JP2023172617A - 内燃機関用ピストン及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 スカート面の耐焼付き性を向上させることができるとともに、フリクション低減も同時に図ることができる内燃機関用ピストン及びその製造方法を提供する。【解決手段】 ピストン10の外周部においてシリンダボアの底に向かって延びるスラスト側スカート部18Aと、それと対向する位置の反スラスト側スカート部18Bとは、アルミニウム合金を母材40として構成されており、これら2つのスカート部の外表面にパルスレーザ光を照射して、シリコン分散層43をそれぞれ形成する際に、スラスト側スカート部18Aに形成される第1のシリコン分散層43Aのシリコン平均粒径を、反スラスト側スカート部18Bに形成される第2のシリコン分散層43Bのシリコン平均粒径よりも小さくする。【選択図】図5

Description

本発明は、内燃機関用ピストン及びその製造方法に関する。
自動車等の車両に設けられるエンジン等の内燃機関において、ピストンは、直線状の長手軸線に沿って延びるシリンダボア内を長手軸線に沿った方向にて往復移動する。このとき、ピストンの外周部はシリンダボアの内周部に対して摺動する。典型的に、ピストンは、シリンダボアの内周部に対して摺動可能である外周部を有するピストン本体と、このピストン本体の外周部からシリンダボアの底側に延びる2つのスカート部とを含んでおり、さらに、ピストンにおいては、シリンダボアの内周部に対するピストンの外周部の摩擦抵抗を低減するために、各スカート部の外表面には樹脂コートが形成されている。
特許文献1には、内燃機関に用いられ、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなるピストン本体と、レーザピーニング処理および熱処理によって前記ピストン本体の強度補強部分の表面に形成され、プラズマ酸化による酸化アルミニウムからなる表面を有し、かつ、圧縮残留応力が付与された改質層とを備えたピストンが記載されている。
特開2015-86766号公報
特許文献1には、レーザピーニング処理の対象として、ピストンのスカート面にも適用し得ることが記載されている。しかしながら、レーザピーニング処理によってスカート面に、微細な凹凸を表面に有する改質層が形成されると、スカート面の耐焼付き性が向上すると推測されるが、圧縮残留応力付与によってアルミニウム合金母材に比べて改質層の硬さが向上するために、変形量が抑制され、よって、シリンダスリーブとの接触面積が低減し、面圧増大によりフリクション悪化を招く恐れがあるという問題がある。
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、スカート面の耐焼付き性を向上させることができるとともに、フリクション低減も同時に図ることができる内燃機関用ピストン及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、その一態様として、内燃機関用ピストンであって、シリンダボアの内周部に対して長手方向に摺動可能に構成される外周部を有するピストン本体と、前記ピストン本体の径方向に互いに対向しており、かつ前記ピストン本体の外周部から前記シリンダボアの底に向かって延びる2つのスカート部であって、前記2つのスカート部が、これらを対向させた方向であるスカート対向方向にてスラスト側に位置するスラスト側スカート部と、前記スカート対向方向にて反スラスト側に位置する反スラスト側スカート部とからなる、2つのスカート部とを備え、前記ピストン本体および前記2つのスカート部がアルミニウム合金を母材として構成され、前記2つのスカート部の外表面には、前記アルミニウム合金中のシリコンが前記母材よりも微細に分散されたシリコン分散層がそれぞれ形成されており、前記スラスト側スカート部に形成された第1のシリコン分散層のシリコン平均粒径が、前記反スラスト側スカート部に形成された第2のシリコン分散層のシリコン平均粒径よりも小さい。
また、本発明は、別の態様として、内燃機関用ピストンの製造方法であって、シリンダボアの内周部に対して長手方向に摺動可能に構成される外周部を有するピストン本体と、前記ピストン本体の径方向に互いに対向しており、かつ前記ピストン本体の外周部から前記シリンダボアの底に向かって延びる2つのスカート部とを備え、前記2つのスカート部が、これらを対向させた方向であるスカート対向方向にてスラスト側に位置するスラスト側スカート部と、前記スカート対向方向にて反スラスト側に位置する反スラスト側スカート部とからなり、前記ピストン本体および前記スカート部がアルミニウム合金を母材として構成されている内燃機関用ピストンを用意する工程と、前記内燃機関用ピストンの前記2つのスカート部の外表面にパルスレーザ光を照射して、シリコン分散層をそれぞれ形成するレーザ光照射工程とを含み、前記レーザ光照射工程において、前記スラスト側スカート部に形成される第1のシリコン分散層のシリコン平均粒径を、前記反スラスト側スカート部に形成される第2のシリコン分散層のシリコン平均粒径よりも小さくする。
