JP7100750B1 - 包装材、リサイクル成形用材料及びその製造方法 - Google Patents

包装材、リサイクル成形用材料及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の課題は、パッケージ外側の印刷層だけでなく内側の印刷層の除去が可能で印刷基材の脱離性に優れ、さらに、脱離した印刷層の再付着による脱離基材の着色が抑制され、また、印刷インキの分散安定性が良好な、プラスチックリサイクルに適した包装材及び包装容器を提供することにある。さらに、回収した基材をリサイクルすることで、高品位な成形用材料を提供することにある。【解決手段】少なくとも、第1の基材、プライマー層(S)、印刷層(R)をこの順に備えた包装材、または、少なくとも、第1の基材、印刷層(T)をこの順に備えた包装材であって、プライマー層(S)および印刷層(T)は、第1の基材を脱離させて第1の基材をリサイクルするための層であり、かつ、酸性基を有する化合物を含む層であり、印刷層(R)および印刷層(T)が、着色剤と分散剤(A)とバインダー樹脂とを含む層である、包装材。【選択図】なし

Description

本発明は、プラスチック基材のリサイクル性に適した包装材、該包装材からリサイクルされた成形用材料及びその製造方法に関する。
近年、プラスチックフィルムを原料とするパッケージ、プラスチックボトル、その他のプラスチック製品は、海洋にゴミとして廃棄・投棄され環境汚染問題となっている。これらのプラスチック製品は海水中で分解されてサブミクロンサイズの破片(マイクロプラスチック)となり海水中に浮遊する。当該マイクロプラスチックは、魚類等の海洋生物に摂取されることで生物体内中に濃縮され、当該海洋生物を食料として摂取する海鳥や人間の健康にも影響することが懸念されている。
上記プラスチック製品としては、プラスチックボトルやキャップ、又はレジ袋といった単層フィルムの袋、並びにプラスチックフィルムを使用した複層構成の食品包装パッケージ等が挙げられる。プラスチックボトルやキャップ、単層フィルムの袋は、主として1種類の樹脂を原料とするモノマテリアルなプラスチック製品であり、リサイクルが比較的容易である。特にポリエステル基材(PET)のボトルやポリスチレン(PS)の食品トレーは、行政やスーパー等の小売店での回収システムが構築されており、ボトルtоボトルやトレーtоトレーが実現できている。
一方、複層構成の食品包装パッケージの場合、フィルム基材としてポリエステル基材、ナイロン基材(NY)、ポリプロピレン基材(PP)、ポリエチレン基材(PE)など、種々のプラスチック基材が使用されている。これらフィルム基材は、印刷インキにより印刷が施され、接着剤等を介して熱溶融樹脂基材と貼り合わされた後に、カットされ熱融着されてパッケージとなる。しかしながら、このような複層構成の食品包装パッケージは、相溶しない異種の材料が複数混合しているため、マテリアルリサイクルができないという問題がある。
また、プラスチック基材を、ポリプロピレン等のポリオレフィン基材のみでパッケージを構成し、基材をリサイクルする試みが行われている。しかし、ポリオレフィン基材のみのパッケージは、耐レトルト適性や遮光性等が不十分であり、このような高機能を要求される使用形態には適さない。さらに、例えリサイクルしたとしても、パッケージに含まれる印刷層や接着剤層により、黒色や灰色のような濃色のプラスチック原料を得ることしかできないという課題がある。PPのようなポリオレフィン基材は一旦着色すると透明な樹脂として取り出すことが困難であるため、着色していないポリオレフィン基材をマテリアルリサイクルすることは市場に求められている。
さらに、このような印刷層や接着剤層を含んだ状態でリサイクルされた再生ポリオレフィン樹脂は、印刷層や接着剤層由来の樹脂成分により物性が低下しており、石油由来のバージン樹脂を混合して使用しなければならない。そのためリサイクル率を向上することが困難である。
このようなプラスチック基材からの印刷層除去について、特許文献1には、プラスチック基材上にアクリル系樹脂やスチレンマレイン酸系樹脂からなる下塗り層を設け、下塗り層上に配置された表刷り印刷層を、アルカリ水により除去する技術が開示されている。また特許文献2には、酸性基を有するポリウレタン樹脂やアクリル樹脂をバインダー樹脂とするインキを表刷り印刷し、同じくアルカリ水により当該印刷層を除去する技術が開示されている。
しかしながら、これらはパッケージ外側の表刷りインキを除去するのみの技術であって、ラミネート積層体中の印刷層を除去し、基材同士を剥離させるまでには至っていない。基材同士を剥離することができない複層構成の食品包装パッケージは、(1)機械物性低いプラスチック原料、又は(2)濃色のプラスチック原料のいずれかにしかリサイクルできず、マテリアルリサイクルに使用することができない。
一方、特許文献3には、所定の酸価を有するポリウレタン樹脂を含む脱離層を用いることで、表刷り構成及びラミネート構成での積層体から印刷層を脱離する技術が開示されている。
しかしながら、このようなラミネート構成からリサイクルされた樹脂を、成形用材料として様々な用途に用いるためには、さらなる脱離性が必要である。
特開2001-131484号公報 特開平11-209677号公報 特開2020-090627号公報
本発明の課題は、パッケージ外側の印刷層だけでなく内側の印刷層の除去が可能で印刷基材の脱離性に優れ、さらに、脱離した印刷層の再付着による脱離基材の着色が抑制され、また、印刷インキの分散安定性が良好な、プラスチックリサイクルに適した包装材及び包装容器を提供することにある。さらに、回収した基材をリサイクルすることで、高品位な成形用材料を提供することにある。
本発明は、少なくとも、第1の基材、プライマー層(S)、印刷層(R)をこの順に備えた包装材、または、少なくとも、第1の基材、印刷層(T)をこの順に備えた包装材であって、
プライマー層(S)および印刷層(T)は、第1の基材を脱離させて第1の基材をリサイクルするための層であり、かつ、酸性基を有する化合物を含む層であり、
印刷層(R)および印刷層(T)が、着色剤と分散剤(A)とバインダー樹脂とを含む層である、包装材に関する。
また本発明は、少なくとも、第1の基材、プライマー層(S)、印刷層(R)、第2の基材をこの順に備えた包装材、または、少なくとも、第1の基材、印刷層(T)、第2の基材をこの順に備えた包装材であって、
プライマー層(S)および印刷層(T)は、第1の基材を脱離させて第1の基材をリサイクルするための層であり、かつ、酸性基を有する化合物を含む層であり、
印刷層(R)および印刷層(T)が、着色剤と分散剤(A)とバインダー樹脂とを含む層である、包装材に関する。
また本発明は、分散剤(A)が、顔料誘導体および/または樹脂型分散剤である、上記包装材に関する。
また本発明は、分散剤(A)が、顔料誘導体および樹脂型分散剤を含有する、上記装材に関する。
また本発明は、顔料誘導体の含有量が、着色剤全体に対して0.01~10質量%である、上記包装材に関する。
また本発明は、酸性基を有する化合物が、バインダー樹脂である、上記包装材に関する。
また本発明は、酸性基を有する化合物の酸価が、15~300mgKOH/gである、上記包装材に関する。
また本発明は、酸性基を有する化合物が、ポリウレタン樹脂である、上記包装材に関する。
また本発明は、プライマー層(S)が、酸価15~70のポリウレタン樹脂を含有し、印刷層(R)が、着色剤全体に対して0.01~5質量%の顔料誘導体を含有する、上記包装材に関する。
また本発明は、上記包装材をアルカリ水溶液に接触させ脱離させてなる第1の基材を含むリサイクル成形用材料に関する。
また本発明は、上記包装材から脱離させてなる第1の基材を含むリサイクル成形用材料の製造方法であって、下記工程1~3を含む成形用材料の製造方法に関する。
(工程1)請求項1~8いずれかに記載の包装材を破砕し、アルカリ水溶液に接触させて、包装材から第1の基材を脱離させる工程
(工程2)工程1で得られた第1の基材を水洗浄する工程
(工程3)工程2で得られた第1の基材を加熱成形する工程。
本発明により、パッケージ外側の印刷層だけでなく内側の印刷層の除去が可能で印刷基材の脱離性に優れ、さらに、脱離した印刷層の再付着による脱離基材の着色が抑制され、また、印刷インキの分散安定性が良好な、プラスチックリサイクルに適した包装材及び包装容器を提供することができる。さらに、回収した基材をリサイクルすることで、高品位な成形用材料を提供することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する実施形態又は要件の説明は、本発明の実施形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
本発明の包装材は、少なくとも、第1の基材、プライマー層(S)、印刷層(R)、または、少なくとも、第1の基材、印刷層(T)をこの順に備えた包装材であって、プライマー層(S)および印刷層(T)は、第1の基材を脱離させて第1の基材をリサイクルするための層であり、プライマー層(S)および印刷層(T)は、酸性基を有する化合物を含み、印刷層(R)および印刷層(T)が、着色剤と分散剤(A)とバインダー樹脂を含むことを特徴とする。
また、少なくとも、第1の基材、プライマー層(S)、印刷層(R)、第2の基材、または、少なくとも、第1の基材、印刷層(T)、第2の基材をこの順に備えた包装材であって、プライマー層(S)および印刷層(T)は、第1の基材を脱離させて第1の基材をリサイクルするための層であり、プライマー層(S)および印刷層(T)は、酸性基を有する化合物を含み、印刷層(R)および印刷層(T)が、着色剤と分散剤(A)とバインダー樹脂を含むことを特徴とする。
当該包装材は、プライマー層(S)および印刷層(T)が酸性化合物を含有することで塩基性水溶液等により溶解・剥離して、第1の基材が脱離し、第1の基材を分離・回収することが可能である。したがって、本発明の包装材は、第1の基材を分離・回収するために用いられる包装材に該当する。また、当該包装材は、印刷層(R)および印刷層(T)が、分散剤(A)を含有することで、印刷インキの分散安定性が良好となるだけでなく、第1の基材の脱離性も向上する。さらに、分散剤(A)の含有量を適正にすることで、脱離した基材への印刷層成分の再付着を抑制し、着色の少ない基材を回収して高品位な成形用材料にリサイクルすることが可能となる。
以下に本発明について詳細に説明するが、これらは本発明の実施態様の一例であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
<第1の基材を脱離させて第1の基材をリサイクルするための層>
本発明の包装材は、第1の基材をリサイクルするために、第1の基材に接する層が、酸性基を有する化合物を含む層である必要である。当該層としては、具体的には、プライマー層(S)および印刷層(T)の少なくともいずれかが必要である。
<プライマー層(S)>
本発明におけるプライマー層(S)は、第1の基材と接触する形で配置され、塩基性水溶液を用いた溶解・剥離等により第1の基材を脱離するための層であり、酸性基を有する化合物を含有する。プライマー層(S)は、後述するプライマー組成物から層形成される。
<酸性基を有する化合物>
前記酸性基を有する化合物は、樹脂であっても、低分子化合物であってもよく、従来公知の酸性基を有する化合物から選択することができ、単独又は2種以上を併用してもよい。
酸性基を有する樹脂としては、例えば、
ロジン変性マレイン酸樹脂やロジン変性フマル酸樹脂や酸変性されたポリオレフィン樹脂等の酸価を有する樹脂や;
アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸あるいはこれらの酸無水物等のカルボキシル基を有する重合性モノマー、スルホン化スチレン等のスルホン酸基を有する重合性モノマー、ビニルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド基を有する重合性モノマー等の、酸性基を有する重合性モノマーを単独重合もしくは共重合させた、(メタ)アクリル樹脂、スチレン-(メタ)アクリル樹脂、スチレン- (無水)マレイン酸樹脂、テルペン-(無水)マレイン酸樹脂等のラジカル共重合体である樹脂;
等が挙げられ、これを単数あるいは複数混合して使用することができる。
また、プライマー層は、常温で製膜性がある樹脂に、酸性基を有する低分子化合物を単数あるいは複数混合して使用することもできる。
酸性基を有する低分子化合物としては、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、ヒドロキシ酸、芳香族カルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、オキソカルボン酸、カルボン酸誘導体、酸無水物などが挙げられ、これを単数あるいは複数混合して使用することができる。
飽和脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸などがあげられ、
不飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ソルビン酸などがあげられ、
ヒドロキシ酸としては、乳酸、リンゴ酸、クエン酸などがあげられ、
芳香族カルボン酸としては、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸などがあげられ、
ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸などがあげられ、トリカルボン酸としてはアコニット酸などがあげられ、
オキソカルボン酸としては、ピルビン酸、オキサロ酢酸などがあげられ、
カルボン酸誘導体としては、アミノ酸、ニトロカルボン酸があげられ、
酸無水物としては、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などがあげられ、
これらを単数あるいは複数混合して使用することができる。
酸性基を有する化合物はバインダー樹脂であることが好ましい。バインダー樹脂の酸価は、好ましくは5mgKOH/g以上であり、より好ましくは15~400mgKOH/gであり、さらに好ましくは20~300mgKOH/gである。5mgKOH/g以上であると塩基性水溶液による脱離性が良好となるため好ましく、400mgKOH/g以下であると、基材密着性や耐レトルト性が良好となるため好ましい。また、塩基性水溶液に対して分解しやすいエステル構造を有する樹脂を含むことも好ましい。あるいは、塩基性水溶液に対して膨潤しやすい樹脂を含むことも好ましい。
また、バインダー樹脂の水酸基価は、好ましくは1~250mgKOH/gであり、より好ましくは10~45mgKOH/gである。1mgKOH/g以上であると、塩基性水溶液による脱離性が良好となるため好ましく、250mgKOH/g以下であると、基材密着性が良好となるため好ましい。
本発明において、酸価及び水酸基価は、いずれもJISK0070に従って測定した値である。
前記バインダー樹脂は、プライマー層を構成する樹脂成分総量のうち60質量%以上、より好ましくは、80重量%以上含有することが好ましい。
バインダー樹脂の樹脂骨格としては、例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂あるいは塩化ビニル-アクリル系共重合樹脂等の塩化ビニル樹脂、ロジン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、スチレン樹脂、ダンマル樹脂、スチレン-マレイン酸共重合樹脂、スチレン-アクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、テルペン樹脂、フェノール変性テルペン樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、ポリアセタール樹脂、石油樹脂、アミノ樹脂、ポリ乳酸、及びこれらの変性樹脂を挙げることができる。
これらの樹脂は、単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
中でも、プライマー層は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ロジン樹脂及びスチレン-マレイン酸共重合樹脂からなる群から選ばれる少なくも1種の樹脂を含むことが好ましく、ラミネート適正が良好であることから、ウレタン樹脂を含むことがより好ましい。
[ウレタン樹脂]
ウレタン樹脂の酸価は、好ましくは15mgKOH/g以上であり、より好ましくは15~70mgKOH/gであり、さらに好ましくは20~50mgKOH/gである。15mgKOH/g以上であると、塩基性水溶液による脱離性が良好となるため好ましく、70mgKOH/g以下であると、基材密着性や耐レトルト性が良好となるため好ましい。
ウレタン樹脂の水酸基価は、好ましくは1~35mgKOH/gであり、より好ましくは10~30mgKOH/gである。1mgKOH/g以上であると、塩基性水溶液による脱離性が良好となるため好ましく、35mgKOH/g以下であると、基材密着性が良好となるため好ましい。
ウレタン樹脂の重量平均分子量は、好ましくは10,000~100,000であり、より好ましくは15,000~70,000であり、さらに好ましくは15,000~50,000である。
ウレタン樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、6以下であることが好ましい。Mwは重量平均分子量を表し、Mnは数平均分子量を表す。分子量分布が6以下である場合、過剰な高分子量成分及び、未反応成分、副反応成分その他の低分子量成分に起因する影響を回避することができ、脱離性、プライマー組成物の乾燥性、耐レトルト適性が良好となる。
また、分子量分布が小さい即ち分子量分布がシャープであるほど、塩基性水溶液による溶解・剥離作用が均一に起こり、第1の基材の脱離性が向上するため好ましい。分子量分布は、より好ましくは5以下であり、さらに好ましくは4以下である。また、分子量分布は1.5以上が好ましく、より好ましくは1.2以上である。
Mw、Mn及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)により求めたポリスチレン換算値である。
分子量分布と酸価が、上記範囲内であると、塩基性水溶液による脱離性だけでなく、プライマー組成物の乾燥性、基材密着性、耐レトルト性も良好となるため好ましい。
上記ウレタン樹脂はアミン価を有していてもよい。ウレタン樹脂がアミン価を有する場合、アミン価は0.1~20mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは1~10mgKOH/gである。上記範囲内であると基材密着性が良好となるため好ましい。
ウレタン樹脂は特に制限されず、例えば、ポリオール、ヒドロキシ酸及びポリイソシアネートを反応させてなる樹脂であることが好ましい。ヒドロキシ酸を使用することで、ウレタン樹脂に酸価を付与することができ、脱離性を向上させることができる。より好ましくは、ポリオール、ヒドロキシ酸及びポリイソシアネートを反応させてなる樹脂に、さらに、ポリアミンを反応させてなる樹脂である。
(ポリオール)
ポリオールは、一つの分子内に少なくとも二つの水酸基を有する化合物の総称であり、後述のヒドロキシ酸を含まないものである。
ポリオールの数平均分子量は、好ましくは500~10,000であり、より好ましくは1,000~5,000である。ここでいう数平均分子量とは、ポリオールの水酸基価から算出されるものであり、当該水酸基価はJISK0070による測定値をいう。ポリオールの数平均分子量が500以上であると、プライマー層の柔軟性に優れ、第1の基材への密着性が向上する。数平均分子量が10,000以下であると、第1の基材に対する耐ブロッキング性に優れる。
ポリオールとしては特に制限されず、より好ましくは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びポリカーボネートポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオールが用いられる。更にポリオールは、その他ダイマージオール、水添ダイマージオール、ひまし油変性ポリオールなどを含んでもよい。
即ち、本発明におけるウレタン樹脂は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びポリカーボネートポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオール由来の構成単位を含むことが好ましい。ポリエステルポリオールのエステル結合部位がアルカリ加水分解することにより脱離性が向上するため、より好ましくは、ポリエステルポリオール由来の構成単位を含むものである。
ポリオール由来の構成単位の含有量は、ウレタン樹脂全量に対して、好ましくは10~75質量%、より好ましくは15~70質量%、さらに好ましくは20~65質量%である。ポリエステルポリオール由来の構成単位の含有量は、ポリオール由来の構成単位全量に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、特に好ましくは80質量%以上である。
〔ポリエステルポリオール〕
ポリエステルポリオールとしては、例えば、二塩基酸とジオールとの縮合物からなるポリエステルポリオール;環状エステル化合物の開環重合物であるポリラクトンポリオールからなるポリエステルポリオール;が挙げられ、ポリエステルジオールが好ましい。ポリエステルポリオールは単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
二塩基酸としては、アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、グルタル酸、1、4-シクロヘキシルジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸等が挙げられ、中でもアジピン酸又はコハク酸が好ましい。
ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロパンジオール(以下プロピレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,3,5-トリメチルペンタンジオール、2、4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,12-オクタデカンジオール、1,2-アルカンジオール、1,3-アルカンジオール、1-モノグリセライド、2-モノグリセライド、1-モノグリセリンエーテル、2-モノグリセリンエーテル、ダイマージオール、水添ダイマージオール等が挙げられる。
ポリエステルジオールとしては、二塩基酸と分岐構造を有するジオールとの縮合物を用いてもよい。分岐構造を有するジオールを用いることで、プラスチック基材との密着性や耐レトルト性を向上させることができるため好ましい。
