JP7104890B2 - 積層コイル部品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は積層コイル部品の製造方法に関し、より詳しくは品種の選別を容易に行うことができる積層コイル部品製造方法に関する。
今日、積層インダクタ等のチップ型の積層コイル部品は、各種電子機器に広範に搭載され、広く普及している。
この種の積層コイル部品では、外形寸法が略同様のものも多く存在しており、完成品の直流抵抗やインダクタンス等の特性のみで選別しても、類似の品種と特性が一部重複したり、また測定精度にも難があることから、所望の仕様製品とは異なる仕様の製品が出荷予定の最終製品中に混入するおそれがある。
そこで、従来より、積層コイル部品の所定部位に予めマーカーを付与し、生産ラインの検査工程で前記マーカーをカメラ等で撮像し、製品を選別することが行われている。
製品にマーカーを付与した積層コイル部品として、例えば、特許文献1には図12に示すような積層インダクタが提案されている。
すなわち、特許文献1には、積層によって内部導体101がコイル状に形成され、この内部導体101の始端と終端とが形成されて一対の引出導体102a、102bとなり、かつ、これらの引出導体102a、102bが互いに導出されて外部電極103a、103bに接続され、前記引出導体102a、102bのそれぞれの位置を示す各マーカー104a、104bが、表面に形成された積層インダクタを提案している。
この特許文献1では、部品素体(チップ本体)105の一軸線に対して対称となるように所定位置にマーカー104a、104bを印刷形成し、これにより積層インダクタの方向性を認識している。
また、特許文献2には、図13に示すように、多数のシート層を積層して焼成することにより得た直方体形状の部品素体(チップ)111内に螺旋状のコイル導体(不図示)を有し、コイル導体の引出部の位置を示すためのマーカー層112、113をチップを構成する上面側シート層の内側と下面側シート層の内側にそれぞれ有し、各マーカー層112、113は部品素体111と同一幅を備えた矩形状を成し、各マーカー層112、113の部品素体111の側面側の2つの辺112a、112b、113a、113bは部品素体111の2つの側面に露出し、かつ、部品素体111の端面側の1つの辺112c、113cは部品素体111の端面よりも所定距離を隔てて内側に位置している積層インダクタが提案されている。
この特許文献2では、極めて薄い上下外層シートの一枚内側のシート層にマーカー層を印刷形成して該マーカー層112、113を部品素体111中に埋め込むことによってマーカー層112、113が透けて見えるようにし、これによりマーカー層112、113が剥離したり飛散することなく積層インダクタの方向性を認識できるようにしている。
特許第3359802号公報(請求項1、図1等) 特開2005-166745号公報(請求項1、段落[0024]、図1、3等)
しかしながら、上記特許文献1、2では、いずれもマーカー104a、104b又はマーカー層112、113を印刷形成しているため、マーカー作製用の印刷ペーストや印刷工程が必要となり、製造工程の煩雑化を招くおそれがある。
また、方向性認識のためのマーカーのように比較的簡素なマーカーの場合は、特許文献1、2の方法で容易に形成することができるが、小型で多品種の積層コイル部品の品種の識別を行う場合には、種々の異なる種類のマーカーが必要となり、マーカーのバリエーション増加が要請される。
しかしながら、特許文献1、2のように印刷技術でマーカーのバリエーションを増加させようとした場合、微細で高度な加工技術が必要となり、加工難易度も高く、量産性やコスト面を考慮すると実用化は困難である。
また、特許文献1のように部品素体105の表層面にマーカー104a、104bを印刷形成した場合は、焼成後にバレル加工を行うとマーカー104a、104bが消失したり欠損するおそれがある。さらに下面側のマーカー104bを形成するためには、部品素体105を反転させてマーカー104bを印刷形成る必要があり、製造工程もより煩雑化するおそれがある。