このような本発明によれば、スカート面の耐焼付き性を向上させることができるとともに、フリクション低減も同時に図ることができる内燃機関用ピストン及びその製造方法を提供することができる。
内燃機関用ピストンの一例を模式的に示す正面図である。 内燃機関用ピストンの掃気、圧縮、爆発、排気の各工程を説明する模式的な断面図である。 本発明に係る内燃機関用ピストンの製造方法の一実施の形態を説明するためのフロー図である。 図2の製造方法における機械加工工程後の内燃機関用ピストンのスカート部の外表面を模式的に示す断面図である。 スラスト側スカート部および反スラスト側スカート部にシリコン分散層が形成された内燃機関用ピストンを模式的に示す断面図である。 内燃機関用ピストンのスラスト側スカート部のシリコン分散層を形成する領域を示す模式図である。 内燃機関用ピストンの反スラスト側スカート部のシリコン分散層を形成する領域を示す模式図である。 内燃機関用ピストンのスカート部へのレーザ光照射の一実施形態を示す模式図である。 レーザ光照射工程において、照射スポットを走査する際のラップ量を説明するための模式図である。 内燃機関用ピストンのスカート部へのレーザ光照射の別の実施形態を示す模式図である。 実施例1のレーザ光照射後のピストン粗材の断面を示す顕微鏡画像である。 実施例2のレーザ光照射後のピストン粗材の断面を示す顕微鏡画像である。 比較例のレーザ光照射を行わなかったピストン粗材の断面を示す顕微鏡画像である。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る内燃機関用ピストン及びその製造方法の一実施形態について説明する。
先ず、内燃機関用ピストンの基本構成について説明する。図1に示すように、本実施形態の内燃機関用ピストン10は、その外周部が、シリンダボア(図示省略)の内周部に対して長手方向に沿って摺動可能に往復移動する部材であり、アルミニウム合金によって形成されている。アルミニウム合金は、耐摩耗性および耐アルミ凝着性に寄与する成分として、シリコン(Si)が含有される。このようなアルミニウム合金としては、例えば、ピストンとしてAC4系(AC4A、AC4B等)、AC8系(AC8A、AC8B等)、AC9系等のAC材、ADC10~ADC14等のADC材、A4000等がある。
内燃機関用ピストン10は、略円筒形状を有し、その外周面にピストン冠面11側から順に、第1リング溝13、第2リング溝15、オイルリング溝17を有している。外周面は、ピストン冠面11と第1リング溝13の間を第1ランド12といい、第1リング溝13と第2リング溝15の間を第2ランド14といい、第2リング溝15とオイルリング溝17の間を第3ランド16といい、オイルリング溝17以降をスカート部18という。
よって、内燃機関用ピストン10は、ピストン冠面11からオイルリング溝17までのピストン本体と、ピストン本体の外周部からシリンダボアの底に向かって延びるスカート部18とを備えるともいえる。スカート部18は、ピストン本体の径方向に互いに対向した2つのスカート部から構成され、図1に示すように、ピンボス部19を間に置いて両側に配置されている。
なお、図1には示していないが、スカート部18は、熱膨張の影響を考慮して、スカート部18の中央においてその外径が最大となるバレル状に形成されている。すなわち、スカート部18は、中央からピストン冠面11側およびスカート端部18E側に向かって、それぞれ外径が漸次小さくなるように湾曲している。
この内燃機関用ピストン10は、図2に示すように、エンジン1のシリンダ2のシリンダボア3に収容されて、シリンダボア3内で昇降方向に繰り返し移動する。ピストン10は、ピストンピン4を介してコンロッド5の一端により揺動自在に支持されている。コンロッド5の他端は、クランクピン6を介してクランクシャフト7に連結されている。クランクピン6は、クランクシャフト7の中心軸線Cからずれた位置に配置されている。これによりピストン10がシリンダボア3内を繰り返し昇降移動すると、クランクシャフト7が一定方向に回動し、車両の駆動力となる。
ピストン10のピストン冠面11と、シリンダボア3の内周面と、シリンダヘッド8の底面とで、燃焼室9が区画される。図2(a)~(d)は、4サイクルエンジンの掃気工程、圧縮工程、爆発工程、排気工程をそれぞれ示している。図2(a)の掃気工程で、燃焼室9に取り込まれた燃料と空気の混合気は、図2(b)の圧縮工程で、ピストン10が上昇することにより圧縮される。次に、図2(c)の燃焼工程で、点火プラグ(図示省略)により混合気が爆発的に燃焼され、この爆発によってピストン10が降下する。そして、図2(d)の排気工程で、ピストン10が再び上昇して、燃焼により生じた排ガスが燃焼室9から排出される。
