JP7416320B1 - 積層体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、印刷層の画質及び印刷層の脱離性に優れ、脱離した成分の再付着が抑制された、プラスチックリサイクルに適した積層体の製造方法を提供すること、並びに、回収したプラスチック基材を溶融混練して得られる成形用材料の製造方法、及び、成形用材料を加熱成形して得られる高品位な成型体の製造方法を提供することである。【解決手段】少なくとも、プラスチック基材、硬化剤由来の構造単位を含有するプライマー層、及び印刷層をこの順に備えた積層体の製造方法であって、プライマー層形成工程と、前記プライマー層を、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)で測定した硬化剤由来のピークの残存率が20%以下となるようにエージングする、エージング工程と、印刷層形成工程とを含み、前記プライマー層は、前記プラスチック基材を回収するために、脱離液中で脱離可能な層である、積層体の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明の実施形態は、積層体の製造方法に関する。本発明の他の実施形態は、成形用材料の製造方法及び成形体の製造方法に関する。
近年、プラスチックフィルムを原料とするパッケージ、プラスチックボトル、その他プラスチック製品は、海洋にゴミとして廃棄又は投棄され環境汚染問題となっている。これらのプラスチック製品は海水中で分解されてサブミクロンサイズの破片(マイクロプラスチック)となり海水中に浮遊する。当該マイクロプラスチックは、魚類等の海洋生物に摂取されることで生物体内中に濃縮され、当該海洋生物を食料として摂取する海鳥や人間の健康にも影響することが懸念されている。
上記プラスチック製品としては、プラスチックフィルムを使用した複層構成の食品包装パッケージ等が挙げられ、このような食品包装パッケージでは、フィルム基材としてポリエステル基材、ナイロン基材(NY)、ポリプロピレン基材(PP)、ポリエチレン基材(PE)等、種々のプラスチック基材が使用されている。これらフィルム基材は、印刷インキにより印刷が施され、接着剤等を介して他のフィルム基材や熱溶融樹脂基材と貼り合わされた後に、カットされ熱融着されてパッケージとなる。しかしながら、このような複層構成の食品包装パッケージは、相溶しない異種の材料が複数混合しているため、このままではマテリアルリサイクルができないという問題がある。
このような複層構成の包装材のマテリアルリサイクルについて、例えば、特許文献1、2には、所定の酸価を有するポリウレタン樹脂を含む脱離層を備える積層体を処理することで、表刷り構成だけでなく複層構成の積層体から印刷層を脱離する技術が開示されている。
また特許文献3には、水酸基含有樹脂とイソシアネート系硬化剤を含む脱離層を備える積層体をアルカリ水で処理することで、積層体から印刷層を脱離する技術が開示されている。
特開2020-090627号公報 特開2021-098294号公報 特開2021-088408号公報
しかしながら、特許文献1~3に記載の積層体の製造方法では、プライマー層上に印刷層を印刷した際に、プライマー層の一部を膨潤及び/又は溶解させてしまい、特に単色刷りではなく重ね刷りの場合に、印刷濃度の低下や絵柄の再現性低下といった印刷層の画質不良が発生する。さらには、印刷層がプライマー層に浸透することにより、アルカリ水溶液中での脱離性が低下し、脱離した印刷層も細かく分散されるため、基材に再付着しやすくなるという課題が発生する。そしてこのような基材をリサイクルして得られる成形用材料は、着色による外観低下及び物理性状の低下を引き起こす。
本発明の課題は、印刷層の画質及び印刷層の脱離性に優れ、脱離した成分の再付着が抑制された、プラスチックリサイクルに適した積層体の製造方法を提供すること、並びに、回収したプラスチック基材を溶融混練して得られる成形用材料の製造方法、及び、成形用材料を加熱成形して得られる高品位な成型体の製造方法を提供することである。
本発明は、下記[1]~[10]に関する。
[1]
少なくとも、プラスチック基材、硬化剤由来の構造単位を含有するプライマー層、及び印刷層をこの順に備えた積層体の製造方法であって、
前記プラスチック基材上に前記プライマー層を設ける、プライマー層形成工程と、
前記プライマー層形成工程の後、前記プライマー層を、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)で測定した硬化剤由来のピークの残存率が20%以下となるようにエージングする、エージング工程と、
前記エージング工程の後、前記プライマー層上に、前記印刷層を設ける、印刷層形成工程とを含み、
前記プライマー層は、前記プラスチック基材を回収するために、脱離液中で脱離可能な層である、積層体の製造方法。
[2]
硬化剤が、ポリイソシアネート系化合物である、[1]に記載の積層体の製造方法。
[3]
硬化剤が、カルボジイミド系化合物である、[1]に記載の積層体の製造方法。
[4]
プライマー層が、アルカリ水溶液に溶解又は膨潤する化合物を含有する、[1]~[3]いずれかに記載の積層体の製造方法。
[5]
アルカリ水溶液に溶解又は膨潤する化合物が、酸性基を有する、[4]に記載の積層体の製造方法。
[6]
プラスチック基材が、ポリオレフィン基材である、[1]~[5]いずれかに記載の積層体の製造方法。
[7]
包装材の製造に用いられる、[1]~[6]いずれかに記載の積層体の製造方法。
[8]
[1]~[7]いずれかに記載の積層体の製造方法により得られる積層体を脱離液に接触させ、プラスチック基材を脱離させて回収する、プラスチック基材の分離回収方法。
[9]
[8]に記載のプラスチック基材の分離回収方法で回収されたプラスチック基材を溶融混練することを特徴とする、成形用材料の製造方法。
[10]
[9]に記載の成形用材料の製造方法により得られる成形用材料を、加熱成形することを特徴とする、成形体の製造方法。
本発明により、印刷層の画質及び印刷層の脱離性に優れ、脱離した成分の再付着が抑制された、プラスチックリサイクルに適した積層体の製造方法を提供することができる。さらに、回収したプラスチック基材を溶融混練して得られる成形用材料の製造方法、及び、成形用材料を加熱成形して得られる高品位な成型体の製造方法を提供することができる。
なお、本発明の積層体の製造方法は、特に包装材の製造に適したものである。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する実施形態又は要件の説明は、本発明の実施形態の一例であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
本発明の積層体の製造方法は、少なくとも、プラスチック基材、硬化剤由来の構造単位を含有するプライマー層、及び印刷層をこの順に備えた積層体の製造方法であって、
前記プラスチック基材上に前記プライマー層を設ける、プライマー層形成工程と、
前記プライマー層形成工程の後、前記プライマー層を、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)で測定した硬化剤由来のピークの残存率が20%以下となるようにエージングする、エージング工程と、前記エージング工程の後、前記プライマー層上に、前記印刷層を設ける、印刷層形成工程とを含み、前記プライマー層は、前記プラスチック基材を回収するために、脱離液中で脱離可能な層である、積層体の製造方法である。
<積層体>
本発明の製造方法により製造される積層体は、少なくとも、プラスチック基材、プライマー層、及び印刷層をこの順に備える。プライマー層が後述する脱離液により脱離することで、プラスチック基材を回収しリサイクルすることが可能となる。
<積層体構成>
以下に、積層体構成の一例を挙げるが、これらに限定されない。また下記の構成において、「プラスチック基材」及び「基材」とは、単層である必要はなく、複数の基材が積層されたものであってもよい。
・プラスチック基材/プライマー層/印刷層
・プラスチック基材/プライマー層/印刷層/接着剤層/プラスチック基材
・プラスチック基材/プライマー層/印刷層/接着剤層/蒸着層/プラスチック基材
上記積層体は、プライマー層が硬化剤由来の構造単位を含有しており、プライマー層のエージング工程の後に、プライマー層上に印刷層を印刷することで、印刷層の画質が優れた積層体を形成することができる。さらに、プライマー層が印刷層の形成前に十分に架橋されることで、脱離性が向上するとともに、脱離した成分が脱離液中で細かく分散されることを抑制できる結果、脱離した印刷層等が脱離後に基材へ再付着することを抑制することができ、着色や汚れのない基材を回収でき、高品位な再生材にリサイクルできる。
<プライマー層形成工程>
本発明の積層体の製造方法は、プラスチック基材上にプライマー層を設ける、プライマー層形成工程を含む。
プラスチック基材上にプライマー層を設ける方法としては、印刷が好ましい。印刷方式としては、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷、ドライオフセット印刷、インクジェット印刷等の印刷方式を好適に使用できる。中でもグラビア印刷又はフレキソ印刷であることがなお好ましい。
[グラビア印刷]
(グラビア版)
グラビア版は金属製の円筒状のものであり、彫刻または腐蝕・レーザーにて凹部が各色用に作製される。彫刻とレーザーは使用に制限は無く、柄に合わせて任意に設定が可能である。線数としては100線~300線のものが適宜使用され、線数の大きいものほど目の細かい印刷が可能である。印刷層の厚みとしては、0.1μm~100μmが好ましい。
(印刷機)
グラビア印刷機において一つの印刷ユニットには上記グラビア版およびドクターブレードを備えている。印刷ユニットは多数あり、有機溶剤系印刷インキおよび絵柄インキに対応する印刷ユニットを設定でき、各ユニットはオーブン乾燥ユニットを有する。印刷は輪転により行われ、巻取印刷方式である。版の種類やドクターブレードの種類は適宜選択され、仕様に応じたものが選定できる。
[フレキソ印刷]
(フレキソ版)
フレキソ印刷に使用される版としてはUV光源による紫外線硬化を利用する感光性樹脂版またはダイレクトレーザー彫刻方式を使用するエラストマー素材版が挙げられる。フレキソ版の画像部の形成方法に関わらず版のスクリーニング線数において75lpi以上のものが使用される。版を貼るスリーブやクッションテープについては任意のものを使用することができる。
(印刷機)
フレキソ印刷機としてはCI型多色フレキソ印刷機、ユニット型多色フレキソ印刷機等があり、インキ供給方式についてはチャンバー方式、2ロール方式を挙げることが出来、適宜の印刷機を使用することができる。
プライマー層の厚みは、好ましくは0.5~10.0μm、より好ましくは0.6~5.0μm、さらに好ましくは0.8~3.0μmの範囲であり、公知の方法を用いて形成することができる。
<プライマー層>
本発明の実施形態におけるプライマー層は、プラスチック基材と接して配置され、公知の脱離液によりプラスチック基材より脱離可能な層であり、硬化剤由来の構造単位を含有する。プライマー層が硬化剤由来の構造単位を含有し、プライマー層のエージング工程により架橋構造を形成した後に印刷層を形成することで、印刷層のプライマー層への浸透、及びにじみが抑制され、優れた画質を発現させることができる。また、脱離性を向上させ、脱離した印刷層の再付着を防止し、高品位な再生材を得ることができる。
なお、本発明において「硬化剤由来の構造単位」とは、硬化剤が他の化合物と反応する前及び反応した後をいずれも含む。
[硬化剤]
硬化剤としては、例えば、イソシアネート基を含有する化合物、カルボジイミド基を含有する化合物、オキサゾリン基を含有する化合物、ヒドラジド基を含有する化合物、エポキシ化合物等が挙げられる。中でも、イソシアネート基を含有する化合物(イソシアネート系硬化剤)、カルボジイミド基を含有する化合物(カルボジイミド系硬化剤)が好ましい。これらは単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
