン孔であって、ボルトを係止するロックピン34が挿通するロックピン孔の一例である。ソレノイド32などは、筐体に収容された駆動機構であってロックピン34を駆動する駆動機構の一例である。
回路基板20は、無線回路が実行される回路基板の一例である。回路基板20には、さらに、ボルトがロックピンによりロックされている状態である安全状態を示す信号を出力するスイッチングデバイス130を有する出力回路が実装されていてもよい。なお、出力回路は、ボルトがロックピンによりロックされている状態、または、ボルトが受け入れ空間に受け入れられた状態である安全状態を示す信号を出力する出力回路であってもよい。回路基板20は一つまたは複数の回路基板であってもよい。
図4および図5が示すように、キャップ3は、筐体に設けられた首部13に嵌合しており、当該首部13により回転自在に支持されている。これにより、ユーザーは容易に取付面を変更することが可能となる。たとえば、図4が示すように、ヘッド部であるキャップ3は、筐体の長手方向と平行な回転軸を有してもよい。キャップ3が回転自在となるように筐体から長手方向に突出した円筒部材(例:首部13)に取り付けられていてもよい。これにより、ドアフレーム102などのへ取付面を容易に変更することが可能となる。図5が示すように、ロックピン孔である孔14は円筒部材に設けられていてもよい。なお、首部13は長手方向に突出し、回転軸に軸対称な首部であれば十分であるため、首部13の形状は四角柱のような形状であってもよい。これにより、キャップ3は、筐体に対して異なる複数の回転角(例:0度、90度、180度、270度)のいずれでも取付自在となるように、首部13に取り付けられていればよい。
ヘッド部であるキャップ3は、少なくとも三方向からボルトを受け入れるための三つの受け入れ孔8a~8bを有していてもよい。なお、図3(B)や図3(D)が示すように、受け入れ孔8a~8cは完全な円形でなくてもよい。円形の一部をさらに切り欠くことで、受け入れ孔8a~8cの開口面積が増加する。とりわけ、取付面である第四面に近い円周に切欠きを追加することで、ユーザーはネジ72aの取付状態を目視しやすくなる。第一取付孔はヘッド部内で受け入れ空間と連通していてもよい。これは、第一取付孔とアクチュエータボルト41とを近くすることを可能にする。第一取付孔とアクチュエータボルト41とを近くすることで、アクチュエータボルト41の引き抜き力に起因したモーメントが小さくなる。
図7が示すように、アクチュエータボルト41は、バネ45やベローズ40などの弾性部材により支持されていてもよい。これにより、アクチュエータボルト41はアクチュエータハウジング42に対して移動可能となる。
ケーブル11は安全状態を示す信号を伝達するケーブルの一例である。図3(B)ないし図3(E)などが示すようにケーブル11は、第二取付孔に挿通される第二取付部材がケーブル11と干渉しないように、第二取付孔の中心を通る直線から離間した位置において筐体の第二端側から引き出されていてもよい。また、ボトム部は、第二取付部材が挿通可能な二つ以上の第二取付孔(例:10a、10c、10d)を有していてもよい。ケーブル11は、二つ以上の第二取付孔のそれぞれの中心を通る直線から離間した位置において筐体の前記第二端側から引き出されていてもよい。
図3(C)が示すように、ネジ孔10eの中心と受け入れ孔8bの中心とは一致していてもよい。これにより、ネジ孔10eに挿し通されるネジを固定する際に、受け入れ孔8bからドライバを挿し通して回転できるようになる。また、キャップ3の高さを低減できる。
アンロック部材7a、7bは筐体の内部に収容され、ボルトとロックピンとの係止を解除する解除機構の一例である。
図16は表示部128の詳細を示している。大型表示灯90は外部電源から電力が供給されていないときに消灯し、電力を供給されているときに緑色に点灯するか、赤色で点滅する。OSSD表示灯91aはOSSD出力にしたがって赤色に点灯するか、緑色に点灯する。状態表示灯91bは外部入力がないときに黄色に点灯する。モード表示灯91cは動作モードに応じて緑色に点灯する。ロック表示灯91dはロック信号が入力されているときなどに緑色に点灯する。アンロック表示灯91eはロック信号が入力されているときなどに緑色に点灯する。