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、積層コイル部品、印刷加工を要することなくマーカーを形成することにより、外観検査のみで品種の識別を容易に行うことができる積層コイル部品の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明に係る積層コイル部品の製造方法は、複数の第1の絶縁シートと、該第1の絶縁シートとは色味が異なる少なくとも1つの第2の絶縁シートとを含む複数の絶縁シートを作製する工程と、前記複数の第1の絶縁シートのうちの少なくとも1つの第1の絶縁シートに導電性ペーストを付与して導電パターンを形成する工程と、前記第1の絶縁シート間に前記第2の絶縁シートが介在するように前記複数の絶縁シートを積層し、積層体ブロックを形成する工程と、前記積層体ブロックを個片化し、対向する両側面が表面露出するように積層成形体を作製する工程と、前記積層成形体を焼成して部品素体を作製する工程とを含み、前記積層体ブロックを形成する工程は、前記積層体ブロックを個片化したときに、前記第2の絶縁シートの対向する両側が半円状の切欠部を形成して該切欠部に前記第1の絶縁シートの形成材料が充填されるように、前記積層ブロックの個片化前に前記第2の絶縁シートに孔を形成することを特徴としている。
また、本発明に係る積層コイル部品の製造方法は、複数の第1の絶縁シートと、該第1の絶縁シートとは色味が異なる少なくとも1つの第2の絶縁シートとを含む複数の絶縁シートを作製する工程と、前記複数の第1の絶縁シートのうちの少なくとも1つの第1の絶縁シートに導電性ペーストを付与して導電パターンを形成する工程と、前記第1の絶縁シート間に前記第2の絶縁シートが介在するように前記複数の絶縁シートを積層し、積層体ブロックを形成する工程と、前記積層体ブロックを個片化し、対向する両側面が表面露出するように積層成形体を作製する工程と、前記積層成形体を焼成して部品素体を作製する工程とを含み、前記前記積層体ブロックを形成する工程は、前記積層体ブロックを個片化したときに、前記第1の絶縁シートの対向する両側が半円状の切欠部を形成して該切欠部に前記第2の絶縁シートの形成材料が充填されるように、前記積層ブロックの個片化前に前記第1の絶縁シートに孔を形成することを特徴としている。
これにより微細な印刷加工技術を要することもなく、対向する両側面に種々の異なる模様が形成された積層コイル部品を容易に得ることができる。すなわち、積層体ブロックを個片化したときに、第1の絶縁シート又は第2の絶縁シートの対向する両側面が半円状の切欠部を形成して該切欠部に前記第2の絶縁シート又は前記第1の絶縁シートの形成材料が充填されるように前記第2の絶縁シート又は前記第1の絶縁シートに予め孔を形成しているので、両側面には品種識別のための様々な模様を有する積層コイル部品を容易に得ることができる。
また、本発明の積層コイル部品の製造方法では、前記積層体ブロックを形成する工程は、2つ以上の前記第2の絶縁シートが積層方向に隣接するように前記複数の絶縁シートを積層するのが好ましい。
また、本発明の積層コイル部品の製造方法は、前記積層体ブロックを個片化したときに、前記第2の絶縁シートの対向する両側面が半円状の切欠部を形成して該切欠部に前記第1の絶縁シートの形成材料が充填されるように、前記積層ブロックの個片化前に前記第2の絶縁シートに孔を形成するのが好ましい。
本発明の積層コイル部品の製造方法によれば、複数の第1の絶縁シートと、該第1の絶縁シートとは色味が異なる少なくとも1つの第2の絶縁シートとを含む複数の絶縁シートを作製する工程と、前記複数の第1の絶縁シートのうちの少なくとも1つの第1の絶縁シートに導電性ペーストを付与して導電パターンを形成する工程と、前記第1の絶縁シート間に前記第2の絶縁シートが介在するように前記複数の絶縁シートを積層し、積層体ブロックを形成する工程と、前記積層体ブロックを個片化し、対向する両側面が表面露出するように積層成形体を作製する工程と、前記積層成形体を焼成して部品素体を作製する工程とを含み、前記積層体ブロックを形成する工程は、前記積層体ブロックを個片化したときに、前記第2の絶縁シート又は前記第1の絶縁シートの対向する両側が半円状の切欠部を形成して該切欠部に前記第1の絶縁シート又は前記第2の絶縁シートの形成材料が充填されるように、前記積層ブロックの個片化前に前記第2の絶縁シート又は前記第1の絶縁シートに孔を形成するので、微細な印刷加工技術を要することもなく、対向する両側面に種々の異なる模様が形成された積層コイル部品を容易に得ることができる。
本発明に係る積層コイル部品の一実施の形態(第1の実施の形態)を模式的に示す正面図である。 第1の実施の形態に係る積層コイル部品の製造方法を説明するための要部分解斜視図である。 本発明に係る積層コイル部品の第2の実施の形態を模式的に示す正面図である。 第2の実施の形態に係る積層コイル部品の製造方法を説明するための要部分解斜視図である。 本発明に係る積層コイル部品の第3の実施の形態を模式的に示す正面図である。 第3の実施の形態に係る積層コイル部品の製造方法を説明するための要部分解斜視図である。 本発明に係る積層コイル部品の第4の実施の形態を模式的に示す正面図である。 第4の実施の形態に係る積層コイル部品の製造方法を説明するための要部分解斜視図である。 本発明に係る積層コイル部品の検査システムの一実施の形態を示すシステム構成図である。 本発明の積層コイル部品の検査手順の要部を説明するための説明図である。 従来の積層コイル部品の検査手順の要部を説明するための説明図である。 特許文献1に記載された積層コイル部品の斜視図である。 特許文献2に記載された積層コイル部品の斜視図である。