(イソシアネート系硬化剤)
イソシアネート系硬化剤としては、特に制限されず、従来公知のイソシアネート系硬化剤から選択することができ、例えば、脂肪族ポリイソシアネート又は芳香脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、周知の脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香脂肪族ジイソシアネート又はこれらの誘導体を用いることができる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2,4,4-又は2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプロエート等の脂肪族ジイソシアネート;1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、4,4′-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート;1,3-又は1,4-キシリレンジイソシアネート若しくはその混合物、ω,ω′-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,3-又は1,4-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート;上記ジイソシアネートから誘導された、アロファネート型、ヌレート型、ビウレット型、アダクト型の誘導体、若しくはその複合体等のポリイソシアネート;等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、周知の芳香族ジイソシアネート又はその誘導体を用いることができる。
芳香族ジイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、又は上記ジイソシアネートから誘導された、アロファネート型、ヌレート型、ビウレット型、アダクト型の誘導体若しくはその複合体等が挙げられる。
ポリイソシアネートとして好ましくは、トリレンジイソシアネート(以下TDI)、ジ
フェニルメタンジイソシアネート(以下MDI)又はヘキサメチレンジイソシアネート(以下HDI)の、アダクト型ポリイソシアネート(以下アダクト体)、ビウレット型ポリイソシアネート(以下ビウレット体)又はイソシアヌレート型ポリイソシアネート(以下イソシアヌレート体)であり、より好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導される、トリメチロールプロパンアダクト体(HDI-TPM)、ビウレット体、イソシアヌレート体である。
(カルボジイミド系硬化剤)
プライマー層を構成するカルボジイミド系硬化剤としては、特に制限されず、従来公知のポリイソシアネートから選択することができ、例えば、モノカルボジイミド化合物又はリカルボジイミド化合物が挙げられる。これらは単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
モノカルボジイミド化合物としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t-ブチルイソプロピルカルボジイミド、ドデシルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジo-トリルカルボジイミド、ジp-トリルカルボジイミド、シアナミド、ジt-ブチルカルボジイミド、1,3-ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、ジ-β-ナフチルカルボジイミド、ベンジルイソプロピルカルボジイミドなどが例示される。
ポリカルボジイミド化合物は公知の方法、例えばモノ, ジ, トリイソシアネート化合物を非反応性の有機溶剤中で適切な触媒、例えば3-メチル-1-フェニル-2-ホスホレートオキサイドの存在下で加熱し脱炭酸により、イソシアネート基をカルボジイミド基に転化して製造される。ポリカルボジイミド化合物の合成原料である有機イソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートあるいはこれらの混合物であり、例えば1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4-ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル) シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、n-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジメリルジイソシアネートなどが挙げられる。これらのカルボジイミド化合物は、1種、又は2種以上の組み合わせで用いることができる。
硬化剤由来の構造単位の含有率は、プライマー層100質量%に対して、好ましくは0.1~15質量%であり、より好ましくは0.5~10質量%であり、さらに好ましくは1~7質量%である。硬化剤由来の構造単位の含有率が上記範囲内であると、プライマー層上に形成される印刷層の浸透及び滲みが抑制され、優れた画質を発揮し、脱離性及び再付着の抑制能も良好となるため好ましい。
プライマー層は、アルカリ水溶液に溶解又は膨潤する化合物を含有することが好ましい。アルカリ水溶液に溶解又は膨潤する化合物とは、下記の水溶性樹脂、及び/又は酸性基を有する化合物のことを指し、特に酸性基を有する化合物が好ましい。
プライマー層は、水溶性樹脂又は酸性基を有する化合物を含む層であることが好ましい。プライマー層が水溶性樹脂又は酸性基を有する化合物を含むことで、脱離液がより浸透し、プライマー層が膨潤しやすくなり、基材の剥離を促進させる結果、印刷層の脱離性が顕著に高くなると推察される。
上記酸性基を有する化合物は、樹脂であってもよく、低分子化合物であってもよい。これらの水溶性樹脂又は酸性基を有する化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記プライマー層は、結着樹脂としての樹脂成分(以下、バインダー樹脂ともいう)が、水溶性樹脂又は酸性基を有する樹脂を含んでいてもよく、バインダー樹脂と酸性基を有する低分子化合物とを両方含んでいてもよい。
(水溶性樹脂)
水溶性樹脂としては、水で膨潤又は溶解し、プラスチック基材から脱離することができる樹脂であればよい。水は温度25~100℃程度に加温されていてもよい。これにより、プライマー層を水(温水含む)で脱離することができる。
このような樹脂としては、水溶性を損なわない範囲で、公知の樹脂から選択でき、例えば、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性ポリアミド樹脂、水溶性ポリイミド樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリアリルアミン樹脂、水溶性フェノール樹脂、水溶性エポキシ樹脂、水溶性フェノキシ樹脂、水溶性尿素樹脂、水溶性メラミン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、並びにこれらの樹脂の変性物が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、入手のしやすさ、脱離性の観点から、ポリビニルアルコール(PVA)樹脂が好適に用いられる。
水溶性樹脂が造膜性を有する場合、プライマー層を構成するバインダー樹脂として水溶性樹脂を用いてもよい。
水溶性樹脂の例として、水溶性であり酸性基を有する樹脂と、水溶性であり酸性基を有しない樹脂とが挙げられる。水溶性樹脂は、例えば、水溶性であり酸性基を有しない樹脂であってよい。
ポリビニルアルコール樹脂としては、未変性のポリビニルアルコールの他に、ビニルエステル系樹脂の製造時に各種モノマーを共重合させ、これをケン化して得られる変性ポリビニルアルコールや、未変性ポリビニルアルコールに後変性によって各種官能基を導入した各種の後変性ポリビニルアルコールを用いてもよい。また、変性ポリビニルアルコールを更に後変性させたものでもよい。これらの変性は、ポリビニルアルコール樹脂の水溶性が損なわれない範囲で行うことができる。
これらの樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリビニルアルコール樹脂として好ましくは、側鎖に一級水酸基を有する構成単位を含有する樹脂、エチレン変性ポリビニルアルコール樹脂が挙げられる。中でも、溶融成形性に優れ、さらに水溶性に優れる点で、側鎖に一級水酸基を有する構成単位を含有するポリビニルアルコール樹脂が好ましい。これらの構成単位における一級水酸基の数は、通常1~5個、好ましくは1~2個、より好ましくは1個である。また、一級水酸基以外にも二級水酸基を有することが好ましい。側鎖に一級水酸基を有する構成単位を含有するポリビニルアルコール樹脂として、例えば、側鎖1,2-ジオール構成単位含有変性ポリビニルアルコール樹脂が挙げられる。
本発明の実施形態において、ポリビニルアルコール樹脂のケン化度(JIS K 6726に準拠して測定)は、通常60~100モル%である。また、ケン化度の好ましい範囲は、変性種によって異なり、例えば、未変性ポリビニルアルコール樹脂の場合、通常60~99.9モル%、好ましくは70~99.0モル%、より好ましくは75~98.5%である。側鎖1,2-ジオール構成単位含有変性ポリビニルアルコール樹脂のケン化度は、通常60~99.9モル%、好ましくは65~99.8モル%、より好ましくは70~99.5モル%である。かかるケン化度が低すぎると水溶性が低下する傾向がある。少量のエチレンで変性されたエチレン変性ポリビニルアルコール樹脂のケン化度は、通常60モル%以上、好ましくは70~99.5モル%、特に好ましくは75~99.0モル%である。
ケン化度が上記範囲内であると、水溶性に優れ脱離性が良好になるため好ましい。また、プライマー層を形成する際の、塗工性にも優れるため好ましい。
ポリビニルアルコール樹脂の平均重合度(JIS K 6726に準拠して測定)は、通常100~3000であり、好ましくは150~2000、より好ましくは180~1000、特に好ましくは200~800である。
(酸性基を有する化合物)
酸性基を有する化合物としては、酸性基を有する樹脂又は酸性基を有する低分子化合物を用いてもよい。これにより、プライマー層を後述する塩基性水溶液で脱離することができる。酸性基を有する樹脂の例として、酸性基を有する水溶性樹脂と、酸性基を有する水不溶性樹脂とが挙げられる。酸性基を有する樹脂は、例えば、酸性基を有しさえすれば、水溶性樹脂であっても不溶性樹脂であってもよい。
酸性基を有する樹脂としては、例えば、セルロース系樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ケトン樹脂、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂が挙げられる。上記酸性基としては、例えば、カルボキシ基、リン酸基、スルホ基、スルフィノ基等若しくはそれらのエステル又は塩が挙げられる。
また、酸性基を有する樹脂として、マレイン化ロジンやフマル化ロジン等の酸価を有するロジン変性樹脂を用いることができる。