(OSSD出力がロック連動モードに設定されている場合)
・外部電源から電力が供給されると、大型表示灯90が緑色に点灯する。この時点では、五つの小型表示灯は点灯しない。
・電源投入が完了した後で、アクチュエータボルト41が開状態であり、外部入力がなく、かつ、ロック信号もなければ、大型表示灯90は赤色に点灯し、OSSD表示灯91aは赤色に点灯し、状態表示灯91bは黄色に点灯し、モード表示灯91cおよびロック表示灯91dは消灯し、アンロック表示灯91eは赤色に点灯する。
・アクチュエータボルト41が開状態から閉状態に遷移したものの、外部入力がなく、かつ、ロック信号もなければ、大型表示灯90が橙色に点灯する。OSSD表示灯91aは赤色に点灯し、状態表示灯91bは黄色に点灯し、モード表示灯91cおよびロック表示灯91dは消灯し、アンロック表示灯91eは赤色に点灯する。
・アクチュエータボルト41が閉状態であり、外部入力があり、かつ、ロック信号がなければ、大型表示灯90が橙色に点灯する。OSSD表示灯91aは赤色に点灯し、状態表示灯91bは消灯し、モード表示灯91cおよびロック表示灯91dは消灯し、アンロック表示灯91eは赤色に点灯する。
・アクチュエータボルト41が閉状態であり、外部入力があり、かつ、ロック信号があれば、大型表示灯90が緑色に点灯する。OSSD表示灯91aは緑色に点灯する。状態表示灯91bおよびモード表示灯91cは消灯する。ロック表示灯91dは緑色に点灯する。アンロック表示灯91eは消灯する。なお、モード表示灯91cは動作モードに応じて緑色に点灯する。より詳しくは、動作モードは、OSSD出力がロックに連動するモードであるロック連動モードと、OSSD出力が扉の開閉に連動するモードである開閉連動モードとのいずれかに設定可能であってもよい。モード表示灯91cは、ロック連動モードに設定されている場合に消灯し、開閉連動モードに設定されている場合に緑色に点灯する。
ところで、アンロック部材7a、7bはロックピン34をロック位置からアンロック位置に強制的に移動することができる。この場合に、大型表示灯90が緑色と橙色で交互に点灯する。OSSD表示灯91aは、ロックピン34が解除されているため、赤色に点灯する。状態表示灯91b、モード表示灯91cおよびロック表示灯91dは消灯する。アンロック表示灯91eは赤色に点灯する。これにより、アクチュエータボルト41はキャップ3に対して挿入されており、かつ、外部入力もあり、かつ、ロック信号も入力されているが、ロックピン34が強制的に解除されたことが分かる。
(OSSD出力が開閉連動モードに設定されている場合)
・外部電源から電力が供給されると、大型表示灯90が緑色に点灯する。この時点では、五つの小型表示灯は点灯しない。
・電源投入が完了した後で、アクチュエータボルト41が開状態であり、外部入力がなく、かつ、ロック信号もなければ、大型表示灯90は赤色に点灯し、OSSD表示灯91aは赤色に点灯し、状態表示灯91bは黄色に点灯し、モード表示灯91cは緑色に点灯し、ロック表示灯91dは消灯し、アンロック表示灯91eは赤色に点灯する。
・アクチュエータボルト41が開状態であるが、外部入力があり、かつ、ロック信号がなければ、大型表示灯90が赤色に点灯する。OSSD表示灯91aは赤色に点灯し、状態表示灯91bは消灯し、モード表示灯91cは緑色に点灯し、ロック表示灯91dは消灯し、アンロック表示灯91eは赤色に点灯する。
・アクチュエータボルト41が開状態から閉状態に遷移し、外部入力があり、かつ、ロック信号がなければ、大型表示灯90が橙色に点灯する。OSSD表示灯91aは緑色に点灯し、状態表示灯91bは消灯し、モード表示灯91cは緑色に点灯し、ロック表示灯91dは消灯し、アンロック表示灯91eは赤色に点灯する。
・アクチュエータボルト41が閉状態であり、外部入力があり、かつ、ロック信号があれば、大型表示灯90が緑色に点灯する。OSSD表示灯91aは緑色に点灯する。状態表示灯91bは消灯する。モード表示灯91cは緑色に点灯する。ロック表示灯91dは緑色に点灯する。アンロック表示灯91eは消灯する。
なお、安全スイッチ1の本体とアクチュエータ2とはペアを形成していてもよい。安全スイッチ1の本体に対して、ペアではないアクチュエータ2が挿入されると、大型表示灯90が橙色で点滅してもよい。