次に、本発明の実施の形態を詳説する。
図1は、本発明に係る積層コイル部品の一実施の形態(第1の実施の形態)を模式的に示す正面図である。
この積層コイル部品は、ストレートコイルからなる内部電極1が部品素体2に埋設されると共に、該部品素体2の両端部には一対の外部電極3a、3bが形成されている。
具体的には、部品素体2は、第1の絶縁層4a~4fと、該第1の絶縁層4a~4fとは色味が異なる第2の絶縁層5a~5cとからなる複数の絶縁層が積層された積層焼結体からなり、これら第1の絶縁層4a~4f及び第2の絶縁層5a~5cは、部品素体2の四側面のうち対向する両側面に表面露出している。そして、本第1の実施の形態では、第2の絶縁層5a~5cにより形成される縞状の模様がマーカーとして作用し、前記両側面がマーカー面9a、9bを形成している。
すなわち、本第1の実施の形態では、第2の絶縁層5a~5cはいずれも同一乃至略同一の厚みを有し、第2の絶縁層5bと第2の絶縁層5cは積層方向に隣接して一体化され、第2の絶縁層5aに比べ厚みの厚い第2の絶縁層5dが形成されている。そして、第2の絶縁層5aは第1の絶縁層4aと第1の絶縁層4bとで狭持され、前記第2の絶縁層5aよりも厚みの厚い第2の絶縁層5dは第1の絶縁層4bと第1の絶縁層4cとで狭持されている。これにより第2の絶縁層5aと第2の絶縁層5dとは厚みの異なる縞状の模様が形成され、斯かる模様を積層コイル部品の品種と関連付けることにより、所望仕様の積層コイル部品と所望仕様以外の積層コイル部品とを選別することができる。
このように本第1の実施の形態では、第1の絶縁層4a~4f及び該第1の絶縁層4a~4fとは色味が異なる第2の絶縁層5a、5dを部品素体2の対向する両側面に表面露出させており、しかも第2の絶縁層5aと第2の絶縁層5dとは厚みが異なることから、第2の絶縁層5a、5dが描く縞状の模様を認識することにより、前記模様と関連付けられた積層コイル部品の品種であると選別することができ、これにより所望仕様以外の積層コイル部品が最終製品中に混入するのを極力回避することが可能となる。
ここで、色味が異なる材料としては、第1の絶縁層4a~4fには、黒色系の磁性材料を好んで使用することができ、第2の絶縁層5a~5cには、透明系のガラス系材料を好んで使用することができる。
磁性材料としては、例えば、Feが40~49.5mol%、ZnOが5~35mol%、CuOが6~12mol%、残部がNiO及び不可避不純物を含む添加物からなるNi-Zn-C系フェライト材料を好んで使用することができる。
また、ガラス系材料としては、例えば、SiOが70~85wt%、Bが10~25wt%、Al及びKOがそれぞれ5wt%以下のホウケイ酸ガラス系材料を使用することができ、フィラー成分として適量の石英、フォルステライト、アルミナを含有させるのもより好ましい。
次に、第1の絶縁層4a~4fに磁性材料を使用し、第2の絶縁層5a、5dにガラス系材料を使用した場合について、上記積層コイル部品の製造方法を詳述する。
まず、磁性材料を作製する。すなわち、Fe、NiO、ZnO、CuO等のフェライト素原料を用意する。次いで、このフェライト素原料を所定量秤量した後、PSZ(部分安定化ジルコニア)ボール等の粉砕媒体と共にポットミルに投入し、湿式で十分に混合粉砕し、乾燥させた後、700℃程度の温度で2時間仮焼し、フェライト粉末を得る。
次に、このフェライト粉末をポリビニルブチラール等の有機バインダ、エタノール及び/又はトルエン等の有機溶剤、及び上記粉砕媒体と共にポットミルに投入して十分に混合粉砕し、これによりスラリー状の磁性材料を作製する。
次に、ガラス系材料を作製する。すなわち、SiO、B、Al、KO等のガラス素原料を用意する。次いで、このガラス素原料を所定量秤量した後、この秤量物を白金坩堝に投入し、1500~1600℃程度の温度で溶融させてガラス融液を作製し、その後、このガラス融液を急冷した後、粉砕し、これによりガラス粉末を得る。
次に、このガラス粉末の必要に応じてフォルステライト等のフィラー成分を添加し、さらにポリビニルブチラール等の有機バインダ、エタノール及び/又はトルエン等の有機溶剤、及び上記粉砕媒体と共にポットミルに投入して十分に混合粉砕し、これによりスラリー状のガラス系材料を作製する。