また、酸性基を有する樹脂として、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、ケイ皮酸等のカルボキシ基を有する重合性モノマー;無水イタコン酸、無水マレイン酸等の酸無水物である重合性モノマー;スルホン化スチレン等のスルホン酸基を有する重合性モノマー;ビニルベンゼンスルホンアミド等のスルホンアミド基を有する重合性モノマー;のような酸性基を有する重合性モノマーを共重合させた、スチレン-(メタ)アクリル樹脂、スチレン-(無水)マレイン酸樹脂、テルペン-(無水)マレイン酸樹脂等のラジカル共重合体や、酸変性されたポリオレフィン樹脂を用いることができる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸性基を有する低分子化合物は、分子量分布を有しない化合物であって、且つ分子量が1,000以下の化合物を指す。このような化合物としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸;オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ソルビン酸等の不飽和脂肪酸;乳酸、リンゴ酸、クエン酸等のヒドロキシ酸;安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸、没食子酸、メリト酸、ケイ皮酸等の芳香族カルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸等のジカルボン酸;アコニット酸等のトリカルボン酸;ピルビン酸、オキサロ酢酸等のオキソカルボン酸;アミノ酸、ニトロカルボン酸等のカルボン酸誘導体;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等の酸無水物が挙げられる。
酸性基を有する低分子化合物は、上述する酸性基を有する樹脂又は公知のプライマー層を構成する公知のバインダー樹脂と組合せて用いることで、プライマー層を形成することができる。
プライマー層は、リコート適性の観点から、酸性基を有する化合物を含むことが好ましい。また、印刷適性の観点から、酸性基を有するウレタン樹脂、酸性基を有するアクリル樹脂、又はロジン変性樹脂を含むことが好ましい。プライマー層は、これらの樹脂を1種単独で、又は、2種以上を組み合わせて含んでよい。
〔酸性基を有するウレタン樹脂〕
酸性基を有するウレタン樹脂は特に制限されず、例えば、酸性基を有するポリオールとポリイソシアネートとを反応させてなるウレタン樹脂、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させてなるウレタン樹脂中の水酸基を酸変性してなる樹脂、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させてなるウレタン樹脂中のイソシアネート基にポリアミンを反応させてなるウレタンウレア樹脂中のアミノ基を酸変性してなる樹脂が挙げられる。
また、酸性基を有するウレタン樹脂として、ヒドロキシ酸を含むポリオール及びポリイソシアネートを反応させてなる樹脂を用いてもよい。ポリオールとしてヒドロキシ酸を使用することで、ウレタン樹脂にカルボキシ基に由来する酸価を付与することができ、脱離性を向上させることができる。また、上記酸性基を有するウレタン樹脂がイソシアネート基を有する場合、該イソシアネート基の一部にポリアミンを反応させてウレア結合を導入し、ウレタンウレアとしてもよい。
《ポリオール》
ポリオールは、一つの分子内に少なくとも二つの水酸基を有する化合物の総称である。ポリオールの数平均分子量は、好ましくは500~10,000、より好ましくは1,000~5,000である。上記数平均分子量とは、ポリオールの水酸基価から算出されるものであり、当該水酸基価はJIS K 0070による測定値を指す。ポリオールの数平均分子量が500以上であると、プライマー層の柔軟性に優れ、プラスチック基材への密着性が向上する。数平均分子量が10,000以下であると、プラスチック基材に対する耐ブロッキング性に優れる。
ポリオールとしては特に制限されず、より好ましくは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びポリカーボネートポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種のポリオールが用いられる。更にポリオールは、その他ダイマージオール、水添ダイマージオール、ひまし油変性ポリオール等を含んでもよい。
即ち、上記ウレタン樹脂は、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びポリカーボネートポリオールからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリオール由来の構成単位を含むことが好ましい。ポリエステルポリオールのエステル結合部位がアルカリ加水分解することにより脱離性が向上するため、より好ましくは、ポリエステルポリオール由来の構成単位を含むものである。
ポリオール由来の構成単位の含有量は、ウレタン樹脂全量に対して、好ましくは10~75質量%、より好ましくは15~70質量%、さらに好ましくは20~65質量%である。ポリエステルポリオール由来の構成単位の含有量は、ポリオール由来の構成単位全量に対して、好ましくは5質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、特に好ましくは80質量%以上である。
《ヒドロキシ酸》
上記ポリオールはヒドロキシ酸を含んでもよい。上記ヒドロキシ酸は、活性水素基である水酸基及び酸性官能基の両方を一分子中に有する化合物を指す。該酸性官能基とは、酸価を測定する際に、水酸化カリウムで中和され得る官能基を示し、具体的にはカルボキシ基やスルホン酸基等が挙げられ、好ましくはカルボキシ基である。このようなヒドロキシ酸としては、例えば、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール吉草酸のようなジメチロールアルカン酸が好適に用いられる。
《ポリイソシアネート》
上記ポリイソシアネートは特に制限されず、従来公知のポリイソシアネートから選択することができる。好ましくは、ジイソシアネート又はトリイソシアネートを含み、より好ましくは、芳香族、脂肪族又は脂環式のジイソシアネートを含む。これらは単独又は2種以上を併用してもよい。
《ポリアミン》
ウレタンウレアとするためのポリアミンは特に制限されず、好ましくはジアミン化合物である。また、ウレタン樹脂に水酸基を導入できる点で、水酸基を有するジアミンを用いてもよい。
酸性基を有するウレタン樹脂の酸価は、好ましくは15mgKOH/g以上であり、より好ましくは15~70mgKOH/gであり、さらに好ましくは20~50mgKOH/gである。15mgKOH/g以上であると、脱離液による脱離性が良好となるため好ましく、70mgKOH/g以下であると、基材密着性や耐レトルト性が良好となるため好ましい。
ウレタン樹脂の水酸基価は、好ましくは1~35mgKOH/gであり、より好ましくは10~30mgKOH/gである。1mgKOH/g以上であると、脱離液による脱離性が良好となるため好ましく、35mgKOH/g以下であると、基材密着性が良好となるため好ましい。
酸性基を有するウレタン樹脂の重量平均分子量は、好ましくは10,000~100,000、より好ましくは15,000~70,000、さらに好ましくは15,000~50,000である。ウレタン樹脂の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは6以下である。Mwは重量平均分子量を表し、Mnは数平均分子量を表す。分子量分布が6以下であると脱離性、プライマー組成物の乾燥性、耐レトルト性に優れる。また、分子量分布が小さい、即ち分子量分布がシャープであるほど、脱離液による溶解又は剥離作用が均一に起こり、プラスチック基材の脱離性が向上する。分子量分布は、より好ましくは5以下、さらに好ましくは4以下である。また、分子量分布は好ましくは1.5以上、より好ましくは1.2以上である。
本明細書において、Mw、Mn及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めたポリスチレン換算値である。
酸性基を有するウレタン樹脂はアミン価を有していてもよい。ウレタン樹脂がアミン価を有する場合、アミン価は0.1~20mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは1~10mgKOH/gである。上記範囲内であると基材密着性に優れる。
酸性基を有するポリウレタン樹脂のウレタン結合数は、好ましくは1~3mmol/g、より好ましくは1.5~2mmol/gである。また、ウレア結合数は、好ましくは0~3mmol/g、より好ましくは0.2~1mmol/gである。また、ウレタン結合数とウレア結合数の合計は、好ましくは1~6mmol/g、より好ましくは1.7~3mmol/gである。
ウレタン結合数及びウレア結合数を該当範囲に設定することで、脱離性及び再付着防止性が向上する。
〔酸性基を有するアクリル樹脂〕
酸性基を有するアクリル樹脂としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸等の酸性基を有する(メタ)アクリルモノマーを含むモノマーを重合した重合体;水酸基やグリシジル基を有する(メタ)アクリルモノマーを含むモノマーを重合した後、当該官能基を変性してカルボキシ基を導入した樹脂(例えば無水マレイン酸変性樹脂);が挙げられる。
酸性基を有するアクリル樹脂の酸価は、好ましくは50mgKOH/g以上、より好ましくは100mgKOH/g以上である。
〔ロジン変性樹脂〕
ロジン変性樹脂は、原料の一つとしてロジンを用いて調製された樹脂である。ロジンには、アビエチン酸、パラストリン酸、イソピマール酸、レボピマール酸等の樹脂酸が混合物として含まれ、これら樹脂酸は、親水性で化学活性なカルボキシ基が含まれ、中には共役二重結合を備えるものもある。そのため、多価アルコールや多塩基酸を組み合わせて縮重合させたり、ロジン骨格に含まれるベンゼン環にフェノールの縮合体であるレゾールを付加させたり、ジエノフィルである無水マレイン酸やマレイン酸とディールスアルダー反応をさせてマレイン酸や無水マレイン酸骨格を付加させさせたりすること等により、様々なロジン変性樹脂が調製されている。このようなロジン変性樹脂は、各種のものが市販されており、それを入手して用いることも可能である。
ロジン変性樹脂としては、例えば、マレイン化ロジン、フマル化ロジン、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性アルキッド樹脂、ロジン変性ポリエステル樹脂が挙げられる。本発明の実施形態においては、いずれのロジン変性樹脂を用いてもよいが、これらの中でも、その構造中にマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸及び無水フマル酸からなる群より選択される少なくとも一つを由来とする部位を含むものが好ましく用いられる。「その構造中にマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸及び無水フマル酸からなる群より選択される少なくとも一つを由来とする部位を含む」樹脂とは、原料の一部としてマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸及び無水フマル酸からなる群より選択される少なくとも一つを用いて調製されたものであり、例えば、多塩基酸の一部としてマレイン酸やフマル酸を縮重合させたロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂や、ジエノフィルとしてマレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸や無水フマル酸をディールスアルダー反応で付加させた構造を備えるマレイン化ロジン、フマル化ロジンや、これらに含まれる官能基を用いてさらに他の化学種を重合させた樹脂等を意味する。
ロジン変性樹脂の酸価は、好ましくは10~400mgKOH/gであり、より好ましくは100~300mgKOH/gである。
(その他成分)
プライマー層は、水溶性樹脂又は酸性基を有する化合物以外の樹脂を含有してもよい。
