従来、この種のシャシダイナモ装置は、自動車の駆動輪にロータ軸が相対回転不能に結合される負荷モータと、機枠に回転自在に支持された接輪ローラと、接輪ローラの回転軸にロータ軸が相対回転不能に固定された補償モータとを備える(例えば、特許文献1参照)。上記負荷モータでは、ロータ軸にケース外方に延びる中間軸が連結される。そして、中間軸先端のフランジ部が、ボルトによりスペーサを介して駆動輪のハブ部に固定される。性能試験に際しては、負荷モータに流れる電流や周波数を制御し、実負荷、即ち機械的負荷を与える。そして、ロータリエンコーダ、レゾルバ、圧力センサ、加速度センサ等を備えた測定装置で検出される車速信号、前後荷重変化、トルク変化、重心移動量等の各値が制御系の演算部にリアルタイムで入力される。
また、シャシダイナモ装置の中には、自動車の駆動輪連結部から駆動輪を取り外した状態で負荷モータのケース外方に延びる中間軸先端のフランジ部を駆動輪連結部に連結し、上記接輪ローラを省略したものも開発されている。このシャシダイナモ装置の負荷モータは、従来の上記シャシダイナモ装置が備えた負荷モータと同様に、車体外方に大きく張り出している。
近年、自動車の運転安全性の向上を図り、衝突回避ブレーキシステム、先行車発信通知システム、標識認識システム、誤発進抑制システム、車間距離保持支援システム、車線維持支援システム、路外逸脱抑制システム等が開発され、各種センサが車体に設けられている。このような自動車に対し上記の如く車体外方に大きく張り出す負荷モータを用いると、負荷モータをセンサが障害物として誤検知し、自動車が誤作動することがある。特に、今後実用化が計画されている自動運転車では、より多くのセンサが設けられることから、負荷モータの誤検知に基づく自動車の誤作動の解決は急務である。
そこで、本出願人は、PCT/JP2018/018071で、周壁部と端壁部と周壁部及び端壁部により囲まれた中空部とを有するケースと、ケースの周壁部内面に固定されたステータと、ケースの中空部内部に収納され、ステータの径方向内方に回転自在に設けられ、且つ自動車の駆動輪連結部に連結可能なロータとを備えたシャシダイナモ装置用負荷モータを提案している。このものでは、自動車の車幅方向を軸方向、車幅方向外方を軸方向外方、車幅方向内方を軸方向内方として、ケースの周壁部は軸方向に延び、ケースの端壁部は周壁部の軸方向外方端に設けられ、ケースは、シャシダイナモ装置用負荷モータの設置時に、自動車のタイヤハウスに軸方向外方から挿入可能であり、ケースの中空部は、内部に自動車のブレーキディスクとブレーキキャリパとを挿入可能である。また、ロータは、自動車の駆動輪連結部に連結可能なロータ連結部と、ロータ連結部を駆動輪連結部に連結した状態でブレーキキャリパよりも軸方向外方位置で径方向外方に延びるロータフレームと、ロータフレームの径方向外方端に接続され、ロータフレームの径方向外方端との接続部から軸方向内方に延びるロータ周壁部と、ロータ周壁部に固定された磁石とを備えている。そして、上記シャシダイナモ装置用負荷モータでは、ロータ連結部を駆動輪連結部に連結した状態でロータ周壁部の径方向内方の空間内にブレーキキャリパが挿入されようにしている。
然し、その後の検討により、上記シャシダイナモ装置用負荷モータに改善すべき点が見出された。それは、ケースの中空部内部に自動車のブレーキディスクとブレーキキャリパとを挿入可能としたが故に、性能試験の際にブレーキを作動させた時に発生する粉塵がシャシダイナモ装置用負荷モータの内部に侵入する可能性があるということである。
図1(a)を参照して、本発明の実施形態であるシャシダイナモ装置用負荷モータ(以下、負荷モータと略記する)1を説明する。負荷モータ1は、自動車の性能試験を行うシャシダイナモ装置に設けられ、自動車の車軸端に設けられる駆動輪連結部cに取付可能である。駆動輪連結部cは、自動車の車両懸架装置の構造によって異なるが、ブレーキディスクc1、ホイールハブ等を含む部位である。負荷モータ1は、ケース2と、ステータ3と、ロータ4とを備えている。
以下の説明では、径方向をR、その外方、内方を夫々o,iとしている。また、自動車の車幅方向を軸方向X、車幅方向外方を軸方向Xの外方o、車幅方向内方を軸方向Xの内方iとしている。ケース2は、周壁部21と、端壁部22と、周壁部21及び端壁部22により囲まれた中空部23とを有している。周壁部21は、軸方向Xに延び、例えば円筒状等とすることができる。端壁部22は、周壁部21の軸方向Xの外方端に設けられている。端壁部22の詳細は後述する。
