JP7095010B2 - 酸化被膜及び酸化被膜付部品 - Google Patents

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Description

本発明は、酸化被膜及び酸化被膜付部品に関する。
内燃機関の燃焼室を形成するピストン等の部品表面から外部に流出する熱量は、熱損失となり、内燃機関の熱効率の低下につながる。部品表面における熱の流出を抑制する方法としては、部品表面の熱容量を小さくし、部品表面の温度を燃焼ガス温度に追従しやすくして温度差を小さくすることや、部品表面の断熱性を高めることが効果的である。特許文献1には、陽極酸化被膜の厚さ方向に延びる複数の孔の上方の開口をスパッタリング被膜によって封じ、複数の空孔部を形成した被膜を、ピストンの上面に形成して断熱性を高めることが開示されている。
特開2017-61722号公報
しかし、特許文献1のように、陽極酸化処理によって形成した孔をスパッタリング処理によって封じる方法は、工程数が多く煩雑で、コスト増につながる課題がある。
本発明は、低コストで容易に形成でき、部品表面における熱の流出を抑制できる酸化被膜、及び前記酸化被膜を備える酸化被膜付部品を提供することを目的とする。
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、アルミニウム母材からなる部品(12)の表面(12a)に形成される酸化被膜(18)であって、束状に密集しているAlからなる中実の柱状組織(22)を含み、隣接する前記柱状組織(22)同士の境界(23)に沿って複数の粒状の空孔(24)が形成されている。
この構成によれば、複数の粒状の空孔(24)、すなわち複数の閉じた気泡が柱状組織(22)同士の境界(23)に沿って存在していることで、酸化被膜(18)の熱容量がアルミニウム母材よりも小さくなり、また断熱性が高まるため、酸化被膜(18)が断熱層として機能する。また、空孔(24)の形成にはスパッタリングによる封孔処理が必要ないため、酸化被膜(18)の形成が容易でコストを低減できる。
請求項2に記載した発明は、複数の柱状組織(22)が束状に密集した柱状組織束領域(26)が前記部品(12)の表面(12a)の面方向に複数形成されており、各々の前記柱状組織束領域(26)は少なくとも隣接する前記柱状組織束領域(26)と一部が重なり、前記柱状組織束領域(26)同士が重なる部分に境界(27)が存在している。
この構成によれば、柱状組織束領域(26)同士が重なっている境界(27)近傍に空孔(24)が多く形成されるため、酸化被膜(18)の断熱性が向上する。
請求項3に記載した発明は、酸化被膜(18)の平均膜厚(H)が10μm以上75μm以下である。
この構成によれば、断熱性の維持と、酸化被膜(18)が熱を放出しやすくなることによる、燃焼ガス温度に対する表面温度の追従性の向上とを両立できる。
請求項4に記載した発明は、柱状組織(22)の平均幅(D)が1.1μm以下である。
この構成によれば、酸化被膜(18)の断熱効果が向上する。
請求項5に記載した発明は、アルミニウム母材からなる部品(12)の表面(12a)に酸化被膜(18)が形成されている酸化被膜付部品(20)である。
この構成によれば、低コストで容易に製造できる、優れた断熱効果を有する酸化被膜付部品(20)を提供できる。
請求項6に記載した発明は、部品はピストン(12)であり、前記酸化被膜(18)は、前記ピストン(12)の上面(12a)における、平面視での前記ピストン(12)の輪郭に沿った所定の幅(d)の環状領域(A)よりも内側の領域(B)に形成されている。
この構成によれば、低コストで容易に製造できる、優れた断熱効果を有するピストン(12)となる。また、燃焼室(2)内のスキッシュエリアの面粗度管理が容易になるため、自己着火(ノッキング)を抑制しやすい。
本発明によれば、低コストで容易に形成でき、部品表面における熱の流出を抑制できる酸化被膜、及び前記酸化被膜を備える酸化被膜付部品を提供することができる。
実施形態に係る酸化被膜付きのピストン(酸化被膜付部品)を備えるエンジンの主要部を示す概略図である。 図1のエンジンが備えるピストンの平面図である。 図2のピストンの上部のI-I断面図である。 図3における酸化被膜の一部を拡大して示した拡大図である。 ピストンの上面にレーザーを走査しながら照射して酸化被膜を形成する様子を示した説明図である。 他の実施形態の酸化被膜の一部を拡大して示した拡大図である。 実施例1の酸化被膜の厚さ方向の断面の顕微鏡写真である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において例示される図の寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