分岐構造を有するジオールとして好ましくは、アルキレングリコールの少なくとも1つの水素原子がアルキル基で置換された構造を有するジオールであり、例えば、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-1,4-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオールが挙げられる。中でも好ましくは、1,2-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、及び2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、1,2-プロパンジオール又は3-メチル-1,5-ペンタンジオールが好適に用いられる。
前記ポリエステルポリオールの原料としては、水酸基を3個以上有するポリオール、カルボキシル基を3個以上有する多価カルボン酸を併用してもよい。
上記環状エステル化合物としては、α-アセトラクトン、β-プロピオラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン等が好適に挙げられる。
さらに、ポリエステルポリオールとして好ましくは、以下の一般式(1)で表される構造単位を有するものがある。
一般式(1)
Figure 0007100750000001
一般式(1)中、R及びRは、各々独立して、炭素数1~10の置換若しくは無置換のアルキレン基であり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。nは、自然数である。
及びRおけるアルキレン基の直鎖炭素数は、各々独立して、好ましくは1~6であり、より好ましくは1~3である。
ここでいうアルキレン基の直鎖炭素数とは、分岐構造や置換基に含まれる炭素は含まない炭素数であり、例えば、3-メチル-1,5-ペンタンジオールの場合、直鎖炭素数は5であり、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールの場合、直鎖炭素数は3である。
一般式(1)で表される構造単位を有するポリエステルポリオールは、例えば、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸等の二塩基酸と、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール等のジオールと、の縮重合によって得ることができる。
〔ポリエーテルポリオール〕
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、酸化メチレン、酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフラン等の重合体又は共重合体が挙げられ、具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、又はこれら共重合体を含むことが好ましく、より好ましくは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリテトラメチレングリコールを含むものである。これらは単独又は2種以上を混合して用いることができる。
〔ポリカーボネートポリオール〕
ポリカーボネートポリオールとしては、脂肪族ポリカーボネートポリオールを含むものが好ましい。ポリカーボネートポリオールの数平均分子量は、好ましくは500~5,000であり、より好ましくは800~4,000、さらに好ましくは1,000~3,000である。
脂肪族ポリカーボネートポリオールは、置換若しくは未置換のアルキレングリコールのような脂肪族ジオール由来の構成単位を含むものが好ましく、その製造方法は限定されるものではないが、脂肪族ジオールとカーボネート化合物との、エステル交換反応による重縮合物であることが好ましい。
前記脂肪族ジオールは、好ましくは炭素数が4~10であり、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブチンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。脂肪族ジオールの有する置換基は、炭素数10以下のアルキル基であることが好ましい。これら脂肪族ジオールは、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
前記カーボネート化合物は、特に制限されず、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートのようなジアルキルカーボネート;ジフェニルカーボネートのようなジアリールカーボネート;エチレンカーボネートのようなアルキレンカーボネート;が挙げられる。脂肪族ジオールとのエステル交換反応での重縮合物となり置換されるため、カーボネート化合物の構造は限定されなく、反応性において良好なものを適宜選択すればよい。
上記ポリカーボネートポリオールは、25℃において液状であることが好ましい。液状のポリカーボネートポリオールをポリウレタン樹脂の原料として使用することで、プライマー層に柔軟性及び弾性が与えられ、基材への密着性が向上し、レトルト適性及び耐ブロッキング性が向上する。
このような液状のポリカーボネートポリオールとしては、例えば、脂肪族ジオール成分として、炭素数が奇数且つ直鎖構造を有するアルキレングリコールと、炭素数が偶数且つ直鎖構造を有するアルキレングリコール(直鎖状ジオール)と、を用いた脂肪族ポリカーボネートジオール、又は、アルキル置換基を有するアルキレングリコール(分岐状ジオール)を用いた脂肪族ポリカーボネートポリオール等が好適に挙げられる。
脂肪族ポリカーボネートポリオールは、脂肪族ジオール成分として3級炭素を有する分岐ジオールに由来する構造単位を含有すると、脱離性及び耐ブロッキング性が良好となるため好ましい。
3級炭素を有する分岐ジオールとしては、例えば、1,2-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールが挙げられ、好ましくは3-メチル-1,5-ペンタンジオールである。
より好ましくは、直鎖状ジオールと3級炭素を有する分岐ジオールとを併用するものであり、1,6-ヘキサンジオールと3-メチル-1,5-ペンタンジオールとを用いた脂肪族ポリカーボネートポリオールが特に好ましい。
脂肪族ポリカーボネートポリオール総質量中の質量比(直鎖状ジオール:3級炭素を有する分岐ジオール)は、好ましくは70:30~5:95、より好ましくは50:50~10:90である。
(ヒドロキシ酸)
本発明におけるヒドロキシ酸は、活性水素基である水酸基及び酸性官能基の両方を一分子中に有する化合物を指す。
該酸性官能基とは、酸価を測定する際に、水酸化カリウムで中和されうる官能基を示し、具体的にはカルボキシル基やスルホン酸基等が挙げられ、好ましくはカルボキシル基である。当該酸性基がイソシアネート基と反応する確率は低いため、水酸基含有ウレタン樹脂とした場合にも酸価を保持することができる。
ヒドロキシ酸は特に制限されず、例えば、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール吉草酸のようなジメチロールアルカン酸が好適に用いられる。これらは単独又は2種以上を混合して用いることができる。
(ポリイソシアネート)
前記ポリイソシアネートは特に制限されず、従来公知のポリイソシアネートから選択することができ、好ましくは、ジイソシアネート又はトリイソシアネートを含み、より好ましくは、芳香族、脂肪族又は脂環式のジイソシアネートを含むものである。これらは単独又は2種以上を併用してもよい。
芳香族、脂肪族又は脂環式のジイソシアネートとしては、例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4、4’-ジベンジルイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート、o-キシリレンジイソシアネート及び2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネートのような芳香族ジイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートのような脂肪族ジイソシアネート;シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネートやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネートのような脂環式ジイソシアネート;等が挙げられる。
中でも、反応性の観点から好ましくは、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも一種である。当該ジイソシアネートは、イソシアヌレート構造のような三量体構造を有するトリイソシアネートである場合も好ましい。
(ポリアミン)
本発明におけるポリアミンは特に制限されず、好ましくはジアミン化合物である。
ジアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン、さらにダイマー酸のカルボキシル基をアミノ基に転化したダイマージアミンが挙げられる。これらは単独又は2種以上を混合して用いることができる。
より好ましくは、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等の水酸基を有するジアミンである。水酸基を有するジアミンを使用することで、水酸基を一定量未反応で残存することができ、ウレタン樹脂に水酸基価を導入することができる。
ジアミン化合物としては、アミノ酸を使用することができる。アミノ酸は、アミノ基及び酸性官能基の両方を一分子中に有する化合物を指し、例えば、グルタミン、アスパラギン、リジン、ジアミノプロピオン酸、オルニチン、ジアミノ安息香酸、ジアミノベンゼンスルホン酸が挙げられる。当該酸性基は、イソシアネート基と反応する確率が低いため、ポリウレタン樹脂において当該酸価を保持することができる。
前記ポリアミンを反応させる際に、重合停止剤を併用してもよい。重合停止剤としては、例えば、ジ-n-ジブチルアミンのようなジアルキルアミン化合物;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ブタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、トリ(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、N-ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、N-ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、N-ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミンのような水酸基を有するアミン化合物;グリシン、アラニン、グルタミン酸、タウリン、アスパラギン酸、アミノ酪酸、バリン、アミノカプロン酸、アミノ安息香酸、アミノイソフタル酸、スルファミン酸のようなモノアミン型アミノ酸化合物;が挙げられる。ポリウレタン樹脂に水酸基価を導入するために、水酸基を有するアミン化合物を用いることが好ましい。
[ウレタン樹脂の製造]
前述のとおり、ウレタン樹脂としてより好ましくは、ポリオール、ヒドロキシ酸及びポリイソシアネートを反応させてなる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに、さらに、ポリアミンを反応させて鎖延長した樹脂である。この場合、ポリオール、ヒドロキシ酸及びポリイソシアネートの反応(以下ウレタン化工程という)において、ポリイソシアネートと、ポリオール及びヒドロキシ酸と、の官能基モル比(NCO/OH)は、好ましくは1.05~3.0であり、より好ましくは1.1~2.8である。また、ウレタンプレポリマーのイソシアネート基とポリアミンのアミノ基との官能基モル比(アミノ基/NCO)は、好ましくは0.7~1.3である。