ステータ3は、ケース2の周壁部21の内面に固定されている。ステータ3には、コイルが巻装され、シャシダイナモ装置からの電力供給が可能となっている。ロータ4は、ケース2の中空部23の内部に収納され、ステータ3の径方向Rの内方iに回転自在に設けられている。また、ロータ4は自動車の駆動輪連結部cに連結可能である。
ケース2は、負荷モータ1の設置時に、後述するように、タイヤハウスに軸方向Xの外方oから挿入可能であり、挿入時には、中空部23の内部に、自動車の駆動輪連結部cに含まれるブレーキディスクc1とブレーキキャリパc2とが挿入される。
ロータ4は、ロータ連結部41と、ロータフレーム42と、ロータ周壁部43と、磁石44とを備えている。ロータ連結部41は、自動車の駆動輪連結部cへの連結を担う部位である。ロータ4には、ロータフレーム42と別体とした軸部材45が設けられ、軸部材45は軸方向Xの内方iにロータ連結部41を有している。ロータフレーム42は径方向Rの内方端部において軸部材45に連結されている。具体的には、軸部材45は軸方向Xに延びる部材であり、円柱状のロータフレーム固定部45aと、円筒状のロータフレーム固定位置決め部45bとを備えている。ロータフレーム固定部45aの軸方向Xの外方端部から中程までの部分の外周面にねじ溝が刻設されている。また、ロータフレーム固定部45aの軸方向Xの内方端部は径方向Rの外方oに折曲され、折曲部45a1の外方端部が軸方向Xの内方iに折曲されてロータフレーム固定位置決め部45bとなり、ロータフレーム固定位置決め部45bは軸方向Xの内方iに延びている。ロータフレーム固定部45aの折曲部45a1の基部における軸方向Xの外方端面の一部は、径方向Rの外方oに裾広がりの円錐面45a2となっている。ロータフレーム位置決め固定部45bには、軸方向Xの外方oに突出する複数のピン5が同心円上に所定の間隔で植設されている。また、ロータフレーム固定位置決め部45bの軸方向Xの内方端部が径方向Rの外方oに折曲され、この折曲部がロータ連結部41となっている。ロータ連結部41には、軸方向Xに貫通する複数の挿通孔6が開設されている。挿通孔6は、ボルト等の固着具の挿入が可能とされ、所定の間隔で同心円上に配置されている。また、挿通孔6は、ブレーキディスクc1等の駆動輪連結部cにおいて車幅方向に貫通して開設された複数のねじ孔(図示省略)に1対1の関係で正対可能である。軸部材45は、ロータ連結部41の挿通孔6からボルト等の固着具を挿入し、駆動輪連結部cの上記ねじ孔に螺入することによって駆動輪連結部cに連結される。
ロータフレーム42は、ロータ連結部41を駆動輪連結部cに連結した状態でブレーキキャリパc2よりも軸方向Xの外方位置で径方向Rの外方oに延びている。ロータフレーム42は、径方向Rの外方oに延びる第1直立部42aと、第1直立部42aと別体であって、径方向Rの外方oに延びる第2直立部42bとを備えている。第1直立部42aの径方向Rの内方端部42a1は、軸方向Xの外方oに折曲すると共に、径方向Rの内方iに突出する突出部42a2を有している。内方端部42a1には、軸方向Xの内方部分に、ピン5の挿入が可能な複数のピン孔7が設けられている。また、突出部42a2の軸方向Xの内外方端の両内周端面は、径方向Rの外方oに裾広がりの円錐面となっている。一方、第1直立部42aの径方向Rの外方端部42a3は、ブレーキキャリパc2に接触しない程度に軸方向Xの内方iに折曲し、フランジ状となっている。また、第1直立部42aの内方端部42a1と外方端部42a3との中間部分には、円筒状の筒軸42dが軸方向Xの外方oに突設されている。筒軸42dは第1直立部42aと一体に形成されている。
第1直立部42aと第2直立部42bとは、トルクセンサ8を介して連結されている。即ち、第2直立部42bの径方向Rの内方端部は、第1直立部42aの外方端部42a3と同様なフランジ状となっており、第1直立部42aの外方端部42a3と第2直立部42bの上記内方端部の夫々には軸方向Xに貫通する複数のねじ孔が形成されている。従って、トルクセンサ8の径方向Rの内外両端部における軸方向Xの内方端面を第1直立部42aの外方端部42a3における軸方向Xの外方端面及び第2直立部42bの上記内方端部における軸方向Xの外方端面と重合させ、ボルト9をトルクセンサ8の軸方向Xの外方oから上記ねじ孔に螺入することによって、第1直立部42aと第2直立部42bはトルクセンサ8を介して連結される。