実施形態の酸化被膜は、アルミニウム母材からなる部品の表面に形成される酸化被膜である。図1は、実施形態に係るエンジン1の主要部を示す概略図である。
エンジン1は、シリンダ10と、ピストン12と、吸気バルブ14と、排気バルブ16と、を備えている。エンジン1の内部におけるシリンダ10の壁面10a、シリンダヘッドの燃焼室の壁面11、吸気バルブ14、排気バルブ16、及びピストン12の上面12aに囲まれた領域が燃焼室2になっている。
ピストン12は、アルミニウムによって構成されている。すなわち、ピストン12は、アルミニウム母材からなる部品である。
ピストン12は、ピストンリング15を収容するピストンリング収容溝13を備えている。ピストンリング収容溝13は、ピストン軸線O1周りに周回するようにピストン12の外周面に形成されている。ピストン12のピストンリング収容溝13の下側には、ピストン軸線O1周りに周回するようにオイルリング収容溝17が形成されている。
ピストンリング収容溝13のピストン軸線O1に略直行する一対の側面部13a,13bには、耐摩擦用のメッキを形成し、ピストンの摩擦を抑制するが知られている。しかし、この方法は専用のメッキ行程が必要となり、工程数が増えるうえ、メッキ設備が必要となりコストの増加に繋がる。
本実施形態では、ピストンリング収容溝13のピストン12の往復運動方向に対して略直交し、互いに向かい合う一対の側面部13a,13bは、バニッシング加工が施されて表面仕上げされている。これにより、メッキ設備が必要なくなり、一連の機械加工の行程内でピストンリング収容溝13を成型する切削加工とピストンリング収容溝13の表面仕上げが可能となるため、コストを抑えつつ側面部13a,13bの耐摩耗性を向上させることができる。
なお、ピストンリング収容溝13の底面(ピストン軸線O1に略平行な円周面)にもバニッシング加工が施されていてもよい。ピストンリング収容溝13の対向する一対の側面部13a,13bは、互いに厳密な平行面である必要はなく、例えば底面部から半径方向外側に向けて互いに遠ざかるテーパー面からなる一対の側面部13a,13bであってもよい。
オイルリング収容溝17は、バニッシング加工を施してもよく、施さなくてもよい。
図1及び図2に示すように、アルミニウム母材からなる部品の表面、すなわちピストン12の上面12aには酸化被膜18が形成されている。このように、エンジン1は、酸化被膜18付きのピストン12である酸化被膜付部品20を備えている。
図3及び図4に示すように、酸化被膜18は、束状に密集している複数の柱状組織22を含む。柱状組織22は、Alからなる中実の柱状の組織である。隣接する柱状組織22同士の境界23には、粒状の空孔24、すなわち閉じた気泡が境界23に沿って複数形成されている。
なお、「柱状組織が中実である」とは、組織内部に長さ方向に延びる中空部がある筒状ではなく、内部が実質的にAlで満たされている柱状組織を意味する。「中実の柱状組織」には、製造上、不可避的に内部に気泡が僅かに形成されている柱状組織も含まれ得る。
酸化被膜18は、ピストン12の上面12aに酸素を吹き付けながらレーザーを照射することで形成される。酸素を吹き付けながらレーザーを照射することで、ピストン12の上面12aが急速加熱、急速冷却される。これにより、アルミニウム母材が溶解し、酸素と反応してAlとなり、冷却時に柱状に成長することで、束状に密集した柱状組織22が形成される。また、柱状組織22同士の境界23に、吹き付けている酸素、又は大気よりも酸素濃度の濃い空気が混入し、境界23に沿って複数の空孔24が形成される。空孔24には、酸素、又は大気よりも酸素濃度の濃い空気が含まれる。
柱状組織22の平均幅D(図3)は、1.1μm以下が好ましく、0.7μm以下がより好ましい。柱状組織22の平均幅Dが前記上限値以下であれば、酸化被膜18の断熱効果が向上する。柱状組織22の形成が容易な点では、柱状組織22の平均幅Dは、0.2μm以上が好ましい。
なお、柱状組織22の平均幅Dは、酸化被膜18を厚さ方向に切断した任意の断面において、無作為に選択した50個の柱状組織22について測定した幅の平均値を意味する。
空孔24の平均直径は、0.05μm以上0.13μm以下が好ましく、0.09μm以上0.13μm以下がより好ましい。空孔24の平均直径が前記範囲内であれば、酸化被膜18の断熱効果が向上し、かつ熱容量が小さくなるため、表面温度が燃焼ガスの温度に追従しやすくなる。
なお、空孔24の平均直径は、酸化被膜18を厚さ方向に切断した任意の断面において、無作為に選択した200個の空孔24について測定した最大径の平均値を意味する。空孔の平均直径や数は、レーザーの走査速度やピッチ等の条件によって変化する。
図2に示すように、酸化被膜18は、ピストン12の上面12aにおける、平面視でのピストン12の輪郭に沿った所定の幅dの環状領域Aよりも内側の領域Bに形成されている。ピストン12の上面12aにおける環状領域Aには酸化被膜18は形成されていない。これにより、燃焼室2内のスキッシュエリアの面粗度管理が容易になり、自己着火(ノッキング)を抑制しやすい。
環状領域Aの幅dは、2.5mm以上3.0mm以下が好ましい。
図2~4に示すように、この例の酸化被膜18では、複数の柱状組織22が束状に密集している柱状組織束領域26がピストン12の上面12aの面方向に複数形成されている。また、各々の柱状組織束領域26は、少なくとも隣接する柱状組織束領域26と一部が重なっている。柱状組織束領域26同士が重なっている部分には、柱状組織束領域26同士の境目である境界27が存在している。この例では、酸化被膜18において部分的に3つ又は4つの柱状組織束領域26が重なって層状になっている。
なお、酸化被膜18における柱状組織束領域26が重なり合う態様は、この例のように3層又は4層になっている態様には限定されない。例えば、各々の柱状組織束領域26が隣接する柱状組織束領域26のみと重なり2層になっている部分を含む態様であってもよく、柱状組織束領域26が5層以上重なっている部分を含む態様であってもよい。
複数の柱状組織束領域26が部分的に層状に重なり合っている酸化被膜18の形成方法は、特に限定されない。例えば、図5に示すように、ピストン12の上面12aの環状領域Bに対し、酸素を吹き付けつつ、矢印Y方向に所定の間隔をあけて矢印X方向及び矢印X方向と逆方向に走査しながらレーザーLを照射する方法を例示できる。レーザーLを走査しながら照射し、照射が重なった範囲では、前のレーザーLの照射によって溶解して固化した部分が一部再溶解し、柱状組織22が成長して層状に重なりながら柱状組織束領域26が順に形成されていく。
なお、図5で説明した実施例では、レーザーを図5の左右方向に往復するように走査させているが、走査方向を一方向(例えば、図5の左から右に向く向き(矢印x方向))のみとし、矢印Y方向に所定の間隔をあけてレーザーを複数回走査させる方法であってもよい。
走査するレーザーLの矢印Y方向のピッチ(間隔)Pが小さく、走査速度が遅いほど、被膜が再溶解する影響が大きく、柱状組織束領域26同士の境界27の傾きが大きくなる傾向がある。また、走査するレーザーLの矢印Y方向のピッチPが大きく、走査速度が速いほど、柱状組織束領域26同士の境界27の傾きが小さくなる傾向がある。
各々の柱状組織束領域26間において、各柱状組織22の中心軸の方向は同じであってもよく、異なっていてもよい。1つの柱状組織束領域26内における各柱状組織22の中心軸の方向も、同じであってもよく、異なっていてもよい。
図4に示すように、柱状組織束領域26同士の境界27におけるピストン12側(母材側)の柱状組織束領域26の境界27に面する表層部分は、柱状組織22よりも細かい微小柱状組織28が複数形成されてうろこ状になっている。微小柱状組織28同士の境界や微小柱状組織28と柱状組織22との間の境界にも、複数の粒状の空孔24が当該境界に沿って形成されている。このようなうろこ状の構造が形成されると、柱状組織束領域26の境界27に面する表層部分に多くの空孔24が形成されているため、酸化被膜18の断熱層としての機能が向上する。
このようなうろこ状の構造は、照射範囲が部分的に重なるようにレーザーを走査しながら照射することで形成される。これは、必ずしも明らかではないが、柱状組織束領域26の上にさらに重なる柱状組織束領域26が形成される際の熱が影響し、既に柱状組織22が形成されていた部分に微小柱状組織28が形成されると考えられる。
酸化被膜18の平均膜厚H(図1)は、10μm以上75μm以下が好ましく、50μm以上75μm以下がより好ましい。酸化被膜18の平均膜厚が前記下限値以上であれば、断熱性を維持しやすい。酸化被膜18の平均膜厚が前記上限値以下であれば、酸化被膜18が熱を放出しやすくなり、燃焼ガス温度に対する表面温度の追従性が向上する。
なお、酸化被膜18の平均膜厚Hは、酸化被膜18における無作為に選択した20箇所について測定した膜厚の平均値を意味する。酸化被膜18の平均膜厚Hは、レーザーの走査速度、ピッチP等の条件によって調整できる。
酸化被膜付部品20の製造方法としては、例えば、前述のように、ピストン12の上面12aに酸素を吹き付けながらレーザーを走査して照射し、酸化被膜18を形成する方法が挙げられる。
使用するレーザーは、特に限定されず、例えば、イットリウムを含む固体レーザーを例示できる。レーザーの走査速度、ピッチP、エネルギー密度等の条件は、適宜設定できる。
以上説明したように、エンジン1では、燃焼室2に面するピストン12の上面12aに酸化被膜18が形成されている。そして、酸化被膜18は、束状に密集したAlからなる複数の中実の柱状組織22を含み、柱状組織22同士の境界23に沿って複数の空孔24が形成されている。空孔24に含まれる酸素、又は大気よりも酸素濃度の濃い空気は、アルミニウムに比べて熱容量が小さい。そのため、酸化被膜18はピストン12よりも熱容量が小さく、表面温度が燃焼ガス温度に追従しやすくなる。また、酸素、又は大気よりも酸素濃度の濃い空気は、アルミニウムに比べて断熱性に優れるため、酸化被膜18はピストン12よりも断熱性に優れている。これらのことから、ピストン12の上面12aに酸化被膜18を形成することにより、ピストン12を介した燃焼室2からの熱の流出量を低減することができる。
また、空孔(気泡)24は、酸素を吹き付けながらレーザーを照射することで柱状組織22間に閉じた状態で形成される。そのため、従来技術のような封孔工程が必要なく、容易に低コストで酸化被膜18を形成できる。
本発明の酸化被膜は、特に単気筒エンジンを搭載した二輪車等の鞍乗り型車両等、比較的車両価格を低く抑える必要のある車両のエンジンに好適である。さらに、空冷エンジンはエンジンの冷却量を積極的に変化させることが難しいため、本発明の酸化被膜は空冷エンジンの燃焼室外部への熱の拡散量を低減するのに特に適している。
なお、本発明の酸化被膜は、ピストンの上面に形成する態様には限定されない。例えば、エンジンのシリンダヘッドの燃焼室側の壁面に酸化被膜を形成した酸化被膜付部品としてもよい。
例えば、図6に示すように、ピストン12の上面12aに、酸化被膜18の代わりに酸化被膜18Aを形成してもよい。酸化被膜18Aは、柱状組織束領域26内の他の柱状組織22とは中心軸方向が異なる柱状組織22の塊30が柱状組織束領域26同士の境界27を跨ぐように存在し、塊30の周囲の粒界31に沿って複数の空孔24が形成されている以外は、酸化被膜18と同様の態様である。
酸化被膜18Aも、複数の中実の柱状組織22を含み、柱状組織22同士の境界23や塊30の粒界31に沿って複数の空孔24が形成されているため、断熱効果が高い。酸化被膜18Aは、例えば、ピストン12の上面12aに対し、酸素を吹き付けながらレーザー照射を2度以上行うことで形成される。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[実施例1]
アルミニウム製の板状の試験片(縦20mm×横20mm×厚さ10mm)の表面に、酸素を吹き付けつつ、横方向に0.075mmのピッチで間隔をあけて縦方向にレーザー(エネルギー密度:500J/cm)を50mm/sで走査させながら照射し、Alからなる酸化被膜を形成した。前記試験片の縦方向に垂直な面で酸化被膜を切断した断面をFE-SEMによって観察した顕微鏡写真を図7に示す。
酸化被膜の平均膜厚は50μm、柱状組織の平均幅は0.7μm、空孔の平均直径は0.06μmであった。レーザーフラッシュ法によって酸化被膜の熱伝導率を測定したところ、6.0W/m・Kであり、断熱性に優れていた。
1 エンジン1
10 シリンダ
12 ピストン(部品)
12a ピストンの上面(部品の表面)
14 吸気バルブ
16 排気バルブ
18,18A 酸化被膜
20 酸化被膜付部品
22 柱状組織
23 柱状組織同士の境界
24 空孔
26 柱状組織束領域
27 柱状組織束領域同士の境界
28 微小柱状組織
30 塊
31 粒界

Claims (5)

  1. アルミニウム母材からなる部品(12)の表面(12a)に形成される酸化被膜(18)であって、
    束状に密集しているAlからなる中実の柱状組織(22)を含み、
    隣接する前記柱状組織(22)同士の境界(23)に沿って複数の粒状の空孔(24)が形成されており、
    前記柱状組織(22)の平均幅(D)が1.1μm以下である、酸化被膜。
  2. 複数の柱状組織(22)が束状に密集した柱状組織束領域(26)が前記部品(12)の表面(12a)の面方向に複数形成されており、
    各々の前記柱状組織束領域(26)は少なくとも隣接する前記柱状組織束領域(26)と一部が重なり、前記柱状組織束領域(26)同士が重なる部分に境界(27)が存在している、請求項1に記載の酸化被膜。
  3. 平均膜厚(H)が10μm以上75μm以下である、請求項1又は2に記載の酸化被膜。
  4. アルミニウム母材からなる部品(12)の表面(12a)に、請求項1~のいずれか一項に記載の酸化被膜(18)が形成されている、酸化被膜付部品。
  5. 前記部品はピストン(12)であり、
    前記酸化被膜は、前記ピストン(12)の上面(12a)における、平面視での前記ピストン(12)の輪郭に沿った所定の幅(d)の環状領域(A)よりも内側の領域(B)に形成されている、請求項に記載の酸化被膜付部品。
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