このように、大型表示灯90やOSSD表示灯91aは出力回路から出力される安全状態を示す信号に連動して点灯および消灯する第一表示灯の一例である。ロック表示灯91dやアンロック表示灯91eは、アクチュエータボルト41がロックピン34によりロックされた状態とロックされていない状態とを区別して表示する第二表示灯の一例である。ロック表示灯91dやアンロック表示灯91eは、安全状態を示す信号に依存せずに、ボルトがロックピンによりロックされた状態とロックされていない状態とを区別して表示する、または、ボルトが受け入れ空間に受け入れられた状態と受け入れ空間に受け入れられていない状態とを区別して表示する第二表示灯として機能してもよい。図3(B)ないし図3(D)などが示すように、第一表示灯または第二表示灯は、1つまたは複数の表示灯から構成され、筐体を構成する四つの側面のうち三つの側面に延在して配置されてもよい。
図2が示すように、アンテナコイル21b、アンロック部材7aおよび表示部128は窓カバー6に設けられているか、窓カバー6に沿って設けられている。つまり、無線回路、第一解除機構、第一表示灯および第二表示灯は、筐体を形成する複数の側面のうち同一の側面側に設けられている。つまり、解除機構は、無線回路、第一表示灯および第二表示灯が設けられている筐体の側面側と同一の側面側に設けられていてもよい。これにより安全スイッチ1のユーザビリティが向上する。ユーザーが目視したり、操作したりする部材が窓カバー6側に集約されているため、安全スイッチ1の取付の自由度が増すであろう。なお、筐体は本体ケース4と窓カバー6により構成されているが、窓カバー6の反対側に位置する本体ケース4の第四面に、第二解除機構として機能するアンロック部材7bが設けられていてもよい。アンロック部材7a、7bは筐体の前面と背面に設けられていてもよいし、筐体の左側面と右側面とに設けられていてもよい。
図11ないし図13が示すように、ロックピン34は、アクチュエータボルト41の引き抜きを規制する第一位置と、ボルトの引き抜きを許容する第二位置との間を移動する。
解除機構として機能するアンロック部材7a、7bは、ロックピンを第一位置から第二位置へ移動させる機構である。
ソレノイド32はロックピン34を第二位置から第一位置へ移動させる駆動機構の一例である。ソレノイド32はモータに置換されてもよい。
図11ないし図13が示すように、アンロック部材7a、7bなどの解除機構は、筐体を構成する四つの側面のうち少なくとも対向する二つの側面から操作可能に設けられてもよい。
図17(A)はベローズ40を含むベローズアセンブリ150を示している。図17(B)はベローズアセンブリ150を取り付けられたアクチュエータ2を示している。図17(C)は安全スイッチ1とアクチュエータ2との関係を示している。図17(D)はネジ孔10g付近の断面図である。ベローズアセンブリ150はベローズ40と緩衝カバー153とを有している。緩衝カバー153は矩形の開口154を有している。開口154はアンテナコイル21bの位置に対応している。つまり、ベローズアセンブリ150に開口154を設けることで、アンテナコイル21bに入射する電磁波の減衰やアンテナコイル21bから放射される電磁波の減衰が軽減される。ベローズアセンブリ150は柔軟性を有するゴムや樹脂により成型されている。たとえば、ベローズアセンブリ150が折り曲げ線155に沿ってL字形に折り曲げられると、緩衝カバー153の下に隠れているネジ72gやネジ孔10gが露出する。このように緩衝カバー153はネジ72gやネジ孔10gを保護している。さらに、図17(C)が示すように、緩衝カバー153は安全スイッチ1とアクチュエータ2の接触を緩和することができる。上述したようにアクチュエータボルト41は弾性支持されているため、アクチュエータボルト41の姿勢は可変である。そのため、アクチュエータボルト41の姿勢次第では、安全スイッチ1とアクチュエータ2とが接触しうる。よって、緩衝カバー153は接触による衝撃を軽減することに有用である。ベローズ40と緩衝カバー153とは一体化されずに、分離されていてもよい。ただし、ベローズ40と緩衝カバー153とを一体化することで、緩衝カバー153の開閉に伴う脱落が防止される。