トルクセンサ8は、軸に加わるトルクを計測するセンサであり、例えば、磁歪み効果を利用して非接触でトルクを検出する非接触方式のものを採用することができる。この場合、トルクセンサ8には端壁部22と対向する側にトランスミッタ8aを設けることができる。トランスミッタ8aは、例えば、歪みゲージと、歪みゲージの出力信号を電圧に変換するコンバータと、得られる電圧信号を送信するアンテナとを備えることができる。歪みゲージは、トルクセンサ8において端壁部22と対向する側を所定の間隔で座ぐり加工し、形成された座ぐり部に貼り付けることができる。アンテナは、トルクセンサ8における端壁部22との対向面に設けることができる。このようにトランスミッタ8aをトルクセンサ8に設ける場合、アンテナからの送信信号を受信するレシーバを、トランスミッタ8aと対向する、端壁部22の軸方向Xの内方端面に設けることができる。レシーバには、ループアンテナ方式、ピックアップ方式等を採用することができる。レシーバは、電気ケーブルを介してシャシダイナモ装置の評価ユニットに接続することができる。レシーバで受信した信号を評価ユニットに入力することによりトルクの解析等が可能となる。
そして、ロータ周壁部43は、ロータフレーム42の第2直立部42bの径方向Rの外方端に接続され、第2直立部42bの径方向Rの外方端との接続部43aから軸方向Xの内方iに延びている。磁石44は、複数個がロータ周壁部43の周方向に所定の間隔を存して設けられ、且つ各磁石44の径方向Rの外方端面とステータ3の径方向Rの内方端面との間には所定のギャップgが設けられている。ロータ周壁部43の軸方向Xの接続部43aが折曲する場合、接続部43aの径方向Rの外方端位置はギャップgを確保することができる範囲とされる。接続部43aは、最も端壁部22の近くに位置する一部を径方向Rの外方oに若干突出させ、突出部42a2を磁石44を固定する際の位置決めとして利用することができる。
負荷モータ1の設置に際しては、軸部材45をロータ連結部41において駆動輪接続部cに連結した後に、突出部42a2をロータフレーム固定部45aに外嵌させた状態でピン孔7にピン5を挿入し、ロータフレーム42の固定位置を決める。この状態において、ナット10をロータフレーム固定部45aの軸方向Xの外方端から内方iに向かってねじ込むと、突出部42a2の軸方向Xの内方端面がロータフレーム固定部45aにおける折曲部45a1の円錐面45a2と密接する。ナット10の軸方向Xの内方端の外周面も軸方向Xの外方oに裾広がりの円錐面とすることによって、ナット10の軸方向Xの内方端面が、突出部42a2における軸方向Xの外方oの外周端面と密接する。こうして、ロータフレーム42は、内方端部42a1において軸部材45に連結され、ロータ4は駆動輪連結部cと共に回転可能となる。ロータ連結部41を駆動輪連結部cに連結した状態では、ブレーキキャリパc2は、中空部23におけるロータ周壁部43の径方向Rの内方iの空間23a内に挿入される。従って、ロータ連結部41からケース2の端壁部22までの軸方向Xの距離を短縮することができ、ロータ連結部41を自動車の駆動輪連結部cに連結した状態において、ケース2の端壁部22が自動車のタイヤハウスの外方に大きく張り出すのを抑制することができる。また、ロータフレーム42はブレーキキャリパc2と非接触となり、互いに干渉することはない。従って、負荷モータ1の設置時にブレーキキャリパc2を車体から取り外す必要がない。
端壁部22は第1カバー11から形成され、第1カバー11は、端壁部22の外周部を形成する外カバー部11aと、その内側に位置する内カバー部11bとを備えている。外カバー部11aと内カバー部11bとは同一面上に連結されている。外カバー部11aは、その外周縁部において、所定間隔で形成されたボルト挿入孔11a1を通じて周壁部21の軸方向Xの外方端部にボルト12を螺入して固定される。また、外カバー部11aと内カバー部11bとの連結は、第1座ぐり部及び第2座ぐり部の重合と重合部分でのボルト13の螺入による。また、内カバー部11bの径方向Rの内方端部は軸方向Xの外方oに折曲し、回転支持部14の胴部14aとなっている。胴部14aは円筒状であり、胴部14aの内面には内輪回転方式の軸受15が取り付けられている。ロータフレーム42の筒軸42dは、胴部14aの径方向Rの内方iに突出し、筒軸42dと胴部14aとの間に軸受15が介在している。
