JP2013129899A - 断熱部材の製造方法およびこれにより製造された内燃機関 - Google Patents
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Abstract
【課題】大型の部材からなる金属基材であっても、その金属基材の表面に断熱層を安価かつ容易に形成することができる断熱部材の製造方法を提供する。
【解決手段】
金属基材の表面に、酸化物系セラミックスからなる粉末および炭化水素系の油分を混合したスラリーを供給すると共に、酸化物系セラミックスの粉末が溶融するように、金属基材の表面にレーザビームを照射しながら、酸化物系セラミックスからなる空孔が介在した断熱層を、前記金属基材の表面に成形する。
【選択図】図3
【解決手段】
金属基材の表面に、酸化物系セラミックスからなる粉末および炭化水素系の油分を混合したスラリーを供給すると共に、酸化物系セラミックスの粉末が溶融するように、金属基材の表面にレーザビームを照射しながら、酸化物系セラミックスからなる空孔が介在した断熱層を、前記金属基材の表面に成形する。
【選択図】図3
Description
本発明は、金属基材の表面に断熱層を好適に成形することができる断熱部材の製造方法に関する。
従来から、アルミニウムなどの金属材料からなる金属基材からの熱を断熱すべく、その表面に断熱効果を持たせる処理がなされている。このような断熱効果が求められる部材として、例えば内燃機関を挙げることができる。
具体的には、その内燃機関は、燃焼室内において燃料を燃焼されるため、この燃焼効率を高めるためには、燃焼室内から燃焼熱を逃がさないことが望ましく、燃焼室の壁面の熱伝導率を下げること、すなわち、その壁面に断熱効果を持たせることがなされている。
このような点を鑑みて、例えば、燃焼室からピストン頂部への熱伝導を低減するべく、燃焼室の一部を構成するピストン頂部に陽極酸化によるアルマイト層(断熱層)を形成し、さらに溶射によるセラミック層を形成した断熱部材(ピストン)の製造方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。
また、別の方法として、内燃機関の燃焼室の内面に、膜厚が20μmより大きく、500μm以下であり、かつ、空孔率が20%以上である陽極酸化処理されたアルマイト層(断熱層)を形成した断熱部材(シリンダーヘッド)の製造方法が提案されている(例えば特許文献2参照)。
このように、内燃機関の燃焼室を構成する壁面に、アルマイト層などの断熱層を設けることにより、内燃機関(断熱部材)の断熱効果を高めることができる。
しかしながら、陽極酸化処理により部材の表面にアルマイト層(断熱層)を形成する場合、この処理される部材を処理溶液に浸漬する必要があり、例えば特許文献1に示すようなピストンなどの小型の部材に断熱層を形成することは容易にできるが、内燃機関のシリンダヘッドなどの大型の部材の局所的な表面に対して、断熱層を形成すべく陽極酸化処理を行なうことは作業性が良いものとはいえず、設備および作業コストが膨大なものとなる。
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、たとえ、大型の部材からなる金属基材であっても、その金属基材の表面に断熱層を安価かつ容易に形成することができる断熱部材の製造方法を提供することにある。
発明者らは、上述した課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、部材の表面に耐摩耗性を向上させるために、セラミックス粉末を溶射する技術に着眼した。耐摩耗性を向上させるためには、空孔が残らないようにセラミックス粉末を溶融し、セラミックス層を形成することが一般的である。しかしながら、上述した断熱性を有するセラミック層を形成するには、従来と異なりセラミックス粉末を溶融させて、これがセラミックス層として凝固するまでの間に、積極的にその層内において空孔を発生させ、これによりセラミックス層を多孔質にすることが重要であると考えた。
本発明は、発明者のこのような新たな知見に基づくものであり、本発明に係る断熱部材の製造方法は、金属基材の表面に、酸化物系セラミックスからなる粉末および炭化水素系の油分を混合したスラリーを供給すると共に、前記酸化物系セラミックスの粉末が溶融するように、前記金属基材の表面にレーザビームを照射しながら、前記酸化物系セラミックスからなる空孔が介在した断熱層を、前記金属基材の表面に成形することを特徴とするものである。
