JP7101144B2 - ゼラチン中空糸及びその製造方法 - Google Patents
ゼラチン中空糸及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7101144B2 JP7101144B2 JP2019113009A JP2019113009A JP7101144B2 JP 7101144 B2 JP7101144 B2 JP 7101144B2 JP 2019113009 A JP2019113009 A JP 2019113009A JP 2019113009 A JP2019113009 A JP 2019113009A JP 7101144 B2 JP7101144 B2 JP 7101144B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- gelatin
- hollow fiber
- water
- mass
- less
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)
- Artificial Filaments (AREA)
Description
(1)ゼラチン濃度が50質量%を超え70質量%以下となるように、水を加えてゼラチン水溶液の気液混合物とする工程。このときにポリエチレングリコールなどの水溶性高分子を添加してもよい。
(2)前記ゼラチン水溶液の気液混合物を減圧脱泡して紡糸液とする工程。
(3)前記紡糸液を押し出し、加熱紡糸筒を通過させて乾式紡糸する工程。この工程で中空糸が得られる。
(4)中空糸を熱架橋させる工程(好ましい工程)。
前記工程(2)において、減圧脱泡時の真空度は5~30kPaであるのが好ましい。これにより効率よく気体(気泡)を除去できる。この工程においても40~90℃に保持するのが好ましい。
実施例1(ゼラチン100質量%)と実施例2(ゼラチンにポリエチレングリコールを混合)を比較すると、最大強度までの挙動は共通するが、実施例1(ゼラチン100質量%)は最大強度の点で破断してしまう。ところが、ゼラチンにポリエチレングリコールを混合した組成は最大強度の50%以上の強度を保って破断伸度まで進む。おそらく配向分子の滑りが生じているものと推定される。本発明のゼラチン中空糸は、このように特異な強伸度特性を示す。
<繊維断面>
走査型電子顕微鏡((Flex SEM 1000型,日立,倍率50倍)の写真で観察した。
<その他>
JIS又は業界の規定する測定方法に従って測定した。
ゼラチンとして新田ゼラチン社製、(ゼリー強度262g 原料:アルカリ処理牛骨)を使用し、ゼラチン60.0gに水40gを加えて100gとし、80℃に加温して溶解し、10kPaの減圧下で脱泡して紡糸原液を得た。
この紡糸原液を樹脂シリンジに充填し、内径0.61mmの樹脂製ノズルを装着して保温ホルダーに入れて温度を57℃に調整し、末端より0.1MPaの加圧空気を送ってノズルから原液を押し出した。
ノズルから押し出した原液を垂直に設置した内径200mmのステンレス管にヒーターを巻き付けた長さ2mの加熱紡糸筒に上から通して125℃の温度で加熱して乾燥し、下端の筒出口でカットして中空糸を得た。加熱紡糸筒内の滞留時間は5分であった。
得られた中空糸を20℃、65%RH環境下で24時間静置した後、島津製作所製オートグラフASX-Gにて、つかみ間隔50mm、引張速度5mm/分でJIS-L1015法に準拠して引張強さと破断伸度を測定した。繊維形状は光学顕微鏡にて観察した。
得られた中空糸を5℃の水中に60分間浸漬したところ、溶解することなく形状を維持していた。
得られた中空糸のサンプル10個の平均値の強伸度特性は、最大強度53.4MPa、破断伸度3.9%であった。また、繊維の断面形状は図1-2に示すように中空であり、外径0.59mm、内径0.37mm、中空率62.7%であった。この中空糸の前記強伸度平均値に近い強伸度グラフを図5に示す。
続いてこの中空糸に、140℃、48時間、真空度1kPa以下の条件で熱架橋を施した。熱架橋前は37℃の温水で20時間浸漬すると溶解したが、熱架橋させると、37℃の温水で20時間浸漬しても形状を維持し、溶解しなかった。このことから、耐水性が向上し、水に溶けにくくなることが確認できた。
ゼラチンを58.2g、ポリエチレングリコール(分子量1000)を1.8g(PEG3質量%)とした以外は実施例1と同様に液調整・紡糸し、中空糸を得た。得られた中空糸を5℃の水中に60分間浸漬したところ、溶解することなく形状を維持していた。得られた中空糸のサンプル10個の平均値の強伸度特性は、最大強度21.5MPa、破断伸度124.8%であった。また、繊維の断面形状は図1-2に示すように中空であり、外径0.74mm、内径0.56mm、中空率75.7%であった。この中空糸の前記強伸度平均値に近い強伸度グラフを図5に示す。
続いてこの中空糸に、140℃、48時間、真空度1kPa以下の条件で熱架橋を施した。熱架橋前は37℃の温水で20時間浸漬すると溶解したが、熱架橋させると、37℃の温水で20時間浸漬しても形状を維持し、溶解しなかった。このことから、耐水性が向上し、水に溶けにくくなることが確認できた。