このような樹脂としては、例えば、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂若しくは塩化ビニル-アクリル系共重合樹脂等の塩化ビニル樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ダンマル樹脂、スチレン-アクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、テルペン樹脂、フェノール変性テルペン樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、ポリアセタール樹脂、石油樹脂、及びこれらの変性樹脂を挙げることができる。これらの樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、プライマー層は、セルロース樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン樹脂、アクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくも1種の樹脂を含むことが好ましい。より好ましくは、塩化ビニル樹脂、又はアクリル樹脂を含む。
酸性基を有するウレタン樹脂と、その他樹脂との質量比(酸性基を有するウレタン樹脂:その他樹脂)は、好ましくは95:5~50:50である。上記範囲内であると、塩基性水溶液中において、プライマー層と共に印刷層が剥離した際に、印刷層が薄膜の状態で剥離され、回収が容易となるため好ましい。
プライマー層は、体質顔料を含有してもよい。体質顔料としては、例えば、シリカ、硫酸バリウム、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等の金属酸化物が挙げられる。中でも好ましくはシリカであり、より好ましくは親水性シリカである。
体質顔料の平均粒子径は、好ましくは0.5~10μmであり、より好ましくは1~8μmである。体質顔料の含有量は、プライマー層中に0.5~10質量%であることが好ましく、より好ましくは1~5質量%である。平均粒子径及び体質顔料の含有量が、上記範囲内であると、印刷層の濡れ性が向上し画質が向上する。
プライマー層は、さらに公知の添加剤を含有してもよい。公知の添加剤としては、例えば、分散剤、湿潤剤、接着補助剤、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、粘度調整剤、金属キレート、トラッピング剤、ブロッキング防止剤、上記以外のワックス成分、シランカップリング剤が挙げられる。
<エージング工程>
本発明の積層体の製造方法は、プライマー層形成工程の後、前記プライマー層を、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)で測定した硬化剤由来のピークの残存率が20%以下となるようにエージングする、エージング工程を含む。
残存率は、下記式から求められる。
残存率(%)=(エージング後のプライマー層の硬化剤由来のピーク面積)/(塗工直後のプライマー層の硬化剤由来のピーク面積)
上記残存率が20%以下であれば、印刷層によりプライマー層が膨潤・溶解されることを防ぎ、優れた画質の印刷物が得られると同時に、脱離液中での脱離性・再付着性が良化し、高品位な再生材を得ることができる。好ましくは上記残存率が15%以下であり、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。
エージング温度は、好ましくは20℃~100℃、より好ましくは20℃~70℃、さらに好ましくは25℃~50℃である。エージング時間は、好ましくは1時間~数日、より好ましくは3時間~2日、さらに好ましくは6時間~24時間である。エージング温度が高いほどエージング時間を短縮することができるが、ブロッキング等の観点から、エージング温度は50℃以下が好ましい。25℃でエージングする場合は、エージング時間は好ましくは3時間~数日、より好ましくは6時間~2日、さらに好ましくは12時間~24時間である。
<印刷層形成工程>
本発明の積層体の製造方法は、エージング工程の後、プライマー層上に印刷層を設ける、印刷層形成工程を含む。印刷層を設けるための印刷方式については、上記<プライマー層形成工程>の欄で述べた方式を援用できる。
<印刷層>
印刷層は、プライマー層のプラスチック基材と反対の側に、プライマー層に接して設けられた層である。印刷層とは、装飾、美感の付与、内容物、賞味期限、製造者又は販売者の表示等を目的とした、任意の印刷模様を形成する層であり、ベタ印刷層も含む。
印刷層は、従来公知の着色剤を用いて形成することができ、顔料や染料を含む印刷インキを用いて形成してもよい。印刷層は、単層であってもよく、複数の層から形成されていてもよい。
(着色剤)
印刷層は、有色であっても無色であってもよく、印刷インキや塗料で使用される公知の着色剤を含有する。このような着色剤は特に制限されず、無機顔料、有機顔料、染料のほか、金属光沢を与える金属粉、近赤外吸収材料、紫外線吸収材料を用いてもよい。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、ベンガラ、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等の有色顔料;炭酸カルシウム、カオリン、クレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルク等の体質顔料;が挙げられる。
有機顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾキレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料等が好適に用いられる。
なおこれらに限らず、前記顔料はカラーインデックスのジェネリックネームで記載のものが適宜使用できる。中でも、脱離液が塩基性水溶液である場合、塩基性水溶液に溶出しない、アルカリ耐性を有する顔料が好ましい。顔料の溶出を防ぐことで塩基性水溶液の再利用が容易となる。
顔料のアルカリ耐性は、概ね顔料の骨格又は構造で推定され、アルカリ耐性のある顔料としては、例えば、無機顔料、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントイエロー83が挙げられる。
顔料が酸化チタンである場合、酸化チタンの含有量は、印刷層中に好ましくは20~80質量%、より好ましくは30~75質量%である。また顔料が、酸化チタンを除く無機顔料、体質顔料、有機顔料である場合、これらの顔料の含有量はいずれも、印刷層中に好ましくは0.5~60質量%、より好ましくは10~50質量%である。
(その他成分)
印刷層は、着色剤の分散剤として、顔料誘導体又は樹脂型分散剤を含有してもよい。
顔料誘導体は、顔料の骨格に置換基を導入した化合物であり、顔料誘導体の含有量は、着色剤の質量を基準として、好ましくは0.01~10質量%、より好ましくは0.05~6質量%であり、さらに好ましくは0.1~4質量%である。0.01質量%以上であるとプラスチック基材の脱離性に優れ、10質量%以下であると、印刷層の再付着を抑制することができる。
樹脂型分散剤は、着色剤に吸着して印刷インキ等への分散を安定化する働きをするものであり、公知の樹脂型分散剤から適宜選択できる。樹脂型分散剤の含有量は、着色剤の質量を基準として、好ましくは0.01~30質量%、より好ましくは0.05~20質量%、さら好ましくは0.1~10質量%である。0.01質量%以上であるとプラスチック基材の脱離性に優れ、30質量%以下であると印刷層の耐水性に優れる。
印刷層は、バインダー樹脂を含有してもよい。このような樹脂としては、例えば、ニトロセルロース系、セルロースアセテート・プロピオネート等の繊維素材、塩素化ポリプロピレン系、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体系、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン樹脂系及びアクリルウレタン系、ポリアミド系、ポリブチラール系、環化ゴム系、塩化ゴム系の樹脂を挙げることができる。これらの樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
印刷層は、水溶性樹脂又は酸性基を含む化合物を含有してもよい。その場合、印刷層も脱離液中での脱離性を有する。
印刷層の厚みは、好ましくは0.1μm以上100μm以下、より好ましくは0.1μm以上10μm以下、さらに好ましくは1μm以上5μm以下である。
<プラスチック基材>
プラスチック基材としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、繊維素系プラスチックが挙げられる。
リサイクル基材として再利用する観点から、プラスチック基材は、ポリオレフィン樹脂を含む、ポリオレフィン基材であることが好ましい。このようなポリオレフィン樹脂を含む基材としては、例えば、ポリエチレン(PE)、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)のようなプラスチック基材のほか、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、酸変性ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン(CPP)、酸変性ポリプロピレン、共重合ポリプロピレンのようなシーラント基材が挙げられる。
プラスチック基材の厚みは特に制限されず、用途に応じて適宜選択してよい。好ましくは5~200μmであり、より好ましくは10~150μmである。また、ガスバリア基材として、アルミニウム箔、アルミニウム等の金属蒸着層、シリカやアルミナ等の金属酸化物蒸着層が挙げられる。アルミニウム箔の厚みは、経済的な面から3~50μmの範囲で用いることが多い。また、アルミニウム箔、アルミニウム蒸着層及びアルミナ蒸着層は、塩基性水溶液に溶解し、脱離するため、脱離層として機能し、隣接するポリオレフィン樹脂を分離することができる。
<接着剤層>
積層体は、接着剤層を備えてもよい。積層体が接着剤層を備える場合、接着剤層と接するプラスチック基材も脱離回収するには、接着剤層は酸性基を含有する化合物を含有することが好ましい。
上記酸性基を有する化合物、酸性基を有する樹脂及び酸性基を有する低分子化合物は、上述する<プライマー層>の項における(酸性基を有する化合物)の記載を援用できる。
また接着剤層の形成方法は制限されず、公知の方法を用いて形成することができる。
接着剤層は、脱離性の観点から、酸性基を有するポリエステルポリオールと、脂肪族ポリイソシアネート及び芳香脂肪族ポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリイソシアネートとを含む接着剤の硬化物であってもよい。上記硬化物は、酸性基を有する樹脂に該当する。
また、接着剤層は、ポリエステルポリオールと、脂肪族ポリイソシアネート及び芳香脂肪族ポリイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリイソシアネートと、酸性基を有する低分子化合物とを含む接着剤の硬化物であってもよい。
<プラスチック基材の分離回収方法>
本発明の実施形態は、本発明の積層体の製造方法により得られる積層体を、後述の脱離液に接触させ、プラスチック基材を脱離させて回収する、プラスチック基材の分離回収方法を含む。本発明において「脱離」とは、例えば、脱離層が脱離液により溶解若しくは膨潤し剥離することにより、基材が積層体から脱離することを指し、(1)脱離層が溶解して基材が脱離する場合、(2)脱離層が溶解しなくとも、中和又は膨潤等により剥離し、基材が脱離する場合、の両方の形態を含む。例えば、分離回収方法は、積層体から基材を脱離させて基材を回収することを含んでよい。
本発明において、「脱離」とは、例えば、脱離層が脱離液により溶解若しくは膨潤し剥離することにより、脱離層が積層体から脱離することを指してもよく、(1’)脱離層が溶解して脱離する場合、(2’)脱離層が溶解しなくとも、中和又は膨潤等により剥離し、脱離する場合、の両方の形態を含む。例えば、分離回収方法は、積層体から脱離層を脱離させて基材を回収することを含んでよい。