本発明によれば、酸化物系セラミックスの酸素と、炭化水素系の油分の水素および炭素が、酸化セラミックスの粉末が溶融する際に、反応(気化反応)して、水素、二酸化炭素等のガスが発生する。これにより、溶融した酸化物系セラミックス内部に発生したガスが気泡として残存し、酸化物系セラミックス凝固後には、セラミックス層の内部に空孔が介在することになる。
なお、発明者らの後述する実験によれば、粉末を用いずに炭化水素系の油分のみを金属基材の表面に塗布し、この表面の金属を溶融するようにレーザビームを照射しても、油分が気化するのが早すぎて、その金属基材の表面には空孔が形成されないことがわかった。さらに、酸化物系セラミックスの粉末の代わりに炭化物系セラミックス粉末を用いた場合には、炭化水素系の油分との気化反応により空孔がほとんど形成されないことがわかっている。
このようにして、得られた酸化物系セラミックスからなる、空孔が介在した断熱層は、多孔質であるため、表面に形成された断熱層により金属基材への熱伝導を抑制することができる。
このようにして、大型の部材からなる金属基材であっても、酸化物セラミックスからなる粉末を含むスラリーを金属基材の表面に配置して、これが溶融するように、基材表面にレーザビームを照射するだけでよいので、金属基材の表面に断熱層を安価かつ容易に形成することができる。
ここで、本発明でいう「炭化水素系の油分」とは、酸化系セラミックスの粉末をスラリー状にすることができる炭素および水素を主成分として含む油であり、切削油、潤滑油などに用いられる合成油、植物油等のスラリーの状態で油分が揮発しないものである。
本発明でいう「スラリー」とは、泥状、または、かゆ状の混合物であり、粉末の各粒子が液体の中に懸濁している流動体のことをいい、粉末と油分である液体とが分離していない状態のものをいう。
たとえば、このような炭化水素系の油分としては、ポリアルファオレフィン系の合成油、ポリオールエステル、ジエステル、コンプレックスエステルなどのエーテル系の合成油、または、アルキルナフタレン、ポリブデンなどの合成油などの挙げることができ、さらには、パーム油、なたね油などの植物油などであってもよい。
また、本発明でいう「酸化物系セラミックス」とは、ムライト、アルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ、マグネシア、フェライト、コージェライト、及び希土類元素の酸化物などを挙げることができ、レーザビーム照射時に、炭化水素系ガスと反応してガスが生成するものであれば特に限定されるものではない。
しかしながら、より好ましくは、前記酸化物系セラミックスからなる粉末は、アルミナ粉末とシリカ粉末とを混合した粉末である。本発明によれば、アルミナ粉末とシリカ粉末からなる混合粉末を用いることにより、上述した空孔が形成された断熱層を容易に形成することができる。特に、金属基材に、アルミニウム合金を用いた場合には、粉末が溶融したアルミナを含む断熱層と金属基材との密着性をより向上させることができる。ここで、アルミニウム合金としては、展伸用アルミニウム合金および鋳物用アルミニウム合金のいずれであってもよい。
上述した製造方法により製造された内燃機関は、前記断熱層が、燃焼室を構成する壁面、または、吸気および排気ポートの内壁面に形成されていることが好ましい。これにより、燃焼室内の燃焼熱を断熱し、内燃機関の燃焼効率を高めることができる。また、排気ポートから吸気ポートへの熱の移動も抑制することができる。
本発明によれば、大型の部材からなる金属基材であっても、その金属基材の表面に断熱層を安価かつ容易に形成することができる。
本発明の実施形態に係る断熱部材の製造方法を以下に説明する。
図1は本発明の実施形態に係る断熱部材の製造方法を吸気ポートおよび排気ポートの内壁面に適用した模式的断面図であり、図2は、図1に示すシリンダヘッドの燃焼室の壁面の模式的平面図である。
図1は本発明の実施形態に係る断熱部材の製造方法を吸気ポートおよび排気ポートの内壁面に適用した模式的断面図であり、図2は、図1に示すシリンダヘッドの燃焼室の壁面の模式的平面図である。