図2は、積層コイル部品の中間生成物である積層成形体の分解斜視図である。
尚、本実施の形態では、大判の積層体ブロックを作製して該積層体ブロックを個片化する多数個取り方式で積層成形体を作製しているが、説明の都合上、個片化された積層成形体を図示している。
すなわち、上記スラリー状の磁性材料に対しドクターブレード法等を使用して成形加工し、厚みが15~60μmの磁性体シート(第1の絶縁シート)6a~6fを作製する。
次いで、Ag等を主成分とする導電性ペーストを用意し、この導電性ペーストを使用して磁性体シート6dにスクリーン印刷等を施し、直線状の導電パターン7を作製する。
また、上記スラリー状のガラス系材料に対しドクターブレード法等を使用して成形加工し、厚みが15~60μmのガラスシート(第2の絶縁シート)8a~8cを作製する。
次いで、ガラスシート8aが磁性体シート6aと磁性体シート6bとに狭持され、ガラスシート8b及びガラスシート8cが磁性体シート6bと磁性体シート6cとに狭持され、さらに磁性体シート6dが磁性体シート6cと磁性体シート6eとに狭持されるように磁性体シート6a~6f及びガラスシート8a~8cを積層し、加熱・加圧して積層体ブロックを作製し、これを個片化して積層成形体を得る。
次に、この積層成形体を焼成炉に収容し、900℃程度の温度で2時間焼成処理を行う。その後、積層成形体の表面をバレル研磨等で研磨処理し、角部がR形状となるように加工する。これによりストレートコイルからなる内部電極1が埋設された部品素体2を作製する。
その後、Ag等を主成分とする導電性ペーストを用意し、該導電性ペーストを部品素体1の両端部に塗布して800℃程度で焼付処理を施し下地電極を形成した後、めっき法等を使用して下地電極上にNiやSnの皮膜を有する三層構造の外部電極3a、3bを形成し、これにより第1の実施の形態の積層コイル部品が作製される。
このように本製造方法は、磁性体シート6a~6fと、該磁性体シート6a~6fとは色味が異なるガラスシート8a~8cとを作製する工程と、磁性体シート6dに導電性ペーストを付与して導電パターン7を形成する工程と、磁性体シート6a~6f及びガラスシート8a~8cを積層し、積層体ブロックを形成する工程と、前記積層体ブロックを個片化し、対向する両側面が表面露出するように積層成形体を作製する工程と、前記積層成形体を焼成して部品素体2を作製する工程とを含み、ガラスシート8bとガラスシート8cが積層方向に隣接するように積層するので、微細な印刷加工技術を要することもなく、対向する両側面に厚みの異なる縞状の模様が形成された積層コイル部品を容易に得ることができる。
図3は、本発明に係る積層コイル部品の第2の実施の形態を模式的に示す正面図である。
この積層コイル部品は、第1の実施の形態と同様、ストレートコイルからなる内部電極19が部品素体11に埋設されると共に、該部品素体11の両端部には一対の外部電極3a、3bが形成されている。
具体的には、部品素体11は、第1の絶縁層12a~12eと、該第1の絶縁層12a~12eとは色味が異なる第2の絶縁層13a、13bとからなる複数の絶縁層が積層された積層焼結体からなり、これら第1の絶縁層12a~12e及び第2の絶縁層13a、13bは、部品素体11の四側面のうち対向する両側面に表面露出されている。
また、本第2の実施の形態では、第2の絶縁層13bが2つに分断され、分断された間隙14には第1の絶縁層12a~12eを形成する絶縁部材が充填されている。そして、第2の絶縁層13a、13bにより形成される模様がマーカーとして作用し、前記両側面がマーカー面20a、20bを形成している。
本第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様、第1の絶縁層12a~12eとは色味違いの第2の絶縁層13a、13bが、前記第1の絶縁層12a~12eと共に部品素体11の両側面に表面露出させているので、第2の絶縁層13a、13bが有する模様を認識することにより、品種を容易に認識できる。したがって、前記模様を積層コイル部品の品種と関連付けることにより、所望仕様と所望仕様外の積層コイル部品を容易に選別することができる。
尚、色味の異なる材料としては、第1の実施の形態と同様、第1の絶縁層12a~12eには、黒色系の磁性材料を好んで使用することができ、第2の絶縁層13a、13bには、透明系のガラス系材料を使用することができる。
次に、第1の絶縁層12a~12eに磁性材料を使用し、第2の絶縁層13a、13bにガラス系材料を使用した場合について、上記積層コイル部品の製造方法を詳述する。
まず、第1の実施の形態と同様、磁性材料及びガラス材料を作製する。
図4は、積層コイル部品の中間生成物である積層成形体の分解斜視図である。