また、回転支持部14において、ロータフレーム42の内方端部42a1と筒軸42dとの間は中空であり、空間14bに回転センサ16が収納されている。回転センサ16は、胴部14aの軸方向Xの外方端面にねじ17により固定された第1ブラケット18にねじ19により取り付けられた磁気ピックアップ16aと、ロータフレーム42の第1直立部42aの内方端部42a1に外嵌固定されたセンサギヤ16bとで構成される。回転センサ16を含めて回転支持部14の内部は、第1ブラケット18にねじ19により取り付けられた第2カバー51により軸方向Xの外方oから覆い隠されている。第2カバー51はリング状であるが、その中央部には、ナット10の取外し時に取り外されるサブカバー52がねじ止めされている。
尚、負荷モータ1の回転支持部14の張出しは、自動車のステアリングホイールを操作して車輪を左右に動かすときの車輪がタイヤハウスの外方に飛び出す出代よりは小さくすることができる。このことは、ケース2の端壁部22が自動車のタイヤハウスの外方に大きく張り出すのを抑制するのに有効となる。
以上の負荷モータ1は、自動車の性能試験に際し、駆動輪に相当する車輪が連結される駆動輪連結部cに連結することができる。駆動輪連結部cへの連結は、自動車の駆動方式が前輪駆動方式であれば前輪2つ、後輪方式であれば後輪2つ、四輪方式であれば四輪の駆動輪連結部cに連結することができる。この場合、自動車の車輪をタイヤが取り付けられたホイールと共に取り外し、負荷モータ1を自動車のタイヤハウスに軸方向Xの外方oから挿入する。この時、前述の通り、ロータ連結部41から端壁部22までの軸方向Xの距離が短縮され、負荷モータ1の回転支持部14の張出しは、自動車のステアリングホイールを操作して車輪を左右に動かすときの車輪がタイヤハウスの外方に飛び出す出代よりは小さいので、自動車に設けられた各種センサが、負荷モータ1を障害物として誤検知することが抑制され、センサの誤検知に基づく自動車の誤作動が抑制可能となる。信頼性の高い自動車の性能試験が可能となる。また、負荷モータ1では、ロータフレーム42にトルクセンサ8が設けられているので、負荷モータ1がトルクセンサ8を内蔵したものとなり、トルクセンサ8も車幅方向外方に突出しない。このため、自動車に設けられた各種センサによる誤検知をより抑制することができる。尚、トルクセンサ8は、自動車に設けられた各種センサによる誤検知を抑制することができる限り、ロータフレーム42に設ける必要は必ずしもない。トルクを計測する計測機器は、負荷モータ1と別体として設けることも可能である。
尚、ロータ連結部41と連結する駆動輪連結部cがホイールハブである場合、ホイールハブには複数のボルトが所定の間隔で同心円上に植設され、ボルトは車幅方向外方に突出しているので、ロータ連結部41と駆動輪連結部cとの連結の際にホイールハブに植設されたボルトを利用することができる。この場合、ロータ連結部41に開設された挿通孔6には軸方向Xの内方iから上記ボルトを挿入し、ケース2の中空部23の内部に突出させる。そして、レンチを用いて上記ナットを上記ボルトに螺着させてロータ連結部41を駆動輪連結部cに固定することができる。
そして、負荷モータ1では、ケース2の周壁部21の軸方向Xの内方端とロータ周壁部43の軸方向Xの内方端との間で径方向Rに延びる環状ブラケットとしての第2ブラケット101が設けられている。図1(b)を参照して、第2ブラケット101は、外周縁部に軸方向Xの外方oにオフセットした第1フランジ部101aを有し、第1フランジ部101aは、裏面がケース2の周壁部21の軸方向Xの内方端に面接触可能であり、且つ径方向Rの内方端部に軸方向Xの外方oに突出する位置決め部101bを有している。周壁部21の軸方向Xの内方端部は、位置決め部101bと正対する部分に第1凹欠部21aを有している。第1凹欠部21aに位置決め部101bを挿入することにより、第2ブラケット101のケース2への取付位置が決まる。このようにして位置決めされた状態において、第1フランジ部101aの軸方向Xの外側からワッシャ102を介してねじ103を周壁部21の軸方向Xの外方oに螺入して第2ブラケット101がケース2に固定される。尚、ねじ103の螺入をスムーズに行うために、第1フランジ部101aにはねじ挿入孔を、周壁部21の軸方向Xの内方端部にはねじ孔を、共に周壁部21の円周方向に所定の間隔で予め設けておく。