ポリウレタン樹脂のウレタン結合数は、好ましくは1~3mmol/gであり、より好ましくは1.5~2mmol/gである。水酸基含有ポリウレタン樹脂のウレア結合数は、好ましくは0~3mmol/gであり、より好ましくは0.2~1mmol/gである。また、ウレタン結合数とウレア結合数の合計は、好ましくは1~6mmol/gであり、より好ましくは1.7~3mmol/gである。
ウレタン結合数及びウレア結合数を該当範囲に設定することで、脱離及び基材密着性が良好となるため好ましい。
ウレタン結合数は、ウレタン化反応工程において、(NCOモル数/OHモル数)>1の場合は下記式(3)で表される値であり、(NCOモル数/OHモル数)≦1の場合は下記式(4)で表される値である。
式(3): ウレタン結合数(mmol/g)=総水酸基モル数(mmol)/固形分総質量(g)
式(4): ウレタン結合数(mmol/g)=総イソシアネート基モル数(mmol)/固形分総質量(g)
式(3)及び(4)において、総水酸基モル数は、ウレタン化工程に用いられるポリオール及びヒドロキシ酸等が有する水酸基の総モル数を表し、固形分総質量は、ポリウレタン樹脂の不揮発成分の総質量を表し、総イソシアネート基モル数は、ポリイソシアネートが有するイソシアネート基の総モル数を表す。
ウレア結合数は、(NCOモル数/OHモル数)>1の条件でウレタン化反応を行ったものに適用される値である。
ウレア結合数は、ウレア化反応工程において、(アミノ基モル数/NCOモル数)>1の場合は下記式(5)で表される値であり(アミノ基モル数/NCOモル数)≦1の場合は下記式(6)で表される値である。
式(5): ウレア結合数(mmol/g)=[総イソシアネート基モル数(mmol)-総水酸基モル数(mmol)]/固形分総質量(g)
式(6): ウレア結合数(mmol/g)=総アミノ基モル数(mmol)/固形分総質量(g)
式(5)及び(6)において、総イソシアネート基モル数は、ウレタン化工程に用いられるポリイソシアネートが有するイソシアネート基の総モル数を表し、総水酸基モル数は、ウレタン化工程に用いられるポリオール及びヒドロキシ酸等が有する水酸基の総モル数を表し、総アミノ基モル数は、ウレア化反応工程に用いられるポリアミンが有する1級及び/又は2級のアミノ基の総モル数を表し、固形分総質量は、ポリウレタン樹脂の不揮発成分の総質量を表す。
[アクリル樹脂]
アクリル樹脂は、(メタ)アクリルモノマーを重合してなる樹脂である。アクリル樹脂を単独バインダー樹脂として用いる場合は、当該アクリル樹脂がカルボキシル基を有する必要であり、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、などのカルボキシル基を有する(メタ)アクリルモノマーを含むモノマーを重合したアクリル樹脂であることが好ましい。
あるいは、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの官能基を有する(メタ)アクリルモノマーを含むモノマーを重合し、重合後当該官能基に、カルボキシル基を有しかつ当該官能基と反応する化合物(無水マレイン酸など)を反応させて、アクリル樹脂にカルボキシル基を有させることもできる。
カルボキシル基を有する(メタ)アクリルモノマー以外のモノマーとしては、
メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリルモノマー;
マレイン酸、無水マレイン酸、スチレン、酢酸ビニル、ブタジエン、アクリロニトリルなどのビニルモノマーなどが挙げられる。
アクリル樹脂を単独バインダー樹脂として用いる場合の、アクリル樹脂の酸価は、50mgKOH/g以上、好ましくは100mgKOH/g以上である。
アクリル樹脂は、中和反応を行って、水性樹脂として用いても構わない。水性樹脂は、エマルジョン形態であっても、溶解形態であってもよい。
[その他成分]
プライマー層は、さらに、その他成分を含有してもよい。その他成分は、酸性基を有する化合物に配合してもよいし、酸性基を有する化合物を配合する際に添加してもよい。
(その他樹脂)
プライマー層は、さらに酸性基を有する樹脂以外のその他樹脂を含有してもよい。
その他樹脂としては、例えば、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂あるいは塩化ビニル-アクリル系共重合樹脂等の塩化ビニル樹脂、ロジン系樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ダンマル樹脂、スチレン-マレイン酸共重合樹脂、スチレン-アクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、テルペン樹脂、フェノール変性テルペン樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、ポリアセタール樹脂、石油樹脂、及びこれらの変性樹脂を挙げることができる。これらの樹脂は、単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
中でも、プライマー層は、セルロース樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン樹脂、アクリル樹脂及びスチレン-マレイン酸共重合樹脂からなる群から選ばれる少なくも1種の樹脂を含むことが好ましい。より好ましくは、塩化ビニル樹脂、又はアクリル樹脂である。
酸性基を有する樹脂と、該その他樹脂との質量比(酸性基を有する樹脂:その他樹脂)は、好ましくは95:5~50:50である。上記範囲内であると、塩基性水溶液中において、プライマー層と共に印刷層が剥離した際に、印刷層が薄膜の状態で剥離され、回収が容易となるため好ましい。
(体質顔料)
プライマー層は、被膜強度向上、光学的性質の改善、及びプライマー組成物の流動性向上の観点から、体質顔料を含有することが好ましい。
体質顔料としては、シリカ、硫酸バリウム、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の金属酸化物が挙げられる。中でも好ましくはシリカであり、より好ましくは親水性シリカである。
体質顔料の平均粒子径は、好ましくは0.5~10μmであり、より好ましくは1~8μmである。体質顔料の含有量は、プライマー層中に0.5~10質量%であることが好ましく、より好ましくは1~5質量%である。平均粒子径及び体質顔料の含有量が、上記範囲内であると、印刷層の濡れ性が向上し画質が向上するため好ましい。
(硬化剤)
プライマー層はさらにイソシアネート系硬化剤を含有しても良い。プライマー層に架橋構造が導入されることにより、プライマー層上に形成される印刷層の浸透や滲みが抑制され、優れた画質を示すことが可能となる。
硬化剤としては、例えば、ポリイソシアネートが挙げられる。ポリイソシアネートとしては、特に制限されず、従来公知のポリイソシアネートから選択することができ、例えば、脂肪族ポリイソシアネート又は芳香脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。これらは単独又は2種以上を併用してもよい。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、周知の脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート又はこれらの誘導体を用いることができる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2,4,4-又は2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプロエート等の脂肪族ジイソシアネート;1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4′-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート;1,3-又は1,4-キシリレンジイソシアネート若しくはその混合物、ω,ω′-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,3-又は1,4-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート;上記ジイソシアネートから誘導された、アロファネート型、ヌレート型、ビウレット型、アダクト型の誘導体、若しくはその複合体等のポリイソシアネート;等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、周知の芳香族ジイソシアネート又はその誘導体を用いることができる。
芳香族ジイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、又は上記ジイソシアネートから誘導された、アロファネート型、ヌレート型、ビウレット型、アダクト型の誘導体若しくはその複合体等が挙げられる。
ポリイソシアネートとして好ましくは、トリレンジイソシアネート(以下TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下MDI)又はヘキサメチレンジイソシアネート(以下HDI)の、アダクト型ポリイソシアネート(以下アダクト体)、ビウレット型ポリイソシアネート(以下ビウレット体)又はイソシアヌレート型ポリイソシアネート(以下イソシアヌレート体)であり、より好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導される、トリメチロールプロパンアダクト体(HDI-TPM)、ビウレット体、イソシアヌレート体である。
硬化剤の含有量は、組成物中の固形分総量に対して、好ましくは0.1~15質量%であり、より好ましくは0.5~10質量%であり、さらに好ましくは1~7質量%である。上記範囲内であると、プライマー層上に形成される印刷層の浸透や滲みが抑制され、優れた画質を発揮するため好ましい。
<プライマー組成物>
プライマー組成物は、少なくともバインダー樹脂を、溶剤中に溶解及び/又は分散することにより製造することができ、必要に応じて、前述のその他成分を含有してもよい。
溶剤としては、トルエン、キシレンのような芳香族系有機溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチルのようなエステル系有機溶剤;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノールのようなアルコール系有機溶剤;エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル系溶剤;水など公知の溶剤が挙げられ、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
プライマー組成物中の固形分濃度は、好ましくは5~60質量%であり、より好ましくは10~50質量%である。更にプライマー組成物中のバインダー樹脂固形分の含有量は、好ましくは0.5~50質量%であり、より好ましくは5~40質量%である。上記範囲であることによって最適な印刷適性を得ることができる。
プライマー組成物の粘度は、印刷工程において適切な印刷適性が得られるため、好ましくは20~500mPa・sであり、より好ましくは30~300mPa・sである。プライマー組成物の粘度は、バインダー樹脂の含有量や、後述のその他成分の含有量等によって適宜調整することができる。
プライマー組成物は、さらに公知の添加剤を含有してもよい。公知の添加剤としては、分散剤、湿潤剤、接着補助剤、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、粘度調整剤、金属キレート、トラッピング剤、ブロッキング防止剤、上記以外のワックス成分、シランカップリング剤等が挙げられる。
<印刷層(R)>
本発明における印刷層(R)は、プライマー層(S)の第1の基材と反対の側に、プライマー層に接して設けられた層であり、装飾、美感の付与、内容物、賞味期限、製造者又は販売者の表示等を目的とした、任意の印刷模様を形成する層であり、ベタ印刷層も含む。印刷層(R)は、プライマー層(S)の全面に設けてもよく、あるいは一部に設けてもよい。また、後述する印刷層(T)とは異なり酸性基を有する化合物を含むことを必須としないが、酸性基を有する化合物を含んでいてもよい。
印刷層は、従来公知の顔料や染料を用いて形成することができ、顔料や染料を含む印刷インキを用いて形成してもよく、その形成方法は特に限定されない。印刷層は、単層あるいは複数の層から形成されていてもよい。
印刷層の厚さは、好ましくは0.1μm以上100μm以下、より好ましくは0.1μm以上10μm以下、さらに好ましくは1μm以上5μm以下である。
印刷層を形成するために用いる印刷インキ(以下、インキ組成物ともいう)は、少なくとも、着色剤、分散剤(A)、バインダー樹脂を溶剤中に溶解及び/又は分散することにより製造することができ、必要に応じて、その他成分を含有してもよい。
溶剤としては、トルエン、キシレンのような芳香族系有機溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチルのようなエステル系有機溶剤;メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノールのようなアルコール系有機溶剤;エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル系溶剤;水など公知の溶剤が挙げられ、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
[着色剤]
印刷層(R)は、有色であっても無色であってもよく、一般に印刷インキや塗料で使用できる各種の無機顔料や有機顔料を含むことができる。無機顔料としては、例えば、酸化チタン、ベンガラ、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛などの有色顔料、および、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルク等の体質顔料を挙げることができる。また有機顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾキレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料などが好適である。なおこれらに限らず、前記顔料はカラーインデックスのジェネリックネームで記載のものが適宜使用可能である。中でも、アルカリ水溶液に溶けださない、すなわちアルカリ耐性を有する顔料が好ましい。アルカリ水溶液で包装材を処理する際に、溶けだした顔料成分によりアルカリ水溶液が着色するのを防ぐことで、アルカリ水溶液の再利用が容易となり、リサイクルの生産性を向上できるからである。顔料のアルカリ耐性は、概ね顔料骨格・構造で推定でき、アルカリ水溶液に溶解する染料由来のものや、アルカリ水溶液で分解するものは、アルカリ耐性を有しないといえる。例えば、アルカリ耐性のある顔料としては、無機顔料、P.B.15(ピグメントブルー15)、P.Y.83(ピグメントイエロー83)等が挙げられる。これらの顔料の含有量としては、インキ組成物総量中に0.5~50質量%が好ましい。
なお、本発明でいう顔料は、視覚的あるいは光学的効果を意図する場合は、金属光沢を与える金属粉や、近赤外吸収材料、紫外線吸収材料も含む。
[分散剤(A)]
印刷層(R)の分散剤(A)として、顔料誘導体および/または樹脂型分散剤を含有することで、脱墨性が向上する。さらに、インキの分散安定性および経時安定性が良好となる。これらは単独で用いても良いが、併用することで、さらに分散安定性および経時安定性が良好となるため、好ましい。
(顔料誘導体)
顔料誘導体は、顔料の骨格に置換基を導入した化合物である。印刷インキ中では、顔料誘導体の顔料の骨格が印刷インキ中の顔料表面に吸着し、顔料誘導体の置換基部分が印刷インキ中の溶媒に配向することで、印刷インキ中で顔料を分散させる作用を有する。
顔料誘導体としては、例えば、フタロシアニン系、アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系等の顔料の骨格に、カルボキシル基、スルホン酸基、カルボニル基、スルホニル基等の官能基を付加したもの、及びその塩等を好ましく使用することができる。これらは単独で、または組み合わせて使用することができる。
顔料誘導体の市販品としては、ソルスパース5000、ソルスパース12000(日本ルーブリゾール社製)、BYK-SYNERGIST2100、BYK-SYNERGIST2105(ビッグケミー・ジャパン社製)、エフカ6745、エフカ6750(BASF社製)等を好ましく使用することができる。これらは単独で、または組み合わせて使用することができる。
顔料誘導体は、インク中の顔料と同じ、または類似した色を呈することが好ましい。例えば、黒インクやシアンインクに添加する場合は、顔料誘導体としてフタロシアニン顔料誘導体を好ましく使用することができる。
顔料誘導体の総量は、着色剤全体に対して0.01~10質量%であることが好ましく、0.05~6質量%であることがより好ましく、0.1~4質量%であることがさらに好ましい。0.01質量%以上であると印刷インキの分散安定性が良好となり、第1の基材の脱離性も良化する。また、10質量%以下であると、アルカリ水溶液中で脱離した印刷層が細かく砕かれて基材に再付着することによる基材着色を抑制し、高品位なリサイクル成形用材料に再生することができる。
(樹脂型分散剤)
樹脂型分散剤は、顔料組成物に吸着する性質を有する顔料組成物への親和性部位と、顔料組成物担体と相溶性のある部位とを有し、顔料組成物に吸着して顔料組成物担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩等の油性分散剤、(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が用いられ、これらは単独または2種以上を混合して用いることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
樹脂型分散剤の総量は、着色剤全体に対して0.01~30質量%であることが好ましく、0.05~20質量%であることがより好ましく、0.1~10質量%であることがさらに好ましい。0.01質量%以上であると印刷インキの分散安定性が良好となり、第1の基材の脱離性も良化する。また、30質量%以下であると印刷層の耐水性が良好となる。
[バインダー樹脂]
印刷層(R)のバインダー樹脂としては、例えば、ニトロセルロース系、セルロースアセテート・プロピオネート等の繊維素材、塩素化ポリプロピレン系、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン樹脂系及びアクリルウレタン系、ポリアミド系、ポリブチラール系、環化ゴム系、塩化ゴム系あるいはそれらを適宜併用したバインダーを用いることができる。
印刷インキ中の固形分濃度は、好ましくは5~60質量%であり、より好ましくは10~50質量%である。更に印刷インキ中のバインダー樹脂固形分の含有量は、好ましくは0.5~50質量%であり、より好ましくは5~40質量%である。上記範囲であることによって最適な印刷適性を得ることができる。
印刷インキの粘度は、印刷工程において適切な印刷適性が得られるため、好ましくは20~500mPa・sであり、より好ましくは30~300mPa・sである。印刷インキの粘度は、バインダー樹脂の含有量等によって適宜調整することができる。
印刷インキの塗工方法は特に限定されず、グラビアコート法、フレキソコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スピンコート法、インクジェット法等の方法により塗布することができる。これを放置するか、必要により送風、加熱、減圧乾燥、紫外線照射等を行うことにより印刷層を形成することができる。
<印刷層(T)>
本発明における印刷層(T)は、第1の基材と接触する形で配置され、塩基性水溶液を用いた溶解・剥離等により第1の基材を脱離するための層であり、上記酸性基を有する化合物を含有する。また、印刷層(T)を形成するための印刷インキは、少なくとも、着色剤、分散剤(A)、バインダー樹脂を溶剤中に溶解及び/又は分散することにより製造することができ、必要に応じて、その他成分を含有してもよい。
印刷層(T)は、第1の基材を脱離するために、いわゆる印刷層(T)のベタ印刷層でない場合には、複数の印刷層(T)を重ね刷りして、包装材の印刷層(T)以外の層が第1の基材以外の層と接触しないように、絵柄や装飾デザインを考慮する必要がある。
<第1の基材>
第1の基材は、包装材に一般的に用いられるフィルム状又はシート状のプラスチック基材、金属箔等のガスバリア基材、紙等が挙げられ、これらが積層された積層体であってもよい。
プラスチック基材としては、例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂のフィルムが挙げられ、好ましくは熱可塑性樹脂のフィルムである。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、繊維素系プラスチックが挙げられる。
より詳細には、ポリエチレン(PE)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)のようなポリオレフィン樹脂フィルム;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)のようなポリエステル樹脂フィルム;ポリスチレン樹脂フィルム;ナイロン6、ポリ-p-キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)のようなポリアミド樹脂フィルム;ポリカーボネート樹脂フィルム;ポリアクリルニトリル樹脂フィルム;ポリイミド樹脂フィルム;これらの複層体(例えば、ナイロン6/MXD6/ナイロン6、ナイロン6/エチレン-ビニルアルコール共重合体/ナイロン6)や混合体;等が用いられる。中でも、機械的強度や寸法安定性を有するものが好ましい。
プラスチックフィルムの厚さは、好ましくは5μm以上200μm以下、より好ましくは10μm以上100μm以下、さらに好ましくは10μm以上50μm以下である。
ガスバリア基材は、例えば、アルミニウム箔;アルミニウム、シリカ、アルミナ等の無機蒸着層を有するプラスチック基材;ポリビニルアルコール等の有機層を有するプラスチック基材;等が挙げられる。アルミニウム箔の場合は、経済的な面から3~50μmの範囲の厚みが好ましい。無機蒸着層を有するプラスチック基材の市販品としては、例えば、プラスチック基材上に、アルミナ等の無機蒸着層が積層された、「GL FILM」(凸版印刷社製)や、IB-FILM(大日本印刷社製)等が挙げられる。なお、アルミニウムやアルミナは、塩基性水溶液への溶解性を有するため、後述の脱離工程において溶解し、プラスチック基材のみをリサイクルすることが可能である。
リサイクル基材として再利用する観点から、第1の基材は、ポリエチレン、二軸延伸ポリプロピレンのようなポリオレフィン樹脂フィルムを含むことが好ましい。
第1の基材が積層体である場合、基材同士は接着剤層を介して積層されていることが好ましい。該接着剤層の形成方法は制限されず、公知の接着剤を用いて公知の方法で形成することができる。
第1の基材は、必要に応じて帯電防止剤、紫外線防止剤等の添加剤を含有してもよく、基材表面が、コロナ処理又は低温プラズマ処理されていてもよい。
<第2の基材>
第2の基材は、例えば、上述の第1の基材で挙げた基材、又は、シーラント基材が挙げられ、これらが積層された積層体であってもよい。第2の基材として好ましくはシーラント基材であり、ポリオレフィンを含むものである。第2の基材は、シリカ、アルミナ等の蒸着膜を有していてもよい。
シーラント基材としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン、酸変性ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン(CPP)、酸変性ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、エチレン-ビニルアセテート共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマーが挙げられる。
リサイクル性の観点から、第2の基材は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンや高密度ポリエチレン等のポリエチレン、酸変性ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン、酸変性ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン等のポリオレフィンが好ましい。
レトルト耐性の観点では、好ましくはポリプロピレンであり、ヒートシール性の観点では、好ましくは無延伸ポリプロピレンである。
第2の基材の厚みは特に限定されず、包装容器への加工性又はヒートシール性等を考慮すると、好ましくは10μm以上150μm以下であり、より好ましくは20μm以上70μm以下である。第2の基材に数μm程度の高低差を有する凸凹を設けることで、滑り性や包装材の引き裂き性を付与することができる。
第2の基材を積層する方法は特に限定されず、例えば、第1の基材、プライマー層及び印刷層を有する積層フィルムの印刷面と、第2の基材とを、ラミネート接着剤を用いて貼り合わせる方法;第2の基材を構成する樹脂を溶融させて、印刷層上に押出し、冷却固化する方法;等が挙げられる。
印刷層(R)または印刷層(T)と、第2の基材との間には、接着剤層などのそれ以外の層が存在してもよい。
以下に、本発明の包装材の構成の一例を挙げるが、これらに限定されない。前述のとおり、第1の基材及び第2の基材は、複数の基材が積層された積層体であってもよい。第2の基材もリサイクルさせるためには、第2の基材と接触する層(接着剤層など)も、酸性基を有する化合物を含む層であることが好ましい。
・第1の基材/プライマー層(S)/印刷層(R)
・第1の基材/印刷層(T)
・第1の基材(積層体)/プライマー層(S)/印刷層(R)
・第1の基材(積層体)/印刷層(T)
・第1の基材/プライマー層(S)/印刷層(T)/第2の基材
・第1の基材/印刷層(T)/第2の基材
・第1の基材/プライマー層(S)/印刷層(R)/接着剤層/第2の基材
・第1の基材/印刷層(T)/接着剤層/第2の基材
・第1の基材/プライマー層(S)/印刷層(R)/接着剤層/第2の基材(積層体)
・第1の基材/印刷層(T)/接着剤層/第2の基材(積層体)
<包装容器>
本発明の包装容器は、少なくとも一部が、前記包装材で形成されているものである。前記包装材で形成されることにより、主に印刷基材として用いられる第1の基材の脱離性に優れ、リサイクルに適した包装容器が得られる。
本発明の包装容器の種類及び用途は、特に限定されるものではないが、例えば、食品容器、洗剤容器、化粧品容器、医薬品容器等に好適に用いることができる。包装容器の形状としては限定されず、内容物に応じた形状に成形することができ、パウチ等に好適に用いられる。
<リサイクル成形用材料(リサイクル基材)製造方法>
本発明のリサイクル基材製造方法は、
少なくとも、第1の基材、プライマー層(S)、印刷層(R)をこの順に備えた包装材、または、第1の基材、印刷層(T)をこの順に備え、前記プライマー層(S)および印刷層(T)は、第1の基材を脱離させて第1の基材をリサイクルするための層であり、かつ、酸性基を有する化合物を含む層であり、さらに、前記印刷層(R)および印刷層(T)が、着色剤と分散剤(A)とバインダー樹脂とを含む層である包装材、又は、該包装材で形成されている包装容器を、塩基性水溶液に浸漬する工程を含む。
本発明において「脱離」とは、プライマー層が塩基性水溶液により中和若しくは溶解し剥離することにより、第1の基材が包装材から脱離することを指し、(1)プライマー層(S)または印刷層(T)が溶解して第1の基材が脱離する場合、(2)プライマー層(S)または印刷層(T)が溶解しなくとも、中和・膨潤等により剥離し、第1の基材が脱離する場合、の両方の形態を含む。
本発明は、脱離後の第1の基材を、リサイクル基材・再生基材として得ることを目的としているため、第1の基材から、プライマー層(S)または印刷層(T)をできる限り多く除去した態様が好適である。具体的には、プライマー層100質量%のうち、面積や膜厚方向において少なくとも50質量%以上が脱離していることが好ましい。より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上が脱離している態様が好ましい。
塩基性水溶液に使用する塩基性化合物は特に制限されず、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH))、アンモニア、水酸化バリウム(Ba(OH))、炭酸ナトリウム(NaCO)が好適に用いられるが、これらに限定されない。より好ましくは水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群選ばれる少なくとも1種である。
塩基性水溶液は、塩基性化合物を塩基性水溶液全体の0.5~20質量%含むことが好ましく、より好ましくは1~15質量%、特に好ましくは3~15質量%含む。濃度が上記範囲内にあることで、塩基性水溶液は、プライマー層(S)または印刷層(T)を溶解又は膨潤により剥離させて、第1の基材を脱離させるのに充分な塩基性を保持することができる。
塩基性水溶液は、包装材又は包装容器の端部分から浸透してプライマー層(S)または印刷層(T)に接触し、溶解又は膨潤することで、第1の基材とプライマー層(S)または印刷層(T)とを分離する。したがって効率的に脱離工程を進めるために、包装材又は包装容器は、裁断又は粉砕され、塩基性水溶液に浸漬する際に、断面にプライマー層(S)または印刷層(T)が露出している状態であることが好ましい。このような場合、より短時間で第1の基材層を脱離することができる。
包装材を浸漬する時の塩基性水溶液の温度は、好ましくは25~120℃、より好ましくは30~120℃、特に好ましくは30~80℃である。塩基性水溶液への浸漬時間は、好ましくは1分間~24時間、より好ましくは1分間~12時間、好ましくは1分間~6時間である。塩基性水溶液の使用量は、包装材の質量に対して、好ましくは5~10万倍量、より好ましくは10~1万倍であり、脱離効率を向上させるために、塩基性水溶液の攪拌又は循環等を行うことが好ましい。回転速度は、好ましくは80~5000rpm、より好ましくは80~4000rpmである。
包装材から、印刷層(R)と共にプライマー層(S)が剥離、または印刷層(T)が剥離し、第1の基材を脱離・回収した後、第1の基材を水洗・乾燥する工程を経て、リサイクル基材を得ることができる。第1の基材の表面における印刷層の除去率は、脱離前の印刷層の面積に対して、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上である。
したがって、本発明によれば、包装材又は包装容器を塩基性水溶液に浸漬する工程、包装材又は包装容器からプライマー層(S)または印刷層(T)を溶解若しくは剥離させて第1の基材を脱離する工程、第1の基材を回収する工程、第1の基材を水洗及び乾燥する工程、を経ることで、第1の基材のリサイクル基材を得ることができる。また、得られたリサイクル基材は、押出機等によりペレット状に加工し、再生樹脂として再利用することができる。
<成形用材料の製造方法>
本発明の成形用材料の製造方法は、特に制限されないが、好ましくは下記工程1~3を含むものである。成形用材料がマスターバッチを含む場合は、さらに下記工程4を含む。
(工程1)上記包装材を破砕し、アルカリ処理して、該包装材から第1の基材を脱離する工程
(工程2)工程1で得られた第1の基材を水洗浄する工程
(工程3)工程2で得られた第1の基材をペレタイズし、再生樹脂を得る工程
(工程4)工程3で得られた再生樹脂に、マスターバッチを混合する工程
(工程1)
工程1は、上記包装材又は包装容器を破砕し、アルカリ水溶液に浸漬して、包装材から第1の基材を脱離する工程である。
包装材の破砕方法は、特に制限されず、例えば、ジョークラッシャー、インパクトクラッシャー、カッターミル、スタンプミル、リングミル、ローラーミル、ジェットミル、ハンマーミルを用いる方法が挙げられる。
(工程2)
工程2は、工程1により得られた第1の基材を水洗浄し、アルカリ水溶液を除去する工程であり、必要に応じて乾燥工程をさらに含んでもよい。工程2により、リサイクル後の第1の基材(再生プラスチック基材ともいう)を得ることができる。
(工程3)
工程3は、工程2により水洗された第1の基材をペレタイズし、第1の基材由来の再生樹脂を製造する工程である。
上記ペレタイズ工程は、必要に応じて各種添加剤等を加え、ヘンシェルミキサーやタンブラー、ディスパー等で混合した後、ニーダー、ロールミル、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、シュギミキサー、バーティカルグラニュレーター、ハイスピードミキサー、ファーマトリックス、ボールミル、スチールミル、サンドミル、振動ミル、アトライター、バンバリーミキサーのような回分式混練機、二軸押出機、単軸押出機、ローター型二軸混練機等を用いて、混合や溶融混練分散することであり、ペレット状、粉体状、顆粒状あるいはビーズ状等の形状の樹脂組成物を得ることができる。本発明における工程3としては、溶融混錬に二軸押出機を用いるのが好ましい。
<マスターバッチ>
本発明の成形用材料は、さらにマスターバッチを含有することができる。マスターバッチは、再生樹脂に対して相溶性を有するものであれば特に制限されず、一般的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の熱可塑性樹脂と着色剤とを混練したものを使用できる。マスターバッチに含まれる熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記着色剤は、一般的にマスターバッチに用いられるものであれば、特に制限されず、例えば、酸化チタン、クロムチタンエイロー、弁柄、群青、カーボンブラックのような無機顔料;アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、フタロシアニン系顔料のような有機顔料;が挙げられる。
上記無機顔料としては、例えば、C.I.ピグメントホワイト6、ピグメントブラウン24、ピグメントレッド101、ピグメントブルー29、ピグメントブラック7が挙げられる。上記アゾ系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー180、181、ピグメントオレンジ64、ピグメントレッド144、166、214、221が挙げられる。上記キナクリドン系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントバイオレット19、ピグメントレッド122が挙げられる。上記ペリレン系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド149、178が挙げられる。上記ジケトピロロピロール系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド254が挙げられる。上記フタロシアニン系顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15:1、15:3、ピグメントグリーン7、36が挙げられる。
これらの着色剤は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明におけるマスターバッチは、本発明の効果を阻害しない範囲で、アルカリ金属やアルカリ土類金属又は亜鉛の金属石けん、ハイドロタルサイト、ノニオン系界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、帯電防止剤、ハロゲン系、リン系又は金属酸化物等の難燃剤、エチレンビスアルキルアマイド等の滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤を含有してもよい。
<成形体>
本発明の成形用材料を成形することで、成形体を得ることができる。成形方法は特に制限されず、例えば、射出成形、押出し成形、ブロー成形、圧縮成形が挙げられる。
本発明の成形用材料は、リサイクル利用率が高いだけでなく、成形性を有し、且つ、再生樹脂が淡色であるため、上記成形方法にかかわらず、淡色から濃色までに均一に着色された成形体を提供することができ、家電製品や文房具、自動車用のパーツ、おもちゃやスポーツ用品、医療用や建築・建設資材の材料等、様々な分野に用いることができる。
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明における部および%は、特に注釈の無い場合、質量部および質量%を表わす。
(分子量および分子量分布)
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定を行い、ポリスチレンを標準物質に用いた換算分子量として求めた。測定条件を以下に示す。
GPC装置:昭和電工社製 Shodex GPC-104
カラム:下記カラムを直列に連結して使用した。
昭和電工社製 Shodex LF-404 2本
昭和電工社製 Shodex LF-G
検出器:RI(示差屈折計)
測定条件:カラム温度40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.3mL/分
(酸価、水酸基価)
酸価および水酸基価は、JISK0070(1992)に記載の方法に従って測定した。
<プライマー組成物および印刷インキの樹脂の製造>
[合成例1](ポリウレタン樹脂P1)
還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌装置、及び温度計を備えた反応器中で窒素ガスを導入しながら、PPA(プロピレングリコールとアジピン酸の重縮合物からなる、数平均分子量2,000のポリエステルポリオール)152.2部、PPG(ポリエチレングリコールからなる、数平均分子量2,000のポリエーテルポリオール)15.2部、BD(1,4-ブタンジオール)13.6部、IPDI(イソホロンジイソシアネート)99.8部、NPAC(酢酸ノルマルプロピル)200部を仕込み、90℃で5時間反応させて、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液を得た。
次いで、AEA(2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール)19.2部、IPA(イソプロピルアルコール)350部を混合したものを、室温で60分間かけて滴下した後、70℃で3時間反応させて、ポリウレタン樹脂溶液を得た。
得られたポリウレタン樹脂溶液に、NPACを加えて固形分を調整し、固形分濃度30%、重量平均分子量27,000、Mw/Mn=3.1、酸価0mgKOH/gのポリウレタン樹脂P1の溶液を得た。
[合成例2~5](ポリウレタン樹脂P2~P5)
表1に記載の原料および仕込み量を用いた以外は合成例1と同様の手法により、ポリウレタン樹脂P2~P5の溶液を得た。
Figure 0007100750000002
以下に、表1中の略称を示す。
・ PPA:プロピレングリコールとアジピン酸の重縮合物からなる、数平均分子量2,000のポリエステルポリオール
・ PC:3-メチル-1,5-ペンタンジオールと1,6-ヘキサンジオールと炭酸ジメチルのモル比が9/1/10の重縮合物からなる、数平均分子量2,000のポリカーボネートポリオール
・ PPG:ポリエチレングリコールからなる、数平均分子量2,000のポリエーテルポリオール
・ PEG:ポリエチレングリコールからなる、数平均分子量2,000のポリエーテルポリオール
・ DMPA:2,2-ジメチロールプロパン酸
・ BD:1,4-ブタンジオール
・ IPDI:イソホロンジイソシアネート
・ NPAC:酢酸ノルマルプロピル
・ AEA:2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール
・ IPA:イソプロピルアルコール
なお、上記合成例2~5は、表1に記載のMw/Mnおよび重量平均分子量となるように、滴下量、滴下速度、温度調節および撹拌速度等の合成条件を調整した。
[合成例6](アクリル樹脂P6)
還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌装置、及び温度計を備えた反応器中で窒素ガスを導入しながら、スチレン70部、アクリル酸23部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル7部、EA(酢酸エチル)40部、IPA40部を仕込み、90℃まで昇温してAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)1部とEAを15部加えて4時間重合反応を行い、さらにAIBNを0.1部とEAを3部加えて2時間反応させて、アクリル樹脂溶液を得た。
得られたアクリル樹脂溶液にEAを加えて固形分調整を調整し、固形分濃度30%、重量平均分子量27,000、酸価179.1mgKOH/g、水酸基価30.2mgKOH/gのアクリル樹脂溶液P6を得た。
[合成例7](ポリエステルP7)
テレフタル酸302.5部、イソフタル酸302.5部、エチレングリコール135.6部、ネオペンチルグリコール227.3部を反応缶に仕込み、窒素気流下で攪拌しながら160~240℃まで徐々に加熱し、エステル化反応を行なった。240℃で1時間以上反応し、酸価が15以下になったら反応缶を徐々に1~2トールまで減圧し、所定の粘度に達した後、反応缶を200℃まで冷却し、トリメリット酸無水物を32.1部仕込み、200℃で2時間反応し、末端酸変性を行った。得られたポリエステル樹脂にEAを加えて固形分調整を調整し、固形分濃度30%、重量平均分子量は、10,000、酸価は22.4mgKOH/gのポリエステル樹脂溶液P7を得た。
<プライマー層形成用組成物>
[製造例1-1](プライマー組成物S1)
ポリウレタン樹脂P2溶液87部、EA5部、IPA5部、シリカ粒子(水澤化学社製P-73:平均粒子径3.8μmの親水性シリカ粒子)3部をディスパーを用いて撹拌混合して、プライマー組成物S1を得た。
[製造例1-2~11、比較製造例1-1](プライマー組成物S2~S11、SS1)
表2に示した原料および配合比率を使用した以外は、製造例1-1と同様の手法により、プライマー組成物S2~S11、SS1を得た。
Figure 0007100750000003
以下に、表2中の略称を示す。
・ スチレンマレイン酸樹脂:クレイバレー製 SMA3000(酸価285mgKOH/g、酢酸エチルにて固形分濃度30%に希釈した溶液)
・ マレイン化ロジン:荒川化学製 マルキードNo.32、固形分濃度30%、酸価130mgKOH/g
・ 硬化剤A:HDI2官能プレポリマー(旭化成製 デュラネートD101 酢酸エチルにて固形分濃度50%に希釈した溶液)
・ 硬化剤B:HDI-TMPアダクト(旭化成製 デュラネートP301-75E 酢酸エチルにて固形分濃度50%に希釈した溶液)
<インキの製造>
[インキ製造例2-1](印刷インキR1)
黄顔料P.Y.83(C.I.Pigment Yellow 83)を10部、シナジスト2105(ビックケミー・ジャパン製 BYK-SYNERGIST 2105)を0.2部、BYK-142(ビックケミー・ジャパン製 DISPERBYK-142)を0.5部、ウレタン樹脂溶液P1を24.3部、PVC(塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂(日信化学製 ソルバインTAO、固形分30%、EA溶液))を5部、EA10部、IPA10部を混合撹拌し、ビーズミルとしてサンドミルを用いて20分間分散処理を行った。その後、P1溶液20部、EA10部、IPA10部を混合撹拌し、印刷インキR1を得た。
[インキ製造例2-2~15、比較製造例2-1](印刷インキR2~15、RR1)
表3に示した原料および配合比率を使用した以外は、インキ製造例2-1と同様の手法により、印刷インキR2~15、RR1を得た。
Figure 0007100750000004
以下に、表3中の略称を示す。
・ P.Y.14:C.I.Pigment Yellow 14
・ P.R.146:C.I.Pigment Red 146
・ P.B.15:C.I.Pigment Blue 15
・ CB:カーボンブラック
・ シナジスト2100:ビックケミー・ジャパン製 BYK-SYNERGIST 2100
・ BYK142:ビックケミー・ジャパン製 DISPERBYK-142(固形分濃度60%、アミン価43mgKOH/g、酸価46mgKOH/g)
・ BYK2050:ビックケミー・ジャパン製 DISPERBYK-2050(固形分濃度52%、アミン価30mgKOH/g
[インキ製造例3-1](印刷インキT1)
P.Y.83を10部、シナジスト2105を0.2部、BYK-142を0.5部、ウレタン樹脂溶液P2を24.3部、PVCを5部、EA10部、IPA10部を混合撹拌し、ビーズミルとしてサンドミルを用いて20分間分散処理を行った。その後、P2溶液20部、EA10部、IPA10部を混合撹拌し、印刷インキT1を得た。
[インキ製造例3-2~18、比較製造例3-1](印刷インキT2~18、TT1)
表4に示した原料および配合比率を使用した以外は、インキ製造例3-1と同様の手法により、印刷インキT2~18、TT1を得た。
Figure 0007100750000005
<インキの分散性>
得られたインキR1~R15、RR1およびT1~T18、TT1の粘度を測定し、インキの分散性の評価を行った。粘度はザーンカップ#4(離合社製)を用いて25℃で測定し、以下の基準で評価した。結果を表3および表4に合わせて示した。
A(優):10秒以上20秒未満。
B(良):20秒以上25秒未満。
C(可):25秒以上30秒未満
D(不可):A~C以外。
<包装材の製造>
[実施例1](包装材L1)
プライマー組成物S1および印刷インキR4を、各々、EA/IPAの混合溶剤(質量比70/30)を用いて、粘度が15秒(25℃、ザーンカップ#3(離合社製))になるように希釈した。
OPP(コロナ処理延伸ポリプロピレンフィルム 膜厚20μm)に対し、希釈したプライマー組成物S1および印刷インキR4を、版深30μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いてこの順で印刷し、50℃で乾燥して、第1の基材層(OPP)/プライマー層(S1)/印刷層(R4)の構成である包装材L1を得た。
[実施例2~27、比較実施例1](包装材L2~27、LL1)
表5-1に記載の材料を用いた以外は包装材L1と同様の手法により、包装材L2~27、LL1を得た。包装材L27は、PE(直鎖状低密度ポリエチレンフィルム 膜厚50μm)に対し、希釈したプライマー組成物S1および印刷インキR4を印刷した。
Figure 0007100750000006
[実施例28](包装材L28)
印刷インキT1を、EA/IPAの混合溶剤(質量比70/30)を用いて、粘度が15秒(25℃、ザーンカップ#3(離合社製))になるように希釈した。
OPPに対し、希釈した印刷インキT1を、版深30μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて印刷し、50℃で乾燥して、第1の基材層(OPP)/印刷層(T1)の構成である包装材L28を得た。
[実施例29~46、比較実施例2](包装材L29~46、LL2)
表5-2に記載の材料を用いた以外は包装材L28と同様の手法により、包装材L29~46、LL2を得た。
Figure 0007100750000007
[実施例47](包装材L47)
プライマー組成物S1および印刷インキR4を、各々、EA/IPAの混合溶剤(質量比70/30)を用いて、粘度が15秒(25℃、ザーンカップ#3(離合社製))になるように希釈した。
OPPに対し、プライマー組成物S1および印刷インキR4を、版深30μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いてこの順で印刷し、50℃で乾燥して、第1の基材層(OPP)/プライマー層(S1)/印刷層(R4)の構成である積層体を得た。
次いで、得られた積層体の印刷層上に、ドライラミネート機を用いて接着剤A(ポリエステル系ウレタン接着剤「東洋モートン社製 TM250HV/CAT-RT86L-60」)を乾燥後塗布量が2g/mになるように塗布・乾燥した後、CPP(無延伸ポリプロピレンフィルム 膜厚30μm)と貼り合せて、第1の基材層(OPP)/プライマー層(S1)/印刷層(R4)/接着剤層/第2の基材層(CPP)の構成である包装材L47を得た。
[実施例48~72、比較実施例3](包装材L48~72、LL3)
表5-3に記載の材料を用いた以外は包装材L47と同様の手法により、包装材L48~72、LL3を得た。
[実施例73](包装材L73)
プライマー組成物S1および印刷インキR4を、各々、EA/IPAの混合溶剤(質量比70/30)を用いて、粘度が15秒(25℃、ザーンカップ#3(離合社製))になるように希釈した。
OPPに対し、プライマー組成物S1および印刷インキR4を、版深30μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いてこの順で印刷し、50℃で乾燥して、第1の基材層(OPP)/プライマー層(S1)/印刷層(R4)の構成である積層体を得た。
次いで、得られた積層体の印刷層上に、ドライラミネート機を用いて接着剤Aを乾燥後塗布量が2g/mになるように塗布・乾燥した後、VMPET(アルミニウムがアモルファス状に蒸着された蒸着層を有するポリエチレンテレフタレートフィルム 膜厚12μm)と貼り合せた。さらに、VMPET上にドライラミネート機を用いて接着剤Aを乾燥後塗布量が2g/mになるように塗布・乾燥した後、CPPと張り合わせて、第1の基材層(OPP)/プライマー層(S1)/印刷層(R4)/接着剤層/第2の基材層(VMCPP)/接着剤/第3の基材層(CPP)の構成である包装材L73を得た。
Figure 0007100750000008
[実施例74](包装材L74)
印刷インキT1を、EA/IPAの混合溶剤(質量比70/30)を用いて、粘度が15秒(25℃、ザーンカップ#3(離合社製))になるように希釈した。
OPPに対し、印刷インキT1を、版深30μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて印刷し、50℃で乾燥して、第1の基材層(OPP)/印刷層(T1)の構成である積層体を得た。
次いで、得られた積層体の印刷層上に、ドライラミネート機を用いて接着剤Aを乾燥後塗布量が2g/mになるように塗布・乾燥した後、CPPと貼り合せて、第1の基材層(OPP)/印刷層(T1)/接着剤層/第2の基材層(CPP)の構成である包装材L74を得た。
[実施例75~91、比較実施例4](包装材L75~91、LL4)
表5-4に記載の材料を用いた以外は包装材L74と同様の手法により、包装材L75~91、LL4を得た。
[実施例92](包装材L92)
印刷インキT4を、EA/IPAの混合溶剤(質量比70/30)を用いて、粘度が15秒(25℃、ザーンカップ#3(離合社製))になるように希釈した。
OPPに対し、印刷インキT4を、版深30μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて印刷し、50℃で乾燥して、第1の基材層(OPP)/印刷層(T4)の構成である積層体を得た。
次いで、得られた積層体の印刷層上に、ドライラミネート機を用いて接着剤Aを乾燥後塗布量が2g/mになるように塗布・乾燥した後、VMPETと貼り合せた。さらに、VMPET上にドライラミネート機を用いて接着剤Aを乾燥後塗布量が2g/mになるように塗布・乾燥した後、CPPと張り合わせて、第1の基材層(OPP)/印刷層(T4)/接着剤層/第2の基材層(VMCPP)/接着剤/第3の基材層(CPP)の構成である包装材L92を得た。
Figure 0007100750000009
<包装材の評価>
得られた包装材について以下の評価を行った。結果を表5-1~4に示す。
<脱離性>
得られた包装材L1~L92、LL1~LL4を3cm×3cmの大きさに切り出したサンプル15枚を2%の水酸化ナトリウム水溶液50gに浸し、70℃、500rpmで撹拌した。第1の基材からの印刷層の脱離性を目視で観察し、以下の基準で評価した。
A(優):15分未満で印刷層の80%以上が第1の基材から剥離する。
B(良):15分以上30分未満で印刷層の80%以上が第1の基材から剥離する。
C(可):30分以上60分未満で印刷層の80%以上が第1の基材から剥離する。
D(不可):A~C以外。
<脱離した基材1の着色>
得られた包装材L1~L92、LL1~LL4を3cm×3cmの大きさに切り出したサンプル(x)15枚を2%の水酸化ナトリウム水溶液50gに浸し、70℃、500rpmで2時間撹拌した。脱離した第1の基材を回収し、水洗、乾燥した後、得られた基材15枚を重ねてヘイズメーター(日本電子工業(株)製、SH7000)で色彩値L 、a 、b を測定した。第1の基材に使用したフィルム(OPPまたはPE)ついても同様に、3cm×3cmの大きさに切り出したサンプル(y)15枚を2%の水酸化ナトリウム水溶液50gに浸し、70℃、500rpmで2時間撹拌し、水洗、乾燥した後、得られた基材15枚を重ねて色彩値L 、a 、b を測定し、下記計算式により色差ΔEを求めた。
ΔE=((L -L +(a -a +(b ―b 1/2
基材の着色については、以下の基準で評価した。
A(優):ΔEが3未満。
B(良):ΔEが3以上20未満。
C(可):ΔEが20以上50未満。
D(不可):A~C以外。
<再生フィルムの透過率>
得られた包装材L1~L92、LL1~LL4を3cm×3cmの大きさに切り出したサンプルを2%の水酸化ナトリウム水溶液に浸し、70℃で2時間撹拌した。脱離した第1の基材を回収し、水洗、乾燥した後、単軸押し出し機にて200℃で押し出し、ペレタイズ工程を経て、再生樹脂のペレットを得た。再生樹脂をTダイフィルム成形機にて200℃で押し出し、厚み30μmの再生フィルムを作製した。再生フィルムの着色について、ヘイズメーター(日本電子工業(株)製、SH7000)を用いて全光線透過率を測定し、以下の基準で評価した。

A(優):全光線透過率が70%以上。
B(良):全光線透過率が50%以上70%未満。
C(可):全光線透過率が30%以上50%未満。
D(不可):A~C以外。
上記の評価結果より、本発明のプライマー組成物と印刷インキで作製した包装材であれば、アルカリ水溶液中で第1の基材からインキ等を容易に脱離できて良質なリサイクル基材が得られ、さらには着色の少ない成形用材料および再生フィルムが得られることが示された。

Claims (9)

  1. 少なくとも、第1の基材、プライマー層(S)、印刷層(R)をこの順に備えた包装材、または、少なくとも、第1の基材、印刷層(T)をこの順に備えた包装材であって、
    プライマー層(S)および印刷層(T)は、第1の基材を脱離させて第1の基材をリサイクルするための層であり、かつ、酸性基を有する化合物を含む層であり、
    印刷層(R)および印刷層(T)が、着色剤と分散剤(A)とバインダー樹脂とを含む層であり、
    分散剤(A)が、顔料誘導体を含有し、顔料誘導体の含有量が、着色剤全体に対して0.01~10質量%である、包装材。
  2. 少なくとも、第1の基材、プライマー層(S)、印刷層(R)、第2の基材をこの順に備えた包装材、または、少なくとも、第1の基材、印刷層(T)、第2の基材をこの順に備えた包装材であって、
    プライマー層(S)および印刷層(T)は、第1の基材を脱離させて第1の基材をリサイクルするための層であり、かつ、酸性基を有する化合物を含む層であり、
    印刷層(R)および印刷層(T)が、着色剤と分散剤(A)とバインダー樹脂とを含む層であり、
    分散剤(A)が、顔料誘導体を含有し、顔料誘導体の含有量が、着色剤全体に対して0.01~10質量%である、包装材。
  3. 分散剤(A)が、さらに樹脂型分散剤を含有する、請求項1または2に記載の包装材。
  4. 酸性基を有する化合物が、バインダー樹脂である、請求項1~いずれかに記載の包装材。
  5. 酸性基を有する化合物の酸価が、15~300mgKOH/gである、請求項1~いずれかに記載の包装材。
  6. 酸性基を有する化合物が、ポリウレタン樹脂である、請求項1~いずれかに記載の包装材。
  7. プライマー層(S)が、酸価15~70mgKOH/gのポリウレタン樹脂を含有し、印刷層(R)が、着色剤全体に対して0.01~5質量%の顔料誘導体を含有する、請求項1~いずれかに記載の包装材。
  8. 請求項1~いずれかに記載の包装材をアルカリ水溶液に接触させ脱離させてなる第1の基材を含むリサイクル成形用材料。
  9. 請求項1~いずれかに記載の包装材から脱離させてなる第1の基材を含むリサイクル成形用材料の製造方法であって、下記工程1~3を含む成形用材料の製造方法。
    (工程1)請求項1~いずれかに記載の包装材を破砕し、アルカリ水溶液に接触させて、包装材から第1の基材を脱離させる工程
    (工程2)工程1で得られた第1の基材を水洗浄する工程
    (工程3)工程2で得られた第1の基材を加熱成形する工程
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