尚、この図4においても、説明の都合上、個片化された積層成形体を図示している。
すなわち、第1の実施の形態と同様、磁性体シート(絶縁シート)15a~15eを作製し、磁性体シート15dの表面に直線状の導電パターン16を作製する。
次いで、上記スラリー状のガラス材料を使用してガラスシート17a、17bを作製する。そして、積層体ブロックを個片化したときに、ガラスシート17bの対向する両側面が半円状の切欠部を有するように、ガラスシート17bにレーザ照射等で孔を形成する。これにより後述する圧着処理前の積層体ブロックを積層成形体単位で示すと、図4に示すように、ガラスシート17bの両側面に半円形状の切欠部18a、18bが形成されることとなる。
次いで、ガラスシート17aが磁性体シート15aと磁性体シート15bとに狭持され、ガラスシート17bが磁性体シート15bと磁性体シート15cとに狭持され、さらに磁性体シート15dが磁性体シート15cと磁性体シート15eとに狭持されるように磁性体シート15a~15e及びガラスシート17a、17bを積層し、加熱・加圧して積層体ブロックを作製する。この際、加熱・加圧時の圧着処理で孔には磁性体シート15b、15cを形成する磁性材料が充填される。そして、この積層体ブロックを個片化し、積層成形体を得る。
その後は第1の実施の形態と同様の方法・手順で部品素体11を作製し、更には外部電極3a、3bを形成し、これにより第2の実施の形態の積層コイル部品が作製される。
このように本製造方法においても、大判のガラスシート17bに予め孔を形成して積層体ブロックを作製しておくことにより、前記積層体ブロックを個片化したときは磁性体シート15b、15cを形成する磁性材料がガラスシート17bの切欠部18a、18bに充填されることから、微細な印刷加工を要することなく、対向する両側面のマーカー面20a、20bには品種識別のための様々な模様を有する積層コイル部品を容易に得ることができる。
図5は、本発明に係る積層コイル部品の第3の実施の形態を模式的に示す正面図である。
この積層コイル部品は、第1の実施の形態と同様、ストレートコイルからなる内部電極29が部品素体21に埋設されると共に、該部品素体21の両端部には一対の外部電極3a、3bが形成されている。
具体的には、部品素体21は、第1の絶縁層22a~22eと、該第1の絶縁層22a~22eとは色味が異なる第2の絶縁層23a~23cとからなる複数の絶縁層が積層された積層焼結体からなり、これら第1の絶縁層22a~22e及び第2の絶縁層23a~23cは、部品素体21の四側面のうち対向する両側面に表面露出されている。
また、本第3の実施の形態では、第1の実施の形態と同様、第2の絶縁層23a~23cはいずれも同一乃至略同一の厚みを有し、第2の絶縁層23bと第2の絶縁層23cは積層方向に隣接して一体化され、第2の絶縁層23aに比べ厚みの厚い第2の絶縁層23dが形成されている。さらに、第2の絶縁層23dは、第1の絶縁層22cとの界面に凸状の突起部24が形成されている。すなわち、本第3の実施の形態では、突起部24を含む第2の絶縁層23a、23dにより形成される模様がマーカーとして作用し、対向する両側面がマーカー面30a、30bを形成している。そして、このようにして形成された模様を積層コイル部品の品種を関連付けることにより、積層コイル部品の品種を選別することができる。
このように本第3の実施の形態でも、第1及び第2の実施の形態と同様、第2の絶縁層23a、23dが描く模様を認識することにより、品種の異なる積層コイル部品が混入するのを極力回避することが可能となる。
尚、色味の異なる材料としては、第1及び第2の実施の形態と同様、第1の絶縁層22a~22eには、黒色系の磁性材料を好んで使用することができ、突起部24を含む第2の絶縁層23a、23dには、透明系のガラス系材料を好んで使用することができる。
次に、第1の絶縁層22a~22eに磁性材料を使用し、第2の絶縁層23a、23dにガラス系材料を使用した場合について、上記積層コイル部品の製造方法を詳述する。
まず、第1及び第2の実施の形態と同様、磁性材料及びガラス材料を作製する。
図6は、積層コイル部品の中間生成物である積層成形体の分解斜視図である。
尚、この図6においても、説明の都合上、個片化された積層成形体を図示している。
すなわち、第1及び第2の実施の形態と同様、磁性体シート(第1の絶縁シート)25a~25eを作製し、磁性体シート25dの表面に直線状の導電パターン26を作製する。そして、積層体ブロックを個片化したときに、磁性体シート25cの対向する両側面が半円状の切欠部を有するように、磁性体シート25cにレーザ照射等で孔を形成する。これにより後述する圧着処理前の積層体ブロックを積層成形体単位で示すと、図6に示すように、磁性体シート25cの両側面に半円形状の切欠部27a、27bが形成されることになる。