図1(c)を参照して、第2ブラケット101は、径方向Rの内方端部にも軸方向Xの外方oにオフセットした第2フランジ部101cを有している。第2フランジ部101cの軸方向Xの外方端及び径方向Rの内方端は、ロータ周壁部43と非接触とされ、この非接触状態を可能とするために、ロータ周壁部43の内方端部43bには、径方向Rの内方iにくぼむ第2凹欠部43b1が設けられている。そして、ロータ周壁部43の形成材料よりも硬度が低い材料から形成された防塵リング104が、第2ブラケット101の内周縁部に、防塵リング104の内周縁がロータ周壁部43の軸方向Xの内方端の外周面としての第2凹欠部43b1の外周面に接触するように設けられている。ロータ周壁部43は、一般に、S45C等の機械構造用炭素鋼等から形成される。この場合、防塵リング104の形成材料として真鍮が好ましく例示される。また、防塵リング104は、図2に示すように、ねじ105によって第2フランジ部101cに固定される。ねじ105による防塵リング104の固定をスムーズに行うために、防塵リング104にはねじ挿入孔を、第2フランジ部101cの軸方向Xの内方端部にはねじ孔を、共にロータ周壁部43の円周方向に所定の間隔で予め設けておく。
防塵リング104は、上記の通り、ロータ周壁部43の形成材料よりも硬度の低い材料から形成されているため、ロータ4の回転で防塵リング104の内周縁が第2凹欠部43b1の外周面、即ち、ロータ周壁部43の軸方向Xの内方端の外周面との接触により削られる。その結果、防塵リング104とロータ周壁部43の軸方向Xの内方端との間には粉塵が侵入しない程度のギャップが形成される。このため、性能試験の際にブレーキの作動により発生する粉塵が負荷モータ1の内部、即ち、空間23aに侵入するのを抑制できる。
このような防塵リング104は、図3に示すように、2分割され、各半部104aが環状ブラケットとしての第2ブラケット101の内周縁部に固定されて防塵リング104を構成するのが望ましい。この場合、分割は、例えば径方向Rで行い、各半部104aが同じ大きさとなるようにすることができる。各半部104aの第2ブラケット101への取付方向は、図2に示すように、ケース2の上下方向としても、又は左右方向等のいずれであってもよい。各半部104aの取付作業が容易であれば、取付方向は問わない。このように、防塵リング104を2分割することによって、第2ブラケット101の内周縁部への防塵リング104の取付けが分割しない場合よりも容易となる。尚、図3の符号106が、防塵リング104に設けられる上記ねじ挿入孔である。
また、防塵リング104は、負荷モータ1において1枚が設けられているが、防塵リング104の軸方向Xの厚さは調節可能である。こうすることにより、粉塵の侵入具合に応じて防塵リング104の軸方向Xの厚さを変更することができ、負荷モータ1の内部への粉塵の侵入をより抑制できる。厚さ調節は、基準厚さとして作製した防塵リング104を軸方向Xに2枚以上積層したり、厚薄いくつかの防塵リング104から適当な厚さのものを選択したりすることで実現される。
そして、負荷モータ1には、図1(a)に示すように、ケース2の周壁部21には、下端部に台座201を設けることができる。台座201は、周壁部21の外周面に沿う、例えば弧状の曲面等とすることができる座面202と、性能試験の際に自動車が設置される設置面上に配置され、例えば平面状等とすることができる設置面203とを有する。台座201によって、自動車の性能試験時における負荷モータ1の設置状態が安定となる。また、台座201には、座面202の上面部又は設置面203の下面部等に、制振材を設けることが可能である。この場合、ロータ4の回転に伴って発生する振動が上記制振材によって抑制され、自動車の性能試験時の設置面への振動の伝播を抑制することができる。これらの効果は、例えば、台座201を、負荷モータ1の設置時に、設置面203がケース2の下端よりも下側に位置するように周壁部21から延出させて設けることによってより高めることができる。このような台座201は、本実施形態では、ケース2の周壁部21における軸方向Xの外方端部及び内方端部の2カ所に1つずつ設けられている。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はそれらに限定されない。ロータの回転支持部の構造、駆動輪連結部の構成及び構造、ロータ連結部と駆動輪連結部とを連結する固着具の種類、環状ブラケット及び防塵リングの構造の細部の構造等については、従来公知のものも含め、多様なものを本発明では採用することができる。