ピストン10のスラスト側とは、図2(c)の燃焼工程において、ピストン10が爆発によって押し下げられるとき、ピストン10はコンロッド4に連結されていることから、コンロッド4の揺動方向によってピストン10の外周面がシリンダボア3内のシリンダスリーブ(図示省略)に押し付けられ、側圧がかかる。ピストン10においてこの側圧が作用する側をスラスト側と呼び、スラスト側とはピストンの径方向に対向する側を反スラスト側と呼ぶ。
次に、本実施の形態の内燃機関用ピストンの製造方法について説明する。内燃機関用ピストンの製造方法20は、図3に示すように、ピストンを鋳造する工程21と、鋳造したピストンを熱処理する工程22と、熱処理したピストンを機械加工する工程23と、ピストンのスカート部にレーザ光照射を行う工程24と、ピストンのスカート部に樹脂コートを被膜するために表面処理を行う工程25とを含む。
上記の鋳造、熱処理、機械加工の各工程21、22、23は、一般的な内燃機関用ピストンを製造する際に用いられる工程と同様であるので、ここでの詳しい説明は省略する。
レーザ光照射工程24は、内燃機関用ピストン10スカート部18の外表面に所定の形状を有する凹部を多数形成するとともに、ピストンの母材であるアルミニウム合金の溶融再凝固によってシリコンが母材よりも微細化され分散されたシリコン分散層をスカート部18の表面に形成する目的で、内燃機関用ピストン10のスカート部18の外表面にパルスレーザ光を照射する工程である。
先ず、レーザ光照射工程24を行う前のスカート部18について説明する。スカート部18の外表面の断面形状を拡大して図4に示す。なお、レーザ光照射工程24を行う前のスラスト側スカート部18Aと反スラスト側スカート部18Bはどちらも同じ性状である。図4は、図1を左に90°回転させた関係にある。スカート部18の母材40であるアルミニウム合金は、図4に示すように、α相中に初晶シリコン41と共晶シリコン42が晶出している。初晶シリコン41および共晶シリコン42はどちらもピストンの製造過程で晶出した結晶粒である。
また、スカート部18の外表面には、当該外表面とシリンダボアの内壁面との間で耐焼付き性を向上させるために、機械加工工程23によって、条痕30が形成されている。なお、本実施の形態では、スカート部18の外表面に条痕30が形成されているが、本発明はこれに限定されず、条痕30が形成されていないスカート部18の外表面に対しても適用することができる。
条痕30は、スカート部18の外表面において周方向に延びるように形成された断面U字状の複数の溝部31を有している。複数の溝部31は、長手方向に間隔を空けて配置されている。溝部31の深さは、例えば、5~15μmの範囲である。また、長手方向に隣り合う溝部31の間には、断面の径方向外側端が長手方向に直線的に延びる中間面部(プラトー部)32が設けられている。
プラトー部32の長手方向の幅(すなわち、隣接する溝部31の間隔)Waは、例えば、10~100μmの範囲である。また、溝部31の長手方向の幅Wbは、例えば、150~400μmの範囲である。そして、プラトー部32の幅Waと溝部31の幅Wbを用いて以下の式1で表されるプラトー率は、例えば、0.02~0.4の範囲である。プラトー率は、条痕30の形状を表す指標の1つとして従来から用いられているものである。
レーザ光照射工程24では、このようなスカート部18の外表面にパルスレーザ光を照射することで、アルミニウム合金が局所加熱されて溶融し、その後、冷却されることで、アルミニウム合金中の初晶シリコン41及び共晶シリコン42が微細化され、そして、図5に示すように、スカート部18の表面には、シリコンが分散されたシリコン分散層43が形成される。
この時、スラスト側スカート部18Aに形成する第1のシリコン分散層43Aのシリコン平均粒径は、反スラスト側スカート部18Bに形成する第2のシリコン分散層43Bのシリコン平均粒径よりも小さくする。すなわち、反スラスト側スカート部18Bよりもスラスト側スカート部18Aの方をより細かく微細化する。これにより、スカート部18Aの耐焼付き性、特にエンジン運転時において非常に高い側圧が付与されるスラスト側スカート部18Aの耐焼付き性を向上することができる。
また、上記のようにレーザ光照射によってスラスト側スカート部18Aの方をより細かく微細化することで、スラスト側スカート部18Aに形成されるシリコン分散層43Aの硬さは、反スラスト側スカート部18Bに形成されるシリコン分散層43Bの硬さよりも硬くなる。すなわち、反スラスト側スカート部18Bの硬さの向上を抑えたことから、反スラスト側スカート部18Bでは、スラスト側スカート部18Aよりもシリンダボアのシリンダスリーブとの接触による変形量を大きくすることができる。よって、ピストン10全体でのシリンダスリーブとの接触面積が広くなり、面圧を分散することができるので、フリクションを低減することが可能となる。
このようにフリクションを低減するには、スラスト側スカート部18Aに形成されるシリコン分散層43Aの硬さを、反スラスト側スカート部18Bに形成されるシリコン分散層43Bの硬さよりも、例えば、ビッカース硬さで、10HV0.1以上高くすることが好ましく、20HV0.1以上高くすることがより好ましい。
このフリクション低減は、図6(a)に示すように、スラスト側スカート部18Aの全面60にシリコン平均粒径がより小さい第1のシリコン分散層43Aを形成し、図7(a)に示すように、反スラスト側スカート部18Bの全面70にシリコン平均粒径がより大きい第2のシリコン分散層43Bを形成することで得ることができるが、特に、図6(b)または図6(c)に示すように、スラスト側スカート部18Aの中央に位置する中央スカート領域61、例えば、リング溝と平行な帯状領域61aまたは楕円状領域61bに、シリコン平均粒径がより小さいシリコン分散層43Aを形成し、それ以外の残りの領域62a、62bでは、シリコン平均粒径がより大きい第3のシリコン分散層を形成することで、よりフリクション低減が可能である。
中央スカート領域とは、スラスト側スカート部18Aと反スラスト側スカート部18Bとがなす外径が最大となる箇所に位置する領域である。「外径が最大となる箇所に位置する領域」とは、外径が最大となる箇所のみに領域の全てが位置することに限られず、外径が最大となる箇所の一部に領域のほぼ全てが位置していてもよい。この中央スカート領域は、スラスト側スカート部18Aの中で最も高い側圧が付与されることから、この領域にシリコンの微細化が促進された第1のシリコン分散層43Aを形成することで、優れた耐焼付き性を維持しつつ、それ以外の領域では、シリコンの微細化が抑制されていることから、上述したように硬さの向上が抑えられ、変形量が大きくなるので、ピストン全体でのシリンダスリーブとの接触面積がより広くなり、面圧が更に分散することから、よりフリクション低減が可能である。
なお、スラスト側スカート部18Aに形成する第3のシリコン分散層のシリコン平均粒径は、反スラスト側スカート部18Bに形成する第2のシリコン分散層のシリコン平均粒径と同じでもよいし、小さくてもよいし、大きくてもよいが、一般的にスラスト側スカート部18Aで側圧が高くなるため、シリコン粒子径は、小さい方が好ましい。
また、反スラスト側スカート部18Bは、図7(b)または図7(c)に示すように、反スラスト側スカート部18Bの上部スカート領域71と下部スカート領域72に、第1のシリコン分散層43Aのシリコン平均粒径と第2のシリコン分散層43Bのシリコン平均粒径との間のシリコン平均粒径を有する第4のシリコン分散層をそれぞれ形成し、それ以外の残りの領域73に、第2のシリコン分散層を形成してもよい。上部スカート領域71は、スラスト側スカート部18Aと反スラスト側スカート部18Bとがなす外径が最大となる箇所よりも、ピストン冠面側に位置する領域であり、好ましくはオイルリング溝には接していない(すなわち、オイルリング溝との間に残りの領域73が存在する)。下部スカート領域72は、前記外径最大箇所よりも、スカート端部側に位置する領域であり、好ましくはスカート端部には接していない(すなわち、スカート端部との間に残りの領域73が存在する)。上部スカート領域71と下部スカート領域72は、図7(b)に示すように、反スラスト側スカート部18Bの幅全体に位置していてもよいし、図7(c)に示すように、その一部に位置していてもよい。
上部スカート領域71と下部スカート領域72は、反スラスト側スカート部18Bの中では比較的に耐焼付き性が要求されることから、これら領域に、第2のシリコン分散層43Bのシリコン平均粒径よりも小さいシリコン平均粒径を有する第4のシリコン分散層を形成することで、フリクション低減を維持しながら、耐焼付き性を向上させることができる。
レーザ光照射工程24では、このようなシリコン平均粒径が異なるシリコン分散層43をスカート部18の外表面に形成するため、例えば、図8に示すように、ピストン10のスラスト側スカート部18Aの外表面にレーザ光照射装置51からレーザ光を照射して第1のシリコン分散層43Aを形成する際のレーザ照射の条件と、反スラスト側スカート部18Bの外表面にレーザ光照射装置51からレーザ光を照射して第2のシリコン分散層43Bを形成する際のレーザ照射の条件とを変えることで、シリコン平均粒径が異なるシリコン分散層43を形成することができる。
レーザ照射の条件としては、例えば、レーザ照射の走査速度を速くすることで、シリコンをより微細化し、シリコン平均粒径が小さくシリコン分散層を得ることができる。レーザ光が照射されたアルミニウム合金の母材は再溶融し、その後、冷却するが、冷却速度が速いほど母材に含まれるシリコンはより微細化されてシリコン分散層となる。レーザ光の走査速度が速いほど、再溶融部がレーザ光照射から離れるまでの速度が速い。レーザ光が照射されている部分が主に加熱されるため、走査速度が速いほど、再溶融後はレーザ光による熱の影響を受けにくく、急速に冷却されることになることから、シリコンがより微細化された組織を得ることができる。
走査速度の値は、アルミニウム合金の組成や、出力および周波数などのその他のレーザ照射の条件に左右されるため、これに限定されないが、例えば、スラスト側スカート部18Aに対する走査速度は、反スラスト側スカート部18Bに対する走査速度よりも、例えば、1000mm/min以上速くすることが好ましく、2000mm/min以上速くすることがより好ましい。なお、上限は、特に限定されないが、例えば、15000mm/min以下である。また、シリコン分散層43を得るためには、走査速度を、例えば、100~20000mm/minとすることが好ましく、2000~10000mm/minとすることがより好ましい。
また、レーザ照射の条件としては、例えば、照射スポットのスポット径の重なる長さ(ラップ量Rc)を小さくすることで、シリコンをより微細化し、シリコン平均粒径が小さくシリコン分散層を得ることができる。例えば、スカート部18の周方向(図4の紙面に対して垂直方向)に沿って照射スポットを走査する際、図9に示すように、パルスレーザ光が照射された照射スポット50が、スカート部の周方向Cに沿って重なるように走査する。この時、周方向Cにおいて2つの隣り合う照射スポット50a、50bの各中心Ca、Cbの間の距離(すなわちスポット径の重なる長さであるラップ量R)を小さくすることで、上記と同様に、再溶融後はレーザ光による熱の影響を受けにくく、急速に冷却されることになることから、シリコンがより微細化された組織を得ることができる。
ラップ量Rcの値は、通常、照射スポット50のスポット半径rに対する割合で表現される。シリコン分散層43を得るためには、スポット半径rは、例えば、0.01~3mmの範囲が好ましく、0.02~0.5mmの範囲がより好ましい。ラップ量Rは、スポット半径rの80%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、10%以下が更に好ましい。ラップ量Rの下限は、特に限定されないが、スポット半径rの5%以上が好ましい。そして、スラスト側スカート部18Aに対するラップ量Rcは、反スラスト側スカート部18Bに対するラップ量Rcよりも、例えば、20%以上小さくすることが好ましく、10%以上小さくすることがより好ましい。なお、上限は、特に限定されないが、例えば、5%以下である。
その他、スカート部18の長手方向に沿って照射スポットを走査する際に、スカート部の長手方向Lに沿ってスポット径rの一部が重なるように走査するが、この重なる長さを小さくすることでも、シリコンをより微細化することができる。また、このようにスカート部18の周方向Cまたは長手方向Lに沿って照射スポットを走査する際に、レーザ照射の条件を変えることで、異なるシリコン平均粒径を有するシリコン分散層をスラスト側スカート部18Aおよび反スラスト側スカート部18Bに形成することができる。なお、これら走査は、レーザ側を移動させて実施してもよいし、ピストン側を移動させて実施してもよい。
また、レーザ照射の条件を変えるのではなく、図10に示すように、レーザ光照射工程24において、ピストン10をピストン固定治具80に取り付け、ピストン10とピストン固定治具80を回転させることでパルスレーザ光を走査させて行う際に、特定の形状のピストン固定治具80を用いることでも、異なるシリコン平均粒径を有するシリコン分散層をスラスト側スカート部18Aおよび反スラスト側スカート部18Bに形成することができる。
ピストン固定治具80は、ピストン10と同径で円筒状のピストン支持部81と、ピストン支持部81の一端に位置して内燃機関用ピストンの装着を受けるピストンセット部82とを備える。そして、ピストン10のスラスト側スカート部18Aの第1のシリコン分散層43Aを形成したい部分の裏面にのみピストンセット部82が接する。これにより、スラスト側スカート部18Aに熱容量の大きいピストン支持部81が接することから、レーザ光照射工程24において、何も接していない反スラスト側スカート部18Bよりもスラスト側スカート部18Aの方で、より再溶融部が速く冷却されることから、シリコン平均粒径が小さいシリコン分散層43Aが形成される。
なお、図10では、反スラスト側スカート部18Bにはピストン支持部81が接しない例を示したが、ピストン支持部81として、スラスト側スカート部18Aと反スラスト側スカート部18Bとの両方に接するが、スラスト側スカート部18Aと反スラスト側スカート部18Bとで接する素材を変えて、素材の熱容量を大きく変えることでも、冷却速度を大きく変えることができ、異なるシリコン平均粒径を有するシリコン分散層を形成することができる。
レーザ光照射工程24は、図7に示すように、スカート部18の外表面の条痕30の形状を大きく損ねるものではない。例えば、レーザ光照射工程24後の条痕30Aは、その溝部31Aとプラトー部32Aの各幅から導き出されるプラトー率が、0.12~0.15の範囲に維持することが好ましい。プラトー率が0.12未満であると、局所に作用する面圧が非常に大きくなり、焼付きが生じ易くなるおそれがある。一方、プラトー率が0.15を超えると、異物を排出する効果を十分確保できず、焼付きが生じ易くなるおそれがある。
また、レーザ光照射工程24前の条痕30のプラトー率と、レーザ光照射工程24後の条痕30Aのプラトー率との差である、プラトー率の変化量を0.05以下に抑えることが好ましい。プラトー率の変化量が0.05を超えると、条痕30の形状の概形が変わってしまうおそれがある。プラトー率の変化量の下限は、特に限定されないが、0.00以上が好ましい。
パルスレーザ光を照射するレーザとしては、金属加工用のレーザであれば特に限定されないが、例えば、半導体レーザや、COレーザ、固体レーザ、ファイバーレーザなどを単独で又はこれらを組み合わせて用いることができる。
なお、機械加工工程23で表面に残存した切削油は、レーザ光照射工程24でのパルスレーザ光の照射によって脱脂することができる。但し、機械加工工程23で表面に残存した切削油があまりに多いと、レーザ光照射による脱脂が不充分になる場合や、シリコン分散層43および凹部の形成を阻害する要因になりうるため、必要に応じて、レーザ光照射工程24の前に、中性脱脂、アルカリ脱脂等の脱脂工程(図示省略)を行ってもよい。
レーザ光照射工程24では、スカート部18のみにレーザ光を照射することから、スカート部18以外のピストン本体をマスキングするためのマスキング工程を、レーザ光照射工程24の前に行ってもよい。また、マスキングせずにレーザ光照射工程24を行ってもよい。
レーザ光照射工程24では、ヒュームと呼ばれる、レーザ光の熱で昇華したアルミニウム合金の成分などが発生するため、必要に応じて、局所集塵型の吸煙装置を用いてもよい。
なお、レーザ光照射工程24後に水洗工程を行ってもよい。水洗工程は、レーザ光照射工程24において内燃機関用ピストン10に付着した粉塵を除去することができる。水洗工程としては、例えば、超音波水洗を行ってもよいし、その他、簡易的なものでもよい。
表面処理工程25は、シリコン分散層43が形成されたスカート部18の外表面に、樹脂コートを成膜する工程である。表面処理工程25としては、例えば、スプレー法やスクリーン印刷法などによって、スカート部18の外表面に樹脂コート薬剤を塗布し、焼成を行うことで、樹脂コートを成膜することができる。樹脂コート薬剤としては、内燃機関用ピストンのスカート部18に用いられている公知の薬剤を用いることができ、例えば、デュポン・東レ・スペシャリティ・マテリアル社製のMOLYKOTE D-10-GBLや、MOLYKOTE PA-744などが挙げられる。
このように均質に組織が微細化されたシリコン分散層43の上に樹脂コートが成膜されることで、広範囲剥離につながる樹脂コートの点剥離を抑制することができる。また、耐焼付き性が要求される部分では、樹脂コートが摩滅した場合であっても、スラスト側スカート部18Aには、より微細化されたシリコン平均粒径が小さいシリコン分散層43Aが形成されていることから、耐焼付き性を維持することができる。なお、本発明は、表面処理工程25を行わずに、シリコン分散層43の上に樹脂コートを成膜しなくてもよい。
なお、本発明に係る内燃機関用ピストンの製造方法は、上記の実施形態に限定されず、その他の工程を含むことができる。例えば、レーザ光照射工程24と表面処理工程25との間で、陽極酸化処理工程または化成処理工程を実施してもよい。陽極酸化処理により、スカート部18の外表面に多孔質の陽極酸化皮膜が形成される。膜厚を数μm以下にすることで、スカート部18の外表面の条痕30Aの形状を維持したまま陽極酸化皮膜を形成することができる。陽極酸化皮膜の微細孔に樹脂コート薬剤が充填されることで、さらなる密着性の向上が期待できる。また、化成処理により、スカート部18の外表面の一部が化学的に反応した化成皮膜が形成される。その膜厚は数μmであるため、スカート部18の外表面の条痕30Aの形状を維持したまま化成皮膜を形成することができる。化成皮膜は粒状に生成し凹凸を有することから、この凹凸に樹脂コート薬剤が充填されることで、さらなる密着性の向上が期待できる。なお、陽極酸化処理を行う場合、スカート部18と同時に第1リング溝13と第2リング溝15にも陽極酸化処理を行うことができ、これによりこれらリング溝に耐摩耗性を付与することができる。
高温域の機械的特性を向上させた高強度材であるAl-Si-Cu系のアルミニウム合金鋳造材で、スカート面を模擬したピストン粗材(φ76mm)を作製した。そして、その外周面に約5mm幅でレーザ光照射を行い、表面にシリコン分散層を形成した。使用したレーザ加工機(TRUMPF社製、型式TruDisk6001)は、ディスクYAGレーザを搭載するもので、パルスレーザの照射条件は、出力を6Wで一定とし、走査速度を9000mm/minと2000mm/minの2つ条件で行った。
そして、レーザ光照射後のピストン粗材の表面性状を調べるため、ピストン粗材の断面の組織観察と、表面の硬さの測定を行った。なお、これらを評価するために、レーザ光照射をしなかったピストン粗材についても同様の観察および測定を行った。
断面の組織観察は、ピストン粗材を切断し、樹脂に埋込み、研磨して、倒立金属顕微鏡にて観察した。表面の硬さ測定は、マイクロビッカース硬度計を用いて荷重100gにて5点測定し、その平均値を算出した。その結果を図12~図14および表1に示す。
図13に示すレーザ処理していない比較例のピストン断面は、母材(α相)40中に初晶シリコン41、共晶シリコン42などの晶出物が偏析した様相の組織であった。一方、図11に示す実施例1のピストン断面のシリコン分散層43、および図12に示す実施例2のピストン断面のシリコン分散層43は、いずれもシリコン44が微細化されたことが確認された。また、図11に示す実施例1のピストン断面は、図12に示す実施例2のピストン断面よりも、シリコンの微細化が促進されている様相であることがわかる。これはレーザ光の走査速度の差によるものと推測する。レーザ光が照射された母材は再溶融し、その後、冷却するが、レーザ光の走査速度が速いほど、その再溶融部がレーザ光照射から離れるまでの速度が速いことになる。レーザ光が照射されている部分が主に加熱されるため、走査速度が速いほど、再溶融後はレーザ光による熱の影響を受けにくく、急速に冷却されることになる。冷却速度が速いほど組織はより微細化されるため、走査速度の速い実施例1の方が、実施例2よりも微細化されたものと推測する。
ピストン表面の硬さについては、ビッカース硬さで、実施例1が193HV0.1、実施例2は171HV0.1であり、組織がより微細化した実施例1の方が硬かった。一方、比較例の硬さは、126HV0.1であることから、レーザ処理による組織微細化の効果によって、硬さは向上し、さらに微細化が促進されるほど硬さが向上する結果となった。
10 内燃機関用ピストン
18 スカート部
20 内燃機関用ピストンの製造方法
30 条痕
31 溝部
32 中間面部(プラトー部)
40 母材
41 初晶シリコン
42 共晶シリコン
43 シリコン分散層
50 照射スポット
51 レーザ光照射装置
60 スラスト側スカート部全面
61 中央スカート領域
62 残りの領域
70 反スラスト側スカート部全面
71 上部スカート領域
72 下部スカート領域
73 残りの領域
80 ピストン固定治具
81 ピストン支持部
82 ピストンセット部

Claims (9)

  1. シリンダボアの内周部に対して長手方向に摺動可能に構成される外周部を有するピストン本体と、
    前記ピストン本体の径方向に互いに対向しており、かつ前記ピストン本体の外周部から前記シリンダボアの底に向かって延びる2つのスカート部であって、前記2つのスカート部が、これらを対向させた方向であるスカート対向方向にてスラスト側に位置するスラスト側スカート部と、前記スカート対向方向にて反スラスト側に位置する反スラスト側スカート部とからなる、2つのスカート部と
    を備えた内燃機関用ピストンであって、
    前記ピストン本体および前記2つのスカート部がアルミニウム合金を母材として構成され、前記2つのスカート部の外表面には、前記アルミニウム合金中のシリコンが前記母材よりも微細に分散されたシリコン分散層がそれぞれ形成されており、
    前記スラスト側スカート部に形成された第1のシリコン分散層のシリコン平均粒径が、前記反スラスト側スカート部に形成された第2のシリコン分散層のシリコン平均粒径よりも小さい、内燃機関用ピストン。
  2. 前記第1のシリコン分散層が、前記スラスト側スカート部の中央に位置する中央スカート領域に配置されており、前記中央スカート領域は、前記2つのスカート部の外径が最大となる箇所に位置する領域であり、
    前記中央スカート領域以外の前記スラスト側スカート部の残領域に、前記第1のシリコン分散層のシリコン平均粒径よりも大きいシリコン平均粒径を有する第3のシリコン分散層が形成されている、請求項1に記載の内燃機関用ピストン。
  3. 前記反スラスト側スカート部には、前記第1のシリコン分散層のシリコン平均粒径と前記第2のシリコン分散層のシリコン平均粒径との間のシリコン平均粒径を有する第4のシリコン分散層が更に形成されており、
    前記第4のシリコン分散層が、前記2つのスカート部の外径が最大となる箇所よりも、ピストン冠面側に位置する上部スカート領域およびスカート端部側に位置する下部スカート領域にそれぞれ配置されており、
    前記第2のシリコン分散層が、前記上部スカート領域および前記下部スカート領域以外の前記反スラスト側スカート部の残領域に配置されている、請求項1または2に記載の内燃機関用ピストン。
  4. 前記スラスト側スカート部に形成された第1のシリコン分散層のビッカース硬さが、前記反スラスト側スカート部に形成された第2のシリコン分散層のビッカース硬さよりも10HV0.1以上高い、請求項1または2に記載の内燃機関用ピストン。
  5. 内燃機関用ピストンの製造方法であって、
    シリンダボアの内周部に対して長手方向に摺動可能に構成される外周部を有するピストン本体と、前記ピストン本体の径方向に互いに対向しており、かつ前記ピストン本体の外周部から前記シリンダボアの底に向かって延びる2つのスカート部とを備え、前記2つのスカート部が、これらを対向させた方向であるスカート対向方向にてスラスト側に位置するスラスト側スカート部と、前記スカート対向方向にて反スラスト側に位置する反スラスト側スカート部とからなり、前記ピストン本体および前記スカート部がアルミニウム合金を母材として構成されている内燃機関用ピストンを用意する工程と、
    前記内燃機関用ピストンの前記2つのスカート部の外表面にパルスレーザ光を照射して、シリコン分散層をそれぞれ形成するレーザ光照射工程と
    を含み、前記レーザ光照射工程において、前記スラスト側スカート部に形成される第1のシリコン分散層のシリコン平均粒径を、前記反スラスト側スカート部に形成される第2のシリコン分散層のシリコン平均粒径よりも小さくする、内燃機関用ピストンの製造方法。
  6. 前記レーザ光照射工程において、前記第1のシリコン分散層を、前記スラスト側スカート部の中央に位置する中央スカート領域に配置し、前記中央スカート領域は、前記2つのスカート部の外径が最大となる箇所に位置する領域であり、
    前記中央スカート領域以外の前記スラスト側スカート部の残領域に、前記第1のシリコン分散層のシリコン平均粒径よりも大きいシリコン平均粒径を有する第3のシリコン分散層を配置するように、シリコン分散層を形成する、請求項5に記載の内燃機関用ピストンの製造方法。
  7. 前記レーザ光照射工程において、前記第1のシリコン分散層を形成する際の前記スラスト側スカート部に対するパルスレーザ光の走査速度を、前記第2のシリコン分散層を形成する際の前記反スラスト側スカート部に対するパルスレーザ光の走査速度よりも速くする、請求項5または6に記載の内燃機関用ピストンの製造方法。
  8. 前記レーザ光照射工程において、パルスレーザ光の照射スポットのスポット径が一部重なる範囲内で、前記スカート部に照射スポットを走査することで前記シリコン分散層を形成し、前記第1のシリコン分散層を形成する際の前記スラスト側スカート部に対するスポット径の重なる長さを、前記第2のシリコン分散層を形成する際の前記反スラスト側スカート部に対するスポット径の重なる長さよりも短くする、請求項5または6に記載の内燃機関用ピストンの製造方法。
  9. 前記レーザ光照射工程において、前記内燃機関用ピストンをピストン固定治具に取り付け、前記内燃機関用ピストン及び前記ピストン固定治具を回転させることでパルスレーザ光を走査させ、
    前記ピストン固定治具が、前記内燃機関用ピストンと同径で円筒状のピストン支持部と、前記ピストン支持部の一端に位置して前記内燃機関用ピストンの装着を受けるピストンセット部とを備え、
    前記スラスト側スカート部の前記第1のシリコン分散層が形成される部分に接する前記ピストンセット部の熱容量が、前記反スラスト側スカート部の前記第2のシリコン分散層が形成される部分に接する前記ピストンセット部の熱容量よりも大きい、又は前記反スラスト側スカート部の前記第2のシリコン分散層が形成される部分は前記ピストンセット部に接しない、請求項4に記載の内燃機関用ピストンの製造方法。
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