まず、本実施形態の断熱部材の基材となる鋳物用アルミニウム合金製の金属基材を準備する。具体的には、金属基材として、図1および2に示すように、吸気ポート2および排気ポート3が形成されたシリンダヘッド1を準備する。図1および2に示すように、本実施形態のシリンダヘッド1には、2組の吸気弁12と排気弁13が配置され、その中央には、点火プラグ19が配置される。
このような吸気弁12、排気弁13、および点火プラグ19が配置される前のシリンダーヘッド1に対して、断熱層5を形成する。具体的には、図1および図2に示すように、シリンダヘッド1のうち、燃焼室11のうち吸気弁12および排気弁13が配置される周りの壁面15、および、吸気ポート2および排気ポート3の対向する側の内壁面21、31に、断熱層5を成形する。
まず、シリンダヘッド1の壁面15および、吸気ポート2および排気ポート3の対向する側の内壁面21、31のそれぞれに、スラリーを配置する。このスラリーは、酸化物系セラミックスからなる粉末および炭化水素系の油分を混合したスラリーである。具体的には、酸化物系セラミックスとしては、アルミナ粉末とシリカ粉末とを混合した粉末を準備し、これに、炭化水素系の油分(油剤)をさらに混合し、スラリーを製作する。
炭化水素系の油分としては、鉱油、合成潤滑油などが好ましく、たとえば、これに、ホウ素およびホウ素化合物、2−エタノールアミン、ポリオキシンエチレンノニルフェノール、または、モリブデンおよびモリブデン化合物などの添加剤が加えられていてもよい。
また、各粉末の粒子は、平均粒径が、0.1μm〜100μmの範囲、より好ましくは、0.5μm〜100μmの範囲にあることが好ましい。平均粒径が、100μmを超えた場合には、アルミニウム粉末およびシリカ粉末を溶融させにくく、また、気化反応が生じ難い場合があり、平均粒径が、0.1μm未満場合には、スラリーが軟らかくなりすぎて、金属基材の表面に保持することが難しい場合がある。
次に、スラリーが配置された吸気ポート2および排気ポート3の対向する側の内壁面21、31(図1参照)、および、シリンダヘッド1の壁面15(図1参照)に、レーザビームを照射し、酸化物系セラミックスの粉末を溶融させる。なおレーザ光の種類も特に限定されるものではなく、半導体レーザ、YAGレーザ等から適宜選択すればよい。
このときに、アルミナおよびシリカの酸素と、炭化水素系の油分の水素および炭素が、酸化セラミックスの粉末が溶融する際に、反応(気化反応)して、水素、二酸化炭素等のガスが発生する。
これにより、溶融した酸化物系セラミックス内部に発生したガスが気泡として残存し、アルミナおよびシリカが溶融した溶融物の凝固後に、セラミックス層(断熱層)5の内部に空孔が介在することになる。
このようにして、得られた酸化物系セラミックスであるアルミナおよびシリカからなる、空孔が介在した断熱層5は、多孔質であるため、表面に形成された断熱層5により金属基材への熱伝導を抑制することができる。
すなわち、図1に示すように、吸気ポート2および排気ポート3の対向する側の内壁面21、31に断熱層を成形した場合には、排気ポート2から吸気ポート3への熱の移動も抑制することができる。これにより、内燃機関の燃焼効率を高め、燃費を向上させることができる。
図2に示すように、シリンダヘッド1の壁面15に形成した場合には、燃焼室11内の熱が燃焼室11から逃げることを抑制することができる。なお、本実施形態では、シリンダヘッド1に断熱層5を形成したが、図1に示す、燃焼室11を構成するシリンダブロック6の壁面61に断熱層をさらに形成してもよい。
以下に本発明を実施例により説明する。
[実施例1]
金属基材として、まず、寸法50mm×50mm×15mmのアルミニウム基材(JIS規格:A−5052相当)を準備した。次にアルミナ粉末(平均粒径10μm)とシリカ粉末(平均粒径10μm)とを質量比で1:1で混合した混合粉末を準備し、混合粉末に、切削油として炭化水素系の油分(油剤)(ユシロ化学EC50)を混合粉末に対して10mg/mm2の割合で混合し、スラリーを製作した。
[実施例1]
金属基材として、まず、寸法50mm×50mm×15mmのアルミニウム基材(JIS規格:A−5052相当)を準備した。次にアルミナ粉末(平均粒径10μm)とシリカ粉末(平均粒径10μm)とを質量比で1:1で混合した混合粉末を準備し、混合粉末に、切削油として炭化水素系の油分(油剤)(ユシロ化学EC50)を混合粉末に対して10mg/mm2の割合で混合し、スラリーを製作した。
次に、スラリーをアルミニウム基材の表面に配置し、ビーム照射面積が6.5×1.0mmのレーザ照射装置(YAGレーザ)からのレーザを照射することにより、気泡が発生するように(気化反応が生じるように)、混合粉末を溶融し、溶融した材料をアルミニウムの表面に溶着させて、表面に空孔が形成された断熱層(セラミックス層)を成形した。
なお、レーザの照射強度は、3.0kwとし、アルミニウム基材とレーザ照射装置との相対速度(加工速度)が500mm/minとなるように、移動させながら断熱層(セラミックス層)を成形し、断熱部材を作製した。得られた断熱部材の断面を顕微鏡観察した。この結果を図3(a)に示す。
[実施例2]
実施例1と同じようにして、断熱部材を作製した。実施例1と相違する点は、アルミニウム基材とレーザ照射装置との相対速度(加工速度)が200mm/minとなるように、移動させながら断熱層(セラミックス層)を成形した点である。実施例1と同じように、得られた断熱部材の断面を顕微鏡観察した。この結果を図3(b)に示す。
実施例1と同じようにして、断熱部材を作製した。実施例1と相違する点は、アルミニウム基材とレーザ照射装置との相対速度(加工速度)が200mm/minとなるように、移動させながら断熱層(セラミックス層)を成形した点である。実施例1と同じように、得られた断熱部材の断面を顕微鏡観察した。この結果を図3(b)に示す。
[実施例3]
実施例1と同じようにして、断熱部材を作製した。実施例1と相違する点は、アルミニウム基材とレーザ照射装置との相対速度(加工速度)が300mm/minとなるように、移動させながら断熱層(セラミックス層)を成形した点である。実施例1と同じように、得られた断熱部材の断面を顕微鏡観察した。この結果を図3(c)に示す。
実施例1と同じようにして、断熱部材を作製した。実施例1と相違する点は、アルミニウム基材とレーザ照射装置との相対速度(加工速度)が300mm/minとなるように、移動させながら断熱層(セラミックス層)を成形した点である。実施例1と同じように、得られた断熱部材の断面を顕微鏡観察した。この結果を図3(c)に示す。
[実施例4]
実施例1と同じようにして、断熱部材を作製した。実施例1と相違する点は、アルミニウム基材とレーザ照射装置との相対速度(加工速度)が400mm/minとなるように、移動させながら断熱層(セラミックス層)を成形した点である。実施例1と同じように、得られた断熱部材の断面を顕微鏡観察した。この結果を図3(d)に示す。
実施例1と同じようにして、断熱部材を作製した。実施例1と相違する点は、アルミニウム基材とレーザ照射装置との相対速度(加工速度)が400mm/minとなるように、移動させながら断熱層(セラミックス層)を成形した点である。実施例1と同じように、得られた断熱部材の断面を顕微鏡観察した。この結果を図3(d)に示す。
[比較例1]
実施例1と同じようにして、断熱部材を作製した。実施例1と相違する点は、アルミニウム基材の表面に酸化物セラミックスと炭化水素系の油分からなるスラリー代わりに、油分のみを配置(塗布)した点と、アルミニウム基材とレーザ照射装置との相対速度(加工速度)が400mm/minとなるように、移動させながら断熱層(セラミックス層)を成形した点、断熱部材を作製した。実施例1と同じように、得られた断熱部材の断面を顕微鏡観察した。この結果を図3(e)に示す。
実施例1と同じようにして、断熱部材を作製した。実施例1と相違する点は、アルミニウム基材の表面に酸化物セラミックスと炭化水素系の油分からなるスラリー代わりに、油分のみを配置(塗布)した点と、アルミニウム基材とレーザ照射装置との相対速度(加工速度)が400mm/minとなるように、移動させながら断熱層(セラミックス層)を成形した点、断熱部材を作製した。実施例1と同じように、得られた断熱部材の断面を顕微鏡観察した。この結果を図3(e)に示す。
[比較例2]
実施例1と同じようにして、断熱部材を作製した。実施例1と相違する点は、アルミニウム基材の表面に酸化物セラミックスと炭化水素系の油分からなるスラリーの代わりに、炭化物セラミックス(WC,CrC、BC)と炭化水素系の油分からなるスラリーを配置した点と、アルミニウム基材とレーザ照射装置との相対速度(加工速度)が400mm/minとなるように、移動させながら断熱層(セラミックス層)を成形した点、断熱部材を作製した。実施例1と同じように、得られた断熱部材の断面を顕微鏡観察した。この結果を図3(f)に示す。
実施例1と同じようにして、断熱部材を作製した。実施例1と相違する点は、アルミニウム基材の表面に酸化物セラミックスと炭化水素系の油分からなるスラリーの代わりに、炭化物セラミックス(WC,CrC、BC)と炭化水素系の油分からなるスラリーを配置した点と、アルミニウム基材とレーザ照射装置との相対速度(加工速度)が400mm/minとなるように、移動させながら断熱層(セラミックス層)を成形した点、断熱部材を作製した。実施例1と同じように、得られた断熱部材の断面を顕微鏡観察した。この結果を図3(f)に示す。
[結果および考察]
図3(a)〜(d)に示すように、実施例1〜4にかかる断熱部材は、多孔質のセラミックス層(断熱層)が形成されていたが、図3(e),(f)に示すように、比較例1に係る部材は、断熱層が形成されておらず、比較例2に係る断熱部材は、セラミックス層は多孔質ではなかった。
図3(a)〜(d)に示すように、実施例1〜4にかかる断熱部材は、多孔質のセラミックス層(断熱層)が形成されていたが、図3(e),(f)に示すように、比較例1に係る部材は、断熱層が形成されておらず、比較例2に係る断熱部材は、セラミックス層は多孔質ではなかった。
この結果から、実施例1〜4の場合には、酸化物系セラミックスであるアルミナとシリカの酸素と、炭化水素系の油分の水素および炭素が、これら粉末が溶融する際に、反応(気化反応)して、水素、二酸化炭素等のガスが発生する。これにより、溶融したセラミックス内部に発生したガスが気泡として残存し、セラミックス凝固後には、セラミックス層(断熱層)の内部に空孔が介在することになったと考えられる。
一方、比較例1の如く、粉末を用いずに炭化水素系の油分のみをアルミニウム基材の表面に塗布し、この表面の金属を溶融するようにレーザビームを照射しても、油分が気化するのが早すぎて、そのアルミニウム基材の表面には空孔が形成されなかったと考えられる。
さらに、比較例2の如く、炭化物系セラミックス粉末を用いた場合には、炭化水素系の油分との気化反応が発生し難く、セラミックス層に、空孔がほとんど形成されなかったと考えられる。
このようにして、実施例1〜4の断熱部材の場合には、空孔が介在した断熱層は、多孔質であるため、表面に形成された断熱層によりアルミニウム基材への熱伝導を抑制することができると考えられる。
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本考案は、前記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の設計変更を行うことができるものである。
1:シリンダヘッド、2:吸気ポート、3:排気ポート、5:断熱層、11:燃焼室、12:吸気弁、13:排気弁、15:壁面、21:内壁面、31:内壁面
Claims (4)
- 金属基材の表面に、酸化物系セラミックスからなる粉末および炭化水素系の油分を混合したスラリーを供給すると共に、
前記酸化物系セラミックスの粉末が溶融するように、前記金属基材の表面にレーザビームを照射しながら、前記酸化物系セラミックスからなる空孔が介在した断熱層を、前記金属基材の表面に成形することを特徴とする断熱部材の製造方法。 - 前記酸化物系セラミックスからなる粉末は、アルミナ粉末とシリカ粉末とを混合した粉末であることを特徴とする請求項1に記載の断熱部材の製造方法。
- 前記金属基材は、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなることを特徴とする請求項1または2に記載の断熱部材の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により製造された内燃機関であって、
前記断熱層が、燃焼室を構成する壁面、または、吸気および排気ポートの内壁面に形成されていることを特徴とする内燃機関。
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