次いで、ガラス系材料を使用してガラスシート(第2の絶縁シート)28a~28cを作製する。
そして、ガラスシート28aが磁性体シート25aと磁性体シート25bとに狭持され、ガラスシート28b及びガラスシート28cが磁性体シート25bと磁性体シート25cとに狭持され、さらに磁性体シート25dが磁性体シート25cと磁性体シート25eとに狭持されるように磁性体シート25a~25e及びガラスシート28a~28cを積層し、加熱・加圧して積層体ブロックを得る。この際、加熱・加圧時の圧着処理で孔にはガラスシート28cを形成するガラス系材料が充填される。そして、この積層体ブロックを個片化し、積層成形体を得る。
その後は第1の実施の形態と同様の方法・手順で部品素体21を作製し、更には外部電極3a、3bを形成し、これにより第3の実施の形態の積層コイル部品が作製される。
このように本製造方法においても、大判の磁性体シート25cに予め孔を形成して積層体ブロックを作製しておくことにより、前記積層体ブロックを個片化したときはガラスシート28cを形成するガラス材料が磁性体シート25cの切欠部27a、27bに充填されることから、微細な印刷加工を要することなく、対向する両側面のマーカー面30a、30bには品種識別のための様々な模様を有する積層コイル部品を容易に得ることができる。
図7は、本発明に係る積層コイル部品の第4の実施の形態を模式的に示す正面図である。
この積層コイル部品は、第1の実施の形態と同様、ストレートコイルからなる内部電極39が部品素体31に埋設されると共に、該部品素体31の両端部には一対の外部電極3a、3bが形成されている。
具体的には、部品素体31は、第1の絶縁層32a~32gと、該第1の絶縁層32a~32gとは色味が異なる第2の絶縁層33a~33dとからなる複数の絶縁層が積層された積層焼結体からなり、これら第1の絶縁層32a~32g及び第2の絶縁層33a~33dは、部品素体31の四側面のうち対向する両側面に表面露出されている。
また、本第4の実施の形態では、第1の絶縁層32a~32gと第2の絶縁層33a~33dとが略交互に積層されると共に、第2の絶縁層33a~33dの各層が、2つ又は3つに分断された形態を有しており、分断された間隙には第1の絶縁層32a~32gの形成材料が充填されている。
そして、第2の絶縁層33a~33dにより形成される模様がマーカーとして作用し、対向する両側面がマーカー面40a、40bを形成している。
このように本第4の実施の形態においても、第1~第3の実施の形態と同様、第1の絶縁層32a~32gとは色味の異なる第2の絶縁層33a~33dが、前記第1の絶縁層32a~32gと共に部品素体31の両側面に表面露出させているので、第2の絶縁層33a~33dが有する模様を認識することにより、品種を容易に識別できる。したがって、これらを積層コイル部品の品種と関連付けることにより、積層コイル部品の品種を容易に選別することが可能となる。
尚、色味が異なる材料としては、第1~第3の実施の形態と同様、第1の絶縁層32a~32gには、黒色系の磁性材料を好んで使用することができ、第2の絶縁層33a~33dには、透明系のガラス系材料を使用することができる。
次に、第1の絶縁層32a~32gに磁性材料を使用し、第2の絶縁層33a~33dにガラス系材料を使用した場合について、上記積層コイル部品の製造方法を詳述する。
まず、第1及び第2の実施の形態と同様、磁性材料及びガラス材料を作製する。
図8は、積層コイル部品の中間生成物である積層成形体の分解斜視図である。
尚、この図8においても、説明の都合上、個片化された積層成形体を図示している。
すなわち、第1の実施の形態と同様、磁性体シート(第1の絶縁シート)35a~35gを作製し、磁性体シート35dの表面に直線状の導電パターン36を作製する。
次いで、上記スラリー状のガラス材料を使用してガラスシート(第2の絶縁シート)37a~37dを作製する。そして、積層体ブロックを個片化したときに、ガラスシート37a~37dの対向する両側面が2つ又は4つの半円形状の切欠部を有するように、ガラスシート37a~37dにレーザ照射等で孔を形成する。これにより後述する圧着処理前の積層体ブロックを積層成形体単位で示すと、図8に示すように、ガラスシート37a~37dの両側面に半円形状の切欠部38a~38lが形成されることになる。