以上の結果を表1にまとめて示す。表1のデータは紡糸後1日後のデータであり(熱架橋無し)、測定数10の平均値である。
2 円筒形ゼラチン層
3 中空部分
10 フィラメント製造装置
11 シリンジ
12 紡糸液
13 ノズル
14 加熱紡糸筒
16 ガイドロール
17 巻き取り機
Claims (9)
- ゼラチンを主成分とする中空糸であり、
前記ゼラチン中空糸は、水溶性高分子を含まないか又は水溶性高分子が0質量%を超え10質量%以下含まれ、化学架橋成分は含まず、
前記中空糸は5℃の冷水に60分浸漬しても形状を維持し、溶解しないことを特徴とするゼラチン中空糸。 - 前記水溶性高分子はポリエチレングリコールである請求項1に記載のゼラチン中空糸。
- 前記ポリエチレングリコールの分子量は500以上5000未満である請求項2に記載のゼラチン中空糸。
- 湿潤状態におかれたときに色調が変わり、湿潤状態になったことが外観で判別することができる請求項1~3のゼラチン中空糸。
- 前記中空糸は、さらに熱架橋されており、37℃の温水で20時間浸漬しても形状を維持し、溶解しない請求項1~3のいずれかに記載のゼラチン中空糸。
- 前記ゼラチン中空糸の内径/外径で算出される中空率は1%~95%である請求項1~5のいずれかに記載のゼラチン中空糸。
- 請求項1~6のいずれかに記載のゼラチン中空糸の製造方法であって、
ゼラチンが50質量%を超え70質量%以下、水溶性高分子を含まないか又は水溶性高分子が0質量%を超え10質量%以下含まれ、化学架橋成分は含まず、水が30質量%以上50質量%未満の割合とし、
混合してゼラチン含有水溶液の気液混合物とし、前記気液混合物を減圧脱泡して紡糸液とし、
前記紡糸液を押し出し、垂直方向に配置される加熱紡糸筒を通過させて乾式紡糸し、
前記加熱紡糸筒を出た下部でカットすることを特徴とするゼラチン中空糸の製造方法。 - 前記加熱紡糸筒は、温度120~180℃、かつ押し出し物の滞留時間が5秒以上である請求項7に記載のゼラチン中空糸の製造方法。
- 前記中空糸は、さらに温度100~150℃、加熱時間24時間~96時間、真空度10kPa以下で熱架橋する請求項7又は8に記載のゼラチン中空糸の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019113009A JP7101144B2 (ja) | 2019-06-18 | 2019-06-18 | ゼラチン中空糸及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019113009A JP7101144B2 (ja) | 2019-06-18 | 2019-06-18 | ゼラチン中空糸及びその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020204120A JP2020204120A (ja) | 2020-12-24 |
JP7101144B2 true JP7101144B2 (ja) | 2022-07-14 |
Family
ID=73836914
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019113009A Active JP7101144B2 (ja) | 2019-06-18 | 2019-06-18 | ゼラチン中空糸及びその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7101144B2 (ja) |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012167397A (ja) | 2011-02-14 | 2012-09-06 | Kansai Univ | ゼラチン水溶液を用いた弾性に富む繊維ならびに中空糸の乾式紡糸法 |
JP2012237083A (ja) | 2011-05-13 | 2012-12-06 | Kansai Univ | ゼラチンおよび多価アルコールを含む水溶液を用いた繊維および中空糸の乾式紡糸法 |
US20160130729A1 (en) | 2013-05-31 | 2016-05-12 | Eth Zurich | Improved Spinning Process and Novel Gelatin Fibers |
JP2020204119A (ja) | 2019-06-18 | 2020-12-24 | 日本毛織株式会社 | ゼラチンフィラメント糸、その製造方法及びこれを用いた繊維構造物 |
-
2019
- 2019-06-18 JP JP2019113009A patent/JP7101144B2/ja active Active
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012167397A (ja) | 2011-02-14 | 2012-09-06 | Kansai Univ | ゼラチン水溶液を用いた弾性に富む繊維ならびに中空糸の乾式紡糸法 |