本発明は、脱離後のプラスチック基材を、リサイクル基材又は再生基材として得ることを目的としているため、プラスチック基材から、脱離層等をできる限り多く除去した態様が好適である。具体的には、脱離層100質量%のうち、面積や膜厚方向において少なくとも50質量%以上が脱離していることが好ましい。より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上が脱離している態様が好ましい。
<脱離液>
脱離液は、プライマー層を膨潤・溶解させるものであればよく、このような脱離液としては、例えば、中性水溶液、塩基性水溶液、酸性水溶液、フッ素系溶剤が挙げられる。環境面及び回収されたプラスチック基材を用いた再生材料の性状維持の観点から、好ましくは水溶液である。脱離性の観点から、より好ましくは塩基性化合物を含む塩基性水溶液である。これらの脱離液は加温されていてもよい。脱離液は、水を50質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むことがより好ましく、80質量%以上含むことが更に好ましい。
[界面活性剤]
脱離液は、水と界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤は、主に、脱離層の脱離性を向上させる役割を担う。これは、界面活性剤の作用により、脱離液がプライマー層、印刷層、及び接着剤層等に浸透しやすくなり、脱離性が促進するためと考えられる。また、脱離した脱離成分や基材の表面に界面活性剤が吸着することで、細かく分散された印刷層等の再付着を防止すると考えられる。
また、分離回収において脱離液に対する積層体の量を増やしていくと、積層体及び分離した基材は脱離したインキ片を巻き込んだ状態でカールする傾向にあり、脱離液に浸漬したとしても、カールに巻き込まれたインキ片等をきれいに除去することは困難である。しかしながら、脱離液が界面活性剤を含むことで、積層体及び分離した基材表面に界面活性剤が吸着し、カールが抑制される。その結果、脱離性が向上し再付着を抑えることができる。
HLB値とは界面活性剤の水及び油への親和性に関する指標値であり、親水基を持たない物質のHLB値を0、親水基のみを有する物質のHLB値を20として等分したものである。HLBの概念は1949年にAtlas Powder Companyのウィリアム・グリフィンによって提唱され、計算によって決定する方法がいくつか提案されているが、本発明の実施形態においてHLB値は、グリフィン法により次式から求めることができる。
式) HLB=20×[(界面活性剤中に含まれる親水基の分子量)/(界面活性剤の分子量)]
界面活性剤中に含まれる親水基としては、例えば、水酸基及びエチレンオキシ基が挙げられる。
本発明の実施形態における界面活性剤のHLB値は、7以上であることが好ましい。HLBが7以上であることで、上述したように優れた脱離性と再付着防止性とを発揮する。界面活性剤のHLB値は、好ましくは8以上、より好ましくは10以上である。また界面活性剤のHLB値は、好ましくは20以下、より好ましくは19以下、さらに好ましくは17以下である。HLB値が20以下であると、消泡性に優れるため好ましい。
界面活性剤の種類としては、例えば、ノニオン性、アニオン性、カチオン性、両性が挙げられ、要求特性に応じて適宜好適な種類、配合量を選択して使用することができる。脱離性や発泡性の観点から、好ましくは、アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
また、界面活性剤は、アルキレンオキサイド(以下、AOともいう)を付加した構造であることで、脱離性や再付着防止性が良好となるため好ましい。
(ノニオン性界面活性剤)
ノニオン性界面活性剤としては、特に制限されないが、好ましくは、アルキレンオキサイドが付加したアルキレンオキサイド付加物である。より好ましくは、活性水素を有するアルコール類にアルキレンオキサイドを付加して得られる化合物、アミン類にアルキレンオキサイドを付加して得られる化合物若しくは脂肪酸類にアルキレンオキサイドを付加して得られる化合物である。上記付加は、ランダム付加又はブロック付加のいずれであってもよい。また、アルキレンオキサイドの炭素数は、好ましくは炭素数2~4である。
ノニオン性界面活性剤としてより好ましくは、アルコール類に炭素数2~4のアルキレンオキサイドを付加したアルコール系ノニオン性界面活性剤である。
〔アルコール系ノニオン性界面活性剤〕
アルコール系ノニオン性界面活性剤としては、例えば、総炭素数8~24の第1級若しくは第2級アルコールのアルキレンオキサイド付加物、又は、総炭素数8~12のアルキルフェノールのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。上記総炭素数8~24の第1級若しくは第2級アルコールは、飽和若しくは不飽和のいずれであってもよい。
上記総炭素数8~24の第1級若しくは第2級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ドデシルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、リグノセリルアルコール、ミリスチルアルコール等が挙げられる。
また、アルコール類に付加するアルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられ、エチレンオキサイドを必須とするのが好ましい。アルキレンオキサイドの付加モル数は、アルコール類又はアルキルフェノール1モルに対し、好ましくは1~100モル、より好ましくは2~50モルである。上記範囲であると、特に脱離性に優れるため好ましい。
〔脂肪酸系ノニオン性界面活性剤〕
脂肪酸系ノニオン性界面活性剤としては、構造は特に制限されないが、例えば、総炭素数10~24の高級脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物や、前記した総炭素数が10~24の飽和若しくは不飽和の高級脂肪酸とグリセリンとのエステルからなる油脂、さらには、前記した油脂と2~10の多価アルコールとの混合物のアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。上記総炭素数10~24の高級脂肪酸は、飽和若しくは不飽和のいずれであってもよい。
上記総炭素数10~24の高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘニン酸等の飽和高級脂肪酸;パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸、リシノール酸等の不飽和高級脂肪酸;が挙げられる。2~10価の多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ソルビトール、ソルビタン、ショ糖等が挙げられる。アルキレンオキサイドの種類及び付加モル数は、上述する〔アルコール系ノニオン性界面活性剤〕の項の記載と同様である。
〔アミン系ノニオン性界面活性剤〕
アミン系ノニオン性界面活性剤としては、総炭素数8~36の飽和又は不飽和の第1級又は第2級アミンのAO付加物が挙げられる。アミンとしては、2-エチルヘキシルアミン、ジ2-エチルヘキシルアミン、ラウリルアミン、ジラウリルアミン、テトラデシルアミン、ジテトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ジヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、ジステアリルアミン、オレイルアミン、ジオレイルアミン等が挙げられる。また、AOの種類及び付加モル数は上記と同様である。
(アニオン性界面活性剤)
アニオン性界面活性剤として好ましくは非石鹸系界面活性剤であり、例えば、スルホン酸系アニオン性界面活性剤、硫酸エステル系アニオン性界面活性剤、カルボン酸系アニオン性界面活性剤、リン酸エステル系アニオン性界面活性剤が挙げられる。
〔スルホン酸系アニオン性界面活性剤〕
上記スルホン酸系アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸、アルキルメチルタウリン、スルホコハク酸ジエステル、スルホン酸のアルキレンオキサイド付加物、及びこれらの塩が挙げられる。具体例としては、ヘキサンスルホン酸、オクタンスルホン酸、デカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、トルエンスルホン酸、クメンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジニトロベンゼンスルホン酸、及びラウリルドデシルフェニルエーテルジスルホン酸等を用いることができる。
〔硫酸エステル系アニオン性界面活性剤〕
上記硫酸エステル系アニオン性界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル(アルキルエーテル硫酸エステル)、硫酸エステルのアルキレンオキサイド付加物、及びこれらの塩が挙げられる。具体例としては、ラウリル硫酸、ミリスチル硫酸、及びポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸等を用いることができる。
〔カルボン酸系アニオン性界面活性剤〕
上記カルボン酸系アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルカルボン酸、アルキルベンゼンカルボン酸、カルボン酸のアルキレンオキサイド付加物、及びこれらの塩が挙げられる。具体例としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸、及びポリオキシエチレントリデシルエーテル酢酸等を用いることができる。
〔リン酸エステル系アニオン性界面活性剤〕
上記リン酸エステル系アニオン性界面活性剤としては、例えば、リン酸エステル(アルキルエーテルリン酸エステル)、リン酸エステルのアルキレンオキサイド付加物、及びこれらの塩が挙げられる。具体例としては、オクチルリン酸エステル、ラウリルリン酸エステル、トリデシルリン酸エステル、ミリスチルリン酸エステル、セチルリン酸エステル、ステアリルリン酸エステル、ポリオキシエチレンオクチルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル等を用いることができる。
アニオン性界面活性剤は、炭素数2~24のアルキル基又は炭素数2~24のアルケニル基を有することが好ましく、より好ましくは、炭素数8~18のアルキル基を有するものである。当該アルキル基又は当該アルケニル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
また、アニオン性界面活性剤がアルキレンオキサイド付加物である場合、該アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられ、エチレンオキサイドが好ましい。アルキレンオキサイドの付加モル数は、アルコール類又はアルキルフェノール1モルに対し、好ましくは1~12モル、より好ましくは1~8モルである。上記範囲であると、特に脱離性に優れるため好ましい。
上述するアニオン性界面活性剤を構成する塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等の金属塩が挙げられる。これらの塩は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でもアニオン性界面活性剤として好ましくは、脱離性及び再付着防止性の観点から、スルホン酸塩タイプ、リン酸塩タイプであり、より好ましくは、アルキルスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩等である。
(カチオン性界面活性剤)
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類が挙げられる。具体的にはステアリルアミンアセテート、トリメチルヤシアンモニウムクロリド、トリメチル牛脂アンモニウムクロリド、ジメチルジオレイルアンモニウムクロリド、メチルオレイルジエタノールクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、ラウリルピリジニウムクロリド、ラウリルピリジニウムブロマイド、ラウリルピリジニウムジサルフェート、セチルピリジニウムブロマイド、4-アルキルメルカプトピリジン、ポリ(ビニルピリジン)-ドデシルブロマイド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド等を用いることができる。
(両性界面活性剤)
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体が挙げられる。
これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。脱離液中のHLB値が7以上の界面活性剤の含有量は、脱離液の質量を基準として、好ましくは0.001~10質量%の範囲であり、より好ましくは0.005~7質量%の範囲であり、さらに好ましくは0.03~5質量%であり、なお好ましくは0.05~3質量%である。0.001質量%以上であると脱離性や再付着防止性に優れるため好ましく、10質量%以下であると消泡性の観点で好ましい。
[消泡剤]
本発明の実施形態においては、脱離液が更に消泡剤を含有することも好ましい。消泡剤を、上述の界面活性剤と組み合わせて用いることで、脱離性及び再付着防止性を低下させることなく良好な消泡性を発現し、界面活性剤による発泡を抑制することができる。消泡剤としては、例えば、シリコーン系化合物、非シリコーン系化合物が挙げられる。
(シリコーン系化合物)
上記シリコーン系化合物としては、例えば、エマルジョン型、自己乳化型、オイル型、オイルコンパウンド型、溶剤型が挙げられる。
エマルジョン型は、シリコーンオイルコンパウンドを活性剤で乳化させてO/W型(oil in water型)のエマルジョンとしたシリコーン系消泡剤であり、例えば、信越化学工業製の「KM-89」、「KM-98」、旭化成ワッカーシリコーン製の「FC2913」、「SILFOAMSE47」、ビックケミー・ジャパン製の「BYK-015」、「BYK-1640」が挙げられる。
自己乳化型は、水で希釈、混合することでエマルション状態となる有効成分100%のシリコーン系消泡剤であり、例えば、信越化学工業製の「KS-540」、「X-50-1176」、旭化成ワッカーシリコーン製の「SILFOAM SD670」、「SILFOAM SD850」が挙げられる。
オイル型は、溶剤や添加剤を含まない100%シリコーンオイルの消泡剤であり、例えば、信越化学工業製の「KM-89」、「KM-98」、旭化成ワッカーシリコーン製「AK350」、「AK12500」、ビックケミー・ジャパン製の「BYK-1770」が挙げられる。
オイルコンパウンド型とは、シリコーンオイルにシリカ粒子を配合したシリコーン系消泡剤であり、例えば、信越化学工業製の「KM-89」、「KM-98」、旭化成ワッカーシリコーン製「SILFOAM SC370」、「PULPSIL22274VP」、ビックケミー・ジャパン製の「BYK-017」、「BYK-018」が挙げられる。
溶剤型は、シリコーンオイルを溶剤に溶解させたシリコーン系消泡剤であり、例えば、信越化学工業製の「KM-89」、「KM-98」、ビックケミー・ジャパン製の「BYK-019」、「BYK-025」が挙げられる。
(非シリコーン系化合物)
上記非シリコーン系化合物としては、例えば、脂肪酸エステル系化合物、ウレア樹脂系化合物、パラフィン系化合物、ポリオキシアルキレングリコール系化合物、アクリルエステル共重合物、エステル系重合物、エーテル系重合物、アミド系重合物、ミネラルオイルの乳化タイプ、ポリシロキサンアダクト、フッ素系化合物、ビニル系重合物、アセチレンアルコール、アクリル系ポリマー、特殊ビニル系ポリマー、エチレングリコール、高級アルコール(オクチルアルコール、シクロヘキサノール等)が挙げられる。
消泡剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。脱離液中の消泡剤の含有量は、脱離液の質量を基準として、好ましくは0.0001~5質量%の範囲であり、より好ましくは0.001~4.5質量%の範囲であり、さらに好ましくは0.01~4質量%であり、なお好ましくは0.02~3.5質量%であり、特に好ましくは0.03~3質量%である。0.0001質量%以上であると消泡性に優れ、5質量%以下であると脱離性や再付着防止性に優れる。
上記消泡剤は、耐アルカリ性が良好であり、界面活性剤と組み合わせたときに、脱離性や再付着防止性を低下させにくいという観点から、エマルジョン型シリコーン系化合物、自己乳化型シリコーン系化合物、及び非シリコーン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
[塩基性化合物]
上述のとおり、本発明の実施形態において、脱離液は、包装材で通常用いられるウレタン系接着剤層を脱離する観点で塩基性化合物を含む塩基性水溶液が好適に用いられる。
上記塩基性化合物は特に制限されず、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH))、アンモニア、水酸化バリウム(Ba(OH))、炭酸ナトリウム(NaCO)が好適に用いられる。より好ましくは水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
塩基性水溶液中の塩基性化合物の含有量は、塩基性水溶液の質量を基準として、好ましくは0.5~20質量%、より好ましくは1~15質量%、さらに好ましくは3~15質量%の範囲である。上記範囲内にあると、塩基性水溶液は、後述する脱離層を溶解又は膨潤により脱離させてプラスチック基材を回収するのに充分な塩基性を保持することができる。
脱離液は、積層体の端部分から浸透して脱離層に接触し、溶解又は膨潤することで、プラスチック基材と脱離層を分離する。したがって効率的に脱離工程を進めるために、積層体は、裁断又は粉砕され、脱離液に浸漬する際に、断面に脱離層が露出している状態であることが好ましい。このような場合、より短時間で基材層を脱離することができる。
積層体を脱離液中で分離させる際の積層体の含有量は、脱離液の全質量に対して、好ましくは0.1質量%以上10質量%以下、より好ましくは1質量%以上8質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以上7質量%以下、なお好ましくは2質量%以上6質量%以下である。0.1質量%以上であると、処理効率の観点で好ましい。10質量%以下であると、脱離性の観点で好ましい。
積層体を脱離液中で分離させる際の印刷層の含有量は、脱離液の全質量に対して、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.05質量%以上1質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下である。0.01質量%以上であると、処理効率の観点で好ましい。1質量%以下であると、再付着性の観点で好ましい。
積層体を浸漬する時の脱離液の温度は、好ましくは25~120℃、より好ましくは30~120℃、特に好ましくは30~80℃の範囲である。脱離液への浸漬時間は、好ましくは1分間~24時間、より好ましくは1分間~12時間、好ましくは1分間~6時間の範囲である。脱離効率を向上させるために、脱離液の撹拌又は循環等を行うことが好ましい。回転速度は、好ましくは80~5000rpm、より好ましくは80~4000rpmである。
積層体から、脱離層が脱離し、プラスチック基材を回収した後、得られたプラスチック基材を水洗及び乾燥する工程を経て、リサイクル基材を得ることができる。基材の表面における脱離層の除去率は、脱離前の脱離層の面積に対して、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上である。
また、得られたリサイクル基材は、押出機等によりペレット状に加工し、再生樹脂として再利用することができる。
<プラスチック基材の製造方法>
上述するプラスチック基材の分離回収方法を用い、プラスチック基材を製造することができる。プラスチック基材は、破砕、裁断、粉砕等によって細片化された基材であってもよい。プラスチック基材の製造方法は、例えば、少なくともプラスチック基材層及びプラスチック基材層に接する脱離層を備え、前記脱離層が、水溶性樹脂又は酸性基を有する化合物を含む層である積層体を用意すること、上述の分離回収方法によりプラスチック基材を回収することを含む。
<成形用材料の製造方法>
上述するプラスチック基材の分離回収方法により回収されたプラスチック基材を溶融混練することで、成形用材料を製造することができる。本発明の実施形態である成形用材料の製造方法は、好ましくは下記工程1~3を含む。あるいは、上述のプラスチック基材の分離回収方法又はプラスチック基材の製造方法が、下記工程1を少なくとも含み、成形用材料の製造方法が、下記工程3を少なくとも含んでもよい。成形用材料がマスターバッチを含む場合、さらに下記工程4を含んでもよい。
(工程1)上記積層体を破砕し、脱離液に浸漬させて、該積層体からプラスチック基材を脱離させる工程、又は、上記積層体を破砕し、脱離液に浸漬させて、該積層体から脱離層を脱離させる工程
(工程2)工程1で得られたプラスチック基材を水洗浄する工程
(工程3)工程2で得られたプラスチック基材を溶融混練し、再生樹脂を得る工程
(工程4)工程3で得られた再生樹脂に、マスターバッチを混合する工程
工程1における包装材の破砕方法は、特に制限されず、例えば、ジョークラッシャー、インパクトクラッシャー、カッターミル、スタンプミル、リングミル、ローラーミル、ジェットミル、ハンマーミルを用いる方法が挙げられる。
工程2は、必要に応じて乾燥工程をさらに含んでもよい。工程2により、リサイクル後の基材(再生プラスチック基材ともいう)を得ることができる。
工程3における溶融混練工程は、必要に応じて各種添加剤等を加え、ヘンシェルミキサーやタンブラー、ディスパー等で混合した後、ニーダー、ロールミル、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、シュギミキサー、バーティカルグラニュレーター、ハイスピードミキサー、ファーマトリックス、ボールミル、スチールミル、サンドミル、振動ミル、アトライター、バンバリーミキサーのような回分式混練機、二軸押出機、単軸押出機、ローター型二軸混練機等を用いて、混合や分散することを指す。これにより樹脂組成物である再生樹脂が得られる。再生樹脂の形状は、特に制限されず、ペレット状、粉体状、顆粒状、ビーズ状であってもよい。溶融混練工程は、二軸押出機を用いるのが好ましい。
[マスターバッチ]
本発明の実施形態における成形用材料は、さらにマスターバッチを含有することができる。マスターバッチは、再生樹脂に対して相溶性を有するものであれば特に制限されず、一般的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の熱可塑性樹脂と着色剤とを混練したものを使用できる。マスターバッチに含まれる熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
本発明の実施形態におけるマスターバッチは、本発明の効果を阻害しない範囲で、アルカリ金属やアルカリ土類金属又は亜鉛の金属石けん、ハイドロタルサイト、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、帯電防止剤、ハロゲン系、リン系又は金属酸化物等の難燃剤、エチレンビスアルキルアマイド等の滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤を含有してもよい。
<成形体の製造方法>
上述する成形用材料の製造方法により得られる成形用材料を加熱成形することで、成形体を得ることができる。加熱成形方法は特に制限されず、例えば、射出成形、押出し成形、ブロー成形、圧縮成形が挙げられる。
本発明の実施形態である分離回収方法により回収されたプラスチック基材を用いて製造された成形用材料は、印刷層や接着剤層が脱離され、さらに脱離成分の再付着が抑制されているため高品位であり、家電製品や文房具、自動車用のパーツ、玩具やスポーツ用品、医療用や建築又は建設資材の材料等、様々な分野に用いることができる。
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明における部及び%は、特に注釈の無い場合、質量部及び質量%を表す。
<分子量及び分子量分布>
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定を行い、ポリスチレンを標準物質に用いた換算分子量として求めた。測定条件を以下に示す。
GPC装置:昭和電工社製 Shodex GPC-104
カラム:下記カラムを直列に連結して使用した。
昭和電工社製 Shodex LF-404 2本
昭和電工社製 Shodex LF-G
検出器:RI(示差屈折計)
測定条件:カラム温度40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.3mL/分
<酸価、水酸基価>
酸価及び水酸基価は、JIS K 0070(1992)に記載の方法に従って測定した。
<FT-IR測定>
基材上にプライマー組成物を印刷後、ATR測定により硬化剤由来のピークの残存率を算出した。硬化剤由来のピークの残存率は、プライマー層印刷直後の硬化剤由来のピークの面積を100%とし、エージング後の硬化剤由来のピークの比率を求めて残存率とする。
すなわち残存率は、下記式から求められる。
残存率(%)=(エージング後のプライマー層の硬化剤由来のピーク面積)/(塗工直後のプライマー層の硬化剤由来のピーク面積)
以下の実施例においては、イソシアネート系硬化剤由来のピークAは約2260cm-1のピークを使い、カルボジイミド系硬化剤由来のピークBは約2120cm-1のピークを使用した。このときのピーク面積Aを求める際のベースラインは、2320cm-1~2360cm-1の最小点と2150cm-1~2200cm-1の最小点を結ぶラインと定義し、ピーク面積Bを求める際のベースラインは、2150cm-1~2180cm-1の最小点と2050cm-1~2100cm-1の最小点を結ぶラインと定義する。
FT-IRの測定条件は以下のような条件で測定を行った。
・装置メーカー:Thermo SCIENTIFIC社
・装置名:Nicolet iS50 FT-IR Spectrometer
・測定モード:ATR法
・クリスタル:Diamond
・分解能:4cm-1
・積算回数:32回
<プライマー組成物用樹脂の合成>
[合成例1-1](ポリウレタン樹脂P1)
還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌装置、及び温度計を備えた反応器中で窒素ガスを導入しながら、PPA(プロピレングリコールとアジピン酸の重縮合物からなる、数平均分子量2,000のポリエステルポリオール)152.2部、PPG(ポリプロピレングリコールからなる、数平均分子量2,000のポリエーテルポリオール)15.2部、BD(1,4-ブタンジオール)13.6部、IPDI(イソホロンジイソシアネート)99.8部、NPAC(酢酸ノルマルプロピル)200部を仕込み、90℃で5時間反応させて、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液を得た。
次いで、AEA(2-(2-アミノエチルアミノ)エタノール)を19.2部、IPA(イソプロピルアルコール)を350部混合したものを、室温で60分間かけて滴下した後、70℃で3時間反応させて、ポリウレタン樹脂溶液を得た。
得られたポリウレタン樹脂溶液に、NPACを加えて固形分を調整し、固形分濃度30%、重量平均分子量27,000、Mw/Mn=3.1、酸価0.0mgKOH/gのポリウレタン樹脂P1の溶液を得た。
[合成例1-2](ポリウレタン樹脂P2)
還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌装置、及び温度計を備えた反応器中で窒素ガスを導入しながら、PPAを135.7部、PPGを13.6部、DMPA(2,2-ジメチロールプロパン酸)を28.3部、IPDIを105.7部、NPACを200部仕込み、90℃で5時間反応させて、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー溶液を得た。
次いで、AEAを16.7部、IPAを350部混合したものを、室温で60分間かけて滴下した後、70℃で3時間反応させて、ポリウレタン樹脂溶液を得た。
得られたポリウレタン樹脂溶液に、NPACを加えて固形分を調整し、固形分濃度30%、重量平均分子量30,000、Mw/Mn=3.0、酸価39.3mgKOH/gのポリウレタン樹脂P2の溶液を得た。
[合成例1-3](ポリウレタン樹脂P3)
還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌装置、及び温度計を備えた反応器中で窒素ガスを導入しながら、PPAを108.6部、PEG(ポリエチレングリコールからなる、数平均分子量2,000のポリエーテルポリオール)を40.7部、DMPAを28.3部、IPDIを105.7部、NPACを200部仕込み、90℃で5時間反応させて、末端にイソシアネート基を有するプレポリマー溶液を得た。
次いで、AEAを16.7部、IPA150部を混合したものを、室温で60分間かけて滴下した後、28%アンモニア水10.0部及びイオン交換水690部を徐々に添加して、樹脂中のカルボキシ基を中和することにより水溶化した。
次いで、NPAC及びIPAを減圧留去して、固形分濃度30%、重量平均分子量32,000、Mw/Mn=3.3、酸価39.3mgKOH/gのポリウレタン樹脂P3の水溶液を得た。但しP3における酸価は中和前の値である。
[合成例1-4](アクリル樹脂P4)
還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌装置、及び温度計を備えた反応器中で窒素ガスを導入しながら、スチレン70部、アクリル酸23部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル7部、EA(酢酸エチル)40部、IPA40部を仕込み、90℃まで昇温してAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)1部とEAを15部加えて4時間重合反応を行い、さらにAIBNを0.1部とEAを3部加えて2時間反応させて、アクリル樹脂溶液を得た。
得られたアクリル樹脂溶液にEAを加えて固形分を調整し、固形分濃度30%、重量平均分子量27,000、酸価179.1mgKOH/g、水酸基価30.2mgKOH/gのアクリル樹脂P4の溶液を得た。
[合成例1―5](水性アクリル樹脂P5)
還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌装置、及び温度計を備えた反応器中で窒素ガスを導入しながら、イオン交換水40部と界面活性剤としてアデカリアソープSR-10(株式会社ADEKA製)0.2部とを仕込み、別途、スチレン42部、アクリル酸8部、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル10部、2-エチルヘキシルアクリレート40部、SR-10を1.8部、イオン交換水53部をあらかじめ混合しておいたプレエマルジョンのうちの1%をさらに加えた。内温を70℃に昇温し十分に窒素置換した後、過硫酸カリウムの5%水溶液10部の10%を添加し重合を開始した。反応系内を70℃で5分間保持した後、内温を70℃に保ちながらプレエマルジョンの残りと過硫酸カリウムの5%水溶液の残りを3時間かけて滴下し、さらに2時間攪拌を継続した。その後、温度を30℃まで冷却し、pH8.5となるよう18%アンモニア水で調整し、水性アクリル樹脂エマルジョンを得た。
得られた水性アクリル樹脂エマルジョンにイオン交換水を加えて固形分を調整し、固形分濃度30%、質量平均分子量35,000、酸価62mgKOH/g、水酸基価43mgKOH/gの水性アクリル樹脂エマルジョンP5を得た。但しP5における酸価は中和前の値である。
[合成例1-6](ポリエステルP6)
テレフタル酸302.5部、イソフタル酸302.5部、エチレングリコール135.6部、ネオペンチルグリコール227.3部を反応缶に仕込み、窒素気流下で攪拌しながら160~240℃まで徐々に加熱し、エステル化反応を行なった。240℃で1時間以上反応し、酸価が15以下になったら反応缶を徐々に1~2トールまで減圧し、所定の粘度に達した後、反応缶を200℃まで冷却し、トリメリット酸無水物を32.1部仕込み、200℃で2時間反応し、末端酸変性を行った。得られたポリエステル樹脂にEAを加えて固形分調整を調整し、固形分濃度30%、重量平均分子量は、10,000、酸価は22.4mgKOH/gのポリエステル樹脂溶液P6を得た。
<プライマー層形成用組成物(プライマー組成物)の製造>
[製造例1-1](プライマー組成物S1)
ポリウレタン樹脂P2溶液84部、イソシア系硬化剤A(旭化成製デュラネートP301-75E)3部、EA5部、IPA5部、シリカ粒子(水澤化学社製P-73:平均粒子径3.8μmの親水性シリカ粒子)3部をディスパーを用いて撹拌混合して、プライマー組成物S1を得た。
[製造例1-2~15、比較製造例1-1、2](プライマー組成物S2~S15、SS1、SS2)
表1に示した原料及び配合比に変更した以外は、製造例1-1と同様の手法により、プライマー組成物S2~S15、SS1、SS2を得た。
以下に、表1中の略称を示す。
・マレイン化ロジン:荒川化学製 マルキードNo.32(酸価130mgKOH/g、固形分濃度100%品)を酢酸エチルにて固形分濃度30%に希釈した溶液
・イソシアネート系硬化剤A:デュラネートP301-75E(旭化成製)
・イソシアネート系硬化剤B:デュラネートD-101(旭化成製)
・イソシアネート系硬化剤C:タケネートD-110NB(三井化学製)
・イソシアネート系硬化剤D:Coronate AQ-130(Young Sun Chemtrade製)
・カルボジイミド系硬化剤A:カルボジライトV-05(日清紡ケミカル製)
・カルボジイミド系硬化剤B:カルボジライトE-02(日清紡ケミカル製)
・EA:酢酸エチル
・IPA:イソプロピルアルコール
<接着剤に用いるポリオールの製造>
[合成例2-1](ポリエステルポリオールB1)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、エチレングリコール124部、ネオペンチルグリコール212部、1,6-ヘキサンジオール368部、イソフタル酸645部、アジピン酸36部、セバシン酸265部を仕込み、窒素気流下で撹拌しながら250℃まで昇温し、エステル化反応を行った。所定量の水が留出し、酸価が5以下になるまで反応を続けた後に、徐々に減圧を行って、1mmHg以下で5時間脱グリコール反応を行い、ポリエステルポリオールを得た。その後、イソホロンジイソシアネート35部を徐々に添加し、150℃で約2時間反応を行い、ポリエステルポリウレタンポリオールを得た。このポリエステルポリウレタンポリオール100部にエチレングリコールビスアンヒドロトリメリテートを12.0部添加し、180℃で約2時間反応させ、その後固形分濃度50%になるまで酢酸エチルで希釈することで、数平均分子量9,000、酸価30.3mgKOH/gの部分酸変性ポリエステルポリオールB1の溶液を得た。
[合成例2-2](ポリエステルポリオールB2)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、エチレングリコール58部、ジエチレングリコール412部、ネオペンチルグリコール343部、イソフタル酸517部、アジピン酸393部を仕込み、窒素気流下で撹拌しながら250℃まで昇温し、エステル化反応を行った。所定量の水が留出し、酸価が5以下になるまで反応を続けた後に、徐々に減圧を行って、1mmHg以下で5時間脱グリコール反応を行い、ポリエステルポリオールを得た。このポリエステルポリオール100部に無水トリメリット酸を4.0部添加し、180℃で約2時間反応させ、その後固形分濃度50%になるまで酢酸エチルで希釈することで、数平均分子量2,000、酸価23.5mgKOH/gの部分酸変性ポリエステルポリオールB2の溶液を得た。
<ポリイソシアネート溶液の調製>
[調製例1](ポリイソシアネートC1)
コロネート2785(ヘキサメチレンジイソシアネートから誘導されるビウレット型ポリイソシアネート、東ソー社製)を酢酸エチルで希釈して、固形分濃度50%、NCO%=9.6%に調整し、ポリイソシアネートC1の溶液を得た。
<接着剤の製造>
[製造例2-1](接着剤D1)
ポリエステルポリオールB1溶液を90部、ポリエステルポリオールB2溶液を10部、ポリイソシアネートC1溶液を8部配合し、酢酸エチルを加えて固形分濃度30%の接着剤溶液D1を調製した。
<脱墨用処理液(脱離液)の製造>
[製造例3](処理液A1)
界面活性剤としてポリオキシエチレンステアリルエーテル(POE付加数;12、HLB;13.9)を0.1部、消泡剤としてBYK-1650(ビックケミー・ジャパン製、シリコーン系エマルジョン型消泡剤、固形分濃度27.5%)0.01部、水酸化ナトリウム2部、水96.9部を配合し、ディスパーで撹拌して、処理液A1を得た。
<積層体の製造、積層体の分離回収(脱墨試験)>
以下に積層体の製造方法について説明する。なお、プライマー組成物及び印刷インキは、各々、油性の場合は、EA/IPAの混合溶剤(質量比70/30)を用いて、粘度が15秒(25℃、ザーンカップ#3(離合社製))になるように希釈してから使用した。水性の場合は、水/IPAの混合溶剤(50/50)を用いて、粘度が15秒になるように希釈してから使用した。また、プライマー層及び印刷層の厚みは、各々、約1.5μmとなるように調整した。
[実施例1](積層体L1)
OPP(コロナ処理延伸ポリプロピレンフィルム、厚み20μm)に対し、希釈したプライマー組成物S1を、版深30μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて印刷し、50℃で乾燥して、基材層(OPP)/プライマー層(S1)の構成である積層体を得た。25℃で24時間エージング後、FT-IRでプライマー層印刷面を測定し、硬化剤由来のピークの残存率が0%であることを確認した。次いで、上記得られた積層体のプライマー層上に、希釈した印刷インキR1W(東洋インキ製 汎用ラミネート用インキ「LPバイオSX R631白」)、及び希釈した印刷インキR1C(東洋インキ製 汎用ラミネート用インキ「LPバイオSX R39藍」)を、版深30μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて印刷し、50℃で乾燥して、基材層(OPP)/プライマー層(S1)/印刷層(R1)の構成である積層体L1を得た。
積層体の画質評価については、以下の評価を行った。
次に、1000mLのステンレスビーカーに、処理液A1を500g、上記で得られた積層体L1を1cm×1cmの大きさに切り出したサンプル10gを入れ、70℃、2500rpmの条件で撹拌した。積層体の分離回収状態について、以下の評価を行った。
[実施例2~14、16~24、比較例1~9](積層体L2~14、L16~24、LL1~9)
基材、プライマー組成物、印刷インキ及びプライマー層印刷後のエージング条件を、表2に記載の内容に変更した以外は実施例1と同様の手法により、積層体L2~14、L16~24、LL1~9を得た。
その後、実施例1と同様の手法により、積層体の画質、積層体の分離回収状態について評価を行った。
結果を表2に示す。
[実施例15](積層体L15)
OPPに対し、希釈したプライマー組成物S1を、版深30μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて印刷し、50℃で乾燥して、基材層(OPP)/プライマー層(S1)の構成である積層体を得た。25℃で24時間エージング後、FT-IRでプライマー層印刷面を測定したところ、硬化剤由来のピークの残存率が0%であることを確認した。
次いで、得られた積層体のプライマー層上に、希釈した印刷インキR1C(東洋インキ製 汎用ラミネート用油性インキ「LPバイオSX R39藍」)、及び希釈した印刷インキR1W(東洋インキ製 汎用ラミネート用インキ「LPバイオSX R631白」)を、版深30μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて印刷し、50℃で乾燥して、基材層(OPP)/プライマー層(S1)/印刷層(R1)の構成である積層体を得た。
次いで、得られた積層体の印刷層上に、ドライラミネート機を用いて接着剤D1を乾燥後塗布量が2g/mになるように塗布及び乾燥した後、CPP(無延伸ポリプロピレンフィルム 厚み50μm)と貼り合せて、基材層(OPP)/プライマー層(S1)/印刷層(R1)/接着剤層(D1)/基材層(CPP)の構成である積層体L15を得た。
その後、実施例1と同様の手法により、積層体の画質、積層体の分離回収状態について評価を行った。
[実施例25](積層体L25)
プライマー組成物を、表2に記載の内容に変更した以外は実施例15と同様の手法により、積層体L25を得た。
その後、実施例1と同様の手法により、積層体の画質、積層体の分離回収状態について評価を行った。
結果を表2に示す。
表2中の略称を以下に示す。
・OPP:コロナ処理延伸ポリプロピレンフィルム、厚み20μm
・CPP:無延伸ポリプロピレンフィルム、厚み50μm
・PET:ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚み12μm
・R1W:東洋インキ製 汎用ラミネート用油性インキ「LPバイオSX R631白」
・R1C:東洋インキ製 汎用ラミネート用油性インキ「LPバイオSX R39藍」
・R2W:東洋インキ製 汎用表刷り用油性インキ「PANNECO AM 630白Y」
・R2C:東洋インキ製 汎用表刷り用油性インキ「PANNECO AM 39藍」
・R3W:東洋インキ製 汎用ラミネート用水性インキ「JW303 アクワエコール R63S白」
・R3C:東洋インキ製 汎用ラミネート用水性インキ「JW303 アクワエコール R39藍」
<積層体の画質評価>
(濃度)
グラデーション100%箇所の反射濃度値を、X-Rite530を用いて測定した。
測定値に基づき、以下の基準で画質を評価した。A、B及びCは実用上問題がない範囲である。
A(優):反射濃度値が2.1以上である。
B(良):反射濃度値が1.7以上2.1未満である。
C(不可):反射濃度値が1.7未満である。
(トラッピング)
グラデーション50%箇所の反射濃度値を、TECHKON社Spectro Plateを用いて測定した。測定値に基づき、以下の基準で画質を評価した。A、B及びCは実用上問題がない範囲である。
A(優):網点面積率が50%以上である。
B(良):網点面積率が40%以上50%未満である。
C(不可):網点面積率が40%未満である。
(基材密着性)
ニチバン社製セロハンテープ(12mm幅)を積層体の印刷層上に貼り、テープをゆっくり引き剥がし、途中から急激に引き剥がした時の、インキ被膜の剥離程度を評価した。
なお、実施例15、25については、接着剤でラミネートする前の印刷物を用いて評価した。
A(優):急激に剥がしてもインキ被膜が全く剥離しない。
B(良):急激に剥がした部分のインキ被膜が一部剥離するが、 ゆっくり剥がした部分のインキ被膜が剥離しない。
C(不可):ゆっくり剥がした部分のインキ被膜が剥離する。
(脱離性)
撹拌開始30分経過時に、基材をサンプリングし、水洗及び乾燥した。得られた基材の印刷層の除去率を目視で確認し、以下の基準で評価した。
A(優):印刷層の100%が剥離する。
B(良):印刷層の90%以上が剥離する。
C(不可):印刷層の90%以上が剥離しない。
(再付着性)
攪拌開始から1時間後、脱離した基材を目開き1mmのザルで回収し、水洗、乾燥した。得られた基材を10枚サンプリングし、基材10枚を重ねて分光測色計(X-rite社製、X-rite eXact)で色彩値L 、a 、b を測定した。
印刷前の基材についても同様に、1cm×1cmの大きさに切り出した基材(20g)を脱離液A1(500g)に浸し、70℃、2500rpmで1時間撹拌し、水洗、乾燥した後、10枚サンプリングし、基材10枚を重ねて色彩値L 、a 、b を測定した。
下記計算式により色差ΔEを求め、以下の基準で再付着性を評価した。
(式)ΔE=((L -L +(a -a +(b ―b 1/2
A(優):ΔEが2未満
B(良):ΔEが2以上、7未満
C(不可):ΔEが7以上
(再生フィルムの製造、及び透過率評価)
攪拌開始から1時間後、脱離した基材を回収し、水洗、乾燥した後、回収基材を単軸押し出し機にて200℃で押し出し、ペレタイズ工程を経て、再生樹脂のペレットを得た。再生樹脂をTダイフィルム成形機にて200℃で押し出し、厚み30μmの再生フィルムを作製した。
再生フィルムの着色について、ヘイズメーター(日本電子工業(株)製、SH7000)を用いて全光線透過率を測定し、以下の基準で評価した。
A(優):全光線透過率が90%以上
B(良):全光線透過率が70%以上90%未満
C(不可):全光線透過率が70%未満
上記の評価結果より、本発明の実施形態による方法であれば、印刷層の画質が優れるだけでなく、積層体からプラスチック基材を容易に脱離させ、印刷層等の再付着が少ない良質なリサイクル基材が得られ、さらには着色の少ない高品位な成形用材料が得られることが示された。

Claims (10)

  1. 少なくとも、プラスチック基材、硬化剤由来の構造単位を含有するプライマー層、及び印刷層をこの順に備えた積層体の製造方法であって、
    前記プラスチック基材上に前記プライマー層を設ける、プライマー層形成工程と、
    前記プライマー層形成工程の後、前記プライマー層を、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)で測定した硬化剤由来のピークの残存率が20%以下となるようにエージングする、エージング工程と、
    前記エージング工程の後、前記プライマー層上に、前記印刷層を設ける、印刷層形成工程とを含み、
    前記プライマー層は、前記プラスチック基材を回収するために、脱離液中で脱離可能な層である、積層体の製造方法。
  2. 硬化剤が、ポリイソシアネート系化合物である、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 硬化剤が、カルボジイミド系化合物である、請求項1に記載の積層体の製造方法。
  4. プライマー層が、アルカリ水溶液に溶解又は膨潤する化合物を含有する、請求項1~3いずれかに記載の積層体の製造方法。
  5. アルカリ水溶液に溶解又は膨潤する化合物が、酸性基を有する、請求項4に記載の積層体の製造方法。
  6. プラスチック基材が、ポリオレフィン基材である、請求項1~3いずれかに記載の積層体の製造方法。
  7. 包装材の製造に用いられる、請求項1~3いずれかに記載の積層体の製造方法。
  8. 請求項1~3いずれかに記載の積層体の製造方法により得られる積層体を脱離液に接触させ、プラスチック基材を脱離させて回収する、プラスチック基材の分離回収方法。
  9. 請求項8に記載のプラスチック基材の分離回収方法で回収されたプラスチック基材を溶融混練することを特徴とする、成形用材料の製造方法。
  10. 請求項9に記載の成形用材料の製造方法により得られる成形用材料を、加熱成形することを特徴とする、成形体の製造方法。
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