次いで、ガラスシート37aが磁性体シート35aと磁性体シート35bとに狭持され、ガラスシート37bが磁性体シート35cと磁性体シート35dとに狭持され、さらにガラスシート37cが磁性体シート35dと磁性体シート35eとに狭持され、ガラスシート37dが磁性体シート35fと磁性体シート35gとに狭持されるように磁性体シート35a~35g及びガラスシート37a~37dを積層し、加熱・加圧して積層体ブロックを得る。この際、加熱・加圧時の圧着処理で孔には磁性体シート35a~35gを形成する磁性材料が充填される。そして、この積層体ブロックを個片化し、積層成形体を得る。
その後は第1の実施の形態と同様の方法・手順で部品素体31を作製し、更には外部電極3a、3bを形成し、これにより第4の実施の形態の積層コイル部品が作製される。
このように本製造方法においても、大判のガラスシート37a~37dの所定箇所に予め孔を形成して積層体ブロックを作製しておくことにより、積層体ブロックを個片化したときは磁性体シート35a~35gを形成する磁性材料がガラスシート37a~37dの切欠部38a~38lに充填されることから、微細な印刷加工を要することなく、対向する両側面のマーカー面40a、40bには品種識別のための様々な模様を有する積層コイル部品を容易に得ることができる。
図9は積層コイル部品の検査システムの一実施の形態を示すシステム構成図である。
本検査システムは、積層コイル部品41を矢印A方向に搬送する搬送ベルト42と、積層コイル部品41のマーカー面が上面側に位置するように積層コイル部品41の姿勢を整える部品整列部43と、前記マーカー面を撮像する第1の撮像装置44と、該第1の撮像装置44の撮像結果に基づいて前記積層コイル部品41の品種を選別する選別部45とを備えている。
また、部品整列部43は、積層コイル部品41の外観を撮像する第2の撮像装置46と、該第2の撮像装置46の撮像結果に基づき積層コイル部品41を時計回り方向に転回可能とする回転機構(不図示)とを備えている。
上記検査システムでは、積層コイル部品41が,搬送ベルト42を介して矢印A方向に搬送され部品整列部43に達すると、第2の撮像装置46が駆動して積層コイル部品41の外観を撮像する。この場合、図10(a)に示すように、対向する両側面のマーカー面47a、47bがxy平面上に位置して第2の撮像装置46と対向している場合は、積層コイル部品41はそのまま矢印B方向に搬送される。
一方、図10(b)(i)に示すように、マーカー面47a、47bがxz平面上に位置して第2の撮像装置46と対向していない場合は、図10(b)(ii)に示すように、回転機構を介して積層コイル部品41を時計回り方向に90°転回させ、マーカー面47a、47bが第2の撮像装置46と対向するように積層コイル部品41の姿勢を整え、その後、積層コイル部品41は矢印B方向に搬送される。
その後、第1の撮像装置44でマーカー面47aを撮像して第2の絶縁層が有する模様を認識し、これにより品種が選別され、製品ロットに合致した仕様の積層コイル部品41は矢印C方向に搬送され、仕様が合致しない積層コイル部品は矢印D方向から排出される。
このように本検査システムでは、積層コイル部品41の対向する両側面が同一模様を有するマーカー面47a、47bを形成することから、積層コイル部品41の姿勢がランダムに搬送ベルト42上を搬送してきても、時計回り方向に1回だけ90°転回させるのみで積層コイル部品41の姿勢を整えることができる。
図11は、積層コイル部品(部品素体)の四側面のうち、一側面のみにマーカーが付与されている場合を示している。
すなわち、図11(a)に示すように、マーカー面49がxy平面上に位置し、第2の撮像装置46と対向している場合は、積層コイル部品48をそのまま矢印B方向に搬送することができる。また、図11(b)(iii)に示すように、マーカー面49がxz平面に位置し表側面位置する場合は、時計回り方向に1回90°転回するのみで積層コイル部品48の姿勢を整えることができる。しかしながら、図11(b)(ii)に示すように、マーカー面49が底面に位置する場合は、時計回り方向に2回90°転回する必要があり、図11(b)(i)に示すように、マーカー面49が裏側面に位置する場合は、時計回り方向に3回90°転回する必要があり、検査工程の迅速化に支障が生じるおそれがある。
これに対し本発明の積層コイル部品41は、対向する両側面がマーカー面47a、47bとされているので、マーカー面47a、47がxz面上にあって積層コイル部品41の姿勢が整っていない場合であっても、時計回り方向に1回だけ90°転回することにより積層コイル部品41の姿勢を整えることができ、検査工程の効率化を図ることができ、所望仕様の積層コイル部品41を容易かつ迅速に選別することができる。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。すなわち、上記各実施の形態は、本発明を実現するための例示であって、互いに色味の異なる第1及び第2の絶縁層が対向する両側面に表面露出していればよく、第2の絶縁層によって形成される模様は上記実施の形態以外にも様々のバリエーションが可能であり、斯かるバリエーションを増やすことにより、より多品種の積層コイル部品の選別に対処することが可能である。
また、上記実施の形態では、色味が異なる絶縁性材料として磁性材料とガラス系材料の組み合わせを例示したが、特性を損なわない範囲で様々な組み合わせが可能である。
また、上記実施の形態で詳述した検査システムでは、回転機構は時計回りに転回可能としているが、対向する両側面にマーカーが形成されることから、反時計回りに転回させても、1回の転回で積層コイル部品の姿勢を整えることができる。
また、上記実施の形態では、内部電極1、19、29、39がストレートコイルで形成されているが、平面的な渦巻き型、立体的なスパイラルコイルに適用でいるのはいうまでもなく、また、LC複合部品にも適用可能である。特に、内部電極をスパイラルコイルで形成した場合は、ビアホールの形成が必要となるが、本発明ではビアホール形成と第2~第4の実施の形態におけるガラスシート又は磁性体シートの孔形成とを同一行程で行うことができ、製造工程の工程増を招くこともない。
また、上記第2及び第4の実施の形態では、ガラスシートに孔を形成し、上記第3の実施の形態では、磁性体シートに孔を形成しているが、ガラスシート及び磁性体シートの双方に適宜孔を形成してバリエーションを更に増やすことが可能なのはいうまでもない。
部品素体の対向する両側面にマーカーを付与して積層コイル部品の選別の効率化を図る。
1、19、29、39 内部電極
2、11、21、31 部品素体
3a、3b 外部電極
4a~4f、12a~12e、22a~22e、32a~32f 第1の絶縁層
5a~5d、13a、13b、23a~23d、33a~33d 第2の絶縁層
6a~6f、15a~15e、25a~25e、35a~35g 磁性体シート(第1の絶縁シート)
8a~8c、17a、17b、28a~28c、37a~37d ガラスシート(第2の絶縁シート)
18a、18b、27a、27b、38a~38l 切欠部
24 突出部

Claims (3)

  1. 複数の第1の絶縁シートと、該第1の絶縁シートとは色味が異なる少なくとも1つの第2の絶縁シートとを含む複数の絶縁シートを作製する工程と、
    前記複数の第1の絶縁シートのうちの少なくとも1つの第1の絶縁シートに導電性ペーストを付与して導電パターンを形成する工程と、
    前記第1の絶縁シート間に前記第2の絶縁シートが介在するように前記複数の絶縁シートを積層し、積層体ブロックを形成する工程と、
    前記積層体ブロックを個片化し、対向する両側面が表面露出するように積層成形体を作製する工程と、
    前記積層成形体を焼成して部品素体を作製する工程とを含み、
    前記積層体ブロックを形成する工程は、 前記積層体ブロックを個片化したときに、前記第2の絶縁シートの対向する両側が半円状の切欠部を形成して該切欠部に前記第1の絶縁シートの形成材料が充填されるように、前記積層ブロックの個片化前に前記第2の絶縁シートに孔を形成することを特徴とする積層コイル部品の製造方法。
  2. 複数の第1の絶縁シートと、該第1の絶縁シートとは色味が異なる少なくとも1つの第2の絶縁シートとを含む複数の絶縁シートを作製する工程と、
    前記複数の第1の絶縁シートのうちの少なくとも1つの第1の絶縁シートに導電性ペーストを付与して導電パターンを形成する工程と、
    前記第1の絶縁シート間に前記第2の絶縁シートが介在するように前記複数の絶縁シートを積層し、積層体ブロックを形成する工程と、
    前記積層体ブロックを個片化し、対向する両側面が表面露出するように積層成形体を作製する工程と、
    前記積層成形体を焼成して部品素体を作製する工程とを含み、
    前記積層体ブロックを形成する工程は、 前記積層体ブロックを個片化したときに、前記第1の絶縁シートの対向する両側が半円状の切欠部を形成して該切欠部に前記第2の絶縁シートの形成材料が充填されるように、前記積層ブロックの個片化前に前記第1の絶縁シートに孔を形成することを特徴とする積層コイル部品の製造方法。
  3. 前記積層体ブロックを形成する工程は、2つ以上の前記第2の絶縁シートが積層方向に隣接するように前記複数の絶縁シートを積層することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の積層コイル部品の製造方法。
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