JP2012237083A (ja) | 2011-05-13 | 2012-12-06 | Kansai Univ | ゼラチンおよび多価アルコールを含む水溶液を用いた繊維および中空糸の乾式紡糸法 |
US20160130729A1 (en) | 2013-05-31 | 2016-05-12 | Eth Zurich | Improved Spinning Process and Novel Gelatin Fibers |
JP2020204119A (ja) | 2019-06-18 | 2020-12-24 | 日本毛織株式会社 | ゼラチンフィラメント糸、その製造方法及びこれを用いた繊維構造物 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2020204120A (ja) | 2020-12-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3783239B2 (ja) | ポリ(テトラフルオロエチレン)および関連ポリマー類の分散紡糸方法 | |
JP6047212B2 (ja) | 強化中空繊維膜およびそれを調製するための方法 | |
JP6115592B2 (ja) | 中空状多孔質膜 | |
US5225120A (en) | Method for preparing tubing and hollow fibers from non-crosslinked polyvinyl alcohol hydrogels | |
JP3887703B2 (ja) | ゼラチン繊維とその製造方法 | |
JP7299387B2 (ja) | ゼラチンフィラメント糸及びこれを用いた繊維構造物 | |
JP7232131B2 (ja) | ゼラチンフィラメント糸の製造方法 | |
JP7101144B2 (ja) | ゼラチン中空糸及びその製造方法 | |
Arbab et al. | Simultaneous effects of polymer concentration, jet-stretching, and hot-drawing on microstructural development of wet-spun poly (acrylonitrile) fibers | |
JP4009911B2 (ja) | ゼラチン繊維の製造方法 | |
EP0532037A1 (en) | Tubing and hollow fibers comprising non-crosslinked polyvinyl alcohol hydrogels and method for preparing same | |
CN114733366A (zh) | 一种非对称中空纤维膜的制备方法 | |
JPS59166208A (ja) | 気体分離膜の製造法 | |
RU2623253C2 (ru) | Полностью ароматическое пара-типа сополиамидное вытянутое волокно и способ его изготовления | |
JP4664794B2 (ja) | メタ型芳香族ポリアミド繊維の製造法 | |
JP2010240581A (ja) | フィルター材 | |
KR20210144131A (ko) | 스폰지 구조를 가지는 pps 중공사막 조성물, 이를 포함하는 pps 중공사막 및 이의 제조방법 | |
JP2001348726A (ja) | 緻密なポリメタフェニレンイソフタルアミド系繊維の製造法 | |
KR102399330B1 (ko) | 아세틸화 알킬 셀룰로오스 분리막 및 그의 제조방법 | |
JPH0931740A (ja) | 繊維の製造法 | |
JPH04227827A (ja) | 多孔質中空繊維状膜の製造方法及び多孔質中空繊維状膜 | |
JP6803624B2 (ja) | 高分子物質成形体の製造方法 | |
KR101557460B1 (ko) | 중공사막 제조용 고분자 수지 조성물, 중공사막의 제조 방법 및 중공사막 | |
JPH0429765B2 (ja) | ||
JPH028047B2 (ja) |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210614 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220623 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20220628 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20220704 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7101144 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |