JP2002221080A - エンジンのウォータジャケット構造及びその製造方法 - Google Patents

エンジンのウォータジャケット構造及びその製造方法

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JP2002221080A
JP2002221080A JP2001018833A JP2001018833A JP2002221080A JP 2002221080 A JP2002221080 A JP 2002221080A JP 2001018833 A JP2001018833 A JP 2001018833A JP 2001018833 A JP2001018833 A JP 2001018833A JP 2002221080 A JP2002221080 A JP 2002221080A
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water jacket
water
cooling
engine
core
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JP2001018833A
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English (en)
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Hiroyuki Ikuta
浩之 生田
Katsuhana Kanazawa
功華 金澤
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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  • Cylinder Crankcases Of Internal Combustion Engines (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ウォータジャケットの水路形状の複雑化を招く
ことなく、効率的な熱伝達を行うことのできるエンジン
のウォータジャケット構造を提供する。 【解決手段】エンジンのシリンダヘッドの内部に形成さ
れたウォータジャケット11Aは、部位毎に異なる表面
性状に形成されている。特に冷却要求の高いシリンダヘ
ッドの下層デッキに面した表面S1は、半球状の凸部が
所定間隔毎に設けられた凹凸面となっている。また排気
ポート周辺部に面した表面S2は鋳造時の鋳肌面に、冷
却要求の小さなウォータジャケット11Aの上側表面S
3は平滑面に、それぞれ形成されている。こうした表面
性状の違いによって、ウォータジャケット表面から冷却
水への伝熱特性を変えることで、シリンダヘッドの各部
位をその冷却要求に合わせて適宜に冷却する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンのウォー
タジャケット構造及びその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】水冷式エンジンでは、シリンダヘッドや
シリンダブロックの内部に冷却水を流通させるためのウ
ォータジャケットが形成されており、エンジンの冷却や
暖機促進が図られている。従来より、こうしたエンジン
のウォータジャケット構造では、例えばシリンダヘッド
の燃焼室の直上部のような重点冷却部に、より多くの冷
却水を流すように、ウォータジャケットの水路形状を工
夫して水流をコントロールするようにしている。例え
ば、特開平9−242602号公報には、ウォータジャ
ケット内に、渦流の発生を防止する整流用の隔壁を設け
ることで、より多くの冷却水を重点冷却部位に流すよう
にしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ウォータジ
ャケットの水路形状で水流をコントロールする構成とす
れば、水路形状の複雑化は避け難く、その製造が困難と
なってしまう。また水路形状の複雑化によって、冷却水
の流動抵抗が大きくなってその流れが阻害される、ウォ
ータジャケット表面の一部に膜沸騰が発生して冷却性が
低下する、或いは冷却水中の異物が堆積し易くなる等の
不具合が生じるおそれもある。
【0004】本発明は、こうした実情に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、ウォータジャケットの水路
形状の複雑化を招くことなく、効率的な熱伝達を行うこ
とのできるエンジンのウォータジャケット構造を提供す
ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】以下、上記目的を達成す
るための手段及びその作用効果を記載する。請求項1記
載の発明は、エンジンのウォータジャケット構造であっ
て、エンジン内部に形成されたウォータジャケットの表
面性状を部位毎に異ならせるようにしたものである。
【0006】表面性状が違えば、ウォータジャケット表
面と冷却水との間の伝熱特性も変化する。このため、上
記構成のように、ウォータジャケットの部位毎にその表
面性状を異ならせれば、その部位毎に伝熱特性も変化す
るようになる。これにより、重点冷却部の冷却性を高め
るなど、ウォータジャケットの各部位毎に好ましい伝熱
特性を設定可能となる。したがって、ウォータジャケッ
トの水路形状の複雑化を招くことなく、効率的な熱伝達
を行うことができる。
【0007】また請求項2記載の発明は、請求項1記載
のエンジンのウォータジャケット構造において、冷却要
求の高い部位の前記ウォータジャケット表面を、他の部
位の前記ウォータジャケット表面に比して、表面粗さが
大きくなるようにしたものである。
【0008】ウォータジャケット表面の表面粗さを大き
くすれば、その表面積が拡大されるため、そのウォータ
ジャケット表面から冷却水への熱伝達が増加する。ま
た、表面粗さを適度に大きくすれば、ウォータジャケッ
ト表面での膜沸騰の発生が抑えられ、ウォータジャケッ
ト表面に付着した水蒸気膜による断熱による伝熱効率の
低下が防止可能となる。またそれにより、核沸騰による
気泡発生が促進されて、気化熱による冷却水への熱伝達
が増加するようにもなる。このため、冷却要求の高い部
位のウォータジャケット表面の表面粗さを大きくするこ
とで、その部位の冷却性を局所的に向上できる。したが
って、重点冷却部の冷却性を局部的に高めることができ
る。
【0009】また請求項3記載の発明は、請求項1また
は2記載のエンジンのウォータジャケット構造におい
て、前記ウォータジャケットが、前記エンジンの暖機中
に限って冷却水が流される格別の水路系を備えるもので
あって、その水路系のウォータジャケット表面を、暖機
完了後も冷却水が流される他の水路系のウォータジャケ
ット表面に比して表面粗さが大きくするようにしたもの
である。
【0010】上記構成では、エンジンの暖機中に限り冷
却水が流される水路系を流れる冷却水への熱伝達が増加
して暖機中の冷却水の昇温が促進されるため、暖機効率
が向上されて暖機時間が短縮される。
【0011】また請求項4記載の発明は、請求項2また
は3記載のエンジンのウォータジャケット構造におい
て、前記ウォータジャケット表面に凹凸を形成すること
で、その表面粗さを大きくしたものである。
【0012】上記構成では、凹凸を形成することで、所
望する部位のウォータジャケット表面の表面粗さを大き
くし、その部位の伝熱効率を局所的に向上できる。また
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか記載の
エンジンのウォータジャケット構造において、冷却要求
の低い部位のウォータジャケット表面を、他の部位のウ
ォータジャケット表面に比して、その表面粗さが小さく
なるようにしたものである。
【0013】表面粗さを小さくすれば、その表面積が縮
小されるため、ウォータジャケット表面から冷却水への
熱伝達が低減される。したがって、冷却要求の低い部位
のウォータジャケット表面の表面粗さを小さくすること
で、その部位の冷却性を局所的に低下させることが、す
なわちその部位の断熱性を局所的に向上することができ
る。
【0014】また請求項6記載の発明は、鋳造時に鋳型
内に配設された中子によってエンジン内部にウォータジ
ャケットを製造する方法であって、部位毎にその表面性
状を異ならせるように前記中子を形成して、製造される
ウォータジャケット表面の表面性状を部位毎に異ならせ
るようにしたものである。
【0015】また請求項7記載の発明は、請求項6記載
のエンジンのウォータジャケット構造の製造方法におい
て、前記中子の表面に塗型を部分的に塗布することで、
同中子の特定部位の表面粗さを小さく形成するようにし
たものである。
【0016】また請求項8記載の発明は、請求項6また
は7記載のエンジンのウォータジャケット構造の製造方
法において、前記中子の表面に凹凸を部分的に設けるこ
とで、同中子の特定部位の表面粗さを大きく形成するよ
うにしたものである。
【0017】上記製造方法によれば、鋳造時に鋳型内に
配設される中子の表面性状を部位毎に異ならせること
で、部位毎に表面性状の異なるウォータジャケット構造
を容易に製造できる。これにより、ウォータジャケット
の水路形状の複雑化を招くことなく、効率的な熱伝達を
行うことのできるエンジンのウォータジャケット構造の
具現が容易となる。こうした部位毎に表面性状の異なる
中子は、例えば請求項7及び請求項8記載の方法によっ
て形成できる。
【0018】すなわち請求項7記載のように中子表面の
特定部位に塗型を塗布すれば、その塗布面の表面性状を
表面粗さの小さなものとすることができる。こうした中
子を用いてウォータジャケットを形成すれば、ウォータ
ジャケットの特定部位の表面粗さを小さくすることが、
すなわちその表面をより滑らかにすることができる。ま
た請求項8記載のように中子表面の特定部位に凹凸を形
成すれば、ウォータジャケットの特定部位にその凹凸が
転写され、その部位の表面粗さを大きくすることができ
る。
【0019】勿論、鋳造後にウォータジャケットに表面
処理を施すなど、他の製造方法によっても、部位毎に表
面性状の異なるウォータジャケットの製造は可能であ
る。ただし、上記のような部位毎に表面性状の異なる中
子を用いれば、その製造が容易となって、製造コストの
増加を抑えられる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した一実施
形態について、図1〜3を参照して詳細に説明する。本
実施形態は、ディーゼルエンジンに適用される鋳造アル
ミニウム製のシリンダヘッドについてその内部に形成さ
れるウォータジャケット構造に本発明を適用した場合を
説明する。
【0021】図1にその正面断面構造を示すように、シ
リンダヘッド10の内部には、ウォータジャケット11
(11A、11B)が形成されている。シリンダヘッド
10内部のウォータジャケット11は、エンジンの燃焼
室上部のようなシリンダヘッド10の要冷却部に冷却水
を循環させる水路である。
【0022】シリンダヘッド10内部のウォータジャケ
ット11は、吸気・排気ポート12、13や、燃料噴射
ノズルなどとの干渉を避けるため、複雑な形状となって
いる。同図1に示される断面では、燃料噴射ノズルの収
容されるボア穴14を迂回すべく、ウォータジャケット
11は2つの水路11A、11Bに分岐されており、こ
れらは両水路11A、11Bは同図1には示されていな
い他の部位で合流されている。
【0023】なお、こうしたシリンダヘッド10では、
部位毎に冷却要求が大きく異なっている。例えば燃焼室
の直上に位置するシリンダヘッド10の下層デッキ10
Aに対しては、特に重点的な冷却が必要とされる。また
排気ポート13には高温の排気ガスが流されるため、下
層デッキ10A程ではないにせよ、その周囲部の冷却が
必要である。
【0024】そこで、各々の冷却要求に合わせて、ウォ
ータジャケット11の各部位の冷却特性を適宜変化させ
て設定すれば、過不足のない効率的な冷却を行うことが
できるようになる。本実施形態では、例えば図2に示す
ように、ウォータジャケット11の表面性状を部位毎に
異ならせることで、各部位の冷却特性、すなわちその表
面から冷却水への伝熱特性を、その冷却要求に合わせて
設定するようにしている。
【0025】図3に、各種表面性状におけるウォータジ
ャケットの伝熱特性を示す。同図において、横軸は燃焼
によってシリンダヘッドに伝達される熱流束を、縦軸は
ウォータジャケット(W/J)の表面と冷却水との温度
差を示している。このグラフにおいては、同一の熱流束
での上記温度差が少ない程、ウォータジャケットの表面
から冷却水へとより多くの熱が伝達されており、その冷
却効率が高いことを意味している。
【0026】同図3では、次の3種の表面性状における
ウォータジャケットの伝熱特性を示している。 (A)鋳造時の通常の鋳肌面(十点平均粗さRz:50
以上) (B)平滑面(Rz:5以下) (C)直径5mmの半球形状の凸部が所定間隔毎に設け
られた凹凸面 さて、同図3に示されるように、表面粗さの小さい平滑
面(B)に比して、より表面粗さの大きな鋳肌面(A)
の方が冷却効率が高く、すなわちウォータジャケット表
面から冷却水への伝熱性が高くなっている。また、熱流
束がある程度よりも小さな領域では、表面粗さが最も大
きな凹凸面(C)が最も冷却効率が高くなっている。こ
れは、表面粗さが大きな程、冷却水に接するウォータジ
ャケットの表面積が増大すること、及び膜沸騰が発生し
難くなって表面に付着した沸騰膜による断熱効果が生じ
難いこと、などによると考えられる。
【0027】なお、同図にみられるように、熱流束があ
る程度以上となると凹凸面(C)の冷却効率は、他の表
面(A)(B)よりも低下している。しかしながら、エ
ンジンの通常の運転条件においては、燃焼による熱流束
はそれ程には大きくはならないため、凹凸面(C)の冷
却効果が最も高くなる。
【0028】さて本実施形態では、先の図2に示すよう
に、最も重点的な冷却の必要な下層デッキ10Aに面す
るウォータジャケット11Aの下側表面S1について
は、上記(C)の凹凸面とするようにしている。またウ
ォータジャケット11Aにあって排気ポート13周囲に
位置する表面S2については、上記(A)の鋳肌面とす
るようにしている。そして冷却要求の少ないウォータジ
ャケット11Aの上側表面S3については上記(B)の
平滑面とするようにしている。
【0029】こうしてウォータジャケット11Aの各部
位それぞれに、その冷却要求に応じた伝熱特性を与えて
いる。勿論、分岐されたもう一方のウォージャケット1
1Bについても同様に、冷却要求の違いに応じて適切な
伝熱特性が得られるように、その表面の性状を部位毎に
異ならせている。
【0030】勿論、ウォータジャケット11表面の各部
位には、上記(A)〜(C)以外の任意の表面性状を適
宜設定することもできる。例えば、凹凸面(C)につい
ても、その大きさを変更したり、円錐や角錐、角柱など
その形状を変更するようにしても良い。また表面S1
に、適宜な大きさ、形状の窪みを形成したり、すじ状の
凸部や溝状の窪み、或いはそうしたすじや溝による格子
状の凹凸を設けるようにしたりしても良い。こうした凹
凸の形状や大きさを適宜に変更することで、そのウォー
タジャケット11表面に冷却要求に応じた好ましい伝熱
特性を与えることができる。
【0031】いずれにせよ、ウォータジャケット11の
表面性状によってその伝熱特性を変化させることがで
き、冷却要求の違いに合わせて、部位毎に表面性状を異
ならせることで、シリンダヘッド10の冷却効率を向上
できる。なお、こうしたウォータジャケット11の各部
位の表面性状は、その部位の冷却要求の度合い、その部
位における冷却水の流れ方(水流速や水流量)、或いは
エンジン運転時の表面の温度状態などを考慮して、適切
な冷却性が得られるように設定することが望ましい。ま
た、表面性状の設定には、ウォータジャケット11表面
での冷却水の流動抵抗についても配慮することが望まし
い。
【0032】なお、以上のようなウォータジャケット1
1各部位の表面性状は、シリンダヘッド10の鋳造時に
付与することができる。シリンダヘッド10の鋳造時、
その鋳型内に配設された中子によってウォータジャケッ
ト11が形成されている。この中子表面への加工によっ
て所望とする表面性状を付与するこことで、鋳造形成さ
れたウォータジャケット11の表面にも同様の表面性状
を転造することができる。
【0033】例えば中子の所定部位の表面に塗型を塗布
し、その表面を滑らかにすれば、それに対応する部位の
ウォータジャケット11表面を上記(B)のような平滑
面をとすることができる。また中子の所定部位の表面に
凹凸を形成すれば、対応する部位のウォータジャケット
11表面に、中子に形成したものとは凹凸が逆となった
凹凸が形成される。こうしてウォータジャケット11表
面を、上記(C)のような凹凸面とすることができる。
例えば、ウォータジャケット11表面に上記のような半
球状の凸部を形成する場合には、中子表面に半球状の窪
みを形成すればよい。また勿論、こうした中子への表面
処理加工を施さなければ、ウォータジャケット11の表
面は、上記(B)のような通常の鋳肌面となる。
【0034】またこれ以外にも、中子の所定部位の表面
に適宜な表面処理加工を施すことで、ウォータジャケッ
ト11の特定部位の表面を各種任意の表面性状とするこ
とが可能である。
【0035】勿論、シリンダヘッド10の鋳造後にウォ
ータジャケットに表面処理加工を施すなどの他の製造方
法によっても、そうしたウォータジャケット11の製造
は可能である。
【0036】以上説明した本実施形態によれば、次の効
果を得ることができる。 (1)上記実施形態では、シリンダヘッド10内部に形
成されるウォータジャケット11の表面性状を部位毎に
異ならせて、熱伝達効率を変えている。これにより、重
点冷却部の冷却性を高めるなど、ウォータジャケット1
1の各部位毎に好ましい伝熱特性を設定可能となり、ウ
ォータジャケットの水路形状の複雑化を招くことなく、
効率的な熱伝達を行うことができる。
【0037】(2)そして本実施形態では、冷却要求の
高いウォータジャケット11の下側表面S1を凹凸面
(C)として、他の部位に比して、表面粗さが大きくし
ている。これにより、ウォータジャケット11の形状そ
のものを大きく変化させることなく、その表面S1の表
面積が拡大され、冷却水への熱伝達が増加する。また、
表面粗さを適度に大きくすれば、表面S1での膜沸騰が
抑えられ、核沸騰による気泡発生が促進され、気化熱に
よる冷却水への熱伝達が増加するようにもなる。このた
め、冷却要求の高いウォータジャケット11の表面S1
の冷却性を局所的に向上できる。したがって、重点冷却
部の冷却性を局部的に高めて、効率的な熱伝達を行うこ
とができる。また、こうしてシリンダヘッド10の下層
デッキからの熱伝達効率を高めることで、エンジンの暖
機中の冷却水の昇温が促進されるようにもなる。
【0038】(3)またあまり冷却性能の必要とされな
い表面S3については、その表面S3を円滑面(B)と
している。円滑面(B)としてその表面粗さを小さくす
れば、表面積が縮小されて、その表面S3から冷却水へ
の熱伝達が低減される。したがって、冷却要求の低い表
面S3の冷却性を局所的に低下させることが、すなわち
その部位の断熱性を局所的に向上することができ、効率
的な熱伝達を行うことができる。
【0039】(4)また上記実施形態では、鋳造時に鋳
型内に配設される中子の表面性状を部位毎に異ならせる
ことで、ウォータジャケット11の部位毎に表面性状を
異なせている。これにより、上記のような部位毎に表面
性状の異なるウォータジャケット11の製造が容易とな
る。具体的には、中子表面の特定部位に塗型を塗布して
鋳造することで、それに対応するウォータジャケット1
1のの粗さを小さくすることが、すなわちその表面をよ
り滑らかとすることができる。また中子表面の特定部位
に凹凸を形成して鋳造することで、対応するウォータジ
ャケット11の表面の粗さを大きくすることができる。
【0040】(その他の実施形態)なお、本発明は、エ
ンジンのシリンダブロック内に形成されるウォータジャ
ケット構造についても、適用することができる。図4に
示すように、シリンダブロック20には、シリンダ21
の外周を取り巻く略円環状にウォータジャケット22が
形成されている。
【0041】こうしたシリンダブロック20のウォータ
ジャケット22においては、シリンダ21側のその内周
表面に高い冷却能力が要求される。このため、こうした
ウォータジャケット11の内周表面を、上記のようなよ
り高い伝熱特性を示す表面性状とすることで、冷却効率
を向上できる。例えば同図4の例では、ウォータジャケ
ット11の内周表面を上記(C)の凹凸面に、外周表面
を上記(B)の円滑面としている。
【0042】こうしたシリンダブロック20のウォータ
ジャケット22についても、砂中子などのように鋳造後
に破砕、或いは溶解させて容易に取り出し可能な中子を
用いてウォータジャケット22を製造する場合には、上
述のシリンダヘッドと同様の方法で製造することができ
る。
【0043】ただし、金型入子などを用いてウォータジ
ャケット22を形成する場合には、凹凸面(C)の形状
に工夫が必要である。金型入子を用いる場合であれ、そ
の表面にシボ処理加工を施すことなどによって、ウォー
タジャケット22の表面に凹凸を転写することができ
る。ただし、その凹凸の高さや深さ、形状は、鋳造後の
金型入子の型抜きが十分可能なように配慮して設定する
必要がある。例えば、そうした凹凸を、格子状、或いは
シリンダ21の軸線方向に延びる溝状とすることで、金
型入子の型抜きを容易とすることができる。
【0044】いずれにせよ、シリンダブロック20のウ
ォータジャケット22において、そのシリンダ21側に
面した内周表面を、凹凸を形成した凹凸面としたり、そ
の表面粗さを大きくしたりして、熱伝達効率の高い表面
性状とすることで、冷却効率を向上できる。またそれに
より、エンジンの暖機中における冷却水の昇温について
も促進できる。
【0045】また更に、以下のような態様で本発明を実
施することもできる。上述したようにエンジンのシリン
ダヘッドの内部には、燃料噴射ノズルや点火プラグ、吸
気・排気ポートなどの周囲などを通り、同シリンダヘッ
ドの要冷却部に冷却水を循環させるウォータジャケット
が形成されている。こうしたウォータジャケットにおい
て、エンジンの暖機運転中に限って冷却水が流される水
路系と、暖機完了後も、すなわちエンジン運転中に常に
冷却水が流される水路系との2つの水路系を備えて構成
することがある。
【0046】図5に例示するシリンダヘッドのウォータ
ジャケットでは、上記要冷却部を巡るように形成されて
エンジン運転中に常に冷却水が流されるメイン水路30
に加え、暖機運転時のみに冷却水が流されるバイパス水
路31が設けられている。そして暖機運転時には、メイ
ン水路30を通過した冷却水を更にバイパス水路31に
流すことで、より長期に亘ってシリンダヘッド内に冷却
水を循環させ、その昇温を促進するようにしている。
【0047】こうしたバイパス水路31の表面を、上記
(C)のような凹凸面とするなど、より伝熱効率の高い
表面性状に形成すれば、冷却水の昇温が更に促進されて
暖機時間の更なる短縮が図られるようになる。
【0048】以上説明したように、ウォータジャケット
の表面性状を変えることで、その表面から冷却水への伝
熱特性を変化させることができる。そして、ウォータジ
ャケットの部位毎に表面性状を異ならせることで、各部
位毎に伝熱特性を適宜変化させて設定可能となる。勿
論、こうした本発明のエンジンのウォータジャケット構
造は、以上の各例に限らず、エンジン各部に形成される
任意のウォータジャケットに適用することができる。ま
たそのウォータジャケットの各部位の表面性状の設定態
様(形状や配置等)についても、任意に変更することが
できる。
【0049】以上説明した実施形態から把握できる技術
的思想を以下に列記する。 (イ)エンジンのシリンダヘッド内部に形成されるウォ
ータジャケットについて、前記ウォータジャケットにあ
って前記シリンダヘッドの下層デッキ側の表面を、他の
表面に比して、その表面粗さを大きくされてなるエンジ
ンのウォータジャケット構造。
【0050】(ロ)エンジンのシリンダヘッド内部に形
成されるウォータジャケットについて、前記ウォータジ
ャケットにあって前記シリンダヘッドの下層デッキ側の
表面に凹凸が形成されてなるエンジンのウォータジャケ
ット構造。
【0051】(ハ)エンジンのシリンダブロック内部に
形成されるウォータジャケットについて、前記ウォータ
ジャケットにあって前記シリンダ側の表面を、他の表面
に比してその表面粗さを大きくされてなるエンジンのウ
ォータジャケット構造。
【0052】(ニ)エンジンのシリンダブロック内部に
形成されるウォータジャケットについて、前記ウォータ
ジャケットにあって前記シリンダ側の表面に凹凸が形成
されてなるエンジンのウォータジャケット構造。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジンのシリンダヘッドの正面断面図。
【図2】本発明の一実施形態のウォータジャケットの部
分断面図。
【図3】表面性状による伝熱特性の違いを示すグラフ。
【図4】他の実施形態についてそのシリンダブロックの
部分断面図。
【図5】更なる実施形態についてそのウォータジャケッ
ト構造の模式図。
【符号の説明】
10…シリンダヘッド、11(11A、11B)、22
…ウォータジャケット、12…吸気ポート、13…排気
ポート、14…噴射ノズル用ボア穴、20…シリンダブ
ロック、21…シリンダ、30…メイン水路(ウォータ
ジャケット)、31…バイパス水路(ウォータジャケッ
ト)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02F 1/00 F02F 1/00 C Fターム(参考) 3G024 AA01 AA21 CA05 CA26 CA27 FA00 GA01 4E093 QB05 QB10 UA02 UA05 UA08 UC01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジン内部に形成されたウォータジャケ
    ットについて、その表面性状を部位毎に異ならせるよう
    にしたことを特徴とするエンジンのウォータジャケット
    構造。
  2. 【請求項2】冷却要求の高い部位のウォータジャケット
    表面は、他の部位のウォータジャケット表面に比して、
    その表面粗さが大きくされてなる請求項1記載のエンジ
    ンのウォータジャケット構造。
  3. 【請求項3】前記ウォータジャケットは、前記エンジン
    の暖機中に限って冷却水が流される格別の水路系を備え
    てなり、その水路系のウォータジャケット表面は、暖機
    完了後も冷却水が流される他の水路系のウォータジャケ
    ット表面に比して表面粗さが大きくされてなる請求項1
    または2記載のエンジンのウォータジャケット構造。
  4. 【請求項4】前記ウォータジャケット表面に凹凸を形成
    することで、その表面粗さが大きくされてなる請求項2
    または3記載のエンジンのウォータジャケット構造。
  5. 【請求項5】冷却要求の低い部位のウォータジャケット
    表面は、他の部位のウォータジャケット表面に比して、
    その表面粗さが小さくされてなる請求項1〜4のいずれ
    か記載のエンジンのウォータジャケット構造。
  6. 【請求項6】鋳造時に鋳型内に配設された中子によって
    エンジン内部にウォータジャケットを製造する方法であ
    って、 部位毎にその表面性状を異ならせるように前記中子を形
    成して、製造されるウォータジャケット表面の表面性状
    を部位毎に異ならせるエンジンのウォータジャケット構
    造の製造方法。
  7. 【請求項7】前記中子の表面に塗型を部分的に塗布する
    ことで、同中子の特定部位の表面粗さを小さく形成する
    請求項6記載のエンジンのウォータジャケット構造の製
    造方法。
  8. 【請求項8】前記中子の表面に凹凸を部分的に設けるこ
    とで、同中子の特定部位の表面粗さを大きく形成する請
    求項6または7記載のエンジンのウォータジャケット構
    造の製造方法。
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